本発明の光書き込みユニットについてその最良の形態を添付図面を用いて説明する。本発明の光書き込みユニットは、多数の発光素子アレイと、各発光素子から出射される光束を光スポットとして導くための光学系を備えており、図1に概略図を示す。
図2は本発明の実施形態に係る発光素子アレイを説明するためのものである。
発光素子アレイは、例えば無機の発光ダイオード(LED)アレイからなる。LEDアレイは、基板上に数十〜百程度のLEDアレイチップが実装されており、各LEDアレイチップ上には、LEDが数十〜数百個程度、所定間隔に配列されている。このとき、隣り合うLEDアレイチップは、その端部同士のLEDの間隔が、前記所定間隔になるように、基板上に実装されている。LEDは、現状では1インチ当たり600〜1200個の密度で配列されており、本実施例では、21.2μmピッチ(1200dpi)で配列されたLEDアレイを用いた。また、基板上にはLEDアレイチップの他に、前記LEDを駆動するドライブICと、外部からの画像信号等のデータ信号を送りこむための信号線をつなぐコネクタ部が搭載されている。
図3は本発明の実施形態に係る光学系を説明するためのものである。
光学系は、例えば屈折率分布型のロッドレンズアレイからなる。ロッドレンズアレイは、円筒型の屈折率分布型のロッドレンズを2列俵積みに積み重ねたもので、配列方向および直交方向に正立系をなしている。本実施例では、直径約0.56mmのロッドレンズを用いた。ロッドレンズの周囲はレンズを保持し、強度を得るために側板によって挟まれている。また隣接するロッドレンズの間隙には固化するために接着部材が充填されている。この接着部材は不透明であり、フレア光を防止する機能も持つ。
上記、LEDアレイとロッドレンズアレイを備える図1の光書き込みユニットについて説明する。光学素子アレイ保持部材にはロッドレンズアレイが保持されるとともに、一端ではLEDアレイ保持部材が支持されている。また、基板の裏面(LEDが搭載されていない面)は、基板の直線性を維持するとともに、放熱機能を備えた前記LEDアレイ保持部材に当接されており、光学素子アレイ保持部材とLEDアレイ保持部材は接着や、クリップ等により固定されている。
2列俵積みにされたロッドレンズアレイのセンターラインと、LEDアレイのセンターラインが合致するように調整されながら実装されるとともに、各々のLEDとロッドレンズアレイの距離も良好な光スポット列が得られるように調整されているのである。
上記光書き込みユニットを、露光手段として画像形成装置に搭載し、画像出力を行った。なお、このとき各々のLEDに対応して形成される、光学系透過後の像担持体上の光スポットの露光量は略同一となるように、各LEDの発光量は設定されている。
まずこの発光量の設定方法の1例について具体的に説明する。
各LEDの発光量は、LEDの駆動方法に応じて、LEDに注入する電流値、印可する電圧値、抵抗値、発光時間などにより、制御されている。これらはLEDを所望の発光量で点灯させるための発光条件であり、整数値化された光量補正データとして設定されている。LEDの発光量を決定する上で、2つ以上の発光条件を組み合わせることもできるが、簡便化できることから一般的にはいずれか1つの発光条件で決定される場合が多い。もちろん、詳細な制御を行う上で2つ以上の発光条件を組み合わせても良い。
各LEDに対する発光量と、前記光量補正データの関係について見てみると、光量補正データの変化に対して、発光量には相関があり、ほぼ直線的に変化することが知られている。すなわち、2水準の光量補正データで各LEDを点灯し、露光量を測定し、それを直線補間することにより、所定の露光量に対する発光条件を設定することができる。
発光量の設定方法として、この1例に限定されるものではないのは言うまでもない。
上記画像出力を行った画像パターンについて説明する。
画像パターンとしては、配列方向に1on2off(すなわち、1ドット発光、2ドット非発光)を繰り返したパターンであり、感光体の送り方向(直交方向)に平行な縦線画像である。また、このパターンを配列方向に1ドットシフト、及び2ドットシフトしたパターンも、同じ出力用紙内に収まるように、直交方向に配置した。これを1on2off縦線画像と呼ぶ。
図4に1on2off縦線画像の模式図を示す。
上記1on2off縦線画像を用いて、画像出力を行ったところ、直交方向に平行に濃度ムラが見られた。これが本発明によって解決すべき課題である。そこで、この光書き込みユニットにおいて、各発光素子に対する露光強度分布を2次元CCDを用いて測定した。測定結果の例として、露光強度分布の例(斜視図)を図5に示す。我々は図5から、ある閾値における露光強度分布の断面積(露光面積)を算出した(図6)。これが本発明でいう所の特性値である。また、本実施例では、閾値として、各LEDに対する平均ピーク露光強度(露光強度分布におけるピーク強度の平均値)の1/e2に設定した。
また、特性値として、図5から、配列方向、もしくは直交方向断面でのある閾値における露光強度分布の幅(配列方向露光幅、もしくは直交方向露光幅)とすることもできる。配列方向断面での露光強度分布の例を図7に示す。ただし、配列方向露光幅、もしくは直交方向露光幅とした場合には、光スポット形状の1次元方向しか考慮されていないというデメリットもあるが、特性値の測定が簡便化されるといったメリットがある。
また、閾値として、本実施例では1/e2(13.5%)としたが、これは画像形成装置の特性に合わせて変更することができる。実際には、光スポットの裾部分(数%レベル)は露光強度分布のばらつきが大きく、また数10%を超えるような光スポットの上部では逆に露光強度分布の変動が小さいことから、いずれも制御しにくい領域となる。筆者の実験結果に依れば、閾値として、7%〜21%の範囲が好ましい領域である。
この露光面積を、連続した25の発光素子毎に、順次、最小二乗近似による一次回帰直線(以下、近似直線と呼ぶ)を取り、その近似直線の傾きをプロットしたグラフを図8に示す。これが本発明でいう所の複数の発光素子に対する特性値(露光面積)の比較結果である。この結果を、画像出力した1on2off縦線画像を比較すると、画像上の濃度変動と良く対応している。
なお、上記では連続した25の発光素子に対して比較結果を求めているが、1on2off縦線画像パターンに合わせて、画像パターンで点灯している発光素子に合わせて、3発光素子毎に間引いて選択してもよい。すなわち、複数の発光素子の距離を同一として、3発光素子毎に選択した9つの発光素子に対して比較結果を用いることもできる。但し、この場合にはすべての発光素子に対して光量調整を行うために、1発光素子及び2発光素子シフトした場合についても同じ作業を行わなければならず、若干手間がかかることになる。
また、比較結果として、近似直線の傾きに限定されるものではなく、複数の発光素子に対応して考慮されており、かつ画像上の濃度変動と良く対応が取れる指標であれば良い。
すなわち、近似直線の傾きがプラスの値であり、傾きの絶対値が大きい部分の近傍では、画像上の濃度が低い(淡く認識する)方から高い(濃く認識する)方へ変化しており、近似直線の傾きがマイナスの値であり、傾きの絶対値が大きい部分の近傍では、濃度が高い(濃く認識する)方から低い(淡く認識する)方へ変化している。また、傾きの絶対値が小さい部分では画像上の濃度変動としては認識できない。もしくは認識できたとしても非常に小さく、実用上問題のないレベルである。
濃度ムラと認識するような異常画像が現れるレベルに到達しないような、すなわち画像形成装置の特性に応じて予め設定したある範囲内に、連続した25の発光素子毎の露光面積の近似直線の傾きが収まっているような光書き込みユニット、を得ることができれば良い。
図9は近似直線の傾きと濃い濃度ムラとの対応を表す模式図である。この図は、周辺部に対し、濃度が高いと認識できる濃度ムラ(縦筋)についてのもので、近似直線の傾きがプラスの値で、傾きの絶対値が大きい部分の近傍(図中のA部分)は、濃度が淡い方から濃い方へ変化するように人間の眼には認識できる(この場合、周辺部の濃度は淡いとする)。また、近似直線の傾きがマイナスの値で、傾きの絶対値が大きい部分の近傍(図中のB部分)は、濃度が高い方から低い方へ変化するように人間の目には認識できる。すなわち、このA部分とB部分の間の部分(図中のC部分)は濃い部分であり、この場所を縦筋(濃い筋)として認識しているのである。
また傾きの絶対値が大きいほど、周辺部に対して大きな濃度変化を認識することになるので、A部分の傾きとB部分の傾きとの差(傾きのPV)が大きいほど、強い(目立つ)筋を認識することになる。
図10は近似直線の傾きと淡い濃度ムラとの対応を表す模式図である。この図は、周辺部に対し、濃度が低いと認識できる濃度ムラ(縦筋)についてのもので、近似直線の傾きがマイナスの値で、傾きの絶対値が大きい部分の近傍(図中のD部分)は、濃度が濃い方から淡い方へ変化するように人間の眼には認識できる(この場合、周辺部の濃度は濃いとする)。また、近似直線の傾きがプラスの値で、傾きの絶対値が大きい部分の近傍(図中のE部分)は、濃度が低い方から高い方へ変化するように人間の目には認識できる。すなわち、このD部分とE部分の間の部分(図中のF部分)は淡い部分であり、この場所を縦筋(淡い筋)として認識しているのである。
また傾きの絶対値が大きいほど、周辺部に対して大きな濃度変化を認識することになるので、D部分の傾きとE部分の傾きとの差(傾きのPV)が大きいほど、強い(目立つ)筋を認識することになる。
したがって、複数の発光素子に対する特性値の比較結果を制御することによって、良好な画像が得られるのである。
しかし、ある条件下においては、上記の制御だけでは濃度ムラを低減できない場合があることが分かった。すなわち、光スポット形状の大きな変形により、特性値の比較結果を各発光素子の発光量で制御したときに、露光量が大きく変化してしまったために、濃度ムラが認識できるようになってしまったのである。
言い換えると、露光量が一定に調整された光書き込みユニットに対して、特性値の比較結果を制御するために、発光素子の発光量を調整する訳であるが、その調整量としては通常あまり大きくなく、発光量の変化にして±%オーダーである。しかし、発光素子や光学系に起因して光スポット形状が大きくばらついた場合には、発光量の変化が±10%程度、もしくは±10%を超えるような場合が稀に発生してしまう。
本発明ではこのような場合でも良好な画像が得られるように、発光素子の光量調整を行う際に、合わせて発光素子の露光量のばらつきの条件も考慮に入れるようにしたのである。
すなわち、複数の発光素子に対する特性値の比較結果が、有効画像領域全体にわたって予め設定した範囲に収まっているとともに、各発光素子の露光量のばらつきが、有効画像領域全体にわたって予め設定した範囲を超えないように、発光素子の発光条件を設定することができる。
その際露光量のばらつきを、ある範囲内の最大値と最小値の偏差を用いて評価する方法(単に差分を取ったり、差分値をある範囲内の平均値で規格化したり)もあるが、それではその範囲内の発光素子の露光量についての挙動も含めて評価することができない。つまり、最大値と最小値で代表される2つの発光素子がメインとなってしまう。
そこで、複数の発光素子に対する露光量の比較結果を用いて評価する方法によって、濃度ムラの評価をより的確に行うことができる。
本発明ではこのように発光素子の光量調整を行う際に、複数の発光素子に対する露光量の比較結果の条件も合わせて考慮に入れるようにしたのである。
すなわち、複数の発光素子に対する特性値の比較結果が、有効画像領域全体にわたって予め設定した範囲に収まっているとともに、複数の発光素子に対する露光量の比較結果が、有効画像領域全体にわたって予め設定した範囲を超えないように、発光素子の発光条件を設定することができる。
上記を説明するための光量調整手順を説明する。なお、光書き込みユニットの構成は図1と同様とする。
(1)光学系透過後の像担持体上の光スポットの露光量は略同一となるように、各LEDの発光条件を導出する。そのときの発光条件を仮光量補正データとする。導出方法としては、例えば、前述したように、2水準の光量補正データで各LEDを点灯し、露光量を測定し、それを直線補間し、整数値化することによって、所定の露光量に対する仮光量補正データを導出することができる。得られた仮光量補正データを図11に示す。図の横軸はLEDの番号であり、1番目〜177番目までの連続した177のLEDについての結果を示している。また図の縦軸は仮光量補正データであり、本実施例では6ビット(値として0〜63)を用いている。
(2)上記仮光量補正データで各LEDを発光させ、前述したように、2次元CCDを用いて、露光強度分布を測定した。閾値として、177のLEDに対して所定の閾値をピーク強度の平均値(平均ピーク露光強度)の1/e2に設定し、特性値として露光面積を求めた。得られた露光面積を図12に示す。
ここで、連続した25のLED毎に近似直線の傾きを導出した結果を図13に示す。傾きは予め設定した範囲を超えており、傾きのPVも大きくなっている。したがって、130番目のLED近傍で濃度ムラが発生してしまうのである。例えば、予め設定された傾きの値が±0.3以内だったとする。すると、この(2)の露光面積データに対して、有効領域全体(ここでは1〜177のLED)にわたって、傾きが−0.3〜0.3の範囲内を変化するように抑えようと、数値計算によって発光量を導出すると、その数値計算のアルゴリズムによっては、大きな発光量の変化が必要となる計算結果が出てくる場合がある。したがって、光量調整によって傾きを設定された範囲内に収めても、濃度ムラが発生してしまうのである。
そこで、濃度ムラが発生しないような露光面積に対する補正目標値を設定する。
(3)上記露光面積に対し、連続した21のLED毎に移動平均を導出した。すなわち複数の発光素子として連続した21のLED、比較結果として移動平均としたのである。そして、得られた比較結果を補正目標値として設定し、図14に示す。本実施例では、比較結果として移動平均を用いたが、これは補正目標値と、補正したい特性値(露光面積)が同じ単位系であるため、以下手順(4)の導出が容易となるためであり、補正目標値として移動平均を用いることが良い。
もちろん近似直線の傾きを用いて補正目標値を設定することもできるが、近似直線の傾きを目標値とした場合には、手順(4)で露光面積を介して、光量補正データと近似直線の傾きとの間で、繰り返しの数値計算等が必要になってくるため、若干の手間がかかることになる。これは、特性値(露光面積)と補正目標値(傾き)のディメンジョンが異なるためである。
(4)上記(2)の各LEDに対する露光面積を、上記(3)で得られた補正目標値となるように、光量補正データを導出するのである。具体的な導出方法の1例を示す。2水準の光量補正データで各LEDを点灯し、露光面積を測定するのである。ある発光量変化の範囲内においては、光量補正データに対して、露光面積に相関があることは前もって確認しており、実際には直線的に変化することは把握してある。したがって、各LED毎に、2水準の光量補正データと、その露光面積測定値を用いて、直線補間をし、整数値化することによって、上記(3)で補正目標値として設定された所望の露光面積となるように、光量補正データを導出することができる。得られた光量補正データを図15に示す。
ここで、上記光量補正データを用いて、連続した25のLED毎に近似直線の傾きを導出した。その結果を図16に示す。傾きのPV値は図13の時点よりも小さくなっており、予め設定した範囲内(±0.3以内)に収まった。すなわち濃度ムラは発生しないのである。
ここで、1200dpiで連続した25のLEDの距離は、
L=24 × 0.0212 = 0.509mm
である。それに対して、ロッドレンズアレイの配列ピッチはP=0.56mmであり、L/P=0.91である。
光スポット形状のばらつきは光学素子アレイ(ここではロッドレンズアレイ)に起因するところが非常に大きい。例えば、1つのロッドレンズの光軸が倒れていたり、屈折率分布に変化があったりする場合には、ロッドレンズアレイの直径に相当する範囲にわたって、光スポット形状に影響を及ぼすためである。したがって、複数の発光素子に対する比較結果を見る上では、光学素子アレイの配列ピッチに相当する距離分の変動を評価すると、ロッドレンズアレイに起因する光スポット形状のばらつきを把握し易い。したがって、複数の発光素子の距離をL、光学素子アレイの配列ピッチをPとしたときに、
0.75L≦P≦1.25L
を満足するように、Lを設定することが望ましい。
なお、予め設定した範囲をいくつに設定するかについては、使用する画像形成装置の特性に依存するところがある。しがたって、使用する画像形成装置に対して、実験的に確認しておく必要がある。また、複数の発光素子に対する比較結果においても、どのくらいの発光素子数が良いかについては、実験的に確認しておく必要がある。
(5)上記(4)で導出した光量補正データを用いて各LEDを発光させたときの露光量を算出し、その露光量ばらつきを求めることができる。露光量のばらつきとして、例えば平均値で規格化したときのばらつき(%)で表現することができる。ここでは、ばらつきを(最大−最小)/2と定義する。露光量の導出については言うまでもないが、上記(1)で得た光量補正データと露光量との関係を用いれば容易に導くことができる。得られた露光量の結果を図17に示す。図17より、露光量のばらつきとして、±4.7%である。
そしてその結果が、有効画像領域全体にわたって、画像形成装置に応じて予め設定した範囲を超えていないか判断することにより、上記(1)〜(4)で導出してきた光量補正データで良好な画像が得られるのかが判定できることになる。
上記のような手順によって発光量が調整された光書き込みユニットを用いることによって良好な(濃度ムラのない)画像を得ることができるのである。
本手順を用いることにより、光書き込みユニットの合否判定を行う検査に用いることもできるし、手順(5)によって判定結果がNGとなった場合については、(3)の補正目標値を少し変えることによって、(3)以降の手順について再調整をかけることも可能である。例えば、NGが出た時の露光量ばらつきを発生させた発光素子近傍について付加条件を盛り込んだり、許容範囲の中で発光素子の数を変更したりすることが可能である。
また、別の光量調整手順を説明する。
(1)光学系透過後の像担持体上の光スポットの露光量は略同一となるように、各LEDの発光条件を導出する。そのときの発光条件を仮光量補正データとする。導出方法としては、例えば、前述したように、2水準の光量補正データで各LEDを点灯し、露光量を測定し、それを直線補間し、整数値化することによって、所定の露光量に対する仮光量補正データを導出することができる。得られた仮光量補正データを図11に示す。図の横軸はLEDの番号であり、1番目〜177番目までの連続した177のLEDについての結果を示している。また図の縦軸は仮光量補正データであり、本実施例では6ビット(値として0〜63)を用いている。
(2)上記仮光量補正データで各LEDを発光させ、前述したように、2次元CCDを用いて、露光強度分布を測定した。閾値として、177のLEDに対して所定の閾値をピーク強度の平均値(平均ピーク露光強度)の1/e2に設定し、特性値として露光面積を求めた。得られた露光面積を図12に示す。
ここで、連続した25のLED毎に近似直線の傾きを導出した結果を図13に示す。傾きは予め設定した範囲を超えており、傾きのPVも大きくなっている。したがって、130番目のLED近傍で濃度ムラが発生してしまうのである。例えば、予め設定された傾きの値が±0.3以内だったとする。すると、この(2)の露光面積データに対して、有効領域全体(ここでは1〜177のLED)にわたって、傾きが−0.3〜0.3の範囲内を変化するように抑えようと、数値計算によって発光量を導出すると、その数値計算のアルゴリズムによっては、大きな発光量の変化が必要となる計算結果が出てくる場合がある。したがって、光量調整によって傾きを設定された範囲内に収めても、濃度ムラが発生してしまうのである。
そこで、濃度ムラが発生しないような露光面積に対する補正目標値を設定する。
(3)上記露光面積に対し、連続した21のLED毎に移動平均を導出した。すなわち複数の発光素子として連続した21のLED、比較結果として移動平均としたのである。そして、得られた比較結果を補正目標値として設定し、図14に示す。本実施例では、比較結果として移動平均を用いたが、これは補正目標値と、補正したい特性値(露光面積)が同じ単位系であるため、以下手順(4)の導出が容易となるためであり、補正目標値として移動平均を用いることが良い。
もちろん近似直線の傾きを用いて補正目標値を設定することもできるが、近似直線の傾きを目標値とした場合には、手順(4)で露光面積を介して、光量補正データと近似直線の傾きとの間で、繰り返しの数値計算等が必要になってくるため、若干の手間がかかることになる。これは、特性値(露光面積)と補正目標値(傾き)のディメンジョンが異なるためである。
(4)上記(2)の各LEDに対する露光面積を、上記(3)で得られた補正目標値となるように、光量補正データを導出するのである。具体的な導出方法の1例を示す。2水準の光量補正データで各LEDを点灯し、露光面積を測定するのである。ある発光量変化の範囲内においては、光量補正データに対して、露光面積に相関があることは前もって確認しており、実際には直線的に変化することは把握してある。したがって、各LED毎に、2水準の光量補正データと、その露光面積測定値を用いて、直線補間をし、整数値化することによって、上記(3)で補正目標値として設定された所望の露光面積となるように、光量補正データを導出することができる。得られた光量補正データを図15に示す。
ここで、上記光量補正データを用いて、連続した25のLED毎に近似直線の傾きを導出した。その結果を図16に示す。傾きのPV値は図13の時点よりも小さくなっており、予め設定した範囲内(±0.3以内)に収まった。すなわち濃度ムラは発生しないのである。
ここで、1200dpiで連続した25のLEDの距離は、
L=24 × 0.0212 = 0.509mm
である。それに対して、ロッドレンズアレイの配列ピッチはP=0.56mmであり、L/P=0.91である。
光スポット形状のばらつきは光学素子アレイ(ここではロッドレンズアレイ)に起因するところが非常に大きい。例えば、1つのロッドレンズの光軸が倒れていたり、屈折率分布に変化があったりする場合には、ロッドレンズアレイの直径に相当する範囲にわたって、光スポット形状に影響を及ぼすためである。したがって、複数の発光素子に対する比較結果を見る上では、光学素子アレイの配列ピッチに相当する距離分の変動を評価すると、ロッドレンズアレイに起因する光スポット形状のばらつきを把握し易い。したがって、複数の発光素子の距離をL、光学素子アレイの配列ピッチをPとしたときに、
0.75L≦P≦1.25L
を満足するように、Lを設定することが望ましい。
なお、予め設定した範囲をいくつに設定するかについては、使用する画像形成装置の特性に依存するところがある。しがたって、使用する画像形成装置に対して、実験的に確認しておく必要がある。また、複数の発光素子に対する比較結果においても、どのくらいの発光素子数が良いかについては、実験的に確認しておく必要がある。
(5)上記(4)で導出した光量補正データを用いて各LEDを発光させたときの露光量を算出し、複数の発光素子に対する露光量の比較結果を求めることができる。例えば連続した25の発光素子毎に、順次近似直線を取り、その近似直線の傾きを比較結果として表現することができる。
露光量の導出については言うまでもないが、上記(1)で得た光量補正データと露光量との関係を用いれば容易に導くことができる。得られた露光量の結果を図17に示す。図17から、近似直線の傾きを求めた結果を図18に示す。
そしてその結果が、有効画像領域全体にわたって、画像形成装置に応じて予め設定した範囲を超えていないか判断することにより、上記(1)〜(4)で導出してきた光量補正データで良好な画像が得られるのかが判定できることになる。
特に、局所的に露光量の急激な変化が発生する場合には、このように近似直線の傾きを求めることにより、その変化を抽出することが可能である。
また、近似直線を取る発光素子の数を変えれば、当然得られる比較結果は変化する。したがって非常に少ない発光素子数とすれば、1発光素子程度での急激な露光量変化を捉えることができるし、発光素子数を増やせば、ある幅での露光量変化を捉えることができる。
予め光書き込みユニットや画像形成装置等の特性に合わせて発光素子の数を選択しておくことが望ましい。また、幾つかの種類の発光素子数を用いて、各々における比較結果を求めて、判断することもできる。より判定精度は向上することができる。
上記のような手順によって発光量が調整された光書き込みユニットを用いることによって良好な(濃度ムラのない)画像を得ることができるのである。
本手順を用いることにより、光書き込みユニットの合否判定を行う検査に用いることもできるし、手順(5)によって判定結果がNGとなった場合については、(3)の補正目標値を少し変えることによって、(3)以降の手順について再調整をかけることも可能である。例えば、NGが出た時の露光量ばらつきを発生させた発光素子近傍について付加条件を盛り込んだり、許容範囲の中で発光素子の数を変更したりすることが可能である。
また、別の光量調整手順を説明する。
(1)光学系透過後の像担持体上の光スポットの露光面積は略同一となるように、各LEDの発光条件を導出する。そのときの発光条件を仮光量補正データとする。導出方法としては、例えば、前述したように、2水準の光量補正データで各LEDを点灯し、露光面積を測定し、直線補間し、整数値化することによって、所定の露光面積に対する仮光量補正データを導出することができる。
(2)上記仮光量補正データで各LEDを発光させ、露光量を測定した。ここで、連続した25のLED毎に近似直線の傾きを導出した結果を、予め設定された傾きの範囲内に抑えようと、数値計算によって発光量を導出すると、その数値計算アルゴリズムによっては大きな露光面積の変化が必要となる場合がある。
そこで、濃度ムラが発生しないような露光量に対する補正目標値を設定する。
(3)上記露光量に対し、連続した21のLED毎に移動平均を導出した。すなわち複数の発光素子として連続した21のLED、比較結果として移動平均としたのである。そして、得られた比較結果を補正目標値として設定した。もちろん近似直線の傾きなど他の比較結果を用いて補正目標値を設定しても良い。
(4)上記(2)の各LEDに対する露光量を、上記(3)で得られた補正目標値となるように、光量補正データを導出するのである。具体的な導出方法の1例として、前述しているように、各LED毎に、2水準の光量補正データと、その露光量測定値を用いて、直線補間をし、整数値化することによって、上記(3)で補正目標値として設定された所望の露光量となるように、光量補正データを導出することができる。ここで、上記光量補正データを用いて、連続した25のLED毎に近似直線の傾きを導出した結果は(2)で導出した結果より小さくなっており、予め設定した範囲内に収まっており、すなわち濃度ムラは発生しないのである。
なお、予め設定した範囲をいくつに設定するかについては、使用する画像形成装置の特性に依存するところがある。しがたって、使用する画像形成装置に対して、実験的に確認しておく必要がある。また、複数の発光素子に対する比較結果においても、どのくらいの発光素子数が良いかについては、実験的に確認しておく必要がある。
(5)上記(4)で導出した光量補正データを用いて各LEDを発光させたときの露光面積を算出し、複数の発光素子に対する露光面積の比較結果を求めることができる。例えば連続した25の発光素子毎に、順次近似直線を取り、その近似直線の傾きを比較結果として表現することができる。上記(1)で得た光量補正データと露光面積との関係を用いれば容易に導くことができ、その結果を用いて近似直線の傾きを求めることは容易である。
そしてその結果が、有効画像領域全体にわたって、画像形成装置に応じて予め設定した範囲を超えていないか判断することにより、上記(1)〜(4)で導出してきた光量補正データで良好な画像が得られるのかが判定できることになる。
上記のような手順によって発光量が調整された光書き込みユニットを用いることによって良好な(濃度ムラのない)画像を得ることができるのである。
また、別の光量調整手順を説明する。
(1)光学系透過後の像担持体上の光スポットの露光量は略同一となるように、各LEDの発光条件を導出する。そのときの発光条件を仮光量補正データ:An(添字nはLEDの番号を示す)とする。導出方法としては、例えば、前述したように、2水準の光量補正データで各LEDを点灯し、露光量を測定し、それを直線補間し、整数値化することによって、所定の露光量に対する仮光量補正データ:Anを導出することができる。得られた仮光量補正データ:Anを図11に示す。図の横軸はLEDの番号であり、1番目〜177番目までの連続した177のLEDについての結果を示している。また図の縦軸は仮光量補正データ:Anであり、本実施例では6ビット(値として0〜63)を用いている。
(2)上記仮光量補正データ:Anで各LEDを発光させ、前述したように、2次元CCDを用いて、露光強度分布を測定した。閾値として、177のLEDに対して所定の閾値をピーク強度の平均値(平均ピーク露光強度)の1/e2に設定し、特性値として露光面積を求めた。得られた露光面積を図12に示す。
本発明においては、露光強度分布において、所定の閾値で得られる特性値を測定している。一般的にビームプロファイルの測定において、その測定する閾値として、ピーク値に対する所定の比率(例えば1/e2や1/2)が用いられることが多い。この場合、ピーク値が異なると測定する閾値が異なってしまう。本発明のような光書き込みユニットにおいては、発光素子毎にピーク値は異なっているので、すなわち測定する閾値は発光素子毎に異なってしまう。
しかしながら、感光体のような、照射される光スポットの露光強度に対して潜像が形成されるような場合、その潜像が形成されるか否かの強度値(閾値)が重要である。また、露光強度分布における測定の閾値を、潜像が形成されるか否かの強度値と関連付けたい。
したがって、露光強度分布における測定の閾値は、発光素子毎に異なるのではなく、すべて等しい閾値であることが望ましく、本発明で述べているように、露光強度分布における所定の閾値で特性値を測定しているのである。
図12に示す結果から、連続した25のLED毎に近似直線の傾きを導出した結果を図13に示す。傾きは予め設定した範囲を超えており、傾きのPVも大きくなっている。したがって、130番目のLED近傍で濃度ムラが発生してしまうのである。例えば、予め設定された傾きの値が±0.3以内だったとする。すると、この(2)の露光面積データに対して、有効領域全体(ここでは1〜177のLED)にわたって、傾きが−0.3〜0.3の範囲内を変化するように抑えようと、数値計算によって発光量を導出すると、その数値計算のアルゴリズムによっては、大きな発光量の変化が必要となる計算結果が出てくる場合がある。したがって、光量調整によって傾きを設定された範囲内に収めても、濃度ムラが発生してしまうのである。
そこで、濃度ムラが発生しないような露光面積に対する補正目標値を設定する。
(3)上記露光面積に対し、連続した21のLED毎に移動平均を導出した。すなわち複数の発光素子として連続した21のLED、比較結果として移動平均としたのである。そして、得られた比較結果を補正目標値として設定し、図14に示す。本実施例では、比較結果として移動平均を用いたが、これは補正目標値と、補正したい特性値(露光面積)が同じ単位系であるため、以下手順(4)の導出が容易となるためであり、補正目標値として移動平均を用いることが良い。
もちろん近似直線の傾きを用いて補正目標値を設定することもできるが、近似直線の傾きを目標値とした場合には、手順(4)で露光面積を介して、光量補正データと近似直線の傾きとの間で、繰り返しの数値計算等が必要になってくるため、若干の手間がかかることになる。これは、特性値(露光面積)と補正目標値(傾き)のディメンジョンが異なるためである。
(4)上記(2)の各LEDに対する露光面積を、上記(3)で得られた補正目標値となるように、目標光量補正データ:Bnを導出するのである。具体的な導出方法の1例を示す。2水準の光量補正データで各LEDを点灯し、露光面積を測定するのである。ある発光量変化の範囲内においては、光量補正データに対して、露光面積に相関があることは前もって確認しており、実際には直線的に変化することは把握してある。したがって、各LED毎に、2水準の光量補正データと、その露光面積測定値を用いて、直線補間をし、整数値化することによって、上記(3)で補正目標値として設定された所望の露光面積となるように、目標光量補正データ:Bnを導出することができる。得られた光量補正データを図15に示す。
(5)上記(1)及び(4)で導出した、露光量が同一となるような仮光量補正データ:Anと、補正目標値(連続した21のLED毎に移動平均を取った露光面積として設定)となるような目標光量補正データ:Bnをもとに、最終的な光量補正データ:Cnを導出する。その際、下記の式のように定数aを導入して、仮光量補正データ:Anと目標光量補正データ:Bnの線形結合で表すことができる。
Cn=(1−a)An+aBn (a:定数)
例えば、a=0であれば、Cn=Anとなり、露光量一定となる光量補正データを作ることができる(例えば光学系のばらつきがない場合には、濃度ムラ発生要因としては発光素子が挙げられ、発光量を一定とすることで露光強度分布のばらつきは軽減できる)。また、a=1であれば、Cn=Bnとなり、複数の発光素子に対して移動平均を取った露光面積が得られる光量補正データを作ることができる(特に光学系のばらつきが大きく、露光面積が大きく変動するときには、移動平均を取ることで近傍の結像素子に対する露光面積の急激な変化を生じさせないようにして、濃度ムラを軽減できる)。0<a<1であれば、露光量と光像面積のバランスを取った光量補正データを作ることができ、濃度ムラを軽減できる光量調整が可能となる。
例として、発光素子1〜31番までについて、図19にAn、Bn、及びCn(a=0.5)としたときの光量補正データを示す。
定数aの設定方法については、例えば実際にaを変化させながらLEDを発光させて、画像形成装置での印字状態を評価することによって、適切なaを設定することができる。この時に、様々な印字パターンであったり、画像形成装置の画像形成条件であったり、いくつかの条件を振って、それも考慮した上で適切なaを設定することが可能である。
一方で、そのaを変化させた評価を通して、画像形成装置に対する、濃度ムラが低減できるような露光特性の条件を導くことが可能である。これは以下で説明する、画像形成装置に対する予め設定した範囲となって、光書き込みユニットの合否判定に使用することができる。
すなわち、上述したように、画像形成装置に対して、1ないしは、複数の光書き込みユニットを用いて、実際に画像形成装置での印字を行うことによって、露光特性に対する予め設定した範囲を求めておけば、光書き込みユニット毎に印字評価を行うまでもなく、aを変化させて露光特性を導き、その予め設定した範囲に収まっているかを判断することにより、光書き込みユニットの光量調整を行うことができるのである。
さらに説明する。(5)のようにして導出した光量補正データ:Cnを用いて発光したときの、各発光素子の露光強度分布における所定の閾値での特性値(ここでは露光面積)は、(4)の測定結果から演算によって推測することもできるし、改めて測定することによって、求めることができる。したがって、定数aを決めれば、複数の発光素子に対する、所定の閾値での特性値(ここでは露光面積)の比較結果(ここでは近似直線の傾き)が、濃度ムラを軽減するために予め設定してある範囲に収まっているか、判断することができる。それによって、画像形成装置によって印字せずに、判断することも可能である。
また、光量補正データ:Cnを用いて発光したときの、露光量は(1)の測定結果から推測することもできるし、改めて測定することによって、求めることができる。したがって、定数aを決めれば、複数の発光素子に対する、露光量の比較結果が、濃度ムラを軽減するために予め設定してある範囲に収まっているか、判断することができる。それによって、画像形成装置によって印字しなくても、概略判断することも可能である。また、上記両方の判断を行えば、さらに望ましい。
ここで、上記光量補正データ:Cn(a=1)を用いて、連続した25のLED毎に近似直線の傾きを導出した。その結果を図16に示す。傾きのPV値は図13の時点よりも小さくなっており、予め設定した範囲内に収まっているかを判断することにより、光量補正データ:Cnで良好な画像が得られるのかが判定できることになる。
また、上記(1)で得た光量補正データと露光量との関係を用いて、露光量を算出した結果を図17に示す。図17から、連続した25のLED毎に近似直線の傾きを求めた結果を図18に示す。そしてその結果が、予め設定した範囲を超えていないか判断することにより、光量補正データ:Cnで良好な画像が得られるのかが判定できることになる。
なお、本実施例においては、いずれも予め設定した範囲に収まっていることにより、濃度ムラの軽減された良好な画像が得られている。
ここで、1200dpiで連続した25のLEDの距離は、
L=24 × 0.0212 = 0.509mm
である。それに対して、ロッドレンズアレイの配列ピッチはP=0.56mmであり、L/P=0.91である。
光スポット形状のばらつきは光学素子アレイ(ここではロッドレンズアレイ)に起因するところが非常に大きい。例えば、1つのロッドレンズの光軸が倒れていたり、屈折率分布に変化があったりする場合には、ロッドレンズアレイの直径に相当する範囲にわたって、光スポット形状に影響を及ぼすためである。したがって、複数の発光素子に対する比較結果を見る上では、光学素子アレイの配列ピッチに相当する距離分の変動を評価すると、ロッドレンズアレイに起因する光スポット形状のばらつきを把握し易い。したがって、複数の発光素子の距離をL、光学素子アレイの配列ピッチをPとしたときに、
0.75L≦P≦1.25L
を満足するように、Lを設定することが望ましい。
画像上の濃度ムラは、ロッドレンズアレイの配列ピッチで現れやすく、また人間の眼の感度の高い周波数(1mmピッチ程度)で認識しやすい。よって、評価する距離Lは、0.5〜1.5mm程度とすることが望ましい。
特に、局所的に露光量の急激な変化が発生する場合には、このように近似直線の傾きを求めることにより、その変化を抽出することが可能である。また、近似直線を取る発光素子の数を変えれば、当然得られる比較結果は変化する。したがって非常に少ない発光素子数とすれば、1発光素子程度での急激な露光量変化を捉えることができるし、発光素子数を増やせば、ある幅での露光量変化を捉えることができる。
予め光書き込みユニットや画像形成装置等の特性に合わせて発光素子の数を選択しておくことが望ましい。また、幾つかの種類の発光素子数を用いて、各々における比較結果を求めて、判断することもできる。より判定精度は向上することができる。
上記のような手順によって発光量が調整された光書き込みユニットを用いることによって良好な(濃度ムラのない)画像を得ることができるのである。
上記定数aは、画像形成条件に応じて設定することもできる。ここで画像形成条件について説明する。
画像形成装置では、種々の条件(使用するデバイス、環境など)において、画像形成条件が異なっている。したがって、画像形成条件に見合った最適な(濃度ムラが認識できないような)露光を行うことが必要である。
例えば、画像形成装置においては、電源投入時や出力枚数条件等において、プロセス調整が行われている。プロセス調整では入力である露光条件に対して、出力である感光体や転写ベルト上のトナー付着量などを測定することによって、現像特性を把握し、帯電、露光、現像、転写などの各プロセスの条件を調整しているのである。したがって、このプロセス条件に見合った適切な露光を行うために、定数aを設定し、光書き込みユニットからの露光強度分布を調整することができる。
また、特に使用する感光体の種類に対して露光条件が大きく異なるのも、画像形成条件の差異の1つである。感光体の感度特性と露光強度分布は密接に関係しているためである。
画像形成条件が異なる場合の、定数aの設定について説明する。例えば、画像形成条件をいくつかのグループに分ける(A、B、C)。そして、そのグループの画像形成条件毎に、画像上の濃度ムラが軽減されるように、定数aを設定するのである。そしてそれは光書き込みユニット内、または画像形成装置内のROM等に格納しておき、画像形成条件を判断することによって、その条件に応じた定数aを読み出し、適切な状態で発光素子を駆動し、露光することができるのである。
画像形成条件としては、使用するデバイス(感光体や帯電機等)だけでなく、環境条件も含まれる。特に、温度、湿度条件によって、現像、転写、定着の画像形成条件は異なってくる。したがって、環境条件を例にあげてみても、いくつかのグループ、例えば高温高湿条件、常温常湿条件、低温低湿条件に分け、それぞれの環境条件に応じて、画像上の濃度ムラが軽減されるように、定数aを設定するのである。
また、画像形成条件が異なっても、同一の定数aが使用できる場合には、もちろんグループ分けする必要はなく、同一の定数を設定すればよい。
また、上記定数aは、印字パターンに応じて設定することも可能である。例えば、文字画像(2値画像)と写真画像(階調画像)に応じて、定数aを使い分けることも可能である。
次に、デフォーカス位置を変えて、露光強度分布を測定する例について説明する。(2)で行う露光強度分布の測定は、基本的には、光スポットが集光する、光書き込みユニットに対して決められた所定の結像位置において行う。(もちろん、発光素子や光学系のばらつきや、発光素子と光学系の組み付け調整誤差等により、各発光素子に対する光スポットの結像位置は、有効画像領域の全発光素子に対して同一とは限らない。しかし、光書き込みユニットとしての結像位置は、有効画像領域全体に渡って良好となる所定の結像位置が決定され、その結像位置が画像形成装置内の像担持体位置として設定される。)
測定系の概略図を図20に示す。既知の一般的な測定系である。光書き込みユニットからの光スポットは結像位置に形成され、そのスポット像を対物レンズによって拡大し、所望の光学系を介して2次元CCDで受光し、画像処理を行うことにより、露光強度分布を得ることができる測定装置である。測定装置としては、これだけに限らず、既知の測定系を用いることができる。
またデフォーカス測定を行う際には、光書き込みユニットを、結像位置に対して、光軸方向に移動することによって測定することができる。
画像形成装置への光書き込みユニットの取り付けにおいては、取り付け誤差なるものが生じ、光書き込みユニットの結像位置と、像担持体位置が若干ずれることになる。その取り付け誤差としては、一般に±0.1mm以下である。
実際に画像形成装置へ取り付いたときの誤差が小さいとき(例えば、±0.025mm以下)にはその影響は問題にならないが、誤差が大きいときには、画像形成条件によっては、濃度ムラ等へ影響が発生する場合がある。したがって、この取り付け誤差までを見込んだ光量調整方法を提案する。
本実施例においては、(2)の代わりに(2’)として、発光素子の露光強度分布における所定の閾値における特性値を、複数のデフォーカス位置m(添字mはデフォーカス位置に対する番号)において測定する。測定手段については(2)の測定手段と同じである。デフォーカス位置測定においては、例えば、デフォーカス位置として、−0.05mm(m=−1)、0mm(m=0)、+0.05mm(m=+1)の3点としたときに、ある発光素子に対して、デフォーカス位置m=−1、デフォーカス位置m=0、デフォーカス位置m=+1の順に測定し、次に発光素子をシフトして、同じようにデフォーカス位置m=−1、デフォーカス位置m=0、デフォーカス位置m=+1の順に測定することもできる。別の方法としては、デフォーカス位置m=−1において、発光素子をシフトしながら測定し、次にデフォーカス位置m=0において、同じように発光素子をシフトしながら測定していくこともできる。
次に、(3)の代わりに(3’)として、各デフォーカス位置に対応して(3)と同じように補正目標値を設定する。
次に、(4)の代わりに(4’)として、各デフォーカス位置に対応して(4)と同じように発光条件(目標光量補正データ:Bnm)を導出する。そして、この目標光量補正データ:Bnmを、その和が1となるようなパラメータdm(Σdm=1)で
、重み付け加算を行い、合成した発光条件(目標光量補正データ:Bn)を導出する。その結果Bnは以下の式で表される。
Bn=ΣdmBnm
上述の3点のデフォーカス位置を例にとれば、その重みを均等に割り当てて、
dm=1/3 (m=−1、0、+1)
とすることもできるし、デフォーカス位置 0mm(m=0)に重みを増して、デフォーカス位置 ±0.05mm(m=±1)の重みを減らすように、重みを割り当てて、
d0=0.5、d±1=0.25
とすることもできる。画像形成条件や、光書き込みユニットの取り付け精度等に応じて、デフォーカス点数や重みを設定することができる。このようにしてBnmを導出した後は、前記する実施例と同じである。
また、別の光量調整手順を説明する。
(1)光学系透過後の像担持体上の光スポットについて、露光強度分布における所定の閾値における特性値が同一となるように、各LEDの発光条件を導出する。ここでは、177のLEDに対するピーク強度の平均値(平均ピーク露光強度)の1/e2を閾値として設定し、その閾値における露光面積を特性値とした。このときの発光条件を仮光量補正データ:A’n(添字nはLEDの番号を示す)とする。導出方法としては、例えば、前述したように、2水準の光量補正データで各LEDを点灯し、前記閾値(平均ピーク露光強度の1/e2)での露光面積を測定し、それを直線補間し、得られた光量補正データを整数値化することによって、所定の露光面積に対する仮光量補正データ:A’nを導出することができる。得られた仮光量補正データ:A’nを図21に示す。図の横軸はLEDの番号であり、1番目〜177番目までの連続した177のLEDについての結果を示している。また図の縦軸は仮光量補正データ:A’nであり、本実施例では6ビット(値として0〜63)を用いている。
本発明においては、露光強度分布において、所定の閾値で得られる特性値を測定している。一般的にビームプロファイルの測定において、その測定する閾値として、ピーク値に対する所定の比率(例えば1/e2や1/2)が用いられることが多い。この場合、ピーク値が異なると測定する閾値が異なってしまう。本発明のような光書き込みユニットにおいては、発光素子毎にピーク値は異なっているので、すなわち測定する閾値は発光素子毎に異なってしまう。
しかしながら、感光体のような、照射される光スポットの露光強度に対して潜像が形成されるような場合、その潜像が形成されるか否かの強度値(閾値)が重要である。また、露光強度分布における測定の閾値を、潜像が形成されるか否かの強度値と関連付けたい。
したがって、露光強度分布における測定の閾値は、発光素子毎に異なるのではなく、すべて等しい閾値であることが望ましく、本発明で述べているように、露光強度分布における所定の閾値で特性値を測定しているのである。
(2)上記仮光量補正データ:A’nで各LEDを発光させ、前述したように、露光量を測定した。得られた露光量を図22に示す。
図22に示す結果から、連続した25のLED毎に近似曲線の傾きを導出した結果を図23に示す。傾きは予め設定した範囲を超えており、傾きのPVも大きくなっている。したがって、130番目のLED近傍で濃度ムラが発生してしまうのである。例えば、予め設定された傾きの値が±0.4以内だったとする。すると、この(2)の露光量データに対して、有効領域全体(ここでは1〜177のLED)にわたって、傾きが−0.4〜0.4の範囲内を変化するように抑えようと、数値計算によって露光面積を導出すると、その数値計算のアルゴリズムによっては、大きな露光面積の変化が必要となる計算結果が出てくる場合がある。したがって、光量調整によって傾きを設定された範囲内に収めても、濃度ムラが発生してしまうのである。
そこで、濃度ムラが発生しないような露光面積に対する補正目標値を設定する。
(3)上記露光量に対し、連続した21のLED毎に移動平均を導出した。すなわち複数の発光素子として連続した21のLED、比較結果として移動平均としたのである。そして、得られた比較結果を補正目標値として設定し、図24に示す。本実施例では、比較結果として移動平均を用いたが、これは補正目標値と、補正したい特性値(露光量)が同じ単位系であるため、以下手順(4)の導出が容易となるためであり、補正目標値として移動平均を用いることが良い。
もちろん近似直線の傾きを用いて補正目標値を設定することもできるが、近似直線の傾きを目標値とした場合には、手順(4)で露光量を介して、光量補正データと近似直線の傾きとの間で、繰り返しの数値計算等が必要になってくるため、若干の手間がかかることになる。これは、特性値(露光量)と補正目標値(傾き)のディメンジョンが異なるためである。
(4)上記(2)の各LEDに対する露光量を、上記(3)で得られた補正目標値となるように、目標光量補正データ:B’nを導出するのである。具体的な導出方法の1例を示す。2水準の光量補正データで各LEDを点灯し、露光量を測定するのである。ある発光量変化の範囲内においては、光量補正データに対して、露光量に相関があることは前もって確認しており、実際には直線的に変化することは把握してある。したがって、各LED毎に、2水準の光量補正データと、その露光量測定値を用いて、直線補間をし、整数値化することによって、上記(3)で補正目標値として設定された所望の露光量となるように、目標光量補正データ:B’nを導出することができる。得られた光量補正データを図25に示す。
(5)上記(1)及び(4)で導出した露光面積が同一となるような仮光量補正データ:A’nと、補正目標値(連続した21のLED毎に移動平均を取った露光量として設定)となるような目標光量補正データ:B’nをもとに、最終的な光量補正データ:C’nを導出する。その際、下記の式のように定数bを導入して、仮光量補正データ:A’nと目標光量補正データ:B’nの線形結合で表すことができる。
C’n=(1−b)A’n+bB’n (b:定数)
例えば、b=0であれば、C’n=A’nとなり、露光面積一定となる光量補正データを作ることができる(特に発光素子のばらつきが小さく、露光量が大きく変動しないときには、露光面積を一定とすることで、露光強度分布のばらつきは低減できる)。また、b=1であれば、C’n=B’nとなり、複数の発光素子に対して移動平均を取った露光量が得られる光量補正データを作ることができる(特に発光素子のばらつきが大きく、露光量が大きく変動するときには、移動平均をとることで近傍の発光素子に対する露光量の急激な変化を生じさせないようにして、濃度ムラを軽減できる)。0<b<1であれば、露光量と光像面積のバランスを取った光量補正データを作ることができ、濃度ムラを軽減できる光量調整が可能となる。
例として、発光素子1〜31番までについて、図26にA'n、B'n、及びC'n(b=0.5)としたときの光量補正データを示す。
定数bの設定方法については、例えば実際にbを変化させながらLEDを発光させて、画像形成装置での印字状態を評価することによって、適切なbを設定することができる。この時に、様々な印字パターンであったり、画像形成装置の画像形成条件であったり、いくつかの条件を振って、それも考慮した上で適切なbを設定することが可能である。
一方で、そのbを変化させた評価を通して、画像形成装置に対する、濃度ムラが低減できるような露光特性の条件を導くことが可能である。これは以下で説明する、画像形成装置に対する予め設定した範囲となって、光書き込みユニットの合否判定に使用することができる。
すなわち、上述したように、画像形成装置に対して、1ないしは、複数の光書き込みユニットを用いて、実際に画像形成装置での印字を行うことによって、露光特性に対する予め設定した範囲を求めておけば、光書き込みユニット毎に印字評価を行うまでもなく、bを変化させて露光特性を導き、その予め設定した範囲に収まっているかを判断することにより、光書き込みユニットの光量調整を行うことができるのである。
さらに説明する。(5)のようにして導出した光量補正データ:C’nを用いて発光したときの、各発光素子の露光強度分布における所定の閾値での特性値(ここでは露光面積)は、(1)の測定結果から演算によって推測することもできるし、改めて測定することによって、求めることができる。したがって、定数bを決めれば、複数の発光素子に対する、所定の閾値での特性値(ここでは露光面積)の比較結果(ここでは近似直線の傾き)が、濃度ムラを軽減するために予め設定してある範囲に収まっているか、判断することができる。それによって、画像形成装置によって印字せずに、判断することも可能である。
また、光量補正データ:C’nを用いて発光したときの、露光量は(4)の測定結果から推測することもできるし、改めて測定することによって、求めることができる。したがって、定数bを決めれば、複数の発光素子に対する、露光量の比較結果が、濃度ムラを軽減するために予め設定してある範囲に収まっているか、判断することができる。それによって、画像形成装置によって印字しなくても、概略判断することも可能である。また、上記両方の判断を行えば、さらに望ましい。
ここで、上記光量補正データ:C’n(b=1)を用いて、連続した25のLED毎に近似直線の傾きを導出した。その結果を図27に示す。傾きのPV値は図23の時点よりも小さくなっており、予め設定した範囲内に収まっているかを判断することにより、光量補正データ:C’nで良好な画像が得られるのかが判定できることになる。
また、上記(1)で得た光量補正データと露光面積との関係を用いて、露光面積を算出した結果を図28に示す。図28から、連続した25のLED毎に近似直線の傾きを求めた結果を図29に示す。そしてその結果が、予め設定した範囲を超えていないか判断することにより、光量補正データ:C’nで良好な画像が得られるのかが判定できることになる。
なお、本実施例においては、いずれも予め設定した範囲に収まっていることにより、濃度ムラの軽減された良好な画像が得られている。
ここで、1200dpiで連続した25のLEDの距離は、
L=24 × 0.0212 = 0.509mm
である。それに対して、ロッドレンズアレイの配列ピッチはP=0.56mmであり、L/P=0.91である。
光スポット形状のばらつきは光学素子アレイ(ここではロッドレンズアレイ)に起因するところが非常に大きい。例えば、1つのロッドレンズの光軸が倒れていたり、屈折率分布に変化があったりする場合には、ロッドレンズアレイの直径に相当する範囲にわたって、光スポット形状に影響を及ぼすためである。したがって、複数の発光素子に対する比較結果を見る上では、光学素子アレイの配列ピッチに相当する距離分の変動を評価すると、ロッドレンズアレイに起因する光スポット形状のばらつきを把握し易い。したがって、複数の発光素子の距離をL、光学素子アレイの配列ピッチをPとしたときに、
0.75L≦P≦1.25L
を満足するように、Lを設定することが望ましい。
画像上の濃度ムラは、ロッドレンズアレイの配列ピッチで現れやすく、また人間の眼の感度の高い周波数(1mmピッチ程度)で認識しやすい。よって、評価する距離Lは、0.5〜1.5mm程度とすることが望ましい。
特に、局所的に露光量の急激な変化が発生する場合には、このように近似直線の傾きを求めることにより、その変化を抽出することが可能である。また、近似直線を取る発光素子の数を変えれば、当然得られる比較結果は変化する。したがって非常に少ない発光素子数とすれば、1発光素子程度での急激な露光量変化を捉えることができるし、発光素子数を増やせば、ある幅での露光量変化を捉えることができる。
予め光書き込みユニットや画像形成装置等の特性に合わせて発光素子の数を選択しておくことが望ましい。また、幾つかの種類の発光素子数を用いて、各々における比較結果を求めて、判断することもできる。より判定精度は向上することができる。
上記のような手順によって発光量が調整された光書き込みユニットを用いることによって良好な(濃度ムラのない)画像を得ることができるのである。
上記定数bは、画像形成条件に応じて設定することもできる。ここで画像形成条件について説明する。
画像形成装置では、種々の条件(使用するデバイス、環境など)において、画像形成条件が異なっている。したがって、画像形成条件に見合った最適な(濃度ムラが認識できないような)露光を行うことが必要である。
例えば、画像形成装置においては、電源投入時や出力枚数条件等において、プロセス調整が行われている。プロセス調整では入力である露光条件に対して、出力である感光体や転写ベルト上のトナー付着量などを測定することによって、現像特性を把握し、帯電、露光、現像、転写などの各プロセスの条件を調整しているのである。したがって、このプロセス条件に見合った適切な露光を行うために、定数aを設定し、光書き込みユニットからの露光強度分布を調整することができる。
また、特に使用する感光体の種類に対して露光条件が大きく異なるのも、画像形成条件の差異の1つである。感光体の感度特性と露光強度分布は密接に関係しているためである。
画像形成条件が異なる場合の、定数bの設定について説明する。例えば、画像形成条件をいくつかのグループに分ける(A、B、C)。そして、そのグループの画像形成条件毎に、画像上の濃度ムラが軽減されるように、定数aを設定するのである。そしてそれは光書き込みユニット内、または画像形成装置内のROM等に格納しておき、画像形成条件を判断することによって、その条件に応じた定数bを読み出し、適切な状態で発光素子を駆動し、露光することができるのである。
画像形成条件としては、使用するデバイス(感光体や帯電機等)だけでなく、環境条件も含まれる。特に、温度、湿度条件によって、現像、転写、定着の画像形成条件は異なってくる。したがって、環境条件を例にあげてみても、いくつかのグループ、例えば高温高湿条件、常温常湿条件、低温低湿条件に分け、それぞれの環境条件に応じて、画像上の濃度ムラが軽減されるように、定数aを設定するのである。
また、画像形成条件が異なっても、同一の定数bが使用できる場合には、もちろんグループ分けする必要はなく、同一の定数を設定すればよい。
また、上記定数bは、印字パターンに応じて設定することも可能である。例えば、文字画像(2値画像)と写真画像(階調画像)に応じて、定数bを使い分けることも可能である。
本願における複数の発光素子に対する、前記発光素子の露光強度分布における所定の閾値における特性値の比較結果と、露光量の比較結果は、同一の指標(近似直線の傾きや移動平均など)としても良いし、異ならせることもできる。また、発光素子の露光強度分布における所定の閾値における特性値の比較結果と、露光量の比較結果を求める上で必要な複数の発光素子の数は、同一数としても良いし、異ならせることもできる。
これらは、予め光書き込みユニットや画像形成装置等の特性に合わせて、比較結果として用いる指標や、発光素子の数を選択しておくことができる。すなわち、良好な(濃度ムラのない)画像を得るために必要な条件を実験的に導出しておくのである。
本実施例は、図1に示すように、無機LEDアレイからなる発光素子アレイと、ロッドレンズアレイからなる光学系とから構成される光書き込みユニットであったが、本発明は本実施例の発光素子アレイや光学系に限定されるものではないことは言うまでもない。
発光素子アレイとしては、LEDアレイの他に、液晶シャッタアレイや、有機ELアレイ(有機LEDアレイとも言う)等の自発光素子アレイを用いることができる。特に有機ELアレイでは、図2に示すような無機LEDアレイのようにLEDアレイチップを並べるような構造は取らず、有効画像領域全体にわたって有機EL素子を一体アレイ化して製作できるという利点がある。したがって、光スポットのばらつきのうち、特に位置のばらつきに関しては全く問題とならない。(それに対して、LEDアレイチップでは、チップの実装誤差により、光スポットの位置ばらつきが発生し、縦筋が発生するという問題を持っている。)
また、発光素子が1列に直線状に配列されているようなLEDアレイもあれば(図30(a))、LEDアレイチップ単位で千鳥状に配列されているLEDアレイもある(図30(b))。また感光体の回転速度に合わせて、発光素子が傾いて実装されている場合もある(図30(c))。
さらに、有機ELアレイ等では、複数列に配置することが比較的容易な発光素子アレイもあり、発光素子アレイにおける発光素子の並び方にも様々な形態がある。
光学系としては、発光素子1つに対応して、光学素子1つを対応させるようなタイプや、いくつかの発光素子に対応して、1つの光学系を対応させるようなタイプや、ロッドレンズアレイのように、配列方向に正立系をなし、1つの発光素子から放出された光束が複数の光学素子を介するようなタイプがある。以下、簡単な模式図で示す。
図31に示すように、発光素子1つに対応して、光学素子1つを対応させるようなタイプとして、発光素子アレイと等しいピッチで配列するマイクロレンズアレイ(図31(a))や、結像作用はないが、光束を導光していく導光路のようなタイプがある(図31(b))。
図32に示すように、いくつかの発光素子に対応して、1つの光学系を対応させるようなタイプとして、配列方向に倒立系をなし、複数枚のレンズから構成されるようなタイプがある。ここでは、LEDアレイチップ単位毎に、3枚玉の倒立光学系を用いている。
さらに、図33に示すように、1つの発光素子から放出された光束が複数の光学素子を介するタイプとしては、ロッドレンズアレイの他に、ルーフプリズムレンズアレイを用いたものがある。
なお、本実施形態は、所望とする発光条件に設定された光書き込みユニット、及び発光素子の光量調整方法に関するものであり、光書き込みユニットの形態に依存するものではない。従って、本発明の要旨を変更しない範囲で種々変形することが可能である。
<画像形成装置の説明>
画像形成装置を図34に示す。
画像形成装置において画像を形成する画像形成プロセスの1つとして、電子写真プロセスがある。以下に電子写真プロセスについて概略を説明する。
像担持体(たとえば感光体)に帯電手段によって電位を与え(帯電プロセス)、光書き込みユニット(露光手段)からの光スポットを像担持体上に照射することにより潜像をつくり(露光プロセス)、その潜像に現像手段によりトナーを付着させトナー像をつくり(現像プロセス)、記録紙に転写手段によりそのトナー像を写し(転写プロセス)、定着手段により圧力や熱をかけ、記録紙に融着させる(定着プロセス)ようなプロセスである。なお、像担持体上に残ったトナーはクリーナ手段によって清掃され、さらに帯電部分は除電ユニットによって除電される。また、本発明の光書き込みユニットは、高速なカラー画像出力に有利な、タンデム型の画像形成装置にも適用できる。
プロセスカートリッジを有する画像形成装置を図35に示す。
図35では、露光手段と現像手段がプロセスカートリッジに一体に支持されており、プロセスカートリッジは画像形成装置本体に着脱可能に構成している。上記例に限らず、図示しないが、露光手段と、像担持体、帯電手段、現像手段より選ばれる少なくとも1つの手段をプロセスカートリッジに一体に支持することができ、画像形成装置本体に着脱可能に構成できる。