JP2013132096A - ブラシホルダ固定構造、及びスタータ - Google Patents

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朋彦 池守
Hiroshi Ooka
博 大岡
Masaaki Oya
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Narihiro Kanbe
成広 神戸
Masataka Odagiri
昌貴 小田切
Mitsuhiro Kogure
光裕 小暮
Hiroki Yamada
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Abstract

【課題】組み付け性を向上させつつ、括れ部の損傷を防止できると共に、大型化してしまうのを抑制することができるブラシホルダ固定構造、及びスタータを提供する。
【解決手段】ホルダ本体101と、ホルダ本体101の径方向外側に一体成形される電源端子接続部102とを備え、電源端子接続部102は、ホルダ本体101から径方向外側に向かって突出する一対の側壁110と、これら一対の側壁110の先端同士に跨るように形成された前壁111とを有し、一対の側壁110には、それぞれモータヨークの開口部の周縁に形成された凹部に、この凹部の軸方向開口側から挿入されて凹部と係合可能な括れ部113が形成されており、この括れ部113の周方向外側面113aは、軸方向開口側に向かうに従って末広がりになるように、複数段の傾斜面から成る。
【選択図】図2

Description

この発明は、例えば自動車に搭載されるモータに使用されるブラシホルダを、モータのヨークに固定するためのブラシホルダ固定構造、及びこのブラシホルダ固定構造が用いられているスタータに関するものである。
従来から、自動車の始動用に用いられるスタータとして、エンジンに近接して取り付けられ、エンジン始動時にピニオンギヤをリングギヤ側に飛び込ませてリングギヤに噛み合わせ、このリンギギヤに動力を伝達するモータ部と、このモータ部への電力供給を断続切換えするスイッチ部と、このスイッチ部の切換え制御をする電磁装置とを備えたものがある。
モータ部は、内周面に永久磁石が設けられた円筒状のヨークと、このヨークの径方向内側に回転自在に支持されているアーマチュアと、このアーマチュアのコンミテータに摺接し、アーマチュアに電力を供給するためのブラシと、このブラシを保持するためのブラシホルダとを備えている。
ブラシホルダは、ブラシを保持するホルダ本体(ホルダステー)と、ホルダ本体から径方向外側に突出するように一体成形され、スイッチ部を構成する電源端子接続部(スイッチ部)とを備えている。また、電源端子接続部は、ホルダ本体から外径方向外側に向かって起立する起立片部、及びこの起立片部の外周縁部から軸方向に沿って突出する周片部とを備えている。
ここで、ヨークの開口部周縁にはコの字状の凹部が形成されており、この凹部を介して電源端子接続部がヨークの径方向外側に突出するようになっている。そして、電源端子接続部における周片部の基端側に括れ部を形成し、この括れ部をヨークの凹部に挿入するようにして係合させている。このように構成することで、ヨークに対するブラシホルダの位置決めを行うと共に、ヨークの凹部から内部に水が浸入してしまうのを防止するようになっている。
また、電源端子接続部内には、周片部から上方に先端部が露出するボルトと、L字状に形成され一端部がボルトの頭部と周片部の上側内面との間に挟持される固定接点と、電磁装置の切換え制御に基づいて固定接点に接近・離間する可動接点とが設けられている。そして、ボルトの先端部にバッテリ電源から延びるハーネスに接続された端子を締結固定する。このような構成のもと、電磁装置の励磁に伴い可動接点と固定接点とが導通するとモータ部に電力が供給され、ピニオンギヤを介してリングギヤに動力が伝達される(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−130092号公報
ところで、一般的に、車両のエンジンルームには、エンジンの他に補機類やウォッシャタンク、バッテリ等が搭載されているが、近年、車両のインテリジェント化やハイブリッド化のため、エンジンルームの容積の大半を前述の部品が占めるようになってきている。このため、上述の従来技術にあっては、ヨークの側方に電源端子接続部が突出しているので、スタータを車体に組み込む際に突出している電源端子接続部がエンジンルームの周辺機器に接触し易くなり、接触による衝撃が周片部の括れ部に集中し易くなる。また、電源端子接続部のボルトに、バッテリ電源から延びるハーネスに接続された端子をナットにて締結固定する際、ナットの締め付け応力が周片部に加わるが、この締め付け応力が括れ部に集中し易くなるといった課題がある。
括れ部は、他の部位と比較して剛性が弱くなっているので、電源端子接続部が周辺機器との接触によって衝撃を受けたり、締め付け応力を受けたりすることにより、括れ部の強度が低下し易くなるという課題がある。とりわけ、ヨークの凹部に括れ部を挿入し易くするために、この括れ部の外側壁面を、挿入方向に向かって先細りとなるようにテーパ形状にすると、このテーパ形状の先端の肉厚が薄肉化し、さらに捩れ部の強度が低下してしまう虞がある。
また、単純に周片部の剛性を高めようとすると厚肉形状になり、電源端子接続部内の空間が小さくなって部品のレイアウト性が悪化したり、電源端子接続部内の空間を基準にした場合、電源端子接続部自体が大型化したりしてしまうという課題がある。
そこで、この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、組み付け性を向上させつつ、括れ部の損傷を防止できると共に、大型化してしまうのを抑制することができるブラシホルダ固定構造、及びスタータを提供するものである。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、磁極を有する筒状のヨークの内側に回転自在に支持されるアーマチュアのコンミテータに摺接するブラシを保持するホルダ本体と、前記ホルダ本体の径方向外側に一体成形され、前記ブラシに電力を供給するための外部電源と接続可能な電源端子を収納可能な電源端子接続部とを備えたブラシホルダを、前記ヨークに固定するためのブラシホルダ固定構造であって、前記電源端子接続部は、軸方向一方と径方向内側とがそれぞれ開口するように形成された箱状になっており、前記ホルダ本体から径方向外側に向かって突出する一対の側壁と、これら一対の側壁の先端同士に跨るように形成された前壁とを有し、前記一対の側壁には、それぞれ前記ヨークの開口部周縁に形成された凹部に、この凹部の軸方向開口側から挿入されて前記凹部と係合可能な括れ部が形成されており、この括れ部の外側壁面は、前記軸方向開口側に向かうに従って末広がりになるように、複数段の傾斜面から成ることを特徴とする。
このように構成することで、括れ部の外側壁面全体としては凹部の挿入方向に向かって先細りとなるように形成することができると共に、括れ部の傾斜面の先端の薄肉化を抑制しつつ、基端側の厚肉化を抑制しながら、括れ部全体として肉厚を厚肉化することができる。このため、電源端子接続部の括れ部の剛性を低下させることなく、組み付け性を向上させつつ、括れ部の損傷を防止できると共に、ブラシホルダが大型化してしまうのを抑制することができる。
請求項2に記載した発明は、前記ヨークの前記凹部は、前記開口部周縁から軸方向開口側とは反対側に向けて延出する一対の側辺と、これら一対の側辺に跨る底辺とから成り、前記一対の側辺は、前記開口部周縁に向かうに従って末広がりとなるように傾斜していることを特徴とする。
このように構成することで、凹部の開口部周縁側が広がり、凹部にブラシホルダの電源端子接続部をより挿入し易くなる。このため、さらに、ヨークへのブラシホルダの組み付け性を向上させることができる。
請求項3に記載した発明は、前記電源端子接続部の前記前壁の肉厚は、この前壁の全体に亘って略均一に設定されていることを特徴とする。
このように構成することで、電源端子接続部の肉厚を無駄に厚肉化することを抑制でき、ブラシホルダの大型化を防止できる。
請求項4に記載した発明は、前記ブラシホルダは、車両用スタータモータに用いられることを特徴とする。
このように、ブラシホルダは、車両用スタータモータに好適に用いることができる。
請求項5に記載した発明は、磁極を有する筒状のヨークと、前記ヨークの内側に回転自在に支持されるアーマチュアと、前記アーマチュアのコンミテータに摺接するブラシと、前記ブラシを保持すると共に、このブラシに電力を供給するためのブラシホルダとを有するモータ部と、前記アーマチュアの回転力を受けてエンジンのリングギヤと係合するピニオンギヤ機構とを備えたスタータであって、前記ブラシホルダは、前記ブラシを保持するホルダ本体と、前記ホルダ本体の径方向外側に一体成形され、前記ブラシに電力を供給するための外部電源と接続可能な電源端子を収納可能な電源端子接続部とを備え、前記電源端子接続部は、軸方向一方と径方向内側とがそれぞれ開口するように形成された箱状になっており、前記ホルダ本体から径方向外側に向かって突出する一対の側壁と、これら一対の側壁の先端同士に跨るように形成された前壁とを有し、前記ヨークの開口部周縁に凹部を形成すると共に、前記一対の側壁に、前記凹部の軸方向開口側から挿入されて前記凹部と係合可能な括れ部を形成し、この括れ部の外側壁面は、前記軸方向開口側に向かうに従って末広がりになるように、複数段の傾斜面から成ることを特徴とする。
このように構成することで、電源端子接続部の括れ部の防水性能を確保し、且つ組み付け性を向上させつつ、括れ部の損傷を防止できると共に、大型化してしまうのを抑制可能なスタータを提供することができる。
本発明によれば、括れ部の外側壁面全体としては凹部の挿入方向に向かって先細りとなるように形成することができると共に、括れ部の傾斜面の先端の薄肉化を抑制しつつ、基端側の厚肉化を抑制しながら、括れ部全体として肉厚を厚肉化することができる。このため、電源端子接続部の括れ部の剛性を低下させることなく、括れ部の損傷を防止できると共に、ブラシホルダが大型化してしまうのを抑制することができる。
本発明の実施形態におけるスタータの断面図である。 本発明の実施形態におけるブラシホルダの斜視図である。 本発明の実施形態におけるブラシホルダの平面図である。 図3のA−A線に沿う断面図である。 本発明の実施形態におけるモータヨークの要部側面図である。 本発明の実施形態におけるスイッチプランジャの移動直後の説明図であり、(a)は、スタータの動作を示し、(b)は、ピニオンギヤの動作を示す。 本発明の実施形態における可動接点板と固定接点板とが当接したときの説明図であり、(a)は、スタータの動作を示し、(b)は、ピニオンギヤの動作を示す。 本発明の実施形態におけるピニオンギヤとリングギヤとが噛合したときの説明図であり、(a)は、スタータの動作を示し、(b)は、ピニオンギヤの動作を示す。
(スタータ)
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、スタータ1の断面図である。尚、図1では、中心線より上側にスタータ1の静止状態を示し、下側にスタータ1の通電状態(ピニオンギヤ74とリングギヤ23とが噛合した状態)を示している。
同図に示すように、スタータ1は、自動車の不図示のエンジンの始動に必要な回転力を発生するためのものであって、モータ部3と、モータ部3の一方側(図1における左側)に連結されている出力軸4と、出力軸4上にスライド移動可能に設けられたクラッチ機構5、及びピニオンギヤ機構70と、モータ部3に対する電源供給路を開閉するスイッチユニット7と、スイッチユニット7の可動接点板8、及びピニオンギヤ機構70を軸方向に沿って移動させるための電磁装置9とを有している。
(モータ部)
モータ部3は、ブラシ付直流モータ51と、ブラシ付直流モータ51の回転軸52に連結され、この回転軸52の回転力を出力軸4に伝達するための遊星歯車機構2とにより構成されている。
ブラシ付直流モータ51は、略円筒状のモータヨーク53と、モータヨーク53の径方向内側に配置され、モータヨーク53に対して回転自在に設けられているアーマチュア54とを有している。モータヨーク53の内周面には、複数(本実施形態では6個)の永久磁石57が、周方向に磁極が交互となるように設けられている。
モータヨーク53の軸方向他方側(図1における右側)の端部には、モータヨーク53の開口部53aを閉塞するエンドプレート55が設けられている。エンドプレート55の径方向略中央には、回転軸52の他方側端を回転自在に支持するための滑り軸受56a、及びスラスト軸受56bが設けられている。
アーマチュア54は、回転軸52と、回転軸52の永久磁石57に対応する位置に外嵌固定されているアーマチュアコア58と、回転軸52のアーマチュアコア58よりも遊星歯車機構2側(図1における左側)に外嵌固定されているコンミテータ61とにより構成されている。
アーマチュアコア58は、放射状に形成された複数のティース(不図示)と、周方向に隣接する各ティース間に形成された複数のスロット(不図示)とを有している。周方向に所定間隔をあけた各スロット間には、コイル59が例えば波巻により巻装されている。コイル59の端末部は、コンミテータ61に向かって引き出されている。
コンミテータ61には、複数枚(例えば、この実施形態では26枚)のセグメント62が周方向に沿って、且つ互いに電気的に絶縁されるように所定間隔を空けた状態で設けられている。各セグメント62のアーマチュアコア58側端には、折り返すように曲折形成されたライザ63が設けられている。ライザ63には、アーマチュアコア58に巻装されているコイル59の端末部が接続されている。このように構成されたセグメント62には、4つのブラシ41が摺接されている。
ブラシ41は、不図示の外部バッテリに電気的に接続され、コンミテータ61に外部バッテリの電力を供給するためのものである(詳細は後述する)。ブラシ41は、モータヨーク53の軸方向一方側(図1における左側)に設けられたブラシホルダ33に保持されている。
(ブラシホルダ)
図2は、ブラシホルダ33の斜視図、図3は、ブラシホルダ33の平面図、図4は、図3のA−A線に沿う断面図である。
図1〜図4に示すように、ブラシホルダ33は樹脂材からなり、モータヨーク53の軸方向一方側の開口部53bを閉塞するホルダ本体101と、ホルダ本体101の側部から径方向外側に向かって突出する電源端子接続部102とが一体成形されたものである。
ホルダ本体101は、径方向略中央にコンミテータ61が挿通可能な挿通孔103aが形成された略円環状の本体ベース部103を有しており、この本体ベース部103上に、ブラシ41が収納される4つのブラシ収納部104がコンミテータ61の周囲を取り囲むように配置されている。ブラシ収納部104は、径方向に長く、且つ軸方向他方側(図1における右側、図2における上側)に向けて突出状に形成された角筒状のものである。
そして、ブラシホルダ収納部104の内部に、ブラシ41が径方向に沿って、且つコンミテータ61に向かって進退自在に収納される。各ブラシ41の基端側には、ブラシスプリング42が設けられている。このブラシスプリング42によって、各ブラシ41がコンミテータ61側に向かって付勢され、各ブラシ41の先端がコンミテータ61のセグメント62に摺接するようになっている。
また、ブラシ収納部104の他端側(図1における右端側、図2における上側)には、周方向で隣り合うブラシ収納部104同士を連結する一対の連結部105が一体成形されている。これら連結部105の径方向内側縁には、本体ベース部103の挿通孔103aに対応するように、略円弧状の切除部105aが形成されている。
さらに、本体ベース部103の挿通孔103aの周縁には、各連結部105,105の間に、換言すると挿通孔103aを挟んで電源端子接続部102と、この電源端子接続部102とは反対側とに、それぞれ隔壁106,106が軸方向他方側(図2における上側)に向かって立設されている。隔壁106は、コンミテータ61の外周面に対応するように、断面略円弧状に形成されている。この隔壁106は、コンミテータ61の周囲を保護する保護壁として機能している。
また、本体ベース部103の外周縁には、電源端子接続部102と、この電源端子接続部102に周方向で隣接する2つのブラシ収納部104,104との間に跨るように、それぞれ周壁107,107が立設されている。
ホルダ本体101には、各周壁107,107と、これら周壁107,107に接続されている2つのブラシ収納部104,104と、隔壁106とにより囲まれるスペースに、固定接点板34の一方を構成する第一固定接点板34aが固定されている。この第一固定接点板34aには、本体ベース部103の中心から電源端子接続部102側に配置されている2つのブラシ41から延びるピグテール108aがそれぞれスポット溶接等の固定手段により電気的に接続されている。
一方、電源端子接続部102は、軸方向他方側(図2における上側)と、ホルダ本体101側が開口するように箱状に形成されたものである。すなわち、電源端子接続部102は、ホルダ本体101の本体ベース部103から径方向外側に向かって延出する電源ベース部109と、電源ベース部109の周方向両側から立ち上がる一対の側壁110,110と、電源ベース部109の径方向外側端から立ち上がり、且つ一対の側壁110,110に跨るように形成された前壁111とにより構成されている。
電源ベース部109のホルダ本体101側には、後述する電磁装置9を構成するスイッチシャフト30がスライド移動可能に挿入される筒状のシャフト挿入部112が軸方向一方側(図1における左側)に向かって立設されている。また、シャフト挿入部112の第一固定接点板34aとは反対側には、固定接点板34の他方を構成する第二固定接点板34bが固定されている。
第二固定接点板34bは、断面略L字状に形成されており、電源ベース部109から前壁111に沿うように屈曲延出する切起し部34cを有している。
この切起し部34c、及び前壁111には、それぞれ同軸上に貫通孔34d,111aが形成されている。これら貫通孔34d,111aには、軸端子44aが挿入されており、軸端子44aの先端が前壁111を介して径方向外側に突出している。この前壁111から突出している軸端子44aの先端には、外部バッテリの陽極が電気的に接続されるターミナルボルト44bが電気的に取付けられている。
ここで、前壁111は、全体の肉厚(一対の側壁110,110の間)が略均一となるように形成されている。一方、一対の側壁110,110は、前壁111よりも厚肉に形成されており、且つ前壁111からホルダ本体101の基端側に向かうに従って、漸次厚肉になるように形成されている。より具体的には、一対の側壁110,110は、各々周方向内側面110a,110aが互いに平行になるように形成されている一方、周方向外側面110b,110bが前壁111から基端側に向かうに従って末広がりとなるように傾斜面110c,110cを有している。
また、各傾斜面110c,110cには、基端側に斜めに延出するスカート部118が軸方向全体に亘って形成されている。このスカート部118は、電源端子接続部102を保護するためのカバー45を装着するための係合部として機能する。
さらに、一対の側壁110,110には、スカート部118よりも基端側に括れ部113が形成されている。この括れ部113は、側壁110の周方向外側面110bに断面コの字状の凹部を軸方向全体に亘って形成してなり、凹部の底部となる周方向外側面113aと、この周方向外側面113aから立ち上がる側壁113bとを有している。
ここで、図4に詳示するように、括れ部113の周方向外側面113aは、2段の傾斜面114a,114bにより構成されている。2段の傾斜面114a,114bのうち、シャフト挿入部112とは反対側である軸方向一方側(図4における上側)に配置された1段目の傾斜面114aの軸方向に対する傾斜角度θ1は、シャフト挿入部112側である軸方向他方側(図4における下側)に配置された2段目の傾斜面114bの軸方向に対する傾斜角度よりも小さく設定されている。
すなわち、括れ部113の周方向外側面113aは、2段の傾斜面114a,114bにより、軸方向他方側に向かうに従って末広がりとなるように形成されている。一方、括れ部113の一対の周方向内側面113c,113cは、互いに略平行になるように形成されている。このため、括れ部113の肉厚は、軸方向他方側に向かうに従って漸次厚肉となるように設定されている。
一方、モータヨーク53には、電源端子接続部102に対応する部位に、この電源端子接続部102の括れ部113を受け入れ可能な凹部115が形成されている。より詳しく、図5に基づいて説明する。
図5は、モータヨーク53の要部側面図である。
同図に示すように、モータヨーク53の凹部115は、開口部53aのブラシホルダ33側(図5における上側)の周縁に連なるようにコの字状に形成されており、軸方向開口側とは反対側に向けて延出する一対の側辺115a,115aと、これら側辺115a,115aに跨る底辺115bとにより構成されている。
ここで、側辺115aには、その軸方向中央部位から開口部53aのブラシホルダ33側の周縁に至る間に、傾斜辺116が形成されている。この傾斜辺116は、開口部53aの周縁(軸方向開口側)に向かうに従って末広がりとなるように形成されている。
このような構成のもと、モータヨーク53にブラシホルダ33を取り付ける際、モータヨーク53の凹部115に、電源端子接続部102の括れ部113を軸方向開口側から挿入して嵌め込むことにより、モータヨーク53とブラシホルダ33の電源端子接続部102とが係合するようになっている(詳細は後述する)。
図1〜図3に戻り、ブラシホルダ33の本体ベース部103には、ブラシ収納部104が形成されている側とは反対側の面に、略円環状のセンタープレート43が設けられている。
センタープレート43の外径は、本体ベース部103よりも大径になるように設定されており、ブラシホルダ33のシャフト挿入部112に対応する箇所には、シャフト挿入部112を挿通可能な貫通孔43aが形成されている。
また、センタープレート43の径方向略中央には、ブラシ付直流モータ51の回転軸52が挿通可能な筒部43bがブラシホルダ33側(コンミテータ61側)に向かって突出するように一体成形されている。コンミテータ61には、筒部43bを受け入れ可能な略円環状の溝部61aが形成されており、この溝部61aに筒部43bが臨まされている。これにより、後述の遊星歯車機構2等に使用される潤滑剤がブラシ付直流モータ51側に侵入してしまうのが防止される。
ここで、本体ベース部103には、挿通孔103aを挟んで電源端子接続部102とは反対側(図3における下側)に、切除部103bが形成されている。この切除部103bを介し、センタープレート43の電源端子接続部102とは反対側が、ブラシホルダ33側に露出するようになっている。この露出した部位に、本体ベース部103の中心から電源端子接続部102とは反対側に配置されている2つのブラシ41から延びるピグテール108bがそれぞれスポット溶接等の固定手段により電気的に接続されている。センタープレート43は、ハウジング17、及び車体を介して、外部バッテリ(何れも不図示)の陰極に電気的に接続されている。
すなわち、ブラシホルダ33に配置されている4つのブラシ41は、2つの陽極側ブラシと2つの陰極側ブラシとで構成され、このうち2つの陽極側ブラシが本体ベース部103の中心から電源端子接続部102側に配置される。そして、ここに配置された2つの陽極側ブラシ(ブラシ41)のピグテール108aが、第一固定接点板34aに電気的に接続される。
一方、本体ベース部103の中心から電源端子接続部102側に2つの陰極側ブラシ(ブラシ41)が配置され、これら陰極側ブラシのピグテール108bがセンタープレート43に電気的に接続される。そして、固定接点板34に可動接点板8が当接すると、ターミナルボルト44b、固定接点板34、及びピグテール108aを介して2つの陽極側ブラシに電圧が印加され、コイル59に電流が供給されるようになっている。
モータヨーク53のエンドプレート55とは反対側には、有底筒状のトッププレート12が設けられている。トッププレート12には、アーマチュアコア58側の内面に、遊星歯車機構2が設けられている。
遊星歯車機構2は、回転軸52と一体成形されているサンギヤ13と、サンギヤ13に噛合され、サンギヤ13を中心に公転する複数のプラネタリギヤ14と、これらプラネタリギヤ14の外周側に設けられた環状の内歯リングギヤ15とにより構成されている。
複数のプラネタリギヤ14は、キャリアプレート16により連結されている。キャリアプレート16には、各プラネタリギヤ14に対応する位置に、それぞれ支持シャフト16aが立設されており、ここにプラネタリギヤ14が回転自在に支持されている。また、キャリアプレート16の径方向略中央には、出力軸4がセレーション接合により噛合されている。
内歯リングギヤ15は、トッププレート12のアーマチュアコア58側の内面に一体成形されている。トッププレート12の内周面における径方向略中央には、滑り軸受12aが設けられている。滑り軸受12aは、回転軸52と同軸上に配置されている出力軸4の他方側端(図1における右側端)を回転自在に支持している。
また、トッププレート12には、出力軸4、クラッチ機構5、ピニオンギヤ機構70、及び電磁装置9等が内装されており、不図示のエンジンにスタータ1を固定するためのアルミニウム製のハウジング17が装着されている。ハウジング17は、軸方向一方側(図1における左側)に底部17cを有し、軸方向他方側(図1における右側)に開口部17aを有する有底筒状にダイカスト鋳造にて形成されている。
ハウジング17の開口部17a側には、トッププレート12が開口部17aを閉塞するように接合されている。
ハウジング17の開口部17a側の外周面には、軸方向に沿うように雌ネジ部17bが刻設されている。また、モータヨーク53の軸方向他方側(図1における右端側)に配置されたエンドプレート55には、雌ネジ部17bに対応する位置にボルト孔55aが形成されている。このボルト孔55aにボルト95を挿入し、雌ネジ部17bにボルト95を螺入することによって、モータ部3とハウジング17とが一体化される。
ハウジング17の内壁には、後述するクラッチアウタ18のモータ部3側への変位を規制するリング状のストッパ94が設けられている。このストッパ94は、樹脂やゴム等により形成され、クラッチアウタ18が当接した際の衝撃を緩和できるようになっている。
ハウジング17の底部17cには、出力軸4と同軸に、有底の軸受孔47が形成されている。軸受孔47の内径は、出力軸4の外径よりも大きく設定されている。
また、軸受孔47の軸受圧入部47aには、出力軸4の一方側端(図1における左側端)を回転自在に支持するための滑り軸受17dが圧入固定されている。この滑り軸受17dには所望の基油からなる潤滑油が含浸されており、出力軸4を円滑に摺接させることができるようになっている。
また、軸受孔47の底部には、ハウジング17の底部17cと出力軸4の一方側端面4cとの間に、荷重受部材50が配置されている。荷重受部材50は、平板状の金属部材であり、例えばプレスにより形成されたリング状のワッシャが採用される。荷重受部材50は、硬度が出力軸4よりも高く耐摩耗性に優れた材料により形成されている。
尚、荷重受部材50の周囲には、出力軸4の一方側端面4cとの摺接時の摩擦を軽減するためのグリスが塗布されている。このグリスに、滑り軸受17dに含浸される潤滑油と同種の基油を含むものが採用されているため、滑り軸受17dの潤滑油を長期間保持できるようになっている。
一方、出力軸4の軸方向他方側端(図1における右側端)には、回転軸52の一方側端(図1における左側端)を挿入可能な凹部4aが形成されている。凹部4aの内周面には、滑り軸受4bが圧入されており、出力軸4と回転軸52とが相対回転可能に連結される。
(クラッチ機構)
出力軸4の軸方向略中央には、ヘリカルスプライン19が形成されている。ヘリカルスプライン19には、クラッチ機構5がヘリカル噛合されている。
クラッチ機構5は、略円筒状のクラッチアウタ18と、このクラッチアウタ18と同軸に形成されたクラッチインナ22と、クラッチアウタ18、及びクラッチインナ22を一体的に固定するクラッチカバー6とを有している。
クラッチ機構5としては、所謂公知のワンウェイクラッチ機能が採用されている。すなわち、クラッチ機構5は、クラッチインナ22にクラッチアウタ18側からの回転力を伝達する一方、クラッチアウタ18にクラッチインナ22側からの回転力を伝達しないように構成されている。これにより、エンジン始動時に、クラッチアウタ18の回転速度よりもクラッチインナ22の回転速度が速くなるオーバーラン状態になった際、エンジンのリングギヤ23側からの回転力を遮断することができる。
また、クラッチ機構5は、クラッチアウタ18とクラッチインナ22との間に生じるトルク差、及び回転速度差が所定値以内の場合、互いに回転力を伝達する一方、トルク差、及び回転速度差が所定値を越えた場合、回転力の伝達が遮断される所謂トルクリミッタ機能も備えている。
クラッチアウタ18の軸方向他方側(図1における右側)には、縮径されたスリーブ18aが一体成形されている。この内周面に、出力軸4のヘリカルスプライン19に噛合するヘリカルスプライン18bが形成されている。これにより、クラッチ機構5は、出力軸4に対し、軸方向にスライド移動可能になる。尚、出力軸4のヘリカルスプライン19、及びクラッチアウタ18のヘリカルスプライン18bの傾斜角度は、軸方向に対して例えば16°程度に設定されている。
クラッチアウタ18の内周面におけるスリーブ18aの軸方向一方側には、段差部18cが形成されている。段差部18cの内周面は、スリーブ18aの内周面よりも大径に形成されており、段差部18cの内周面と出力軸4の外周面との間には空間が形成される。この空間には、後述するリターンスプリング21が配置されている。
クラッチアウタ18の外周面18dには、クラッチカバー6が、例えばカシメ等により固定されている。
クラッチインナ22は、クラッチアウタ18のスリーブ18aよりも拡径形成されており、クラッチインナ22、段差部18cの内周面、及び出力軸4との間に、空間が形成されている。この空間には、後述するリターンスプリング21が配置されている。
クラッチインナ22の外周面には、クラッチアウタ18の軸方向一方側端面と径方向で対応した位置に、略円盤状のクラッチワッシャ64が外嵌固定されている。
クラッチワッシャ64の軸方向一方側(図1における左側)には、規制段差部22bが形成されている。規制段差部22bは、クラッチインナ22の外周面が全周にわたって径方向外側に張り出して形成されている。規制段差部22bは、ピニオンギヤ74の軸方向他方側(図1における右側)に形成された延長筒部74dと当接することにより、ピニオンギヤ74の軸方向他方側へのスライド移動量を規制する第一規制部97を構成している。
クラッチカバー6は、本体筒部68と、本体筒部68の軸方向一方側(図1における左側)の底壁66とを有する有底筒状の部材であり、例えば鉄等の金属板材を絞り加工することにより形成されている。
本体筒部68は、クラッチアウタ18、及びクラッチワッシャ64に外挿され、本体筒部68の軸方向他方側の縁部をクラッチアウタ18の軸方向他方側端面にカシメることにより、クラッチアウタ18、及びクラッチワッシャ64に固定される。
クラッチカバー6の底壁66には、径方向略中央に、軸方向一方側と軸方向他方側とを貫通する開口が形成されており、ここに出力軸4が挿通されている。また、底壁66の開口には、軸方向一方側に向かって延びる補強筒部67が一体的に形成されている。補強筒部67は、出力軸4と同心円状に形成されている。補強筒部67の内径は、規制段差部22bの外径よりも大きく設定されている。これにより、補強筒部67は、規制段差部22bと干渉することなく、規制段差部22bの径方向外側に配置される。
出力軸4のヘリカルスプライン19よりも一方側(図1における左側)には、移動規制部20が設けられている。
移動規制部20は、出力軸4に外嵌された略リング状の部材であり、サークリップ20aによって軸方向一方側への移動が規制された状態で設けられている。また、移動規制部20は、この直径がクラッチアウタ18に形成された段差部18cと干渉可能なように、段差部18cの内周面よりも大径に設定されている。
そして、クラッチ機構5が軸方向一方側にスライド移動したときには、クラッチアウタ18の段差部18cと移動規制部20とが干渉するようになっている。これにより、クラッチ機構5、及びピニオンギヤ機構70の軸方向一方側へのスライド移動量が規制される。
移動規制部20とクラッチアウタ18のスリーブ18aとの間であって、且つ段差部18cの内周面と出力軸4の外周面との間には、出力軸4を取り囲むように形成されたリターンスプリング21が、圧縮変形した状態で設けられている。これにより、クラッチアウタ18は、常時モータ部3側へ向かって押し戻されるように付勢された状態になる。
このように形成されたクラッチ機構5には、クラッチインナ22の先端に、ピニオンギヤ機構70が一体的に設けられている。
(ピニオンギヤ機構)
ピニオンギヤ機構70は、クラッチインナ22の先端に一体成形された筒状のピニオンインナ71を有している。ピニオンインナ71の内周面には、軸方向両側にそれぞれ出力軸4にピニオンインナ71を摺動可能に支持するための2つの滑り軸受72,72が設けられている。
一方、ピニオンインナ71の外周面には、クラッチ機構5とは反対側である先端側に、スプライン73が形成されている。このスプライン73には、不図示のエンジンのリングギヤ23に噛合可能なピニオンギヤ74がスプライン噛合されている。すなわち、ピニオンインナ71の先端側に、スプライン73が形成されている一方、ピニオンギヤ74の内周面の先端側に、スプライン73に噛合うスプライン74aが形成されている。これにより、ピニオンインナ71とピニオンギヤ74とは、互いに相対回転不能、且つ軸方向にスライド移動可能に設けられた状態になる。
ここで、リングギヤ23、及びピニオンギヤ74は、はすば歯車(ヘリカルギヤ)で構成されている。リングギヤ23とピニオンギヤ74との歯のねじれ方向は、ピニオンギヤ74がリングギヤ23を駆動する状態でピニオンギヤ74に飛び込み方向のスラスト荷重が発生するように設定されている。
また、リングギヤ23、及びピニオンギヤ74は、スタータ1の通電状態において、最大噛み合い代L1(図1における下側参照)は、リングギヤ23の軸方向の幅と略同一となるように設定されている。
ピニオンギヤ74の内周面には、スプライン74aの後端側に、段差部74cを介して拡径された拡径部75が形成されており、ピニオンインナ71とピニオンギヤ74との間に収納部76が形成されている。
収納部76のクラッチ機構5側に形成されている開口部は、クラッチインナ22の基端側に設けられた段差部71aによって閉塞された状態になっている。すなわち、ピニオンギヤ74は、ピニオンインナ71によって軸方向に摺動可能に支持された状態になっている。これにより、ピニオンギヤ74は、ピニオンインナ71に対して大きくがたつくことなく軸方向にスライド移動する。
収納部76には、ピニオンインナ71の外周面を取り囲むように形成されたピニオンスプリング11が収納されている。ピニオンスプリング11は、収納部76に収納された状態で、ピニオンギヤ74の拡径部75の段差部74cと、ピニオンインナ71の段差部71aとにより圧縮変形されている。これによりピニオンギヤ74は、ピニオンインナ71に対してリングギヤ23側に向かって付勢された状態になる。
ピニオンスプリング11は、ピニオンギヤ74とリングギヤ23とが当接したときに軸方向に弾性変形することで衝撃を吸収する、ダンパ機構として機能している。これにより、ピニオンギヤ74、及びリングギヤ23の摩耗を抑制し、スタータ1の耐久性向上を図っている。
ピニオンギヤ74の軸方向他方側(図1における右側)の端面には、軸方向他方側に向かって延びる延長筒部74dが設けられている。延長筒部74dは、出力軸4と同心円状に形成されている。延長筒部74dは、ピニオンスプリング11が弾性変形してピニオンギヤ74が軸方向他方側(図1における右側)にスライド移動したとき、クラッチインナ22の規制段差部22bと当接するようになっている。
すなわち、ピニオンギヤ74の延長筒部74d、及びクラッチインナ22の規制段差部22bは、互いに当接することでピニオンギヤ74の軸方向他方側への移動を規制する第一規制部97を構成している。
ここで、延長筒部74dの外径は、クラッチカバー6の開口部66aの直径及び補強筒部67の内径よりも小さく設定されている。これにより、ピニオンギヤ74が軸方向他方側に移動しても、延長筒部74dがクラッチカバー6と干渉することなく、規制段差部22bと当接できる。
ここで、第一規制部97を構成するピニオンギヤ74の延長筒部74dと、クラッチインナ22の規制段差部22bとの離間距離L2は、
L1>L2・・・(1)
を満たすように設定されている。このように設定することで、リングギヤ23から離間する方向にピニオンギヤ74がピニオンスプリング11の離間距離L2だけスライド移動しても、ピニオンギヤ74とリングギヤ23との噛合が外れることがない。
また、ピニオンインナ71の軸方向一方側(図1における左側)には、出力軸4に外嵌固定された止め輪77が設けられている。これにより、ピニオンインナ71に対して出力軸4の一方側にピニオンギヤ74が抜けるのが規制される。
(電磁装置)
ハウジング17の内周面には、クラッチ機構5よりもモータ部3側に、電磁装置9を構成するヨーク25が内嵌固定されている。ヨーク25は磁性材からなる有底筒状に形成されており、底部25aの径方向略中央の大部分が大きく開口されている。
また、ヨーク25の底部25aとは反対側端には、磁性材からなる円環状のプランジャホルダ26が設けられている。プランジャホルダ26の径方向内側には、軸方向他方側に向かって延出された円筒部26aが一体成形されている。これにより、後述するギヤプランジャ80の鉄心88との離間距離が狭くなるので、プランジャホルダ26による鉄心88の吸引力を上げることができる。
ヨーク25、及びプランジャホルダ26によって径方向内側に形成される収納凹部25bには、略円筒状に形成された励磁コイル24が収納されている。励磁コイル24は、コネクタを介してイグニションスイッチ(何れも不図示)に電気的に接続されている。
励磁コイル24の内周面と出力軸4の外周面との間の空隙には、プランジャ機構37が励磁コイル24に対して軸方向にスライド移動可能に設けられている。
プランジャ機構37は、磁性材で形成された略円筒状のスイッチプランジャ27と、このスイッチプランジャ27と出力軸4の外周面との間の空隙に配置されたギヤプランジャ80とを有している。これらスイッチプランジャ27とギヤプランジャ80とは、互いに同心円上に設けられ、軸方向に相対移動可能に設けられている。また、プランジャホルダ26とスイッチプランジャ27との間には、両者を離反方向に付勢する板ばね材からなるスイッチリターンスプリング27aが配設されている。
(スイッチシャフト)
スイッチプランジャ27のモータ部3側端には、外フランジ部29が一体的に成形されている。この外フランジ部29の外周部側には、モータ部3のトッププレート12を貫通するスイッチシャフト30がホルダ部材30aを介して軸方向に沿って立設されている。スイッチシャフト30は、基端側に配置されたプランジャ係合部131と、このプランジャ係合部131からブラシホルダ33側に向かって突出する摺動軸132と、摺動軸132からさらにブラシホルダ33側に向かって突出し、摺動軸132よりも段差により縮径形成された先端部133とが一体成形されたものである。
プランジャ係合部131は、スイッチプランジャ27の外フランジ部29にホルダ部材30aを介して係合可能に形成されている。これにより、スイッチプランジャ27とスイッチシャフト30とが一体化される。
摺動軸132は、ブラシホルダ33のシャフト挿入部112に挿入され、このシャフト挿入部112内をスライド移動可能に摺動する。摺動軸132には、プランジャ係合部131側の端部から先端部133側の端部のやや手間に至る間に、軸方向に沿う3つの溝条部134が周方向に略等間隔に形成されている。
これら溝条部134は、摺動軸132とシャフト挿入部112との間に浸入する水を溝条部134内に局所的に誘導し、シャフト挿入部112に対する水の接触面積を小さくしたり、摺動軸132とシャフト挿入部112との間に、所定量以上の水溜まらないように排水したりするためのものである。このように構成することで、例え、摺動軸132とシャフト挿入部112との間に浸入した水が凍結した場合であっても、この氷着力を電磁装置9の磁力よりも小さくすることができる。
先端部133には、ブラシ付直流モータ51のコンミテータ61に隣接配置された、スイッチユニット7の可動接点板8が連結されている。可動接点板8は、スイッチシャフト30に対して軸方向に沿ってスライド移動可能に取り付けられていると共に、スイッチスプリング32によって摺動軸132部側に付勢された状態で支持されている。
ここで、摺動軸132の先端部133側の端部は、可動接点板8を受ける座面135として機能する。摺動軸132に形成されている溝条部134は、先端部133側の端部のやや手間までしか形成されていないので、座面135の断面積は、摺動軸132の溝条部134が形成されている箇所の断面積よりも大きくなる。このため、座面135に対する可動接点板8の面圧を低減できると共に、座面135自体の剛性も高めることができる。よって、座面135の可動接点板8に対する耐摩耗性を向上させることができる。
このような構成のもと、可動接点板8は、ブラシホルダ33に固定されているスイッチユニット7の固定接点板34に対し、当接・離間可能になる。すなわち、固定接点板34を構成する第一固定接点板34a、及び第二固定接点板34bに、可動接点板8が跨るように当接する。可動接点板8が出力軸4に沿ってストロークし、第一固定接点板34a、及び第二固定接点板34bに当接することにより、第一固定接点板34a及び第二固定接点板34bがON状態となって電気的に接続される。
また、スイッチプランジャ27の内周面には、ギヤプランジャ80に対して当接・離間可能なリング部材28が一体的に設けられている。リング部材28は、スイッチプランジャ27がリングギヤ23側へ向かって移動する際、初期的にギヤプランジャ80をリングギヤ23側に向かって押圧するためのものである。
クラッチ機構5のクラッチアウタ18は、リターンスプリング21によりプランジャインナ81へ向かって付勢されている。したがって、スタータ1の静止状態(図1における中心線より上側)において、クラッチ機構5は、ギヤプランジャ80、及びリング部材28を介して、スイッチプランジャ27を軸方向他方側(図1における右側)に向かって押圧している。これにより、可動接点板8が軸方向他方側に向かって押圧され、固定接点板34と離間したOFF状態となる。
ここで、スタータ1の静止状態(図1における中心線より上側)における可動接点板8と固定接点板34との離間距離、すなわち可動接点板8がOFF状態からON状態になる際の可動接点板8の軸方向に沿ったストローク量をL3とし、リングギヤ23とピニオンギヤ74との最大離間距離をL4としたとき、ストローク量L3、及び最大離間距離L4は、
L3>L4・・・(2)
を満たすように設定されている。したがって、電磁装置9がピニオンギヤ74と可動接点板8とを軸方向一方側(図1における左側)にスライド移動させたときに、可動接点板8がON状態となる前に、ピニオンギヤ74がリングギヤ23に当接する。
スイッチプランジャ27の径方向内側に配置されたギヤプランジャ80は、径方向内側に配置されたプランジャインナ81と、径方向外側に配置されたプランジャアウタ85と、プランジャインナ81とプランジャアウタ85との間に配置されるプランジャスプリング91とを備えている。
プランジャインナ81は、樹脂等により略円筒形状に形成されている。プランジャインナ81の内径は、出力軸4に外挿可能なように、出力軸4の外径よりも若干大きく設定されている。これにより、プランジャインナ81は、出力軸4に対して軸方向にスライド移動可能に設けられている。
プランジャインナ81の軸方向一方側端81a(図1における左側端)には、径方向外側に張り出した外フランジ部82が一体成形されている。プランジャインナ81が軸方向一方側にスライド移動したとき、プランジャインナ81の軸方向一方側端81aがクラッチアウタ18の軸方向他方側端と当接し、クラッチ機構5、及びピニオンギヤ機構70を軸方向一方側にスライド移動させている。
プランジャインナ81の軸方向他方側端81b(図1における右側端)には、軸方向他方側から軸方向一方側に向かって漸次外径が大きくなる爪部83が周方向に沿って複数形成されている。また、爪部83の軸方向一方側(図1における左側)には、周方向に沿って溝部84が形成されている。
プランジャアウタ85は、プランジャインナ81と同様に樹脂等により略円筒形状に形成されている。プランジャアウタ85の内径は、プランジャインナ81の外フランジ部82の外径よりも若干大きく設定されており、プランジャインナ81に外挿されている。
プランジャアウタ85の軸方向他方側端85a(図1における右側端)には、径方向内側に張り出した内フランジ部86が一体的に形成されている。
内フランジ部86の内径は、プランジャインナ81の爪部83の外径よりも小さく、且つプランジャインナ81の溝部84の底部の外径よりも大きくなるように設定されている。そして、プランジャインナ81の溝部84内にプランジャアウタ85の内フランジ部86を配置することで、プランジャインナ81とプランジャアウタ85とが一体化され、プランジャ機構37が構成される。
プランジャアウタ85の内フランジ部86の厚さは、プランジャインナ81の溝部84の幅よりも薄く形成されている。これにより、プランジャアウタ85の内フランジ部86とプランジャインナ81の溝部84との間にはクリアランスが設けられる。したがって、プランジャインナ81とプランジャアウタ85とは、プランジャアウタ85の内フランジ部86とプランジャインナ81の溝部84とのクリアランス分だけ、軸方向に相対的にスライド移動可能となっている。
プランジャアウタ85の軸方向他方側端85a(図1における右側端)には、径方向外側に張り出した外フランジ部87が一体的に形成されている。外フランジ部87は、スイッチプランジャ27のリング部材28と当接する当接部として機能している。
また、外フランジ部87の軸方向一方側(図1における左側)であって、プランジャアウタ85の外周面には、リング状の鉄心88が設けられている。鉄心88は、例えば樹脂モールドにより、プランジャアウタ85と一体成型されている。鉄心88は、励磁コイル24に電流が供給されたときに発生する磁束により吸引される。
プランジャインナ81の外フランジ部82と、プランジャアウタ85の内フランジ部86との間には、収納部90が形成されている。収納部90には、プランジャインナ81の外周面を取り囲むように形成されたプランジャスプリング91が収納されている。
プランジャスプリング91は、収納部90に収納された状態で、プランジャインナ81の外フランジ部82と、プランジャアウタ85の内フランジ部86とにより圧縮変形させられている。そして、プランジャインナ81は軸方向一方側(図1における左側)に向かって、プランジャアウタ85は軸方向他方側(図1における右側)に向かって、互いに付勢された状態となっている。
これにより、図1に示すように、スタータ1の静止状態(図1における中心線より上側の状態)においては、プランジャスプリング91により、プランジャインナ81が軸方向一方側(図1における左側)に向かって付勢される。一方、プランジャアウタ85が他方側(図1における右側)に向かって付勢される。
プランジャインナ81の一方側端81aと、クラッチアウタ18の他方側端は、互いに接触しておらず、これにより、クラッチアウタ18は、リターンスプリング21のばね荷重によって、ストッパ94に押圧された状態になる。したがって、スタータ1の静止状態では、プランジャスプリング91のばね荷重によって、クラッチ機構5を押出さない、つまり、ピニオンギヤ機構70を不用意に押出さないように設定されていることになる。
また、スタータ1の通電状態(図1における中心線より下側の状態)において、ギヤプランジャ80が軸方向一方側(図1における左側)に最大変位したとき、プランジャインナ81の軸方向一方側端81aは、常にクラッチ機構5のクラッチアウタ18の軸方向他方側端と当接した状態になる。
すなわち、プランジャスプリング91は、クラッチ機構5とギヤプランジャ80との間における軸方向の空隙の発生を防止し、クラッチ機構5のガタつきを吸収するガタ吸収機構を構成している。
(スタータの動作)
続いて、図1、図6〜図8に基づいて、スタータ1の動作について説明する。
図1における中心線の上側の状態に示すように、励磁コイル24に電流を供給する前のスタータ1の静止状態では、リターンスプリング21に付勢されたクラッチアウタ18が、ピニオンギヤ74と一体化されているクラッチインナ22を引張った状態でモータ部3側(図1における右側)へ一杯に付勢されている。そして、クラッチ機構5のクラッチアウタ18がストッパ94に当接した位置で停止しており、ピニオンギヤ74とリングギヤ23とが最大離間距離L4を有した状態で結合が断たれている。
また、スタータ1の静止状態では、プランジャインナ81の軸方向一方側端81aとクラッチアウタ18の軸方向他方側端とは僅かにクリアランスをもった状態とされている。これにより、クラッチアウタ18は、リターンスプリング21のばね荷重によって、ストッパ94に押圧された状態になっている。したがって、スタータ1の静止状態では、プランジャスプリング91のばね荷重によって、クラッチ機構5を押圧しない、つまり、不用意にピニオンギヤ機構70をリングギヤ23側に押出さないように設定されていることになる。
さらに、スイッチプランジャ27は、スイッチリターンスプリング27aにより押し戻され、モータ部3側(図1における右側)へ一杯に移動している。そして、スイッチプランジャ27の外フランジ部29がトッププレート12に当接した状態で停止している。さらに、外フランジ部29に立設されているスイッチシャフト30の可動接点板8は、固定接点板34に対して距離L3(すなわち可動接点板8のストローク量L3)だけ離間しており、電気的に切断されている。
図6は、スイッチプランジャ27の移動直後の説明図であり、(a)は、スタータ1の動作を示し、(b)は、ピニオンギヤ74の動作を示す。尚、図6(b)は、ピニオンギヤ74及びリングギヤ23を径方向から見たときの模式図となっている。また、図6(b)において、移動前のピニオンギヤ74を2点鎖線で図示している。
図6(a)に示すように、スイッチプランジャ27の移動直後の状態から車両のイグニションスイッチ(不図示)をオンすると、励磁コイル24に電流が供給されて励磁され、スイッチプランジャ27、及びギヤプランジャ80を磁束が通る磁路が形成される。これにより、スイッチプランジャ27、及びギヤプランジャ80がリングギヤ23側(図6(a)における左側)へ向かってスライド移動する。
図1に示すように、スタータ1の静止状態において、スイッチプランジャ27とプランジャホルダ26とのギャップ(軸方向クリアランス)は、ギヤプランジャ80の鉄心88とプランジャホルダ26とのギャップ(軸方向クリアランス)よりも小さく設定されている。このため、スイッチプランジャ27に発生する吸引力は、ギヤプランジャ80に発生する吸引力よりも大きいので、ギヤプランジャ80に先行してスイッチプランジャ27がスライド移動しようとする。
このとき、スイッチプランジャ27の内周面にリング部材28が一体的に設けられていることから、このリング部材28がギヤプランジャ80を押圧し、初期的にギヤプランジャ80をリングギヤ23側に向かって押圧することで、スイッチプランジャ27、及びギヤプランジャ80が一体となってリングギヤ23側へ向かってスライド移動する。
また、クラッチアウタ18は、出力軸4にヘリカルスプライン噛合されており、スリーブ18aがギヤプランジャ80のプランジャインナ81と当接している。ここで、出力軸4のヘリカルスプライン19、及びクラッチアウタ18のヘリカルスプライン18bの傾斜角度は、軸方向に対して例えば16°程度に設定されている。
したがって、図6(a)に示すように、スイッチプランジャ27、及びギヤプランジャ80がリングギヤ23側へスライド移動すると、クラッチアウタ18が、出力軸4に対してヘリカルスプライン18bの傾斜角度分、若干相対回転しながら押出される。さらに、ピニオンギヤ機構70も、クラッチ機構5を介してギヤプランジャ80のスライド移動に連動し、リングギヤ23側へ押出される。
このとき、図6(b)に示すように、リングギヤ23側にリングギヤ23とピニオンギヤ74との最大離間距離L4だけピニオンギヤ74が軸方向一方側(図6(b)における左側)に移動する。そして、ピニオンギヤ74の軸方向一方側端面74bと、リングギヤ23の軸方向他方側(図6(b)における右側)端面23aとが当接するか、又は両者間の軸方向寸法距離がゼロの状態になる。
また、このとき、スイッチプランジャ27は、ギヤプランジャ80と一体となってリングギヤ23側へ向かってスライド移動するため、スイッチプランジャ27、及びこれと連動する可動接点板8も、最大離間距離L4だけ軸方向一方側(図6(b)における左側)に移動する。
ここで、可動接点板8のストローク量L3、及びリングギヤ23とピニオンギヤ74との最大離間距離L4は、
L3>L4・・・(4)
を満たすように設定されている。したがって、ピニオンギヤ74との最大離間距離L4だけ軸方向一方側(図6(a)における左側)に移動したときであっても、可動接点板8と固定接点板34との間に、ストローク量L3と最大離間距離L4との差に等しいクリアランスCを有した状態で、可動接点板8がOFF状態となっている。すなわち、可動接点板8がON状態となる前に、ピニオンギヤ74の軸方向一方側端面74bとリングギヤ23の軸方向他方側(図6(b)における右側)端面23aとが当接するか、又は両者間の軸方向寸法距離がゼロの状態となる。
図7は、可動接点板8と固定接点板34とが当接したときの説明図であり、(a)は、スタータ1の動作を示し、(b)は、ピニオンギヤ74の動作を示す。
図7(a)に示すように、スイッチプランジャ27が吸引され、さらにリングギヤ23側へ向かってスライド移動すると、可動接点板8のストローク量L3が最大になり、固定接点板34に接触する。可動接点板8は、スイッチシャフト30に対して軸方向に変位可能なように浮動支持されているので、スイッチスプリング32の押圧力が可動接点板8、及び固定接点板34に加わることになる。
このとき、ピニオンギヤ74の軸方向一方側端面74bと、リングギヤ23の軸方向他方側端面23aとは、互いに当接するか、又は両者間の軸方向寸法距離がゼロの状態になる(図6(b)参照)。このため、ピニオンギヤ74の軸方向一方側端面74bと、リングギヤ23の軸方向他方側端面23aとが互いに当接していた場合、スイッチプランジャ27によってピニオンギヤ機構70がさらに押出されると、ピニオンスプリング11が縮む。これにより、ピニオンギヤ74の軸方向一方側端面74bは、リングギヤ23の軸方向他方側端面23aに向かって付勢される。
すなわち、ピニオンスプリング11は、ピニオンギヤ74とリングギヤ23とが当接したときのスラスト荷重を吸収するダンパ機構として機能している。したがって、ピニオンギヤ74の軸方向一方側端面74bと、リングギヤ23の軸方向他方側端面23aとが互いに当接していた状態であっても、スイッチプランジャ27を所定の位置にまで押出すことができると共に、ピニオンギヤ74の軸方向一方側端面74b、及びリングギヤ23の軸方向他方側端面23aの摩耗を抑制でき、スタータ1の耐久性向上を図ることができる。
さらに、このとき、ピニオンギヤ74とクラッチ機構5は、ピニオンスプリング11が縮むことにより、相対的に近接するようにスライド移動する。そして、ピニオンギヤ74がピニオンスプリング11の離間距離L2だけ軸方向他方側にスライド移動すると、ピニオンギヤ74の延長筒部74dと、クラッチインナ22の規制段差部22bとが当接して第一規制部97が機能する。これにより、ピニオンギヤ74とクラッチ機構5との相対スライド移動量が規制される。
ここで、クラッチカバー6の補強筒部67は、第一規制部97を構成する延長筒部74d及び規制段差部22bよりも径方向外側に配置されている。したがって、クラッチカバー6の補強筒部67と第一規制部97とが干渉することなく、ピニオンスプリング11によるダンパ機構が機能できる。
続いて、固定接点板34に可動接点板8が接触すると、4つのブラシ41のうちの2つの陽極側ブラシに不図示の外部バッテリの電圧が印加され、コンミテータ61のセグメント62を介してコイル59が通電される。
すると、アーマチュアコア58に磁界が発生し、この磁界とモータヨーク53に設けられている永久磁石57との間で磁気的な吸引力や反発力が生じる。これにより、アーマチュア54が回転し始める。そして、アーマチュア54が回転することにより、このアーマチュア54の回転軸52の回転力が遊星歯車機構2を介して出力軸4に伝達され、出力軸4が回転し始める。
出力軸4が回転し始めると、ピニオンギヤ74の軸方向一方側端面74bとリングギヤ23の軸方向他方側端面23aとが当接していた場合には、その当接状態(図6(b)参照)が解除される。そして、図7(b)に示すように、ピニオンスプリング11の付勢力により、ピニオンギヤ74がリングギヤ23側に押出され、ピニオンギヤ74とリングギヤ23とが噛合し始める。
図8は、ピニオンギヤ74とリングギヤ23とが噛合したときの説明図であり、(a)は、スタータ1の動作を示し、(b)は、ピニオンギヤ74の動作を示す。
図8(a)に示すように、出力軸4の回転速度が上昇すると、出力軸4のヘリカルスプライン19に噛合されたクラッチアウタ18に慣性力が作用する。このとき、ピニオンギヤ74とリングギヤ23とがヘリカル噛合していることから、ピニオンギヤ74にリングギヤ23方向(飛び込み方向)へのスラスト荷重が発生する。
そして、このスラスト荷重によってピニオンギヤ74はヘリカルスプライン19に沿うように、リターンスプリング21の付勢力に抗してリングギヤ23側(図8(a)における左側)へ向かって移動する。また、クラッチアウタ18も、慣性力によってヘリカルスプライン19に沿うように、リターンスプリング21の付勢力に抗してリングギヤ23側(図8における左側)へ向かって押し出される。
このとき、ギヤプランジャ80には、リングギヤ23側へ向かう吸引力F3が作用している。したがって、ギヤプランジャ80は、クラッチアウタ18のスライド移動に連動するように、クラッチアウタ18を押圧しつつリングギヤ23側へ向かってスライド移動する。これにより、図8(b)に示すように、ピニオンギヤ74とリングギヤ23とが所定の噛み合い位置で噛合する。
ここで、ピニオンギヤ74とリングギヤ23とはヘリカル噛合しているため、出力軸4の回転力をピニオンギヤ74からリングギヤ23に伝達すると、ピニオンギヤ74には軸方向一方側(図8(a)における左側)に向かってスラスト荷重が発生する。ピニオンギヤ74に発生したスラスト荷重は、ピニオンギヤ74の一方側に設けられた止め輪77に伝達された後、ピニオンインナ71、クラッチインナ22、クラッチアウタ18、移動規制部20、及びサークリップ20aを介し、出力軸4に伝達される。このため、出力軸4には一方側(図8(a)における左側)に向かってスラスト荷重が発生し、一方側に向かってスライド移動する。
しかしながら、ハウジング17の底部17cには、荷重受部材50が設けられているので、この荷重受部材50に出力軸4の一方側端面4cが当接し、出力軸4の軸方向一方側(図8(a)における左側)へのスライド移動が規制される。これにより、出力軸4に加わるスラスト荷重を効果的に受けることができる。
一方、ピニオンギヤ74とリングギヤ23との噛合後、エンジン始動時におけるクランキングの際には、リングギヤ23の回転速度に変動が生じる。これにより、ピニオンギヤ74には軸方向一方側(図8(a)における左側)、及び軸方向他方側(図8(a)における右側)に向かってスラスト荷重が発生する。
具体的には、リングギヤ23の回転速度がピニオンギヤ74の回転速度よりも低いときには、ピニオンギヤ74にはリングギヤ23に接近する方向(図8(a)における左側)にスラスト荷重が発生する。また、リングギヤ23の回転速度がピニオンギヤ74の回転速度よりも高いときには、ピニオンギヤ74にはリングギヤ23から離間する方向(図8(a)における右側)にスラスト荷重F2が発生する。
特に、アイドルストップ機能を備えた車両においては、エンジンの停止/始動が頻繁に行われ、一般のスタータよりも使用頻度が高まるため、上述のようなスラスト荷重が頻繁に発生する。
ピニオンギヤ74に発生したスラスト荷重は、ピニオンギヤ74の軸方向一方側に設けられた止め輪77に伝達された後、ピニオンインナ71、クラッチインナ22、及びクラッチワッシャ64を介し、クラッチカバー6の底壁66に伝達される。しかしながら、底壁66には補強筒部67が形成されているので、クラッチカバー6の軸方向への変形が抑制される。
エンジンが始動し、ピニオンギヤ74の回転速度が出力軸4の回転速度を上回ると、クラッチ機構5のワンウェイクラッチ機能が作用してピニオンギヤ74が空転する。また、エンジンが始動に伴って励磁コイル24への通電を停止すると、クラッチアウタ18に対するリターンスプリング21の付勢力により、ピニオンギヤ74がリングギヤ23から離脱すると共に、可動接点板8が固定接点板34から離間してブラシ付直流モータ51が停止する。
(ブラシホルダの組み立て方法)
次に、図1〜図5に基づいて、ブラシホルダ33の組み立て方法について説明する。
図1〜図5に示すように、ブラシホルダ33にブラシ41、スイッチシャフト30、固定接点板34、軸端子44a、ターミナルボルト44b等を組み付けた後、モータヨーク53にブラシホルダ33を取り付ける。
モータヨーク53にブラシホルダ33を取り付けるにあたって、まず、ブラシホルダ33の向きを、本体ベース部103、及び電源ベース部109がモータヨーク53とは反対側を向くようにする。そして、モータヨーク53の凹部115に、凹部115の軸方向開口側からブラシホルダ33の電源端子接続部102を挿入するようにして、モータヨーク53の開口部53aに、ブラシホルダ33のホルダ本体101を内嵌させる。このとき、モータヨーク53の凹部115に、電源端子接続部102の括れ部113が嵌まり込み、凹部115に括れ部113が係合する。
ここで、括れ部113の周方向外側面113aは、2段の傾斜面114a,114bにより、軸方向他方側に向かうに従って末広がりとなるように形成されている。換言すれば、括れ部113の周方向外側面113aは、モータヨーク53の凹部115への挿入方向に向かって先細りになっている(図5における2点鎖線参照)。
一方、モータヨーク53の凹部115には傾斜辺116が形成されており、この傾斜辺116が開口部53aの周縁に向かうに従って末広がりになっている。このため、凹部115への電源端子接続部102の挿入作業をスムーズに行うことができる。
モータヨーク53にブラシホルダ33を取り付けた後、出力軸4、クラッチ機構5、ピニオンギヤ機構70、電磁装置9等を組み付け、ハウジング17を装着する。ハウジング17を装着することにより、ブラシホルダ33の電源端子接続部102は、モータヨーク53とハウジング17とにより挟持された状態で固定される。
続いて、電源端子接続部102から露出しているターミナルボルト44bに、外部バッテリから延びるハーネス(何れも不図示)の端子を挿入し、不図示のナットを用いてターミナルボルト44bに端子を締結固定する。
このとき、例えばトルクレンチ等の工具を用いてナットを締め付けることになる。そして、電源端子接続部102にナットを締め付ける締め付け力が伝達される。
ここで、電源端子接続部102には括れ部113が形成されており、この括れ部113をモータヨーク53の凹部115に挿入して嵌め込むことにより、モータヨーク53と電源端子接続部102とを係合させている。括れ部113は、電源端子接続部102を構成する側壁110に凹部を形成して成るので、括れ部113にナットを締め付けることによる応力が集中し易く、括れ部113の剛性が低下し易くなるという課題がある。
しかしながら、括れ部113は、の周方向外側面113aは、2段の傾斜面114a,114bにより、軸方向他方側に向かうに従って末広がりとなるように形成されており、その肉厚は、軸方向他方側に向かうに従って漸次厚肉となるように設定されている。このため、括れ部113の剛性が高まるので、括れ部113にナットを締め付けることによる応力が集中した場合であっても括れ部113の剛性の低下が抑制される。
(効果)
したがって、上述の実施形態によれば、ブラシホルダ33の電源端子接続部102に形成されている括れ部113の周方向外側面113aを、2つの傾斜面114a,114bにより構成することにより、従来と比較して括れ部113に薄肉部分が形成されてしまうことを防止でき、括れ部の剛性の低下を抑制できる。また、無駄に括れ部113の肉厚を厚肉に設定する必要がなくなり、電源端子接続部102内の空間が小さくなって部品のレイアウト性が悪化したり、電源端子接続部102内の空間を基準にした場合にブラシホルダ33自体が大型化してしまうのを抑制することができる。さらに、モータヨーク53の凹部115に電源端子接続部102の括れ部113を軸方向開口側から嵌め込むことにより、モータヨーク53への電源端子接続部102の組み付け性を向上させることができる。
また、モータヨーク53の凹部115には傾斜辺116が形成されており、この傾斜辺116が開口部53aの周縁に向かうに従って末広がりになっているので、凹部115への電源端子接続部102の挿入作業をスムーズに行うことができる。このため、さらにモータヨーク53への電源端子接続部102の組み付け性を向上させることができる。
さらに、電源端子接続部102を構成する前壁111が、この全体の肉厚(一対の側壁110,110の間)が略均一となるように形成されているので、無駄に厚肉化されてしまう部分がなく、この結果、ブラシホルダ33の大型化を防止できる。
そして、電磁装置9のスイッチシャフト30を構成する摺動軸132は、溝条部134を、先端部133側の端部のやや手間まで形成することにより、可動接点板8を受ける座面135を有している。このため、摺動軸132とシャフト挿入部112との間に浸入した水が凍結した場合であっても、この氷着力を電磁装置9の磁力よりも小さくすることができると共に、座面135の可動接点板8に対する耐摩耗性を向上させることができる。
尚、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、自動車の始動用に用いられるスタータ1を例に挙げて説明をしているが、スタータ1の適用は自動車に限定されることはなく、例えば自動二輪車等に適用してもよい。
また、上述の実施形態では、電源端子接続部102に形成されている括れ部113の周方向外側面113aを、2つの傾斜面114a,114bにより構成する場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、括れ部113の周方向外側面113aを、2段以上の複数段の傾斜面により構成し、且つ軸方向他方側(図4における下側)に向かうに従って末広がりとなるように形成されていればよい。さらに、周方向外側面113aを複数段の傾斜面により構成することにより、周方向外側面113a全体が湾曲した面に近似した状態になった場合も、本発明に含まれることはいうまでもない。
さらに、上述の実施形態では、括れ部113の周方向外側面113aが末広がりになるように形成されていると共に、モータヨーク53の凹部115に傾斜辺116を形成し、凹部115全体として、モータヨーク53における開口部53aの周縁に向かうに従って末広がりとなるように形成した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、少なくとも、括れ部113に傾斜面が形成されていればよく、凹部115が末広がり状に形成されていなくてもよい。
1 スタータ
9 電磁装置
23 リングギヤ
33 ブラシホルダ
41 ブラシ
44a 軸端子(電源端子)
44b ターミナル(電源端子)
53 モータヨーク(ヨーク)
53a 開口部
54 アーマチュア
57 永久磁石(磁極)
61 コンミテータ
70 ピニオンギヤ機構
101 ホルダ本体
102 電源端子接続部
103 本体ベース部
110 側壁
111 前壁
113 括れ部
113a 周方向外側面(外側壁面)
114a,114b 傾斜面
115 凹部
115a 側辺
115b 底辺
116 傾斜辺

Claims (5)

  1. 磁極を有する筒状のヨークの内側に回転自在に支持されるアーマチュアのコンミテータに摺接するブラシを保持するホルダ本体と、
    前記ホルダ本体の径方向外側に一体成形され、前記ブラシに電力を供給するための外部電源と接続可能な電源端子を収納可能な電源端子接続部とを備えたブラシホルダを、前記ヨークに固定するためのブラシホルダ固定構造であって、
    前記電源端子接続部は、
    軸方向一方と径方向内側とがそれぞれ開口するように形成された箱状になっており、
    前記ホルダ本体から径方向外側に向かって突出する一対の側壁と、
    これら一対の側壁の先端同士に跨るように形成された前壁とを有し、
    前記一対の側壁には、それぞれ前記ヨークの開口部周縁に形成された凹部に、この凹部の軸方向開口側から挿入されて前記凹部と係合可能な括れ部が形成されており、
    この括れ部の外側壁面は、前記軸方向開口側に向かうに従って末広がりになるように、複数段の傾斜面から成ることを特徴とするブラシホルダ固定構造。
  2. 前記ヨークの前記凹部は、前記開口部周縁から軸方向開口側とは反対側に向けて延出する一対の側辺と、これら一対の側辺に跨る底辺とから成り、
    前記一対の側辺は、前記開口部周縁に向かうに従って末広がりとなるように傾斜していることを特徴とする請求項1に記載のブラシホルダ固定構造。
  3. 前記電源端子接続部の前記前壁の肉厚は、この前壁の全体に亘って略均一に設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のブラシホルダ固定構造。
  4. 前記ブラシホルダは、車両用スタータモータに用いられることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のブラシホルダ固定構造。
  5. 磁極を有する筒状のヨークと、
    前記ヨークの内側に回転自在に支持されるアーマチュアと、
    前記アーマチュアのコンミテータに摺接するブラシと、
    前記ブラシを保持すると共に、このブラシに電力を供給するためのブラシホルダとを有するモータ部と、
    前記アーマチュアの回転力を受けてエンジンのリングギヤと係合するピニオンギヤ機構とを備えたスタータであって、
    前記ブラシホルダは、
    前記ブラシを保持するホルダ本体と、
    前記ホルダ本体の径方向外側に一体成形され、前記ブラシに電力を供給するための外部電源と接続可能な電源端子を収納可能な電源端子接続部とを備え、
    前記電源端子接続部は、
    軸方向一方と径方向内側とがそれぞれ開口するように形成された箱状になっており、
    前記ホルダ本体から径方向外側に向かって突出する一対の側壁と、
    これら一対の側壁の先端同士に跨るように形成された前壁とを有し、
    前記ヨークの開口部周縁に凹部を形成すると共に、前記一対の側壁に、前記凹部の軸方向開口側から挿入されて前記凹部と係合可能な括れ部を形成し、
    この括れ部の外側壁面は、前記軸方向開口側に向かうに従って末広がりになるように、複数段の傾斜面から成ることを特徴とするスタータ。
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