JP6457730B2 - リアクトル - Google Patents
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[1.1 構成]
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照して説明する。
(1)構成概要
本実施形態のリアクトルは、図1ないし図3、および図9に示す通り、リアクトル本体1と、リアクトル本体1を収容する上面が開口した箱形のケース2と、を備える。リアクトル本体1とケース2との間には充填材3が充填されている。リアクトル本体1は、図1に示す通り、3本の脚部を備えたコア4と、このコア4の周囲に設けられた樹脂成型品5と、コア4及び樹脂成型品5の中心脚部分に巻回されたコイル6とを備える。
図1及び図7に示す通り、コア4は、断面矩形状の3本の脚部41〜43を有するE字状の2つの分割コア4a,4bを、3本の脚部41〜43の先端同士を対向させて接着することで、全体としてθ字状に形成されている。θ字状に形成されたコア4には、コア4の四隅が略直角に形成されている場合も、面取り加工されている場合も含む。コア4としては、例えば粉末状の磁性体を圧縮成形して形成した圧縮コアや、ケイ素鋼を積層した積層コアを用いることができる。
樹脂成型品5は、その内部にコア4を埋設したものであって、2つの分割コア4a,4bのそれぞれと一体的に形成された樹脂成型品5a,5bからなる。2つの分割コア4a,4bをそれぞれインサート品として、樹脂成型品5a,5bの金型内にセットした状態で、金型内に樹脂を充填し固化することで、分割コア4a,4bと樹脂成型品5a,5bを一体的に形成する。
図2ないし図3に示すように、樹脂成型品5a,5bにおける接合面と反対側の縁には、ケース2の開口部の内周縁よりも外側に向かって張り出した遮音板59が樹脂成型品5a,5bと一体の樹脂で形成されている。この遮音板59は、図10の断面図に示すように、リアクトル本体1とケース2の開口部との間に生じる隙間を上方から覆うように設けられている。このようにして、樹脂成形品5の上部の平面投影外形形状が、ケース2の上面開口部の内周形状よりもケース2の外方に向かって張り出すように形成される。
コイル6は、コア4の外表面に巻回されている。コイル6は、分割コア4a,4bの3本の脚部41〜43のうち、中央の脚部42が接着されることにより形成される直線部分に樹脂成型品5を介して巻回されている。具体的には、コイル6は、2つの分割コア4a,4bを接着する際に、予め筒状に巻回したコイル6を中央の脚部42に嵌め込むことにより、コア4に巻回されている。コイル6の巻き始めの端部と巻き終わりの端部61a,61bは、それぞれ引き出しリード線として外部に引き出される。コイル6としては、各種の導体を巻回したものを使用することができるが、本実施形態では、平角線の導体をエッジワイズ巻きしたエッジワイズコイルを使用する。
ケース2は、図1および図4ないし図6に示す通り、上面に開口を有する箱型に形成されており、リアクトル本体1の大きさに合わせた寸法の収容空間を有する。ケース2の収容空間は、リアクトル本体1の上部がケース2の上面から突出するような深さに形成されている。ケース2は熱伝導性の高い金属で形成され、リアクトル本体1を収容するとともにリアクトル本体1から発生する熱の放熱部材としての機能を有する。熱伝導性の高い金属としては、アルミニウムやマグネシウムを用いることができる。また、必ずしも金属である必要はなく、熱伝導性に優れた樹脂や、樹脂の一部に金属製の放熱板を埋設したものを使用することも可能である。
図1および図3から図6に示す通り、ケース2の下部には、ケース2のリアクトル本体1の収納部分の底部を延長するように遮音板であるアンダーカバー95がケース2と一体成型されている。このアンダーカバー95は、後述する端子台9の底部を覆うようにケース2の外方に向かって張り出すように形成される。
図1および2に示すように、ケース2には、そこに固定したリアクトル本体1に近接して、端子台9が固定されている。この端子台9は、コイル6の巻き始めの端部と巻き終わりの端部61a,61bに配線用の端子91a,91bをインサート成型した樹脂製の部材で、リアクトル本体1の長手方向に沿って平行に配置された端子91a,91bの一端が、コイル6の端部61a,61bに溶接されている。端子91a,91bの他端には、ねじ挿入穴92a,92bが設けられ、その背面に外部配線を91a,91bを接続するためのナット93a,93bが端子台9内に埋め込まれている。端子台9は、そこに設けられたねじ挿入穴94a,94bに挿入したボルト83,84を、ケース2のねじ穴28,29に締結することにより、ケース2に固定されている。前述のとおり、アンダーカバー95は、端子台9の底部を覆うように張り出している。
図3に示すように、ケース2に対してリアクトル本体1を固定した状態においては、リアクトル本体1の上部中央にコイル6の巻回部分が露出している。本実施形態では、図2に示すように、このコイル6の露出部分をコイルカバー8によって被覆する。このコイルカバー8は、その下部を樹脂成型品5a,5bの上面に接着剤を用いて固定する。なお、コイルカバー8と樹脂成型品5a,5bとを鉤型の係合部材で固定しても良いし、コイルカバー8と樹脂成型品5a,5bを一体に成型しても良い。また、コイルカバー8は、その下部を樹脂成形品5a、5bの上面にボルト等の固定具を用いて固定しても良い。
充填材3としては、固化しても多少の弾力性を有する樹脂を使用することが望ましい。たとえば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウム等の放熱用の材料を混入したエポキシ樹脂系、ポリアクリレート系、シリコーン系のポッティング剤をその硬化度を調整することで使用できる。
本実施形態では、ケース2の上面開口部の内周形状と、リアクトル本体上部の平面投影外形形状との間に、前記充填材をケース2の上方からケース2内に充填するための注入部となる隙間が存在しない。通常、前記隙間の寸法は、充填材の粘度と、ケース2内に対する充填量、充填材の固化時間、充填材がケース2内に必要な規定量に達するまでの時間、及び充填材を注入するノズル内径及び外径によって決定される。すなわち、充填材は、充填材の性状により幅はあるが、ケース2内に注入後、例えば一定の時間が経過すると固化する。一方、充填材はその材質に応じた所定の粘度が有るため、ケース2とその内部に挿入したリアクトル本体1との間に充填材を万遍なく行き渡らせるには、一定の充填時間が必要である。従って、使用する充填材の種類と充填量、要求される充填時間、更には注入に使用するノズル数、充填速度や圧力に依存するノズルの強度など条件から1本当たりのノズルの内径と外径が決定される。使用する充填材の種類としては、他にも、熱硬化タイプの充填材や、湿気硬化タイプの充填材を用いることができる。
上記のような構成を有する本実施形態のリアクトルの製造方法を以下に説明する。
(1)充填材3の脱泡工程
本実施形態では、充填材3は主剤と硬化剤からなる2液性のものを使用する。2液製の充填材3を用いる場合は、主剤と硬化剤を混合させるために所定の撹拌を行う。撹拌された充填材3は空気を巻き込んでいるため、撹拌後に脱泡を行う。なお、充填材3の主剤と硬化剤はそれぞれ単体でも気泡を含んでいるため、混合撹拌前に、真空で予備脱泡することが好ましい。または、主剤と硬化剤の撹拌時に、真空中で撹拌を行うことが好ましい。充填材3としては、熱硬化タイプの充填材や、湿気硬化タイプの充填材を用いることができる。
脱泡処理をした充填材3を、常温、常圧下でケース2内に注入する。この注入に当たっても、注入圧力によって気泡の巻き込みが生じないように、充填ノズルとケース2との位置関係、充填ノズルの内径、注入速度を適切に設定することが肝要である。また、本実施形態では、ケース2の中央に、コイル装着用の凹部21が設けられているので、この凹部21に注入した充填材3が、注入量が増加するに従い、凹部21の周囲に溢れ出て、ケースの底部全体に行き渡るようにすることで、気泡の混入を防止している。
前記のケース2内に充填材3を注入するまでに、リアクトル本体1を作製しておく。内部にE字形の分割コア4a,4bをインサート成型した2つの樹脂成型品5a,5bを、その中央脚42をコイル6に挿入した状態でθ状に接合することにより、リアクトル本体1を作製する。この場合、図11に示すように、分割コア4a,4bの接合面と樹脂成型品5a,5bの接合面のそれぞれに接着剤7を塗布すると共に、接着剤7が樹脂成型品5a,5bの表面にはみ出すように接着剤7を塗布する。
ケース2内に充填材3を注入した後は、同じく常温、常圧下で、リアクトル本体1を治具で持ち上げ、ケース2の上面開口部からその内部に挿入する。ケース2内に挿入したリアクトル本体1が充填材3の液面に触れた状態でリアクトル本体1を治具から開放し、その後は自重でリアクトル本体1をケース2の底部に向かって落とし込む。このようにすると、ケース2内に注入した充填材3がリアクトル本体1によって押しのけられ、ケース2の内面とリアクトル本体1の外面との隙間に入り込んで行く。
ケース2の上縁に樹脂成型品5a,5bが当接することにより、自重で下降していたリアクトル本体1はケース2内部で静止する。この場合、樹脂成型品5a,5bに設けた位置決めピン58a、58bをケース2の凹部26,27に挿入することで、リアクトル本体1とケースの位置決めがなされる。その後、ボルト81,82をケース2のねじ穴24,25に締結することで、リアクトル本体1とケース2を固定する。
上記のような構成を有する本実施形態のリアクトルの効果は以下のとおりである。
(1)本実施形態では、ケース2に収容されたリアクトル本体1と、ケース2の開口部との間に生じる隙間の少なくとも一部において、遮音板59が設けられている。従って、リアクトル本体1から発生した音が、遮音板59により遮られ、外部に伝わることが抑制される。
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではない。以上の実施形態は例として提示したものであって、その他の様々な形態で実施されることが可能である。発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲、要旨、その均等の範囲に含まれる。以下、その一例を示す。
2…ケース
3…充填材
4…コア
4a,4b…分割コア
5,5a,5b…樹脂成型品
6…コイル
7…接着剤
8…コイルカバー
9…端子台
21…凹部
22…案内溝
23…凸部
24,25,28,29…ねじ穴
26,27…凹部
41〜43…コアの脚部
44…露出部
51…切欠部
52…開口部
53…凹部
54…凸部
55,56…ねじ挿入穴
57…弾性支持部材
58a,58b…位置決めピン
59…遮音板
61a,61b…コイルの端部
81,82,83,84…ボルト
91a,91b…端子
92a,92b,94a,94b…ねじ挿入穴
93a,93b…ナット
95…アンダーカバー
Claims (10)
- コアと、
前記コアを内包する樹脂部材と、
前記コアに、前記樹脂部材を介して巻回されるコイルと、を有するリアクトル本体と、
前記リアクトル本体を収容する開口部を有するケースと、を備え、
前記リアクトル本体は、前記ケースの上面開口部から、前記樹脂部材の上部が突出するように収容され、
前記ケースに収容された前記リアクトル本体と、前記ケースの開口部との間に生じる隙間の少なくとも一部において、第1の遮音板が設けられ、
前記第1の遮音板は、前記ケースの上面開口部の周囲の少なくとも一部において、前記樹脂部材上部の平面投影外形形状を、前記隙間の最内周から前記ケースの外方に向かって張り出させた第1の張り出し部であることを特徴とするリアクトル。 - 前記第1の張り出し部は、前記樹脂部材と一体成型されていることを特徴とする請求項1記載のリアクトル。
- 前記ケースの開口部の縁と、前記第1の張り出し部の下面との間には第1の空間が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のリアクトル。
- 前記コイルに接続されるとともに、前記ケースに固定される端子台をさらに備え、
前記端子台の周囲の少なくとも一部において、第2の遮音板が設けられていることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項記載のリアクトル。 - 前記第2の遮音板は、前記ケースの少なくとも一部を、前記ケースの外方に向かって張り出させた第2の張り出し部であり、
前記第2の張り出し部は、前記端子台の周囲の少なくとも一部を覆うように設けられていることを特徴とする請求項4記載のリアクトル。 - 前記第2の張り出し部は、前記ケースと一体に形成されていることを特徴とする請求項5記載のリアクトル。
- 前記端子台と、前記第2の張り出し部の前記端子台側の面との間には第2の空間が設けられていることを特徴とする請求項5又は請求項6記載のリアクトル。
- 前記第1の空間が、シール材で塞がれていることを特徴とする請求項3記載のリアクトル。
- 前記第2の空間が、シール材で塞がれていることを特徴とする請求項7記載のリアクトル。
- 前記コイルの露出部分を被覆するコイルカバーを設けたことを特徴とする請求項1〜9いずれか一項記載のリアクトル。
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