次に、図面を参照して本発明に係る実施形態の1例を詳細に説明する。
[画像形成装置の全体構成]
図1には、本発明が適用された画像形成装置10の全体構成が示されている。図1に示すように、画像形成装置10は、矢印A方向に定速回転する感光体ドラム12を備えている。なお、この感光体ドラム12の回転方向(矢印A)が副走査方向に対応する。
この感光体ドラム12の周囲には、感光体ドラム12の回転方向に沿って、帯電器14、LEDプリントヘッド(以下、「LPH」という)16、現像器18、転写ローラ20、クリーナ(図示省略)、イレーズランプ(図示省略)が順に配設されている。
すなわち、感光体ドラム12は、帯電器14によって表面が一様に帯電された後、LPH16によって光ビームが照射されて、感光体ドラム12上に潜像が形成される。なお、LPH16は、不図示の制御装置等と接続されており、この制御装置等により制御されて画像データに基づいて光ビームを出力する。
感光体ドラム12上に形成された潜像には、現像器18によってトナーが供給されて現像され、感光体ドラム12上にトナー像が形成される。感光体ドラム12上のトナー像は、転写ローラ20によって、用紙トレイ24から1枚ずつ取出されて、用紙搬送ベルト26によって搬送されてきた用紙28に転写される。転写後に感光体ドラム12に残留しているトナーはクリーナ(図示省略)によって除去され、イレーズランプ(図示省略)によって除電された後、再び帯電器14によって帯電されて、同様の処理を繰り返す。
一方、トナー像が転写された用紙28は、加圧ローラ30Aと加熱ローラ30Bからなる定着器30に搬送されて定着処理が施される。これにより、トナー像が定着されて、用紙28上に所望の画像が形成される。画像が形成された用紙28は装置外へ排出される。
[LPHの詳細構成]
次に、LPH16の構成を詳しく説明する。図2にLPH16の断面図を示す。図2に示すように、LPH16は、LEDアレイ40と、LEDアレイ40を支持するとともに、LEDアレイ40の駆動を制御する各種信号を供給するための回路が形成されたプリント基板42と、LEDアレイ40から出射した光を感光体ドラム12上に結像させるためのセルフォックレンズアレイ44と、を備えている。
LEDアレイ40は、複数のSLED(自己走査型LED:Self-Scanning LED)46が一列に配置された複数のSLEDチップ48により構成されており(図3(A)参照)、LEDアレイ40全体では、SLED46は、解像度に応じた画素(ドット)数分、例えば、A3サイズ(420mm×297mm)の用紙まで対応し、主走査方向について600dpiで印刷する場合には、約7020個設けられている。
また、セルフォックレンズアレイ44は、結像レンズとして、屈折率分布型のロッドレンズ45が解像度に応じた各画素(ドット)に対応したピッチP2(図4(B)参照)で配列されて構成されており、各LED46から出射された光ビームを感光体ドラム12上に結像させる。なお、ロッドレンズの材質は、ガラス又はプラスチックであるが、温度・湿度の影響を受け難いガラスを用いるのが一般的である。
ここで、図4(A)には、セルフォックレンズアレイ44のロッドレンズ45とSLEDチップ48の位置関係が示されている。同図に示されるように、LEDチップ44の各LED46から射出された光がセルフォックレンズアレイ44のロッドレンズ45に入射するようになっている。
また、図4(B)には、ロッドレンズ45とLED46との位置関係が示されており、同図に示されるように、LED46のピッチP1よりもロッドレンズ45のレンズ径ピッチP2の方が大きく、複数のLED46から射出された光がロッドレンズ45により集光される。
また、同図に示されるように、SLEDチップ48は、各々のLED46の配列方向を主走査方向に一致させて、複数のSLEDチップ48を副走査方向の位置を所定のピッチP3だけ交互にずらして主走査方向に並べられ(千鳥配置:図6参照)、プリント基板42に取りつけられている。このように千鳥配置したことにより、主走査方向に隣接するチップのLED46が配設されていない部位を重複配置することができ、高解像度化に伴いSLED46間ピッチP1が狭くなっても、この重複寸法Qを調節することで、SLED46を所定ピッチP1で主走査方向に配列可能となっている。
なお、本実施の形態では、複数のSLEDチップ48を千鳥配列する形態(図6及び図4参照)について説明したが、図5(A)に示されるように、各々のLED46の配列方向を主走査方向に一致させて、SLEDチップ48を主走査方向に一列状に配置してもよい。この場合も、図5(B)に示されるように、複数のLED46から射出された光がロッドレンズ45により集光される。
[SLEDの回路構成]
次に、各SLEDチップ48の回路構成について説明する。 なお、本実施の形態では、自己走査型のSLEDチップ48を用いる場合を例に説明するが、本発明は、自己走査型でなくてもよい。また、図3では、説明を簡略化するために、SLEDチップ48の個数を4個として説明する。また、以下では、各SLEDチップ48を区別する場合は、1〜4のチップ番号を付与して説明する。
図3(A)に示すように、各SLEDチップ48には、LPH駆動部100から、各SLEDチップ48に対する点灯制御信号ΦI(1〜4:チップ番号)、転送信号CK1、CK2、及びスタート信号CKSが入力されるようになっている。
また、図3(B)に示すように、SLEDチップ48には、電源ライン120及びGND(グランド)ライン122が設けられており、電源装置(図示省略)から所定電圧VDD(5V)が供給される。
なお、図3(B)では、各SLEDチップ48を区別するために、符号末尾の()内に1〜4のチップ番号を示しており、以下の説明でもこれに従う。また、SLEDチップ48毎に設けられた部材及び生成された信号についても、同様に符号末尾の()内にチップ番号を示して説明する。また、図3(B)では、各SLEDチップ48(1〜4)の構成は同様であるため、SLEDチップ48(1)のみ詳細にその構成を示し、残りのSLEDチップ(2〜4)については省略して示している。
SLEDチップ48は、当該SLEDチップ48内に配列されている複数のLED46の各々に対してサイリスタ124を備えており、サイリスタ124は、オフのときにトリガをハイレベルにすると、電流Itrが点Gに流れ、同時に点GからトランジスタQ2のベースへ電流Ib2が流れる(Itr≒Ib2)。これにより、トランジスタQ2がオンし、このトランジスタQ2のコレクタ電流が流れる。すなわち、トランジスタQ1のベース電流Ib1が流れることになり、トランジスタQ1もオンとなる。
トランジスタQ1がオンとなると、トランジスタQ1のコレクタ電流IC1が流れ、点Pの電圧が上昇し、電流Itrが流れなくなる。しかし、トランジスタQ1のコレクタ電流Ic1がトランジスタQ2のベースへ流れるため(電流Ib2)、トランジスタQ2はオン状態が維持される。
これにより、トリガがローレベルとなっても、トランジスタQ1及びトランジスタQ2はオン状態を維持する。この状態で電圧VDDが保持され、LEDは点灯可能であり、パルス幅変調を行うことで、所定の光量を得ることができる。
図3(B)に示すように、各サイリスタ124のアノード側は電源ライン120と接続されており所定電圧VDDが供給される。初段のサイリスタ124は、ゲート側に接続する点G1(点Gに続く数字は、複数配列されたLED46の順番を示す)から、SLEDチップ48のLED46を点灯させるトリガとして、スタート信号CKS(電圧)が印加されるようになっている。また、各段のサイリスタ124のゲート側と接続する点G(1〜128)は、ダイオード126を介して直列接続されている。また、各段の点G(1〜128)は、それぞれ抵抗128介して、GNDライン122に接続されている。GNDライン122は、初段で所定の電圧を維持し、各段に行くに従い、所定電位ずつ低下するようになっている。
また、点G(1〜128)は、LED46のアノード側に接続されており、LED46のカソード側は、LPH駆動部100からの点灯制御信号ΦI(1〜4:チップ番号)が供給されるように接続されている。この点灯制御信号ΦIがローレベル(L)のときに、点G(1〜128)をゲートとするサイリスタ124がONしていれば、LED46は点灯する。
また、奇数段のサイリスタ124のカソード側は転送信号CK1、偶数段のサイリスタ124のカソード側は転送信号CK2が供給されるように接続されている。この転送信号CK1、CKに従って、前記点G(1〜128)の電位が所定電位ずつ上昇されるようになっている。すなわち、点Gの電位が、初段の点G1から後段へと順に、LED46を点灯可能な所定電位に到達し、SLEDチップ48の自己走査が可能となる。
LPH駆動部100は、スクリーン処理された画像データ及びTagデータに基づいて、SLEDチップ48を駆動するための駆動信号を生成し、SLEDチップ48へ出力する。SLEDチップ48は、この駆動信号に基づいて駆動する、すなわちLED46が点灯される。より詳しくは、LED46からは、スクリーン処理された画像データに基づいてパルス変調され、且つTagデータに基づいて選択された低濃度用補正データ又は高濃度用補正データに基づいて強度変調された光が出力される。
また、LPH駆動部100は、図3(B)に示すように、駆動信号生成部140、3つのフリップフロップ142A1〜A3、及び3つのフリップフロップ142B1〜B3を備えている。また、LPH駆動部100は、LPH16に備えられているSLEDチップ48(1〜4)の各々に対して、本発明の記憶手段としての補正メモリ144(1〜4)、フリップフロップ146A(1〜4)、146B(1〜4)、本発明の補正手段としての機能を担う駆動素子部148(1〜4)を備えている。
フリップフロップ142A1〜A3、フリップフロップ142B1〜B3、補正メモリ144(1〜4)、フリップフロップ146A(1〜4)、146B(1〜4)、駆動素子部148(1〜4)は、それぞれ駆動信号生成部140と接続され、駆動信号生成部140で生成された信号が供給されるようになっている。
駆動信号生成部140には、タイミング信号生成部(図示省略)からのライン同期信号LS及び転送クロックSCLKが入力される。
駆動信号生成部140は、ライン同期信号LS及び転送クロックSCLKと同期した所定のタイミングで、転送信号CK1、CK2、及びスタート信号CKSを生成して各SLEDチップ48(1〜4)へ出力すると共に、各LED46の点灯可能期間を示す点灯ストローブ信号STBを生成して各駆動素子部148(1〜4)へ出力する。
また、駆動信号生成部140は、ライン同期信号LS及び転送クロックSCLKと同期した所定のタイミングで、セレクト信号SCK1、SCK2、SCK3を各々生成し、セレクト信号SCK1はフリップフロップ142A1、142B1のクロック端子(CK)へ、セレクト信号SCK2はフリップフロップ142A2、142B2のクロック端子へ、セレクト信号SCK3はフリップフロップ142A3、142B3のクロック端子へ出力する。
また、駆動信号生成部140は、ライン同期信号LS及び転送クロックSCLKと同期した所定のタイミングで、ラッチ信号LCHを生成し、フリップフロップ146A(1〜4)、及びフリップフロップ146B(1〜4)へそれぞれ出力する。また、駆動信号生成部140は、アドレスを指定するための7ビットのアドレス信号ADLを生成し、補正メモリ144(1〜4)へ出力する。
フリップフロップ142A1〜A3の入力端子(D)には、点灯データVDATAが各々に分岐されて入力される。フリップフロップ142A1〜A3の出力端子(Q)は、それぞれフリップフロップ146A(1〜3)の入力端子(D)に接続されており、入力された点灯データVDATAはフリップフロップ146A(1〜3)へ出力される。フリップフロップ146A(4)の入力端子(D)には、点灯データVDATAがそのまま入力される。フリップフロップ146A(1〜4)の出力端子(Q)は、各々対応する駆動素子部148(1〜4)に接続されている。
これらフリップフロップ142A1〜A3は、それぞれのクロック端子から入力されたセレクト信号SCK1、SCK2、SCK3に基づいて信号を出力し、フリップフロップ146A(1〜4)は、クロック端子から入力されたラッチ信号LCHに基づいて信号を入出力する。これにより、駆動素子部148(1〜4)には、フリップフロップ146A(1〜4)から各々対応するSELDチップ48(1〜4)の点灯信号VD(1〜4)が入力されるようになっている。
一方、フリップフロップ142B1〜B3の入力端子(D)には、TAGデータが各々に分岐されて入力される。フリップフロップ142B1〜B3の出力端子(Q)は、それぞれ補正メモリ144(1〜3)に接続されており、入力されたTAGデータは補正メモリ144(1〜3)へ出力される。補正メモリ144(4)には、TAGデータがそのまま入力される。
補正メモリ144(1〜4)には、各々対応するSLEDチップ48(1〜4)が備えている128個のLED46各々の低濃度用補正データ及び高濃度用補正データが記憶される。この記憶は、例えば、電源投入時等に、プリント基板42に設けられ、LPH駆動部100と接続されたEEPROM66(図示省略、図8参照)から読み出して行われる(詳細は後述する)。なお、本実施の形態では、この補正メモリ144における各補正データの格納場所は8ビットのアドレスで指定され、上位1ビットが低/高濃度を示し、下位7ビットがLED補正データを示す。
補正メモリ144(1〜4)は、TAGデータを上位1ビット、アドレス信号ADLを下位7ビットとして指定されたアドレスに格納されているデータを補正信号COR(1〜4)として、各々対応するフリップフロップ146B(1〜4)に出力する。すなわち、アドレス信号ADLによって、SLEDチップ48に備えられているLED46のうち何番目のLED46に対応する補正データを読み出すのか指定され、TAGデータによって、低濃度用補正データと高濃度用補正データの何れを読み出すのか指定される。フリップフロップ146B(1〜4)の出力(Q)は、各々対応する駆動素子部148(1〜4)に接続されている。
これらフリップフロップ142B1〜B3は、それぞれのクロック端子から入力されたセレクト信号SCK1、SCK2、SCK3に基づいて信号を入出力し、フリップフロップ146B(1〜4)は、それぞれのクロック端子から入力されたラッチ信号LCHに基づいて信号を入出力する。これにより、駆動素子部148(1〜4)には、各々対応するSELDチップ48(1〜4)の補正信号COR(1〜4)が補正メモリ144(1〜4)から読み出されて、フリップフロップ146B(1〜4)から入力されるようになっている。
各駆動素子部148(1〜4)では、図7に示すように、4ビットカウンタ150と、比較器152と、AND回路154A、154B、154C、154Dと、トランジスタ(nチャンネルMOSFET)156、158A、158B、158C、158Dを備えている。
4ビットカウンタ150は、クロック端子(CLK)には、点灯ストローブ信号STBが示す各LED46の点灯可能期間を16分割するパルス変調用クロックPWMCLKが入力され、クリア端子(CLR)には駆動信号生成部140からのストローブ信号STBが入力される。4ビットカウンタ150は、入力されたパルス変調用クロックPWMCLKのパルス数をカウントして、そのカウント値CDを出力すると共に、ストローブ信号STBが入力されたらカウント値CDをリセットする。
4ビットカウンタ150の出力端子(Q)は、比較器152のマイナス側入力端子と接続されており、比較器152には、パルス変調用クロックPWMCLKのパルス数のカウント値が入力される。この比較器152のプラス側入力端子には、対応するフリップフロップ146A(1〜4)から駆動素子部148に入力された点灯信号VD(1〜4)が入力される。
比較器152は、入力されたカウント値と点灯信号VDを比較して、その比較結果として、「カウント値CD≦VD」の場合は「1」、「カウント値CD>VD」の場合は「0」を出力する。この比較器152の出力は、AND回路154A〜Dと、トランジスタ156のゲート側とに分岐されて各々に入力される。
AND回路154A〜Dには、対応するフリップフロップ146B(1〜4)から入力された4ビットの補正信号COR(1〜4)が、各ビット(COR0〜3)に分岐されて入力される。AND回路154A〜Dの出力は、トランジスタ158A〜Dのゲート側に接続されており、AND回路154A〜Dは、比較器152の出力と、補正信号CORの各ビット値(COR0〜3)とのAND演算を行って、その結果がトランジスタ158A〜Dのゲート側に入力される。
トランジスタ156、158A〜Dは、それぞれソース側は接地されており、ドレイン側は抵抗R、RA、RB、RC、RDを介して並列接続されている。この抵抗R、RA、RB、RC、RDの接続点Pの電位が点灯制御信号ΦI(1〜4)として、当該駆動素子部148から各々対応するSLEDチップ48(1〜4)へ供給される。
ところで、補正メモリ144(1〜4)に記憶されるLED46から発光される光量を補正するための低濃度用補正データ及び高濃度用補正データ(以下、補正データという)は、予め求められて上述したプリント基板42に設けられたEEPROM66に格納されている。
図8に示すように、このEEPROM66は、LPH16の光強度分布を測定して、該光強度分布に基づいた補正データを生成する測定装置70(詳細後述)と、実際に該画像形成装置10で形成した画像濃度に基づいてEEPROM66の補正データを補正する補正データ生成装置72(詳細後述)との各々と接続可能に構成されており、測定装置70により補正データ68が書き込み可能であり、補正データ生成装置72によりEEPROM66に書き込まれている補正データ68が書き換えられるようになっている。
この測定装置70及び補正データ生成装置72の各々は、画像形成装置10とは物理的に異なる装置として構成され、必要時に所定のケーブルなどで接続して用いられるようになっている。なお、補正データ生成装置72は、画像形成装置10に内蔵してもよい。
本実施の形態では、一例として、画像形成装置10にLPH16を搭載する前に、測定装置70により該LPH16の光強度分布を出力特性として測定して、第1の補正データとして、該光強度分布に基づいた補正データ68(以下、補正データ68Aと称す)がEEPROM66に書き込まれるようになっている。また、画像形成装置10の組み立て後の工場出荷前に、補正データ生成装置72と画像形成装置10と接続されて、補正データ生成装置72により、第2の補正データとして、実際に該画像形成装置10で形成した画像濃度に基づいて補正データ68(以下、補正データ68Bと称す)が算出され、EEPROM66から補正データ68Aを読出して、第3の補正データとして、この補正データ68Bと合成した補正データ68(補正データ68Cと称す)を生成して、EEPROM66に書き戻されるようになっている。画像形成装置10は、補正データ生成装置72により補正データがEEPROM66に書き戻された後、出荷される。
[測定装置の詳細構成]
測定装置70は、従来公知のものでよく、本実施の形態では、一例として、図9に示す測定装置70によりプリントヘッドの露光エネルギ分布を測定する。
図9に示すように、測定装置70は、複数のLEDが矢印B方向(主走査方向)にライン状に配列されたLEDアレイ40と、セルフォックレンズアレイ(SLA)44とを備えて構成されたLPH16による露光エネルギ分布を測定するためのセンサ80が設けられている。なお、LPH16は、図示しないホルダー部材によって、所定位置にセットされる。
センサ80は、複数のCCD(Charge Coupled Device)がライン状に配列されたラインCCD80Aの受光面側に拡大レンズ(本実施の形態では、×10の倍率)80B及び透過拡散板80Cが取り付けられて構成されている。また、センサ80は、ラインCCD80Aの受光面をLPH16の光出力方向に対向させて、且つ矢印Bに示す主走査方向に対して、CCDの配列方向が直交するようにして、主走査方向に等速移動可能なセンサ移動ステージ82上に設置されている。
すなわち、図10に示されるように、センサ80は、主走査方向(LEDの配列方向)に等速移動しながら、ラインCCD80Aの各CCDによって各々の受光面に入射した光を受光し、当該受光量に応じた電気信号を出力する(本実施の形態では、8ビットデータとして出力される)ことで、LEDの配列方向と直交する方向(以下、「副走査方向」という)のLPH16の露光エネルギ分布を測定可能となっている。
ここで、図11に示されるように、透過拡散板80Cは、LEDアレイ40から射出された光がセルフォックレンズアレイ44により集光されるLPH16の焦点位置に配設されている。
これにより、LPH16からの光は一様に拡散されて拡大レンズ80B方向に向かい拡大されるので、LPH16の焦点における入射角に左右されない相対的な光量がラインCCD80Aに入射される。これにより、LPH主走査方向における正規化された相対的な露光エネルギ分布を測定することができる。なお、透過拡散板80Cは、完全拡散により近くて薄いものを用いることが好ましい。
このセンサ80は、ドライバ84を介して、パソコン(PC)86と接続されており、パソコン86は、ドライバ84を介して、LPH16とも接続されている。また、パソコン86は、センサ移動ステージ82の駆動部(図示省略)とも接続されている。
パソコン86は、ドライバ84を介して、LPH16へ点灯データを出力し、LPH16の各LEDの点灯を制御すると共に、センサ移動ステージ82の駆動部(図示省略)へ移動ステージ制御信号を出力し、センサ移動ステージ82の駆動を制御して、センサ80を主走査方向に等速移動させ、且つ、センサ80へ計測タイミング信号を出力し、センサ80による露光エネルギ測定をON/OFF制御する。
センサ80の出力は、演算処理部88に接続され、演算処理部88には、センサ80からラインCCD80Aによる測定結果、すなわち各CCDの受光量に応じた電気信号(8ビットデータ)がシリアルに入力される。
ところで、画像形成装置10のように一様に帯電された感光体ドラム12を露光して静電潜像を形成し、その後現像を行う所謂電子写真プロセスでは、一般に、露光エネルギと現像された画像濃度と間に図13(A)に示すような関係(現像特性)があり、この現像特性を利用して露光エネルギを調整することで所望の画像濃度を得ることができる。この現像特性を簡略化すると、図13(B)に示すように、露光エネルギ量と画像濃度とが略比例する線形領域と、線形領域よりも低露光エネルギ側の、露光しても画像濃度が出ない(現像されない)不感帯と、線形領域よりも高露光エネルギ側の露光量を上げても画像濃度が高くならない飽和領域とに区分される。すなわち、画像の濃度は線形領域の露光エネルギと相関があり、不感帯及び飽和領域の露光量にはほとんど影響されない。
ここで、理想的には各濃度毎の実際の点灯パターンに応じて、主走査方向及び副走査方向の重なりを考慮した上で、光プロファイルを濃度に変換して補正データを求めることが望ましい。しかし、あらゆる点灯パターンに対して補正データを計算することは、計算に必要とするリソースを考慮すると現実的ではない。
現実的に考慮すべき特徴としては、以下の点が挙げられる。
(1) 高解像度露光(例えば1200×2400dpi×2bit)においては、注目発光点(LED46)の露光エネルギ分布に対する隣接発光点(注目発光点と隣り合う発光点)による露光エネルギ分布の重なりが非常に大きく、露光エネルギ分布形状には隣接発光点の露光エネルギの重なりが大きく影響する。隣接発光点以外の近傍発光点による露光エネルギの重なりは、露光エネルギ分布形状に対しては寄与が小さく、露光エネルギの平均レベルに対して大きく影響する。
(2) LPHの近接発光点からの光ビームは、セルフォックレンズ内でも極近傍の位置を通るため、露光エネルギ分布の形状には突発的な変化が少ない。
(3) 周囲に点灯個所がない完全な孤立点は現像の限界により安定した解像度が得られず、複数点の発光が重なって、初めて現像が安定的に行うことができ、低濃度域でも隣接発光点が点灯される。従って、低濃度域でも高濃度域でも同様に近接発光点同士の露光エネルギ分布の重なりを考慮しなければならない。
なお、同一のLEDチップ48では、近接するLED46間の露光エネルギはほぼ同じであり、例えば2on2offの点灯パターン(LPH16のLED46を2つずつ交互に点灯させる)では、No.1、2、5、6、9、10…のLED46を点灯した場合と、No.3,4,7,8,11,12…のLED46が点灯した場合とで、露光エネルギ分布形状にほとんど差がない。
また、図14には、点灯パターンを2on2offとした場合の露光エネルギ分布が示されている。なお、(a)は低濃度書き込み時の露光エネルギ分布、(b)は高濃度書き込み時の露光エネルギ分布を示している。同図に示されるように、低濃度書き込み時と高濃度書き込み時とでは、露光エネルギの平均レベルが異なる。この平均レベルの差を考慮して上記の現像特性を各濃度毎にスケール変換して適用するのが現実的である。
さらに、図15には、露光エネルギ分布の副走査方向断面が模式的に示されている。図15(A)に示されるように、露光エネルギ分布の副走査方向断面に迷光の影響が含まれている場合に、副走査方向に所定間隔ずつずらして加算することによって、図15(B)及び(C)に示されるような迷光の影響を考慮した副走査方向断面が得られる。ただし、上述したように、閾値以上であって飽和値までの露光エネルギ量が画像濃度に影響するので、図15(D)の斜線部分のエネルギ量が画像濃度に影響することになる。
以上の特徴により、光プロファイルの測定は、2on2offや4on4offなど、隣接発光点を点灯させる点灯パターンで行うと共に、現像特性を低濃度域及び高濃度域毎にスケール変換する。
そこで、演算処理部88は、図12に示すように、メモリ32と、副走査方向重ねあわせ計算器31と、相対的低濃度及び高濃度の各濃度毎に、メモリ34、比較器36、及び加算器38とを備えている。なお、以下では、低濃度用と高濃度用とを区別して説明する場合は、低濃度用のメモリ34、比較器36、加算器38には各々の符号末尾に「A」、高濃度用のメモリ34、比較器36、加算器38には、各々の符号末尾に「B」を付与して説明する。
副走査方向重ね合わせ計算器31では、ラインCCD80Aの各CCDの測定結果が副走査方向に所定間隔ずつずらして加算される。なお、上記所定間隔は、画像形成装置の副走査方向の書き込み解像度に応じて設定することができる。
また、メモリ34Aには、予め設定された所定の低濃度用閾値TH(low)が格納されており、メモリ34Bには、予め設定された所定の高濃度用閾値TH(high)及び画像濃度が飽和する露光量に相当する高濃度用飽和値SAT(high)が格納されている。なお、上記低濃度用閾値及び高濃度用閾値は、低濃度及び高濃度の各々の画像濃度を得るための最低限必要な露光量に相当する値である。
比較器36A、36B各々には、ラインCCD80Aから入力された各CCDの測定結果が入力される。比較器36Aは、各CCDの測定結果とメモリ34Aに格納されている低濃度用閾値とを比較し、比較結果として低濃度用閾値の超過分を示すデータを出力する。また、比較器36Bは、各CCDの測定結果とメモリ34Bに格納されている高濃度用閾値及び高濃度用飽和値とを比較し、比較結果として高濃度用飽和値までの高濃度用閾値の超過分を示すデータを高濃度閾値の超過分を示すデータを出力する。
加算器38A、38Bは、それぞれ比較器36A、36Bからの出力データを加算する。すなわち、加算器38A、38Bは、ラインCCD80Aの各CCDの測定結果のうち、画像濃度に影響を与える低濃度用閾値又は高濃度用閾値を超えた分(高濃度用飽和値を超えた部分を除く)を加算していき、ラインCCD80Aの1ライン分のCCDからの出力データについて当該加算を行った後、加算結果をメモリ32に格納し、加算値をリセットする。
これにより、メモリ32には、ラインCCD80Aによる測定毎に、当該ラインCCD1ライン分の所定の低濃度用閾値及び高濃度用閾値を超える露光エネルギ量の加算(積分)値に対応するデータが順次格納されていき、プリントヘッドの主走査方向に渡って測定がなされると、当該データの低濃度用及び高濃度用の主走査方向のプロファイル(以下、「低濃度用の光プロファイル」、「高濃度用の光プロファイル」という)が各々得られる。すなわち、画像濃度に影響する露光エネルギ分のみを抽出して加算することにより画像濃度に相関のある特性値を求め、間接的に画像濃度を測定するようになっている。
演算処理部88は、ドライバ84を介してパソコン86と接続されており、メモリ32に格納された低濃度用の光プロファイル、及び高濃度用の光プロファイルが各々転送される。パソコン86は、低濃度用の光プロファイルに基づいて、低濃度用の補正データを算出し、高濃度用の光プロファイルに基づいて、高濃度用の補正データを算出する(詳細は後述の作用の項で説明する)。
[補正データ生成装置の詳細構成]
次に、補正データ生成装置72の構成を詳しく説明する。図8に示すように、補正データ生成装置72は、読取装置90と、濃度プロファイル導出回路92と、補正データ演算回路94と、EEPROM66に書き込むデータを生成するデータ生成回路96と、該補正データ生成装置72が画像形成装置10と接続された場合に、EEPROM66にデータを読み書きするためのドライバ98とを備えている。
読取装置90は、画像形成装置10から出力された出力画像(テストパターン)の濃度を読み取ることができれば、従来公知のものでよい。例えば、図20に示されるように、出力画像濃度の読取は、図20のように、原稿台ガラス350の下方に、読取素子としてCCD352が一列に配列され、且つ原稿台ガラス350に下方から光を照射し、原稿台ガラス350上に載置された原稿からの反射光を結像させてCCD350に入射させる光学系354が収容されたキャリッジ356とを備えた読取装置358により、テストパターンが記録された用紙360を、該テストパターンを記録したLPH16のLEDアレイ40の配列方向がCCD352の画素配列方向と直交するようにして位置決め部362で定められた原稿台ガラス350上の所定位置に置き、キャリッジ356を該配列方向と直交する方向(矢印Vで示す方向)に移動しながら、CCD352によりテストパターンの濃度を読み取ることで行われるものを適用することができる。
この読取装置90は、濃度プロファイル導出回路92に読取装置90で読取った読取結果(濃度データ)が入力されるようになっている。なお、読取装置90は、必ずしも補正データ生成装置72に内蔵されている必要はなく、必要時に所定のケーブルなどで接続して用いるようにしてもよい。また、例えば、画像形成装置10がスキャナ機能を備えているものであれば、該スキャナ機能を読取装置90として利用することもできる。
濃度プロファイル導出回路92は補正データ演算回路94とも接続されており、読取装置90から入力された濃度データに基づいて、画像形成装置10で形成した画像上に生じている濃度プロファイルを導出して補正データ演算回路94へ出力する。
補正データ演算回路94は、データ生成回路96とも接続されており、濃度プロファイル導出回路92から入力された濃度プロファイルに基づいて補正データ68Bを算出し、その結果をデータ生成回路96へ出力する。
また、データ生成回路96は、ドライバ98を介してEEPROM66にアクセス可能とされており、EEPROM66に記憶されている補正データ68Aを読み込み、読み込んだ補正データ68Aを補正データ演算回路94から入力された補正データ68Bと合成して補正データ68Cを生成し、この補正データ68Cをドライバ98を介してEEPROM66に書き戻す。
[作用]
次に、本実施の形態の作用を説明する。
[補正データ算出処理]
まず、パソコン86による補正データ算出処理について説明する。図16には、パソコン86で実行される補正データ算出処理の制御ルーチンが示されている。なお、補正データ算出処理を行うに際して、予め、測定装置70に、画像形成装置10に使用するLPH16がホルダー部材(図示省略)によって保持されて、所定位置にセットされる。
パソコン86は、まず、図16のステップ200において、LPH16へ2on2offの点灯パターンでの点灯を指示する点灯データを出力する。これにより、LPH16は、この点灯データを受けて、当該LPH16のLED46を2on2off点灯させる。
次のステップ202で、パソコン86は、センサ移動ステージ82の駆動部(図示省略)へ移動ステージ信号を出力して、センサ移動ステージ82にセンサ80を主走査方向に等速移動させる。また、次のステップ204で、センサ80へ計測タイミング信号を出力して、センサ80にLPH16の露光エネルギ分布の副走査方向断面を測定させる。
そして、センサ80の主走査方向の移動が終了するまで、ステップ206からステップ208に移行し、所定時間経過毎にステップ208からステップ204に戻り、再び、計測タイミング信号を出力する。これにより、センサ80の主走査方向の移動が終了するまで、所定時間毎に、センサ80によってLPH16の露光エネルギ分布の副走査方向断面が測定される。
言い換えると、本実施の形態では、パソコン86は、LPH16のLED46を2on2offで点灯させ、且つセンサ80が主走査方向に等速移動しながらLPH16の露光エネルギ分布の副走査方向断面を所定時間周期で測定するように、点灯信号、移動ステージ制御信号、及び計測タイミング信号を出力している。なお、所定時間周期は、センサ80の測定結果が数μm程度の分解能を有するように決定される。
このとき、センサ80による測定結果、すなわちセンサ80のラインCCD80Aに備えられている各CCD出力は、演算処理部88に入力され、ラインCCD80Aの1ライン分の各CCD出力が副走査方向に所定間隔ずつずらして加算されることにより重ね合わせ計算が行われ、重ね合わせ計算後の測定結果のうち、低濃度用閾値を超えた分がそれぞれ加算され、当該加算とは別に、高濃度用閾値を超えた分(高濃度用飽和値を超える部分を除く)がそれぞれ加算される。すなわち、測定結果のうち、低濃度用閾値以下を切り捨てた積分値と、高濃度用閾値以下の部分と高濃度用飽和値を越える部分とを切り捨てた積分値とがそれぞれ計算される。この計算結果は、メモリ32に記憶される。
これにより、センサ80が主走査方向へ等速移動しながら所定周期間隔での測定が繰返し行われ、演算処理部88の演算が行われて、メモリ32に上記積分値が順次格納されていく。最終的には(センサ80の主走査方向の移動が終了したら)、低濃度用閾値を超える露光エネルギ量の主走査方向のプロファイル(低濃度用の光プロファイル)、及び高濃度用閾値を超える露光エネルギ量の主走査方向のプロファイル(高濃度用の光プロファイル)が各々得られる。
そして、センサ80の主走査方向の移動が終了したら、ステップ206からステップ210に移行する。ステップ210では、パソコン86は、メモリ32に格納された低濃度用及び高濃度用の光プロファイルをそれぞれ読出し、次のステップ212において、当該読み出した低濃度用及び高濃度用の光プロファイル各々を略平坦化するように、低濃度用の補正データ、高濃度用の補正データをそれぞれ算出する。
以下、補正データの算出について説明する。
図17は、点灯制御信号ΦIのパルス幅を変化させたときのn番目のLED46(図中Ln)及びn+1番目のLED46(図中Ln+1)の特性値(≒光量)を示す図である。
同図に示されるように、LEDには、パルス幅を0から変化させて大きくしていった場合に、パルスを入れても発光しない領域(以下、オフセットという)が存在し、このオフセットは各LED毎に異なる。
また、同図に示されるように、点灯制御信号ΦIのパルス幅の変化に応じたLEDの特性値の変化量(図17における各LEDの特性の傾き)は各LEDに固有であり、各LED毎に異なる。なお、同図に点線で示すLn+1´は、オフセットのみを補正した場合のLn+1の特性値を示している。露光エネルギ量を調整するためには、このLED毎の傾きのばらつきも考慮する必要があり、この傾きのばらつきを補正するための補正値を設定可能としている。また、図17においては直線に近似されているが、厳密には若干曲線となっており、直線との誤差によって決まる係数を、補正分解能係数Kとする。
また、図18には、LPHを2on2offパターンで点灯した場合に取得される光プロファイルの一例が示されている。補正値は、8bitで表される1〜256までの整数として導出され、センサ80により取得された同図に示すような光プロファイルからピーク(谷)の検出を行い、該光プロファイルにおける谷から谷までの露光エネルギ量を積分し、この積分値Snを谷から谷までの距離Lnで割ることで各谷間の露光エネルギ密度Enを求める。このようにして求められた各谷間の露光エネルギ密度Enを各発光点の特性値として用い、この特性値を所定の目標値に合わせるように該目標値との誤差分に応じて補正値を設定し、露光量を増減することで平坦化を行っている。このような平坦化を相対的低濃度及び高濃度の各濃度毎に行うことにより、それぞれの濃度に応じた複数の補正データを算出することができる。
なお、上記所定の目標値は、測定時におけるLPHの点灯パターン(ここでは、2on2off)に応じた濃度(ここでは、50%の濃度)を得るための理想の特性値を用いてもよいし、隣接する特性値を用いてもよい。
以上を考慮すると、各LEDの設定パルス幅は、予め設定された基準パルス幅を用いて以下の(1)式で表すことができる。
パルス幅=K×基準パルス幅×(1+(補正値/256))+オフセットのばらつき
…(1)
ここで、(1)式では、K×基準パルス幅〜K×基準パルス幅の2倍の範囲でパルス幅を調整している。すなわち、基準パルス幅は諸条件を考慮して設定されたものであり、パルス幅があまりに短くなるとLEDの点灯が不安定になるのでパルス幅はK×基準パルス幅以下とならないことが好ましい。Kが1よりも小さい値をとることも考慮して基準パルス幅にはマージンを確保することも必要である。マージン量はデバイスの性能に応じた設計事項となる。また、(1)式に示されるように、補正分解能係数Kを各発光素子毎に導出しておくことにより、補正値の1ビットの変化によるパルス幅の変化量が各発光素子毎に調整されることになる。なお、オフセットのばらつきは、各LEDのオフセットのばらつきを示すものであり、予め測定して設定しておくことが必要である。
まず、上記(1)式を用いて、各LED毎の補正分解能係数Kを導出するために、仮にすべてのLEDの補正分解能係数K=1、補正値=128として測定装置70による光量比測定及び仮の補正値の導出を行う。その後、この仮の補正値を用いて各LED制御して、再び測定装置70による測定を行い、補正分解能係数Kを導出する。
ここで、補正分解能係数Kの導出についてより詳細に説明する。
まず、(1)式を変形して(2)式を定義する。
有効パルス幅=パルス幅−オフセットのばらつき
=K×基準パルス幅×(1+(補正値/256)) …(2)
ここで、有効パルス幅と光量比の関係はゼロを通る一次式になる。言い換えれば、光量比と有効パルス幅の比は定数になる。よって、測定装置70により測定された任意のLED光量比が所望の光量比よりも10%小さければ、有効パルス幅を10%長くすれば所望の光量比になるはずである。
最初の測定ではK=1、補正値=128であるから、求まる補正値Corrは、
1+(Corr/256)=1.1×(1+(128/256))
より、Corr=166となる。
ところが、前述のとおり、有効パルス幅と光量比の関係が厳密には一次式の関係ではないため、誤差が出ている。誤差量は補正値166に設定して再度測定することで測定され、そのときの平均値との比から補正分解能係数Kを算出する。
得られた補正分解能係数Kを用いて、再度補正値を導出することにより、補正分解能係数を考慮した補正値が得られ、各LEDの上記特性値がフラットになる。
なお、測定時のLPHの点灯パターンが2on2offなら、補正値及び補正分解能係数Kは、4つのLED46で1つの値となる(ただし、2on2offするLEDを変えて2回処理を行えば、2つのLEDで1つの補正値が得られる)。また、LEDチップ単位では補正分解能係数に大きな差がないことから、補正分解能係数Kは同一のLEDチップ48に設けられたLED46間で共通とすることもできる(これにより各LEDに応じた補正分解能係数Kを記憶するLUTの容量を少なくできる)。
このようにして、高濃度領域と低濃度領域各々について、良好にむら補正を行うことができる補正データが決定されたら、パソコン86は、図16のステップ214において、当該補正データをLPH16のEEPROM66に記憶して処理を終了する。
その後、LPH16は画像形成装置10に装填され、画像形成装置10による画像形成に使用される。すなわち、画像形成装置10では、帯電器14によって表面が一様に帯電された感光体ドラム12へ向けて、この決定された補正データに基づいて光量調整しながら画像データに応じた光をLPH16から照射し、感光体ドラム12上に静電潜像を形成する。この静電潜像は、現像器18によって現像され、転写ローラ20によって用紙28に転写される。このようにして、トナー像が転写された用紙28は、定着器30によって定着処理が施された後、装置外へ排出される。
なお、上記では、複数のSLED68が副走査方向に位置をずらして千鳥配列状に配置され、図19に示すように測定時の露光エネルギ分布の副走査方向断面(A)と、画像形成時の露光エネルギ分布の副走査方向断面(B)とが異なるが、上記で説明したように、測定された露光エネルギ分布の副走査方向断面を副走査方向にずらして足し合わせ、副走査方向の重なりを考慮した露光エネルギ分布の副走査方向断面を求めることで、(C)(D)に示すように、画像形成時の露光エネルギ分布と略等価の露光エネルギ分布を得ることができる。すなわち、副走査方向の重なりを考慮することで、複数のSLED68が副走査方向に位置をずらして配置されている場合にも本発明を適用可能である。
次に、補正データ生成装置72による処理について説明する。
補正データ生成装置72が画像形成装置10と接続され、画像形成装置10によりテストパターンが印字されて排出された用紙28を補正データ生成装置72の読取装置90にセットし、該用紙28に記録されているテストパターンの濃度を測定する。
補正データ生成装置72では、予め測定装置70によって導出されてEEPROM66に記憶された補正分解能係数Kを用いて、測定したテストパターンの濃度をフラットにするように補正データBを導出する。
また、補正データ生成装置72では、EEPROM66から記憶された補正データ68Aを読み出して、補正データ68Aに入力された補正データ68Bを乗算または加算するなどして、両者を合成した補正データ68Cを生成する。すなわち、この補正データ68Cは、補正データ68Aと、補正データ68Aでは補正できない濃度むらを補正する補正データ68Bとをマージしたデータである。
そして、最後に、この補正データ68Cを新たな補正データ68としてEEPROM66に書き込み(補正データ68Aに上書き)、補正データの設定は終了する。これにより、補正データの設定が終了する。
すなわち画像形成装置10は、EEPROM66に補正データ68Cが格納された状態で出荷されるので、出荷後のユーザによる使用時は、画像形成装置10では、LPH16においてこの補正データ68Cを用いて光量補正を行ないながら、画像を印字する。
補正データ生成装置72は画像形成装置10と着脱可能に構成し、出荷前やメンテナンス時等に接続して補正データを調整するようにしてもよいが、画像形成装置10に補正データ生成装置72を内蔵し、出荷後の経時変化にも対応できるように構成してもよい。なお、補正分解能係数Kには、経時変化がほとんど無いので、補正値のみを補正する。
このように補正データ68Aと補正データ68Bをマージした補正データ68Cにより光量補正を行うことにより、補正データ68Aを用いた補正の後、さらに補正データ68Bを用いた補正を行う補正した場合と等しくなる。すなわち、画像形成装置10では、光プリントヘッド16の高周波成分の出力むらについては、補正データ68Cに含まれる光プリントヘッド16の光強度分布に基づいて求めた補正データ68A成分で補正し、その他の出力むら、すなわち低周波成分の出力むらについては、補正データ68Cに含まれる画像形成装置10による実際の出力結果の濃度分布に基づいて求めた補正データ68B成分で補正することができ、従来よりも濃度むらの少ない高画質の画像を得ることができる。
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、LPH16から射出されるスポット光の光量を相対的に検出するに際し、LPH16とラインCCD80Aとの間に設けられた透過拡散板80Cによりスポット光を拡散させ、拡散された光を拡大レンズ80Bにより集光してラインCCD80Aの受光面に結像させて、受光面に入射した光の光量を検出するので、スポット光の角度依存性を考慮した光量検出を行うことができる。
なお、本実施の形態では、センサ80を、LPH16のLED46の配列方向とラインCCD80AのCCDの配列方向とが直交するように配設し、LPH16の幅方向に等速移動させてLPH16の露光エネルギ分布を測定する形態(図10参照)について説明したが、図21に示されるように、ラインCCD80AのCCDの配列方向が、LED46の配列方向に対して斜めになるように配設して、ラインCCD80AのCCDの配列方向とLED46の配列方向とのなす角度を維持してLPH16の幅方向に等速移動させてLPH16の露光エネルギ分布を測定するようにしてもよい。このように構成することにより、互いに直交する配列とした場合と比較して、より多くのCCDによりLED46からの発光光が受光されることになり、解像度が向上して精度よくLPH16の光量補正を行うことができる。像側の解像度は、拡大レンズ80Bの倍率によっても設定可能であるが、レンズの倍率を大きくするとラインCCD80Aの一画素あたりに入射する光量が減少することで、S/N比が悪化する。このため、解像度向上については、ラインCCD80AのCCD配列方向が、LED46の配列方向に対して斜めに配設するほうが有効な手段である。
また、ラインCCD80AのCCDの配列方向とLED46の配列方向とのなす角度は、要求される解像度に応じて適宜調整することができる。例えば、配列ピッチが600dpiのLPH16であれば、なす角を60度にした場合、解像度を1200dpiとすることができる。ただし、CCDから出力される画像は長方形を平行四辺形に歪ませた形になるため、補正値の算出時には、画像の歪みを補正する処理が必要となる。この場合、量子化誤差が問題になる場合があるため、キュービックコンボリューションやバイリニア等適切な補完処理を行う必要がある。
なお、本実施の形態では、読取装置90により用紙上に形成された画像(テストパターン)を読み取って濃度むらを算出したが、本発明はこれに限定されるものではない。画像形成装置10内に、例えば、図1に点線で示すように、感光体ドラム12上の潜像電位を測定するセンサ200を取り付け、このセンサ200により測定された電位むらが小さくなるように補正データ68Bを算出してもよいし、感光体ドラム12上のトナー量(トナー像の濃度)を測定するセンサ202を取り付け、このセンサ202により測定された濃度むらが小さくなるように補正データ68Bを算出してもよい。
また、本実施の形態では、補正データ68Aと補正データ68Bを合成した補正データ68CをEEPROM66に記憶しておく場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。補正データ68Aと補正データ68BをEEPROM66に記憶しておき、ドライバ64へ補正データを転送する際に、補正データ68Aと補正データ68Bとを合成して補正データ68Cを生成して、ドライバ64へ転送するようにしてもよい。ただし、この場合は、画像形成装置に補正データ68Aと補正データ68Bを合成する手段が必要になり、また、補正データの転送の度に合成処理を行う必要があるため、上記本実施の形態の如く、予め補正データ68CをEEPROM66に記憶しておく方が好ましい。
また、本実施の形態では、工場出荷前に補正データの設定を行う場合を例に説明したが、出荷後にも行われるようにしてもよい。例えば、装置設置後の感光体ドラム12を交換した時に、テストパターンを出力して、交換後の濃度むらを補正するための補正データ68Bを算出し、補正データ68Cを更新するようにしてもよい。
この場合、交換前の補正データ68Cと補正データ68Bを合成して、新たな補正データ68Cを生成してEEPROM66に書き込んでもよいが、より好ましくは、EEPROM66に、工場出荷前に算出された補正データ68Aを上書きせずに残しておき、この補正データ68Aと交換後に算出した補正データ68Bとを合成して、新たな補正データ68Cを生成して、EEPROM66に書き込むようにするとよい。これは、交換前の補正データ68Cには、光プリントヘッド16に対する測定装置70での光強度の測定位置と、画像形成装置での交換前の感光体ドラム12の位置とのずれによる成分が含まれているためである。
また、本実施の形態では、測定装置70による測定時のLPHの点灯パターンを2on2offとした場合について説明したが、4on4off等、半分の光源が点灯しており、谷が検出しやすい状態であればよい。この点灯パターンは、拡散板による拡散の度合い等により適宜設定し得る。
なお、本実施の形態における画像形成装置10の構成(図1乃至図12、図20参照)及び処理の流れ(図16参照)は一例であり、適宜変更可能であることは言うまでもない。