以下、本発明の一実施形態を図1〜図9に基づいて説明する。図1には、本発明の一実施形態に係る画像形成装置としてのレーザプリンタ1000の概略構成が示されている。
このレーザプリンタ1000は、光源装置1010、感光体ドラム1030、帯電チャージャ1031、現像ローラ1032、転写チャージャ1033、除電ユニット1034、クリーニングユニット1035、トナーカートリッジ1036、給紙コロ1037、給紙トレイ1038、レジストローラ対1039、定着ローラ1041、排紙ローラ1042、排紙トレイ1043、通信制御装置1050、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置1060などを備えている。なお、これらは、プリンタ筐体1044の中の所定位置に収容されている。以下では、図1に示されるような、感光体ドラム1030の長手方向をY軸方向とするXYZ3次元直交座標系を導入して説明する。
通信制御装置1050は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
感光体ドラム1030は、円柱状の部材であり、その表面には感光層が形成されている。すなわち、感光体ドラム1030の表面が被走査面である。そして、感光体ドラム1030は、図1における矢印方向に回転するようになっている。
帯電チャージャ1031、現像ローラ1032、転写チャージャ1033、除電ユニット1034及びクリーニングユニット1035は、それぞれ感光体ドラム1030の表面近傍に配置されている。そして、感光体ドラム1030の回転方向に沿って、帯電チャージャ1031→現像ローラ1032→転写チャージャ1033→除電ユニット1034→クリーニングユニット1035の順に配置されている。
帯電チャージャ1031は、感光体ドラム1030の表面を均一に帯電させる。
光源装置1010は、帯電チャージャ1031で帯電された感光体ドラム1030の表面に、上位装置からの画像情報に基づいて変調された光ビームを照射する。これにより、画像情報に対応した潜像が感光体ドラム1030の表面に形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラム1030の回転に伴って現像ローラ1032の方向に移動する。なお、この光源装置1010の構成については後述する。
トナーカートリッジ1036にはトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ1032に供給される。
現像ローラ1032は、感光体ドラム1030の表面に形成された潜像にトナーカートリッジ1036から供給されたトナーを付着させて画像情報を顕像化させる。ここでトナーが付着した潜像(以下では、便宜上「トナー像」ともいう)は、感光体ドラム1030の回転に伴って転写チャージャ1033の方向に移動する。
給紙トレイ1038には記録紙Wが格納されている。この給紙トレイ1038の近傍には給紙コロ1037が配置されており、該給紙コロ1037は、記録紙Wを給紙トレイ1038から1枚ずつ取り出し、レジストローラ対1039に搬送する。該レジストローラ対1039は、給紙コロ1037によって取り出された記録紙Wを一旦保持するとともに、該記録紙Wを感光体ドラム1030の回転に合わせて感光体ドラム1030と転写チャージャ1033との間隙に向けて送り出す。
転写チャージャ1033には、感光体ドラム1030の表面上のトナーを電気的に記録紙Wに引きつけるために、トナーとは逆極性の電圧が印加されている。この電圧により、感光体ドラム1030の表面のトナー像が記録紙Wに転写される。ここで転写された記録紙Wは、定着ローラ1041に送られる。
この定着ローラ1041では、熱と圧力とが記録紙Wに加えられ、これによってトナーが記録紙W上に定着される。ここで定着された記録紙Wは、排紙ローラ1042を介して排紙トレイ1043に送られ、排紙トレイ1043上に順次スタックされる。
なお、図1から分かるように、記録紙Wの給紙トレイ1038から排紙トレイ1043に向けての搬送方向は、−X方向である。
除電ユニット1034は、感光体ドラム1030の表面を除電する。
クリーニングユニット1035は、感光体ドラム1030の表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラム1030の表面は、再度帯電チャージャ1031に対向する位置に戻る。
次に、前記光源装置1010の構成について説明する。
光源装置1010は、一例として、プリントヘッド2200、制御装置3022(図4参照)などを有している。そして、これらは、不図示の光学ハウジングに取り付けられている。
プリントヘッド2200は、一例として、感光体ドラム1030の+Z側に配置されている。
プリントヘッド2200は、図2及び図3に示されるように、一例として、1次元配列された複数のLED(発光ダイオード)を含むLEDアレイ2202、基板2203、1次元配列された複数のロッドレンズRL(屈折率分布型レンズ)を含むロッドレンズアレイ2204、XY平面に平行な板状部材から成る保持部材2206、Z軸方向に延びる筒状部材から成るパッケージ部材2208などを有している。
LEDアレイ2202は、複数のLEDの配列方向がY軸方向となるように基板2203の−Z側の面に実装されている。LEDアレイ2202の各LEDの射出方向は−Z方向となっている。基板2203は、保持部材2206の−Z側の面にXY平面に平行になるように取り付けられている。保持部材2206は、パッケージ部材2208の+Z側の面にXY平面に平行に固定されている。
LEDアレイ2202は、Y軸方向に並ぶ複数の光を−Z側に射出する。LEDアレイ2202の各LEDは、1画素に対応している。
ロッドレンズアレイ2204は、複数のロッドレンズRLの配列方向がY軸方向となるようにパッケージ部材2208の内周側に嵌め込まれている。すなわち、ロッドレンズアレイ2204は、LEDアレイ2202の−Z側に配置されている。また、複数のロッドレンズRLは、複数のLEDに個別に対応しており、対応する複数のLEDからの複数の光の光路上に配置されている。
以上のように構成されるプリントヘッド2200の各LEDからの光は、対応するロッドレンズRLにより、対応する感光体ドラム上に集光され、光スポットが形成される。すなわち、各感光体ドラムの表面上に、対応するLEDアレイ2202の各LEDの共役像が形成される。
制御装置3022は、一例として図4に示されるように、CPU3210、フラッシュメモリ3211、RAM3212、IF(インターフェース)3214、画素クロック生成回路3215、画像処理回路3216、書込制御回路3219、光量調整回路3223、光源駆動回路3221などを有している。なお、図4における矢印は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。
画素クロック生成回路3215は、画素クロック信号を生成する。なお、画素クロック信号は、1/8クロックの分解能で位相変調が可能である。
画像処理回路3216は、CPU3210によって色毎にラスター展開された画像データに所定の中間調処理などを行った後、各プリントヘッドのLED毎のドットデータを作成する。
書込制御回路3219は、ステーション毎に、予め定められたタイミングで書込みを開始させる。そして、書き込み開始のタイミングに合わせて、各LEDのドットデータを画素クロック生成回路3215からの画素クロック信号に重畳させるとともに、LED毎にそれぞれ独立した変調データを生成する。
光量調整回路3223は、後に詳しく説明するように、フラッシュメモリ3211に格納された光量補正データに基づいて、プリントヘッド2200の各LEDの発光光量を調整し、調整結果を光源駆動回路3221に通知する。
光源駆動回路3221は、書込制御回路3219からの変調データ、及び光量調整回路3223からの調整結果に応じた駆動信号を、プリントヘッド2200の各LEDに出力する。
IF(インターフェース)3214は、プリンタ制御装置1060との双方向の通信を制御する通信インターフェースである。
フラッシュメモリ3211には、CPU3210にて解読可能なコードで記述された各種プログラム、及びプログラムの実行に必要な各種データが格納されている。
RAM3212は、作業用のメモリである。
CPU3210は、フラッシュメモリ3211に格納されているプログラムに従って動作し、光源装置1010の全体を制御する。
ここで、例えば複数のLEDの個体差及び複数のロッドレンズの光学特性のばらつきなどに起因して、プリントヘッド2200から射出される光の光量にばらつきが生じると、記録紙Wに形成される画像(出力画像)に濃度むら(縦筋)が発生する。
そこで、本実施形態では、出力画像に濃度むらが発生することを抑制すべく、プリントヘッド2200の光量を調整することとしている。
以下に、プリントヘッド2200の光量調整方法の一例を、図5のフローチャートを参照しつつ説明する。このプリントヘッド2200の光量調整は、一例として、レーザプリンタ1000の製造時に、作業者によって行われる。
先ず、最初のステップS1では、一例として、図6に示されるように、第1基準パターン100及び第1明度情報取得用パターン150を含む第1のパターンP1、及び第2基準パターン200及び第2明度情報取得用パターン250を含む第2のパターンP2を記録紙Wに形成する。
ここでは、一例として、第1のパターンP1は、記録紙Wの搬送方向下流側(−X側)の領域に形成され、第2のパターンP2は、記録紙Wの搬送方向上流側(+X側)の領域に形成される。第1及び第2のパターンP1、P2は、一連一体になっており、全体として1つのパターンPを構成する。なお、以下では、便宜上、パターンPを構成する画素数を、実際よりも少なくしている。
パターンPは、前述したレーザプリンタ1000による一連の画像形成プロセスと同様のプロセスで形成される。すなわち、プリントヘッド2200からのパターンPの画像情報に基づいて変調された光が、感光体ドラム1030の表面に照射され、該表面に潜像が形成される。そして、この潜像が現像ローラ1032によって現像され、現像された画像が転写チャージャ1033によって記録紙Wに転写された後、定着装置1040によって定着される。なお、パターンPの画像情報は、予めフラッシュメモリ3211に格納されている。
ここで、一例として、プリントヘッド2200の解像度は、1200dpi(dots per inch)に設定されており、パターンPは、1200dpiの解像度で記録紙Wに形成される。
パターンPは、X軸方向に並ぶ複数(例えば48個)の画素をそれぞれが含み、Y軸方向に並ぶ複数(例えば24個)の画素列で構成されている。パターンPを構成する複数(例えば1152個)の画素のうち、黒画素は、対応するLEDに同じ大きさの電流が供給されることで形成される。
第1及び第2基準パターン100、200は、一例として、配置が異なる点を除いて、実質的に同一の構成を有している。具体的には、第1及び第2の基準パターン100、200それぞれは、一例として、記録紙Wの搬送方向(X軸方向)に延びる細長いライン状パターンであり、記録紙Wの搬送方向に直交する方向(Y軸方向)の位置が互いに異なるように記録紙WのY軸方向の中央付近に形成される。以下では、第1及び第2基準パターン100、200を、区別しない場合は、基準パターンと総称する。
より詳細には、基準パターンは、一例として、解像度1200dpiでX軸方向に24行、かつY軸方向に4列のマトリクス状に配列された96個の画素から成るX軸方向を長手方向とする長方形状のパターンである。基準パターンは、一例として、プリントヘッド2200の複数のLEDのうち、Y軸方向の中央付近に位置する4つのLEDを常時消灯することで形成される。すなわち、基準パターンは、X軸方向に延びる細長い白抜きのライン状パターンである(図7参照)。なお、基準パターンは、対応する4つのLEDが常時点灯されることで形成されるX軸方向に延びる黒色のライン状パターンとされても良い。
第1及び第2明度情報取得用パターン150、250は、配置が異なる点を除いて、実質的に同一の構成を有している。すなわち、第1及び第2のパターンP1、P2は、基準パターンの位置を除いて、実質的に同一の構成を有している。以下では、第1及び第2明度情報取得用パターン150、250を、区別しない場合、明度情報取得用パターンと総称する。
明度情報取得用パターンは、一例として、千鳥状に配列された複数の正方形パターンをそれぞれが含み、基準パターンをY軸方向に挟む2つのチェッカーパターンCP1、CP2で構成されている。すなわち、明度情報取得用パターンは、基準パターンによって、2つの領域(2つのチェッカーパターンCP1、CP2)に分断されている。換言すると、基準パターンは、明度情報取得用パターンの内部に位置している。
明度情報取得用パターンは、画像面積率(全画素に占める黒画素の割合)が50%の中間調の均一なパターンともいえる(図7参照)。より詳細には、明度情報取得用パターンを構成する各画素列の画像面積率、すなわち該画素列の全画素に占める黒画素の割合は、互いに等しく設定されている。換言すると、明度情報取得用パターンの各画素列では、黒画素と白画素の比が1:1に設定されている。
各正方形パターンは、一例として、X軸方向に4行、かつY軸方向に4行のマトリクス状に配列された16個の画素から成る正方形状のパターンであり、Y軸方向に隣接する4つのLEDが記録紙Wの4画素分の搬送時間だけ点灯又は消灯されることで形成される。
各チェッカーパターンは、Y軸方向に隣接する4つのLEDをそれぞれが含み、Y軸方向に隣接する複数のLED群が、1LED群おきに、交互に点灯又は消灯されることで形成される。
記録紙Wは、定着装置1040よってパターンPが定着された後、排紙トレイ1043に排出される。
次のステップS3では、第1及び第2のパターンP1、P2をスキャナ1085で読み取る。具体的には、排紙トレイ1043に排出された記録紙Wが、作業者によって第1及び第2のパターンP1、P2の並び方向がX軸方向になるようにスキャナ1085にセットされ、スキャンされる。スキャナ1085の読み取り解像度は、一例として、プリントヘッド2200の解像度と同じ1200dpiとされている。スキャナ1085によって読み取られた第1及び第2のパターンP1、P2の画像情報は、明度計測装置2500に送られる。
次のステップS5では、第1明度情報取得用パターン150の各画素列における第1明度情報を取得する。
具体的には、先ず、明度計測装置2500は、第1のパターンP1の明度情報を画素単位(解像度1200dpi)で計測する。次いで、第1のパターンP1の明度情報をX軸方向に平均化する。すなわち、第1のパターンP1の複数の画素列それぞれのX軸方向に並ぶ複数の画素の明度情報の平均値を求めて、該平均値を該画素列の第1明度情報として取得する。
図8(A)には、明度計測装置2500によって取得された第1のパターンP1の各画素列の第1明度情報がグラフにて示されている。図8(A)から、第1基準パターン100を構成する4個の画素列の明度が、第1明度情報取得用パターン150を構成する20個の画素列の明度に比べて、著しく高いことが分かる。この結果、第1基準パターン100の各画素列のY軸方向の位置(以下では、Y位置と称する)を概ね特定することができる。
次のステップS7では、第2明度情報取得用パターン250の各画素列における第2明度情報を取得する。
具体的には、明度計測装置2500は、第2のパターンP2の明度情報を画素単位(解像度1200dpi)で計測する。そして、第2のパターンP2の明度情報をX軸方向に平均化する。すなわち、第2のパターンP2の複数の画素列それぞれのX軸方向に並ぶ複数の画素の明度情報の平均値を求めて、該平均値を該画素列の第2明度情報として取得する。
図8(B)には、明度計測装置2500によって取得された第2のパターンP2の各画素列の第2明度情報がグラフにて示されている。図8(B)から、第2基準パターン200を構成する4個の画素列の明度が、第2明度情報取得用パターン250を構成する20個の画素列の明度に比べて、著しく高いことが分かる。この結果、第2基準パターン200の4個の画素列のY位置を概ね特定することができる。
次のステップS9では、第1基準パターン100の4つの画素列、及び第1基準パターン100に対応する4つのLEDを基準として、第1明度情報取得用パターン150の20個の画素列と、第1明度情報取得用パターン150に対応する20個のLEDとを個別に対応付ける。
具体的には、一例として、第1基準パターン100に対応する4個のLEDのLED番号を13〜16とする。これら4つのLEDのY位置は、それぞれ、0.2752mm(≒13×25.4/1200)、0.2963(≒14×25.4/1200)、0.3175(=15×25.4/1200)、0.3387mm(≒16×25.4/1200)と求められる。これら4つの値の平均値≒0.3069mmである。同様にして、第1明度情報取得用パターン150に対応する20個のLED(LED番号1〜13、18〜24)のY位置を求めることができる。
そこで、例えば図8(A)における明度のピークのY軸方向の中央のY位置を上記平均値0.3069mmとすれば、上記と同様にして、第1明度情報取得用パターン150の20個の画素列のY位置を求めることができる。
そして、第1明度情報取得用パターン150に対応する20個のLEDのY位置と、第1明度情報取得用パターン150の20個の画素列のY位置との対応関係に基づいて、第1明度情報取得用パターン150の20個の画素列と、第1明度情報取得用パターン150に対応する20個のLEDとを個別に対応付けることができる。
次のステップS11では、第2基準パターン200の4つの画素列、及び第2基準パターン200に対応する4つのLEDを基準として、第2明度情報取得用パターン250の、第1基準パターン100の4つの画素列に対応する4つの画素列と、第1基準パターン100の4つのLEDとを個別に対応付ける。
具体的には、一例として、第2基準パターン200に対応する4個のLEDのLED番号を9〜12とする。これら4つのLEDのY位置は、それぞれ、0.1905mm(=9×25.4/1200)、0.2117(≒10×25.4/1200)、0.2328(≒11×25.4/1200)、0.254mm(=12×25.4/1200)と求められる。これら4つの値の平均値≒0.2223mmである。同様にして、第2明度情報取得用パターン250に対応する20個のLED(LED番号1〜8、13〜24)のY位置を求めることができる。
そこで、例えば図8(B)における明度のピークのY軸方向の中央のY位置を上記平均値0.2223mmとすれば、上記と同様にして、第2明度情報取得用パターン250の、第1基準パターン100の4つの画素列に対応する4つの画素列のY位置を求めることができる。
そして、第2明度情報取得用パターン250の、第1基準パターン100の4つの画素列に対応する4つの画素列のY位置と、第1基準パターン100の4つの画素列に対応する4つのLEDのY位置との対応関係に基づいて、第2明度情報取得用パターン250の、第1基準パターン100の4つの画素列に対応する4つの画素列と、第1基準パターン100の4つの画素列に対応する4つのLEDとを個別に対応付けることができる。
次のステップS13では、第1明度情報取得用パターン150の20個の画素列の明度情報である20個の第1明度情報に基づいて、第1明度情報取得用パターン150の20個の画素列に個別に対応する20個のLEDの発光光量を調整する。
次のステップS15では、第2明度情報取得用パターン250における第1基準パターン100の4個の画素列に対応する4個の画素列の明度情報である4つの第2明度情報に基づいて、第1基準パターン100の4個の画素列に個別に対応する4個のLEDの発光光量を調整する。
具体的には、光量補正データ演算回路3500によって、予め求められたLEDの発光光量の変化と明度変化との関係(図9参照)に基づいて、例えば、第1明度情報取得用パターン150の20個の画素列の明度情報、及び第2明度情報取得用パターン250における第1基準パターン100の4個の画素列に個別に対応する4個の画素列の明度情報が均一になるようにプリントヘッド2200の光量を補正するための光量補正データが算出され、その算出結果が、フラッシュメモリ3211に格納される。
なお、LEDの発光光量の変化と明度変化との関係は、予めLEDの発光光量を変えて記録紙に形成した画像をスキャナで読み取り、読み取られた画像の明度情報を計測することで求められる。
光量補正データの算出方法を、以下に簡単に説明する。一例として、明度を1大きく変化させるために、LEDの発光光量を3%低下させる関係(光量補正係数−3)があるとする(図7参照)。一例として、第1明度情報取得用パターン150の20個の画素列と、第2明度情報取得用パターン250における第1基準パターン100に対応する4つの画素列とを加えた全24個の画素列の明度の平均が50である場合に、第1明度情報取得用パターン150に明度49の画素列及び明度51の画素列があるとき、明度を49から50にするためには、明度49の画素列に対応するLEDの発光光量を3%低下させば良く、明度を51から50にするためには、明度51の画素列に対応するLEDの発光光量を3%増加させれば良い。第1基準パターン100に対応する4つのLEDの発光光量の調整も、同様に、第2明度情報取得用パターン250における第1基準パターン100に対応する4つの画素列の明度が50となるように、行えば良い。なお、ここでは、各LEDの発光光量の調整は、一例として各LEDに供給する電流の大きさを変えることにより行われる。
すなわち、上記全24個の画素列の明度の平均(例えば50)と、第1明度情報取得用パターン150の各画素列の明度情報又は第2明度情報取得用パターン250の第1基準パターン100に対応する各画素列の明度情報と、の差に、上記光量補正係数−3を掛けた値を、該画素列に対応するLEDの発光光量の補正データとすれば良い(表1参照)。
なお、表1には、一例として、第1明度情報取得用パターン150の、LED番号8〜12の5つのLEDに対応する5つの画素列の明度、該明度と平均明度との差A、及び光量補正係数B及び補正データ(A×B)が示されている。
以上のようにして算出された各LEDの補正データを含むデータが、プリントヘッド2200の光量補正データである。
そして、例えばパソコン等の上位装置からレーザプリンタ1000に印刷要求があると、フラッシュメモリ3211に格納された光量補正データが光量調整回路3223に送られ、該光量調整回路3223によって光量補正データに基づいて各LEDの発光光量が調整され、調整結果が光源駆動回路3221に送られる。光源駆動回路3221は、書込制御回路3219からの変調データ及び光量調整回路3223からの調整結果に応じた駆動信号を、該LEDに出力する。
以上のようにしてプリントヘッド2200の光量補正データが作成及び保存され、印刷が行われる際に、該光量補正データを用いてプリントヘッド2200の光量が調整される。
なお、上述したプリントヘッド2200の光量補正データの作成及び保存は、例えば、作業者、サービスマン又はユーザによって操作部を介して適宜行われることとしても良いし、例えば温度、湿度、印刷回数等に基づいて又は定期的に、自動で行われることとしても良い。
以上説明した本実施形態の光量調整方法は、複数のLEDの配列方向であるY軸方向に直交するX軸方向に搬送される記録紙Wに、プリントヘッド2200を用いて、第1明度情報取得用パターン150及び該第1明度情報取得用パターン150の内部に位置する第1基準パターン100を含む第1のパターンP1、並びに第2明度情報取得用パターン250を含む第2のパターンP2を、X軸方向に並べて形成するパターン形成工程と、第1基準パターン100に対応する複数のLED及び第1基準パターン100を基準として、複数のLEDのうちの第1明度情報取得用パターン150に対応する複数のLEDと、第1明度情報取得用パターン150の複数の画素列とを対応付ける第1対応付け工程と、第1明度情報取得用パターン150の複数の画素列における第1明度情報を取得するとともに、第2明度情報取得用パターン250の、第1基準パターン100の複数の画素列に対応する複数の画素列における第2明度情報を取得する明度情報取得工程と、第1明度情報に基づいて第1明度情報取得用パターン150に対応する複数のLEDの発光光量を調整するとともに、第2明度情報に基づいて第1基準パターン100に対応する複数のLEDの発光光量を調整する発光光量調整工程と、を含んでいる。
この場合、第1明度情報取得用パターン150の複数の画素列の近くに位置する第1基準パターン100の複数の画素列、及び第1基準パターン100に対応する複数のLEDを基準として、第1明度情報取得用パターン150の複数の画素列と、第1明度情報取得用パターン150に対応する複数のLEDとの対応付けを精度良く行うことができる。また、第2明度情報取得用パターン250の、第1基準パターン100の複数の画素列に対応する複数の画素列と、第1基準パターン100に対応する複数のLEDとを対応付けることができる。
そして、第1明度情報取得用パターン150の複数の画素列における第1明度情報に基づいて、第1明度情報取得用パターン150の複数の画素列に対応する複数のLEDの発光光量が調整され、第2明度情報取得用パターン250の、第1基準パターン100の複数の画素列に対応する複数の画素列における第2明度情報に基づいて、第1基準パターン100の複数の画素列に対応する複数のLEDの発光光量が調整される。
この結果、プリントヘッド2200の各LEDの発光光量を精度良く調整することができ、ひいてはプリントヘッドを用いて形成される画像(出力画像)に濃度むら(縦筋)が発生することが抑制される。すなわち、出力画像の品質を向上させることができる。
一方、仮に基準パターンが明度情報取得用パターンの外部に配置される場合、明度情報取得用パターンの複数の画素列の遠くに位置する基準パターンの複数の画素列、及び該基準パターンに対応する複数のLEDを基準として、明度情報取得用パターンの複数の画素列と、明度情報取得用パターンに対応する複数のLEDとの対応付けを行うことになるため、この対応付けの精度が低下し、ひいては出力画像の品質を向上させることができない。
また、本実施形態のプリントヘッドの光量調整方法は、第2のパターンP2は、第1基準パターン100とY軸方向の位置が異なる第2基準パターン200を第2明度情報取得用パターン250の内部に含み、第2発光光量調整工程に先立って、第2基準パターン200に対応する複数のLED及び第2基準パターンの複数の画素列を基準として、第2明度情報取得用パターン250の、第1基準パターンの複数の画素列に対応する複数の画素列と、複数のLEDのうちの第1基準パターンに対応する複数のLEDとを対応付ける第2対応付け工程を更に含んでいる。
この場合、第1基準パターンの近くに位置する第2基準パターン200、及び第2基準パターン200の複数の画素列に対応する複数のLEDを基準として、第2明度情報取得用パターン250の、第1基準パターン100の複数の画素列に対応する複数の画素列と、第1基準パターン100に対応する複数のLEDとの対応付けを精度良く行うことができる。
そして、仮に記録紙Wの搬送方向がX軸方向からずれても、第1基準パターン100と第1明度情報取得用パターン150のY軸方向の位置関係、及び第2基準パターン200と第2明度情報取得用パターン250のY軸方向の位置関係は、不変なため、第1明度情報取得用パターン150の複数の画素列と、第1明度情報取得用パターン150に対応する複数のLEDとの対応づけ、及び第2明度情報取得用パターン250の、第1基準パターン100に対応する複数の画素列に対応する複数の画素列と、第1基準パターンに対応する複数のLEDとの対応づけを精確に行うことができる。
また、明度情報取得用パターンを構成する複数の正方形状パターンの一辺の長さ(例えば4画素分)は、スキャナの読み取り間隔(例えば2画素分)よりも大きく設定されている。この場合、複数の正方形状パターンを高精細に(SN比良く)読み取ることができる。
また、第1基準パターン100は、記録紙WのY軸方向の中央付近に形成される。すなわち、第1基準パターン100は、パターンPのY軸方向のほぼ中央に位置する。
この場合、第1明度情報取得用パターン150の複数の画素列のうち、第1基準パターン100の−Y側に位置する複数の画素列と、第1明度情報取得用パターン150に対応する複数のLEDのうち、第1基準パターン100に対応する複数のLEDの−Y側に位置する複数のLEDとの対応付けと、第1明度情報取得用パターン150の複数の画素列のうち、第1基準パターン100の+Y側に位置する複数の画素列と、第1明度情報取得用パターン150に対応する複数のLEDのうち、第1基準パターン100に対応する複数のLEDの+Y側に位置する複数のLEDとの対応付けと、を極力均等に行うことができ、結果として、出力画像に濃度むらが発生することを極力抑制することができる。
また、第2基準パターン200は、Y軸方向に関して、第1基準パターン100に近接して形成される。
この場合、第1基準パターン100に対応する複数のLEDと、第2明度情報取得用パターン250の、第1基準パターン100の複数の画素列に対応する複数の画素列と、第1基準パターン100に対応する複数のLEDとの対応付けを、より高精度に行うことができる。
また、本実施形態では、スキャナ1085で読み取った明度情報取得用パターンの各画素列の複数の画素の明度情報の平均値を求め、該平均値を該画素列の明度情報として取得し、該明度情報に基づいて、対応するLEDの発光光量を調整している。この結果、各画素列の複数の画素の明度情報に、例えばスキャナ1085の読み取り精度に起因する測定誤差などによるばらつきがあっても、そのばらつきによる影響を低減でき、縦筋の発生を効果的に抑制することができる。
また、基準パターンは、X軸方向に延びる細長いライン状パターンとされているため、基準パターンのY位置を精度良く検出できる。
そこで、レーザプリンタ1000では、各プリントヘッド2200が本実施形態の光量調整方法で光量調整されるため、濃度むらの発生が十分に抑制された高品質な出力画像を得ることができる。
また、本実施形態の光量調整方法を用いて、レーザプリンタ1000を製造することができる。すなわち、レーザプリンタ1000の製造時に、プリントヘッド2200について上記ステップS1〜ステップS15を行うことで、プリントヘッド2200の光量調整を行うことができる。この結果、画像品質に優れるレーザプリンタ1000を提供することができる。
なお、上記実施形態では、明度情報取得用パターンを構成する複数の正方形状パターンは、4行4列のマトリクス状に配列された16個の画素を含んでいるが、これに限らず、要は、n行n列(nは、自然数)のマトリクス状に配列されたn2個の画素を含んでいることが好ましい。また、上記実施形態では、基準パターンは、24行4列のマトリクス状に配列された96個の画素を含んでいるが、これに限らず、要は、k行i列(k及びiは自然数でk>i)のマトリクス状に配列されたk×i個の画素を含んでいることが好ましい。
また、i=nであることが更に好ましい。この場合、第2明度情報取得用パターンの、第1基準パターンに対応する画素列の数と、第1基準パターンに対応するLEDの数が同じになり、個別に対応付けることができる。
一例として、図10(A)及び図10(B)には、n=3、k=24、i=3、m=8の場合が示されている。また、一例として、図11(A)及び図11(B)には、n=2、k=24、i=2、m=12の場合が示されている。なお、図10(A)及び図11(A)に示される基準パターンは、該基準パターンに対応する3つのLEDが常時消灯されることで形成される。また、図10(B)及び図11(B)に示される基準パターンは、該基準パターンに対応する3つのLEDが常時点灯することで形成され、該基準パターンの画素列の明度は、明度変化の谷として表される。
なお、使用頻度が多い画像の最小単位(正方形状パターン)は、プリンタ(機種)によっても異なる。n行n列の最小単位のうち、プリンタに応じて、使用頻度が高い最小単位で構成されたパターンを用いて、出力画像の濃度むらを補正することが効果的である。
また、上記実施形態では、明度情報取得用パターンは、画像面積率50%の中間調のパターンとされているが、これに限られない。例えば、図12(A)及び図12(B)では、明度情報取得用パターンは、画像面積率25%の中間調のパターンとされている。この場合も、正方形状パターン(最小単位)は、プリントヘッド2200の各LEDを少なくとも一回点灯させて形成されるように、千鳥状に配列されている。なお、図12(A)に示される基準パターンは、該基準パターンに対応する3つのLEDが常時消灯されることで形成される。また、図12(B)に示される基準パターンは、該基準パターンに対応する3つのLEDが常時点灯することで形成される。この場合も、使用頻度が多い画像の最小単位で構成されたパターンを用いて、出力画像の濃度むらを補正することが効果的である。
また、上記実施形態では、第1及び第2のパターンが基準パターンを1つずつ有しているが、第1及び第2のパターンの少なくとも一方が、X軸方向の異なる領域の、Y軸方向の異なる複数位置に複数の基準パターンを有していても良い。
この場合も、一の基準パターンの画素列及び該一の基準パターンに対応するLEDを基準として、一の明度情報取得用パターンの複数の画素列と、該明度情報取得用パターンに対応する複数のLEDとの対応付けを行うとともに、他の基準パターンの画素列及び該他の基準パターンに対応するLEDを基準として、他の明度情報取得用パターンの、一の基準パターンの画素列に対応する画素列と、一の基準パターンに対応するLEDとの対応付けを行えば良い。
具体例としては、図13(A)には、第1のパターンが1つの基準パターンを−Y側部に有し、かつ第2のパターンが2つの基準パターンをそれぞれ−X側の領域のY軸方向中央部及び+X側の領域の+Y側部に有するパターンP´が示されている。また、図13(B)には、第1のパターンが1つの基準パターンを−Y側部に有し、かつ第2のパターンが3つの基準パターンをそれぞれ−X側の領域の−Y側部、X軸方向中央の領域のY軸方向中間部、+X側の領域の+Y側部に有するパターンP´´が示されている。
図13(A)では、例えば、第1のパターンの−Y側部(最も−X側の基準パターンに近い部分)、第2のパターンの−X側の領域のY軸方向の中央部(X軸方向の中央の基準パターンに近い部分)、及び第2のパターンの+X側の領域の+Y側部(最も+X側の基準パターンに近い部分)の3つの部分それぞれにおいて、明度情報取得用パターンの画素列と該明度情報取得用パターンに対応するLEDとの対応付けを行うことで、対応付けの精度を、より一層向上させることができる。そして、上記3つの部分それぞれにおいて、明度情報を取得し、該明度情報に基づいて、対応するLEDの発光光量の補正データを作成すれば、各LEDの発光光量をより精度良く調整することができる。
図13(B)では、図13(A)に示される場合よりも、更に、各LEDの発光光量を精度良く調整することができる。
すなわち、基準パターンと、該基準パターンを基準としてY位置が求められる明度情報取得領域の各画素列との距離が近いほど、LEDと画素列との対応付けの精度を向上させることができる。
上記実施形態では、プリントヘッド2200の光量調整(図5のステップS1〜S15)を1回行っているが、同様の光量調整(図5のステップS1〜S15)を、複数回行っても良い。
すなわち、上記実施形態の光量調整方法で光量調整されたプリントヘッド2200を用いて記録紙にパターンPを形成し、該パターンPをスキャナ1085で読み取って、同様に、プリントヘッド2200の各LEDの発光光量を補正しても良い。このように、再補正を行うことで、前回の補正で解消できなかった濃度むらを低減することができるため、出力画像の品質を更に向上することができる。
上記実施形態では、プリントヘッド2200の解像度とスキャナ1085の読み取り解像度を等しくしているが、これに限られない。例えば、プリントヘッドの解像度をスキャナの読み取り解像度の整数倍とし、すなわちスキャナの読み取り最小単位をプリントヘッドの最小単位の整数倍とし、補正データを読み取り解像度で(読み取り最小単位で)作成しても良い。
例えば、スキャナの読み取り最小単位を、プリントヘッドの最小単位21μm(1200dpi相当)の2倍である42μm(600dpi)とし、補正データを42μm単位で求め、該補正データをプリントヘッドの隣接する2つのLED(奇数素子及び偶数素子)の発光光量の調整値の平均値で表すこととしても良い。この場合、補正階調を大きく取れる効果がある。例えば補正データの最小単位が1%であっても、奇数素子及び偶数素子の発光光量の調整値を、以下の表2のように設定することで0.5%刻みの階調を実現できる。この結果、微妙な濃度むらを補正することができる。
また、例えば、スキャナの読み取り最小単位をプリントヘッドの最小単位の3倍とすると、0.33%刻みで階調表現が可能となる。
なお、上記実施形態では、第1基準パターン100のY位置と、該第1基準パターン100に対応するLEDを基準として、第1明度情報取得用パターン150のY位置と、第1明度情報取得用パターン150に対応するLEDとの対応付けを行うとともに、第2基準パターン200のY位置と、該第2基準パターン200に対応するLEDを基準として、第2明度情報取得用パターン250の第1基準パターン100のY位置に対応するY位置と、第1基準パターン100に対応するLEDとの対応付けを行っているが、逆でも良い。
すなわち、第2基準パターン200のY位置と、該第2基準パターン200に対応するLEDを基準として、第2明度情報取得用パターン250のY位置と、第2明度情報取得用パターンに対応するLEDとの対応付けを行うとともに、第1基準パターン100のY位置と、該第1基準パターン100に対応するLEDを基準として、第1明度情報取得用パターン150の第2基準パターン200のY位置に対応するY位置と、第2基準パターン200に対応するLEDとの対応付けを行っても良い。
また、上記実施形態では、第1及び第2基準パターン100、200は、パターンPのY軸方向の中央付近に位置しているが、これに限られない。例えば、第1及び第2基準パターン100、200の少なくとも一方は、パターンPの+Y側の端部付近又は−Y側の端部付近に位置していても良い。
また、上記実施形態では、第1及び第2のパターンそれぞれは、基準パターンと、該基準パターンをY軸方向に挟む2つのチェッカーパターンを含む明度情報取得用パターンとで構成されているが、これに限られない。例えば、基準パターンと、該基準パターンを取り囲む1つのチェッカーパターンとで構成されても良い。また、例えば、基準パターンと、該基準パターンを挟む1つ又は2つのハーフトーン(中間調)のベタパターンで構成されても良い。また、例えば、基準パターンと、該基準パターンを取り囲む1つのハーフトーン(中間調)のベタパターンとで構成されても良い。
また、上記実施形態では、第1及び第2のパターンP1、P2の双方が基準パターンを有しているが、第1及び第2のパターンのいずれか一方のみが基準パターンを有していても良い。例えば、第1のパターンP1が第1基準パターン100を有し、第2のパターンが明度情報取得用パターンのみを有していても良い。この場合、第2のパターンの明度情報取得用パターンの、第1基準パターン100の各画素列のY位置と同じY位置の画素列の明度情報を取得し、該明度情報に基づいて、第1基準パターン100に対応する各LEDの発光光量を調整しても良い。この場合、第2のパターンの明度情報取得用パターンの、第1基準パターン100の複数の画素列に対応する複数の画素列の明度情報のみを取得しても良い。
具体的には、図14に示されるように、一例として、パターンP´´´の第2のパターンP2´をチェッカーパターンCP(明度情報取得用パターン)のみで構成し、第2のパターンP2´の、第1基準パターン100の4つの画素列に対応する4つの画素列のY位置を、第2のパターンP2´のY軸方向の一端又は他端を基準として求め、そのY位置における明度情報を取得するようにしても良い。この場合、上記実施形態に比べて、LEDと画素列との対応付けの精度が劣るものの、第2のパターンP2´の、第1基準パターン100に対応する領域のY軸方向の幅が狭いため、出力画像の品質にさほど影響しない。
上記実施形態では、第1及び第2のパターンそれぞれは、基準パターンを1つ有しているが、第1及び第2のパターンの少なくとも一方は、Y軸方向に並ぶ複数の基準パターンを有していても良い。この場合、複数の基準パターンを有する一のパターンを、各基準パターンを含む複数の領域に分割して、分割された各領域において、該領域内の基準パターンを基準として、該領域に対応するLEDと、該領域のY位置との対応付けを行うこととしても良い。なお、この場合、一のパターンの複数の基準パターンそれぞれに対応するLEDと、他のパターンの該基準パターンのY位置に対応するY位置との対応付けを行う必要がある。結果として、LEDと一のパターンのY位置との対応付けをより高精度に行うことができる。
また、この場合、Y軸方向に並ぶ基準パターンの数が多いほど、各基準パターンと、該基準パターンを基準としてY位置が求められる明度情報取得領域の各画素列との距離が近くなり、LEDと画素列との対応付けの精度を向上させることができる。
また、上記実施形態では、プリントヘッド2200の解像度及びスキャナ1085の解像度は、それぞれ1200dpiとされているが、これに限定されるものではなく、その他の値とすることも可能である。
また、上記実施形態では、基準パターンは、それぞれが解像度1200dpiでX軸方向に並ぶ複数の画素から成り、Y軸方向に隣接する4つの画素列で構成されたライン状パターンとされているが、これに限定されるものではなく、その他のパターンとすることもできる。すなわち、基準パターンとしては、Y軸方向の位置が精度良く検出可能なパターンであれば、他のパターンでも良い。
また、記録紙W上に形成される基準パターンの幅(Y軸方向の寸法)は、適宜変更可能である。但し、基準パターンの幅は、太過ぎると、基準パターンの複数の画素列と、該基準パターンに対応する複数のLEDとの対応付けにおいて誤差が大きくなるおそれがあるため、基準パターンの幅は、600dpiの2ドット幅以下にすることが好ましい。また、基準パターンは、細過ぎても誤差が大きくなるおそれがあるため、1200dpiの1ドット幅以上にすることが好ましい。
また、上記実施形態では、第1及び第2のパターンは、一連一体に形成されているが、不連続に(別体に)形成されても良い。すなわち、第1及び第2のパターンがX軸方向に離間して形成されても良い。
また、基準パターン、及び明度情報取得用パターンを構成する複数のパターンの形状、大きさ、数、配置、トーン(階調)は、上記実施形態で説明したものに限られず、適宜変更可能である。例えば、基準パターンは、ライン状パターンに別のパターンが付加されたものであっても良い。また、例えば、基準パターンは、中間調のパターンであっても良い。また、明度情報取得用パターンを構成する複数のパターンは、正方形状パターンに限らず、例えば、X軸方向を長手方向とする長方形状パターンであっても良い。また、明度情報取得用パターンを構成する複数のパターンは、千鳥状に配列されていなくても良い。但し、この場合でも、明度情報取得用パターンを構成する各画素列の画像面積率、すなわち該画素列全体に占める黒画像の比率を互いに同じにすることが望ましい。
要は、第1のパターンは、第1明度情報取得用パターンに対応する複数のLEDが少なくとも1回点灯されるとともに、第1基準パターンに対応する複数のLEDが常時点灯又は常時消灯されることで形成され、第2のパターンは、少なくとも第1基準パターンに対応するLEDが少なくとも1回点灯されるとともに、第2の基準パターンに対応するLEDが常時点灯又は常時消灯されることで形成されることが望ましい。
また、上記実施形態では、複数のLEDは、Y軸方向に1列に配列されているが、これに限らず、例えばY軸方向の位置が互いに異なるように2次元配列されていても良く、要は、複数のLEDは、Y軸方向の位置が互いに異なるように配列されていれば良い。
また、上記実施形態では、レーザプリンタ1000は、原稿読み取り用のスキャナを搭載していないが、該スキャナを搭載しているプリンタを用いる場合には、パターンPを該スキャナで読み取ることとしても良い。
また、上記実施形態では、レーザプリンタ1000の製造時に、プリントヘッド2200の光量調整を行っているが、これに代えて又は加えて、例えば、レーザプリンタ1000のメンテナンス時に、同様の光量調整方法でプリントヘッド2200の光量調整を行うこととしても良い。
また、上記実施形態において、制御装置3022は、光量調整回路3223を有していなくても良い。この場合、上記実施形態で光量調整回路3223が行う処理を、例えばCPU3210が行うこととしても良い。
また、上記実施形態において、制御装置3022での処理の少なくとも一部を、プリンタ制御装置1060が行っても良い。また、プリンタ制御装置1060での処理の少なくとも一部を、制御装置3022が行っても良い。
また、上記実施形態では、基準パターンに対応するLEDは、4つであるが、1つ〜3つ又は5つ以上であっても良い。
また、上記実施形態では、発光部としてLEDを用いているが、これに限らず、例えば有機EL、レーザなどを用いても良い。
また、上記実施形態では、1つのプリントヘッドを備えるモノクロのレーザプリンタ1000が採用されているが、複数の色に個別に対応する複数のプリントヘッドを備えるカラープリンタを採用しても、該カラープリンタの製造時又はメンテナンス時に、各色毎に、同様の光量調整方法を用いてプリントヘッドの光量調整を行うことで、出力画像(カラー画像)の濃度むらを解消できる。結果として、出力画像の品質を向上できるカラープリンタを提供できる。
また、上記実施形態では、第1明度情報取得用パターン150に対応する20個のLEDのY位置を、第1基準パターンに対応する4つのLEDのY位置の平均値を基準として、求めているが、これに限られない。例えば、第1基準パターンに対応するLEDが1個の場合は、該LEDのY位置を基準とし、第1基準パターンに対応するLEDが3以上の奇数の場合は、中央のLEDのY位置を基準として、求めても良い。
また、上記実施形態では、画像形成装置として、レーザプリンタ1000が採用されているが、これに代えて、例えば複写機、複写機とその他の装置との複合機などを採用することとしても良い。なお、例えば、複写機などで原稿読み取り用のスキャナが内蔵されている場合は、そのスキャナをパターンPの読み取りにも用いることとしても良い。
また、上記実施形態における図5のフローチャートでは、ステップS5とステップS7の順序は逆でも良く、ステップS9とステップS11の順序は逆でも良く、ステップS13とステップS15の順序は逆でも良い。
以下に、本発明の他の実施形態を図15〜図27に基づいて説明する。図15には、他の実施形態に係るカラープリンタ2000の概略構成が示されている。
このカラープリンタ2000は、図15に示されるように、4色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、一例として、4つのプリントヘッド(2200a、2200b、2200c、2200d)を有する光源装置2010、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つのクリーニングユニット(2031a、2031b、2031c、2031d)、4つの帯電装置(2032a、2032b、2032c、2032d)、4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)、4つのトナーカートリッジ(2034a、2034b、2034c、2034d)、4つの第1転写ローラ(2041a、2041b、2041c、2041d)、転写ベルト2040、第2転写ローラ2042、定着装置2050、給紙コロ2054、レジストローラ対2056、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、スキャナ2085、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
ここでは、XYZ3次元直交座標系において、各感光体ドラムの長手方向(回転軸方向)に平行な方向をY軸方向、4つの感光体ドラムの配列方向に平行な方向をX軸方向として説明する。
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
プリンタ制御装置2090は、CPU、該CPUにて解読可能なコードで記述されたプログラム及び該プログラムを実行する際に用いられる各種データが格納されているROM、作業用のメモリであるRAM、アナログデータをデジタルデータに変換するAD変換回路などを有している。そして、プリンタ制御装置2090は、上位装置からの画像情報を光源装置2010に送る。
感光体ドラム2030a、プリントヘッド2200a、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、トナーカートリッジ2034a、クリーニングユニット2031a及び第1転写ローラ2041aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030b、プリントヘッド2200b、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、トナーカートリッジ2034b、クリーニングユニット2031b及び第1転写ローラ2041bは、組として使用され、イエロー画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030c、プリントヘッド2200c、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、トナーカートリッジ2034c、クリーニングユニット2031c及び第1転写ローラ2041cは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030d、プリントヘッド2200d、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、トナーカートリッジ2034d、クリーニングユニット2031d及び第1転写ローラ2041dは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。なお、各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図15における面内で矢印方向に回転するものとする。以下では、4つの感光体ドラム2030a〜2030dを、区別する必要がない場合は、感光体ドラム2030とも称する。なお、感光体ドラムは、像担持体の一例である。
各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面を均一に帯電させる。
光源装置2010は、プリンタ制御装置2090からの多色の画像情報(ブラック画像情報、イエロー画像情報、マゼンタ画像情報、シアン画像情報)に基づいて、各色毎に変調された光を、対応する帯電された感光体ドラムの表面に照射する。これにより、各感光体ドラムの表面には、画像情報に対応した潜像が形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像ローラの方向に移動する。この光源装置2010の詳細については後述する。
各現像ローラは、回転に伴って、対応するトナーカートリッジからのトナーが、その表面に薄く均一に塗布される。そして、各現像ローラの表面のトナーは、対応する感光体ドラムの表面に接すると、該表面における光が照射された部分にだけ移行し、そこに付着する。すなわち、各現像ローラは、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(トナー画像)は、感光体ドラムの回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。
ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各トナー画像は、対応する第1転写ローラを介してバイアス電圧が印加された転写ベルト2040上に所定のタイミングで順次転写され、重ね合わされて多色のカラー画像が形成される。
給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙コロ2054が配置されており、該給紙コロ2054は、記録紙を給紙トレイ2060から1枚ずつ取り出し、レジストローラ対2056に搬送する。該レジストローラ対2056は、所定のタイミングで記録紙を転写ベルト2040とバイアス電圧が印加された転写ローラ2042との間隙に向けて送り出す。これにより、転写ベルト2040上のカラー画像が記録紙に転写される。ここでカラー画像が転写された記録紙は、定着装置2050に送られる。
定着装置2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。ここでトナーが定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次積み重ねられる。
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電装置に対向する位置に戻る。
スキャナ2085は、一例として、定着装置2050と排紙トレイ2070との間の記録紙の搬送路近傍に配置されている。スキャナ2085は、発光素子を含む光照射手段によって後述する記録紙に形成された所定画像に光を照射し、その反射光を複数の受光素子で受光することで、該所定画像を読み取る。スキャナ2085は、記録紙の幅方向(Y軸方向)全域を光によってY軸方向に走査(スキャン)する。スキャナ2085の読み取りの解像度は、一例として600dpiに設定されている。
次に、前記光源装置2010の構成について説明する。
光源装置2010は、4つのプリントヘッド(2200a、2200b、2200c、2200d)に加えて、制御装置3022Aなどを有している。そして、これらは、不図示の光学ハウジングに取り付けられている。
4つのプリントヘッド2200a〜2200dは、一例として、対応する感光体ドラムの−Z側に配置されている。すなわち、4つのプリントヘッド2200a〜2200dは、一例として、X軸方向に配列されている。なお、以下では、4つのプリントヘッド2200a〜2200dを、区別しない場合は、プリントヘッドPHと総称する。
プリントヘッドPHは、図16に示されるように、一例として、有機EL装置10、結像光学素子12などを有している。ここで、ELは、「エレクトロルミネッセンス」の略称である。
有機EL装置10は、一例として、不図示のハウジング内に収容されている。そこで、該ハウジングとして、外部からの電気的な外乱ノイズ(例えば、対応する帯電装置からの高電圧ノイズ)に対して、該外乱ノイズを遮蔽するような導電性を有するもの(例えば導電性を有する材質からなるもの、導電性を有する表面処理加工が施されたものなど)を採用することにより、耐ノイズ性を向上させることができる。
有機EL装置10は、図17に示されるように、一例として、複数のELAチップ16(有機ELアレイチップ)、複数の駆動IC18、ケーブル接続用コネクタ20、これらが実装されている第1基板22などを有している。
第1基板22としては、一例として、ガラスエポキシを主成分とする細長いプリント基板が用いられている。
複数のELAチップ16は、一例として、第1基板22上にY軸方向に配列されている。各ELAチップ16は、一例として、第2基板16aと、該第2基板16a上にY軸方向に配列された複数の有機EL素子16bとを有している。すなわち、複数の有機EL素子16bは、Y軸方向に配列されている。各有機EL素子16bは、1画素に対応している。有機EL素子は、低消費電力である。
具体的には、第1基板22上には、Y軸方向の画像書込幅L(有効書込領域の幅、図19参照)に対応して、すなわち有効書込領域全域をカバーするように、複数(例えば数十〜数百個程度)の第2基板16aがY軸方向に配列されている。各第2基板16a上には、複数(例えば数十〜数百個程度)の有機EL素子16bがY軸方向に所定間隔Pi(以下では、隣接素子間隔Piとも称する)で配列されている(図17の部分拡大図参照)。
詳述すると、複数の第2基板16aは、隣り合う2つの第2基板16aの隣接する2つの端部にそれぞれ位置する2つの有機EL素子16bの間隔、すなわち隣り合う2つの第2基板16aのうち、一方の最も他方側に位置する有機EL素子16bと、他方の最も一方側に位置する有機EL素子16bとの間隔(以下では、隣接チップ素子間隔Ptと称する)が隣接素子間隔Piに等しくなるように第1基板22上に実装されている。すなわち、全有機EL素子16bは、等間隔(Pi)でY軸方向に配列されている。なお、各ELAチップ16の第2基板16aのY軸方向の幅は、ウェハからの採り個数が最大となるように生産上設定される定型幅となる。
すなわち、複数の有機EL素子16bは、所望の画素密度(解像度)で画像が形成される間隔で第2基板16aを介して第1基板22上に実装されている。
具体的には、例えば解像度を600dpiとする場合、隣接素子間隔Pi及び隣接チップ素子間隔Ptを共に42.3μmに設定する必要がある。同様に、例えば解像度を1200dpiとする場合、間隔Pi、Ptを共に21.2μmに設定する必要がある。
より具体的には、解像度1200dpiでA4幅(210mm)に書き込むためには、有機EL素子16bをY軸方向に21.2μm(=Pi=Pt)間隔で9906個配列する必要があり、この場合、例えば1000個の有機EL素子16bを有するELAチップ16を、10個実装する必要がある。同様に、解像度1200dpiでA3幅(297mm)に書き込むためには、有機EL素子16bをY軸方向に14010個配列する必要があり、例えば1000個の有機EL素子16bを有するELAチップ16を、15個実装する必要がある。
ここで、図17におけるDは、プリントヘッド2200の全露光幅Dは、画像書込幅L(図19参照)にY軸方向のマージン分(レジスト調整幅、取付誤差)を加えた値に設定されている。
具体的には、A3サイズの画像を形成する場合には、画像書込幅L=297mm、全露光幅D=302mm以上(画像書込幅L+5mm以上)とすることが好ましい。ここで、「以上」としたのは、ELAチップ16の第2基板16aのY軸方向の幅が前述したように定型幅となることから、定型幅の整数倍の幅という意味である。
以上のように複数のELAチップ16が実装された第1基板22は、各有機EL素子16bの射出方向が概ね−X方向になり、かつ長手方向がY軸方向となるように上記ハウジングに対して位置決めされている。
複数の駆動IC18は、一例として、第1基板22の−X側の面上における複数のELAチップ16の−Z側にY軸方向に並べて実装されている。各駆動IC18は、複数の有機EL素子16bを個別に駆動する複数の駆動トランジスタ(不図示)を有している。
ケーブル接続用コネクタ20は、制御装置3022Aと有機EL装置10とを接続するための伝送ケーブル(不図示)が接続されるコネクタであり、一例として、第1基板22における複数のELAチップ16が実装されている面(−X側の面)の反対側の面(+X側の面)に実装されている。
以上のように構成される有機EL装置10は、各有機EL素子16bから光(拡散光)を−X方向に射出可能である(図16参照)。
結像光学素子12は、一例として、図16に示されるように、有機EL装置10からの光の光路上(ここでは、有機EL装置10の−X側)に位置するように上記ハウジングに取り付けられている。
詳述すると、結像光学素子12は、Y軸方向に延びるプリズムアレイ12aと、該プリズムアレイ12aの入射面(+X側の面)に連続する入射側レンズアレイ12bと、プリズムアレイ12aの射出面(+Z側の面)に連続する射出側レンズアレイ12cと、を含む。
プリズムアレイ12aは、複数の有機EL素子16bに個別に対応するY軸方向に並ぶ複数のマイクロプリズムを有している。入射側レンズアレイ12b及び射出側レンズアレイ12cそれぞれは、複数の有機EL素子16bに個別に対応するY軸方向に並ぶ複数のレンズを有している。
そこで、有機EL装置10から−X方向に射出された光(拡散光)は、入射側レンズアレイ12bを介してプリズムアレイ12aに入射し、該プリズムアレイ12aで光路が90°折り曲げられ、射出側レンズアレイ12cを介して+Z側に収束されつつ射出される。
射出側レンズアレイ12cから射出された光(収束光)、すなわちプリントヘッドPHから射出された光は、対応する感光体ドラムの表面に結像し、該表面に所望の径の光スポットが形成される。
制御装置3022Aは、4つのプリントヘッドPHを制御する点を除いて、図4に示される制御装置3022と同様の構成を有している。すなわち、制御装置3022Aは、CPU3210、フラッシュメモリ3211、RAM3212、IF(インターフェース)3214、画素クロック生成回路3215、画像処理回路3216、書込制御回路3219、光量調整回路3223、光源駆動回路3221などを有している。
画素クロック生成回路3215は、画素クロック信号を生成する。なお、画素クロック信号は、1/8クロックの分解能で位相変調が可能である。
画像処理回路3216は、CPU3210によって色毎にラスター展開された画像データに所定の中間調処理などを行った後、各プリントヘッドPHの有機EL素子毎のドットデータを作成する。
書込制御回路3219は、ステーション毎に、予め定められたタイミングで書込みを開始させる。そして、書き込み開始のタイミングに合わせて、各有機EL素子16bのドットデータを画素クロック生成回路3215からの画素クロック信号に重畳させるとともに、有機EL素子毎にそれぞれ独立した変調データを生成する。また、書込制御回路3219は、所定のタイミング毎に、APC(Auto Power Control)を実施する。
光量調整回路3223は、後に詳しく説明するように、各プリントヘッドPHの有機EL装置10の光量補正データを作成及び保存し、該光量補正データを適宜光源駆動回路3221に送る。
光源駆動回路3221は、書込制御回路3219からの各変調データに応じた駆動信号を、光量調整回路3223からの光量補正データを用いて補正し、補正後の駆動信号を各プリントヘッドPHに出力する。
IF(インターフェース)3214は、プリンタ制御装置2090との双方向の通信を制御する通信インターフェースである。
フラッシュメモリ3211には、CPU3210にて解読可能なコードで記述された各種プログラム、及びプログラムの実行に必要な各種データが格納されている。
RAM3212は、作業用のメモリである。
CPU3210は、フラッシュメモリ3211に格納されているプログラムに従って動作し、光源装置2010の全体を制御する。
ここで、例えば複数の有機EL素子の個体差(発光光量、ビームプロファイル、波長、配向分布)や、結像光学素子12の複数のレンズ及び複数のマイクロプリズムの光学特性(結像特性、透過率等)のばらつきなどに起因して、プリントヘッドPHから射出される光の光量にばらつきが生じると、記録紙Wに形成される画像(出力画像)に濃度むら(縦筋)が発生する。
そこで、出力画像に濃度むらが発生することを抑制すべく、プリントヘッドPHの光量を調整することとしている。
以下に、プリントヘッドPHの光量調整方法の一例を、図18のフローチャートを参照して説明する。この光量調整は、一例として、カラープリンタ2000の製造時に、作業者によって行われる。プリントヘッドPHの光量調整は、ステーション毎に行われるため、ここでは、代表として、一のステーションについて(一のプリントヘッドPHについて)詳細に説明する。以下では、有機EL素子16bを「発光部」とも称する。
最初のステップS21では、複数の発光部の発光光量を補正するための第1光量補正データを作成し、保存する。
具体的には、先ず、プリントヘッドPHの全発光部を点灯させて、各発光部から射出され結像光学素子12を介した光、すなわちプリントヘッドPHからの各光の光量をパワーメータで計測する。この際、全発光部に供給する駆動電流の大きさを同じにする。そして、プリントヘッドPHからの各光の光量が等しくなるように各発光部の発光光量を補正するデータである第1光量補正データを作成し、フラッシュメモリ3211に保存する。すなわち、第1光量補正データは、各発光部の光量補正データを含むデータである。
次のステップS23では、第1光量補正データを用いてプリントヘッドPHの全発光部を点灯させ、対応する感光体ドラム2030等を介して、記録紙WにパターンQ(基準画像)を形成する。
ここで、パターンQは、一例として、図19に示されるように、第1のパターンQ1と、該第1のパターンQ1の+Z側に位置する第2のパターンQ2と、第1のパターンQ1の−Z側に位置する第3のパターンQ3とを含む。ここでは、第1〜第3のパターンQ1〜Q3は、一連一体となっている。
第1のパターンQ1は、第1明度情報取得用パターンα1と、該第1明度情報取得用パターンα1のY軸方向の中央に位置する第1基準パターンβ1と、第1明度情報取得用パターンα1の−Y側の端部に隣接する端部基準パターンγ1aと、第1明度情報取得用パターンα1の+Y側の端部に隣接する端部基準パターンγ1bと、を有する。なお、第1明度情報取得用パターンα1は、第1基準パターンβ1をY軸方向に挟む2つの領域から成る。以下では、2つの端部基準パターンγ1a、γ1bを区別しない場合は、端部基準パターンγ1と総称する。
第1明度情報取得用パターンα1は、図19のA部の拡大図である図20(A)から分かるように、YZ平面に沿って千鳥状に配列された複数の単位発光パターンを有している。各単位発光パターンは、Z軸方向を行方向とし、Y軸方向を列方向とする2行2列のマトリクス状に並ぶ4つの部分を有している。これら4つの部分のうち、+Z側かつ−Y側に位置する1つの部分は、Z軸方向を行方向とし、Y軸方向を列方向とする2行2列のマトリクス状に並ぶ4つの中間調画素から成る。また、これら4つの部分のうち、他の3つの部分それぞれは、Z軸方向を行方向とし、Y軸方向を列方向とする2行2列のマトリクス状に並ぶ4つの白画素から成る。
すなわち、第1明度情報取得用パターンα1は、プリントヘッドPHの全発光部を時系列で点灯及び消灯させることで形成された濃度むらを認識し易い明度30〜70の中間調パターンである。
第1基準パターンβ1は、図19及び該図19のD部の拡大図である図21から分かるように、Z軸方向に延び、Y軸方向の幅が2画素分のライン状の白パターンである。すなわち、第1基準パターンβ1は、Y軸方向中央に配置された2つの発光部を常時消灯させることで形成されている。
端部基準パターンγ1aは、図19及び該図19のB部の拡大図である図20(B)から分かるように、Z軸方向に延び、Y軸方向の幅が2画素分のライン状の黒パターンである。すなわち、端部基準パターンγ1aは、−Y側の端に配置された2つの発光部を常時点灯させることで形成されている。
端部基準パターンγ1bは、図19及び該図19のC部の拡大図である図20(C)から分かるように、Z軸方向に延び、Y軸方向の幅が2画素分のライン状の黒パターンである。すなわち、端部基準パターンγ1bは、+Y側の端に配置された2つの発光部を常時点灯させることで形成されている。
第2のパターンQ2は、図19に示されるように、第2明度情報取得用パターンα2と、該第2明度情報取得用パターンα2の−Y側の端部に隣接する端部基準パターンγ2aと、第2明度情報取得用パターンα2の+Y側の端部に隣接する端部基準パターンγ2bと、を有する。以下では、2つの端部基準パターンγ2a、γ2bを区別しない場合は、端部基準パターンγ2と総称する。
第2明度情報取得用パターンα2は、第1明度情報取得用パターンα1と同様の構成を有している。端部基準パターンγ2は、端部基準パターンγ1と同様の構成を有している。端部基準パターンγ2aは、端部基準パターンγ1aとY軸方向の位置が同じである(図19参照)。端部基準パターンγ2bは、端部基準パターンγ1bとY軸方向の位置が同じである(図19参照)。
第3のパターンQ3は、図19に示されるように、第3明度情報取得用パターンα3と、該第3明度情報取得用パターンα3のY軸方向の中央に位置する第2基準パターンβ2と、を有する。
第3明度情報取得用パターンα3は、第1明度情報取得用パターンα1と同様の構成を有している。第2基準パターンβ2は、第1基準パターンβ1と同様の構成を有し、Y軸方向の位置が同じである(図19参照)。
以上のように構成されるパターンQは、一のプリントヘッドPHのみを用いることを除いて、前述したカラープリンタ2000による一連の画像形成プロセスと同様のプロセスで形成される。
具体的には、光量調整回路3223は、フラッシュメモリ3211に格納された第1光量補正データを光源駆動回路3221に送る。光源駆動回路3221は、書込制御回路3219からのパターンQの画像情報に応じた駆動信号を、第1光量補正データを用いて補正し、補正後の駆動信号をプリントヘッドPHに出力する。なお、パターンQの画像情報は、予めフラッシュメモリ3211に格納されている。
そして、第1光量補正データを用いて補正された駆動信号によってプリントヘッドPHが駆動され、該プリントヘッドPHからの光が、対応する感光体ドラム表面に照射され、該感光体ドラム表面にパターンQの潜像が形成される。そして、この潜像が対応する現像ローラによって現像され、現像されたパターンQが転写ベルト2040を介して記録紙Wに転写された後、定着装置2050によって定着される。
ここでは、一例として、プリントヘッドPHの解像度は600dpi(dots per inch)に設定されており、パターンQは、600dpiの解像度で記録紙Wに形成される。
ここで、定着装置2050を介した記録紙Wのスキャナ2085に対向する部分の移動方向は、Z軸方向である(図15参照)。すなわち、スキャナ2085から見て、パターンQは、記録紙W上にY軸方向及びZ軸方向に2次元配列された複数の画素で構成されている。換言すると、スキャナ2085から見て、パターンQは、それぞれがZ軸方向に並ぶ複数の画素から成り、Y軸方向に並ぶ複数の画素列で構成されている。なお、Z軸方向は、感光体ドラム2030の回転方向に対応する方向であり、Y軸方向は、感光体ドラム2030の長手方向に平行な方向である。
なお、プリントヘッドPHの画像書込幅L(有効書込領域の幅)は、レジストや配置精度を考慮して、複数の発光部の配置領域、及び結像光学素子12の配置領域は、有効書込領域よりも例えば数mm長くなっている。すなわち、パターンQを得るときの全ドットが形成される領域は、有効書込領域ではなく、有効画像領域(>有効書込領域)である。
転写ベルト2040を介してパターンQが転写された記録紙Wは、定着装置2050によってパターンQが定着された後、スキャナ2085に対向しつつ搬送される(図15参照)。
そこで、次のステップS24では、スキャナ2085で第1〜第3のパターンQ1〜Q3の画像情報を時系列で読み取る。なお、以下では、第1〜第3のパターンQ1〜Q3を、便宜上「パターン」とも呼ぶ。ここでは、第2のパターンQ2、第1のパターンQ1、第3のパターンQ3の順で読み取られる。各パターンの画像情報は、スキャナ2085の読み取り解像度である600dpiで読み取られる。なお、スキャナ2085による読み取り範囲は、図19における3つの破線枠内とされている。
次のステップS25では、第1〜第3のパターンQ1〜Q3それぞれの各画素列の明度情報を取得する。
具体的には、スキャナ2085から第1〜第3のパターンQ1〜Q3の画像情報が光量調整回路3223に送られ、該光量調整回路3223が、各パターンの画像情報から該パターンの明度情報を画素単位で取得する。すなわち、各パターンの全画素の明度情報が取得される。そして、光量調整回路3223は、各パターンの各画素列の複数の画素の明度情報をZ軸方向に平均化する。すなわち、各パターンの各画素列の複数の画素の明度情報の平均値を求めて、該平均値を該画素列の明度情報として取得する。
この場合、各画素列のZ軸方向に平均化する範囲は、感光体ドラム2030の外周長以上とされている(例えば、感光体ドラム2030の径が30mmであれば95mm以上)。すなわち、各パターンのZ軸方向の長さは、感光体ドラム2030の外周長以上とされている。
このため、各画素列のZ軸方向に関する濃度むら(濃度変動)の影響を極力低減することができる。なお、各画素列のZ軸方向の濃度むらの要因としては、感光体ドラム2030の回転むら以外に現像ローラの回転むらもあるが、その中でも最も長い領域となる感光体ドラム2030の外周長以上のZ軸方向の範囲を平均化することで、Z軸方向の濃度むらの影響を確実に低減することができる。
図22(A)には、上述のようにして取得されたパターンQ2の一部のY軸方向の明度分布がグラフにて示されている。図22(B)には、上述のようにして取得されたパターンQ1の一部のY軸方向の明度分布がグラフにて示されている。図23には、上述のようにして取得されたパターンQ3の一部のY軸方向の明度分布がグラフにて示されている。
図22(A)及び図22(B)から、明度が他の位置に比べて著しく低くなっている位置(−Y側の端部)が−Y側の端部基準パターンの位置であることが分かる。すなわち、−Y側の端部基準パターンのY軸方向の位置(Y位置)を特定することができる。さらに、図22(A)又は図22(B)の部分拡大図である図24(A)から分かるように、−Y側の端部基準パターンの各画素列のY軸方向の位置(Y位置)を特定することもできる。図示は省略されているが、同様に、+Y側の端部にも、明度が他の位置に比べて著しく低くなっている位置があり、その位置が+Y側の端部基準パターンの位置であることが分かる。そして、+Y側の端部基準パターンの各画素列のY位置を特定することもできる。
また、図22(B)及び図22(C)から、明度が他の位置に比べて著しく高くなっている位置が第1及び第2基準パターンβ1、β2の位置であることが分かる。すなわち、各基準パターンのY軸方向の位置(Y位置)を特定することができる。さらに、図22(B)又は図22(C)の部分拡大図である図24(B)から分かるように、各基準パターンの各画素列のY軸方向の位置(Y位置)を特定することができる。
ところで、仮に、例えば1200dpiのプリントヘッドにおいて、例えば最も+Y側の発光部から数えて「150番目、151番目」の発光部を点灯して端部基準パターンを形成し、中央部「5100番目、5101番目」の発光部を消灯して基準パターンを形成する場合、図24(A)の破線矢印で示された位置が151番目の発光部に対応する位置であり、図24(B)の破線矢印で示された位置が5100番目の発光部の位置であることが分かる。
この場合、151番目の発光部と5100番目の発光部との間隔は(5100−151)×0.021mm=103.929mmであり、151番目の発光部に対応する画素列と5100番目の発光部に対応する画素列との間隔も103.929mmとなるはずである。
しかしながら、実際には、画像形成プロセスにおける温度湿度等の環境変動により記録紙Wが±0.5%程度伸縮し、間隔が103.409mm〜104.449mmとなるおそれがある。この伸縮量は、発光部間隔25個分に相当する。すなわち、発光部間隔と画素列間隔とが異なるおそれがある。なお、「発光部間隔」とは、隣接する2つの発光部の中心の間隔を意味する。「画素列間隔」とは、隣接する2つの画素列の中心の間隔を意味する。
そこで、第1基準パターンβ1と端部基準パターンγ1aとの間隔M1(図15参照)を求め、第1基準パターンβ1に対応する2つの発光部(常時消灯)のうち−Y側の発光部と端部基準パターンγ1aに対応する2つの発光部(常時点灯)のうち+Y側の発光部との間に位置する複数の発光部の数に1を加えた数で間隔M1を除して得られる値m1を取得する。
そして、図20(B)に示されるように、例えば第1のパターンQ1の画素列番号を−Y側から1、2、3、・・・とし、端部基準パターンγ1aの2つの画素列のY位置を−Y側からY1、Y2とすると、第1明度情報取得用パターンα1における最も−Y側の画素列(1番目の画素列)から数えてN番目(Nは自然数)の画素列(以下では、第N画素列とも称する)のY位置をY2+N×m1と表すことができる。この場合、第N画素列の明度情報は、このY位置(Y2+N×m1)での明度情報となる(図22(B)参照)。
そこで、端部基準パターンγ1aの2つの画素列のうち+Y側の画素列に対応する発光部の+Y側に隣接する発光部(1番目の発光部)から数えてN番目の発光部と上記第N画素列とを対応付ける。
同様に、第1基準パターンβ1と端部基準パターンγ1bとの間隔M2(図15参照)を求め、第1基準パターンβ1に対応する2つの発光部(常時消灯)のうち+Y側の発光部と端部基準パターンγ1bに対応する2つの発光部(常時点灯)のうち−Y側の発光部との間に位置する複数の発光部の数に1を加えた数で間隔M2を除して得られる値m2を取得する。
そして、例えば第1のパターンQ1の画素列番号を+Y側から1、2、3・・・とし、端部基準パターンγ1bの2つの画素列のY位置を+Y側からY1´、Y2´とすると、第1明度情報取得用パターンα1における最も+Y側の画素列(1番目の画素列)から数えてK番目(Kは自然数)の画素列(以下では、第K画素列とも称する)のY位置をY2´−K×m2と表すことができる。この場合、第K画素列の明度情報は、このY位置(Y2´−K×m2)での明度情報となる。
そこで、端部基準パターンγ1bの2つの画素列のうち−Y側の画素列に対応する発光部の−Y側に隣接する発光部(1番目の発光部)から数えてK番目の発光部と上記第K画素列とを対応付ける。
以上のようにして、記録紙Wが伸縮しても、第1明度情報取得用パターンα1の各画素列の明度情報と該画素列の形成に用いられた発光部とを正確に対応付ける(合致させる)ことができる。
次のステップS29では、第2明度情報取得用パターンα2の、第1基準パターンβ1に対応する各画素列の明度情報を取得する。具体的には、第2明度情報取得用パターンα2の、第1基準パターンβ1の2つの画素列と同じY位置の2つの画素列の明度情報を取得する。
なお、第2明度情報取得用パターンα2の、第1基準パターンβ1の2つの画素列のY位置に対応するY位置(第2明度情報取得用パターンα2の中央の2つの画素列のY位置)を2つの端部基準パターンγ2a、γ2bに基づいて求め、求められたY位置の明度情報を第1基準パターンβ1の2つの画素列の明度情報として取得するようにしても良い。すなわち、例えば2つの端部基準パターンγ2a、γ2bの中間の位置で隣接する2つの画素列のY位置を求め、該Y位置の明度情報を第1基準パターンβ1の2つの画素列の明度情報として取得しても良い。この場合、端部基準パターンγ1、γ2のY位置、X軸周りの位置が相対的にずれていても、第1基準パターンβ1の各画素列と該画素列の形成に用いられた発光部とを正確に対応付けることができる。
次のステップS31では、第3明度情報取得用パターンα2の、各端部基準パターンγ1に対応する各画素列の明度情報を取得する。具体的には、第3明度情報取得用パターンα3の、各端部基準パターンγ1の2つの画素列と同じY位置の2つの画素列の明度情報を取得する。
なお、例えば、第2基準パターンβ2から+Y側及び−Y側にそれぞれ(M1+M2)/2だけ離れたY位置の明度情報を2つの端部基準パターンγ1a、γ1bの明度情報として取得するようにしても良い。この場合、第1及び第2基準パターンβ1、β2のY位置、X軸周りの位置が相対的にずれていても、各端部基準パターンγ1の各画素列と該画素列の形成に用いられた発光部を正確に対応付けることができる。
以上のようにして、第1のパターンQ1の全画素列の明度情報を取得することができる。
そこで、次のステップS33では、第1のパターンQ1の全画素列の明度情報に基づいて、複数の発光部の発光光量を補正するための第2光量補正データを作成する。この第2光量補正データは、複数の発光部の光量補正値を含むデータである。
この場合、第2光量補正データは、第1のパターンQ1の全画素列の明度情報の差が低減されるように、すなわち明度情報のY軸方向に関する変化が低減されるように作成される。なお、第2光量補正データは、第1のパターンQ1の全画素列の明度情報が等しくなるように、より詳細には、各画素列の明度情報が全画素列の明度情報の平均値(Ave、例えば42)に等しくなるように作成されることが好ましい。
具体的には、次の(1)式を用いて、各画素列の明度値Uが、全画素列の明度情報の平均値Aveとなるように、該画素列に対応する発光部の光量補正値Jの算出を行う。
光量補正値J=(Ave−U)×k …(1)
ここで、kは、明度光量変換係数と称され、符合はマイナスである。すなわち、明度を増加させるためには、光量を低減(電流を減少)させることになる。kは、予め光量変化(調整)量に対する明度変化量を取得しておき、明度変化量に対する光量変化量の関数を導き出すことで求められる。
詳述すると、図25(A)には、発光部での光量(発光光量)と明度との関係が各色毎にグラフにて示されており(K、M、C、Yの例)、このグラフから明度光量変換係数kを導出することができる(ここでは、Kのグラフのみを使用しており、M、C、Yのグラフは使用せず比較のため示した。
ここで、予め、図25(B)に示される1枚の記録紙に、Z軸方向に並ぶ、それぞれが明度情報取得用パターンと同様のパターンから成る8つの領域T1〜T8を含むテストパターンが形成されている。このテストパターンでは、T1〜T8を形成するとき発光部の光量(発光光量)を互いに異ならせることでT1〜T8での明度を互いに異ならせている。ここでは、T1からT8にかけて、発光光量を徐々に小さくし、明度を徐々に高くしている。このテストパターンの明度を明度測定器で測定し、図25(A)に示されるようにプロットする。この際、T1〜T8の各領域の全画素の明度を平均化した平均明度値をプロットする。この平均化処理を行うことにより発光光量(露光量)以外の要因(カラープリンタ2000での帯電むらや現像むら)が明度に影響することを排除し、高精度な近似関数を得ることができる。明度測定器としては、例えばスキャナが用いられる。
ここでは、明度光量変換係数kは、近似関数を一次関数近似とし、その傾き成分を明度光量変換係数k=−3.3としている。
また、図25(A)には、他の色の例として、M、C、YについてKと同様に一次関数の直線(破線)が示されている(プロットは省略)。このときの明度光量変換係数kは、Mは−3.6、Cは−3.8、Yは−4.2であるが、上述のように明度光量変換係数kを導出するまでに複数のパターンでの画像出力や明度測定が煩雑で時間を要するため生産工程で実施することは実用上困難である。そこで、各色毎に明度光量変換係数kを求めることなく各色共通の明度光量変換係数kを用いている。ここでは、変換係数k=−3.3を各色で共通に使用している。この明度光量変換係数kは、各色の中で明度変化に対する光量の調整量が最も小さくなる(一次関数近似の直線の傾きが最も緩やか)色であり、すなわち最も小さい変換係数(絶対値)となっている。変換係数kを共通に用いている理由は、そもそも4色内の差が最大27%(={4.2−3.3}/3.3)程度と小さく、算出される光量補正値への影響が小さいため。M、C、Yにおいては光量補正値が理想に対して低め(Yでは27%減)であるが、実用上の画像補正として問題はない。逆に、変換係数が4色中最大となるYの−4.2を共通に用いてしまうと、K、M、Cにおいて光量補正値が理想に対して高めとなり、過剰補正で反って画像濃度むら(縦スジ)が強調されることになってしまう。
次のステップS34では、第1光量補正データに第2光量補正データを重畳して、第3光量補正データを作成する。すなわち、第3光量補正データの各発光部の光量補正データは、第1光量補正データにおける各発光部の光量補正データに第2光量補正データにおける該発光部の補正データを加算したものである。
次のステップS35では、第3光量補正データを用いてテスト画像を記録紙に形成する。テスト画像は、上述した画像形成プロセスと同様のプロセスで形成される。
次のステップS37では、テスト画像の明度情報のPV(Peak to Valley)値が2以下であるか否かが判断される。具体的には、テスト画像の画像情報をスキャナ2085で読み取り、該画像情報から明度分布を取得し、該明度分布におけるY軸方向に隣接する所定幅(例えば2mm)の各領域内での明度情報のPV値を求めて、少なくとも1つの領域のPV値が基準値(例えば2)以上であるか否かが判断される。すなわち、視覚認知され得る縦筋が出力画像に発生するか否かが判断される。ステップS37での判断が否定されると、ステップS23に戻る。すなわち、テスト画像の明度情報のPV値が2以下になるまで、上述した一連のステップS23〜S35が繰り返されることになる。一方、ステップS37での判断が肯定されると、ステップS39に移行する。
ステップS39では、第3光量補正データをフラッシュメモリ3211に保存する。ステップS39が実行されると、フローは、終了する。
そして、フロー終了後、例えばパソコン等の上位装置からカラープリンタ2000に印刷要求があると、光量調整回路3223から光源駆動回路3221に、第3光量補正データが送られ、光源駆動回路3221は、書込み制御回路3219からの画像情報に基づいて変調された各発光部の駆動信号を、該発光部に対応する光量補正値を用いて補正して、補正後の駆動信号を該発光部に出力する。
以上のようにして、各ステーションのプリントヘッドPHの光量補正データが作成及び保存され、印刷が行われる際に、第3光量補正データを用いて該プリントヘッドPHの光量が調整される。
この結果、記録紙に高品質なカラー画像を形成することができる。
なお、上述したプリントヘッドPHの光量調整は、例えば、カラープリンタ2000の製造時、出荷時、メンテナンス時等に、作業者、サービスマンユーザ等によって操作部を介して適宜行われることとしても良いし、例えば温度、湿度、印刷回数等に基づいて又は定期的に、自動で行われることとしても良い。
また、プリントヘッドPHの光量調整は、視覚認知し難いY、T以外の、K、M、Cで実行することが好適である。Y、Tで実行しても良いが、視覚認知し難いので他の色に比べて影響が少なく実用上問題とならないことがあり、Y、Tで実行しないことで、工程短縮によりコスト低減を図ることができる。
図26(A)〜図26(D)には、画素密度(解像度)が互いに異なるパターン(基準画像)が示されている。図26(A)では、単位発光パターンの4つの部分それぞれが4×4の画素(4ドットペア)で構成されている。図26(B)では、単位発光パターンの4つの部分それぞれが3×3の画像(3ドットペア)で構成されている。図26(C)では、単位発光パターンの4つの部分それぞれが2×2の画素(2ドッドペア)で構成されている。図26(D)では、単位発光パターンの4つの部分それぞれが1×1の画素(1ドットペア)で構成されている。なお、図26(A)〜図26(D)では、単位発光パターンの4つの部分のうち1つの部分が少なくとも1つの中間調画素で構成され、他の3つの部分が少なくとも1つの白画素で構成されているが、その逆でも良い。
図27には、図26(A)〜図26(D)に示される基準画像の違いにより補正後の画像として縦スジがどの程度低減されたかを目視評価した結果が示されている。図27より、基準画像の解像度の違いにより、補正効果が異なることが分かる。この結果から、解像度仕様が例えば図26(B)以下の解像度で縦スジを無くす仕様であれば、それ以上の解像度である図26(C)又は図26(D)を基準画像の解像度とすることが好適である。
なお、図19では、各基準パターンは、パターンQのY軸方向中央部に位置しているが、パターンQのY軸方向中央部以外、かつ端部以外の位置に位置していても良い。また、端部基準パターンは、パターンQのY軸方向中央側にある程度(例えば10mm程度)寄っていても良い。さらに、基準パターンとして、白ライン(常時消灯)に限らず、中間調ライン又は黒ライン(常時点灯)でも良いが、平均明度(例えば42)に対してライン状パターンが10以上の明度差があれば基準パターンとして認識することができ、好適である。図19では、基準パターンとして、明度差が高くとれる白ラインを採用している。
なお、端部基準パターンの位置及び対応する発光部を特定でき、かつ基準パターンの位置及び対応する発光部を特定できるため、画像形成時に記録紙Wが斜めになったり、スキャナ2085での読み取り時に記録紙Wが斜めになって、各端部基準パターンや各基準パターンがZ軸に対して傾斜しても、各画素列と該画素列の形成に用いられた発光部とを正確に対応付ける(合致させる)ことができる。
また、上記他の実施形態では、第3のパターンQ3の、端部基準パターンに対応する画素列の明度情報を取得し、該明度情報に基づいて該端部基準パターンに対応する発光部の補正データを作成しているが、これに限らない。端部基準パターンの明度むら(パターン端部の明度むら)はパターン中央の明度むらに比べて認識され難いため、例えば、第1光量補正データに含まれる端部基準パターンに対応する発光部の補正データを用いて、対応する発光部の光量を補正しても良い。この場合、第2光量補正データの作成の際、端部基準パターンに対応する発光部の補正データを作成する必要がない。
また、上記他の実施形態では、第1明度情報取得用パターンα1の各画素列と該画素列の形成に用いられた発光部とを、端部基準パターンγ1及び該端部基準パターンγ1に対応する発光部を基準として対応付けているが、これに代えて、例えば、第1基準パターンβ1及び該基準パターンβ1に対応する発光部を基準として対応付けても良い。
また、上記他の実施形態では、端部基準パターンと基準パターンとの間隔を求め、該間隔を均等割りして、第1明度情報取得用パターンα1の各画素列と該画素列の形成に用いられた発光部とを対応付けているが、これに限られない。例えば、第1基準パターンβ1の各画素列のY位置を該画素列に対応する発光部のY位置に一致するように調整するとともに、端部基準パターンγ1の各画素列のY位置を該画素列に対応する発光部のY位置に一致するように調整し、第1基準パターンβ1と端部基準パターンγ1との間の画素列を補間もしくは間引きすることで、該画素列と該画素列の形成に用いられた発光部とを対応付けても良い。
また、図28に示されるように、第1のパターンR1及び第2のパターンR2を含むパターンR(基準画像)を記録紙Wに形成し、パターンRの各画素列の明度情報を取得し、第2光量補正データを作成し、第3光量補正データを作成・保存し、該第3光量補正データを用いてプリントヘッドPHの光量を調整しても良い。
詳述すると、第1のパターンR1は、第1のパターンQ1と同様の構成を有している。第2のパターンR2は、第1〜第3明度情報取得用パターンα1〜α3と同様の構成を有している。すなわち、第2のパターンR2は、中間調のベタパターンである。
以下に、パターンRを基準画像に用いたプリントヘッドPHの光量補正方法は、一例として、図29のフローチャートに従って行われる。ここでの光量調整方法は、上記他の実施形態の光量調整方法において、第2のパターンQ2における第1基準パターンβ1に対応する位置での明度情報及び第3のパターンQ3における端部基準パターンγ1に対応する位置での明度情報が取得される(ステップS29、S31)のに対して、第2のパターンR2における第1基準パターンβ及び各端部基準パターンγ1に対応する位置での明度情報が取得される点(ステップS49、S51)が異なる。すなわち、ステップS41〜S47は、図18のステップS21〜S27と同様であり、ステップS53〜S59は、図18のステップS33〜S39と同様である。
また、上述したパターンQ、Rの構成は、例えばプリントヘッドPHのスペック等に応じて適宜変更可能である。例えば、パターンQにおける第1〜第3のパターンQ1〜Q3の並び順は、及びパターンRにおける第1及び第2のパターンR1、R2の並び順は、適宜変更可能である。また、各明度情報取得用パターンは、中間調画素を有しているが、これに代えて、黒画素を有していても良い。
また、上記他の実施形態では、パターンQの第2のパターンQ2の全画素列の明度情報を取得しているが、第2明度情報取得用パターンα2の、第1基準パターンβ1に対応する各画素列を含む一部の画素列の明度情報のみを取得しても良い。また、上記他の実施形態では、パターンQの第3のパターンQ3の全画素列の明度情報を取得しているが、第3明度情報取得用パターンα3の、各端部基準パターンγ1に対応する各画素列を含む一部の画素列の明度情報のみを取得しても良い。また、図28及び図29に示される例では、パターンRの第2のパターンR2の全画素列の明度情報を取得しているが、第2のパターンR2の、基準パターンβ1及び各端部基準パターンγ1に対応する各画素列を含む一部の画素列の明度情報のみを取得しても良い。
また、図18におけるステップS27〜S31の順序は適宜変更可能であり、図29におけるステップS47〜S51の順序は適宜変更可能である。
また、上記他の実施形態のプリントヘッドの光量調整に用いられた千鳥状に配列された複数の単位発光パターンを含む明度情報取得用パターンを、上記一の実施形態のプリントヘッドの光量調整に用いても良い。