JP2012026337A - スタータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】モータ部3と、モータ部3の回転力を受けて回転する出力軸4と、出力軸4に、相対回転不能、かつ軸方向にスライド移動可能に設けられ、エンジンのリングギヤ23に噛合可能なピニオン74を有するピニオン機構70と、モータ部3への通電、遮断を行うと共に、ピニオン機構70にリングギヤ23側に向かって押圧力を付勢する電磁装置9とを備えたスタータ1であって、ピニオン機構70は、押圧力を受けて出力軸4に沿ってスライド移動するピニオンインナ71を有し、このピニオンインナ71にピニオン74がヘリカルスプライン嵌合され、ピニオンインナ71に対してピニオン74が軸方向に移動可能に設けられている。
【選択図】図1
Description
電磁装置は、通電されることにより磁路を形成する励磁コイルと、この励磁コイルに吸引されて移動するプランジャとを備えている。一方、ピニオンは、クラッチを介して出力軸にヘリカルスプライン嵌合されている。
このとき、ピニオンには、押圧力と回転力とが作用している。このため、リングギヤとピニオンとの噛合わせ位相がずれて互いの端面同士が当接した場合であっても、その後スムーズにリングギヤにピニオンを噛み込ませることができる。そして、リングギヤにピニオンが噛合されると、電動機の回転力が出力軸、クラッチ、およびピニオンを介してリングギヤに伝達され、リングギヤが回転することによりエンジンが始動する(例えば、特許文献1、特許文献2参照)
これに対し、例えばピニオンの端面にダンパを設けることも考えられるが、ダンパの寿命等を考慮すると恒久的な対策となり難い。
したがって、リングギヤにピニオンを確実に噛み込ませることができる。
また、リングギヤ側に向かってピニオンが軸回りに回転することなく押出されるので、リングギヤとピニオンとの噛合わせ位相がずれた際、リングギヤの端面とピニオンの端面との間に生じる摺動摩擦を小さくすることができる。このため、ピニオンの摩耗による寿命低下を抑制することができる。
さらに、従来のように、ピニオンを軸回りに回転させながら押出す必要がないので、ピニオンを押出す負荷を低減することができる。このため、ピニオン機構に押圧力を付勢する電磁装置の出力を小さく設定することができる。よって、電磁装置の小型化が可能になる。
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、スタータの断面図であって、中心線より上側に静止状態を示し、下側に通電状態を示している。
同図に示すように、スタータ1は、不図示のエンジンの始動に必要な回転力を発生するためのものであって、モータ部3と、モータ部3に連結されている出力軸4と、出力軸4上に摺動自在に設けられたクラッチ5、およびピニオン機構70と、モータ部3に対する電源供給路を開閉するスイッチユニット7と、スイッチユニット7の可動接点板8、およびピニオン機構70を軸方向に沿って移動させるための電磁装置9とを有している。
ブラシ付直流モータ51は、略円筒状のヨーク53と、ヨーク53の径方向内側に配置され、ヨーク53に対して回転自在に設けられているアーマチュア54とを有している。
ヨーク53の内周面には、複数(例えば、この実施形態では6つ)の永久磁石57が周方向に磁極が順番となるように配設されている。
アーマチュア54は、回転軸52と、回転軸52の永久磁石57に対応する位置に外嵌固定されているアーマチュアコア58と、回転軸52のアーマチュアコア58よりも遊星歯車機構2側(図1における左側)に外嵌固定されているコンミテータ61とにより構成されている。
各セグメント62のアーマチュアコア58側端には、折り返すように曲折形成されたライザ63が設けられている。このライザ63にアーマチュアコア58に巻装されているコイル59の端末部が接続されるようになっている。
遊星歯車機構2は、回転軸52に外嵌固定されているサンギヤ13と、サンギヤ13に噛合され、サンギヤ13を中心に公転する複数のプラネタリギヤ14と、これらプラネタリギヤ14の外周側に設けられた環状の内歯リングギヤ15とにより構成されている。
ハウジング17の開口部17a側外周面には、軸方向に沿うように雌ネジ部17bが刻設されている。
さらに、ハウジング17には、底部17cの径方向中央に出力軸4の一端を回転自在に支持するための滑り軸受け17dが設けられている。
クラッチ5は、略円筒状のクラッチアウタ18と、このクラッチアウタ18と同心円上に形成されたクラッチインナ22とを有している。そして、クラッチアウタ18とクラッチインナ22との間に生じるトルク差、および回転速度差が所定値以内の場合、互いに回転力を伝達する一方、トルク差、および回転速度差が所定値を越えた場合、回転力の伝達が遮断されるように構成されている。
クラッチ5のクラッチインナ22の内径は、ストッパプレート20との干渉が回避可能な大きさに設定される。このように形成されたクラッチインナ22の先端に、ピニオン機構70が一体的に設けられている。
ピニオン機構70は、クラッチインナ22の先端に一体成形された筒状のピニオンインナ71を有している。ピニオンインナ71の内周面には、軸方向両端側にそれぞれ出力軸4にピニオンインナ71を摺動可能に支持するための滑り軸受け72,72が設けられている。
収納部76のクラッチ5側に形成されている開口部は、クラッチインナ22の基端側によって閉塞された状態になっている。すなわち、ピニオンインナ71に、ピニオン74の先端側、および基端側が摺動可能に支持された状態になっている。これにより、ピニオンインナ71に対して大きくがたつくことなく、ピニオン74が軸回りに回転しながら軸方向に移動する。
ハウジング17の内周面には、クラッチ5よりもモータ部3側に、電磁装置9を構成するヨーク25が内嵌固定されている。ヨーク25は有底筒状に形成されており、底部25aの径方向中央の大部分が大きく開口されている。また、ヨーク25の底部25aとは反対側端には、円環状のプランジャホルダ26が設けられている。
これらヨーク25、およびプランジャホルダ26によって径方向内側に形成される収納凹部25bに、略円筒状に形成された励磁コイル24が収納されている。励磁コイル24は、スイッチユニット7に設けられたダイオード92、およびコネクタ93を介し、不図示のイグニションスイッチに電気的に接続されている。
この凹部28bが形成されることにより、ギヤプランジャ28の外周部に円筒部28cが形成された状態になる。そして、円筒部28cの外周面であって、かつモータ部3側に鉄心28aが装着された状態になる。
すなわち、ギヤプランジャ28における円筒部28cのモータ部3側端部は、スイッチプランジャ27のリング部材81に当接する当接部28dとして機能している。
各ブラシ41の基端側には、コイルスプリング42が設けられている。このコイルスプリング42によって、各ブラシ41がコンミテータ61側に向かって付勢され、各ブラシ41の先端がコンミテータ61のセグメント62に摺接するようになっている。
ターミナルボルト44は、これをスタータ1に取り付けるためのカバー45を有している。カバー45は、ヨーク53、およびハウジング17に挟持された状態で固定されている。
次に、図1〜図4に基づいて、スタータ1の動作について説明する。
まず、電磁装置9の動作について説明する。
図2は、図1の要部拡大図であって、電磁装置の動作説明図である。
図1、図2における中心線の上側の状態に示すように、励磁コイル24に電流を供給する前の静止状態にあっては、リターンスプリング21に付勢されたクラッチアウタ18が、ピニオン74と一体化されているクラッチインナ22、およびギヤプランジャ28をモータ部3側へ一杯に移動している。そして、クラッチ5のクラッチアウタ18がストッパ94に当接した位置で停止しており、ピニオン74とリングギヤ23との結合が断たれている。
固定接点板34に可動接点板8が接触すると、4つのブラシ41のうちの2つの陽極側ブラシにバッテリの電圧が印加され、コンミテータ61のセグメント62を介してコイル59が通電される。
この間隙から励磁コイル24の磁束が漏れ(漏れ磁束)、この漏れ磁束によりギヤプランジャ28の鉄心28aが吸引され、ギヤプランジャ28にリングギヤ23側へ向かう力が作用する。
図3(a)〜図3(c)は、ピニオン機構の挙動説明図、図4は、リングギヤ、およびピニオンの歯当たりの状態を示す説明図であって、(a)〜(c)は図3(a)〜図3(c)に対応している。
このとき、ピニオン74とリングギヤ23との噛合わせ位相がずれていると、ピニオン74の歯部74bとリングギヤ23の歯部23aとが歯当たりして噛合わない。
また、ピニオンインナ71だけが押出されることにより、ピニオンインナ71とピニオン74との間に設けられているコイルスプリング11が圧縮変形する。
また、ピニオン74の噛合い位置では、ストッパプレート20にクラッチアウタ18が当接した状態になる。そして、このような状態で出力軸4の回転力がクラッチ5、およびピニオン機構70を介してリングギヤ23に伝達され、不図示のエンジンが始動する。
したがって、上述の実施形態によれば、出力軸4にクラッチアウタ18をスプライン嵌合させることにより、クラッチアウタ18と一体化されているピニオン機構70を出力軸4に対して相対回転させることなく押出すことができる。このため、簡素な構造としつつ、リングギヤ23とピニオン74との噛合わせ位相がずれた際、リングギヤ23の歯部23aとピニオン74の歯部74bとの間に生じる摺動摩擦を小さくすることができる。よって、スタータ1の製造コストの低減化を図りつつ、ピニオン74の摩耗による寿命低下を抑制することができる。
これに加え、リングギヤ23に回転させながらピニオン74を飛び込ませることができる。また、コイルスプリング11の復元力を利用して確実にピニオン74をリングギヤ23側に向かって押出すことができる。
このため、リングギヤ23に対するピニオン74の噛み込み動作をスムーズに行うことが可能になり、リングギヤ23にピニオン74を確実に噛み込ませることができる。
このため、出力軸4が回転するよりも先にプランジャ機構37によってピニオン機構70を押し出し、その後に出力軸4を回転させることができる。この結果、ピニオン機構70が押出されるときから出力軸4が回転している場合と比較して、リングギヤ23にピニオン74が噛み込むときの衝撃を緩和することができる。よって、ピニオン74等の部品の延命化を図ることが可能になると共に、出力軸4の駆動時間を短縮することができるので、スタータ1の省電力化を図ることが可能になる。
例えば、上述の実施形態では、出力軸4にスプライン19を形成してクラッチ5をスプライン嵌合することにより、このクラッチ5を出力軸4に対して相対回転不能、かつ軸方向にスライド移動可能としている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、出力軸4に対してクラッチ5が相対回転不能、かつ軸方向にスライド移動可能に設けられていればよい。例えば、出力軸4にキーを設ける一方、クラッチ5にキーをスライド移動可能に受け入れるキー溝を形成した構成としてもよい。
3 モータ部
4 出力軸
5 クラッチ(クラッチ機構)
7 スイッチユニット(接点機構)
8 可動接点板
9 電磁装置
11 コイルスプリング(弾性部材)
18 クラッチアウタ
19 スプライン
22 クラッチインナ
23 リングギヤ
24 励磁コイル
27 スイッチプランジャ
28 ギヤプランジャ
34 固定接点板
37 プランジャ機構
70 ピニオン機構
71 ピニオンインナ
73a,74a ヘリカルスプライン
74 ピニオン
Claims (4)
- 通電により回転力を発生するモータ部と、
前記モータ部の回転力を受けて回転する出力軸と、
前記出力軸に、相対回転不能、かつ軸方向にスライド移動可能に設けられ、エンジンのリングギヤに噛合可能なピニオンを有するピニオン機構と、
前記モータ部への通電、遮断を行うと共に、前記ピニオン機構に前記リングギヤ側に向かって押圧力を付勢する電磁装置とを備えたスタータであって、
前記ピニオン機構は、前記押圧力を受けて前記出力軸に沿ってスライド移動するピニオンインナを有し、
このピニオンインナに前記ピニオンがヘリカルスプライン嵌合され、前記ピニオンインナに対して前記ピニオンが軸方向に移動可能に設けられていることを特徴とするスタータ。 - 前記ピニオンインナと前記ピニオンとの間に、このピニオンを前記リングギヤ側に向かって付勢する弾性部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスタータ。
- 前記ピニオンインナに、クラッチ機構が一体的に設けられており、
前記出力軸に、前記クラッチ機構がスプライン嵌合されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスタータ。 - 前記電磁装置は、
励磁コイルと、
前記励磁コイルの通電に伴い、前記出力軸の軸方向に沿って移動するプランジャ機構と、
前記プランジャ機構の軸方向への移動に伴って断続される接点機構とを有し、
前記プランジャ機構が移動することによって、前記ピニオン機構に前記押圧力が付勢され、前記接点機構が接続されることによって前記モータ部に電流が供給されることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載のスタータ。
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