JP2021014808A - スタータ - Google Patents

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萩原 勲
Isao Hagiwara
萩原  勲
成広 神戸
Narihiro Kanbe
成広 神戸
界太郎 大嶋
Kaitaro Oshima
界太郎 大嶋
隆晶 野村
Takaaki Nomura
隆晶 野村
友樹 黒澤
Yuki Kurosawa
友樹 黒澤
木村 浩
Hiroshi Kimura
浩 木村
幸介 佐藤
Kosuke Sato
幸介 佐藤
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Abstract

【課題】スタータの外部から内部への水分の浸入を抑制でき、スタータの内部の水分を排水できるスタータを提供する。【解決手段】モータ部3と、開口部を有するハウジング17と、ハウジング17内に収納され、モータ部3から入力される回転を減速して出力する遊星歯車機構2と、ハウジング17の周壁17eから径方向の外側に張り出したフランジ部152に開口され、ハウジング17の内部を外部に連通する排水孔が形成された排水部156と、を備えた。【選択図】図6

Description

本発明は、スタータに関するものである。
例えば自動車に搭載されるスタータは、複数の永久磁石が配置されたモータケーシング(モータヨーク)と、モータケーシングの径方向内側に配置され、モータケーシングに対して回転自在に設けられたアーマチュアと、を備えている。アーマチュアは、回転軸と、回転軸に嵌合固定され、巻線が巻装されているアーマチュアコアと、回転軸に嵌合固定され、巻線が接続される複数のセグメントを有するコンミテータと、セグメントに摺接するように配置され、このセグメントを介して巻線に給電を行う複数のブラシと、を備えている。
ここで、スタータは、エンジンの近傍に配置されることから環境温度差が大きいと共に、多湿な環境下におかれやすい。このような環境下においては、結露等によってモータケーシング内に水分が留まってしまう場合がある。このため、モータケーシング内の水分を速やかに排出してモータケーシング内に水分が留まらないようにするためのさまざまな技術が提案されている。
例えば、モータケーシングに取り付けられたギアカバーの下方(地方向)にドレイン用の開口部を形成し、スタータの内部に浸入した水分を開口部からスタータの外部へ排水する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2017−66953号公報
しかしながら、上述の従来技術にあっては、車載レイアウトによっては、スタータが直接被水することが考えられる。ここで、ドレイン用の開口部がスタータの外部に露出されている。このため、ギアカバーに形成されたドレイン用の開口部からスタータの内部に水が浸入するおそれがある。例えば、雪路走行中において、スタータが被水してモータの内部に開口部から水が浸入した場合、スタータが繰り返し被水することによる急激な温度変化で開口部の上方に位置する接点部に結露が発生することが考えられる。特に、環境温度が氷点下の場合、結露により接点部に水分が凍結して接点部がON状態になることを妨げる(すなわち、エンジン始動を妨げる)要因となっていた。
そこで、この発明は、スタータの外部から内部への水分の浸入を抑制でき、スタータの内部の水分を排水できるスタータを提供するものである。
上記の課題を解決するために、本発明に係るスタータは、モータ部と、開口部を有するハウジングと、前記ハウジング内に収納され、前記モータ部から入力される回転を減速して出力する減速機構と、前記ハウジングの周壁から径方向の外側に張り出したフランジ部に開口され、前記ハウジングの内部を外部に連通する排水孔が形成された排水部と、を備えたことを特徴とする。
上記構成において、前記排水部は、前記内部から前記外部まで下方に向けて斜めに設けられるように、前記内部に開口する入口部と、前記入口部に対して軸方向へ離間する位置において前記外部に開口する出口部と、を有してもよい。
上記構成において、前記フランジ部に設けられ、前記排水部の出口部が開口するチャンバー室を備えてもよい。
上記構成において、前記チャンバー室は、前記排水部の出口部が開口し、水平面に対して下方に向けて斜めに傾けられた壁部を有してもよい。
上記構成において、前記フランジ部に設けられ、前記排水部の出口部が開口するチャンバー室と、前記チャンバー室に形成され、外部に連通するチャンバー出口部と、前記排水部と前記チャンバー出口部との間に設けられ、前記排水部から前記チャンバー室を経て外部に連通するラビリンス構造と、を備えてもよい。
本発明によれば、スタータの外部から内部への水分の浸入を抑制でき、スタータの内部の水分を排水できる。
本発明に係る実施形態におけるスタータの断面図。 図1のA矢視図。 実施形態におけるブラシホルダの斜視図。 実施形態におけるセパレートプレートの平面図。 実施形態におけるセパレートプレートの断面図。 図1のB部拡大図。 実施形態におけるハウジングの正面図。 実施形態におけるハウジングの斜視図。 図8のC部拡大図。 実施形態における排水構造の排水部による排水の説明図。 実施形態における排水構造のチャンバー室による排水の説明図。
<スタータ>
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、スタータの断面図である。
図1に示すように、スタータ1は、例えば、不図示の自動車のエンジンユニットEuに備えられている。具体的には、エンジンユニットEuのエンジンブロック154にスタータ1が取り付けられている。
なお、図1では、中心線より上側にスタータ1の静止状態を示し、下側にスタータ1の通電状態(ピニオンギア74と不図示のエンジンのリングギア23とが噛合した状態)を示している。また、以下の説明では、スタータ1におけるモータ部3の回転軸52及び出力軸4の軸方向を単に軸方向と称し、モータ部3の径方向を単に径方向と称し、モータ部3の周方向を単に周方向と称して説明する。
スタータ1は、自動車の不図示のエンジンの始動に必要な回転力を発生するためのものである。スタータ1は、モータ部3と、モータ部3の回転軸52の一方側(図1における左側)の端部に連結されている遊星歯車機構2と、遊星歯車機構2の出力を受けて回転する出力軸4と、出力軸4上にスライド移動可能に設けられたクラッチ機構5、及びピニオンギア機構70と、モータ部3への通電、遮断を行うと共に、ピニオンギア機構70を軸方向に沿ってリングギア23側へ移動させるための電磁装置9と、を有している。スタータ1は、モータ部3の回転軸52及び出力軸4が水平方向(図1における左右方向)に沿うように、不図示の車体のエンジン近傍に取り付けられる。
<モータ部>
モータ部3は、ブラシ付直流モータ51と、ブラシ付直流モータ51の回転軸52に連結され、この回転軸52の回転力を出力軸4に伝達するための遊星歯車機構2と、により構成されている。
ブラシ付直流モータ51は、略円筒状のモータヨーク53と、モータヨーク53の径方向内側に配置され、モータヨーク53に対して回転自在に設けられているアーマチュア54と、を有している。モータヨーク53の内周面には、複数(本実施形態では6個)の永久磁石57が、周方向に磁極が交互となるように設けられている。
モータヨーク53の軸方向他方側(図1における右側)の端部には、モータヨーク53の開口部53aを閉塞するエンドプレート55が設けられている。エンドプレート55の径方向略中央には、回転軸52の他方側端を回転自在に支持するための滑り軸受56a、及びスラスト軸受56bが設けられている。
アーマチュア54は、回転軸52と、回転軸52の永久磁石57に対応する位置に嵌合固定されているアーマチュアコア58と、回転軸52のアーマチュアコア58よりも遊星歯車機構2側(図1における左側)に嵌合固定されているコンミテータ61とにより構成されている。
アーマチュアコア58は、放射状に形成された複数のティース(不図示)と、周方向に隣接する各ティース間に形成された複数のスロット(不図示)と、を有している。周方向に所定間隔をあけた各スロット間には、巻線59が例えば波巻により巻装されている。巻線59の端末部は、コンミテータ61に向かって引き出されている。
コンミテータ61には、複数枚(例えば、この実施形態では26枚)のセグメント62が周方向に沿って、かつ互いに電気的に絶縁されるように所定間隔を空けた状態で設けられている。各セグメント62のアーマチュアコア58側端には、ライザ63が設けられている。ライザ63には、アーマチュアコア58に巻装されている巻線59の端末部が溶接等によって電気的に接続されている。このように構成されたセグメント62には、4つのブラシ41(図3参照)が摺接されている。
ブラシ41は、後述の電源端子接続部102を介して不図示の外部バッテリに電気的に接続され、コンミテータ61に外部バッテリの電力を供給する(詳細は後述する)。ブラシ41は、モータヨーク53の軸方向一方側(図1における左側)に設けられたブラシホルダ33(図3参照)に保持されている。
<ブラシホルダ>
図2は、図1のA矢視図である。図3は、ブラシホルダの斜視図である。
図1〜図3に示すように、ブラシホルダ33は、モータヨーク53の軸方向一方側において、その一面が重力方向に沿うように配置されたホルダ本体101と、ホルダ本体101の側部から径方向外側に向かって突出する電源端子接続部102と、が一体成形されたものである。換言すれば、電源端子接続部102は、斜め上方に向かって突出している。
ホルダ本体101は、第一ホルダ本体101aと、第二ホルダ本体101bとからなり、第一ホルダ本体101aには、ブラシ41が収納される4つのブラシ収納部104がコンミテータ61の周囲を取り囲むように等間隔に配置されている。ブラシ収納部104は、成形上の都合から軸方向一端側が開口する。第二ホルダ本体101bは、第一ホルダ本体101aの軸方向一端側の開口を塞ぐように第一ホルダ本体101aに組み合わされている。これにより、ブラシ収納部104の内部には、それぞれブラシ41が径方向に沿って、かつコンミテータ61に向かって進退自在に収納されている。
4つのブラシ41は、2つの陽極側ブラシ41a,41aと2つの陰極側ブラシ41b,41bとで構成されている。2つの陽極側ブラシ41a,41aは、コンミテータ61を挟んで対向するように配置されている。そして、2つの陽極側ブラシ41a,41aのうちの1つが電源端子接続部102側(重力方向上側)に配置されている。一方、2つの陰極側ブラシ41b,41bも、コンミテータ61を挟んで対向するように配置されている。2つの陰極側ブラシ41b,41bのうちの1つが、電源端子接続部102側(重力方向上側)に配置されている。
各ブラシ収納部104の奥側には、ブラシスプリング42が設けられている。このブラシスプリング42によって、各ブラシ41がコンミテータ61側に向かって付勢される。各ブラシ41の先端は、コンミテータ61のセグメント62に摺接する。
また、ホルダ本体101には、この中心よりも電源端子接続部102側(重力方向上側)に、固定接点板34の一方を構成する第一固定接点板34aが固定されている。この第一固定接点板34aには、2つの陽極側ブラシ41a,41aが陽極ピグテール35aを介して電気的に接続されている。
電源端子接続部102は、モータヨーク53側とホルダ本体101側とが開口するように箱状に形成されたものである。電源端子接続部102には、電磁装置9を構成するスイッチシャフト30が挿入される筒状のシャフト挿入部112がモータヨーク53とは反対側(図1における左側)に向かって立設されている。シャフト挿入部112の第一固定接点板34aとは反対側には、固定接点板34の他方を構成する第二固定接点板34bが固定されている。
第二固定接点板34bは、断面略L字状に形成されており、電源ベース部109から前壁111に沿うように屈曲延出する切起し部34cを有している。
この切起し部34c、及び電源端子接続部102の径方向最外側に位置する前壁111には、それぞれ同軸上に貫通孔34d,111aが形成されている。これら貫通孔34d,111aには、軸端子44aが挿入されており、軸端子44aの先端が前壁111を介して径方向外側に突出している。この前壁111から突出している軸端子44aの先端には、外部バッテリの陽極が電気的に接続されるターミナルボルト44bが電気的に取付けられている。
モータヨーク53には、電源端子接続部102に対応する部位に、凹部115が形成されており、この凹部115に電源端子接続部102の根元が嵌まり込む。
まブラシホルダ33は、不図示の車体にスタータ1を取り付けた状態において、ターミナルボルト44bの軸心P1が、重力方向(図2における上下方向)に対して角度θ1だけずれた位置となるように配置されている。これは、結露によって発生した水分が、電源端子接続部102の内面と第二固定接点板34bとの間に留まらないように、その水分を重力方向の下側に導き、最終的に後述する水抜き手段から排出させるために設定されるからである。
なお、ブラシホルダ33には、電源端子接続部102を保護するカバー45が装着されている。
さらに、ブラシホルダ33のホルダ本体101には、ブラシ収納部104が形成されている側とは反対側の面、つまり、ホルダ本体101と遊星歯車機構2との間に、略円板状のセパレートプレート43が設けられている。
<セパレートプレート>
図4は、セパレートプレートの平面図である。図5は、セパレートプレートの断面図である。
図1、図4、図5に示すように、セパレートプレート43は金属板にプレス加工等を施して形成されたものであって、外径がモータヨーク53の外径とほぼ同一となるように設定されている。そして、セパレートプレート43は、一面がモータヨーク53のブラシホルダ33(図3参照)側(軸方向一方側)の開口部53bを閉塞するように重力方向に沿って配置されている。
セパレートプレート43には、ブラシホルダ33のシャフト挿入部112に対応する箇所に、このシャフト挿入部112を挿通可能な貫通孔43aが形成されている。このシャフト挿入部112には、後述するスイッチシャフト30が配置される。
セパレートプレート43の径方向略中央には、ブラシ付直流モータ51の回転軸52を挿通可能な筒部43bが一体成形されている。筒部43bは、ブラシホルダ33側(コンミテータ61側)に向かって突出する。コンミテータ61には、筒部43bを受け入れ可能な略円環状の溝部61aが形成されており、この溝部61aに筒部43bが臨まされている。これにより、後述の遊星歯車機構2等に使用される潤滑剤がブラシ付直流モータ51側に侵入してしまうのが防止される。
セパレートプレート43には、筒部43bの周囲に、アーマチュアコア58側に向かって突出するビード部141が形成されている。ビード部141は、軸方向平面視で略C字状に形成されており、かつ重力方向下側が開口するように形成されている。ビード部141の後述の遊星歯車機構2側の凹溝は、後述の遊星歯車機構2に使用される潤滑剤を溜めるためにも有効である。また、ビード部141のアーマチュア54側凸部の高さは、第二ホルダ本体101b(図3参照)と組み合わされた際に互いに干渉しない程度に形成されている。
セパレートプレート43の外周縁には、重力方向下方に、2つの凹部142,142が外周縁に沿って形成されている。各凹部142は、モータヨーク53内に留まった水分を速やかに排出するための水抜き手段である。すなわち、各凹部142を形成することによって、モータヨーク53に取り付けた状態で、このモータヨーク53とセパレートプレート43との間に隙間S1が形成され(図6参照)、この隙間S1からモータヨーク53内に留まった水分を速やかにハウジング17の内部に排出できる。
各凹部142は、貫通孔43aの中心P2と筒部43bの中心P3とを通る直線C1から周方向に角度θ2だけ離間した位置に形成されている。さらに、各凹部142の周方向の幅は、所定の角度θ3の範囲に形成されている。これら角度θ2,θ3は、不図示の車体にスタータ1を取り付けた状態において、2つの凹部142,142のうちの何れか一方が重力方向真下に位置するように設定されている。このことについて、より詳しく説明する。
まず、直線C1について説明する。
前述したように直線C1は、貫通孔43aの中心P2と筒部43bの中心P3とを通る線である。貫通孔43aは、ブラシホルダ33(図3参照)のシャフト挿入部112が挿通される孔である。シャフト挿入部112を通る直線C1上には、電源端子接続部102に設けられているターミナルボルト44bの軸心P1(図2参照)が位置している。ターミナルボルト44bの軸心P1は、不図示の車体にスタータ1を取り付けた状態において、前述の理由から、重力方向に対して角度θ1だけずれた位置に配置されている。すなわち、直線C1は、不図示の車体にスタータ1を取り付けた状態では、重力方向に対して角度θ1だけ傾くことになる。
スタータ1の重力方向の下部となる部分は、スタータ1の取り付け姿勢によって変化する。このため、2つの凹部142,142は、その変化範囲をカバーする範囲として、直線C1から周方向に角度θ2+θ3だけ離間した位置に形成されており、2つの凹部142,142のうちの何れか一方にて重力方向の真下に水抜き手段を構成することができる。
なお、各凹部142の周方向の幅(角度θ3)は、確実に凹部142が重力方向真下に位置するように、かつモータヨーク53内に留まった水分を、凹部142を介して速やかに排出するのに十分な幅に設定される。さらに、各凹部142の奥行深さH1も、モータヨーク53内に留まった水分を、凹部142を介して速やかに排出するのに十分な深さに設定される。
凹部142を2箇所に形成したのは、スタータ1の周方向の取り付け角度の傾き方向が仕様に応じて変化する場合に対応している。すなわち、図2において、スタータ1は、ターミナルボルト44bの軸心P1が重力方向に対して角度θ1だけ右側に傾いているが、ターミナルボルト44bの軸心P1が重力方向に対して角度θ1だけ左側に傾いて不図示の車体に取り付けられる場合もある。
2つの凹部142を連通させずに、これら2つの凹部142の間に凹部142が形成されない非凹部形成部143を形成したのは、セパレートプレート43の剛性を高め、モータヨーク53との接地面積を確保するためである。換言すれば、セパレートプレート43の凹部形成領域R1(図4における2点鎖線で囲んだ領域)に凹部142を形成しない非凹部形成部143を設けることにより、セパレートプレート43とモータヨーク53との接地面積を増やして高剛性化を図っている。
セパレートプレート43の外周縁には、直線C1と直交する水平方向に、一対の切り欠き部145が凹設されている。切り欠き部145には、ブラシホルダ33のホルダ本体101(図3参照)にスナップフィット固定される爪部146が立設されている。これにより、ブラシホルダ33とセパレートプレート43とが一体化される。
図3に示すように、セパレートプレート43には、陰極側ブラシ41b,41bに対応する位置に、ピグテール接続部144a,144bがアーマチュアコア58側に向かって突出形成されている。各ピグテール接続部144a,144bは、セパレートプレート43の外周縁に形成されている凹部142及び切り欠き部145を避けるように形成されている。また、各ピグテール接続部144a,144bは、ホルダ本体101から露出した状態になる。
各ピグテール接続部144a,144bの後述の遊星歯車機構2(図1参照)側の凹部には、各ピグテール35b,35bを溶接等により接続した際にできる溶接痕により、セパレートプレート43の平面度が阻害することが防止される。
各ピグテール接続部144a,144bには、一端が陰極側ブラシ41b,41bに接続された陰極ピグテール35bの他端が接続されている。セパレートプレート43は、後述のハウジング17を介して不図示の車体に接地されている。すなわち、セパレートプレート43は、ボディアース部として機能している。
図1に示すように、モータヨーク53のエンドプレート55とは反対側には、有底筒状のトッププレート12が設けられている。トッププレート12は、開口部12b側をブラシホルダ33(図3参照)側に向けた状態で配置されている。トッププレート12の開口部12bの周縁と、モータヨーク53の開口部53bの周縁とにより、セパレートプレート43の外周縁を挟持している。
セパレートプレート43には、水抜き手段としての凹部142を形成しつつ、非凹部形成部143が形成されている。このため、トッププレート12の開口部12bの周縁と、モータヨーク53の開口部53bの周縁とによるセパレートプレート43の挟持面積が十分確保される。よって、セパレートプレート43の後述のハウジング17及びモータヨーク53による挟持力が高まる。
<遊星歯車減速機構>
トッププレート12には、アーマチュアコア58側の内面に、遊星歯車機構2が設けられている。
遊星歯車機構2は、回転軸52と一体成形されているサンギア13と、サンギア13に噛合され、サンギア13を中心に公転する複数のプラネタリギア14と、これらプラネタリギア14の外周側に設けられた環状の内歯リングギア15と、により構成されている。
複数のプラネタリギア14は、キャリアプレート16により連結されている。キャリアプレート16には、各プラネタリギア14に対応する位置に、それぞれ支持シャフト16aが立設されており、ここにプラネタリギア14が回転自在に支持されている。キャリアプレート16の径方向略中央には、出力軸4がセレーション接合により噛合されている。
内歯リングギア15は、トッププレート12のアーマチュアコア58側の内面に一体成形されている。トッププレート12の内周面における径方向略中央には、滑り軸受12aが設けられている。滑り軸受12aは、回転軸52と同軸上に配置されている出力軸4の他方側端(図1における右側端)を回転自在に支持している。
トッププレート12には、出力軸4、クラッチ機構5、ピニオンギア機構70、及び電磁装置9等が内装されている。トッププレート12には、不図示の車体にスタータ1を固定するためのアルミニウム製のハウジング17が装着されている。
ハウジング17は、軸方向一方側(図1における左側)に底部17cを有し、軸方向他方側(図1における右側)に開口部17aを有する有底筒状にダイカスト鋳造にて形成されている。
ハウジング17の開口部17a側には、トッププレート12が開口部17aを閉塞するように接合されている。ハウジング17の開口部17aに、モータヨーク53の開口部53bの周縁が嵌合固定されている。ハウジング17の開口部17a側の外周面には、軸方向に沿うように不図示の雌ネジ部が刻設されている。
モータヨーク53の軸方向他方側(図1における右端側)に配置されたエンドプレート55には、雌ネジ部に対応する位置に不図示のボルト孔が形成されている。このボルト孔にボルト95を挿入し、雌ネジ部にボルト95(図2参照)を螺入することによって、モータ部3がエンドプレート55とハウジング17とに挟持されて一体化される。
図6は、図1のB部拡大図である。
図6に示すように、ハウジング17の周壁17eには、フランジ部152及び膨出部153が形成されている。フランジ部152は、エンジンブロック154にスタータ1を組み付けるためにハウジング17の周壁17eから径方向の外方へ向けて張り出され、エンジンへの取付部155を有する。エンジンへの取付部155がエンジンブロック154(すなわち、車体)に取り付けられる。これにより、エンジンブロック154(すなわち、車体)にスタータ1が組み付けられ、エンジンユニットEuが構成される。
エンジンブロック154にスタータ1が組み付けられた状態において重力方向の真下に対応する箇所に、径方向外側に向かって僅かに膨出する膨出部153(図2も参照)が形成されている。膨出部153は、ハウジング17の開口部17a寄りの部位17fからフランジ部152まで軸方向に向けて径方向の外方(下方)へ徐々に肉厚になるように下り勾配の傾斜状に形成されている。ハウジング17及び膨出部153に排水構造150が備えられている。
図7は、ハウジングの正面図、図8は、ハウジングの斜視図、図9は、図8のC部拡大図である。
図6〜図9に示すように、排水構造150は、エンジンへの取付部155と、排水部156と、チャンバー室157と、を備えている。エンジンへの取付部155は、フランジ部152のフランジ壁部158で形成されている。フランジ壁部158は、軸方向一方側(図1における左側)に面する平坦なフランジ面を有し、フランジ面に後述するチャンバー室157が開口されている。フランジ壁部158は、エンジンブロック154に取り付けられる部位である。
エンジンへの取付部155は、例えば、フランジ壁部158と、軸方向に貫通する取付孔161と、有する。取付孔161に挿入したボルト(不図示)をエンジンブロック154に螺入することにより、スタータ1がエンジンブロック154に組み付けられる。この状態において、フランジ壁部158のフランジ面がエンジンブロック154の取付面に接触した状態に保たれる。
フランジ部152には、フランジ面に開口するチャンバー室157が形成されている。チャンバー室157の開口部は、フランジ壁部158のフランジ面がエンジンブロック154の取付面に接触した状態に保たれることにより、エンジンブロック154の取付面で閉塞される。
チャンバー室157は、チャンバー底部(壁部)163と、チャンバー周壁部164と、チャンバー出口部165と、を有する。チャンバー底部163には、後述する排水部156の出口部156bが開口されている。チャンバー底部163は、スタータ1がエンジンブロック154に取り付けられた状態において、水平面に対して下方(地方向)に向けて傾斜角θ4(図6参照)で斜めに傾いている。
チャンバー底部163の周辺に沿ってチャンバー周壁部164が形成されている。チャンバー周壁部164のうち、重力方向真下に位置するようにチャンバー出口部165が形成されている。チャンバー出口部165は、チャンバー室157をスタータ1の外部に連通する排水用の開口である。
図7において、チャンバー底部163には、チャンバー出口部165に対して時計回り方向に離間した位置で、かつ、チャンバー周壁部164に隣接した位置に、後述する排水部156の出口部156bが開口されている。チャンバー周壁部164のうち、排水部156の出口部156b及びチャンバー出口部165の間の案内周壁部位164aは、チャンバー出口部165へ向けて下り傾斜状に形成されている。
すなわち、排水部156の出口部156b及びチャンバー出口部165の間に、傾斜状の案内周壁部位164aが介在されている。これにより、チャンバー出口部165を排水部156の出口部156bから離間させることができる。排水部156の出口部156b、案内周壁部位164a及びチャンバー出口部165により、排水に対するラビリンス構造170が形成されている。換言すれば、ラビリンス構造170は、排水部156の出口部156bとチャンバー出口部165との間に設けられた形になる。
チャンバー室157とハウジング17の内部(すなわち、スタータ1の内部)は排水部156で連通されている。排水部156は、膨出部153に沿って形成され、ハウジング17の内部からチャンバー室157まで軸方向一方側(図1における左側)に下り勾配で延びている。排水部156は、ハウジング17の内部に開口する入口部156aと、チャンバー底部163に開口する出口部156bと、を有する。
排水部156の入口部156aは、ハウジング17の内部のうち重力方向の下部において、セパレートプレート43の近傍に開口されている。入口部156aをセパレートプレート43の近傍に開口させた理由については後述する。入口部156aに対して軸方向一方側(図1における左側)で、かつ、下方側に排水部156の出口部156bが位置する。出口部156bは、チャンバー底部163(すなわち、フランジ部152のうち重力方向の下部)に開口されている。
チャンバー底部163は、水平面に対して下方(地方向)に向けて傾斜角θ4で斜めに傾いている。よって、チャンバー底部163を排水部156に対して直交させることができる。これにより、例えば、排水部156を加工用のドリルで加工する際に、ドリルの向きに対してチャンバー底部163を直交させることができ、加工用のドリルで排水部156を良好に加工できる。
さらに、チャンバー底部163を水平面に対して下方(地方向)に向けて傾斜角θ4で斜めに傾かせることにより、チャンバー室157の下部において、チャンバー深さが大きく確保されている。これにより、チャンバー出口部165が大きく開口されている。
チャンバー底部163に開口された出口部156bに入口部156aが連通されることにより、排水部156で排水孔が形成されている。排水部156の排水孔は、ハウジングの内部をチャンバー室157に連通する。
以上説明したように、排水構造150は、排水部156及びチャンバー室157(チャンバー出口部165を含む)により、ハウジング17の内部のうち重力方向の下部をハウジング17の外部に連通するように構成されている。これにより、排水構造150は、ハウジング17の内部の水分を、排水部156及びチャンバー室157を経てチャンバー出口部165からスタータ1の外部に排水できるように構成されている。
図1に戻り、ハウジング17の内壁には、後述するクラッチアウタ18のモータ部3側への変位を規制するリング状のストッパ94が設けられている。このストッパ94は、樹脂やゴム等により形成され、クラッチアウタ18が当接した際の衝撃を緩和できる。
ハウジング17の底部17cには、出力軸4と同軸に、有底の軸受孔47が形成されている。軸受孔47の内径は、出力軸4の外径よりも大きく設定されている。軸受孔47の軸受圧入部には、出力軸4の一方側端(図1における左側端)を回転自在に支持するための滑り軸受17dが圧入固定されている。この滑り軸受17dには所望の基油からなる潤滑油が含浸されており、出力軸4を円滑に摺接させることができる。
軸受孔47の底部には、ハウジング17の底部17cと出力軸4の一方側端面4cとの間に、荷重受部材50が配置されている。荷重受部材50は、平板状の金属部材であり、例えばプレスにより形成されたリング状のワッシャが採用される。荷重受部材50は、硬度が出力軸4よりも高く耐摩耗性に優れた材料により形成されている。
なお、荷重受部材50の周囲には、出力軸4の一方側端面4cとの摺接時の摩擦を軽減するためのグリスが塗布されている。このグリスに、滑り軸受17dに含浸される潤滑油と同種の基油を含むものが採用されているため、滑り軸受17dの潤滑油を長期間保持できる。
出力軸4の軸方向他方側端(図1における右側端)には、回転軸52の一方側端(図1における左側端)を挿入可能な凹部4aが形成されている。凹部4aの内周面には、滑り軸受4bが圧入されており、出力軸4と回転軸52とが相対回転可能に連結される。
<クラッチ機構>
出力軸4の軸方向略中央には、ヘリカルスプライン19が形成されている。ヘリカルスプライン19には、クラッチ機構5がヘリカル噛合されている。
クラッチ機構5は、略円筒状のクラッチアウタ18と、このクラッチアウタ18と同軸に形成されたクラッチインナ22と、クラッチアウタ18、及びクラッチインナ22を一体的に固定するクラッチカバー6と、を有している。
クラッチ機構5としては、いわゆる公知のワンウェイクラッチ機能が採用されている。すなわち、クラッチ機構5は、クラッチインナ22にクラッチアウタ18側からの回転力を伝達する一方、クラッチアウタ18にクラッチインナ22側からの回転力を伝達しないように構成されている。これにより、エンジン始動時に、クラッチアウタ18の回転速度よりもクラッチインナ22の回転速度が速くなるオーバーラン状態になった際、エンジンのリングギア23側からの回転力を遮断することができる。
また、クラッチ機構5は、クラッチアウタ18とクラッチインナ22との間に生じるトルク差、及び回転速度差が所定値以内の場合、互いに回転力を伝達する一方、トルク差、及び回転速度差が所定値を越えた場合、回転力の伝達が遮断されるいわゆるトルクリミッタ機能も備えている。
クラッチアウタ18の軸方向他方側(図1における右側)には、縮径されたスリーブ18aが一体成形されている。この内周面に、出力軸4のヘリカルスプライン19に噛合するヘリカルスプライン18bが形成されている。これにより、クラッチ機構5は、出力軸4に対し、軸方向にスライド移動可能になる。なお、出力軸4のヘリカルスプライン19、及びクラッチアウタ18のヘリカルスプライン18bの傾斜角度は、軸方向に対して例えば16°程度に設定されている。
クラッチアウタ18の内周面におけるスリーブ18aの軸方向一方側には、段差部18cが形成されている。段差部18cの内周面は、スリーブ18aの内周面よりも大径に形成されており、段差部18cの内周面と出力軸4の外周面との間には空間が形成される。この空間には、後述するリターンスプリング21が配置されている。
クラッチアウタ18の外周面には、クラッチカバー6が、例えばカシメ等により固定されている。
クラッチインナ22は、クラッチアウタ18のスリーブ18aよりも拡径形成されている。クラッチインナ22、段差部18cの内周面、及び出力軸4との間に、空間が形成されている。この空間には、後述するリターンスプリング21が配置されている。
クラッチインナ22の外周面には、クラッチアウタ18の軸方向一方側端面と径方向で対応した位置に、略円盤状のクラッチワッシャ64が嵌合固定されている。
クラッチカバー6は、本体筒部68と、本体筒部68の軸方向一方側(図1における左側)の底壁66とを有する有底筒状の部材である。クラッチカバー6は、例えば鉄等の金属板材を絞り加工することにより形成されている。
本体筒部68は、クラッチアウタ18、及びクラッチワッシャ64に外挿され、本体筒部68の軸方向他方側の縁部をクラッチアウタ18の軸方向他方側端面にカシメることにより、クラッチアウタ18、及びクラッチワッシャ64に固定される。
クラッチカバー6の底壁66には、径方向略中央に、軸方向一方側と軸方向他方側とを貫通する開口が形成されている。この開口に、出力軸4が挿通されている。
出力軸4のヘリカルスプライン19よりも一方側(図1における左側)には、移動規制部20が設けられている。移動規制部20は、出力軸4に嵌合された略リング状の部材であり、サークリップ20aによって軸方向一方側への移動が規制された状態で設けられている。また、移動規制部20は、この直径がクラッチアウタ18に形成された段差部18cと干渉可能なように、段差部18cの内周面よりも大径に設定されている。
クラッチ機構5が軸方向一方側にスライド移動したときには、クラッチアウタ18の段差部18cと移動規制部20とが干渉する。これにより、クラッチ機構5、及びピニオンギア機構70の軸方向一方側へのスライド移動量が規制される。
移動規制部20とクラッチアウタ18のスリーブ18aとの間であって、かつ段差部18cの内周面と出力軸4の外周面との間には、出力軸4を取り囲むように形成されたリターンスプリング21が、圧縮変形した状態で設けられている。これにより、クラッチアウタ18は、常時モータ部3側へ向かって押し戻されるように付勢される。
このように形成されたクラッチ機構5には、クラッチインナ22の先端に、出力軸4に嵌合されたピニオンギア74が一体成形されている。ピニオンギア74の内周面には、軸方向両側にそれぞれ出力軸4にピニオンギア74を摺動可能に支持するための2つの滑り軸受72,72が設けられている。
リングギア23、及びピニオンギア74は、はすば歯車(ヘリカルギア)で構成されている。リングギア23とピニオンギア74との歯のねじれ方向は、ピニオンギア74がリングギア23を駆動する状態でピニオンギア74に飛び込み方向のスラスト荷重が発生するように設定されている。
<電磁装置>
ハウジング17の内周面には、クラッチ機構5よりもモータ部3側に、電磁装置9を構成するヨーク25が嵌合固定されている。ヨーク25は磁性材からなる有底筒状に形成されており、底部25aの径方向略中央の大部分が大きく開口されている。
ヨーク25の底部25aとは反対側端には、磁性材からなる円環状のプランジャホルダ26が設けられている。プランジャホルダ26は、ヨーク25の底部25aに対応するように略円環状に形成されたホルダ本体部26aと、このホルダ本体部26aの内周縁から軸方向他方側に向かって屈曲延出されたホルダ円筒部26bとが一体成形されたものである。
ヨーク25、及びプランジャホルダ26によって径方向内側に形成される収納凹部25bには、略円筒状に形成された励磁巻線24が収納されている。励磁巻線24は、コネクタを介してイグニションスイッチ(何れも不図示)に電気的に接続されている。
このように、プランジャホルダ26は、ヨーク25と協働して励磁巻線24を保持する役割を有している。
プランジャホルダ26のホルダ円筒部26bの内径は、このホルダ円筒部26bと励磁巻線24との間に、後述のスイッチプランジャ27を受け入れることができる間隙が形成可能な大きさに設定されている。また、プランジャホルダ26のホルダ円筒部26bの外径は、このホルダ円筒部26bと出力軸4との間に、後述のギアプランジャ80を挿入可能な大きさに設定されている。
励磁巻線24の内周面と出力軸4の外周面との間の空隙には、プランジャ機構37が励磁巻線24に対して軸方向にスライド移動可能に設けられている。
プランジャ機構37は、磁性材で形成された略円筒状のスイッチプランジャ27と、このスイッチプランジャ27と出力軸4の外周面との間の空隙に配置されたギアプランジャ80とを有している。これらスイッチプランジャ27とギアプランジャ80とは、互いに同心円状に設けられ、軸方向に相対移動可能に設けられている。
スイッチプランジャ27は、磁性材により形成され、励磁巻線24に電流が供給されたときに発生する磁束により吸引される円筒部27aを有している。この円筒部27aの外径は、励磁巻線24の内径よりもやや小さい程度に設定されている。また、円筒部27aの肉厚は、プランジャホルダ26のホルダ円筒部26bと励磁巻線24との間隙に挿入可能な厚さに設定されている。
円筒部27aのブラシホルダ33側(図1における右側)端には、径方向外側に向かって屈曲延出された外フランジ部29が一体的に形成されている。この外フランジ部29の直径は、励磁巻線24のヨーク25の底部25aの直径と略同一に設定されている。換言すれば、外フランジ部29の直径は、ヨーク25の底部25aを覆う大きさに設定されている。
外フランジ部29には、ブラシホルダ33の電源端子接続部102に対応する一側に、スイッチシャフト30を支持する支持片29bが径方向外側に向かって延出形成されている。支持片29bは二又状に形成されており、支持片29bにスイッチシャフト30が係合される。
スイッチシャフト30は、モータ部3のセパレートプレート43の貫通孔43a、トッププレート12を貫通するように、スイッチプランジャ27の支持片29bにホルダ部材30aを介して立設されている。スイッチシャフト30は、基端側に配置され、支持片29bに係合可能なプランジャ係合部131と、このプランジャ係合部131からブラシホルダ33側に向かって突出する摺動軸132と、摺動軸132からさらにブラシホルダ33側に向かって突出し、摺動軸132よりも段差により縮径形成された先端部133とが一体成形されたものである。
摺動軸132は、ブラシホルダ33のシャフト挿入部112に挿入され、このシャフト挿入部112内をスライド移動可能に摺動する。摺動軸132には、プランジャ係合部131側の端部から先端部133側の端部のやや手間に至る間に、軸方向に沿う3つの溝条部134が周方向に略等間隔に形成されている。
これら溝条部134は、電源端子接続部102の内面と第二固定接点板34bとの間から下方に向けて移動してきた水分が摺動軸132とシャフト挿入部112との間に至った際に、その水分を溝条部134内に局所的に誘導し、シャフト挿入部112に対する水分の接触面積を小さくする。また、溝条部134は、摺動軸132とシャフト挿入部112との間に、所定量以上の水分が留まらないように重力方向の下側に排水する。このように構成することで、例え、摺動軸132とシャフト挿入部112との間に浸入した水分が凍結した場合であっても、この氷着力を電磁装置9の磁力よりも小さくすることができる。
先端部133には、ブラシ付直流モータ51のコンミテータ61に隣接配置されたスイッチユニット7の可動接点板8が連結されている。可動接点板8は、スイッチシャフト30に対して軸方向に沿ってスライド移動可能に取り付けられていると共に、スイッチスプリング32によって摺動軸132側に付勢された状態で支持されている。これにより、可動接点板8は、ブラシホルダ33に固定されているスイッチユニット7の固定接点板34に対し、当接・離間可能になる。
すなわち、固定接点板34を構成する第一固定接点板34a、及び第二固定接点板34bに、可動接点板8が跨るように当接する。可動接点板8が出力軸4に沿ってストロークし、第一固定接点板34a、及び第二固定接点板34bに当接することにより、第一固定接点板34a及び第二固定接点板34bがON状態となって電気的に接続される。
スイッチプランジャ27の内周面には、ギアプランジャ80の軸方向他端(図1における右端)に当接・離間可能なリング部材28が一体的に設けられている。リング部材28は、スイッチプランジャ27がリングギア23側へ向かって移動する際、初期的にギアプランジャ80をリングギア23側に向かって押圧する。
クラッチ機構5のクラッチアウタ18は、リターンスプリング21によりプランジャインナ81へ向かって付勢されている。したがって、スタータ1の静止状態(図1における中心線より上側)において、クラッチ機構5は、ギアプランジャ80、及びリング部材28を介して、スイッチプランジャ27を軸方向他方側(図1における右側)に向かって押圧している。これにより、可動接点板8が軸方向他方側に向かって押圧され、固定接点板34と離間したOFF状態となる。
スタータ1の静止状態(図1における中心線より上側)における可動接点板8と固定接点板34との離間距離、すなわち可動接点板8がOFF状態からON状態になる際の可動接点板8の軸方向に沿ったストローク量をL1とし、リングギア23とピニオンギア74との最大離間距離をL2としたとき、ストローク量L1、及び最大離間距離L2は、
L1>L2・・・(1)
を満たすように設定されている。したがって、電磁装置9がピニオンギア74と可動接点板8とを軸方向一方側(図1における左側)にスライド移動させたときに、可動接点板8がON状態となる前に、ピニオンギア74がリングギア23に当接する。
スイッチプランジャ27の径方向内側に配置されたギアプランジャ80は、径方向内側に配置されたプランジャインナ81と、径方向外側に配置されたプランジャアウタ85と、プランジャインナ81とプランジャアウタ85との間に配置されるプランジャスプリング91と、を備えている。
プランジャインナ81は、樹脂等により略円筒形状に形成されている。プランジャインナ81の内径は、出力軸4に外挿可能なように、出力軸4の外径よりも若干大きく設定されている。これにより、プランジャインナ81は、出力軸4に対して軸方向にスライド移動可能に設けられている。
プランジャインナ81の軸方向一方側端81a(図1における左側端)には、径方向外側に張り出した外フランジ部82が一体成形されている。プランジャインナ81が軸方向一方側にスライド移動したとき、プランジャインナ81の軸方向一方側端81aがクラッチアウタ18の軸方向他方側端と当接し、クラッチ機構5、及びピニオンギア機構70を軸方向一方側にスライド移動させている。
プランジャインナ81の軸方向他方側端81b(図1における右側端)には、軸方向他方側から軸方向一方側に向かって漸次外径が大きくなる爪部83が周方向に沿って複数形成されている。爪部83の軸方向一方側(図1における左側)には、周方向に沿って溝部84が形成されている。
プランジャアウタ85は、プランジャインナ81と同様に樹脂等により略円筒形状に形成されている。プランジャアウタ85の内径は、プランジャインナ81の外フランジ部82の外径よりも若干大きく設定されており、プランジャインナ81に外挿されている。
プランジャアウタ85の軸方向他方側端85a(図1における右側端)には、径方向内側に張り出した内フランジ部86が一体的に形成されている。
内フランジ部86の内径は、プランジャインナ81の爪部83の外径よりも小さく、且つプランジャインナ81の溝部84の底部の外径よりも大きくなるように設定されている。プランジャインナ81の溝部84内にプランジャアウタ85の内フランジ部86を配置することで、プランジャインナ81とプランジャアウタ85とが一体化され、プランジャ機構37が構成される。
プランジャアウタ85の内フランジ部86の肉厚は、プランジャインナ81の溝部84の幅よりも薄くなるように設定されている。これにより、プランジャアウタ85の内フランジ部86とプランジャインナ81の溝部84との間にはクリアランスが設けられる。したがって、プランジャインナ81とプランジャアウタ85とは、プランジャアウタ85の内フランジ部86とプランジャインナ81の溝部84とのクリアランス分だけ、軸方向に相対的にスライド移動可能となる。
プランジャアウタ85の軸方向他方側端85a(図1における右側端)には、径方向外側に張り出した外フランジ部87が一体的に形成されている。外フランジ部87は、スイッチプランジャ27のリング部材28と当接する当接部として機能している。
外フランジ部87の軸方向一方側(図1における左側)であって、プランジャアウタ85の外周面には、リング状の鉄心88が設けられている。鉄心88は、例えば樹脂モールドにより、プランジャアウタ85と一体成形されている。鉄心88は、励磁巻線24に電流が供給されたときに発生する磁束により吸引される。
プランジャインナ81の外フランジ部82と、プランジャアウタ85の内フランジ部86との間には、収納部90が形成されている。収納部90には、プランジャインナ81の外周面を取り囲むように形成されたプランジャスプリング91が収納されている。
プランジャスプリング91は、収納部90に収納された状態で、プランジャインナ81の外フランジ部82と、プランジャアウタ85の内フランジ部86とにより圧縮変形させられている。そして、プランジャインナ81は軸方向一方側(図1における左側)に向かって、プランジャアウタ85は軸方向他方側(図1における右側)に向かって、互いに付勢されている。
プランジャホルダ26とスイッチプランジャ27との間には、両者を離間方向に付勢する板ばね材からなるスイッチリターンスプリング27bが配設されている。
このような構成のもと、図1に示すように、スタータ1の静止状態(図1における中心線より上側の状態)においては、プランジャスプリング91により、プランジャインナ81が軸方向一方側(図1における左側)に向かって付勢される。一方、プランジャアウタ85が他方側(図1における右側)に向かって付勢される。
プランジャインナ81の軸方向一方側端81aと、クラッチアウタ18の他方側端は、互いに接触しておらず、これにより、クラッチアウタ18は、リターンスプリング21のばね荷重によって、ストッパ94に押圧されている。したがって、スタータ1の静止状態では、プランジャスプリング91のばね荷重によって、クラッチ機構5を押出さない、つまり、ピニオンギア機構70を不用意に押出さないように設定されていることになる。
スタータ1の通電状態(図1における中心線より下側の状態)において、ギアプランジャ80が軸方向一方側(図1における左側)に最大変位したとき、プランジャインナ81の軸方向一方側端81aは、常にクラッチ機構5のクラッチアウタ18の軸方向他方側端と当接している。
すなわち、プランジャスプリング91は、クラッチ機構5とギアプランジャ80との間における軸方向の空隙の発生を防止し、クラッチ機構5のガタつきを吸収するガタ吸収機構を構成している。
<スタータの動作>
続いて、図1に基づいて、スタータ1の動作について説明する。
図1における中心線の上側の状態に示すように、励磁巻線24に電流を供給する前のスタータ1の静止状態では、リターンスプリング21に付勢されたクラッチアウタ18が、ピニオンギア74と一体化されているクラッチインナ22を引っ張った状態でモータ部3側(図1における右側)へ一杯に付勢されている。そして、クラッチ機構5のクラッチアウタ18がストッパ94に当接した位置で停止しており、ピニオンギア74とリングギア23とが最大離間距離L2を有した状態で結合が断たれている。
また、スタータ1の静止状態では、プランジャインナ81の軸方向一方側端81aとクラッチアウタ18の軸方向他方側端とは僅かにクリアランスをもった状態とされている。これにより、クラッチアウタ18は、リターンスプリング21のばね荷重によって、ストッパ94に押圧されている。したがって、スタータ1の静止状態では、プランジャスプリング91のばね荷重によって、クラッチ機構5を押圧しない、つまり、不用意にピニオンギア機構70をリングギア23側に押出さないように設定されていることになる。
スイッチプランジャ27は、スイッチリターンスプリング27bにより押し戻され、モータ部3側(図1における右側)へ一杯に移動している。スイッチプランジャ27の外フランジ部29が、トッププレート12に当接した状態で停止している。外フランジ部29に立設されているスイッチシャフト30の可動接点板8は、固定接点板34に対して距離L1(すなわち可動接点板8のストローク量L1)だけ離間しており、電気的に切断されている。
この状態から車両のイグニションスイッチ(不図示)をオンすると、励磁巻線24に電流が供給されて励磁され、スイッチプランジャ27及びギアプランジャ80に磁束が通る磁路が形成される。これにより、スイッチプランジャ27及びギアプランジャ80がリングギア23側(図1における左側)へ向かってスライド移動する。
スタータ1の静止状態において、スイッチプランジャ27とプランジャホルダ26とのギアップ(軸方向クリアランス)は、ギアプランジャ80の鉄心88とプランジャホルダ26とのギアップ(軸方向クリアランス)よりも小さく設定されている。このため、スイッチプランジャ27に発生する吸引力は、ギアプランジャ80に発生する吸引力よりも大きいので、ギアプランジャ80に先行してスイッチプランジャ27がスライド移動しようとする。
このとき、スイッチプランジャ27の内周面にリング部材28が一体的に設けられていることから、このリング部材28がギアプランジャ80を押圧し、初期的にギアプランジャ80をリングギア23側に向かって押圧する。これにより、スイッチプランジャ27、及びギアプランジャ80が一体となってリングギア23側へ向かってスライド移動する。
クラッチアウタ18は、出力軸4にヘリカルスプライン噛合されており、スリーブ18aがギアプランジャ80のプランジャインナ81と当接している。出力軸4のヘリカルスプライン19、及びクラッチアウタ18のヘリカルスプライン18bの傾斜角度は、軸方向に対して例えば16°程度に設定されている。このため、クラッチアウタ18は、スイッチプランジャ27及びギアプランジャ80がリングギア23側へスライド移動すると、出力軸4に対して若干相対回転しながら押出される。
ピニオンギア74もリングギア23側へ押出される。より具体的には、ピニオンギア74は、リングギア23とピニオンギア74との最大離間距離L2だけリングギア23側に移動する。そして、ピニオンギア74の軸方向一方側端面74bと、リングギア23の軸方向他方側端面23aとが当接するか、又は両者間の軸方向寸法距離がゼロの状態になる。
このとき、スイッチプランジャ27は、ギアプランジャ80と一体となってリングギア23側へ向かってスライド移動する。このため、スイッチプランジャ27、及びこれと連動する可動接点板8も、最大離間距離L2だけリングギア23側(軸方向一方側)に移動する。
可動接点板8のストローク量L1、及びリングギア23とピニオンギア74との最大離間距離L2は、
L1>L2・・・(2)
を満たすように設定されている。したがって、ピニオンギア74との最大離間距離L2だけ軸方向一方側に移動したときであっても、可動接点板8と固定接点板34との間に、ストローク量L1と最大離間距離L2との差に等しいクリアランスCを有した状態で、可動接点板8がOFF状態となっている。すなわち、可動接点板8がON状態となる前に、ピニオンギア74の軸方向一方側端面74bとリングギア23の軸方向他方側端面23aとが当接するか、又は両者間の軸方向寸法距離がゼロの状態となる。
この後、スイッチプランジャ27が吸引され、さらにリングギア23側へ向かってスライド移動することにより、可動接点板8のストローク量L1が最大になる。そして、固定接点板34に可動接点板8が接触する。可動接点板8は、スイッチシャフト30に対して軸方向に変位可能なように浮動支持されているので、スイッチスプリング32の押圧力が可動接点板8、及び固定接点板34に加わることになる。
また、ピニオンギア74もさらにリングギア23側に向かって押し出され、ピニオンギア74とリングギア23との位相が合っている場合は、両者が噛合う。
固定接点板34に可動接点板8が接触すると、4つのブラシ41(図3参照)のうちの2つの陽極側ブラシに不図示の外部バッテリの電圧が印加され、コンミテータ61のセグメント62を介して巻線59が通電される。
すると、アーマチュアコア58に磁界が発生し、この磁界とモータヨーク53に設けられている永久磁石57との間で磁気的な吸引力や反発力が生じる。これにより、アーマチュア54が回転し始める。アーマチュア54が回転することにより、このアーマチュア54の回転軸52の回転力が遊星歯車機構2を介して出力軸4に伝達され、出力軸4が回転し始める。
出力軸4が回転し始めると、ピニオンギア74の軸方向一方側端面74bとリングギア23の軸方向他方側端面23aとが当接していた場合には、その当接状態が解除される。そして、ピニオンギア74がリングギア23側に押出され、ピニオンギア74とリングギア23とが噛合う。
出力軸4の回転速度が上昇すると、出力軸4のヘリカルスプライン19に噛合されたクラッチアウタ18に慣性力が作用する。このとき、ピニオンギア74とリングギア23とがヘリカル噛合していることから、ピニオンギア74にリングギア23方向(飛び込み方向)へのスラスト荷重が発生する。
このスラスト荷重によって、ピニオンギア74はヘリカルスプライン19に沿うように、リターンスプリング21の付勢力に抗してリングギア23側へ向かって移動する。クラッチアウタ18も慣性力によってヘリカルスプライン19に沿うように、リターンスプリング21の付勢力に抗してリングギア23側へ向かって押し出される。
このとき、ギアプランジャ80には、電磁装置9の励磁巻線24の磁力により、リングギア23側へ向かう吸引力が作用している。したがって、ギアプランジャ80は、クラッチアウタ18のスライド移動に連動するように、クラッチアウタ18を押圧しつつリングギア23側へ向かってスライド移動する。これにより、ピニオンギア74とリングギア23とが所定の噛み合い位置で噛合する。
ピニオンギア74とリングギア23とはヘリカル噛合しているため、出力軸4の回転力をピニオンギア74からリングギア23に伝達すると、ピニオンギア74には軸方向一方側(図1における左側)に向かってスラスト荷重が発生する。ピニオンギア74に発生したスラスト荷重は、クラッチインナ22、クラッチアウタ18、移動規制部20、及びサークリップ20aを介し、出力軸4に伝達される。このため、出力軸4には一方側(図1における左側)に向かってスラスト荷重が発生し、一方側に向かってスライド移動する。
しかしながら、ハウジング17の底部17cには、荷重受部材50が設けられているので、この荷重受部材50に出力軸4の一方側端面4cが当接され、出力軸4の軸方向一方側へのスライド移動が規制される。これにより、出力軸4に加わるスラスト荷重を効果的に受けることができる。
ピニオンギア74とリングギア23との噛合後、エンジン始動時におけるクランキングの際には、リングギア23の回転速度に変動が生じる。これにより、ピニオンギア74には軸方向一方側(図1における左側)、及び軸方向他方側(図1における右側)に向かってスラスト荷重が発生する。
具体的には、リングギア23の回転速度がピニオンギア74の回転速度よりも遅いときには、ピニオンギア74にはリングギア23に接近する方向(図1における左側)にスラスト荷重が発生する。また、リングギア23の回転速度がピニオンギア74の回転速度よりも速いときには、ピニオンギア74にはリングギア23から離間する方向(図1における右側)にスラスト荷重F2が発生する。
特に、アイドルストップ機能を備えた車両においては、エンジンの停止/始動が頻繁に行われ、一般のスタータよりも使用頻度が高まるため、上述のようなスラスト荷重が頻繁に発生する。
電磁装置9の励磁巻線24は、この励磁巻線24による磁力によりギアプランジャ80を吸引する吸引力F1が、
F2<F1・・・(1)
を満たすように設定されている。
すなわち、励磁巻線24によるギアプランジャ80の吸引力F1は、リングギア23の回転速度がピニオンギア74の回転速度よりも高いときにピニオンギア74に作用するスラスト荷重F2(リングギア23から離間する方向に向かって作用するスラスト荷重F2)よりも大きくなるように設定されている。
このため、リングギア23の回転速度がピニオンギア74の回転速度よりも速くなる。この結果、ピニオンギア74にリングギア23から離間する方向にスラスト荷重F2が発生した場合であっても、確実にギアプランジャ80を吸引し続け、リングギア23とピニオンギア74との噛合状態を確実に維持することができる。
ピニオンギア74に発生したスラスト荷重は、ピニオンギア74の軸方向一方側に設けられた止め輪(不図示)に伝達された後、ピニオンインナ(不図示)、クラッチインナ22、及びクラッチワッシャ64を介し、クラッチカバー6の底壁66に伝達される。しかしながら、底壁66には補強筒部(不図示)が一体的に形成されているので、クラッチカバー6の軸方向への変形が抑制される。
エンジンが始動し、ピニオンギア74の回転速度が出力軸4の回転速度を上回ると、クラッチ機構5のワンウェイクラッチ機能が作用してピニオンギア74が空転する。エンジンが始動に伴って励磁巻線24への電流の供給を停止すると、クラッチアウタ18に対するリターンスプリング21の付勢力により、ピニオンギア74がリングギア23から離脱すると共に、可動接点板8が固定接点板34から離間してブラシ付直流モータ51が停止する。
<排水構造による排水作用>
次に、図10、図11に基づいて、排水構造150による排水作用について説明する。
図10は、排水構造の排水部による排水の説明図であって、図6に対応している。図11は、排水構造のチャンバー室による排水の説明図であって、図7の要部に対応している。
図10、図11に示すように、エンジンブロック154にスタータ1のエンジンへの取付部155が取り付けられた状態において、エンジンユニットEuは、重力方向の真下にセパレートプレート43の凹部142(図4も参照)が位置している。ここで、セパレートプレート43は、その外周縁がハウジング17と、モータヨーク53の開口部53bの周縁とにより挟持されている。セパレートプレート43の凹部142が形成されている箇所では、モータヨーク53とセパレートプレート43との間に隙間S1が形成されている。このため、モータヨーク53内に留まっていた水分W1が隙間S1からハウジング17の内部に導かれる。
ハウジング17の内部には、セパレートプレート43の近傍に排水部156の入口部156aが開口されている。すなわち、入口部156aは隙間S1の近傍に開口されている。よって、ハウジング17の内部に導かれた水分W1が排水部156の入口部156aに導かれる。排水部156は、入口部156aから出口部156bまで下方(地方向)に向けて排水孔が斜めに形成されている。よって、入口部156aに導かれた水分W1は、排水部156の下り勾配を利用してハウジング17の内部から出口部156bまで導かれる。
排水部156の出口部156bはチャンバー室157に開口されている。このため、排水部156の出口部156bからチャンバー室157に水分W1を円滑に導くことができる。これにより、排水部156の排水孔に水分W1が滞留することを抑えることができ、排水部156の水分がハウジング17の内部に戻る(逆流する)ことを防止できる。
チャンバー室157は、チャンバー底部163が水平面に対して下方(地方向)に向けて傾斜角θ4で斜めに傾いている。このチャンバー底部163に出口部156bが開口されている。よって、出口部156bからチャンバー室157に導かれた水分W1がチャンバー底部163に沿って上昇することを抑えることができる。
ここで、エンジンブロック154にスタータ1が組み付けられて、フランジ壁部158のフランジ面がエンジンブロック154の取付面に接触した状態に保たれている。チャンバー室157の開口部は、エンジンブロック154の取付面で閉塞されている。
また、排水部156の出口部156b及びチャンバー出口部165の間に、案内周壁部位164aが介在されている。案内周壁部位164aは、排水部156の出口部156bからチャンバー出口部165へ向けて下り傾斜状に形成されている。これにより、出口部156bからチャンバー室157に導かれた水分W1を、案内周壁部位164aを経てチャンバー出口部165からスタータ1の外部に排水できる。
チャンバー底部163は、水平面に対して下方(地方向)に向けて傾斜角θ4で斜めに傾かせてチャンバー深さが大きく確保されている。すなわち、チャンバー出口部165が大きく開口されている(図9も参照)。このため、チャンバー出口部165に導かれた水分W1が、例えば、表面張力でチャンバー出口部165に水膜を形成することを防止できる。これにより、チャンバー出口部165に導かれた水分W1をチャンバー出口部165からスタータ1の外部に良好に排水できる。
また、排水部156の出口部156b及びチャンバー出口部165の間に案内周壁部位164aが介在され、案内周壁部位164aがチャンバー出口部165へ向けて下り傾斜状に形成されている。このため、チャンバー出口部165を出口部156bから離間させることができる。この結果、出口部156b、案内周壁部位164a及びチャンバー出口部165で、排水に対するラビリンス構造170が形成される。ラビリンス構造170は、排水部156の出口部156bとチャンバー出口部165との間に設けられているともいえる。これにより、チャンバー出口部165から出口部156bに、スタータ1の外部から水分が浸入することを抑制できる。
さらに、チャンバー出口部165は、エンジンブロック154に隣接して配置されている。よって、エンジンブロック154により、チャンバー出口部165にスタータ1の外部から水分をかかり難くできる。
また、排水部156は、出口部156bと入口部156aとが軸方向に離間されて配置され、出口部156bから入口部156aへ向けて下方(地方向)に向けて斜めに形成されている。このため、チャンバー室157の水分が排水部156を経てハウジング17の内部へ浸入することを抑制できる。これにより、スタータの内部(具体的には、モータ室)の湿度低減を確保できる。
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、自動車の始動用に用いられるスタータ1を例に挙げて説明をした。しかしながら、スタータ1の適用は自動車に限定されることはなく、例えば自動二輪車等に適用してもよい。
上述の実施形態では、モータ部3にブラシ付直流モータ51を採用した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、モータ部3にブラシレスモータを採用した場合であっても、上述の実施形態を適用することが可能である。
上述の実施形態では、セパレートプレート43に凹部142を形成し、この凹部142を水抜き手段として機能させる場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、セパレートプレート43とモータヨーク53との間に隙間を形成し、この隙間を水抜き手段として機能させればよい。例えば、セパレートプレート43の凹部142に対応する箇所に、この凹部142に代わって薄肉部を形成し、セパレートプレート43とモータヨーク53との間に隙間を形成し、ここを水抜き手段として機能させてもよい。
上述の実施形態では、排水部156をハウジング17の開口部17a寄りの部位17fからフランジ部152(すなわち、エンジンブロック154)に向けて下り勾配に形成した例について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、その他の例として、例えば排水部156をエンジンブロック154寄りの部位からハウジング17の開口部17aに向けて下り勾配に形成してもよい。
Eu…エンジンユニット
1…スタータ
2…遊星歯車機構(減速機構)
3…モータ部
17…ハウジング
17a…開口部
17e…ハウジングの周壁
150…排水構造
152…フランジ部
154…エンジンブロック
155…エンジンへの取付部
156…排水部
156a…排水部の入口部
156b…排水部の出口部
157…チャンバー室
163…チャンバー底部(壁部)
165…チャンバー出口部
170…ラビリンス構造

Claims (6)

  1. モータ部と、
    開口部を有するハウジングと、
    前記ハウジング内に収納され、前記モータ部から入力される回転を減速して出力する減速機構と、
    前記ハウジングの周壁から径方向の外側に張り出したフランジ部に開口され、前記ハウジングの内部を外部に連通する排水孔が形成された排水部と、
    を備えたことを特徴とするスタータ。
  2. 請求項1に記載のスタータにおいて、
    前記排水部は、
    前記内部から前記外部まで下方に向けて斜めに設けられるように、前記内部に開口する入口部と、
    前記入口部に対して軸方向へ離間する位置において前記外部に開口する出口部と、
    を有することを特徴とするスタータ。
  3. 前記フランジ部に設けられ、前記排水部の出口部が開口するチャンバー室を備えた
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスタータ。
  4. 請求項3に記載のスタータにおいて、
    前記チャンバー室は、前記排水部の出口部が開口し、水平面に対して下方に向けて斜めに傾けられた壁部を有する
    ことを特徴とするスタータ。
  5. 前記フランジ部のうち前記チャンバー室が前記外部に開口するフランジ壁部に設けられ、エンジンブロックへの取付部を備えた
    ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のスタータ。
  6. 前記フランジ部に設けられ、前記排水部の出口部が開口するチャンバー室と、
    前記チャンバー室に形成され、外部に連通するチャンバー出口部と、
    前記排水部と前記チャンバー出口部との間に設けられ、前記排水部から前記チャンバー室を経て外部に連通するラビリンス構造と、
    を備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のスタータ。
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