JP2015128625A - 局所陰圧閉鎖療法を使用して腹部開放創を管理するためのシステムおよび方法 - Google Patents

Abstract

【課題】陰圧を用いて腹部創傷または切開部を治療する改良された方法を提供する。
【解決手段】陰圧を使用した創傷の治療を対象とし、その実施形態は、フォームパッド１０３を提供し、このフォームパッドは、腹部創傷部位１１０での使用に適してよく、寸法と無関係な形で、ある大きさに設定されうる。追加の実施形態は、創傷接触層１０５、ならびに腹部創傷の治療のためのシステムを提供する。
【選択図】図１

Description

本発明の実施形態は、一般に、局所陰圧閉鎖療法を使用した創傷の治療に関し、より詳細には、改良された装置および腹部開放創を管理するその方法に関する。

創傷が大きすぎて自然に閉鎖できないまたは治癒できない場合に創傷の部位に陰圧を印加することによる開放創または慢性創傷の治療は、当技術分野でよく知られている。当技術分野で知られている局所陰圧閉鎖治療システムは、通例、液体不透過性であるカバーを創傷の上に設置し、種々の機構を使用してカバーを、創傷を取り囲む患者の組織に封止し、カバーに負圧源（真空ポンプなど）を接続し、それによって、カバーの下の創傷の領域に陰圧の領域が作り出されることを含む。

米国特許第７，５２４，３１５号明細書

本明細書で開示される本発明の実施形態は、減圧機器および減圧機器を使用する治療の方法を対象とし、減圧を使用した創傷の治療に有用でありうる。

本発明の特定の実施形態は、陰圧を用いて腹部創傷または切開部を治療する改良された方法を対象とする。たとえば、単なる例示的な目的で、いくつかの実施形態では、創傷部位に合わせてパッドを所望の大きさに設定できる分離可能な区画を有する多孔質パッドを用いる。フォームパッドの大きさの設定は、いくつかの実施形態では、たとえば、幅および／または長さを互いに独立して変更できるように、寸法と無関係な形で実行されうる。
他の実施形態は、創傷部位と接触して設置されるべき創傷接触層も提供し、この創傷接触層は、好ましくは、創傷部位への付着を最小限とするかまたはこれに付着せず、創傷滲出液または流体の除去および創傷部位への陰圧の印加のためにスリットまたはその他の開口を備える。

特定の実施形態は、創傷の上に設置された創傷接触層と、大きさが設定され、創傷接触層の上に位置付けられるように構成された多孔質パッドと、創傷の上に設置され、かつ創傷を取り囲む皮膚に封止されるように構成された可撓性ドレープと、を備えており、可撓性ドレープ内のアパーチャを通してならびに多孔質パッドおよび創傷接触層を通して創傷に陰圧を供給するように構成された導管をさらに備える陰圧治療システムを提供する。

好ましい一実施形態では、陰圧を用いた創傷の治療のための多孔質パッドが提供され、この多孔質パッドは、創傷部位から負圧源に創傷滲出液を流すのに適した多孔質材料からなる。この多孔質パッドは、好ましくは、その幅および長さより少ない厚さを有する略平坦な形状を備え、好ましくは、パッドの厚さの少なくとも一部分を貫通する少なくとも１つの切れ目を備え、それによって、この切れ目は、パッドの大きさ（たとえば、その長さおよび／または幅）の変更を可能にするように、パッドの残りの部分から分離可能なパッド区画を画定する。特定の実施形態では、この切れ目は、弧状および／または楕円形の切れ目からなってよく、追加の内側の切れ目と外側の切れ目とをさらに備えることができる。他の実施形態では、追加の中間の切れ目も存在することができる。

別の好ましい実施形態では、創傷部位の治療のためのシステムは、創傷滲出液を流し、かつ陰圧を分布させるための開口が設けられた創傷接触層と、創傷部位に陰圧を伝達するのに適し、分離可能なパッドを画定するようにパッドの厚さの一部分を貫通する少なくとも１つの切れ目を備える略平坦な多孔質パッドと、可撓性ドレープと、導管と、導管を介して創傷部位に陰圧を供給するように構成された負圧源と、を備える。

さらに別の好ましい実施形態では、陰圧を使用して創傷部位を治療する方法は、この創傷部位上に創傷接触層を設置する段階と、この創傷接触層の上に多孔質パッドを設置する段階であって、この多孔質パッドは、創傷部位内に収まるために寸法と無関係な形でパッドの大きさを設定できるようにパッドの一部分の取り外しを可能にするように穿孔される、段階と、創傷の上に位置付けられ、かつ創傷を取り囲む皮膚に封止するように構成された可撓性ドレープを用いて創傷部位を封止する段階と、創傷部位に負圧源を接続する段階と、創傷部位が適切に治癒するまで、陰圧の印加が維持される段階と、を含むことができる。

腹部創傷の治療のためのシステムの概略図である。 創傷の治療に使用可能な多孔質パッドの一実施形態の斜視図である。 同じ多孔質パッドの上面図である。 同じ多孔質パッドの側面図である。 同じ多孔質パッドの側面図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。 創傷接触層の異なる実施形態の図である。

本明細書で開示される好ましい実施形態は、ヒトまたは動物の身体のための創傷治療法に関する。したがって、本明細書において創傷に言及した場合は、ヒトまたは動物の身体上の創傷を指すことができ、本明細書において身体に言及した場合は、ヒトまたは動物の身体を指すことができる。本明細書で使用される「創傷」という用語は、その通常の広い意味を有することに加えて、減圧を使用して治療されうる患者の身体のいかなる部分も含む。創傷および／または創傷部位としては、開放創、褥瘡、潰瘍、および熱傷があるが、これらに限定されない。開放創および／または創傷部位としては、切開部（たとえば、腹部切開部）もしくは他の開口、裂傷、またはたとえば腹腔もしくは腹膜腔内の瘻孔もありうる。このような創傷の治療は、局所陰圧閉鎖療法を使用して実行可能であり、減圧または陰圧は、創傷の治癒を容易にして促進するために創傷に印加されうる。本明細書で開示される陰圧システムおよび方法は、身体の他の部分に適用されてよく、必ずしも創傷の治療に限定されないことも理解されるであろう。

図１を参照すると、特定の実施形態における陰圧を用いた創傷の治療では、本明細書で概略的に説明する陰圧治療システム１０１を使用する。この実施形態では、本明細書では腹部創傷部位として示された創傷部位１１０は、陰圧を用いた治療から利益を得ることができる。このような腹部創傷部位は、たとえば事故の結果であり、または外科的介入によるものでありうる。場合によっては、腹部コンパートメント症候群、腹腔内高血圧（ａｂｄｏｍｉｎａｌ ｈｙｐｅｒｔｅｎｓｉｏｎ）、敗血症、または流体浮腫（ｆｌｕｉｄ ｅｄｅｍａ）などの医学的状態では、腹膜腔を露出させるために腹壁の外科的切開を用いた腹部の減圧を必要とすることがあり、その後、この状態が回復するまで、開口が、開放されたアクセス可能な状態に維持される必要があることがある。他の状態でも、たとえば複数の外科的処置が（場合によっては、外傷に付随して）必要とされる場合、または腹膜炎もしくは壊死性筋膜炎などの臨床状態の証拠がある場合に、開口、特に腹腔内の開口が開放されたままであることを必要とする場合がある。

創傷が、特に腹部にある場合、創傷が開放されたままであろうと閉鎖されようと、臓器および腹膜腔の露出に関連する考えられうる合併症の管理が求められる。治療法は、好ましくは陰圧の印加を使用するものであり、組織の生存可能性および創傷部位からの有害な物質の除去を促進しながら、感染症のリスクを最小限にすることを対象とされうる。創傷部位に減圧または陰圧を印加することによって、一般に、より早期の治癒、血流の増加、細菌が与える創部への負担（ｂａｃｔｅｒｉａｌ ｂｕｒｄｅｎ）の減少、肉芽組織形成速度の増加が促進され、とりわけ、線維芽細胞の増殖が刺激され、内皮細胞の増殖が刺激され、慢性の開放創が閉鎖し、熱傷の重症度の移行（ｂｕｒｎ ｐｅｎｅｔｒａｔｉｏｎ）が阻止され、かつ／または弁（ｆｌａｐ）およびグラフトの付着がより良好になることが判明している。また、陰圧の印加による治療が奏効した創傷としては、感染した開放創、褥瘡性潰瘍、切開部の裂開、中間層熱傷、および弁またはグラフトが付着されている種々の病変があることも報告されている。したがって、創傷部位１１０への陰圧の印加は、患者に有益でありうる。

したがって、特定の実施形態は、創傷部位１１０の上に設置される創傷接触層１０５を提供する。好ましくは、創傷接触層１０５は、創傷部位または近傍の露出した内臓に付着しない薄い可撓性材料とすることができる。たとえば、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、またはこれらのブレンドなどのポリマーが使用されうる。一実施形態では、創傷接触層は透過性である。たとえば、創傷接触層１０５には、創傷部位１１０からの流体の除去または創傷部位１１０への陰圧の伝達を可能にするために、穴、スリット、またはチャネルなどの開口が設けられうる。創傷接触層１０５の追加の実施形態については、以下でさらに詳細に説明する。

陰圧治療システム１０１の特定の実施形態は多孔質パッド１０３も使用でき、多孔質パッド１０３は、創傷接触層１０５の上に配されうる。このパッド１０３は、柔軟で弾性的に可撓性であり、一般に創傷部位１１０に適合した多孔質材料、たとえばフォームから構築されうる。このようなフォームとしては、たとえばポリマーから作製される連続気泡網状フォームがありうる。適切なフォームとしては、たとえば、ポリウレタン、シリコーン、およびポリビニルアルコールから構成されるフォームがある。好ましくは、このパッド１０３は、陰圧が創傷に印加されるとき、それ自体を通して創傷滲出液およびその他の流体を流すことができる。いくつかのパッド１０３は、このような目的のための予備成形されたチャネルまたは開口を含むことができる。特定の実施形態では、パッド１０３は、約１インチから約２インチの間（たとえば、１インチから２インチの間）の厚さを有することができる。このパッドは、約１６から１７インチの間（たとえば、１６から１７インチの間）の長さおよび約１１から１２インチの間（たとえば、１１から１２インチの間）の幅も有することができる。他の実施形態では、厚さ、幅、および／または長さは、他の適切な値を有することができる。パッド１０３の他の態様については、以下でさらに詳細に説明する。

好ましくは、ドレープ１０７は、創傷部位１１０を封止するために使用される。ドレープ１０７は、少なくとも部分的な陰圧が創傷部位で維持されうるように、少なくとも部分的に液体不透過性とすることができる。ドレープ１０７に適した材料としては、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリアミド、ポリエステル、ならびにその他のコポリマーおよびこれらの混合物を含む、水溶性の流体をあまり吸収しない合成ポリマー材料があるが、これらに限定されない。ドレープで使用される材料は、疎水性であってもよいし、親水性であってもよい。適切な材料の例としては、ＤｅＲｏｙａｌから入手可能なＴｒａｎｓｅａｌ（登録商標）およびＳｍｉｔｈ ＆ Ｎｅｐｈｅｗから入手可能なＯｐＳｉｔｅ（登録商標）がある。患者が快適であるように支援し、皮膚の浸軟を回避するために、特定の実施形態におけるドレープは、水蒸気がドレッシング材の下に捕捉されたままではなく通過できるように、少なくとも部分的に通気性である。ドレープ１０７の下面の少なくとも一部分には、患者の皮膚にドレープを固定するために、接着層が設けられうるが、特定の実施形態では、その代わりに、別個の接着材または接着ストリップを使用することができる。必要に応じて、使用する前に接着層を保護し、ドレープ１０７の取り扱いを容易にするために、剥離層が接着層を覆って配されてもよい。いくつかの実施形態では、剥離層は、複数の区画から構成されうる。

陰圧システム１０１は、負圧源、たとえばポンプ１１４に接続されうる。適切なポンプの一例は、Ｓｍｉｔｈ ＆ Ｎｅｐｈｅｗから入手可能なＲｅｎａｓｙｓ ＥＺポンプである。ドレープ１０７は、導管１１２を介して負圧源１１４に接続されうる。導管１１２は、ドレープ１０７内のアパーチャ１０９の上に位置するポート１１３に接続されてもよいし、導管１１２は、ポートを使用せずにアパーチャ１０９を通って直接接続されてもよい。さらなる代替形態では、導管は、ドレープの下を通過してドレープの片側から延びることができる。特許文献１では、陰圧システムの他の類似の態様が開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、本明細書の一部と考えられるべきである。

多数の適用例では、容器または他の貯蔵ユニット１１５は、創傷部位から除去された創傷滲出液およびその他の流体が負圧源に入らずに貯蔵できるように、負圧源１１４と導管１１２の間に入れられうる。また、特定のタイプの負圧源、たとえば蠕動ポンプは、容器１１５がポンプ１１４の後ろに設置されるのを可能にする。いくつかの実施形態では、流体、エアロゾル、およびその他の汚染微生物が容器１１５から出るかつ／または負圧源１１４に入るのを防ぐために、フィルタを使用することもできる。他の実施形態では、溢流を防ぐために、遮断弁または疎水性および／もしくは疎油性の遮蔽フィルタも容器に含むことができる。他の実施形態では、容器内の流体の水位が容量に近づいた場合に負圧源を停止または遮断するように作用する容量型センサまたはその他の液面検出器などの検知手段を含むことができる。ポンプが排出するとき、活性炭キャニスタなどの臭気フィルタを備えることが好ましい場合がある。

図２および３を参照すると、多孔質パッド１０３の一実施形態の斜視図および上面図が示されている。パッド１０３は、好ましくは、パッド１０３上に作製された１つまたは複数の穿孔を有しており、該穿孔は、たとえば弧状の切れ目２０２、２０４、２０８、および２１０で示される。これらの切れ目は、たとえば切断用ブレード、ダイカッティング、または熱線切断を含むがこれらに限定されない任意の適切な機構を使用して、パッド１０３上に形成可能であり、これらの切れ目は、好ましくは、パッド１０３の厚さの少なくとも一部分を貫通する。切れ目は、連続的である必要はなく、たとえば、複数の小さな穿孔からなってもよい。一実施形態では、穿孔は、パッド１０３の厚さ全体にわたって延びる。取り扱い中および使用中にパッド１０３が構造的に完全なままであることを確実にするために、パッド１０３を通って作製された切れ目は、好ましくは、ブリッジ部分２０６などの１つまたは複数の小さなブリッジ部分を保持する。

一実施形態では、パッド１０３は、長軸Ｘ、短軸Ｙ、および縦軸Ｚのまわりに定義された長さＬ、幅Ｗ、および厚さＴを有する略矩形形状を有し、４つの丸い隅部を有する。第１の連の弧状の外側の切れ目２０２は、楕円形形状をなしてパッドに形成されうる。図示の実施形態では、軸ＸおよびＹによって定義される象限の１つにそれぞれ位置付けられた、４つの外側の切れ目２０２ａ、２０２ｂ、２０２ｃ、および２０２ｄがあり、４つのブリッジ部分２０６は、長軸および短軸に沿って両端に位置付けられる。外側の切れ目２０２の内側には、一連の弧状の外側の切れ目２０２に類似した形状である楕円形形状を同様に有する一連の弧状の内側の切れ目２１０がある。図示のように、一実施形態では、同様に軸ＸおよびＹによって定義された象限の１つにそれぞれ位置付けられた４つの内側の切れ目２１０ａ、２１０ｂ、２１０ｃ、２１０ｄがあり、４つのブリッジ部分２２２は、長軸および短軸に沿って両端に位置付けられる。

外側の切れ目２０２と内側の切れ目２１０の間に位置するのは、一連の中間の切れ目２０４および２０８である。図３の上面図の観点から、上部の弧状の切れ目２０４ａと下部の弧状の切れ目２０４ｂは、パッド１０３の両端にある短軸Ｙのまわりに対称的に配置される。切れ目２０４ａおよび２０４ｂは、パッドの幅Ｗのほぼ全体にわたって、長軸Ｘのまわりに対称的に延び、これらの切れ目２０４ａ、２０４ｂは、長軸Ｘ近くの弧状の切れ目２０２の曲率半径より大きな曲率半径を有する。左および右の弧状の切れ目２０８は、弧状の切れ目２０４ａと２０４ｂの間に設けられ、パッドの全体にわたって略長手方向に延びる。図示のように、それらを取り囲む弧状の切れ目２０２、２１０の一部分とそれぞれ略平行に延びる４つの弧状の切れ目２０８ａ、２０８ｂ、２０８ｃ、２０８ｄがあってよく、ブリッジ部分２２０は短軸Ｙ上に位置する。切れ目の形状および数は変化してもよく、内側の切れ目２１０と外側の切れ目２０２の間に複数の連の中間の切れ目があってよいことが理解されるであろう。

有利には、パッド１０３上に作製された切れ目は、パッド１０３が設置されるべき創傷部位に合わせてパッド１０３の大きさを選択的に設定するために使用されうる。たとえば、パッド１０３は、パッド１０３から分離可能な区画、たとえば、外側の切れ目２０２を取り囲む外側の区画２１８、外側の切れ目２０２と中間の切れ目２０４ａおよび２０４ｂの間にある内側の区画２１２ａ、２１２ｂ、ならびに外側の切れ目２０２と中間の切れ目２０８の間の内側の区画２１４ａ、２１４ｂを取り外すことによって大きさを設定されうる。切れ目２０２、２０４、２０８、および２１０と異なる追加の切れ目がパッド１０３上に作製されてよいが、これらの切れ目は、寸法と無関係な形でパッドの大きさを設定するために使用可能な切れ目のタイプおよび場所の例を表す。パッド１０３上に作製されうる切れ目のタイプとしては、たとえば、弧状、円形、卵形、ジグザグ、および／または線状の切れ目がある。さらに、本明細書で示されている切れ目は、パッドの長さＬおよび幅Ｗに沿っているが、類似の切れ目がパッド１０３の厚さＴに沿って作製可能であり、したがって、より薄いパッドが創傷部位で使用されうる。切れ目は、Ｘ軸、Ｙ軸、またはＺ軸のいずれとも位置合わせされない角度で、たとえばパッド１０３を対角線状に横切って作製されてもよい。

使用に際して、パッド１０３が創傷部位１１０に大きすぎることがあり、パッド１０３の縁部およびその上に作製された切れ目２０２によって囲まれた分離可能な領域２１８を取り外すことによって大きさを設定する必要がある場合がある。小さな創傷の場合、分離可能な領域２１６および２１７のみを残すように、分離可能な領域２１２ａ、２１２ｂ、２１４ａ、および２１４ｂはすべて取り外されてよい。さらに小さな創傷では、中央の分離可能な領域２１６のみを残すように、パッド１０３の残りの部分が取り外されてよい。
典型的には、このような大きさの設定は、手動で、たとえばハサミを使用して実行できるが、このような方法では、忙しい手術室では切断器具の操作が困難である、切れ目が凸凹で不正確である、および異物粒子が落ちて創傷部位に入る可能性があるなどの付随する欠点が生じる。その代わりに、パッド１０３上にあらかじめ作製された切れ目は、手で、または種々のブリッジ部分２０６、２２０、２２２に沿って最小限切断することによって分離可能である。

図２〜３を引き続き参照すると、特定の実施形態では、寸法と無関係な形でパッド１０３の大きさを設定することが可能である。本明細書では、パッド１０３の区画は、種々の切れ目、たとえば区画２１２ａ、２１２ｂと２１４ａ、２１４ｂの境界線（ｄｅｌｉｎｅａｔｉｏｎ）に沿って分離または切断されうる。これらの切れ目２０４および２０８によって、パッド１０３の大きさは、必要に応じて、創傷部位の実際の寸法によりぴったり合わせて設定することができる。たとえば、左側が広く右側が狭い創傷に収まるパッド１０３の大きさの設定は、切れ目２０８ａ、２０８ｂと２０２ａ、２０２ｂの間に境界線が示されたパッド区画２１４ａを取り外すことによって、達成されうる。別の例では、パッド１０３の上部部分が創傷部位１１０より長い場合、切れ目２０２ａ、２０２ｂ、および２０４ａの間に境界線が示されたパッド区画２１２ａは、パッド１０３の一端から取り外されうる。これらの前述の例では、外側の分離可能な部分２１８は、すでに取り外されていることが好ましいが、これは必ずしも必要ではない。したがって、寸法と無関係にパッド１０３の大きさを設定すること（たとえば、パッドの幅を変えずにパッドの長さを変更すること、およびパッドの長さを変えずにパッドの幅を変更すること）は、切れ目２０４または２０８によって境界線が示された区画２１２、２１４を分離することによって達成されうる。寸法と無関係にパッド１０３の大きさを設定することを可能にするように追加の切れ目によって囲まれた追加の分離可能な区画が企図されており、本明細書において示される実施形態は限定的であることを意図したものではない。言うまでもなく、より小さな創傷部位では、パッド１０３の対称的な区画の取り外しが依然として有用であることがあり、パッド１０３の実施形態は、本明細書では区画２１８、２１７、２１６として示される、このような区画を備えることができる。たとえば、切れ目２０２に沿ったパッド１０３の外側の区画２１８の取り外しが必要とされる場合がある。同様に、より小さな切開部では、切れ目２１０の内側に境界線が示された区画２１６のみが必要とされる場合がある。

図６〜５６は、創傷接触層１０５のいくつかの異なる実施形態および図を示す。前述のように、このような創傷接触層１０５は、好ましくは創傷部位への付着が最小限となるように、より好ましくは創傷部位に付着しないように、設計および構築される。腹部創傷の場合、創傷接触層１０５は、好ましくは、露出した内部器官およびその他の臓器への付着が最小限となるかまたはこれらに付着しない。創傷接触層１０５は、より好ましくは、可撓性材料、たとえばポリウレタン（Ｅｌａｓｔｏｌｌａｎ（登録商標）を含む）、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、またはこれらのブレンドなどのポリマーから構築される。

創傷接触層１０５は、好ましくは、フォームパッド１０３より大きい。なぜなら、使用時に、創傷接触層１０５が創傷部位を包んで挟み込むことができるからである。たとえば、腹部創傷での使用時に、創傷接触層１０５は、好ましくは、腹腔の腸の間に挿入される。好ましくは、創傷接触層１０５は、パッド１０３が腹部内臓およびその他の内部器官と接触するのを防ぐように配置されるが、腹部切開部の縁との接触は許容されうる。

上述のシステムを使用した治療の間、創傷接触層１０５は、好ましくは、透過性であり、創傷接触層１０５には、たとえば穴、スリット、またはチャネルなどの開口が設けられる。これらの開口が、生成されうるしばしば大量の滲出液およびその他の流体を流すために使用されうる場合、これらの開口は、腹部コンパートメント症候群の治療に特に有用でありうる。創傷部位からの滲出液およびその他の流体の除去の支援に加えて、開口は、創傷部位への陰圧の伝達および分布に有用である。好ましくは、開口は、組織の内方生長（ｉｎｇｒｏｗｔｈ）を防ぐのに十分なほど小さいが、閉塞を防ぐのに十分なほど大きい。
加えて、創傷接触層１０５のいくつかの実施形態には、微細穿孔が形成された（ｍｉｃｒｏｐｅｒｆｏｒａｔｅｄ）創傷接触層が設けられうる。創傷接触層１０５（たとえば、図６、１１、１６、２１、２６、３２、３７、４２、４７、５２に示されるような）の異なる実施形態は、生産の容易さなどの製造時の利点を与えることもできる。創傷接触層１０５の製造は、たとえばダイナイフもしくは打ち抜きナイフ（ｄｉｅ−ｃｕｔｔｉｎｇ ｋｎｉｆｅ）、回転式穿孔機、ウォータジェット、レーザ切断、または超音波による、スリットまたは穴の切削を必要とすることができる。

陰圧を用いた創傷の治療は、一般に、医学的に許容できるやり方で創傷が洗浄され、場合によっては何らかの種類の創傷充填材料（ｗｏｕｎｄ ｐａｃｋｉｎｇ ｍａｔｅｒｉａｌ）（フォームなど）で充填され、ドレープを用いて封止され、負圧源に接続されることを必要とする。内部器官、血管、および神経を露出させた創傷の治療、特に腹腔内それらのものを露出させた創傷の治療では、特に考慮が必要とされることがある。第１に、フォームまたはガーゼなどの典型的な創傷充填材料が腸または胃などの腹部内臓に付着することが好ましくない場合があるので、これらの材料は、望ましくは、内臓と直接接触して設置されないことが可能である。その代わりに、付着しないまたは付着が最小限となる上述の創傷接触層１０５は、好ましくは、腹腔または創傷部位１１０内に設置される。この創傷接触層１０５は、好ましくは、（必要な場合）大きさに合わせて切断され、内臓と腹部筋膜の間に挟み込まれ、腹部内容物のいずれかを閉じ込めることを回避するように、過剰な材料はそれ自体の上にたたみ込まれる。その後、フォームパッド１０３は、上述のように大きさが設定された後で、創傷接触層の上に、好ましくは創傷部位１１０の中央に設置される。ドレープ１０７は、同様に上述のように、（必要な場合）大きさに合わせて切断され、好ましくは、創傷部位１１０を取り囲む健康な皮膚の少なくとも一部分の上に重なるように設置される。場合によっては、１つのドレープ１０７では不十分な場合、追加のドレープが設けられてよい。これらは、好ましくは、確実な封止を行うことができるように少なくとも部分的に重ねられる。好ましくは、ドレープ１０７には、その下面に、支持層（ｂａｃｋｉｎｇ ｌａｙｅｒ）によって保護されうる接着層が設けられる。このような支持層は、好ましくは、創傷部位を取り囲む皮膚ならびにフォームパッド１０３にドレープ１０７を付着させることができるように、使用する前に除去される。次に、アパーチャ１０９は、ドレープ１０７を通して作製できるが、いくつかの実施形態は、あらかじめ作製された１つまたは複数のアパーチャ１０９を有するドレープ１０７を備えることができる。次に、負圧源に接続された導管１１２は、アパーチャ１０９に、またはいくつかの実施形態ではドレープ１０７の片側の下に接続でき、したがって、創傷部位１１０と負圧源の間の流体接続が生成される。この流体接続によって、治療による創傷部位１１０への陰圧の印加が可能になり、創傷部位１１０が所望の治癒レベルに達するまで、または別の外科的介入が必要とされるまで、必要に応じて印加されうる。

もちろん、前述の説明は、本発明の特定の特徴、態様、および利点の説明であり、これらに対して、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、種々の変更および修正を加えることが可能である。さらに、本明細書で開示される陰圧治療システムは、上述の目的、利点、特徴、および態様のすべてを特徴とすることが必要とされるわけではない。本発明は、本明細書において教示される１つの利点または一連の利点を、本明細書において教示または示唆されうる他の目的または利点を必ずしも達成することなく達成または最適化するような方法で実施または実行されうることが当業者には理解されよう。たとえば、いくつかの実施形態では、パッド１０３は、創傷接触層１０５および／またはドレープ１０７なしで使用されうる。さらに、本発明のいくつかの変形形態を図示し詳細に説明してきたが、本発明の範囲に含まれる他の修正形態および使用方法は、本開示に基づいて当業者には容易に明らかとなろう。実施形態のこれらの具体的な特徴および態様の種々の組み合わせまたは副組み合わせが可能であり、依然として本発明の範囲に含まれうることが企図されている。したがって、開示された実施形態の種々の特徴および態様は、説明した陰圧治療システムのさまざまなモードを形成するために互いに組み合わせたり置き換えたりすることが可能であることを理解されたい。

１０１ 陰圧治療システム
１０３ 多孔質パッド、フォームパッド
１０５ 創傷接触層
１０７ ドレープ
１０９ アパーチャ
１１０ 創傷部位
１１２ 導管
１１３ ポート
１１４ ポンプ、負圧源
１１５ 貯蔵ユニット、容器
２０２ 切れ目
２０４ 切れ目
２０６ ブリッジ部分
２０８ 切れ目
２１０ 切れ目
２１２ パッド区画、分離可能な領域
２１４ パッド区画
２１６ 分離可能な領域、区画
２１７ 分離可能な領域
２１８ 分離可能な領域、区画、分離可能な部分
２２０ ブリッジ部分
２２２ ブリッジ部分

Claims (17)

1. 陰圧を使用した創傷の治療のための多孔質パッドであって、
   創傷部位から創傷滲出液を流し、前記創傷部位に陰圧を導くのに適した多孔質材料と、
   幅および長さより少ない厚さを有する略平坦な形状と、
   前記パッドの前記厚さの少なくとも一部分を貫通する少なくとも１つの切れ目であって、寸法と無関係な形で前記パッドの大きさを変更し、前記パッドの長さと幅を互いに独立して変更可能することができるように前記パッドから分離可能なパッド区画を画定し、前記パッドの一部分を分離できる、切れ目と、
   を備え、
   少なくとも１つの前記切れ目が、ブリッジ部分によって隣接する切れ目から離隔されているパッド。
2. 前記パッドが連続気泡網状フォームからなる、請求項１に記載のパッド。
3. 前記パッドがポリウレタンフォームからなる、請求項１または２に記載のパッド。
4. 前記パッドが、前記パッド長さに沿って延びる少なくとも２つの弧状の切れ目と、前記パッド幅に沿って延びる少なくとも２つの弧状の切れ目と、を備える、請求項１から３のいずれか一項に記載のパッド。
5. 楕円形形状を有する複数の外側の切れ目と、類似の楕円形形状を有する複数の内側の切れ目とを備える、請求項１から４のいずれかに記載のパッド。
6. 前記外側の切れ目と前記内側の切れ目の間に複数の中間の切れ目をさらに備え、前記中間の切れ目のうちの少なくともいくつかが前記パッド全体に略長手方向に延び、前記中間の切れ目のうちの少なくともいくつかが前記パッド全体にわたって略横方向に延びる、請求項１から５のいずれか一項に記載のパッド。
7. 陰圧を使用した創傷部位の治療のためのシステムであって、
   創傷滲出液を流し、かつ陰圧を分布させるための１つまたは複数の開口が設けられた創傷接触層と、
   創傷部位への陰圧の伝達に適し、その幅および長さより少ない厚さを備える略平坦な多孔質パッドであって、寸法と無関係な形で前記パッドの大きさを設定し、前記パッドの前記長さと前記幅を互いに独立して変更することができるようにする目的で前記パッドから分離可能なパッド区画を画定するために前記パッドの前記厚さの少なくとも一部分を貫通する少なくとも１つの切れ目をさらに備える、略平坦な多孔質パッドと、
   前記多孔質パッドの上に設置されるように構成された可撓性ドレープと、
   負圧源と、
   前記源から前記可撓性ドレープに陰圧を伝達するように構成された導管と、
   を備え、
   少なくとも１つの前記切れ目が、ブリッジ部分によって隣接する切れ目から離隔されているシステム。
8. 前記創傷接触層が、前記創傷部位への付着が最小限となる材料から構築される、請求項７に記載のシステム。
9. 前記創傷接触層がポリウレタンからなる、請求項７または８に記載のシステム。
10. 前記多孔質パッドが、前記パッド長さに沿って延びる少なくとも２つの弧状の切れ目と、前記パッド幅に沿って延びる少なくとも２つの弧状の切れ目とを備える、請求項７から９のいずれか一項に記載のシステム。
11. 前記多孔質パッドが多孔質ポリウレタンフォームからなる、請求項７から１０のいずれか一項に記載のシステム。
12. 前記ドレープおよび前記導管内に形成されたアパーチャに付着可能なポートをさらに備える、請求項７から１１のいずれか一項に記載のシステム。
13. 陰圧を使用して非ヒト動物の創傷部位を治療する方法であって、
    前記創傷部位上に創傷接触層を設置する段階と、
    前記創傷接触層の上に多孔質パッドを設置する段階であって、前記多孔質パッドが、寸法と無関係な形で前記多孔質パッドの一部分の除去を可能にし、前記パッドの長さと幅を互いに独立して変更することができるように配置された複数の切れ目を備え、前記多孔質パッドを設置する段階が、前記創傷部位内に収まるように前記多孔質パッドの大きさを設定するために前記切れ目の少なくとも１つに沿って前記多孔質パッドの一部分を取り外す段階を含む、段階と、
    前記創傷の上に位置付けられ、かつ前記創傷を取り囲む皮膚に封止するように構成された可撓性ドレープを用いて前記創傷部位を封止する段階と、
    前記創傷部位に負圧源を接続する段階であって、前記負圧源が、前記ドレープと前記負圧源の間に流体的に接続された導管を介して接続される、段階と、
    前記創傷部位が所望の治癒レベルに達するまで、前記創傷部位への陰圧の印加が維持される段階と、
    を含み、
    少なくとも１つの前記切れ目が、ブリッジ部分によって隣接する切れ目から離隔されている治療。
14. 前記創傷から除去された創傷滲出液およびその他の流体を容器に貯蔵する段階をさらに含む、請求項１３に記載の方法。
15. 前記ドレープ内のアパーチャに装着されたポートを介して前記ドレープに前記導管を接続する段階をさらに含む、請求項１３または１４に記載の方法。
16. 前記創傷接触層を腹部創傷部位上に設置する段階を含む、請求項１３から１５のいずれか一項に記載の方法。
17. 前記多孔質パッドを設置する段階が、前記多孔質パッド上に楕円形パターンをなして形成された複数の弧状の切れ目のうちの少なくとも１つに沿って前記多孔質パッドの一部分を取り外す段階を含む、請求項１３から１６のいずれか一項に記載の方法。

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