JP2015067652A - 表面親水性シリコーン部材および表面親水性シリコーン部材の製造方法 - Google Patents

表面親水性シリコーン部材および表面親水性シリコーン部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】持続的に親水性を発揮することが可能な表面親水性シリコーン部材および表面親水性シリコーン部材の製造方法を提供する。【解決手段】シリコーンポリマーを含む材料からなるシリコーン部材表面の酸素を含む活性基に対し、該活性基と化学結合を形成する官能基2つ以上と該官能基とは種類の異なる基である親水基1つ以上とを有する化合物が該官能基2つ以上を介して化学結合してなる表面親水性シリコーン部材とする。また、シリコーン部材の表面に活性化処理を施して該表面に酸素を含む活性基を発生させた後、該活性基が残存する間に、該活性基と化学結合を形成する官能基2つ以上と該官能基とは種類の異なる基である親水基1つ以上とを有する化合物を接触させて、該化合物を前記シリコーン部材の表面の酸素を含む活性基に前記官能基2つ以上を介して化学結合させる。【選択図】なし

Description

本発明は、表面親水性シリコーン部材および表面親水性シリコーン部材の製造方法に関するものである。
表面処理によって得られた親水性表面を有するシリコーン部材は、医学、工学、バイオテクノロジー、化学分野など種々の分野において有用となる可能性を有する。シリコーン部材の表面を親水化する技術としては、プラズマ処理が知られている。また、特許文献1では、シリコーンゴム表面にポリエチレングリコールなどとシランカップリング剤とを含む溶液を塗布して塗布膜を形成することによりシリコーン部材の表面を親水化する技術が開示されている。
特許第5039894号公報
しかしながら、プラズマ処理されたシリコーン部材の表面は、処理直後には親水性を有するものの、時間の経過とともに親水性が消失し、親水性が持続しない。その要因は明らかではないが、プラズマ処理面への異物の付着、プラズマ処理面の分子内部への潜り込み、プラズマ処理後にシリコーン部材の表面に発生する官能基同士の反応による官能基の消失などが考えられる。また、特許文献1に記載の表面処理は、シリコーン部材の表面に塗布膜を形成するものであり、親水性効果の持続性に問題があると思われる。
本発明が解決しようとする課題は、持続的に親水性を発揮することが可能な表面親水性シリコーン部材および表面親水性シリコーン部材の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため本発明に係る表面親水性シリコーン部材は、シリコーンポリマーを含む材料からなるシリコーン部材表面の酸素を含む活性基に対し、該活性基と化学結合を形成する官能基2つ以上と該官能基とは種類の異なる基である親水基1つ以上とを有する化合物が該官能基2つ以上を介して化学結合してなることを要旨とするものである。
この場合、前記活性基と化学結合を形成する官能基は、カルボン酸基あるいは酸無水物基であることが好ましい。
また、前記親水基は、ポリエーテル基あるいはアミド基であることが好ましい。
また、前記親水基は、前記シリコーン部材表面の酸素を含む活性基と化学結合を形成しない基であることが好ましい。
そして、本発明に係る表面親水性シリコーン部材の製造方法は、シリコーンポリマーを含む材料からなるシリコーン部材の表面に活性化処理を施して該表面に酸素を含む活性基を発生させた後、該活性基が残存する間に、該活性基と化学結合を形成する官能基2つ以上と該官能基とは種類の異なる基である親水基1つ以上とを有する化合物を接触させて、該化合物を前記シリコーン部材の表面の酸素を含む活性基に前記官能基2つ以上を介して化学結合させることを要旨とするものである。
本発明に係る表面親水性シリコーン部材によれば、シリコーン部材表面の酸素を含む活性基に対し、該活性基と化学結合を形成する官能基2つ以上と該官能基とは種類の異なる基である親水基1つ以上とを有する化合物が該官能基2つ以上を介して化学結合してなることから、持続的に親水性を発揮することができる。
この際、前記活性基と化学結合を形成する官能基がカルボン酸基あるいは酸無水物基であると、シリコーン部材表面の酸素を含む活性基に対し、化学結合を形成し、持続的に親水性を発揮することができる。
そして、前記親水基がポリエーテル基あるいはアミド基であると、優れた親水性を発揮することができる。このとき、前記親水基が、前記シリコーン部材表面の酸素を含む活性基と化学結合を形成しない基であると、前記化合物によりシリコーン部材表面に付与した親水基が維持されるため、持続的に親水性を発揮することができる。
そして、本発明に係る表面親水性シリコーン部材の製造方法によれば、シリコーン部材の表面に活性化処理を施して該表面に酸素を含む活性基を発生させた後、該活性基が残存する間に、該活性基と化学結合を形成する官能基2つ以上と該官能基とは種類の異なる基である親水基1つ以上とを有する化合物を接触させて、該化合物を前記シリコーン部材の表面の酸素を含む活性基に前記官能基2つ以上を介して化学結合させることから、持続的に親水性を発揮することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
シリコーン部材は、シリコーンポリマーを含む材料からなり、所望の目的に応じて適宜成形したものである。シリコーンポリマーは、オルガノポリシロキサンとして通常広く知られているものを用いることができる。
オルガノポリシロキサンは、有機基を有する。有機基は、1価の置換または非置換の炭化水素基である。非置換の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ドデシル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基、β−フェニルエチル基、β−フェニルプロピル基などのアラルキル基などが挙げられる。置換の炭化水素基としては、クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基などが挙げられる。オルガノポリシロキサンとしては、一般的には、有機基としてメチル基を有するものが、合成のしやすさ等から多用される。オルガノポリシロキサンは、直鎖状のものが好ましいが、分岐状もしくは環状のものであっても良い。
オルガノポリシロキサンは、その架橋機構(硬化機構)に応じて、所定の反応性基を有する。反応性基としては、アルケニル基(ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基など)やシラノール基などが挙げられる。アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンは、有機過酸化物を架橋剤とする過酸化物架橋反応や、ヒドロシリル基を有するオルガノポリシロキサン(オルガノハイドロジェンポリシロキサン)を架橋剤とする付加反応により架橋される。付加反応には、ヒドロシリル化触媒を組み合わせて用いることができる。シラノール基を有するオルガノポリシロキサンは、縮合反応により架橋される。縮合反応には、縮合用架橋剤を組み合わせて用いることができる。
アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンは、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有することが好ましい。また、ヒドロシリル基を有するオルガノポリシロキサンは、1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有することが好ましい。また、シラノール基を有するオルガノポリシロキサンは、1分子中に少なくとも2個のシラノール基を有することが好ましい。
有機過酸化物としては、ベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、p−メチルベンゾイルパーオキサイド、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、ジクミルペルオキシド、クミル−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキサン、ジ−t−ブチルペルオキシドなどが挙げられる。これらのうちでは、特に低い圧縮永久歪を与えることから、ジクミルペルオキシド、クミル−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキサン、ジ−t−ブチルペルオキシドが好ましい。
有機過酸化物の添加量は、特に限定されるものではないが、通常、アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲とされる。
ヒドロシリル基を有するオルガノポリシロキサン(オルガノハイドロジェンポリシロキサン)として、具体的には、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、(CHHSiO1/2単位とSiO4/2単位とから成る共重合体、(CHHSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C)SiO3/2単位とから成る共重合体などが挙げられる。
ヒドロシリル基を有するオルガノポリシロキサンの配合量は、特に限定されるものではないが、通常、アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.1〜40質量部の範囲とされる。
ヒドロシリル化触媒としては、白金系触媒が挙げられる。白金系触媒としては、微粒子状白金、白金黒、白金担持活性炭、白金担持シリカ、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金のオレフィン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体などが挙げられる。
ヒドロシリル化触媒の添加量は、特に限定されるものではないが、白金系金属の金属量に換算して、通常、アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン100質量部に対して1ppm〜1質量部の範囲とされる。
縮合用架橋剤としては、加水分解性の基を1分子中に2個以上、好ましくは3個以上有するシラン、あるいはその部分加水分解縮合物が使用される。この場合、その加水分解性の基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基などのケトオキシム基、アセトキシ基などのアシルオキシ基、イソプロペニルオキシ基、イソブテニルオキシ基などのアルケニルオキシ基、N−ブチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基などのアミノ基、N−メチルアセトアミド基などのアミド基等が挙げられる。
縮合用架橋剤の添加量は、特に限定されるものではないが、通常、シラノール基を有するオルガノポリシロキサン100質量部に対して1〜50質量部の範囲とされる。
シリコーンポリマーを含む材料には、充填剤、架橋促進剤、架橋遅延剤、架橋助剤、スコーチ防止剤、老化防止剤、軟化剤、熱安定剤、難燃剤、難燃助剤、紫外線吸収剤、防錆剤などの一般的な添加剤やイオン導電剤、電子導電剤などの導電剤が添加されていても良い。充填剤としては、ヒュームドシリカ、結晶性シリカ、湿式シリカ、ヒュームド酸化チタンなどの補強性充填剤が挙げられる。
本発明に係る表面親水性シリコーン部材は、シリコーン部材表面の酸素を含む活性基に対し、特定の化合物を化学結合させたものからなる。ここでいう化学結合には、共有結合や水素結合などが含まれる。特定の化合物は、シリコーン部材表面の酸素を含む活性基と化学結合を形成する官能基2つ以上と、この官能基とは種類の異なる基である親水基1つ以上とを有する化合物であり、この官能基2つ以上を介してシリコーン部材表面に化学結合するものである。表面親水性シリコーン部材は、表面に化学結合した特定の化合物の親水基により親水性を有する。
シリコーン部材表面の酸素を含む活性基は、シリコーン部材の表面に活性化処理を行うことにより形成される。活性化処理としては、特に限定されるものではないが、プラズマ処理、UV照射処理、コロナ処理、エキシマ処理などが挙げられる。これらのうちでは、活性基形成量(密度)などの観点から、プラズマ処理が特に好ましい。
シリコーン部材表面の酸素を含む活性基の種類は、酸素を含むものであれば特に限定されるものではないが、例えば、水酸基、カルボキシル基などが挙げられる。
なお、シリコーン部材の表面に活性化処理を行うと、上記のような活性基が形成され、これらの活性基が親水基として機能し、活性化処理直後には親水性を有するが、時間の経過とともに親水性が消失し、親水性が持続しない。その要因は明らかではないが、活性化処理面への異物の付着、活性化処理面の分子内部への潜り込み、活性化処理後にシリコーン部材の表面に発生する官能基同士の反応による官能基の消失などが考えられる。
特定の化合物の官能基は、シリコーン部材表面の酸素を含む活性基に対し、反応して共有結合を形成するものであってもよいし、水素結合を形成するものであってもよい。
シリコーン部材表面の酸素を含む活性基に対し、共有結合を形成する官能基としては、カルボン酸基、酸無水物基、オキソ酸基、ヒドロキシル基、シラノール基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、アルケニル基、アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。カルボン酸基としては、カルボン酸メチル、カルボン酸エチル、カルボン酸プロピルなどのモノカルボン酸基や、マレイン酸、フタル酸などのジカルボン酸基などが挙げられる。酸無水物基としては、無水マレイン酸、無水フタル酸などが挙げられる。
シリコーン部材表面の酸素を含む活性基に対し、水素結合を形成する官能基としては、カルボン酸基、酸無水物基、オキソ酸基、ヒドロキシル基、シラノール基、アミノ基、チオール基、ニトロ基、アミド基、イミド基などが挙げられる。イミド基としては、N−ヒドロキシコハク酸イミド基などが挙げられる。
特定の化合物の官能基は、これらの1種のみであってもよいし、これらの2種以上であってもよい。これらのうちでは、活性基との強い結合力の形成などの観点から、
カルボン酸基、酸無水物基、これらの組み合わせが好ましい。
特定の化合物の官能基は、シリコーン部材表面の酸素を含む活性基に対し、化学結合を形成するために用いられ、本来は親水性を持つ場合でも、親水性を発現できない。したがって、結果として表面親水性に寄与しない基となる。ここで、カルボン酸基、酸無水物基は、シリコーン部材表面の酸素を含む活性基に対し、化学結合を形成するために用いられ、表面親水性に寄与しない基となる。このため、反応に関与する官能基とは別に親水性を発現する官能基を持つ必要がある。これが、特定の化合物の親水基である。
特定の化合物の親水基としては、ポリエーテル基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、スルフィン酸基、スルフィン酸塩基、ヒドロキシル基、シラノール基、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、ニトリル基、硫酸エステル基、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、ピリジニウム基、アミンオキサイド基、アミノ酸基、ウレタン基などが挙げられる。
特定の化合物の親水基は、これらの1種のみであってもよいし、これらの2種以上であってもよい。これらのうちでは、優れた親水性を発揮することができるなどの観点から、
ポリエーテル基、アミド基、これらの組み合わせが好ましい。
特定の化合物の親水基は、シリコーン部材表面の酸素を含む活性基に対し、化学結合を形成しない基であることが好ましい。特定の化合物によりシリコーン部材表面に付与した親水基が維持され、持続的に親水性を発揮する効果が高くなるからである。また、特定の化合物の親水基は、互いに化学結合を形成しない基であることが好ましい。特定の化合物によりシリコーン部材表面に付与した親水基が維持され、持続的に親水性を発揮する効果が高くなるからである。ここで、ポリエーテル基は、シリコーン部材表面の酸素を含む活性基に対し、化学結合を形成しない親水基である。また、互いに化学結合を形成しない基である。
特定の化合物は、官能基2つ以上を介してシリコーン部材表面に化学結合することから、シリコーン部材表面に特定の化合物が化学結合してなる本発明の表面親水性シリコーン部材は、例えばシリコーン部材表面のプラズマ等により形成した活性基を基点としてビニル化合物のグラフト化重合反応を行い、結合点が1点のみであるものとは異なる。結合点の違いにより、親水性の持続性の面で違いがある。
特定の化合物としては、具体的には、下記の式(1)で表される構造と下記の式(2)〜(4)で表される構造のいずれか1または2以上とを分子内に有するもの、下記の式(5)で表される構造と下記の式(2)〜(4)で表される構造のいずれか1または2以上とを分子内に有するもの、下記の式(6)で表される構造と下記の式(2)〜(4)で表される構造のいずれか1または2以上とを分子内に有するものなどが挙げられる。これらのうちでは、より親水性に優れるなどの観点から、下記の式(1)で表される構造と下記の式(2)〜(4)で表される構造のいずれか1または2以上とを分子内に有するものが特に好ましい。ただし、下記の式(1)〜(6)において、R1は、直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基あるいはカルボニル基を示し、R2は、直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基を示し、R3は、直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基あるいは水素基を示し、R4は、直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基、水素基あるいはカルボン酸基を示す。アルキル基の場合、R1〜4の炭素数は1〜4が好ましい。aおよびl〜qは、繰り返し単位の数を表す。
下記の式(1)で表される構造は、ポリエーテル基を有する構造であり、特定の化合物の親水基に相当する。下記の式(5)で表される構造は、アミド基を有する構造であり、特定の化合物の親水基に相当する。下記の式(6)で表される構造は、アミド基とスルホン酸基を有する構造であり、特定の化合物の親水基に相当する。下記の式(2)〜(4)で表される構造は、カルボン酸基あるいは酸無水物基を有する構造であり、特定の化合物の官能基に相当する。
Figure 2015067652

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本発明に係る表面親水性シリコーン部材は、表面に親水性を有するなどの観点から、JIS R3257に準拠して測定される水接触角が80度以下となることが好ましい。より好ましくは60度以下、さらに好ましくは40度以下である。また、持続的に親水性を発揮するなどの観点から、少なくとも1カ月以上、親水性が持続されることが好ましい。より好ましくは3カ月以上、さらに好ましくは6カ月以上である。親水性が持続されるとは、水接触角が80度以下、60度以下、あるいは40度以下の状態が維持されることである。
本発明に係る表面親水性シリコーン部材は、シリコーンポリマーを含む材料からなるシリコーン部材の表面に活性化処理を施してこの表面に酸素を含む活性基を発生させた後、発生した活性基が残存する間に、上記特定の化合物を接触させて、この化合物をシリコーン部材の表面の酸素を含む活性基に官能基2つ以上を介して化学結合させることにより製造することができる。
活性化処理としては、上記するプラズマ処理、UV照射処理、コロナ処理、エキシマ処理などが挙げられる。酸素を含む活性基としては、上記する水酸基、カルボキシル基などが挙げられる。
シリコーン部材の表面に上記特定の化合物を接触させる方法としては、上記特定の化合物を含有する処理液を用いて行う、塗布、浸漬、吹き付け等の方法などが挙げられる。処理液を調製するための溶剤としては、特に限定されるものではないが、水、アルコール、トルエン、酢酸エチルなどが挙げられる。特定の化合物の溶解性・分散性等を考慮して、適宜選択して用いればよい。また、処理液には、特定の化合物の溶解性や分散性を向上させる添加剤を用いてもよい。また、処理液が液体の場合は、溶液とせずに原液のまま用いてもよい。
以上の構成の本発明に係る表面親水性シリコーン部材によれば、シリコーン部材表面2つ以上を介して化学結合してなることから、持続的に親水性を発揮することができる。また、特定の化合物はシリコーン部材の表面に化学結合を形成することから、表面の改質は表面への膜形成によるものではなく分子レベルでの改質となるため、シリコーン部材の透明性を維持することができる。したがって、光学分析用途への展開も期待できる。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
(実施例1)
<シリコーン部材の作製>
液状シリコーンゴム(Gelest社製、「DMS−V35」、ビニル基含有ジメチルポリシロキサン)100質量部、ヒュームドシリカ5質量部、結晶性シリカ20質量部、白金触媒0.07質量部を配合後、プラネタリーミキサーにて30分混合し、次いで、架橋剤(Gelest社製、「HMS−151」、ヒドロシリル基含有ジメチルポリシロキサン)4質量部、1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.1質量部を配合後、さらに30分混合し、減圧脱泡して、液状シリコーンゴム組成物を調製した。調製した液状シリコーンゴム組成物を170℃×10分の条件でプレス成形し、その後、200℃×4時間の条件にて2次キュアを実施し、2mm厚のシートを作製した。これにより、シリコーン部材を得た。
<表面活性化処理>
得られたシリコーン部材の表面にRFプラズマ処理(減圧、アルゴン雰囲気下)を1分間施すことにより、シリコーン部材の表面に活性化処理を行った。
<親水基含有化合物の合成>
無水マレイン酸/スチレン共重合体(和光純薬工業社製)100質量部とポリオキシエチレンモノメチルエーテル(日油社製「ユニオックスM−550」40質量部とを、攪拌羽根、冷却管、熱伝対を設置した四つ口フラスコに投入し、攪拌羽根により混合した。その後、ヒータにより80℃で2時間保ち、無水マレイン酸/スチレン共重合体の酸無水物基とポリオキシエチレンモノメチルエーテルの水酸基を反応させた。以上により、下記の式(7)で表される構造を有する親水基含有化合物(EOM/MA/S)を合成した。
Figure 2015067652
<親水基含有化合物による表面処理>
活性化処理後3分経過時に、シリコーン部材に表面活性化処理を施したものの活性化処理した面を、上記の式(7)で表される構造を有する親水基含有化合物を含む処理液(溶剤:水、濃度10質量%)に10秒間浸漬した。次いで、その処理面をメタノール洗浄して残渣を除去し、室温で放置することにより乾燥させた。以上により、実施例1に係る表面親水性シリコーン部材を得た。
(実施例2)
親水基含有化合物を含む処理液の濃度を10質量%から50質量%に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2に係る表面親水性シリコーン部材を得た。
(実施例3)
溶剤をトルエンに代えた以外は実施例1と同様にして、実施例3に係る表面親水性シリコーン部材を得た。
(実施例4)
式(7)で表される構造を有する親水基含有化合物に代えて、下記の式(8)で表される構造を有する親水基含有化合物(AA/AMPS、山東省和浄水有限公司社製、アクリル酸/2−アクリルアミド−2−メチルプロスルホン酸共重合体)を含む処理液を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例4に係る表面親水性シリコーン部材を得た。
Figure 2015067652
(実施例5)
式(7)で表される構造を有する親水基含有化合物に代えて、下記の式(9)で表される構造を有する親水基含有化合物(AA/AM、アクリル酸/アクリルアミド共重合体、試薬)を含む処理液を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例5に係る表面親水性シリコーン部材を得た。
Figure 2015067652
(比較例1)
親水基含有化合物による表面処理を行わなかった以外は実施例1と同様にして、比較例1に係るシリコーン部材を得た。
(比較例2)
式(7)で表される構造を有する親水基含有化合物に代えて、下記の式(10)で表される構造を有する化合物(MA/S、荒川化学社製「ポリマロン351T」、無水マレイン酸/スチレン共重合体)を含む処理液を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例2に係るシリコーン部材を得た。
Figure 2015067652
作製した実施例1〜5の表面親水性シリコーン部材の処理面および比較例1〜2のシリコーン部材の処理面の親水性を評価するため、表面処理を行った翌日(24時間後)に、JIS R3257に準拠して、液量2μlの水を表面に滴下し、水が表面に接触した直後の水接触角を測定した。また、3カ月後に、同様に水接触角を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2015067652
比較例1から、プラズマ処理等の活性化処理だけでは、1日経過後には親水性が低いことがわかる。これに対し、実施例1〜5によれば、プラズマ処理等の活性化処理を行った後、親水基を含有する化合物をシリコーン部材の表面に化学結合させることにより、1日経過後でも優れた親水性を発揮し、その効果が3カ月以上持続していることがわかる。特に、親水基としてポリエーテル基を有する化合物をシリコーン部材の表面に化学結合させた実施例1〜3によれば、親水性に特に優れることがわかる。
なお、比較例2では、無水マレイン酸基あるいはマレイン酸基を有する化合物をシリコーン部材の表面に化学結合させている。しかし、比較例2では、1日経過後の親水性が低いことがわかる。また、これから、無水マレイン酸基あるいはマレイン酸基が親水基として機能していないことがわかる。
以上、本発明の実施形態、実施例について説明したが、本発明は上記実施形態、実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能なものである。

Claims (5)

  1. シリコーンポリマーを含む材料からなるシリコーン部材表面の酸素を含む活性基に対し、該活性基と化学結合を形成する官能基2つ以上と該官能基とは種類の異なる基である親水基1つ以上とを有する化合物が該官能基2つ以上を介して化学結合してなることを特徴とする表面親水性シリコーン部材。
  2. 前記活性基と化学結合を形成する官能基が、カルボン酸基あるいは酸無水物基であることを特徴とする請求項1に記載の表面親水性シリコーン部材。
  3. 前記親水基が、ポリエーテル基あるいはアミド基であることを特徴とする請求項1または2に記載の表面親水性シリコーン部材。
  4. 前記親水基が、前記シリコーン部材表面の酸素を含む活性基と化学結合を形成しない基であることを特徴とする請求項3に記載の表面親水性シリコーン部材。
  5. シリコーンポリマーを含む材料からなるシリコーン部材の表面に活性化処理を施して該表面に酸素を含む活性基を発生させた後、該活性基が残存する間に、該活性基と化学結合を形成する官能基2つ以上と該官能基とは種類の異なる基である親水基1つ以上とを有する化合物を接触させて、該化合物を前記シリコーン部材の表面の酸素を含む活性基に前記官能基2つ以上を介して化学結合させることを特徴とする表面親水性シリコーン部材の製造方法。
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