JP2011199987A - ブラシ配置構造、およびスタータ - Google Patents

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Shigeyuki Maruzumi
茂之 円角
Hiroo Yokoyama
洋朗 横山
Masataka Odagiri
昌貴 小田切
Narihiro Kanbe
成広 神戸
Chieko Sudo
千恵子 須藤
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Abstract

【課題】ブラシの延命化を図ると共に、モータ性能を向上させることができるブラシ配置構造、およびスタータを提供する。
【解決手段】磁極数が6極でコイルが波巻により巻装されているモータのブラシ配置構造において、2つの陽極側ブラシ41a,41b、および2つの陰極側ブラシ41c,41dは、それぞれ陽極側ブラシ41a,41bと陰極側ブラシ41c,41dとがアーマチュアの回転軸を中心にして点対称位置となるように周方向に沿って配置され、かつ周方向に隣接する陽極側ブラシと陰極側ブラシとが常にコイルを介して電気的に接続されるように配置されている。
【選択図】図2

Description

この発明は、ブラシ配置構造、およびスタータに関するものである。
例えば、自動車の始動用に用いられるスタータとして、磁極数が6極のブラシ付モータを使用する場合がある。この6極ブラシ付モータは、2つの陽極側(プラス側)ブラシと2つの陰極側(マイナス側)ブラシの4つのブラシが用いられ、これらブラシがコンミテータの複数のセグメントに接触することにより、コイルに電流が供給されるようになっている。
コイルは、アーマチュアコアの複数のティースに、所定の間隔(所定のスロット)をあけて波巻により巻装されており、コイルの端末部がセグメントに接続されている。また、4つのブラシは、電気角180°が機械角で60°となることから、通常、同極同士のブラシが120°間隔で配置されると共に、異極同士のブラシが60°間隔となるように配置されることが多い(例えば、特許文献1参照)。
ここで、スタータの性能向上化のために、同極同士のブラシの間隔を120°よりも小さく設定すると共に、異極同士のブラシの間隔を60°よりも大きく設定し、セグメント数をnとしたとき、n/3で算出される数値のうちの小数点以下のものが0.5以上となるように設定し、かつ各ブラシの幅を同極同士のブラシが同時に接触するセグメント数が6を超えない幅に設定する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
これによれば、同極同士のブラシの間隔を120°あけて配置する場合と比較して各ブラシの幅を大きく設定することができ、この分有効導体数の減少を妨げるので、スタータの性能を向上させることができる。
実開昭58−150355号公報 実公平6−2455号公報
ところで、例えば、自動車のアイドルストップ状態からエンジンを始動させると、スタータの始動回数が増加し、スタータの寿命が低減する虞がある。このため、始動回数の増加に伴う、スタータの延命化の要望が多い。
ここで、上述の特許文献2におけるセグメントと4つのブラシの接触状態の変化について説明する。
図11、図12は、従来のアーマチュア101の展開図であって、隣接するティース102間の空隙がスロット104に相当している。なお、アーマチュアコア111の各ティース102、およびコンミテータ112の各セグメント103にそれぞれ符号を付して説明する。
図11、図12に示すように、磁極数が6極(図示省略)に対し、アーマチュア101は、スロット104の数が26、セグメント103の数が26に設定されている。コイル105は、4つのティース102に跨るように波巻により巻装されている。また、4つのブラシ106は、2つの陽極側ブラシ106a,106a、および2つの陰極側ブラシ106b,106b同士の間隔を118°離間させた状態で、かつ異極同士のブラシ106a,106bの間隔を62°離間させた状態で配置されている。
ここで、図11に示すように、4つのブラシ106全てが周方向に隣接する2つのセグメント103に接触している場合、4つのブラシ106全てを用いてコイル105に給電が行われる(以下、4ブラシ使用状態という)。
これに対し、図12に示すように、2つの陽極側ブラシ106aのうちの一方(図12における左から2番目の陽極側ブラシ106a)と、2つの陰極側ブラシ106bのうちの一方(図12における左から4番目の陰極側106b)とが周方向に隣接する3つのセグメント103に接触している場合、これら3つのセグメント103に接触する陽極側ブラシ106a、および陰極側ブラシ106bのみ用いてコイル105に給電が行われる(以下、2ブラシ使用状態という)。
すなわち、コンミテータ112の回転に伴い、各セグメント103と各ブラシ106との接触状態が切り替わると、4つのブラシ106全てを使用してコイル105に給電を行う接触状態の他、2つのブラシ106のみ使用してコイル105に給電を行う接触状態になる場合がある。
図13は、縦軸をブラシ電流値とし、横軸をモータを駆動している角度とした場合の各ブラシ106a〜106dに供給される電流値の変化を示すグラフである。
同図に示すように、4ブラシ使用状態における各ブラシ106a〜106dの電流値を、例えば約100[A]としたとき、2ブラシ使用状態における4つのブラシ106のうち、使用されている2つのブラシ106a,106bの電流値は約200[A]、使用されていない2つのブラシ106a,106bの電流値は0[A]となる。
つまり、2ブラシ使用状態において、使用されている2つのブラシ106a,106bに給電される電流値が4ブラシ使用状態の各ブラシ106の電流値の2倍となる。
このように、各ブラシに供給される電流の変動が大きくなると、このブラシ106とセグメント103との間で放電が生じ、ブラシ106が放電摩耗して寿命が短くなると共に、モータ性能を向上させにくいという課題がある。
そこで、この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、ブラシの延命化を図ると共に、モータ性能を向上させることができるブラシ配置構造、およびスタータを提供するものである。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、磁極数を6極有するヨークと、前記ヨークに対して回転自在に設けられたアーマチュアとを備え、前記アーマチュアは、回転軸と、前記回転軸に外嵌固定され、複数のスロットを有するアーマチュアコアと、前記アーマチュアコアの所定のスロット間に波巻により巻装されたコイルと、前記回転軸に外嵌固定され、前記コイルが接続された複数のセグメントを周方向に沿って配置したコンミテータとを有し、このコンミテータのセグメントに接触する2つの陽極側ブラシ、および2つの陰極側ブラシを介して前記コイルに給電が行われるモータのブラシ配置構造において、前記2つの陽極側ブラシ、および前記2つの陰極側ブラシは、前記アーマチュアの回転時に、常に全ての陽極側ブラシ、および陰極側ブラシを利用して前記コイルに給電を行うように配置されていることを特徴とする。
このように構成することで、各ブラシに供給される電流の変動を小さくすることができ、ブラシの延命化を図ることができる。この結果、モータ性能も向上させることができる。
請求項2に記載した発明は、前記2つの陽極側ブラシ、および前記2つの陰極側ブラシは、それぞれ陽極側ブラシと陰極側ブラシとが前記回転軸を挟んで両側に位置するように配置され、かつ周方向に隣接する前記陽極側ブラシと前記陰極側ブラシとが常に前記コイルを介して電気的に接続されるように配置されていることを特徴とする。
このように構成することで、常に4つのブラシを使用してコイルに給電を行うことが可能になり、ブラシの延命化を図ることができる。
請求項3に記載した発明は、前記アーマチュアコアのスロット数が26、前記コンミテータのセグメント数が26であって、周方向に隣接する前記2つの陽極側ブラシ間の離間角度、および前記2つの陰極側ブラシ間の離間角度をθ1としたとき、離間角度θ1は、θ1<112°または124°<θ1を満たすように設定され、かつ、周方向に隣接する前記陽極側ブラシ、および前記陰極側ブラシが接触しないように配置されていることを特徴とする。
この場合、請求項4に記載した発明のように、前記離間角度θ1は、109°<θ1<111°または125°<θ1<131°を満たすように設定されていることが好ましい。
このように構成することで、6極26スロットのモータに用いられるブラシの延命化を図ることが可能になる。
請求項5に記載した発明は、前記アーマチュアコアのスロット数が25、前記コンミテータのセグメント数が25であって、周方向に隣接する前記2つの陽極側ブラシ間の離間角度、および前記2つの陰極側ブラシ間の離間角度をθ2としたとき、離間角度θ2は、θ2<116°または128°<θ2を満たすように設定され、かつ、周方向に隣接する前記陽極側ブラシ、および前記陰極側ブラシが接触しないように配置されていることを特徴とする。
この場合、請求項6に記載した発明のように、前記離間角度θ2は、129°<θ2<131°を満たすように設定されていることが好ましい。
このように構成することで、6極25スロットのモータに用いられるブラシの延命化を図ることが可能になる。
請求項7に記載した発明は、通電により回転力を発生するモータ部と、前記モータ部の回転力を受けて回転する出力軸と、前記出力軸の回転力を受けて前記出力軸に沿ってスライド移動するピニオンとを備え、前記モータ部の通電時に、前記ピニオンとエンジンのリングギヤとが噛合うように構成されているスタータにおいて、前記モータ部は、磁極数を6極有するヨークと、前記ヨークに対して回転自在に設けられ、コイルが波巻により巻装されているアーマチュアと、前記コイルに給電を行うための2つの陽極側ブラシ、および2つの陰極側ブラシとを備え、前記アーマチュアは、回転軸と、前記回転軸に外嵌固定され、前記コイルが巻装される複数のスロットを有するアーマチュアコアと、前記回転軸に外嵌固定され、前記コイルが接続された複数のセグメントを周方向に沿って配置したコンミテータとを有し、前記2つの陽極側ブラシ、および前記2つの陰極側ブラシは、それぞれ陽極側ブラシと陰極側ブラシとが前記回転軸を中心にして点対称位置となるように周方向に沿って配置され、かつ周方向に隣接する前記陽極側ブラシと前記陰極側ブラシとが常に前記コイルを介して電気的に接続されるように配置されていることを特徴とするスタータとした。
このように構成することで、ブラシの延命化に伴い、スタータの延命化、高性能化を図ることができる。
本発明によれば、常に4つのブラシを使用してコイルに給電を行うことが可能になる。このため、各ブラシに供給される電流の変動を小さくすることができ、ブラシの延命化を図ることができると共に、この結果モータ性能も向上させることができる。
本発明の実施形態におけるスタータの断面図である。 本発明の第一実施形態におけるブラシの配置図である。 本発明の第一実施形態におけるブラシとセグメントと接触状態を示す説明図であって、(a)〜(e)は、各接触状態を示している。 本発明の第一実施形態におけるコイルの通電状態を示す説明図であって、(a)〜(e)は、各ブラシがセグメントに接触している状態の通電状態を示している。 本発明の第一実施形態における各ブラシに供給される電流値の変化を示すグラフである。 本発明の第一実施形態における各ブラシの使用割合の変化を示すグラフである。 本発明の第一実施形態の他の形態を示し、(a)、(b)はブラシの配置図である。 本発明の第二実施形態におけるコイルの通電状態を示す説明図であって、(a)〜(i)は、各跨ぎ状態の通電状態を示している。 本発明の第二実施形態における各ブラシに供給される電流値の変化を示すグラフである。 本発明の第二実施形態における各ブラシの使用割合の変化を示すグラフである。 従来のアーマチュアの展開図である。 従来のアーマチュアの展開図である。 従来の各ブラシに供給される電流値の変化を示すグラフである。
(第一実施形態)
(スタータ)
次に、この発明の第一実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。
図1は、スタータ1の断面図であって、中心線より上側に静止状態を示し、下側に通電状態を示している。
同図に示すように、スタータ1は、不図示のエンジンの始動に必要な回転力を発生するためのものであって、モータ部3と、モータ部3に連結されている出力軸4と、出力軸4上に摺動自在に設けられたオーバーランニングクラッチ5、およびピニオン6と、モータ部3に対する電源供給路を開閉するスイッチユニット7と、スイッチユニット7の可動接点板8、およびピニオン6を軸線方向に沿って移動させるための電磁装置9とを有している。
モータ部3は、ブラシ付直流モータ51と、ブラシ付直流モータ51の回転軸52に連結され、この回転軸52の回転力を出力軸4に伝達するための遊星歯車機構2とにより構成されている。
ブラシ付直流モータ51は、略円筒状のヨーク53と、ヨーク53の径方向内側に配置され、ヨーク53に対して回転自在に設けられているアーマチュア54とを有している。ヨーク53の内周面には、6つの永久磁石57が周方向に磁極が順番となるように配設されている。すなわち、ブラシ付直流モータ51は、磁極数が6極の所謂6極モータである。
ヨーク53の遊星歯車機構2とは反対側の一端には、ヨーク53の開口部53aを閉塞するエンドプレート55が設けられている。エンドプレート55の径方向中央には、回転軸52の一端を回転自在に支持するための滑り軸受け56が設けられている。
アーマチュア54は、回転軸52と、回転軸52の永久磁石57に対応する位置に外嵌固定されているアーマチュアコア58と、回転軸52のアーマチュアコア58よりも遊星歯車機構2側(図1における左側)に外嵌固定されているコンミテータ61とにより構成されている。
アーマチュアコア58は、従来技術にも示したように、公知の放射状のティース(図10、図11におけるティース102)と、隣接するティース102間に存在するスロット(図10、図11におけるスロット104)を形成している。ここで、図10、図11に示すスロット104と同様に、本第一実施形態におけるスロット数は「26」に設定されている。
このように構成されたアーマチュアコア58には、従来技術と同様、所定のティース102間、つまり、4つのティース102を跨るようにコイル59が波巻により巻装されている(図10、図11参照)。コイル59の端末部は、コンミテータ61に向かって引き出されている。コンミテータ61には、複数枚(この第一実施形態では26枚)のセグメント62が周方向に沿って、かつ互いに絶縁されるように所定間隔をあけた状態で配設されている。
各セグメント62のアーマチュアコア58側端には、折り返すように曲折形成されたライザ63が設けられている。このライザ63に所定のティース102に巻装されたコイル59が接続されるようになっている。
ヨーク53の他端には、有底筒状のトッププレート12が設けられており、このトッププレート12のアーマチュアコア58側の内面に、遊星歯車機構2が配置されている。
遊星歯車機構2は、回転軸52に外嵌固定されているサンギヤ13と、サンギヤ13に噛合され、サンギヤ13を中心に公転する複数のプラネタリギヤ14と、これらプラネタリギヤ14の外周側に設けられた環状の内歯リングギヤ15とにより構成されている。
複数のプラネタリギヤ14は、キャリアプレート16により連結されている。キャリアプレート16には、各プラネタリギヤ14に対応する位置に支持シャフト16aが立設されており、ここにプラネタリギヤ14が回転自在に支持されている。また、キャリアプレート16の径方向中央には、出力軸4の一端が接合されている。
内歯リングギヤ15は、トッププレート12の内周面に一体成形されている。トッププレート12の底面には、径方向中央に滑り軸受け12aが設けられている。この滑り軸受け12aは、回転軸52と同軸上に配置されている出力軸4の一端を回転自在に支持するためのものである。
また、トッププレート12には、不図示のエンジンにスタータ1を固定するためのハウジング17が接合されている。ハウジング17は有底筒状に形成されており、開口部17a側に、トッププレート12が開口部17aを閉塞するように接合されている。
ハウジング17の開口部17a側外周面には、軸線方向に沿うように雌ネジ部17bが刻設されている。
一方、ブラシ付直流モータ51のヨーク53の一端側(図1における右端側)に配置されたエンドプレート55には、雌ネジ部17bに対応する位置にボルト孔55aが形成されている。このボルト孔55aにボルト91を挿入し、雌ネジ部17bにボルト91を螺入することによって、モータ部3とハウジング17とが一体化される。
さらに、ハウジング17には、底部17cの径方向中央に出力軸4の一端を回転自在に支持するための滑り軸受け17dが設けられている。
出力軸4は鉄等で形成されたものであって、出力軸4の一端に、回転軸52の他端を挿入可能な凹部4aが形成されている。この凹部4aの内周面には、滑り軸受け4bが圧入されており、出力軸4と回転軸52とが相対回転可能に連結されるようになっている。
出力軸4の軸線方向略中央には、外周面にヘリカルスプライン19が形成されている。このヘリカルスプライン19には、オーバーランニングクラッチ5を構成する略円筒状のクラッチアウタ18が噛合されている。クラッチアウタ18には、モータ部3側に縮径形成されたスリーブ18aが一体成形されており、このスリーブ18aの内周面にヘリカルスプライン19に噛合うヘリカルスプライン18bが形成されている。
出力軸4のヘリカルスプライン19よりも他端側(図1における左側)には、ストッパプレート20が設けられている。ストッパプレート20とクラッチアウタ18のスリーブ18aとの間には、出力軸4を取り囲むように形成された第2リターンスプリング21が圧縮変形した状態で設けられている。これにより、クラッチアウタ18は、常時モータ部3側へ向かって押し戻されるように付勢された状態になる。
ハウジング17の内壁には、クラッチアウタ18のモータ部3側への変位を規制するリング状のストッパ94が設けられている。このストッパ94は、樹脂やゴム等により形成され、クラッチアウタ18が当接した際の衝撃を緩和できるようになっている。
また、クラッチアウタ18には、オーバーランニングクラッチ5を構成するクラッチインナ22がクラッチアウタ18に係合されている。さらに、クラッチインナ22は略円筒状に形成されており、出力軸4にスライド移動可能に外嵌されている。クラッチインナ22のストッパプレート20に対応する一端側には、ストッパプレート20との干渉を避けるように凹部22aが形成されている。
一方、クラッチインナ22の他端側には、ピニオン6がクラッチインナ22に対してスライド移動可能、かつ相対回転不能に外嵌されている。ピニオン6は、不図示のエンジンのリングギヤ23に噛合うことにより、モータ部3の回転力をリングギヤ23に伝達してエンジンを始動させるためのものである。
ピニオン6の内周面には、段差により拡径された拡径部6aが形成されており、クラッチインナ22とピニオン6との間に収納部6bが形成されるようになっている。また、クラッチインナ22の外周面には、収納部6bの開口部を閉塞するように段差により拡径された拡径部22bが形成されている。
そして、収納部6bには、クラッチインナ22の外周面を取り囲むように形成されたコイルスプリング11が収納されている。このコイルスプリング11は、ピニオン6とリングギヤ23との噛合い時に両者6,23の噛合わせ位相がずれている場合の衝撃を緩和するためのものである(詳細は後述する)。
コイルスプリング11は、収納部6bに収納された状態で、ピニオン6の拡径部6aの段差面と、クラッチインナ22の拡径部22bの段差面とにより圧縮変形されている。これによりピニオン6は、クラッチインナ22に対してリングギヤ23側に向かって付勢された状態になる。ここで、クラッチインナ22の外周面には、他端側にピニオン6の抜けを規制する止め輪22cが設けられている。
ハウジング17の内周面には、オーバーランニングクラッチ5よりもモータ部3側に、略円筒状に形成された励磁コイル24が設けられている。この励磁コイル24は、径方向中央の大部分が大きく開口された有底筒状のヨーク25と、ヨーク25の底部25aとは反対側端に設けられた円環状のプランジャホルダ26とにより形成される収納凹部25bに収納されている。励磁コイル24は、スイッチユニット7に設けられたダイオード92、およびコネクタ93を介し、不図示のイグニションスイッチに電気的に接続されている。
励磁コイル24の内周面と出力軸4の外周面との間の空隙には、磁性材で形成された略円筒状のスイッチプランジャ27が励磁コイル24に対して軸線方向にスライド可能に設けられている。さらに、このスイッチプランジャ27と出力軸4の外周面との間の空隙に略円筒状のギヤプランジャ28が設けられている。
これらスイッチプランジャ27とギヤプランジャ28は、互いに同心円上に設けられ、軸線方向に相対移動可能に設けられている。
スイッチプランジャ27のモータ部3側端には、外フランジ部29が一体成形されている。この外フランジ部29の外周部側には、連結ロッド30が軸線方向に沿って立設されている。この連結ロッド30は、モータ部3のトッププレート12を貫通している。連結ロッド30のトッププレート12から突出した端部には、ブラシ付直流モータ51のコンミテータ61に隣接配置されたスイッチユニット7の可動接点板8が連結されている。
可動接点板8は、連結ロッド30に対して軸線方向に沿ってスライド移動可能に取り付けられていると共に、コイルバネ32によって浮動的に支持されている。そして、可動接点板8は、コンミテータ61の周囲に設けられたブラシステー33に固定されているスイッチユニット7の固定接点板34に対し、近接離反可能になっている。
固定接点板34は、連結ロッド30を挟んでコンミテータ61側である径方向内側に配置された第1固定接点板34aと、コンミテータ61とは反対側である径方向外側に配置された第2固定接点板34bとに分割構成されている。これら第1固定接点板34a、および第2固定接点板34bに可動接点板8が跨るように当接するようになっている。可動接点板8が第1固定接点板34a、および第2固定接点板34bに当接することにより、両者34a,34bが導通される。
また、スイッチプランジャ27は、外フランジ部29とハウジング17の内壁との間に圧縮した状態で設けられている第1リターンスプリング35によって、モータ部3側に向かって付勢された状態になっている。これにより、スイッチプランジャ27は、通常、接点間を開いた状態(図1における中心線よりも上側の状態)で静止している。
ギヤプランジャ28は、樹脂で形成されたものであって、モータ部3側の外周面にリング状の鉄心28aが装着されている。また、ギヤプランジャ28のモータ部3側には、軸線方向平面視略円環状の凹部28bが形成されており、ここに出力軸4を取り囲むように形成されたシフトスプリング36が収納されている。
一方、スイッチプランジャ27の内周面にシフトスプリング36の端部に対応する位置に、軸線方向平面視略円環状の受け皿48が設けられている。この受け皿48とギヤプランジャ28の凹部28bの底面とにより、不作動時ギヤプランジャ28をクラッチアウタ18側へ付勢している。
(ブラシ)
図2は、4つのブラシ41a,41b,41c,41dの配置、およびこれらブラシ41a〜41dのセグメント62に対する接触状態を示す説明図である。
図1、図2に示すように、スイッチユニット7の固定接点板34が固定されているブラシステー33には、コンミテータ61の周囲に4つのブラシ41a,41b,41c,41dが進退可能に放射状に配置されている。
各ブラシ41a〜41dの基端側には、コイルスプリング42が設けられている。このコイルスプリング42によって、各ブラシ41a〜41dがコンミテータ61側に向かって付勢され、各ブラシ41a〜41dの先端がコンミテータ61のセグメント62に接触するようになっている。
4つのブラシ41a〜41dのうち、2つの陽極側ブラシ41a,41bに一端が接続されているピグテール40a,40aの他端は、固定接点板34の第1固定接点板34aに接続されている。固定接点板34の第2固定接点板34bには、ターミナルボルト44を介して不図示のバッテリの陽極が電気的に接続される。すなわち、固定接点板34に可動接点板8が当接した際、ターミナルボルト44、固定接点板34、ピグテール40aを介して陽極側ブラシ41a,41bに電流が供給されるようになっている。
ターミナルボルト44は、スタータ1内への異物の侵入を防ぐためのカバー45を有している。カバー45は、ヨーク10、およびハウジング17に挟持された状態で固定されている。
一方、4つのブラシ41a〜41dのうち、2つの陰極側ブラシ41c,41dに一端が接続されているピグテール40b,40bの他端は、後述のセンタープレート43に接続されている。そして、このセンタープレート43、ハウジング17、および不図示の車体を介して、バッテリの陰極に陰極側ブラシ41c,41dが電気的に接続されている。
ブラシステー33とトッププレート12との間には、金属により形成されたリング状のセンタープレート43が介設されており、遊星歯車機構2とブラシ付直流モータ51との間を隔絶している。このセンタープレート43の径方向略中央には、円筒部43aがコンミテータ61側に向かって突設されている。
円筒部43aの内径は、回転軸52の直径よりもやや大きく設定されており、円筒部43aと回転軸52との間の微小間隙が形成されるようになっている。この円筒部43aの遊端は、コンミテータ61の端面に形成された凹部61aに臨まされ、遊星歯車機構2のグリスがコンミテータ61側へ漏洩することを防止している。
ここで、図2に示すように、4つのブラシ41a〜41dは、2つの陽極側ブラシ41a,41bと、2つの陰極側ブラシ41c,41dとがそれぞれ回転軸52を中心にして点対称位置となるように配置されている。すなわち、異極同士のブラシは回転軸52を中心にして対向配置される一方、同極同士のブラシは周方向に隣り合うように配置される。
本第一実施形態では、セグメント62の枚数が26枚と偶数であることから、回転軸52を中心にして対向する異極同士のブラシである陽極側ブラシ41aと陰極側ブラシ41dは、それぞれセグメント62に対する相対位置が同一になる。同様に、陽極側ブラシ41bと陰極側ブラシ41cもそれぞれセグメント62に対する相対位置が同一になる。
さらに、隣り合う同極同士のブラシの離間間隔θ1は、隣り合う異極同士のブラシの離間間隔θ1’よりも大きくなるように設定されている。
ここで、一般に、同極同士のブラシの離間角度θ1は、6極モータの場合、
θ1=120°
に設定される。しかしながら、本第一実施形態の離間角度θ1は、
θ1=126°
に設定されている。
これは、磁極数が6極、スロット104の数が「26」(図10参照)、セグメント62の枚数が26枚であって、かつアーマチュアコア58にコイル59が波巻により巻装されている場合、周方向に隣接する陽極側ブラシ41aと陰極側ブラシ41c、および陽極側ブラシ41bと陰極側ブラシ41dを、アーマチュア54が回転しても常にコイル59を介して電気的に接続させるためである。
(ブラシの作用)
より詳しく図2〜図4に基づいて説明する。
図3は、同極同士のブラシの離間角度θ1を126°に設定し、各ブラシ41a〜41dの周方向の幅W1を4.725mmに設定し、隣接するセグメント62,62間のスリット幅W2を0.75mmに設定した場合、アーマチュア54が回転することによって変化する各ブラシ41a〜41dとセグメント62との接触状態を示す説明図である。なお、図3において、各セグメント62に符号を付して説明する。
まず、図3(a)に示すように、回転軸52を中心にして対向する陽極側ブラシ41a、および陰極側ブラシ41dと、陽極側ブラシ41b、および陰極側ブラシ41cは、それぞれ2つのセグメント62,62に接触している状態(以下、2−2跨ぎ状態という)に位置しているものとする。
すなわち、陽極側ブラシ41aは、1−2番セグメント62に接触した状態、陰極側ブラシ41dは、14−15番セグメント62に接触した状態、陽極側ブラシ41bは、10−11番セグメント62に接触した状態、陰極側ブラシ41cは、23−24番セグメント62に接触した状態であるとする。
図3(b)に示すように、2−2跨ぎ状態からコンミテータ61(アーマチュア54)が僅かに紙面反時計回り方向に向かって回転すると(図3(b)における矢印CCW参照)、回転軸52を中心にして対向する陽極側ブラシ41a、および陰極側ブラシ41dは、それぞれ2つのセグメント62,62に接触した状態のままである。一方、陽極側ブラシ41b、および陰極側ブラシ41cは、それぞれ3つのセグメント62,62,62に接触した状態になる(以下、2−3跨ぎ状態という)。
すなわち、陽極側ブラシ41aは、1−2番セグメント62に接触した状態、陰極側ブラシ41dは14−15番セグメント62に接触した状態のままである。一方、陽極側ブラシ41bは、10−12番セグメント62に接触した状態、陰極側ブラシ41cは、23−25番セグメント62に接触した状態になる。
図3(c)に示すように、2−3跨ぎ状態からさらにコンミテータ61(アーマチュア54)が僅かに矢印CCW方向に向かって回転すると、回転軸52を中心にして対向する陽極側ブラシ41a、および陰極側ブラシ41dがそれぞれ3つのセグメント62,62,62に接触した状態になると共に、陽極側ブラシ41b、および陰極側ブラシ41cがそれぞれ3つのセグメント62,62,62に接触した状態になる(以下、3−3跨ぎ状態という)。
すなわち、陽極側ブラシ41aは、1−3番セグメント62に接触した状態、陰極側ブラシ41dは、14−16番セグメント62に接触した状態になる。一方、陽極側ブラシ41bは、10−12番セグメント62に接触した状態、陰極側ブラシ41cは、23−25番セグメント62に接触した状態になる。
図3(d)に示すように、3−3跨ぎ状態からさらにコンミテータ61(アーマチュア54)が僅かに矢印CCW方向に向かって回転すると、回転軸52を中心にして対向する陽極側ブラシ41a、および陰極側ブラシ41dは、それぞれ3つのセグメント62,62,62に接触した状態となり、陽極側ブラシ41b、および陰極側ブラシ41cはそれぞれ2つのセグメント62,62に接触した状態になる(以下、3−2跨ぎ状態という)。
すなわち、陽極側ブラシ41aは、1−3番セグメント62に接触した状態、陰極側ブラシ41dは、14−16番セグメント62に接触した状態になる。一方、陽極側ブラシ41bは、11−12番セグメント62に接触した状態、陰極側ブラシ41cは、24−25番セグメント62に接触した状態になる。
図3(e)に示すように、3−2跨ぎ状態からさらにコンミテータ61(アーマチュア54)が僅かに矢印CCW方向に向かって回転すると、回転軸52を中心にして対向する陽極側ブラシ41a、および陰極側ブラシ41dがそれぞれ2つのセグメント62,62,62に接触した状態になると共に、陽極側ブラシ41b、および陰極側ブラシ41cがそれぞれ2つのセグメント62,62に接触した状態になる(2−2跨ぎ状態)。
すなわち、陽極側ブラシ41aは、2−3番セグメント62に接触した状態、陰極側ブラシ41dは、15−16番セグメント62に接触した状態になる。一方、陽極側ブラシ41bは、11−12番セグメント62に接触した状態、陰極側ブラシ41cは、24−25番セグメント62に接触した状態になる。
このように、コンミテータ61(アーマチュア54)が回転すると、4つのブラシ41a〜41dは、セグメント62に対して、2−2跨ぎ状態、2−3跨ぎ状態、3−3跨ぎ状態、3−2跨ぎ状態を順次繰り返しながら接触する。
図4(a)〜図4(d)は、4つのブラシ41a〜41dのセグメント62に対する接触状態毎におけるコイル59の通電状態を示す説明図である。なお、図4において、各跨ぎ状態毎に記載されている数字は、セグメント62の番号を示し、紙面左から順にコイル59によって結線されている順序通りにセグメント62の番号を記載している。また、各跨ぎ状態毎に記載されているアルファベット(A〜D)は、4つのブラシ41a〜41dを示している。つまり、陽極側ブラシ41aが「A」に相当し、陽極側ブラシ41bが「B」に相当し、陰極側ブラシ41cが「C」に相当し、陰極側ブラシ41dが「D」に相当している。
さらに、各アルファベットは、接触しているセグメント62の番号に対応する部位に記載し、複数のセグメント62のうち、各ブラシ41a〜41bが接触しているセグメント62の番号が明確になるようにした。
ここで、図4(a)に示すように、4つのブラシ41a〜41dが図3(a)に示す2−2跨ぎ状態であるとき、11番セグメント62に接触している陽極側ブラシ41bと、14番セグメント62に接触している陰極側ブラシ41dとがコイル59によって電気的に接続される。また、1番セグメント62に接触している陽極側ブラシ41aと、24番セグメント62に接触している陰極側ブラシ41cとがコイル59によって電気的に接続される。
このため、固定接点板34に可動接点板8が当接し(図1参照)、陽極側ブラシ41a,41bに不図示のバッテリからの電流が供給されると、陽極側ブラシ41bと陰極側ブラシ41dとの間のコイル59に、通電が行われる(図4(a)における矢印a1参照)。また、陽極側ブラシ41aと陰極側ブラシ41cとの間のコイル59に、通電が行われる(図4(a)における矢印a2参照)。
なお、矢印a1,a2の真下に記載されている数字は通電が行われるコイル59の有効導体数を示している(以下、図4(b)〜図4(e)についても同様)。
図4(b)に示すように、4つのブラシ41a〜41dが図3(b)に示す2−3跨ぎ状態であるとき、12番セグメント62に接触している陽極側ブラシ41bと、14番セグメント62に接触している陰極側ブラシ41dとがコイル59によって電気的に接続される。また、1番セグメント62に接触している陽極側ブラシ41aと、25番セグメント62に接触している陰極側ブラシ41cとがコイル59によって電気的に接続される。
このため、図3(a)の場合と比較して通電されるコイル59の有効導体数が変化するものの4つのブラシ41a〜41d全てを用いてコイル59に電流が供給される。
図4(c)に示すように、4つのブラシ41a〜41dが図3(c)に示す3−3跨ぎ状態であるとき、図4(b)と同様に、12番セグメント62に接触している陽極側ブラシ41bと、14番セグメント62に接触している陰極側ブラシ41dとがコイル59によって電気的に接続される。また、1番セグメント62に接触している陽極側ブラシ41aと、25番セグメント62に接触している陰極側ブラシ41cとがコイル59によって電気的に接続される。
このため、図4(b)と同様に、4つのブラシ41a〜41d全てを用いてコイル59に電流が供給される。
図4(d)に示すように、4つのブラシ41a〜41dが図3(d)に示す3−2跨ぎ状態にあるときも図4(b)と同様である。
また、図4(e)に示すように、4つのブラシ41a〜41dが図3(e)に示す2−2跨ぎ状態であるとき、12番セグメント62に接触している陽極側ブラシ41bと、15番セグメント62に接触している陰極側ブラシ41dとがコイル59によって電気的に接続される。また、2番セグメント62に接触している陽極側ブラシ41aと、25番セグメント62に接触している陰極側ブラシ41cとがコイル59によって電気的に接続される。
このため、図4(a)の2−2跨ぎ状態と同様、4つのブラシ41a〜41d全てを用いてコイル59に電流が供給される。
すなわち、ブラシ付直流モータ51が所謂6極26スロット26セグメントに構成され、かつコイル59が波巻により巻装されている場合において、4つのブラシ41a〜41dは、周方向に隣接する陽極側ブラシ41aと陰極側ブラシ41c、および陽極側ブラシ41bと陰極側ブラシ41dが、常にコイル59を介して電気的に接続されるように配置されていることになる。
(スタータの動作)
次に、スタータ1の動作について説明する。
まず、励磁コイル24に電流を供給する前の静止状態にあっては、スイッチプランジャ27は、第1リターンスプリング35に付勢されてモータ部3側(図1における右側)へ一杯に移動し、外フランジ部29がトッププレート12に当接した状態で停止している。そして、外フランジ部29に立設されている連結ロッド30に設けられている可動接点板8は、固定接点板34に対して離間している。
これと同時に、第2リターンスプリング21に付勢されたクラッチアウタ18が、ピニオン6と一体化されているクラッチインナ22、およびギヤプランジャ28をモータ部3側へ一杯に移動している。そして、オーバーランニングクラッチ5のクラッチアウタ18がストッパ94に当接した位置で停止しており、ピニオン6とリングギヤ23との結合が断たれている(図1における中心線の上側の状態)。
この状態からイグニションスイッチをオンすると、励磁コイル24に電流が供給されて励磁される。すると、スイッチプランジャ27、およびギヤプランジャ28を磁束が通る磁路が形成され、これらスイッチプランジャ27、およびギヤプランジャ28がリングギヤ23側(図1における左側)へ向かって移動する。このとき、スイッチプランジャ27がギヤプランジャ28の鉄心28aよりもプランジャホルダ26に近接しているので、ギヤプランジャ28に先行してスイッチプランジャ27が移動する。
ここで、シフトスプリング36のばね力は、ピニオン6の静止状態にあってはクラッチアウタ18に設けられた第2リターンスプリング21の弾発力より弱く設定されている。また、ギヤプランジャ28よりも先に移動するスイッチプランジャ27による最大圧縮状態に至る途中で、第2リターンスプリング21の弾発力より強くなるように設定されている。
すなわち、シフトスプリング36のばね力は、第2リターンスプリング21の弾発力より弱いため、スイッチプランジャ27の吸引移動の初期ではギヤプランジャ28の静止状態が保たれて、先にコイルばね36が圧縮変形される。
スイッチプランジャ27がリングギヤ23側へ向かって移動すると、外フランジ部29、および連結ロッド30を介して可動接点板8が固定接点板34側に向かって移動し、固定接点板34に接触する。このとき、スイッチプランジャ27のフルストロークに対して早めに可動接点板8が固定接点板34に接触し、かつ可動接点板8が連結ロッド30に対して軸線方向変位可能に浮動支持されているので、コイルばね32の押圧力が両接点板8,34間に加わることになる。
固定接点板34に可動接点板8が接触すると、陽極側ブラシ41a,41bにバッテリの電力が供給され、コンミテータ61のセグメント62を介してコイル59が通電される。すると、アーマチュアコア58に磁界が発生し、この磁界とヨーク10に設けられている永久磁石57との間で磁気的な吸引力や反発力が生じる。これにより、アーマチュア54が継続的に回転する。
ここで、アーマチュア54の回転に伴って、各ブラシ41a〜41dと各セグメント62との接触状態が随時切り替わる(図3参照)。しかしながら、ブラシ41a〜41dのセグメント62に対する接触状態が切り替わっても、常に4つのブラシ41a〜41dを用いてコイル59に電流を供給するので、各ブラシ41a〜41dに供給される電流値は、ほぼ一定となる。
図5は、縦軸を各ブラシ41a〜41dに供給される電流値とし、横軸をアーマチュア54への通電時間とした場合の各ブラシ41a〜41dに供給される電流値の変化を示すグラフである。
同図に示すように、各ブラシ41a〜41dに供給される電流値は、時間経過に関わらず、常に安定(例えば、電流値100[A]に安定)していることが確認できる。
図1に示すように、スイッチプランジャ27がリングギヤ23側へ向かって移動した状態において、スイッチプランジャ27とプランジャホルダ26との間に励磁コイル24の磁束が通り、この磁束によりギヤプランジャ28の鉄心28aが吸引される。
また、スイッチプランジャ27がリングギヤ23側へ向かって移動することにより、このスイッチプランジャ27とギヤプランジャ28との間に設けられているシフトスプリング36が圧縮変形する。すると、このシフトスプリング36に復元力が作用し、この復元力と磁束の吸引力との合力によって、ギヤプランジャ28にリングギヤ23側へ向かう力が作用する。
一方、アーマチュア54が回転することにより、このアーマチュア54の回転軸52の回転力が遊星歯車機構2を介して出力軸4に伝達され、出力軸4が回転する。出力軸4が回転することにより、出力軸4のヘリカルスプライン19に噛合うクラッチアウタ18が連れ回る際に、オーバーランニングクラッチ5に慣性力が作用する。そして、出力軸4の回転方向を正回転としたとき、慣性力によってオーバーランニングクラッチ5がヘリカルスプライン19に沿うようにリングギヤ23側へ向かって移動する。
ここで、ギヤプランジャ28には、リングギヤ23側へ向かう力が作用しているので、オーバーランニングクラッチ5の移動に伴ってギヤプランジャ28もリングギヤ23側へ向かって移動する。
オーバーランニングクラッチ5がリングギヤ23側へ向かって移動することにより、オーバーランニングクラッチ5と一体化しているピニオン6がリングギヤ23側へと押し出される。
このとき、ピニオン6とリングギヤ23との噛合わせ位相がずれていると、リングギヤ23にピニオン6が歯当たりして噛合わない。この場合、ピニオン6とオーバーランニングクラッチ5のクラッチインナ22との間に設けられているコイルスプリング11が圧縮変形し、ピニオン6のリングギヤ23に対する歯当たりの衝撃を吸収しつつ、ピニオン6にリングギヤ23側に向かう付勢力を付与する。
ピニオン6が回転し、リングギヤ23に噛み合うと、出力軸4にヘリカルスプライン結合されているピニオン6が、出力軸4の回転に伴ってリングギヤ23へ十分に噛み合う位置までピニオン6が移動し得るため、ピニオン6をリングギヤ23へより大きな力で噛み合わせることができる。
ピニオン6の噛み合い位置では、ストッパプレート20にクラッチアウタ18が当接するようになっている。ストッパプレート20によってクラッチアウタ18の軸線方向への移動が規制されるので、出力軸4の回転力がヘリカルスプライン結合しているピニオン6を介してリングギヤ23に伝達され、これによってエンジンが始動に必要な回転をリングギヤに加える。
エンジンが起動し、ピニオン6の回転速度が出力軸4の回転速度を上回ると、オーバーランニングクラッチ5が作用してピニオン6が空転する。
また、励磁コイル24への通電を停止すると、クラッチアウタ18に対する第2リターンスプリング21の付勢力、およびスイッチプランジャ27に対する第1リターンスプリング35の付勢力により、ピニオン6がリングギヤ23から離脱すると共に、可動接点板8が固定接点板34から離間してブラシ付直流モータ51が停止する。
(効果)
したがって、上述の第一実施形態によれば、ヨーク10に設けられている永久磁石57の個数が6つ、つまり、磁極数が6極、アーマチュアコア58に形成されているスロット104の数が「26」(図10参照)、コンミテータ61のセグメント62の枚数が26枚に設定され、かつアーマチュアコア58にコイル59が波巻により巻装されている所謂6極26スロット26セグメントのスタータ1(ブラシ付直流モータ51)において、2つの陽極側ブラシ41a,41b、および2つの陰極側ブラシ41c,41dを、それぞれ陽極側ブラシ41a,41bと陰極側ブラシ41c,41dとが回転軸52を中心にして点対称位置となるように配置し、かつ周方向に隣接する異極同士のブラシ、つまり、陽極側ブラシ41aと陰極側ブラシ41c、および陽極側ブラシ41bと陰極側ブラシ41dが常にコイル59を介して電気的に接続するように配置しているので、常に4つのブラシを使用してコイルに給電を行うことが可能になる。
より具体的には、6極26スロット26セグメントのスタータ1(ブラシ付直流モータ51)において、周方向で隣り合う同極同士のブラシの離間間隔θ1を、
θ1=126°
に設定しているので、常に4つのブラシ41a〜41dを使用してコイル59に給電を行うことが可能になる。
このため、各ブラシ41a〜41dに供給される電流の変動を小さくすることができ、各ブラシ41a〜41dの延命化を図ることができると共に、この結果モータ性能も向上させることができる。
ここで、上述の第一実施形態では、同極同士のブラシの離間間隔θ1を、
θ1=126°
に設定し、周方向に隣接する陽極側ブラシ41aと陰極側ブラシ41c、および陽極側ブラシ41bと陰極側ブラシ41dが常にコイル59を介して電気的に接続するように4つのブラシ41a〜41dを配置し、常に4つのブラシ41a〜41dを使用してコイル59に給電を行う場合について説明した。しかしながら、常に4つのブラシ41a〜41dを使用してコイル59に給電を行うブラシ配置は、θ1=126°に設定する場合に限られるものではない。
より詳しく、図6に基づいて説明する。
図6は、縦軸をコイル59への通電時における4つのブラシ41a〜41dの使用割合とし、横軸を同極同士のブラシの離間角度θ1(図2参照)とした場合の4つのブラシ41a〜41dの使用割合の変化を示すグラフであって、4つのブラシ41a〜41dを全て使用している状態と2つのブラシしか使用していない状態とを比較している。また、図6における磁極数、スロット数、セグメント数、各ブラシ41a〜41dの周方向の幅W1、セグメント62,62間のスリット幅W2(図2参照)の各設定条件は、上述の図3、図4に示す条件と同様とする。
ここで、図6に示すように、同極同士のブラシの離間角度θ1がθ1=126°に設定されている場合に加え、
θ1<112°・・・(1)
または
124°<θ1・・・(2)
を満たすように4つのブラシ41a〜41dが配置されている場合、これら4つのブラシ41a〜41dの使用割合が100%になることが確認できる。
但し、θ1が式(1)、および式(2)を満たす場合、周方向に隣接するブラシ41a〜41dが接触しないように配置されていることが条件となる。
なお、本第一実施形態において、隣接するブラシ41a〜41dが接触してしまう角度とは、θ1=19.472°、およびθ1=164.5674°に設定された場合のことをいう。
ちなみに、θ1≧149.7894°となると、1つのセグメント上に陽極側ブラシと陰極側ブラシが接触することから、コイル59に電流が供給できなくなる。
この角度は、磁極数、スロット数、セグメント数、各ブラシ41a〜41dの周方向の幅W1、セグメント62,62間のスリット幅W2の条件が変わることによって変わる。すなわち、本第一実施形態において、式(1)、または式(2)を満たし、かつ周方向に隣接するブラシ41a〜41dが接触しないように配置されているとは、
θ1が、
19.472°<θ1<112°・・・(3)
または
124°<θ1<164.5674°・・・(4)
を満たすように設定されていることをいう。
θ1が式(3)、または式(4)を満たすように設定されている場合の4つのブラシ41a〜41dのセグメント62に対する跨ぎ状態毎におけるコイル59の通電状態は、上述の図4と同様である。
さらに、式(1)、または式(2)を満たし、かつ周方向に隣接するブラシ41a〜41dが確実に接触しないように配置することから、
θ1=110°
θ1=128°
θ1=130°
に設定することが望ましい。
なお、上述の第一実施形態では、4つのブラシ41a〜41dは、2つの陽極側ブラシ41a,41bと、2つの陰極側ブラシ41c,41dとがそれぞれ回転軸52を中心にして点対称位置となるように配置されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、式(3)、式(4)を満たせば、図7(a)、図7(b)に示すように、2つの陽極側ブラシ41a,41bと、2つの陰極側ブラシ41c,41dとがそれぞれ回転軸52を中心にして点対称位置に配置されていなくてもよい。
すなわち、図7(a)、図7(b)に示すように、2つの陽極側ブラシ41a,41bと、2つの陰極側ブラシ41c,41dとがそれぞれ回転軸52を挟んで両側に配置されていればよい。
(第二実施形態)
次に、この発明の第二実施形態を図1を援用し、図8〜図10に基づいて説明する。なお、第一実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明する。
この第二実施形態において、スタータ1は、モータ部3と、モータ部3に連結されている出力軸4と、出力軸4上に摺動自在に設けられたオーバーランニングクラッチ5、およびピニオン6と、モータ部3に対する電源供給路を開閉するスイッチユニット7と、スイッチユニット7の可動接点板8、およびピニオン6を軸線方向に沿って移動させるための電磁装置9とを有している点、モータ部3は、ブラシ付直流モータ51と、ブラシ付直流モータ51の回転軸52に連結され、この回転軸52の回転力を出力軸4に伝達するための遊星歯車機構2とにより構成されている点、ブラシ付直流モータ51は、略円筒状のヨーク53と、ヨーク53の径方向内側に配置され、ヨーク53に対して回転自在に設けられているアーマチュア54とを有している点、ヨーク53の内周面に、6つの永久磁石57が周方向に磁極が順番となるように配設されている点、アーマチュア54は、回転軸52と、回転軸52に外嵌固定されているアーマチュアコア58と、回転軸52のアーマチュアコア58よりも遊星歯車機構2側に外嵌固定されているコンミテータ61とにより構成されている点、アーマチュアコア58にコイル59が波巻により巻装されている点、コンミテータ61に2つの陽極側ブラシ41a,41b、および2つの陰極側ブラシ41c,41dが接触している点等の基本的構成は、前述した第一実施形態と同様である。
ここで、第二実施形態のブラシ付直流モータ51は、アーマチュアコア58に形成されているスロット104の数が「25」、コンミテータ61に配置されているセグメント62の枚数が25枚に設定されている。
また、4つのブラシ41a〜41dは、前述の第一実施形態と同様、異極同士のブラシが回転軸52を中心にして対向配置される一方、同極同士のブラシは周方向に隣り合うように配置されている。しかしながら、第一実施形態とは異なり、隣り合う同極同士のブラシの離間間隔θ2は、
θ2=130°
に設定されている。
このような構成のもと、各ブラシ41a〜41dの周方向の幅W1を5.375mmに設定し、隣接するセグメント62,62間のスリット幅W2を0.9mmに設定した場合、4つのブラシ41a〜41dは、アーマチュア54の回転に伴うセグメント62との接触状態、およびコイル59への通電状態が以下のように変化する。
図8(a)〜図8(i)は、4つのブラシ41a〜41dのセグメント62に対する跨ぎ状態毎におけるコイル59の通電状態を示す説明図である。なお、図8において、各跨ぎ状態毎に記載されている数字、およびアルファベット(A〜D)は、前述の第一実施形態の図4と同様に、セグメント62の番号、および各ブラシ41a〜41dを示している。
まず、図8(a)に示すように、4つのブラシ41a〜41dがそれぞれ2つのセグメント62,62に接触した状態に位置しているとする(以下、2−2−2−2跨ぎ状態という)。
すなわち、陽極側ブラシ41aは1−2番セグメント62に接触した状態、陽極側ブラシ41bは10−11番セグメント62に接触した状態、陰極側ブラシ41cは22−23番セグメント62に接触した状態、陰極側ブラシ41dは13−14番セグメント62に接触した状態であるとする。
このような2−2−2−2跨ぎ状態にあっては、1番セグメント62に接触している陽極側ブラシ41aと、23番セグメント62に接触している陰極側ブラシ41cとがコイル59によって電気的に接続される。また、11番セグメント62に接触している陽極側ブラシ41bと、13番セグメント62に接触している陰極側ブラシ41dとがコイル59によって電気的に接続される。
このため、固定接点板34に可動接点板8が当接し(図1参照)、陽極側ブラシ41a,41bに不図示のバッテリからの電流が供給されると、陽極側ブラシ41aと陰極側ブラシ41cとの間のコイル59に通電が行われる(図8(a)における矢印a21参照)。また、陽極側ブラシ41bと陰極側ブラシ41dとの間のコイル59に通電が行われる(図8(a)における矢印a22参照)。
なお、矢印a1,a2の真下に記載されている数字は通電が行われるコイル59の有効導体数を示している(以下、図8(b)〜図8(i)についても同様)。
図8(b)に示すように、アーマチュア54の回転に伴って、4つのブラシ41a〜41dは、2−2−2−2跨ぎ状態から2つの陽極側ブラシ41a,41bと、1つの陰極側ブラシ41dがそれぞれ2つのセグメント62,62に接触した状態になる。一方、1つの陰極側ブラシ41cが3つのセグメント62,62,62に接触した状態になる(以下、2−2−3−2跨ぎ状態という)。
すなわち、陽極側ブラシ41aは、1−2番セグメント62に接触した状態、陽極側ブラシ41bは、10−11番セグメント62に接触した状態、陰極側ブラシ41dは、13−14番セグメント62に接触した状態のままになる。一方、陰極側ブラシ41cは22−24番セグメント62に接触した状態になる。
このような2−2−3−2跨ぎ状態にあっては、1番セグメント62に接触している陽極側ブラシ41aと、24番セグメント62に接触している陰極側ブラシ41cとがコイル59によって電気的に接続される。また、11番セグメント62に接触している陽極側ブラシ41bと、13番セグメント62に接触している陰極側ブラシ41dとがコイル59によって電気的に接続される。
このため、4つのブラシ41a〜41d全てを用いてコイル59に通電が行われる(図8(b)における矢印b21,b22参照)。
続いて、図8(c)に示すように、4つのブラシ41a〜41dは、2つの陽極側ブラシ41a,41bがそれぞれ2つのセグメント62,62に接触した状態になる。一方、2つの陰極側ブラシ41c,41dがそれぞれ3つのセグメント62,62,62に接触した状態になる(以下、2−2−3−3跨ぎ状態という)。
この状態の場合であっても4つのブラシ41a〜41d全てを用いてコイル59に通電が行われる(図8(c)における矢印c21,c22参照)。
次に、図8(d)に示すように、4つのブラシ41a〜41dは、2つの陽極側ブラシ41a,41bと、1つの陰極側ブラシ41dがそれぞれ2つのセグメント62,62に接触した状態になる。一方、1つの陰極側ブラシ41cが3つのセグメント62,62,62に接触した状態になる(以下、2−2−3−2跨ぎ状態という)。
この状態の場合であっても4つのブラシ41a〜41d全てを用いてコイル59に通電が行われる(図8(d)における矢印d21,d22参照)。
続いて、図8(e)に示すように、再び2−2−2−2跨ぎ状態になる。ここで、図8(e)に示す2−2−2−2跨ぎ状態における各ブラシ41a〜41dが接触するセグメント62は、図8(a)に示す2−2−2−2跨ぎ状態における各ブラシ41a〜41dが接触するセグメント62と異なっている。
この状態の場合であっても4つのブラシ41a〜41d全てを用いてコイル59に通電が行われる(図8(e)における矢印e21,e22参照)。
次に、図8(f)に示すように、4つのブラシ41a〜41dは、1つの陽極側ブラシ41aと、2つの陰極側ブラシ41c,41dとがそれぞれ2つのセグメント62,62に接触した状態になる。一方、1つの陽極側ブラシ41bが3つのセグメント62,62,62に接触した状態になる(以下、2−3−2−2跨ぎ状態という)。
この状態の場合であっても4つのブラシ41a〜41d全てを用いてコイル59に通電が行われる(図8(f)における矢印f21,f22参照)。
続いて、図8(g)に示すように、4つのブラシ41a〜41dは、2つの陽極側ブラシ41a,41bが3つのセグメント62,62,62に接触した状態になる。一方、2つの陰極側ブラシ41c,41dが2つのセグメント62,62に接触した状態になる(以下、3−3−2−2跨ぎ状態という)。
この状態の場合であっても4つのブラシ41a〜41d全てを用いてコイル59に通電が行われる(図8(g)における矢印g21,g22参照)。
次に、図8(h)に示すように、4つのブラシ41a〜41dは、1つの陽極側ブラシ41aが3つのセグメント62,62,62に接触した状態になる。一方、1つの陽極側ブラシ41b、および2つの陰極側ブラシ41c,41dが2つのセグメント62,62に接触した状態になる(以下、3−2−2−2跨ぎ状態という)。
この状態の場合であっても4つのブラシ41a〜41d全てを用いてコイル59に通電が行われる(図8(h)における矢印h21,h22参照)。
そして、図8(i)に示すように、再び2−2−2−2跨ぎ状態になる。コイル59には、図8(i)における矢印i21,i22のように通電が行われる。
ここで、第二実施形態にあっては、陽極側ブラシ41aと陰極側ブラシ41cとの間の有効導体数と、陽極側ブラシ41bと陰極側ブラシ41dとの間の有効導体数との間に差が生じる場合がある。
すなわち、4つのブラシ41a〜41dが2−2−2−2跨ぎ状態(図8(a)、図8(e)、図8(i)参照)にあるとき、通電される2つの回路の有効導体数が互いに異なる状態になる。このため、常に4つのブラシ41a〜41dを使用してコイル59に給電を行うが、2−2−2−2跨ぎ状態のとき、有効導体数の少ない回路に給電を行うブラシは、有効導体数の多い回路に給電を行うブラシと比較して電流密度が高くなる。
図9は、縦軸を各ブラシ41a〜41dに供給される電流値とし、横軸をアーマチュア54への通電時間とした場合の各ブラシ41a〜41dに供給される電流値の変化を示すグラフである。
同図に示すように、常に4つのブラシ41a〜41dに電流が供給されるが、2−2−2−2跨ぎ状態になる区間(図9におけるS1,S2参照)にあっては、形成される回路によって各ブラシ41a〜41dに供給される電流値が異なることが確認できる。
このような場合であっても、4つのブラシ41a〜41dを常に使用する分、従来の2ブラシ使用状態と比較して、各ブラシ41a〜41dに供給される電流密度の変化を小さくすることができるので、前述の第一実施形態と同様の効果を奏することができる。
なお、上述の第二実施形態では、同極同士のブラシの離間間隔θ2を、
θ2=130°
に設定し、周方向に隣接する陽極側ブラシ41aと陰極側ブラシ41c、および陽極側ブラシ41bと陰極側ブラシ41dが常にコイル59を介して電気的に接続するように4つのブラシ41a〜41dを配置し、常に4つのブラシ41a〜41dを使用してコイル59に給電を行う場合について説明した。しかしながら、ブラシの離間間隔θ2は、
θ2<116°・・・(5)
または
128°<θ2・・・(6)
を満たすように、かつ周方向に隣接するブラシ41a〜41dが接触しないように配置されていればよい。
ここで、本第二実施形態において、隣接するブラシ41a〜41dが接触してしまう角度とは、θ2=20.9962°、およびθ2=159.0038°に設定された場合である。また、θ2≧148.1004では1つのセグメント上に陽極側ブラシと陰極側ブラシが接触することから、コイル59に電流が供給できなくなる。
すなわち、式(5)、または式(6)を満たし、かつ周方向に隣接するブラシ41a〜41dが接触しないように配置されているとは、
θ2が、
20.9962°<θ1<116°・・・(7)
または
124°<θ1<159.0038°・・・(8)
を満たすように設定されていることをいう。
さらに、式(5)、または式(6)を満たし、かつ周方向に隣接するブラシ41a〜41dが確実に接触しないように配置することから、
129°<θ2<131°・・・(9)
を満たすように設定されていることが望ましい。
図10は、縦軸をコイル59への通電時における4つのブラシ41a〜41dの使用割合とし、横軸を同極同士のブラシの離間角度θ2とした場合の4つのブラシ41a〜41dの使用割合の変化を示すグラフであって、4つのブラシ41a〜41dの全てを使用する4ブラシ使用状態、4つのブラシ41a〜41dのうち、3つのブラシのみ使用する3ブラシ使用状態、および4つのブラシ41a〜41dのうち、2つのブラシのみ使用する2ブラシ使用状態、を比較している。
図10に示すように、式(7)、または式(8)を満たすことにより、4つのブラシ41a〜41dの全てを使用することが確認できる。さらには、式(9)を満たすことにより、確実に4つのブラシ41a〜41dの全てを使用することが確認できる。
なお、図10における磁極数、スロット数、セグメント数、各ブラシ41a〜41dの周方向の幅W1、セグメント62,62間のスリット幅W2(図2参照)の各設定条件は、上述の図8に示す条件と同様とする。
また、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、スタータ1に用いられるブラシ付直流モータ51における4つのブラシ41a〜41dの配置について説明したが、ブラシ付直流モータ51はスタータ1に限られず、さまざまな電動機に適用することが可能である。
1 スタータ
3 モータ部
4 出力軸
6 ピニオン
10 ヨーク
23 リングギヤ
41a,41b 陽極側ブラシ
41c,41d 陰極側ブラシ
51 ブラシ付直流モータ
52 回転軸
54 アーマチュア
57 永久磁石
59 コイル
61 コンミテータ
62 セグメント
θ1,θ2 離間角度

Claims (7)

  1. 磁極数を6極有するヨークと、
    前記ヨークに対して回転自在に設けられたアーマチュアとを備え、
    前記アーマチュアは、
    回転軸と、
    前記回転軸に外嵌固定され、複数のスロットを有するアーマチュアコアと、
    前記アーマチュアコアの所定のスロット間に波巻により巻装されたコイルと、
    前記回転軸に外嵌固定され、前記コイルが接続された複数のセグメントを周方向に沿って配置したコンミテータとを有し、
    このコンミテータのセグメントに接触する2つの陽極側ブラシ、および2つの陰極側ブラシを介して前記コイルに給電が行われるモータのブラシ配置構造において、
    前記2つの陽極側ブラシ、および前記2つの陰極側ブラシは、前記アーマチュアの回転時に、常に全ての陽極側ブラシ、および陰極側ブラシを利用して前記コイルに給電を行うように配置されていることを特徴とするブラシ配置構造。
  2. 前記2つの陽極側ブラシ、および前記2つの陰極側ブラシは、
    それぞれ陽極側ブラシと陰極側ブラシとが前記回転軸を挟んで両側に位置するように配置され、
    かつ周方向に隣接する前記陽極側ブラシと前記陰極側ブラシとが常に前記コイルを介して電気的に接続されるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載のブラシ配置構造。
  3. 前記アーマチュアコアのスロット数が26、前記コンミテータのセグメント数が26であって、
    周方向に隣接する前記2つの陽極側ブラシ間の離間角度、および前記2つの陰極側ブラシ間の離間角度をθ1としたとき、
    離間角度θ1は、
    θ1<112°
    または
    124°<θ1
    を満たすように設定され、
    かつ、周方向に隣接する前記陽極側ブラシ、および前記陰極側ブラシが接触しないように配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のブラシ配置構造。
  4. 前記離間角度θ1は、
    109°<θ1<111°
    または
    125°<θ1<131°
    を満たすように設定されていることを特徴とする請求項3に記載のブラシ配置構造。
  5. 前記アーマチュアコアのスロット数が25、前記コンミテータのセグメント数が25であって、
    周方向に隣接する前記2つの陽極側ブラシ間の離間角度、および前記2つの陰極側ブラシ間の離間角度をθ2としたとき、
    離間角度θ2は、
    θ2<116°
    または
    128°<θ2
    を満たすように設定され、
    かつ、周方向に隣接する前記陽極側ブラシ、および前記陰極側ブラシが接触しないように配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のブラシ配置構造。
  6. 前記離間角度θ2は、
    129°<θ2<131°
    を満たすように設定されていることを特徴とする請求項5に記載のブラシ配置構造。
  7. 通電により回転力を発生するモータ部と、
    前記モータ部の回転力を受けて回転する出力軸と、
    前記出力軸の回転力を受けて前記出力軸に沿ってスライド移動するピニオンとを備え、
    前記モータ部の通電時に、前記ピニオンとエンジンのリングギヤとが噛合うように構成されているスタータにおいて、
    前記モータ部は、
    磁極数を6極有するヨークと、
    前記ヨークに対して回転自在に設けられ、コイルが波巻により巻装されているアーマチュアと、
    前記コイルに給電を行うための2つの陽極側ブラシ、および2つの陰極側ブラシとを備え、
    前記アーマチュアは、
    回転軸と、
    前記回転軸に外嵌固定され、前記コイルが巻装される複数のスロットを有するアーマチュアコアと、
    前記回転軸に外嵌固定され、前記コイルが接続された複数のセグメントを周方向に沿って配置したコンミテータとを有し、
    前記2つの陽極側ブラシ、および前記2つの陰極側ブラシは、
    それぞれ陽極側ブラシと陰極側ブラシとが前記回転軸を中心にして点対称位置となるように周方向に沿って配置され、
    かつ周方向に隣接する前記陽極側ブラシと前記陰極側ブラシとが常に前記コイルを介して電気的に接続されるように配置されていることを特徴とするスタータ。
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