JP2013139764A - スタータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】モータ部の回転力を受けて回転する出力軸上にスライド移動可能に設けられ、エンジンのリングギヤとヘリカル噛合可能なピニオンギヤ74と、ピニオンギヤ74にリングギヤ側へ向かう押圧力を付勢する電磁装置とを備え、ピニオンギヤ74の歯部66には、軸方向のギヤ端面67を面取り加工することにより歯面取り部68が形成され、歯面取り部68の出力軸に対する傾斜角をαとし、歯部66の出力軸に対する傾斜角をβとしたとき、歯面取り部68の出力軸に対する傾斜角α、および歯部66の出力軸に対する傾斜角βは、α≧90°−βを満たすように設定されていることを特徴としている。
【選択図】図2
Description
ここで、一般的に歯面取り部は、機械加工により形成される。具体的には、歯面取り部に対応した傾斜角度でエンドミル等の切削工具を歯部の軸方向端面に当接させ、切削加工することにより形成される。
α≧90°−β・・・(1)
を満たすように設定することで、歯面取り部と直交する方向から歯面取り部を見たとき、歯面取り部と、この歯面取り部が面する側に設けられた隣の歯部とが重ならないように配置される。ここで、歯面取り部と直交する方向は、既存の加工設備や切削工具、また加工方法で歯面取り部を形成するときの切削工具の挿入方向に相当する。したがって、既存の加工設備や切削工具、また加工方法により、隣の歯部と切削工具とが干渉することなく歯面取り部を形成できる。
また、(1)式から、歯部の出力軸に対する傾斜角βに対応した、歯面取り部の出力軸に対する傾斜角αの最小値を設定できる。ここで、歯面取り部は、出力軸に対する傾斜角αが小さいほど、ピニオンギヤの進行方向に沿うように形成されて噛合性が向上する。したがって、歯面取り部の出力軸に対する傾斜角αを小さく設定することで、ピニオンギヤの良好な噛合性を確保できる。
β≦20°・・・(2)
に設定されているので、歯部を形成する金型の歯成型部の傾斜角を、ピニオンギヤの材料の移動方向に対して20°以下に設定できる。これにより、ピニオンギヤの材料は金型の歯成型部に沿って良好に移動できるので、ピニオンギヤを金型により成型できる。したがって、低コストにピニオンギヤを製造できる。
α≧90°−β・・・(1)
を満たすように設定することで、歯面取り部と直交する方向から歯面取り部を見たとき、歯面取り部と、この歯面取り部が面する側に設けられた隣の歯部とが重ならないように配置される。ここで、歯面取り部と直交する方向は、既存の加工設備や切削工具、また加工方法で歯面取り部を形成するときの切削工具の挿入方向に相当する。したがって、既存の加工設備や切削工具、また加工方法により、隣の歯部と切削工具とが干渉することなく歯面取り部を形成できる。
また、(1)式から、歯部の出力軸に対する傾斜角βに対応した、歯面取り部の出力軸に対する傾斜角αの最小値を設定できる。ここで、歯面取り部は、出力軸に対する傾斜角αが小さいほど、ピニオンギヤの進行方向に沿うように形成されて噛合性が向上する。したがって、歯面取り部の出力軸に対する傾斜角αを小さく設定することで、ピニオンギヤの良好な噛合性を確保できる。
さらに、歯部の出力軸に対する傾斜角βは、
β≦20°・・・(2)
に設定されているので、歯部を形成する金型の歯成型部の傾斜角を、ピニオンギヤの材料の移動方向に対して20°以下に設定できる。これにより、ピニオンギヤの材料は金型の歯成型部に沿って良好に移動できるので、ピニオンギヤを金型により成型できる。したがって、低コストにピニオンギヤを製造できる。
図1は、本発明の実施形態におけるスタータ1の断面図である。なお、図1では、中心線より上側にスタータ1の静止状態を示し、下側にスタータ1の通電状態(ピニオンギヤ74とリングギヤ23とが噛合した状態)を示している。
図1に示すように、スタータ1は、不図示のエンジンの始動に必要な回転力を発生するためのものであって、モータ部3と、モータ部3の一方側(図1における左側)に連結されている出力軸4と、出力軸4上にスライド移動可能に設けられたクラッチ機構5およびピニオン機構70と、モータ部3に対する電源供給路を開閉するスイッチユニット7と、スイッチユニット7の可動接点板8およびピニオン機構70を軸方向に沿って移動させるための電磁装置9とを有している。
ブラシ付直流モータ51は、略円筒状のモータヨーク53と、モータヨーク53の径方向内側に配置され、モータヨーク53に対して回転自在に設けられているアーマチュア54とを有している。モータヨーク53の内周面には、複数(本実施形態では6個)の永久磁石57が、周方向に磁極が交互となるように設けられている。
アーマチュア54は、回転軸52と、回転軸52の永久磁石57に対応する位置に外嵌固定されているアーマチュアコア58と、回転軸52のアーマチュアコア58よりも遊星歯車機構2側(図1における左側)に外嵌固定されているコンミテータ61とにより構成されている。
各セグメント62のアーマチュアコア58側端には、折り返すように曲折形成されたライザ63が設けられている。ライザ63には、アーマチュアコア58に巻装されているコイル59の端末部が接続されている。
遊星歯車機構2は、回転軸52と一体成型されたサンギヤ13と、サンギヤ13に噛合され、サンギヤ13を中心に公転する複数のプラネタリギヤ14と、これらプラネタリギヤ14の外周側に設けられた環状の内歯リングギヤ15とにより構成されている。
ハウジング17の開口部17a側の外周面には、軸方向に沿うように雌ネジ部17bが刻設されている。また、モータヨーク53の他方側(図1における右端側)に配置されたエンドプレート55には、雌ネジ部17bに対応する位置にボルト孔55aが形成されている。このボルト孔55aにボルト95を挿入し、雌ネジ部17bにボルト95を螺入することによって、モータ部3とハウジング17とが一体化される。
また、軸受孔47の底部には、ハウジング17の底部17cと出力軸4の一方側端面4cとの間に、荷重受部材50が配置されている。
荷重受部材50を配置することにより、一方側(図1における左側)に向かって出力軸4にスラスト荷重が発生したときでも、ハウジング17に設けた荷重受部材50で出力軸4の移動を規制しつつ、出力軸4のスラスト荷重を受けることができる。また、出力軸4の回転時には、出力軸4の一方側端面4cと荷重受部材50とが摺接するので、出力軸4の一方側端面4cとハウジング17とが直接摺接するのを防止できる。したがって、ハウジング17の耐久性を向上できる。
なお、荷重受部材50の周囲には、出力軸4の一方側端面4cとの摺接時の摩擦を軽減するためのグリスが塗布されるが、このグリスに、滑り軸受17dに含浸される潤滑油と同種の基油を含むものが採用されているため、滑り軸受17dの潤滑油を長期間保持できるようになっている。
出力軸4の軸方向略中央には、ヘリカルスプライン19が形成されている。ヘリカルスプライン19には、クラッチ機構5がヘリカル噛合されている。
クラッチ機構5は、略円筒状のクラッチアウタ18と、このクラッチアウタ18と同軸に形成されたクラッチインナ22とを有している。このクラッチ機構5には、クラッチアウタ18側からの回転力はクラッチインナ22に動力を伝達するが、クラッチインナ22側からの回転力はクラッチアウタ18に伝達しない、所謂公知のワンウェイクラッチ機能が設けられており、これにより、エンジン始動時に、クラッチアウタ18よりもクラッチインナ22の方が速くなるオーバーラン状態になった際には、エンジンのリングギヤ23側からの回転力を遮断するよう構成されている。また、クラッチ機構5は、クラッチアウタ18とクラッチインナ22との間に生じるトルク差、および回転速度差が所定値以内の場合、互いに回転力を伝達する一方、トルク差および回転速度差が所定値を越えた場合、回転力の伝達が遮断される所謂トルクリミッタ機能も備えている。
また、クラッチアウタ18の内周面におけるスリーブ18aの一方側には、段部18cが形成されている。段部18cの内周面は、スリーブ18aの内周面よりも大径に形成されており、段部18cの内周面と出力軸4の外周面との間には空間が形成される。この空間には、後述するリターンスプリング21が配置されている。
移動規制部20は、出力軸4に外嵌された略リング状の部材であり、サークリップ20aによって軸方向一方側への移動が規制された状態に設けられるとともに、クラッチアウタ18に形成された段部18cと干渉可能なように、段部18cの内周面よりも大径に形成されている。後述するようにクラッチ機構5が一方側にスライド移動したときには、クラッチアウタ18の段部18cと移動規制部20とが干渉する。これにより、クラッチ機構5の一方側へのスライド移動量が規制される。
移動規制部20とクラッチアウタ18のスリーブ18aとの間であって、段部18cの内周面と出力軸4の外周面との間には、出力軸4を取り囲むように形成されたリターンスプリング21が圧縮変形した状態で設けられている。これにより、クラッチアウタ18は、常時モータ部3側へ向かって押し戻されるように付勢された状態になる。
このように形成されたクラッチ機構5には、クラッチインナ22の先端に、ピニオン機構70が一体的に設けられている。
ピニオン機構70は、クラッチインナ22の先端に一体成形された筒状のピニオンインナ71を有している。ピニオンインナ71の内周面には、軸方向両側にそれぞれ出力軸4にピニオンインナ71を摺動可能に支持するための2つの滑り軸受72,72が設けられている。
ピニオンインナ71の外周面には、クラッチ機構5とは反対側である先端側に、スプライン73が形成されている。このスプライン73には、エンジン(不図示)のリングギヤ23に噛合可能なピニオンギヤ74がスプライン噛合されている。
ここで、リングギヤ23およびピニオンギヤ74は、はすば歯車(ヘリカルギヤ)で構成されており、リングギヤ23とピニオンギヤ74との歯のねじれ方向は、ピニオンギヤ74がリングギヤ23を駆動する状態でピニオンギヤ74に飛び込み方向のスラスト荷重が作用するように設定されている。
図2は、ピニオンギヤ74を径方向から見たときの側面図である。なお、図2において、切削工具96を二点鎖線で図示している。
図2に示すように、ピニオンギヤ74は、円筒部65の外周面に複数の歯部66が形成されたものである(本実施形態においては、歯部66は16枚からなる)。上述したように、歯部66は、径方向から見て、出力軸4(図1参照)の中心軸Oに対して傾斜角βのねじれ角を有する、いわゆるヘリカルギヤとして形成されている。歯部66は、他方側から一方側(図2における下側から上側)に向かって、出力軸4の回転方向と同一方向に傾斜して形成されている。
α≧90°−β・・・(1)
を満たすように設定されている。
(1)式を満たすように設定することで、歯面取り部68と直交する方向Sから歯面取り部68を見たとき、歯面取り部68と、この歯面取り部68が面する側(図2における右側)に設けられた隣の歯部66とが重ならないように配置される。
収納部76のクラッチ機構5側に形成されている開口部は、クラッチインナ22の基端側に設けられた段差部71aによって閉塞された状態になっている。すなわち、ピニオンギヤ74は、ピニオンインナ71によって軸方向に摺動可能に支持された状態になっている。これにより、ピニオンギヤ74は、ピニオンインナ71に対して大きくがたつくことなく軸方向にスライド移動する。
また、ピニオンインナ71の一方側(図1における左側)の外周面には、止め輪77が設けられている。これにより、ピニオンインナ71に対して出力軸4の一方側にピニオンギヤ74が抜けるのを規制している。
ハウジング17の内周面には、クラッチ機構5よりもモータ部3側に、電磁装置9を構成するヨーク25が内嵌固定されている。ヨーク25は磁性材からなる有底筒状に形成されており、底部25aの径方向中央の大部分が大きく開口されている。
また、ヨーク25の底部25aとは反対側端には、磁性材からなる円環状のプランジャホルダ26が設けられている。プランジャホルダ26の径方向内側は、軸方向の他方側に向かって延出された円筒部26aとなっている。これにより、後述するギヤプランジャ80の鉄心88との離間距離が狭くなるので、プランジャホルダ26による鉄心88の吸引力を上げることができる。
これらヨーク25、およびプランジャホルダ26によって径方向内側に形成される収納凹部25bに、略円筒状に形成された励磁コイル24が収納されている。励磁コイル24は、コネクタを介してイグニションスイッチ(いずれも不図示)に電気的に接続されている。
プランジャ機構37は、磁性材で形成された略円筒状のスイッチプランジャ27と、このスイッチプランジャ27と出力軸4の外周面との間の空隙に配置されたギヤプランジャ80とを有している。これらスイッチプランジャ27とギヤプランジャ80とは、互いに同心円上に設けられ、軸方向に相対移動可能に設けられている。また、プランジャホルダ26とスイッチプランジャ27との間には、両者を離反方向に付勢する板ばね材からなるスイッチリターンスプリング27aが配設されている。
プランジャインナ81は、樹脂等により略円筒形状に形成されている。プランジャインナ81の内径は、出力軸4に外挿可能なように、出力軸4の外径よりも若干大きく形成されている。これにより、プランジャインナ81は、出力軸4に対して軸方向にスライド移動可能に設けられている。
プランジャインナ81の他方側端81b(図1における右側端)には、他方側から一方側に向かって漸次外径が大きくなる爪部83が周方向に複数個所設けられている。また、爪部83の一方側(図1における左側)には、周方向に沿って溝部84が形成されている。
プランジャアウタ85の他方側端85a(図1における右側端)には、径方向内側に張り出した内フランジ部86が一体的に形成されている。内フランジ部86の内径は、プランジャインナ81の爪部83の外径よりも小さく、かつプランジャインナ81の溝部84の底部の外径よりも大きくなるように形成されている。そして、プランジャインナ81の溝部84内にプランジャアウタ85の内フランジ部86を配置することで、プランジャインナ81とプランジャアウタ85とが一体化され、プランジャ機構37が構成される。
また、外フランジ部87の一方側(図1における左側)であって、プランジャアウタ85の外周面には、リング状の鉄心88が設けられている。鉄心88は、例えば樹脂モールドにより、プランジャアウタ85と一体成型されている。鉄心88は、後述するように励磁コイル24に電流が供給されたときに発生する磁束により吸引される。
プランジャスプリング91は、収納部90に収納された状態で、プランジャインナ81の外フランジ部82と、プランジャアウタ85の内フランジ部86とにより圧縮変形させられている。そして、プランジャインナ81は一方側(図1における左側)に向かって、プランジャアウタ85は他方側(図1における右側)に向かって、互いに付勢された状態となっている。
また、スタータ1の通電状態(図1における中心線より上側の状態)では、ギヤプランジャ80が一方側(図1における左側)に最大変位したとき、プランジャインナ81の一方側端81aは常にクラッチ機構5のクラッチアウタ18の他方側端と当接した状態となっている。
すなわち、プランジャスプリング91は、クラッチ機構5とギヤプランジャ80との間における軸方向の空隙の発生を防止し、クラッチ機構5のガタつきを吸収するガタ吸収機構を構成している。
各ブラシ41の基端側には、ブラシスプリング42が設けられている。このブラシスプリング42によって、各ブラシ41がコンミテータ61側に向かって付勢され、各ブラシ41の先端がコンミテータ61のセグメント62に摺接するようになっている。
続いて、図面を用いてスタータ1の動作について説明をする。
図1における中心線の上側の状態に示すように、励磁コイル24に電流を供給する前のスタータ1の静止状態にあっては、リターンスプリング21に付勢されたクラッチアウタ18が、ピニオンギヤ74と一体化されているクラッチインナ22を引っ張った状態でモータ部3側(図1における右側)へ一杯に付勢されている。そして、クラッチ機構5のクラッチアウタ18がストッパ94に当接した位置で停止しており、ピニオンギヤ74とリングギヤ23との結合が断たれている。
この状態から車両のイグニションスイッチ(不図示)をオンすると、励磁コイル24に電流が供給されて励磁され、スイッチプランジャ27およびギヤプランジャ80を磁束が通る磁路が形成される。これにより、図3(a)に示すように、スイッチプランジャ27およびギヤプランジャ80がリングギヤ23側(図3における左側)へ向かってスライド移動する。
このとき、スイッチプランジャ27の内周面にリング部材28が一体的に設けられていることから、このリング部材28がギヤプランジャ80を押圧し、初期的にギヤプランジャ80をリングギヤ23側に向かって押圧することで、スイッチプランジャ27およびギヤプランジャ80が一体となってリングギヤ23側へ向かってスライド移動する。
このとき、ピニオンギヤ74は、図3(b)に示すように、リングギヤ23側に所定距離移動する。そして、ピニオンギヤ74の一方側(図3(b)における左側)のギヤ端面67とリングギヤ23の他方側(図3(b)における右側)端面23aとが当接するか、または両者間の軸方向寸法距離がゼロの状態となっている。
さらにスイッチプランジャ27が吸引されてリングギヤ23側へ向かってスライド移動すると、図4(a)に示すように、可動接点板8が固定接点板34に接触する。可動接点板8は、スイッチシャフト30に対して軸方向変位可能に浮動支持されているので、スイッチスプリング32の押圧力が可動接点板8および固定接点板34に加わることになる。
すると、アーマチュアコア58に磁界が発生し、この磁界とモータヨーク53に設けられている永久磁石57との間で磁気的な吸引力や反発力が生じる。これにより、アーマチュア54が回転し始める。そして、アーマチュア54が回転することにより、このアーマチュア54の回転軸52の回転力が遊星歯車機構2を介して出力軸4に伝達され、出力軸4が回転し始める。
ここで、ピニオンギヤ74のギヤ端面67には、出力軸4に対して傾斜角αを有する歯面取り部68が形成されている。ここで、歯面取り部68は、出力軸4に沿うように、すなわちピニオンギヤ74の進行方向に沿うように形成されているので、ピニオンギヤ74がリングギヤ23にスムーズに入り込むことができる。
出力軸4の回転速度が上昇すると、出力軸4のヘリカルスプライン19に噛合されたクラッチアウタ18に慣性力が作用する。このとき、前述のように、ピニオンギヤ74とリングギヤ23とがヘリカル噛合していることから、ピニオンギヤ74にリングギヤ23方向(飛び込み方向)へのスラスト力が発生する。そして、このスラスト力によってピニオンギヤ74はヘリカルスプライン19に沿うように、リターンスプリング21の付勢力に抗してリングギヤ23側(図5における左側)へ向かって移動する。また、図5(a)に示すように、クラッチアウタ18も、慣性力によってヘリカルスプライン19に沿うように、リターンスプリング21の付勢力に抗してリングギヤ23側(図5における左側)へ向かって押し出される。
このとき、ギヤプランジャ80には、リングギヤ23側へ向かう吸引力が作用している。したがって、ギヤプランジャ80は、クラッチアウタ18のスライド移動に連動するように、クラッチアウタ18を押圧しつつリングギヤ23側へ向かってスライド移動する。
ここで、ピニオンギヤ74は、歯部66が傾斜角β=20°以下で傾斜してリングギヤ23とヘリカル噛合している。このため、出力軸4の回転力がピニオンギヤ74からリングギヤ23に伝達すると、ピニオンギヤ74は一方側(図5における左側)に向かってスライド移動する。これに加え、出力軸4にヘリカルスプライン結合されているクラッチアウタ18に作用する慣性力、および電磁装置9によるギヤプランジャ80への吸引力が作用するので、リングギヤ23にピニオンギヤ74が十分に噛合う位置まで移動する。
これにより、図5(b)に示すように、ピニオンギヤ74とリングギヤ23とが所定の噛み合い位置で噛合する。
図6は、ピニオンギヤ74(図2参照)を成型する金型97の説明図である。
図6に示すように、ピニオンギヤ74の形成工程では、まず、金型97を用いて冷間鍛造によりピニオンギヤ74の本体部を成型する。
金型97は略円筒形状をしており、内周面には、ピニオンギヤ74の複数の歯部66(図2参照)に対応した成型溝98aを有する歯成型部98が形成されている。歯成型部98の成型溝98aは、歯部66の出力軸4(図1参照)に対する傾斜角βに対応して、中心軸Oに対して同一の傾斜角βのねじれ角を有している。
ここで、歯成型部98の成型溝98aの傾斜角βは、ピニオンギヤ74の歯部66と同様に20°以下に設定されている。このため、ピニオンギヤ74の材料は、金型97内の一方側から他方側(図6における上側から下側)に向かって押圧されたとき、金型97の歯成型部98の成型溝98aに沿って良好に移動する。したがって、精度良くピニオンギヤ74を成型できる。
ここで、形成される歯面取り部68の出力軸4(図1参照)に対する傾斜角α、および歯部66の出力軸4に対する傾斜角βは、(1)式および(2)式を満たすように設定されている。したがって、歯面取り部68と直交する方向S、すなわち切削工具96の挿入方向Sから歯面取り部68を見たとき、歯面取り部68とこの歯面取り部68が面する側に設けられた隣の歯部66とが重ならないように、歯面取り部68が形成される。したがって、隣の歯部66と切削工具96とが干渉することなく、切削工具96の刃先96aをギヤ端面67に当接させて歯面取り部68を形成できる。
続いて、歯面取り部68と同様に、切削加工により歯先面取り部69を形成する。以上で、ピニオンギヤ74の形成工程が終了する。
本実施形態によれば、歯面取り部68の出力軸4に対する傾斜角α、および歯部66の出力軸4に対する傾斜角βとしたとき、
α≧90°−β・・・(1)
を満たすように設定することで、歯面取り部68と直交する方向から歯面取り部68を見たとき、歯面取り部68と、この歯面取り部68が面する側に設けられた隣の歯部66とが重ならないように配置される。ここで、歯面取り部68と直交する方向Sは、既存の切削工具96および加工方法で歯面取り部68を形成するときの切削工具96の挿入方向Sに相当する。したがって、既存の加工設備や切削工具96、また加工方法により、隣の歯部66と切削工具96とが干渉することなく歯面取り部68を形成できる。
また、(1)式から、歯部66の出力軸4に対する傾斜角βに対応した、歯面取り部68の出力軸4に対する傾斜角αの最小値を設定できる。ここで、歯面取り部68は、出力軸4に対する傾斜角αが小さいほど、ピニオンギヤ74の進行方向に沿うように形成されて噛合性が向上する。したがって、歯面取り部68の出力軸4に対する傾斜角αを小さく設定することで、ピニオンギヤ74の良好な噛合性を確保できる。
さらに、歯部66の出力軸4に対する傾斜角βは、
β≦20°・・・(2)
に設定されているので、歯部66を形成する金型97の歯成型部98の傾斜角βを、ピニオンギヤ74の材料の移動方向に対して20°以下に設定できる。これにより、ピニオンギヤ74の材料は金型の歯成型部98に沿って良好に移動できるので、ピニオンギヤ74を金型97により成型できる。したがって、低コストにピニオンギヤ74を製造できる。
しかしながら、本発明の適用は一軸式のスタータ1に限られることはなく、ピニオン機構70を進退動作させることができる構成を含むスタータであれば、本発明を適用することが可能である。例えば、電磁装置(プランジャ機構37)と出力軸4とを異なる軸上に配置した、いわゆる二軸式のスタータや、電磁装置(プランジャ機構37)の軸と回転軸52と出力軸4とを異なる軸上に配置した、いわゆる三軸式のスタータ等、様々な形式のスタータに本発明を適用してもよい。
しかしながら、上述のように、ピニオンインナ71とピニオンギヤ74とをスプライン噛合によりスライド移動可能に形成する場合に限られない。例えば、ピニオンインナ71にキーを設ける一方、ピニオンギヤ74にキー溝を設け、ピニオンインナ71とピニオンギヤ74とをスライド移動可能に形成してもよい。
3 モータ部
4 出力軸
9 電磁装置
23 リングギヤ
66 歯部
67 ギヤ端面
68 歯面取り部
74 ピニオンギヤ
Claims (4)
- モータ部の回転力を受けて回転する出力軸と、
前記出力軸上にスライド移動可能に設けられ、エンジンのリングギヤとヘリカル噛合可能なピニオンギヤと、
前記モータ部への通電、遮断を行うと共に、前記ピニオンギヤに前記リングギヤ側へ向かう押圧力を付勢する電磁装置とを備え、
前記ピニオンギヤの歯部には、軸方向のギヤ端面を面取り加工することにより歯面取り部が形成され、
前記歯面取り部の前記出力軸に対する傾斜角をαとし、
前記歯部の前記出力軸に対する傾斜角をβとしたとき、
前記歯面取り部の前記出力軸に対する傾斜角α、および前記歯部の前記出力軸に対する傾斜角βは、
α≧90°−β
を満たすように設定されていることを特徴とするスタータ。 - 前記歯部の前記出力軸に対する傾斜角βは、
β≦20°
を満たすように設定されていることを特徴とする請求項1に記載のスタータ。 - 前記ピニオンギヤは、冷間鍛造により形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のスタータ。
- 前記電磁装置は、
励磁コイルと、
前記励磁コイルへの通電に基づいて前記出力軸に沿ってスライド移動し、前記クラッチ機構に押圧力を付勢するギヤプランジャと、
を備え、
前記出力軸と同軸的に設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のスタータ。
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