JP2017002738A - 電動モータ装置およびスタータ - Google Patents

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正明 大屋
Masaaki Oya
正明 大屋
千博 堀越
Chihiro Horikoshi
千博 堀越
浩輝 本田
Hiroki Honda
浩輝 本田
正樹 石関
Masaki Ishizeki
正樹 石関
山田 一隆
Kazutaka Yamada
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Abstract

【課題】ドライブシャフトの組み付け作業性を向上できる電動モータ装置およびスタータを提供する。【解決手段】通電により回転力を発生するモータ部と、モータ部の回転軸に遊星歯車機構を介して連結され、回転軸の回転力を受けて回転するドライブシャフト4と、を備え、ドライブシャフト4の他方側端部4dに、遊星歯車機構に噛合可能な連結用セレーション部4eを形成し、連結用セレーション部4eの先端側に、連結用セレーション部4eと遊星歯車機構の係合孔とのクリアランスが大きくなるように導入用セレーション部142が形成されている。【選択図】図3

Description

この発明は、電動モータ装置およびスタータに関するものである。
例えば、自動車のエンジン始動用として用いられるスタータの中には、通電により回転力を発生するモータ部と、モータ部の回転軸に減速機構を介して連結され、回転軸の回転力を受けて回転するドライブシャフトと、エンジンのリングギヤに噛合、離脱可能に設けられ、このリングギヤにドライブシャフトの回転力を伝達する駆動ピニオンギヤと、モータ部への通電、遮断を行うと共に、駆動ピニオンギヤに、リングギヤ側に向かう押圧力を発生する電磁装置と、を主構成としたものがある。
ここで、駆動ピニオンギヤは、ドライブシャフト上にスライド移動自在に設けられる場合や、スタータのレイアウト等の都合からドライブシャフトと平行な方向に延びるアイドルシャフト上にスライド移動自在に設けられる場合がある。
ドライブシャフトとアイルドルシャフトの2つのシャフトを有する、いわゆる2軸タイプのスタータは、ドライブシャフトに伝達ピニオンギヤが設けられている。一方、アイドルシャフトに、伝達ピニオンギヤと噛合されるアイドルギヤが設けられている。これにより、ドライブシャフトの回転力を、アイドルギヤを介してリングギヤに伝達することができる。
また、ドライブシャフトやアイドルギヤは、モータ部が取り付けられるハウジング内に収納される。ハウジングは、モータ部が取り付けられるブラケット部と、ブラケット部に取り付けられるギヤカバーと、に分割構成されている。そして、ドライブシャフトとアイドルギヤは、ブラケット部とギヤカバーとに挟持されるようにしてハウジング内に回転自在に支持される。
さらに、ドライブシャフトの軸方向端部にはセレーション部が形成され、このセレーション部と減速機構とを噛合させることにより、これらドライブシャフトと減速機構とを着脱可能とする。
このように構成することで、ドライブシャフトやアイドルギヤに加え、上記の各部品を組み立てることができる。
また、ドライブシャフトは、製造コストを抑えるために圧造により形成される場合が多い。このような場合、ドライブシャフトの軸方向端部は減速機構との連結箇所となるので、端面を切削加工して仕上げる。
特開2015−1174号公報
ところで、ドライブシャフトに減速機構を連結する際、ブラケットが邪魔になって両者の連結部分を目視しにくい。このため、ドライブシャフトと減速機構とをスムーズに連結しにくく、組み付け作業性が悪いという課題がある。
また、ドライブシャフトを圧造により形成する場合、軸方向端部の周縁のダレの形状が不安定になる。このため、ドライブシャフトの軸方向端面を切削加工して仕上げた場合であってもこの軸方向端面の形状が安定しない。この結果、さらにドライブシャフトと減速機構との組み付け作業性が悪化するという課題がある。
そこで、この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、ドライブシャフトの組み付け作業性を向上できる電動モータ装置およびスタータを提供するものである。
上記の課題を解決するために、本発明に係る電動モータ装置は、通電により回転力を発生するモータ部と、前記モータ部の回転軸に第1伝達ギヤを介して連結され、前記回転軸の回転力を受けて回転するドライブシャフトと、を備え、前記ドライブシャフトの軸方向端部に、前記第1伝達ギヤに噛合可能な連結用セレーション部を形成し、前記連結用セレーション部の先端側、および前記第1伝達ギヤの前記連結用セレーション部を受け入れる側の何れか一方に、前記連結用セレーション部と前記第1伝達ギヤとのクリアランスが大きくなるように導入用セレーション部が形成されていることを特徴とする。
このように構成することで、導入用セレーション部によって連結用セレーション部と第1伝達ギヤとのクリアランスが大きくなる分、これら連結用セレーション部と第1伝達ギヤとが噛合易くなる。すなわち、第1伝達ギヤに導入用セレーション部を噛合させれば、この導入用セレーション部が、連結用セレーション部と第1伝達ギヤとをスムーズに噛合させるためのガイドとして機能する。
また、導入用セレーション部によって、連結用セレーション部の歯部と第1伝達ギヤの歯部とが歯当りしてしまうことも防止できる。
このため、ドライブシャフトの組み付け作業性を向上できる。
本発明に係る電動モータ装置は、前記ドライブシャフトの外周面に、前記連結用セレーション部が形成されており、前記連結用セレーション部の先端側を、第1段差を介して縮径形成し、この縮径形成した箇所を前記導入用セレーション部としたことを特徴とする。
ドライブシャフトの外周面に、連結用セレーション部を形成することにより、ドライブシャフトの強度を高め易くすることができる。このため、耐久性の優れた電動モータ装置を提供できる。
また、連結用セレーション部の先端側を導入用セレーション部とすることにより、連結用セレーション部と導入用セレーション部とを一体成形し易くできる。
本発明に係る電動モータ装置は、前記ドライブシャフトは圧造により形成されており、前記第1段差は、圧造により前記ドライブシャフトの軸方向端部におけるダレが生じると想定される範囲の軸方向略中央に形成されていることを特徴とする。
このように構成することで、ドライブシャフトの軸方向端部を切削加工した際、この切削加工後のダレ形状を安定させることができる。また、第1段差部が圧造時の衝撃を受ける形になり、ダレの発生自体を抑制できる。
本発明に係る電動モータ装置は、前記連結用セレーション部の先端側、および前記第1伝達ギヤの前記連結用セレーション部を受け入れる側の何れか一方における歯底に、該歯底が深くなるように底深部を全周に渡って形成し、前記連結用セレーション部と前記第1伝達ギヤとのクリアランスをさらに大きくしたことを特徴とする。
このように構成することで、連結用セレーション部と第1伝達ギヤとをさらに噛合易くすることができる。これに加え、導入用セレーション部によって、連結用セレーション部の歯部と第1伝達ギヤの歯部とが歯当りしてしまうことも防止できる。このため、ドライブシャフトの組み付け作業性を向上できる。
本発明に係る電動モータ装置は、前記第1伝達ギヤは、遊星歯車機構であり、該遊星歯車機構の遊星キャリアと前記連結用セレーション部とが噛合されることを特徴とする。
このように構成することで、省スペースながら高い減速比を得ることができる。このため、小型で高出力な電動モータ装置を提供できる。
本発明に係るスタータは、上記の何れか1項に記載の電動モータ装置と、前記ドライブシャフト上にスライド移動可能に設けられた第2伝達ギヤと、前記ドライブシャフトと平行な方向に延び、中心軸周りに回転自在、かつ前記第2伝達ギヤのスライド移動に連動して前記中心軸方向にスライド移動可能に設けられたアイドルシャフトと、前記アイドルシャフトの軸方向一端側に設けられ、前記第2伝達ギヤと噛み合うアイドルギヤと、前記アイドルシャフトの軸方向他端側に設けられ、エンジンのリングギヤと噛合可能な駆動ギヤと、を備えたことを特徴とする。
このように構成することで、ドライブシャフトの組み付け作業性を向上可能なスタータを提供できる。
本発明によれば、導入用セレーション部によって連結用セレーション部と第1伝達ギヤとのクリアランスが大きくなる分、これら連結用セレーション部と第1伝達ギヤとが噛合易くなる。すなわち、第1伝達ギヤに導入用セレーション部を噛合させれば、この導入用セレーション部が、連結用セレーション部と第1伝達ギヤとをスムーズに噛合させるためのガイドとして機能する。
また、導入用セレーション部によって、連結用セレーション部の歯部と第1伝達ギヤの歯部とが歯当りしてしまうことも防止できる。
このため、ドライブシャフトの組み付け作業性を向上できる。
本発明の実施形態におけるスタータの断面図である。 本発明の実施形態におけるスタータの概略構成を示す部品展開図である。 本発明の第1実施形態におけるドライブシャフトの他方側端部の拡大斜視図である。 本発明の第1実施形態におけるドライブシャフトの他方側端部の拡大断面図である。 本発明の実施形態におけるブラケット部をギヤカバー側からみた斜視図である。 本発明の実施形態におけるギヤカバーをブラケット部側からみた斜視図である。 本発明の実施形態におけるアイドルギヤユニットの拡大断面図である。 本発明の実施形態におけるアイドルワッシャの斜視図である。 本発明の実施形態におけるスタータの組み付け手順を示す説明図であって、(a)〜(d)は、各工程を示す。 本発明の第2実施形態におけるドライブシャフトの他方側端部の拡大斜視図である。 本発明の第2実施形態におけるドライブシャフトの他方側端部の拡大断面図である。 本発明の第3実施形態におけるドライブシャフトの他方側端部の拡大斜視図である。 本発明の第3実施形態におけるドライブシャフトの連結用セレーション部における作用説明図である。
次に、この発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
(スタータ)
図1は、スタータ1の断面図である。図2は、スタータ1の概略構成を示す部品展開図である。
図1、図2に示すように、スタータ1は、不図示のエンジンの始動に必要な回転力を発生するためのものである。スタータ1は、モータ部3と、モータ部3の一方(図1における左側)に連結されているドライブシャフト4と、ドライブシャフト4上にスライド移動可能に設けられたクラッチ機構5と、ドライブシャフト4の回転力を不図示のエンジンのリングギヤ23に伝達するアイドルギヤユニット100と、モータ部3に対する電源供給路を開閉するスイッチユニット7と、スイッチユニット7の可動接点板8を軸方向に沿って移動させるための電磁装置9と、を有している。
(モータ部)
モータ部3は、ブラシ付直流モータ51と、ブラシ付直流モータ51の回転軸52に連結され、この回転軸52の回転力をドライブシャフト4に伝達するための減速機構としての遊星歯車機構2とにより構成されている。
ブラシ付直流モータ51は、略円筒状のモータヨーク53と、モータヨーク53の径方向内側に配置され、モータヨーク53に対して回転自在に設けられているアーマチュア54と、を有している。モータヨーク53の内周面には、複数(例えば、本実施形態では6個)の永久磁石57が、周方向に磁極が交互となるように設けられている。
モータヨーク53の他方(図1における右側)の端部には、モータヨーク53の開口部53aを閉塞するエンドプレート55が設けられている。エンドプレート55の径方向中央には、回転軸52の他方側端を回転自在に支持するための滑り軸受56a、およびスラスト軸受56bが設けられている。
アーマチュア54は、回転軸52と、回転軸52の永久磁石57に対応する位置に外嵌固定されているアーマチュアコア58と、回転軸52のアーマチュアコア58よりも遊星歯車機構2側(図1における左側)に外嵌固定されているコンミテータ61とにより構成されている。
アーマチュアコア58は、放射状に形成された複数のティース(不図示)と、周方向に隣接する各ティース間に形成された複数のスロット(不図示)と、を有している。周方向に所定間隔をあけた各スロット間には、コイル59が、例えば波巻により巻装されている。コイル59の端末部は、コンミテータ61に向かって引き出されている。
コンミテータ61には、複数枚(例えば、本実施形態では26枚)のセグメント62が周方向に沿って、かつ互いに電気的に絶縁されるように所定間隔を空けた状態で設けられている。
各セグメント62のアーマチュアコア58側端には、折り返すように曲折形成されたライザ63が設けられている。ライザ63には、アーマチュアコア58に巻装されているコイル59の端末部が接続されている。
モータヨーク53のエンドプレート55とは反対側には、有底筒状のトッププレート12が設けられている。このトッププレート12におけるアーマチュアコア58側の内面に、第1伝達ギヤとしての遊星歯車機構2が設けられている。
遊星歯車機構2は、回転軸52と一体形成されたサンギヤ13と、サンギヤ13に噛合され、サンギヤ13を中心に公転する複数のプラネタリギヤ14と、これらプラネタリギヤ14の外周側に設けられた環状の内歯リングギヤ15とにより構成されている。
内歯リングギヤ15は、トッププレート12のアーマチュアコア58側の内面に一体成形されている。トッププレート12の内周面における径方向中央には、滑り軸受12aが設けられている。滑り軸受12aは、回転軸52と同軸上に配置されているドライブシャフト4の他方側端部(図1における右側の端部)4dを回転自在に支持している。
複数のプラネタリギヤ14は、出力部としてのキャリアプレート16により連結されている。キャリアプレート16には、各プラネタリギヤ14に対応する位置に複数の支持シャフト16aが立設されており、ここにプラネタリギヤ14が回転自在に支持されている。また、キャリアプレート16の径方向中央にはセレーション部16cを有する係合孔16bが設けられている。
一方、ドライブシャフト4の他方側端部4dには、外周面に係合孔16bと噛合される連結用セレーション部4eが形成されていると共に、回転軸52の一方側端(図1における左側端)が挿入されて嵌合する凹部4aが形成されている。凹部4aの内周面には、滑り軸受4bが圧入されており、ドライブシャフト4と回転軸52とが相対回転可能に連結されるようになっている。
(第1実施形態)
(連結用セレーション部)
図3は、ドライブシャフト4の他方側端部4dの拡大斜視図である。図4は、ドライブシャフト4の他方側端部4dの拡大断面図である。
図3、図4に示すように、連結用セレーション部4eの先端は、段差部141を介して縮径形成されている。この縮径形成された箇所は、導入用セレーション部142とされている。すなわち、導入用セレーション部142の歯部142aの歯高さは、連結用セレーション部4eの歯部4fの歯高さよりも低く設定されている。
また、導入用セレーション部142の歯部142aには、先端に向かうに従って徐々に歯幅が大きくなるように末広がり部142bが形成されている。さらに、末広がり部142bの先端角部には、丸面取り部142cが形成されている。
段差部141は、上記のように形成された導入用セレーション部142の歯部142aと連結用セレーション部4eの歯部4fとを滑らかに連結するように傾斜形成されている。
ここで、ドライブシャフト4は、圧造により形成されている。このため、ドライブシャフト4の他方側端部4dの周縁には、圧造によるダレが生じることが考えられる。このダレが生じると想定される範囲をダレ発生想定範囲X(図4におけるX参照)とすると、段差部141は、ダレ発生想定範囲Xの軸方向略中央に形成されている。
ドライブシャフト4の他方側端部4dは、圧造した後、切削加工を施して仕上げる。この際、ダレ発生想定範囲Xの軸方向略中央に段差部141を形成しておくことにより、切削加工後のダレ形状を安定させることができる。また、段差部141が圧造時の衝撃を受ける形になるので、ダレの発生自体を抑制できる。
(ハウジング)
図1、図2に戻り、このように形成された連結用セレーション部4eが噛合される遊星歯車機構2が設けられたトッププレート12は、ハウジング17内に収納されて固定されている。ハウジング17は、不図示のエンジンにスタータ1を固定する役割と、トッププレート12(遊星歯車機構2)、電磁装置9、クラッチ機構5、アイドルギヤユニット100等を収納する役割と、を有している。
ハウジング17は、一方(図1における左側)と他方(図1における右側)とに、それぞれ開口部171a,171cを有するブラケット部171と、ブラケット部171の一方(図1における左側)に装着されたギヤカバー172と、により分割構成されている。これらブラケット部171およびギヤカバー172は、それぞれアルミニウム製で、ダイカスト鋳造にて形成されている。そして、ブラケット部171の他方の開口部171cを閉塞するようにトッププレート12が設けられている。
また、ブラケット部171には、他方の開口部171c側の外周面に、軸方向に沿うように雌ネジ部171bが刻設されている。また、モータヨーク53の他方(図1における右端側)に配置されたエンドプレート55には、雌ネジ部171bに対応する位置にボルト孔55aが形成されている。このボルト孔55aにボルト95を挿入し、雌ネジ部171bにボルト95を螺入することによって、モータ部3とブラケット部171とが一体化される。
また、ブラケット部171の内壁には、後述するクラッチアウタ18のモータ部3側への変位を規制するリング状のストッパ94が設けられている。このストッパ94は、樹脂やゴム等により形成され、クラッチアウタ18が当接した際の衝撃を緩和できるようになっている。
さらに、ブラケット部171の内壁には、ストッパ94よりも一方の開口部171a寄りに段差により縮径形成された縮径部171dが設けられている。この縮径部171dの段差面は、ブラケット部171における一方の開口部171aから電磁装置9が抜け出てしまうことを防止するための抜け止め部として機能している。
図5は、ブラケット部171をギヤカバー172側からみた斜視図である。
図1、図2、図5に示すように、ブラケット部171の一方の開口部171a側(図5における紙面手前側)には、この開口部171aの径方向外側に、シャフト孔174が形成されている。このシャフト孔174は、後述するアイドルシャフト102の一方の端部102a(図1における左側の端部)近傍を回転自在に支持するためのものである。
また、ブラケット部171の一方の開口部171a側には、外周側に張り出した外フランジ部171tが一体的に形成されている。外フランジ部171tのギヤカバー172と対向する面は、このギヤカバー172との当接面(合わせ面)171eとなる。この当接面171eには、外周部を除いて肉盗み部169が形成されている。肉盗み部169を形成することにより、ブラケット部171の軽量化が図られていると共に、当接面171eの加工面積を減少でき、製造コストの低減化が図られている。
ここで、不図示のエンジンにスタータ1を取り付けた状態では、図5に示す上側がスタータ1の鉛直方向上側となり、図5に示す下側がスタータ1の鉛直方向下側となる。なお、以下の説明では、不図示のエンジンにスタータ1を取り付けた状態での鉛直方向下側(図5に示す下側)を単に下側と称し、鉛直方向上側(図5に示す上側)を単に上側と称して説明する場合がある。
外フランジ部171tの当接面171eには、下側となる位置に水抜き溝168が形成されている。この水抜き溝168は、ハウジング17内に浸入、または結露によって発生した水滴を、外部に排出するためのものである。水抜き溝168は、鉛直方向に対して屈曲形成されたラビリンス構造になっている。水抜き溝168をラビリンス構造とすることにより、水滴のハウジング17外への排出を可能にしつつ、外部からハウジング17内に水が浸入してしまうのを防止できる。
また、外フランジ部171tの外周部には、周方向に間隔をあけて複数のボルト挿通孔175が形成されている。さらに、外フランジ部171tの上側には、ギヤカバー172の後述のボルト挿通孔183に対応する位置に、雌ネジ部167が刻設されている。これらボルト挿通孔175および雌ネジ部167は、周方向にほぼ等間隔となるように配置されている。
また、外フランジ部171tの下側には、水抜き溝168とボルト挿通孔175との間に、ギヤカバー172の後述の位置決めピン184を挿通可能なピン挿通孔166が形成されている。ブラケット部171のボルト挿通孔175、雌ネジ部167およびピン挿通孔166は、ブラケット部171とギヤカバー172とを固定するために用いられる。
図6は、ギヤカバー172をブラケット部171側からみた斜視図である。
図1、図2、図6に示すように、ギヤカバー172は、ブラケット部171に対向する側に、ブラケット部171の外フランジ部171tに当接する当接面(合わせ面)172sを有している。この当接面172sには、外周部を除いて肉盗み部181が形成されている。換言すれば、当接面172sには、ブラケット部171の肉盗み部169に対応する位置に、肉盗み部181が形成されている。肉盗み部181を形成することにより、ギヤカバー172の軽量化が図られていると共に、当接面172sの加工面積を減少でき、製造コストの低減化が図られている。
また、当接面172sの外周部には、ブラケット部171のボルト挿通孔175に対応する位置に、雌ネジ部172aが刻設されている。さらに、当接面172sの外周部には、ブラケット部171の雌ネジ部167に対応する位置に、外周側に張り出したフランジ部182が一体的に形成されており、ここにボルト挿通孔183が形成されている。また、当接面172sの外周部には、ブラケット部171のピン挿通孔166に対応する位置に、位置決めピン184が圧入固定されている。
このような構成のもと、ブラケット部171とギヤカバー172とを組み付ける際は、ブラケット部171のピン挿通孔166にギヤカバー172の位置決めピン184を挿入するようにしてブラケット部171の当接面171eとギヤカバー172の当接面172sとを重ね合わせる。
そして、ブラケット部171のボルト挿通孔175にモータ部3側から4つのボルト177aを挿入し、これらボルト177aをギヤカバー172の雌ネジ部172aに螺入する。また、ギヤカバー172のボルト挿通孔183にモータ部3とは反対側からボルト177bを挿入し、このボルト177bをブラケット部171の雌ネジ部167に螺入する。このように、ブラケット部171の当接面171eおよびギヤカバー172の当接面172sを挟んで両側からそれぞれボルト177a,177bを締結するようにして、ブラケット部171とギヤカバー172とを一体化させている。
ここで、ブラケット部171とギヤカバー172とを締結固定するためのボルト挿通孔175、雌ネジ部167、雌ネジ部172aおよびボルト挿通孔183は、それぞれ周方向にほぼ等間隔となるように配置されている。このため、ブラケット部171とギヤカバー172とに、締結固定力が周方向にバランスよく作用し、ブラケット部171とギヤカバー172との固定を確実なものとしている。
また、ブラケット部171の当接面171eおよびギヤカバー172の当接面172sを挟んで両側からそれぞれボルト177a,177bを締結するように構成することで、不図示のエンジンにスタータ1を取り付けた状態で、スタータ1を容易に分解できないようにしている。
また、図1、図2、図6に示すように、ギヤカバー172には、ブラケット部171に対向する側に開口するように、収容凹部173が形成されている。この収容凹部173は、クラッチ機構5および伝達ピニオンギヤ(伝達ギヤ)70と、後述するアイドルギヤ101とを収容する。
また、収容凹部173は、伝達ピニオンギヤ70が収容されるピニオンギヤ収容凹部173aと、アイドルギヤ101が収容されるアイドルギヤ収容凹部173bとにより構成されている。そして、それぞれの収容凹部173a,173bが、連通するように形成されている。
また、収容凹部173のうち、ピニオンギヤ収容凹部173aの開口部周縁には、ギヤカバー172とブラケット部171とを重ね合わせた際にブラケット部171の一方の開口部171aにインロー嵌合するインロー部173cが突設されている。
インロー部173cは、ピニオンギヤ収容凹部173aの開口部周縁の形状に対応するように、軸方向からみた平面視が、アイドルギヤ収容凹部173b側が開口する略C字状に形成されている。
また、収容凹部173の底部173dには、ドライブシャフト4と同軸に、有底の軸受凹部47が形成されている。さらに、収容凹部173の底部173dには、軸受凹部47の側方に、後述するアイドルシャフト102が貫通するシャフト貫通孔179が形成されている。
軸受凹部47は、内径がドライブシャフト4の外径よりも大きく形成されている。軸受凹部47には、ドライブシャフト4の一方側端(図1における左側端)を回転自在に支持するための滑り軸受178が圧入固定されている。この滑り軸受178には所望の基油からなる潤滑油が含浸されており、ドライブシャフト4を円滑に摺接させることができる。
また、軸受凹部47の底部と、ドライブシャフト4の一方側端面4cとの間には、荷重受部材50(図1参照)が配置されている。
荷重受部材50は、平板状の金属部材であり、例えばプレスにより形成されたリング状のワッシャが採用される。荷重受部材50は、硬度がドライブシャフト4よりも高く耐摩耗性に優れた材料により形成されている。荷重受部材50の材料としては、例えばSK85等の炭素工具鋼が好適である。
荷重受部材50を配置することにより、一方(図1における左側)に向かってドライブシャフト4にスラスト荷重が発生したときでも、ギヤカバー172に設けた荷重受部材50でドライブシャフト4の移動を規制しつつ、ドライブシャフト4のスラスト荷重を受けることができる。また、ドライブシャフト4の回転時には、ドライブシャフト4の一方側端面4cと荷重受部材50とが摺接するので、ドライブシャフト4の一方側端面4cとギヤカバー172とが直接摺接するのを防止できる。したがって、ギヤカバー172の摩耗を防止して耐久性に優れたスタータ1とすることができる。
なお、荷重受部材50の周囲には、ドライブシャフト4の一方側端面4cとの摺接時の摩擦を軽減するためのグリスが塗布されるが、このグリスに、滑り軸受178に含浸される潤滑油と同種の基油を含むものが採用されている。このため、滑り軸受178の潤滑油を長期間保持できる。
また、ギヤカバー172のシャフト貫通孔179には、当接面172sとは反対側の一方側端面172r側から順に、オイルシール190とボールベアリング180とが設けられている。オイルシール190は、シャフト貫通孔179を介して外部からギヤカバー172内部に塵埃や水が浸入してしまうことを防止するためのものである。ボールベアリング180は、後述するアイドルシャフト102を回転自在に支持するためのものである。
さらに、ギヤカバー172の一方側端面172rには、シャフト貫通孔179の周囲を取り囲むように、かつ同心円上に突出形成された内側円筒部186と外側円筒部187とが設けられている。これら内側円筒部186および外側円筒部187も、シャフト貫通孔179を介して外部からギヤカバー172内部に塵埃や水が浸入してしまうことを防止するための役割を有している。
この他に、ギヤカバー172には、収容凹部173を挟んで両側に、当接面172sに対して外周側に張り出すように形成された一対の取付ブラケット部172tが一体成形されている。取付ブラケット部172tは、収容凹部173から離間するに従って先細りとなるように形成されており、その頂点部にそれぞれボルト挿通孔172bが形成されている。このボルト挿通孔172bに不図示のボルトを挿入することにより、不図示の躯体(エンジンや車体シャーシ等)にギヤカバー172を固定できるようになっている。
(クラッチ機構)
図1に示すように、ドライブシャフト4の軸方向略中央には、ヘリカルスプライン19が形成されている。ヘリカルスプライン19には、クラッチ機構5がヘリカル噛合されている。
クラッチ機構5は、略円筒状のクラッチアウタ18と、このクラッチアウタ18と同軸に形成されたクラッチインナ22と、クラッチアウタ18およびクラッチインナ22を一体的に固定するクラッチカバー6と、を有している。
クラッチ機構5は、クラッチアウタ18側からの回転力を、クラッチインナ22に伝達する。また、クラッチ機構5は、クラッチインナ22側からの回転力が、クラッチアウタ18に伝達されないように構成されている。このように、クラッチ機構5は、いわゆる公知のワンウェイクラッチ機能を有している。これにより、エンジン始動時に、クラッチアウタ18よりもクラッチインナ22の回転速度が速くなるオーバーラン状態になった際、エンジンのリングギヤ23側からの回転力を遮断するように構成されている。
また、クラッチ機構5は、クラッチアウタ18とクラッチインナ22との間に生じるトルク差、および回転速度差が所定値以内の場合、互いに回転力を伝達する。一方、トルク差および回転速度差が所定値を越えた場合、回転力の伝達が遮断される。すなわち、クラッチ機構5は、いわゆるトルクリミッタ機能も有している。
クラッチアウタ18の他方(図1における右側)には、縮径されたスリーブ18aが一体形成されており、この内周面に、ドライブシャフト4のヘリカルスプライン19に噛合するヘリカルスプライン18bが形成されている。これにより、クラッチ機構5は、ドライブシャフト4に対して軸方向にスライド移動可能に設けられる。
クラッチアウタ18の内周面におけるスリーブ18aの一方には、段部18cが形成されている。段部18cの内周面は、スリーブ18aの内周面よりも大径に形成されている。
クラッチアウタ18の外周面には、後述するクラッチカバー6が、例えばカシメ等により固定されている。
クラッチインナ22は、クラッチアウタ18のスリーブ18aよりも拡径形成されている。そして、クラッチインナ22および段部18cの内周面と、ドライブシャフト4との間に、空間が形成されている。この空間には、後述するリターンスプリング21が配置されている。
クラッチインナ22の外周面には、クラッチアウタ18の一方側端面と径方向で対応する位置に、略円板状のクラッチワッシャ64が外嵌固定されている。
クラッチカバー6は、本体筒部68と、本体筒部68の一方(図1における左側)の底壁66と、を有する有底筒状の部材である。クラッチカバー6は、例えば鉄等の金属板材を絞り加工することにより形成されている。
本体筒部68は、クラッチアウタ18およびクラッチワッシャ64に外挿され、本体筒部68の他方の縁部をクラッチアウタ18の他方側端面にカシメることにより、クラッチアウタ18およびクラッチワッシャ64に固定される。
底壁66の略中央には、一方と他方とを貫通する開口が形成され、この開口から軸方向の一方に向かって延びる補強筒部67が形成されている。補強筒部67は、ドライブシャフト4と同心円上に形成され、ドライブシャフト4が挿通されている。
ドライブシャフト4には、ヘリカルスプライン19よりも一方側(図1における左側)に、移動規制部20が設けられている。
移動規制部20は、ドライブシャフト4に外嵌された略リング状の部材である。移動規制部20は、サークリップ20aによって軸方向一方への移動が規制された状態に設けられていると共に、クラッチアウタ18に形成された段部18cと干渉可能なように、段部18cの内周面よりも大径に形成されている。後述するようにクラッチ機構5が一方にスライド移動したときには、クラッチアウタ18の段部18cと移動規制部20とが干渉する。これにより、クラッチ機構5の一方へのスライド移動量が規制される。
移動規制部20とクラッチアウタ18のスリーブ18aとの間であって、段部18cの内周面とドライブシャフト4の外周面との間には、リターンスプリング21が設けられている。リターンスプリング21は、ドライブシャフト4を取り囲むように形成され、圧縮変形した状態で設けられている。これにより、クラッチアウタ18は、常時モータ部3側へ向かって押し戻されるように付勢された状態になる。
このように構成されたクラッチ機構5には、クラッチインナ22の先端に、伝達ピニオンギヤ70が一体的に設けられている。
伝達ピニオンギヤ70は、ドライブシャフト4に摺動可能に外嵌されている筒部70aと、この外周面に一体成形され、後述のアイドルギヤ101に噛合される外歯車部70bとから形成されている。そして、筒部70aとクラッチインナ22とが一体成形されている。
また、筒部70aの基端側であるクラッチ機構5側には、伝達ピニオンギヤ70の外歯車部70bとは軸方向に間隔をあけて外フランジ部73が一体成形されている。筒部70aの内周面の軸方向両側に、ドライブシャフト4に伝達ピニオンギヤ70を摺動可能に支持するための2つの滑り軸受72,72が設けられている。
(アイドルギヤユニット)
図7は、アイドルギヤユニットの拡大断面図である。なお、図1、図7において、アイドルシャフト102の中心軸より下側にスタータ1の静止状態(アイドルシャフト102が後退した状態)を示し、上側にスタータ1の通電状態(アイドルシャフト102が前進し、駆動ピニオンギヤ(駆動ギヤ)110と不図示のエンジンのリングギヤ23とが噛合された状態)を示している。
図1、図7に示すように、アイドルギヤユニット100は、ドライブシャフト4と平行に配置されたアイドルシャフト102と、アイドルシャフト102の軸方向中間部に一体成形され、伝達ピニオンギヤ70に噛み合うアイドルギヤ101と、アイドルシャフト102の一方の端部102aに設けられ、リングギヤ23に噛合可能な駆動ピニオンギヤ110と、を備えている。
アイドルギヤ101は、アイドルシャフト102から外周側に拡径して形成され、その外周面に、外歯車部101bが形成されている。
ここで、アイドルギヤ101の外歯車部101bと、伝達ピニオンギヤ70の外歯車部70bとの減速比は、伝達ピニオンギヤ70の回転速度に対してアイドルギヤ101の回転速度が減少するように設定されている。これにより、ドライブシャフト4の回転トルクよりもアイドルシャフト102の回転トルクを大きくできる。このように、伝達ピニオンギヤ70とアイドルギヤ101とのギヤ比を調整することにより、トルク重視型のスタータとしたり、回転重視型のスタータとしたりできる。
また、アイドルギヤ101および伝達ピニオンギヤ70は、ヘリカルギヤ(はすば歯車)で構成されている。アイドルギヤ101の歯のねじれ方向は、後述の駆動ピニオンギヤ110の歯のねじれ方向と同じ方向に設定されている。一方、伝達ピニオンギヤ70の歯のねじれ方向は、リングギヤ23の歯のねじれ方向と同じ方向に設定されている。
アイドルシャフト102の一方の端部102a(図1、図8における左側の端部102a)は、ギヤカバー172のシャフト貫通孔179を貫通して、ギヤカバー172の外方に突出している。つまり、アイドルシャフト102の一方の端部102aよりも手前側が、ギヤカバー172に設けられたボールベアリング180に回転自在に支持されている。
また、アイドルシャフト102は、他方の端部102bがブラケット部171に形成されたシャフト孔174に、滑り軸受103を介して、回転自在、かつ軸方向(スラスト方向)にスライド移動自在に支持されている。
ここで、アイドルシャフト102の他方の端部102bとブラケット部171のシャフト孔174の間に形成される空隙部K1には、滑り軸受103に対するアイドルシャフト102の摺動性を高めるための潤滑剤として、グリスが充填されている。一方、アイドルシャフト102の他方の端部102bには、グリス溜まり部99が凹設されている。
このグリス溜まり部99は、ブラケット部171の滑り軸受103にアイドルシャフト102の他方の端部102bを挿入する際、ポンピング作用により空隙部K1からグリスが流出しないようにするためである。すなわち、アイドルシャフト102がスライド移動することにより空隙部K1の容積が変化した際(空隙部K1の容積が小さくなるように変化した際)、空隙部K1のグリスがグリス溜まり部99に受け入れられる。これにより、ブラケット部171の外部にグリスが飛散してしまうことを防止できる。
また、グリス溜まり部99は、端部102bに向かうに従って開口面積が漸次大きくなるようにテーパ状に形成されている。このため、例えば空隙部K1の容積が大きくなるように変化した際、一旦、グリス溜まり部99に溜まったグリスが空隙部K1に流出しやすい。したがって、空隙部K1とグリス溜まり部99の間をグリスが循環することによって滑り軸受103とアイドルシャフト102との摺動性が十分確保される。
また、アイドルシャフト102の外周部には、アイドルギヤ101に対してクラッチ機構5側に、円環状のアイドルワッシャ104が外嵌されている。
図8は、アイドルワッシャ104の斜視図である。
図7、図8に示すように、アイドルワッシャ104は、伝達ピニオンギヤ70とアイドルギヤ101との間の摺動性を向上させたり、駆動ピニオンギヤ110とリングギヤ23とを噛合させる際に生じる衝撃を吸収したり(詳細は後述する)するためのものである。
アイドルワッシャ104は、一対のワッシャ本体104aと、一対のワッシャ本体104aの間に配置される弾性ワッシャ104bと、により構成されている。これらワッシャ本体104aと弾性ワッシャ104bは、内径、外径のそれぞれが同一径に設定されている。
より具体的には、ワッシャ本体104a、および弾性ワッシャ104bの内径は、アイドルシャフト102を挿通可能な大きさに設定されている。一方、ワッシャ本体104a、および弾性ワッシャ104bの外径は、外歯車部101bの外径と略同一になるように設定されている。
また、ワッシャ本体104aは、鉄等の剛性の高い材料によって形成されている。一方、弾性ワッシャ104bは、ゴム等の弾性を有する材料によって形成されている。さらに、弾性ワッシャ104bの板厚は、ワッシャ本体104aの板厚より厚く設定されている。
このように構成されたアイドルワッシャ104は、アイドルワッシャ104のクラッチ機構5側への抜け方向への移動が、アイドルシャフト102に取り付けられている止め輪105によって規制される。さらに、アイドルワッシャ104は、その外周部が、伝達ピニオンギヤ70における外歯車部70bと外フランジ部73との環状の隙間に挿入されている。これにより、アイドルギヤ101を有したアイドルシャフト102は、アイドルワッシャ104を介して、伝達ピニオンギヤ70と共に、軸方向に追従して移動可能となっている。なお、アイドルワッシャ104にも、潤滑剤としてのグリス等が塗布されている。
また、アイドルシャフト102において、ボールベアリング180に挿通された部分よりもアイドルギヤ101側には、その外径が拡径することによって段差部102dが形成されている。この段差部102dがボールベアリング180に突き当たることによって、アイドルシャフト102の駆動ピニオンギヤ110側への移動量が規制されている。
また、アイドルシャフト102の一方の端部102aには、外周面にスプライン108が形成されている。アイドルシャフト102の一方の端部102aに設けられた駆動ピニオンギヤ110には、内周面の先端側に、スプライン110aが形成されている。このスプライン110aは、スプライン108にスプライン嵌合される。アイドルシャフト102側のスプライン108の長さは、駆動ピニオンギヤ110のスプライン110aの長さよりも軸方向に長く設定されている。これにより、アイドルシャフト102と駆動ピニオンギヤ110は、互いに相対回転不能、かつ軸方向にスライド移動可能に設けられる。
また、アイドルシャフト102には、スプライン108よりも他方(図1、図7における右側)に、スプライン108側よりも拡径した段差部102cが形成されている。
一方、駆動ピニオンギヤ110の他方(図1、図7における右側)の端面には、延長筒部110dが延設されている。
延長筒部110dは、アイドルシャフト102と同心円上に形成されている。延長筒部110dは、駆動ピニオンギヤ110が軸方向の他方(図1、図7における右側)にスライド移動したとき、段差部102cと当接可能になっている。すなわち、駆動ピニオンギヤ110がアイドルシャフト102に対して軸方向にスライド移動したとき、延長筒部110dが段差部102cに突き当たることで、駆動ピニオンギヤ110の他方への移動を規制する。
また、アイドルシャフト102の一方の端部102aには、アイドルシャフト102に外嵌固定された止め輪105が設けられている。これにより、駆動ピニオンギヤ110が、アイドルシャフト102に対してアイドルシャフト102の一方に抜けるのを規制している。
リングギヤ23および駆動ピニオンギヤ110は、ヘリカルギヤで構成されている。リングギヤ23と駆動ピニオンギヤ110との歯のねじれ方向は、駆動ピニオンギヤ110がリングギヤ23を駆動する状態で、駆動ピニオンギヤ110に、リングギヤ23に対して飛び込み方向のスラスト荷重が発生するように設定されている。
また、エンジン始動時におけるクランキングの際には、リングギヤ23の回転速度に変動が生じやすい。ここで、ヘリカル噛合している駆動ピニオンギヤ110とリングギヤ23との間に回転速度差が発生すると、駆動ピニオンギヤ110にかかるスラスト荷重の向きが変化する。
そして、リングギヤ23の回転速度が駆動ピニオンギヤ110の回転速度よりも低いときには、駆動ピニオンギヤ110にはリングギヤ23に接近する方向にスラスト荷重が発生する。一方、リングギヤ23の回転速度が駆動ピニオンギヤ110の回転速度よりも高いときには、駆動ピニオンギヤ110にはリングギヤ23から離間する方向(図1において右方)にスラスト荷重が発生する。
しかしながら、この場合、アイドルギヤ101の回転速度が伝達ピニオンギヤ70の回転速度よりも速いため、アイドルギヤ101には伝達ピニオンギヤ70から、駆動ピニオンギヤ110にリングギヤ23から作用するスラスト荷重とは反対方向のスラスト荷重が作用する。このため、駆動ピニオンギヤ110に作用する、リングギヤ23から離間する方向のスラスト荷重が相殺される。
すなわち、アイドルギヤ101の歯のねじれ方向は、駆動ピニオンギヤ110の歯のねじれ方向と同じ方向に設定されている一方、伝達ピニオンギヤ70の歯のねじれ方向は、リングギヤ23の歯のねじれ方向と同じ方向に設定されている。このため、駆動ピニオンギヤ110で発生するスラスト荷重の方向と、アイドルギヤ101で発生するスラスト荷重の方向が逆になり、両者のスラスト荷重が相殺される。
このとき、駆動ピニオンギヤ110の離間する方向へのスラスト荷重が、アイドルギヤ101に作用する反対方向へのスラスト荷重よりも大きくなるよう設定するのが好ましい。さらに、駆動ピニオンギヤ110の離間する方向へのスラスト荷重は、電磁装置9による吸引力よりも小さいのが好ましい。
駆動ピニオンギヤ110の内周面には、スプライン110aの後端側に、段差部110bを介して拡径された拡径部111が形成されている。そして、アイドルシャフト102と駆動ピニオンギヤ110との間に、収納部112が形成されている。
収納部112において、アイドルギヤ101側に形成されている開口部は、アイドルシャフト102のスプライン108におけるアイドルギヤ101側の端部に設けられた段差部102eによって閉塞されている。段差部102eは、アイドルギヤ101側の端部に拡径して設けられている。
収納部112には、アイドルシャフト102の外周面を取り囲むように形成されたピニオンスプリング113が収納されている。ピニオンスプリング113は、例えばコイルスプリングからなる。
ピニオンスプリング113は、収納部112に収納された状態で、駆動ピニオンギヤ110の拡径部111の段差部110bと、アイドルシャフト102の段差部102eとにより圧縮変形されている。これにより駆動ピニオンギヤ110は、アイドルシャフト102に対してリングギヤ23側に向かって付勢された状態になる。
また、ピニオンスプリング113は、後述するように、駆動ピニオンギヤ110とリングギヤ23とが当接したときに軸方向に弾性変形することで衝撃を吸収する、いわゆるダンパ機構として機能している。これにより、駆動ピニオンギヤ110およびリングギヤ23の摩耗を抑制し、スタータ1の耐久性向上を図っている。
(電磁装置)
図1に示すように、ハウジング17(ブラケット部171)の内周面には、クラッチ機構5よりもモータ部3側に、電磁装置9を構成するヨーク25が内嵌固定されている。ヨーク25は磁性材からなる有底筒状に形成されており、底部25aの径方向中央の大部分が大きく開口されている。
また、ヨーク25の底部25aとは反対側端には、磁性材からなる円環状のプランジャホルダ26が設けられている。プランジャホルダ26は、円環状のホルダ本体26aと、ホルダ本体26aの径方向内側から軸方向の他方に向かって屈曲延出されたプランジャホルダ側円筒部26bが一体的に形成されている。これにより、後述するギヤプランジャ80の鉄心88との離間距離が狭くなるので、プランジャホルダ26による鉄心88の吸引力(以下、単に「吸引力」ということがある)を上げることができる。
ヨーク25、およびプランジャホルダ26によって径方向内側に形成される収納凹部25bには、略円筒状に形成された励磁コイル24が収納されている。すなわち、プランジャホルダ26のホルダ本体26aは、励磁コイル24の一方の側面を覆うように形成されており、プランジャホルダ側円筒部26bは、励磁コイル24の径方向内側に臨むように屈曲延出されている。
励磁コイル24は、ブラケット部171の外周面に設けられたコネクタ150を介し、不図示のイグニションスイッチに電気的に接続されている。
励磁コイル24の内周面とドライブシャフト4の外周面との間の空隙には、プランジャ機構37が励磁コイル24に対して軸方向にスライド移動可能に設けられている。
プランジャ機構37は、磁性材で形成された略円筒状のスイッチプランジャ27と、このスイッチプランジャ27とドライブシャフト4の外周面との間の空隙に配置されたギヤプランジャ80と、を有している。
スイッチプランジャ27は、磁性材からなる金属板材にプレス加工を施して形成されたものである。スイッチプランジャ27は、ヨーク25、およびプランジャホルダ26によって形成される収納凹部25bの径方向内側を閉塞するように円筒状に形成されている。スイッチプランジャ27の他方の開口部(図1における右側の開口部、モータ部3側の開口部)には、外周側に張り出した外フランジ部29が一体成形されている。さらに、外フランジ部29の一側には、シャフトホルダ29aが延出形成されている。シャフトホルダ29aは、後述のスイッチシャフト30を保持するためのものであって、スイッチシャフト30の端部を受け入れ可能なようにU字状に形成されている。
また、スイッチプランジャ27の内周面には、リング部材27rが一体的に設けられている。リング部材27rは、スイッチプランジャ27が一方(リングギヤ23側)に向かって移動する際、初期的にギヤプランジャ80をリングギヤ23側に向かって押圧するためのものである。ギヤプランジャ80は、リング部材27rと当接、離間可能に設けられている。
さらに、スイッチプランジャ27の一方の開口部(図1における左側の開口部)側の端部とプランジャホルダ26との間には、両者を離間方向に付勢する板ばね材からなるスイッチリターンスプリング27aが設けられている。
ギヤプランジャ80は、スイッチプランジャ27の径方向内側に、このスイッチプランジャ27と同心円上に設けられている。ギヤプランジャ80は、径方向内側に配置されたプランジャインナ81と、径方向外側に配置されたプランジャアウタ85と、プランジャインナ81とプランジャアウタ85との間に配置されるプランジャスプリング91と、を備えている。
プランジャインナ81は、樹脂等により略円筒形状に形成されている。プランジャインナ81の内径は、ドライブシャフト4に外挿可能なように、ドライブシャフト4の外径よりも若干大きく形成されている。これにより、プランジャインナ81は、ドライブシャフト4に対して軸方向にスライド移動可能に設けられている。
プランジャインナ81の一方側端81a(図1における左側端)には、径方向外側に張り出した外フランジ部82が一体成形されている。後述するように、プランジャインナ81が一方にスライド移動したとき、プランジャインナ81の一方側端81aがクラッチアウタ18の他方側端と当接し、クラッチ機構5および伝達ピニオンギヤ70を一方に向かってスライド移動させている。
プランジャインナ81の他方側端81b(図1における右側端)には、他方から一方に向かって漸次外径が大きくなる爪部83が周方向に複数個所設けられている。また、爪部83の一方(図1における左側)には、周方向に沿って溝部84が形成されている。
プランジャアウタ85は、プランジャインナ81と同様に樹脂等により略円筒形状に形成されている。プランジャアウタ85の内径は、プランジャインナ81の外フランジ部82の外径よりも若干大きく形成されており、プランジャインナ81に外挿されている。
プランジャアウタ85の他方側端85a(図1における右側端)には、径方向内側に張り出した内フランジ部86が一体成形されている。
内フランジ部86の内径は、プランジャインナ81の爪部83の外径よりも小さく、かつプランジャインナ81の溝部84の底部の外径よりも大きくなるように形成されている。そして、プランジャインナ81の溝部84内にプランジャアウタ85の内フランジ部86を配置することにより、プランジャインナ81とプランジャアウタ85とが一体化され、プランジャ機構37が構成される。
プランジャアウタ85の内フランジ部86の肉厚は、プランジャインナ81の溝部84の幅よりも薄く形成されている。これにより、プランジャアウタ85の内フランジ部86とプランジャインナ81の溝部84との間には、クリアランスが形成される。したがって、プランジャインナ81とプランジャアウタ85は、プランジャアウタ85の内フランジ部86とプランジャインナ81の溝部84とのクリアランス分だけ、軸方向に相対的にスライド移動可能となっている。
プランジャアウタ85の他方側端85a(図1における右側端)には、径方向外側に張り出した外フランジ部87が一体成形されている。外フランジ部87は、スイッチプランジャ27のリング部材27rと当接する当接部として機能している。
また、外フランジ部87の一方(図1における左側)で、プランジャアウタ85の外周面には、リング状の鉄心88が設けられている。鉄心88は、例えば樹脂モールドにより、プランジャアウタ85と一体成形されている。鉄心88は、後述するように励磁コイル24に電流が供給されたときに発生する磁束により、所定の吸引力で電磁装置9に吸引される。
プランジャインナ81の外フランジ部82と、プランジャアウタ85の内フランジ部86との間には、収納部90が形成されている。収納部90には、プランジャインナ81の外周面を取り囲むように形成されたプランジャスプリング91が収納されている。
プランジャスプリング91は、収納部90に収納された状態で、プランジャインナ81の外フランジ部82と、プランジャアウタ85の内フランジ部86と、により圧縮変形させられている。そして、プランジャインナ81は一方(図1における左側)に向かって、プランジャアウタ85は他方(図1における右側)に向かって、互いに付勢された状態となっている。
ここで、プランジャインナ81の一方側端81aとクラッチアウタ18の他方側端は、互いに当接していない。このため、クラッチアウタ18は、リターンスプリング21のばね荷重によって、ストッパ94に押し付けられた状態になる。これにより、スタータ1の静止状態では、プランジャスプリング91のばね荷重によって、クラッチ機構5を押出さない、つまり、伝達ピニオンギヤ70を不用意に押出さないようにできる。
一方、スタータ1の通電状態では、ギヤプランジャ80が一方(図1における左側)に最大変位したとき、プランジャインナ81の一方側端81aは、常にクラッチ機構5のクラッチアウタ18の他方側端と当接した状態になる。すなわち、プランジャスプリング91は、クラッチ機構5とギヤプランジャ80との間における軸方向の空隙の発生を防止し、クラッチ機構5のガタつきを吸収するガタ吸収機構として機能している。
また、スイッチプランジャ27のシャフトホルダ29aには、スイッチシャフト30がホルダ部材30aを介して軸方向に沿って立設されている。このスイッチシャフト30は、モータ部3のトッププレート12および後述するブラシホルダ33を貫通している。スイッチシャフト30のトッププレート12から突出した端部には、ブラシ付直流モータ51のコンミテータ61に隣接配置された、スイッチユニット7の可動接点板8が連結されている。
可動接点板8は、スイッチシャフト30に対して軸方向に沿ってスライド移動可能に取り付けられていると共に、スイッチスプリング32によって浮動的に支持されている。そして、可動接点板8は、後述のブラシホルダ33に固定されている、スイッチユニット7の固定接点板34に対して接近、離間可能になっている。
固定接点板34は、スイッチシャフト30を挟んでコンミテータ61側である径方向内側に配置された第一固定接点板34aと、コンミテータ61とは反対側である径方向外側に配置された第二固定接点板34bとに分割構成されている。これら第一固定接点板34aと第二固定接点板34bとに跨って当接するように、可動接点板8が設けられている。そして、可動接点板8がドライブシャフト4に沿ってストロークし、第一固定接点板34aおよび第二固定接点板34bに当接することにより、第一固定接点板34aおよび第二固定接点板34bがON状態となって電気的に接続される。
ここで、クラッチ機構5のクラッチアウタ18は、リターンスプリング21によりプランジャインナ81へ向かって付勢されている。したがって、スタータ1の静止状態において、クラッチ機構5は、ギヤプランジャ80およびリング部材27rを介して、スイッチプランジャ27を他方(図1における右側)に押圧している。これにより、可動接点板8は他方に押圧されて、固定接点板34と離間したOFF状態になる。
一方、電磁装置9が伝達ピニオンギヤ70と可動接点板8とを一方(図1における左側)にスライド移動させると、可動接点板8がON状態となると共に、伝達ピニオンギヤ70がリングギヤ23に当接する。
電磁装置9および遊星歯車機構2よりも他方(図1における右側)には、ブラシホルダ33が設けられている。ここで、第二固定接点板34bの外周側には、軸方向に折曲して一体形成された切起し部34cが設けられている。この切起し部34cの挿通孔を介し、軸端子44aがブラシホルダ33の外壁33aを貫通している。そして、軸端子44aは、スタータ1の径方向外側に突出している。さらに、軸端子44aの突出側の先端には、バッテリの陽極が電気的に接続されるターミナルナット44bが設けられている。
なお、このブラシホルダ33には、固定接点板34、スイッチシャフト30周りを保護するカバー45が装着されている。ブラシホルダ33およびカバー45は、モータヨーク53およびブラケット部171に挟持された状態で固定されている。
ブラシホルダ33には、コンミテータ61の周囲に4個のブラシ41が、径方向に沿って進退可能に配置されている。各ブラシ41の基端側には、ブラシスプリング42が設けられている。このブラシスプリング42によって、各ブラシ41がコンミテータ61側に向かって付勢され、各ブラシ41の先端がコンミテータ61のセグメント62に摺接するようになっている。
4個のブラシ41は、2個の陽極側ブラシと2個の陰極側ブラシとで構成され、このうち2個の陽極側ブラシが不図示のピグテールを介して固定接点板34の第一固定接点板34aに接続されている。一方、固定接点板34の第二固定接点板34bには、ターミナルナット44bを介して不図示のバッテリの陽極が電気的に接続される。
すなわち、固定接点板34に可動接点板8が当接した際、ターミナルナット44b、固定接点板34およびピグテール(不図示)を介して4個のブラシ41のうちの2個の陽極側ブラシに電圧が印加され、コイル59に電流が供給される。
また、4個のブラシ41のうち、2個の陰極側ブラシは、不図示のピグテールを介してリング状のセンタープレートに接続されている。そして、このセンタープレート、ハウジング17、および不図示の車体を介して、バッテリの陰極に4個のブラシ41のうちの2個の陰極側ブラシが電気的に接続される。
(スタータの動作)
次に、スタータ1の動作について説明する。
図1に示すように、励磁コイル24に電流を供給する前のスタータ1の静止状態にあっては、リターンスプリング21に付勢されたクラッチアウタ18が、伝達ピニオンギヤ70と一体化されているクラッチインナ22を引っ張った状態で、モータ部3側(図1における右側)へ一杯に付勢されている。そして、クラッチ機構5のクラッチアウタ18がストッパ94に当接した位置で停止している。これに伴い、伝達ピニオンギヤ70に噛み合ったアイドルギヤ101を有するアイドルギヤユニット100は、リングギヤ23から駆動ピニオンギヤ110が離間しており、互いに噛合されていない。
また、スイッチプランジャ27は、スイッチリターンスプリング27aにより押し戻され、モータ部3側(図1における右側)へ一杯に移動している。そして、スイッチプランジャ27の外フランジ部29がトッププレート12に当接した状態で停止している。さらに、外フランジ部29に立設されているスイッチシャフト30の可動接点板8は、固定接点板34に対して離間しており、電気的に切断されている。
この状態から車両のイグニションスイッチ(不図示)をオンすると、励磁コイル24に電流が供給されて励磁され、スイッチプランジャ27およびギヤプランジャ80を磁束が通る磁路が形成される。これにより、スイッチプランジャ27およびギヤプランジャ80がリングギヤ23側に向かってスライド移動する。
このとき、スイッチプランジャ27の内周面にリング部材27rが一体的に設けられていることから、このリング部材27rがギヤプランジャ80を押圧する。すなわち、初期的にギヤプランジャ80をリングギヤ23側に向かって押圧することで、スイッチプランジャ27およびギヤプランジャ80が、一体となってリングギヤ23側に向かってスライド移動する。
また、クラッチアウタ18は、ドライブシャフト4にヘリカルスプライン噛合されており、スリーブ18aがギヤプランジャ80のプランジャインナ81と当接している。したがって、クラッチアウタ18は、スイッチプランジャ27およびギヤプランジャ80がリングギヤ23側へスライド移動すると、ドライブシャフト4に対して、ヘリカルスプライン18bの傾斜角度分、若干相対回転しながら押出される。さらに、伝達ピニオンギヤ70とアイドルギヤユニット100も、クラッチ機構5を介してギヤプランジャ80のスライド移動に連動し、リングギヤ23側に向かって押出される。
さらに、スイッチプランジャ27がリングギヤ23側へ移動すると、外フランジ部29、およびスイッチシャフト30を介して可動接点板8が固定接点板34側に向かって移動し、固定接点板34に接触する。可動接点板8は、スイッチシャフト30に対して軸方向変位可能に浮動支持されているので、スイッチスプリング32の押圧力が可動接点板8および固定接点板34に加わることになる。
固定接点板34に可動接点板8が接触すると、4個のブラシ41のうちの2個の陽極側ブラシにバッテリ(不図示)の電圧が印加され、コンミテータ61のセグメント62を介してコイル59が通電される。すると、アーマチュアコア58に磁界が発生し、この磁界とモータヨーク53に設けられている永久磁石57との間で磁気的な吸引力や反発力が生じる。これにより、アーマチュア54が回転し始める。そして、アーマチュア54が回転することにより、このアーマチュア54の回転軸52の回転力(モータ部3の回転力)が遊星歯車機構2を介してドライブシャフト4に伝達され、ドライブシャフト4が回転し始める。
ドライブシャフト4が回転することにより、ドライブシャフト4のヘリカルスプライン19に噛合うクラッチアウタ18が連れ回り、クラッチ機構5に慣性力が作用する。そして、慣性力によってクラッチ機構5がヘリカルスプライン19に沿うようにリングギヤ23側へ向かって押し出される。ここで、ギヤプランジャ28には、リングギヤ23側へ向かう力が作用しているので、クラッチ機構5の移動に伴ってギヤプランジャ28もリングギヤ23側へ向かって移動する。
クラッチ機構5がリングギヤ23側へ向かって押し出されることにより、クラッチ機構5と一体化している伝達ピニオンギヤ70に連動してアイドルギヤ101がリングギヤ23側へと回転しながら押し出される。すると、アイドルシャフト102の端部102bに設けられた駆動ピニオンギヤ110も、アイドルギヤ101と一体にリングギヤ23側へと回転しながら押し出される。
駆動ピニオンギヤ110が回転し始めると、駆動ピニオンギヤ110の一方側端面110fとリングギヤ23の他方側端面23aとが当接していた場合には、その当接状態が解除され、各ギヤ同士が噛合される。そして、ピニオンスプリング113の付勢力により、駆動ピニオンギヤ110がリングギヤ23側に押出され、駆動ピニオンギヤ110とリングギヤ23とが噛合し始める。
このとき、駆動ピニオンギヤ110の一方側端面110fとリングギヤ23の他方側端面23aとは、互いに当接するか、または両者間の軸方向寸法距離がゼロの状態となっている。このため、駆動ピニオンギヤ110の一方側端面110fとリングギヤ23の他方側端面23aとが互いに当接していた場合には、駆動ピニオンギヤ110がさらに押出されると、ピニオンスプリング113が縮む。これにより、駆動ピニオンギヤ110の一方側端面110fは、リングギヤ23の他方側端面23aに向かって付勢される。
すなわち、ピニオンスプリング113は、駆動ピニオンギヤ110とリングギヤ23とが当接したときのスラスト荷重を吸収するダンパ機構を構成している。したがって、駆動ピニオンギヤ110の一方側端面110fとリングギヤ23の他方側端面23aとが互いに当接していた状態であっても、スイッチプランジャ27を所定の位置にまで押出すことができると共に、駆動ピニオンギヤ110の一方側端面110fおよびリングギヤ23の他方側端面23aの摩耗を抑制でき、スタータ1の耐久性向上を図ることができる。
ここで、アイドルシャフト102の外周部には、アイドルギヤ101に対してクラッチ機構5側に、円環状のアイドルワッシャ104が外嵌されている。そして、このアイドルワッシャ104の外周部が、伝達ピニオンギヤ70における外歯車部70bと外フランジ部73との環状の隙間に挿入されている。このため、駆動ピニオンギヤ110とリングギヤ23とを噛合させる際(アイドルシャフト102をスライド移動させる際)、伝達ピニオンギヤ70やアイドルギヤ101にかかる衝撃荷重をアイドルワッシャ104が受ける。このため、伝達ピニオンギヤ70やアイドルギヤ101に無理な応力がかかってしまうことを抑制できる。
また、アイドルワッシャ104は、一対のワッシャ本体104aと、一対のワッシャ本体104aの間に配置される弾性ワッシャ104bと、により構成されている。このため、アイドルワッシャ104にかかる衝撃荷重は、弾性ワッシャ104bによって吸収される。このため、弾性ワッシャ104bを挟持する形の一対のワッシャ本体104aの衝撃荷重等による摩耗を抑制することができる。
さらに、上記したように、駆動ピニオンギヤ110とリングギヤ23とがヘリカル噛合していることから、駆動ピニオンギヤ110にリングギヤ23方向(飛び込み方向)へのスラスト荷重が発生する。そして、このスラスト荷重によって駆動ピニオンギヤ110はリングギヤ23側に向かって移動する。また、クラッチアウタ18も、慣性力によってヘリカルスプライン19に沿うように、リターンスプリング21の付勢力に抗してリングギヤ23側に向かって押し出される。
このとき、ギヤプランジャ80には、リングギヤ23側へ向かう所定の吸引力が作用している。したがって、ギヤプランジャ80は、クラッチアウタ18のスライド移動に連動するように、クラッチアウタ18を押圧しつつリングギヤ23側へ向かってスライド移動する。このようにして、駆動ピニオンギヤ110がリングギヤ23側に押し出され、リングギヤ23が所定の噛み合い位置で噛合する。
このようにしてリングギヤ23と駆動ピニオンギヤ110が噛合い、ドライブシャフト4の回転力がリングギヤ23に伝達されることによって、エンジンが始動する。
ここで、駆動ピニオンギヤ110とリングギヤ23とがヘリカル噛合されているため、ドライブシャフト4の回転力を駆動ピニオンギヤ110からリングギヤ23に伝達すると、駆動ピニオンギヤ110には、一方(図1における左側)に向かってスラスト荷重が発生する。駆動ピニオンギヤ110に発生したスラスト荷重は、駆動ピニオンギヤ110の一方に設けられた止め輪105に伝達された後、アイドルシャフト102、アイドルギヤ101、伝達ピニオンギヤ70、クラッチインナ22、クラッチアウタ18および移動規制部20、サークリップ20aを介して、ドライブシャフト4に伝達される。このため、ドライブシャフト4には一方に向かってスラスト荷重が発生し、一方に向かってスライド移動する。
しかしながら、ハウジング17のギヤカバー172には、荷重受部材50が設けられている。これにより、ドライブシャフト4は、一方側端面4cが荷重受部材50に当接し、ドライブシャフト4の一方へのスライド移動が規制される。このように、荷重受部材50によって、ドライブシャフト4に加わるスラスト荷重を効果的に受けることができる。
一方、駆動ピニオンギヤ110とリングギヤ23との噛合後、エンジン始動時におけるクランキングの際には、リングギヤ23の回転速度に変動が生じる。これにより、駆動ピニオンギヤ110には一方(図1における左側)および他方(図1における右側)に向かってスラスト荷重が発生する。
具体的には、リングギヤ23の回転速度が駆動ピニオンギヤ110の回転速度よりも遅いとき、駆動ピニオンギヤ110には、リングギヤ23に接近する方向(図1における左側)にスラスト荷重が発生する。
一方、リングギヤ23の回転速度が駆動ピニオンギヤ110の回転速度よりも速いとき、駆動ピニオンギヤ110には、リングギヤ23から離間する方向(図1における右側)にスラスト荷重が発生する。
特に、アイドルストップ機能を備えた車両においては、エンジンの停止/始動が頻繁に行われ、一般のスタータよりも使用頻度が高まるため、上述のようなスラスト荷重が頻繁に発生する。
しかしながら、アイドルギヤ101と伝達ピニオンギヤ70とのヘリカル噛合部から、駆動ピニオンギヤ110にリングギヤ23から作用するスラスト荷重とは反対方向のスラスト荷重が作用する。すなわち、アイドルギヤ101の歯のねじれ方向は、駆動ピニオンギヤ110の歯のねじれ方向と同じ方向に設定されている一方、伝達ピニオンギヤ70の歯のねじれ方向は、リングギヤ23の歯のねじれ方向と同じ方向に設定されている。
このような状態において、リングギヤ23の回転速度が駆動ピニオンギヤ110の回転速度よりも速い場合に対し、アイドルギヤ101の回転速度が伝達ピニオンギヤ70の回転速度よりも速い状態になる。このため、駆動ピニオンギヤ110に作用する、リングギヤ23から離間する方向のスラスト荷重を相殺することができる。
したがって、駆動ピニオンギヤ110にリングギヤ23から離間する方向にスラスト荷重が発生しても、駆動ピニオンギヤ110とリングギヤ23とのヘリカル噛合が解除されることなく、適切な安定したヘリカル噛合状態を維持できる。
また、駆動ピニオンギヤ110に発生したスラスト荷重は、駆動ピニオンギヤ110の一方に設けられたアイドルワッシャ104および止め輪105に伝達された後、アイドルシャフト102、クラッチインナ22、クラッチワッシャ64を介してクラッチカバー6の底壁66に伝達される。しかしながら、クラッチカバー6の底壁66には補強筒部67が一体成形されているので、クラッチカバー6の軸方向への変形が抑制される。
エンジンが完全に始動し、駆動ピニオンギヤ110の回転速度がドライブシャフト4の回転速度を上回ると、クラッチ機構5のワンウェイクラッチ機能が作用して駆動ピニオンギヤ110が空転する。また、エンジンが始動に伴って励磁コイル24への通電を停止すると、クラッチアウタ18に対するリターンスプリング21の付勢力により、駆動ピニオンギヤ110がリングギヤ23から離脱すると共に、可動接点板8が固定接点板34から離間してブラシ付直流モータ51が停止する。
(スタータの組み付け方法)
次に、図9に基づいて、スタータ1の組み付け方法について説明する。
図9は、スタータの組み付け手順を示す説明図であって、(a)〜(d)は、各工程を示す。
まず、図9(a)に示すように、予めブラケット部171に電磁装置9を組み付け、さらに、ブラケット部171内に電磁装置9を組み込んだ状態で、ブラケット部171にモータ部3を組み付けてサブユニットとしておく。
ここで、ブラケット部171の内壁には、電磁装置9(ストッパ94)よりも一方の開口部171a寄りに段差により縮径形成された縮径部171dが設けられている。この縮径部171dがブラケット部171におけるギヤカバー172側の一方の開口部171aから電磁装置9が抜け出てしまうことを規制するので、ブラケット部171から電磁装置9が抜け出てしまうことがないサブユニットとすることができる。
また、ギヤカバー172の軸受凹部47に設けられている滑り軸受178に、クラッチ機構5が組み付けられたドライブシャフト4の一方側端を挿入する。また、ギヤカバー172のシャフト貫通孔179に設けられているボールベアリング180に、アイドルシャフト102の一方側端を挿入する。このとき、伝達ピニオンギヤ70とアイドルギヤ101とのギヤ同士の噛み合わせ作業は、視認性もよく容易に行うことができる。
そして、アイドルシャフト102の一方の端部102aに駆動ピニオンギヤ110を組み付ける。これにより、ドライブシャフト4およびアイドルシャフト102は、一方側端がギヤカバー172に支持された状態になる。
この状態で、予め電磁装置9とモータ部3とサブユニットとされたブラケット部171の当接面171eとギヤカバー172の当接面172sとを重ね合わせるように、ギヤカバー172に向かってブラケット部171を移動させる(図9(a)における矢印参照)。
このとき、図9(b)に示すように、まず、ブラケット部171のシャフト孔174に設けられている滑り軸受103にアイドルシャフト102の他方の端部102bを挿入する(図9(b)におけるS1部参照)。この時点では、ドライブシャフト4の他方側端部4dに形成されている凹部4aに、モータ部3の回転軸52が挿入されない。
さらに、ブラケット部171とギヤカバー172とを互いに接近する方向に移動させると、図9(c)に示すように、トッププレート12の内周面に設けられている滑り軸受12aにドライブシャフト4の他方側端部4dが挿入される。さらに、ブラケット部171のピン挿通孔166にギヤカバー172の位置決めピン184が挿入される(図9(c)におけるS2部参照)。
この時点で、ブラケット部171とギヤカバー172との周方向(ドライブシャフト4の回転方向)の位置が2点(滑り軸受103およびアイドルシャフト102による点、ピン挿通孔166および位置決めピン184による点)決まることになる。このため、ブラケット部171とギヤカバー172との周方向の相対位置が決定する。
ここで、アイドルシャフト102の他方の端部102bの軸径と、ブラケット部171の滑り軸受103の内径は、それぞれ他方の端部102bと滑り軸受103との間に多少のガタ(隙間)が生じる程度の大きさに設定されている。このため、ピン挿通孔166、位置決めピン184、シャフト孔174等にそれぞれ製造誤差が生じても、この製造誤差を、アイドルシャフト102の他方の端部102bと滑り軸受103との間のガタで吸収できる。
また、ブラケット部171のピン挿通孔166にギヤカバー172の位置決めピン184が挿入される時点では、ドライブシャフト4の他方側端部4dが滑り軸受12aに挿入されているが、キャリアプレート16の係合孔16bとドライブシャフト4の連結用セレーション部4eとは係合されていない。
さらに、ドライブシャフト4の軸長と、回転軸52の軸長は、ブラケット部171の滑り軸受103にアイドルシャフト102の他方の端部102bが挿入されるよりも先に、ドライブシャフト4の他方側端部4dが滑り軸受12aに挿入されない長さに設定されている。
また、キャリアプレート16の係合孔16bとドライブシャフト4の他方側端部4dにおける連結用セレーション部4eとの嵌合代は、ブラケット部171のシャフト孔174に対するアイドルシャフト102の他方の端部102bの挿入代よりも短く設定されている。さらに、回転軸52とドライブシャフト4との嵌合代は、ブラケット部171のピン挿通孔166に対するギヤカバー172の位置決めピン184の挿入代よりも短く設定されている。
続いて、さらにブラケット部171とギヤカバー172とを互いに接近する方向に移動させると、図9(d)に示すように、ドライブシャフト4の他方側端部4dの連結用セレーション部4eに、キャリアプレート16の係合孔16bに形成されているセレーション部16cが噛合される。
このように、外部から視認しにくいドライブシャフト4の凹部4aとモータ部3の回転軸52との連結は、ブラケット部171とギヤカバー172との周方向の相対位置が決定した後に行われる。
ここで、図3に詳示するように、連結用セレーション部4eの先端は、段差部141を介して縮径形成された導入用セレーション部142とされている。このため、係合孔16bに連結用セレーション部4eの先端が挿入される時点では、係合孔16bと導入用セレーション部142との嵌合になるので、両者16b,142のクリアランスが大きく、容易に嵌合できる。
さらに、段差部141が滑らかに傾斜形成されているので、引き続き係合孔16bにドライブシャフト4の他方側端部4dを挿入していくと、段差部141に沿ってドライブシャフト4の他方側端部4dまたはキャリアプレート16がガタ分だけずれる。そして、連結用セレーション部4eと係合孔16bとが同軸上に位置される。すなわち、段差部141は、連結用セレーション部4eを、係合孔16bと同軸上に導くガイドとして機能する。これにより、連結用セレーション部4eと係合孔16bとがスムーズに噛合される。
また、係合孔16bに導入用セレーション部142が嵌合された時点で、係合孔16bのセレーション部16cの歯部16dと導入用セレーション部142の歯部142aとがある程度噛合される。このため、係合孔16bと連結用セレーション部4eとを完全に噛合させる際、係合孔16bのセレーション部16cの歯部16dと連結用セレーション部4eの歯部4fとが歯当りしてしまうことがない。このため、係合孔16bと連結用セレーション部4eとの噛合わせを容易に行うことができる。
また、キャリアプレート16の係合孔16b(セレーション部16c)とドライブシャフト4の連結用セレーション部4eとが噛合されるのとほぼ同時に、ブラケット部171の一方の開口部171aに、ギヤカバー172のインロー部173cがインロー嵌合される。
続いて、ブラケット部171の当接面171eとギヤカバー172の当接面172sとが重ね合わされた後、ボルト177a,177b(図2参照)を用いて両者を締結固定する。これにより、スタータ1の組み付けが完了する。
このように、上述の第1実施形態では、ドライブシャフト4における連結用セレーション部4eの先端は、段差部141を介して縮径形成された導入用セレーション部142とされている。このため、キャリアプレート16の係合孔16bにドライブシャフト4の他方側端部4dを挿入する際、まず、導入用セレーション部142が挿入される形になる。よって、係合孔16bのセレーション部16cとドライブシャフト4の連結用セレーション部4eとを容易に噛合させることができる。
また、導入用セレーション部142によって、係合孔16bにおけるセレーション部16cの歯部16dと連結用セレーション部4eの歯部4fとの位相を決めることができるので、係合孔16bにおけるセレーション部16cの歯部16dと連結用セレーション部4eの歯部4fとが歯当りしてしまうことがない。このため、係合孔16bにドライブシャフト4の連結用セレーション部4eを、さらに容易に挿入することができる。
さらに、連結用セレーション部4eの先端側を導入用セレーション部142とすることにより、これら連結用セレーション部4eと導入用セレーション部142とを一体成形できる。このため、導入用セレーション部142を別途設ける必要がなく、製造コストを低減できる。
また、キャリアプレート16とドライブシャフト4とを連結するにあたって、キャリアプレート16に係合孔16bを設けていると共に、ドライブシャフト4の他方側端部4dにおける外周面に連結用セレーション部4eを形成している。このため、ドライブシャフト4の剛性を高めることができる。とりわけ、連結用セレーション部4eの剛性を高めることができる。
すなわち、キャリアプレート16とドライブシャフト4とを連結させる手段として、例えば、キャリアプレート16に凸部を設け、この凸部の外周面にセレーション部を形成すると共に、ドライブシャフト4の他方側端部4dに凸部を受け入れ可能な凹部を設け、この凹部に連結用セレーション部4eを形成することも考えられる。しかしながら、このように構成すると、連結用セレーション部4eの剛性が弱くなる。しかも、この剛性を確保するために連結用セレーション部4eが形成されている凹部の周壁の肉厚を厚く設定する必要があり、ドライブシャフト4が太径化してしまう。このため、ドライブシャフト4の外周面に連結用セレーション部4eを形成することにより、ドライブシャフト4の高剛性化および細径化(小型化)を図ることができる。
さらに、ドライブシャフト4を圧造により形成しているので、例えば、ドライブシャフト4を、切削加工を施して形成する場合と比較して加工コストを低減できる。
また、ドライブシャフト4の連結用セレーション部4eと導入用セレーション部142とを段差部141を介して形成し、この段差部141を、ダレ発生想定範囲Xの軸方向略中央に形成している。このため、ドライブシャフト4の他方側端部4dを、切削加工を施して仕上げた際、切削加工後のダレ形状を安定させることができる。また、段差部141が圧造時の衝撃を受ける形になるので、ダレの発生自体を抑制できる。
さらに、段差部141は、導入用セレーション部142の歯部142aと連結用セレーション部4eの歯部4fとを滑らかに連結するように傾斜形成されている。このため、段差部141は、連結用セレーション部4eを、係合孔16bと同軸上にスムーズに導くためのガイドとして機能する。これにより、連結用セレーション部4eと係合孔16bとを、さらに容易に噛合させることができる。
また、モータ部3の回転軸52の回転力を、遊星歯車機構2を介してドライブシャフト4に伝達している。このため、遊星歯車機構2を用いることにより、省スペースながら高い減速比を得ることができる。このため、小型で高出力なスタータ1を提供できる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を図10、図11に基づいて説明する。なお、第1実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明を省略する(以下の実施形態についても同様)。
図10は、第2実施形態におけるドライブシャフト204の他方側端部204dの拡大斜視図であって、前述の図3に対応している。図11は、ドライブシャフト204の他方側端部204dの拡大断面図である。
図10、図11に示すように、第2実施形態のドライブシャフト204に形成されている連結用セレーション部204eには、歯底243の先端側に、この歯底243が深くなるように底深部243aが全周に渡って形成されている。この点、前述の第1実施形態と相違する。
底深部243aは全周に渡って形成されているので、この底深部243aが形成されている箇所の歯底円は、連結用セレーション部204eの底深部243a以外の歯底円に対し、段差部243bを介して縮径形成された形になる。
このように、底深部243aを形成することにより、連結用セレーション部204eの先端側とキャリアプレート16の係合孔16bとのクリアランスを、さらに大きく設定することができる。このため、本第2実施形態によれば、前述の第1実施形態と同様の効果に加え、連結用セレーション部204eとキャリアプレート16の係合孔16bとを、さらに容易に嵌合させることができる。よって、ドライブシャフト204の組み付け作業性を、さらに向上できる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を図12、図13に基づいて説明する。
図12は、第3実施形態におけるドライブシャフト304の他方側端部304dの拡大斜視図であって、前述の図3に対応している。
同図に示すように、ドライブシャフト304に形成されている連結用セレーション部304eの先端には、前述の第1実施形態の導入用セレーション部142に代わって平面取り部344が形成されている。この点、前述の第1実施形態と相違する。
より詳しくは、連結用セレーション部304eの歯部304fには、先端に丸面取り部345が形成されている。歯部304fの丸面取り部345が形成されている箇所には、一対の側面346のうちの一方に、平面取り部344が形成されている。また、各平面取り部344は、それぞれ各歯部304fの同一の側面346に形成されている。
次に、図13に基づいて、平面取り部344の作用について説明する。
図13は、ドライブシャフト304の連結用セレーション部304eにおける作用説明図である。
ここで、キャリアプレート16の係合孔16bに連結用セレーション部4eの先端を挿入する際、係合孔16bのセレーション部16cと、ドライブシャフト304の連結用セレーション部304eとの位相差によっては、これらセレーション部16cと連結用セレーション部304eとが歯当りする可能性がある。
しかしながら、図13に示すように、連結用セレーション部304eには、平面取り部344が各歯部304fの同一の側面346に形成されているので、各平面取り部344にセレーション部16cが当接すると、ドライブシャフト304に回転方向の力が作用する。このため、ドライブシャフト304が回転し、セレーション部16cと連結用セレーション部304eとの位相差が適正な位相差となり、両者16c,304eがスムーズに噛合される(図13における矢印Y1参照)。
したがって、上述の第3実施形態によれば、前述の第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、スタータ1に連結用セレーション部4e,204e,304eが形成されているドライブシャフト4,204,304を設けた場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、モータ部3に減速機構を介してドライブシャフト4,204,304が設けられているさまざまな電動モータ装置に、導入用セレーション部142や平面取り部344の構成を適用できる。
また、上述の実施形態では、ドライブシャフト4,204,304とモータ部3の回転軸52とを、遊星歯車機構2を介して連結する場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、遊星歯車機構2に代えてさまざまな減速機構を採用することができる。
さらに、上述の第1実施形態および第2実施形態では、それぞれドライブシャフト4,204に導入用セレーション部142を形成する場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、キャリアプレート16の係合孔16bに形成されているセレーション部16cに、導入用セレーション部を形成してもよい。
係合孔16bのセレーション部16cに導入用セレーション部を形成する場合、セレーション部16cの先端を、段差部を介して拡径形成し、この拡径形成された箇所を導入用セレーションとする。このように構成することで、係合孔16bとドライブシャフト4,204の他方側端部4d,204dとの嵌合初期のクリアランスを大きく設定できる。よって、ドライブシャフト4,204の組み付け作業性を向上できる。
また、上述の実施形態では、ドライブシャフト4,204,304は、圧造により形成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、切削加工等のさまざまな加工方法を用いてドライブシャフト4,204,304を形成することができる。切削加工等により第1実施形態のドライブシャフト4や第2実施形態のドライブシャフト204を形成する場合、圧造により形成する場合のようにダレ発生想定範囲X(図4、図11参照)を考慮する必要がなくなる。このため、段差部141の形成位置を、任意に設定することができる。
さらに、上述の実施形態では、スタータ1は、ドライブシャフト4,204,304とアイドルシャフト102とが平行に配置された、いわゆる2軸タイプのスタータである場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、アイドルシャフト102が設けられていない、いわゆる1軸タイプのスタータであってもよい。1軸タイプのスタータの場合、ドライブシャフト4,204,304上に設けられた伝達ピニオンギヤ70とリングギヤ23とを噛合させるように構成する。
また、上述の実施形態では、ギヤカバー172には、ブラケット部171との位置決めを行うための位置決めピン184を一箇所圧入固定されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ギヤカバー172またはブラケット部171の何れか一方に位置決めピン184が設けられていればよく、また、位置決めピン184を圧入固定とせずにギヤカバー172またはブラケット部171に一体成形してもよい。さらに、位置決めピン184を複数個所設けてもよい。
位置決めピン184を複数個所設ける場合、ギヤカバー172にインロー部173cを設けない構成としてもよい。
さらに、上述の実施形態では、一対のワッシャ本体104aと、一対のワッシャ本体104aの間に配置される弾性ワッシャ104bと、により構成されている場合について説明した。また、ワッシャ本体104aは、鉄等の材料によって形成されている一方、弾性ワッシャ104bは、ゴム等の材料によって形成されている場合について説明した。さらに、弾性ワッシャ104bの板厚は、ワッシャ本体104aの板厚より厚く設定されている場合について説明した。しかしながら、弾性ワッシャ104bは弾性を有していればよく、例えば、ウェーブワッシャ等を用いることも可能である。このため、弾性ワッシャ104bの板厚が、ワッシャ本体104aの板厚より厚く設定されていなくてもよい。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
1…スタータ
2…遊星歯車機構(第1伝達ギヤ)
3…モータ部(電動モータ装置)
4,204,304…ドライブシャフト(電動モータ装置)
4d,204d,304d…他方側端(軸方向端部)
4e,204e,304e…連結用セレーション部
16…キャリアプレート(遊星キャリア)
16b…係合孔
16c…セレーション部
23…リングギヤ
52…回転軸
70…伝達ピニオンギヤ(第2伝達ギヤ)
101…アイドルギヤ
102…アイドルシャフト
110…駆動ピニオンギヤ(駆動ギヤ)
141…段差部(第1段差)
142…導入用セレーション部
243…歯底
243a…底深部
X…ダレ発生想定範囲

Claims (6)

  1. 通電により回転力を発生するモータ部と、
    前記モータ部の回転軸に第1伝達ギヤを介して連結され、前記回転軸の回転力を受けて回転するドライブシャフトと、
    を備え、
    前記ドライブシャフトの軸方向端部に、前記第1伝達ギヤに噛合可能な連結用セレーション部を形成し、
    前記連結用セレーション部の先端側、および前記第1伝達ギヤの前記連結用セレーション部を受け入れる側の何れか一方に、前記連結用セレーション部と前記第1伝達ギヤとのクリアランスが大きくなるように導入用セレーション部が形成されていることを特徴とする電動モータ装置。
  2. 前記ドライブシャフトの外周面に、前記連結用セレーション部が形成されており、
    前記連結用セレーション部の先端側を、第1段差を介して縮径形成し、この縮径形成した箇所を前記導入用セレーション部としたことを特徴とする請求項1に記載の電動モータ装置。
  3. 前記ドライブシャフトは圧造により形成されており、
    前記第1段差は、圧造により前記ドライブシャフトの軸方向端部におけるダレが生じると想定される範囲の軸方向略中央に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電動モータ装置。
  4. 前記連結用セレーション部の先端側、および前記第1伝達ギヤの前記連結用セレーション部を受け入れる側の何れか一方における歯底に、該歯底が深くなるように底深部を全周に渡って形成し、前記連結用セレーション部と前記第1伝達ギヤとのクリアランスをさらに大きくしたことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の電動モータ装置。
  5. 前記第1伝達ギヤは、遊星歯車機構であり、
    該遊星歯車機構の遊星キャリアと前記連結用セレーション部とが噛合されることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の電動モータ装置。
  6. 請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の電動モータ装置と、
    前記ドライブシャフト上にスライド移動可能に設けられた第2伝達ギヤと、
    前記ドライブシャフトと平行な方向に延び、中心軸周りに回転自在、かつ前記第2伝達ギヤのスライド移動に連動して前記中心軸方向にスライド移動可能に設けられたアイドルシャフトと、
    前記アイドルシャフトの軸方向一端側に設けられ、前記第2伝達ギヤと噛み合うアイドルギヤと、
    前記アイドルシャフトの軸方向他端側に設けられ、エンジンのリングギヤと噛合可能な駆動ギヤと、
    を備えたことを特徴とするスタータ。
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