JP6302719B2 - スタータ - Google Patents
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Description
(スタータ)
次に、この発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、スタータの断面図、図2は、スタータの概略構成を示す部品展開図である。
図1、図2に示すように、スタータ1は、不図示のエンジンの始動に必要な回転力を発生するためのものであって、モータ部3と、モータ部3の一方(図1における左側)に連結されているドライブシャフト4と、ドライブシャフト4上にスライド移動可能に設けられたクラッチ機構5と、ドライブシャフト4の回転力を不図示のエンジンのリングギヤ23に伝達するアイドルギヤユニット100と、モータ部3に対する電源供給路を開閉するスイッチユニット7と、スイッチユニット7の可動接点板8を軸方向に沿って移動させるための電磁装置9と、を有している。
モータ部3は、ブラシ付直流モータ51と、ブラシ付直流モータ51の回転軸52に連結され、この回転軸52の回転力をドライブシャフト4に伝達するための減速機構としての遊星歯車機構2とにより構成されている。
ブラシ付直流モータ51は、略円筒状のモータヨーク53と、モータヨーク53の径方向内側に配置され、モータヨーク53に対して回転自在に設けられているアーマチュア54と、を有している。モータヨーク53の内周面には、複数(例えば、本実施形態では6個)の永久磁石57が、周方向に磁極が交互となるように設けられている。
アーマチュア54は、回転軸52と、回転軸52の永久磁石57に対応する位置に外嵌固定されているアーマチュアコア58と、回転軸52のアーマチュアコア58よりも遊星歯車機構2側(図1における左側)に外嵌固定されているコンミテータ61とにより構成されている。
各セグメント62のアーマチュアコア58側端には、折り返すように曲折形成されたライザ63が設けられている。ライザ63には、アーマチュアコア58に巻装されているコイル59の端末部が接続されている。
遊星歯車機構2は、回転軸52と一体形成されたサンギヤ13と、サンギヤ13に噛合され、サンギヤ13を中心に公転する複数のプラネタリギヤ14と、これらプラネタリギヤ14の外周側に設けられた環状の内歯リングギヤ15とにより構成されている。
このように、遊星歯車機構2が設けられているトッププレート12は、ハウジング17内に収納されて固定されている。ハウジング17は、不図示のエンジンにスタータ1固定する役割と、トッププレート12(遊星歯車機構2)、電磁装置9、クラッチ機構5、アイドルギヤユニット100等を収納する役割とを有している。
さらに、ブラケット部171の内壁には、ストッパ94よりも一方の開口部171a寄りに段差により縮径形成された縮径部171dが設けられている。この縮径部171dの段差面は、ブラケット部171における一方の開口部171aから電磁装置9が抜け出てしまうことを防止するための抜け止め部として機能している。
図1〜図3に示すように、ブラケット部171の一方の開口部171a側(図3における紙面手前側)には、この開口部171aの径方向外側に、シャフト孔174が形成されている。このシャフト孔174は、後述するアイドルシャフト102の一方の端部102a(図1における左側の端部)近傍を回転自在に支持するためのものである。
また、外フランジ部171tの下側には、水抜き溝168とボルト挿通孔175との間に、ギヤカバー172の後述の位置決めピン184を挿通可能なピン挿通孔166が形成されている。ブラケット部171のボルト挿通孔175、雌ネジ部167およびピン挿通孔166は、ブラケット部171とギヤカバー172とを固定するために用いられる。
また、ブラケット部171の当接面171eおよびギヤカバー172の当接面172sを挟んで両側からそれぞれボルト177a,177bを締結するように構成することで、不図示のエンジンにスタータ1を取り付けた状態で、スタータ1を容易に分解できないようにしている。
同図に示すように、ブラケット部171における外フランジ部171tの当接面171eには、下側となる位置に水抜き溝168が形成されているので、ブラケット部171とギヤカバー172とを一体化させた状態では、水抜き溝168とギヤカバー172の当接面172sとにより、水抜き部(水抜き孔)185が形成される。
また、ブラケット部171に水抜き溝168を設けることで、ギヤカバー172の形状が変わったり、後述する躯体への固定のためのボルト挿通孔172bの位置が変更になったりして、ギヤカバー172の仕様の変更があった場合でも、ブラケット部171を共用化することで容易に水抜き部185を構成することができる。
収容凹部173は、伝達ピニオンギヤ70が収容されるピニオンギヤ収容凹部173aと、アイドルギヤ101が収容されるアイドルギヤ収容凹部173bとにより構成されており、それぞれの収容凹部173a,173bが連通するように形成されている。
インロー部173cは、ピニオンギヤ収容凹部173aの開口部周縁の形状に対応するように、軸方向からみた平面視が、アイドルギヤ収容凹部173b側が開口する略C字状に形成されている。
このように、略C字状のインロー部173cと開口部171a、および位置決めピン184とピン挿通孔166とにより、位置決めを簡素な構造で行うことが可能になる。
軸受凹部47は、内径がドライブシャフト4の外径よりも大きく形成されている。軸受凹部47には、ドライブシャフト4の一方側端(図1における左側端)を回転自在に支持するための滑り軸受178が圧入固定されている。この滑り軸受178には所望の基油からなる潤滑油が含浸されており、ドライブシャフト4を円滑に摺接させることができるようになっている。
荷重受部材50は、平板状の金属部材であり、例えばプレスにより形成されたリング状のワッシャが採用される。荷重受部材50は、硬度がドライブシャフト4よりも高く耐摩耗性に優れた材料により形成されている。荷重受部材50の材料としては、例えばSK85等の炭素工具鋼が好適である。
図1に示すように、ドライブシャフト4の軸方向略中央には、ヘリカルスプライン19が形成されている。ヘリカルスプライン19には、クラッチ機構5がヘリカル噛合されている。
クラッチ機構5は、略円筒状のクラッチアウタ18と、このクラッチアウタ18と同軸に形成されたクラッチインナ22と、クラッチアウタ18およびクラッチインナ22を一体的に固定するクラッチカバー6と、を有している。
クラッチアウタ18の内周面におけるスリーブ18aの一方には、段部18cが形成されている。段部18cの内周面は、スリーブ18aの内周面よりも大径に形成されている。
クラッチアウタ18の外周面には、後述するクラッチカバー6が、例えばカシメ等により固定されている。
クラッチインナ22の外周面には、クラッチアウタ18の一方側端面と径方向で対応する位置に、略円盤状のクラッチワッシャ64が外嵌固定されている。
本体筒部68は、クラッチアウタ18およびクラッチワッシャ64に外挿され、本体筒部68の他方の縁部をクラッチアウタ18の他方側端面にカシメることにより、クラッチアウタ18およびクラッチワッシャ64に固定される。
底壁66の略中央には、一方と他方とを貫通する開口が形成され、この開口から軸方向の一方に向かって延びる補強筒部67が形成されている。補強筒部67は、ドライブシャフト4と同心円上に形成され、ドライブシャフト4が挿通されている。
移動規制部20は、ドライブシャフト4に外嵌された略リング状の部材であり、サークリップ20aによって軸方向一方への移動が規制された状態に設けられると共に、クラッチアウタ18に形成された段部18cと干渉可能なように、段部18cの内周面よりも大径に形成されている。後述するようにクラッチ機構5が一方にスライド移動したときには、クラッチアウタ18の段部18cと移動規制部20とが干渉する。これにより、クラッチ機構5の一方へのスライド移動量が規制される。
伝達ピニオンギヤ70は、ドライブシャフト4に摺動可能に外嵌されている筒部70aと、この外周面に一体成形され、後述のアイドルギヤ101に噛合される外歯車部70bとから形成されている。そして、筒部70aとクラッチインナ22とが一体成形されている。
図8は、アイドルギヤユニットの拡大断面図である。なお、図1、図8において、アイドルシャフト102の中心軸より下側にスタータ1の静止状態(アイドルシャフト102が後退した状態)を示し、上側にスタータ1の通電状態(アイドルシャフト102が前進し、駆動ピニオンギヤ(駆動ギヤ)110と不図示のエンジンのリングギヤ23とが噛合された状態)を示している。
ここで、アイドルギヤ101の外歯車部101bと、伝達ピニオンギヤ70の外歯車部70bとの減速比は、伝達ピニオンギヤ70の回転速度に対してアイドルギヤ101の回転速度が減少するように設定されている。これにより、ドライブシャフト4の回転トルクよりもアイドルシャフト102の回転トルクを大きくできる。このように、伝達ピニオンギヤ70とアイドルギヤ101とのギヤ比を調整することにより、トルク重視型や回転重視型のスタータとできる。
また、アイドルシャフト102は、他方の端部102bがブラケット部171に形成されたシャフト孔174に、滑り軸受103を介して、回転自在、かつ軸方向(スラスト方向)にスライド移動自在に支持されている。
なお、アイドルワッシャ104は、伝達ピニオンギヤ70とアイドルギヤ101との間の摺動性を向上させるための役割を有している。このため、アイドルワッシャ104にも、潤滑剤としてのグリス等が塗布されている。
一方、駆動ピニオンギヤ110の他方(図1、図8における右側)の端面には、延長筒部110dが延設されている。
D1≦D2を満足するように設定するのが好ましい。
さらには、
D1<D2
を満足するように設定するのが好ましい。
リングギヤ23の回転速度が駆動ピニオンギヤ110の回転速度よりも低いときには、駆動ピニオンギヤ110にはリングギヤ23に接近する方向にスラスト荷重が発生するようになっている。また、リングギヤ23の回転速度が駆動ピニオンギヤ110の回転速度よりも高いときには、駆動ピニオンギヤ110にはリングギヤ23から離反する方向(図1において右方)にスラスト荷重が発生する。
このとき、駆動ピニオンギヤ110の離反する方向へのスラスト荷重が、アイドルギヤ101に作用する反対方向へのスラスト荷重よりも大きくなるよう設定するのが好ましい。さらに、駆動ピニオンギヤ110の離反する方向へのスラスト荷重は、電磁装置9による吸引力よりも小さいのが好ましい。
収納部112において、アイドルギヤ101側に形成されている開口部は、アイドルシャフト102のスプライン108におけるアイドルギヤ101側の端部に拡径して設けられた段差部102eによって閉塞された状態になっている。
また、ピニオンスプリング113は、後述するように、駆動ピニオンギヤ110とリングギヤ23とが当接したときに軸方向に弾性変形することで衝撃を吸収する、いわゆるダンパ機構として機能している。これにより、駆動ピニオンギヤ110およびリングギヤ23の摩耗を抑制し、スタータ1の耐久性向上を図っている。
図1に示すように、ハウジング17(ブラケット部171)の内周面には、クラッチ機構5よりもモータ部3側に、電磁装置9を構成するヨーク25が内嵌固定されている。ヨーク25は磁性材からなる有底筒状に形成されており、底部25aの径方向中央の大部分が大きく開口されている。
励磁コイル24は、ブラケット部171の外周面に設けられたコネクタ150を介し、不図示のイグニションスイッチに電気的に接続されている。
プランジャ機構37は、磁性材で形成された略円筒状のスイッチプランジャ27と、このスイッチプランジャ27とドライブシャフト4の外周面との間の空隙に配置されたギヤプランジャ80と、を有している。
図9〜図11に示すように、スイッチプランジャ27は、磁性材からなる金属板材にプレス加工を施して形成されたものである。スイッチプランジャ27は、ヨーク25、およびプランジャホルダ26によって形成される収納凹部25bの径方向内側を閉塞するように設けられたスイッチプランジャ側円筒部121を有している。スイッチプランジャ側円筒部121の一方の開口部(図10における左側の開口部、クラッチ機構5側の開口部)122は、段差により拡径した拡径部(切除部)122aとなっている。この拡径部122aは、プランジャホルダ26に生じる磁束が、プランジャホルダ側円筒部26bから、直接、スイッチプランジャ27側に漏れてしまうことを効果的に抑制するための逃げ部として機能する(詳細は後述する)。
なお、拡径部122aと凸条部122bの形成方法としては、例えば、スイッチプランジャ側円筒部121の内周面に治具を装着した後、スイッチプランジャ側円筒部121の内径よりも直径が若干大きい円柱状の治具を、スイッチプランジャ側円筒部121の一方の開口部122側から突き当てる方法がある。これにより、拡径部122aが形成され、かつ拡径部122aを形成したことによるスイッチプランジャ側円筒部121の残肉を、凸条部122bとすることができる。
さらに、スイッチプランジャ側円筒部121の一方の開口部122側の端部とプランジャホルダ26との間には、両者を離反方向に付勢する板ばね材からなるスイッチリターンスプリング27aが設けられている。
プランジャインナ81の他方側端81b(図1における右側端)には、他方から一方に向かって漸次外径が大きくなる爪部83が周方向に複数個所設けられている。また、爪部83の一方(図1における左側)には、周方向に沿って溝部84が形成されている。
プランジャアウタ85の他方側端85a(図1における右側端)には、径方向内側に張り出した内フランジ部86が一体成形されている。内フランジ部86の内径は、プランジャインナ81の爪部83の外径よりも小さく、かつプランジャインナ81の溝部84の底部の外径よりも大きくなるように形成されている。そして、プランジャインナ81の溝部84内にプランジャアウタ85の内フランジ部86を配置することにより、プランジャインナ81とプランジャアウタ85とが一体化され、プランジャ機構37が構成される。
また、外フランジ部87の一方(図1における左側)で、プランジャアウタ85の外周面には、リング状の鉄心88が設けられている。鉄心88は、例えば樹脂モールドにより、プランジャアウタ85と一体成形されている。鉄心88は、後述するように励磁コイル24に電流が供給されたときに発生する磁束により、所定の吸引力で電磁装置9に吸引される。
プランジャスプリング91は、収納部90に収納された状態で、プランジャインナ81の外フランジ部82と、プランジャアウタ85の内フランジ部86とにより圧縮変形させられている。そして、プランジャインナ81は一方(図1における左側)に向かって、プランジャアウタ85は他方(図1における右側)に向かって、互いに付勢された状態となっている。
一方、電磁装置9が伝達ピニオンギヤ70と可動接点板8とを一方(図1における左側)にスライド移動させると、可動接点板8がON状態となると共に、伝達ピニオンギヤ70がリングギヤ23に当接する。
すなわち、固定接点板34に可動接点板8が当接した際、ターミナルナット44b、固定接点板34およびピグテール(不図示)を介して4個のブラシ41のうちの2個の陽極側ブラシに電圧が印加され、コイル59に電流が供給されるようになっている。
次に、図12に基づいて、スタータ1の組み付け方法について説明する。
図12は、スタータの組み付け手順を示す説明図であって、(a)〜(d)は、各工程を示す。
ここで、ブラケット部171の内壁には、電磁装置9(ストッパ94)よりも一方の開口部171a寄りに段差により縮径形成された縮径部171dが設けられている。この縮径部171dがブラケット部171におけるギヤカバー172側の一方の開口部171aから電磁装置9が抜け出てしまうことを規制するので、ブラケット部171から電磁装置9が抜け出てしまうことがないサブユニットとすることができる。
そして、アイドルシャフト102の一方の端部102aに駆動ピニオンギヤ110を組み付ける。これにより、ドライブシャフト4およびアイドルシャフト102は、一方側端がギヤカバー172に支持された状態になる。
このとき、図12(b)に示すように、まず、ブラケット部171のシャフト孔174に設けられている滑り軸受103にアイドルシャフト102の他方の端部102bを挿入する(図12(b)におけるS1部参照)。この時点では、ドライブシャフト4の他方側端部4dに形成されている凹部4aに、モータ部3の回転軸52が挿入されない。
この時点で、ブラケット部171とギヤカバー172との周方向(ドライブシャフト4の回転方向)の位置が2点(滑り軸受103およびアイドルシャフト102による点、ピン挿通孔166および位置決めピン184による点)決まることになる。このため、ブラケット部171とギヤカバー172との周方向の相対位置が決定する。
また、ドライブシャフト4の軸長と、回転軸52の軸長は、ブラケット部171の滑り軸受103にアイドルシャフト102の他方の端部102bが挿入されるよりも先に、ドライブシャフト4の他方側端部4dが滑り軸受12aに、回転軸52が挿入されない長さに設定されている。
このように、外部から視認しにくいドライブシャフト4の凹部4aとモータ部3の回転軸52との連結は、ブラケット部171とギヤカバー172との周方向の相対位置が決定した後に行われる。
続いて、ブラケット部171の当接面171eとギヤカバー172の当接面172sとが重ね合わされた後、ボルト177a,177b(図2参照)を用いて両者を締結固定する(ブラケット部組み付け工程)。これにより、スタータ1の組み付けが完了する。
次に、スタータ1の動作について説明する。
図1に示すように、励磁コイル24に電流を供給する前のスタータ1の静止状態にあっては、リターンスプリング21に付勢されたクラッチアウタ18が、伝達ピニオンギヤ70と一体化されているクラッチインナ22を引っ張った状態で、モータ部3側(図1における右側)へ一杯に付勢されている。そして、クラッチ機構5のクラッチアウタ18がストッパ94に当接した位置で停止している。これに伴い、伝達ピニオンギヤ70に噛み合ったアイドルギヤ101を有するアイドルギヤユニット100は、駆動ピニオンギヤ110とリングギヤ23とが離反した状態で結合が断たれている。
このとき、スイッチプランジャ27の内周面にリング部材27rが一体的に設けられていることから、このリング部材27rがギヤプランジャ80を押圧し、初期的にギヤプランジャ80をリングギヤ23側に向かって押圧することで、スイッチプランジャ27およびギヤプランジャ80とが一体となってリングギヤ23側に向かってスライド移動する。
すると、アーマチュアコア58に磁界が発生し、この磁界とモータヨーク53に設けられている永久磁石57との間で磁気的な吸引力や反発力が生じる。これにより、アーマチュア54が回転し始める。そして、アーマチュア54が回転することにより、このアーマチュア54の回転軸52の回転力(モータ部3の回転力)が遊星歯車機構2を介してドライブシャフト4に伝達され、ドライブシャフト4が回転し始める。
このようにしてリングギヤ23と駆動ピニオンギヤ110が噛合い、ドライブシャフト4の回転力がリングギヤ23に伝達されることによって、エンジンが始動する。
同図に示すように、スイッチプランジャ27が完全にリングギヤ23側に向かってスライド移動したとき、ヨーク25の底部25aに、スイッチプランジャ27の外フランジ部29が当接した状態になる。また、プランジャホルダ側円筒部26bにギヤプランジャ80の鉄心88が当接した状態になる。
また、スイッチプランジャ27の凸条部122bとギヤプランジャ80の鉄心88との間の間隔は、凸条部122bが形成されていない場合と比較して狭くなっている。このため、凸条部122bと鉄心88との間の磁束密度を高くできる。
よって、プランジャホルダ側円筒部26bおよびスイッチプランジャ27の凸条部122bにより、ギヤプランジャ80の鉄心88の位置を確実に保持できる。
一方、リングギヤ23の回転速度が駆動ピニオンギヤ110の回転速度よりも速いとき、駆動ピニオンギヤ110には、リングギヤ23から離反する方向(図4における右側)にスラスト荷重が発生する。
特に、アイドルストップ機能を備えた車両においては、エンジンの停止/始動が頻繁に行われ、一般のスタータよりも使用頻度が高まるため、上述のようなスラスト荷重が頻繁に発生する。
したがって、駆動ピニオンギヤ110にリングギヤ23から離反する方向にスラスト荷重が発生しても、駆動ピニオンギヤ110とリングギヤ23とのヘリカル噛合が解除されることなく、適切な安定したヘリカル噛合状態を維持できる。
したがって、例え、駆動ピニオンギヤ110にリングギヤ23から離反する方向にかかるスラスト荷重によって、アイドルシャフト102(アイドルギヤ101)のイナーシャが大きくなり、そのスラスト荷重がアイドルギヤ101と伝達ピニオンギヤ70により相殺できない場合であっても、ギヤプランジャ80の位置が保持されているので、駆動ピニオンギヤ110とリングギヤ23とのヘリカル噛合が解除されることがない。このため、適切な安定したヘリカル噛合状態を維持できる。
このように、上述の第1実施形態では、スイッチプランジャ側円筒部121には、一方の開口部122に拡径部122aが形成されているので、この拡径部122aとプランジャホルダ側円筒部26bとの間の間隔が広くなっている。このため、プランジャホルダ側円筒部26bからスイッチプランジャ27への磁束漏れを効果的に抑制できる。
また、スイッチプランジャ27の凸条部122bとギヤプランジャ80の鉄心88との間の間隔は、凸条部122bが形成されていない場合と比較して狭くなっている。このため、凸条部122bと鉄心88との間の磁束密度を高くできる。
したがって、ギヤプランジャ80は、完全にリングギヤ側に向かってスライド移動した状態において、プランジャホルダ側円筒部26bおよびスイッチプランジャ27の凸条部122bにより、鉄心88の位置が確実に保持される。この結果、駆動ピニオンギヤ110とリングギヤ23とのヘリカル噛合状態を、確実に維持することができる。
さらに、スイッチプランジャ27の凸条部122bも全周に渡って形成されているので、凸条部122bと鉄心88との間の磁束密度を確実に高くできる。
次に、この発明の第2実施形態を図14、図15に基づいて説明する。なお、第1実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明する。
図14は、第2実施形態におけるスイッチプランジャの断面図であって、前述の第1実施形態の図10に対応している。図15は、図14のB部拡大図である。
図14、図15に示すように、前述の第1実施形態と第2実施形態との相違点は、第1実施形態のスイッチプランジャ27は、拡径部122aおよび凸条部122bがプレス加工を施すことにより形成されているのに対し、第2実施形態のスイッチプランジャ227には、機械加工を施すことにより、拡径部222aおよび凸条部222bが形成されている点にある。
例えば、上述の実施形態では、プランジャホルダ側円筒部26bとスイッチプランジャ27,227との間の間隔を広くするための手段として、スイッチプランジャ側円筒部121に、拡径部122a,222aを形成した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、スイッチプランジャ側円筒部121の内周面を周方向に複数個所切除して、部分的にプランジャホルダ側円筒部26bとスイッチプランジャ27,227との間の間隔を広くしてもよい。このように構成した場合であっても、プランジャホルダ側円筒部26bからスイッチプランジャ227への磁束漏れを、従来と比較して抑制することができる。
しかしながら、上述のように、アイドルシャフト102と駆動ピニオンギヤ110とをスプライン噛合によりスライド移動可能に形成する場合に限られない。例えば、アイドルシャフト102にキーを設ける一方、駆動ピニオンギヤ110にキー溝を設け、アイドルシャフト102と駆動ピニオンギヤ110とをスライド移動可能に形成してもよい。
位置決めピン184を複数個所設ける場合、ギヤカバー172にインロー部173cを設けない構成としてもよい。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
3…モータ部
4…ドライブシャフト
9…電磁装置
23…リングギヤ
24…励磁コイル
26…プランジャホルダ
26a…ホルダ本体
26b…プランジャホルダ側円筒部
27,227…スイッチプランジャ
27a…スイッチリターンスプリング
70…伝達ピニオンギヤ(伝達ギヤ)
80…ギヤプランジャ
88…鉄心
101…アイドルギヤ
102…アイドルシャフト
110…駆動ピニオンギヤ(駆動ギヤ)
122a,222a…拡径部(切除部)
122b,222b…凸条部(凸部)
Claims (7)
- 通電により回転力を発生するモータ部と、
前記モータ部の回転力を受けて回転するドライブシャフトと、
前記ドライブシャフトの軸方向に沿ってスライド移動可能に設けられると共に、エンジンのリングギヤに噛合可能に設けられ、前記ドライブシャフトの回転を前記リングギヤに伝達する駆動ギヤと、
前記モータ部への通電、遮断を行なうと共に、前記駆動ギヤに前記リングギヤ側に向かう押圧力を発生し、該押圧力で前記駆動ギヤを押し出す電磁装置と、を備え、
前記電磁装置は、
軸方向が前記ドライブシャフトの軸方向に沿うように筒状に設けられた励磁コイルと、
前記励磁コイルにおける前記駆動ギヤの押し出し方向側に設けられたプランジャホルダと、
前記励磁コイルへの通電により発生する磁力に吸引されて前記励磁コイル内を該励磁コイルの軸方向に沿ってスライド移動する筒状のスイッチプランジャと、
前記スイッチプランジャよりも径方向内側に設けられ、前記励磁コイルへの通電により発生する磁力に吸引されて前記励磁コイル内を該励磁コイルの軸方向に沿ってスライド移動する鉄心を有し、前記駆動ギヤに前記押圧力を発生する筒状のギヤプランジャと、
前記スイッチプランジャの軸方向の前記リングギヤ側先端と前記プランジャホルダとの間に設けられたスイッチリターンスプリングと、を備え、
前記プランジャホルダは、
前記励磁コイルにおける前記駆動ギヤの押し出し方向側の側面を覆うように形成されたホルダ本体と、
該ホルダ本体の径方向内側から前記励磁コイルの径方向内側に臨むように屈曲延出されたプランジャホルダ側円筒部と、を備え、
前記スイッチプランジャには、該スイッチプランジャが前記押し出し方向側にスライド移動した状態で前記プランジャホルダ側円筒部と径方向でラップする箇所で、かつ前記スイッチプランジャの軸方向の前記リングギヤ側先端における径方向内側に、前記スイッチプランジャと前記プランジャホルダ側円筒部との間の間隔を広くするように拡径するための切除部が形成され、
前記スイッチプランジャの前記切除部が形成されている箇所の径方向の幅は、前記スイッチプランジャの軸方向の前記スイッチリターンスプリング側の先端が、該スイッチリターンスプリングを押圧可能な大きさに設定されていることを特徴とするスタータ。 - 前記切除部は、前記スイッチプランジャの全周に渡って形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスタータ。
- 前記スイッチプランジャには、前記ギヤプランジャが前記押し出し方向側にスライド移動した状態で前記鉄心に対応する位置に、該鉄心と前記スイッチプランジャとの間の間隔を狭くするための凸部が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスタータ。
- 前記プランジャホルダ側円筒部は、前記スイッチプランジャよりも径方向内側に配置され、前記鉄心と当接して前記ギヤプランジャの前記押し出し方向側への移動を規制するように設けられており、
前記スイッチプランジャの前記切除部と前記凸部とが連続的に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のスタータ。 - 前記リングギヤおよび前記駆動ギヤは、それぞれはすば歯車で構成されており、互いにヘリカル噛合することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のスタータ。
- 前記ドライブシャフト上にスライド移動可能に設けられた伝達ギヤと、
前記ドライブシャフトと平行な方向に延び、中心軸周りに回転自在、かつ前記伝達ギヤのスライド移動に連動して前記中心軸方向にスライド移動可能に設けられたアイドルシャフトと、
前記アイドルシャフトの軸方向一端側に、該アイドルシャフトと一体的に設けられ、前記伝達ギヤと噛み合うアイドルギヤと、を備え、
前記アイドルシャフトの軸方向他端側に、前記駆動ギヤを設けたことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のスタータ。 - 前記ドライブシャフトと前記電磁装置とを、同軸上に配置したことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1項に記載のスタータ。
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