JP2015209766A - スタータ - Google Patents

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Abstract

【課題】部品点数を増加させることなく、外部からモータケーシング内部への水分の侵入を防止しつつ、モータケーシング内部の水分を速やかに排出することができると共に、部品の汎用性を高めて製造コストを低減できるスタータを提供する。【解決手段】モータヨーク53の開口部53bを閉塞するように設けられるセパレートプレート43を備え、セパレートプレート43の一面が重力方向に沿うように配置され、セパレートプレート43の重力方向の下部に、モータヨーク53内に滞留する水分を排水するための凹部142を設けた。【選択図】図1

Description

この発明は、例えば自動車に搭載されるエンジン始動用のスタータに関するものである。
例えば自動車に搭載されるスタータは、複数の永久磁石が配置されたモータケーシング(モータヨーク)と、モータケーシングの径方向内側に配置され、モータケーシングに対して回転自在に設けられたアーマチュアと、を備えている。アーマチュアは、回転軸と、回転軸に外嵌固定され、巻線が巻装されているアーマチュアコアと、回転軸に外嵌固定され、巻線が接続される複数のセグメントを有するコンミテータと、セグメントに摺接するように配置され、このセグメントを介して巻線に給電を行う複数のブラシと、を備えている。
ここで、スタータは、エンジンの近傍に配置されることから環境温度差が大きいと共に、多湿な環境下におかれやすい。このような環境下においては、結露等によってモータケーシング内に水分が留まってしまう場合がある。このため、モータケーシング内の水分を速やかに排出してモータケーシング内に水分が留まらないようにするためのさまざまな技術が提案されている。
例えば、モータケーシングの側面に排水孔を形成すると共に、この排水孔に取り付けられるドレインカバーを設け、外部からモータケーシング内部への水分の侵入を抑制しつつ、モータケーシング内部の水分を速やかに排出する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2010−74896号公報
しかしながら、上述の従来技術にあっては、外部からモータケーシング内部への水分の侵入を防止するためにドレインカバーを設ける必要があるので、この分、部品点数が増加してしまうという課題がある。
また、排水孔の位置は、モータケーシング(スタータ)の取り付け姿勢で鉛直方向の下部となるよう設定しなければならず、スタータの取り付け姿勢が変わると、これに合わせて排水孔の形成位置も変更しなければならず、製造コストが増大してしまうという課題がある。
さらに、モータケーシングは、永久磁石の磁路が形成されるヨークとして機能するので、モータケーシングに排水孔を形成すると、磁路の形成を阻害することになる。このため、モータ性能が低下するおそれがあるという課題がある。
そこで、この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、部品点数を増加させることなく、外部からモータケーシング内部への水分の侵入を抑制しつつ、モータケーシング内部の水分を速やかに排出することができると共に、部品の汎用性を高めて製造コストを低減できるスタータを提供するものである。
上記の課題を解決するために、本発明に係るスタータは、開口部を有するモータケーシングを有し、通電により回転力を発生するモータ部と、前記モータ部の回転軸に連結される減速機構と、前記回転軸の回転力が前記減速機構を介して伝達される出力軸と、前記出力軸上にスライド移動可能、かつエンジンのリングギヤと噛合可能に設けられ、前記出力軸の回転を前記リングギヤに伝達するためのピニオンギヤと、前記モータ部への通電、遮断を行うと共に、前記ピニオンギヤに前記リングギヤ側に向かう押圧力を付勢するための電磁装置と、前記モータ部と前記減速機構との間に配置されると共に、前記開口部を閉塞するように設けられるセパレートプレートと、を備え、前記セパレートプレートの一面が重力方向に沿うように配置されるスタータであって、前記セパレートプレートの重力方向の下部に、前記モータケーシング内に滞留する水分を排水するための水抜き手段を設けたことを特徴とする。
このように構成することで、従来のようにモータケーシングの側面に排水孔を形成する必要がなくなるので、従来のようにドレインカバーを設ける必要もなくなり、部品点数の増大を抑えることができる。
本発明に係るスタータでは、前記水抜き手段は、前記セパレートプレートの外周縁に沿って形成された凹部であることを特徴とする。
このように構成することで、水抜き手段を簡素な構造とすることができ、製造コストをさらに低減できる。また、セパレートプレートの外周縁に沿って凹部が形成されているので、スタータの取り付け姿勢がずれた場合であっても、重力方向の下部に水抜き手段(凹部)を位置させることができる。このため、セパレートプレートの汎用性も高まるので、さらに製造コストを低減できる。
本発明に係るスタータは、前記凹部の形成領域に前記凹部を形成しない非凹部形成部を設けたことを特徴とする。
ここで、スタータの取り付け姿勢のずれに対応するように、凹部を広範囲に亘って形成することが考えられる。凹部の形成範囲を拡げると、この分セパレートプレートの剛性が弱まるおそれがある。しかしながら、このような場合であっても凹部の形成領域に非凹部形成部を設けることにより、セパレートプレートの剛性を維持することができる。
本発明に係るスタータは、前記モータ部の径方向外側に、前記電磁装置と外部電源とを電気的に接続するための端子部を設け、前記端子部の径方向中心と前記回転軸の軸心とを通る直線上からずれた位置に前記水抜き手段が設けられていることを特徴とする。
このように構成することで、端子部の位置が重力方向の真上でない場合であってもモータケーシング内の水分を、水抜き手段を介して速やかに排出することができる。
本発明に係るスタータでは、前記モータ部は、前記回転軸と、前記回転軸に外嵌固定され巻線が巻装されるアーマチュアコアと、前記回転軸に外嵌固定され前記巻線が接続される複数のセグメントを有するコンミテータと、前記複数のセグメントに摺接するように設けられこのセグメントを介して前記巻線に給電を行う複数のブラシと、を備え、前記セパレートプレートは、前記複数のブラシのうちの陰極側ブラシとピグテールを介して接続されるアース部として構成され、前記セパレートプレートの前記水抜き手段を避けた位置に、前記ピグテールの一端が接続されるピグテール接続部を形成したことを特徴とする。
このように構成することで、セパレートプレートとピグテールの一端とを、ピグテール接続部を介して確実に接続できる。
また、モータケーシングがヨークとして機能する際、従来のようにモータケーシングの側面に排水孔が形成されることがないので、モータケーシング上において磁路の形成を阻害することがない。このため、モータ性能が低下してしまうことを防止できる。
本発明に係るスタータは、前記モータケーシングの前記開口部に連結されるように設けられ、少なくとも前記減速機構の周囲を覆うように形成されたギヤカバー部を備え、前記ギヤカバー部の前記モータケーシング側の開口縁のうち、少なくとも前記水抜き手段に対応する箇所に、前記モータケーシングよりも径方向外側に前記モータケーシングと微小間隔をあけて延出する延出部を設け、前記延出部と前記水抜き手段とが径方向でラップしていることを特徴とする。
このように構成することで、外部からモータケーシング内への水分の侵入を確実に防止できる。
本発明によれば、従来のようにモータケーシングの側面に排水孔を形成する必要がなくなるので、従来のようにドレインカバーを設ける必要もなくなり、部品点数の増大を抑えることができる。
また、スタータの取り付け姿勢がずれた場合であっても、重力方向の下部に水抜き手段(凹部)を位置させることができる。このため、セパレートプレートの汎用性も高まるので、製造コストを低減できる。
さらに、モータケーシングがヨークとして機能する際、従来のようにモータケーシングの側面に排水孔が形成されることがないので、モータケーシング上において磁路の形成を阻害することがない。このため、モータ性能が低下してしまうことを防止できる。
本発明の実施形態におけるスタータの断面図である。 図1のA矢視図である。 本発明の実施形態におけるブラシホルダの斜視図である。 本発明の実施形態におけるセパレートプレートの平面図である。 本発明の実施形態におけるセパレートプレートの断面図である。 図1のB部拡大図である。 本発明の実施形態におけるセパレートプレートおよびハウジングの作用説明図である。
(スタータ)
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、スタータの断面図である。
なお、図1では、中心線より上側にスタータ1の静止状態を示し、下側にスタータ1の通電状態(ピニオンギヤ74と不図示のエンジンのリングギヤ23とが噛合した状態)を示している。また、以下の説明では、スタータ1におけるモータ部3の回転軸52および出力軸4の軸方向を単に軸方向と称し、モータ部3の径方向を単に径方向と称し、モータ部3の周方向を単に周方向と称して説明する。
同図に示すように、スタータ1は、自動車の不図示のエンジンの始動に必要な回転力を発生するためのものであって、モータ部3と、モータ部3の回転軸52の一方側(図1における左側)の端部に連結されている遊星歯車機構2と、遊星歯車機構2の出力を受けて回転する出力軸4と、出力軸4上にスライド移動可能に設けられたクラッチ機構5、およびピニオンギヤ機構70と、モータ部3への通電、遮断を行うと共に、ピニオンギヤ機構70を軸方向に沿ってリングギヤ23側へ移動させるための電磁装置9と、を有している。そして、スタータ1は、モータ部3の回転軸52および出力軸4が水平方向(図1における左右方向)に沿うように、不図示の車体のエンジン近傍に取り付けられる。
(モータ部)
モータ部3は、ブラシ付直流モータ51と、ブラシ付直流モータ51の回転軸52に連結され、この回転軸52の回転力を出力軸4に伝達するための遊星歯車機構2とにより構成されている。
ブラシ付直流モータ51は、略円筒状のモータヨーク53と、モータヨーク53の径方向内側に配置され、モータヨーク53に対して回転自在に設けられているアーマチュア54と、を有している。モータヨーク53の内周面には、複数(本実施形態では6個)の永久磁石57が、周方向に磁極が交互となるように設けられている。
モータヨーク53の軸方向他方側(図1における右側)の端部には、モータヨーク53の開口部53aを閉塞するエンドプレート55が設けられている。エンドプレート55の径方向略中央には、回転軸52の他方側端を回転自在に支持するための滑り軸受56a、およびスラスト軸受56bが設けられている。
アーマチュア54は、回転軸52と、回転軸52の永久磁石57に対応する位置に外嵌固定されているアーマチュアコア58と、回転軸52のアーマチュアコア58よりも遊星歯車機構2側(図1における左側)に外嵌固定されているコンミテータ61とにより構成されている。
アーマチュアコア58は、放射状に形成された複数のティース(不図示)と、周方向に隣接する各ティース間に形成された複数のスロット(不図示)と、を有している。周方向に所定間隔をあけた各スロット間には、巻線59が例えば波巻により巻装されている。巻線59の端末部は、コンミテータ61に向かって引き出されている。
コンミテータ61には、複数枚(例えば、この実施形態では26枚)のセグメント62が周方向に沿って、かつ互いに電気的に絶縁されるように所定間隔を空けた状態で設けられている。各セグメント62のアーマチュアコア58側端には、ライザ63が設けられている。ライザ63には、アーマチュアコア58に巻装されている巻線59の端末部が溶接等によって電気的に接続されている。このように構成されたセグメント62には、4つのブラシ41が摺接されている。
ブラシ41は、後述の電源端子接続部102を介して不図示の外部バッテリに電気的に接続され、コンミテータ61に外部バッテリの電力を供給するためのものである(詳細は後述する)。ブラシ41は、モータヨーク53の軸方向一方側(図1における左側)に設けられたブラシホルダ33に保持されている。
(ブラシホルダ)
図2は、図1のA矢視図、図3は、ブラシホルダの斜視図である。
図1〜図3に示すように、ブラシホルダ33は、モータヨーク53の軸方向一方側において、その一面が重力方向に沿うように配置されたホルダ本体101と、ホルダ本体101の側部から径方向外側に向かって、換言すれば斜め上方に向かって突出する電源端子接続部102とが一体成形されたものである。
ホルダ本体101は、第一ホルダ本体101aと、第二ホルダ本体101bとからなり、第一ホルダ本体101aには、ブラシ41が収納される4つのブラシ収納部104がコンミテータ61の周囲を取り囲むように等間隔に配置されている。ブラシ収納部104は、成形上の都合から軸方向一端側が開口する状態となっている。第二ホルダ本体101bは、第一ホルダ本体101aの軸方向一端側の開口を塞ぐように第一ホルダ本体101aに組み合わされ、これにより、ブラシ収納部104の内部には、それぞれブラシ41が径方向に沿って、かつコンミテータ61に向かって進退自在に収納されている。
4つのブラシ41は、2つの陽極側ブラシ41a,41aと2つの陰極側ブラシ41b,41bとで構成されている。2つの陽極側ブラシ41a,41aは、コンミテータ61を挟んで対向するように配置されている。そして、2つの陽極側ブラシ41a,41aのうちの1つが電源端子接続部102側(重力方向上側)に配置されている。一方、2つの陰極側ブラシ41b,41bも、コンミテータ61を挟んで対向するように配置されている。そして、2つの陰極側ブラシ41b,41bのうちの1つが電源端子接続部102側(重力方向上側)に配置されている。
また、各ブラシ収納部104の奥側には、ブラシスプリング42が設けられている。このブラシスプリング42によって、各ブラシ41がコンミテータ61側に向かって付勢され、各ブラシ41の先端がコンミテータ61のセグメント62に摺接するようになっている。
また、ホルダ本体101には、この中心よりも電源端子接続部102側(重力方向上側)に、固定接点板34の一方を構成する第一固定接点板34aが固定されている。この第一固定接点板34aには、2つの陽極側ブラシ41a,41aが陽極ピグテール35aを介して電気的に接続されている。
一方、電源端子接続部102は、モータヨーク53側とホルダ本体101側とが開口するように箱状に形成されたものである。電源端子接続部102には、電磁装置9を構成するスイッチシャフト30が挿入される筒状のシャフト挿入部112がモータヨーク53とは反対側(図1における左側)に向かって立設されている。また、シャフト挿入部112の第一固定接点板34aとは反対側には、固定接点板34の他方を構成する第二固定接点板34bが固定されている。
第二固定接点板34bは、断面略L字状に形成されており、電源ベース部109から前壁111に沿うように屈曲延出する切起し部34cを有している。
この切起し部34c、および電源端子接続部102の径方向最外側に位置する前壁111には、それぞれ同軸上に貫通孔34d,111aが形成されている。これら貫通孔34d,111aには、軸端子44aが挿入されており、軸端子44aの先端が前壁111を介して径方向外側に突出している。この前壁111から突出している軸端子44aの先端には、外部バッテリの陽極が電気的に接続されるターミナルボルト44bが電気的に取付けられている。
ここで、モータヨーク53には、電源端子接続部102に対応する部位に、凹部115が形成されており、この凹部115に電源端子接続部102の根元が嵌まり込むようになっている。
また、ブラシホルダ33は、不図示の車体にスタータ1を取り付けた状態において、ターミナルボルト44bの軸心P1が、重力方向(図2における上下方向)に対して角度θ1だけずれた位置となるように配置されている。これは、結露によって発生した水分が、電源端子接続部102の内面と第二固定接点34bとの間に留まらないように、その水分を重力方向の下側に導き、最終的に後述する水抜き手段から排出させるために設定されるからである。
なお、ブラシホルダ33には、電源端子接続部102を保護するカバー45が装着されている。
さらに、ブラシホルダ33のホルダ本体101には、ブラシ収納部104が形成されている側とは反対側の面、つまり、ホルダ本体101と遊星歯車機構2との間に、略円板状のセパレートプレート43が設けられている。
(セパレートプレート)
図4は、セパレートプレートの平面図、図5は、セパレートプレートの断面図である。
図1、図4、図5に示すように、セパレートプレート43は金属板にプレス加工等を施して形成されたものであって、外径がモータヨーク53の外径とほぼ同一となるように設定されている。そして、セパレートプレート43は、一面がモータヨーク53のブラシホルダ33側(軸方向一方側)の開口部53bを閉塞するように重力方向に沿って配置されている。
セパレートプレート43には、ブラシホルダ33のシャフト挿入部112に対応する箇所に、このシャフト挿入部112を挿通可能な貫通孔43aが形成されている。このシャフト挿入部112には、後述するスイッチシャフト30が配置される。
また、セパレートプレート43の径方向略中央には、ブラシ付直流モータ51の回転軸52が挿通可能な筒部43bがブラシホルダ33側(コンミテータ61側)に向かって突出するように一体成形されている。コンミテータ61には、筒部43bを受け入れ可能な略円環状の溝部61aが形成されており、この溝部61aに筒部43bが臨まされている。これにより、後述の遊星歯車機構2等に使用される潤滑剤がブラシ付直流モータ51側に侵入してしまうのが防止される。
さらに、セパレートプレート43には、筒部43bの周囲に、アーマチュアコア58側に向かって突出するビード部141が形成されている。ビード部141は、軸方向平面視で略C字状に形成されており、かつ重力方向下側が開口するように形成されている。ビード部141の後述の遊星歯車機構2側の凹溝は、後述の遊星歯車機構2に使用される潤滑剤を溜めるためにも有効である。また、ビード部141のアーマチュア54側凸部の高さは、第二ホルダ本体101bと組み合わされた際に互いに干渉しない程度に形成されている。
また、セパレートプレート43の外周縁には、重力方向下方に、2つの凹部142,142が外周縁に沿って形成されている。各凹部142は、モータヨーク53内に留まった水分を速やかに排出するための水抜き手段である。すなわち、各凹部142を形成することによって、モータヨーク53に取り付けた状態で、このモータヨーク53とセパレートプレート43との間に隙間S1が形成され(図6参照)、この隙間S1からモータヨーク53内に留まった水分を速やかに排出できるようになっている。
ここで、各凹部142は、貫通孔43aの中心P2と筒部43bの中心P3とを通る直線C1から周方向に角度θ2だけ離間した位置に形成されている。さらに、各凹部142の周方向の幅は、所定の角度θ3の範囲に形成されている。これら角度θ2,θ3は、不図示の車体にスタータ1を取り付けた状態において、2つの凹部142,142のうちの何れか一方が重力方向真下に位置するように設定されている。このことについて、より詳しく説明する。
まず、直線C1について説明する。
前述したように直線C1は、貫通孔43aの中心P2と筒部43bの中心P3とを通る線である。ここで、貫通孔43aは、ブラシホルダ33のシャフト挿入部112が挿通される孔である。そして、シャフト挿入部112を通る直線C1上には、電源端子接続部102に設けられているターミナルボルト44bの軸心P1が位置している。ターミナルボルト44bの軸心P1は、不図示の車体にスタータ1を取り付けた状態において、前述の理由から、重力方向に対して角度θ1だけずれた位置に配置されている。すなわち、直線C1は、不図示の車体にスタータ1を取り付けた状態では、重力方向に対して角度θ1だけ傾くことになる。
一方、スタータ1の重力方向の下部となる部分は、スタータ1の取り付け姿勢によって変化する。このため、2つの凹部142,142は、その変化範囲をカバーする範囲として、直線C1から周方向に角度θ2+θ3だけ離間した位置に形成されており、2つの凹部142,142のうちの何れか一方にて重力方向の真下に水抜き手段を構成することができる。
なお、各凹部142の周方向の幅(角度θ3)は、確実に凹部142が重力方向真下に位置するように、かつモータヨーク53内に留まった水分を、凹部142を介して速やかに排出するのに十分な幅に設定される。さらに、各凹部142の奥行深さH1も、モータヨーク53内に留まった水分を、凹部142を介して速やかに排出するのに十分な深さに設定される。
また、凹部142を2箇所に形成したのは、スタータ1の周方向の取り付け角度の傾き方向が仕様に応じて変化する場合に対応している。すなわち、図2において、スタータ1は、ターミナルボルト44bの軸心P1が重力方向に対して角度θ1だけ右側に傾いているが、ターミナルボルト44bの軸心P1が重力方向に対して角度θ1だけ左側に傾いて不図示の車体に取り付けられる場合もある。
ここで、2つの凹部142を連通させずに、これら2つの凹部142の間に凹部142が形成されない非凹部形成部143を形成したのは、セパレートプレート43の剛性を高め、モータヨーク53との接地面積を確保するためである。換言すれば、セパレートプレート43の凹部形成領域R1(図4における2点鎖線で囲んだ領域)に凹部142を形成しない非凹部形成部143を設けることにより、セパレートプレート43とモータヨーク53との接地面積を増やして高剛性化を図っている。
また、セパレートプレート43の外周縁には、直線C1と直交する水平方向に、一対の切り欠き部145が凹設されている。切り欠き部145には、ブラシホルダ33のホルダ本体101にスナップフィット固定される爪部146が立設されている。これにより、ブラシホルダ33とセパレートプレート43とが一体化される。
さらに、図3に示すように、セパレートプレート43には、陰極側ブラシ41b,41bに対応する位置に、ピグテール接続部144a,144bがアーマチュアコア58側に向かって突出形成されている。各ピグテール接続部144a,144bは、セパレートプレート43の外周縁に形成されている凹部142および切り欠き部145を避けるように形成されている。また、各ピグテール接続部144a,144bは、ホルダ本体101から露出した状態になる。
また、各ピグテール接続部144a,144bの後述の遊星歯車機構2側の凹部には、各ピグテール41b,41bを溶接等により接続した際にできる溶接痕により、セパレートプレート43の平面度が阻害することが防止される。
そして、各ピグテール接続部144a,144bには、一端が陰極側ブラシ41b,41bに接続された陰極ピグテール35bの他端が接続され、セパレートプレート43は、後述のハウジング17を介して不図示の車体に接地されている。すなわち、セパレートプレート43は、ボディアース部として機能している。
図1に示すように、モータヨーク53のエンドプレート55とは反対側には、有底筒状のトッププレート12が設けられている。トッププレート12は、開口部12b側をブラシホルダ33側に向けた状態で配置されている。そして、トッププレート12の開口部12bの周縁と、モータヨーク53の開口部53bの周縁とにより、セパレートプレート43の外周縁を挟持している。ここで、セパレートプレート43には、水抜き手段としての凹部142を形成しつつ、非凹部形成部143が形成されているので、トッププレート12の開口部12bの周縁と、モータヨーク53の開口部53bの周縁とによるセパレートプレート43の挟持面積が十分確保される。このため、セパレートプレート43の後述のハウジング17およびモータヨーク53による挟持力が高まる。
(遊星歯車減速機構)
トッププレート12には、アーマチュアコア58側の内面に、遊星歯車機構2が設けられている。
遊星歯車機構2は、回転軸52と一体成形されているサンギヤ13と、サンギヤ13に噛合され、サンギヤ13を中心に公転する複数のプラネタリギヤ14と、これらプラネタリギヤ14の外周側に設けられた環状の内歯リングギヤ15とにより構成されている。
複数のプラネタリギヤ14は、キャリアプレート16により連結されている。キャリアプレート16には、各プラネタリギヤ14に対応する位置に、それぞれ支持シャフト16aが立設されており、ここにプラネタリギヤ14が回転自在に支持されている。また、キャリアプレート16の径方向略中央には、出力軸4がセレーション接合により噛合されている。
内歯リングギヤ15は、トッププレート12のアーマチュアコア58側の内面に一体成形されている。トッププレート12の内周面における径方向略中央には、滑り軸受12aが設けられている。滑り軸受12aは、回転軸52と同軸上に配置されている出力軸4の他方側端(図1における右側端)を回転自在に支持している。
また、トッププレート12には、出力軸4、クラッチ機構5、ピニオンギヤ機構70、および電磁装置9等が内装されており、不図示の車体にスタータ1を固定するためのアルミニウム製のハウジング17が装着されている。ハウジング17は、軸方向一方側(図1における左側)に底部17cを有し、軸方向他方側(図1における右側)に開口部17aを有する有底筒状にダイカスト鋳造にて形成されている。
ハウジング17の開口部17a側には、トッププレート12が開口部17aを閉塞するように接合されている。また、ハウジング17の開口部17aに、モータヨーク53の開口部53bの周縁が内嵌固定されている。さらに、ハウジング17の開口部17a側の外周面には、軸方向に沿うように不図示の雌ネジ部が刻設されている。一方、モータヨーク53の軸方向他方側(図1における右端側)に配置されたエンドプレート55には、雌ネジ部に対応する位置に不図示のボルト孔が形成されている。このボルト孔にボルト95を挿入し、雌ネジ部にボルト95を螺入することによって、モータ部3がエンドプレート55とハウジング17とに挟持されて一体化される。
また、ハウジング17の周壁17eには、不図示の車体にスタータ1を取り付けた状態において重力方向の真下に対応する箇所に、径方向外側に向かって僅かに膨出する膨出部151が形成されている。また、膨出部151は、ハウジング17の周壁17e全体に亘って、かつ軸方向に沿って形成されている。膨出部151を形成する分、ハウジング17内にスペースが確保される。さらに、膨出部151におけるハウジング17の開口部17a側、つまり、モータヨーク53の開口部53bと嵌合する箇所には、内面側に凹部151aが形成されている。
図6は、図1のB部拡大図である。
同図に示すように、ハウジング17の周壁17eに膨出部151を形成し、かつ膨出部151におけるモータヨーク53の開口部53bと嵌合する箇所に凹部151aを形成することにより、膨出部151とモータヨーク53の開口部53bとが互いに間隔をあけて径方向でラップした状態になる。また、ハウジング17の開口部17a側には、トッププレート12が開口部17aを閉塞するように接合されているので、膨出部151と、セパレートプレート43に形成されている凹部142とが径方向でラップした状態になる。
図1に戻り、ハウジング17の内壁には、後述するクラッチアウタ18のモータ部3側への変位を規制するリング状のストッパ94が設けられている。このストッパ94は、樹脂やゴム等により形成され、クラッチアウタ18が当接した際の衝撃を緩和できるようになっている。
また、ハウジング17の底部17cには、出力軸4と同軸に、有底の軸受孔47が形成されている。軸受孔47の内径は、出力軸4の外径よりも大きく設定されている。さらに、軸受孔47の軸受圧入部47aには、出力軸4の一方側端(図1における左側端)を回転自在に支持するための滑り軸受17dが圧入固定されている。この滑り軸受17dには所望の基油からなる潤滑油が含浸されており、出力軸4を円滑に摺接させることができるようになっている。
また、軸受孔47の底部には、ハウジング17の底部17cと出力軸4の一方側端面4cとの間に、荷重受部材50が配置されている。荷重受部材50は、平板状の金属部材であり、例えばプレスにより形成されたリング状のワッシャが採用される。荷重受部材50は、硬度が出力軸4よりも高く耐摩耗性に優れた材料により形成されている。
なお、荷重受部材50の周囲には、出力軸4の一方側端面4cとの摺接時の摩擦を軽減するためのグリスが塗布されている。このグリスに、滑り軸受17dに含浸される潤滑油と同種の基油を含むものが採用されているため、滑り軸受17dの潤滑油を長期間保持できるようになっている。
一方、出力軸4の軸方向他方側端(図1における右側端)には、回転軸52の一方側端(図1における左側端)を挿入可能な凹部4aが形成されている。凹部4aの内周面には、滑り軸受4bが圧入されており、出力軸4と回転軸52とが相対回転可能に連結される。
(クラッチ機構)
出力軸4の軸方向略中央には、ヘリカルスプライン19が形成されている。ヘリカルスプライン19には、クラッチ機構5がヘリカル噛合されている。
クラッチ機構5は、略円筒状のクラッチアウタ18と、このクラッチアウタ18と同軸に形成されたクラッチインナ22と、クラッチアウタ18、およびクラッチインナ22を一体的に固定するクラッチカバー6とを有している。
クラッチ機構5としては、いわゆる公知のワンウェイクラッチ機能が採用されている。すなわち、クラッチ機構5は、クラッチインナ22にクラッチアウタ18側からの回転力を伝達する一方、クラッチアウタ18にクラッチインナ22側からの回転力を伝達しないように構成されている。これにより、エンジン始動時に、クラッチアウタ18の回転速度よりもクラッチインナ22の回転速度が速くなるオーバーラン状態になった際、エンジンのリングギヤ23側からの回転力を遮断することができる。
また、クラッチ機構5は、クラッチアウタ18とクラッチインナ22との間に生じるトルク差、および回転速度差が所定値以内の場合、互いに回転力を伝達する一方、トルク差、および回転速度差が所定値を越えた場合、回転力の伝達が遮断されるいわゆるトルクリミッタ機能も備えている。
クラッチアウタ18の軸方向他方側(図1における右側)には、縮径されたスリーブ18aが一体成形されている。この内周面に、出力軸4のヘリカルスプライン19に噛合するヘリカルスプライン18bが形成されている。これにより、クラッチ機構5は、出力軸4に対し、軸方向にスライド移動可能になる。なお、出力軸4のヘリカルスプライン19、およびクラッチアウタ18のヘリカルスプライン18bの傾斜角度は、軸方向に対して例えば16°程度に設定されている。
クラッチアウタ18の内周面におけるスリーブ18aの軸方向一方側には、段差部18cが形成されている。段差部18cの内周面は、スリーブ18aの内周面よりも大径に形成されており、段差部18cの内周面と出力軸4の外周面との間には空間が形成される。この空間には、後述するリターンスプリング21が配置されている。
クラッチアウタ18の外周面18dには、クラッチカバー6が、例えばカシメ等により固定されている。
クラッチインナ22は、クラッチアウタ18のスリーブ18aよりも拡径形成されており、クラッチインナ22、段差部18cの内周面、および出力軸4との間に、空間が形成されている。この空間には、後述するリターンスプリング21が配置されている。
クラッチインナ22の外周面には、クラッチアウタ18の軸方向一方側端面と径方向で対応した位置に、略円盤状のクラッチワッシャ64が外嵌固定されている。
クラッチカバー6は、本体筒部68と、本体筒部68の軸方向一方側(図1における左側)の底壁66とを有する有底筒状の部材であり、例えば鉄等の金属板材を絞り加工することにより形成されている。
本体筒部68は、クラッチアウタ18、およびクラッチワッシャ64に外挿され、本体筒部68の軸方向他方側の縁部をクラッチアウタ18の軸方向他方側端面にカシメることにより、クラッチアウタ18、およびクラッチワッシャ64に固定される。
クラッチカバー6の底壁66には、径方向略中央に、軸方向一方側と軸方向他方側とを貫通する開口が形成されており、ここに出力軸4が挿通されている。
出力軸4のヘリカルスプライン19よりも一方側(図1における左側)には、移動規制部20が設けられている。移動規制部20は、出力軸4に外嵌された略リング状の部材であり、サークリップ20aによって軸方向一方側への移動が規制された状態で設けられている。また、移動規制部20は、この直径がクラッチアウタ18に形成された段差部18cと干渉可能なように、段差部18cの内周面よりも大径に設定されている。
そして、クラッチ機構5が軸方向一方側にスライド移動したときには、クラッチアウタ18の段差部18cと移動規制部20とが干渉するようになっている。これにより、クラッチ機構5、およびピニオンギヤ機構70の軸方向一方側へのスライド移動量が規制される。
移動規制部20とクラッチアウタ18のスリーブ18aとの間であって、かつ段差部18cの内周面と出力軸4の外周面との間には、出力軸4を取り囲むように形成されたリターンスプリング21が、圧縮変形した状態で設けられている。これにより、クラッチアウタ18は、常時モータ部3側へ向かって押し戻されるように付勢された状態になる。
このように形成されたクラッチ機構5には、クラッチインナ22の先端に、出力軸4に外嵌されたピニオンギヤ74が一体成形されている。ピニオンギヤ74の内周面には、軸方向両側にそれぞれ出力軸4にピニオンギヤ74を摺動可能に支持するための2つの滑り軸受72,72が設けられている。
ここで、リングギヤ23、およびピニオンギヤ74は、はすば歯車(ヘリカルギヤ)で構成されている。リングギヤ23とピニオンギヤ74との歯のねじれ方向は、ピニオンギヤ74がリングギヤ23を駆動する状態でピニオンギヤ74に飛び込み方向のスラスト荷重が発生するように設定されている。
(電磁装置)
また、ハウジング17の内周面には、クラッチ機構5よりもモータ部3側に、電磁装置9を構成するヨーク25が内嵌固定されている。ヨーク25は磁性材からなる有底筒状に形成されており、底部25aの径方向略中央の大部分が大きく開口されている。
また、ヨーク25の底部25aとは反対側端には、磁性材からなる円環状のプランジャホルダ26が設けられている。プランジャホルダ26は、ヨーク25の底部25aに対応するように略円環状に形成されたホルダ本体部26aと、このホルダ本体部26aの内周縁から軸方向他方側に向かって屈曲延出されたホルダ円筒部26bが一体成形されたものである。
ヨーク25、およびプランジャホルダ26によって径方向内側に形成される収納凹部25bには、略円筒状に形成された励磁巻線24が収納されている。励磁巻線24は、コネクタを介してイグニションスイッチ(何れも不図示)に電気的に接続されている。
このように、プランジャホルダ26は、ヨーク25と協働して励磁巻線24を保持する役割を有している。
ここで、プランジャホルダ26のホルダ円筒部26bの内径は、このホルダ円筒部26bと励磁巻線24との間に、後述のスイッチプランジャ27を受け入れることができる間隙が形成可能な大きさに設定されている。また、プランジャホルダ26のホルダ円筒部26bの外径は、このホルダ円筒部26bと出力軸4との間に、後述のギヤプランジャ80を挿入可能な大きさに設定されている。
励磁巻線24の内周面と出力軸4の外周面との間の空隙には、プランジャ機構37が励磁巻線24に対して軸方向にスライド移動可能に設けられている。
プランジャ機構37は、磁性材で形成された略円筒状のスイッチプランジャ27と、このスイッチプランジャ27と出力軸4の外周面との間の空隙に配置されたギヤプランジャ80とを有している。これらスイッチプランジャ27とギヤプランジャ80とは、互いに同心円状に設けられ、軸方向に相対移動可能に設けられている。
スイッチプランジャ27は、磁性材により形成され、励磁巻線24に電流が供給されたときに発生する磁束により吸引される円筒部27aを有している。この円筒部27aの外径は、励磁巻線24の内径よりもやや小さい程度に設定されている。また、円筒部27aの肉厚は、プランジャホルダ26のホルダ円筒部26bと励磁巻線24との間隙に挿入可能な厚さに設定されている。
円筒部27aのブラシホルダ33側(図1における右側)端には、径方向外側に向かって屈曲延出された外フランジ部29が一体的に形成されている。この外フランジ部29の直径E3は、励磁巻線24のヨーク25の底部25aの直径と略同一に設定されている。換言すれば、外フランジ部29の直径は、ヨーク25の底部25aを覆う大きさに設定されている。
また、外フランジ部29には、ブラシホルダ33の電源端子接続部102に対応する一側に、スイッチシャフト30を支持する支持片29bが径方向外側に向かって延出形成されている。支持片29bは二又状に形成されており、支持片29bにスイッチシャフト30が係合されるようになっている。
スイッチシャフト30は、モータ部3のセパレートプレート43の貫通孔43a、トッププレート12を貫通するように、スイッチプランジャ27の支持片29bにホルダ部材30aを介して立設されている。スイッチシャフト30は、基端側に配置され、支持片29bに係合可能なプランジャ係合部131と、このプランジャ係合部131からブラシホルダ33側に向かって突出する摺動軸132と、摺動軸132からさらにブラシホルダ33側に向かって突出し、摺動軸132よりも段差により縮径形成された先端部133とが一体成形されたものである。
摺動軸132は、ブラシホルダ33のシャフト挿入部112に挿入され、このシャフト挿入部112内をスライド移動可能に摺動する。摺動軸132には、プランジャ係合部131側の端部から先端部133側の端部のやや手間に至る間に、軸方向に沿う3つの溝条部134が周方向に略等間隔に形成されている。
これら溝条部134は、電源端子接続部102の内面と第二固定接点34bとの間から下方に向けて移動してきた水分が摺動軸132とシャフト挿入部112との間に至った際に、その水分を溝条部134内に局所的に誘導し、シャフト挿入部112に対する水分の接触面積を小さくしたり、摺動軸132とシャフト挿入部112との間に、所定量以上の水分が留まらないようにさらに重力方向の下側に排水したりするためのものである。このように構成することで、例え、摺動軸132とシャフト挿入部112との間に浸入した水分が凍結した場合であっても、この氷着力を電磁装置9の磁力よりも小さくすることができる。
先端部133には、ブラシ付直流モータ51のコンミテータ61に隣接配置された、スイッチユニット7の可動接点板8が連結されている。可動接点板8は、スイッチシャフト30に対して軸方向に沿ってスライド移動可能に取り付けられていると共に、スイッチスプリング32によって摺動軸132部側に付勢された状態で支持されている。これにより、可動接点板8は、ブラシホルダ33に固定されているスイッチユニット7の固定接点板34に対し、当接・離間可能になる。
すなわち、固定接点板34を構成する第一固定接点板34a、および第二固定接点板34bに、可動接点板8が跨るように当接する。可動接点板8が出力軸4に沿ってストロークし、第一固定接点板34a、および第二固定接点板34bに当接することにより、第一固定接点板34aおよび第二固定接点板34bがON状態となって電気的に接続される。
また、スイッチプランジャ27の内周面には、ギヤプランジャ80の軸方向他端(図1における右端)に当接・離間可能なリング部材28が一体的に設けられている。リング部材28は、スイッチプランジャ27がリングギヤ23側へ向かって移動する際、初期的にギヤプランジャ80をリングギヤ23側に向かって押圧するためのものである。
クラッチ機構5のクラッチアウタ18は、リターンスプリング21によりプランジャインナ81へ向かって付勢されている。したがって、スタータ1の静止状態(図1における中心線より上側)において、クラッチ機構5は、ギヤプランジャ80、およびリング部材28を介して、スイッチプランジャ27を軸方向他方側(図1における右側)に向かって押圧している。これにより、可動接点板8が軸方向他方側に向かって押圧され、固定接点板34と離間したOFF状態となる。
ここで、スタータ1の静止状態(図1における中心線より上側)における可動接点板8と固定接点板34との離間距離、すなわち可動接点板8がOFF状態からON状態になる際の可動接点板8の軸方向に沿ったストローク量をL1とし、リングギヤ23とピニオンギヤ74との最大離間距離をL2としたとき、ストローク量L3、および最大離間距離L4は、
L1>L2・・・(1)
を満たすように設定されている。したがって、電磁装置9がピニオンギヤ74と可動接点板8とを軸方向一方側(図1における左側)にスライド移動させたときに、可動接点板8がON状態となる前に、ピニオンギヤ74がリングギヤ23に当接する。
スイッチプランジャ27の径方向内側に配置されたギヤプランジャ80は、径方向内側に配置されたプランジャインナ81と、径方向外側に配置されたプランジャアウタ85と、プランジャインナ81とプランジャアウタ85との間に配置されるプランジャスプリング91とを備えている。
プランジャインナ81は、樹脂等により略円筒形状に形成されている。プランジャインナ81の内径は、出力軸4に外挿可能なように、出力軸4の外径よりも若干大きく設定されている。これにより、プランジャインナ81は、出力軸4に対して軸方向にスライド移動可能に設けられている。
プランジャインナ81の軸方向一方側端81a(図1における左側端)には、径方向外側に張り出した外フランジ部82が一体成形されている。プランジャインナ81が軸方向一方側にスライド移動したとき、プランジャインナ81の軸方向一方側端81aがクラッチアウタ18の軸方向他方側端と当接し、クラッチ機構5、およびピニオンギヤ機構70を軸方向一方側にスライド移動させている。
プランジャインナ81の軸方向他方側端81b(図1における右側端)には、軸方向他方側から軸方向一方側に向かって漸次外径が大きくなる爪部83が周方向に沿って複数形成されている。また、爪部83の軸方向一方側(図1における左側)には、周方向に沿って溝部84が形成されている。
プランジャアウタ85は、プランジャインナ81と同様に樹脂等により略円筒形状に形成されている。プランジャアウタ85の内径は、プランジャインナ81の外フランジ部82の外径よりも若干大きく設定されており、プランジャインナ81に外挿されている。
プランジャアウタ85の軸方向他方側端85a(図1における右側端)には、径方向内側に張り出した内フランジ部86が一体的に形成されている。
内フランジ部86の内径は、プランジャインナ81の爪部83の外径よりも小さく、且つプランジャインナ81の溝部84の底部の外径よりも大きくなるように設定されている。そして、プランジャインナ81の溝部84内にプランジャアウタ85の内フランジ部86を配置することで、プランジャインナ81とプランジャアウタ85とが一体化され、プランジャ機構37が構成される。
プランジャアウタ85の内フランジ部86の肉厚は、プランジャインナ81の溝部84の幅よりも薄くなるように設定されている。これにより、プランジャアウタ85の内フランジ部86とプランジャインナ81の溝部84との間にはクリアランスが設けられる。したがって、プランジャインナ81とプランジャアウタ85とは、プランジャアウタ85の内フランジ部86とプランジャインナ81の溝部84とのクリアランス分だけ、軸方向に相対的にスライド移動可能となっている。
プランジャアウタ85の軸方向他方側端85a(図1における右側端)には、径方向外側に張り出した外フランジ部87が一体的に形成されている。外フランジ部87は、スイッチプランジャ27のリング部材28と当接する当接部として機能している。
また、外フランジ部87の軸方向一方側(図1における左側)であって、プランジャアウタ85の外周面には、リング状の鉄心88が設けられている。鉄心88は、例えば樹脂モールドにより、プランジャアウタ85と一体成形されている。鉄心88は、励磁巻線24に電流が供給されたときに発生する磁束により吸引される。
プランジャインナ81の外フランジ部82と、プランジャアウタ85の内フランジ部86との間には、収納部90が形成されている。収納部90には、プランジャインナ81の外周面を取り囲むように形成されたプランジャスプリング91が収納されている。
プランジャスプリング91は、収納部90に収納された状態で、プランジャインナ81の外フランジ部82と、プランジャアウタ85の内フランジ部86とにより圧縮変形させられている。そして、プランジャインナ81は軸方向一方側(図1における左側)に向かって、プランジャアウタ85は軸方向他方側(図1における右側)に向かって、互いに付勢された状態となっている。
また、プランジャホルダ26とスイッチプランジャ27との間には、両者を離間方向に付勢する板ばね材からなるスイッチリターンスプリング27bが配設されている。
このような構成のもと、図1に示すように、スタータ1の静止状態(図1における中心線より上側の状態)においては、プランジャスプリング91により、プランジャインナ81が軸方向一方側(図1における左側)に向かって付勢される。一方、プランジャアウタ85が他方側(図1における右側)に向かって付勢される。
プランジャインナ81の軸方向一方側端81aと、クラッチアウタ18の他方側端は、互いに接触しておらず、これにより、クラッチアウタ18は、リターンスプリング21のばね荷重によって、ストッパ94に押圧された状態になる。したがって、スタータ1の静止状態では、プランジャスプリング91のばね荷重によって、クラッチ機構5を押出さない、つまり、ピニオンギヤ機構70を不用意に押出さないように設定されていることになる。
また、スタータ1の通電状態(図1における中心線より下側の状態)において、ギヤプランジャ80が軸方向一方側(図1における左側)に最大変位したとき、プランジャインナ81の軸方向一方側端81aは、常にクラッチ機構5のクラッチアウタ18の軸方向他方側端と当接した状態になる。
すなわち、プランジャスプリング91は、クラッチ機構5とギヤプランジャ80との間における軸方向の空隙の発生を防止し、クラッチ機構5のガタつきを吸収するガタ吸収機構を構成している。
(スタータの動作)
続いて、図1、図4〜図6に基づいて、スタータ1の動作について説明する。
図1における中心線の上側の状態に示すように、励磁巻線24に電流を供給する前のスタータ1の静止状態では、リターンスプリング21に付勢されたクラッチアウタ18が、ピニオンギヤ74と一体化されているクラッチインナ22を引張った状態でモータ部3側(図1における右側)へ一杯に付勢されている。そして、クラッチ機構5のクラッチアウタ18がストッパ94に当接した位置で停止しており、ピニオンギヤ74とリングギヤ23とが最大離間距離L2を有した状態で結合が断たれている。
また、スタータ1の静止状態では、プランジャインナ81の軸方向一方側端81aとクラッチアウタ18の軸方向他方側端とは僅かにクリアランスをもった状態とされている。これにより、クラッチアウタ18は、リターンスプリング21のばね荷重によって、ストッパ94に押圧された状態になっている。したがって、スタータ1の静止状態では、プランジャスプリング91のばね荷重によって、クラッチ機構5を押圧しない、つまり、不用意にピニオンギヤ機構70をリングギヤ23側に押出さないように設定されていることになる。
さらに、スイッチプランジャ27は、スイッチリターンスプリング27bにより押し戻され、モータ部3側(図1における右側)へ一杯に移動している。そして、スイッチプランジャ27の外フランジ部29がトッププレート12に当接した状態で停止している。さらに、外フランジ部29に立設されているスイッチシャフト30の可動接点板8は、固定接点板34に対して距離L1(すなわち可動接点板8のストローク量L1)だけ離間しており、電気的に切断されている。
そして、この状態から車両のイグニションスイッチ(不図示)をオンすると、励磁巻線24に電流が供給されて励磁され、スイッチプランジャ27およびギヤプランジャ80に磁束が通る磁路が形成される。これにより、スイッチプランジャ27およびギヤプランジャ80がリングギヤ23側(図1における左側)へ向かってスライド移動する。
ここで、スタータ1の静止状態において、スイッチプランジャ27とプランジャホルダ26とのギャップ(軸方向クリアランス)は、ギヤプランジャ80の鉄心88とプランジャホルダ26とのギャップ(軸方向クリアランス)よりも小さく設定されている。このため、スイッチプランジャ27に発生する吸引力は、ギヤプランジャ80に発生する吸引力よりも大きいので、ギヤプランジャ80に先行してスイッチプランジャ27がスライド移動しようとする。
このとき、スイッチプランジャ27の内周面にリング部材28が一体的に設けられていることから、このリング部材28がギヤプランジャ80を押圧し、初期的にギヤプランジャ80をリングギヤ23側に向かって押圧することで、スイッチプランジャ27、およびギヤプランジャ80が一体となってリングギヤ23側へ向かってスライド移動する。
また、クラッチアウタ18は、出力軸4にヘリカルスプライン噛合されており、スリーブ18aがギヤプランジャ80のプランジャインナ81と当接している。ここで、出力軸4のヘリカルスプライン19、およびクラッチアウタ18のヘリカルスプライン18bの傾斜角度は、軸方向に対して例えば16°程度に設定されている。このため、クラッチアウタ18は、スイッチプランジャ27およびギヤプランジャ80がリングギヤ23側へスライド移動すると、出力軸4に対して若干相対回転しながら押出される。
さらに、ピニオンギヤ74もリングギヤ23側へ押出される。より具体的には、ピニオンギヤ74は、リングギヤ23とピニオンギヤ74との最大離間距離L2だけリングギヤ23側に移動する。そして、ピニオンギヤ74の軸方向一方側端面74bと、リングギヤ23の軸方向他方側端面23aとが当接するか、または両者間の軸方向寸法距離がゼロの状態になる。
また、このとき、スイッチプランジャ27は、ギヤプランジャ80と一体となってリングギヤ23側へ向かってスライド移動するため、スイッチプランジャ27、およびこれと連動する可動接点板8も、最大離間距離L2だけリングギヤ23側(軸方向一方側)に移動する。
ここで、可動接点板8のストローク量L1、およびリングギヤ23とピニオンギヤ74との最大離間距離L2は、
L1>L2・・・(2)
を満たすように設定されている。したがって、ピニオンギヤ74との最大離間距離L2だけ軸方向一方側に移動したときであっても、可動接点板8と固定接点板34との間に、ストローク量L1と最大離間距離L2との差に等しいクリアランスCを有した状態で、可動接点板8がOFF状態となっている。すなわち、可動接点板8がON状態となる前に、ピニオンギヤ74の軸方向一方側端面74bとリングギヤ23の軸方向他方側端面23aとが当接するか、又は両者間の軸方向寸法距離がゼロの状態となる。
そして、この後、スイッチプランジャ27が吸引され、さらにリングギヤ23側へ向かってスライド移動することにより、可動接点板8のストローク量L1が最大になる。そして、固定接点板34に可動接点板8が接触する。可動接点板8は、スイッチシャフト30に対して軸方向に変位可能なように浮動支持されているので、スイッチスプリング32の押圧力が可動接点板8、および固定接点板34に加わることになる。
また、ピニオンギヤ74もさらにリングギヤ23側に向かって押し出され、ピニオンギヤ74とリングギヤ23との位相が合っている場合は、両者が噛合う。
固定接点板34に可動接点板8が接触すると、4つのブラシ41のうちの2つの陽極側ブラシに不図示の外部バッテリの電圧が印加され、コンミテータ61のセグメント62を介して巻線59が通電される。
すると、アーマチュアコア58に磁界が発生し、この磁界とモータヨーク53に設けられている永久磁石57との間で磁気的な吸引力や反発力が生じる。これにより、アーマチュア54が回転し始める。そして、アーマチュア54が回転することにより、このアーマチュア54の回転軸52の回転力が遊星歯車機構2を介して出力軸4に伝達され、出力軸4が回転し始める。
出力軸4が回転し始めると、ピニオンギヤ74の軸方向一方側端面74bとリングギヤ23の軸方向他方側端面23aとが当接していた場合には、その当接状態が解除される。そして、ピニオンギヤ74がリングギヤ23側に押出され、ピニオンギヤ74とリングギヤ23とが噛合う。
そして、出力軸4の回転速度が上昇すると、出力軸4のヘリカルスプライン19に噛合されたクラッチアウタ18に慣性力が作用する。このとき、ピニオンギヤ74とリングギヤ23とがヘリカル噛合していることから、ピニオンギヤ74にリングギヤ23方向(飛び込み方向)へのスラスト荷重が発生する。
そして、このスラスト荷重によってピニオンギヤ74はヘリカルスプライン19に沿うように、リターンスプリング21の付勢力に抗してリングギヤ23側へ向かって移動する。また、クラッチアウタ18も、慣性力によってヘリカルスプライン19に沿うように、リターンスプリング21の付勢力に抗してリングギヤ23側へ向かって押し出される。
このとき、ギヤプランジャ80には、電磁装置9の励磁巻線24の磁力により、リングギヤ23側へ向かう吸引力が作用している。したがって、ギヤプランジャ80は、クラッチアウタ18のスライド移動に連動するように、クラッチアウタ18を押圧しつつリングギヤ23側へ向かってスライド移動する。これにより、ピニオンギヤ74とリングギヤ23とが所定の噛み合い位置で噛合する。
ここで、ピニオンギヤ74とリングギヤ23とはヘリカル噛合しているため、出力軸4の回転力をピニオンギヤ74からリングギヤ23に伝達すると、ピニオンギヤ74には軸方向一方側(図1における左側)に向かってスラスト荷重が発生する。ピニオンギヤ74に発生したスラスト荷重は、クラッチインナ22、クラッチアウタ18、移動規制部20、およびサークリップ20aを介し、出力軸4に伝達される。このため、出力軸4には一方側(図1における左側)に向かってスラスト荷重が発生し、一方側に向かってスライド移動する。
しかしながら、ハウジング17の底部17cには、荷重受部材50が設けられているので、この荷重受部材50に出力軸4の一方側端面4cが当接し、出力軸4の軸方向一方側へのスライド移動が規制される。これにより、出力軸4に加わるスラスト荷重を効果的に受けることができる。
一方、ピニオンギヤ74とリングギヤ23との噛合後、エンジン始動時におけるクランキングの際には、リングギヤ23の回転速度に変動が生じる。これにより、ピニオンギヤ74には軸方向一方側(図1における左側)、および軸方向他方側(図1における右側)に向かってスラスト荷重が発生する。
具体的には、リングギヤ23の回転速度がピニオンギヤ74の回転速度よりも遅いときには、ピニオンギヤ74にはリングギヤ23に接近する方向(図1における左側)にスラスト荷重が発生する。また、リングギヤ23の回転速度がピニオンギヤ74の回転速度よりも速いときには、ピニオンギヤ74にはリングギヤ23から離間する方向(図1における右側)にスラスト荷重F2が発生する。
特に、アイドルストップ機能を備えた車両においては、エンジンの停止/始動が頻繁に行われ、一般のスタータよりも使用頻度が高まるため、上述のようなスラスト荷重が頻繁に発生する。
ここで、電磁装置9の励磁巻線24は、この励磁巻線24による磁力によりギヤプランジャ80を吸引する吸引力F1が、
F2<F1・・・(1)
を満たすように設定されている。
すなわち、励磁巻線24によるギヤプランジャ80の吸引力F1は、リングギヤ23の回転速度がピニオンギヤ74の回転速度よりも高いときにピニオンギヤ74に作用するスラスト荷重F2(リングギヤ23から離間する方向に向かって作用するスラスト荷重F2)よりも大きくなるように設定されている。
このため、リングギヤ23の回転速度がピニオンギヤ74の回転速度よりも速くなり、ピニオンギヤ74にリングギヤ23から離間する方向にスラスト荷重F2が発生した場合であっても、確実にギヤプランジャ80を吸引し続け、リングギヤ23とピニオンギヤ74との噛合状態を確実に維持することができる。
また、ピニオンギヤ74に発生したスラスト荷重は、ピニオンギヤ74の軸方向一方側に設けられた止め輪77に伝達された後、ピニオンインナ71、クラッチインナ22、およびクラッチワッシャ64を介し、クラッチカバー6の底壁66に伝達される。しかしながら、底壁66には補強筒部67が一体的に形成されているので、クラッチカバー6の軸方向への変形が抑制される。
エンジンが始動し、ピニオンギヤ74の回転速度が出力軸4の回転速度を上回ると、クラッチ機構5のワンウェイクラッチ機能が作用してピニオンギヤ74が空転する。また、エンジンが始動に伴って励磁巻線24への電流の供給を停止すると、クラッチアウタ18に対するリターンスプリング21の付勢力により、ピニオンギヤ74がリングギヤ23から離脱すると共に、可動接点板8が固定接点板34から離間してブラシ付直流モータ51が停止する。
(セパレートプレートおよびハウジングの作用)
次に、図7に基づいて、セパレートプレート43およびハウジング17の作用について説明する。
図7は、セパレートプレートおよびハウジングの作用説明図であって、図6に対応している。
同図に示すように、不図示の車体にスタータ1を取り付けた状態では、セパレートプレート43は、重力方向の真下に凹部142が位置している。ここで、セパレートプレート43は、その外周縁がギヤハウジング17と、モータヨーク53の開口部53bの周縁とにより挟持されているが、セパレートプレート43の凹部142が形成されている箇所では、モータヨーク53とセパレートプレート43との間に隙間S1が形成される。このため、この隙間S1からモータヨーク53内に留まっていた水分W1が速やかに排出される。
また、ハウジング17の膨出部151と、セパレートプレート43に形成されている凹部142とが隙間を介して径方向でラップした状態になっている。このため、膨出部151は、外部からの水分W2がセパレートプレート43の凹部142を介してモータヨーク53内に浸入してしまうことを防止するためのラビリンス機能を構成するカバーとして機能する。
このように、上述の実施形態では、ブラシ付直流モータ51と遊星歯車機構2との間に介装されるセパレートプレート43に、不図示の車体にスタータ1を取り付けた状態で重力方向真下となる位置に凹部142を形成している。そして、この凹部142がモータヨーク53内に留まっていた水分W1を速やかに排出するための水抜き手段として機能する。このため、従来のようにモータヨーク53に排水孔を形成する必要がなくなり、また、従来のようにモータヨーク53にドレインカバーを設ける必要もなくなる。よって、簡素な構造でモータヨーク53内に留まった水分W1を速やかに排出しつつ、部品点数の増大を抑えることができ、スタータ1の製造コストを低減できる。
また、モータヨーク53の側面に排水孔を形成しない分、モータヨーク53に形成される永久磁石57の磁路を十分確保することができる。このため、モータ部3のモータ効率が低減してしまうことを防止できる。
さらに、スタータ1の取り付け姿勢に関わらずモータヨーク53の側面に水抜き用の加工を施す必要がなくなるので、モータヨーク53を共通化し、部品の汎用性を高めることができる。
また、セパレートプレート43における貫通孔43aの中心P2と筒部43bの中心P3とを通る直線C1から周方向両側に角度θ2だけ離間した位置に、それぞれ凹部142を形成している。このように、セパレートプレート43に2つの凹部142を形成することにより、スタータ1の周方向の取り付け角度の傾き方向が仕様に応じて変化する場合であっても、重力方向真下に凹部142を位置させることができる。このため、セパレートプレート43の汎用性も高めることができる。
さらに、セパレートプレート43に形成されている2つの凹部142を連通させずに、これら2つの凹部142の間に凹部142が形成されない非凹部形成部143を形成している。このため、トッププレート12の開口部12bの周縁とモータヨーク53の開口部53bの周縁とによるセパレートプレート43の外周縁の挟持面積を、2つの凹部142を連通させる場合と比較して増大させることができる。このため、セパレートプレート43の固定強度(剛性)を高めることができる。
また、ターミナルボルト44bの軸心P1とセパレートプレート43の筒部43bの中心P3とを通る直線C1に対し、2つの凹部142の形成位置が角度θ2だけずれている(図2、図4参照)。このため、不図示の車体にスタータ1を取り付けた状態において、ターミナルボルト44bの軸心P1が、重力方向に対して角度θ1だけずれた位置となるように配置されている(図2参照)場合であっても、重力方向真下にセパレートプレート43の凹部142を位置させることができる。
さらに、セパレートプレート43には、陰極ピグテール35bの他端が接続されるピグテール接続部144a,144bが、凹部142および切り欠き部145を避けるように形成されている。このため、ピグテール接続部144a,144bを介してセパレートプレート43と陰極ピグテール35bの他端とを確実に接続できる。
また、セパレートプレート43にビード部141を形成することにより、セパレートプレート43の剛性を高めることができる。
さらに、ハウジング17に膨出部151を形成し、この膨出部151と、セパレートプレート43に形成されている凹部142とが隙間を介して径方向でラップした状態になっている。そして、膨出部151は、外部からの水分W2がセパレートプレート43の凹部142を介してモータヨーク53内に浸入してしまうことを防止するためのラビリンス機能を構成するカバーとして機能する。このため、外部からモータヨーク53内への水分W2の侵入を確実に防止できる。
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、自動車の始動用に用いられるスタータ1を例に挙げて説明をしているが、スタータ1の適用は自動車に限定されることはなく、例えば自動二輪車等に適用してもよい。
また、上述の実施形態では、モータ部3にブラシ付直流モータ51を採用した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、モータ部3にブラシレスモータを採用した場合であっても、上述の実施形態を適用することが可能である。
さらに、上述の実施形態では、セパレートプレート43に凹部142を形成し、この凹部142を水抜き手段として機能させる場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、セパレートプレート43とモータヨーク53との間に隙間を形成し、この隙間を水抜き手段として機能させればよい。例えば、セパレートプレート43の凹部142に対応する箇所に、この凹部142に代わって薄肉部を形成し、セパレートプレート43とモータヨーク53との間に隙間を形成し、ここを水抜き手段として機能させてもよい。
さらに、上述の実施形態では、ハウジング17の開口部17aに、モータヨーク53の開口部53bの周縁が内嵌固定されており、これにより、ハウジング17の膨出部151とセパレートプレート43の凹部142とが隙間を介して径方向でラップするラビリンス機能について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ハウジング17の開口部17aとモータヨーク53の開口部53bとを嵌合しないように構成し、ハウジング17の開口部17aのうち、セパレートプレート43の凹部142に対応する箇所を延出させ、この延出させた箇所と凹部142とが隙間を介して径方向でラップするようなラビリンス機能として構成してもよい。
1…スタータ
2…遊星歯車機構(減速機構)
3…モータ部
4…出力軸
9…電磁装置
17…ハウジング(ギヤカバー部)
23…リングギヤ
35a…陽極ピグテール(ピグテール)
35b…陰極ピグテール(ピグテール)
41…ブラシ
41a…陽極側ブラシ
41b…陰極側ブラシ
43…セパレートプレート
44b…ターミナルボルト(端子部)
53…モータヨーク(モータケーシング)
53a,53b…開口部
58…アーマチュアコア
59…巻線
61…コンミテータ
62…セグメント
74…ピニオンギヤ
142…凹部
143…非凹部形成部
144a,144b…ピグテール接続部
151…膨出部(延出部)
L1…直線

Claims (6)

  1. 開口部を有するモータケーシングを有し、通電により回転力を発生するモータ部と、
    前記モータ部の回転軸に連結される減速機構と、
    前記回転軸の回転力が前記減速機構を介して伝達される出力軸と、
    前記出力軸上にスライド移動可能、かつエンジンのリングギヤと噛合可能に設けられ、前記出力軸の回転を前記リングギヤに伝達するためのピニオンギヤと、
    前記モータ部への通電、遮断を行うと共に、前記ピニオンギヤに前記リングギヤ側に向かう押圧力を付勢するための電磁装置と、
    前記モータ部と前記減速機構との間に配置されると共に、前記開口部を閉塞するように設けられるセパレートプレートと、を備え、
    前記セパレートプレートの一面が重力方向に沿うように配置されるスタータであって、
    前記セパレートプレートの重力方向の下部に、前記モータケーシング内に滞留する水分を排水するための水抜き手段を設けたことを特徴とするスタータ。
  2. 前記水抜き手段は、前記セパレートプレートの外周縁に沿って形成された凹部であることを特徴とする請求項1に記載のスタータ。
  3. 前記凹部の形成領域に前記凹部を形成しない非凹部形成部を設けたことを特徴とする請求項2に記載のスタータ。
  4. 前記モータ部の径方向外側に、前記電磁装置と外部電源とを電気的に接続するための端子部を設け、
    前記端子部の径方向中心と前記回転軸の軸心とを通る直線上からずれた位置に前記水抜き手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のスタータ。
  5. 前記モータ部は、
    前記回転軸と、
    前記回転軸に外嵌固定され巻線が巻装されるアーマチュアコアと、
    前記回転軸に外嵌固定され前記巻線が接続される複数のセグメントを有するコンミテータと、
    前記複数のセグメントに摺接するように設けられこのセグメントを介して前記巻線に給電を行う複数のブラシと、を備え、
    前記セパレートプレートは、前記複数のブラシのうちの陰極側ブラシとピグテールを介して接続されるアース部として構成され、
    前記セパレートプレートの前記水抜き手段を避けた位置に、前記ピグテールの一端が接続されるピグテール接続部を形成したことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のスタータ。
  6. 前記モータケーシングの前記開口部に連結されるように設けられ、少なくとも前記減速機構の周囲を覆うように形成されたギヤカバー部を備え、
    前記ギヤカバー部の前記モータケーシング側の開口縁のうち、少なくとも前記水抜き手段に対応する箇所に、前記モータケーシングよりも径方向外側に前記モータケーシングと微小間隔をあけて延出する延出部を設け、
    前記延出部と前記水抜き手段とが径方向でラップしていることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のスタータ。
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