JP6420563B2 - リアクトル - Google Patents

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Description

本発明は、ケース内にリアクトル本体を収納し、両者の隙間に充填材を充填してなるリアクトルに関する。
車載用途など比較的大きな電流が流れるリアクトルは、発熱が大きく、放熱構造が重要となる。このような用途で使用されるリアクトルは、例えば、アルミケースに搭載し、リアクトルの周囲を熱伝導率の高いシリコーン樹脂やエポキシ樹脂など(以下、充填材と呼ぶ)で覆うように充填させることで、放熱性を高めている。充填材の内部に気泡が存在する場合、気泡が熱抵抗となり、放熱性が悪化してしまうことから、できるだけ気泡を取り除く必要性が生じる。
一方、大電流に対応したリアクトルとして、コア材として圧粉磁心を使用したコアが提案されている。この種のリアクトルは、複数の分割コアを接着剤により接合することで、環状やθ状のコアを形成している。この場合、分割コアの接合面に塗布した接着剤が、接合時の加圧力によって接合面からコアの表面にはみ出すことが多い。
特に、圧粉磁心からなるコアを使用した場合、コアの接合面は磁束が流れる部分であるため、そこを研磨加工するとコアを構成する金属粉の変形や、金属粉周囲の絶縁被覆の破壊が生じて、渦電流損などの増大を招き、リアクトルの性能低下を引き起こすことになる。そのため、従来から、接合面だけでなくその周囲に接着剤を大きく盛り上げるようにはみ出させることで、接着面積を増大させ、接着力を向上させる試みもなされていた。
この接着剤のはみ出し部分は、その周囲にコイルが巻回されている場合には、コイルの内側に隠れてしまうことから、特に問題にならないが、コアの表面とケース内面が対向している部分に接着剤がはみ出すと、はみ出した接着剤がケース内面に当たり、ケース内に正しくリアクトル本体をセットできなくなる。これを防止するために、従来技術では、はみ出し分を考慮した隙間をリアクトル本体とケースとの間に空ける必要があり、製品が大型化してしまう問題があった。また、ケースとリアクトル本体との間に充填材を注入する場合、はみ出した接着剤が充填材の流れを阻止することになり、両者の隙間に充填材が万遍なく行き渡らずに空気層が残って、熱伝導性の低下を招く問題があった。
このような問題を解決するため、従来技術では、分割コアの接合面には、接着剤を塗布して、本体をアルミケースに組み付けた後、充填材を投入してから真空引きしたり、真空環境下で充填材を投入するなどの対策が採られていた。そのため、大掛かりな設備が必要となり、且つ、生産タクトが落ちるため、リアクトルの製品コストが高価となる要因となっていた。また、特許文献1の段落0015に記載されるように、予めアルミケース内に充填材を注入しておき、これにリアクトル本体を挿入する方法も提案されているが、このような従来技術でも、接着剤のはみ出しに起因する問題点を解決することはできなかった。
特開2006−041353号公報
一般に、発熱が少ないリアクトルであれば、充填材に気泡が発生しても大きな問題はないが、車載用のリアクトルなど大電流が流れるリアクトルにあっては、気泡の発生による熱伝導率の低下は無視できない。そのため、従来では、予め充填材を注入した場合でも、気泡の発生を防止するため、大型の真空充填機などを使用して充填材の注入を行っていた。
また、従来技術では、接合面からはみ出した接着剤を拭き取ることも行われていたが、拭き取り工程が増加してコストアップを招いたり、コア表面の接着剤がなくなるために接合強度が低下するなどの問題もあった。更に、はみ出した接着剤を除去しない場合には、その分、ケースとリアクトル本体の隙間を大きく取るなどの対策が必要となり、リアクトル全体の大型化を招く欠点もあった。
本発明は、前記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものである。本発明の目的は、接合面から接着剤がはみ出して、コア表面に接着剤の盛り上がりが形成されている場合であっても、はみ出した接着剤に妨げられることになく、ケースとリアクトル本体との隙間に充填材が万遍なく行き渡り、リアクトル本体からケースに対する熱伝導率の低下のおそれがないリアクトルを提供することにある。
本発明のリアクトルの一つの態様は、上面開口型のケースにリアクトル本体が配置されたリアクトルにおいて、前記リアクトル本体は、接着剤を用いて分割コアを接合してなるコアと、前記コアに巻回されたコイルとを備え、前記接着剤は、前記分割コアの接合面に塗布されていると共に、接合面からそれに隣接するコア表面に向かってはみ出してコア表面から盛り上がっており、前記ケースの内面には、コア表面から盛り上がった前記接着剤が入り込む案内溝が形成されていることを特徴とする。
本発明において、リアクトル本体とケースの隙間に充填材を充填することができる。また、前記ケースの内面に形成された案内溝内に充填材が充填されていると良い
本発明において、リアクトル本体とケースを直接接触させることができる。この態様において、ケース内面とリアクトル本体とは、その一部で接触していれば良く、他の部分に形成された隙間に充填材が先あるいは後ポッティングにより充填されていても良い。また、充填材を全く使用しなくても良い。
本発明において、コア表面から盛り上がった接着剤が入り込む案内溝は、ケースの肉厚内に設けることが好ましいが、ケースの案内溝を設けた部分をケースの外側に膨らませても良い。
本発明によれば、コアの表面に接着剤がはみ出していても、リアクトル本体をケース内の適切な位置にセットすることのできるリアクトルを提供することができる。また、ケースとリアクトル本体との隙間に充填材を充填した場合には、接着剤が充填材の流入を妨げることがないので、接着剤を前記隙間に気泡や空気層を残すことなく充填することが可能になり、リアクトル本体で発生した熱を充填材を介してケースに効果的に放熱することができる。更に、案内溝を設け、接着剤のはみ出しを逃がすことで、ケースにリアクトル本体を近づけることができ、リアクトルの小型化ができる利点もある。
第1実施形態の分解斜視図である。 第1実施形態の全体の組立状態を示す斜視図である。 第1実施形態のコイルカバーと端子台を除いた組立状態を示す斜視図である。 第1実施形態におけるケースの左側からの斜視図である。 図4のケースの右側からの斜視図である。 図4のケースの縦断面図である。 第1実施形態におけるコアの構成を示す斜視図である。 第1実施形態におけるリアクトル本体の底部を示す斜視図である。 第1実施形態のケースにリアクトル本体を装着する方法を示す斜視図である。 図3の横断面図である。 コアの接合部分における接着剤のはみ出し状態を示す斜視図である。
[1.第1実施形態]
[1.1 構成]
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照して説明する。
(1)全体構成
本実施形態のリアクトルは、図1ないし図3に示す通り、リアクトル本体1と、リアクトル本体1を収容する上面が開口した箱形の金属製ケース2と、両者の間に充填された充填材3を有する。リアクトル本体1は、図1に示す通り、3本の脚部を備えたコア4と、このコア4の周囲に設けられた樹脂成型品5と、コア4及び樹脂成型品5の中心脚部分に巻回されたコイル6とを備える。
(2)コア4
図1及び図7に示す通り、コア4は、断面矩形状の3本の脚部41〜43を有するE字状の2つの分割コア4a,4bを、3本の脚部41〜43の先端同士を対向させて接着することで、全体としてθ字状(角の丸いθ状や角が四角いθ字状を含む)に形成されている。コア4としては、例えば粉末状の磁性体を圧縮成形して形成した圧縮コアや、ケイ素鋼を積層した積層コアを用いることができる。
(3)樹脂成型品5
樹脂成型品5は、その内部にコア4を埋設したものであって、2つの分割コア4a,4bのそれぞれと一体的に形成された樹脂成型品5a,5bからなる。2つの分割コア4a,4bをそれぞれインサート品として、樹脂成型品5a,5bの金型内にセットした状態で、金型内に樹脂を充填し固化することで、分割コア4a,4bと樹脂成型品5a,5bを一体的に形成する。
樹脂成型品5は、コア4とコイル6を絶縁する絶縁体である。樹脂成型品5の主材料としては、例えば、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、BMC(バルクモールディングコンパウンド)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PBT(ポリブチレンテレフタラート)等を用いることができる。
樹脂成型品5a,5bは、分割コア4a,4bの脚部先端に形成された接合面を除いて、分割コア4a,4bのほぼ全周を覆っている。ただし、本実施形態においては、図8に示すように、分割コア4a,4bの底部に露出部44を形成するための切欠部51が形成され、分割コア4a,4bの露出部44の周囲には、切欠部51の周縁が壁のように立ち上がっている。分割コア4a,4bの露出部44の周囲に形成された樹脂成型品5の立ち上がり部分には、開口部52が形成されている。この開口部52は、切欠部51の周縁から樹脂成型品5の端面にまで達し、ケース2とリアクトル本体1との隙間と連通する。
樹脂成型品5は、分割コア4a,4bの3本の脚部41〜43の外周を被覆するものであって、その先端は分割コア4a,4bの接合面と同じ位置になっている。すなわち、分割コア4a,4bの接合面を突き合わせた場合、それらの周囲に設けられた樹脂成型品5a,5bの先端面も付き合わされた状態になる。従って、2つのE字形分割コア4a,4bをθ形に接合する場合、分割コア4a,4bの接合面と、樹脂成型品5a,5bの接合面の両方に接着剤を塗布する。この場合、接着剤の塗布は、接合した時に接合面に押し広がる量の接着剤が塗布してあれば、分割コア、樹脂成形品のどちらか一方の接合面のみでよい。また、本実施形態では接着強度を向上させるために、図11に示すように、樹脂成型品5a,5bの接合面を跨ぐように、樹脂成型品5a,5bの表面にも接着剤7を盛り上げて塗布する。なお、必ずしも最初から接着剤7を盛り上げて塗布しなくても、接合面に塗布した接着剤7が、接合時の加圧力で接合面からはみ出して、図11のような盛り上がりになっても良い。
図7、図8及び図11に示すように、樹脂成型品5a,5bには、両者を突き合わせて接合した場合に、分割コア4a,4b及び樹脂成型品5a,5bの位置合わせと接合強度を高めるために、凹部53とこれに嵌合する凸部54が設けられている。
図1及び図7に示すように、樹脂成型品5a,5bには、一体化されたリアクトル本体1をケース2に固定するための部材が設けられている。本実施形態では、この部材は、樹脂成型品5の対角に1つずつ設けられている。すなわち、第1の樹脂成型品5aにはねじ挿入穴55が、第2の樹脂成型品5bにはねじ挿入穴56を備えた弾性支持部材57が設けられている。
樹脂成型品5の一端は、第1の樹脂成型品5aに設けられたねじ挿入穴55に挿入したボルト81をケース2に締結することで、ケース2に対して移動しないように固着される。一方、樹脂成型品5の他端は、第2の樹脂成型品5bの弾性支持部材57に設けられたねじ挿入穴56にボルト82を挿入し、ボルト82をケース2に締結することにより、弾性支持部材57によって可動的にケース2に取り付けられる。
図8に示すように、弾性支持部材57は、第2の樹脂成型品5bに対して変形可能な薄肉部を介して一体化されており、熱膨張差などでケース2とリアクトル本体1との間に位置ずれが生じた場合に、それを吸収するものである。その際、本実施形態の充填材3も固化した状態でも多少の弾力性を有するものであるから、熱膨張差を吸収できる。
図8に示すように、樹脂成型品5bに設けた弾性支持部材57の下面には、ケース2側に向かって突出した位置決めピン58bが設けられている。同様に、図11に示すように、樹脂成型品5aにおけるねじ挿入穴55の近傍には、ケース2側に向かって突出した位置決めピン58aが設けられている。
図1ないし図3に示すように、樹脂成型品5a,5bにおける接合面と反対側の縁には、ケース2の開口部の内周縁よりも外側に向かって張り出した遮音板59が設けられている。この遮音板59は、図10の断面図に示すように、リアクトル本体1とケース2との隙間を上方から覆うように設けられている。本実施形態では、遮音板59が隙間を完全に密封していないが、遮音板59とケース2の表面との間に多少の隙間があっても、リアクトル本体1とケース2との隙間から漏れ出る騒音は、その上方に配置された遮音板59で遮られるため、防音効果は高い。なお、遮音板59がケース2の上面と密着して隙間を塞いでも良いし、遮音板59とケース2の上面との間をシール材で塞いでも良い。
(4)コイル6
コイル6は、コア4の外表面に巻回されている。コイル6は、分割コア4a,4bの3本の脚部41〜43のうち、中央の脚部42が接着されることにより形成される直線部分に樹脂成型品5を介して巻回されている。具体的には、コイル6は、2つの分割コア4a,4bを接着する際に、予め筒状に巻回したコイルを中央の脚部42に嵌め込むことにより、コア4に巻回されている。コイル6の巻き始めの端部と巻き終わりの端部61a,61bは、それぞれ引き出しリード線として外部に引き出される。コイル6としては、各種の導体を巻回したものを使用することができるが、本実施形態では、平角線の導体をエッジワイズ巻きしたエッジワイズコイルを使用する。
(5)ケース2
ケース2は、図1および図4ないし図6に示す通り、上面に開口を有する箱型に形成されており、リアクトル本体1の大きさに合わせた寸法の収容空間を有する。ケース2は熱伝導性の高い金属で形成され、リアクトル本体1を収容するとともにリアクトル本体1から発生する熱の放熱部材としての機能を有する。熱伝導性の高い金属としては、アルミニウムやマグネシウムを用いることができる。また、必ずしも金属である必要はなく、熱伝導性に優れた樹脂や、樹脂の一部に金属製の放熱板を埋設したものを使用することも可能である。
ケース2の底部には、コイル装着用の凹部21が設けられている。すなわち、本実施形態のリアクトル本体1において、コイル6はコア4及び樹脂成型品5の中央脚42の周囲に巻回されているため、リアクトル本体1の上面及び下面中央部ではコイル6がリアクトル本体1の表面からドーム状に盛り上がっている。そこで、ケース2の底部には、この盛り上がったコイル6の一部を収納する凹部21が設けられている。この凹部21は、本実施形態の製造方法において、液状の充填材を貯留する箇所として使用する。
ケース2には、この凹部21からリアクトル本体1の長手方向(分割コア4a,4bの接合面の延びる方向)に向かって、充填材の案内溝22が形成されている。この案内溝22の形状と断面積は、分割コア4a,4bの接合面からはみ出すように盛り上げた接着剤7が案内溝22に収納された状態において、案内溝22内を充填材が円滑に流れるものとする。案内溝22の先端は、ケース2の内壁面近く、すなわち、ケース2とリアクトル本体1の隙間にまで達している。
ケース2の底面には、リアクトル本体1の底部に向かって突出した凸部23が形成されている。すなわち、リアクトル本体1の底部には、樹脂成型品5a,5bに設けた切欠部51によってコア4の底部に露出部44が形成されているので、この露出部44との隙間に充填材3を薄く充填するために、切欠部51の形状に合わせてケース2の底面からコア4の底部に向かって突出した凸部23が設けられている。すなわち、この凸部23は、コア露出部44に充填材3や空気よりも熱伝導のよいケース2を近づけることで、放熱経路を増やし、放熱効率を高くするためにも機能するものである。
ケース2の上部には、分割コア4a,4bを固定するためのボルト81,82を締結するためのねじ穴24,25と、樹脂成型品5及びその弾性支持部材57に設けられた位置決めピン58を嵌め込む凹部26,27が設けられている。また、後述する端子台9を固定するためのボルト83,84を締結するためのねじ穴28,29が設けられている。
(6)充填材3
充填材3としては、固化しても多少の弾力性を有する樹脂を使用することが望ましい。たとえば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウム等の放熱用の材料を混入したエポキシ樹脂系、ポリアクリレート系、シリコーン系のポッティング剤をその硬化度を調整することで使用できる。
(7)リアクトル本体1とケース2との隙間
本実施形態では、ケース2の上面開口部の内周形状と、リアクトル本体上部の平面投影外形形状との間に、前記充填材をケース2の上方からケース2内に充填するための注入部となる隙間が存在しない。通常、前記の隙間の寸法は、充填材の粘度と、ケース2内に対する充填量、充填材の固化時間、 及び充填材を注入するノズル内径及び外径によって決定される。すなわち、充填材は、充填材の性状により幅はあるが、ケース2内に注入後一定の時間が経過すると固化する。その場合、(1) 規定量の充填材3をノズルによってケース2内に注入する作業時間、(2) 注入された充填材3がケース2内で隙間全体に広がるまでの時間、(3) 隙間内に広がった充填材が固化する時間を考慮する必要がある。
一方、充填材はその材質に応じた所定の粘度が有るため、ケース2とその内部に挿入したリアクトル本体1との間に充填材を、前記の固化する時間内に万遍なく行き渡らせるには、所定の充填速度が必要である。従って、使用する充填材の種類と充填量、要求される充填時間、更には注入に使用するノズル数、充填速度や圧力に依存するノズルの強度など条件から1本当たりのノズルの内径と外径が決定される。使用する充填材の種類としては、他にも、熱硬化タイプの充填材や、湿気硬化タイプの充填材を用いることができる
(8)コイルカバー8
図2に示すように、ケース2に対してリアクトル本体1を固定した状態においては、リアクトル本体1の上部中央にコイル6の巻回部分が露出している。本実施形態では、図1に示すように、このコイル6の露出部分をコイルカバー8によって被覆する。このコイルカバー8は、その下部を樹脂成型品5a,5bの上面にボルト締めや接着剤を用いて固定する。なお、コイルカバー8と樹脂成型品5a,5bとを鉤型の係合部材で固定することもできる。
(9)端子台9
ケース2には、そこに固定したリアクトル本体1に近接して、端子台9が固定されている。この端子台9は、コイル6の巻き始めの端部と巻き終わりの端部61a,61bに配線用の端子91a,91bをインサート成型した樹脂製の部材で、リアクトル本体1の長手方向に沿って平行に配置された端子91a,91bの一端が、コイル6の端部61a,61bに溶接されている。端子91a,91bの他端には、ねじ挿入穴92a,92bが設けられ、その背面に外部配線を91a,91bを接続するためのナット93a,93bが端子台9内に埋め込まれている。
端子台9は、そこに設けられたねじ挿入穴94a,94bに挿入したボルト83,84を、ケース2のねじ穴28,29に締結することにより、ケース2に固定されている。図9に示すように、ケース2の下部には、ケース2のリアクトル本体1の収納部分の底部を延長するようにアンダーカバー95が設けられている。このアンダーカバー95は、端子台9の底部を覆うもので、防音機能を有する。すなわち、端子91a,91bを介してコイル6に接続された端子台9がコイル6と共に振動して騒音を発生した場合に、このアンダーカバー95によって騒音を遮蔽する。
[1.2 製造方法]
上記のような構成を有する本実施形態のリアクトルの製造方法を以下に説明する。
(1)充填材3の脱泡工程
本実施形態では、充填材3は主剤と硬化剤からなる2液性のものを使用している。2液性の充填材3は主剤と硬化剤を混合させるため、所定の撹拌が必要であるが、大気中で撹拌された充填材3は空気を巻き込んでいることから、撹拌後に真空中で脱泡を行う。また、主剤と硬化剤は、その材料単体でも気泡を含んでいるため、真空中で予備脱泡し、その後に大気中あるいは真空中で撹拌すること好ましい。なお、1液型の熱硬化性充填材や湿気硬化性充填材を使用する場合も、真空中で予備脱泡することが望ましい。
(2)充填材3の注入工程
脱泡処理をした充填材3を、常温、常圧下でケース2内に注入する。この注入に当たっても、注入圧力によって気泡の巻き込みが生じないように、充填ノズルとケース2との位置関係、充填ノズルの内径、注入速度を適切に設定することが肝要である。また、本実施形態では、ケース2の中央に、コイル装着用の凹部21が設けられているので、この凹部21に注入した充填材3が、注入量が増加するに従い、凹部21の周囲に溢れ出て、ケースの底部全体に行き渡るようにすることで、気泡の混入を防止している。
(3)リアクトル本体1の作製
前記のケース2内に充填材3を注入するまでに、リアクトル本体1を作製しておく。内部にE字形の分割コア4a,4bをインサート成型した2つの樹脂成型品5a,5bを、その中央脚42をコイル6に挿入した状態でθ状に接合することにより、リアクトル本体1を作製する。この場合、図11に示すように、分割コア4a,4bの接合面と樹脂成型品5a,5bの接合面のそれぞれに接着剤7を塗布すると共に、これらの接合面に塗布した接着剤7が樹脂成型品5a,5bの表面にはみ出すように接着剤7を塗布する。
(4)リアクトル本体1の挿入工程
ケース2内に充填材3を注入した後は、同じく常温、常圧下で、リアクトル本体1を治具で持ち上げ、ケース2の上面開口部からその内部に挿入する。ケース2内に挿入したリアクトル本体1が充填材3の液面に触れた状態でリアクトル本体1を治具から開放し、その後は自重でリアクトル本体1をケース2の底部に向かって落とし込む。このようにすると、ケース2内に注入した充填材3がリアクトル本体1によって押しのけられ、ケース2の内面とリアクトル本体1の外面との隙間に入り込んで行く。
この場合、凹部21内に多量に溜まっている充填材3は、凹部21に連通する案内溝22を通ってリアクトルの長手方向端部にも円滑に移動する。また、この案内溝22は、接着剤7のはみ出し部分に設けられているので、はみ出した接着剤7が充填材3の流れを妨げることもない。特に、本実施形態では、案内溝22が接合面の延長方向に沿って設けられているので、接合面からはみ出した接着剤7の方向と案内溝22の方向が一致し、案内溝22内の充填材3の流れが妨げられることはない。
また、コアの表面から接着剤7が突出していても、接着剤7は案内溝22内に入り込みケース2の内面に接触することがないので、はみ出した接着剤7がぶつかってリアクトル本体1がケース2に引っ掛かってしまうこともなく、ケース2に対するリアクトル本体1の位置決めを適切に行うことができる。
更に、リアクトル本体1の底部には、コア4の露出部44を形成させるために樹脂成型品5a,5bに切欠部51が設けられているが、この切欠部51内に入り込んだ充填材3は、切欠部51の縁に設けられた開口部52を通って、ケース2とリアクトル本体1の隙間に移動する。
(5)リアクトル本体1の固定工程
ケース2の上縁に樹脂成型品5a,5bが当接することにより、自重で下降していたリアクトル本体1はケース2内部で静止する。この場合、樹脂成型品5a,5bに設けた位置決めピン58をケース2の凹部26,27に挿入することで、リアクトル本体1とケースの位置決めがなされる。その後、ボルト81,82をケース2のねじ穴24,25に締結することで、リアクトル本体1とケース2を固定する。
リアクトル本体1とケース2を固定した後は、ボルト83,84を用いて端子台9をケース2に固定すると共に、コイル6の端部61a,61bに端子91a,91bに溶接する。その後、充填材3を熱により硬化させる。また、リアクトル本体1の上部に露出しているコイル6の巻回部をコイルカバー8によって被覆する。
上記の製造工程は一例であり、工程の順番は適宜変更することができる。すなわち、端子台9やコイルカバー8の固定順序を適宜変更しても良い。また、端子台9やコイルカバー8の固定や、コイル端部61a,61bの溶接を行う前に、充填材3を固化させることもできる。特に、固化時間が短い充填材の場合には、充填材3の固化を先に行っても良い。
[1.3 効果]
上記のような構成を有する本実施形態のリアクトルの効果は以下のとおりである。
(1)案内溝22を左右の分割コア4a,4bの接合面に合わせて設置することにより、分割コア4a,4bや樹脂成型品5a,5bの接合面から接着剤7がはみ出した場合でも、案内溝22によって接着剤の周囲に空隙が確保されるので、はみ出した接着剤7によって充填材3の流入が妨げられることがない。その結果、分割コア4a,4bの接合時に、多量の接着剤7を使用したり、接合面だけでなくその周囲にまで接着剤7を塗布することで、分割コア4a,4bの接合強度を向上させることができる。
(2)本実施形態では、ケース2の底面にリアクトル本体1の底部に向かって突出した凸部23を配置し、一方、リアクトル本体1の底部には凸部23に対向してコアの露出部44を形成させている。そのため、コア4と充填材3とを直接接触させることが可能になり、充填材3を経由してコア4の熱をケース2側に効率良く放出できる。
(3)本実施形態では、ケース2の底部にコイル装着用の凹部21を設けると共に、この凹部21からリアクトルの長手方向に充填材3の案内溝22を形成しているので、凹部21内に多量に溜まっている充填材3を凹部21から離れたリアクトルの長手方向端部に向かって円滑に流出させることが可能になる。その結果、短時間で隙間全体に充填材3を行き渡らせることができる。
(4)コアの露出部44を形成するために樹脂成形品の一部に設けた切欠部51の周囲に、リアクトル本体1とケース2内面との隙間と連通する開口部52を形成したので、コアの露出部とケース2底面との隙間に充填材3が流入した際に、その部分に存在する空気が周囲の樹脂成形品によって閉じ込められることがない。その結果、コア底部の気泡の発生を効果的に防止できる。
(5)更に、案内溝を設け、接着剤のはみ出しを逃がすことで、ケースにリアクトル本体を近づけることができ、リアクトルの小型化ができる利点もある。
[3. 他の実施形態]
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではない。以上の実施形態は例として提示したものであって、その他の様々な形態で実施されることが可能である。発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲、要旨、その均等の範囲に含まれる。以下、その一例を示す。
(1)上記実施形態では、リアクトル本体1として、1本の中心脚を備えたθ型のコアを使用したが、コアの形状はこれに限らない、たとえば、コア4を、2つの分割されたE字形状の分割コア4a,4bから構成する代わりに、一方をE字形状とし、もう一方をI字形状とし、この2つのコアを接着する構成としても良い。また、2つのU字形状のコアやJ字形状のコアを接着することで、環状のコアとしてもよい。
(2)ケース2に設ける充填材の案内溝22は、分割コア4a,4bの接着面から接着剤7が大きくはみ出す部分には不可欠であるが、案内溝を分割コア4a,4bの接着面以外の個所に設けることで、リアクトル本体1に押し遣られた充填材3を迅速にケースの周辺にまで行き渡らせることができる。
(3)コア4に巻回するコイル6の形状も適宜変更可能であり、θ状のコアの左右の脚部にそれぞれコイルを巻回するものや、θ状のコアのヨーク部分にコイルを巻回しても良い。円形あるいは角形のループ状のコアを使用した場合には、左右の脚部のそれぞれにコイルを巻回しても良いし、2つの脚部の一方のみにコイルを巻回して良い。コイルが複数の場合には、ケース2に設けるコイル装着用の凹部21も複数になるが、その場合、接着剤のはみ出し部分を配置する案内溝22に加えて、複数の凹部21を連通する溝を設け、充填材3の移動を円滑に行うこともできる。
(4)樹脂成型品としては、内部にコアをインサート成型するものの他に、中空になった筒状あるいは箱状の樹脂成型品のみを予め作製し、その内部にコアを嵌合したり、接着剤で固定するものも使用できる。
(5)ケース2とリアクトル本体1の隙間に充填材3を充填する代わりに、ケース2とリアクトル本体1とを直接接触させることもできる。その場合、アルミニウムなどの金属製ケースを使用することで、リアクトル本体1からの放熱を促進することができる。この場合、コア4の表面から接着剤7が盛り上がることがないので、コア表面の接着剤7が存在しない部分とケース2の内面とを広い面積で密着させることが可能になり、優れた熱伝導性を確保できる。
(6)前記(5)のようにケース2とリアクトル本体1とをその一部で接触させ、他の部分では両者の隙間に充填材3を充填することで、充填材3を介在させた放熱構造と、金属同士の接触を利用した放熱構造を併用することもできる。
(7)充填材3の注入は、先ポッティング、後ポッティングのいずれの方法でも良いし、両者を併用することも可能である。
1…リアクトル本体
2…金属製ケース
3…充填材
4…コア
4a,4b…分割コア
5,5a,5b…樹脂成型品
6…コイル
7…接着剤
8…コイルカバー
9…端子台
10…全体カバー
10a,10b…ボルト
21…凹部
22…案内溝
23…凸部
24,25,28,29…ねじ穴
26,27…凹部
41〜43…コアの脚部
44…露出部
51…切欠部
52…開口部
53…凹部
54…凸部
55,56…ねじ挿入穴
57…弾性支持部材
58…位置決めピン
59…遮音板
61a,61b…コイルの端部
81,82,83,84…ボルト
91a,91b…端子
92a,92b,94a,94b…ねじ挿入穴
93a,93b…ナット
95…アンダーカバー

Claims (6)

  1. 上面開口型のケースにリアクトル本体が配置されたリアクトルにおいて、
    前記リアクトル本体は、接着剤を用いて分割コアを接合してなるコアと、前記コアに巻回されたコイルとを備え、
    前記接着剤は、前記分割コアの接合面に塗布されていると共に、接合面からそれに隣接するコア表面に向かってはみ出してコア表面から盛り上がっており、
    前記ケースの内面には、コア表面から盛り上がった前記接着剤が入り込む案内溝が形成されていることを特徴とするリアクトル。
  2. 前記ケース内面と前記リアクトル本体との隙間に充填材が充填されていることを特徴とする請求項1に記載のリアクトル。
  3. 前記ケースの内面に形成された案内溝内に充填材が充填されていることを特徴とする請求項2に記載のリアクトル。
  4. 前記ケースと前記リアクトル本体がその一部で直接接触していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のリアクトル。
  5. 前記ケースの底部にコイル装着用の凹部を設けると共に、この凹部から前記案内溝を形成したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のリアクトル。
  6. 前記リアクトル本体は、E字形あるいはU字形をした複数の分割コアを接合したものであって、前記分割コアの前記接合面の少なくとも1つはコアに巻回されたコイルの内側に位置することなくコイル外部に露出しており、その露出部分におけるコアの表面に前記接着剤が盛り上がっていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のリアクトル。
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