JP2015201580A - リアクトルおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
ケース内部にリアクトル本体が配置され、前記ケースと前記リアクトル本体との隙間に前記充填材が充填されたリアクトルにおいて、
前記ケースの上面開口部の内周形状と、前記リアクトル本体上部の平面投影外形形状との間に、前記充填材を前記ケース内に充填するための注入部となる隙間が存在しないことを特徴とする。
予め攪拌脱泡させた充填材を常圧でケースに充填し、その後、リアクトル本体をケースに配置し、リアクトル本体が充填材の液面に触れた後は、自重でリアクトル本体をケース底部に向かって落とし込み、リアクトル本体がケース内部で静止した状態でリアクトル本体とケースとを固定することを特徴とする。
[1.1 構成]
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照して説明する。
(1)全体構成
本実施形態のリアクトルは、図1ないし図3に示す通り、リアクトル本体1と、リアクトル本体1を収容する上面が開口した箱形の金属製ケース2と、両者の間に充填された充填材3を有する。リアクトル本体1は、図1に示す通り、3本の脚部を備えたコア4と、このコア4の周囲に設けられた樹脂成型品5と、コア4及び樹脂成型品5の中心脚部分に巻回されたコイル6とを備える。
図1及び図7に示す通り、コア4は、断面矩形状の3本の脚部41〜43を有するE字状の2つの分割コア4a,4bを、3本の脚部41〜43の先端同士を対向させて接着することで、全体としてθ字状(角の丸いθ状や角が四角いθ字状を含む)に形成されている。コア4としては、例えば粉末状の磁性体を圧縮成形して形成した圧縮コアや、ケイ素鋼を積層した積層コアを用いることができる。
樹脂成型品5は、その内部にコア4を埋設したものであって、2つの分割コア4a,4bのそれぞれと一体的に形成された樹脂成型品5a,5bからなる。2つの分割コア4a,4bをそれぞれインサート品として、樹脂成型品5a,5bの金型内にセットした状態で、金型内に樹脂を充填し固化することで、分割コア4a,4bと樹脂成型品5a,5bを一体的に形成する。
コイル6は、コア4の外表面に巻回されている。コイル6は、分割コア4a,4bの3本の脚部41〜43のうち、中央の脚部42が接着されることにより形成される直線部分に樹脂成型品5を介して巻回されている。具体的には、コイル6は、2つの分割コア4a,4bを接着する際に、予め筒状に巻回したコイルを中央の脚部42に嵌め込むことにより、コア4に巻回されている。コイル6の巻き始めの端部と巻き終わりの端部61a,61bは、それぞれ引き出しリード線として外部に引き出される。コイル6としては、各種の導体を巻回したものを使用することができるが、本実施形態では、平角線の導体をエッジワイズ巻きしたエッジワイズコイルを使用する。
ケース2は、図1および図4ないし図6に示す通り、上面に開口を有する箱型に形成されており、リアクトル本体1の大きさに合わせた寸法の収容空間を有する。ケース2は熱伝導性の高い金属で形成され、リアクトル本体1を収容するとともにリアクトル本体1から発生する熱の放熱部材としての機能を有する。熱伝導性の高い金属としては、アルミニウムやマグネシウムを用いることができる。また、必ずしも金属である必要はなく、熱伝導性に優れた樹脂や、樹脂の一部に金属製の放熱板を埋設したものを使用することも可能である。
充填材としては、固化しても多少の弾力性を有する樹脂を使用することが望ましい。たとえば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウム等の放熱用の材料を混入したエポキシ樹脂系、ポリアクリレート系、シリコーン系のポッティング剤をその硬化度を調整することで使用できる。
本実施形態では、ケース2の上面開口部の内周形状と、リアクトル本体上部の平面投影外形形状との間に、前記充填材をケース2の上方からケース2内に充填するための注入部となる隙間が存在しない。通常、前記の隙間の寸法は、充填材の粘度と、ケース2内に対する充填量、充填材の固化時間、及び充填材を注入するノズル内径及び外径によって決定される。すなわち、充填材は、充填材の性状により幅はあるが、ケース2内に注入後一定の時間が経過すると固化するものであって、その場合、(1) 規定量の充填材3をノズルによってケース2内に注入する作業時間、(2) 注入された充填材3がケース2内で隙間全体に広がるまでの時間、(3) 隙間内に広がった充填材が固化する時間を考慮する必要がある。
図2に示すように、ケース2に対してリアクトル本体1を固定した状態においては、リアクトル本体1の上部中央にコイル6の巻回部分が露出している。本実施形態では、図1に示すように、このコイル6の露出部分をコイルカバー8によって被覆する。このコイルカバー8は、その下部を樹脂成型品5a,5bの上面にボルト締めや接着剤を用いて固定する。なお、コイルカバー8と樹脂成型品5a,5bとを鉤型の係合部材で固定したり、樹脂成形品5a,5bと一体の樹脂部材で形成されていてもよい。
ケース2には、そこに固定したリアクトル本体1に近接して、端子台9が固定されている。この端子台9は、コイル6の巻き始めの端部と巻き終わりの端部61a,61bに配線用の端子91a,91bをインサート成型した樹脂製の部材で、リアクトル本体1の長手方向に沿って平行に配置された端子91a,91bの一端が、コイル6の端部61a,61bに溶接されている。端子91a,91bの他端には、ねじ挿入穴92a,92bが設けられ、その背面に外部配線を91a,91bを接続するためのナット93a,93bが端子台9内に埋め込まれている。
上記のような構成を有する本実施形態のリアクトルの製造方法を以下に説明する。
(1)充填材3の脱泡工程
本実施形態では、充填材3は主剤と硬化剤からなる2液性のものを使用している。2液性の充填材3は主剤と硬化剤を混合させるため、所定の撹拌が必要であるが、大気中で撹拌された充填材3は空気を巻き込んでいることから、撹拌後に真空中で脱泡を行うことが望ましい。また、主剤と硬化剤は、その材料単体でも気泡を含んでいるため、真空中で予備脱泡し、その後に大気中あるいは真空中で撹拌すること好ましい。なお、1液型の熱硬化性充填材や湿気硬化性充填材を使用する場合も、真空中で予備脱泡することが望ましい。
脱泡処理をした充填材3を、常温、常圧下でケース2内に注入する。この注入に当たっても、注入圧力によって気泡の巻き込みが生じないように、充填ノズルとケース2との位置関係、充填ノズルの内径、注入速度を適切に設定することが肝要である。また、本実施形態では、ケース2の中央に、コイル装着用の凹部21が設けられているので、この凹部21に注入した充填材3が、注入量が増加するに従い、凹部21の周囲に溢れ出て、ケースの底部全体に行き渡るようにすることで、気泡の混入を防止している。
前記のケース2内に充填材3を注入するまでに、リアクトル本体1を作製しておく。内部にE字形の分割コア4a,4bをインサート成型した2つの樹脂成型品5a,5bを、その中央脚42をコイル6に挿入した状態でθ状に接合することにより、リアクトル本体1を作製する。この場合、図11に示すように、分割コア4a,4bの接合面と樹脂成型品5a,5bの接合面のそれぞれに接着剤7を塗布すると共に、これらの接合面に塗布した接着剤7が樹脂成型品5a,5bの表面にはみ出すように接着剤7を塗布する。
ケース2内に充填材3を注入した後は、同じく常温、常圧下で、リアクトル本体1を治具で持ち上げ、ケース2の上面開口部からその内部に挿入する。ケース2内に挿入したリアクトル本体1が充填材3の液面に触れた状態でリアクトル本体1を治具から開放し、その後は自重でリアクトル本体1をケース2の底部に向かって落とし込む。このようにすると、ケース2内に注入した充填材3がリアクトル本体1によって押しのけられ、ケース2の内面とリアクトル本体1の外面との隙間に入り込んで行く。
ケース2の上縁に樹脂成型品5a,5bが当接することにより、自重で下降していたリアクトル本体1はケース2内部で静止する。この場合、樹脂成型品5a,5bに設けた位置決めピン58をケース2の凹部26,27に挿入することで、リアクトル本体1とケースの位置決めがなされる。その後、ボルト81,82をケース2のねじ穴24,25に締結することで、リアクトル本体1とケース2を固定する。
上記のような構成を有する本実施形態のリアクトルの効果は以下のとおりである。
(1)本実施形態によれば、充填材3を予め脱泡しているので、ボイドの生成がなく、熱伝導性が損なわれることがない。また、常温常圧化において、リアクトル本体1をその組み立て、その後自重で充填材3に埋没させることで,従来必要であった大型の真空充填機が不要となり、生産タクトの向上が期待できる。更に、ケース2とリアクトル本体1の間に挿入する充填ノズルが不要になり、ケース2とリアクトル本体1にノズル外径分の隙間を確保する必要がなくなり、リアクトルの小型化が可能となる。
図12及び図13は、第2実施形態を示すものである。この第2実施形態は、その製造方法やケース2の形状、更には、リアクトル本体1の基本的な形状は第1実施形態と同様であるが、樹脂成型品5a,5bに遮音板59を設けることなく、樹脂成型品5a,5bの縁とケース2の内周の縁とをほぼ同位置としたものである。
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではない。以上の実施形態は例として提示したものであって、その他の様々な形態で実施されることが可能である。発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲、要旨、その均等の範囲に含まれる。以下、その一例を示す。
2…金属製ケース
3…充填材
4…コア
4a,4b…分割コア
5,5a,5b…樹脂成型品
6…コイル
7…接着剤
8…コイルカバー
9…端子台
10…全体カバー
10a,10b…ボルト
21…凹部
22…案内溝
23…凸部
24,25,28,29…ねじ穴
26,27…凹部
41〜43…コアの脚部
44…露出部
51…切欠部
52…開口部
53…凹部
54…凸部
55,56…ねじ挿入穴
57…弾性支持部材
58…位置決めピン
59…遮音板
61a,61b…コイルの端部
81,82,83,84…ボルト
91a,91b…端子
92a,92b,94a,94b…ねじ挿入穴
93a,93b…ナット
95…アンダーカバー
Claims (9)
- ケース内部にリアクトル本体が配置され、前記ケースと前記リアクトル本体との隙間に前記充填材が充填されたリアクトルにおいて、
前記ケースの上面開口部の内周形状と、前記リアクトル本体上部の平面投影外形形状との間に、前記充填材を前記ケース内に充填するための注入部となる隙間が存在しないことを特徴とするリアクトル。 - 前記ケースの上面開口部の全周囲において、前記リアクトル本体上部の平面投影外形形状が、前記ケースの上面開口部の内周形状と等しいか、それよりも前記ケースの外方に向かって張り出していることを特徴とする請求項1に記載のリアクトル。
- 前記ケースの底部にコイル装着用の凹部を設けると共に、この凹部から前記充填材の案内溝を形成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のリアクトル。
- 前記リアクトル本体は、複数の分割コアを備え、前記案内溝は前記分割コアの接合面に合わせて設置されていることを特徴とする請求項3に記載のリアクトル。
- 前記ケースの底面に前記リアクトル本体の底部に向かって突出した凸部を配置し、前記リアクトル本体の底部には凸部に対向してコアの表面が露出し、この凸部とコアの露出部との隙間に前記充填材が充填されていることを特徴とする請求項1から請求項4いずれか1項に記載のリアクトル。
- 前記コア部材が、コアとその周囲に設けられた樹脂成型品とから構成され、前記リアクトル本体の底部に形成されたコアの露出部の周囲に形成されている樹脂成形品の一部に、前記リアクトル本体と前記ケース内面との隙間と連通する開口部が形成されていることを特徴とする請求項5に記載のリアクトル。
- 予め攪拌脱泡させた充填材を常圧でケースに充填し、
その後、リアクトル本体を前記ケースに配置し、
前記リアクトル本体が前記充填材の液面に触れた後は、自重で前記リアクトル本体を前記ケース底部に向かって落とし込み、
前記リアクトル本体が前記ケース内部で静止した状態で前記リアクトル本体と前記ケースとを固定することを特徴とするリアクトルの製造方法。 - 前記ケースが、底部にコイル装着用の凹部を設けると共に、この凹部からリアクトルの長手方向に前記充填材の案内溝を形成したものであり、
前記リアクトル本体が、その底部に前記凹部に向かって突出したコイルを有するものであって、
前記ケース内部に前記リアクトル本体を自重で落とし込んだ際に、前記凹部内に溜まっている前記充填材を、前記案内溝を経由してリアクトルの長手方向端部の隙間に流入させることを特徴とする請求項7に記載のリアクトルの製造方法。 - 前記リアクトル本体の平面投影外形形状が、前記ケースの上面開口部の全周囲において、前記ケースの上面開口部の内周形状と等しいか、それよりも前記ケースの外方に向かって張り出しているものであって、
前記ケース内部に前記リアクトル本体を自重で落とし込んだ際に、前記ケースの上面開口部を前記リアクトル本体の外形形状によって塞ぐことを特徴とする請求項7または請求項8に記載のリアクトルの製造方法。
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