JP3576817B2 - 走査光学装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は走査光学装置に関し、特に光源手段から射出される光束(光ビーム)を回転多面鏡等の光偏向器を介して記録媒体面である被走査面上に導光し、該被走査面上を該光束で走査することにより、文字や情報等を記録するようにした、例えばレーザービームプリンタやデジタル複写機等の装置に好適な走査光学装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来よりレーザービームプリンタやデジタル複写機等に用いられている走査光学装置は、光源手段から射出された光束を偏向手段で偏向し、該偏向された光ビーム(光束)を走査光学手段により被走査面である感光ドラム面上にスポット状に結像させ、該被走査面上を走査している。
【0003】
図13は従来の走査光学装置の要部概略図である。同図において半導体レーザー等より成る光源手段11から射出した光束はコリメーターレンズ12によって略平行光束に変換され、該変換された略平行光束は開口絞り13によって最適なビーム形状に整形され、シリンドリカルレンズ14に入射する。該シリンドリカルレンズ14は副走査方向にパワーを有し、回転多面鏡等より成る光偏向器15の偏向面15a近傍に主走査方向に長手の線状光束として結像する。ここで主走査方向とは偏向走査方向に平行な方向、副走査方向とは偏向走査方向に垂直な方向であり、以後同様とする。そして線状光束は光偏向器15により等角速度で反射偏向され、fθ特性を有する走査光学手段としてのfθレンズ系16により、被走査面である感光ドラム面(記録媒体面)18上にスポット状に結像され、該感光ドラム面18上を等速度で光走査している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、走査光学手段であるfθレンズには低コスト化のためプラスチック材料で成形されたものが多く用いられている。プラスチック材料によるモールド成形が可能になったことにより、特に製造コストの高いトーリックレンズの低コスト化が実現する。かつ非球面形状で成形することが容易なため、収差補正において大きな利点を有する。
【0005】
しかしながらプラスチックレンズはレンズの厚みが成形時間に大きく影響する。例えばレンズ厚が厚い場合、成形にかかる時間は長くなるため、コスト高の要因になる。ところがプラスチックの屈折率が小さいために、またその条件下で良好なる収差補正を実現するために非球面形状を用いたとしてもレンズ厚は厚くなってしまう傾向にある。また光偏向器よりも被走査面に近い位置にレンズを配置すると、該レンズの主走査方向の外形が大きくなり、成型バラツキの要因となる。プラスチックレンズはガラスレンズに比べて成形によるバラツキが大きいため、それを抑えるためにはレンズ厚を薄くし、外形を小さくすることが望ましい。
【0006】
また別の問題点としてプラスチック材料は温度変化等における環境変動によって屈折率が変化し、光学性能が大きく劣化することが挙げられる。例えばプラスチック材料の屈折率が変化することによりピント位置が変動し、感光ドラム面上におけるスポットが肥大しピーク強度が減少し、画像形成に影響を及ぼす。特に走査光学手段においてパワーの大きい副走査方向での影響は顕著であり、更にはより高精度な画像を得ようとする場合、主走査方向におけるピント移動も無視できなくなる。
【0007】
上記問題点を解決するため、例えば特開平7−128604号公報で提案されている走査光学装置では光束を光偏向器近傍の主走査方向に線状に結像させる為のシリンドリカルレンズを正のパワーを有するガラスレンズと負のパワーを有するプラスチックレンズの2枚で構成している。例えば環境温度が昇温した場合、プラスチック材料の屈折率は小さくなる。走査光学手段であるfθレンズのパワーは該走査光学手段全系において主走査方向、副走査方向ともに正であるため、レンズの材質の屈折率が小さくなるとパワーが弱くなり、ピント位置が光偏向器より遠ざかる方向に移動する。このピント移動を補正する為に上記負のパワーを有するシリンドリカルレンズを配置している。プラスチック材料の屈折率が小さくなると負のパワーが弱くなるため、ピント位置は光偏向器の方向に移動する。したがってシリンドリカルレンズにおけるピント移動と走査光学手段におけるピント移動の方向が逆になることにより、それぞれのパワーを適切に設定することにより、走査光学装置全系としてピント移動が補正される構成になっている。
【0008】
しかしながらシリンドリカルレンズを2枚系にすることにより高コスト化になるのみならず、レンズ精度及び取り付け公差が厳しくなり、複雑、かつコスト高の要因となる傾向にある。
【0009】
本発明は走査光学手段を屈折系よりなる第1の光学素子と、回折系もしくは屈折系と回折系との両方よりなる第2の光学素子とより構成し、かつ該走査光学手段の副走査方向の横倍率を適切に設定することにより、環境変動(温度変化)によるピント変化に強く、かつ簡易な構成で、高精細な印字が得られる小型の走査光学装置の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の走査光学装置は、光源手段から射出された光束の状態を変換光学素子により他の状態に変換して偏向手段に導光し、該偏向手段により偏向された光束を走査光学手段により被走査面上にスポット状に結像させ、該被走査面上を光走査する走査光学装置において、前記走査光学手段は、プラスチック材料からなる屈折系を有する第1の光学素子と、回折系よりなる第2の光学素子とを有し、前記走査光学手段は、前記走査光学装置の環境変動に伴なうプラスチック材料の屈折率変化で生じる主走査方向と副走査方向とのピント移動を、前記光源手段の波長変動に起因する第2の光学素子の回折パワーの変化によって補正しており、且つ、前記走査光学手段は、該走査光学手段の副走査方向の横倍率をβとしたとき、1<|β|<5なる条件を満足することを特徴としている。
【0011】
請求項2の発明は請求項1の発明において、第1の光学素子は副走査方向において少なくとも1面の曲率半径が光軸から離れるに従い連続的に変化することを特徴としている。
請求項3の発明は請求項1の発明において、第2の光学素子は回折系によるパワーが主走査方向、副走査方向ともに異なる正になるように、少なくとも1面に回折格子が形成されていることを特徴としている。
請求項4の発明は請求項1の発明において、第2の光学素子はプラスチック材で成形されていることを特徴としている。
請求項5の発明は請求項1の発明において、第1の光学素子、第2の光学素子のうち、少なくとも1つの光学素子は前記偏向手段の偏向面内において、その中心軸を光軸に対し垂直な方向にシフトしていることを特徴としている。
請求項6の発明は請求項1の発明において、第1の光学素子、第2の光学素子のうち、少なくとも1つの光学素子は前記偏向手段の偏向面内において、その中心軸が光軸に対して傾いていることを特徴としている。
【0012】
請求項7の発明の走査光学装置は、光源手段から射出された光束の状態を変換光学素子により他の状態に変換して偏向手段に導光し、該偏向手段により偏向された光束を走査光学手段により被走査面上にスポット状に結像させ、該被走査面上を光走査する走査光学装置において、前記走査光学手段は、プラスチック材料からなる屈折系を有する第1の光学素子と、屈折系と回折系の両方を有する第2の光学素子とを有し、前記走査光学手段は、前記走査光学装置の環境変動に伴なうプラスチック材料の屈折率変化で生じる主走査方向と副走査方向とのピント移動を、前記光源手段の波長変動に起因する第2の光学素子の回折パワーの変化によって補正しており、且つ、前記走査光学手段は、該走査光学手段の副走査方向の横倍率をβとしたとき、1<|β|<5なる条件を満足することを特徴としている。
【0013】
請求項8の発明は請求項7の発明において、第2の光学素子は回折系によるパワーが主走査方向、副走査方向ともに異なる正になるように、少なくとも1面に回折格子が形成されていることを特徴としている。
請求項9の発明は請求項7の発明において、第2の光学素子はプラスチック材で成形されていることを特徴としている。
請求項10の発明は請求項7の発明において、第1の光学素子、第2の光学素子のうち、少なくとも1つの光学素子は前記偏向手段の偏向面内において、その中心軸を光軸に対し垂直な方向にシフトしていることを特徴としている。
請求項11の発明は請求項7の発明において、第1の光学素子、第2の光学素子のうち、少なくとも1つの光学素子は前記偏向手段の偏向面内において、その中心軸が光軸に対して傾いていることを特徴としている。
請求項12の発明の画像形成装置は、請求項1乃至請求項11記載のいずれか一項記載の走査光学装置と、前記被走査面が感光ドラム面であることを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
[実施形態1]
図1は本発明の実施形態1の主走査方向の要部断面図(主走査断面図)である。
【0015】
同図において1は光源手段であり、例えば半導体レーザーより成っている。2はコリメーターレンズであり、光源手段1から射出した発散光束を略平行光束に変換している。3は開口絞りであり、コリメーターレンズ2から射出した光束(光ビーム)を所望の最適なビーム形状に形成している。4はシリンドリカルレンズであり、副走査方向に所定のパワーを有し、開口絞り3から射出した光束を後述する偏向手段5の偏向面5a近傍に副走査断面内において結像(主走査断面においては長手の線像)させている。5は偏向手段としての光偏向器であり、例えば回転多面鏡より成り、モーター等の駆動手段(不図示)により図中矢印A方向に一定速度で回転している。
【0016】
6はfθ特性を有する走査光学手段であり、屈折系よりなる第1の光学素子(fθレンズ系)と、回折系よりなる第2の光学素子(fθレンズ系)とを有している。屈折系より成る第1の光学素子6aは主走査方向、副走査方向ともに異なる正(凸)のパワーを有するアナモフィックレンズより成り、第1面(光線入射面)6a1は球面、第2面(光線射出面)6a2はトーリック面で構成されている。さらに第2面6a2に関し主走査方向は非球面形状であり、副走査方向は曲率半径が光軸から離れるに従い連続的に変化している。回折系より成る第2の光学素子6bは主走査方向、副走査方向ともに平面である透明平板で形成され、回折系によるパワーが主走査方向、副走査方向ともに異なる正(凸)になるように第2面(光線射出面)6b2に回折格子8が形成されている。第1、第2の光学素子6a,6bは共にプラスチック材料で成形されている。さらに走査光学手段6は副走査断面内において偏向面5aと被走査面7との間を共役関係にすることにより、倒れ補正機能を有している。7は被走査面としての感光ドラム面である。
【0017】
本実施形態において半導体レーザー1より射出した発散光束はコリメーターレンズ2により略平行光束に変換され、開口絞り3によって所望のビーム形状に整形してシリンドリカルレンズ4に入射する。シリンドリカルレンズ4に入射した光束のうち主走査断面内においてはそのままの状態で射出する。また副走査断面内においては収束して光偏向器5の偏向面5a近傍にほぼ線像(主走査方向に長手の線像)として結像する。そして光偏向器5の偏向面5aで反射偏向された光束は走査光学手段6により被走査面7(感光ドラム面)上にスポット形状に結像され、該光偏向器5を矢印A方向に回転させることによって、該感光ドラム面7上を矢印B方向(主走査方向)に等速度で光走査している。これにより記録媒体である感光ドラム面7上に画像記録を行なっている。
【0018】
本実施形態における走査光学手段6を構成する第1の光学素子6aの屈折系及び第2の光学素子6bの回折系の形状は各光学素子面と光軸との交点を原点とし、光軸方向をX軸、主走査断面内において光軸に垂直な方向をY軸、副走査断面内において光軸に垂直な方向をZ軸とすると、各々次のように表わせる。
【0019】
▲1▼屈折系 主走査方向…下式の10次までの関数で表される非球面形状
【0020】
【数1】
(但し、Rは曲率半径、B4 ,B6 ,B8 ,B10は非球面係数)
副走査方向…曲率半径がY軸方向に連続的に変化する球面形状
r’=r(1+D2 Y2 +D4 Y4 +D6 Y6 +D8 Y8 +D10Y10)
(但し、rは曲率半径、D2 ,D4 ,D6 ,D8 ,D10は非球面係数)
▲2▼回折系 Y、Zの10次までの巾多項式の位相関数で表される回折面
W=C1 Y2 +C2 Y4 +C3 Y6 +C4 Y8 +C5 Y10+E1 Z2 +E2 Y2 Z2 +E3 Y4 Z2 +E4 Y6 Z2 +E5 Y8 Z2
(C1 〜C5 、E1 〜E5 は位相係数)
本実施形態では走査光学手段6の副走査方向の横倍率をβとしたとき、
1<|β|<5 ……(1)
なる条件を満足するように第1の光学素子6a及び第2の光学素子6bを配置している。
【0021】
条件式(1)は走査光学手段6の副走査方向の横倍率に関するものであり、条件式(1)の下限値を越えると光学素子が被走査面8に近くなるため、主走査方向における該光学素子の外形の大型化、さらには走査光学装置全体の大型化の要因となり良くない。また条件式(1)の上限値を越えると光学素子が光偏向器5に近くなりすぎるため、走査幅全域に渡ってfθ特性及び像面湾曲を良好に補正することが困難になり良くない。
【0022】
表−1に本実施形態における光学配置を示し、表−2に屈折系の非球面係数及び回折系の位相係数を示す。
【0023】
ここでθ1は偏向手段前後の光学系の、各々の光軸の成す角、θmaxは最軸外を走査したときの光束と走査光学手段の光軸との成す角、fは像高をY、走査角をθとしたときにY=fθで与えられる定数である。
【0024】
【表1】
本実施形態では走査光学手段6の副走査方向の横倍率βは、
|β|=3.562
であり、条件式(1)を満足している。
【0025】
さらに走査光学手段6は装置の環境変動によるレンズ材質の屈折率変化で生じる主走査方向と副走査方向とのピント移動を半導体レーザー1の波長変動に起因する第2の光学素子6bの回折パワーの変化によって補正している。
【0026】
図2は本実施形態における昇温前後の主走査方向の像面湾曲を示した図、図3は本実施形態における昇温前後の副走査方向の像面湾曲を示した図、図4は本実施形態における歪曲収差(fθ特性)及び像高ずれ等を示した図である。図2、図3に示した像面湾曲において点線は常温25℃での像面湾曲、実線は25℃昇温した50℃ときの像面湾曲を示している。ここで25℃昇温したときの第1の光学素子6a及び第2の光学素子6bの屈折率n*、及び光源手段1の波長λ*は各々、
n*=1.5212
λ*=786.4nm
である。同図より主走査方向、副走査方向ともにピント移動が良好に補正されていることが解る。
【0027】
さらに本実施形態においては第1、第2の光学素子6a,6bの両方を偏向面内において、その中心軸を光軸に対し光源手段1から遠ざかる垂直な方向に0.45mmだけシフトさせている。これにより像面湾曲の傾きを良好に補正してる。
【0028】
このように本実施形態では上述の如く走査光学手段6を屈折系よりなる第1の光学素子6aと、回折系よりなる第2の光学素子6bとより構成し、かつ該走査光学手段6の副走査方向の横倍率を適切に設定することにより、環境変動(温度変化)によるピント変化に強く、かつ簡易な構成で、高精細な印字が得られる小型の走査光学装置を得ている。
【0029】
[実施形態2]
図5は本発明の実施形態2の主走査方向の要部断面図(主走査断面図)である。同図において図1に示した要素と同一要素には同符番を付している。
【0030】
本実施形態において前述の実施形態1と異なる点は回折系より成る第2の光学素子の形状を異ならせて形成したことである。その他の構成及び光学的作用は実施形態1と略同様であり、これにより同様な効果を得ている。
【0031】
即ち、同図において26はfθ特性を有する走査光学手段であり、屈折系より成る第1の光学素子(fθレンズ系)26aと、回折系より成る第2の光学素子(fθレンズ系)26bとを有している。屈折系より成る第1の光学素子26aは主走査方向、副走査方向ともに異なる正(凸)のパワーを有するアナモフィックレンズより成り、第1面(光線入射面)26a1は球面、第2面(光線射出面)26a2はトーリック面で構成されている。さらに第2面26a2に関し主走査方向は非球面形状であり、副走査方向は曲率半径が光軸から離れるに従い連続的に変化している。回折系より成る第2の光学素子26bは主走査方向において両面26a1,26a2ともに同じ曲率半径を有し、副走査方向においては両面26a1,26a2ともに曲率半径は無限(∞)である。即ち前述の実施形態1における第2の光学素子6bを主走査方向においてペンディングさせた形状になっている。ペンディングさせることにより主走査方向の外形の短縮化が可能になる。さらに副走査方向において像高による倍率のバラツキを抑えることに寄与される。ここで回折系によるパワーは主走査方向、副走査方向ともに異なる正(凸)になるように、第2面(光線射出面)26b2に回折格子28が形成されている。これらの第1、第2の光学素子26a,26bは共にプラスチック材料で成形されている。さらに走査光学手段26は副走査断面内において偏向面5aと被走査面7との間を共役関係にすることにより、倒れ補正機能を有している。
【0032】
表−3に本実施形態における光学配置を有し、表−4に屈折系の非球面係数及び回折系の位相係数を示す。
【0033】
【表2】
本実施形態では走査光学手段26の副走査方向の横倍率βは、
|β|=3.511
であり、条件式(1)を満足している。
【0034】
さらに走査光学手段26は装置の環境変動によるレンズ材質の屈折率変化で生じる主走査方向と副走査方向のピント移動を半導体レーザー1の波長変動に起因する第2の光学素子26bの回折パワーの変化によって補正している。
【0035】
図6は本実施形態における昇温前後の主走査方向の像面湾曲を示した図、図7は本実施形態における昇温前後の副走査方向の像面湾曲を示した図、図8は本実施形態における歪曲収差(fθ特性)及び像高ずれ等を示した図である。図6、図7に示した像面湾曲において点線は常温25℃での像面湾曲、実線は25℃昇温した50℃ときの像面湾曲を示している。ここで25℃昇温したときの第1の光学素子26a及び第2の光学素子26bの屈折率n*、及び光源手段1の波長λ*は各々、
n*=1.5212
λ*=786.4nm
である。同図より主走査方向、副走査方向ともにピント移動が良好に補正されていることが解る。
【0036】
さらに本実施形態においては第1、第2の光学素子26a,26bの両方を偏向面内において、その中心軸を光軸に対し光源手段1から遠ざかる垂直な方向に0.45mmだけシフトさせている。これにより像面湾曲の傾きを良好に補正してる。
【0037】
このように本実施形態では上述の如く走査光学手段26を屈折系よりなる第1の光学素子26aと、回折系よりなる第2の光学素子26bとより構成し、かつ該走査光学手段26の副走査方向の横倍率を適切に設定することにより、環境変動(温度変化)によるピント変化に強く、かつ簡易な構成で、高精細な印字が得られる小型の走査光学装置を得ている。
【0038】
[実施形態3]
図9は本発明の実施形態3の主走査方向の要部断面図(主走査断面図)である。同図において図1に示した要素と同一要素には同符番を付している。
【0039】
本実施形態において前述の実施形態1と異なる点は走査光学手段を屈折系よりなる第1の光学素子と、屈折系と回折系の両方を有する第2の光学素子とより構成したことである。その他の構成及び光学的作用は実施形態1と略同様であり、これにより同様な効果を得ている。
【0040】
即ち、同図において36はfθ特性を有する走査光学手段であり、屈折系よりなる第1の光学素子(fθレンズ系)36aと、屈折系と回折系の両方を有する第2の光学素子(fθレンズ系)36bとを有している。屈折系よりなる第1の光学素子36aは正(凸)のパワーを有する回転対称レンズより成り、第1面(光線入射面)36a1は球面、第2面(光線射出面)36a2は非球面で構成されている。ここで第1の光学素子36aの屈折系の形状は該光学素子面と光軸との交点を原点とし、光軸方向をX軸、主走査断面内において光軸に垂直な方向をY軸、副走査断面内において光軸に垂直な方向をZ軸とすると、次のように表わせる。
【0041】
【数2】
(ここで、h=(Y2 +Z2 )1/2 )
屈折系と回折系の両方を有する第2の光学素子36bは第1面(光線入射面)36b1が副走査方向にシリンドリカル面を有し、第2面(光線射出面)36b2が平面のシリンドリカルレンズであり、副走査方向に正(凸)のパワーを有する。また回折系によるパワーは主走査方向、副走査方向ともに異なる正(凸)になるように第2面36b2に回折格子38が形成されている。即ち第2の光学素子36bは副走査方向において屈折系による正のパワーと回折系による正のパワーの両方を有している。これらの第1、第2の光学素子36a,36bは共にプラスチック材料で成形されている。さらに走査光学手段36は副走査断面内において偏向面5aと被走査面7との間を共役関係にすることにより、倒れ補正機能を有している。
【0042】
表−5に本実施形態における光学配置を示し、表−6に屈折系の非球面係数及び回折系の位相係数を示す。
【0043】
【表3】
本実施形態では走査光学手段36の副走査方向の横倍率βは、
|β|=2.938
であり、条件式(1)を満足している。
【0044】
さらに走査光学手段36は装置の環境変動によるレンズ材質の屈折率変化で生じる主走査方向と副走査方向のピント移動を、半導体レーザー1の波長変動に起因する第2の光学素子36bの回折パワーの変化によって補正している。
【0045】
図10は本実施形態における昇温前後の主走査方向の像面湾曲を示した図、図11は本実施形態における昇温前後の副走査方向の像面湾曲を示した図、図12は本実施形態における歪曲収差(fθ特性)及び像高ずれ等を示した図である。図10、図11に示した像面湾曲において点線は常温25℃での像面湾曲、実線は25℃昇温した50℃ときの像面湾曲を示している。ここで25℃昇温したときの第1の光学素子36a及び第2の光学素子36bの屈折率n*、及び光源手段1の波長λ*は各々、
n*=1.5212
λ*=786.4nm
である。同図より主走査方向、副走査方向ともにピント移動が良好に補正されていることが解る。
【0046】
さらに本実施形態においては第1、第2の光学素子36a,36bの両方を偏向面内において、その中心軸を光軸に対し光源手段1から遠ざかる垂直な方向に0.45mmだけシフトさせている。これにより像面湾曲の傾きを良好に補正してる。
【0047】
このように本実施形態では上述のごとく走査光学手段36を屈折系よりなる第1の光学素子36aと、屈折系と回折系との両方よりなる第2の光学素子36bとより構成し、かつ該走査光学手段36の副走査方向の横倍率を適切に設定することにより、環境変動(温度変化)によるピント変化に強く、かつ簡易な構成で、高精細な印字が得られる小型の走査光学装置を得ている。
【0048】
尚、各実施形態では変換光学素子2により光源手段1から射出された光束を略平行光束に変換したが、光偏向器5の偏向面5aと被走査面8との間の距離を短縮するために収束光束に変換してもよい。
【0049】
また各実施形態では像面湾曲の傾きを補正するために第1、第2の光学素子を偏向面内において、その中心軸を光軸に対して垂直な方向にシフトさせたが、像面湾曲及びfθ特性の補正のために第1、第2の光学素子を偏向面内において、その中心軸を光軸に対して傾けてもよい。
【0050】
また各実施形態では回折系によるパワーが主走査方向、副走査方向ともに異なる正になるように構成したが、該回折系によるパワーはどちらか一方向のみであっても良い。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば前述の如く走査光学手段を屈折系よりなる第1の光学素子と、回折系もしくは屈折系と回折系との両方よりなる第2の光学素子とより構成し、かつ該走査光学手段の副走査方向の横倍率を適切に設定することにより、環境変動(温度変化)によるピント変化に強く、かつ簡易な構成で、高精細な印字が得られる小型の走査光学装置を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1の主走査方向の要部断面図(主走査断面図)
【図2】本発明の実施形態1の昇温前後の主走査方向の像面湾曲を示す図
【図3】本発明の実施形態1の昇温前後の副走査方向の像面湾曲を示す図
【図4】本発明の実施形態1の歪曲収差(fθ特性)及び像高ずれを示す図
【図5】本発明の実施形態2の主走査方向の要部断面図(主走査断面図)
【図6】本発明の実施形態2の昇温前後の主走査方向の像面湾曲を示す図
【図7】本発明の実施形態2の昇温前後の副走査方向の像面湾曲を示す図
【図8】本発明の実施形態2の歪曲収差(fθ特性)及び像高ずれを示す図
【図9】本発明の実施形態3の主走査方向の要部断面図(主走査断面図)
【図10】本発明の実施形態3の昇温前後の主走査方向の像面湾曲を示す図
【図11】本発明の実施形態3の昇温前後の副走査方向の像面湾曲を示す図
【図12】本発明の実施形態3の歪曲収差(fθ特性)及び像高ずれを示す図
【図13】従来の走査光学装置の主走査方向の要部断面図(主走査断面図)
【符号の説明】
1 光源手段(半導体レーザー)
2 変換光学素子
3 開口絞り
4 シリンドリカルレンズ
5 偏向手段(光偏向器)
6,26,36 走査光学手段
6a,26a,36a 第1の光学素子
6b,26b,36b 第2の光学素子
7 被走査面(感光ドラム面)
8,28,38 回折格子
Claims (12)
- 光源手段から射出された光束の状態を変換光学素子により他の状態に変換して偏向手段に導光し、該偏向手段により偏向された光束を走査光学手段により被走査面上にスポット状に結像させ、該被走査面上を光走査する走査光学装置において、
前記走査光学手段は、プラスチック材料からなる屈折系を有する第1の光学素子と、回折系よりなる第2の光学素子とを有し、
前記走査光学手段は、前記走査光学装置の環境変動に伴なうプラスチック材料の屈折率変化で生じる主走査方向と副走査方向とのピント移動を、前記光源手段の波長変動に起因する第2の光学素子の回折パワーの変化によって補正しており、
且つ、前記走査光学手段は、該走査光学手段の副走査方向の横倍率をβとしたとき、1<|β|<5なる条件を満足することを特徴とする走査光学装置。 - 第1の光学素子は副走査方向において少なくとも1面の曲率半径が光軸から離れるに従い連続的に変化することを特徴とする請求項1記載の走査光学装置。
- 第2の光学素子は回折系によるパワーが主走査方向、副走査方向ともに異なる正になるように、少なくとも1面に回折格子が形成されていることを特徴とする請求項1記載の走査光学装置。
- 第2の光学素子はプラスチック材で成形されていることを特徴とする請求項1記載の走査光学装置。
- 第1の光学素子、第2の光学素子のうち、少なくとも1つの光学素子は前記偏向手段の偏向面内において、その中心軸を光軸に対し垂直な方向にシフトしていることを特徴とする請求項1記載の走査光学装置。
- 第1の光学素子、第2の光学素子のうち、少なくとも1つの光学素子は前記偏向手段の偏向面内において、その中心軸が光軸に対して傾いていることを特徴とする請求項1記載の走査光学装置。
- 光源手段から射出された光束の状態を変換光学素子により他の状態に変換して偏向手段に導光し、該偏向手段により偏向された光束を走査光学手段により被走査面上にスポット状に結像させ、該被走査面上を光走査する走査光学装置において、
前記走査光学手段は、プラスチック材料からなる屈折系を有する第1の光学素子と、屈折系と回折系の両方を有する第2の光学素子とを有し、
前記走査光学手段は、前記走査光学装置の環境変動に伴なうプラスチック材料の屈折率変化で生じる主走査方向と副走査方向とのピント移動を、前記光源手段の波長変動に起因する第2の光学素子の回折パワーの変化によって補正しており、
且つ、前記走査光学手段は、該走査光学手段の副走査方向の横倍率をβとしたとき、1<|β|<5なる条件を満足することを特徴とする走査光学装置。 - 第2の光学素子は回折系によるパワーが主走査方向、副走査方向ともに異なる正になるように、少なくとも1面に回折格子が形成されていることを特徴とする請求項7記載の走査光学装置。
- 第2の光学素子はプラスチック材で成形されていることを特徴とする請求項7記載の走査光学装置。
- 第1の光学素子、第2の光学素子のうち、少なくとも1つの光学素子は前記偏向手段の偏向面内において、その中心軸を光軸に対し垂直な方向にシフトしていることを特徴とする請求項7記載の走査光学装置。
- 第1の光学素子、第2の光学素子のうち、少なくとも1つの光学素子は前記偏向手段の偏向面内において、その中心軸が光軸に対して傾いていることを特徴とする請求項7記載の走査光学装置。
- 請求項1乃至請求項11記載のいずれか一項記載の走査光学装置と、前記被走査面が感光ドラム面であることを特徴とする画像形成装置。
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