JP2015116935A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】排水性能、雪路性能及び氷路性能をバランスよく向上させる。
【解決手段】トレッド部2に、ショルダー主溝3Aとセンター主溝3Bとミドル横溝4Bとで区分されたミドルブロック6が隔設された空気入りタイヤである。ミドル横溝4Bの平均溝幅W2gは、ミドルブロック6のタイヤ周方向の最大長さLaの7〜11%である。ミドルブロック横縁10は、センター主溝3Bから一方側に傾斜してのびるミドル内側部11、該ミドル内側部11に連なり前記一方側に屈曲するミドル中央部12、及び、該ミドル中央部12に連なり前記一方側に傾斜してショルダー主溝3Aに連なるミドル外側部13からなる。また、ミドル内側縦縁17及びミドル外側縦縁18は、ミドル内側部11とは逆向きで傾斜した複数の周方向片20と、該周方向片20、20間を継ぐ軸方向片21とで凹凸が形成される。
【選択図】図3

Description

本発明は、排水性能の低下を抑制しつつ、雪路性能及び氷路性能をバランスよく向上させた空気入りタイヤに関する。
冬用の空気入りタイヤは、雪路及び氷路のみならず、ウェット路等も走行する。従って、このような冬用の空気入りタイヤには、雪路性能や氷路性能だけでなく、高い排水性能が求められている。
例えば、氷路性能を向上するために、パターン剛性や摩擦力を高めることを目的として、トレッド部の接地面積を大きくすることが提案されている。しかしながら、この手法では、主溝や横溝の溝幅が小さくなるため、排水性能や雪路性能が悪化するという問題があった。このように、氷路性能と排水性能及び雪路性能とは、相反関係を有し、これら全ての性能をバランス良く向上するのは困難であった。関連する技術として次のものがある。
特開2008−308010号公報
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、ミドル横溝の平均溝幅を規定するとともに、ミドルブロックのタイヤ周方向の両側でタイヤ軸方向にのびる端縁と、ミドルブロックのタイヤ軸方向両側の端縁との形状を特定することを基本として排水性能の低下を抑制しつつ、雪路性能及び氷路性能をバランスよく向上させた空気入りタイヤを提供することを主たる目的としている。
本発明のうち請求項1記載の発明は、トレッド部に、最も接地端側をタイヤ周方向に連続してのびる一対のショルダー主溝と、該ショルダー主溝のタイヤ軸方向内側をタイヤ周方向に連続してのびる一対のセンター主溝と、前記ショルダー主溝と前記センター主溝との間をのびるミドル横溝とが設けられることにより、前記ショルダー主溝と前記センター主溝と前記ミドル横溝とで区分されたミドルブロックがタイヤ周方向に隔設されたミドルブロック列を具えた空気入りタイヤであって、前記ミドル横溝の平均溝幅は、前記ミドルブロックのタイヤ周方向の最大長さの7〜11%であり、前記ミドルブロックのタイヤ周方向の両側でタイヤ軸方向にのびる端縁であるミドルブロック横縁は、前記センター主溝からタイヤ軸方向に対して3〜15°の角度でタイヤ周方向の一方側に傾斜してのびるミドル内側部、該ミドル内側部に連なりタイヤ周方向の前記一方側に屈曲しかつ前記ミドル横溝の平均溝幅の75〜100%のタイヤ周方向の長さを有するミドル中央部、及び、該ミドル中央部に連なりタイヤ軸方向に対して3〜15°の角度でタイヤ周方向の前記一方側に傾斜して前記ショルダー主溝に連なるミドル外側部からなり、前記ミドルブロックのタイヤ赤道側をタイヤ周方向にのびる端縁であるミドル内側縦縁及び前記ミドルブロックの接地端側をタイヤ周方向にのびる端縁であるミドル外側縦縁は、夫々、前記ミドル内側部とは逆向きかつタイヤ周方向に対して3〜15°の角度で傾斜した複数の周方向片と、該周方向片間を継ぐ複数の軸方向片とで凹凸が形成されることを特徴とする。
また請求項2記載の発明は、前記ミドルブロックは、一端が前記センター主溝で開口しかつ他端が前記ショルダー主溝に達することなく終端するセミオープンタイプの第1サイピングと、一端が前記ショルダー主溝で開口しかつ他端が前記センター主溝に達することなく終端するセミオープンタイプの第2サイピングとがタイヤ周方向に交互に配される請求項1記載の空気入りタイヤである。
また請求項3記載の発明は、前記ミドル内側部に沿った前記ミドルブロック横縁の長さLbと、前記ミドル内側部と直角方向の前記ミドル内側縦縁の長さLcとの比(Lc/Lb)は、0.9〜1.1である請求項1又は2記載の空気入りタイヤである。
また請求項4記載の発明は、前記軸方向片は、前記周方向片のタイヤ周方向の一方の端部から前記周方向片と同じ向きに傾斜する第1片部と、前記周方向片のタイヤ周方向の一方の端部から前記周方向片とは逆向きに傾斜する第2片部とからなる請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
本発明の空気入りタイヤでは、トレッド部に、最も接地端側をタイヤ周方向に連続してのびる一対のショルダー主溝と、該ショルダー主溝のタイヤ軸方向内側をタイヤ周方向に連続してのびる一対のセンター主溝と、ショルダー主溝とセンター主溝との間をのびるミドル横溝とが設けられることにより、ショルダー主溝とセンター主溝とミドル横溝とで区分されたミドルブロックがタイヤ周方向に隔設されたミドルブロック列を具える。
そして、ミドル横溝は、その平均溝幅が、ミドルブロックのタイヤ周方向の最大長さの7〜11%に規定される。これにより、ミドルブロックのタイヤ周方向の剛性とミドル横溝の排水抵抗及び溝容積とがバランスよく高められる。従って、氷路での制動力や雪柱せん断力が発揮され、氷路性能、雪路性能及び排水性能が向上する。
また、ミドルブロックのタイヤ周方向の両側でタイヤ軸方向にのびる端縁であるミドルブロック横縁は、センター主溝からタイヤ軸方向に対して3〜15°の角度でタイヤ周方向の一方側に傾斜してのびるミドル内側部、該ミドル内側部に連なりタイヤ周方向の一方側に屈曲しかつミドル横溝の平均溝幅の75〜100%のタイヤ周方向の長さを有するミドル中央部、及び、該ミドル中央部に連なりタイヤ軸方向に対して3〜15°の角度でタイヤ周方向の一方側に傾斜してショルダー主溝に連なるミドル外側部からなる。このようなミドル内側部及びミドル外側部は、タイヤ軸方向に大きなエッジ効果を発揮して制動力や雪柱せん断力をさらに高める。ミドル中央部は、ミドル内側部及びミドル外側部と同じ方向に傾斜しているため、ミドル横溝の排水抵抗を小さく確保する。また、タイヤ周方向のエッジ成分を大きくする。従って、排水性能の低下が抑制され、氷路性能、雪路性能がさらにバランスよく向上する。
ミドルブロックのタイヤ赤道側をタイヤ周方向にのびる端縁であるミドル内側縦縁及びミドルブロックの接地端側をタイヤ周方向にのびる端縁であるミドル外側縦縁は、夫々、ミドル内側部とは逆向きかつタイヤ周方向に対して3〜15°の角度で傾斜した複数の周方向片と、該周方向片間を該周方向片とは逆向きの傾斜で継ぐ第1の軸方向片とで凹凸が形成される。このような凹凸により、タイヤ軸方向のエッジ成分が大きくなる。また、上述の角度で形成される周方向片は、タイヤ周方向の剛性を確保する。さらに、周方向片は排水抵抗を小さく維持する。従って、排水性能の低下が抑制されるとともに、氷路性能、雪路性能が、より一層、バランスよく向上する。
本発明の一実施形態を示すトレッド部の展開図である。 図1のX−X部の拡大断面図である。 図1の左側のミドルブロックの拡大図である。 従来例のトレッド部の展開図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1に示されるように、本実施形態の空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある。)は、例えば冬用タイヤとして好適に利用でき、そのトレッド部2には、最も接地端Te側をタイヤ周方向に連続してのびる一対のショルダー主溝3A、ショルダー主溝3Aのタイヤ軸方向内側をタイヤ周方向に連続してのびる一対のセンター主溝3Bが設けられる。また、本実施形態のトレッド部2には、ショルダー主溝3Aと接地端Teとの間をのびる複数本のショルダー横溝4A、ショルダー主溝3Aとセンター主溝3Bとの間をのびる複数本のミドル横溝4B、及びセンター主溝3B、3B間をのびる複数本のセンター横溝4Cが設けられる。
これにより、本実施形態のトレッド部2には、接地端Teとショルダー主溝3Aとショルダー横溝4Aとで区分されたショルダーブロック5がタイヤ周方向に隔設された一対のショルダーブロック列5R、ショルダー主溝3Aとセンター主溝3Bとミドル横溝4Bとで区分されたミドルブロック6がタイヤ周方向に隔設された一対のミドルブロック列6R、及び、一対のセンター主溝3Bとセンター横溝4Cとで区分されたセンターブロック7がタイヤ周方向に隔設されたセンターブロック列7Rを具える。
本実施形態のトレッドパターンは、タイヤ赤道C上の任意の点を中心としてバリアブルピッチを除いて実質的な点対称パターンで形成されている。
前記「接地端」Teは、正規リム(図示せず)にリム組みされかつ正規内圧が充填された無負荷の正規状態のタイヤに、正規荷重を負荷してキャンバー角0°で平面に接地させたときの最もタイヤ軸方向外側の接地位置として定められる。そして、この接地端Te、Te間のタイヤ軸方向の距離がトレッド接地幅TWとして定められる。特に断りがない場合、タイヤ各部の寸法等は、この正規状態で測定された値である。
前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めているリムであり、JATMAであれば"標準リム"、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim"となる。また、前記「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば"最高空気圧"、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" とするが、タイヤが乗用車用である場合には180kPaとする。
また、「正規荷重」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば "最大負荷能力" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY" であるが、タイヤが乗用車用の場合には前記荷重の88%に相当する荷重とする。
本実施形態の各主溝3A、3Bは、タイヤ周方向にジグザグ状にのびる。このような主溝3A、3Bは、タイヤ軸方向のエッジ成分を増加するため、雪柱せん断力、駆動力及び制動力などを大きくする。従って、雪路性能や氷路性能が向上する。
図2には、図1のX−X断面図が示される。図1及び図2に示されるように、主溝3A、3Bの溝幅(溝の長手方向と直角な溝幅で、以下、他の溝についても同様とする。)W1及び溝深さD1については、慣例に従って種々定めることができる。しかしながら、これらの溝幅又は溝深さが小さい場合、排水性能や雪路性能が悪化するおそれがある。逆に、これらの溝幅又は溝深さが大きい場合、各ブロック5乃至7の接地面積や剛性が低下し、氷路性能が悪化するおそれがある。このため、主溝3A、3Bの溝幅W1は、例えば、トレッド接地幅TWの3〜9%が望ましい。主溝3A、3Bの溝深さD1は、例えば、6〜15mmが望ましい。
各ブロック5乃至7のタイヤ軸方向の剛性と排水性能とをバランスよく確保するため、ショルダー主溝3Aとタイヤ赤道Cとの間のタイヤ軸方向距離L1は、トレッド接地幅TWの25〜35%が望ましい。同様の観点より、センター主溝3Bとタイヤ赤道Cとの間のタイヤ軸方向距離L2は、トレッド接地幅TWの5〜15%が望ましい。なお、各主溝3A、3Bの各位置は、それらの溝中心線で特定されるが、本実施形態のように、主溝3がジグザグ状の非直線の場合、溝中心線の振幅の中心線G1、G2が用いられる。
ミドル横溝4Bは、本実施形態では、一定の幅で屈曲してタイヤ軸方向に対して同じ方向にのびるため、排水性能を向上させる。また、このようなミドル横溝4Bは、ミドルブロック6の陸部面積を確保するため、氷上性能を向上させる。
ミドル横溝4Bの平均溝幅W2gは、ミドルブロック6のタイヤ周方向の最大長さLaの7〜11%に規定される。ミドル横溝4Bの平均溝幅W2gがミドルブロック6の最大長さLaの7%未満であると、ミドル横溝4Bの溝容積が小さくなり、雪柱せん断力や排水性能が悪化する。逆に、平均溝幅W2gが前記最大長さLaの11%を超えると、ミドルブロック6の陸部面積が小さくなり、氷路性能が悪化する。このため、ミドル横溝4Bの平均溝幅W2gは、好ましくはミドルブロック6の最大長さLaの8%以上、10%以下が望ましい。なお、前記「平均溝幅」とは、前記正規状態のタイヤに正規荷重を負荷してキャンバー角0°で平面に接地させたときの接地面における横溝の面積を溝中心線8cの傾斜に沿った長さ(以下、本明細書では、このような傾斜に沿った長さを「実長さ」という。)で除した溝幅をいう。
ショルダー横溝4Aは、本実施形態では、長手方向に亘ってジグザグ状にのびるジグザグ溝として形成される。このようなショルダー横溝4Aは、タイヤ軸方向のエッジ成分を高め、雪柱せん断力を大きくしている。
ショルダー横溝4Aの溝幅W3は、好ましくはトレッド接地幅TWの1.0%以上、より好ましくは1.5%以上であり、好ましくは7.0%以下、より好ましくは6.5%以下である。
センター横溝4Cは、本実施形態では、タイヤ軸方向の中央部4xから両端部4yに向ってセンター横溝4Cの溝幅W4が漸増する。このようなセンター横溝4Cは、センター横溝4C内の雪をセンター主溝3Bへスムーズに排出できる。また、センター横溝4Cは、両端部4yの溝容積が大きいので、雪柱せん断力を向上する。
センター横溝4Cの溝幅W4は、好ましくはトレッド接地幅TWの0.5%以上、より好ましくは1.0%以上であり、好ましくは3.5%以下、より好ましくは3.0%以下である。
また、ショルダー横溝4Aの溝深さD3、ミドル横溝4Bの溝深さD2及びセンター横溝4Cの溝深さD4は、各ブロック5乃至7の剛性と溝容積とをバランスよく確保するため、好ましくは4mm以上、より好ましくは6mm以上であり、好ましくは12mm以下、より好ましくは10mm以下である。
図3は、図1のトレッド部2の左半分に設けられたミドルブロック6近傍の部分拡大図である。図3に示されるように、ミドルブロック6のタイヤ周方向の両側でタイヤ軸方向にのびる端縁であるミドルブロック横縁10は、センター主溝3Bからのびるミドル内側部11、該ミドル内側部11のタイヤ軸方向外方の端部11eからのびるミドル中央部12、及び、該ミドル中央部12のタイヤ軸方向外方の端部12eからのびかつショルダー主溝3Aに連なるミドル外側部13を含んで構成される。
ミドル内側部11及びミドル外側部13は、本実施形態では、ともに直線状にのびる。これにより、ミドルブロック6のタイヤ軸方向のエッジ成分とミドル横溝4Bの排水抵抗とがバランスよく高められる。
ミドル内側部11は、タイヤ軸方向に対して3〜15°の角度α1でタイヤ周方向の一方側(図3では左上がり)に傾斜する。ミドル外側部13も、タイヤ軸方向に対して3〜15°の角度α2でタイヤ周方向の一方側(図3では左上がり)に傾斜する。このようなミドル内側部11及びミドル外側部13は、タイヤ軸方向のエッジ成分が大きいため、制動力や雪柱せん断力を高める。
ミドル内側部11の角度α1及びミドル外側部13の角度α2が3°未満の場合、タイヤ周方向のエッジ成分を高めることができず、旋回性能を向上させることができない。逆に、ミドル内側部11の角度α1及びミドル外側部13の角度α2が15°を超える場合、タイヤ軸方向のエッジ成分が小さくなり、制動力や雪柱せん断力が低減する。このため、ミドル内側部11の角度α1及びミドル外側部13の角度α2は、好ましくは5°以上であり、好ましくは13°以下である。
ミドル中央部12は、本実施形態では、直線状にのびる。このため、排水抵抗の低減効果が高められる。また、ミドル中央部12は、ミドルブロック6のタイヤ軸方向の剛性を大きく確保する。
ミドル中央部12は、ミドル内側部11及びミドル外側部13とタイヤ軸方向に対して同じ方向に傾斜している。これにより、ミドル横溝4Bの排水抵抗が小さく維持される。また、ミドル中央部12は、ミドル横溝4Bの平均溝幅W2g(図1に示す)の75〜100%のタイヤ周方向の長さL3を有する。これにより、ミドルブロック6のタイヤ周方向のエッジ成分が大きくなる。従って、氷路性能、排水性能及び雪路性能がさらにバランスよく向上する。
ミドル中央部12のタイヤ周方向の長さL3が、ミドル横溝4Bの平均溝幅W2gの100%を超える場合、ミドル横溝4Bの排水抵抗が大きくなり、排水性能が悪化する。また、長さL3が大きい場合、ミドルブロック6の剛性が小さくなり、エッジ効果が発揮されない。逆に、ミドル中央部12の長さL3が、平均溝幅W2gの75%未満の場合、タイヤ周方向のエッジ成分が小さくなり、氷路での旋回性能が悪化する。このため、ミドル中央部12の長さL3は、好ましくはミドル横溝4Bの平均溝幅W2gの80%以上であり、好ましくは95%以下である。
上述の作用を効果的に発揮させるため、ミドル中央部12のタイヤ軸方向に対する角度α3は、好ましくは45°以上、より好ましくは50°以上であり、好ましくは75°以下、より好ましくは70°以下である。
このようなミドル内側部11、ミドル中央部12及びミドル外側部13によって、ミドルブロック6のタイヤ周方向の両側に、ミドルブロック6の端部を外方に突出させる縦凸部14、14が形成される。本実施形態では、ミドル外側部13とミドル中央部12とでミドルブロック6のタイヤ周方向の一方側(図3では上側)の縦凸部14aが形成され、ミドル内側部11とミドル中央部12とでミドルブロック6のタイヤ周方向の他方側(図3では下側)の縦凸部14bが形成される。
タイヤ周方向の前記他方側の縦凸部14bを形成するミドル内側部11の実長さL4が大きい場合、ミドル横溝4Bの平均溝幅W2gが小さくなり、排水性能や雪路性能が悪化するおそれがある。逆に、実長さL4が小さい場合、縦凸部14bのタイヤ軸方向の剛性が小さくなり、旋回性能を向上させることができないおそれがある。このため、ミドル内側部11の実長さL4は、好ましくはミドル内側部11に沿ったミドルブロック横縁10の長さLbの25%以上、より好ましくは30%以上であり、好ましくは45%以下、より好ましくは40%以下である。
同様の観点より、タイヤ周方向の前記一方側の縦凸部14aを形成するミドル外側部13の実長さL5は、好ましくはミドル内側部11に沿ったミドルブロック横縁10の長さLbの25%以上、より好ましくは30%以上であり、好ましくは45%以下、より好ましくは40%以下である。
また、ミドルブロック6は、本実施形態では、タイヤ赤道C側の端縁であるミドル内側縦縁17及びミドルブロック6の接地端Te側の端縁であるミドル外側縦縁18を有する。
本実施形態のミドル内側縦縁17及びミドル外側縦縁18は、夫々、ミドル内側部11とは逆向きかつタイヤ周方向に対して3〜15°の角度α4で傾斜した複数の周方向片20と、該周方向片20、20間を継ぐ複数の軸方向片21とで凹凸が形成される。このような凹凸により、ミドルブロック6のタイヤ軸方向のエッジ成分が大きくなる。
周方向片20の角度α4が3°未満の場合、タイヤ軸方向のエッジ成分が小さくなる。逆に、周方向片20の角度α4が15°を超える場合、各主溝3A、3Bの排水抵抗が悪化する。また、角度α4が大きい場合、タイヤ周方向の剛性が小さくなる。このため、周方向片20の角度α4は、好ましくは5°以上であり、好ましくは13°以下である。
本実施形態のミドル内側縦縁17及びミドル外側縦縁18の周方向片20は、夫々不規則に形成されている。具体的には、ミドル内側縦縁17の周方向片20は、角度α4が異なる2種以上(本実施形態では2種)の周方向片20a、20bからなる。同様に、ミドル外側縦縁18の周方向片20は、角度α4が異なる2種以上(本実施形態では3種)の周方向片20c、20d、20eからなる。これにより、車両の旋回角度に応じて、周方向片20のエッジ効果を大きく発揮することができる。
また、本実施形態では、ミドル内側縦縁17の各周方向片20は、実長さL6が夫々異なる。同様に、ミドル外側縦縁18の各周方向片20は、実長さL6が夫々異なる。これにより、ミドル内側縦縁17及びミドル外側縦縁18の軸方向片21の配設位置が、夫々タイヤ周方向に位置ズレするため、実長さL6が同じ周方向片のミドル内側縦縁17及びミドル外側縦縁18に比して、タイヤ軸方向のエッジ効果がタイヤ周方向に亘って、密に発揮され、制動力が向上する。なお、周方向片20の実長さL6が小さい場合、ミドルブロック6の剛性が過度に小さくなるおそれがある。このため、ミドル内側縦縁17の最大の周方向片20の実長さL6mは、好ましくは最小の周方向片20の実長さL6nの1.5〜3.0倍である。また、ミドル外側縦縁18の最大の周方向片20の実長さL6mは、好ましくは最小の周方向片20の実長さL6nの1.5〜3.0倍である。
本実施形態では、ミドル内側縦縁17及びミドル外側縦縁18の周方向片20の平均のタイヤ周方向角度(図示せず)が、3〜15°で傾斜する。これにより、前記ミドルブロック横縁10と、ミドル内側縦縁17及びミドル外側縦縁18とによって、ミドルブロック6が略長方形状となり、ミドルブロック6のタイヤ周方向及び軸方向の剛性が高められる。なお、前記「平均のタイヤ周方向角度」とは、各周方向片20の実長さL6と前記角度α4との積の総和を、各周方向片20の実長さの総和で除した角度である。
軸方向片21は、本実施形態では、周方向片20のタイヤ周方向の一方の端部(図4では下端)から周方向片20と同じ向きに傾斜する第1片部21xと、周方向片20のタイヤ周方向の一方の端部から周方向片20とは逆向きに傾斜する第2片部21yとからなる。そして、第1片部21xと第2片部21yとがタイヤ周方向に隣り合う領域では、周方向片20と軸方向片21とで形成される凹凸(主溝3A、3B側から凸となる凹部22又は主溝3A、3B側に凸となる凸部23)が略矩形状に形成される。このような凹部22、凸部23は、剛性が高く確保され、制動力や旋回性能が高められる。また、凹部22、凸部23は、大きな雪柱せん断力を発揮して、雪路性能を向上する。
また、第1片部21xと第1片部21xとがタイヤ周方向で隣り合う領域では、周方向片20と軸方向片21とで形成される凹凸は、略く字状で形成される。このような凹凸は、タイヤ軸方向のエッジ成分と排水抵抗とをバランスよく高める。本実施形態では、ミドル内側縦縁17及びミドル外側縦縁18は、夫々、1つずつの略矩形状の凹部22及び凸部23と、複数の略く字状の凹凸とが設けられる。これにより、排水性能、雪路性能及び氷路性能がバランスよく向上する。
ミドルブロック6は、本実施形態では、ミドル内側部11に沿ったミドルブロック横縁10の長さLbと、ミドル内側部11と直角方向のミドル内側縦縁17の長さLcとの比(Lc/Lb)は、0.9〜1.1である。このようなミドルブロック6は、タイヤ周方向の剛性とタイヤ軸方向の剛性とが、バランスよく高められる。
ミドル中央部12のタイヤ周方向の長さL3と、ミドル内側部11と直角方向のミドル内側縦縁17の長さLcとの比(L3/Lc)は、0.05〜0.15である。これにより、ミドル内側縦縁17及びミドル外側縦縁18のタイヤ周方向のエッジ成分が大きく確保される。また、ミドルブロック6のタイヤ軸方向の剛性が確保される。
また、ミドルブロック6は、一端がセンター主溝3Bで開口しかつ他端がショルダー主溝3Aに達することなく終端するセミオープンタイプの第1サイピング24aと、一端がショルダー主溝3Aで開口しかつ他端がセンター主溝3Bに達することなく終端するセミオープンタイプの第2サイピング24bとがタイヤ周方向に交互に配される。これにより、サイピングのエッジ効果が発揮され、氷路性能が向上する。また、ミドルブロック6のタイヤ周方向の剛性が均等化され、駆動力や制動力が向上する。
図1に示されるように、本実施形態では、ショルダーブロック5及びセンターブロック7にも、サイピング25が配される。ショルダーブロック5には、両端がショルダーブロック5内で終端するクローズドタイプのサイピング25aが配される。これにより、旋回時に大きな横力の作用するショルダーブロック5の剛性を大きく確保できる。また、センターブロック7には、セミオープンタイプのサイピング25bがタイヤ周方向に交互に配される。
以上、本発明の空気入りタイヤについて詳細に説明したが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施され得る。
図1及び図4の基本パターンを有するサイズ195/80R15の空気入りタイヤが、表1の仕様に基づき試作され、各試供タイヤの排水性能、氷路性能(制動力)及び雪路性能がテストされた。なお、共通仕様は以下の通りである。
トレッド接地幅TW:161mm
<主溝>
溝幅W1:4.0〜6.8mm
溝深さ:12.5mm
ショルダー主溝の溝中心線のタイヤ軸方向距離L1とトレッド接地幅TWとの比(L1/TW):0.28
センター主溝の溝中心線のタイヤ軸方向距離L2とトレッド接地幅TWとの比(L2/TW):0.10
<横溝>
センター横溝の溝幅W4:2.1〜4.5mm
ショルダー横溝の溝幅W3:2.7〜5.9mm
ミドル横溝の平均溝幅W2g:3.0mm
溝深さ:7.0〜10.5mm
<ミドルブロック>
ミドル内側部の角度α1:8°
ミドル外側部の角度α2:9°
ミドル中央部のタイヤ周方向の長さ/ミドル横溝の平均溝幅:85%
テスト方法は、次の通りである。
<雪路性能>
各試供タイヤを、下記の条件で、排気量2700ccの4輪駆動車の全輪に装着し、圧雪路のテストコースをドライバー1名乗車で走行させた。そして、このときのハンドル応答性、剛性感及びグリップ等に関する走行特性がドライバーの官能により評価された。結果は、従来例を100とする評点で表示されている。数値が大きいほど良好である。
リム15×6J
内圧:350kPa(前輪)
内圧:425kPa(後輪)
<氷路性能(制動力)>
上記テスト車両にて、氷路のテストコースを走行し、速度30km/hから急ブレーキをかけ、停止するまでの制動距離が計測された。結果は、従来例の制動距離の逆数を100とする指数で表示されている。数値が大きいほど良好である。
<排水性能>
上記テスト車両にて、全長2000mのウエットアスファルト路面のテストコースを走行させ、そのときの走行時間が計測された。なお、ウエットコンディションを同一とするために、走行直前に、路面の水深が5mmに統一された。結果は、従来例の走行時間の逆数を100とする指数で表示されている。数値が大きいほど良好である。
テストの結果が表1に示される。
Figure 2015116935
Figure 2015116935
テストの結果、実施例のタイヤは、比較例に比べて排水性能の低下が抑制されつつ、雪路性能及び氷路性能が有意に向上していることが確認できた。
2 トレッド部
3A ショルダー主溝
3B センター主溝
4B ミドル横溝
6 ミドルブロック
10 ミドルブロック横縁
11 ミドル内側部
12 ミドル中央部
13 ミドル外側部
17 ミドル内側縦縁
18 ミドル外側縦縁
20 周方向片
21 軸方向片

Claims (4)

  1. トレッド部に、最も接地端側をタイヤ周方向に連続してのびる一対のショルダー主溝と、該ショルダー主溝のタイヤ軸方向内側をタイヤ周方向に連続してのびる一対のセンター主溝と、前記ショルダー主溝と前記センター主溝との間をのびるミドル横溝とが設けられることにより、前記ショルダー主溝と前記センター主溝と前記ミドル横溝とで区分されたミドルブロックがタイヤ周方向に隔設されたミドルブロック列を具えた空気入りタイヤであって、
    前記ミドル横溝の平均溝幅は、前記ミドルブロックのタイヤ周方向の最大長さの7〜11%であり、
    前記ミドルブロックのタイヤ周方向の両側でタイヤ軸方向にのびる端縁であるミドルブロック横縁は、前記センター主溝からタイヤ軸方向に対して3〜15°の角度でタイヤ周方向の一方側に傾斜してのびるミドル内側部、
    該ミドル内側部に連なりタイヤ周方向の前記一方側に屈曲しかつ前記ミドル横溝の平均溝幅の75〜100%のタイヤ周方向の長さを有するミドル中央部、及び、
    該ミドル中央部に連なりタイヤ軸方向に対して3〜15°の角度でタイヤ周方向の前記一方側に傾斜して前記ショルダー主溝に連なるミドル外側部からなり、
    前記ミドルブロックのタイヤ赤道側をタイヤ周方向にのびる端縁であるミドル内側縦縁及び前記ミドルブロックの接地端側をタイヤ周方向にのびる端縁であるミドル外側縦縁は、夫々、前記ミドル内側部とは逆向きかつタイヤ周方向に対して3〜15°の角度で傾斜した複数の周方向片と、該周方向片間を継ぐ複数の軸方向片とで凹凸が形成されることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記ミドルブロックは、一端が前記センター主溝で開口しかつ他端が前記ショルダー主溝に達することなく終端するセミオープンタイプの第1サイピングと、一端が前記ショルダー主溝で開口しかつ他端が前記センター主溝に達することなく終端するセミオープンタイプの第2サイピングとがタイヤ周方向に交互に配される請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記ミドル内側部に沿った前記ミドルブロック横縁の長さLbと、前記ミドル内側部と直角方向の前記ミドル内側縦縁の長さLcとの比(Lc/Lb)は、0.9〜1.1である請求項1又は2記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記軸方向片は、前記周方向片のタイヤ周方向の一方の端部から前記周方向片と同じ向きに傾斜する第1片部と、前記周方向片のタイヤ周方向の一方の端部から前記周方向片とは逆向きに傾斜する第2片部とからなる請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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