JP5343370B2 - 光走査装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

この発明は光走査装置及び画像形成装置に関する。この発明の光走査装置はデジタル複写機、レーザプリンタ、レーザファクシミリ、MFP(マルチファンクションプリンタ)等に用いることができ、画像形成装置はこれらの装置として実施できる。
近年、光走査により画像形成を行う「MFP等の画像形成装置」の出力画像の画質に対する要求水準が高くなり、光走査におけるビームスポット径の小径化及び安定化が強く求められている。「ビームスポット径の安定化」は、光ビームの深度余裕(許容するビームスポット径以下となる光軸方向のデフォーカス距離)を大きくすることにより達成できるが、深度余裕:dとビームスポット径:W、光走査における使用波長:λとの間には、周知の如く、
d∝w/λ
の関係があり、深度余裕の増大はビームスポット径の増大をもたらすため、ビームスポット径の「小径化と安定化」を両立するのは困難であった。
ビームスポット径を小さく保ちつつ「深度余裕を拡大」する方法として、ベッセルビームを用いる方法が考えられる。
「ベッセルビーム」は特許文献1等により知られているが、サイドローブ光強度が非常に強く、高次のサイドローブ光の強度も強いため、ベッセルビームにより光走査を行う場合、光利用効率の低下が考えられ、昨今要望されている画像形成の高速化の観点からすると問題なしとしない。
また、光走査による画像形成には「環境変動の影響」を受けやすいという問題がある。光走査が行われる環境条件である温度や湿度が変化すると、光源として用いられるレーザ光源の波長が変化したり、あるいはレンズの熱変形に伴い光学特性が変化したりして光走査を行うビームの結像面の位置ずれが生じる。環境変動による前記結像面の位置ずれを、回折レンズを用いて低減することが提案されている(特許文献2、3等)。
特許第3507244号公報 特開2005−258392 特開2006−235069
この発明は上述したところに鑑み、光走査装置において、ビームスポット径を小さく保ちつつ深度余裕を拡大し、同時に、環境変化に起因する結像面位置の変動を有効に抑制することを課題とする。
この発明の光走査装置は「レーザ光源と、このレーザ光源からの発散光束をカップリングするカップリングレンズと、レーザ光源からの光束の一部のみを通過させるアパーチャと、上記光束の線像を形成するシリンドリカルレンズと、偏向反射面近傍に前記線像として結像した光束を偏向し走査する偏向手段と、この偏向手段により走査された走査ビームを被走査面に結像する走査レンズとを有する光走査装置」である。
請求項1記載の発明は以下の特徴を有する。
即ち、カップリングレンズのレンズ面とシリンドリカルレンズのレンズ面のうちの少な
くとも1面が「隣接輪帯間高さ:hを持つ輪帯構造による回折レンズ面」を形成され、こ
の回折レンズ面を形成された面が「隣接輪帯間高さ:hと異なる高さ:h'を有する領域:A」を、輪帯構造に相似な形状で有する。
そして、輪帯構造は「環境変動による、被走査面に対する光ビームの結像位置の変動を
補正する機能」を有し、領域:Aは「光スポットの焦点深度を拡大する機能」を有する。
「位相調整」については後述する。
そして、領域:Aを構成する輪帯も含めた全ての輪帯が、回折レンズ面の中心から周辺部にかけ、隣り合う内側の輪帯に対して高さが常に高くなる階段状の構造、または高さが常に低くなる階段状の構造である。
上記「環境変動による、被走査面に対する光ビームの結像位置の変動を補正する機能」
を有するために、輪帯構造の隣接輪帯間高さ:hは「光走査装置における使用波長:λ、
即ち、レーザ光源の設計上の発光波長の略2π倍もしくはその整数倍の位相を与える大き
さ」に設定される。
回折レンズ面を形成された面が有する領域:Aは、レーザ光束に対する位相調整を行なう領域であって、輪帯構造における第5輪帯よりも内側に設けられるとともに、該領域:Aによる位相調整を行うとき、走査レンズの結像面位置での光スポットの光強度プロファイルにおけるメインローブ光のピーク強度:PMに対するサイドローブ光のピーク強度:PSの比:PS/PMが、位相調整を行わないときの前記結像面位置での光強度プロファイルにおけるメインローブ光のピーク強度:PM1に対するサイドローブ光のピーク強度:PS1の比:PS1/PM1に対し、
(1) PS/PM>PS1/PM1
となるように位相分布が設定されて、光スポットの焦点深度を拡大する機能を有し、輪帯構造が、環境変動による前記被走査面に対する光ビームの結像位置の変動を補正する機能を有することができる(請求項2)。
「位相分布」については後述する。
請求項1または2記載の光走査装置における輪帯構造は、形状としては、同心円形状もしくは同心楕円形状(楕円の中心を共通にし、長軸方向を同一とする互いに相似形状の楕円リング形状の配列形態)または直線配列形状であることができる(請求項3)。このように、請求項1または2における「輪帯構造」における輪帯の形態は、リング状や楕円リング状の輪帯を同心的に配列したものに限らず、直線を所定のパターンに配列して「1方向の回折機能」を持たせたものも輪帯の形態として含まれる。
また、輪帯構造が「リング状や楕円リング状の輪帯を同心的に配列したもの」である場合には、その中央部に「円形状あるいは楕円形状の部分」を含むことでき、このような円形状や楕円形状も「輪帯」に含める。
領域:Aは、輪帯構造に相似な形状である。「領域:Aが、輪帯構造に相似な形状である。」とは、領域:Aの外形形状が輪帯構造の外形形状と相似な形状であることを意味する。領域:Aと輪帯構造が相似形状であるので、輪帯構造の外形形状に応じて、領域:A自体も円形や楕円形状、あるいは「円形状リングや楕円リング形状の同心的配列や、直線配列状」であることができる。
また、輪帯構造における「隣接輪帯間高さがhである」とは、互いに隣接する輪帯(円形状や楕円形状、円形リング状や楕円リング形状、直線配列形状)の境界部が「光軸方向に高さ:hの差を持つ不連続面」をなすことを意味する。輪帯構造も領域:Aもレンズ面に形成されるので、これらが形成されるレンズ面自体が曲面であれば、輪帯構造や領域:Aの形状が上記レンズ面自体の曲面形状により影響されることは言うまでも無い。
領域:Aは「輪帯構造と相似的」であるので、領域:Aも「輪帯」を有する。
上記の如く、領域:Aは、輪帯構造における「第5輪帯よりも内側」に設けられる。
請求項1または2または3記載の光走査装置において、輪帯構造は「輪帯の高さが内側から外側へ向かって単調に増加もしくは減少するマルチステップ形状」であることができる(請求項4)。即ち、この場合には、輪帯が内側から外側へ、段差:hをなしてステップ状に高くまたは低くなる形状である。
これとは別に、輪帯構造を「フレネルレンズ面」として構成することもでき、この場合には輪帯をなす「微小幅のレンズ面」が、隣接するレンズ面の境界で「高さ:h」の差を持つ不連続面となる。
上記の如く、上記マルチステップ形状の輪帯構造による回折レンズ面を形成された面に領域:Aを形成する場合、輪帯構造の輪帯と領域:Aの輪帯とを合わせた全ての輪帯の形状において、隣接する輪帯は、外側から内側に向かって、または内側から外側へ向かって高さが漸増するようにする(請求項1)。
このような形態は、面形状の作製上有利である。
請求項1〜3の任意の1に記載の光走査装置における領域:Aは「回折レンズ面をなす
輪帯構造の第0輪帯の内側に設けられ、輪帯構造の中心に位置する楕円形状もしくは第0
輪帯に内接する楕円リング形状である」ことができる(請求項5)。
請求項1〜3の任意の1に記載の光走査装置における領域:Aは「輪帯構造における第
n輪帯(5≧n≧0)のうちの少なくとも1つと一致させて形成」することができる(
求項6)。
請求項1〜4の任意の1に記載の光走査装置においては、回折レンズ面をなす輪帯構造
に対し、領域:Aを回折レンズ面における第n輪帯(3≧n≧0)の1つの輪帯内部に「
領域:Aの内側もしくは外側の少なくとも一方を、回折レンズ面の輪帯形状と一致させる
」か、もしくは「第n輪帯(3≧n≧0)に連続する少なくとも2つ輪帯にまたがる」よ
うに設けることができる(請求項7)。
請求項1〜7の任意の1に記載の光走査装置における「領域:A」は、その高さ:h'
を「輪帯構造における隣接輪帯間高さ:hの略1/2」に設定することが好ましい(請求
項8)。
請求項1〜8の任意の1に記載の光走査装置においては、走査レンズは「副走査方向の
横倍率が−2倍以上−5倍以下の拡大光学系」とすることが好ましく(請求項9)、請求
1〜9に任意の1に記載の光走査装置において、走査レンズは「1枚のレンズで構成す
る」ことができる(請求項10)。
請求項1〜10の任意の1に記載の光走査装置において、アパーチャは「輪帯構造による回折レンズ面および領域:Aを有するレンズ」の極く近傍に設けるか、もしくは「レンズと一体化して設ける」ことが好ましい(請求項11)。
請求項1〜11の任意の1に記載の光走査装置におけるアパーチャは「遮光部の透過率が0.1%以下」であることが好ましい(請求項12)。
この発明の画像形成装置は「光走査による画像書き込みを光導電性の感光体に行って静
電潜像を形成する方式の画像形成装置」であって、光走査による画像書き込みを請求項1
〜12の任意の1に記載の光走査装置により行うことを特徴とする(請求項13)。
請求項13記載の画像形成装置は「複数の光導電性の感光体に異なる色成分の画像書き
込みを行い、各感光体に形成される静電潜像を異なる色のトナーで可視化してトナー画像
とし、これら色違いのトナー画像を同一の記録媒体上で重ね合わせてカラーもしくは多色
の画像を形成する」ように構成することができる(請求項14)。
なお、光走査装置による被走査面の光走査は「シングルビーム方式」でも「マルチビーム方式」でもよい。
若干、説明を補足する。
先ず、輪帯構造が有する「環境変動による被走査面に対する光ビームの結像位置の変動を補正する機能」について簡単に説明する。
説明の具体性のために、輪帯構造が「カップリングレンズの一方のレンズ面」に回折レンズ面として形成されており、カップリングレンズの光学作用が「レーザ光源からの発散光束を平行光束化する作用」であるとする。輪帯構造の隣接輪帯間高さ:hは前述のごとく「使用波長:λの略2π倍、もしくはその整数倍の位相差を与える大きさ」である。
このとき、レーザ光源からの光束は輪帯構造による回折レンズ面を透過すると、輪帯ごとの光束部分に分かれるが、隣接する輪帯間の位相差が「使用波長に対して略2π倍もしくはその整数倍」であるので、輪帯ごとに分割された光束相互は「位相が整合」し、カップリングレンズを透過した光束は全体として平面波、即ち平行光束の状態を保っている。
レーザ光源として一般に用いられる「半導体レーザや面発光型レーザ」の発光波長は、温度上昇に伴い「発光波長が長波長側にずれる」という一般的な性質を有している。一方、光走査装置に用いられる走査レンズは、偏向された光ビームを被走査面上に集光させるため、正の屈折力を有するのが一般であるが、レンズの熱変形や屈折率変化による影響は、正レンズでは正のパワーが弱くなるように、また負レンズでは負のパワーが弱くなるように現れるのが一般的である。
説明の具体性のために、走査レンズが正レンズで、温度上昇にともなって正のパワーが弱まる場合を考えると、前記のような場合、温度上昇により波長が大きくなると、輪帯構造の各輪帯を透過した光束部分の位相が互いにずれることになる。このとき、輪帯構造の形状を調整することにより、波長が増大した光束がカップリングレンズを透過した後「集束性の光束」となるようにすることができる。
このように「集束性の光束」となった光束が「正のパワーの弱まった走査レンズ」に入射すると、走査レンズにおける正のパワーの減少が「光束の収束性」により軽減される。そして、回折レンズ面をなす輪帯構造の形状を調整することにより、カップリングレンズ透過後の光束の集束性光束への変化により「走査レンズにおける正のパワーの減少」を相殺するようにできる。環境変動の影響を受けるレンズが負レンズである場合にも、輪帯構造の形状を調整することにより「走査レンズにおける負のパワーの減少」を相殺するようにできる。
このようにして、輪帯構造による回折レンズ面に「環境変動による被走査面に対する光ビームの結像位置の変動を補正する機能」を与えることができる。上には、走査レンズのパワー変動の補正を説明したが、一般に、レーザ光源から被走査面に至る光路上に配置されるレンズのパワー変動に起因する結像面位置の変動を、輪帯構造により補正できる。
一方、領域:Aは「隣接輪帯間高さ:hと異なる高さ:h'」を有する形態として設定することにより、後述する例のように「光スポットの深度余裕を拡大する機能(深度拡大機能)」を持たせることが可能となる。
前記輪帯構造や領域:Aは、入射ビームに対して2次元的な位相分布を付与する。この位相分布は、例えば「これらが形成されるレンズ面上に、屈折率分布や高さの分布を形成する」ことにより実現できるが、通常は、輪帯構造、領域:Aの作り易さの面から「高さの分布」で実現することが多い。
前述の「位相分布」は、光ビームに所望の位相分布を与えるために輪帯構造や領域:Aとして与える「屈折率分布」や「高さの分布」である。
発明者は「ビームスポット径を大きくすることなく、深度余裕を拡大できる方法」として以下の方法を見出した。
即ち、この方法は、走査レンズの結像面位置、即ち、被走査面位置で、ビームスポットのビームプロファイルにおけるサイドローブ光(メインローブ光のすぐ外側のサイドローブ光)のピーク強度を「光走査に問題を与えない程度に増大」させるものであり、この発明においては、これを実現するために、領域:Aとその周辺部との位相分布を「光走査に問題を与えない程度にサイドローブ光のピーク強度を増大する」ように設計する。
領域:Aによる位相調整を行うとき、走査レンズの結像面(設計上の被走査面)でのビームスポットの光強度プロファイル(ビームプロファイル)におけるメインローブ光のピーク強度:PMに対するサイドローブ光のピーク強度:PSの比:PS/PMが、位相調整を行わないときの前記結像面位置での光強度プロファイルにおけるメインローブ光のピーク強度:PM1に対するサイドローブ光のピーク強度:PS1の比:PS1/PM1に対し、
(1) PS/PM>PS1/PM1
となるように、領域:Aにおける位相分布を設定するのである。
前述の「位相調整」は、「このような位相分布の設定」である。
さらに、領域:Aによる位相調整を行う場合における走査レンズの「結像面以外での光軸上位置」の光強度プロファイルにおけるメインローブ光のピーク強度:PM2に対するサイドローブ光のピーク強度:PS2の比をPS2/PM2とし、位相調整を行わないときの前記位置での光強度プロファイルにおけるメインローブ光のピーク強度:PMAに対するサイドローブ光のピーク強度:PSAの比率をPSA/PMAとするとき、
(2) PS2/PM2<PSA/PMA
が満足されるように、領域:Aの位相分布を設定するのがよい。
あるいは更に、(1)や(2)の位相調整を行った場合の「結像面位置での光強度プロファイル」におけるメインローブ光のピーク強度:PM3に対する「結像面以外の位置での光強度プロファイル」におけるメインローブ光のピーク強度:PM4の比率:PM4/PM3が、領域:Aによる位相調整を行わないときの「結像面位置での光強度プロファイル」におけるメインローブ光のピーク強度:PM5に対する「結像面以外の位置での光強度プロファイル」におけるメインローブ光のピーク強度:PM6の比率:PM6/PM5に対し、
(3) PM4/PM3>PM6/PM5
となるようにするのが良い。
一般に、「結像面位置から外れた位置」におけるビームスポットの光強度プロファイルのピーク強度は、結像面位置におけるピーク強度よりも小さい。前記条件(3)のように、結像面位置から外れた位置におけるピーク強度の減少量が抑制されると、画像形成装置において、経時的に「感光体の設置位置が変動して被走査面位置が変動」する場合にも、感光体を露光する光エネルギの減少量を低減でき、露光エネルギ変動に伴う「書き込みドットの大きさの変動」を小さく抑えることができ出力画像の高画質化に貢献できる。
前記条件(1)を満足することは、深度拡大、即ち「深度余裕の拡大」を生じさせる必要条件であり、領域:Aにおける位相分布は、条件(1)を満足するように設定される。
サイドローブ光のピーク強度の増大量が大きい程「深度余裕の拡大量は増大」するが、サイドローブ光のピーク強度を増大させすぎると、形成される画像を構成するドットのまわりに「トナーのチリ」が発生したり「地汚れ」が発生したりする現象を誘発する。また、メインローブ光強度の低下量が大きくなりすぎると光走査の高速化に不利になる恐れもある。
従って、サイドローブ光のピーク強度は「メインローブ光のピーク強度の13.5%以下、好ましくは10%以下」に設定するのが良い。
以上に説明したように、この発明によれば新規な光走査装置及び画像形成装置を実現できる。この発明の光走査装置は、光走査のビームスポット径を小さく保ちつつ深度余裕を拡大し、同時に、環境変化に起因する結像位置の変動を有効に抑制できるので、環境に左右されること無く安定した光走査を実現できる。従って、この発明の光走査装置を用いる画像形成装置は、環境変動に拘わらず安定した画像形成を実現できる。
図1に光走査装置の光学配置の1例を示す。
図1は、レーザ光源1から、被走査面11に至る光路を構成する光学系を、1平面内に仮想的に展開して示している。
図1に示すように、レーザ光源1から放射された光ビームはカップリングレンズ3により平行光束化され、アパーチャ12を通過し、シリンドリカルレンズ5により副走査方向(図面に直交する方向)に集束傾向を与えられ、偏向手段であるポリゴンミラー7の偏向反射面近傍に「主走査方向に長い線像」として結像する。ポリゴンミラー7は、この実施の形態例においては偏向反射面を4面もつものである。
ポリゴンミラー7の偏向反射面により反射された光ビームは走査レンズ8の作用により被走査面11上にビームスポットとして集光する。走査レンズ8はガラスまたは樹脂で形成することができる。
ポリゴンミラー7が等速回転すると、偏向反射面により反射された光ビームは等角速度的に偏向し、ビームスポットは被走査面11を光走査する。
アパーチャ12は光ビームの周辺光束領域を遮光してビーム整形する。
走査レンズ8は機能的には所謂「fθレンズ」であり、等角速度的に偏向する光ビームのビームスポットの被走査面11上での変位を等速化する機能を有している。
走査レンズ8はまたポリゴンミラー7の偏向反射面位置と被走査面11の位置とを「副走査方向に関して共役な関係」としており、副走査方向に関しては前記「主走査方向に長い線像」が走査レンズの物点となるので、ポリゴンミラー7の「面倒れ」が補正されるようになっている。なお、説明中の例では、走査レンズ8は樹脂製である。図1に図示されていないが、ポリゴンミラー7は防音用のケーシングに収納され、光源側からの光ビームのポリゴンミラー7への入射と、偏向された光ビームの射出は、ケーシングに設けられた窓を塞ぐ平行平板ガラスを介して行われる。
図1における被走査面11は実体としては「光導電性の感光体の感光面」である。
図1に示した光学配置を持つ光走査装置は、光学配置としては従来から広く知られた構成のものである。図1の構成の光走査装置は、図2に示すように組合せることにより「タンデム式の光走査装置」を構成することができる。
図2は、タンデム式の光走査装置の光学系部分を、副走査方向、即ち、偏向手段であるポリゴンミラー7の回転軸方向から見た状態を示している。図示の簡単のため、ポリゴンミラー7から光走査位置である各被走査面に至る光路上における光路屈曲用のミラーの図示を省略し、光路が平面上にあるように描いた。
この光走査装置では、4つの被走査面11Y、11M、11C、11Kをそれぞれ光ビームで光走査する。4つの被走査面11Y、11M、11C、11Kの実体は「光導電性の感光体ドラムの感光面」であり、これら4個の感光体ドラムに形成される静電潜像をマゼンタ、イエロー、シアン、黒のトナーで個別に可視化し、得られる4色のトナー画像を重ね合わせてカラー画像を形成する。従って、以下において被走査面と、その実体をなす感光体ドラムには共通の符号を付する。
図2において、符号1Y、1M、1C、1Kは「レーザ光源」を示す。レーザ光源1Y、1Mは、図面に直交する方向である副走査方向に重なりあうように配置されている。レーザ光源1Mの発光源は「マゼンタ画像に対応する画像信号」により強度変調され、レーザ光源1Yの発光源は「イエロー画像に対応する画像信号」により強度変調される。
同様に、レーザ光源1C、1Kも副走査方向に重なりあうように配置され、レーザ光源1Cの発光源は「シアン画像に対応する画像信号」により強度変調され、レーザ光源1Kの発光源は「黒画像に対応する画像信号」により強度変調される。
レーザ光源1Y、1Mの個々から放射された光束は、カップリングレンズ3Y、3M(副走査方向に重ねて配置され、各レーザ光源からの光束を入射される。)により平行光束化され、アパーチャ12Y、12M(副走査方向に重なりあうように配置され、各光ビームの周辺光束領域の遮光(ビーム整形)を行う。)を通過したのち、副走査方向に配列されたシリンドリカルレンズ5Y、5M(副走査方向に重なり合うように配置されている。)により、それぞれ副走査方向へ集光されてポリゴンミラー7に入射する。
シリンドリカルレンズ5Y、5Mによる複数の「主走査方向に長い線像」はポリゴンミラー7の偏向反射面近傍に結像し、偏向される光ビームは、それぞれ走査レンズ8Y、10Y、を透過し、これら走査レンズの作用により被走査面11Y、11Mにビームスポットを形成し、これら被走査面を光走査する。
同様に、レーザ光源1C、1Kから放射された光束は、カップリングレンズ3C、3Kにより平行光束化され、アパーチャ12C、12Kを通過したのち、副走査方向に配列されたシリンドリカルレンズ5C、5Kによりそれぞれ、副走査方向へ集光され、ポリゴンミラー7に入射して偏向され、それぞれ走査レンズ8C、8Kを透過し、これら走査レンズの作用により被走査面11C、11Kにビームスポットを形成し、これら被走査面を光走査する。
図3は、図2に示す光走査装置を用いた画像形成装置の構成を示す図である。図3において符号20で示す部分が、図2に即して説明した「光走査装置」の部分である。
ポリゴンミラー7は偏向反射面を4面有し、図3に示すように「2段構成」となっており、上段で偏向される光束のうち一方は、光路折り曲げミラーmM1、mM2、mM3により屈曲された光路により感光体ドラム11Mに導光され、他方の光ビームは、光路折り曲げミラーmC1、mC2、mC3により屈曲された光路により感光体ドラム11Cに導光される。
また、ポリゴンミラー7の下段側で偏向される光束のうち一方は、光路折り曲げミラーmYにより屈曲された光路により感光体ドラム11Yに導光され、他方の光ビームは、光路折り曲げミラーmKにより屈曲された光路により感光体ドラム11Kに導光される。
従って、前記4個のレーザ光源1Y、1M、1C、1Kからの光束により、4個の感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kが光走査される。感光体ドラム11Y〜11Kは何れも時計回りに等速回転され、帯電手段をなす帯電ローラTY、TM、TC、TKにより均一帯電され、それぞれ対応する光走査を受けてイエロー、マゼンタ、シアン、黒の各色画像を書込まれ対応する静電潜像(ネガ潜像)を形成される。
これら静電潜像はそれぞれ現像装置GY、GM、GC、GKにより反転現像され、感光体ドラム11Y、11M、11C、11K上にそれぞれイエロートナー画像、マゼンタトナー画像、シアントナー画像、黒トナー画像が形成される。
これら各色トナー画像は、中間転写ベルト17上に転写される。即ち、転写器15Yにより感光体ドラム11Y上からイエロートナー画像を転写され、転写器15M、15C、15Kによりそれぞれ、感光体ドラム11M、11C、11Kから、マゼンタトナー画像、シアントナー画像、黒トナー画像を順次に転写される。
このようにして、中間転写ベルト17上においてイエロートナー画像〜黒トナー画像が重ね合わせられてカラー画像を合成的に構成する。このカラー画像が、図示されない紙等の媒質に転写され、図示されない定着装置により定着される。なお、中間転写ベルトを用いずに、紙等の媒質に直接カラー画像を形成し、定着しても良い。
図3において、ポリゴンミラー7の右側に偏向される光ビームが入射する走査レンズ8Y、8Mは、図においては分離して描いてあるが、これらは互いに2段に重ねて一体化してもよい。図3において、ポリゴンミラー7の左側に偏向される光ビームが入射する走査レンズ8C、8Kについても同様である。
上記図1〜図3に図示されていないが、この発明の特徴部分をなす輪帯構造および領域:Aは、カップリングレンズ3のレンズ面およびシリンドリカルレンズ5のレンズ面のうちの少なくとも1面に形成される。
光走査装置の小型化を実現するには、走査レンズ8(8Y〜8K)を、偏向手段であるポリゴンミラーの近傍に配置し、走査光学系の副走査方向の横倍率を「−2倍以上」にするのが良いが、このような拡大光学系は、温度変化時の影響や公差の影響も拡大させ、温度変化等の環境変動で被走査面上でのビームスポット径が大きく変動しやすい。
このような場合に、輪帯構造による回折レンズ面で「環境変化に起因する結像位置変化の補正」を行うことにより、また、領域:Aによる深度余裕の拡大を行うことにより、温度変化時の影響や組み立て公差・製造上の交差の影響を小さく抑えることができ安定したビームスポット径を得ることができる。
しかしながら、走査レンズにおける「副走査方向の横倍率」が「−5倍よりも大きく」なると、光走査装置の小型化に寄与しなくなるのみならず、輪帯構造や領域:Aによる所望の効果を得ることが難しい。従って、走査レンズにおける副走査方向の横倍率は、請求項9記載のように「−2倍以上−5倍以下」とするのがよい。
上に説明した光走査装置では、走査レンズを1枚(走査レンズ8、8Y〜8K)で構成したが、勿論、この発明の光走査装置を実施するうえで、走査レンズを従来から広く知られている2枚以上のレンズによるfθレンズとして構成することもできる。
しかし、請求項10のように「走査レンズを1枚のレンズで構成」すれば、光走査装置の小型化・低コスト化には極めて有効であるというメリットがあるが、反面、走査レンズをレンズ1枚で構成するとレンズ設計のパラメータが少なくなるため、上述の「温度変化時の影響や、公差の影響」を受けにくくすることは設計上困難となるデメリットがある。
この発明の光走査装置では、輪帯構造や領域:Aが上記各影響を有効に軽減する機能を持つので、走査レンズを1枚で構成することによるメリットを生かしつつ、デメリットを有効に軽減することができる。
前述のように、アパーチャは、ビームスポット径の変動を有効に抑制するために用いられてビーム整形を行うが、アパーチャを設けると、アパーチャでの回折の影響で、ビームスポットのビームプロファイルが「メインローブ光の周りにサイドローブ光を伴ったプロファイル」となる。
一方、領域:Aにおいても回折が生じるため、光ビームの結像面におけるビームスポットのビームプロファイルは「アパーチャによる回折と領域:Aによる回折が複合したものとして形成」される。従って、領域:Aの位相分布を変化させることにより、ビームスポットのビームプロファイルを変化させることができ、これを利用して「ビームスポット径の増大を抑えつつ、深度余裕の狭小化を軽減もしくは防止する」ことができる。
図4(a)〜(d)に、領域:Aの「位相分布」の具体例を4例示す。
図4の例において領域:A(色の濃い部分)の位相分布は、図4(a)に例示するように「高さ:h’の分布」であり、高さ:h’は、使用波長:λに対して「2π(rad)以外の位相差」になるように設定される。図示の例の如く「0とh’の2段階の高さ」のみを用いる分布のときは「位相差がπ(rad)近傍」になるように高さ:h’を設定するのがよい。
高さ:h’、使用波長:λ、材料の屈折率:nに対し、位相差:θ(rad)は
θ=2π(n−1)h’/λ
で表される。
図4の例では、2段階の高さ分布による位相分布を示したが、多段階や連続値とすることにより設計の余裕度が広がる利点がある。また、結像面でのビームプロファイルは「主走査方向・副走査方向のそれぞれに対して対称な形状」が好ましいため、領域:Aにおける位相分布は、図4(a)〜(d)に示すように「領域:Aの位相分布のパターン」の中心を通り、主走査方向・副走査方向のそれぞれに対して「線対称な高さ分布」にするのがよい。
図4(a)、(b)に示す領域:Aはピクセル構造で「2次元的に自由な位相分布」を設定した例であり、(a)は「主走査方向と副走査方向とが異なる対称性」を有するもの、(b)は「主走査方向と副走査方向とが同じ対称性」を有するものである。
図4(c)は楕円リング形状の位相分布、(d)は「楕円リング形状(もしくは円形リング)の一部を組合せた構造」であり、何れも領域:Aの位相分布のパターンに適する。勿論、領域:Aの位相分布のパターンは図4のものに限定されるものではない。
しかしながら、この発明において、領域:Aは「輪帯構造に相似な形状」として形成されるので、領域:Aの位相分布の好ましいパターンとしては、図4(c)の楕円リング状や、図示されない楕円状や円形リング状、円形状や図4(d)に示すような形状が適している。
図1〜図3に示した光走査装置の場合、走査レンズは主走査方向と副走査方向で倍率が異なるため、図4(a)、(c)、(d)のように「90度回転に対する対称性を持たないパターン」が良い。領域:Aの位相分布のパターンとしては、図4(c)の例のように、主走査方向と副走査方向のそれぞれに対して線対称な高さ分布を設定し、且つ、90度回転に対する対称性を持たないように設定するのが好適である。
以下に「領域:Aによる深度余裕の拡大」を説明する。
前記の事項を満たすように領域:Aを設計したときのシミュレーション結果を以下に示す。以下、深度余裕を拡大できる領域:Aを簡単に「深度拡大部」とも呼ぶ。
説明を一般的とするように、図5に示す如き「シミュレーションモデル」を設定した。
図5において、符号121はアパーチャ、符号122は「深度拡大素子」、符号Lはレンズ、符号ISは結像面を示している。
深度拡大素子122は、領域:A、即ち、上記深度拡大部を形成された「シミュレーションのための仮想的な光学素子」である。
入射ビームは「均一強度の平面波」とし、アパーチャ121で所望のビーム断面形状に整形し、アパーチャ121に密接(距離:0)して設けられた深度拡大素子122の深度拡大部の作用により位相分布を光ビームに付与し、焦点距離:fの無収差のレンズLにより結像面ISの光軸位置にビームスポットとして結像させる。アパーチャ121および深度拡大素子122は、レンズLの前側焦点位置に設置されている。シミュレーションの各種パラメータは以下のとおりである。
アパーチャ121の開口形状:円形状 直径:930μm
レンズLの焦点距離:f=50mm
使用波長:632.8nm
入射ビームは「均一強度の平面波」としているが、光走査装置に光源として用いられる半導体レーザ等の強度分布はガウス分布である。しかし、以下の説明は、入射ビームがガウスビームであるときにも成り立つ。これは、深度拡大部による深度余裕の拡大が「位相分布のみを制御して結像面上におけるビームプロファイルをコントロールしている」ことによる。上記の如き条件で「波動光学によるシミュレーション」を行った。
レンズLは、例えば、図1の光学配置において、シリンドリカルレンズ5と走査レンズ8とを「単一のレンズとして簡単化したモデル」であり、実際の光走査装置における光学系構成とは異なるが、実際の光走査装置においても、以下に示すのと定性的に同等の効果が得られる。
「深度拡大素子を設けないとき」
まず、図5のシミュレーションモデルで、深度拡大素子122を設けないときの「結像面位置におけるビームプロファイル」のシミュレーション結果を図6(a)に示す。ピーク強度を1に規格化している。このときのサイドローブ光のピーク強度は0.016(ピーク強度の1.6%)である。
図6(b)は「ビームスポット径(単位:μm)を縦軸、デフォーカス(レンズの結像位置からのずれ、単位:mm)を横軸とする深度曲線」であり、ビームスポット径はピーク強度に対して「1/e」となる強度の部分の大きさである。深度余裕として「ビームスポット径の増大量を最小ビームスポット径の105%まで許容する」ものとすれば、図6(b)の場合、深度余裕は8.9mmとなる。
「深度拡大素子を設けたとき」
以下、5種類の深度拡大素子(領域:Aの5種類の位相分布パターン)を用いたときのシミュレーション結果を図7〜図11に示す。図7〜図11に共通して(a)は「深度拡大素子における領域:Aの位相分布パターン」を示し、(b)は「結像面位置におけるビームプロファイル」、(c)はビームスポット径を縦軸、デフォーカスを横軸とする「深度曲線」を示す。「ビームプロファイル」は全て「ピーク強度を1に規格化」している。
図7〜図11における(a)に示す深度拡大素子において領域:Aは「色の濃い部分」で、領域:Aに対して地の部分となる「薄色部分」と領域:Aとの位相差(領域:Aの高さ:h’をθ=2π(n−1)h’/λにより換算した値。)を「π(薄色部分:0、濃い色の部分:π)」に設定している。
図7〜図11の(a)に示す「深度拡大素子」を順次、深度拡大素子1〜5と呼ぶ。
図7〜図11の(a)に示す深度拡大素子は何れも、領域:Aの位相分布が「中空の円形状」で、それぞれ「図示の外径・内径」を有し、円形状の位相分布の中心を「アパーチャ121の中心」に一致させている。
図7〜図11の(b)に示すように、深度拡大素子1〜5を用いても高次サイドローブ光のピークが低く(図7〜図11の(b)のグラフの外側においても強い強度の高次光は発生していない。)、高い強度のメインローブ光が得られている。また、深度拡大素子を用いない場合のビームプロファイルを示す図6(a)との対比から明らかなように、深度拡大素子1〜5が用いられることにより「ビームプロファイルに於けるメインローブ光に隣接するサイドローブ光のピーク値」が増大している。
また、深度拡大素子1〜5を用いることにより、図7〜図11の(c)に示す「深度曲線」から明らかなように、デフォーカスに対するビームスポット径の変化が小さくなり、深度余裕が増大している。
「深度拡大機能のない構造パターンの位相型光学素子を用いた場合」
図12に示す「位相分布のパターン」は、深度拡大素子1〜5と同様、位相分布が「中空の円形状で位相差:π」であり、「図示の外径・内径」を有し、円形状の位相分布の中心を「アパーチャの中心」に一致させている。
しかし、この場合に得られるビームプロファイルは図12(b)に示すように、メインローブ光に隣接するサイドローブ光のピーク値が小さく、同図(c)からも明らかなように「深度拡大を行う機能」を持たない。
図13に、上に説明した各場合のサイドローブ光のピーク強度、深度余裕、ビームスポット径を一覧表として示す。
「ビームプロファイル」は、全てピーク強度を1に規格化しており、深度余裕は「最小ビームスポット径の105%までビームスポット径の増大が許容される」ものとして算出した。図13において「深度拡大素子なし」は図6に示した場合であり、「本発明でない深度拡大素子」は、図12に示した「深度拡大機能のない位相分布パターンの素子」である。
「サイドローブ光のピーク強度を増大させるような深度拡大素子1〜5を設けることにより、深度余裕が拡大し、サイドローブ光のピーク強度が強いものの方が、深度余裕の拡大率が大きい」ことが理解される。
「深度拡大機能のない構造パターンの位相型光学素子」を用いた場合には、逆に深度余裕が減少しているのが図13からわかる。
前記のように、領域:Aを持つ深度拡大素子を用いると、レンズ焦点位置近傍でのビームスポット径の深度余裕が拡大するため、リレー光学系等のレンズの追加等を招くことがなく、レイアウト上、非常に有利である。更に「高い光利用効率」を実現できる。
図14には、「深度拡大素子を用いない」ときと深度拡大素子1〜5を用いたときのそれぞれについて、横軸にデフォーカス(mm)、縦軸にサイドローブ光のピーク強度(メインローブ光のピーク強度を1に規格化したとき)を取って両者の関係を示す。図12の位相分布パターンを用いたときには、焦点位置以外におけるビームプロファイルの劣化が激しく、サイドローブ光とメインローブ光が重なりあい、サイドローブ光のピーク強度とメインローブ光を区別できないため図示されていない。
図14を参照すると、焦点位置(結像面位置、デフォーカス:0mm)においては、深度拡大素子を用いないときのサイドローブ光のピーク強度が最も小さいが、デフォーカス:5〜6mmよりも大きなデフォーカス領域では、深度拡大素子を用いた方がサイドローブ光のピーク強度が小さくなっている。
上には領域:Aの位相分布のパターンとして「中空の円形状(リング状)」のものを示したが、これに限定されるものではなく、前述のように「円形状や、楕円形状、楕円リング形状等、輪帯構造に相似な種々のパターンが可能である。
以下には輪帯構造による「環境変動による結像面の位置ずれ補正」を説明する。
「環境変動による結像面の位置ずれ補正」を行う機能を持ったレンズとして、回折レンズが知られている。図15は、従来から知られた回折レンズの構造の例(上の図は光軸方向から見た図、下の各図は断面図)を示している。
図15(a)は、通常のレンズの形状を輪帯群に分割し、各輪帯の高さが「h」になるように折り返した構造である。
図15(b)は(a)に示す例における「輪帯の斜面部」を直線で近似した形状(断面形状が鋸波状)のものである。
図15(c)は、(a)の輪体を「階段形状で近似したもの」である。
これらの例における個々の輪帯部分の隣接する部分が「隣接輪帯間高さ:hの不連続面形状」をなしている。そして、この不連続面形状が「環境変動による結像面の位置ずれを補正する機能」を有するように設定されるのである。
図15(a)〜(c)における輪帯構造による不連続面形状は、使用波長(設計波長)においてパワーを有し、入射したビームを集光させる。
図16に示す例は、使用波長においてパワーを持たない回折レンズである。輪帯構造を構成する各輪帯は、光軸に対して垂直な平面となっている。この場合の輪帯構造は「輪帯の高さが内側から外側へ向かって単調に減少するマルチステップ形状」である。
図15、図16に示す「高さ:h」は、使用波長に対して「2πの整数倍の位相差」となるように設定される。
光走査装置内の温度が上昇した場合を考えると、レーザ光源として半導体レーザが用いられている場合、レーザ光源の発光波長は一般に長波長側にずれるが、回折レンズのパワーは波長に比例して大きくなる。
温度上昇時には、屈折作用を持つレンズ(特に樹脂製レンズ)は膨張し、レンズ面の曲率が減少しレンズパワーは弱くなる。従って1つの光学系内に、回折レンズと屈折レンズの両方を設けると、温度変化時におけるパワー変化を、回折レンズと屈折レンズで相殺でき、温度変化に起因するパワー変化を抑制できる。即ち、回折レンズにおける回折レンズ面のパワー変化は「温度変化によるレンズの膨張・収縮の方向によるパワー変化」と逆であり、温度変化時の結像面位置の変化を抑制できる。
図17に、回折レンズ面の輪帯構造を3種示す。輪帯構造は(a)では「同心円状」に分割された輪帯群(「同心円回折レンズ面」)であり、(b)では「同心楕円状」に分割された輪帯群(「楕円回折レンズ面」)であり、(c)では「直線状の分割ラインで分割された短冊状の輪帯群(「直線状回折レンズ面」)である。
図7(b)、(c)の不連続面形状で「アナモフィックな回折パワー」を実現できる。
光走査装置では一般に、主走査方向と副走査方向で光学系の倍率が異なるため、回折レンズによる、温度変化時の結像面位置の変化量が、主走査方向と副走査方向とで異なるように設定するのが好ましい。このためには、図17(b)に示すような楕円状の輪帯による輪帯構造を持つ回折レンズ面を1面用いるか、もしくは、図17(a)に示すような同心円状の輪帯による輪帯構造を持つ回折レンズ面と、図17(c)に示すような直線状の分割ラインで分割された回折レンズ面を組合せて用いるのが良い。
なお、光走査装置では一般に、副走査方向の倍率が高く、主走査方向の倍率は比較的小さいので、温度変化時の結像面位置変化については特に副走査方向の変化が問題になる。
従って、図17(a)に示すような「同心円状の輪帯を持つ回折レンズ面」が1面か、図17(c)に示すような回折レンズ面が1面でも効果はある。
上に、温度変化にともない回折レンズ面のパワーを変化させる原理を説明したが、これは回折レンズ面で波面の調整を行っていることに相当し、輪帯構造(回折レンズ面)の形態を調整することにより、例えば、温度変化時に発生する様々な収差を打ち消すような波面を発生させることもできる。
上には、領域:Aによる「深度拡大機能」と、輪帯構造による「環境変動の影響補正機能」を個別的に説明した。これらの2つの機能を組合せることにより、上記2つの機能を同時に機能させることができる。
この点を若干捕捉説明する。
例として、図16に示した「輪帯の高さが内側から外側へ向かって、隣接輪帯間高さ:h(=位相差:2π)で単調に減少するマルチステップ形状」を持つタイプの輪帯構造と、図7に示すような「円形リング形状で位相差:πを持つ領域:A」を同一レンズ面に集積して形成した場合を想定してみる。
この場合、輪帯構造による回折レンズ面は「使用波長に対してはパワーを持たない」が、光走査装置の温度が上昇すると、レーザ光源として用いられている半導体レーザの発振波長が長波長側にずれ、輪帯構造の作用としては輪帯構造の外側ほど透過光における「位相の遅れ」が小さいため透過光束に集束傾向が与えられる。
温度変化による半導体レーザの波長変化は0.2nm/℃程度であり、光走査装置内で温度が20℃変化すると、光ビームの波長は4nm長くなる。半導体レーザの発光波長を設計値で655nmとすると、4nnの波長変化は使用波長に対して0.6%程度の変化となる。従って、輪帯構造における各輪帯での位相変化も0.6%程度となる。
回折レンズ面を構成する輪帯構造では、例えば、第10輪帯では中心に対して高さが10h大きく、高さ:hは「2πの位相差を齎す」から、輪帯構造中心に対する第10輪帯での位相差は20πであり、波長が0.6%変化すると12πの位相変化が発生する。このような中心と周辺との大きな位相差により、輪帯構造による光束形態の変化(上記では透過ビームに集束傾向を与える変化)は顕著であり、輪帯構造による回折レンズ面は小さな波長変化でも機能を発揮する。
これに対し、領域:Aでは、波長変化:0.6%は「深度拡大機能」に対しては殆んど無視できる大きさであり、光走査装置の温度が変化しても領域:Aによる深度拡大機能は実質的な影響を受けない。このような理由により、輪帯構造による回折レンズ面と領域:Aによる深度拡大部は、同一のレンズ面に集積して形成しても各々の機能を独立して発揮できる。
上には、回折レンズ面をなす輪帯構造として「マルチステップ形状」を例に挙げたが、図15に示すような「パワーがある面」として構成しても上記と同じ考え方で、領域:Aと同一レンズ面に集積化できる。
上記の如く、回折レンズ面をなす輪帯構造と、深度拡大機能を持つ領域:Aとは「位相に作用する光学素子」であるため、請求項1記載のように「1つのレンズ面に集積化」できる。このように、1つのレンズ面(カップリングレンズおよび/またはシリンドリカルレンズ)に輪帯構造と領域:Aとを集積化することにより光走査装置を構成する部品点数の増大を回避でき、新たな光学素子の追加を避けることができるので、光学素子の表面反射による光損失の発生を有効に軽減でき光走査装置の高速化にも対応できる。さらに、光学素子の樹脂化が可能となってコストダウンが可能となり、樹脂製光学素子を用いるにも拘わらず、温度変化時の像面湾曲変化の補正と深度拡大を実現できる。
以下、輪帯構造と領域:Aの「同一レンズ面への集積化」の具体的な例を説明する。
図18(a)は、マルチステップ形状による輪帯構造の1例を示している。この例では、輪帯構造を構成する各輪帯のうち第0輪帯は楕円状、第1輪帯以上では楕円リング形状であり、輪帯の高さは「内側から外側へ向かって隣接輪帯間高さ:h(=位相差:2π)でステップ的に単調増化」している。
図18(b)は、深度拡大部を構成する領域:A(中心部に対して高さ:h’を有する部分)を示している。この例の領域:Aの位相分布のパターンは「楕円リング状」であり、輪帯構造における各輪帯の楕円リング形状と相似的であり位相差に当たる高さ:h’は上記隣接輪帯間高さ:hの1/2である。
図18(c)、(d)は、(a)の輪帯構造における第0輪帯内に、(b)の領域:Aを「中心と長軸方向を互いに合致させて集積形成」したレンズ面形状を示している。図18(c)は輪帯構造と輪状領域とが「加算的」に集積された例であり、図18(d)は両者が「減算的」に集積された例である。これら図18(c)、(d)に示すレンズ面は光学的に同じ機能を有する。
図19(a)は、図15(b)に示したタイプの輪帯構造の1例を示している。この例でも、輪帯構造を構成する各輪帯は楕円リング形状であり、隣接する輪帯の境界部は隣接輪帯間高さ:h(=位相差:2π)を持つ不連続部をなしている。
図19(b)は、深度拡大部を構成する領域:Aを示す。この例の領域:Aの位相分布のパターンも「楕円リング状」で、輪帯構造と相似的であり位相差に当たる高さ:h’は上記隣接輪帯間高さ:hの1/2である。
図19(c)、(d)は、(a)の輪帯構造における第0輪帯内に、(b)の領域:Aを「中心と長軸方向とを互いに合致させて集積形成」したレンズ面形状を示している。図19(c)は輪帯構造と領域:Aとが「加算的」に集積された例であり、19(d)は両者が「減算的」に集積された例である。図19(c)、(d)に示すレンズ面は光学的に同じ機能を有する。
ここで、図18、図19の(c)、(d)に示す面形状の構造(以下、「面構造」と言う。)の作製を説明する。
上記面構造の作製方法としては、大別して、エッチング等の半導体プロセスを用いる方法と、バイトを用いた切削加工の2種類が考えられる。半導体プロセスでは連続的な形状を精度良く作るのが困難である。連続形状を細かなステップ上に分割して作ることも可能であるが回折効率が低下して好ましくない。これに対し「切削加工」は連続的な加工が可能であり、高い回折効率を持つ回折レンズ面を作製可能であり好ましい。
そこで、上記面構造を切削加工で作製することを考えると、切削加工では、通常、面構造を転写する金型とバイトの少なくとも一方を回転させながら金型が作製される。加工の容易化のためには「輪帯構造の各輪帯は相似にする」のがよく、領域:Aの輪帯も輪帯構造の輪帯と相似にするのがよい
なお、輪帯構造は「主走査方向と副走査方向の倍率」によって決まるのに対し、領域:Aの位相分布の形状はアパーチャの形状に大きく影響を受ける。従って、請求項1のように「両者の構造を相似関係」にできるようにアパーチャの形状を最適化する。
また、図18、図19の(d)の面構造には、領域:Aに対応した輪帯により「幅の狭いくぼみ」が発生しており、これを切削加工で加工するのは容易ではないが、図18、図19の(c)のような面構造であればバイトを用いて高精度に加工できて好ましい。
特に、図18(c)の面構造は、階段状の構造であって「幅の狭いくぼみ」がなく、バイトによる高精度の加工が容易である。
従って、面構造を切削加工で高精度に加工するためには、領域:Aを構成する輪帯も含めた全ての輪帯が「隣り合う内側の輪帯に対して常に高さが高くなる階段状の構造か、もしくは常に高さが低くなるような階段状の構造」に集積化するのがよい。
図18、図19の(c)の面構造は、領域:Aをも含めた全ての輪帯において「隣接する内側の輪帯に対して常に高さが高くなる」ようにしているが、図18(c)の面構造は、領域:Aをも含めた全ての輪帯において「隣接する内側の輪帯に対して常に高さが高くなる階段状の構造」である。
図18(c)の面構造を、成型やナノインプリント等により複製で作る際の型構造は、逆に、全ての輪帯が「隣り合う内側の輪帯に対して常に高さが低くなる階段状の構造」となる。
図18、図19に示した領域:Aは「単一の楕円リング形状」であるが、これに限らず同心的な複数の楕円リング形状としてもよい。
前述の如く、光走査装置では、一般に、レーザ光源と被走査面との間にある結像光学系の倍率が「主走査方向と副走査方向で異なる」ため、輪帯構造による「温度変化時の像面位置変化を補正する補正量」も、主走査方向と副走査方向で異ならせて設定するのが好ましい。
主走査方向と副走査方向の両方の像面位置変化を抑制するには、図17(b)に示すような楕円形状の輪帯構造による回折レンズ面を用いるか、図17(a)の同心円状の輪帯構造による回折レンズ面と、図17(c)に示す「直線配列による輪帯構造」による回折レンズ面を組合せて用いるのが良い。同心円状の輪帯構造による回折レンズ面と直線配列状の輪帯構造による回折レンズ面を組合せて用いる場合には、領域:Aはどちらに集積化しても良いし、両方に集積化しても良いが、より好ましくは同心円状の輪帯構造を持つ回折レンズ面に集積化するのが良く、このようにすることで「主走査方向と副走査方向の深度余裕の拡大」が可能となる。
輪帯構造、領域:Aは、シリンドリカルレンズ、カップリングレンズにおける1以上のレンズ面に設けられる。
なお、光走査装置は「副走査方向の倍率が主走査方向の倍率よりも高く、主走査方向の倍率が比較的小さい」ことが多いので、温度変化時の像面位置変化については、特に副走査方向の方が問題になる。従って、図17(a)に示すような同心円状の輪帯構造による回折レンズ面のみを用いても良いし、図17(c)に示すような直線配列状の輪帯構造の状回折レンズ面のみを用いても良い。その際は、副走査方向の像面位置変化を最小にするように構成するのが良い。
深度拡大のための領域:Aと集積化して、最も効果的に「深度を拡大」するには、楕円形状の輪帯構造による回折レンズ面とするのが最も好適であり、深度拡大機能を持つ楕円回折レンズ面は「シリンドリカルレンズの平面部に設ける」のが最適である。
領域:Aを回折レンズ面の光軸から離れた位置に設けると「ノイズ光として作用する高
次回折光」が発生しやすくなり、このような高次回折光は画像形成に悪影響を与えるほか
、メインローブ光(画像形成に用いる光)を減少させてしまう。従って、領域:Aの少な
くとも一部は「回折レンズ面の光軸になるべく近い」ところに設けるのがよい。
領域:Aは、回折レンズ面をなす輪帯構造における「第5輪帯よりも内側」に設ける。より好ましくは、領域:Aの全体を「第5輪帯よりも内側」に設けるのが良い
領域:Aと集積して形成する輪帯構造は、図15に示す如き「パワーがある回折レンズ面」とする場合と、図16に示す如き「マルチステップ形状の回折レンズ面」とする場合とがあるが、これら両者のうちで「より好ましい」のは図16に示す「マルチステップ形状の回折レンズ面」である。
輪帯構造と領域:Aをレンズ面として形成するレンズの「他方のレンズ面」は屈折面とすることも回折レンズ面とすることも可能であるが、回折レンズ面が図15に示す例のような「パワーを持つ面」であると、レンズ面間の偏心による光学特性の劣化が生じ易い。図16に示す如き「パワーがない回折レンズ面」だと、面間の偏心によって光学特性が劣化しにくいので、領域:Aと集積する輪帯構造は「輪帯の高さが内側から外側へ向かって単調に増加もしくは減少するマルチステップ形状」が好ましい。
前述のように、切削加工を用いて深度拡大機能を持つ回折レンズ面を作製するためには「領域:Aを構成する輪帯も含めたレンズ面の全ての輪帯」が、隣接する内側の輪帯に対して「常に高さが高い」か、もしくは「常に高さが低い」構造にするのが良い。このような構造の例を以下に示す。
図20(a)は「楕円形状の輪帯構造による回折レンズ面」を示し、同(b)、(c)は(a)に示す回折レンズ面に領域:A(図20(b)、(c)の上の図において、斜線によるハッチを施した部分)を集積した「深度拡大機能を持つ回折レンズ面」を示している。図20(b)、(c)下の断面形状を示す図において「破線で示す部分」は「領域:Aを集積される前の「輪帯構造による回折レンズ面」の形状を表している。
図20(b)に示す例では、深度拡大のための領域:Aは楕円形状であり、楕円回折レンズ面の第0輪帯内に、中心と長軸方向を互いに合致させて「第0輪帯よりも高さ:h’だけ低い領域」として集積化した例であり、領域:Aの楕円形状は輪帯構造の各輪帯の楕円リング形状による楕円形状と相似となっている。
図20(c)は、深度拡大のための領域:Aの形状を「回折レンズ面をなす輪帯構造」と相似形状の「楕円リング形状」とし、輪帯構造の第0輪帯内に「第0輪帯の底面から高さ:h’で、外周が第0輪帯の外周端面と合致する」ように形成した例である。
図20に示す2例では「領域:Aを構成する輪帯も含めたレンズ面の全ての輪帯」が、隣接する内側の輪帯に対して「常に高さが高い」構成となっている。
図21(a)では、深度拡大のための領域:A(斜線のハッチを施した部分)は、回折レンズ面を構成する輪帯構造の楕円リング形状の輪帯と相似形状の楕円リング形状であり、輪帯構造における第1輪帯に合致させて形成した例である。同図(b)は、深度拡大のための領域:A(斜線のハッチを施した部分)は、回折レンズ面を構成する輪帯構造と相似形状の楕円リング形状であり、回折レンズ面の第1および第2輪帯の形状と一致させた例である。このように、領域:Aは「輪帯構造の第n輪帯(5≧n≧0)に一致させる」のが良い。
図21(c)は、深度拡大のための領域:A(斜線のハッチを施した部分)の形状を楕円リング形状とし、この楕円リング形状の内側を「回折レンズ面をなす輪帯構造の第1輪帯をなす楕円リング形状」の内側に一致させ、領域:Aの外側は第1輪帯の外側よりも内側にした例である。
図21(d)は、深度拡大のための領域:A(斜線のハッチを施した部分)の形状を楕円リング形状とし、この楕円リング形状の内側を「回折レンズ面をなす輪帯構造の第1輪帯をなす楕円リング形状」と合致させ、領域:Aの外側を「輪帯構造の第2輪帯内」に配置した例である。
図22(a)は、深度拡大のための領域:A(斜線のハッチを施した部分)の形状を楕円リング形状とし、この楕円リング形状の外側を「楕円リング径状の輪帯による輪帯構造で形成される回折レンズ面の第2輪帯の外側」に一致させ、領域:Aの内側を「回折レンズ面の第1輪帯内」に配置した例である。
図22(b)は、深度拡大のための領域:A(斜線のハッチを施した部分)の形状を楕円リング形状とし、この楕円リング形状の内側を「楕円リング径状の輪帯による輪帯構造で形成される回折レンズ面の第0輪帯内」に、領域:A楕円リング形状の外側を、回折レンズ面の第2輪帯内に設けた例である。
図22(c)は、深度拡大のための領域:A(斜線のハッチを施した部分)を「複数の同心的な楕円リング形状」で構成した例であり、内側の楕円リング形状は、その外側を回折レンズ(「楕円リング形状の輪帯による輪帯構造」で形成されている。)の第0輪帯の外側に一致させ、内側を回折レンズ面の第0輪帯内に設け、領域:Aの「外側の楕円リング形状」の内側を回折レンズ面の第2輪帯の内側に一致させ、外側を回折レンズ面の第2輪帯内に設けている。この例が示すように、領域:Aは「複数の楕円リング形状」で構成することもできる。
上に例示した各例のように、領域:Aは、回折レンズ面を構成する輪帯構造における第n輪帯(3≧n≧0)の1つの輪帯内部に設けるとともに、領域:Aの内側もしくは外側の少なくとも一方を「回折レンズ面の輪帯形状と一致させる」のが良い。また、領域:Aは「輪帯構造の第n輪帯(3≧n≧0)の、連続する少なくとも2つ輪帯にまたがって設ける(図21(d)、図22(a)、(b))」ことも許容される。
図22(b)に示した深度拡大のための領域:Aの形状を図23(a)に示す。図23(b)は、同図(a)に示す領域:Aと光学的に等価な形状である。このような等価な関係が成立するのは、領域:Aが集積される輪帯構造における隣接輪帯間高さ:hを「使用する波長に対して2πラジアンの位相差となるように設定」しているためである。
輪帯構造と領域:Aとの最も好適な関係は、深度拡大のための領域:Aが、回折レンズ面をなす輪帯構造の第0輪帯の「少なくとも一部」を含むことであり(例えば、図20(b)、(c)、図22(b))、このようにすることにより、高次サイドローブの発生を抑制しつつ深度余裕の拡大を効果的に実現できる。
上に図20〜図22を参照して説明した例では、輪帯構造により形成される回折レンズ面の形状を「マルチステップ形状」として説明したが、輪帯構造は、例えば、図15に即して説明したような「パワーのある回折レンズ面」でもよい。
図24(a)には、輪帯構造として、このような「パワーを持つ回折レンズ面」の1例を示している。輪帯構造を構成する各輪帯は楕円リング形状であり、斜面は円錐面をなし、第0輪帯は凸レンズ面をなす。
図24(b)は、図24(a)に示した輪帯構造に対し、楕円形状の領域:A(斜線のハッチを施した部分)を、輪帯構造の第0輪帯内に高さ:h’の「くぼみ」をつけるように形成した例である。また、図24(c)は、図24(a)に示した輪帯構造に対し、楕円リング形状の領域:A(斜線のハッチを施した部分)を、輪帯構造の第0輪帯内に、領域:Aの外側が第0輪帯の外周面と合致するように形成した例である。
上に説明した例では、回折レンズ面をなす輪帯構造の輪帯の形状を楕円リング状(第0輪帯は楕円形状)としたが、勿論、輪帯構造の形態はこれに限らず、円形リング状の輪帯による同心円状の輪帯構造による回折レンズ面、直線配列状の輪帯構造による回折レンズ面とすることも可能であり、上記と全く同様の考えで深度拡大のための輪状領域と集積化できる。
輪帯構造における隣接輪帯間高さ:hは、前述の如く、使用波長に対して略2πラジアンの位相差に対応する大きさに設定されるが、領域:Aの高さ:h’は「隣接輪帯間高さ:hと異なる大きさ」であれば深度拡大機能が発現するのでh’に対する条件としては、h’≠h」であれば良いが、h’をh/2に設定することにより「最も大きな深度拡大効果」を得ることができる。
前述の如く、この発明の光走査装置では、半導体レーザ(LD)や面発光型レーザ(VCSEL)がレーザ光源として用いられるが、これらレーザ光源の製造に不可避的な「発散角ばらつき」や、被走査面におけるビームスポット径の経時的な変化を防止するためにビーム整形を行う「アパーチャ」が用いられ、結像レンズへ入射する光束幅を一定としている。アパーチャを設けることにより、被走査面位置におけるビームスポット径の変動を良好に抑制できる。一方、アパーチャを設けると、アパーチャによる回折の影響で被走査面におけるビームプロファイルが「サイドローブを伴ったプロファイル」となる。
深度拡大のための領域:Aを設けると、この領域:Aによっても回折が生じ、被走査面位置では「アパーチャによる回折と領域:Aにおける回折が複合して、ビームプロファイルが形成される」ことは先に説明した。
このようにビームプロファイルの形成にはアパーチャによる回折と領域:Aによる回折が関係するので、アパーチャと領域:Aとの相対的な位置関係により、ビームプロファイ
ルは大きく変化し、それに伴い深度余裕も影響を受ける。
アパーチャと領域:Aとの位置関係の変動を有効に軽減もしくは防止するためには、ア
パーチャと領域:Aを形成した回折レンズ面とを「極く近接させる」か、もしくはこれら
を一体化するのが良い。この場合、アパーチャと領域:Aを形成した回折レンズ面との相
対位置を「ビームに対して略垂直な平面内で調整」できる機構を設けるとなお良い。
また、レーザ光源をマルチビーム光源としたとき、アパーチャや回折レンズ面に対して、マルチビーム間で入射角度が異なるので、アパーチャと「領域:Aを形成した回折レンズ面」を離して設置してしまうと、各マルチビームから見たアパーチャと上記回折レンズ面の位置関係がマルチビームごとに異なる。上記の如く、アパーチャと「領域:Aを形成した回折レンズ面」を極く近接もしくは一体化して設ければこのようなことは生じない。従って、レーザ光源をマルチビーム光源とするときは、アパーチャと「領域:Aを形成した回折レンズ面」とは極く近接させるかもしくは一体化するのが好ましい。
なお、マルチビーム光源としては、例えば、端面発光レーザが1次元状に配列されたLDアレイや、面発光型レーザが2次元的に配列された面発光レーザアレイを用いることができる。
また、アパーチャの遮光部の透過率が大きいと、アパーチャの遮光部をわずかに透過した光ビームが「集光位置近傍におけるビームスポット径」に影響を与えることが実験で明らかとなっており、アパーチャとして「遮光部の透過率が0.3%程度」のものを用いると、ビームスポット径が3〜5μm程度増大してしまう。このような問題は「アパーチャの遮光部の透過率を0.1%以下に抑える」ことにより解消できる(請求項13)。
以下、図1に即して説明した光走査装置の構成に関連した具体的な光学系構成によるシミュレーションの結果を説明する。前述の如く、走査レンズ8は樹脂製であり、図1に図示されていないが、光源側からの光ビームのポリゴンミラー7への入射と、偏向された光ビームの射出は、ポリゴンミラー7を収納する防音用のケーシングに設けられた窓を塞ぐ平行平板ガラスを介して行われる。また、図1において、図面上下方向が主走査方向に対応するが、レーザ光源1からポリゴンミラー7に入射する光ビームの主光線が、主走査方向となす角は34度であり、従って、ポリゴンミラー7の回転軸から見て、偏向反射面の法線が走査レンズ8の光軸に対して34度の角をなすとき、偏向された光ビームは上記光軸に平行になる。
走査レンズ8の入射面(第1面)および射出面(第2面)は、主走査方向の近軸曲率半径:Rm0(曲率:Cm0=1/Rm0)、副走査方向の近軸曲率半径:Rs0(曲率Cs0)、係数:a00、a01、a02、・・・、b01、b02、b03、・・・を用いて、以下の式(式1および式2)で表される。
Xは光軸方向、Yは主走査方向、Zは副走査方向を表す。
X(Y,Z)=Cm0・Y/[1+√{1(1+a00)・Cm0・Y}]
+a01・Y+a02・Y+a03・Y+a04・Y+・・・
+Cs(Y)・Z/[1+√{1Cs(Y)・Z}] (式1)
但し、
Cs(Y)=Cs0+b01・Y+b02・Y+b03・Y+・・・・(式2)
Cm0=1/Rm0,Cs0=1/Rs0 。
カップリングレンズ3の入射面は平面、射出面は下記の式3で表される回転対称非球面である。
X(H)=C・H/[1+√{1(1+K)・C・H}]
+A2・H+A3・H+・・・・・・(式3)
但し、
C=1/R 。
シリンドリカルレンズ5の入射面は「副走査方向にのみ曲率を持つシリンドリカル面」、射出面は平面である。
表1に、走査レンズ8の入射面(第1面)および射出面(第2面)、およびシリンドリカルレンズ5の入射面(シリンドリカル面)のデータを示す。
Figure 0005343370
表1において例えば「−1.4822E−16」は、「−1.4822×10−16」を意味する。以下においても同様である。
表2には、光源から像面(被走査面)に至る光学素子間の間隔(距離)を示す。
Figure 0005343370
表2において「光源」とあるのはレーザ光源1、「像面」とあるのは被走査面11である。表2から明らかなように、このシミュレーション例においては、図1においてはカップリングレンズ3とシリンドリカルレンズ5の間に配置されたように描かれているアパーチャ12は、シリンドリカルレンズ5の入射側面に密接して設けられている。
表3には、カップリングレンズの射出面のデータを示す。
Figure 0005343370
光源の波長は655nmとした。
カップリングレンズ3はガラスレンズ(屈折率:1.515141)であり、シリンドリカルレンズ5、走査レンズ8は樹脂レンズ(屈折率:1.527257)である。前述の如く、アパーチャ12はシリンドリカルレンズ5の入射面に密着させて設置した。走査レンズ8の副走査方向の横倍率は約−3.7倍である。
輪帯構造による回折レンズ面および深度拡大のための領域:Aは、シリンドリカルレンズ5の射出面に形成した。回折レンズ面を構成する輪帯構造は楕円リング形状の輪帯によるものであり、第0輪帯は楕円形状で、長軸直径:1.480mm、短軸半径:0.420mmである。
まず、領域:Aを形成せず、上記輪帯構造(回折レンズ面)の有無に対するシミュレーションを行った。光走査装置内の温度変化領域を10℃〜45℃とした。
上記温度変化による主走査方向及び副走査方向の像面湾曲変化は、
主走査方向:−0.7mm〜0.9mm(回折レンズ面なし)
−0.3mm〜0.2mm(回折レンズ面あり)
副走査方向:−3.4mm〜4.8mm(回折レンズ面なし)
−0.1mm〜0.2mm(回折レンズ面あり)
であった。
輪帯構造による回折レンズ面を用いることで、主走査方向・副走査方向ともに「温度変化時の像面湾曲変化」が小さく抑えられていることが分る。
次に、深度拡大のための領域:Aを設けることによる効果をシミュレーションした。比較例を「矩形形状のアパーチャを用いる従来例」とし、深度拡大のための領域:Aを用いる例を「本発明」とした。
比較例(従来例):矩形形状のアパーチャ(3.30mm×2.76mm)
本発明 :楕円形状のアパーチャ(3.56mm×3.08mm)
輪帯構造による回折レンズ面と領域:Aを有する。
上記アパーチャの大きさは全幅で「主走査方向幅×副走査方向幅」を表している。楕円形状では長軸直径と短軸直径である。
図25に、シミュレーションに用いた「回折レンズ面と輪状領域の形状」を示す。
輪帯構造は「長軸直径:1.480mm、短軸直径:0.420mmの楕円形状」を第0輪帯とし、これに同心的に楕円リング形状の輪帯を形成して、上記の温度変化に対する像面湾曲補正効果を実現するようにしたものである。
深度拡大のための領域:A(斜線のハッチを施した部分)は、図の如く「楕円リング形状」とし、輪帯構造の第0輪帯に内接するようにした。この楕円リング形状は、内径(直径):0.700mm(主走査方向)×0.200mm(副走査方向)、外径(直径)が1.480mm(主走査方向)×0.420mm(副走査方向)とした。
図26と図27に、ビームスポット径とデフォーカス(横軸:デフォーカス、縦軸:ビームスポット径)の関係を示す。図26は従来例のものであり、図27は上記「深度拡大のための領域:A」を設けたシミュレーションの結果である。これら図26、図27の比較により明らかなように、上記領域:Aの形成により、深度余裕は主走査方向・副走査方向ともに拡大している。特に、副走査方向における「深度余裕の広がり方」が非常に大きいが、これには「アパーチャ形状を従来の矩形から楕円に変更した効果」も若干含まれている。
以上のように、輪帯構造による回折レンズ面と、深度拡大用の領域:Aとを設けることにより、温度変化時の像面湾曲変化の抑制と、深度余裕の拡大を実現できることがシミュレーションにより確認できた。
光走査装置の光学配置の1例を説明するための図である。 タンデム式の光走査装置の光学配置の1例を説明するための図である。 画像形成装置の1例を説明するための図である。 深度拡大用の領域:Aの位相パターンの具体例4例を示す図である。 深度余裕の拡大のシミュレーションに用いた光学系を説明するための図である。 領域:Aを用いないときのビームプロファイルと深度曲線を示す図である。 領域:Aの位相パターンの1例を説明するための図である。 領域:Aの位相パターンの1例を説明するための図である。 領域:Aの位相パターンの1例を説明するための図である。 領域:Aの位相パターンの1例を説明するための図である。 領域:Aの位相パターンの1例を説明するための図である。 深度余裕を拡大する機能を持たない位相パターンの1例を示す図である。 サイドローブ光のピーク強度、深度余裕、ビームスポット径の表である。 領域:Aによる深度拡大を行わないときと深度拡大を行うときのそれぞれについて、デフォーカスとサイドローブ光のピーク強度の関係を示す図である。 従来から知られた回折レンズの構造の1例を示す図である。 基準波長においてパワーを持たない回折レンズの例を示す図である。 回折レンズの回折レンズ面の不連続面形状を3種示す図である。 回折レンズ面と領域:Aとの集積形態の例を説明するための図である。 回折レンズ面と領域:Aとの集積形態の例を説明するための図である。 回折レンズ面と領域:Aとの集積形態の例を説明するための図である。 回折レンズ面と領域:Aとの集積形態の例を説明するための図である。 回折レンズ面と領域:Aとの集積形態の例を説明するための図である。 図23(b)における領域:Aの具体的形状を2例示す図である。 回折レンズ面と領域:Aとの集積形態の例を説明するための図である。 光走査装置の具体的シミュレーションに用いた回折レンズ面と領域:Aとの集積形態を説明するための図である。 深度拡大を行わないときの深度余裕を示す図である。 深度拡大を行ったときの深度余裕を示す図である。
符号の説明
1 レーザ光源
3 カップリングレンズ
12 光学素子(アパーチャと位相型光学素子)
5 シリンドリカルレンズ
7 偏向手段
8、10 走査レンズを構成するレンズ
11 被走査面

Claims (14)

  1. レーザ光源と、このレーザ光源からの発散光束をカップリングするカップリングレンズと、前記レーザ光源からの光束の一部のみを通過させるアパーチャと、上記光束による線像を形成するシリンドリカルレンズと、偏向反射面近傍に前記線像として結像した光束を偏向し走査する偏向手段と、この偏向手段により走査された走査ビームを被走査面に結像する走査レンズとを有する光走査装置において、
    前記カップリングレンズのレンズ面と前記シリンドリカルレンズのレンズ面のうちの少なくとも1面が、隣接輪帯間高さ:hを持つ輪帯構造による回折レンズ面を形成され、
    前記回折レンズ面を形成された面が、前記隣接輪帯間高さ:hと異なる高さ:h'を有する領域:Aを前記輪帯構造に相似な形状で有し、
    前記輪帯構造が、環境変動による前記被走査面に対する光ビームの結像位置の変動を補正する機能を有し、前記領域:Aが、光スポットの焦点深度を拡大する機能を有し、
    前記領域:Aを構成する輪帯も含めた全ての輪帯が、前記回折レンズ面の中心から周辺部にかけ、隣り合う内側の輪帯に対して高さが常に高くなる階段状の構造、または高さが常に低くなる階段状の構造であることを特徴とする光走査装置。
  2. 請求項1記載の光走査装置において、
    回折レンズ面を形成された面が有する領域:Aは、レーザ光束に対する位相調整を行なう領域であって、前記輪帯構造における第5輪帯よりも内側に設けられるとともに、該領
    域:Aによる位相調整を行うとき、走査レンズの結像面位置での光スポットの光強度プロ
    ファイルにおけるメインローブ光のピーク強度:PMに対するサイドローブ光のピーク強
    度:PSの比:PS/PMが、位相調整を行わないときの前記結像面位置での光強度プロ
    ファイルにおけるメインローブ光のピーク強度:PM1に対するサイドローブ光のピーク
    強度:PS1の比:PS1/PM1に対し、
    (1) PS/PM>PS1/PM1
    となるように位相分布が設定されて、光スポットの焦点深度を拡大する機能を有し、
    前記輪帯構造が、環境変動による前記被走査面に対する光ビームの結像位置の変動を補
    正する機能を有することを特徴とする光走査装置。
  3. 請求項1または2記載の光走査装置において、
    輪帯構造が、同心円形状もしくは同心楕円形状または直線配列形状であることを特徴と
    する光走査装置。
  4. 請求項1または2または3記載の光走査装置において、
    輪帯構造が、輪帯の高さが内側から外側へ向かって単調に増加もしくは減少するマルチス
    テップ形状であることを特徴とする光走査装置
  5. 請求項1乃至4の任意の1に記載の光走査装置において、
    領域:Aが、回折レンズ面をなす輪帯構造の第0輪帯の内側に設けられ、前記輪帯構造
    の中心に位置する楕円形状もしくは前記第0輪帯に内接する楕円リング形状であることを
    特徴とする光走査装置。
  6. 請求項1乃至4の任意の1に記載の光走査装置において、
    領域:Aを、輪帯構造における第n輪帯(5≧n≧0)のうちの少なくとも1つと一致
    させたことを特徴とする光走査装置。
  7. 請求項1乃至4の任意の1に記載の光走査装置において、
    領域:Aを、回折レンズ面をなす輪帯構造における第n輪帯(3≧n≧0)の1つの輪
    帯内部に、前記領域:Aの内側もしくは外側の少なくとも一方を、前記回折レンズ面の輪
    帯形状と一致させるか、もしくは、第n輪帯(3≧n≧0)に連続する少なくとも2つ輪
    帯にまたがるように設けたことを特徴とする光走査装置。
  8. 請求項1〜7の任意の1に記載の光走査装置において、
    領域:Aの高さ:h'を略h/2に設定したことを特徴とする光走査装置。
  9. 請求項1〜8の任意の1に記載の光走査装置において、
    走査レンズを、副走査方向の横倍率が、−2倍以上−5倍以下の拡大光学系としたこと
    を特徴とする光走査装置。
  10. 請求項1〜9に任意の1に記載の光走査装置において、
    走査レンズを1枚のレンズで構成したことを特徴とする光走査装置。
  11. 請求項1〜10の任意の1に記載の光走査装置において、
    アパーチャを、輪帯構造による回折レンズ面と領域:Aを有するレンズの極く近傍に設
    けるか、もしくは前記レンズと一体化して設けることを特徴とする光走査装置。
  12. 請求項1〜11の任意の1に記載の光走査装置において、
    アパーチャの遮光部の透過率を0.1%以下としたことを特徴とする光走査装置。
  13. 光走査による画像書き込みを光導電性の感光体に行って静電潜像を形成する方式の画像
    形成装置において、
    光走査による画像書き込みを請求項1〜12の任意の1に記載の光走査装置により行う
    ことを特徴とする画像形成装置。
  14. 請求項13記載の画像形成装置において、
    複数の光導電性の感光体に異なる色成分の画像書き込みを行い、各感光体に形成される
    静電潜像を異なる色のトナーで可視化してトナー画像とし、これら色違いのトナー画像を
    同一の記録媒体上で重ね合わせてカラーもしくは多色の画像を形成することを特徴とする
    画像形成装置。
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