JP5470877B2 - 光走査装置及びそれを備えた画像形成装置 - Google Patents

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本発明は、光走査装置及びそれを備えた画像形成装置に係り、特に複数の光束を用いて光記録するマルチビームの光走査装置及びそれを備えた画像形成装置に関するものである。
レーザプリンタなどの光記録装置(画像形成装置)の高速・高解像度化により、被走査面上での結像スポットサイズは微小化傾向にある。また、同時に光記録に用いられる光束の本数は増加傾向にある。これらに伴い光記録装置の光学系には所望の光学諸特性(例えば像面湾曲、走査歪み、被走査面上における各光束間の走査間隔の均一性、色収差等)実現のため、非対称非球面を複数含んだ走査レンズが多用されるようになってきている。他方、装置のコスト削減のため、レンズ材質はガラス材から樹脂材への置換が進展しており、光学特性の環境安定性も重要な課題となっている。
下記特許文献1には、走査結像光学系の温度変化に伴う樹脂材の屈折率変化に起因するバックフォーカスの変化を、光偏向素子前光学系のパラメータ(半導体レーザの波長変化に起因するコリメータレンズのバックフォーカスの変化、コリメータレンズのガラス材の寸法変化、半導体レーザの固定保持部材の寸法変化など)の変化により相殺させ、ある一定範囲内に抑えることが記載されている。
下記特許文献2〜6に記載の装置では、光偏向素子前光学系に負のパワーの合成樹脂製のレンズを設け、走査レンズの温度変化により生ずる特性変動の影響を低減させるようにしている。
下記特許文献1〜6に記載の装置では全て、樹脂材を用いた走査レンズの温度変化による影響を、光偏向素子前光学系を含めた光学系全体で低減させる技術思想であり、走査レンズ単独のものではない。つまり、温度変化に伴って、走査レンズが像面を正方向(或いは負方向)にシフトする特性を有する時、光偏向素子前光学系にて像面を負方向(或いは正方向)にシフトする効果を持たせることにより系全体での影響を相殺させている。
下記特許文献7に記載の装置では、結像光学系の副走査断面内のパワーと倍率、結像光学系を構成する結像光学素子の屈折率、屈折率の温度変化率等の関係に一定の制約条件を設けることで環境変動や波長変動に伴う像面の副走査方向変動量を小さく抑える方法が記載されている。このため例えば結像光学素子の1つに屈折率の温度変化率の大きい材質を選定した場合、他の結像光学素子でその影響を低減させる必要があるが、この場合、結像光学素子の加工誤差に対する光学特性のトレランスが厳しくなるという問題がある。その他、同文献には結像光学系の副走査方向倍率比の変化抑制に関しては何も記載が無い。
前記の光走査装置は、系全体での影響は相殺されるが、偏向手段前の光学系単独では、像面シフトの効果が残存しているということである。つまり、これらの光学系の補正手段は、走査光学系における所謂面倒れ補正系に悪影響を及ぼしてしまうという問題がある。
下記特許文献8には、光走査装置の環境変動に伴なう収差変化(例えばピントずれ)を、その装置に搭載されている走査光学素子の屈折部、回折部とのパワー変化と半導体レーザ光源の波長変動により補正する方法が記載されている。
走査光学素子の回折部とは、レンズ表面或いは平板部材表面にミクロンオーダ或いはそれ以下の周期的微細構造を形成した回折光学素子のことである。一般に回折光学素子は、微細構造部での回折現象により生成される複数の回折光のうち、特定の回折光だけを使用するため、特定次数の回折光強度のみが高くなるように微細構造の形状設計がなされる。
しかし、微細構造ゆえに、設計の際の丸め込み、或いは製造の際に生じる形状誤差は、所望の回折光以外の強度増大の要因となる。これは特許文献7に述べられているように、「設計次数以外の回折光の増加はフレアとなり、光学系の解像度の低下につながる」という点で問題となる。更に、回折素子は屈折素子と比較して製造が困難で高コストであることも問題である。一般に、走査レンズはコリメータやシリンダーレンズよりもサイズが大きいのでその傾向はより顕著になる。
下記特許文献9には、マルチビーム走査光学系において、副走査方向に何れのマルチビームも垂直に入射しない場合、感光ドラム円周方向の所定のドット間距離に対する許容誤差比率を満足させるために、感光ドラム半径を規定する関係式が示されている。
しかしこの特許文献には、具体的にどのような光学系構成によれば、走査全域で規定した関係式を満足するビームを得ることができるのかという点に関しては何も開示されていない。唯一、「光源のマルチビーム列間隔を中心から徐々に縮めていくことによって結像ドット間距離を一定にさせる方法も考えられる。」との記載があるが、この方法は次に示す特許文献10と同様の欠点がある。
下記特許文献10には、記録媒体に副走査方向から複数の光束を斜入射させたマルチビーム走査光学系において、走査線のピッチ間隔を等間隔にするために発光部の間隔を設定する方法が記載されている。しかし、一般に光走査装置等に用いられる光源は特定の一機種だけではなく、多機種に用いられることが望ましい。
前記のように、発光点間隔を特定の用途向けにカスタマイズすることは光源の汎用性を損なうものであり、光源のコストアップ要因にもなるという欠点がある。また近年、光走査装置の解像度の向上、走査ビーム本数の増加に伴い、益々走査ピッチ許容誤差の要求が厳しくなっており、発光部を高精度に調整することは困難であるという技術的実現性にも課題がある。
また、下記特許文献1〜8に記載の発明では、走査光学素子の主走査方向に垂直な方向(以下、副走査方向或いは走査垂直方向と称する)の環境変化に起因する走査垂直方向倍率比変化率の変化についての考慮はなされていない。なお、本発明の明細書において、走査垂直方向倍率比変化率とは、走査光学素子の画角0度における走査垂直方向倍率を基準としたとき、各走査画角における走査垂直方向倍率の変化率のこととする。
他方、非特許文献1には複数の光束を用いた光走査光学系において、走査線間隔誤差は副走査方向の印刷濃淡むら(バンディングと称される)となって現れ、印刷の品質を劣化させる原因になることが記載されている。
非特許文献1によれば、知覚できるバンディングは変調度(コントラスト)1%から2%であることが記載されており、また、走査線間隔の許容誤差レベルは、被走査面を走査する光束の本数をm、被走査面上に形成される走査線の走査垂直方向の解像度LPI[lines/inch]とすると(LPI/m)に比例し、解像度が低いほど、また、光束の本数mが増加するほど厳しくなることが示されている。しかし、同文献では如何なる光学系構成により走査線間隔誤差を所望のレベルにするかについての提示はなされていない。
本発明の第1の目的は、環境温度変化に伴う走査光学素子の走査垂直方向倍率比変化率、走査垂直方向の像面ずれを低減して、高い環境安定性を有する光走査装置を提供することである。
本発明の第2の目的は、高画質化ならびに画質の安定化が図れる画像形成装置を提供することである。
前記第1の目的を達成するため、本発明の第1の手段は、複数の発光点を有する光源と、その光源から出射された複数の光束を光偏向素子に導く光偏向素子前光学系と、前記光束を偏向走査する光偏向素子と、その光偏向素子によって偏向走査された複数の光束を被走査面上に走査結像させる走査光学素子を有し、
前記複数の光束は前記光偏向素子前光学系により前記光偏向素子の偏向面近傍で走査垂直方向に線状に結像され、その線状に結像した光束はその後、前記走査光学素子により前記被走査面上に走査方向及び走査垂直方向で結像される光走査装置において、
前記走査光学素子は、前記光束が偏向走査される平面に垂直な方向に対して負の屈折力を有する樹脂製のレンズと、前記光束が偏向走査される平面に垂直な方向に対して正の屈折力を有し、ガラス材からなるトーリックレンズ及びシリンダレンズを含み、
基準環境温度における前記走査光学素子の走査画角0度の走査垂直方向倍率に対する、任意の環境温度及び任意の走査画角における走査垂直方向倍率の変化率を走査垂直方向倍率比変化率とするとき、
環境温度の上昇に伴う前記走査光学素子の屈折力変化に対応して前記走査光学素子の前記走査垂直方向倍率比変化率が変化する方向と、前記光源の波長伸長に伴う前記走査光学素子の屈折力変化に対応して前記走査光学素子の走査垂直方向の前記走査垂直方向倍率比変化率が変化する方向とが逆向きの関係にあることを特徴とするものである。
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、前記光源は、複数の発光点が等間隔に1次元に配列されたアレイ光源であることを特徴とするものである。
本発明の第3の手段は前記第1または第2の手段において、前記アレイ光源は半導体レーザアレイであることを特徴とするものである。
本発明の第4の手段は前記第1の手段において、前記光源は、複数の発光点が等間隔に1次元に配列された発光点列を等間隔に複数列配置した2次元アレイ光源であることを特徴とするものである。
本発明の第5の手段は前記第4の手段において、前記2次元アレイ光源は面発光レーザアレイであることを特徴とするものである。
本発明の第6の手段は前記第1ないし第5の手段において、前記環境温度上昇に伴う前記走査光学素子の屈折力変化に対応して前記被走査面に走査結像された光束の走査垂直方向の焦点位置が変位する方向と、前記光源の波長伸長に伴う前記走査光学素子の屈折力変化に対応して前記被走査面に走査結像された光束の走査垂直方向の焦点位置が変位する方向とが逆向きの関係にあることを特徴とするものである。
本発明の第7の手段は前記第1ないし第6の手段において、前記走査光学素子を構成するレンズのうち前記樹脂製レンズは、最も前記被走査面に近い位置に配置されていることを特徴とするものである。
本発明の第8の手段は前記第1ないし第7の手段において、前記樹脂製レンズの少なくとも1つのレンズ面は、前記偏向走査方向に非対称に変化する面形状であることを特徴とするものである。
本発明の第の手段は前記第の手段において、光源波長をλ、被走査面における走査垂直方向の結像スポット径で中心光強度の1/e2の半幅をω0とし、前記トーリックレンズの走査垂直方向の屈折力の個体内偏差をδTor副とするとき、δTor副=±0.05[%]の場合における前記被走査面に走査結像された光束の走査垂直方向の焦点位置ずれΔZ副が、|ΔZ副|<0.187{(π×ω02)/λ}を満足していることを特徴とするものである。
本発明の第10の手段は前記第の手段において、前記δTor副は、前記トーリックレンズの走査垂直方向の曲率半径偏差に起因するものであることを特徴とするものである。
本発明の第11の手段は前記第の手段において、前記トーリックレンズの走査垂直方向の屈折力の個体内偏差をδTor副とするとき、δTor副=±0.05[%]の場合における前記被走査面に走査結像された光束の走査垂直方向の焦点位置ずれΔZ副が、|ΔZ副|<0.8を満足していることを特徴とするものである。
本発明の第12の手段は前記第11の手段において、前記δTor副は、前記トーリックレンズの走査垂直方向の曲率半径偏差に起因するものであることを特徴とするものである。
本発明の第13の手段は前記第9ないし第12の手段において、前記偏向走査された複数の光束が前記トーリックレンズを走査方向に通過する領域の幅dは、d>80[mm]を満足していることを特徴とするものである。
本発明の第14の手段は前記第1ないし第13の手段において、光源波長λはλ≧600[nm]を満足していることを特徴とするものである。
本発明の第15の手段は前記第1ないし第14の手段において、その光走査装置は、当該光走査装置の使用環境温度範囲内において、数式3及び数式4を満足する構成を有していることを特徴とするものである。
但し、
ただし、式中の
m:被走査面に走査結像される光束の本数、
LPI[lines/inch]:被走査面上に形成される走査線の走査垂直方向の解像度、
pitch[mm]:被走査面上に形成される走査線の正規の隣接走査線間隔、
L0[mm]:走査垂直方向において、複数の光束の中心線と最も外側の光束の主光線が被走査面手前の空間で交差する点から被走査面までの距離、
φ[deg]:走査垂直方向において、複数の光束の中心線と最も外側の光束の主光線が被走査面手前の空間でなす角度、
R0[mm]:被走査面の曲率半径、
ξ[deg]:走査垂直方向において、被走査面の法線と複数の光束の中心線がなす角度、
P+:走査垂直方向において、複数光束の中心線と被走査面との交点を点C、被走査面を走査結像する複数光束のうち、最も外側の光束の主光線と被走査面との交点を点Dとし、更に点Dは、最も外側の光束の主光線と被走査面の法線となす角度が小さい方を点D+とするとき、円弧CD+の長さ、
P−:走査垂直方向において、複数光束の中心線と被走査面との交点を点C、被走査面を走査結像する複数光束のうち、最も外側の光束の主光線と被走査面との交点を点Dとし、更に点Dは、最も外側の光束の主光線と被走査面の法線となす角度が大きい方を点D−とするとき、円弧CD−の長さ、
yP+:被走査面の曲率中心を原点とし、被走査面の法線方向をy軸、被走査面の法線に対して垂直方向をx軸に右手系のxy座標系をとるとき、点D+のy座標、
yP−:被走査面の曲率中心を原点とし、被走査面の法線方向をy軸、被走査面の法線に対して垂直方向をx軸に右手系のxy座標系をとるとき、点D−のy座標。
本発明の第16の手段は前記第15の手段において、前記光走査装置の使用環境温度範囲は、基準温度からの変化量ΔTがΔT=±15[K]の場合であることを特徴とするものである。
本発明の第17の手段は前記第15または第16の手段において、前記被走査面上を走査結像する複数の光束の本数 mは3以上であることを特徴とするものである。
前記第2の目的を達成するため、本発明の第18の手段は、感光体と、その感光体の表面を帯電する帯電装置と、帯電した感光体表面に光を照射して静電潜像を形成する光走査装置と、前記静電潜像にトナーを付着してトナー像を形成する現像装置と、感光体上のトナー像を記録媒体上に転写する転写装置と、記録媒体上のトナー像を定着する定着装置を備えた画像形成装置において、
前記光走査装置が前記第1ないし第17の手段の光走査装置であることを特徴とするものである。
本発明の光走査装置は前述のような構成になっており、環境温度変化に伴う走査光学素子の走査垂直方向倍率比変化率、走査垂直方向の像面ずれを低減して、高い環境安定性を有する光走査装置を提供することができる。
本発明の画像形成装置は前述のような構成になっており、高画質化ならびに画質の安定化が図れる画像形成装置を提供することができる。
本発明の実施例に係る画像形成装置の光学系の概略構成図である。 光源から光偏向素子までの光学系の詳細説明図である。光源1から光偏向素子6までの光学系の詳細説明図で、同図(a)は主走査方向(偏向走査方向)の光束、同図(b)は副走査方向(偏向走査方向に垂直方向)の光束、同図(c)は光束の中心を通る光線(主光線)の挙動を示す図である。 本発明の実施例1に係るマルチビーム光源の発光点を示す図である。 本発明の実施例1に係る走査光学素子の光学特性図で、同図(a)は被走査面上の走査位置と主走査方向ならびに副走査方向の像面湾曲との関係を示す図、同図(b)は被走査面上の走査位置と走査光学素子の走査垂直方向倍率比変化率を示す図、同図(c)は光走査装置の光源波長が5[nm]シフトした場合の倍率色収差特性を示す図である。 (a)〜(c)は、本発明の実施例1に係る走査垂直方向に負の屈折力を有する樹脂製レンズの一例を示す樹脂製レンズの走査垂直方向における断面図である。 環境温度が基準温度の場合と、それから±15[K]変化した場合における像面湾曲の変化を計算した結果を示す図である。 環境温度が基準温度の場合と、それから±15[K]変化した場合における走査光学素子の走査垂直方向倍率比変化率の変動を計算した結果を示す図である。 図6のΔT=+15[K]における像面湾曲が、波長変化Δλ=+5[nm]でどのように変化するかを計算し、縦軸スケールを拡大して示した図である。 図7のΔT=+15[K]における倍率比が、波長変化Δλ=+5[nm]でどのように変化するかを計算し、縦軸スケールを拡大して示した図である。 試作した3個のトーリックレンズにおいて副走査方向曲率の個体バラツキを計測した結果を示した図である。 トーリックレンズの副走査方向パワー誤差の個体内偏差δTor副が−0.05%の場合の、副走査方向パワーΨTor副と被走査面における副走査方向の焦点ずれの関係を計算した結果を示す図である。 光源から被走査面までの光学系の、副走査方向(走査垂直方向)の主光線図である。 副走査方向における被走査面とそれを照射する各光束の主光線の位置関係を説明するための図である。 走査光学素子の光学特性図で、同図(a)は被走査面上の走査位置と主走査方向ならびに副走査方向の像面湾曲との関係を示す図、同図(b)は被走査面上の走査位置と走査光学素子の走査垂直方向倍率比変化率を示す図、同図(c)は光源波長が5[nm]シフトした場合の倍率色収差特性を示す図である。 環境温度が基準温度の場合と、実用的な温度変化範囲として基準温度から温度変化ΔT=±15[K]変化した場合における像面湾曲の変化を計算した結果を示す図である。 環境温度が基準温度の場合と、実用的な温度変化範囲として基準温度から温度変化ΔT=±15[K]変化した場合における走査光学素子の走査垂直方向倍率比変化率の変動を計算した結果を示す図である。 図15のΔT=+15[K]における像面湾曲が、波長変化Δλ=+5[nm]でどのように変化するかを計算し、縦軸スケールを拡大して示した図である。 図16のΔT=+15[K]における倍率比が、波長変化Δλ=+5[nm]でどのように変化するかを計算し、縦軸スケールを拡大して示した図である。 本発明の実施例3に係るマルチビーム光源1の発光点を示す図である。 本発明の実施例に係る光走査装置を搭載した画像形成装置の概略構成図である。
図1は、本発明の実施例に係る画像形成装置の光学系の概略構成図である。
マルチビーム光源1は図3に示すように複数(本実施例では5個)の発光点19−1〜19−5を有し、個々の発光点19はコントローラ20からの画像データ信号14に従ってレーザドライバ15を駆動させることで、マルチビーム光源1からは各々独立に変調された複数の光束を出射する。
マルチビーム光源1から出射した複数の光束は、カップリングレンズ2により複数の略平行光となる。その後開口部材18を通過して、ビームエクスパンダを構成するレンズ3とレンズ4を介することで前記複数の略平行光束は光束径が変換される。そしてシリンダレンズ5を経て偏向走査方向に長い複数の略線状に結像され、光偏向素子6の偏向面(反射面)により反射されて偏向走査される。
光偏向素子6は、光偏向素子窓16が取り付けられた光偏向素子ハウジング17内に格納され、コントローラ20からの回転駆動制御信号21に基づき光偏向素子駆動回路22を介して駆動制御される。
図2は光源1から光偏向素子6までの光学系の詳細説明図で、同図(a)は主走査方向(偏向走査方向)の光束、同図(b)は副走査方向(偏向走査方向に垂直方向)の光束、同図(c)は光束の中心を通る光線(いわゆる主光線)の挙動を示す図である。
図2に示すようにカップリングレンズ2、レンズ3、レンズ4、シリンダレンズ5の焦点距離をそれぞれfCOL、fL1、fL2、fCYLとすると、マルチビーム光源1から光偏向素子6までの各レンズの配置間隔を同図のようにすることで、光偏向素子6の反射面上では主走査方向に各光束がクロスするので、マルチビーム走査光学系であっても光偏向素子6のサイズは単一ビームと同程度のものが使用できる。
図1に戻って光偏向素子6で偏向走査された複数の光束は、走査光学素子7により被走査面13(画像形成装置の場合は感光体の表面)に、主副の両走査方向で結像され、被走査面13上を走査する。被走査面13上の各々の結像スポット(図示せず)は、各々の結像スポットを変調することによりマルチビームによる光記録が行われる。
図1に示すように前記被走査面13の一方の端部付近に光検出器23が設置されており、光記録が行われる際、光検出器23から最大の用紙サイズを有する印刷用紙24の光検出器23とは反対側の端部(印刷終了端部)までの範囲は、結像スポットの品質を保ち、光束をけられずに走査する必要がある範囲、すなわち有効走査幅である。
光束が偏向走査される方向と垂直方向に、前記光偏向素子6の反射面と被走査面13との間を光学的共役関係にすることにより、面倒れ補正機能を持たせている。本実施例の場合走査光学素子7は、ガラス製両側球面レンズ8、ガラス製両側球面レンズ9、ガラス製トーニックレンズ10、ガラス製シリンダレンズ11と、そのガラス製シリンダレンズ11と被走査面13の間に配置された透明樹脂製両側非球面レンズ12を含む5枚構成になっている。
本光学系の諸元を表1に示す。表中のカップリングレンズ2、レンズ3、レンズ4、シリンダレンズ5は全てガラス製である。
本発明の実施例1に係る光走査装置について説明する。
光偏向素子6の反射面から被走査面13における走査光学素子7の各レンズの諸元を表2に示す。
表中の面番号(1)は図1に示すように光偏向素子6の反射面、面番号(2)と(3)は光偏向素子窓16の入出射面である。面番号(4)〜(13)が走査光学素子7を構成するレンズの面で、面番号(4)と(5)は両側球面レンズ8の入出射面、面番号(6)と(7)は両側球面レンズ9の入出射面、面番号(8)と(9)はトーリックレンズ10の入出射面で、面番号(8)の入射側が平面、面番号(9)の出射側がトーリック面となっている。面番号(10)と(11)はシリンダレンズ11の入出射面で、面番号(10)の入射側が副走査方向シリンダ面、面番号(11)の出射側が平面となっている。面番号(12)と(13)は両側非球面レンズ12の入出射面で、副走査方向に負の屈折力を有している。面番号(14)は被走査面13である。
前記両側球面レンズ8、両側球面レンズ9、トーリックレンズ10、シリンダレンズ11のガラス材としては、各々、(株)オハラ製のS−PHM52、S−TIH6、S−BSM18、S−BSL7等が、また両側非球面レンズ12の樹脂材としてはゼオネックスE48R等が用いられる。
ここで、樹脂製の両側非球面レンズ12の入出射面(面番号12と13)は、主走査方向をx、副走査方向をy、光軸方向をzとすると、下記の数式1、数式2で表現される非球面である。
ここでrx、ryは、それぞれ母線(主走査方向)及び子線(副走査方向)の曲率半径、kyは副走査方向の円錐定数(但し、ky=0)である。
前記数式1右辺の第1項は基本的なトーリック形状を表し、右辺の第2項は基本形状に光軸非対称成分を付加する追加関数を表す。前記数式1中のPmnは表3で与えられる定数であり、これより両側非球面レンズ12の入出射面(面番号12と13)の母線は光軸対称の非円弧曲線、任意のyz断面における子線は光軸非対称の非円弧曲線となる。
図3は本実施例に係るマルチビーム光源の発光点を示す図で、本実施例の場合は直線上(1次元)に5個の発光点19−1〜19−5が配列され、各発光点19の間隔は等間隔で60μmに設定されている。このアレイ光源は、半導体レーザアレイから構成されている。
図4は、本実施例に係る走査光学素子7の光学特性図である。
同図(a)は、被走査面13上の走査位置と主走査方向ならびに副走査方向の像面湾曲との関係を示す図で、図中のB1、B3、B5は図3に示す複数の発光点19のうち両端(19−1、19−5)と中心(19−3)から発した光束のデータを示している。走査幅は約±250[mm]である。
同図(b)は、被走査面13上の走査位置と走査光学素子7の走査垂直方向倍率比変化率を示す図である。
ここで、走査光学素子7の走査垂直方向倍率(副走査方向倍率)とは、走査垂直方向(副走査方向)における各走査画角の光束に関して、「光偏向素子6の反射面から走査光学素子7の入射側主面位置までの距離」と「走査光学素子7の出入射側主面位置から被走査面13上の走査結像点までの距離」の比で表される量のことである。また、走査垂直方向倍率比変化率とは、基準環境温度における走査光学素子7の走査画角0度(主走査方向において、光偏向素子6反射光の走査光学素子7への入射角が0度)の走査垂直方向倍率に対する、任意の環境温度及び任意の走査画角における走査垂直方向倍率の変化率を表したものである。
具体的には、例えば常温の基準環境温度(ΔT=0)における、走査光学素子の画角0度の走査垂直方向倍率をM0、基準温度からの温度変化ΔTの環境下での画角θにおける走査垂直方向倍率をMθ|ΔTとするとき、画角θ、即ち、走査位置fFθ・θにおける走査垂直方向倍率比変化率は、{(Mθ|ΔT)/M0}−1}で定義される。但し、fFθは走査光学素子7の主走査方向の焦点距離である。当然のことながら、温度変化ΔT=0の環境下での画角0度における走査垂直方向倍率比変化率は、Mθ|ΔT=M0であるからゼロである。
なお、同図(b)においても、横軸は走査画角ではなく走査位置で表している。同図(b)より、走査幅内での走査垂直方向倍率比変化率は、±0.2[%]以下である。
同図(c)は、前記装置の光源波長が5[nm]シフトした場合の倍率色収差特性を示す図である。同図に示しているように、走査幅内では波長ずれ1[nm]当たり0.4[μm](p−p)以下である。
一般に光走査装置においては光源から出射された光束が光偏向素子で反射偏向される際、各画角によって反射される位置が異なり、また、反射位置のずれは走査光学手段の光軸を挟んで非対称となる。これにより各光束の結像位置(すなわち像面湾曲)、走査光学素子の副走査倍率も非対称となる。一方、複数の発光点を有する光源を用いた場合、各々の発光点の発振波長にバラツキが生じると、被走査面上での走査位置ずれ(倍率色収差)の原因になる。
これらの課題に関しては、本実施例の如く走査垂直方向に正の屈折力を有するトーリックレンズとシリンダレンズ、及び少なくとも1つのレンズ面が偏向走査方向に非対称に変化する面形状を有する樹脂製レンズを用いて走査光学素子7を構成することにより、図4に示した光学特性のように、走査域における像面湾曲と走査垂直方向倍率比変化率の非対称性と絶対量の低減、および倍率色収差の低減を図ることができる。
次に光走査装置の環境安定性に関して説明する。
光源に半導体レーザを用いる場合、温度変化に伴い発振波長ずれが生じ、温度上昇に伴って波長は長波長側にシフトする。画像形成装置用の光走査装置では光源波長ずれは像面ずれの要因となり、被走査面上での結像スポットの大径化、画質の劣化につながる。
一般にレーザプリンタ等の光走査装置では、走査方向よりも走査垂直方向の方が走査光学素子の屈折力が大きいため、環境温度変化や光源波長変化に対する焦点ずれも走査垂直方向の方が大きく影響を受ける。他方、マルチビームを用いた画像形成装置用の光走査装置では、光源の波長ずれは走査光学素子の走査垂直方向倍率比変化率の変動、すなわち被走査面上における各光束間の走査線間隔の変動につながる。
なお、光源から光偏向素子までの光偏向素子前光学系においては、波長ずれの問題に対して、レンズ保持部材の線膨張を利用した温度補償或いは色消しレンズを用いる等、公知の手段を組み合わせることによって回避することが可能であるので、以下では光偏向素子後光学系の波長ずれ補償について説明する。
一般に環境温度に対する屈折率変化の点で、樹脂材料はガラス材に比べて一桁以上大きく、樹脂製レンズを搭載した走査光学素子では、光学諸特性変化の支配的要素となり得る。
樹脂製レンズを搭載した本実施例の走査光学素子では、前記波長ずれの問題に対して、先に述べたレンズ構成、つまり、走査垂直方向に負の屈折力を有する樹脂製レンズを設けることにより、樹脂材の屈折率変化に対応する走査垂直方向の焦点ずれの方向と光源波長ずれに対応する焦点ずれの方向とが逆方向になるような関係を持たせる。同時に、樹脂材の屈折率変化に対応する走査垂直方向倍率比変化率の変化する方向と光源波長ずれに対応する走査垂直方向倍率比変化率の変化する方向とが逆方向になるような関係、すなわち、樹脂材の屈折率変化と光源波長ずれに対応して、被走査面上における複数の光束間の間隔が拡大、縮小する方向とが逆方向になるような関係を持たせる。
図5(a)〜(c)は、本実施例に係る走査垂直方向に負の屈折力を有する樹脂製レンズ12の一例を示す走査垂直方向における断面図である。負の屈折力を有するレンズは、レンズ材料の屈折率が低下(あるいは上昇)すると像面を手前(あるいは奥側)にシフトする作用を有している。
以下、具体的な数値を挙げて特性変化について説明する。
温度変化ΔTは、ΔT=±15[K]を想定する。
図6は、環境温度が基準温度の場合と、実用的な温度変化範囲として基準温度から温度変化ΔT=±15[K]変化した場合における像面湾曲の変化を計算した結果を示す図である。温度変化の影響が大きい副走査方向についてのみ示している。図7は、同じく温度変化に伴う走査光学素子7の走査垂直方向倍率比変化率の変動を計算した結果を示す図である。なお、図6、図7では温度変化に伴う波長変化は考慮していない。
図6より走査垂直方向像面は、環境温度上昇(あるいは下降)に伴って手前(あるいは奥側)にシフトすることが分かる。また図7より、走査光学素子7の走査垂直方向倍率比変化率は、環境温度上昇(あるいは下降)に伴って増大(あるいは減少)方向にシフトすることが分かる。
次に、波長変化の影響を説明する。
市販されている赤色半導体レーザの波長の温度特性は、一般に0.2[nm/K]程度である。ここでは、常温からの温度変化±15[K]に伴う波長ずれ0.2[nm/K]×(±15)[K]=±3[nm]と、複数の発光点の波長バラツキとして2[nm]を考慮し、全体で±5[nm]の波長ずれを想定する。
図8は、図6のΔT=+15[K]における像面湾曲が、波長変化Δλ=+5[nm]でどのように変化するかを計算し、縦軸スケールを拡大して示した図である。
図9は、図7のΔT=+15[K]における倍率比が、波長変化Δλ=+5[nm]でどのように変化するかを計算し、縦軸スケールを拡大して示した図である。
これら図8、図9より、環境温度変化に伴う走査光学素子7の屈折率変化と波長ずれによる影響が相殺方向に働き、ΔT=+15K、Δλ=+5nmの場合では副走査方向の像面ずれ、走査垂直方向倍率比変化率が低減されることが分かる。
表4は、本実施例の光走査装置の走査中央部(画角0度)において、ΔT=+15[K]、Δλ=+5[nm]を夫々独立して想定した場合の主・副走査方向の像面ずれ(基準温度の像面からのずれ量)、副走査方向倍率比の変化を計算した結果である。表中の項番2は、前述した樹脂材料を想定し、常温からの温度変化ΔT=+15[K]に伴う樹脂製レンズ12の材料の屈折率変化として−0.0015を想定した。なお、簡単のために偏向手段前レンズ系で発生する影響は含ませていない。表中の項番3は項番1と項番2の影響の総和である。
この表4より、環境温度変化に伴う樹脂材の屈折率変化と波長ずれによる影響が相殺方向に働き、副走査方向の像面ずれ、副走査方向倍率比の変化が低減されることが分かる。
なお、図6〜図9及び表4ではΔT=+15[K]の場合を示したが、ΔT=−15[K]の場合も同様の効果が得られる。
像面ずれの低減、走査垂直方向倍率比変化率の変動の低減手順は、まず、走査光学素子7全体で波長ずれに伴う像面変位の値を算出し、その値を相殺させる方向に、樹脂製レンズ12の屈折率を変化させる。それに伴い走査光学素子7全体としての光学特性も変化するので、トーリックレンズ、シリンダレンズ、その他のレンズの設計パラメータを調整して走査光学素子7を再設計する。その後、これらの作業を繰り返す。
本発明では走査画角に対してビーム重なりの少ない位置である走査光学素子7の最後方(走査光学素子を構成するレンズのうち、最も前記被走査面に近い位置)に非球面レンズ(樹脂製レンズ12)を配置している。こうすることで設計自由度を向上させることができる。
次にトーリックレンズの加工精度に関して説明する。
トーリックレンズは長手方向(主走査方向)と短手方向(走査垂直方向、すなわち副走査方向)とで曲率が異なるため、一般に球面レンズと比較して加工が難しい。加工誤差には個体間の誤差と個体内での誤差がある。このうち後者に関して、例えばトーリックレンズの副走査方向曲率に誤差バラツキがあると走査域における副走査方向像面のバラツキとして影響し、結像スポット径不均一の要因となる。この誤差によるスポット径のバラツキはレンズ系の調整で補正することはできない。このため、個体内誤差は加工精度で合わせ込む必要がある。
表5、図10は試作した3個のトーリックレンズに関し、副走査方向パワー、すなわち副走査方向曲率の個体バラツキを計測した結果を示すものである。
表5の数値ならびに図10の縦軸は、各計測位置における正規の副走査方向パワーΨTor副に対する副走査方向パワー誤差ΔΨTor副との比(ΔΨTor副/ΨTor副)を示している(単位は%表示である)。これらの結果から明らかなように、個体差バラツキは±0.2[%]程度、個体内バラツキは3σで最大±0.05[%]程度である。なお、トーリックレンズ材質はガラス材であるので、前記副走査方向パワー誤差ΔΨTor副はトーリックレンズの走査垂直方向の曲率半径偏差に起因するものである。
図10では個体内副走査方向パワー誤差(ΔΨTor副/ΨTor副)は、計測範囲160(±80)[mm]内でうねっており、2〜3個程度の起伏(60〜80[mm]に1個の起伏)が見られる。起伏の数が1個未満であれば結像スポット径不均一に起因する影響(例えば、実施例3で示す画像形成装置における形成画像の濃淡ムラなど)も目立たなくなることを考慮すると、個体内副走査方向パワー誤差バラツキを問題視すべきは、光束がトーリックレンズのトーリック面を走査方向に通過する領域の幅dがd>80[mm]となるレンズサイズの場合であることが分かる。
表5、図10に示した誤差バラツキは加工精度向上で抑制させるのが望ましいが、加工装置の能力限界に達している場合はこの程度の個体内誤差が生じても影響の少ない光学系にする必要がある。
図11は、トーリックレンズの副走査方向パワー誤差(ΔΨTor副/ΨTor副)の個体内偏差δTor副=−0.05[%]の場合における、副走査方向パワーΨTor副と被走査面における副走査方向の焦点ずれの関係を計算した結果を示す図である。これよりパワーの低減は、焦点ずれ抑制に効果があることが分かる。
一般に、画像形成装置の光学系において被走査面上の結像スポット径増大率は10[%]以下を目標にされることが多い。被走査面における結像スポットを、スポット径60[μm]のガウシアンビームで近似すると、スポット径10[%]増大に対応する焦点深度は±2[mm]である。このうち、走査域における設計性能で±0.4[mm]、その他、前記温度変化に伴う影響を加えたレンズ取付け位置精度や取付け部材の変形に伴う影響として±0.8[mm]を割付けると、残り±0.8[mm]を得る。これより、トーリックレンズの走査垂直方向の屈折力の個体内偏差δTor副=±0.05[%]の場合における被走査面に走査結像された光束の走査垂直方向の焦点位置ずれΔZ副は、|ΔZ副|<0.8[mm]を満足していればよい。なお、これを一般化して、|ΔZ副|<0.187{(π×ω02)/λ}でもよい。但し、λは光源波長、ω0は走査面における走査垂直方向の結像スポット径で中心光強度の1/e2の半幅である。
なお、前述の例は波長660[nm]の光源を用いた場合であるが、一般に焦点深度は波長が短くなるほど深くなるので、短波長光源の場合は前記の限りでは無く、目安として波長600[nm]程度以上において適用されるものである。
次に、走査垂直方向倍率比変化率に関して説明する。
前記非特許文献1には、複数光束を用いた光走査光学系において、走査線間隔誤差が副走査方向の印刷物の濃淡むら(バンディングと称される)となって現れ、印刷品質を劣化させる原因になることが記載されている。この非特許文献1には、知覚できるバンディングは変調度(コントラスト)1%から2%であることが記載されており、隣接走査線間隔の許容誤差レベルは、被走査面を走査する光束の本数をm、被走査面上に形成される走査線の走査垂直方向の解像度をLPI[lines/inch]とすると(LPI/m)に比例し、解像度が低いほど、また光束の本数mが増加するほど厳しくなることが示されている。
具体的には、バンディングは変調度を1[%]、視力限界を0.15[mm]、画素が4ドット構成の場合、許容できる隣接走査線間隔誤差は、m=5、LPI=600[lines/inch]では±1.33[%]、m=20、LPI=600[lines/inch]では±0.32[%]、m=20、LPI=1200[lines/inch]では±0.78[%]が目安であることが記載されている。これを一般化すると、光束の本数m、被走査面上に形成される走査線の走査垂直方向の解像度LPI[lines/inch]における許容できる隣接走査線間隔誤差率(即ち、正規の隣接走査線間隔からの誤差率)としては、±1×10-4・(LPI/m)以下が目安となる。
実際の光走査装置では、走査線間隔は被走査面と被走査面を走査する複数の光束の配置関係にも依存する。以下、具体的に説明する。
図12は、光源1から被走査面13までの光学系の、副走査方向(走査垂直方向)の主光線図である。被走査面13は、副走査方向に曲率を有する感光体(以後、感光ドラムと称する)の表面である。また、同図中に記した主光線30−1、30−2、30−3が、それぞれ発光点19−1、19−5(図3参照)から発した光束の主光線である(簡単のために、発光点19−2、19−4の光束は省略している。また、同図中において走査光学素子7は1枚のレンズに簡略化して図示している)。
更に、図13は副走査方向における被走査面13とそれを照射する各光束の主光線の位置関係を説明するための図である。同図から分かるように本実施例の光走査装置では、副走査方向で像側非テレセントリックになっている。
まず、同図において点O、点Q、点Cを下記のように定義する。
点O:被走査面13の曲率中心(本実施例では、被走査面13は感光ドラムの表面であり曲率中心は感光ドラムの中心点に一致している)、
点Q:副走査方向に複数の光束の中心線(本実施例の場合、発光点19−3から発した光束の主光線30−2)と最も外側の光束の主光線(本実施例の場合、発光点19−1、19−5から発した光束の主光線30−1、30−3)が被走査面手前の空間で交差する点、
点C:複数の光束の中心線(本実施例の場合、発光点19−3から発した光束の主光線30−2)が被走査面13と交差する点。
次に、副走査方向に被走査面13の法線と複数の光束の中心線がなす角度をξ、複数の光束の中心線(主光線30−2)と最も外側の光束の主光線(主光線30−1と30−3)がなす角度をφとし、同図において点C−、点C+、点D−、点D+を下記のように定義する。なお、同図中に示すように、被走査面の曲率中心を原点とし、被走査面の法線方向をy軸、被走査面の法線に対して垂直方向をx軸に右手系のxy座標系をとることにする。
点C−:ξ=0の際、最も外側の光束の主光線(本実施例の場合、主光線30−1とする)と被走査面との交点のうち、−x側に位置する交点、
点C+:ξ=0の際、最も外側の光束の主光線(本実施例の場合、主光線30−3とする)と被走査面との交点のうち、+x側に位置する交点、
点D−:ξ≠0の際、最も外側の光束の主光線(本実施例の場合、主光線30−1とする)と被走査面との交点を点Dとし、更に点Dのうち、前記主光線の被走査面への入射角度が大きい方の交点、
点D+:ξ≠0の際、最も外側の光束の主光線(本実施例の場合、主光線30−1とする)と被走査面との交点を点Dとし、更に点Dのうち、前記主光線の被走査面への入射角度が小さい方の交点。
ここで、被走査面を走査する光束の本数をm、点C+から点Cまでの被走査面上での副走査方向の距離(即ち、円弧C+C)、および点Cから点C−までの被走査面上での副走査方向の距離(即ち、円弧CC−)をP0とすると、被走査面上に形成される複数の走査線の隣接走査線間隔は、略 [P0/{(m−1)/2}]と表される。例えば、m=3の場合は、[P0/{(m−1)/2}]=P0、m=5の場合は、[P0/{(m−1)/2}]=P0/2、m=100の場合は、[P0/{(m−1)/2}]=P0/49.5である。
被走査面上に形成される走査線の副走査方向の解像度LPI[lines/inch]、 正規の隣接走査線間隔pitch[μm]とした時、両者の関係を表6に示す。
本発明の光走査装置では、被走査面上に形成される走査線の間隔は、光源1の光軸周り回転により、複数光束の中心線と両端の光束の主光線とのなす角度φが調整され、正規の値に近づけられる。
図13に示すように、ξ=0の際は、円弧CC+=円弧CC−となり、点Cから両端の光束の主光線と被走査面との交点までの距離は対称になる。しかし、ξ=0とし被走査面に対して垂直に光を照射すると、光源側に被走査面からの反射光が戻り、光源の光出力が不安定になることが知られている。
これを防止するためには、被走査面への光の入射角を被走査面の垂直方向からずらし、ξ≠0とした構成が用いられる。ところがξ≠0の場合、点Cから両端の光束の主光線と被走査面との交点までの距離は、円弧CC+は円弧CD+(以下、P+と称する)に、円弧CC−は円弧CD−(以下、P−と称する)になり、点Cから両端の光束の主光線と被走査面との交点までの距離が非対称になる。
光束の本数がm本の場合も同様で、隣接走査線間隔は、点D+側が [P+/{(m−1)/2}]に、点D−側が [P−/{(m−1)/2}]に近似される(但し、光束の本数mは3本以上とする)。
ここで、前述したように、光束の本数m、被走査面上に形成される走査線の走査垂直方向が解像度LPI[lines/inch]の走査光学系において、許容できる隣接走査線間隔誤差率は、±1×10-4・(LPI/m)以下が目安であった。つまり、次の数式3および数式4を満足させるが必要がある。実際の光記録装置においては、前記環境温度変化に伴う副走査方向倍率比の変化が生じた場合に、数式3、数式4を満足する光学系構成でなければならない。
数式3、数式4の左辺は、実際の隣接走査線間隔のpitch(即ち、正規の隣接走査線間隔)に対する誤差比率の絶対値を表している。
ここで、図13に示した光線図おいて、P+、P−は、それぞれ下記の数式5および数式6で表記される。
但し、yP+、yP−は図13中の点D+、点D−のy座標である。
更に、このyP+、yP−は、被走査面の曲率半径をR0、点Qから点Cの距離をL0、主光線30−1と30−2、主光線30−2と30−3のなす角度をφ、とすると数式7、数式8で表される。
但し、
m:被走査面に走査結像される光束の本数、
LPI[lines/inch]:被走査面上に形成される走査線の走査垂直方向の解像度、
Pitch[mm]:被走査面上に形成される走査線の正規の隣接走査線間隔、
L0[mm]:走査垂直方向において、複数の光束の中心線と最も外側の光束の主光線が被走査面手前の空間で交差する点から被走査面までの距離 、
φ[deg]:走査垂直方向において、複数の光束の中心線と最も外側の光束の主光線が被走査面手前の空間でなす角度、
R0[mm]:被走査面の曲率半径、
ξ[deg]:走査垂直方向において、被走査面の法線と複数の光束の中心線がなす角度。
つまり、P+およびP−は、L0、φ、R0、ξを変数とする関数であり、上式よりφ、ξは大きく、L0、R0は小さくなると隣接走査線間隔の誤差が増大する。
以下、具体的な数値を用いて光走査装置仕様の一例を説明する。
前述した走査光学系において、一例として、R0=50[mm]、副走査方向の解像度LPI=1200[lines/inch]を想定する。この場合、正規の隣接走査線間隔pitchは、pitch=21.17[μm]である。L0は光線追跡により算出され、L0=190.4[mm]を得る。
光束の本数 m=3、5、10、20、50、100、200とした時、数式3と数式4の右辺、|P+|、|P−|の上限と下限、φ、更に数式3と数式4を満足させるためのξの範囲を算出した結果を表7に示す。
実用上問題の無い印刷品質を得るためには、表4、図9に示したように温度変化に伴う副走査方向倍率比変化率の変動が生じた場合であっても、走査線間隔誤差が表7記載の範囲内に入っているような光学系構成とすればよい。
例えば前述した光学系において、R0=50[mm]、副走査方向の解像度LPI=1200[lines/inch]、光束の本数m=20[本]、被走査面13の法線と複数の光束の中心線がなす角度ξ=5[deg]、環境温度変化ΔT=±15[K]を想定すると、環境温度変化に伴う隣接走査線間隔誤差は、図9に記載の副走査方向倍率比変化率の変動が支配的になる。図9より副走査方向倍率比は±0.3[%]程度であり、これを|P+|、|P−|の上限と下限に換算すると、201.083(1±0.003)より、下限は200.480[μm]、上限は201.687[μm]であるから、これは表7の項番IVの行の|P+|、|P−|の上限と下限の範囲内となる。
なお、前述した実施例では、被走査面は感光ドラムの表面としたが、感光体シートをロールに巻きつけた部分であってもよい。
また、本実施例の光走査装置では、副走査方向に被走査面を走査する複数光束の主光線が像側非テレセントリックとしたが、テレセントリックであってもよい。
以上説明した構成により、本実施例の画像形成装置用光走査装置は、温度変化に伴う走査光学素子の走査垂直方向倍率比変化率および走査垂直方向の像面ずれを低減して、環境安定性を向上させることにより、形成画像の高画質化、画質安定化を図ることができる。
なお、前述のように走査光学素子7の一部を構成する走査垂直方向に正の屈折力を有するトーリックレンズとシリンダレンズを用いた構成をとることは、トーリックレンズの個体内加工誤差があった場合であっても有効走査域での像面湾曲をフラットに近づけられるので、前記効果をより確実に発揮することに繋がる。
本実施例では光源発光点数が5個の場合を示したが、個数はこれに限るものではなく3個以上であれば適用できる。また、走査光学素子7は5枚レンズ構成の場合を示したが、枚数はこれに限るものではない。
本発明の実施例2に係る光走査装置について説明する。
光偏向素子6の反射面から被走査面13における、走査光学素子7の各レンズの諸元を表8に示す。
表中の面番号(1)は光偏向素子6の反射面、面番号(2)と(3)は光偏向素子窓16の入出射面である。面番号(4)〜(13)が走査光学素子7を構成するレンズの面で、面番号(4)と(5)は両側球面レンズ8の入出射面、面番号(6)と(7)は両側球面レンズ9の入出射面、面番号(8)と(9)はトーリックレンズ10の入出射面で、面番号(8)の入射側が平面、面番号(9)の出射側がトーリック面となっている。面番号(10)と(11)はシリンダレンズ11の入出射面で、面番号(10)の入射側が副走査方向シリンダ面、面番号(11)の出射側が平面となっている。面番号(12)と(13)は両側非球面レンズ12の入出射面で、副走査方向に負の屈折力を有している。面番号(14)は被走査面13である。
両側球面レンズ8、両側球面レンズ9、トーリックレンズ10、シリンダレンズ11のガラス材としては、各々(株)オハラ製のS−PHM52、S−TIH6、S−BSM18、S−BSL7等が、両側非球面レンズ12の樹脂材としてはゼオネックスE48R等が用いられる。
ここで、樹脂製の両側非球面レンズ12の入出射面(面番号12と13)は、主走査方向をx、副走査方向をy、光軸方向をzとすると、下記の数式1、数式2で表現される非球面である。
ここでrx、ryは、それぞれ母線(主走査方向)及び子線(副走査方向)の曲率半径、kyは副走査方向の円錐定数(但し、ky=0)である。
前記数式1右辺の第1項は基本的なトーリック形状を表し、右辺の第2項は基本形状に光軸非対称成分を付加する追加関数を表す。数式1中のPmnは下記表9で与えられる定数であり、これより両側非球面レンズ12の入出射面(面番号12と13)の母線は光軸対称の非円弧曲線、入射面(面番号12)の任意のyz断面における子線は光軸非対称の非円弧曲線、出射面(面番号13)の任意のyz断面における子線は光軸対称の非円弧曲線となる。
図14は走査光学素子7の光学特性図である。
同図(a)は被走査面13上の走査位置と主走査方向ならびに副走査方向の像面湾曲との関係を示す図で、図中のB1、B3、B5は複数の発光点19のうち両端(19−1、19−5)と中心(19−3)(いずれも図3参照)から発した光束のデータを示している。走査幅は約±250[mm]である。
同図(b)は、被走査面13上の走査位置と走査光学素子7の走査垂直方向倍率比変化率を示す図である。
ここで、走査光学素子7の走査垂直方向倍率(副走査方向倍率)とは、走査垂直方向(副走査方向)における各走査画角の光束に関して、「光偏向素子6の反射面から走査光学素子7の入射側主面位置までの距離」と「走査光学素子7の出入射側主面位置から被走査面13上の走査結像点までの距離」の比で表される量のことである。また、走査垂直方向倍率比変化率とは、基準環境温度における走査光学素子の走査画角0度(主走査方向において、光偏向素子6反射光の走査光学素子7への入射角が0度)の走査垂直方向倍率に対する、任意の環境温度及び任意の走査画角における走査垂直方向倍率の変化率を表したものである。
具体的には、基準環境温度(ΔT=0)における、走査光学素子の画角0度の走査垂直方向倍率をM0、基準温度からの温度変化ΔTの環境下での画角θにおける走査垂直方向倍率をMθ|ΔTとするとき、画角θ、即ち、走査位置fFθ・θにおける走査垂直方向倍率比変化率は、{(Mθ|ΔT)/M0}−1}で定義される。但し、fFθは走査光学素子7の主走査方向の焦点距離である。当然のことながら、温度変化ΔT=0の環境下での画角0度における走査垂直方向倍率比変化率は、Mθ|ΔT=M0であるからゼロである。
なお、同図(b)においても、横軸は走査画角ではなく走査位置で表している。同図(b)より、走査幅内での走査垂直方向倍率比変化率は、±0.2[%]以下である。
同図(c)は前記装置の光源波長が5[nm]シフトした場合の倍率色収差特性を示す図である。同図に示しているように、走査幅内では波長ずれ1[nm]当たり0.55[μm](p−p)以下である。
一般に光走査装置においては光源から出射された光束が光偏向素子で反射偏向される際、各画角によって反射される位置が異なり、また反射位置のずれは走査光学手段の光軸を挟んで非対称となる。これにより主走査及び副走査方向の結像位置が非対称になると共に副走査倍率も非対称となる。一方、複数の発光点を有する光源を用いた場合、各々の発光点の発振波長にバラツキが生じると、被走査面上での走査位置ずれ(倍率色収差)の原因になる。
これらの課題に関しては、本実施例の如く走査垂直方向に正の屈折力を有するトーリックレンズとシリンダレンズ、及び少なくとも1つのレンズ面が偏向走査方向に非対称に変化する面形状を有する樹脂製レンズを用いて走査光学素子7を構成することにより、図14に示した光学特性のように、走査域における像面湾曲と走査垂直方向倍率比変化率の非対称性と絶対量の低減、および倍率色収差を低減させている。
次に光走査装置の環境安定性に関して説明する。
光源に半導体レーザを用いる場合、温度変化に伴い発振波長ずれが生じ、温度上昇に伴って波長は長波長側にシフトする。画像形成装置用光走査装置において、光源波長ずれは像面ずれの要因となり、被走査面での結像スポットの大径化、画質の劣化につながる。
一般に、レーザプリンタ等の光走査装置では走査方向よりも走査垂直方向の方が走査光学素子の屈折力が大きいため、環境温度変化や光源波長変化に対する焦点ずれも走査垂直方向の方が大きく影響を受ける。他方、マルチビームを用いた画像形成装置用光走査装置において、光源の波長ずれは走査光学素子の走査垂直方向倍率比変化率の変化、すなわち、被走査面上における各光束間の走査間隔の変動につながる。
なお、光源から光偏向素子までの光偏向素子前光学系においては、波長ずれの問題に対して、レンズ保持部材の線膨張を利用した温度補償或いは色消しレンズを用いる等、公知の手段を組み合わせることによって回避することが可能であるので、以下では光偏向素子後光学系の波長ずれ補償について説明する。
一般に環境温度に対する屈折率変化の点で、樹脂材料はガラス材に比べて一桁以上大きく、樹脂製レンズを搭載した走査光学素子では、その光学特性変化の支配的要素となりうる。
樹脂製レンズを搭載した本実施例の走査光学素子では、前記波長ずれの問題に対して、前述したレンズ構成、つまり、走査垂直方向に負の屈折力を有する樹脂製レンズを設けることにより、樹脂材の屈折率変化に対応する走査垂直方向の焦点ずれの方向と光源波長ずれに対応する焦点ずれの方向とが逆方向になるような関係を持たせる。同時に、樹脂材の屈折率変化に対応する走査垂直方向倍率比変化率の変化する方向と光源波長ずれに対応する走査垂直方向倍率比変化率の変化する方向とが逆方向になるような関係、すなわち、樹脂材の屈折率変化と光源波長ずれに対応して被走査面上での複数の光束間の間隔が拡大縮小する方向とが逆方向になるような関係を持たせる。
前述のように図5(a)〜(c)は、本実施例に係る走査垂直方向に負の屈折力を有する樹脂製レンズ12の一例を示す走査垂直方向における断面図である。負の屈折力を有するレンズは、レンズ材料の屈折率が低下(あるいは上昇)すると像面を手前(あるいは奥側)にシフトする作用を有している。
以下、具体的数値を用いて特性変化を説明する。温度変化ΔTはΔT=±15[K]を想定する。
図15は、環境温度が基準温度の場合と、実用的な温度変化範囲として基準温度から温度変化ΔT=±15[K]変化した場合における像面湾曲の変化を計算した結果を示す図である。温度変化の影響が大きい副走査方向についてのみ示している。図16は、同じく温度変化に伴う走査光学素子7の走査垂直方向倍率比変化率の変動を計算した結果を示す図である。なお、図15、図16では温度変化に伴う波長変化は考慮していない。
図15より走査垂直方向像面は、環境温度上昇(あるいは下降)に伴って手前(あるいは奥側)にシフトすることが分かる。また図16より、走査光学素子7の走査垂直方向倍率比変化率は、環境温度上昇(下降)に伴って増大(減少)方向にシフトすることが分かる。
次に、波長変化の影響を説明する。
市販されている赤色半導体レーザの波長の温度特性は、一般に0.2[nm/K]程度である。ここでは、常温からの温度変化±15[K]に伴う波長ずれ0.2[nm/K]×(±15)[K]=±3[nm]と複数の発光点の波長バラツキとして2[nm]を考慮し、全体で±5[nm]の波長ずれを想定する。
図17は、図15のΔT=+15[K]における像面湾曲が、波長変化Δλ=+5[nm]でどのように変化するかを計算し、縦軸スケールを拡大して示した図である。
図18は、図16のΔT=+15[K]における倍率比が、波長変化Δλ=+5[nm]でどのように変化するかを計算し、縦軸スケールを拡大して示した図である。
図17、図18より、環境温度変化に伴う走査光学素子7の屈折率変化と波長ずれによる影響が相殺方向に働き、「ΔT=+15K、Δλ=+5nm」の場合では副走査方向の像面ずれ、走査垂直方向倍率比変化率が低減されることが分かる。
表10は、本実施例の画像形成装置用光走査装置の走査中央部(画角0度)において、ΔT=+15[K]、Δλ=+5[nm]を夫々独立して想定した場合の主・副走査方向の像面ずれ(基準温度の像面からのずれ量)、副走査方向倍率比の変化を計算した結果である。同表の項番2は、前述した樹脂材料を想定し、常温からの温度変化ΔT=+15[K]に伴う樹脂製レンズ12の材料の屈折率変化として−0.0015を想定した。なお、簡単のために偏向手段前レンズ系で発生する影響は含ませていない。同表の項番3は項番1と項番2の影響の総和である。
この表10より、環境温度変化に伴う樹脂材の屈折率変化と波長ずれによる影響が相殺方向に働き、副走査方向の像面ずれ、副走査方向倍率比の変化が低減されることが分かる。
なお、図15〜図18及び表10ではΔT=+15[K]の場合を示したが、ΔT=−15[K]の場合も同様の効果が得られる。
像面ずれの影響の相殺、走査垂直方向倍率比変化率の変動の低減手順は、まず、走査光学素子7全体で波長ずれに伴う像面変位の値を算出し、その値を相殺させる方向に、樹脂製レンズ12の屈折率を変化させる。それに伴い走査光学素子7全体としての光学特性も変化するので、トーリックレンズ、シリンダレンズ、その他のレンズの設計パラメータを調整して走査光学素子7を再設計する。その後、これらの作業を繰り返す。本発明では走査画角に対してビーム重なりの少ない位置である走査光学素子7の最後方(走査光学素子を構成するレンズのうち、最も前記被走査面に近い位置)に非球面レンズ(樹脂製レンズ12)を配置している。こうすることで、設計自由度を向上させることができる。
次にトーリックレンズの加工精度に関して説明する。
トーリックレンズは長手方向(主走査方向)と短手方向(走査垂直方向、すなわち副走査方向)とで曲率が異なるため、一般に球面レンズと比較して加工が難しい。加工誤差には個体間の誤差と個体内での誤差がある。このうち後者に関して、例えば、トーリックレンズの副走査方向曲率に誤差バラツキがあると走査域における副走査方向像面のバラツキとして影響し、結像スポット径不均一の要因となる。この誤差によるスポット径バラツキはレンズ系の調整で補正することはできない。このため、個体内誤差は加工精度で合わせ込む必要がある。
表5、図10は実施例1同様に試作した3個のトーリックレンズに関し、副走査方向パワー、すなわち副走査方向曲率の個体バラツキを計測した結果で、表5の数値、図10の縦軸は、各計測位置における正規の副走査方向パワーΨTor副に対する副走査方向パワー誤差ΔΨTor副との比(ΔΨTor副/ΨTor副)[%]を示している。これらの結果から明らかなように、個体差バラツキは±0.2[%]程度、個体内バラツキは3σで最大±0.05[%]程度である。なお、トーリックレンズ材質はガラス材であるので前記副走査方向パワー誤差ΔΨTor副は、トーリックレンズの走査垂直方向の曲率半径偏差に起因するものである。
この図10では個体内副走査方向パワー誤差(ΔΨTor副/ΨTor副)は、計測範囲160(±80)[mm]内でうねっており2〜3個程度の起伏(60〜80[mm]に1個の起伏)が見られる。起伏の数が1個未満であれば結像スポット径不均一に起因する影響(例えば、実施例3で示す画像形成装置における形成画像の濃淡ムラなど)も目立たなくなることを考慮すると、個体内副走査方向パワー誤差バラツキを問題視すべきは、光束がトーリックレンズのトーリック面を走査方向に通過する領域の幅dがd>80[mm]となるレンズサイズの場合であることが分かる。
表5、図10に示した誤差バラツキは加工精度向上で抑制させるのが望ましいが、加工装置の能力限界に達している場合はこの程度の個体内誤差が生じても影響の少ない光学系にする必要がある。
図11は、トーリックレンズの副走査方向パワー誤差の個体内偏差δTor副が−0.05[%]の場合における、副走査方向パワーΨTor副と被走査面における副走査方向の焦点ずれの関係を計算した結果を示す図である。これより、パワーの低減は焦点ずれ抑制に効果があることがかわる。
一般に、画像形成装置の光学系において被走査面上の結像スポット径増大率は10[%]以下を目標にされることが多い。被走査面における結像スポットを、スポット径60[μm]のガウシアンビームで近似すると、スポット径10[%]増大に対応する焦点深度は±2[mm]である。このうち、走査域における設計性能で±0.4[mm]、その他、前記温度変化に伴う影響を加えたレンズ取付け位置精度や取付け部材の変形に伴う影響として±0.8[mm]を割付けると、残り±0.8[mm]を得る。これより、トーリックレンズの走査垂直方向の屈折力の個体内偏差をδTor副=±0.05[%]の場合における被走査面に走査結像された光束の走査垂直方向の焦点位置ずれΔZ副は、|ΔZ副|<0.8[mm]を満足していればよい。なお、これを一般化して、|ΔZ副|<0.187{(π×ω02)/λ}でもよい。但し、λは光源波長、ω0は走査面における走査垂直方向の結像スポット径で中心光強度の1/e2の半幅である。
なお、前記は波長660[nm]の光源を用いた場合であるが、一般に焦点深度は波長が短くなるほど深くなるので、短波長光源の場合は前記の限りでは無い、目安として波長600[nm]程度以上において適用されるものである。
次に、走査垂直方向倍率比変化率に関して説明する。
前記非特許文献1には、複数光束を用いた光走査光学系において、走査線間隔誤差が副走査方向の印刷物の濃淡むら(バンディングと称される)となって現れ、印刷品質を劣化させる原因になることが記載されている。
この非特許文献1によれば、知覚できるバンディングは変調度(コントラスト)1%から2%であることが記載されており、隣接走査線間隔の許容誤差レベルは、被走査面を走査する光束の本数をm、被走査面上に形成される走査線の走査垂直方向の解像度LPI[lines/inch]とすると(LPI/m)に比例し、解像度が低いほど、また、光束の本数mが増加するほど厳しくなることが示されている。
具体的には、バンディングは変調度を1[%]、視力限界を0.15[mm]、画素が4ドット構成の場合、許容できる隣接走査線間隔誤差は、m=5、LPI=600[lines/inch]では±1.33[%]、m=20、LPI=600[lines/inch]では±0.32[%]、m=20、LPI=1200[lines/inch]では±0.78[%]が目安であることが記載されている。これを一般化すると、光束の本数m、被走査面上に形成される走査線の走査垂直方向の解像度LPI[lines/inch]における許容できる隣接走査線間隔誤差率(即ち、正規の隣接走査線間隔からの誤差率)としては、±1×10-4・(LPI/m)以下が目安となる。
さて、実際の光走査装置では、走査線間隔は被走査面と被走査面を走査する複数の光束の配置関係にも依存する。以下、具体的に説明する。
図12は、光源1から被走査面13までの光学系の、副走査方向(走査垂直方向)の主光線図である。被走査面13は、副走査方向に曲率を有する感光体(以後、感光ドラムと称する)の表面である。また、同図中に記した主光線30−1、30−2、30−3が、それぞれ発光点19−1、19−5を発した光束の主光線である(簡単のために、発光点19−2、19−4の光束は省略している。また、同図中において走査光学素子7は1枚のレンズに簡略化して図示している)。
更に、図13は副走査方向における被走査面13とそれを照射する各光束の主光線の位置関係を詳細に説明するための図である。同図から分かるように、本実施例の光走査装置では、副走査方向で像側非テレセントリックになっている。
まず、同図において点O、点Q、点Cを下記のように定義する。
点O:被走査面13の曲率中心(本実施例では、被走査面13は感光ドラムの表面であり曲率中心は感光ドラムの中心点に一致している)、
点Q:副走査方向に複数の光束の中心線(本実施例の場合、発光点19−3から発した光束の主光線30−2)と最も外側の光束の主光線(本実施例の場合、発光点19−1、19−3から発した光束の主光線30−1、30−3)が被走査面手前の空間で交差する点、
点C:複数の光束の中心線(本実施例の場合、発光点19−3から発した光束の主光線30−2)が被走査面13と交差する点。
次に副走査方向に被走査面13の法線と複数の光束の中心線がなす角度をξ、複数の光束の中心線(主光線30−2)と最も外側の光束の主光線(主光線30−1と30−3)がなす角度をφとし、同図において点C−、点C+、点D−、点D+を下記のように定義する。なお、同図中に示すように被走査面の曲率中心を原点とし、被走査面の法線方向をy軸、被走査面の法線に対して垂直方向をx軸に右手系のxy座標系をとることにする。
点C−:ξ=0の際、最も外側の光束の主光線(本実施例の場合、主光線30−1とする)と被走査面との交点のうち、−x側に位置する交点、
点C+:ξ=0の際、最も外側の光束の主光線(本実施例の場合、主光線30−3とする)と被走査面との交点のうち、+x側に位置する交点、
点D−:ξ≠0の際、最も外側の光束の主光線(本実施例の場合、主光線30−1とする)と被走査面との交点を点Dとし、更に点Dのうち、前記主光線の被走査面への入射角度が大きい方の交点、
点D+:ξ≠0の際、最も外側の光束の主光線(本実施例の場合、主光線30−1とする)と被走査面との交点を点Dとし、更に点Dのうち、前記主光線の被走査面への入射角度が小さい方の交点。
ここで、被走査面を走査する光束の本数をm、点C+から点Cまでの被走査面上での副走査方向の距離(即ち、円弧C+C)、および点Cから点C−までの被走査面上での副走査方向の距離(即ち、円弧CC−)をP0とすると、被走査面上に形成される複数の走査線の隣接走査線間隔は、略 [P0/{(m−1)/2}]と表される。例えば、m=3の場合は、[P0/{(m−1)/2}]=P0、m=5の場合は、[P0/{(m−1)/2}]=P0/2、m=100の場合は、[P0/{(m−1)/2}]=P0/49.5である。
被走査面上に形成される走査線の副走査方向の解像度LPI[lines/inch]、 正規の隣接走査線間隔pitch[μm]とした時、両者の関係を表11に示す。
本発明の光走査装置では、被走査面上に形成される走査線の間隔は、光源1の光軸周り回転により、複数光束の中心線と両端の光束の主光線とのなす角度φが調整され、正規の値に近づけられる。
図13に示すように、ξ=0の際は、円弧CC+=円弧CC−となり、点Cから両端の光束の主光線と被走査面との交点までの距離は対称になる。しかし、ξ=0とし被走査面に対して垂直に光を照射すると、光源側に被走査面からの反射光が戻り、光源の光出力が不安定になることが知られている。これを防止するためには、被走査面への光の入射角を被走査面の垂直方向からずらし、ξ≠0とした構成が用いられる。ところがξ≠0の場合、点Cから両端の光束の主光線と被走査面との交点までの距離は、円弧CC+は円弧CD+(以下、P+と称する)に、円弧CC−は円弧CD−(以下、P−と称する)になり、点Cから両端の光束の主光線と被走査面との交点までの距離が非対称になる。
光束の本数がm本の場合も同様で、隣接走査線間隔は、点D+側が[P+/{(m−1)/2}]に、点D−側が [P−/{(m−1)/2}]に近似される(但し、光束の本数mは3本以上とする)。
ここで、前述したように、光束の本数m、被走査面上に形成される走査線の走査垂直方向が解像度LPI[lines/inch]の走査光学系において、許容できる隣接走査線間隔誤差率は、±1×10-4・(LPI/m)以下が目安であった。つまり、次の数式3および数式4を満足させるが必要がある。実際の光記録装置においては、前記環境温度変化に伴う副走査方向倍率比の変化が生じた場合に、数式3、数式4を満足する光学系構成でなければならない。
前記数式3、数式4の左辺は、実際の隣接走査線間隔のpitch(即ち、正規の隣接走査線間隔)に対する誤差比率の絶対値を表している。
ここで、図13に示した光線図おいて、P+、P−は、それぞれ下記の数式5および数式6で表記される。
但し、yP+、yP−は図13中の点D+、点D−のy座標である。
更に、このyP+、yP−は、被走査面の曲率半径をR0、点Qから点Cの距離をL0、主光線30−1と30−2、主光線30−2と30−3のなす角度をφ、とすると数式7、数式8で表される。
但し、
m:前記被走査面に走査結像される光束の本数、
LPI[lines/inch]:前記被走査面上に形成される走査線の走査垂直方向の解像度、
pitch[mm]:前記被走査面上に形成される走査線の正規の隣接走査線間隔、
L0[mm]:走査垂直方向において、複数の光束の中心線と最も外側の光束の主光線が被走査面手前の空間で交差する点から被走査面までの距離、
φ[deg]:走査垂直方向において、複数の光束の中心線と最も外側の光束の主光線が被走査面手前の空間でなす角度、
R0[mm]:被走査面の曲率半径、
ξ[deg]:走査垂直方向において、被走査面の法線と複数の光束の中心線がなす角度。
つまり、P+およびP−は、L0、φ、R0、ξを変数とする関数であり、上式より、φ、ξは大きく、L0、R0は小さくなると隣接走査線間隔の誤差が増大する。
以下、具体的な数値を用いて光走査装置仕様の一例を説明する。
前述した走査光学系において、一例として、R0=50[mm]、副走査方向の解像度LPI=1200[lines/inch]を想定する。この場合、正規の隣接走査線間隔pitchは、pitch=21.17[μm]である。L0は光線追跡により算出され、L0=190.4[mm]を得る。
光束の本数 m=3、5、10、20、50、100、200とした時、数式3と数式4の右辺、|P+|、|P−|の上限と下限、φ、更に数式3と数式4を満足させるためのξの範囲を算出した結果を表7に示す。
実用上問題の無い印刷品質を得るためには、表10、図18に示したように温度変化に伴う副走査方向倍率比変化率の変動が生じた場合であっても、走査線間隔誤差が表7記載の範囲内に入っているような光学系構成とすればよい。
例えば、前述した光学系にて、R0=50[mm]、副走査方向の解像度LPI=1200[lines/inch]、光束の本数m=20[本]、被走査面13の法線と複数の光束の中心線がなす角度ξ=5[deg]、環境温度変化ΔT=±15[K]を想定すると、環境温度変化に伴う隣接走査線間隔誤差は、図16に記載の副走査方向倍率比変化率の変動が支配的になる。図16より、副走査方向倍率比は±0.3[%]程度であり、これを|P+|、|P−|の上限と下限に換算すると、201.083(1±0.003)より、下限は200.480[μm]、上限は201.687[μm]であるから、これは表7の項番IVの行の|P+|、|P−|の上限と下限の範囲内となる。
なお、前述した実施例では、被走査面は感光ドラムの表面としたが、感光体シートをロールに巻きつけた部分であっても良い。
また、本実施例の光走査装置では、副走査方向に被走査面を走査する複数光束の主光線が像側非テレセントリックとしたが、テレセントリックであってもよい。
以上説明した構成により、本実施例の画像形成装置用光走査装置は、温度変化に伴う走査光学素子の走査垂直方向倍率比変化率および走査垂直方向の像面ずれを低減して、環境安定性を向上させることにより、形成画像の高画質化、画質安定化を図ることができる。
なお、前述のように走査光学素子7の一部を構成する走査垂直方向に正の屈折力を有するトーリックレンズとシリンダレンズを用いた構成をとることは、トーリックレンズの個体内加工誤差があった場合であっても有効走査域での像面湾曲をフラットに近づけられるので、前記効果をより確実に発揮することに繋がる。
前記実施例では光源発光点数が5個の場合を示したが、個数はこれに限るものではなく3個以上であれば適用できる。なお、マルチビーム光源1は半導体レーザアレイだけでなく、個々の半導体レーザから発した光を光ファイバに入射し、光ファイバの出射端を等間隔に配列させた光ファイバアレイであっても良い。また、走査光学素子7は5枚レンズ構成の場合を示したが、枚数はこれに限るものではない。
図19は、実施例3に係るマルチビーム光源1の発光点を示す図である。同図に示されているように、複数個(本実施例では5個)の発光点19−1〜19−5が等間隔に1次元に配列された発光点列がX軸に対して任意の角度γを有し、かつこの発光点列はY軸方向に等間隔で複数列(本実施例では3列)配置された2次元アレイ光源を用いている。従ってこの2次元アレイ光源の発光点は5×3の15個となっている。この2次元アレイ光源は面発光レーザアレイで構成されている。
実施例1及び2で説明した光走査装置は、プリンタや複写機、ファクシミリ装置などの画像形成装置に好適に用いられる。
図20は、前記光走査装置を搭載した画像形成装置の概略構成図である。同図に示すように画像形成装置50は、帯電装置51により帯電された感光ドラム52の表面に、光走査装置53からレーザ光を照射して静電潜像を形成する。この際、レーザ光は感光ドラム52の表面の方線に対して数度以内の入射角で感光ドラム照射する。なお、光走査装置53の構成は前述の通りである。
潜像を形成された感光ドラム52は時計回り方向に回転して、現像装置54で潜像がトナーにより現像されトナー像となる。ウェブ56は搬送装置57〜59により用紙トレイ等から搬送され、転写装置55において感光ドラム52に圧接されて、感光ドラム52上のトナー像が転写され、定着装置60へと搬送される。ウェブ56は定着装置60でトナー像が定着されて、ウェブ56上への画像形成が完了する。定着装置60はプレヒータ61、ヒートローラ62ならびにバックアップローラ63などから構成されている。
一方、トナー像をウェブ56に転写した感光ドラム52は更に回転を続け、次の画像プロセス(帯電、露光、現像、転写、定着)が繰り返される。ウェブ56は用紙トレイ等から順次供給されて、画像形成は継続的に実行される。
この画像形成装置50は、前述した光走査装置を搭載しているので、環境安定性に優れた高画質の画像形成が実現できる。
本発明の手段毎の効果を纏めれば、下記の通りである。
前記第1の手段によれば、走査光学素子の走査垂直方向倍率比変化率の増大を抑制できる。
前記第6の手段によれば、温度変化に伴う走査垂直方向の像面ずれを低減することできる。
前記第7の手段によれば、走査光学素子の設計自由度を大きくとれるので前記第1乃至2の手段の効果がより確実に発揮できる。
前記第8および第9の手段によれば、有効走査域での走査垂直方向倍率比変化率と像面湾曲の非対称の低減および平坦性が向上できるので、前記第1、第6の手段の効果がより確実に発揮できる。
前記第10から第14の手段によれば、トーリックレンズの走査垂直方向個体内パワー偏差の影響を目立たなくするので、前記第7の手段の効果がより確実に発揮できる。
前記第15の手段によれば、光源波長λがλ≧600[nm]においても前記第1、第6の手段の効果がより確実に発揮できる。
前記第16の手段によれば、被走査面が曲率を有し、また、走査垂直方向に被走査面の法線と複数の光束の中心線が角度を有している光走査装置構成の場合であっても、環境温度変化に対する走査線間隔誤差を許容範囲内に抑えることができる。
前記第17の手段によれば、光走査装置の実施要環境において前記第16手段の効果が確実に発揮できる。
前記第18の手段によれば、前記第16、第17の手段の効果が確実に発揮できる。
前記第19の手段によれば、画質の環境安定性を向上させた画像形成装置を提供することができる。
1:マルチビーム光源、2:カップリングレンズ、3:レンズ、4:レンズ、5:シリンダレンズ、6:光偏向素子6:走査光学素子、8:ガラス製両側球面レンズ、9:ガラス製両側球面レンズ、10:ガラス製トーニックレンズ、11:ガラス製シリンダレンズ、12:樹脂製両側非球面レンズ、13:被走査面、14:画像データ信号、15:レーザドライバ、16:光偏向素子窓、17:光偏向素子ハウジング、18:開口部材、19−1〜19−5:発光点、20:コントローラ、21:回転駆動制御信号、22:光偏向素子駆動回路、23:光検出器、24:印刷用紙、50:画像形成装置、51:帯電装置、52:感光ドラム、53:光走査装置、54:現像装置、55:転写装置、56:ウェブ、57:搬送装置、58:搬送装置、59:搬送装置、60:定着装置、61:プレヒータ、62:ヒートローラ、63:バックアップローラ。
特開平2−161410号公報 特開2003−5111号公報 特開平7−128604号公報 特開平7−287181号公報 特開平5−341215号公報 特開2000−206432号公報 特開2006−171433号公報 特開平6−250105号公報 特開平11−223783号公報 特開2000−292719号公報 K.Kataoka:Analysis of banding problem in multiple beam scanning system of laser printer. Optical Review. Vol.15、No.4、 P196-P203、2008

Claims (18)

  1. 複数の発光点を有する光源と、その光源から出射された複数の光束を光偏向素子に導く光偏向素子前光学系と、前記光束を偏向走査する光偏向素子と、その光偏向素子によって偏向走査された複数の光束を被走査面上に走査結像させる走査光学素子を有し、
    前記複数の光束は前記光偏向素子前光学系により前記光偏向素子の偏向面近傍で走査垂直方向に線状に結像され、その線状に結像した光束はその後、前記走査光学素子により前記被走査面上に走査方向及び走査垂直方向で結像される光走査装置において、
    前記走査光学素子は、前記光束が偏向走査される平面に垂直な方向に対して負の屈折力を有する樹脂製のレンズと、前記光束が偏向走査される平面に垂直な方向に対して正の屈折力を有し、ガラス材からなるトーリックレンズ及びシリンダレンズを含み、
    基準環境温度における前記走査光学素子の走査画角0度の走査垂直方向倍率に対する、任意の環境温度及び任意の走査画角における走査垂直方向倍率の変化率を走査垂直方向倍率比変化率とするとき、
    環境温度の上昇に伴う前記走査光学素子の屈折力変化に対応して前記走査光学素子の前記走査垂直方向倍率比変化率が変化する方向と、前記光源の波長伸長に伴う前記走査光学素子の屈折力変化に対応して前記走査光学素子の走査垂直方向の前記走査垂直方向倍率比変化率が変化する方向とが逆向きの関係にあることを特徴とする光走査装置。
  2. 請求項1記載の光走査装置において、前記光源は、複数の発光点が等間隔に1次元に配列されたアレイ光源であることを特徴とする光走査装置。
  3. 請求項2記載の光走査装置において、前記アレイ光源は半導体レーザアレイであることを特徴とする光走査装置。
  4. 請求項1記載の光走査装置において、前記光源は、複数の発光点が等間隔に1次元に配列された発光点列を等間隔に複数列配置した2次元アレイ光源であることを特徴とする光走査装置。
  5. 請求項4記載の光走査装置において、前記2次元アレイ光源は面発光レーザアレイであることを特徴とする光走査装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項記載の光走査装置において、前記環境温度上昇に伴う前記走査光学素子の屈折力変化に対応して前記被走査面に走査結像された光束の走査垂直方向の焦点位置が変位する方向と、前記光源の波長伸長に伴う前記走査光学素子の屈折力変化に対応して前記被走査面に走査結像された光束の走査垂直方向の焦点位置が変位する方向とが逆向きの関係にあることを特徴とする光走査装置。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項記載の光走査装置において、前記走査光学素子を構成するレンズのうち前記樹脂製レンズは、最も前記被走査面に近い位置に配置されていることを特徴とする光走査装置。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項記載の光走査装置において、前記樹脂製レンズの少なくとも1つのレンズ面は、前記偏向走査方向に非対称に変化する面形状であることを特徴とする光走査装置。
  9. 請求項記載の光走査装置において、光源波長をλ、被走査面における走査垂直方向の結像スポット径で中心光強度の1/e2の半幅をω0とし、前記トーリックレンズの走査垂直方向の屈折力の個体内偏差をδTor副とするとき、δTor副=±0.05[%]の場合における前記被走査面に走査結像された光束の走査垂直方向の焦点位置ずれΔZ副が、|ΔZ副|<0.187{(π×ω02)/λ}を満足していることを特徴とする光走査装置。
  10. 請求項記載の光走査装置において、前記δTor副は、前記トーリックレンズの走査垂直方向の曲率半径偏差に起因するものであることを特徴とする光走査装置。
  11. 請求項に記載の光走査装置において、前記トーリックレンズの走査垂直方向の屈折力の個体内偏差をδTor副とするとき、δTor副=±0.05[%]の場合における前記被走査面に走査結像された光束の走査垂直方向の焦点位置ずれΔZ副が、|ΔZ副|<0.8を満足していることを特徴とする光走査装置。
  12. 請求項11記載の光走査装置において、前記δTor副は、前記トーリックレンズの走査垂直方向の曲率半径偏差に起因するものであることを特徴とする光走査装置。
  13. 請求項9ないし12のいずれか1項記載の光走査装置において、前記偏向走査された複数の光束が前記トーリックレンズを走査方向に通過する領域の幅dは、d>80[mm]を満足していることを特徴とする光走査装置。
  14. 請求項1ないし13のいずれか1項記載の光走査装置において、光源波長λはλ≧600[nm]を満足していることを特徴とする光走査装置。
  15. 請求項1ないし14のいずれか1項記載の光走査装置において、その光走査装置は、当該光走査装置の使用環境温度範囲内において、数式3及び数式4を満足する構成を有していることを特徴とする光走査装置。
    但し、
    ただし、式中の
    m:被走査面に走査結像される光束の本数、
    LPI[lines/inch]:被走査面上に形成される走査線の走査垂直方向の解像度、
    pitch[mm]:被走査面上に形成される走査線の正規の隣接走査線間隔、
    L0[mm]:走査垂直方向において、複数の光束の中心線と最も外側の光束の主光線が被走査面手前の空間で交差する点から被走査面までの距離、
    φ[deg]:走査垂直方向において、複数の光束の中心線と最も外側の光束の主光線が被走査面手前の空間でなす角度、
    R0[mm]:被走査面の曲率半径、
    ξ[deg]:走査垂直方向において、被走査面の法線と複数の光束の中心線がなす角度、
    P+:走査垂直方向において、複数光束の中心線と被走査面との交点を点C、被走査面を走査結像する複数光束のうち、最も外側の光束の主光線と被走査面との交点を点Dとし、更に点Dは、最も外側の光束の主光線と被走査面の法線となす角度が小さい方を点D+とするとき、円弧CD+の長さ、
    P−:走査垂直方向において、複数光束の中心線と被走査面との交点を点C、被走査面を走査結像する複数光束のうち、最も外側の光束の主光線と被走査面との交点を点Dとし、更に点Dは、最も外側の光束の主光線と被走査面の法線となす角度が大きい方を点D−とするとき、円弧CD−の長さ、
    yP+:被走査面の曲率中心を原点とし、被走査面の法線方向をy軸、被走査面の法線に対して垂直方向をx軸に右手系のxy座標系をとるとき、点D+のy座標、
    yP−:被走査面の曲率中心を原点とし、被走査面の法線方向をy軸、被走査面の法線に対して垂直方向をx軸に右手系のxy座標系をとるとき、点D−のy座標。
  16. 請求項15記載の光走査装置において、前記光走査装置の使用環境温度範囲は、基準温度からの変化量ΔTがΔT=±15[K]の場合であることを特徴とする光走査装置。
  17. 請求項15または16記載の光走査装置において、前記被走査面上を走査結像する複数の光束の本数mは3以上であることを特徴とする光走査装置。
  18. 感光体と、その感光体の表面を帯電する帯電装置と、帯電した感光体表面に光を照射して静電潜像を形成する光走査装置と、前記静電潜像にトナーを付着してトナー像を形成する現像装置と、感光体上のトナー像を記録媒体上に転写する転写装置と、記録媒体上のトナー像を定着する定着装置を備えた画像形成装置において、
    前記光走査装置が請求項1ないし17のいずれか1項記載の光走査装置であることを特徴とする画像形成装置
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