以下に、本発明に係るプリントヘッドの製造方法、およびそれにより製造されたプリントヘッド、およびそれを備える画像形成装置の各実施例について図面を参照しつつ説明する。
本発明に係るプリントヘッドの製造方法の一例としての実施例1のプリントヘッドの製造方法を、図1から図12を用いて説明する。併せて、そのプリントヘッドの製造方法により製造されたプリントヘッドの一例としてのプリントヘッド30、およびそれを備える画像形成装置の一例としての画像形成装置10について説明する。なお、図2は、プリントヘッド30の構成の理解を容易なものとするために、ハウジング33を省略するとともに、感光体11の帯電面に光を照射する(露光)様子を概略的に示している。
図1は、実施例1のプリントヘッドの製造方法により製造されたプリントヘッド30を搭載した画像形成装置10を示す概略断面図である。この画像形成装置10は、図1に示すように、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の4色を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタである。画像形成装置10は、4つの色毎に、像担持体としての感光体11と、帯電器12と、プリントヘッド30と、現像器13と、転写用帯電機構14と、クリーニング機構15と、を備える。なお、これらの4つの色毎に設けられた構成については、図1では各符号の末尾に各色を示す符号(K、Y、M、C)を付して示している。また、画像形成装置10は、4つの色に対して共通の、転写ベルト16と、給紙トレイ17と、給紙コロ18と、転写ローラ19と、定着装置21と、を備える。
各感光体11は、図1を正面視して時計方向に適宜回転される。その各感光体11の回転方向で見て、帯電器12、プリントヘッド30、現像器13、転写用帯電機構14およびクリーニング機構15が設けられている。また、各感光体11の下方には、それらが配列された方向に架け渡された転写ベルト16が、各感光体11の回転方向と等しい方向に周回可能に設けられている。
各帯電器12は、対応する感光体11の表面を均一に帯電するための帯電装置である。各プリントヘッド30は、対応する感光体11の帯電面に光を照射する(各光スポットSPを形成する)ことにより、感光体11の表面に対応する色の画像に応じた静電潜像を形成する。各現像器13は、感光体11の表面に対応する色のトナーを供給することにより、感光体11の表面に形成された静電潜像を対応する色のトナー像として可視像化(顕像化)する。各転写用帯電機構14は、転写ベルト16を介して対応する感光体11と対向して設けられており、感光体11の表面に形成された対応する色のトナー像を転写ベルト16上に転写させる。このとき、その転写ベルト16は、各感光体11の回転速度に応じて周回速度が設定されており、それぞれの感光体11に形成された各色のトナー像が適切に重ね合せられる。また、各感光体11では、転写ベルト16上に転写されずに表面に残存するトナーが、クリーニング機構15により除去される。
一方、感光体11の下方に配置された給紙トレイ17には、例えば転写紙より成る記録媒体Pが収容されている。この給紙トレイ17からは、給紙コロ18の回転により、最上位の記録媒体Pが転写ローラ19と転写ベルト16との間に送り込まれる。その記録媒体Pでは、その間を通過することにより、転写ベルト16上に重ね合せられた各色のトナー像が一括して転写される。このため、転写ローラ19は、転写ベルト16と協働して、像担持体としての感光体11上に可視像化された画像を記録媒体Pに転写する転写機構として機能する。そのトナー像が転写された記録媒体Pでは、搬送されて定着装置21を通過することにより、転写されたトナー像が定着される。これにより、画像形成装置10では、記録媒体Pにフルカラーの画像を形成し、そのフルカラーの画像(それが形成された記録媒体P)を出力することができる。
そのプリントヘッド30は、図2に示すように、基板31とレンズアレイ32とを有し、それらがハウジング33(図1参照)の内方に支持されて構成されている。基板31は、LEDや有機EL等の複数の光源が一列に並べて(整列されて)設けられる箇所であり、実施例1では複数のLEDアレイチップ34が一列に並べられている。そのLEDアレイチップ34は、図3に示すように、自らが並べられた方向に沿って複数のLED35(発光ダイオード)が一列に並べられて(整列されて)設けられて構成されている。このため、各LED35は、基板31に整列されて設けられた発光部として機能する。プリントヘッド30では、1つの光源としてのLED35と形成する画像(静電潜像)の1ドットとを個別(例えば一対一)に対応させるべく、各LEDアレイチップ34(その各LED35)の個数が設定されている。
また、基板31には、図2に示すように、ドライバIC36が複数個設けられている。この各ドライバIC36は、基板31に設けられた複数の光源、すなわち各LEDアレイチップ34における各LED35のうちの対応するものを駆動(点灯および消灯)するために設けられている。各ドライバIC36は、画像形成装置10の制御部の制御下で、形成する画像に応じて各LEDアレイチップ34の各LED35を駆動する。このため、この各ドライバIC36は、各発光部としての各LED35を駆動する駆動部として機能する。なお、ドライバIC36は、形成する画像に応じて各LEDアレイチップ34の各LED35を駆動するものであれば、単一のものであってもよく、基板31とは異なる基板に設けられていてもよく、実施例1の構成に限定されるものではない。
その各ドライバIC36は、メモリ37(図1参照)を有している。そのメモリ37には、光源としての各LED35を駆動する際に発光光量を補正するための光量補正データ(後述する光量補正データCD)等のデータが格納される。各ドライバIC36は、メモリ37に格納されたデータを参照することが可能とされており、当該データを用いて各LED35を駆動することが可能とされている。このため、メモリ37は、各発光部(LED35)の駆動のためにドライバIC36が参照するデータを格納する記憶部として機能する。その光量補正データ(光量補正データCD)の設定方法については、後に詳細に説明する。なお、メモリ37は、必ずしもドライバIC36に設ける必要はなく、例えば、ドライバIC36とは独立して基板31上に設けてもよく、プリントヘッド30が搭載される本体側のメモリを利用するものであってもよく、実施例1の構成に限定されるものではない。
詳細には、後述する光量補正データ(光量補正データCD)は、プリントヘッド30に設けられた記憶部(実施例1ではメモリ37)に格納(記録)するもの、すなわちプリントヘッド30に記録して保持させるものであってもよい。また、後述する光量補正データ(光量補正データCD)は、プリントヘッド30が搭載される本体側のメモリに格納(記録)するもの、すなわち直接的にはプリントヘッド30に記録することなく当該プリントヘッド30に保持させるものであってもよい。その本体側のメモリに格納(記録)する方法としては、例えば、以下のようにすることがあげられる。一例として、先ず、光量補正データ(光量補正データCD)をバーコードとしてプリントヘッドに印字する。この一例では、プリントヘッドを画像形成装置本体(画像形成装置10)に組み込む際に、印字されたバーコードから光量補正データを読み出し、その光量補正データを当該プリントヘッドに対応させて本体側のメモリに記録する。また、他の例として、光量補正データおよびそれに対応する識別番号を別途記憶装置等に記憶し、その識別番号をバーコードとしてプリントヘッドに印字する。この他の例では、プリントヘッドを画像形成装置本体(画像形成装置10)に組み込む際に、印字されたバーコードから識別番号を読み出し、その識別番号を用いて当該識別番号に対応する光量補正データを記憶装置等から読み出す。そして、他の例では、読み出した光量補正データを、それに対応する識別番号のバーコードが印字されたプリントヘッドに対応させて本体側のメモリに記録する。
レンズアレイ32は、各LEDアレイチップ34の各LED35から出射された光を、感光体11の帯電面に結像させるものであり、例えば、マイクロレンズアレイや、屈折率分布型ロッドレンズアレイ等を用いて構成することができる。このレンズアレイ32は、実施例1では、屈折率分布型ロッドレンズアレイを用いている。レンズアレイ32は、図4に示すように、複数の屈折率分布型ロッドレンズ32aを有し、その屈折率分布型ロッドレンズ32aを2段に互い違いに積み重ねるように2列に配置している。
その各屈折率分布型ロッドレンズ32aは、周囲を取り囲む周壁部材32bにより支持されている。その周壁部材32bは、各屈折率分布型ロッドレンズ32aと同等の線膨張係数を持つガラスを分散させた樹脂製の部材で形成されている。その周壁部材32bでは、各屈折率分布型ロッドレンズ32aの隙間に樹脂32cが充填されている。その樹脂32cは、隣り合う屈折率分布型ロッドレンズ32aの間からフレア光が漏れることを抑制するために設けられており、不透明樹脂(実施例1では黒い樹脂)が充填および硬化されて形成されている。
このため、プリントヘッド30では、各LEDアレイチップ34の各LED35から射出させた光を、レンズアレイ32により集光することで感光体11の表面に結像させる。このため、プリントヘッド30では、各LED35により当該LED35の個数と同じ数の光スポットSPを形成することができる。なお、以下では、複数の光スポットのうちのいずれか1つの光スポットを示す際には光スポットSPkとも記載する。そのkは、全ての光スポットSPのうちのいずれの光スポットSPを対象としたかを示す上述した識別子であって、0(ゼロ)を除く自然数とする。このため、プリントヘッド30では、感光体11の帯電面に光を照射する(露光)ことにより、対応する色の画像に応じた静電潜像を形成することができる。
このプリントヘッド30では、上述したように、1つの光源としてのLED35と形成する画像(静電潜像)の1ドットとを個別(例えば一対一)に対応させるべく、各LEDアレイチップ34(その各LED35)の個数が設定されている。ところが、各LED35(各LEDアレイチップ34)には、例えば製造誤差等により各光源における特性にバラつきが生じてしまう。すると、プリントヘッド30では、各LED35における特性のバラつきを、形成した画像における各ドットに反映させてしまい、当該画像に縦筋(濃度むら)を発生させてしまう。このため、プリントヘッド30では、各LED35の光量を適切に調整すべく各LED35に対する光量補正データ(光量補正値)を設定してメモリ37(図1参照)に格納し、その光量補正データを用いてドライバIC36が各LED35を駆動する。
本発明に係る実施例1のプリントヘッド30では、本発明に係る実施例1のプリントヘッドの製造方法(その光量補正データ(光量補正値)の設定方法)により設定された光量補正データ(光量補正値)をメモリ37(図1参照)に格納している。その本発明に係るプリントヘッドの製造方法(光量補正データ(光量補正値)の設定方法)では、各LED35からの光における光パワー密度(単位面積あたりの光量)を用いて光量補正データを設定する。これは、プリントヘッドの製造方法(光量補正データの設定方法)では、記録媒体P上に画像を形成すべく現像されるトナー量が、各LED35からの光における光パワー密度(単位面積あたりの光量)に依存して決まることに着目したことによる。詳細には、記録媒体P上に形成される画像では、現像されるトナー量が局所的に多い領域が黒い筋に見え、現像されるトナー量が局所的に少ない領域が白い筋に見える。その現像されるトナー量は、各LED35からの光における光パワー密度に依存して決まる。その各LED35からの光における光パワー密度は、各LED35が形成する光スポットSPにおける光量(あるいは光量と深い関連のある値)と大きさとの比で表すことができる。このため、プリントヘッドの製造方法では、各LED35が形成する光スポットSPにおける光量(あるいは光量と深い関連のある値)と大きさとの比率(比)を用いて、光パワー密度のバラつきをなくすように光量補正データを設定する。換言すると、プリントヘッドの製造方法では、各LED35からの光における光パワー密度を因子として、光パワー密度のバラつきをなくすように光量補正データを設定する。そして、プリントヘッドの製造方法では、その設定した光量補正データをメモリ37に格納させることで、光量補正データを保持させたプリントヘッド30を製造する。これにより、プリントヘッドの製造方法により製造したプリントヘッド30では、ドライバIC36が、メモリ37に格納した光量補正データを用いて各LED35を駆動することとなる。このため、そのプリントヘッド30では、各LED35から出射される光の光量が補正されて現像されるトナー量がほぼ均一となるので、画像に縦筋(濃度むら)を発生させることを適切に防止することができる。
次に、本発明に係る実施例1のプリントヘッドの製造方法における光量補正データ(光量補正値)の設定方法を具体的に説明する。本発明に係るプリントヘッドの製造方法では、上述したように、光量補正データを設定するために、各LED35が形成する光スポットSPにおける光量(あるいは光量と深い関連のある値)と大きさとの比率(比)を用いる。換言すると、光量補正データを設定するために、各LED35からの光における光パワー密度(単位面積あたりの光量)を因子とする。そして、実施例1のプリントヘッドの製造方法では、当該比率(因子)を次のように求める。
先ず、プリントヘッド30において、何らの光量補正データを用いることなくドライバIC36に各LED35を駆動させて、各LED35から光を射出させレンズアレイ32により集光して像面上に光スポットSPを形成する。その像面上に形成した光スポットSPの強度分布を測定して、光スポットSPの2次元ビームプロファイル(図5参照)を取得する。この図5に示す例では、1次元のラインCCDを主走査方向に走査することにより、光スポットSPの強度分布の測定を行っている。これにより得られる測定結果(2次元ビームプロファイル(図5参照))では、ピクセル数を、主走査方向に210ピクセルとしかつ副走査方向に39ピクセルとしており、ピクセルピッチを、主走査方向に4[μm]とし、副走査方向に4.7[μm]としている。ここで、図5に示す例では、プリントヘッド30のLEDアレイチップ34において、40個のLED35が一列に並べられているものとしている。そして、図5に示す例では、8個おきに1つのLED35を点灯させて測定することを8回繰り返すことで、LEDアレイチップ34の全てのLED35(ドット)に対応する光スポットSPの測定を行っている。これをプリントヘッド30の全てのLEDアレイチップ34に対して行うことにより、プリントヘッド30における各LED35により形成されるk個(kは1から40)の光スポットSPの2次元ビームプロファイル(図5参照)を取得することができる。
なお、実施例1では、1次元のラインCCDを主走査方向に走査していたが、各光スポットSPの2次元ビームプロファイルを取得することができるものであれば、例えば、2次元CCDを使って測定するものであってもよく、他の方法により行うものであってもよく、実施例1の方法に限定されるものではない。また、実施例1では、各光スポットSPの2次元ビームプロファイルを取得するものとしていたが、各光スポットSPの1次元ビームプロファイルを取得するものであってもよく、実施例1の方法に限定されるものではない。その1次元ビームプロファイルを取得する方法としては、例えば、PD(フォトダイオード)にスリットを設けて構成した光検出部を、各LED35が一列に並べられた方向に走査することにより行うことができる。
次に、取得した各光スポットSPの2次元ビームプロファイル(図5参照)から、主走査方向の1次元ビームプロファイルと、副走査方向の1次元ビームプロファイルと、を生成する。このことを、図5における最も左側に位置する光スポットSPの2次元ビームプロファイル(図6参照)を例にして説明する。その図6に示す例では、主走査方向のピクセル数が図5に示す例の5分の1となる42ピクセルとなり、副走査方向のピクセル数が図6に示す例と同様に39ピクセルとなっている。実施例1のプリントヘッドの製造方法では、図6に示す光スポットSPの2次元ビームプロファイルにおいて、主走査方向で見て等しい位置にある各ピクセルの強度を副走査方向に足し合わせることで、図7に示す主走査方向の1次元ビームプロファイルを生成する。同様に、図6に示す光スポットSPの2次元ビームプロファイルにおいて、副走査方向で見て等しい位置にある各ピクセルの強度を主走査方向に足し合わせることにより、図8に示す副走査方向の1次元ビームプロファイルを生成する。
次に、2つの走査方向の1次元ビームプロファイルに基づいて、光スポットSPにおける第1光量関連データPWと、光スポットSPにおける第1大きさ関連データBSと、を求める。第1光量関連データPWは、光スポットSPにおける光量を示すデータ、あるいは光スポットSPにおける光量と関連の深いデータである。すなわち、第1光量関連データPWは、光スポットSPを形成する光量の増減に応じて増減する値であって、大略光量に比例する値である。また、第1大きさ関連データBSは、光スポットSPの大きさを示すデータ、すなわち光スポットSPを形成する光(光強度)が分布する領域を示すデータである。すなわち、第1大きさ関連データBSは、形成される光スポットSPの大きさ(径寸法や面積)の増減に応じて増減する値である。
先ず、実施例1のプリントヘッドの製造方法において、第1光量関連データPWを求める方法について説明する。先ず、第1光量関連データPWを求めるための第1閾値Th1(図7、図8参照)を設定する。この第1閾値Th1は、2つの走査方向の1次元ビームプロファイルにおいて、第1光量関連データPWを求めることに用いる強度の下限値を規定するものである。すなわち、プリントヘッドの製造方法では、第1閾値Th1よりも大きい値の強度値を、第1光量関連データPWを求めるための光スポットSPにおける有効なデータとする。第1閾値Th1は、形成される各光スポットSPに応じて適宜設定すればよいが、縦筋の発生を適切に抑制する観点からは低めに設定することが望ましい。このため、実施例1のプリントヘッドの製造方法では、第1閾値Th1を、光スポットSPのピーク強度の15[%]以下、より好ましくは光スポットSPのピーク強度の10[%]以下に設定するものとする。この図7および図8に示す例では、第1閾値Th1を全ての光スポットSPのピーク強度の4[%]に設定している。なお、第1閾値Th1は、ゼロ(光スポットSPのピーク強度の0[%])としてもよい。この場合は、光スポットSPとして測定した強度分布の全ての値を用いるもの、すなわち実質的に第1閾値Th1を設けていない場合と同様に第1光量関連データPWを求めるものとなる。
そして、プリントヘッドの製造方法では、図7に示す主走査方向の1次元ビームプロファイルにおいて、第1閾値Th1よりも大きい値の強度値を加算することで主走査方向光量PWmを求める。すなわち、主走査方向光量PWmは、主走査方向の1次元ビームプロファイルを示すグラフにおける第1閾値Th1よりも大きい値を積算したものとなる。このとき、第1閾値Th1は、含むものであってもよく、含まないものであってもよい。このことから、図7に示すグラフでは、1次元ビームプロファイルを示す曲線と、第1閾値Th1を示す直線と、に囲まれた領域(その面積(ハッチを付した箇所))が主走査方向光量PWmを示すこととなる。同様に、プリントヘッドの製造方法では、図8に示す副走査方向の1次元ビームプロファイルにおいて、第1閾値Th1よりも大きい値の強度値の全てを加算することで副走査方向光量PWsを求める。そして、プリントヘッドの製造方法では、主走査方向光量PWmと副走査方向光量PWsとの平均値を求めることで、第1光量関連データPWを求める。この第1光量関連データPWを求める際、連続する複数の光スポットSPにおける各第1光量関連データPWを用いて平均化処理を行うものとしてもよい。この平均化処理を行うことにより、測定誤差による縦筋の発生を抑止することができる。この平均化処理としては、連続する複数の光スポットSPにおける各第1光量関連データPWで移動平均を実施することにより、ノイズ除去を行うことがあげられる。ここで、このように求めた第1光量関連データPWは、厳密には対象とする光スポットSPの光量そのものを示すデータではないが、光スポットSPの光量と極めて深い関連のあるデータである。
なお、第1光量関連データPWは、上記したように求めることが好ましいが、光スポットSPにおける光量と関連の深いデータを求めるものであれば、実施例1の方法に限定するものではなく、他の方法により求めるものであってもよい。この他の方法としては、例えば、主走査方向光量PWmと副走査方向光量PWsとの和を第1光量関連データPWとすることがあげられる。また、他の方法としては、例えば、光スポットSPの2次元ビームプロファイル(図6参照)における第1閾値Th1よりも大きい値の強度値の全てを加算して第1光量関連データPWとすることがあげられる。
次に、実施例1のプリントヘッドの製造方法において、第1大きさ関連データBSを求める方法について説明する。先ず、第1大きさ関連データBSを求めるための第2閾値Th2(図7、図8参照)を設定する。この第2閾値Th2は、2つの走査方向の1次元ビームプロファイルにおいて第1大きさ関連データBSを求めることに用いる強度の下限値を規定するものである。すなわち、プリントヘッドの製造方法では、第2閾値Th2よりも大きい値の強度値を、第1大きさ関連データBSを求めるための光スポットSPにおける有効なデータとする。第2閾値Th2は、形成される各光スポットSPに応じて適宜設定するものであればよく、第1閾値Th1と等しい値としてもよく異なる値としてもよいが、縦筋の発生を適切に抑制する観点からは低めに設定することが望ましい。このため、実施例1のプリントヘッドの製造方法では、第2閾値Th2を、光スポットSPのピーク強度の15[%]以下、より好ましくは光スポットSPのピーク強度の10[%]以下に設定するものとする。そして、図7および図8に示す例では、第2閾値Th2を、全ての光スポットSPのピーク強度の4[%]に設定し第1閾値Th1と等しい値としている。なお、第2閾値Th2は、第1閾値Th1と同様に、ゼロ(光スポットSPのピーク強度の0[%])としてもよい。この場合は、光スポットSPとして測定した強度分布の全ての値を用いるもの、すなわち実質的に第2閾値Th2を設けていない場合と同様に第1大きさ関連データBSを求めるものとなる。
プリントヘッドの製造方法では、図7に示す主走査方向の1次元ビームプロファイルにおいて、第2閾値Th2となる強度値における幅寸法(径寸法)を求めて主走査方向幅BSmとする。すなわち、主走査方向幅BSmは、第2閾値Th2よりも大きい値の強度値となる主走査方向で見た大きさ寸法となる。このとき、第2閾値Th2は、含むものであってもよく、含まないものであってもよい。このことから、図7に示すグラフでは、第2閾値Th2を示す直線において、1次元ビームプロファイルを示す曲線に囲まれた範囲(その長さ寸法)が主走査方向幅BSmを示すこととなる。同様に、プリントヘッドの製造方法では、図8に示す副走査方向の1次元ビームプロファイルにおいて、第2閾値Th2となる強度値における幅寸法(径寸法)を求めて副走査方向幅BSsとする。そして、プリントヘッドの製造方法では、主走査方向幅BSmおよび副走査方向幅BSs、すなわち光スポットSPにおける2つの異なる径寸法に基づいて第1大きさ関連データBSを求める。実施例1のプリントヘッドの製造方法では、主走査方向幅BSmと副走査方向幅BSsとを乗算することで、第1大きさ関連データBSを求める。この第1大きさ関連データBSを求める際、連続する複数の光スポットSPにおける各第1大きさ関連データBSを用いて平均化処理を行うものとしてもよい。この平均化処理を行うことにより、測定誤差による縦筋の発生を抑止することができる。この平均化処理としては、連続する複数の光スポットSPにおける各第1大きさ関連データBSで移動平均を実施することにより、ノイズ除去を行うことがあげられる。ここで、このように求めた第1大きさ関連データBSは、光スポットSPの大きさ(径寸法や面積)と極めて深い関連のあるデータである。
なお、第1大きさ関連データBSは、上記したように求めることが好ましいが、光スポットSPの大きさを示すデータを求めるものであれば、実施例1の方法に限定するものではなく、他の方法により求めるものであってもよい。この他の方法としては、例えば、主走査方向幅BSmをそのまま第1大きさ関連データBSとすることや、副走査方向幅BSsをそのまま第1大きさ関連データBSとすることのように、径寸法に基づいて求めることがあげられる。また、他の方法としては、例えば、光スポットSPの2次元ビームプロファイル(図6参照)における第2閾値Th2よりも大きい値の強度値となる領域の面積を求めて第1大きさ関連データBSとすることのように、面積に基づいて求めることがあげられる。さらに、他の方法としては、例えば、光スポットSPの2次元ビームプロファイル(図6参照)における第2閾値Th2よりも大きい値の強度値となる領域の幅寸法を求めて第1大きさ関連データBSとすることのように、径寸法に基づいて求めることがあげられる。ついで、他の方法としては、例えば、光スポットSPの2次元ビームプロファイル(図6参照)における第2閾値Th2よりも大きい値の強度値となる領域の幅寸法を2方向で求めて、当該2つの幅寸法を乗算することで第1大きさ関連データBSを求めることのように、2つの異なる径寸法に基づいて求めることがあげられる。
次に、実施例1のプリントヘッドの製造方法では、上述したように求めた第1光量関連データPWと第1大きさ関連データBSとの比率(比)を求めて第1比率データPDとする。実施例1では、第1比率データPDは、第1光量関連データPWの第1大きさ関連データBSに対する比(PD=PW/BS)としている。このため、第1比率データPDは、対象とした光スポットSPにおける光パワー密度(単位面積あたりの光量)に相当する値(量)となり、プリントヘッドの製造方法において光量補正データを設定するための因子となる。なお、この第1光量関連データPWと第1大きさ関連データBSとの比率(比)である第1比率データPD(因子)は、第1大きさ関連データBSの第1光量関連データPWに対する比(PD=BS/PW)としてもよく、上記した実施例1に限定されるものではない。この場合には、第1比率データ(因子)は、光パワー密度(単位面積あたりの光量)の逆数を示すものとなる。このように、プリントヘッドの製造方法では、各LED35が形成する光スポットSPにおける光量(あるいは光量と深い関連のある値)と大きさとの比率(第1比率データPD(因子))を求めることができる。
そして、実施例1のプリントヘッドの製造方法では、この比率(第1比率データPD(因子))を用いて光量補正データを設定するために、上述したことと同様に、全ての光スポットSPkに対して比率(第1比率データPDk(因子))を求める。また、プリントヘッドの製造方法では、その全ての光スポットSPkに対する第1比率データPDkの平均値を求めることにより、第1比率平均値PDaveを求める。そして、実施例1のプリントヘッドの製造方法では、対象とする光スポットSPkを形成した各LED35に対する光量補正データとして、光量補正データCDk[%]を下記の式(1)で算出する。なお、第1比率データPDkおよび光量補正データCDkにおける符号kは、全ての光スポットSPのうちのいずれの光スポットSPを対象としたかを示す上述した識別子(kは0(ゼロ)を除く自然数)であって、光スポットSPkにおける符号kと等しい数字となる。
CDk={(PDk/PDave)−1}×PC ・・・・・・(1)
この式(1)において、PCは比例定数である。この比例定数PCは、現像等の作像プロセスの違い等によって現像されるトナー量が変化するものであることから、当該作像プロセスに応じて適宜設定する。このように、光量補正データCDkでは、対象とする光スポットSPkにおける光量(あるいは光量と深い関連のある値)と大きさとの比率(比)を用いるものとされている。換言すると、光量補正データCDkでは、対象とする光スポットSPkの光パワー密度(単位面積あたりの光量)を因子とするものとされている。そして、光量補正データCDkでは、対象とする光スポットSPkにおける光量(あるいは光量と深い関連のある値)と大きさとの比率(比)を用いて、光パワー密度のバラつきをなくすように設定されている。なお、実施例1のプリントヘッドの製造方法では、光量補正データCDkを式(1)により求めるものとしているが、対象とする光スポットSPkにおける光量(あるいは光量と深い関連のある値)と大きさとの比率(比)を用いるものであればよく、実施例1の方法(式(1))に限定されるものではない。
次に、本発明に係る実施例1のプリントヘッドの製造方法における光量補正データ(光量補正値)の設定処理について、図9を用いて説明する。その図9は、実施例1のプリントヘッドの製造方法における光量補正データ(光量補正値)の設定処理を示すフローチャートである。以下では、この図9のフローチャートの各ステップ(各工程)について説明する。この図9のフローチャートは、上述したように組み上げたプリントヘッド30を対象として行う。
ステップS1では、プリントヘッド30で形成した全ての光スポットSPkの測定を行って、ステップS2へ進む。このステップS1では、上述したように、何らの光量補正データを用いることなくドライバIC36に各LED35を駆動させて像面上に形成した各光スポットSPkを測定する。実施例1のステップS1では、単一のLED35を点灯させて各光スポットSPkを形成し、それぞれの光スポットSPkの2次元ビームプロファイル(図5参照)を取得する。
ステップS2では、ステップS1でのプリントヘッド30で形成した全ての光スポットSPkの測定を行うことに続き、全ての光スポットSPkにおける第1光量関連データPWkを求めて、ステップS3へ進む。このステップS2では、上述したように、ステップS1での対象とする光スポットSPkの測定結果に第1閾値Th1を用いて当該光スポットSPkにおける第1光量関連データPWを求める。そして、ステップS2では、全ての光スポットSPkを対象とすることにより、全ての光スポットSPkにおける第1光量関連データPWkを求める。このため、このステップS2は、第1閾値Th1を用いて、駆動部としてのドライバIC36により発光部(LED35)点灯させて形成した光スポットSPにおける光量を示す第1光量関連データPWを求める第1工程となる。
ステップS3では、ステップS2での全ての光スポットSPkにおける第1光量関連データPWkを求めることに続き、全ての光スポットSPkにおける第1大きさ関連データBSkを求めて、ステップS4へ進む。このステップS3では、上述したように、ステップS1での対象とする光スポットSPkの測定結果に第2閾値Th2を用いて当該光スポットSPkにおける第1大きさ関連データBSを求める。そして、ステップS3では、全ての光スポットSPkを対象とすることにより、全ての光スポットSPkにおける第1大きさ関連データBSkを求める。なお、このステップS3は、ステップS2と同時に行うものであってもよく、ステップS2よりも先に行うものであってもよく、実施例1の構成に限定されるものではない。これは、ステップS2とステップS3とがいずれもステップS1での測定結果を用いるものであって、一方の処理内容が他方の処理内容に影響を与えないことによる。このため、このステップS3は、第2閾値Th2を用いて、駆動部としてのドライバIC36により発光部(LED35)点灯させて形成した光スポットSPの大きさを示す第1大きさ関連データBSを求める第2工程となる。
ステップS4では、ステップS3での全ての光スポットSPkにおける第1大きさ関連データBSkを求めることに続き、全ての光スポットSPkにおける第1比率データPDkを求めて、ステップS5へ進む。このステップS4では、光量補正データを設定するために、全ての光スポットSPkに対して、ステップS2で求めた第1光量関連データPWとステップS3で求めた第1大きさ関連データBSとの比率である第1比率データPDkを求める。すなわち、ステップS4では、全ての光スポットSPkにおける光パワー密度(単位面積あたりの光量)に相当する値(量)を求める。実施例1のステップS4では、上述したように、第1光量関連データPWkの第1大きさ関連データBSkに対する比として、全ての光スポットSPkに対して第1比率データPDkを求める(PDk=PWk/BSk)。このため、このステップS4は、第1光量関連データPWと第1大きさ関連データBSとの比率を示す第1比率データPDを求める第3工程となる。
ステップS5では、ステップS4での全ての光スポットSPkにおける第1比率データPDkを求めることに続き、第1比率平均値PDaveを求めて、ステップS6へ進む。このステップS5では、上述したように、ステップS4で求めた全ての光スポットSPkにおける第1比率データPDkの平均値を求めて第1比率平均値PDaveとする。
ステップS6では、ステップS5での第1比率平均値PDaveを求めることに続き、各LED35に対する光量補正データCDkを求めて、ステップS7へ進む。このステップS6では、ステップS4で求めた各光スポットSPkにおける光量(あるいは光量と深い関連のある値)と大きさとの比率(因子)を用いて、対象とする光スポットSPkを形成した各LED35に対する光量補正データCDkを求める。実施例1のステップS6では、ステップS4で求めた比率(因子)としての第1比率データPDkと、ステップS5で求めた第1比率平均値PDaveと、を上述した式(1)に当て嵌めることにより、各LED35に対する光量補正データCDk[%]を求める。このため、このステップS6は、第1比率データPDを用いて対象とする光スポットSPを形成した発光部(LED35)に対する光量補正データCDを求める第4工程となる。
ステップS7では、ステップS6での各LED35に対する光量補正データCDkを求めることに続き、各光量補正データCDkをプリントヘッド30に記録して保持させて、光量補正データ(光量補正値)の設定処理を終了する。このステップS7では、ステップS6で求めた各光量補正データCDkを、各LED35の駆動のために参照することを可能とすべくプリントヘッド30に記録して保持させる。実施例1のステップS7では、光スポットSPkを形成する各LED35を駆動する各ドライバIC36のメモリ37(図1参照)に、対象とする光スポットSPkに対応する光量補正データCDkを格納する。このため、このステップS7は、求めた光量補正データCDをプリントヘッド30に保持させる第5工程となる。
この本発明に係る実施例1のプリントヘッドの製造方法では、プリントヘッド30を上述したように組み上げた後に、光量補正データ(光量補正値)の設定処理(図9のフローチャート)を行う。そして、図9のフローチャートにおいてステップS1へと進むことにより、組み上げたプリントヘッド30で像面上に各光スポットSPkを形成し、その各光スポットSPkを測定する。その後、図9のフローチャートにおいてステップS2→ステップS3→ステップS4へと進むことにより、第1光量関連データPWkと第1大きさ関連データBSkとを用いて、光スポットSPkにおける光量(あるいは光量と深い関連のある値)と大きさとの比率(比)である第1比率データPDkを求める。そして、図9のフローチャートにおいてステップS5→ステップS6へと進むことにより、対象とする光スポットSPkにおける第1比率データPDk(因子)を用いて、当該光スポットSPkを形成した各LED35に対する光量補正データCDkを求める。その後、図9のフローチャートにおいてステップS7へと進むことにより、各LED35を駆動するドライバIC36のメモリ37に、LED35が形成する光スポットSPkに対応して求めた光量補正データCDkを格納する。
これにより、本発明に係る実施例1のプリントヘッドの製造方法では、上述したように設定した光量補正データCDkを、各LED35に対応して各ドライバIC36のメモリ37に格納させたプリントヘッド30を製造することができる。このため、実施例1のプリントヘッドの製造方法により形成されたプリントヘッド30では、上述したように設定されてメモリ37(図1参照)に格納された光量補正データCDkを用いて、各ドライバIC36が各LED35を駆動する。これにより、実施例1のプリントヘッドの製造方法により形成されたプリントヘッド30では、形成した画像において、縦筋が生じることを適切に防止することができる。これは、以下のことによる。
実施例1のプリントヘッドの製造方法では、各LED35が形成する光スポットSPにおける光量(あるいは光量と深い関連のある値)と大きさとの比率(比)を用いて、光パワー密度のバラつきをなくすように光量補正データCDkを設定する。そして、実施例1のプリントヘッドの製造方法では、その設定した光量補正データCDkを、メモリ37に格納させてプリントヘッド30を製造する。このため、そのプリントヘッド30では、メモリ37に格納した光量補正データCDkを用いて各LED35を駆動することにより、各LED35からの光における光パワー密度に依存して決まる現像されるトナー量をほぼ均一とすることができる。このため、このプリントヘッド30では、画像に縦筋(濃度むら)を発生させることを適切に防止することができる。
ここで、従来のプリントヘッドでは、各光源における光量、発光径、または発光面積が、一定あるいは一定に近づくように生成した光量補正データを用いて各光源を駆動する。このように各光源における光量が一定となるように補正しても、各光源により形成される光スポットの径寸法は一定とはならず、光スポットの径寸法や光スポットの形状に応じて光量を分布させる。このため、従来のプリントヘッドでは、各光源により形成される光スポットの径寸法の差異や光スポットの形状の差異に応じて、形成する各ドット間でのトナー量にバラつきを生じさせてしまう。また、発光径または発光面積が一定となるように補正しても、各光源における光量が一定とはならず、各光源により形成される光スポットの光量の差異に応じて、形成する各ドット間でのトナー量にバラつきを生じさせてしまう。
そして、上述した特許文献1のように、求めた第3の補正係数列により各光源の光出力を補正しても、形成した画像における画像濃度のバラつきを適切に防止することは困難である。これは、以下のことによる。特許文献1では、光スポットの径が均一になるように光出力を補正した場合の第1の補正係数列と、発光点の光出力が均一になるように補正した場合の第2の補正係数列と、に基づいて、画像濃度が均一になるように第3の補正係数列を求めている。このため、特許文献1の方法では、第1の補正係数列で光スポットの径が均一になるように光出力を補正した時点、もしくは第2の補正係数列で発光点の光出力が均一になるように補正した時点で、形成する各ドット間でのトナー量にバラつきを生じさせている。そして、特許文献1の方法では、形成する各ドット間でのトナー量にバラつきを生じさせている第1の補正係数列と第2の補正係数列とに基づいて第3の補正係数列を求めている。このことから、特許文献1の方法では、当該第3の補正係数列であっても形成する各ドット間でのトナー量を一定とすることができない。このことは、スポット径をスポット面積に置き換えても同様である。このため、上述した特許文献1を含む従来の方法により製造された従来のプリントヘッドでは、画像に縦筋(濃度むら)を発生させることを適切に防止することが困難である。
これに対して、本発明に係る実施例1のプリントヘッドの製造方法では、記録媒体P上に画像を形成すべく現像されるトナー量が、各LED35からの光における光パワー密度(単位面積あたりの光量)に依存して決まることに着目している。そして、プリントヘッドの製造方法では、各LED35が形成する光スポットSPにおける光量(あるいは光量と深い関連のある値)と大きさとの比率(比)を用いて光量補正データCDkを設定する。その各LED35が形成する光スポットSPにおける光量と大きさとの比率(比)は、各LED35からの光における光パワー密度を示す。そして、プリントヘッドの製造方法では、各LED35が形成する光スポットSPにおける光量と大きさとの比率(比)を用いて、光パワー密度のバラつきをなくすように光量補正データCDkを設定する。このように、プリントヘッドの製造方法では、従来技術のように、各LED35における光量が一定となるように補正するものではなく、発光径または発光面積が一定となるように補正するものではなく、両者に基づくものでもない。このことから、本発明に係るプリントヘッドの製造方法では、設定した光量補正データCDkを用いて各LED35から出射される光の光量を補正することで現像されるトナー量をほぼ均一とするプリントヘッド30を製造することができる。これにより、本発明に係るプリントヘッドの製造方法で製造したプリントヘッド30では、形成する各ドット間でのトナー量のバラつきを防止することができ、画像に縦筋(濃度むら)を発生させることを適切に防止することができる。
次に、本発明に係る実施例1のプリントヘッドの製造方法を用いて製造した光パワー密度を用いた補正を行うプリントヘッド30における効果を、比較例のプリントヘッドと比較すべく測定結果としての明度分布を示す図10から図12を用いて説明する。その図10から図12では、縦軸を、基準値を0(ゼロ)とする明度の差異を示すものとしており、横軸を、主走査方向での位置[mm]としている。この図10から図12では、縦軸で示す明度の差異を、互いに等しい値に換算して示している。また、図10から図12では、主走査方向での位置[mm]のうちの一部分のみの測定結果としての明度分布を示している。
その図10は、プリントヘッド30を用いて形成した画像における主走査方向での明度分布を示すグラフである。図11は、各光源における光量が一定となるように生成した光量補正データを用いて補正(光量一定補正)するプリントヘッドを用いて形成した画像における主走査方向での明度分布を示すグラフである。図12は、XY積が一定になるように生成した光量補正データを用いて補正(XY積一定補正)するプリントヘッドを用いて形成した画像における主走査方向での明度分布を示すグラフである。そのXY積とは、光スポットにおける、主走査方向の径(X径)と、副走査方向の径(Y径)と、を乗算して得られた積のことを言う。このXY積一定補正するプリントヘッドは、発光径または発光面積が一定となるように生成した光量補正データを用いるプリントヘッドと、極めて近い主走査方向での明度分布を得ることができる。
なお、図10に用いたプリントヘッド30では、上述した図9に示す実施例1のプリントヘッドの製造方法における光量補正データ(光量補正値)の設定処理により製造したものを用いている。そのプリントヘッド30では、第1光量関連データPWおよび第1大きさ関連データBSを求めるための第1閾値Th1と第2閾値Th2とを、いずれも全ての光スポットSPにおけるピーク値に対する4[%]となる値に設定している。また、プリントヘッド30では、各LED35に対する光量補正データとしての光量補正データCDk[%]を求めるための式(1)における比例定数PCを0.3としている。そのプリントヘッド30は、1200[dpi]としており、このプリントヘッド30を用いて形成した画像を600[dpi]とされたスキャナで読み取ることにより、当該画像における明度分布を測定している。このことは、図11および図12に用いた比較例としてのプリントヘッドであっても同様である。そして、図10に示す明度分布では、スキャナで読み取った測定結果において連続する5個の光スポットSPkにおけるデータで移動平均を実施することにより、ノイズ除去を行っている。また、図11および図12に示す明度分布では、スキャナで読み取った測定結果において連続する10個の光スポットにおけるデータで移動平均を実施することにより、ノイズ除去を行っている。
この図10から図12に示す明度分布では、プリントヘッド(プリントヘッド30および比較例のプリントヘッド)以外に起因する縦筋(濃度むら)を除去してプロットしている。このため、図10から図12に示す明度分布を示すグラフでは、フラットな特性に近付くほど縦筋(濃度むら)が抑制されていくことを意味し、フラットな特性となると縦筋(濃度むら)が全くない状態であることを意味する。本発明に係る実施例1のプリントヘッドの製造方法を用いて製造したプリントヘッド30の測定結果としての図10に示す明度分布では、図11に示す明度分布および図12に示す明度分布と比較して明度の変動が少なく、フラットな特性にかなり近付いている。この測定結果から、本発明に係る実施例1のプリントヘッドの製造方法を用いて製造し光パワー密度を用いた補正を行うプリントヘッド30では、縦筋(濃度むら)の発生を適切に防止できることがわかる。これに対して、光量一定補正のプリントヘッドやXY積一定補正のプリントヘッドでは、縦筋(濃度むら)が生じてしまっていることがわかる。
このように、本願発明に係るプリントヘッドの製造方法の実施例1のプリントヘッドの製造方法では、各光源(実施例1では各LED35)が形成する光スポットSPにおける光量と大きさとの第1比率データPDkを用いて光量補正データCDkを設定する。すなわち、プリントヘッドの製造方法では、各光源(各LED35)からの光における光パワー密度を因子として用いて光量補正データCDkを設定する。そして、プリントヘッドの製造方法では、各光源(各LED35)が形成する光スポットSPにおける光量と大きさとの第1比率データPDkを用いて、光パワー密度のバラつきをなくすように光量補正データCDkを設定する。このため、プリントヘッドの製造方法では、設定した光量補正データCDkを用いて各光源(各LED35)から出射される光の光量を補正することで、現像されるトナー量をほぼ均一とするプリントヘッド30を製造することができる。
また、プリントヘッドの製造方法では、光スポットSPの大きさを示すデータである第1大きさ関連データBSを用いて、各光源(各LED35)が形成する光スポットSPにおける光量と大きさとの比率(比)である第1比率データPDkを求める。その第1大きさ関連データBSは、光スポットSPにおける一方の径寸法(実施例1では主走査方向幅BSm)と、光スポットSPにおける他方の径寸法(実施例1では副走査方向幅BSs)と、を乗算することで求めている。このため、プリントヘッドの製造方法では、光スポットSPの面積を第1大きさ関連データBSとすることと比較して容易に、かつ光スポットSPの一方向の径寸法を第1大きさ関連データBSとすることと比較して適切に、第1大きさ関連データBSを求めることができる。
さらに、プリントヘッドの製造方法では、対象とする光スポットSPのビームプロファイルにおいて、形成される各光スポットSPに応じて設定した第2閾値Th2となる強度値における幅寸法(径寸法)を求めることにより、第1大きさ関連データBSを求めている。このため、プリントヘッドの製造方法では、より適切に光スポットSPの大きさを示すデータである第1大きさ関連データBSを求めることができる。これにより、プリントヘッドの製造方法では、各光源(各LED35)が形成する光スポットSPにおける光量と大きさとの比率(比)である第1比率データPDkをより適切に求めることができる。よって、プリントヘッドの製造方法では、その第1比率データPDkを用いた光量補正データ(光量補正データCDk)をより適切に求めることができる。
プリントヘッドの製造方法では、第1光量関連データPWと第1大きさ関連データBSとを用いて、各光源(各LED35)が形成する光スポットSPにおける光量と大きさとの比率(比)である第1比率データPDkを求めている。その第1光量関連データPWは、光スポットSPにおける光量を示すデータ、あるいは光スポットSPにおける光量と関連の深いデータであって、形成される各光スポットSPに応じて設定した第1閾値Th1よりも大きい値の強度値から求めている。このため、プリントヘッドの製造方法では、より適切に光スポットSPにおける光量を示すデータ、あるいは光スポットSPにおける光量と関連の深いデータである第1光量関連データPWを求めることができる。これにより、プリントヘッドの製造方法では、各光源(各LED35)が形成する光スポットSPにおける光量と大きさとの比率(比)である第1比率データPDkをより適切に求めることができる。よって、プリントヘッドの製造方法では、その第1比率データPDkを用いた光量補正データ(光量補正データCDk)をより適切に求めることができる。
プリントヘッドの製造方法では、第1光量関連データPWと第1大きさ関連データBSとの第1比率データPDを用いることで、各光源(各LED35)からの光における光パワー密度を、光量補正データを設定するための因子としている。このため、プリントヘッドの製造方法では、第1比率データPDを用いて光量補正データを設定することにより、簡易な方法でかつより適切に各光源(各LED35)からの光における光パワー密度を因子として、光量補正データを設定することができる。これにより、プリントヘッドの製造方法では、現像されるトナー量をほぼ均一とするプリントヘッド30を簡易に製造することができ、そのプリントヘッド30が形成する画像に縦筋(濃度むら)を発生させることを適切に防止することができる。
プリントヘッドの製造方法では、第1光量関連データPWを求めるための第1閾値Th1と、第1大きさ関連データBSを求めるための第2閾値Th2と、を等しい値としている。このため、プリントヘッドの製造方法では、第1光量関連データPWと第1大きさ関連データBSとにより、各光源(各LED35)が形成する光スポットSPにおける光量と大きさとの第1比率データPDkを、より光パワー密度に近付けることができる。これにより、プリントヘッドの製造方法では、その第1比率データPDkを用いた光量補正データ(光量補正データCDk)をより適切に求めることができる。
プリントヘッドの製造方法では、第1光量関連データPWあるいは第1大きさ関連データBSを求める際、連続する複数の光スポットSPにおける各第1光量関連データPWあるいは各第1大きさ関連データBSを用いて平均化処理を行うものとすることができる。この場合、プリントヘッドの製造方法では、第1光量関連データPWあるいは第1大きさ関連データBSにおける測定誤差に起因して、製造したプリントヘッド30により現像されるトナー量にバラつきが生じることを防止することができる。このため、プリントヘッドの製造方法では、現像されるトナー量をほぼ均一とするプリントヘッド30を製造することができ、そのプリントヘッド30が形成する画像に縦筋(濃度むら)を発生させることをより適切に防止することができる。
プリントヘッドの製造方法により製造したプリントヘッド30では、形成する各ドット間でのトナー量のバラつきを防止することができ、画像に縦筋(濃度むら)を発生させることを適切に防止することができる。
プリントヘッドの製造方法により製造したプリントヘッド30を備える画像形成装置10では、形成した画像に縦筋(濃度むら)を発生させることを適切に防止することができ、良好な画像を出力することができる。
したがって、本発明に係る実施例1のプリントヘッドの製造方法では、縦筋の発生を適切に防止することのできるプリントヘッド30を製造することができる。
次に、本発明の実施例2のプリントヘッドの製造方法、およびそのプリントヘッドの製造方法により製造された実施例2のプリントヘッド30、およびそれを備える実施例2の画像形成装置10について、図13を用いて説明する。この実施例2のプリントヘッドの製造方法は、光量補正データ(光量補正値)の設定方法が、実施例1の光量補正データ(光量補正値)の設定方法とは異なる例である。この実施例2のプリントヘッドの製造方法は、基本的な概念および構成(工程)は上記した実施例1のプリントヘッドの製造方法と同様であることから、等しい概念および構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
実施例2のプリントヘッドの製造方法の光量補正データ(光量補正値)の設定方法では、第1比率データPD(因子(以下では、第1因子とする))を求めるための第1大きさ関連データBSとは別に、第2因子としての第2大きさ関連データBS2を求める。その第2大きさ関連データBS2(第2因子)は、対象とすべく第1比率データPD(第1因子)を求めた光スポットSPkの大きさを示すデータである。そして、実施例2のプリントヘッドの製造方法では、第2大きさ関連データBS2を求めるための第4閾値Th4(図7および図8参照)を設定する。この第4閾値Th4は、第2閾値Th2と同様に2つの走査方向の1次元ビームプロファイルにおいて第2大きさ関連データBS2を求めることに用いる強度の下限値を規定するものであり、その第2閾値Th2とは異なる値に設定される。これは、第2大きさ関連データBS2は、第1比率データPD(第1因子)を求めるために用いられる第1大きさ関連データBSとは異なる第2因子として用いるものであることによる。第4閾値Th4は、形成される各光スポットSPに応じて適宜設定するものであればよい。なお、第4閾値Th4は、第2閾値Th2と同様に、ゼロ(光スポットSPのピーク強度の0[%])としてもよい。この場合は、光スポットSPとして測定した強度分布の全ての値を用いるもの、すなわち実質的に第4閾値Th4を設けていない場合と同様に第2大きさ関連データBS2を求めるものとなる。
そして、実施例2のプリントヘッドの製造方法では、第2閾値Th2を用いて第1大きさ関連データBSを求めること(図7および図8参照)と同様に、第4閾値Th4を用いて第2大きさ関連データBS2を求める。このとき、第1大きさ関連データBSを求める際と同様に、連続する複数の光スポットSPにおける各第2大きさ関連データBS2を用いて平均化処理を行うものとしてもよい。なお、各第2大きさ関連データBS2は、第1大きさ関連データBSを求める際と同様に、このように求めることが好ましいが、光スポットSPの大きさを示すデータを求めるものであれば、実施例2の方法に限定するものではなく、他の方法により求めるものであってもよい。
実施例2のプリントヘッドの製造方法では、対象とする光スポットSPkを形成した各LED35に対する光量補正データとして、光量補正データCD2k[%]を下記の式(2)で算出する。式(2)において、第1比率データPDk、第1比率平均値PDaveおよび比例定数PCは、実施例1の式(1)と同様である。なお、第2大きさ関連データBS2kにおける符号kは、全ての光スポットSPのうちのいずれの光スポットSPを対象としたかを示す上述した識別子(kは0(ゼロ)を除く自然数)であって、光スポットSPkにおける符号kと等しい数字となる。
CD2k={(PDk/PDave)−1}×PC+BS2k×PC2 ・・・(2)
この式(2)において、PC2は、比例定数PCとは別に設定した比例定数である。この比例定数PC2は、現像等の作像プロセスの違い等によって現像されるトナー量が変化するものであることから、当該作像プロセスに応じて適宜設定する。このように、光量補正データCD2kでは、第1比率データPDkを用いて求められたもの、すなわち対象とする光スポットSPkの光パワー密度(単位面積あたりの光量)を第1因子としたものとされている。また、光量補正データCD2kでは、対象とする光スポットSPkの第2大きさ関連データBS2を用いて求められたもの、すなわち当該第2大きさ関連データBS2を第2因子としたものとされている。
次に、本発明に係る実施例2のプリントヘッドの製造方法における光量補正データ(光量補正値)の設定処理について、図13を用いて説明する。その図13は、実施例2のプリントヘッドの製造方法における光量補正データ(光量補正値)の設定処理を示すフローチャートである。以下では、この図13のフローチャートの各ステップ(各工程)について説明する。この図13のフローチャートは、実施例1と同様に組み上げたプリントヘッド30を対象として行う。
ステップS11では、プリントヘッド30で形成した全ての光スポットSPkの測定を行って、ステップS12へ進む。このステップS11は、図9のフローチャートにおけるステップS1と同様である。
ステップS12では、ステップS11でのプリントヘッド30で形成した全ての光スポットSPkの測定を行うことに続き、全ての光スポットSPkにおける第1光量関連データPWkを求めて、ステップS13へ進む。このステップS12は、図9のフローチャートにおけるステップS2と同様である。このため、このステップS12は、第1閾値Th1を用いて、駆動部としてのドライバIC36により発光部(LED35)点灯させて形成した光スポットSPにおける光量を示す第1光量関連データPWを求める第1工程となる。
ステップS13では、ステップS12での全ての光スポットSPkにおける第1光量関連データPWkを求めることに続き、全ての光スポットSPkにおける第1大きさ関連データBSkを求めて、ステップS14へ進む。このステップS13は、図9のフローチャートにおけるステップS3と同様である。このため、このステップS13は、第2閾値Th2を用いて、駆動部としてのドライバIC36により発光部(LED35)点灯させて形成した光スポットSPの大きさを示す第1大きさ関連データBSを求める第2工程となる。
ステップS14では、ステップS13での全ての光スポットSPkにおける第1大きさ関連データBSkを求めることに続き、全ての光スポットSPkにおける第2大きさ関連データBS2k(第2因子)を求めて、ステップS15へ進む。このステップS14では、上述したように、ステップS11での対象とする光スポットSPkの測定結果に第4閾値Th4を用いて当該光スポットSPkにおける第2大きさ関連データBS2kを求める。そして、ステップS14では、全ての光スポットSPkを対象とすることにより、全ての光スポットSPkにおける第2大きさ関連データBS2kを求める。このため、このステップS14は、第4閾値Th4を用いて、駆動部としてのドライバIC36により発光部(LED35)点灯させて形成した光スポットSPにおける光量を示す第2大きさ関連データBS2を求める第2工程となる。なお、このステップS14は、ステップS11の後であってステップS18よりも前であれば、いずれのステップの後に行うものであってもよく、他のステップと同時に行うものであってもよく、実施例2の構成に限定されるものではない。これは、ステップS14は、ステップS11での測定結果を用いるものであって、求めた第2大きさ関連データBS2kをステップS18で用いることによる。
ステップS15では、ステップS14での全ての光スポットSPkにおける第2大きさ関連データBS2kを求めることに続き、全ての光スポットSPkにおける第1比率データPDk(第1因子)を求めて、ステップS16へ進む。このステップS15は、図9のフローチャートにおけるステップS4と同様である。このため、このステップS15は、第1光量関連データPWと第1大きさ関連データBSとの比率を示す第1比率データPDを求める第3工程となる。
ステップS16では、ステップS15での全ての光スポットSPkにおける第1比率データPDkを求めることに続き、第1比率平均値PDaveを求めて、ステップS17へ進む。このステップS16は、図9のフローチャートにおけるステップS5と同様である。
ステップS17では、ステップS16での第1比率平均値PDaveを求めることに続き、各LED35に対する光量補正データCD2kを求めて、ステップS18へ進む。このステップS17では、ステップS15で求めた第1比率データPDk(第1因子)とステップS14で求めた第2大きさ関連データBS2k(第2因子)とを用いて、対象とする光スポットSPkを形成した各LED35に対する光量補正データCD2kを求める。実施例2のステップS17では、第1比率データPDkと第2大きさ関連データBS2kとステップS16で求めた第1比率平均値PDaveとを上述した式(2)に当て嵌めて、各LED35に対する光量補正データCD2k[%]を求める。このため、このステップS17は、第1比率データPDと第2大きさ関連データBS2とを用いて対象とする光スポットSPを形成した発光部(LED35)に対する光量補正データCD2を求める第4工程となる。
ステップS18では、ステップS17での各LED35に対する光量補正データCD2kを求めることに続き、各光量補正データCD2kをプリントヘッド30に記録して保持させて、光量補正データ(光量補正値)の設定処理を終了する。このステップS18では、ステップS17で求めた各光量補正データCD2kを、各LED35の駆動のために参照することを可能とすべくプリントヘッド30に記録して保持させる。実施例2のステップS18では、光スポットSPkを形成するLED35を駆動するドライバIC36のメモリ37(図1参照)に、当該光スポットSPkに対応する光量補正データCD2kを格納する。このため、このステップS18は、求めた光量補正データCD2をプリントヘッド30に保持させる第5工程となる。
この本発明に係る実施例2のプリントヘッドの製造方法では、プリントヘッド30を上述したように組み上げた後に、光量補正データ(光量補正値)の設定処理(図13のフローチャート)を行う。そして、図13のフローチャートにおいてステップS11へと進むことにより、組み上げたプリントヘッド30で像面上に各光スポットSPkを形成し、その各光スポットSPkを測定する。その後、図13のフローチャートにおいてステップS12→ステップS13→ステップS14→ステップS15へと進むことにより、第1光量関連データPWkと第1大きさ関連データBSkとを用いて、光スポットSPkにおける光量(あるいは光量と深い関連のある値)と大きさとの比率(比)である第1比率データPDk(第1因子)を求める。また、光スポットSPkにおける第2大きさ関連データBS2(第2因子)を求める。そして、図13のフローチャートにおいてステップS16→ステップS17へと進むことにより、対象とする光スポットSPkにおける第1比率データPDk(第1因子)および第2大きさ関連データBS2(第2因子)を用いて、当該光スポットSPkを形成した各LED35に対する光量補正データCD2kを求める。その後、図13のフローチャートにおいてステップS18へと進むことにより、各LED35を駆動するドライバIC36のメモリ37に、LED35が形成する光スポットSPkに対応して求めた光量補正データCD2kを格納する。
これにより、本発明に係る実施例2のプリントヘッドの製造方法では、上述したように設定した光量補正データCD2kを、各LED35に対応して各ドライバIC36のメモリ37に格納させたプリントヘッド30を製造することができる。このため、実施例2のプリントヘッドの製造方法により形成されたプリントヘッド30では、上述したように設定しメモリ37(図1参照)に格納された光量補正データCD2kを用いて、各ドライバIC36が各LED35を駆動する。これにより、実施例2のプリントヘッドの製造方法により形成されたプリントヘッド30では、形成した画像において、縦筋が生じることを適切に防止することができる。これは、以下のことによる。
実施例2のプリントヘッドの製造方法では、各LED35が形成する光スポットSPにおける第1比率データPDkを第1因子とし、かつ各光スポットSPkの大きさを示すデータである第2大きさ関連データBS2を第2因子とする。そして、実施例2のプリントヘッドの製造方法では、第1比率データPDk(第1因子)と第2大きさ関連データBS2(第2因子)とを用いて設定した光量補正データCD2を、メモリ37に格納させてプリントヘッド30を製造する。このため、そのプリントヘッド30では、メモリ37に格納した光量補正データCD2を用いて各LED35を駆動することにより、各LED35からの光における光パワー密度に依存して決まる現像されるトナー量をよりきめ細やかに調整することができる。このため、このプリントヘッド30では、画像に縦筋(濃度むら)を発生させることをより適切に防止することができる。
実施例2のプリントヘッドの製造方法では、基本的に実施例1のプリントヘッドの製造方法と同様の構成であることから、基本的に実施例1と同様の効果を得ることができる。
それに加えて、実施例2のプリントヘッドの製造方法では、第1比率データPDk(第1因子)に加えて、各光スポットSPkの大きさを示すデータである第2大きさ関連データBS2(第2因子)を用いて光量補正データCD2kを設定している。このため、プリントヘッドの製造方法では、各LED35からの光における光パワー密度(単位面積あたりの光量)に加えて、当該LED35が形成する光スポットSPkの大きさも考慮して光量補正データCD2kを設定することができる。これにより、プリントヘッドの製造方法では、現像されるトナー量をよりきめ細やかに調整することのできる光量補正データCD2kを設定することができる。よって、プリントヘッドの製造方法では、設定した光量補正データCD2kを用いて各光源(各LED35)から出射される光の光量を補正することで、より適切に縦筋(濃度むら)の発生を防止するプリントヘッド30を製造することができる。
したがって、本発明に係る実施例2のプリントヘッドの製造方法では、縦筋の発生を適切に防止することのできるプリントヘッド30を製造することができる。
なお、実施例2のプリントヘッドの製造方法では、光量補正データCD2kを求める式(2)において、第1比率データPD(第1因子)を用いた第1項と、第2大きさ関連データBS2(第2因子)を用いた第2項と、を加算するものとしていた。しかしながら、プリントヘッドの製造方法では、各光源(各LED35)が形成する光スポットSPにおける光量と大きさとの比率(比)である第1比率データPDk(第1因子)と、各光スポットSPkの大きさを示すデータである第2大きさ関連データBS2(第2因子)と、を用いるものであればよく、実施例2の構成に限定されるものではない。この一例として、第1比率データPD(第1因子)を用いた第1項と、第2大きさ関連データBS2(第2因子)を用いた第2項と、を乗算するものとすることがあげられる。
また、実施例2のプリントヘッドの製造方法では、第2大きさ関連データBS2(第2因子)を用いていたが、対象とする光スポットSPkの第2光量関連データPW2を用いるもの(第2因子)としてもよく、実施例2の構成に限定されるものではない。この第2光量関連データPW2は、第2大きさ関連データBS2と同様に、第1比率データPD(第1因子)を求めるための第1光量関連データPWとは別に求める。第2光量関連データPW2(第2因子)は、対象とすべく第1比率データPD(第1因子)を求めた光スポットSPkにおける光量を示すデータ、あるいは当該光スポットSPkにおける光量と関連の深いデータを示すものである。そして、プリントヘッドの製造方法では、第2光量関連データPW2を求めるための第3閾値Th3(図7および図8参照)を設定する。この第3閾値Th3は、第1閾値Th1と同様に2つの走査方向の1次元ビームプロファイルにおいて第1光量関連データPWを求めることに用いる強度の下限値を規定するものであり、その第1閾値Th1とは異なる値に設定される。第3閾値Th3は、形成される各光スポットSPに応じて適宜設定するものであればよい。なお、第3閾値Th3は、第1閾値Th1と同様に、ゼロ(光スポットSPのピーク強度の0[%])としてもよい。この場合は、光スポットSPとして測定した強度分布の全ての値を用いるもの、すなわち実質的に第3閾値Th3を設けていない場合と同様に第2光量関連データPW2を求めるものとなる。そして、第2光量関連データPW2は、第1閾値Th1を用いて第1光量関連データPWを求めること(図7および図8参照)と同様に、第3閾値Th3を用いて求める。このとき、第1光量関連データPWを求める際と同様に、連続する複数の光スポットSPにおける各第2光量関連データPW2を用いて平均化処理を行うものとしてもよい。なお、各第2光量関連データPW2は、第1光量関連データPWを求める際と同様に、このように求めることが好ましいが、光スポットSPの大きさを示すデータを求めるものであれば、この方法に限定するものではなく、他の方法により求めるものであってもよい。この場合、各LED35からの光における光パワー密度(単位面積あたりの光量)に加えて、当該LED35が形成する光スポットSPkの光量も考慮して光量補正データCD2kを設定することができる。これにより、プリントヘッドの製造方法では、現像されるトナー量をよりきめ細やかに調整することのできる光量補正データCD2kを設定することができる。
さらに、実施例2のプリントヘッドの製造方法では、第2大きさ関連データBS2を用いていたが、その第2大きさ関連データBS2に加えて対象とする光スポットSPkの第2光量関連データPW2を用いるものとしてもよく、実施例2の構成に限定されるものではない。この第2光量関連データPW2は、上記したものと同様である。この場合、各LED35からの光における光パワー密度(単位面積あたりの光量)に加えて、当該LED35が形成する光スポットSPkの光量および大きさも考慮して光量補正データCD2kを設定することができる。これにより、プリントヘッドの製造方法では、現像されるトナー量をよりきめ細やかに調整することのできる光量補正データCD2kを設定することができる。
次に、本発明の実施例3のプリントヘッドの製造方法、およびそのプリントヘッドの製造方法により製造された実施例3のプリントヘッド30、およびそれを備える実施例3の画像形成装置10について、図14を用いて説明する。この実施例3のプリントヘッドの製造方法は、光量補正データ(光量補正値)の設定方法が、実施例1および実施例2の光量補正データ(光量補正値)の設定方法とは異なる例である。この実施例3のプリントヘッドの製造方法は、基本的な概念および構成(工程)は上記した実施例1のプリントヘッドの製造方法と同様であることから、等しい概念および構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
実施例3のプリントヘッドの製造方法の光量補正データ(光量補正値)の設定方法では、第1閾値Th1と第2閾値Th2とを用いて第1比率データPD(因子(以下では、第1因子とする))を求め、かつ第3閾値Th3と第4閾値Th4とを用いて第2比率データPD2(第2因子)を求める。この第3閾値Th3と第4閾値Th4とは、実施例2と同様である。その第2比率データPD2は、対象とすべく第1比率データPD(第1因子)を求めた光スポットSPkにおいて、当該第1比率データPDとは異なる閾値に基づいて求めた光量と大きさとの比率(比)を示すデータである。
そして、実施例3のプリントヘッドの製造方法では、第1閾値Th1を用いて第1光量関連データPWを求めること(図7および図8参照)と同様に、第3閾値Th3を用いて第2光量関連データPW2を求める。このとき、第1光量関連データPWを求める際と同様に、連続する複数の光スポットSPにおける各第2光量関連データPW2を用いて平均化処理を行うものとしてもよい。なお、各第2光量関連データPW2は、第1光量関連データPWを求める際と同様に、このように求めることが好ましいが、光スポットSPにおける光量を示すデータ、あるいは当該光スポットSPkにおける光量と関連の深いデータを求めるものであれば、実施例3の方法に限定するものではなく、他の方法により求めるものであってもよい。
また、実施例3のプリントヘッドの製造方法では、第2閾値Th2を用いて第1大きさ関連データBSを求めること(図7および図8参照)と同様に、第4閾値Th4を用いて第2大きさ関連データBS2を求める。このとき、第1大きさ関連データBSを求める際と同様に、連続する複数の光スポットSPにおける各第2大きさ関連データBS2を用いて平均化処理を行うものとしてもよい。なお、各第2大きさ関連データBS2は、第1大きさ関連データBSを求める際と同様に、このように求めることが好ましいが、光スポットSPの大きさを示すデータを求めるものであれば、実施例3の方法に限定するものではなく、他の方法により求めるものであってもよい。
そして、実施例3のプリントヘッドの製造方法では、上述したように求めた第2光量関連データPW2と第2大きさ関連データBS2との比率(比)を求めて第2比率データPD2とする。実施例3では、第2比率データPD2は、第2光量関連データPW2の第2大きさ関連データBS2に対する比(PD2=PW2/BS2)としている。このため、第2比率データPD2は、対象とした光スポットSPにおいて第1比率データPDとは異なる閾値により求めた光パワー密度(単位面積あたりの光量)に相当する値(量)となる。このことから、第2比率データPD2は、実施例3のプリントヘッドの製造方法において光量補正データを設定するための第2因子となる。なお、この第2光量関連データPW2と第2大きさ関連データBS2との比率(比)である第2比率データPD2(第2因子)は、第2大きさ関連データBS2の第2光量関連データPW2に対する比(PD2=BS2/PW2)としてもよく、上記した実施例3に限定されるものではない。この場合には、第2比率データ(第2因子)は、光パワー密度(単位面積あたりの光量)の逆数を示すものとなる。このように、実施例3のプリントヘッドの製造方法では、各LED35が形成する光スポットSPにおける光量(あるいは光量と深い関連のある値)と大きさとの比率(第2比率データPD2(第2因子))を求めることができる。
そして、実施例3のプリントヘッドの製造方法では、この比率(第2比率データPD2(第2因子))を用いて光量補正データを設定するために、上述したことと同様に、全ての光スポットSPkに対して比率(第2比率データPD2k(第2因子))を求める。また、プリントヘッドの製造方法では、その全ての光スポットSPkに対する第2比率データPD2kの平均値を求めることにより、第2比率平均値PD2aveを求める。そして、実施例3のプリントヘッドの製造方法では、対象とする光スポットSPkを形成した各LED35に対する光量補正データとして、光量補正データCD3k[%]を下記の式(3)で算出する。式(3)において、第1比率データPDk、第1比率平均値PDaveおよび比例定数PCは、実施例1の式(1)および実施例2の式(2)と同様である。なお、第2比率データPD2kにおける符号kは、全ての光スポットSPのうちのいずれの光スポットSPを対象としたかを示す上述した識別子(kは0(ゼロ)を除く自然数)であって、光スポットSPkにおける符号kと等しい数字となる。
CD3k={(PDk/PDave)−1}×PC
+{(PD2k/PD2ave)−1}×PC2 ・・・(3)
この式(3)において、PC2は、比例定数PCとは別に設定した比例定数である。この比例定数PC2は、現像等の作像プロセスの違い等によって現像されるトナー量が変化するものであることから、当該作像プロセスに応じて適宜設定する。このように、光量補正データCD3kでは、第1比率データPDkを用いて求められたもの、すなわち対象とする光スポットSPkの光パワー密度を第1因子としたものとされている。また、光量補正データCD3kでは、対象とする光スポットSPkにおいて第1比率データPDkとは異なる閾値により求めた第2比率データPD2kを用いて求められたもの、すなわち対象とする光スポットSPkの光パワー密度を第2因子としたものとされている。
次に、本発明に係る実施例3のプリントヘッドの製造方法における光量補正データ(光量補正値)の設定処理について、図14を用いて説明する。その図14は、実施例3のプリントヘッドの製造方法における光量補正データ(光量補正値)の設定処理を示すフローチャートである。以下では、この図14のフローチャートの各ステップ(各工程)について説明する。この図14のフローチャートは、実施例1と同様に組み上げたプリントヘッド30を対象として行う。
ステップS21では、プリントヘッド30で形成した全ての光スポットSPkの測定を行って、ステップS22へ進む。このステップS21は、図9のフローチャートにおけるステップS1と同様である。
ステップS22では、ステップS21でのプリントヘッド30で形成した全ての光スポットSPkの測定を行うことに続き、全ての光スポットSPkにおける第1光量関連データPWkを求めて、ステップS23へ進む。このステップS22は、図9のフローチャートにおけるステップS2と同様である。このため、このステップS22は、第1閾値Th1を用いて、駆動部としてのドライバIC36により発光部(LED35)点灯させて形成した光スポットSPにおける光量を示す第1光量関連データPWを求める第1工程となる。
ステップS23では、ステップS22での全ての光スポットSPkにおける第1光量関連データPWkを求めることに続き、全ての光スポットSPkにおける第2光量関連データPW2kを求めて、ステップS24へ進む。このステップS23は、上述したように、ステップS21での対象とする光スポットSPkの測定結果に第3閾値Th3を用いて当該光スポットSPkにおける第2光量関連データPW2を求める。そして、ステップS23では、全ての光スポットSPkを対象とすることにより、全ての光スポットSPkにおける第2光量関連データPW2kを求める。このため、このステップS23は、第3閾値Th3を用いて、駆動部としてのドライバIC36により発光部(LED35)点灯させて形成した光スポットSPにおける光量を示す第2光量関連データPW2を求める第1工程となる。
ステップS24では、ステップS23での全ての光スポットSPkにおける第2光量関連データPW2kを求めることに続き、全ての光スポットSPkにおける第1大きさ関連データBSkを求めて、ステップS25へ進む。このステップS24は、図9のフローチャートにおけるステップS3と同様である。このため、このステップS24は、第2閾値Th2を用いて、駆動部としてのドライバIC36により発光部(LED35)点灯させて形成した光スポットSPの大きさを示す第1大きさ関連データBSを求める第2工程となる。
ステップS25では、ステップS24での全ての光スポットSPkにおける第1大きさ関連データBSkを求めることに続き、全ての光スポットSPkにおける第2大きさ関連データBS2kを求めて、ステップS26へ進む。このステップS25では、上述したように、ステップS21での対象とする光スポットSPkの測定結果に第4閾値Th4を用いて当該光スポットSPkにおける第2大きさ関連データBS2を求める。そして、ステップS25では、全ての光スポットSPkを対象とすることにより、全ての光スポットSPkにおける第2大きさ関連データBS2kを求める。このため、このステップS25は、第4閾値Th4を用いて、駆動部としてのドライバIC36により発光部(LED35)点灯させて形成した光スポットSPの大きさを示す第2大きさ関連データBS2を求める第2工程となる。なお、このステップS22からステップS25は、いずれの順番に為されるものであってもよく、実施例3の構成に限定されるものではない。
ステップS26では、ステップS25での全ての光スポットSPkにおける第2大きさ関連データBS2kを求めることに続き、全ての光スポットSPkにおける第1比率データPDk(第1因子)を求めて、ステップS27へ進む。このステップS26は、図9のフローチャートにおけるステップS4と同様である。このため、このステップS26は、第1光量関連データPWと第1大きさ関連データBSとの比率を示す第1比率データPDを求める第3工程となる。
ステップS27では、ステップS26での全ての光スポットSPkにおける第1比率データPDk(第1因子)を求めることに続き、全ての光スポットSPkにおける第2比率データPD2k(第2因子)を求めて、ステップS28へ進む。このステップS27では、光量補正データを設定するために、全ての光スポットSPkに対して、ステップS23で求めた第2光量関連データPW2kとステップS25で求めた第2大きさ関連データBS2kとの第2比率データPD2kを求める。すなわち、ステップS27では、全ての光スポットSPkにおける光パワー密度に相当する値(量)を、ステップS26とは異なる閾値で求める。実施例3のステップS27では、上述したように、第2光量関連データPW2kの第2大きさ関連データBS2kに対する比として、全ての光スポットSPkに対して第2比率データPD2kを求める(PD2k=PW2k/BS2k)。このため、このステップS27は、第2光量関連データPW2と第2大きさ関連データBS2との比率を示す第2比率データPD2を求める第3工程となる。なお、このステップS27は、ステップS26と同時に行うものであってもよく、ステップS26よりも先に行うものであってもよく、実施例3の構成に限定されるものではない。
ステップS28では、ステップS27での全ての光スポットSPkにおける第2比率データPD2を求めることに続き、第1比率平均値PDaveを求めて、ステップS29へ進む。このステップS28は、図9のフローチャートにおけるステップS5と同様である。
ステップS29では、ステップS28での第1比率平均値PDaveを求めることに続き、第2比率平均値PD2aveを求めて、ステップS30へ進む。このステップS29では、上述したように、ステップS27で求めた全ての光スポットSPkにおける第2比率データPD2kの平均値を求めて第2比率平均値PD2aveとする。
ステップS30では、ステップS29での第2比率平均値PD2aveを求めることに続き、各LED35に対する光量補正データCD3kを求めて、ステップS31へ進む。このステップS30では、ステップS26で求めた第1比率データPDk(第1因子)とステップS27で求めた第2比率データPD2k(第2因子)とを用いて、対象とする光スポットSPkを形成した各LED35に対する光量補正データCD3kを求める。実施例3のステップS30では、第1比率データPDkと第2比率データPD2kとステップS28で求めた第1比率平均値PDaveとステップS29で求めた第2比率平均値PD2aveとを上述した式(3)に当て嵌めて、各LED35に対する光量補正データCD3k[%]を求める。このため、このステップS30は、第1比率データPDと第2比率データPD2とを用いて対象とする光スポットSPを形成した発光部(LED35)に対する光量補正データCD3を求める第4工程となる。
ステップS31では、ステップS30での各LED35に対する光量補正データCD3kを求めることに続き、各光量補正データCD3kをプリントヘッド30に記録して保持させて、光量補正データ(光量補正値)の設定処理を終了する。このステップS31では、ステップS30で求めた各光量補正データCD3kを、各LED35の駆動のために参照することを可能とすべくプリントヘッド30に記録して保持させる。実施例3のステップS31では、光スポットSPkを形成するLED35を駆動するドライバIC36のメモリ37(図1参照)に、当該光スポットSPkに対応する光量補正データCD3kを格納する。このため、このステップS31は、求めた光量補正データCD3をプリントヘッド30に保持させる第5工程となる。
この本発明に係る実施例3のプリントヘッドの製造方法では、プリントヘッド30を上述したように組み上げた後に、光量補正データ(光量補正値)の設定処理(図14のフローチャート)を行う。そして、図14のフローチャートにおいてステップS21へと進むことにより、組み上げたプリントヘッド30で像面上に各光スポットSPkを形成し、その各光スポットSPkを測定する。その後、図14のフローチャートにおいてステップS22→ステップS23→ステップS24→ステップS25→ステップS26へと進むことにより、第1光量関連データPWkと第1大きさ関連データBSkとを用いて、光スポットSPkにおける光量(あるいは光量と深い関連のある値)と大きさとの比率(比)である第1比率データPDk(第1因子)を求める。また、図14のフローチャートにおいてステップS27へと進むことにより、第2光量関連データPW2と第2大きさ関連データBS2とを用いて、光スポットSPkにおける光量(あるいは光量と深い関連のある値)と大きさとの比率(比)である第2比率データPD2k(第2因子)を求める。そして、図14のフローチャートにおいてステップS28→ステップS29→ステップS30へと進むことにより、対象とする光スポットSPkにおける第1比率データPDk(第1因子)および第2比率データPD2k(第2因子)を用いて、当該光スポットSPkを形成した各LED35に対する光量補正データCD3kを求める。その後、図14のフローチャートにおいてステップS31へと進むことにより、各LED35を駆動するドライバIC36のメモリ37に、LED35が形成する光スポットSPkに対応して求めた光量補正データCD3kを格納する。
これにより、本発明に係る実施例3のプリントヘッドの製造方法では、上述したように設定した光量補正データCD3kを、各LED35に対応して各ドライバIC36のメモリ37に格納させたプリントヘッド30を製造することができる。このため、実施例3のプリントヘッドの製造方法により形成されたプリントヘッド30では、上述したように設定しメモリ37(図1参照)に格納された光量補正データCD3kを用いて、各ドライバIC36が各LED35を駆動する。これにより、実施例3のプリントヘッドの製造方法により形成されたプリントヘッド30では、形成した画像において、縦筋が生じることを適切に防止することができる。これは、以下のことによる。
実施例3のプリントヘッドの製造方法では、各LED35が形成する光スポットSPにおける第1比率データPDkを第1因子とし、かつ各LED35が形成する光スポットSPにおける第2比率データPD2kを第2因子とする。そして、実施例3のプリントヘッドの製造方法では、第1比率データPDk(第1因子)と第2比率データPD2k(第2因子)とを用いて設定した光量補正データCD2を、メモリ37に格納させてプリントヘッド30を製造する。このため、そのプリントヘッド30では、メモリ37に格納した光量補正データCD2を用いて各LED35を駆動することにより、各LED35からの光における光パワー密度に依存して決まる現像されるトナー量をよりきめ細やかに調整することができる。これは、各LED35が形成する光スポットSPのビームプロファイルがフラットトップ形状ではなくガウス分布に近い形をしていることから、異なる閾値を用いて光パワー密度を求めることで、より適切に実際の光パワー密度に近付けることができることによる。このため、このプリントヘッド30では、画像に縦筋(濃度むら)を発生させることをより適切に防止することができる。
実施例3のプリントヘッドの製造方法では、基本的に実施例1のプリントヘッドの製造方法と同様の構成であることから、基本的に実施例1と同様の効果を得ることができる。
それに加えて、実施例3のプリントヘッドの製造方法では、第1比率データPDk(第1因子)に加えて、各LED35が形成する光スポットSPにおける第2比率データPD2k(第2因子)を用いて光量補正データCD3kを設定している。換言すると、プリントヘッドの製造方法では、異なる2つの閾値を用いて求めた各LED35が形成する光スポットSPにおける比率データ(PDk、PD2k)を用いて、光量補正データCD3kを設定している。このため、プリントヘッドの製造方法では、各LED35からの光における光パワー密度をより適切に求めることができ、そのより適切な光パワー密度を用いて光量補正データCD3kを設定することができる。これにより、プリントヘッドの製造方法では、現像されるトナー量をよりきめ細やかに調整することのできる光量補正データCD3kを設定することができる。よって、プリントヘッドの製造方法では、設定した光量補正データCD3kを用いて各光源(各LED35)から出射される光の光量を補正することで、より適切に縦筋(濃度むら)の発生を防止するプリントヘッド30を製造することができる。
したがって、本発明に係る実施例3のプリントヘッドの製造方法では、縦筋の発生を適切に防止することのできるプリントヘッド30を製造することができる。
なお、実施例3のプリントヘッドの製造方法では、光量補正データCD3kを求める式(3)において、第1比率データPD(第1因子)を用いた第1項と、第2比率データPD2k(第2因子)を用いた第2項と、を加算するものとしていた。しかしながら、プリントヘッドの製造方法では、各光源(各LED35)が形成する光スポットSPにおける光量と大きさとの比率(比)である第1比率データPDk(第1因子)と、それとは異なる閾値により求めた各光源(各LED35)が形成する光スポットSPにおける光量と大きさとの比率(比)である第2比率データPD2k(第2因子)と、を用いるものであればよく、実施例3の構成に限定されるものではない。この一例として、第1比率データPD(第1因子)を用いた第1項と、第2比率データPD2k(第2因子)を用いた第2項と、を乗算するものとすることがあげられる。また、他の一例として、当該第1項と当該第2項とを異なる式で組み合わせることや、第1比率データPDk(第1因子)または第2比率データPD2k(第2因子)の用い方を変えることがあげられる。
次に、本発明の実施例4のプリントヘッドの製造方法、およびそのプリントヘッドの製造方法により製造された実施例4のプリントヘッド30、およびそれを備える実施例4の画像形成装置10について、図15を用いて説明する。この実施例4のプリントヘッドの製造方法は、光量補正データ(光量補正値)の設定方法が、実施例1、実施例2および実施例3の光量補正データ(光量補正値)の設定方法とは異なる例である。この実施例4のプリントヘッドの製造方法は、基本的な概念および構成(工程)は上記した実施例1のプリントヘッドの製造方法と同様であることから、等しい概念および構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
実施例4のプリントヘッドの製造方法の光量補正データ(光量補正値)の設定方法では、第1比率データPDすなわち第1光量関連データPWおよび第1大きさ関連データBSを求める前に、光量を一定とする補正を行う。すなわち、この実施例4のプリントヘッドの製造方法では、全ての光スポットSPkにおける光量が一定となるように、ドライバIC36が各LED35を駆動して光スポットSPkを形成する。そして、実施例4のプリントヘッドの製造方法では、そのように光量が一定とされて形成された全ての光スポットSPkを測定して、第1光量関連データPWおよび第1大きさ関連データBSを求め、そこから第1比率データPDを求める。
このため、実施例4のプリントヘッドの製造方法では、次のように光量を一定とする補正を行う。先ず、光量を一定とする補正に用いる第3光量関連データPW3を求めるための第5閾値Th5(図7および図8参照)を設定する。この第5閾値Th5は、第1閾値Th1と同様に2つの走査方向の1次元ビームプロファイルにおいて第3光量関連データPW3を求めることに用いる強度の下限値を規定するものである。第5閾値Th5は、第1閾値Th1と等しい値に設定するものであってもよく、第1閾値Th1とは異なる値に設定するものであってもよく、形成される各光スポットSPに応じて適宜設定するものであればよい。なお、第5閾値Th5は、第1閾値Th1と同様に、ゼロ(光スポットSPのピーク強度の0[%])としてもよい。この場合は、光スポットSPとして測定した強度分布の全ての値を用いるもの、すなわち実質的に第5閾値Th5を設けていない場合と同様に第3光量関連データPW3を求めるものとなる。
そして、プリントヘッド30において、何らの光量補正データを用いることなくドライバIC36に各LED35を駆動させて、各LED35から光を射出させてレンズアレイ32により集光して像面上に光スポットSPを形成する。そして、その像面上に形成した光スポットSPの強度分布を測定する。実施例4では、光スポットSPの2次元ビームプロファイル(図5参照)を取得する。その後、光スポットSPの測定結果に基づいて、第1光量関連データPWと同様に、第5閾値Th5を用いて光スポットSPにおける第3光量関連データPW3を求める。このとき、第1光量関連データPWを求める際と同様に、連続する複数の光スポットSPにおける各第3光量関連データPW3を用いて平均化処理を行うものとしてもよい。なお、この第3光量関連データPW3は、光スポットSPにおける光量と関連の深いデータを求めるものであれば、実施例4とは異なる方法で求めるものであってもよく、実施例4の構成に限定されるものではない。
次に、全ての第3光量関連データPW3kが一定となるように、対象とする光スポットSPkを形成した各LED35に対する光量一定補正データCDfk[%]を求める。なお、第3光量関連データPW3kおよび光量一定補正データCDfkにおける符号kは、全ての光スポットSPのうちのいずれの光スポットSPを対象としたかを示す上述した識別子(kは0(ゼロ)を除く自然数)であって、光スポットSPkにおける符号kと等しい数字となる。この光量一定補正データCDfkは、一般的な方法で求めることができる。そして、プリントヘッド30において、光量一定補正データCDfkを用いてドライバIC36に各LED35を駆動させて、各LED35から光を射出させてレンズアレイ32により集光して像面上に光スポットSPを形成する。これにより、像面上に、光量が一定とされた全ての光スポットSPkを形成することができる。
そして、実施例4のプリントヘッドの製造方法の光量補正データ(光量補正値)の設定方法では、光量が一定とされた全ての光スポットSPkを測定し、その測定結果を用いて実施例1と同様に第1光量関連データPWと第1大きさ関連データBSとを求める。そして、実施例4のプリントヘッドの製造方法では、第1光量関連データPWと第1大きさ関連データBSとの比率(比)を求めて第1比率データPDとする。実施例4では、第1比率データPDは、第1光量関連データPWの第1大きさ関連データBSに対する比(PD=PW/BS)としている。このため、第1比率データPDは、光量が一定とされた全ての光スポットSPのうちの対象とした光スポットSPにおける光パワー密度(単位面積あたりの光量)に相当する値(量)となる。このことから、第1比率データPDは、実施例4のプリントヘッドの製造方法において光量補正データを設定するための因子となる。なお、この第1光量関連データPWと第1大きさ関連データBSとの比率(比)である第1比率データPD(因子)は、第1大きさ関連データBSの第1光量関連データPWに対する比(PD=BS/PW)としてもよく、上記した実施例4に限定されるものではない。この場合には、第1比率データ(因子)は、光パワー密度(単位面積あたりの光量)の逆数を示すものとなる。
そして、実施例4のプリントヘッドの製造方法では、この比率(第1比率データPD(因子))を用いて光量補正データを設定するために、上述したことと同様に、全ての光スポットSPkに対して比率(第1比率データPDk(因子))を求める。また、プリントヘッドの製造方法では、その全ての光スポットSPkに対する第1比率データPDkの平均値を求めることにより、第1比率平均値PDaveを求める。そして、実施例4のプリントヘッドの製造方法では、対象とする光スポットSPkを形成した各LED35に対する光量補正データとして、光量補正データCD4k[%]を下記の式(4)で算出する。式(4)において、第1比率データPDk、第1比率平均値PDaveおよび比例定数PCは、実施例1の式(1)、実施例2の式(2)および実施例3の式(3)と同様である。
CD4k={(PDk/PDave)−1}×PC+CDfk ・・・(4)
このように、光量補正データCD4kでは、第1比率データPDkを用いて求められたもの、すなわち光量が一定とした全ての光スポットSPのうちの対象とする光スポットSPkの光パワー密度を因子(以下では、第1因子とする)としている。また、実施例4の光量補正データCD4kでは、全ての光スポットSPの光量を一定とするために用いた光量一定補正データCDfkを第2因子としている。
次に、本発明に係る実施例4のプリントヘッドの製造方法における光量補正データ(光量補正値)の設定処理について、図15を用いて説明する。その図15は、実施例4のプリントヘッドの製造方法における光量補正データ(光量補正値)の設定処理を示すフローチャートである。以下では、この図15のフローチャートの各ステップ(各工程)について説明する。この図15のフローチャートは、実施例1と同様に組み上げたプリントヘッド30を対象として行う。
ステップS41では、プリントヘッド30で形成した全ての光スポットSPkの測定を行って、ステップS42へ進む。このステップS41では、上述したように、何らの光量補正データを用いることなくドライバIC36に各LED35を駆動させて像面上に形成した各光スポットSPkを測定する。実施例4のステップS41では、単一のLED35を点灯させて各光スポットSPkを形成し、それぞれの光スポットSPkの2次元ビームプロファイル(図5参照)を取得する。
ステップS42では、ステップS41でのプリントヘッド30で形成した全ての光スポットSPkの測定を行うことに続き、全ての光スポットSPkにおける第3光量関連データPW3kを求めて、ステップS43へ進む。このステップS42では、上述したように、ステップS41での対象とする光スポットSPkの測定結果に第5閾値Th5を用いて当該光スポットSPkにおける第3光量関連データPW3を求める。そして、ステップS42では、全ての光スポットSPkを対象とすることにより、全ての光スポットSPkにおける第3光量関連データPW3kを求める。このため、このステップS42は、第5閾値Th5を用いて、駆動部としてのドライバIC36により発光部(LED35)点灯させて形成した光スポットSPにおける光量を示す第3光量関連データPW3を求める第6工程となる。
ステップS43では、ステップS42での全ての光スポットSPkにおける第3光量関連データPW3kを求めることに続き、各LED35に対する光量一定補正データCDfkを求めて、ステップS44へ進む。このステップS43では、ステップS42で求めた各第3光量関連データPW3kを一定とするように、対象とする光スポットSPkを形成した各LED35に対する光量一定補正データCDfk[%]を求める。このため、このステップS43は、第3光量関連データPW3を一定とすべく対象とする光スポットSPを形成した発光部(LED35)に対する光量一定補正データCDfを求める第7工程となる。
ステップS44では、ステップS43での各LED35に対する光量一定補正データCDfkを求めることに続き、プリントヘッド30で光量一定として形成した全ての光スポットSPkの測定を行って、ステップS45へ進む。このステップS44は、上述したように、ステップS43で求めた光量一定補正データCDfkを用いてドライバIC36に各LED35を駆動させて像面上に形成した各光スポットSPkを測定する。実施例4のステップS44では、単一のLED35を点灯させて各光スポットSPkを形成し、それぞれの光スポットSPkの2次元ビームプロファイル(図5参照)を取得する。
ステップS45では、ステップS44での光量一定として形成した全ての光スポットSPkの測定を行うことに続き、光量一定として形成した全ての光スポットSPkにおける第1光量関連データPWkを求めて、ステップS46へ進む。このステップS45では、上述したように、ステップS44での光量一定として形成した対象とする光スポットSPkの測定結果に第1閾値Th1を用いて当該光スポットSPkにおける第1光量関連データPWを求める。そして、ステップS45では、光量一定として形成した全ての光スポットSPkを対象とすることにより、全ての光スポットSPkにおける第1光量関連データPWkを求める。このため、このステップS45は、第1閾値Th1を用いて、駆動部としてのドライバIC36により光量一定補正データCDfを用いて発光部(LED35)点灯させて形成した光スポットSPの大きさを示す第1光量関連データPWを求める第1工程となる。
ステップS46では、ステップS45での光量一定として形成した全ての光スポットSPkにおける第1光量関連データPWkを求めることに続き、光量一定として形成した全ての光スポットSPkにおける第1大きさ関連データBSkを求めて、ステップS47へ進む。このステップS46では、上述したように、ステップS44での光量一定として形成した対象とする光スポットSPkの測定結果に第2閾値Th2を用いて当該光スポットSPkにおける第1大きさ関連データBSを求める。そして、ステップS46では、光量一定として形成した全ての光スポットSPkを対象とすることにより、全ての光スポットSPkにおける第1大きさ関連データBSkを求める。なお、このステップS46は、ステップS45と同時に行うものであってもよく、ステップS45よりも先に行うものであってもよく、実施例4の構成に限定されるものではない。これは、ステップS45とステップS46とがいずれもステップS44での測定結果を用いるものであって、一方の処理内容が他方の処理内容に影響を与えないことによる。このため、このステップS46は、第2閾値Th2を用いて、駆動部としてのドライバIC36により光量一定補正データCDfを用いて発光部(LED35)点灯させて形成した光スポットSPの大きさを示す第1大きさ関連データBSを求める第2工程となる。
ステップS47では、ステップS46での全ての光スポットSPkにおける第1大きさ関連データBSkを求めることに続き、全ての光スポットSPkにおける第1比率データPDk(第1因子)を求めて、ステップS48へ進む。このステップS47では、光量補正データを設定するために、光量一定として形成した全ての光スポットSPkに対して、ステップS45で求めた第1光量関連データPWkとステップS46で求めた第1大きさ関連データBSkとの第1比率データPDkを求める。すなわち、ステップS47では、光量一定として形成した全ての光スポットSPkにおける光パワー密度(単位面積あたりの光量)に相当する値(量)を求める。実施例4のステップS47では、上述したように、第1光量関連データPWkの第1大きさ関連データBSkに対する比として、全ての光スポットSPkに対して第1比率データPDkを求める(PDk=PWk/BSk)。このため、このステップS47は、第1光量関連データPWと第1大きさ関連データBSとの比率を示す第1比率データPDを求める第3工程となる。
ステップS48では、ステップS47での全ての光スポットSPkにおける第1比率データPDkを求めることに続き、第1比率平均値PDaveを求めて、ステップS49へ進む。このステップS48では、上述したように、ステップS47で求めた光量一定として形成した全ての光スポットSPkにおける第1比率データPDkの平均値を求めて第1比率平均値PDaveとする。
ステップS49では、ステップS48での第1比率平均値PDaveを求めることに続き、各LED35に対する光量補正データCD4kを求めて、ステップS50へ進む。このステップS49では、ステップS47で求めた第1比率データPDk(第1因子)を用いて、対象とする光スポットSPkを形成した各LED35に対する光量補正データCD4kを求める。実施例4のステップS49では、第1比率データPDkとステップS48で求めた第1比率平均値PDaveとステップS43で求めた光量一定補正データCDfkとを上述した式(4)に当て嵌めて、各LED35に対する光量補正データCD4k[%]を求める。このため、このステップS49は、光量一定として形成した全ての光スポットSPkにおける第1比率データPDを用いて対象とする光スポットSPを形成した発光部(LED35)に対する光量補正データCD4を求める第4工程となる。
ステップS50では、ステップS49での各LED35に対する光量補正データCD4kを求めることに続き、各光量補正データCD4kをプリントヘッド30に記録して保持させて、光量補正データ(光量補正値)の設定処理を終了する。このステップS50では、ステップS49で求めた各光量補正データCD4kを、各LED35の駆動のために参照することを可能とすべくプリントヘッド30に記録して保持させる。実施例4のステップS50では、光スポットSPkを形成するLED35を駆動するドライバIC36のメモリ37(図1参照)に、当該光スポットSPkに対応する光量補正データCD4kを格納する。このため、このステップS50は、求めた光量補正データCD4をプリントヘッド30に保持させる第5工程となる。
この本発明に係る実施例4のプリントヘッドの製造方法では、プリントヘッド30を上述したように組み上げた後に、光量補正データ(光量補正値)の設定処理(図15のフローチャート)を行う。そして、図15のフローチャートにおいてステップS41へと進むことにより、組み上げたプリントヘッド30で像面上に各光スポットSPkを形成し、その各光スポットSPkを測定する。その後、図15のフローチャートにおいてステップS42→ステップS43へと進むことにより、全ての光スポットSPkにおける第3光量関連データPW3kを求めて、当該光スポットSPkを形成した各LED35に対する光量一定補正データCDfkを求める。そして、図15のフローチャートにおいてステップS44へと進むことにより、プリントヘッド30で光量一定補正データCDfkを用いて像面上に各光スポットSPkを形成し、その各光スポットSPkを測定する。その後、図15のフローチャートにおいてステップS45→ステップS46→ステップS47へと進むことにより、第1光量関連データPWkと第1大きさ関連データBSkとを用いて、光量一定として形成した光スポットSPkにおける光量(あるいは光量と深い関連のある値)と大きさとの比率(比)である第1比率データPDk(第1因子)を求める。そして、図15のフローチャートにおいてステップS48→ステップS49へと進むことにより、光量一定として形成した対象とする光スポットSPkにおける第1比率データPDk(第1因子)を用いて、当該光スポットSPkを形成した各LED35に対する光量補正データCD4kを求める。その後、図15のフローチャートにおいてステップS50へと進むことにより、各LED35を駆動するドライバIC36のメモリ37に、LED35が形成する光スポットSPkに対応して求めた光量補正データCD4kを格納する。
これにより、本発明に係る実施例4のプリントヘッドの製造方法では、上述したように設定した光量補正データCD4kを、各LED35に対応して各ドライバIC36のメモリ37に格納させたプリントヘッド30を製造することができる。このため、実施例4のプリントヘッドの製造方法により形成されたプリントヘッド30では、上述したように設定しメモリ37(図1参照)に格納された光量補正データCD4kを用いて、各ドライバIC36が各LED35を駆動する。これにより、実施例4のプリントヘッドの製造方法により形成されたプリントヘッド30では、形成した画像において、縦筋が生じることを適切に防止することができる。これは、以下のことによる。
光量補正データを用いて各LED35を駆動して形成した画像では、基本的に、その光量補正データの変化に対する明度の変化が大略比例する、すなわち大略等しい変化率で変化する。ところが、当該画像では、光量補正データの変化量が大きくなると、当該光量補正データの変化に対する明度の変化が、大略比例する関係からずれてくる場合がある。このような場合、光量補正データを用いるプリントヘッド30では、画像に縦筋(濃度むら)を発生させることの効果が低下する虞がある。
これに対して、実施例4のプリントヘッドの製造方法では、先に求めた光量一定補正データCDfを用いて光量を一定として光スポットSPを形成し、その光スポットSPから光量補正データCD4を求めている。このように、光量を一定として光スポットSPを形成することで、それにより形成される画像に縦筋(濃度むら)を発生させることを抑制することができ、大まかな補正を行うことができる。そして、その大まかな補正が為されて縦筋(濃度むら)の発生が抑制された光スポットSPから光量補正データCD4を求めることにより、変化量の大きさに拘わらず当該光量補正データCD4の変化と形成した画像における明度の変化とを大略比例させることができる。そして、実施例4のプリントヘッドの製造方法では、その光量補正データCD4を、メモリ37に格納させてプリントヘッド30を製造する。このため、そのプリントヘッド30では、メモリ37に格納した光量補正データCD4を用いて各LED35を駆動することにより、光パワー密度に依存して決まる現像されるトナー量をよりきめ細やかに調整することができ、画像に縦筋(濃度むら)を発生させることをより適切に防止することができる。
実施例4のプリントヘッドの製造方法では、基本的に実施例1のプリントヘッドの製造方法と同様の構成であることから、基本的に実施例1と同様の効果を得ることができる。
それに加えて、実施例4のプリントヘッドの製造方法では、先に求めた光量一定補正データCDfkを用いて光量を一定として光スポットSPを形成し、そこにおける光量(あるいは光量と深い関連のある値)と大きさとの比率(比)を用いて光量補正データCD4を求める。このため、プリントヘッドの製造方法では、各LED35からの光における光パワー密度をより適切に求めることができ、そのより適切な光パワー密度を用いて光量補正データCD4kを設定することができる。また、その光量補正データCD4kでは、変化量が大きくなった場合であっても、当該光量補正データCD4kの変化と形成する画像における明度の変化とを大略比例させることができる。これにより、プリントヘッドの製造方法では、変化量に拘わらず現像されるトナー量をよりきめ細やかに調整することのできる光量補正データCD4kを設定することができる。よって、プリントヘッドの製造方法では、設定した光量補正データCD4kを用いて各光源(各LED35)から出射される光の光量を補正することで、より適切に縦筋(濃度むら)の発生を防止するプリントヘッド30を製造することができる。
また、実施例4のプリントヘッドの製造方法では、第1比率データPDk(第1因子)に加えて、先に形成する光スポットSPの光量を一定とすべく用いた光量一定補正データCDfk(第2因子)を用いて光量補正データCD4kを設定している。このため、プリントヘッドの製造方法では、各LED35からの光における光パワー密度をより適切に求めることができ、そのより適切な光パワー密度を用いて光量補正データCD4kを設定することができる。これにより、プリントヘッドの製造方法では、変化量に拘わらず現像されるトナー量をよりきめ細やかに調整することのできる光量補正データCD4kを設定することができる。よって、プリントヘッドの製造方法では、設定した光量補正データCD4kを用いて各光源(各LED35)から出射される光の光量を補正することで、より適切に縦筋(濃度むら)の発生を防止するプリントヘッド30を製造することができる。
したがって、本発明に係る実施例4のプリントヘッドの製造方法では、縦筋の発生を適切に防止することのできるプリントヘッド30を製造することができる。
なお、実施例4のプリントヘッドの製造方法では、光量補正データCD4kを求める式(4)において、第1比率データPD(第1因子)を用いた第1項と、光量一定補正データCDfk(第2因子)を用いた第2項と、を加算するものとしていた。しかしながら、プリントヘッドの製造方法では、各光源(各LED35)が形成する光スポットSPにおける光量と大きさとの比率(比)である第1比率データPDk(第1因子)を用いるものであればよく、実施例4の構成に限定されるものではない。この一例として、第1比率データPD(第1因子)を用いた第1項と、光量一定補正データCDfk(第2因子)を用いた第2項と、を乗算するものとすることがあげられる。また、他の一例として、光量一定補正データCDfk(第2因子)を用いることなく、第1比率データPDのみを第1因子として用いるものとすることがあげられる。さらに、その他の一例として、当該第1項と当該第2項とを異なる式で組み合わせることや、第1比率データPDk(第1因子)または光量一定補正データCDfk(第2因子)の用い方を変えるものとすることがあげられる。
また、実施例4のプリントヘッドの製造方法では、光量一定補正データCDfを光スポットSPにおける光量を正確に一定とするように求めていたが、各光スポットSPにより形成される画像に縦筋(濃度むら)を発生させることを抑制することができるものであれば、光スポットSPにおける光量の差異を小さくするものであってもよく、実施例4の構成に限定されるものではない。
なお、上記した各実施例では、本発明に係るプリントヘッドの製造方法の一例としてのプリントヘッドの製造方法について説明したが、複数の発光部が整列されて設けられた基板と、前記各発光部を駆動する駆動部と、を備え、前記各発光部により像面上に光スポットを形成するプリントヘッドの製造方法であって、第1閾値を用いて、前記駆動部により前記発光部を点灯させて形成した前記光スポットにおける光量を示す第1光量関連データを求める第1工程と、第2閾値を用いて、前記駆動部により前記発光部を点灯させて形成した前記光スポットの大きさを示す第1大きさ関連データを求める第2工程と、前記第1光量関連データと前記第1大きさ関連データとの比率を示す第1比率データを求める第3工程と、前記第1比率データを用いて対象とする前記光スポットを形成した前記発光部に対する光量補正データを求める第4工程と、求めた前記光量補正データを前記プリントヘッドに保持させる第5工程と、を含むことを特徴とするプリントヘッドの製造方法であればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
また、上記した各実施例では、1つのLED35を点灯させて1つの光スポットSPを形成しており、そのように形成した各光スポットSPの測定を行っている。しかしながら、プリントヘッド30において、一列に並べられたLED35のうちの連続する複数のLED35を同時に点灯することにより1つの光スポット(SP)を形成し、そのように形成した各光スポット(SP)の測定を行うものであってもよい。この場合、同時に点灯するLED35の数は、同一のプリントヘッド30を対象として測定している間は一定のものとする。
さらに、上記した各実施例では、プリントヘッド30としていたが、一列に整列された複数の光源(各実施例ではLED35)を駆動して像面上に光スポット(各実施例では光スポットSP)を形成するプリントヘッドであって、本発明に係るプリントヘッドの製造方法により求められた光量補正データを保持するものであればよく、上記した各実施例の構成に限定されるものではない。
上記した各実施例では、フルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタとされた画像形成装置10としていたが、本発明に係るプリントヘッドの製造方法により製造されたプリントヘッド(30)と、それにより静電潜像が形成される像担持体(感光体11)と、静電潜像を可視像化する現像器(13)と、像担持体上に可視像化された画像を記録媒体(P)に転写する転写機構(転写ローラ19)と、を備える画像形成装置であればよく、上記した各実施例の構成に限定されるものではない。
上記した実施例4では、実施例1の光量補正データ(光量補正値)の設定処理(図9のフローチャート)における第1工程(ステップS2)の前に、光量を一定とする補正を行うものとされていた。しかしながら、本発明に係るプリントヘッドの製造方法において、第1比率データPDすなわち第1光量関連データPWおよび第1大きさ関連データBSを求める前に、光量を一定とする補正を行って、光量が一定とされて形成された全ての光スポットSPkを測定して、第1光量関連データPWおよび第1大きさ関連データBSを求め、そこから第1比率データPDを求めるものであればよく、他の構成(工程)としてもよく、上記した実施例4の構成に限定されるものではない。この他の構成(工程)の例として、実施例2の光量補正データ(光量補正値)の設定処理(図13のフローチャート)における第1工程(ステップS12)の前に光量を一定とする補正を行うことや、実施例3の光量補正データ(光量補正値)の設定処理(図14のフローチャート)における第1工程(ステップS22)の前に光量を一定とする補正を行うことがあげられる。
以上、本発明のプリントヘッドの製造方法、それにより製造されたプリントヘッドおよびそれを備える画像形成装置を各実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については各実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。