以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、複合機(MFP:Multi Function Peripheral)としての画像形成装置を例として説明する。本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真方式による画像形成装置であり、感光体を露光するための光源として主走査方向に発光素子が配列されると共に副走査方向にも複数の発光素子が配列された線状光源が用いられる。
そのように副走査方向に複数配列された発光素子を、感光体の搬送に応じて順次点灯させて感光体上の主走査方向の同一の位置を複数回露光することによって露光エネルギーを増大させることが可能である。そのような構成において、副走査方向に配列された夫々の発光素子の光量を調整することにより、発光素子の取り付け誤差によって生じる画質の低下を防ぐことが本実施形態に係る主な特徴である。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、一般的なサーバやPC(Personal Computer)等の情報処理端末と同様の構成に加えて、画像形成を実行するエンジンを有する。即ち、本実施形態に係る画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)11、ROM(Read Only Memory)12、エンジン13、HDD(Hard Disk Drive)14及びI/F15がバス18を介して接続されている。また、I/F15にはLCD(Liquid Crystal Display)16及び操作部17が接続されている。
CPU10は演算手段であり、画像形成装置1全体の動作を制御する。RAM11は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM12は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。エンジン13は、画像形成装置1において実際に画像形成を実行する機構である。
HDD14は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。I/F15は、バス18と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD16は、ユーザが画像形成装置1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部17は、キーボードやマウス等、ユーザが画像形成装置1に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
このようなハードウェア構成において、ROM12に格納されたプログラムや、HDD14若しくは図示しない光学ディスク等の記録媒体からRAM11に読み出されたプログラムに従ってCPU10が演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る画像形成装置1の機能を実現する機能ブロックが構成される。
次に、図2を参照して、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成について説明する。図2は、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、コントローラ20、ADF(Auto Documennt Feeder:原稿自動搬送装置)21、スキャナユニット22、排紙トレイ23、ディスプレイパネル24、給紙テーブル25、プリントエンジン26、排紙トレイ27及びネットワークI/F28を有する。
また、コントローラ20は、主制御部30、エンジン制御部31、入出力制御部32、画像処理部33及び操作表示制御部34を有する。図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、スキャナユニット22、プリントエンジン26を有する複合機として構成されている。尚、図2においては、電気的接続を実線の矢印で示しており、用紙の流れを破線の矢印で示している。
ディスプレイパネル24は、画像形成装置1の状態を視覚的に表示する出力インタフェースであると共に、タッチパネルとしてユーザが画像形成装置1を直接操作し若しくは画像形成装置1に対して情報を入力する際の入力インタフェース(操作部)でもある。ネットワークI/F28は、画像形成装置1がネットワークを介して他の機器と通信するためのインタフェースであり、Ethernet(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)インタフェースが用いられる。
コントローラ20は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。具体的には、上述したようにCPU10の演算によって構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによってコントローラ20が構成される。コントローラ20は、画像形成装置1全体を制御する制御部として機能する。
主制御部30は、コントローラ20に含まれる各部を制御する役割を担い、コントローラ20の各部に命令を与える。エンジン制御部31は、プリントエンジン26やスキャナユニット22等を制御若しくは駆動する駆動手段としての役割を担う。入出力制御部32は、ネットワークI/F28を介して入力される信号や命令を主制御部30に入力する。また、主制御部30は、入出力制御部32を制御し、ネットワークI/F28を介して他の機器にアクセスする。
画像処理部33は、主制御部30の制御に従い、入力された印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成する。この描画情報とは、画像形成部であるプリントエンジン26が画像形成動作において形成すべき画像を描画するための情報である。また、印刷ジョブに含まれる印刷情報とは、PC等の情報処理装置にインストールされたプリンタドライバによって画像形成装置1が認識可能な形式に変換された画像情報である。操作表示制御部34は、ディスプレイパネル24に情報表示を行い若しくはディスプレイパネル24を介して入力された情報を主制御部30に通知する。
画像形成装置1がプリンタとして動作する場合は、まず、入出力制御部32がネットワークI/F28を介して印刷ジョブを受信する。入出力制御部32は、受信した印刷ジョブを主制御部30に転送する。主制御部30は、印刷ジョブを受信すると、画像処理部33を制御して、印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成させる。
画像処理部33によって描画情報が生成されると、エンジン制御部31は、生成された描画情報に基づいてプリントエンジン26を制御し、給紙テーブル25から搬送される用紙に対して画像形成を実行する。即ち、プリントエンジン26が画像形成部として機能する。プリントエンジン26によって画像形成が施された文書は排紙トレイ27に排紙される。
画像形成装置1がスキャナとして動作する場合は、ユーザによるディスプレイパネル24の操作若しくはネットワークI/F28を介して外部のPC等から入力されるスキャン実行指示に応じて、操作表示制御部34若しくは入出力制御部32が主制御部30にスキャン実行信号を転送する。主制御部30は、受信したスキャン実行信号に基づき、エンジン制御部31を制御する。
エンジン制御部31は、ADF21を駆動し、ADF21にセットされた撮像対象原稿をスキャナユニット22に搬送する。また、エンジン制御部31は、スキャナユニット22を駆動し、ADF21から搬送される原稿を撮像する。また、ADF21に原稿がセットされておらず、スキャナユニット22に直接原稿がセットされた場合、スキャナユニット22は、エンジン制御部31の制御に従い、セットされた原稿を撮像する。即ち、スキャナユニット22が撮像部として動作する。
撮像動作においては、スキャナユニット22に含まれるCCD等の撮像素子が原稿を光学的に走査し、光学情報に基づいて生成された撮像情報が生成される。エンジン制御部31は、スキャナユニット22が生成した撮像情報を画像処理部33に転送する。画像処理部33は、主制御部30の制御に従い、エンジン制御部31から受信した撮像情報に基づき画像情報を生成する。画像処理部33が生成した画像情報はHDD14等の画像形成装置1に装着された記憶媒体に保存される。即ち、スキャナユニット22、エンジン制御部31及び画像処理部33が連動して、原稿読み取り部として機能する。
画像処理部33によって生成された画像情報は、ユーザの指示に応じてそのままHDD14等に格納され若しくは入出力制御部32及びネットワークI/F28を介して外部の装置に送信される。即ち、ADF21及びエンジン制御部31が画像入力部として機能する。
また、画像形成装置1が複写機として動作する場合は、エンジン制御部31がスキャナユニット22から受信した撮像情報若しくは画像処理部33が生成した画像情報に基づき、画像処理部33が描画情報を生成する。その描画情報に基づいてプリンタ動作の場合と同様に、エンジン制御部31がプリントエンジン26を駆動する。
次に、本実施形態に係るプリントエンジン26の構成について、図3を参照して説明する。図3に示すように、本実施形態に係るプリントエンジン26は、無端状移動手段である搬送ベルト105に沿って各色の画像形成部106が並べられた構成を備えるものであり、所謂タンデムタイプといわれるものである。すなわち、給紙トレイ101から給紙ローラ102により分離給紙される用紙(記録媒体の一例)104に転写するための中間転写画像が形成される中間転写ベルトである搬送ベルト105に沿って、この搬送ベルト105の搬送方向の上流側から順に、複数の画像形成部(電子写真プロセス部)106Y、106M、106C、106K(以降、総じて画像形成部106とする)が配列されている。
また、給紙トレイ101から給紙された用紙104は、レジストローラ103によって一度止められ、画像形成部106における画像形成のタイミングに応じて搬送ベルト105からの画像の転写位置に送り出される。
複数の画像形成部106Y、106M、106C、106Kは、形成するトナー画像の色が異なるだけで内部構成は共通である。画像形成部106Kはブラックの画像を、画像形成部106Mはマゼンタの画像を、画像形成部106Cはシアンの画像を、画像形成部106Yはイエローの画像をそれぞれ形成する。尚、以下の説明においては、画像形成部106Yについて具体的に説明するが、他の画像形成部106M、106C、106Kは画像形成部106Yと同様であるので、その画像形成部106M、106C、106Kの各構成要素については、画像形成部106Yの各構成要素に付したYに替えて、M、C、Kによって区別した符号を図に表示するにとどめ、説明を省略する。
搬送ベルト105は、回転駆動される駆動ローラ107と従動ローラ108とに架け渡されたエンドレスのベルト、即ち無端状ベルトである。この駆動ローラ107は、不図示の駆動モータにより回転駆動させられ、この駆動モータと、駆動ローラ107と、従動ローラ108とが、無端状移動手段である搬送ベルト105を移動させる駆動手段として機能する。
画像形成に際しては、回転駆動される搬送ベルト105に対して、最初の画像形成部106Yがイエローのトナー画像を転写する。画像形成部106Yは、感光体としての感光体ドラム109Y、この感光体ドラム109Yの周囲に配置された帯電器110Y、光書き込み装置111、現像器112Y、感光体クリーナ(図示せず)、除電器113Y等から構成されている。光書き込み装置111は、夫々の感光体ドラム109Y、109M、109C、109K(以降、総じて「感光体ドラム109」という)に対して光を照射するように構成されている。
画像形成に際し、感光体ドラム109Yの外周面は、暗中にて帯電器110Yにより一様に帯電された後、光書き込み装置111からのイエロー画像に対応した光源からの光により書き込みが行われ、静電潜像が形成される。現像器112Yは、この静電潜像をイエロートナーにより可視像化し、このことにより感光体ドラム109Y上にイエローのトナー画像が形成される。
このトナー画像は、感光体ドラム109Yと搬送ベルト105とが当接若しくは最も接近する位置(転写位置)で、転写器115Yの働きにより搬送ベルト105上に転写される。この転写により、搬送ベルト105上にイエローのトナーによる画像が形成される。トナー画像の転写が終了した感光体ドラム109Yは、外周面に残留した不要なトナーを感光体クリーナにより払拭された後、除電器113Yにより除電され、次の画像形成のために待機する。
以上のようにして、画像形成部106Yにより搬送ベルト105上に転写されたイエローのトナー画像は、搬送ベルト105のローラ駆動により次の画像形成部106Mに搬送される。画像形成部106Mでは、画像形成部106Yでの画像形成プロセスと同様のプロセスにより感光体ドラム109M上にマゼンタのトナー画像が形成され、そのトナー画像が既に形成されたイエローの画像に重畳されて転写される。
搬送ベルト105上に転写されたイエロー、マゼンタのトナー画像は、さらに次の画像形成部106C、106Kに搬送され、同様の動作により、感光体ドラム109C上に形成されたシアンのトナー画像と、感光体ドラム109K上に形成されたブラックのトナー画像とが、既に転写されている画像上に重畳されて転写される。こうして、搬送ベルト105上にフルカラーの中間転写画像が形成される。
給紙トレイ101に収納された用紙104は最も上のものから順に送り出され、その搬送経路が搬送ベルト105と接触する位置若しくは最も接近する位置において、搬送ベルト105上に形成された中間転写画像がその紙面上に転写される。これにより、用紙104の紙面上に画像が形成される。紙面上に画像が形成された用紙104は更に搬送され、定着器116にて画像を定着された後、画像形成装置の外部に排紙される。
また、用紙に転写されずに搬送ベルト105上に残留したトナーを除去するため、ベルトクリーナ118が設けられている。ベルトクリーナ118は、図3に示すように、駆動ローラ107の下流側であって、感光体ドラム109よりも上流側において搬送ベルト105に押し当てられたクリーニングブレードであり、搬送ベルト105の表面に付着したトナーをかきとる顕色剤除去部である。
次に、本実施形態に係る光書き込み装置111について説明する。図4は、本実施形態に係る光書き込み装置111と感光体ドラム109との配置関係を示す図である。図4に示すように、各色の感光体ドラム109Y、109M、109C、109K夫々に照射される照射光は、光源装置であるLEDA(Light‐emitting diode Array)プリントヘッド130Y、130M、130C、130K(以降、総じてLEDAプリントヘッド130とする)から照射される。
図5は、LEDAプリントヘッド130の構成を示す図である。図5においては、LEDAプリントヘッド130に含まれる光源であるLEDAの照射面を正面から表示している。図5に示すように、LEDAプリントヘッド130は、基板131上に複数のLEDA132が配列されて構成されている。このLEDA132が配列されている方向が、感光体ドラム109の主走査方向に対応する。
夫々のLEDA132は、各LEDA132が配列されている方向と同一の方向に発光素子であるLED素子が複数配列されて構成されている発光素子アレイである。夫々のLEDA132に含まれる各LED素子が1画素分の照射を行う。
また、基板131内部には、夫々のLEDA132を発光駆動する複数の駆動回路133が設けられている。夫々の駆動回路133は、夫々のLEDA132と1対1で対応している。
光書き込み装置111に含まれる制御部は、LEDAプリントヘッド130において主走査方向に並べられている夫々のLEDの点灯/消灯状態を、コントローラ20から入力された描画情報に基づいて主走査ライン毎に制御することにより、感光体ドラム109の表面を選択的に露光し、静電潜像を形成する。
図5に示すように、1つのLEDAプリントヘッド130は、複数のLEDA132を含む。ここで、夫々のLEDA132の発光特性が異なる場合、夫々の駆動回路133を介して同一の条件で各LEDA132を駆動しても、各LEDA132の照射光量にバラつきが生じる場合がある。
また、図4に示すように、光書き込み装置111は、CMYK各色に合わせて複数のLEDAプリントヘッド130を含む。ここでも同様に、上述したLEDA132の発光特性の違いにより、夫々のLEDAプリントヘッド130間で照射光量にバラつきが生じる場合がある。
LEDAプリントヘッド130の照射光量は、感光体ドラム109上に現像されるトナー画像の濃度に影響する。そのため、上述した照射光量のバラつきは、最終的に形成される画像の濃度のバラつきとなって現れ、意図した画像が形成されないこととなる。このような照射光量のバラつきは、光書き込み装置111に含まれる制御部による制御によって調整される。
次に、本実施形態に係るLEDA132夫々の構成について図6を参照して説明する。図6は、本実施形態に係るLEDA132が光を照射する照射面を正面から見た図であり、図中縦方向が副走査方向、図中横方向が主走査方向に対応する。図6に示すように、本実施形態に係るLEDA132においては、発光素子であるLED素子132aが主走査方向及び副走査方向に複数配列されて構成されている。
本実施形態においては、副走査方向に6つのLED素子132aが配列されている場合を例としているが、5個以下であっても7個以上であっても良い。この副走査方向に配列された6個のLED素子が主走査方向における1画素分の画素に対応する露光を行う発光素子列として用いられる。
図6においては、主走査方向及び副走査方向に規則正しくLED素子132aが配列された状態を示している。しかしながら、夫々のLED素子132aの取り付け位置に個別にずれが生じる場合や、LEDA132にずれや傾きが生じた状態で基板131に実装される場合がある。また、LEDAプリントヘッド130自体が傾いた状態で光書き込み装置111に実装される場合等がある。そのような取り付け誤差による弊害を、夫々のLED素子132aの発光量を調整することにより解決することが本実施形態に係る要旨である。
次に、本実施形態に係る光書き込み装置111の制御ブロックについて、図7を参照して説明する。図7は、本実施形態に係る光書き込み装置111においてLEDAプリントヘッド130を制御する光書き込み制御部201の機能構成と、LEDAプリントヘッド130及びコントローラ20との接続関係を示す図である。
図7に示すように、本実施形態に係る光書き込み制御部201は、光書き込み装置111全体の動作を制御するCPU202、主記憶装置としてのRAM203、ラインメモリ204、205及びLED書き込み制御回路210を含む。また、LED書き込み制御回路210は、周波数変換部211、画像処理部212、スキュー補正部213及びLEDA制御部214を含む。
このように、本実施形態に係る光書き込み制御部201は、図1において説明したハードウェア構成と同様に、記憶媒体に記憶されている制御プログラムがRAM203にロードされ、CPU202がそのプログラムに従って演算を行うことにより構成されるソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって構成される。
また、以降の説明においては、LEDAプリントヘッド130に対する光書き込み制御部201の構成及び機能について説明するが、図3、図4において説明したように、LEDAプリントヘッド130は感光体ドラム109K、109M、109C、109Y夫々に対応して設けられている。従って、光書き込み制御部201は、各色のLEDAプリントヘッド130及び感光体ドラム109毎に制御を行う機能を有する。
LEDA書き込み制御回路210は、コントローラ20から入力される描画情報に基づいてLEDAプリントヘッド130の発光を制御する制御回路であり、集積回路等のハードウェアによって構成され、CPU202の制御に従って動作する。周波数変換部211は、コントローラ20から入力される描画情報をLEDA書き込み制御回路210の動作周波数に対応させて出力する。
そのため、周波数変換部211は、コントローラ20から入力される描画情報を、周波数変換用に設けられたラインメモリ204に一次的に格納し、LEDA書き込み制御回路210の動作周波数に従って出力する。周波数変換部211は、コントローラ20から入力される画像情報を取得する画像情報取得部としても機能する。
画像処理部212は、周波数変換されて出力された画像データに対して、諸々の画像処理を行う。画像処理部212が行う画像処理としては、画像サイズの変更やトリミング処理並びに内部パターンの付加等がある。また、次段の処理モジュールであるスキュー補正部213への画像データの出力タイミングを制御することにより、コントローラ20から入力された解像度単位での主走査方向の位置ずれ補正を行う。この主走査方向の位置ずれ補正は、CPU202によるLEDA書き込み制御回路210へのレジスタ設定に従って行われる。
更に、画像処理部212は、周波数変換部211から多階調の画像情報として入力される描画情報を、有色/無色の二階調に変換し、最終的にLEDAプリントヘッド130を発光制御するための画素情報を生成する二値化処理を行う。本実施形態に係る二値化処理において、画像処理部212は、周波数変換部211から入力される4ビットの画素データに基づき、予め生成されて光書き込み制御部201内の記憶媒体に格納された階調変換テーブルを参照し、最終的にLEDAプリントヘッド130を発光制御するための画素情報を生成する。
尚、本実施形態においては、コントローラ20から4ビットの画素データが入力される場合を例とするが、これは一例であり、例えば、8ビット等の更に多階調のデータや、2ビットのような少階調のデータであっても良い。
スキュー補正部213は、LEDAプリントヘッド130と感光体ドラム109との配置による誤差等、様々な要因によって生じる画像のスキューを補正する。スキュー補正に関するパラメータ値は、位置ずれ補正用のパターンを搬送ベルト105上に形成してそれを読み取った読取結果に基づいて生成される場合や、LEDAプリントヘッド130に設けられた記憶媒体に格納されている情報に基づいて取得される場合等があり、CPU202の制御によってスキュー補正部213に設定される。
スキュー補正部213は、画像処理部212から入力された画像データをラインメモリ205に主走査ライン毎に格納し、設定されたパラメータ値に従ってラインメモリ205から画像データを読み出すことによりスキュー補正を実行する。
スキュー補正部213は、ラインメモリ205に複数の主走査ライン分の画素データが格納された状態において、補正するべき画像の傾きに応じて、主走査ライン上の所定の位置において画素データを読み出すラインをシフトする。例えば、1ライン目から画素データを読み出していた場合において、主走査ライン上の所定の位置(以降、「シフト位置」とする)において、画素データを読み出す主走査ラインを2ライン目に切り替える。このような処理により、画像の傾きを補正することが可能となる。
LEDA制御部214は、スキュー補正部213から出力される画素情報に基づき、動作周波数に従ってLEDAプリントヘッド130の発光を制御する。LEDA制御部214は、LEDAプリントヘッド130に含まれる記憶媒体に記憶されている補正データに基づき、LEDAプリントヘッド130を構成する発光素子であるLED素子の発光量を制御する。このLEDAプリントヘッド130の発光量の制御が、本実施形態に係る要旨の1つである。
次に、本実施形態に係るLEDA制御部214及びLEDAプリントヘッド130の具体的な構成について、図8を参照して説明する。図8は、本実施形態に係るLEDA制御部214及びLEDAプリントヘッド130の機能構成及び接続関係を示す図である。図8に示すように、本実施形態に係るLEDA制御部214は、レジスタ301、信号生成部302、データ転送部303、発光制御部304、補正データ取得部305及び補正データ処理部306を含む。
レジスタ301は、CPU202によって設定されるパラメータ値を記憶する記憶部である。信号生成部302は、LEDA制御部214の外部から入力される基準クロックCLKに基づき、主走査ライン毎のLEDAプリントヘッド130の発光周期を示すライン周期信号LSYNCを生成して出力する。
信号生成部302は、CMYK夫々の色毎にLSYNCを生成して出力する。その際、レジスタ301に設定された補正値に基づき、各色のLSYNCのタイミングを調整する。尚、LSYNCは、ライン毎の画像データの切り替えのためにスキュー補正部213にも入力される。
データ転送部303は、スキュー補正部213から入力される画像データDATAを、信号生成部302から入力されるLSYNCのタイミングに応じてLEDAプリントヘッド130に転送する。発光制御部304は、信号生成部302から入力されるLSYNCのタイミングに応じて、LEDAプリントヘッド130を発光制御するためのストローブ信号STRBを出力する。
補正データ取得部305は、LEDAプリントヘッド130に設けられている補正データ記憶部137から、夫々のLEDAプリントヘッド130に対応した補正データを取得する。補正データ記憶部137には、LEDA132に含まれる夫々のLED素子132aの位置ずれ量や、発光量のバラつきの情報等が記憶されている。詳細は後述する。
補正データ取得部305は、そのような補正データを補正データ記憶部137から取得し、補正データ処理部306に入力する。補正データ処理部306は、補正データ取得部305から入力された補正データについて必要な処理を行い、発光時間や駆動電流の補正値を生成した上で、補正データを設定するためにLEDAプリントヘッド130に入力する。
LEDAプリントヘッド130においては、発光信号入力部135が、発光制御部304から入力されるSTRBを取得して夫々のLEDA132に対応する駆動回路133に入力する。
データ転送部303から入力されたデータ信号DATAは、LEDAプリントヘッド130において画像データ入力部134が取得し、夫々のLEDA132に対応する駆動回路133に入力される。画像データ入力部134は、シリアルデータとして入力されるデータ信号DATAをパラレルに展開するため、例えばシフトレジスタによって構成される。
また、補正データ処理部306から入力された補正データは、LEDAプリントヘッド130において補正データ設定部136が取得する。補正データ設定部136は、取得した補正データに基づき、夫々のLEDA132に対応する駆動回路133に対して、発光時間や駆動電流を設定する。
駆動回路133は、画像データ入力部134から入力されたDATAに基づいてLEDA132に含まれる複数のLED素子の点灯/消灯を切り替え、発光信号入力部135から入力されるストローブ信号STRBに従ってLEDA132を発光駆動する。この際、駆動回路133は、補正データ設定部136によって設定された発光時間や駆動電流によりLEDA132を発光駆動する。
即ち、駆動回路133は、発光信号入力部135から入力されるストローブ信号STRBに従ってLEDA132を発光駆動するが、設定された発光時間の補正値に基づいて発光時間を補正する。また、駆動回路133は、発光信号入力部135から入力されるストローブ信号STRBに従ってLEDA132を発光駆動する際、設定された駆動電流の補正値に基づいてLEDA132を発光駆動する際の駆動電流を補正する。
このような構成により、LEDAプリントヘッド130においては、データ転送部303から入力されたDATAに従って、夫々のLEDA132に含まれる夫々のLED素子132aが選択的に発光する。これにより、感光体ドラム109の表面が選択的に露光され、画像データに応じた静電潜像が形成される。即ち、LEDA制御部214において、データ転送部303及び発光制御部304が連動して、光源制御部として機能する。
また、駆動回路133は、設定された補正値に従ってLEDA132に含まれる夫々のLED素子132aを発光駆動する際の駆動時間を補正する。これにより、夫々のLEDA132に含まれるLED素子の発光時間は、補正データ記憶部137に保存されたデータに基づいた時間となる。
同様に、駆動回路133は、設定された補正値に従ってLEDA132に含まれる夫々のLED素子132aを発光駆動する際の駆動電流を補正する。これにより、夫々のLEDA132に含まれるLED素子の駆動電流は、補正データ記憶部137に保存されたデータに基づいた値となる。
ここで、図6において説明したように副走査方向、即ち感光体ドラム109表面の搬送方向に複数配列されたLED素子132aを順次点灯させることにより、感光体ドラム109表面の同一の位置の露光量を増大させる態様について説明する。図9(a)〜(c)は、搬送方向に複数配列されたLED素子132aを順次点灯させる場合の累積露光エネルギーの変化を示す図であり、上段にLED素子132aと感光体ドラム109表面との位置関係を、下段に搬送位置に応じた累積露光エネルギーのグラフを示す。
図9(a)〜(c)においては、搬送方向に配列された3つのLED素子132aを感光体ドラム109の表面の搬送に応じて順次点灯させることにより、同一位置の累積露光エネルギーを増大させる態様を示している。図9(a)に示すように、あるタイミングにおいて搬送方向の最も上流側に配置された図中左側のLED素子132aを点灯させることにより、左側のLED素子132aが対向している位置Pが露光される。これにより、下段のグラフに示すように、搬送位置Pに対応する累積露光エネルギーが上昇する。
図9(a)に示すタイミングから感光体ドラム109が搬送されると、図9(b)に示すように、感光体ドラム109表面の位置Pが中央のLED素子132aが対向している位置に到達する。そのタイミングで中央のLED素子132aが点灯されることにより、下段のグラフに示すように、搬送位置Pに対応する累積露光エネルギーが蓄積されて上昇する。
図9(b)に示すタイミングから感光体ドラム109が搬送されると、図9(c)に示すように、感光体ドラム109表面の位置Pが左側のLED素子132aが対向している位置に到達する。そのタイミングで左側のLED素子132aが点灯されることにより、下段のグラフに示すように、搬送位置Pに対応する累積露光エネルギーが蓄積されて更に上昇する。
このような点灯制御により、搬送方向に複数配列されたLED素子132aを順次点灯させることにより、感光体ドラム109表面の同一の位置の露光量を増大させることが可能となる。その結果、夫々のLED素子132aの光量が低い場合であっても、感光体ドラム109表面の露光量を充分に確保することが可能となる。
次に、LEDAプリントヘッド130の取り付け誤差や、LEDA132の取り付け誤差について説明する。図10(a)は、LEDAプリントヘッド130の取り付け誤差を示す図である。図5において説明したように、本実施形態に係るLEDAプリントヘッド130においては、複数のLEDA132が主走査方向に配列されている。このLEDA132が配列されている方向は、感光体ドラム109表面における主走査方向と平行であることが前提であるが、製造公差の観点より完全な平行状態を保証することは困難である。
図10(a)の場合、複数のLEDA132が配列されている方向が、主走査方向に対して角度θ傾いている。このような傾きが生じた状態でそのまま静電潜像を形成すると、感光体ドラム109表面において角度θ傾いた静電潜像が形成される。また、角度θの傾きにより、図9において説明したような副走査方向における複数露光において弊害が生じる。
図10(b)の場合、複数のLEDA132のうち、図中の中央に位置しているLEDA132が、他のLEDA132に対して角度θ傾いている。このような傾きが生じた状態でそのまま静電潜像を形成すると、傾いたLEDA132による露光によって形成された部分の画像が傾いて歪んでしまう問題や、図9において説明したような副走査方向における複数露光において弊害が生じる。
図11(a)、(b)は、図10(a)、(b)において説明したような傾きが生じている場合において、図9において説明したような副走査方向における複数露光において生じる弊害を示す図である。図中上段は副走査方向に配列されたLED素子132aの列(以降、「LED素子列」とする)の配列方向の傾き状態を示す。また、図中下段は、感光体ドラム109表面の副走査方向のある位置における主走査方向の露光エネルギーの広がりを示すグラフである。
図11(a)は、傾きが生じていない正常な状態における1列分の露光によって得られる露光エネルギーを示す図である。図11(a)に示すようにLED素子132aの配列方向が感光体ドラム109表面の搬送方向に対して傾いていない場合、夫々のLED素子132aの露光エネルギーは、感光体ドラム109表面の主走査方向において同一の位置に加えられる。その結果、累積露光エネルギーは、LED素子132aが配置された位置をピークとしてLED素子132aの1つ分の露光範囲に応じた広がりで分布する。
他方、図11(b)は、傾きが生じている状態における1列分の露光によって得られる露光エネルギーを示す図である。図11(b)に示すようにLED素子132aの配列方向が感光体ドラム109表面の搬送方向に対して傾いている場合、夫々のLED素子132aの露光エネルギーは、感光体ドラム109表面の主走査方向において少しずつずれた位置に加えられる。
その結果、累積露光エネルギーは、複数のLED素子132aが配置された主走査方向の範囲の中心をピークとしてLED素子132aの配置範囲に応じた広がりで分布する。そのため、図11(a)に示す正常な状態よりもピーク高さは低く、露光エネルギーが加えられる部分が主走査方向に広く分布する。1画素に対応する露光エネルギーがこのように変化すると、画像が薄くぼけてしまうこととなり、最終的に形成される画像の画質が低下する。このような弊害を解決することが本実施形態に係る要旨の1つである。
図12は、本実施形態に係るLED素子132aの光量調整により、図11(b)に示すような課題を解決する態様を示す図である。図12においては、図11(b)に示す状態を前提として、夫々のLED素子132aの光量を調整することにより、累積露光エネルギーのピーク値と広がりを調整する態様を示している。図中、破線で示したLED素子132aは、光量を下げて発光させるLED素子132aを示し、斜線を付して示したLED素子132aは、光量を上げて発光させるLED素子132aを示す。
図12に示す調整態様においては、6つのLED素子132aのうち中央の2つの光量を上げると共に、他のLED素子132aの光量を下げるように調整されている。これにより、図中に破線で示す調整前の露光エネルギーの主走査方向の分布よりもピークが高く、且つ光量の分布が中央に集まることとなり、図11(a)の状態に近づけることが出来る。
換言すると、本実施形態に係るLED素子132aの発光量の調整に際しては、LED素子列を構成する各LED素子の配置位置の主走査方向における広がりを、LED素子列の副走査方向に対する傾きに基づいて取得し、その取得結果に基づいて各LED素子132aの発光量を調整する。
各LED素子132aの発光量の調整に際しては、LED素子列を構成する各LED素子132aが順次点灯されることによって感光体上に蓄積される露光量の主走査方向における分布の広がりが調整されるように、各LED素子132aの発光量が調整される。
尚、図12の態様においては、中央2つのLED素子132a以外のLED素子132aの光量を下げる場合を例としているが、例えば、両端のLED素子132aは消灯するようにしても良い。これにより、累積露光エネルギーの主走査方向の分布を、より中央に集めることが出来る。
図13は、副走査方向に配列されたLED素子列によって露光されるスポットの主走査方向の広がりについて、図12において説明したような光量調整を行った場合の、補正前と補正後における状態を示す図である。
図13に示すように、補正前においては、1つのLED素子列の配列方向が副走査方向に対して傾くことにより、LED素子132aが配置された範囲が主走査方向に広がった分、露光されるスポットも主走査方向に広がった状態となる。これに対して、図12に示す補正を行うことにより、1つのLED素子列による累積露光エネルギーの主走査方向の広がりを、夫々のLED素子列の主走査方向における配置範囲の中央に集めることができる。
次に、LEDAプリントヘッド130におけるLEDA132の配置誤差によって生じる、隣接するLEDA132同士の間の粗密の補正について説明する。図14は、LEDA132の配置誤差によって生じる、隣接するLEDA132同士の間の粗密を示す図である。
図14の例においては、図中の中央のLEDA132の配置に誤差が生じており、傾いて配置されていると共に左側に偏って配置されている。そのため、図中左側のLEDA132と中央のLEDA132との間隔は狭く密であり、図中右側のLEDA132と中央のLEDA132との間隔は広く疎である。このようなLEDA132間の粗密が発生していると、LEDA同士の繋ぎ目において画像の濃度の変動が生じ、副走査方向のすじが生じる等、画質の低下につながる。
図15(a)、(b)は、本実施形態に係るLED素子132aの光量調整により、図14に示すような課題を解決する態様を示す図である。図15(a)、(b)においては、夫々のLED素子132aの光量を調整することにより、累積露光エネルギーのピーク値と広がりを調整する際に、ピークの主走査方向の位置を調整する態様を示している。図中、破線で示したLED素子132aは、光量を下げて発光させるLED素子132aを示し、図中斜線を付して示したLED素子132aは、光量を上げて発光させるLED素子132aを示す。
図15(a)は、図12に対応する調整態様を示す図である。図15(a)の場合、6つのLED素子132aのうち、中央の2つの光量を上げると共に、他のLED素子132aの光量を下げるように調整するため、6つのLED素子132aが配置されている主走査方向の範囲の中央に累積露光エネルギーのピークが位置する。
これに対して、図15(b)の場合、6つのLED素子132aのうち、図中上側の2つの光量を上げると共に、他のLED素子132aの光量を下げるように調整する。図中上側の2つのLED素子132aは、6つのLED素子132aが配置されている主走査方向の範囲においては、主走査方向の右側の2つのLED素子132aである。そのため、6つのLED素子132aが配置されている主走査方向の範囲の右側に累積露光エネルギーのピークが位置する。その結果、LEDA132に含まれるLED素子列夫々の露光スポットの位置を、少しずつ右側にずらすことが出来る。
図16は、図14に示すような位置ずれが生じている場合において、図15に示すような調整態様によりLEDA132間の粗密を調整する態様を示す図である。図16に示すように、図中の中央に示すLEDA132に含まれる夫々のLED素子列は、図15において説明したように、累積露光エネルギーのピークが右側にずれるように各LED素子132aの発光量が調整される。
他方、左側及び右側のLEDA132に含まれる夫々のLED素子列は、特に累積露光エネルギーのピーク位置の調整は行われないが、図16の例においては、中央のLEDA132と露光量を合わせるために、夫々のLED素子列に含まれる中央の2つのLED素子132aの発光量を上げ、他のLED素子132aの発光量を下げる調整がされている。
図16に示す態様の場合、中央のLEDA132に含まれる夫々のLED素子列によって露光されるスポットの主走査方向の位置は、通常よりも図中右側にそれぞれ移動する。その結果、図中左側のLEDA132との間隔が広がるため、図14において説明したように密であった左側のLEDA132との間隔が通常の間隔となる。
また、図中右側のLEDA132との間隔が狭まるため、図14において説明したように疎であった右側のLEDA132との間隔が通常の間隔となる。このような態様により、LEDA132の配置誤差によって生じるLEDA132間の粗密の弊害を解決することが可能となる。
換言すると、本実施形態に係るLED素子132aの発光量の調整に際しては、LEDAプリントヘッド130を構成する各LEDA132のうち、隣接するLEDA132夫々に含まれるLED素子列間の間隔を取得する。そして、その取得結果に基づいて各LED素子132aの発光量を調整する。また、LED素子列を構成する各LED素子132aが順次点灯されることによって感光体上に蓄積される露光量の主走査方向における分布の位置が調整されるように、各LED素子132aの発光量が調整される。
次に、図12及び図13において説明した夫々のLED素子列の露光スポットの主走査方向範囲の調整と、図15、図16において説明した隣接するLEDA132間の粗密の調整との関係について説明する。図5において説明したように複数配列されたLEDA132について夫々調整が必要となるが、この際、図5に示すように主走査方向に配列された夫々のLEDA132の端部から順番に調整を行うことが出来る。
例えば、左端部に配置された1番目のLEDA132については、まず図12において説明したように、夫々のLED素子列の露光スポットの主走査方向範囲の調整のみを行う。この際、夫々のLED素子列の露光スポットの位置を主走査方向にずらす必要はまだないため、例えば、6つのLED素子132aが配置されている主走査方向の範囲の中央に累積露光エネルギーのピークが位置するように調整を行う。
次に、2番目に配置されたLEDA132については、夫々のLED素子列の露光スポットの主走査方向範囲の調整と同時に、既に調整を行った1番目のLEDA132との配置間隔の粗密の調整を行う。従って、夫々のLED素子列の露光スポットの主走査方向範囲の調整のために光量を上げるLED素子132aの数を選択すると共に、夫々のLED素子列の露光スポットの主走査位置を調整するため、6つのLED素子132aのうち、どのLED素子132aの光量を上げるかを選択する。
そして、3番目以降も同様に、夫々のLED素子列の露光スポットの主走査方向範囲の調整と同時に、既に調整を行った1番目のLEDA132との配置間隔の粗密の調整を行う。図17(a)〜(c)は、そのような態様を示す図である。
図17(a)〜(c)においては、夫々2つのLEDA132の隣接部分を示しており、左側に発光量調整値の決定済み(以降、「調整済み」とする)のLEDA132を示し、右側に次に調整する未調整状態のLEDA132を示している。図17(a)の場合、調整済みのLEDA132に含まれるLED素子列の光量調整の結果、光量が上げられているLED素子132aは、6つ配列されたLED素子132aのうち中央の2つである。また、矢印の左側に示すように、調整済みのLEDA132と未調整のLEDA132との間は疎状態である。
従って、未調整のLEDA132に含まれるLED素子132aの調整に際しては、6つのLED素子132aのうち2つのLED素子132aの光量を上げると共に他のLED素子132aの光量を下げて夫々のLED素子列の露光スポットの主走査方向範囲を調整する。
その際、光量を上げる対象のLED素子132aを、図中の上側、即ち、夫々のLED素子132aが配置されている主走査方向の範囲において、調整済みのLEDA132に近い側のLED素子132aとする。これにより、右側のLEDA132に含まれるLED素子列の露光スポットのピーク位置を主走査方向の左側にずらし、2つのLEDA132間の間隔を通常間隔とすることが出来る。
図17(b)の場合、矢印の左側に示すように、調整済みのLEDA132に含まれるLED素子列の光量調整の結果、光量が上げられているLED素子132aは、6つ配列されたLED素子132aのうち図中下側の2つである。また、調整済みのLEDA132と未調整のLEDA132との間は通常状態である。
従って、未調整のLEDA132に含まれるLED素子132aの調整に際しては、本来であれば夫々のLED素子列の露光スポットの主走査位置の調整は不要なはずである。しかしながら、調整済みであるLEDA132の調整の結果、図中下側の2つのLED素子132aの発光量が上げられており、その結果、調整済みであるLEDA132に含まれるLED素子列の露光スポットの主走査位置は、未調整であるLEDA132から離れる方向にずらされている。
そのため、未調整のLEDA132に含まれるLED素子132aの調整に際しては、光量を上げる対象のLED素子132aを、図中の下側、即ち、夫々のLED素子132aが配置されている主走査方向の範囲において、調整済みのLEDA132に近い側のLED素子132aとする。
これにより、調整済みのLEDA132において主走査方向の左側にずらされているLED素子列の露光スポットに応じて、右側のLEDA132に含まれるLED素子列の露光スポットのピーク位置を主走査方向の左側にずらし、2つのLEDA132間の間隔を通常間隔に保つことが出来る。
図17(c)の場合、矢印の左側に示すように、調整済みのLEDA132に含まれるLED素子列の光量調整の結果、光量が上げられているLED素子132aは、6つ配列されたLED素子132aのうち図中下側の2つである。即ち、調整済みのLEDA132に含まれるLED素子列の露光スポットの主走査位置は、未調整のLEDA132から離れる方向に調整されている。
従って、調整済みのLEDA132と未調整のLEDA132との間は密状態であるが、調整済みであるLEDA132における調整により、この密の間隔は既に調整されている。
従って、未調整のLEDA132に含まれるLED素子132aの調整に際しては、光量を上げる対象のLED素子132aを、6つ配列されたLED素子132aの中央の2つ、即ち、主走査方向における露光スポットの位置の調整がされない態様とする。これにより、2つのLEDA132間の間隔は、調整済みであるLEDA132側の調整結果によって通常間隔となる。
次に、図17(a)〜(c)において説明したようにLEDA132毎にLED素子の発光量の調整を順次行う場合において、全体を考慮した調整を行う態様について図18(a)〜(c)を参照して説明する。図5において説明したようなLEDAプリントヘッド130におけるLEDA132の配置によっては、図18(a)に示すように、部分的にLEDA132が密集して配置された状態が発生し得る。
このような場合において、図18(b)に示すように、図中左側のLEDA132に含まれるLED素子列の発光量の調整により、6つのLED素子132aのうち中央の2つの光量が上げられている場合を考える。この場合、中央のLEDA132に含まれるLED素子列の発光量の調整に際しては、密であるアレイ間の間隔を調整するため、左側のLEDA132から離れた方向に露光スポットが移動するように調整が行われる。
そのため、図18(b)に示すように、中央のLEDA132に含まれるLED素子列の発光量は、図中上側の2つの発光量が上げられる。即ち、6つのLED素子132aの主走査方向の配置範囲において、左側のLEDA132から遠ざかる方向に露光スポットが移動するように、光量を強くする2つのLED素子132aが選ばれる。これにより、左側のLEDA132と中央のLEDA132との間の間隔は密状態から通常状態に調整される。
次に、右側のLEDA132に含まれるLED素子列の発光量の調整に際しては、密である中央のLEDA132とのアレイ間の間隔を調整するため、左側のLEDA132から離れた方向に露光スポットが移動するように調整が行われる必要がある。しかしながら、中央のLEDA132は、上述した調整によりLED素子列の露光スポットの位置が右側にずらされている。
そのため、右側のLEDA132に含まれるLED素子列の発光量の調整に際しては、元々密であるアレイ間の間隔の調整に加えて、中央のLEDA132の調整結果に応じた調整を行う必要があるが、調整可能な範囲は6つ配列されたLED素子132aの一端から他端までの範囲であり、それ以上の調整を行うことは出来ない。その結果、図18(b)に示すように、中央のLEDA132と右側のLEDA132とのアレイ間は密状態のままとなる。
これに対して、図中左側のLEDA132に含まれるLED素子列の露光スポットの調整に際して、図18(c)に示すように6つ配列されたLED素子の図中下側の2つの発光量を上げるように調整する態様が考えられる。このような態様により、図18(c)に示すように、3つのLEDA132夫々のアレイ間を通常状態に調整することが可能となる。
次に、本実施形態に係るLEDAプリントヘッド130の補正データ記憶部137に記憶されている補正データの内容及び補正動作の詳細について説明する。図19(a)、(b)は、補正データ記憶部137に記憶されている補正データの内容を示す図である。図19(a)は、LEDAプリントヘッド130、そこに含まれるLEDA132及びそこに含まれるLED素子132a夫々の位置ずれや傾きに関する情報(以降、「位置ずれ情報」とする)を示す図であり、図19(b)は、夫々のLED素子132aの発光量のバラつき(以降、「光量バラつき情報」とする)を示す図である。
図19(a)に示すように、本実施形態に係る位置ずれ情報においては、夫々のLEDA132に含まれるLED素子132aを識別する“素子番号”に対して、夫々のLEDA132内におけるLED素子132aの基準位置からの位置ずれ量が“素子ずれ量”として関連付けられている。ここで本実施形態に係る素子ずれ量においては、主走査方向及び副走査方向における位置ずれ量が、夫々「X11,Y11」のように関連付けられている。
また、本実施形態に係る“素子番号”は、「#1−1」、「#1−2」、・・・「#2−1」、「#2−2」というように、前段の数字でLEDA132を識別し、後段の数字でLEDA132内のLED素子を識別するような番号となっている。そして、夫々のLEDA132自体の基準位置からの位置ずれ量及び図10(b)において説明したような傾きが、“チップずれ量”として関連付けられている。ここで本実施形態に係るチップずれ量においては、主走査方向及び副走査方向における位置ずれ量が、夫々「X#1,Y#1」のように関連付けられていると共に、傾きが「θ#1」のように関連付けられている。
また、図4に示すように光書き込み装置111に配置される夫々のLEDAプリントヘッド130の基準位置からの位置ずれ量及び図10(a)において説明したような傾きが、“全体ずれ量”として関連付けられている。ここで本実施形態に係る全体ずれ量においては、主走査方向及び副走査方向における位置ずれ量が、夫々「X0,Y0」のように関連付けられていると共に、傾きが「θ0」のように関連付けられている。
図19(b)に示すように、本実施形態に係る光量バラつき情報においては、夫々のLEDA132に含まれるLED素子を識別する“素子番号”に対して、夫々のLED素子を基準となる駆動電流で駆動した場合の発光量である“基準光量”が関連付けられている。
また、本実施形態に係る“素子番号”は、「#1−1」、「#1−2」、・・・「#2−1」、「#2−2」というように、前段の数字でLEDA132を識別し、後段の数字でLEDA132内のLED素子を識別するような番号となっている。そして、夫々のLEDA132に含まれるLED素子の基準光量の平均値が、“アレイ平均光量”として夫々のアレイ毎に関連付けられている。また、図4に示すように光書き込み装置111に配置される夫々のLEDAプリントヘッド130毎の平均光量を示す“全体平均光量”含まれている。
次に、本実施形態に係る夫々のLEDA132に含まれるLED素子列毎の発光量の調整動作について図20のフローチャートを参照して説明する。図20に示す動作を実行するタイミングとしては、例えば搬送ベルト105上に補正パターンを描画し、それを読み取ることによって画像の位置ずれを補正する位置ずれ補正動作が実行され、その結果画像のスキューを補正するためのスキュー補正量が算出された後である。
図20に示すようにまずは補正データ取得部305がLEDAプリントヘッド130の補正データ記憶部137から補正データを読み出す(S2001)。補正データ処理部306は、補正データ取得部305が読み出した補正データを参照し、まずは、図14において説明したような、夫々のLEDA132のアレイ間の間隔の補正量を算出する(S2002)。
S2002において、補正データ処理部306は、図19(a)において説明した位置ずれ情報の“チップずれ量”や、夫々のLEDA132の端部に配置されているLED素子列の“素子ずれ量”を参照する。そして、夫々のLEDA132の基準位置からのずれ量及び端部に配置されたLED素子132aの基準位置からのずれ量に基づいて各アレイ間の間隔を判断する。
ここで言うアレイ間の間隔とは、単純にLEDA132間の間隔ではなく、夫々のLEDA132において端部に配置されているLED素子列の間隔、即ち、LEDA132の継ぎ目における画素の間隔である。そして、“チップずれ量”に含まれる夫々のLEDA132の傾き角度θ#nに基づき、アレイ間の間隔を調整するための調整値を算出する。
ここで、本実施形態のように6つのLED素子132aを副走査方向に配列してLED素子列を構成する場合の、LED素子列の露光スポットの調整可能な位置について図21(a)〜(k)を参照して説明する。上述したように、本実施形態においては、6つ配列されたLED素子132aのうち、光量を上げるLED132と光量を下げるLED素子132aとを選択することにより、LEDA132の副走査方向に対する傾きに応じて露光スポットの主走査位置を調整する。
即ち、調整可能な範囲及び単位は、6つのLED素子132aの配置によって定まることとなる。図21(a)〜(f)は、夫々のLED素子132aの位置を中心として露光スポットを設定する場合であり、6つのLED素子132a夫々に対応して1〜6となる。
他方図21(g)〜(k)は、夫々のLED素子132aの間の位置を中心として露光スポットを設定する場合であり、6つのLED素子132a夫々の間に対応して1.5、2.5・・・5.5となる。即ち、6つのLED素子132aによってLED素子列を構成する場合、最大で1から6若しくは6から1への±5の変化が可能である。また、変化の最小単位は0.5である。
尚、図21(a)〜(k)に示すように夫々のLED素子列の露光スポットの位置を変える場合、主走査方向における露光スポットの移動量は、夫々のLEDA132の傾き量やLEDAプリントヘッド130の傾き量によって異なる。従って、S2002において、補正データ処理部306は、夫々のLEDA132の位置ずれ量及び傾き量並びにLEDAプリントヘッド130の傾き量に基づき、アレイ間の間隔を補正するために必要な調整値を決定する。アレイ間の間隔を補正するために必要な調整値とは、LED素子132aの発光位置の移動量、即ち、図21(a)〜(k)に示す、0.5を単位とする1〜5までの値である。
図22は、上述したようにして決定されたアレイ間の間隔を補正するために決定されたLED素子132aの発光位置の移動量を示す図である。換言すると、図22に示す夫々の数値は、LEDAプリントヘッド130を構成する夫々のLEDA132のうち互いに隣接するLEDA132に夫々含まれるLED素子列間の間隔を調整するために必要な調整量である。
図22においては、一番左側のLEDA132を基準として、右側に隣接するLEDA132のLED素子列の発光量を決定する際に、発光量を強くする必要のあるLED素子の位置(以降、「ピーク素子位置」とする)をどの程度動かす必要があるかを図21(a)〜(k)において説明した値に基づいて示している。
例えば、左端側の1番目のLEDA132と2番目のLEDA132との間の間隔の調整に際しては、2番目のLEDA132のピーク素子位置を+1する必要がある。ここで、図22においては、図21(a)〜(k)に従い、図中の上方向をプラス、下方向をマイナスとしている。
従って、図22に示す1番目のLEDA132のピーク素子位置が図21(a)に示す状態であれば、2番目のLEDA132のピーク素子位置は、図21(b)に示す状態となる。また、1番目のLEDA132のピーク素子位置が図21(h)に示す状態であれば、2番目のLEDA132のピーク素子位置は、図21(i)に示す状態となる。
また、図22に示すカッコ内の値は、左から順番にピーク素子位置の移動量を、符号を加味して累計した結果を示す値である。上述したように、ピーク素子位置の最大の変化量は±5である。従って、カッコ内の値の絶対値が5を超えた場合、補正が不可能となる。また、カッコ内の値の絶対値が5以内であっても、プラスの値の絶対値と、マイナスの値の絶対値の合計値が5を超えている場合も、実質的に5以上の調整が必要とされるため、補正が不可能となる。
そのため、補正データ処理部306は、図22に示すカッコ内の値を確認し、プラスの値の絶対値と、マイナスの値の絶対値の合計値が5を超えていないか否か、即ち、補正可能な範囲内であるか否かを確認する(S2003)。尚、本実施形態においては、6つのLED素子によってLED素子列を構成するため、5を超えているか否かを判断するが、具体的な判断はLED素子列を構成するLED素子の数に応じて異なる。
S2003の判断の結果、補正不可能であると判断した場合、即ち、5を超えていた場合(S2003/NO)、補正データ処理部306は、図22に示すアレイ間隔補正値の調整を行う(S2004)。S2004の処理の詳細は後述する。
S2003の判断の結果、補正可能であると判断した場合、即ち、5以内である場合(S2003/YES)、若しくは、S2004の処理が完了した場合、補正データ処理部306は、端部に配置されたLEDA132の調整値を決定する(S2005)。端部に配置されたLEDA132とは、即ち、夫々のLEDA132毎のLED素子列の露光スポットの設定処理を開始する最初のLEDA132である。
S2005において、補正データ処理部306は、図12において説明したように、対象となる端部のLEDA132の傾き量及びLEDAプリントヘッド130の傾き量に基づいてLED素子列の副走査方向に対する傾き量を求め、その結果に基づいて、光量を上げるLED素子132aの数を決定する。
即ち、S2005においては、補正データ処理部306が、LED素子列においてLED素子132aが配列された方向の副走査方向に対する誤差を示す情報を取得する誤差情報取得部として機能する。図23(a)〜(f)は、LED素子列の副走査方向に対する傾き量に応じた光量を上げるLED素子132aの数の例を示す図である。
図23(a)に示すように、LED素子列が副走査方向に対して傾いていなければ、露光スポット位置の調整のために光量を上げるLED素子132aの数を調整する必要はない。図23(b)〜(f)は、徐々にLED素子列の搬送方向に対する傾きが大きくなっていく状態を示している。図23(b)〜(f)に示すように、傾きの大きさに合わせて光量を上げるLED素子132aの数を調整することにより、露光スポットの主走査方向幅を調整することが出来る。
尚、光量を上げるLED素子132aの数を多くすると、その分ピーク素子位置値の調整幅が狭くなる、例えば図23(b)に示す例の場合、ピーク素子位置は、5つのLED素子132aの中心の位置となるが、ピーク素子位置の調整幅は、6つのLED素子132aのうち中心の2つのいずれかでしか調整が出来ない。
従って、露光スポットの主走査方向幅の調整のために光量を上げるLED素子132aの数を減らす必要が無かったとしても、ピーク素子位置の調整幅を確保するために、光量を上げるLED素子132aの数を減らしても良い。
S2005において、補正データ処理部306は、光量を上げるLED素子132aの数を決定すると、次に、図22に示すように算出されたカッコ内の値に基づいて、ピーク素子位置を決定する。例えば図22の例の場合、カッコ内の値の最大値は「+4」である。従って、プラス方向に少なくとも4つのピーク素子位置の移動が必要であるため、端部のLEDA132におけるピーク素子位置が、図21(b)に示す状態よりも上側であると、途中で調整が不可能となってしまう。
従って、図22に示す例の場合、補正データ処理部306は、端部のLEDA132のピーク素子位置として1、1.5、2のいずれかを選択する。この場合、LEDAプリントヘッド130全体のピーク素子位置の主走査方向の変動を少しでも抑えるため、可能な限りピーク素子位置の中心である3.5に近い値を選ぶことが好ましい。
尚、図22においては、カッコ内の値がプラスのみとなる場合を示しているが、上述したように、補正可能範囲の判断においてはプラスの値の絶対値及びマイナスの値の絶対値を参照する必要がある。従って、S2005において補正データ処理部306は、カッコ内の値のプラスの値の絶対値の最大値及びマイナスの値の絶対値の最大を参照して、端部に配置されたLEDA132のピーク素子位置を決定する。このような処理が、図18(c)において説明した、全体の補正範囲が収まるようにする処理である。
次に、補正データ処理部306は、図17(a)〜(c)において説明したように、隣接するLEDA132に含まれるLED素子列のLED素子の発光量及びピーク素子位置を決定する(S2006)。S2006において、補正データ処理部306は、図22に示すように算出された各アレイ間の補正値に基づいてピーク素子位置を決定すると共に、対象のLEDA132に含まれるLED素子列の副走査方向に対する傾きに基づき、光量を上げるLED素子の数を決定する。
補正データ処理部306は、S206の処理を隣接するLEDA132に対して順番に繰り返し(S2007/NO)、反対側の端部に配置されたLEDA132、即ち最終アレイの補正値の決定が完了したら(S2007/YES)、算出した補正値を補正データ設定部136に出力して(S208)、処理を終了する。
次に、本実施形態に係るS2004の処理について説明する。上述したように、S2004の処理は、図22に示すようにアレイ間の補正のためのピーク素子位置の変更値が算出された場合において、補正が不可能であると判断した場合に、アレイ間のピーク素子位置の変更値を調整する処理である。
図24は、調整が不可能である場合のアレイ間の補正のためのピーク素子位置の変更値の算出結果を示す図である。図24の場合、プラスの値の絶対値の最大値は「4.5」であり、マイナスの値の絶対値の最大値は「2」である。従って、合計で6.5となって5を超えるため、調整が不可能である。この6.5の値を必要調整値とする。
S2004において、補正データ処理部306は、上述した必要調整値が5以内になるように、夫々のアレイ間毎に算出されたピーク素子値位置の変更値を、調整する。具体的には、以下の式(1)により、夫々のアレイ間のピーク素子位置の変更値Padj(#n)に基づいて調整値P´adj(#n)を算出する。ここで、Padj(#n)は、n番目のLEDA132とn+1番目のLEDA132との間のピーク素子値位置の変更値であり、Nは、LED素子列に含まれるLED素子132aの数であり、PMAXは、上述した必要調整値である。
上記式(1)の意義は、全体として調整可能な調整範囲である(N−1)の値を、夫々のアレイ間において必要とされている調整値Padj(#n)に応じて、夫々のアレイ間に振り分けることに相当する。図25は、そのようにして補正された後のピーク素子値位置の変更値の調整値P´adj(#n)を示す図である。尚、図25においては、0.5を単位として、その間の値は0.5単位に切り捨てている。
次に、具体的なLED素子の光量の調整方法について説明する。図26は、LED素子列に含まれる夫々のLED素子132aの光量を決定するため、関数Fを用いる場合の例を示す図である。図26に示す関数Fは、上述したピーク素子位置を示すXpeak及びピーク素子位置における光量を示すYpeak並びに、図23において説明した、光量を上げるLED素子132aの数に相当するピーク幅Wpeakをパラメータとして定まる関数である。
補正データ処理部306は、S2005及びS2006において、上述したXpeak、Ypeak、Wpeakに基づいて関数Fを設定し、その関数Fにおいて、夫々のLED素子132aの位置を示すXの値を代入することによって、夫々のLED素子132a毎の発光量を求める。尚、ピーク幅Wpeakをパラメータとするのではなく、LED素子列と搬送方向との傾きに応じて複数の関数Fを用意しても良い。
図27は、LED素子列に含まれる夫々のLED素子132aの光量を決定するため、夫々のLED素子132aの発光量が予め設定されたテーブル(以降、「光量調整値テーブル」とする)を用いる場合の例を示す図である。図27に示すように、光量調整値テーブルにおいては、Xpeak、Ypeakをパラメータとして6つの発光素子の光量調整値が予め設定されている。
補正データ処理部306は、Xpeak、Ypeakの値が最も近い列を選択して、夫々のLED素子132aの発光量を決定する。図27の態様においても、LED素子列と搬送方向との傾きに応じて複数の光量調整値テーブルが予め生成されており、補正データ処理部306は、LED素子列と搬送方向との傾きに応じたテーブルを選択して、夫々のLED素子132aの発光量を決定する。
図26及び図27において説明した態様により、補正データ処理部306が夫々のLED素子132aの発光量を調整するための調整値を決定する。即ち、補正データ処理部306が、調整値生成部として機能する。
以上、説明したように、本実施形態に係る光書き込み装置111に含まれる光書き込み制御部201においては、LEDA132に含まれるLED素子列において副走査方向に複数配列されているLED素子132aの配列方向が副走査方向に対して誤差を有する場合に、その誤差に基づいて夫々のLED素子列に含まれるLED素子132aの発光量を制御する。そのため、夫々のLED素子列によって描画される画素の露光状態を好適に補正することが可能となり、上記誤差によって生じる画質の低下を防ぐことが出来る。
尚、上記実施形態においては、図10(a)、(b)において説明したようなLEDAプリントヘッド130及びLEDA132の取り付け誤差によって生じるLED素子列の露光スポットの調整や、隣接するLEDA132間の間隔の調整のためのLED素子132aの発光量の調整について説明した。
これに加えて、LED素子132aの発光量の調整としては、図19(b)において説明したような、夫々のLED素子132aの基準発光量の調整が必要である。従って、補正データ処理部306は、図20において説明した動作によって決定されるLED素子132aの発光量の調整値と、図19(b)に示す光量バラつき情報に基づいて決定されるLED素子132aの発光量の調整値とに基づき、最終的な発光量の調整値を決定する。
尚、発光量の調整方法としては、上述したように、ストローブ期間の調整や駆動電流の調整を用いることが可能である。この場合において、本発明が目的とする図19(a)に示す位置ずれ情報に基づく調整と、図19(b)に示す光量バラつき情報に基づく調整とを使い分けても良い。例えば、位置ずれ情報に基づく調整をストローブ期間の調整によって行い、光量バラつき情報に基づく調整を駆動電流の調整によって行うことが出来る。
また、上記実施形態においては、発光素子としてLED素子132aを用いる場合を例として説明した。しかしながらこれは一例であり、有機EL(Electro−Luminescence)素子や、LD(Laser Diode)等を用いることが可能である。
また、上記実施形態においては、図20のS2004において説明したように、全てのLEDA132間のピーク素子位置の移動量を算出して累計した結果、補正が不可能であった場合に、ピーク素子位置の移動量を調整する場合を例として説明した。しかしながらこれは一例であり、例えば、図28(b)に示すように、補正不可能な範囲はそれ以上補正しないようにしても良い。
尚、上記実施形態においては、主走査方向に配列された複数のLEDA132について、左側から順に調整する場合を例として説明した。しかしながらこれは一例であり、右側から順に調整を行っても良い。その場合であっても、図20のS2005において右端側に配置されたLEDA132を選択すると共に、S2006において左方向に順番にLEDA132を選択することにより上記と同様に処理可能である。