JP2014500879A - Bcma発現に相関性を有する疾患を治療する因子及び方法 - Google Patents

Bcma発現に相関性を有する疾患を治療する因子及び方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014500879A
JP2014500879A JP2013539249A JP2013539249A JP2014500879A JP 2014500879 A JP2014500879 A JP 2014500879A JP 2013539249 A JP2013539249 A JP 2013539249A JP 2013539249 A JP2013539249 A JP 2013539249A JP 2014500879 A JP2014500879 A JP 2014500879A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
binding
bcma
bispecific
antibody
domain
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013539249A
Other languages
English (en)
Inventor
エリック ボルゲス
ジャスミン バーバラ ヘベイス
Original Assignee
ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
アムジェン リサーチ (ミュニック) ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング, アムジェン リサーチ (ミュニック) ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング filed Critical ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
Publication of JP2014500879A publication Critical patent/JP2014500879A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/18Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans
    • C07K16/28Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants
    • C07K16/2803Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants against the immunoglobulin superfamily
    • C07K16/2809Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants against the immunoglobulin superfamily against the T-cell receptor (TcR)-CD3 complex
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/18Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans
    • C07K16/28Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants
    • C07K16/2896Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants against molecules with a "CD"-designation, not provided for elsewhere
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • A61P35/02Antineoplastic agents specific for leukemia
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P37/00Drugs for immunological or allergic disorders
    • A61P37/02Immunomodulators
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/18Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans
    • C07K16/28Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants
    • C07K16/2878Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants against the NGF-receptor/TNF-receptor superfamily, e.g. CD27, CD30, CD40, CD95
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/30Immunoglobulins specific features characterized by aspects of specificity or valency
    • C07K2317/31Immunoglobulins specific features characterized by aspects of specificity or valency multispecific
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/60Immunoglobulins specific features characterized by non-natural combinations of immunoglobulin fragments
    • C07K2317/62Immunoglobulins specific features characterized by non-natural combinations of immunoglobulin fragments comprising only variable region components
    • C07K2317/622Single chain antibody (scFv)

Abstract

少なくとも2つの結合ドメインを含む二重特異性結合因子であって、第一の結合ドメインがB細胞成熟抗原BCMAと結合し、第二の結合ドメインがCD3と結合する、前記二重特異性結合因子、そのような因子を含む医薬組成物、及びBCMA発現と相関性を示す形質細胞異常又はB細胞異常の治療のための使用が開示される。

Description

本発明はBCMA発現に相関性を有するヒト疾患の治療のための薬剤及び方法に関する。前記治療方法には、腫瘍の治療方法、特に形質細胞異常、例えば多発性骨髄腫(MM)、形質細胞腫及び形質細胞性白血病並びに他のB細胞異常(例えばNHL、CLLHD)に加えて自己免疫疾患の治療方法が含まれる。
今日までもっとも頻繁に用いられるMM治療の1つには化学療法が含まれる。しかしながら、ほとんどの患者で化学療法は多発性骨髄腫を部分的に制御できるだけで、完全な緩解に至るのは極めて稀である。この疾患の治療に用いられる薬剤はシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン及びメルファランであり、免疫調節剤(例えばサリドマイド(サロミド(Thalomid(商標)))、レナリドミド(レブリミド(Revlimid(商標)))及びボルテゾミブ(ベルケイド(Velcade(商標)))との併用療法が、骨髄腫(新規診断患者及び化学療法又は移植が不成功で疾患が進行した患者の両方で)の治療の重要な自由選択の1つとして浮上した。ほとんどの事例で、これらの薬剤は標準的な化学療法剤と組み合わせて用いられる。他の治療は、コルチコステロイド(例えばプレドニゾン又はデキサメタゾン)を用いる。別の治療は幹細胞(骨髄)移植である。多発性骨髄腫では、ほとんどの移植が自家型である(すなわち患者自身の細胞を使用する)。そのような移植は(治癒力をもたないが)、選択的患者では延命をもたらすことが示された。移植は、新規診断患者で又は再発時に初期治療として実施できる。この疾患の適切な制御のために、時には選択患者で2回以上の移植が推奨される。
従来用いられている治療は通常では治癒力をもたず、ほとんどの患者が疾患の進行中に反復治療レジメンを体験しなければならない。幹細胞移植は、高齢、他の重篤な疾患の存在、又は他の身体的制限のために多くの患者について選択肢とはならないであろう。
癌の影響を概算するために、相対的生存率は、総集団と比較した多発性骨髄腫患者の生存を測定する。1995年から2001年の多発性骨髄腫の相対的5年生存率は32.4パーセントであった。
形質細胞異常(例えばMM)の新規な治療用薬剤及び方法を提供することが本発明の目的であった。
本発明の根底に横たわる課題解決法は、CD3に特異的な1つの結合ドメインを含む二重特異性結合因子を作製するという構想に基づく。この構想にしたがえば、前記因子はT細胞と結合する。他方の結合ドメインは、標的細胞(すなわち形質細胞)に存在する選択的標的分子と特異的に結合して標的細胞を引き寄せて複合体を形成し、したがって形質細胞へのT細胞の細胞傷害性作用の誘導を可能にするその能力の故に存在する。最適に設計されたとき、この複合体の形成は、そのもの単独で又はアクセサリー細胞と一緒になって細胞傷害性T細胞でシグナリングを誘発するであろう(前記シグナリングは細胞傷害媒介物質の遊離をもたらす)。適切に設計されるならば、前記因子は、表面分子を提供しCD3分子のシグナリング複合体を形成する標的細胞の存在下で所望のシグナリングのみを誘発するであろう。
したがって、本発明は、第一の結合ドメイン及び第二の結合ドメインを含む、少なくとも2つの結合ドメインを含む二重特異性結合因子に関し、前記第一の結合ドメインはBCMAと結合し、前記第二の結合ドメインはCD3と結合する(本発明の関係では、特段の指示がなければ、BCMA及びCD3(それらは二重特異性結合因子が結合特異性を有する抗原である)は、以下ではいずれも“標的分子”と称される)。
本発明は、第一の結合ドメイン及び第二の結合ドメインを含む、少なくとも2つの結合ドメインを含む二重特異性結合因子に関し、前記第一の結合ドメインはBCMAと結合し、前記第二の結合ドメインはCD3と結合する(本発明の関係では、特段の指示がなければ、BCMA及びCD3(それらは二重特異性結合因子が結合特異性を有する抗原である)は、以下ではいずれも“標的分子”と称される)。
第一の標的分子、BCMA(B細胞成熟抗原;アクセッション番号;AB052772(WO 00/40716))又は腫瘍壊死因子レセプタースーパーファミリーメンバー17(TNFRSF17)(CD269としても知られている)は、ヒトのTNFRSF17遺伝子によってコードされるタンパク質である(Treml et al., 2007, Semin. Immunol. 18 (5): 297-304;Mackay and Leung, 2007, Semin. Immunol. 18 (5): 284-9;Gras et al., 1996, Int. Immunol. 7 (7): 1093-106;アクセッション番号AB052772、WO 00/40716)。
BCMAはトランスメンブレンタンパク質であり、成熟Bリンパ球(すなわち形質細胞)で優先的に発現され、B細胞の生存に重要であると考えられる。BCMAは、腫瘍壊死因子(リガンド)スーパーファミリーメンバー13b(TNFSF13B/TALL-1/BAFF)と特異的に結合し、NF-カッパB及びMAPK8/JNK活性化をもたらすことが示された。BCMAはまた多様なTRAFファミリーメンバーと結合し、したがって細胞の生存及び増殖のためのシグナルを別の細胞に移転させることができる。BCMA発現はB細胞系列に限定され、主として形質細胞及び形質芽細胞に、さらにある程度はメモリーB細胞にも存在するが、末梢B細胞及びナイーブB細胞には実質的に存在しない。BCMAはまた多発性骨髄腫(MM)細胞で発現される(MMは形質細胞数が増加する悪性B細胞疾患である)。そのファミリーメンバーであるトランスンメンブレンアクチベーター及びシクロフィリンリガンドインターラクター(TACI;transmembrane activator and cyclophylin ligand interactor)及びTNFファミリーレセプターのB細胞活性化因子(BAFF)(BAFFR;B cell activation factor of TNF family receptor)と一緒になって、BCMAは、液性免疫、B細胞の発育及びホメオスタシスの種々の局面を調節する。BCMA発現はB細胞分化のかなり後期に出現し、骨髄の形質芽細胞及び形質細胞の長期生存に寄与する。この発見と一致して、BCMAはまたMM細胞の増殖及び生存に寄与する。
Ryanら(Mol. Cancer Ther. 6:11, 2007)は、アンタゴニスト作用を有するBCMA特異的抗体の作製を報告した。前記抗体は、強力な生存延長シグナリング経路と密接に関係するNF-κB活性化を正常及び悪性B細胞で妨げる。さらにまた、前記抗体は、強力な抗体依存細胞媒介性細胞傷害作用(ADCC)をin vitroで多発性骨髄腫細胞株に与えた(前記細胞傷害作用はFc操作によって顕著に強化された)。
Bellucciら(Blood, 2005, 105:10)は、多発性骨髄腫患者がドナーリンパ球輸液(DLI)を受けた後にこれら患者でBCMA特異的抗体を確認した。これらの患者の血清は、ADCC及びCDCによるBCMA特異的細胞溶解を媒介する能力を有し、これは抗腫瘍応答を示す患者(4/9)でもっぱら検出されたが、非応答患者(0/6)では検出されなかった。著者らは、BCMA特異的抗体の誘発は骨髄腫細胞の排除及び患者の長期緩解に寄与すると推測している。
BAFF及びAPRIL(増殖誘導リガンド(a proliferation inducing ligand))はTNFスーパーファミリーの2つのリガンドであり、BCMA、TACI及びBAFFRと結合し、これらを活性化する。ザイモジネティクス社(Zymogenetics, Inc.)は、ヒト免疫グロブリンのFcドメインをTACIと融合させることによって、これら両リガンドを中和してレセプターの活性化を妨げるアタシセプト(Atacicept;TACI-Ig)を作製した。アタシセプトは、これまでのところ全身性エリテマトーデス(SLE、フェースIII)、多発性硬化症(MS、フェースII)及び慢性関節リウマチ(RA、フェースII)の治療について臨床試験中であり、加えてB細胞の悪性疾患である慢性リンパ球性白血病(CLL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)及びMMの治療についてフェースI臨床試験中である。前臨床試験では、アタシセプトは、初代MM細胞及びMM細胞株の増殖並びに生存をin vitro(Moreaux et al, Blood, 2004, 103)及びin vivo(Yaccoby et al, Leukemia, 2008, 22, 406-13)で低下させ、TACIリガンドとMM細胞との関連性を示した。ほとんどのMM細胞及び派性細胞株はBCMA及びTACIを発現するので、両レセプターはリガンド媒介増殖及び生存に寄与する可能性がある。これらのデータは、BCMA及びTACIの両リガンドとの対抗は、形質細胞異常の治療に有益である可能性を示唆する。さらにまた、TACIと交差反応するBCMA特異的抗体が記載されている(WO 02/066516)。
BCMA mRNAは悪性の形質細胞異常であるMM、形質細胞腫及び形質細胞白血病で大いに上昇する。正常組織での発現は低く、リンパ系組織及び結腸に限定される。結腸でBCMAを発現する細胞タイプの性質は、非常に密なリンパ系ネットワークが当該消化管を覆っているために未だ解明されていない。
好ましくは、二重特異性結合因子の第一の結合ドメインは、レセプタータンパク質の細胞外ドメインに位置するBCMAのエピトープと結合する(例えばWO 00/40716を参照されたい)。
第二の標的分子はCD3である。
CD3複合体は、多分子性T細胞レセプター複合体の部分として成熟ヒトT細胞、胸腺細胞及びナチュラルキラー細胞サブセットで発現される抗原を指す。T細胞レセプター(TCR)複合体は中心構成要素としてTCRα及びβ鎖を含み、前記は、1つのγ及びδ鎖に加えて2つのε及びξ鎖から成るCD3複合体によってフランキングされる。CD3はTCRのシグナル移転をもたらす。LinとWeiss(Journal of Cell Science, 2001, 114:243-244)が記載したように、MHC提示特異的抗原エピトープの結合によるTCR複合体の活性化は、Srcファミリーキナーゼによるイムノレセプターチロシン系活性化モチーフ(ITAM)のリン酸化を生じ、前記のリン酸化は、T細胞の活性化(Ca2+の放出を含む)をもたらす更なるキナーゼ動員の引き金となる。T細胞上でのCD3のクラスター形成(例えば抗CD3抗体の固定による)は、T細胞レセプターの嵌合と類似するがただしそのクローンに典型的な特異性とは別個のT細胞活性化をもたらす。T細胞活性の調節におけるその中心的役割の故に、TCR/CD3を結合することができる分子を開発する試みが為されてきた。この作業の多くは、ヒトCD3抗原に特異的な抗体の作製に集中した。
抗CD3抗体の代表例はマウスモノクローナル抗体OKT3で、FDAが承認した最初のモノクローナル抗体であった。OKT3は強力なT細胞マイトジェン(Van Wauve, J. Immunol. 124 (1980), 2708-18;US 4,361,549)であり、強力なT細胞キラー(Wong, Transplantation 50 (1990), 683-9)であると報告された。CD3抗原に特異的な他の抗体もまた報告された(WO 04/106380;US 20040202657;US 6,750,325;US 6,706,265;EP 0504350;及びClark et al., European J. Immunol. 1989, 19:381-388;US 5,968,509)。
US5,885,573によればマウス抗体OKT3はその免疫原性を低下させるためにヒト抗体のフレームワークに移された。さらにまた、US5,885,573は、CH2領域内のOKT3のFcレセプター(“FcR”)-結合セグメントの特異的な変異を開示する(前記変異はヒトFcRに対する結合親和性の改変を生じると期待される)。US5,929,212は、その結合領域がマウス抗CD3抗体(例えばOKT3)の重鎖及び/又は軽鎖可変領域から誘導され,ヒトフレームワークに移植された組換え抗体分子を開示する。WO98/52975は、親のOKT3よりも安定であると考えられるマウス抗CD3抗体OKT3の変異導入変種を開示する。
OKT3は、異系移植片拒絶の治療のために強力な免疫抑制剤として臨床移植で用いられている。いくつかの文献は、T細胞とFcyR-保持細胞との間の架橋及びヒト抗マウス抗体(HAMA)応答によるサイトカイン放出に関係する副作用を軽減する改変(例えばOKT3のヒト化)を記載している(例えばUS5,929,212;US5,885,573)。OKT3又は他の抗CD3抗体はまた、T細胞活性化及び増殖を刺激する免疫強化剤として記載されている(US6,406,696;US6,143,297;US 6,113,901;Yannelly 1990, J. Immunol. Meth. 1, 91-100)。抗CD3抗体はまた、T細胞増殖を誘発するために抗CD28抗体と併用される因子として記載されている(US6,352,694)。OKT3はさらに、細胞傷害T細胞を腫瘍細胞又はウイルス感染細胞へ誘導するために単独で用いられるか、又は二重特異性抗体の成分として用いられている(Nitta 1990, Lancet 335, 368-376;Sanna 1995, Bio/Technology 13, 1221-1224;WO99/54440)。
本発明の二重特異性結合因子は、前記第一及び第二の結合ドメインに加えて、腫瘍細胞に対する選択性を強化するため、又は二パラトープ性腫瘍細胞結合により親和性を増強するために更なる結合ドメインを含んでもよい。これは、形質細胞で発現される他の抗原(例えばCS-1、HM1,24、CD38、CD138又はCD70)と結合する結合ドメインを提供し、及び形質細胞又は腫瘍細胞の二重特異性結合の後でのみ最適な親和性が達成されるように親和性をバランスさせることによって達成できる。
二重特異性結合因子は、抗体分子又は抗体様分子又は抗体様特性を有するタンパク質足場又は少なくとも2つの結合特異性を有する環状ペプチドの形態であり得る。
特段の指示又は規定がなければ、用いられる全ての用語は、当業者には明白な当業界におけるそれらの通常の意味を有する。例えば以下の標準的なハンドブックの他に本明細書で引用する一般的背景技術が同様に参照される:Sambrook et al,“Molecular Cloning: A Laboratory Manual”(2nd Ed.), VoIs. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989);Lewin,“Genes IV”,Oxford University Press, New York, (1990), and Roitt et al.,“Immunology”(2nd Ed.), Gower Medical Publishing, London, New York (1989)。さらにまた、特段の指示がなければ、具体的に詳細に記載されているわけではない全ての方法、工程、技術及び操作が実施可能であり、それらはそれ自体公知の態様でこれまで実施されてきており、当業者には明白であろう。繰り返せば、標準的ハンドブック、上記で言及した一般的背景技術、及びその中で引用されたさらに別の参考文献が参照される。
特段の指示がなければ、“抗体”又は“免疫グロブリン”という用語は、完全サイズの抗体、その個々の鎖、さらにその部分、ドメイン又はフラグメントの全てを含む一般的用語として用いられる。
“抗体分子”(又は免疫グロブリン若しくはIg)という用語は、抗体(特にヒト抗体)、抗体フラグメント、抗体様分子、及び前述の抗体分子のいずれかとの結合物(例えばヒト血清アルブミンとの結合物又は例えば131ヨウ素、カルケアミシン、アウリスタチン又は他のものとの免疫結合物の形にあるもの)を包含する。抗体には、モノクローナル、キメラ化モノクローナル、二重特異性又はマルチ特異性抗体が含まれるが、ただしこれらに限定されない。「抗体」という用語は、2つの重鎖及び2つの軽鎖を含む完全な免疫グロブリン、例えばリンパ球により生成されて例えば血清中に存在する完全なヒト抗体、ハイブリドーマ細胞株により分泌されるモノクローナル抗体、宿主細胞での組換え体発現により生成されるポリペプチド(免疫グロブリン又はモノクローナル抗体の結合特異性を有する)、及び前記の免疫グロブリン、モノクローナル抗体又はポリペプチドからそれらの結合特異性を保持しつつ更なるプロセッシング又は組換え体発現により誘導された分子を包含するであろう。
抗体フラグメント又は抗体様分子は、それらが抗原との特異的結合を示すかぎり、定常領域の一部分のみを含むか、又は定常ドメインが欠落していてもよい。定常領域のタイプ及び長さの選択は、補体結合又は抗体依存細胞傷害性のようなエフェクター機能が所望されない場合は、主に当該抗体タンパク質の所望の薬理学的特性に左右される。抗体分子は典型的には2つの軽鎖/重鎖対から成るテトラマーであるが、ダイマー(すなわち1つの軽鎖/重鎖対から成る、例えばFab又はFvフラグメント)でもよく、又は単鎖モノマー抗体(scFv)であってもよい。抗原結合抗体フラグメント又は抗体様分子(単鎖抗体及び線状抗体を含む)は、単一のポリペプチド上に、可変領域のみ又は以下(軽鎖の定常ドメイン、CH1、ヒンジ領域、CH2、及びCH3ドメイン)の全部又は部分と組み合わされた可変領域含むことができる。前記は、例えばいわゆる“SMIP(商標)”(“小モジュール型免疫医薬”(Small Modular Immunopharmaceutical)であり、 その結合ドメインFv(Fvは単鎖ヒンジ及び定常ドメインCH1を欠くエフェクタードメインに連結される)として単一ポリペプチドを利用する抗体様分子である(WO02/056910)。SMIP(商標)はモノマー又はダイマーとして調製できるが、慣用的抗体のダイマー-ダイマー構造をとることはできない。いわゆるスコーピオン(2つの結合特異性を有するSMIPの拡張型)はWO2007/146968に記載されている。VHH又はVH(以下で規定)もまた“抗体様分子”又は“抗体フラグメント”のカテゴリーに入る。
“結合ドメイン”又は“抗原結合ドメイン”は、対応する標的分子(すなわちBCMA又はCD3)の構造/抗原/エピトープと結合/相互作用する二重特異性結合因子内の領域を指す。前記は可変領域、特に標的分子との接触表面を形成する相補性決定領域(CDR)を指すことができる。
本発明の二重特異性結合因子(又はその結合ドメインの各々)は、その標的分子BCMA及びCD3に関する構造/エピトープ/抗原と“結合するか”若しくは“特異的に結合するか”、前記に対し“親和性を有し”、及び/又は前記に対し“特異性を有するか”若しくは前記と“相互作用する”、又はその標的分子に関するそのような構造/抗原/エピトープに“対抗するか”又は前記に対する“結合”分子であるか又は前記に対して“結合特異性”を有する。
一般的に、“特異性”という用語は、個々の抗原結合分子が結合することができる、種々のタイプの抗原又はエピトープの数を指す。抗原結合分子の特異性は、その親和性及び/又はアビディティーを基準に決定することができる(本文脈では、“抗原結合分子”という用語はそれぞれBCMA-又はCD3-結合ドメインのどちらかを指す)。親和性(ある抗原のある抗原結合タンパク質に関する解離平衡定数(KD)によって表される)は、あるエピトープと抗原結合分子のある抗原結合部位との間の結合強度の測定値であり、KDの値が小さければ小さいほど、エピトープと抗原結合分子との間の結合強度は強い(或いは親和性はまた親和性定数(KA)として表すことができ、KAは1/KDである)。当業者には明らかであるが、親和性は、対象となる具体的な抗原に応じて、それ自体公知の態様で決定することができる。アビディティーは、抗原結合分子と該当する抗原との結合強度の測定値である。アビディティーは、エピトープと抗原結合分子上の抗原結合部位との間の親和性及び抗原結合分子に存在する該当する結合部位の数の両方に関係する。
“エピトープ”又は“抗原決定基”という用語(前記は互換的に用いることができる)は、本発明の二重特異性結合因子の対応する抗原結合ドメインによって認識される標的分子の部分を指す。エピトープは、抗体又は抗体様分子のための最小結合部位を規定し、したがって特異性を前記抗原結合分子に伝える。
第一の特徴では、二重特異性結合因子は二重特異性抗体分子又はそのフラグメントの形態を有し、第一の結合ドメイン及び第二の結合ドメインを含む少なくとも2つの結合ドメインを有し、ここで前記第一の結合ドメインはBCMAと結合し、前記第二の結合ドメインはCD3と結合する。
二重特異性を有する完全長抗体は、2つのモノクローナル抗体の共有結合によって、又は通常のハイブリッド-ハイブリドーマ技術によって入手できる。
2つのモノクローナル抗体の共有結合は以下の文献に記載されている(Anderson, Blood 80 (1992), 2826-34)。本発明の関係では、抗体の一方はBCMAに特異的で、他方の抗体はCD3に特異的である。例示すれば、BCMA特異的抗体、例えばVicky-1(Santa Cruz, # sc-57037)又はMab193(R&D, #MAB193)が、抗CD3モノクローナル抗体、例えばOKT3(ATCC CRL 8001)又は別の抗CD3抗体、例えばWT32、抗leu-4、UCHT-1、SPV-3TA又はSPV-T3Bに化学的に結合される。
二重特異性抗体はまたハイブリッドハイブリドーマ技術によって入手できる。例示すれば、モノクローナル抗BCMA抗体を生成するハイブリドーマ(例えば当分野で公知のようにマウス又はラットの免疫によって入手されるもの)を、OKT3(ATCC CRL 8001)又は別の抗CD3抗体(例えばWT32、抗leu-4、UCHT-1、SPV-3TA又はSPV-T3B)を生成するハイブリドーマと融合させることができる。得られた融合細胞株は、重鎖及び軽鎖の多数の異なる並べ替えを有する種々の抗体を生成し、したがって例えば文献(Anderson, Blood 80 (1992), 2826-34)に記載されたように、固定抗原を用いてアフィニティクロマトグラフィーによって所望の二重特異性分子を精製することが必要である。
ハイブリッドハイブリドーマ方法の収量は低いので、本発明の完全Ig二重特異性結合因子を得る好ましい方法は、Ridgwayら(Protein Engineering, vol. 9, no. 7, pp. 617-621, 1996)が記載した原理を基にする。この方法は、一方の鎖内にかさ高いアミノ酸をさらに他方の鎖により小さなアミノ酸を導入し、それによってドナー及びアクセプターフレームワークを作出することによって得られる、CH3ドメイン内改変を含む定常領域フレームワークを用いる。前記改変はペアリングを制限して、ヘテロダイマー形成のみを許容するがホモダイマー形成は許容しない。本発明の関係では、抗BCA抗体の可変ドメインをコードするDNA分子はドナーフレームワーク内でクローニングされ、抗CD3抗体の可変ドメインをコードするDNA分子はアクセプターフレームワーク内でクローニングされるか、又はその逆である。抗BCMA抗体配列は、BCMA特異的抗体(例えば市販の抗体又は本明細書に記載した方法によって得られる抗体)の軽鎖及び重鎖の可変領域のタンパク質の配列決定から導くか、又はそれらは、例えばHarlowとLaneの著作(Antibodies, A Laboratory Manual (1988), Cold Spring Harbor)に記載された通常的方法を用いて、BCMAで免疫して作製したハイブリドーマのRNAの塩基配列の決定によって入手できる。抗CD3抗体配列は公開された配列(例えばUS7,381,803又はWO2008/119567に開示された配列)から導くことができる。続いて、抗体の成分をコードするcDNAが同じ宿主細胞に導入され、続いて前記細胞は、2つの別個の特異性を有する2つの別個のscIg鎖を発現し、これらは自己アッセンブリしてヘテロダイマーを形成し、それによってFc部分を含む二重特異性キメラ抗体を生じる。
好ましい実施態様では、本発明の二重特異性結合因子は、標的分子BCMA及びCD3と結合する機能に加えて第三の機能を有する。この形態では、二重特異性結合因子は、BCMAとの結合による形質細胞のターゲッティング、CD3結合による細胞傷害T細胞活性の媒介、及びNK細胞のようなエフェクター細胞の動員により抗体依存細胞性細胞傷害作用を媒介する完全に機能的なFc定常ドメインの提供によって三機能を示す分子である。そのような三機能性を示す二重特異性結合因子の例は、例えばUS,655,1592に記載されているトリオマブ(商標)(Triomab(商標))と称される薬剤、及び同じ二重特異性結合性能を有する抗体様分子の全て(例えば、FcR結合ドメインと結合させた下記に記載する二重特異性scFvフラグメントによって提供される)である。
したがって、この特徴によれば、本発明の二重特異性結合因子は、BCMAとの相互作用のための1つの結合ドメイン、CD3との結合のための1つの結合ドメイン、及び第三の機能として、アクセサリー細胞で発現されるFcγレセプタータイプI(CD64)、IIa(CD32a)及びIII(CD16)を活性化させるためにその機能的結合特性を保持する完全なFc領域を有する。一方、本発明のこの特徴にしたがえば、完全な二重特異性抗体形態を有する二重特異性結合因子は、CD3に特異的な結合アームでT細胞と結合して同時にこれを活性化し、二重特異性抗体のFc部分と結合したFcレセプター陽性細胞の共刺激シグナルはT細胞に移転され得る。
トリオマブ(商標)は、例えばWO95/33844に記載されているクォドローマ技術により、ラットIgG2b BCMA特異的ハイブリドーマをマウスIgG2a CD3特異的ハイブリドーマと融合させ、それによってクォドローマを形成することによって生成される。得られた細胞は、親型CD3特異的ラット重鎖及び軽鎖並びに親型BCMAマウス重鎖及び軽鎖を生成する。これらの鎖は自己集合して、親型マウス及びラット抗体のホモダイマーとともに前記2つの特異性を有するキメラ抗体を形成する。キメラ抗体(前記はヒト化されない)は、親型一特異性抗体を除去するために精製する必要がある。例示すれば、CD3特異抗体を生成するハイブリドーマはマウスIgG2a生成OKT3細胞株であり得る。記載されたようにラットを免疫して誘導したハイブリドーマ(BCMA特異的ラットIgG2bを生成する)と前記OKT3細胞株を融合させる。生成された二重特異性結合因子はクォドローマ細胞によって上清に分泌され、例えばWO95/33844に記載されたように二工程プロセスを用いて精製される。前記二工程プロセスでは、第一の工程は第一の種に特異的であり、前記第一の工程は全てのホモダイマー及び全てのヘテロダイマーをもたらす。第二の精製プロセスは第二の種に特異的でありヘテロダイマー種のみをもたらし、CD3及びBCMAに加えてエフェクター細胞上のFcレセプターと結合する三機能を有する結合因子が得られる。
別の実施態様では、二重特異性結合因子は抗体様分子の形態を有する。前記抗体様分子は、異なる特異性を有する2つの連続するN-末端可変ドメインを含む重鎖及び異なる特異性の2つの連続する可変ドメインを含む軽鎖を有し、その結果2つの異なる特異性を有する4つの結合ドメインを生じ(Wu et al., Nat. Biotechnology, 2007, 25(11))、ここで一方の特異性はCD3で他方の特異性はBCMAである。
さらに別の実施態様では、二重特異性結合因子は抗体フラグメントの形態を有する。二重特異性抗体フラグメントの例はジアボディで(Kipriyanov, Int. J. Cancer 77 (1998), 763-772)、前記は小さな二価及び二重特異性抗体フラグメントである。ジアボディは、同じポリペプチド鎖上で軽鎖可変ドメイン(VL)と結合した重鎖(VH)可変ドメインを含み(VH-VL)、それらドメインは同じ鎖上の2つのドメイン間でペアリングを許容するには短すぎるペプチドリンカーによって結合されている。このことは、別の鎖の相補性ドメインとのペアリングを強いることになり、2つの機能性抗原結合部位を有するダイマー分子のアッセンブリを促進する。
本発明の二重特異性ジアボディを構築するために、抗CD3抗体及び抗BCMA抗体のVドメインを融合させて、2つの鎖VH(CD3)−VL(BCMA)、VH(BCMA)−VL(CD3)を作製する。各鎖は単独では対応する抗原と結合できないが、他方の鎖と対を形成したとき抗CD3抗体及び抗BCMA抗体の機能的な抗原結合部位を再生する。この2つのscFv分子(重鎖可変ドメインと軽鎖可変ドメインの間に分子内でダイマーを形成するには短すぎるリンカーを有する)は、同時発現されて自己アッセンブリし、反対側の末端に2つの結合部位を有する二重特異性分子を形成する。例示すれば、BCMA及びCD3のための結合ドメインをそれぞれコードする可変領域は、記載にしたがって入手したDNA構築物からPCRによって増幅し、文献(Kipiriyanov et al., J. Immunol. Methods, 200, 69-77)(1997a)に記載されたようにベクター(例えばpHOG)でクローニングできる。続いて2つのscFv構築物を所望の向きで1つの発現ベクターに結合させ、それによってVH-VLリンカーを短縮しそれ自身の中で鎖の折り畳みが発生するのを防止する。DNAセグメントはSTOPコドン及びリボソーム結合部位(RBS)で分離される。RBSは、二シストロンメッセージとしてのmRNAの転写を許容し、前記はリボソームにより2つのタンパク質(共有結合的相互作用を示さない)に転写されてジアボディを形成する。ジアボディは、他の抗体フラグメントと同様に、細菌(大腸菌(E. coli))及び酵母(ピキア・パストリス(Pichia pastoris))において機能的な形態で及び高い収量で(1g/Lに達する)発現され得るという利点を有する。scFvは、当業界で周知のように抗体又はファージディスプレイから誘導できる。前記は例えば以下に記載されている:Tungpradabkul et. al., Molecular Immunology, Volume 42, Issue 6, April 2005, 713-719;Yang D-F. et al., World J Gastroenterol 2005;11(21):3300-3303。
好ましい特徴にしたがえば、本発明の二重特異性結合因子は二重特異性単鎖抗体構築物の形態を有し、したがって前記構築物は少なくとも2つの結合ドメインを含むか又は前記から成り、したがって前記ドメインの1つはヒトBCMAと結合し、第二のドメインはヒトCD3と結合する。そのような分子(“二重特異性T細胞嵌合剤”(BiTT(商標))とも称される)は、リンカーペプチドを介して結合された2つのscFvから成る。前記は例えば以下に記載されている:WO2004/106383、WO2007/073499及びWO2004/106381。二重特異性scFvは、2つの重鎖及び2つの軽鎖可変領域の融合タンパク質としてCHO細胞で発現される。(BiTE(商標)は単にその一方のアームがCD3に特異的である二重特異性分子を指す。)scFvは一般的には免疫動物から作製したファージライブラリーを用いて選択される。通常的なげっ歯類抗体をscFvへ変換することもまた可能である。
この特徴にしたがえば、対応する可変重鎖領域(VH)及び対応する可変軽鎖領域(VL)は、N-末端からC-末端に以下の順序で編成される:
VH(BCMA)−VL(BCMA)−VH(CD3)−VL(CD3)、
VH(CD3)−VL(CD3)−VH(BCMA)−VL(BCMA)、又は
VH(CD3)−VL(CD3)−VL(BCMA)−VH(BCMA)。
本発明の好ましい実施態様では、CD3結合ドメインのVH及びVL領域は、WO2004/106383で提唱されているように、X35-3、VIT3、BMA030(BW264/56)、CLB-T3/3、CRIS7、YTH12.5、F111-409、CLB-T3.4.2、TR-66、WT32、SPv-T3b、llD8、XIII-141、XIII-46、XIII-87、12F6、T3/RW2-8C8、T3/RW2-4B6、OKT3D、M-T301、SMC2、WT31及びF101.01からなる群から選択されるCD3特異抗体に由来する。これらのCD3特異抗体は当業界では周知であり、とりわけ以下の文献に記載されている:Tunnacliffe (1989), Int. Immunol. 1, 546-550。具体的な実施態様にしたがえば、前記CD3特異的ドメインの前記VH及びVL領域は、上記に記載したように抗体OKT3又はその改変型に由来する。別の実施態様では、VH及びVL領域は、トラウネッカー(Traunecker (1991), EMBO J. 10, 3655-3659)が記載したCD3分子に特異性を有する抗体/抗体誘導体のものであるか又はそれらに由来する。有用な抗体の他の例はWO2008/119567及びUS7,381,803に記載されている。
前記VH及びVL領域は抗体/抗体分子及び抗体様分子に由来する(前記抗体/抗体分子及び抗体様分子は、その本来の立体構造のTCRを発現する活性化初代ヒトT細胞に存在する他のTCRサブユニットの環境でヒトCD3ε鎖を特異的に認識することができる。したがって、CD3ε鎖に特異的な抗体に由来するVH及びVL領域がもっとも好ましくは、前記(親型)抗体は、TCR複合体の環境で提示されるヒトCD3の本来の若しくは本来のものに近い構造を反映するエピトープ又はその立体的エピトープと特異的に結合することができるはずである。WO2004/106383で説明されているように、そのような抗体は“グループII”抗体として分類されている。さらに別の分類は、CD3に対する“グループI”及び“グループIII”抗体の定義を含む。“グループI”抗体は、UCHT1と同様に、組換えタンパク質として及び細胞表面のTCRの部分として発現されたCD3ε鎖を認識する。したがって、“グループI”抗体はCD3ε鎖に高度に特異的である。対照的に、“グループII抗体”は、他のTCRサブユニットと結合した本来のTCR複合体においてのみCD3ε鎖を認識する。理論に拘束されないが、“グループII”抗体では、TCRの環境がCD3ε鎖の認識のために要求されると推測できる。
上記及び下記に記載の二重特異性単鎖抗体構築物は、例えば文献(Gabbard et al., Methods for the humanization, Protein Engineering, Design & Selection vol. 22 no. 3 pp. 189-198, 2009)の記載にしたがってヒト化すること、及び/又はUS2009/0022738の記載にしたがって脱免疫化する方法は当業者には知られたものである。
別の実施態様では、2つのscFv分子は、WO2009/126920に記載されるように、リンカー(BiTEの場合)の代わりにヒト血清アルブミン(HAS)分子(構築物の半減期の延長のために役立つ)によって連結され、前記構築物は単一分子として発現される。血漿中のタンパク質は定常的に内皮細胞によって部分採取されて通常は分解される。しかしながら、抗体のCH2-CH3ヒンジ領域は酸性エンドソーム内で新生Fcレセプター(FcRn)と結合することができ、これにより分解が阻害され抗体分子の再生利用がもたらされる。抗体に加えて、FcRnもHSAと異なる部位で結合することができ、これによって、アルブミン及びアルブミン結合分子の血清半減期の延長に寄与する同様な再利用プロセスがもたらされる。WO2009/126920の多様な教示では、1つの結合ドメインはBCMAに特異的であり、当該分子を腫瘍細胞へ誘導し、他方はCD3媒介T細胞溶解のためにCD3と結合する。
さらに別の実施態様では、本発明の二重特異性結合因子は、VHH及びVHのような二重特異性免疫グロブリン単一可変ドメインの形態を有する。
本明細書で用いられる“免疫グロブリン単一可変ドメイン”という用語は、別の可変免疫グロブリンドメインと対を形成することなく抗原のエピトープと特異的に結合できる免疫グロブリン可変ドメインを意味する。本発明の意味する免疫グロブリン一可変ドメインの例は、VH及びVL並びに(VHドメイン及びVLドメイン)、並びに以下で定義するラクダ科の動物由来の“VHHドメイン”(又は単に“VHH”)である。
“VHHドメイン”(VHH、VHHドメイン、VHH抗体フラグメント及びVHH抗体としても知られている)は、最初“重鎖抗体”(すなわち“軽鎖を欠く抗体”;Hamers-Casterman C, Atarhouch T, Muyldermans S, Robinson G, Hamers C, Songa EB, Bendahman N, Hamers R.:“Naturally occurring antibodies devoid of light chains”:Nature 363, 446-448 (1993))の抗原結合免疫グロブリン(可変)ドメインとして記載された。“VHHドメイン”という用語は、これらの可変ドメインを、通常の4鎖抗体に存在する重鎖可変ドメイン(“VHドメイン”)及び通常の4鎖抗体に存在する軽鎖可変ドメイン(“VLドメイン”)と区別するために選択された。VH又はVLドメイン(前記は通常単一抗原結合ドメインとしてエピトープと結合しないであろう)とは反対に、VHHドメインは別の抗原結合ドメインの非存在下でエピトープと特異的に結合できる。VHHドメインは、単一の免疫グロブリンドメインによって形成される小さく頑丈で効率的な抗原認識ユニットである。
本発明の関係では、VHHドメイン、VHH、VHHドメイン、VHH抗体フラグメント、VHH抗体という用語に加えて、“ナノボディ(商標)(Nanobody(商標))”及び“ナノボディ(商標)ドメイン”(“ナノボディ”とはAblynx N.V.社(Ghent, Belgium)の商標である)は互換的に用いられ、それらは免疫グロブリン単一可変ドメインの代表例であり(一般構造FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4を有し、第二の免疫グロブリン可変ドメインの存在を要求することなくエピトープと特異的に結合する)、さらにWO2009/109635の図1に定義されているようにいわゆる“認証残基”によってVHとは区別される。
“VHドメイン”及び“VLドメイン”(又は単に“VH”又は“VL”)(前記は4鎖抗体(特にヒト抗体)に由来する)は、“単一ドメイン抗体”であり、前記はまた“ドメイン抗体(domain antibody)”、“Dab”、“ドメイン抗体(Domain Antibody)”及び“dAb”としても知られ(“ドメイン抗体”及び“dAb”という用語はグラクソスミスクライン(GlaxoSmithKline)グループ社によって商標として用いられている)、例えば以下の文献に記載されている:Ward, E.S., et al.“Binding activities of a repertoire of single immunoglobulin variable domains secreted from Escherichia coli”, Nature 341: 544-546 (1989); Holt, L.J. et al.,“Domain antibodies: proteins for therapy”, TRENDS in Biotechnology 21(11): 484-490 (2003);及びWO2003/002609。単一ドメイン抗体は、非ラクダ科哺乳動物(特にヒト)の抗体の重鎖又は軽鎖のどちらかの可変ドメインと一致する。単一抗原結合ドメインとして(すなわちVL又はVHドメインとそれぞれ対を形成することなく)エピトープと結合させるために、例えばヒト単一VH又はVLドメイン配列のライブラリーを用いることによってそのような抗原結合特性のための特別な選択が要求される。
この特徴にしたがえば、本発明の二重特異性結合因子は、抗原BCMAと結合する1つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメイン及び抗原CD3と結合する1つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインを含む。好ましい特徴では、免疫グロブリン単一可変ドメインはVHHである。
より具体的には、本発明のそのような二重特異性結合因子は、本質的には(i)BCMAのエピトープと特異的に結合する第一の免疫グロブリン単一可変ドメイン、及び(ii)CD3のエピトープと特異的に結合する第二の免疫グロブリン単一可変ドメインから成るか又は前記を含み、前記免疫グロブリン単一可変ドメインは、それらがBCMA及びCD3と同時に結合できるように互いに連結される。
本発明の二重特異性免疫グロブリン単一可変ドメインは、(少なくとも)1つの抗BCMA免疫グロブリン単一可変ドメイン及び(少なくとも)1つの抗CD3免疫グロブリン単一可変ドメインを含む。本発明の具体的な実施態様にしたがえば、本発明の二重特異性結合因子が、2つ以上の抗BCMA免疫グロブリン単一可変ドメイン及び/又は2つ以上の抗CD3免疫グロブリン単一可変ドメイン(すなわち3つ、4つ、又は5つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメイン)を含む事例では、抗BCMA免疫グロブリン単一可変ドメインの少なくとも2つ又は抗CD3免疫グロブリン単一可変ドメインの少なくとも2つがBCMA又はおそらくCD3分子内のそれぞれ異なるエピトープに対抗する。
本発明にしたがえば、前記2つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインは互いに別個にVHH又はVHであり得るが、ただしこれらの免疫グロブリン単一可変ドメインがそれぞれ抗原(すなわちBCMA又はCD3)と結合することを条件とする。
2つの免疫グロブリン単一可変ドメインは同じタイプの免疫グロブリン単一可変ドメインであってもよい。すなわち両方の免疫グロブリン単一可変ドメインがVHH又はVH形態を有する。好ましくは、第一及び第二の免疫グロブリン単一可変ドメインはVHHであり、前記は好ましくはヒト化VHHである。したがって、本発明は、(場合によってヒト化された)抗BCMA VHH及び(場合によってヒト化された)抗CD3 VHHを含む二重特異性結合因子に関する。しかしながら、二重特異性結合因子は、同様に他の二重特異性免疫グロブリン単一可変ドメイン(例えばVH)であってもよい。
本発明の二重特異性結合因子は、二重特異性免疫グロブリン単一可変ドメインの形態を有する場合には、1つ以上のCDRで1つ以上の変更を有することによってアフィニティ成熟させることができる(前記変更は、対応する親の標的結合分子と比較して一方又は両方の標的分子に対して親和性の改善をもたらす)。アフィニティ成熟の方法は、例えば以下の文献によって当業界では公知である:Marks et al., 1992, Biotechnology 10:779-783;Barbas, et al., 1994, Proc. Nat. Acad. Sci, USA 91: 3809-3813;Shier et al., 1995, Gene 169:147-155;Yelton et al., 1995, Immunol. 155: 1994-2004;Jackson et al., 1995, J. Immunol. 154(7):3310-9;Hawkins et al., 1992, J. MoI. Biol. 226(3): 889 896;Johnson KS and Hawkins RE,“Affinity maturation of antibodies using phage display”,Oxford University Press 1996。
別の特徴にしたがえば、本発明の二重特異性結合因子は、例えば免疫グロブリン単一可変ドメインの形態を有する場合には、ヒト化工程を含むことによって、すなわち天然に存在するVHH配列のアミノ酸配列中の1つ以上のアミノ酸残基を、ヒトの通常の4鎖抗体の重鎖可変ドメイン中の対応する位置に存在する1つ以上のアミノ酸残基に置き換えることによって入手された。前記工程は当業界で公知の方法を用いて実施でき、前記方法は当業者によって日常的に用いられ得る。ヒト化VHHドメインは1つ以上の完全にヒトのフレームワーク領域配列を含むことができ、より具体的な実施態様では、ヒト化VHHドメインは、ヒト生殖系列のVh3配列であるDP-29、DP-47、DP51又は前記の部分、又は前記に対して高度に相同なものに由来するヒトフレームワーク領域配列を含むことができる。したがって、ヒト化プロトコルは、VHH残基のいずれかを、単独又は組み合わせて生殖系列のVH遺伝子(例えばDP47、DP29及びDP51)の対応するフレームワーク1、2及び3(FR1、FR2及びFR3)の残基で置換する工程を含むことができる。本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインの適切なフレームワーク領域(FR)は、WO2006/004678に示されるものから選択することができ、具体的にはいわゆる“KERE”及び“GLEW”クラスが含まれる。
本発明のある種の実施態様にしたがえば、少なくとも2つの免疫グロブリン単一可変ドメインは、直接(すなわちリンカーを使用しないで)又はリンカーを介して互いに結合させることができる。リンカーは好ましくはリンカーペプチドであり、前記少なくとも2つの別個の免疫グロブリン単一可変ドメインとそれらの対応する標的分子との結合が許容されるように選択されるであろう。リンカーは通常18以上のアミノ酸、例えば20−40アミノ酸残基を含む。上限は重要ではないが、例えばそのようなポリペプチドの生物医薬の製造に関して便利であるという理由により選択される。
さらにまた、2つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインは、それぞれ第三のVH又はVHHを介して互いに結合させることができる(そのような二重特異性結合因子では、2つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインは前記第三の免疫グロブリン単一可変ドメインと直接結合されるか、又は適切なリンカーを介して結合させることができる)。そのような第三のVH又はVHHは、例えば以下に記載するように半減期の延長を提供するVH又はVHHであり得る。例えば後者のVH又はVHHは、(ヒト)血清蛋白質(例えば(ヒト)血清アルブミン又は(ヒト)トランスフェリン)と結合できるVH又はVHHであり得る。
本発明の好ましい実施態様にしたがえば、二重特異性結合因子は、二重特異性免疫グロブリン単一可変ドメイン形態を有する場合、患者の血清又は他の体液中で本発明のポリペプチドの半減期を延長する成分、例えばFc部分、アルブミン成分、アルブミン成分の部分、アルブミン結合成分(例えば抗アルブミン免疫グロブリン単一可変ドメイン)、トランスフェリン結合成分(例えば抗トランスフェリン免疫グロブリン単一可変ドメイン)、ポリオキシアルキレン分子(例えばポリエチレングリコール分子)又はアルブミン結合ペプチドを含む。
二重特異性免疫グロブリン単一可変ドメインがPEG部分の添付によって改変される場合、リンカー配列は好ましくはアミノ酸残基(例えばシステイン又はリジン)を含み、リンカー領域におけるそのような改変(例えばPEG化)を可能にする。別の好ましい実施態様では、本発明のポリペプチドは、血中で見出される抗原(例えば血清アルブミン)と結合する成分を含む。
免疫グロブリン単一可変ドメイン形態を有する本発明の二重特異性結合因子を作製するために、第一の工程で、ヒトVH又はVL遺伝子ライブラリーが、BCMA及びCD3特異的結合因子について例えばファージディスプレイ、リボソーム又はRNAディスプレイによってスクリーニングされる。この目的のために、組換えタンパク質として、例えば上記に記載のIg Fc融合タンパク質としてBCMAの細胞外ドメインをディスプレイの数ラウンドで用い、高度に特異的なファージ結合因子が同定されるまでBCMA特異的結合因子を濃縮することができる。続いてCDRをコードする領域をPCR増幅によって抽出し、ドメイン抗体形態にクローン化することができる。同様な手順でCD3特異的CDRを抽出するが、ただし組換えタンパク質の代わりに例えばCD3レセプター複合体を発現する細胞株を用い、生成された物質の結合が本来のCD3の立体構造に特異的であることを担保する。VHH型結合因子を作製するために、例えばWO2009/109572に記載されているように、それぞれBCMA又はCD3で免疫したラマのB細胞からライブラリー(例えばファージライブラリー)が作製される。両方の事例で、得られたBCMA及びCD3特異的scFv DNA分子はリンカーを提供するベクターでクローニングされ二重特異性結合因子遺伝子が生成される。前記遺伝子は、細菌宿主(例えば大腸菌)を前記ベクターで形質転換することによって発現され、二重特異性結合因子そのものが生成される。
別の特徴にしたがえば、本発明の二重特異性結合因子は、例えばWO03/025018及びWO03/048209に記載されたように、単鎖Fv分子(すなわち免疫グロブリン重鎖及び軽鎖可変ドメイン(それぞれVH及びVL)の結合によって形成される分子)の形態を有する。そのようなFv分子(TandAb(商標)として知られている)は4つの抗体可変ドメインを含み、ここで(a)前記4つの可変ドメインの最初の2つ又は最後の2つは、VH/VL又はVL/VHの向きで抗原結合scFvを形成することによって同じ鎖内で互いに分子内結合し、(b)他の2つのドメインはもう1つの鎖の対応するVH又はVLドメインと分子間結合して抗原結合VH/VL対を形成する。好ましい実施態様では、WO03/025018で提唱されたように、そのようなFv分子のモノマーは少なくとも4つの可変ドメインを含み、その1つのモノマーの隣接する2つのドメインは抗原結合VH-VL又はVL-VH scFvユニットを形成する。これら2つの可変ドメインは少なくとも5アミノ酸残基のペプチドリンカー(前記はscFvの分子内形成を妨げない)によって連結される。モノマーの少なくとも2つの可変ドメインは別のモノマーの2つの可変ドメインと非共有結合により結合して、少なくとも2つのまた別の抗原結合部位の形成をもたらし、マルチマー化モチーフを形成する。各モノマーのこれら2つの可変ドメインは最大12アミノ酸のペプチドリンカーによって結合される。
本発明にしたがえば、4つの抗体可変ドメインを有するFv分子形態のそのような二重特異性結合因子は少なくとも2つの特異性を有し、それによって少なくとも1つの結合ドメインはヒトBCMAに特異的であり、少なくとも1つの結合ドメインはヒトCD3に特異的である。これらのダイマー又はマルチマーFv分子は、WO03/025018及びWO03/048209に記載されたように調製できる。調製方法は標準的な方法であり、例えばペプチドリンカーが可変ドメインを連結できるようにペプチドリンカーをコードするDNA配列を、可変ドメインをコードするDNA配列とつないで、マルチマーFv抗体のモノマーをコードするDNA配列を形成し、種々のモノマーをコードするDNA配列を適切な発現系で発現させる。
例示すれば、BCMA特異抗体及びCD3特異抗体のVH及びVL遺伝子の可変領域は、BCMA-VH CD3-VL x BCMA-VL CD3-VH(全てペプチドリンカーで分離される)の向きで当該フラグメントをベクターでクローニングすることを可能にする制限部位を有するプライマーを用いてPCR増幅される。続いてこれらは発現系(原核又は真核細胞発現系)に導入され、生成タンパク質鎖はホモダイマーを形成して、VH-VLが結合した各特異性のための2つの結合ドメインを生じ、BCMA及びCD3結合のための二重特異性結合分子が生成される。
さらに別の実施態様では、二重特異性結合因子は二重特異性単鎖免疫医薬の形態を有する。そのような二重特異性免疫医薬(WO2007/146968に記載され、さらに前記はいわゆる“スコーピオンリンカー”が分子内に存在するために“SCORPION(商標)”と記載された)は、いわゆる“SMIP(商標)”(上記に記載した抗体様分子)の拡張されたものである。そのような免疫医薬の二重特異性変種は、分子の各末端にそれぞれ別個の結合ドメイン(BD1及びBD2)を含み、前記結合ドメインは免疫グロブリン定常ドメイン領域(例えばIgG CH2及びCH3ドメイン)にフランキングされてある。前記は、WO02/056910でSMIPについて記載されているように、真核細胞宿主で通常的な方法によって製造することができる。
WO2007/146968に記載されているように、単鎖結合スコーピオン分子の形態を有する本発明の二重特異性結合因子は、BCMAに特異的な抗体又は抗体様分子に由来する第一の結合ドメイン、第一の結合ドメインに対してC-末端に位置し、エフェクター機能を提供する定常部分領域、定常部分領域に対してC-末端に位置するスコーピオンリンカー、及びCD3に特異的な抗体又は抗体様分子に由来し、定常部分領域に対してC-末端に位置する第二の結合ドメインから成る。したがって、そのような構築物では、定常部分領域は、第一の結合ドメインと第二の結合ドメインの間に位置する。前記タンパク質のドメインの全てが1つの単鎖中に見出されるが、前記タンパク質は、例えば鎖間ジスルフィド結合形成によってホモマルチマーを形成することができる。例示すれば、BCMA又はCD3に特異的なscFvをコードするDNA分子は、本明細書に記載するように当業者に公知の分子クローニング技術によって作製される。CD3特異的VH及びVL配列はペプチドリンカーをコードするDNAストレッチによって連結され、それによってCD3結合ドメインを生成し、前記は分泌リーダー配列の5’末端及び免疫グロブリンCH2-CH3コード配列の3’末端でベクターに挿入される。BCMA特異的単鎖配列は、CD3配列について述べた態様でCH2-CH3配列の5’末端に挿入され、前記はシステイン残基を含むアミノ酸ストレッチをコードするDNAストレッチによって前記CH2-CH3配列から分離されてある。この構築物を哺乳動物発現系(例えばCHO細胞)にトランスフェクトする。培養中に、発現生成物は上清で見出され、上清中で前記生成物は前記システイン残基によって形成されるジスルフィド架橋を介してホモダイマーを形成し、CD3及びBCMAのための二価結合部位に加えて機能的なFc結合エフェクタードメインを有する二重特異性結合因子を形成する。
本発明の二重特異性結合因子はまた合成免疫グロブリンドメインの形態を有することができる。前記合成免疫グロブリンドメインは、抗体又は抗体様分子の構造的ループ、すなわちCDRではなく抗原結合に寄与しないループに操作された結合ドメインを有する。この分子は、例えばWO2006/072620、WO2008/003103に記載されたように、その2つの通常の重鎖/軽鎖を介して1つの抗原と、さらに構造的ループ中に操作された2つのまた別の結合部位を介して別の抗原と結合することができる。例示すると、この実施態様にしたがえば、二重特異性結合因子は重鎖及び軽鎖から成り、前記重鎖及び軽鎖は一緒になって特異的結合パートナー(すなわちBCMA)と第一の特異性によって結合する可変領域を形成できる。CD3に対する第二の特異性は、重鎖又は軽鎖のどちらかの任意の構造的ループ内(例えばCH3内)にCD3結合部位を含む改変領域によって提供される。そのようなまた別の結合部位はまた、構造的に隣接し得る(重鎖上又は軽鎖上又は両鎖上にある)2つ以上の非CDRループによって形成され得る。当該分子の構造的ループ内の結合部位は、完全なIgG抗体、抗原結合フラグメント(Fab)、単鎖抗体(scFv)の他にジアボディ又は単一ドメイン抗体から誘導するか、又はWO2006/072620、WO2008/003103で提唱されるようにディスプレイライブラリーから選択できる。例示すれば、BCMA特異的ハイブリドーマのタンパク質の配列決定から又はRNAから誘導したBCMA特異抗体のCDRを、標準的な分子生物学的技術により以前に記載されたように完全なIgフレームワークでクローン化し、二価BCMA結合抗体を形成する。この組換え抗体遺伝子のCH3は、既知のCD3特異抗体(例えばOKT3)又は本明細書に記載する他のものに由来するCD3結合ドメインを挿入し(前記挿入は、標準的分子生物学的技術を用い、制限酵素処理によりフラグメントの挿入を許容するプライマーを用い所望領域をPCR増幅することによって達成される)さらに発現ベクターでクローニングすることによって改変される。この操作によって、その可変ドメインでBCMA特異的CDRの部分をコードする軽鎖DNA配列、及びその可変領域でBCMA結合CDRの他の部分をコードするがまたCH3定常領域にCD3特異的結合ドメインを含む重鎖DNA配列がもたらされる。前記をCHO細胞にトランスフェクトし発現させたとき、前記2つのDNA分子から発現される生成タンパク質は集合して、BCMA及びCD3のための二価結合部位を含む、ジスルフィド結合形成による重鎖及び軽鎖のヘテロダイマーのホモダイマーを形成するであろう。
別の実施態様にしたがえば、二重特異性結合因子は、例えばUS2009082274に記載された二重特異性アンキリンリピート分子の形態を有する。これらの分子(“DARPin”としても知られている)は天然のアンキリンタンパク質から誘導され、前記はヒトのゲノムで見出すことができ、結合タンパク質のもっとも豊富なタイプの1つである。DARPinライブラリーモジュールは天然のアンキリンリピートタンパク質配列によって規定される(最初の設計のために229アンキリンリピート及びその後の精錬のために別の2200アンキリンリピートを用いる)。モジュールはDARPinライブラリーのための構築ブロックとして機能する。このライブラリーモジュールはヒトゲノム配列に類似する。DARPinは4から6モジュールを含む。各モジュールは約3.5kDaであるので、平均的なDARPinは16−21kDaであり、このことはDARPinをdAbに類似させる。この設計はDARPinを非常に安定なタンパク質にする。結合因子の選別はリボソームディスプレイによって実施される。前記は完全に無細胞で、以下に記載されている:He M and Taussing MJ., Biochem Soc Trans. 2007, Nov; 35(Pt 5):962-5。リボソームディスプレイはmRNA、リボソーム及びタンパク質の複合体(前記は表面結合リガンドに結合できる)を生じる。続いてこの複合体は安定化される。その後の結合(又は選り分け)段階で、この複合体は表面結合リガンドに導入される。良好に結合する複合体を固定し、続いて溶出してmRNAを解離させる。続いてこのmRNAをcDNAに逆転写し、変異導入を起こさせ、より強い選択圧を有するプロセスに繰り返し送り込み、さらに良好な結合因子を単離することができる。本発明に関して例示すれば、2つのDARPinは、例えば一方のDARPinのためには固定表面結合リガンドとしてBCMA-Fc融合タンパク質(R&D, #193-BC-050)を用い、他方のリガンドのためにはその天然の形態のCD3レセプター複合体を提供するヒトT細胞(精製されマイトジェンで活性化されてある)を用いて選別される。上記に記載したようにリボソームディスプレイを実施した後、各特異性をもつ2つの別個のDARPin分子が生じ、前記を続いてStumppら(Drug Discovery Today, Vol 13, Numbers 15/16, August 2008)が提唱するように融合させることができる。得られた分子の特異性及び結合親和性を、BCMA発現細胞としてNCIH929細胞(ATCC CRL-9068)及びCD3発現細胞として上述の活性化初代ヒトT細胞を用いてフローサイトメトリーによって分析することができる。
本発明の二重特異性結合因子では、2つの結合ドメインは上記に記載した同一の形態でも異なる形態でもよい。例えば、第一の結合ドメインは免疫グロブリン単一可変ドメイン、例えばVHH又はVHであり、第二の結合ドメインは、それぞれ異なる免疫グロブリン単一可変ドメイン又はBiTE又はジアボディであるか、又はその逆であり得る。第一の結合ドメインは完全サイズの抗体であり、第二の結合ドメインは抗体フラグメント、例えばジアボディであるか、又はその逆であり得る。
さらに別の実施態様では、二重特異性結合因子は化学的に束縛された環状ペプチドの組合せの形態を有する。この技術(例えばWO2008/013454)は、ダーウィンのペプチド選別(Darwinian selection of peptides)に付される化学的に束縛されたペプチドレパートリーを基にする。所望の抗原と結合するペプチドを選別するために、それらは、有機化学的足場により改変できるバクテリオファージの表面でディスプレイされて、束縛されたペプチドの多様なアレイが作製される。反復選別を利用して、高い親和性の結合ペプチドを続いて選別することができる。システイン残基でフランキングされた2つの可変領域がこれらペプチド(P3ファージコートタンパク質と融合されてある)ライブラリーの基礎である。融合タンパク質は2つの結合ループとしてファージ表面でディスプレイされ、続いてハロメチラレンで改変される。選別は、表面(例えばプレート又はセファロースビーズ)に被覆した抗原を用いるファージディスプレイによって、又は抗原を発現する細胞を用いることによって、scFv又は単一ドメイン抗体について述べたプロセスと同様に行われる。このプロセスを繰り返し実施して、高度に特異的な結合及び高い親和性のために濃縮される。得られたペプチドを他のものと一緒にし、所望の場合は真核細胞又は原核細胞で発現させることができる。例示すれば、組換えBCMA-Fc又は6xHIS融合タンパク質を抗原として用い、BCMAと結合する環状ペプチドが数ラウンドにわたって選り分けられる。このようにして、BCMA特異的サブユニットを濃縮し、最終的に前記サブユニットの単離に至るであろう。類似の方法では、CD3発現細胞(例えばJurkat)を用いて、生成された環状ペプチドとCD3複合体の本来の立体構造との結合が担保される。これによってCD3特異的サブユニットの単離がもたらされるであろう。続いて前記同定ペプチドをコードするDNAをペプチドリンカーで分離されてあるベクターでクローニングして、二重特異性結合因子をコードする発現プラスミドを生成することができる。生産細胞株(例えばCHO)にトランスフェクトするか、又は適切に改変し大腸菌又は別の発現系を形質転換したとき、二重特異性結合因子が発現され、前記を精製することができる。
好ましくは、本発明の二重特異性結合因子の第一のドメインは、細胞外ドメインに位置するBCMAのエピトープと結合する(WO00/40716に記載された通り)。
BCMAに関しては、1つの種のBCMA型と結合する本発明の二重特異性結合因子は、1つ以上の他の種のBCMAと交差反応し得る。例えば、ヒトBCMAと結合する本発明の二重特異性結合因子は、霊長類の1つ以上の他の種のBCMAと、及び/又は疾患の動物モデル(例えばサル(特にカニクイザル又はアカゲザル)、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、イヌ)で及び特に形質細胞疾患の動物モデルで用いられる1つ以上の動物種のBCMAと交差反応性を示すことができる。そのような交差反応性を示す本発明の二重特異性結合因子は、研究及び/又は薬剤開発で有利である。なぜならば、それらは、承認された疾患モデル(例えばサル(特にカニクイザル若しくはアカゲザル)又はマウス及びラット)で本発明の分子を検査することを可能にするからである。
したがって、治療用二重特異性BCMA/CD3結合因子の開発時の動物モデルとしての使用が意図されるヒト以外の種の1つ以上の標的分子と交差反応性を有することを考慮すれば、この二重特異性結合因子の結合ドメインは、対応するヒト分子に関して高度の同一性を有する、標的分子の領域内のエピトープを認識する。例示すれば、マウス及び/又はカニクイザルモデルを使用することを考慮すると、本発明の二重特異性結合因子のBCMA結合ドメインは、抗BCMA抗体がカニクイザル及びマウス(アクセッション番号NP_035738)BCMAの両方と交差反応する場合、アミノ酸11−19又は23−29にわたる領域内のエピトープを認識するか、或いは抗体がカニクイザルBCMAと交差反応する場合、アミノ酸1−19、23−29若しくは32−51の領域にわたるエピトープ、又は前記特定領域内のアミノ酸から成る当該タンパク質の二次及び三次構造によって形成される立体的エピトープを認識する。
CD3に関しては、本発明の二重特異性結合因子は、好ましくはCD3のε鎖(GenBankアクセッション番号NM_000733)を認識し、特に、CD3エプシロンの最初のN-末端27アミノ酸又はこの27アミノ酸ストレッチの機能的フラグメント(WO2008/119567で開示されたもの、すなわちWO2008/119567で開示された配列リストの配列番号:2、4、6又は8から成る群に含まれるアミノ酸配列の部分であるエピトープ)と一致するエピトープを認識する。結合分子とこの領域との相互作用は、抗原決定基を取り巻く立体構造、配列又は構造の変化または改変には至らないということがWO2008/119567で示されただけでなく、N-末端領域内の前記エピトープを認識する結合分子はまた非チンパンジー霊長類CD3εと交差反応することが示されたので、本発明の二重特異性結合因子の前記第二の結合ドメインは、好ましくはこのN-末端エピトープを認識する。本発明の二重特異性結合因子のCD3結合ドメインは、したがってVH及びVL鎖の配列によってWO2008/119567で規定されたCD3結合ドメインと同一であるか、又は前記に由来し得る。
本発明の二重特異性結合因子は、抗体様分子の形態を有するとき、抗BCMA及び抗CD3免疫グロブリン分子のそれぞれ部分配列又は完全配列を土台にして作製できる。
BCMA又はCD3特異性を有するCDR配列を作製し、さらにそれらを多様な足場に挿入して所望の二重特異性結合因子形態を得るために利用可能な多様な組換え方法が存在する。
BCMA特異性を有する抗体のCDR(相補性決定領域)は、市場で入手可能な抗体、例えばVicky-1(Santa Cruz, # sc-57037)又はMab193(R&D, #MAB193)のN-末端配列決定、エドマン分解及び質量分析法によって入手できる。適切な技術は以下の文献で概論されている:Steen and Mann, Nature Reviews Molecular Cell Biology, 5:699-711, 2004。いったんフレームワークが同定されCDRの配列が判明したら、コードDNA配列を合成し、文献記載の分子クローニング方法(Gabbard et al., Protein Engineering, Design & Selection, vol. 22, no. 3, pp. 189-198, 2009)によって親の特性と比較して類似するフレームワークに移植する。このフレームワークは、二重特異性の完全サイズの抗体を作製するためのIgG配列の部分となり得るか、抗体フラグメントを土台とする分子を作製するための単鎖Fvフラグメントとなり得るか、或いは追加の特異性を提供するための抗体の構造領域の部分となり得る。このようにして得られた分子のいずれも、BCMAの細胞外ドメインを提示する市販の組換えタンパク質(R&D, #193-BC-050)を用いるELISAアッセイで、またはBCMAを発現する細胞株、例えばNCI H929(ATCC, # ATCC CRL-9068)を用いるフローサイトメトリーによって、BCMAとの結合について試験される(両方法は当業者には周知である)。
好ましくは、BCMA特異的抗体は、免疫によって、例えば文献(G. Kohler and C. Milstein(Nature 256 (1975), 495);Harlow and Lane(Antibodies, A Laboratory Manual (1988), Cold Spring Harbor);又はGalfre(Meth. Enzymol. 73 (1981), 3)に記載されたようにマウス又はラットを免疫することによって作製される。ヒトIgG1 Fcとの融合タンパク質(R&D, #193-BC-050)として市場で入手可能なBCMAの細胞外ドメインを抗原として用い、アジュバント(例えばALUM又はフロイントのアジュバント)と混合し、腹腔内に繰り返し注射してBCMA特異的抗体力価を生じることができる。この力価は、組換えタンパク質によるELISAアッセイ、又は例えば上記の細胞株によるフローサイトメトリーを用いてマウスの血清で測定することができる。BCMA特異的シグナルが検出できたら、この脾臓細胞をHarlow and Lane(Antibodies, A Laboratory Manual (1988), Cold Spring Harbor)が記載したようにマウスミエローマ細胞株と融合させる。得られた上清を上記に記載のアッセイをもちいてスクリーニングし、BCMA特異的抗体を検出する。陽性クローンを十分な数まで増殖させ、さらに例えばRNAeasyキット(Qiagenから入手できる)を用いてRNA抽出のために細胞を溶解する。前記RNAを逆転写し、文献(Dziegiel et al, Journal of Immunological Methods 182 (1995) 7-19)に記載された縮退プライマーと同様な縮退プライマーのセットを用いて、抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域を増幅する。得られたDNAフラグメントの配列を決定して、それらが重鎖及び軽鎖であることを確認し、続いて、例えば文献(Orlandi et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1989, 86: 3833-3837)に記載されたようにツール抗体遺伝子のヒトIgG1定常領域と融合させたベクターでクローニングする。得られた重鎖及び軽鎖遺伝子を種々の組合せで(種々の配列が存在する場合)、例えばHEK293細胞(ATCC, CRL-1573)に例えばAmaxa Nucleofector(商標)(Lonza, Vervier, Belgium)によってトランスフェクトする。続いてこれらの細胞は上清に分泌される抗体を発現する。続いて前記抗体をBCMA特異性について本明細書に記載するように試験することができる。同様な方法で、CD3特異抗体の可変領域をコードするDNA分子を入手し、所望のフレームワークに挿入することができる。組換えDNA技術の手段によって抗体を作製する技術は当業者には周知であり、例えば以下に記載されている:Kurucz et al., J. Immunol. 154 (1995), 4576;及びHollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90 (1993), 6444;又はUS 7,381,803。或いはまた、それぞれ可変領域又はCDRをコードするDNA分子は、公表された抗CD3抗体の配列を基にして合成してもよい。それらは以下から誘導することができる:X35-3、VIT3、BMA030(BW264/56)、CLB-T3/3、CRIS7、YTH12.5、F111-409、CLB-T3.4.2、WT31、WT32、SPv-T3b、11D8、XIII-141、XIII-46、XIII-87、12F6、T3/RW2-8C、T3/RW2-4B6、M-T301、SMC2及びF101.01。これらのCD3特異抗体は当業界では周知であり、例えば上述の文献(Tunnacliffe (1989), Int. Immunol. 1, 546-550)に記載されている。前記抗体のVH及びVL領域はまた、抗CD3抗体OKT3(US 4,361,549)又はその変種から(例えばUS5,885,573、US5,885,573、US5,929,212又はWO 98/52975に記載されている)又は抗体TR-66に由来し得る。
得られた抗BCMA及び抗CD3免疫グロブリン分子を基にして、対応する可変領域又はCDR配列のみを本明細書に記載した所望の二重特異性結合因子形態に移すために用いることができる。
二重特異性結合因子のBCMAに特異的な結合ドメインのKDは、好ましくは10-7 〜5x10-9Mの範囲であり、CD3に特異的な結合ドメインのKDは好ましくは10-6〜5x10-9Mの範囲である。好ましい実施態様では、BCMA結合ドメインのKD値は、CD3結合ドメインと比較してBCMA結合ドメインのより高い親和性と一致して、CD3結合ドメインのKD値よりも低い。
本発明の二重特異性結合因子及び前記を含む組成物の有効性は、対象となる具体的な疾患又は異常に応じて任意の適切なin vitroアッセイ、細胞系アッセイ、in vivoアッセイ、及び/又はそれ自体は公知の動物モデル、又は前記の任意の組合せを用いて試験できる。適切なアッセイ及び動物モデルは当業者には公知で、例えば本明細書及び下記の実施例に記載のアッセイが含まれる。
二重特異性結合因子とBCMAとの結合は、例えば、当業者には周知の酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いて試験できる。例示すれば、例えばBCMA-Fcの形の抗原をプレートに被覆し、上記に記載の因子の希釈物とともにインキュベートする。続いてこのプレートを洗浄して非特異的結合を除去し、さらに因子の形態に応じて第二又は三次工程によって二重特異性結合因子を検出する。Fcを含む二重特異性結合因子の全ての形態が市販の抗Fc抗体により検出できる。前記抗体は、当業界で公知の化学ルミネセンス検出のために、例えばセイヨウワサビペルオキシダーゼに好ましくは直接的に酵素結合される。Ig軽鎖を含む形態は、軽鎖のタイプにしたがって抗カッパ又は抗ラムダ抗体を用いて検出でき、非抗体二重特異性結合因子は、取り込んだタグを利用して検出できる(例えばHISタグは市販の抗HIS抗体を用いて検出できる)。CD3結合の確認及び測定のためには、好ましくはその本来の形態の抗原の提示を可能にする方法、例えばフローサイトメトリーが用いられる。この方法では、CD3レセプター複合体を発現する細胞株(例えばJurkat)が抗原とインキュベートされ、抗原はELISAによる検出と類似の方法で検出されるが、ただし発蛍光団と直接結合されてある二次工程試薬(前記は続いてフローサイトメトリー(例えばBD BiosciencesのFACSCanto II)によって検出され、抗原陽性細胞と因子の結合レベルを検出できる)が用いられる。
二重特異性結合因子の機能的活性はフローサイトメトリーに基づくアッセイによって試験できる。例示すれば、細胞株(例えばCHO)にBCMA発現構築物をトランスフェクトし、細胞表面で抗原を発現させる。続いて、これらの細胞を因子とインキュベートする。その間、ヒトCD8陽性T細胞を初代PBMC(末梢血単核球)から、例えばMACS(自動磁気細胞分別及び分離(Automated Magnetic Cell Sorting and Separation; Miltenyi))によって精製し、続いてこれらエフェクター細胞を、例えば24時間二重特異性結合因子とインキュベートしておいた標的細胞に添加する。続いてこの細胞をヨウ化プロピジウム(PI)(死亡細胞にのみ侵入する)及び蛍光標識抗CD8で染色する。例えばFACSCantoによる分析は、PIによる死細胞の染色によって死んだ非T細胞の認定を可能にし、生細胞に対する死細胞の比率を溶解効率の決定のためのパラメーターとして計算できる。
本発明の二重特異性結合因子の有効性はまたin vivoで、例えばマウスモデルを用いて試験できる。そのようなモデルの例では、ヒトMM異種移植細胞(例えばNCIH929細胞)を、初代PBMCから精製したヒトT細胞と混合し、NOD/SCIDマウスに注射する。対応する有効な二重特異性結合因子による処置がなければ、異種移植片は測定可能な腫瘍を形成するであろう。腫瘍注入後の有効薬剤による処置は、腫瘍の増殖(カリパスによって測定できる)を防ぐ。
別の特徴では、本発明は、抗体若しくは抗体様分子又はアンキリンリピートタンパク質又は前記のフラグメント若しくは成分の形態を有する本発明の二重特異性結合因子をコードする核酸分子に関する。そのような核酸分子は本明細書ではまた“本発明の核酸”と称され、遺伝的構築物の形としても存在し得る。本発明の核酸は、ゲノムDNA、cDNA又は合成DNA(例えば意図する宿主細胞又は宿主生物での発現のために特別に適合させたコドン使用頻度を有するDNA)であり得る。
本発明の核酸はまた、ベクター(例えばプラスミド、コスミド又はYAC)の形であっても、ベクター内に存在しても、及び/又はベクターの部分であってもよい。ベクターは特に発現ベクター(すなわちin vitro及び/又はin vivo(すなわち適切な宿主細胞、宿主生物及び/又は発現系)で二重特異性結合因子の発現を提供できるベクター)であり得る。そのような発現ベクターは一般的には少なくとも1つの本発明の核酸を含み、前記核酸は、1つ以上の適切な調節エレメント(例えばプロモーター、エンハンサー、ターミネーターなど)に作動できるように結合される。そのようなエレメント及び個々の宿主における個々の配列の発現のためのそれらの選択は、当業者には通常的な知識である。
本発明の核酸は、本明細書で提供する本発明のポリペプチドのアミノ酸配列に関する情報を基にしてそれ自体公知の態様(例えば自動DNA合成及び/又は組換えDNA技術)で調製又は入手でき、及び/又は適切な天然の供給源から単離できる。
別の特徴では、本発明は、1つ以上の本発明の二重特異性結合因子を発現するか、又は発現する能力を有する宿主細胞、及び/又は1つ以上の本発明の核酸を含む宿主細胞に関する。特に好ましい実施態様にしたがえば、前記宿主細胞は細菌細胞である。他の有用な細胞は酵母細胞、真菌細胞、又は哺乳動物細胞である。
適切な細菌細胞には、グラム陰性細菌株(例えば大腸菌、プロテウス(Proteus)及びシュードモナス(Pseudomonas)の株)、及びグラム陽性細菌株(例えばバシルス(Bacillus)、ストレプトミセス(Streptomyces)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)及びラクトコッカス(Lactococcus)の株)が含まれる。適切な真菌細胞には、トリコデルマ(Trichoderma)、ニューロスポーラ(Neurospora)及びアスペルギルス(Aspergillus)の種に由来する細胞が含まれる。適切な酵母細胞には、サッカロミセス(Saccharomyces)(例えばサッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae))、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)(例えばシゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe))、ピキア(Pichia)(例えばピキア・パストリス(Pichia pastoris)及びピキア・メタノリカ(Pichia methanolica))及びハンセヌラ(Hansenula)の種に由来する細胞が含まれる。
適切な哺乳動物細胞には、例えばCHO細胞、BHK細胞、HeLa細胞、COS細胞、293HEKなどが含まれる。しかしながら。両性動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、及び異種タンパク質の発現に当業界で用いられる任意の他の細胞も同様に用いることができる。
本発明はさらに本発明の二重特異性結合因子を製造する方法を提供する。そのような方法は、一般的に以下の工程を含む:
− 二重特異性結合因子又はそのフラグメントをコードする1つ以上の核酸を含む宿主細胞を、前記二重特異性結合因子又はそのフラグメントの発現を可能にする条件下で、さらに場合によって別個の結合ドメインフラグメントの事例ではそのような成分のアッセンブリーを可能にする条件下で培養する工程;及び
− 前記宿主細胞によって発現された二重特異性結合因子を前記培養から回収又は単離する工程;及び
− 本発明の二重特異性結合因子を場合によってさらに精製するか、及び/又は改変するか、及び/又は処方する工程。
工業的規模での生産については、好ましい宿主生物には、大規模な発現、生産及び発酵に適切な大腸菌、ピキア・パストリス及びS.セレビシアエの株が含まれる。
具体的な発現系の選択は、部分的にはある種の翻訳後改変(より具体的にはグリコシル化)の要求に左右される。グリコシル化が所望または要求される本発明の二重特異性結合因子の生産には、発現タンパク質をグリコシル化する能力を有する哺乳動物発現宿主の使用が必要とされよう。これに関しては、得られるグリコシル化パターン(すなわち結合残基の種類、数及び位置)は発現に用いられる細胞又は細胞株に左右されることは当業者には明白であろう。
上記に示す細胞で生成される本発明の二重特異性結合因子は、細胞内で(例えばサイトゾル、ペリプラズム又は封入体内で)産生され、続いて宿主細胞から単離され場合によってさらに精製されるか、或いはそれらは、細胞外に(例えば宿主細胞が培養されている媒体中に)産生され、続いて前記培養媒体から単離され場合によってさらに精製される。
ポリペプチドの組換え体生産に用いられる方法及び試薬、例えば適切な個々の発現ベクター、形質転換若しくはトランスフェクションの方法、選別マーカー、タンパク質発現の誘導方法、培養条件などは当業界では公知である。同様に、本発明のポリペプチドの製造方法で有用なタンパク質の単離及び精製技術も当業者には良く知られている。
本発明はまた、活性成分として少なくとも1つの本発明の二重特異性結合因子を含む医薬組成物に関する。医薬としての使用のためには、本発明の二重特異性結合因子は、少なくとも1つの二重特異性結合因子及び医薬的に許容できる少なくとも1つの担体、希釈剤、又は賦形剤及び/又はアジュバント並びに場合によって1つ以上のさらに別の医薬的に活性なポリペプチド及び/又は化合物を含む医薬調製物又は組成物として処方できる。非限定的な例を示せば、そのような処方物は、経口投与又は非経口投与(例えば静脈内、筋肉内若しくは皮下注射又は静脈内輸液)に適切な形態であり得る。投与態様並びにその調製で使用される方法及び担体に応じて、適切な投与形(固体、半固体又は液体が可能)が当業者には良く知られている。
したがって、さらに別の特徴では、本発明は、少なくとも1つの二重特異性結合因子及び少なくとも1つの適切な担体、希釈剤又は賦形剤(すなわち医薬的使用に適切なもの)、並びに1つ以上のさらに別の活性な物質を含む医薬組成物に関する。本発明の二重特異性結合因子は、それ自体公知の任意の適切な態様で処方及び投与され得る。例えば以下の標準的な手引書を参照できる:Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,Mack Publishing Company,USA (1990);Remington, the Science and Practice of Pharmacy, 21th Edition, Lippincott Williams and Wilkins (2005);又はthe Handbook of Therapeutic Antibodies (S. Dubel, Ed.), Wiley, Weinheim, 2007(例えば252−255ページを参照されたい)。
例えば、本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインは、通常抗体、抗体様分子及び抗体フラグメント(ScFv及びジアボディを含むが、ただしこれらに限定されない)並びに他の医薬的に活性なタンパク質のためのそれ自体公知の任意の態様で処方及び投与され得る。そのような処方物及び前記を調製する方法は当業者には公知である。
非経口投与用調製物は、輸液又は注射に適した、例えば無菌的溶液、懸濁液、分散液又は乳濁液であり得る。そのような調製物のための適切な担体又は希釈剤には、例えば無菌的な水並びに医薬的に許容できる水性緩衝剤及び溶液、例えば生理学的リン酸緩衝食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、及びハンクス溶液;ウォーターオイル;グリセロール;エタノール;グリコール、例えばプロピレングリコール又は鉱物油、動物油及び植物油、例えば落花生油、大豆油、並びに適切な前記の混合物が含まれるが、ただしこれらに限定されない。通常は水性溶液又は懸濁液が好まれるであろう。
したがって、本発明の二重特異性結合因子は、医薬的に許容できるベヒクル、例えば不活性な希釈剤又は同化性食用担体と一緒にして、全身的に例えば経口的に投与できる。治療的経口投与のためには、本発明の二重特異性結合因子は1つ以上の賦形剤と結合させて、摂取可能な錠剤、頬部錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウェファースなどの形で用いることができる。そのような組成物及び調製物は、本発明の二重特異性結合因子を少なくとも0.1%含むはずである。組成物及び調製物中のそれら結合因子のパーセンテージはもちろん変動することがあり、便利にはあるユニット投薬形の重量の約2から60%であり得る。そのような治療的に有用な組成物中の本発明の二重特異性結合因子の量は、有効な投薬レベルが得られるような量である。錠剤、ピル、カプセルなどはまた結合因子、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤及び甘味料又は香料を含むことができる。ユニット投薬形がカプセルのとき、前記は、上記のタイプの物質に加えて、流動担体(例えば植物油又はポリエチレングリコール)を含むことができる。多様なその他の物質が、コーティングとして、或いは固体のユニット投薬形の物理的形状を改変するために存在し得る。例えば、錠剤、ピル又はカプセルは、ゼラチン、ロウ、シェラック又は糖などで被覆できる。シロップ又はエリキシルは、本発明の二重特異性結合因子、甘味料としてシュクロース又はフラクトース、保存料としてメチル及びプロピルパラベン、色素及び香料(例えばサクランボ又はオレンジ香料)を含むことができる。任意のユニット投薬形の調製に用いられる任意の物質はもちろんのこと医薬的に許容でき、さらに用いられる量では実質的に非毒性であるべきである。さらにまた、本発明の二重特異性結合因子は徐放性調製物及び装置に取り込むことができる。
経口投与用調製物及び処方物はまた、本発明の構築物が胃の環境に耐えて腸に移動することを可能にする腸溶皮を提供され得る。より一般的には、経口投与用調製物及び処方物は、胃腸管の任意の所望部位へのデリバリーのために適切に処方できる。さらにまた、適切な座薬を胃腸管へのデリバリーのために用いることができる。
本発明の二重特異性結合因子はまた、輸液又は注射によって静脈内又は腹腔内に投与できる。
治療で使用するために必要な本発明の二重特異性結合因子の量は、選択される個々の二重特異性結合因子に関して変動するだけでなく、投与ルート、治療される症状の性質並びに患者の年齢及び状態によっても変動し、最終的には主治医の判断に委ねられるであろう。所望の用量は、便利には単回投与用量又は適切な間隔で投与される分割用量として(例えば1日2回、3回、4回又は5回以上のサブ用量として)提供できる。前記サブ用量自体はさらに、大雑把に間隔を空けた別箇の複数回の投与に(例えば散布器からのマルチ吸入又は複数回の点眼の適用によって)さらに分割することができる。
投与レジメンには長期治療、毎日の治療が含まれ得る。“長期”とは少なくとも2週間、好ましくは数週間、数カ月又は数年の期間を意味する。この投薬範囲における必要な改変は、本明細書の教示が提供されるならば単なる日常的な実験を用いて当業者が決定することができる。以下を参照されたい:Remington’s Pharmaceutical Sciences (Martin,E.W., ed. 4),Mack Publishing Co.,Easton,PA。投薬量はまた、任意の合併症イベントで個々の医師によって調節され得る。
さらに別の実施態様にしたがえば、本発明は、例えば以下の治療目的のために本発明の二重特異性結合因子を使用することに関する:
− BCMA発現に相関性を示す、特にヒトの形質細胞異常若しくは疾患又はB細胞異常の予防、治療及び/又は緩和のため;
− そのような療法を必要とする患者を治療する方法、本発明の少なくとも1つの二重特異性結合因子の医薬的に活性な量、又は前記を含む医薬組成物をその必要がある対象者に投与する工程を含む方法において;
− 形質細胞異常又は疾患の予防、治療及び/又は緩和用医薬の調製のために;
− 上記目的に使用される医薬組成物又は医薬の活性成分として。
具体的な特徴にしたがえば、前記異常、疾患又は症状は癌疾患、特に本明細書に規定する、BCMA発現強化に相関性を示す形質細胞異常又はB細胞異常である。
形質細胞異常には、形質細胞腫、形質細胞白血病、多発性骨髄腫、マクログロブリン血症、アミロイド症、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、孤立性骨形質細胞腫、骨髄外形質細胞腫、骨硬化性骨髄腫(POEMS症候群)、及び重鎖疾患とともに、意味不明の臨床的に明瞭でない単クローン性高ガンマグロブリン血症/くすぶり型多発性骨髄腫が含まれる。
BCMA発現レベルの上昇と相関性を示すB細胞異常の例は、CLL(慢性リンパ球性白血病)及び非ホジキンリンパ腫(NHL)である。本発明の二重特異性結合因子はまた、自己免疫疾患、例えば全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性硬化症(MS)及び慢性関節リウマチ(RA)の治療に用いることができる。
治療されるべき疾患にしたがって、本発明の二重特異性結合因子は、そのものだけで又は1つ以上の追加の治療薬(特に化学療法剤(例えばDNA損傷剤)から選択される)又は癌細胞のシグナルトランスダクション経路又は有糸分裂のチェックポイントを阻害する治療的に活性な化合物と一緒に用いることができる。
前記追加の治療薬剤は、同時に(場合によって同じ医薬調製物の一成分として)、又は本発明の二重特異性結合因子の投与前若しくは投与後に投与できる。
ある種の実施態様では、前記追加の治療薬は、EGFR、VEGFR、HER2-neu。Her3、オーロラA、オーロラB、PLK及びPI3キナーゼ、FGFR、PDGFR、Raf、KSP、PDK1、PTK2、IGF-R又はIRの阻害剤の群から選択される1つ以上の阻害剤であり得るが、ただしこれらに限定されない。
追加の治療薬剤のさらに別の例は、CDK、Akt、src/bcr abl、cKit、cMet/HGF、c-Myc、Flt3、HSP90の阻害剤、ヘッジホッグアンタゴニスト、JAK/STAT、Mek、mTor、NFカッパB、プロテアソーム、Rhoの阻害剤、wntシグナリングの阻害剤又はユビキチン化経路の阻害剤、ノッチシグナリング経路のまた別の阻害剤である。
オーロラ阻害剤の例は、PHA-739358、AZD-1152、AT9283、CYC-116、R-763、VX-680、VX-667、MLN-8045、PF-3814735であるが、ただしこれらに限定されない。
PLK阻害剤の例はGSK-461364である。
raf阻害剤の例は、BAY-73-4506(VEGFR阻害剤でもある)、PLX4032、RAF-265(さらにVEGFR阻害剤である)、ソラフェニブ(さらにVEGFR阻害剤である)、及びXL 281である。
KSP阻害剤の例は、イスピネシブ、ARRY-520、AZD-4877、CK-1122697、GSK 246053A、GSK-923295、MK-0731及びSB-743921である。
src及び/又はbcr-ab1阻害剤の例は、ダサチニブ、AZD-0530、ボスチニブ、XL228(IGF-1R 阻害でもある)、ニロチニブ(PDGFR及びcKit阻害剤でもある)、イマチニブ(cKit 阻害剤でもある)及びNS-187である。
PDK1阻害剤の例はBX-51である。
Rho阻害剤の例はBA-210である。
PI3キナーゼ阻害剤の例は、PX-866、BEZ-235(mTor阻害剤でもある)、XL418(Akt阻害剤でもある)、XL-147、及びXL765(mTor阻害剤でもある)である。
cMet又はHGFの阻害剤の例は、XL-184(VEGFR、cKit、Flt3の阻害剤でもある)、PF-2341066、MK-2461、XL-880(VEGFRの阻害剤でもある)、MGCD-265(VEGFR、Ron、Tie2の阻害剤でもある)、SU-11274、PHA-665752、AMG-102及びAV-299である。
c-Myc阻害剤の例はCX-3543である。
Flt3阻害剤の例は、AC-220(cKit及びPDGFRの阻害剤でもある)、KW 2449、レスタウルチニブ(VEGFR、PDGFR、PKCの阻害剤でもある)、TG-101348(JAK2の阻害剤でもある)、XL-999(cKit、FGFR、PDGFR及びVEGFRの阻害剤でもある)、スニチニブ(PDGFR、VEGFR及びcKitの阻害剤でもある)、及びタンヅチニブ(PDGFR及びcKitの阻害剤でもある)である。
HSP90阻害剤の例は、タネスピマイシン、アルベスピマイシン、IPI-504及びCNF2024である。
JAK/STAT阻害剤の例は、CYT-997(チューブリンとも相互作用する)、TG101348(Flt3の阻害剤でもある)、及びXL-019である。
Mek阻害剤の例は、ARRY-142886、PD-325901、AZD-8330及びXL518である。
mTor阻害剤の例は、テムシロリムス、AP-23573 (VEGF阻害剤としてもまた作用する)、エベロリムス(さらにまたVEGF阻害剤である)、XL-765(PI3キナーゼ阻害剤でもある)、及びBEZ-235(PI3キナーゼ阻害剤でもある)である。
Akt阻害剤の例は、ペリフォシン、GSK-690693、RX-0201及びトリシリビンである。
cKit阻害剤の例は、AB-1010、OSI-930(VEGFR阻害剤としてもまた作用する)、AC-220(Flt3及びPDGFRの阻害剤でもある)、タンヅチニブ(Flt3及びPDGFRの阻害剤でもある)、アキシチニブ(VEGFR及びPDGFRの阻害剤でもある)、XL-999(Flt3、PDGFR、VEGFR、FGFRの阻害剤でもある)、スニチニブ(Flt3、PDGFR、VEGFRの阻害剤でもある)、及びXL-820(VEGFR-及びPDGF阻害剤としてもまた作用する)、イマチニブ(bcr-abl阻害剤でもある)、ニロチニブ(bcr-abl及びPDGFR阻害剤でもある)である。
ヘッジホッグアンタゴニストの例はIPI-609及びCUR-61414である。
CDK阻害剤の例は、セリシクリブ、AT-7519、P-276、ZK-CDK(VEGFR2及びPDGFRもまた阻害する)、PD-332991、R-547、SNS-032、PHA-690509、及びAG 024322である。
プロテアソーム阻害剤の例は、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、及びNPI-0052(NFカッパBの阻害剤でもある)である。
NFカッパB経路阻害剤の例はNPI-0052である。
ユビキチン化経路の阻害剤はHBX-41108である。
追加の治療薬はまた抗脈管形成剤であり得る。
抗脈管形成剤の例は、FGFR、PDGFR及びVEGFR又は対応するリガンドの阻害剤(例えばVEGF阻害剤、例えばペガプタニブ又は抗VEGF抗体ベバシズマブ)及びサリドマイドであり、そのような薬剤は以下から選択される(ただしこれらに限定されない):ベバシズマブ、モテサニブ、CDP-791、SU-14813、テラチニブ、KRN-951、ZK-CDK(CDKの阻害剤でもある)、ABT-869、BMS-690514、RAF-265、IMC-KDR、IMC-18F1、IMiDs(免疫調節薬)、サリドマイド誘導体CC-4047、レナリドマイド、ENMD 0995、IMC-D11、Ki 23057、ブリバニブ、セジラニブ、XL-999(cKit及びFlt3の阻害剤でもある)、1B3、CP 868596、IMC 3G3、R-1530(Flt3の阻害剤でもある)、スニチニブ(cKit及びFlt3の阻害剤でもある)、アキシチニブ(cKitの阻害剤でもある)、レスタウルチニブ(Flt3及び PKCの阻害剤でもある)、バタラニブ、タンヅチニブ(Flt3及びcKitの阻害剤でもある)、パゾパニブ、GW 786034、PF-337210、IMC-1121B、AVE-0005、AG-13736、E-7080、CHIR 258、ソラフェニブトシレート(Rafの阻害剤でもある)、RAF-265(Rafの阻害剤でもある)、バンデタニブ、CP-547632、OSI-930、AEE-788(EGFR及びHer2の阻害剤でもある)、BAY-57-9352(Rafの阻害剤でもある)、BAY-73-4506(Rafの阻害剤でもある)、XL 880(cMetの阻害剤でもある)、XL-647(EGFR 及びEphB4の阻害剤でもある)、XL 820(cKitの阻害剤でもある)、及びニロチニブ(cKit 及びbrc-ablの阻害剤でもある)。
追加の治療薬剤はまたEGFR阻害剤から選択でき、小分子EGFR阻害剤又は抗EGFR抗体であり得る。抗EGFR抗体の例は、セツキシマブ、パニツムマブ、マツズマブであるが、ただしこれらに限定されない。小分子EGFR阻害剤の例はゲフィチニブである。EGFR調節物質のまた別の例はEGF融合毒素である。
本発明の二重特異性結合因子との組合せに有用なEGFR及びHer2阻害剤では、取り分けラパチニブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、セツキシマブ、トラスツズマブ、ニモツズマブ、ザルツムマブ、バンデタニブ(VEGFRの阻害剤でもある)、ペルツズマブ、XL-647、HKI-272、BMS-599626 ARRY-334543、AV 412、mAB-806、BMS-690514、JNJ-26483327、AEE-788(VEGFRの阻害剤でもある)、ARRY-333786、IMC-11F8、Zemabがある。
追加の薬剤はまたIL-6又はIL-6レセプターアンタゴニスト、例えばアトリズマブ(トシリズマブ)であり得る。
治療で本発明の二重特異性結合因子と有利に組み合わすことができる他の薬剤は、トシツムマブ及びイブリツモマブチウキセタン(2つの放射能標識抗CD20抗体)、アレムツズマブ(抗CD52抗体)、デノスマブ(破骨細胞分化因子リガンド阻害剤)、ガリキシマブ(CD80アンタゴニスト)、オファツムマブ(CD20阻害剤)、ザノリムマブ(CD4アンタゴニスト)、SGN40(CD40リガンドレセプター調節物質)、リツキシマブ(CD20阻害剤)又はマパツムマブ(TRAIL-1レセプターアンタゴニスト)である。
本発明の二重特異性結合因子と一緒に用いることができる他の化学療法剤は以下から選択される(ただしこれらに限定されない):ホルモン、ホルモンアナローグ及び抗ホルモン剤(例えばタモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、フルベストラント、酢酸メゲストロール、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、酢酸シプロテロン、フィナステリド、酢酸ブルセレリン、フルドロコーチゾン、フルオキシメステロン、メドロキシプロジェステロン、オクトレオチド、アルゾキシフェン、パシレオチド、バプレオチド);アロマターゼ阻害剤(例えばアナストロゾール、レトロゾール、リアロゾール、エクセメメスタン、アタメスタン、フォルメスタン);LHRHアゴニスト及びアンタゴニスト(例えば酢酸ゴセレリン、リュウプロリド、アバレリクス、セトロレリクス、デスロレリン、ヒストレリン、トリプトレリン);抗代謝薬(例えばアンチフォレート、例えばメトトレキセート、ペメトレキシド、ピリミジンアナローグ、例えば5フルオロウラシル、キャペシタビン、デシタビン、ネララビン、及びゲムシタビン、プリン及びアデノシンアナローグ、例えばメルカプトプリンチオグアニン、クラドリビン及びペントスタチン、シタラビン、フルダラビン);抗腫瘍抗生物質(例えばアントラサイクリン、例えばドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン及びイダルビシン、マイトマイシン-C、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、プリカマイシン、ミトキサントロン、ピキサントロン、ストレプトゾシン);白金誘導体(例えばシスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、ロバプラチン、サトラプラチン);アルキル化剤(例えばエストラムスチン、メクロレサミン、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、ダカルバジン、シクロホスファミド、イフォスファミド、テモゾロミド、ニトロソウレア(例えばカルムスチン及びロムスチン、チオテピア);抗有糸分裂剤(例えばビンカアルカロイド、例えばビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビンフルニン及びビンクリスチン;及びタキサン、例えばパクリタキセル、ドセタキセル及びそれらの処方物、ラロタキセル;シモタキセル、及びエポシロン、例えばイキサベピロン、パツピロン、ZK-EPO);トポイソメラーゼ阻害剤(例えばエピポドフィロトキシン、例えばエトポシド及びエトポフォス、テニポシド、アムサクリン、トポテカン、イリノテカン)及び雑多な化学療法剤、例えばアミフォスチン、アナグレリド、インターフェロンアルファ、プロカルバジン、ミトタン、及びポルフィマー、ベキサロテン、セレコキシブ。
二重特異性BCMA/CD3単鎖結合因子の作製
a)抗BCMA及び抗CD3ドメインの作製
CD3特異的結合ドメインをコードするDNAフラグメントは、WO2004106383に開示されたように、18アミノ酸リンカーにより分離されたVH及びVL領域をコードする合成DNA構築物を、WO2004106383に開示されたプライマーと同様なプライマー(BsrG1制限部位がVH末端にBspE1制限部位がVL末端に作製されている)を用いて増幅することによって得られる。BCMA結合ドメインをコードするDNA配列は、市販の抗体の配列決定に際して合成されるVH及びVL分子の増幅によって得られる。或いはまた、VL 5’末端にBspE1制限部位及び3’VH末端にSalI制限部位を生成する適切なプライマーを用い、BCMA特異的ハイブリドーマのVH及びVL RNAから得られるcDNA構築物が用いられる。
b)抗CD3x抗BCMA構築物のクローニング
クローニングは、VH抗CD3-VL抗CD3xVH抗BCMA-VL抗BCMAの向きで実施される。抗CD3構築物を制限酵素BsrG1及びBspE1で切断し、続いてブルースクリプトKSベクター(Stratagene, La Jolla, CA)でクローニングする(前記ベクターは、真核細胞の分泌シグナル(リーダー)ペプチドのアミノ酸配列をEcoR1/BsrG1フラグメントとして含んでいる)。EcoR1及びBspE1で切断した後、生成DNAフラグメント(リーダーペプチドとともに対応する抗CD3 scFvを含む)を、EcoR1/BspE1で切断したプラスミドpEFDHFRでクローニングし、さらにBCMAフラグメントをBspE1/SalI切断ベクターでクローニングする。或いはまた、クローニングは他の向きでも実施される。
c)二重特異性単鎖結合因子の発現及び性状決定
DNAの塩基配列決定によって所望の配列であることを確認した後、b)で得た構築物を例えばデヒドロホレートレダクターゼ陰性CHO細胞にトランスフェクトし、WO2004/106383に記載したように性状決定のために発現させる。例えば、CD3のためにはJurkat細胞(ATCC, #TIB-152)との結合について、BCMAのためにはNCI H929(ATCC CRL-9068)との結合について、フローサイトメトリー実験が実施される。前記細胞をBCMA/CD3二重特異性構築物発現細胞の上清とともに約1時間4℃でインキュベートし、FACS緩衝液(1%ウシ胎児血清(FCS)及び0.05%アジ化ナトリウムを含むリン酸緩衝食塩水)で2回洗浄し、結合した構築物は、例えばHIS抗体(Dianova, DIA910)を用い、発現ベクターpEFDHFRに取り込ませた6xHISタグを介して検出される。結合した抗HIS抗体を検出するために、細胞を上記に記載したように洗浄し、さらに例えばヤギ抗マウスFITC結合抗体(BD550003)又は抗マウスPE結合抗体(IgG)(Sigma, P8547)とともにインキュベートして例えばFACSCanto(BD)で分析する。さらに、WO2004/106383の記載にしたがって(ただし完全長BCMAを表面に発現するDNA構築物をトランスフェクトしたCHO細胞株が用いられる)、構築物を二工程精製プロセス(金属固定親和性クロマトグラフィー(IMAC)及びゲルろ過を含む)によって精製した後で、構築物の機能的活性がフローサイトメトリー系アッセイを用いて分析する。

Claims (17)

  1. 第一の結合ドメイン及び第二の結合ドメインを含む、少なくとも2つの結合ドメインを含む二重特異性結合因子であって、前記第一の結合ドメインがB細胞成熟抗原BCMAと結合し、さらに前記第二の結合ドメインがCD3と結合する、前記二重特異性結合因子。
  2. 第一の結合ドメインがBCMAの細胞外ドメインと結合し、さらに第二の結合ドメインがCD3のε鎖と結合する、請求項1に記載の二重特異性結合因子。
  3. 完全長抗体又は抗体フラグメントの形態を有する、請求項1又は2に記載の二重特異性結合因子。
  4. 第一のBCMA結合ドメインがマウスに由来し、さらに第二のCD3結合ドメインがラットに由来する、完全長抗体形態の請求項3に記載の二重特異性結合因子。
  5. ジアボディの形態の抗体フラグメント形態を有し、同じポリペプチド鎖上で軽鎖可変ドメインに連結された重鎖可変ドメインを含み、2つのドメインが対を形成しない、請求項3に記載の二重特異性結合因子。
  6. リンカーペプチドを介して、又はヒト血清アルブミン分子によって連結された2つのscFv分子から成る二重特異性単鎖抗体の形態を有する、請求項1又は2に記載の二重特異性結合因子。
  7. 重鎖領域(VH)及び対応する可変軽鎖領域(VL)が、N-末端からC-末端へ以下の順序で編成される、請求項6に記載の二重特異性結合因子:
    VH(BCMA)−VL(BCMA)−VH(CD3)−VL(CD3)、
    VH(CD3)−VL(CD3)−VH(BCMA)−VL(BCMA)、又は
    VH(CD3)−VL(CD3)−VL(BCMA)−VH(BCMA)。
  8. VHH又はVHから選択される単一ドメイン免疫グロブリンドメインの形態を有する、請求項1又は2に記載の二重特異性結合因子。
  9. 少なくとも2つの結合ドメインをもつ4つの抗体可変ドメインを有するFv分子の形態を有し、少なくとも1つの結合ドメインがヒトBCMAに特異的で、少なくとも1つの結合ドメインがヒトCD3に特異的である、請求項1又は2に記載の二重特異性結合因子。
  10. BCMAに特異的な第一の結合ドメイン、前記第一の結合ドメインに対してC-末端に位置する定常部分領域、定常部分領域に対してC-末端に位置するスコーピオンリンカー、及び前記定常部分領域に対してC-末端に位置するCD3に特異的な第二の結合ドメインから成る単鎖結合分子の形態を有する、請求項1又は2に記載の二重特異性結合因子。
  11. 抗体又は抗体フラグメントの2つの重鎖/軽鎖Fvを介してBCMAと結合し、さらに前記抗体又は抗体フラグメントの重鎖若しくは軽鎖の非CDRループ中に操作された結合ドメインを介してCD3と結合する抗体様分子の形態を有する、請求項1又は2に記載の二重特異性結合因子。
  12. 二重特異性アンキリンリピート分子の形態を有する、請求項1に記載の二重特異性結合因子。
  13. 第一の結合ドメインが、請求項3から12のいずれか1項に規定される形態から選択される形態を有し、さらに第二の結合ドメインが、請求項3から12のいずれか1項に規定される形態から選択される別個の形態を有する、請求項1に記載の二重特異性結合因子。
  14. 二環状ペプチドである、請求項1に記載の二重特異性結合因子。
  15. 請求項1から14のいずれか1項に記載の少なくとも1つの二重特異性結合因子を含む医薬組成物。
  16. BCMA発現と相関性を有する形質細胞異常又は他のB細胞異常の治療及び自己免疫疾患の治療のための、請求項1から14のいずれか1項に記載の二重特異性結合因子又は請求項14に記載の医薬組成物。
  17. 形質細胞腫、形質細胞白血病、多発性骨髄腫、マクログロブリン血症、アミロイド症、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、孤立性骨形質細胞腫、骨髄外形質細胞腫、骨硬化性骨髄腫、重鎖疾患、意味不明の単クローン性高ガンマグロブリン血症、くすぶり型多発性骨髄腫から選択される形質細胞異常の治療のための、請求項1から14のいずれか1項に記載の二重特異性結合因子又は請求項15に記載の医薬組成物。
JP2013539249A 2010-11-16 2011-11-16 Bcma発現に相関性を有する疾患を治療する因子及び方法 Pending JP2014500879A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP10191418 2010-11-16
EP10191418.2 2010-11-16
PCT/EP2011/070301 WO2012066058A1 (en) 2010-11-16 2011-11-16 Agents and methods for treating diseases that correlate with bcma expression

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016234174A Division JP2017093437A (ja) 2010-11-16 2016-12-01 Bcma発現に相関性を有する疾患を治療する因子及び方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014500879A true JP2014500879A (ja) 2014-01-16

Family

ID=43769116

Family Applications (4)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013539249A Pending JP2014500879A (ja) 2010-11-16 2011-11-16 Bcma発現に相関性を有する疾患を治療する因子及び方法
JP2016234174A Pending JP2017093437A (ja) 2010-11-16 2016-12-01 Bcma発現に相関性を有する疾患を治療する因子及び方法
JP2018224988A Pending JP2019030338A (ja) 2010-11-16 2018-11-30 Bcma発現に相関性を有する疾患を治療する因子及び方法
JP2020209835A Pending JP2021042257A (ja) 2010-11-16 2020-12-18 Bcma発現に相関性を有する疾患を治療する因子及び方法

Family Applications After (3)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016234174A Pending JP2017093437A (ja) 2010-11-16 2016-12-01 Bcma発現に相関性を有する疾患を治療する因子及び方法
JP2018224988A Pending JP2019030338A (ja) 2010-11-16 2018-11-30 Bcma発現に相関性を有する疾患を治療する因子及び方法
JP2020209835A Pending JP2021042257A (ja) 2010-11-16 2020-12-18 Bcma発現に相関性を有する疾患を治療する因子及び方法

Country Status (4)

Country Link
US (1) US20130273055A1 (ja)
EP (2) EP3974453A3 (ja)
JP (4) JP2014500879A (ja)
WO (1) WO2012066058A1 (ja)

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017515470A (ja) * 2014-04-30 2017-06-15 マックス−デルブリュック−ツェントルム フューア モレキュラーレ メディツィン イン デア ヘルムホルツ−ゲマインシャフト Cd269(bcma)に対するヒト化抗体
JP2018515107A (ja) * 2015-05-13 2018-06-14 アブリンクス エン.ヴェー. Cd3反応性に基づくt細胞リクルートポリペプチド
JP2018516068A (ja) * 2015-04-13 2018-06-21 ファイザー・インク 治療抗体およびその使用
JP2018532766A (ja) * 2015-08-03 2018-11-08 エンクマフ エスアーエールエル Bcmaに対するモノクローナル抗体
JP2019506406A (ja) * 2016-01-25 2019-03-07 アムゲン リサーチ (ミュンヘン) ゲーエムベーハーAMGEN Research(Munich)GmbH 二重特異性抗体コンストラクトを含む医薬組成物
JP2020500181A (ja) * 2016-11-02 2020-01-09 エンクマフ エスアーエールエル Bcma及びcd3に対する二重特異性抗体、及び多発性骨髄腫を治療するために併用して使用される免疫療法薬
JP2020524000A (ja) * 2017-06-20 2020-08-13 テネオワン, インコーポレイテッド 抗bcma重鎖のみ抗体
JP2020524506A (ja) * 2017-06-20 2020-08-20 テネオバイオ, インコーポレイテッド 抗bcma重鎖のみ抗体
JP2020525032A (ja) * 2017-06-27 2020-08-27 ナンキン レジェンド バイオテック カンパニー リミテッド キメラ抗体免疫エフェクター細胞エンゲージャー及びその使用方法
JP2020534255A (ja) * 2017-09-15 2020-11-26 アムジエン・インコーポレーテツド 治療用タンパク質の凍結乾燥医薬配合物のためのプロセス
JP2020535181A (ja) * 2017-09-29 2020-12-03 ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド 低用量抗体組成物を安定化する新規製剤
JP2021021734A (ja) * 2014-04-04 2021-02-18 メイヨ・ファウンデーション・フォー・メディカル・エデュケーション・アンド・リサーチ 精密分子質量を用いた免疫グロブリンのアイソタイピング

Families Citing this family (96)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
UA112434C2 (uk) 2011-05-27 2016-09-12 Ґлаксо Ґруп Лімітед Антигензв'язувальний білок, який специфічно зв'язується з всма
RS64791B1 (sr) * 2011-05-27 2023-11-30 Glaxo Group Ltd Bcma (cd269/tnfrsf17) - vezujući proteini
TWI679212B (zh) 2011-11-15 2019-12-11 美商安進股份有限公司 針對bcma之e3以及cd3的結合分子
ES2937015T3 (es) 2012-11-01 2023-03-23 Max Delbrueck Centrum Fuer Molekulare Medizin Helmholtz Gemeinschaft Anticuerpo contra CD269 (BCMA)
US9243058B2 (en) 2012-12-07 2016-01-26 Amgen, Inc. BCMA antigen binding proteins
TW201425336A (zh) * 2012-12-07 2014-07-01 Amgen Inc Bcma抗原結合蛋白質
ES2829499T3 (es) * 2013-02-05 2021-06-01 Engmab Sarl Método para la selección de anticuerpos contra BCMA
EP2762496A1 (en) 2013-02-05 2014-08-06 EngMab AG Method for the selection of antibodies against BCMA
EP2762497A1 (en) 2013-02-05 2014-08-06 EngMab AG Bispecific antibodies against CD3epsilon and BCMA
WO2014131694A1 (en) * 2013-02-26 2014-09-04 Roche Glycart Ag Bispecific t cell activating antigen binding molecules
US20160015749A1 (en) * 2013-03-05 2016-01-21 Baylor College Of Medicine Engager cells for immunotherapy
WO2014159911A1 (en) * 2013-03-13 2014-10-02 Sanofi Compositions comprising anti-cd38 antibodies and carfilzomib
AR095374A1 (es) * 2013-03-15 2015-10-14 Amgen Res (Munich) Gmbh Moléculas de unión para bcma y cd3
GB201317928D0 (en) * 2013-10-10 2013-11-27 Ucl Business Plc Molecule
US10435453B2 (en) 2014-02-07 2019-10-08 Mcmaster University Trifunctional T cell-antigen coupler and methods and uses thereof
BR112017001183A2 (pt) 2014-07-21 2017-11-28 Novartis Ag tratamento de câncer usando receptor de antígeno quimérico anti-bcma humanizado
SG11201700418VA (en) 2014-07-21 2017-02-27 Novartis Ag Treatment of cancer using a cll-1 chimeric antigen receptor
EP2982692A1 (en) 2014-08-04 2016-02-10 EngMab AG Bispecific antibodies against CD3epsilon and BCMA
EP3023437A1 (en) * 2014-11-20 2016-05-25 EngMab AG Bispecific antibodies against CD3epsilon and BCMA
EP3029068A1 (en) 2014-12-03 2016-06-08 EngMab AG Bispecific antibodies against CD3epsilon and BCMA for use in the treatment of diseases
PT3227432T (pt) * 2014-12-05 2023-12-06 Eureka Therapeutics Inc Recetores de antigénios quiméricos que visam o antigénio de maturação das células b e sua utilização
HUE053995T2 (hu) 2014-12-05 2021-08-30 Memorial Sloan Kettering Cancer Center B-sejt-érési antigént célzó antitestek és alkalmazási eljárások
SG10201912666PA (en) 2015-04-13 2020-02-27 Pfizer Chimeric antigen receptors targeting b-cell maturation antigen
ES2889906T3 (es) 2015-05-21 2022-01-14 Harpoon Therapeutics Inc Proteínas de unión triespecíficas y usos médicos
WO2016196612A1 (en) * 2015-06-01 2016-12-08 The Rockefeller University Anti-tumor agents and methods of use
TWI829617B (zh) 2015-07-31 2024-01-21 德商安美基研究(慕尼黑)公司 Flt3及cd3抗體構築體
TWI796283B (zh) 2015-07-31 2023-03-21 德商安美基研究(慕尼黑)公司 Msln及cd3抗體構築體
ES2814550T3 (es) 2015-08-17 2021-03-29 Janssen Pharmaceutica Nv Anticuerpos anti-BCMA, moléculas que se unen a antígeno biespecífico que se unen a BCMA y CD3, y usos de los mismos
EA039859B1 (ru) 2016-02-03 2022-03-21 Эмджен Рисерч (Мюник) Гмбх Биспецифические конструкты антител, связывающие egfrviii и cd3
CN109311979A (zh) 2016-02-03 2019-02-05 安进研发(慕尼黑)股份有限公司 Psma和cd3双特异性t细胞接合抗体构建体
DK3411402T3 (da) * 2016-02-03 2022-02-07 Amgen Res Munich Gmbh Bcma- og cd3-bispecifikke t-celle-engagerende antistofkonstruktioner
AU2017219747B2 (en) 2016-02-17 2023-09-28 Seagen Inc. BCMA antibodies and use of same to treat cancer and immunological disorders
US11623958B2 (en) 2016-05-20 2023-04-11 Harpoon Therapeutics, Inc. Single chain variable fragment CD3 binding proteins
CN109641047A (zh) 2016-05-20 2019-04-16 哈普恩治疗公司 单结构域血清白蛋白结合蛋白质
SG11201810331YA (en) 2016-05-20 2018-12-28 Harpoon Therapeutics Inc Single chain variable fragment cd3 binding proteins
US11613572B2 (en) * 2016-06-21 2023-03-28 Teneobio, Inc. CD3 binding antibodies
CN114395048A (zh) 2016-09-14 2022-04-26 特尼奥生物股份有限公司 Cd3结合抗体
AU2017361846A1 (en) * 2016-11-16 2019-05-30 Ablynx Nv T cell recruiting polypeptides capable of binding CD123 and TCR alpha/beta
MX2019006045A (es) 2016-11-23 2019-11-11 Harpoon Therapeutics Inc Proteinas triespecificas dirigidas a psma y metodos de uso.
EP3544997A4 (en) 2016-11-23 2020-07-01 Harpoon Therapeutics, Inc. PROSTATE SPECIFIC MEMBRANE ANTIGEN BINDING PROTEIN
KR102633423B1 (ko) * 2016-12-21 2024-02-06 테네오바이오, 인코포레이티드 항-bcma 중쇄-단독 항체
US20190375815A1 (en) 2017-01-31 2019-12-12 Novartis Ag Treatment of cancer using chimeric t cell receptor proteins having multiple specificities
IL268349B1 (en) 2017-02-17 2024-04-01 Hutchinson Fred Cancer Res Combination therapies for the treatment of BCMA-associated cancer and autoimmune disorders
US11535668B2 (en) 2017-02-28 2022-12-27 Harpoon Therapeutics, Inc. Inducible monovalent antigen binding protein
WO2018201056A1 (en) 2017-04-28 2018-11-01 Novartis Ag Cells expressing a bcma-targeting chimeric antigen receptor, and combination therapy with a gamma secretase inhibitor
US20200179511A1 (en) 2017-04-28 2020-06-11 Novartis Ag Bcma-targeting agent, and combination therapy with a gamma secretase inhibitor
JP7090347B2 (ja) 2017-05-12 2022-06-24 ハープーン セラピューティクス,インク. メソテリン結合タンパク質
CA3063362A1 (en) 2017-05-12 2018-11-15 Harpoon Therapeutics, Inc. Msln targeting trispecific proteins and methods of use
EP3638319A1 (en) 2017-06-14 2020-04-22 Dana-Farber Cancer Institute, Inc. B-cell maturation antigen (bcma)-directed nanoparticles
WO2019035938A1 (en) 2017-08-16 2019-02-21 Elstar Therapeutics, Inc. MULTISPECIFIC MOLECULES BINDING TO BCMA AND USES THEREOF
CN111479925B (zh) 2017-10-12 2024-03-08 麦克马斯特大学 具有y182t突变的t细胞-抗原偶联物及其方法和用途
KR102569133B1 (ko) 2017-10-13 2023-08-21 하푼 테라퓨틱스, 인크. 삼중특이적 단백질 및 사용 방법
CR20200195A (es) * 2017-10-13 2020-08-14 Harpoon Therapeutics Inc Proteínas de unión a antigenos de maduraciòn de celulas b
EP3697436A1 (en) 2017-10-18 2020-08-26 Novartis AG Compositions and methods for selective protein degradation
AU2018360800A1 (en) 2017-11-01 2020-05-14 Juno Therapeutics, Inc. Chimeric antigen receptors specific for B-cell maturation antigen (BCMA)
SG11202003501XA (en) 2017-11-01 2020-05-28 Juno Therapeutics Inc Antibodies and chimeric antigen receptors specific for b-cell maturation antigen
RU2020119365A (ru) 2017-11-15 2021-12-13 Новартис Аг Химерный антигенный рецептор, нацеливающийся на всма, химерный антигенный рецептор, нацеливающийся на cd19, и средства комбинированной терапии
EP3717907A1 (en) 2017-11-30 2020-10-07 Novartis AG Bcma-targeting chimeric antigen receptor, and uses thereof
US11873336B2 (en) 2017-12-22 2024-01-16 Teneobio, Inc. Heavy chain antibodies binding to CD22
WO2019136432A1 (en) 2018-01-08 2019-07-11 Novartis Ag Immune-enhancing rnas for combination with chimeric antigen receptor therapy
CA3090249A1 (en) 2018-01-31 2019-08-08 Novartis Ag Combination therapy using a chimeric antigen receptor
US20200399383A1 (en) 2018-02-13 2020-12-24 Novartis Ag Chimeric antigen receptor therapy in combination with il-15r and il15
WO2019166650A1 (en) 2018-03-02 2019-09-06 Cdr-Life Ag Trispecific antigen binding proteins
BR112020025048A2 (pt) 2018-06-13 2021-04-06 Novartis Ag Receptores de antígeno quimérico de bcma e usos dos mesmos
CN112105391A (zh) * 2018-06-26 2020-12-18 爱必乐生物公司 抗-bcma抗体及其用途
CA3105448A1 (en) 2018-07-03 2020-01-09 Elstar Therapeutics, Inc. Anti-tcr antibody molecules and uses thereof
US11110123B2 (en) 2018-07-17 2021-09-07 Triumvira Immunologics Usa, Inc. T cell-antigen coupler with various construct optimizations
US10640562B2 (en) 2018-07-17 2020-05-05 Mcmaster University T cell-antigen coupler with various construct optimizations
US11384153B2 (en) 2018-07-19 2022-07-12 Regeneran Pharmaceuticals, Inc. Bispecific anti-BCMA x anti-CD3 antibodies and uses thereof
WO2020047449A2 (en) 2018-08-31 2020-03-05 Novartis Ag Methods of making chimeric antigen receptor-expressing cells
JP2021534783A (ja) 2018-08-31 2021-12-16 ノバルティス アーゲー キメラ抗原受容体発現細胞を作製する方法
CN113286817A (zh) 2018-09-25 2021-08-20 哈普恩治疗公司 Dll3结合蛋白及使用方法
CA3118397A1 (en) * 2018-11-01 2020-05-07 Shandong Newtime Pharmaceutical Co., Ltd. Bispecific antibody targeting cd3 and bcma, and uses thereof
AU2020229806A1 (en) 2019-02-25 2021-07-29 Novartis Ag Mesoporous silica particles compositions for viral delivery
WO2020191316A1 (en) 2019-03-21 2020-09-24 Novartis Ag Car-t cell therapies with enhanced efficacy
WO2020210678A1 (en) 2019-04-12 2020-10-15 Novartis Ag Methods of making chimeric antigen receptor-expressing cells
WO2020219742A1 (en) 2019-04-24 2020-10-29 Novartis Ag Compositions and methods for selective protein degradation
KR20220020810A (ko) 2019-06-14 2022-02-21 테네오바이오, 인코포레이티드 Cd22와 cd3에 결합하는 다중특이적 중쇄 항체
EP3819007A1 (en) * 2019-11-11 2021-05-12 Amgen Research (Munich) GmbH Dosing regimen for anti-bcma agents
EP4065158A2 (en) 2019-11-26 2022-10-05 Novartis AG Chimeric antigen receptors binding bcma and cd19 and uses thereof
CN115768463A (zh) 2020-02-21 2023-03-07 哈普恩治疗公司 Flt3结合蛋白及使用方法
JP2023515211A (ja) 2020-02-27 2023-04-12 ノバルティス アーゲー キメラ抗原受容体発現細胞を作製する方法
MX2022010604A (es) 2020-02-27 2022-09-09 Novartis Ag Metodos de produccion de celulas que expresan receptores antigenicos quimericos.
PE20230431A1 (es) 2020-04-29 2023-03-08 Teneobio Inc Anticuerpos de cadena pesada multiespecificos con regiones constantes de cadena pesada modificadas
KR20230009450A (ko) 2020-05-11 2023-01-17 얀센 바이오테크 인코포레이티드 다발성 골수종을 치료하기 위한 방법
AU2021274151A1 (en) 2020-05-19 2023-02-02 Janssen Biotech, Inc. Compositions comprising a T cell redirection therapeutic and a VLA-4 adhesion pathway inhibitor
AU2021288224A1 (en) 2020-06-11 2023-01-05 Novartis Ag ZBTB32 inhibitors and uses thereof
CR20220656A (es) 2020-06-30 2023-03-01 Teneobio Inc Unión de anticuerpos multiespecíficos a bcma
IL300489A (en) 2020-08-21 2023-04-01 Novartis Ag Compositions and methods for in vivo production of CAR expressing cells
CN116783220A (zh) * 2020-12-16 2023-09-19 武汉友芝友生物制药股份有限公司 抗bcma抗体及其制备方法和应用
CA3202891A1 (en) 2021-01-28 2022-08-04 Kara Olson Compositions and methods for treating cytokine release syndrome
KR20240004462A (ko) 2021-04-08 2024-01-11 마렝고 테라퓨틱스, 인크. Tcr에 결합하는 다기능성 분자 및 이의 용도
AR125468A1 (es) 2021-04-27 2023-07-19 Novartis Ag Sistema de producción de vectores virales
US11453723B1 (en) 2021-06-25 2022-09-27 Mcmaster University BCMA T cell-antigen couplers and uses thereof
CN117858901A (zh) 2021-08-20 2024-04-09 诺华股份有限公司 制备表达嵌合抗原受体的细胞的方法
US20230357446A1 (en) 2022-04-11 2023-11-09 Regeneron Pharmaceuticals, Inc. Compositions and methods for universal tumor cell killing

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009132058A2 (en) * 2008-04-25 2009-10-29 Zymogenetics, Inc. Levels of bcma protein expression on b cells and use in diagnostic methods

Family Cites Families (46)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4361549A (en) 1979-04-26 1982-11-30 Ortho Pharmaceutical Corporation Complement-fixing monoclonal antibody to human T cells, and methods of preparing same
US6352694B1 (en) 1994-06-03 2002-03-05 Genetics Institute, Inc. Methods for inducing a population of T cells to proliferate using agents which recognize TCR/CD3 and ligands which stimulate an accessory molecule on the surface of the T cells
US6406696B1 (en) 1989-10-27 2002-06-18 Tolerance Therapeutics, Inc. Methods of stimulating the immune system with anti-CD3 antibodies
WO1991006319A1 (en) 1989-10-27 1991-05-16 Arch Development Corporation Methods and compositions for promoting immunopotentiation
GB8928874D0 (en) 1989-12-21 1990-02-28 Celltech Ltd Humanised antibodies
US6750325B1 (en) 1989-12-21 2004-06-15 Celltech R&D Limited CD3 specific recombinant antibody
US5968509A (en) 1990-10-05 1999-10-19 Btp International Limited Antibodies with binding affinity for the CD3 antigen
GB9021679D0 (en) 1990-10-05 1990-11-21 Gorman Scott David Antibody preparation
GB9206422D0 (en) 1992-03-24 1992-05-06 Bolt Sarah L Antibody preparation
US7381803B1 (en) 1992-03-27 2008-06-03 Pdl Biopharma, Inc. Humanized antibodies against CD3
US5885573A (en) 1993-06-01 1999-03-23 Arch Development Corporation Methods and materials for modulation of the immunosuppressive activity and toxicity of monoclonal antibodies
DE4419399C1 (de) 1994-06-03 1995-03-09 Gsf Forschungszentrum Umwelt Verfahren zur Herstellung von heterologen bispezifischen Antikörpern
ES2176574T3 (es) 1996-09-03 2002-12-01 Gsf Forschungszentrum Umwelt Utilizacion de anticuerpos bi y triespecificos para la induccion de inmunidad tumoral.
US20020062010A1 (en) * 1997-05-02 2002-05-23 Genentech, Inc. Method for making multispecific antibodies having heteromultimeric and common components
DE19721700C1 (de) 1997-05-23 1998-11-19 Deutsches Krebsforsch Mutierter OKT3-Antikörper
TR200003087T2 (tr) * 1998-04-21 2001-02-21 Micromet Ag Yeni CD19 X CD3 Spesifik polipeptidler ve kullanımları
AU760854B2 (en) * 1998-06-22 2003-05-22 Immunomedics Inc. Use of bi-specific antibodies for pre-targeting diagnosis and therapy
ATE249517T1 (de) 1999-01-07 2003-09-15 Zymogenetics Inc Lösliche rezeptoren br43x2 und verfahren zu deren therapeutischen verwendung
CA2421447C (en) 2000-09-08 2012-05-08 Universitat Zurich Collections of repeat proteins comprising repeat modules
DK1399483T3 (da) * 2001-01-05 2010-08-02 Pfizer Antistoffer til insulinlignende vækstfaktorrecptor I
EP2706116A1 (en) 2001-01-17 2014-03-12 Emergent Product Development Seattle, LLC Binding domain-immunoglobulin fusion proteins
US20030012783A1 (en) * 2001-02-20 2003-01-16 Wayne Kindsvogel Antibodies that bind both BCMA and TACI
JP4303105B2 (ja) 2001-06-28 2009-07-29 ドマンティス リミテッド 二重特異性リガンドとその利用
EP1293514B1 (en) 2001-09-14 2006-11-29 Affimed Therapeutics AG Multimeric single chain tandem Fv-antibodies
AR039067A1 (es) * 2001-11-09 2005-02-09 Pfizer Prod Inc Anticuerpos para cd40
DE60127143T2 (de) 2001-11-14 2007-11-15 Affimed Therapeutics Ag Bispezifische Antikörper gegen CD19 und CD16 und deren Verwendung
US8784821B1 (en) 2003-05-31 2014-07-22 Amgen Research (Munich) Gmbh Human-anti-human cd3 binding molecules
RU2005141512A (ru) * 2003-05-31 2007-07-20 Микромет Аг (De) Фармацевтические композиции, включающие биспецифические анти-cd3, анти-cd19 конструкции антител для лечения расстройств, связанных с b-клетками
NZ543202A (en) 2003-05-31 2008-04-30 Micromet Ag Pharmaceutical composition comprising a bispecific antibody for epcam
BRPI0415457A (pt) 2003-10-16 2006-12-05 Micromet Ag constructo de ligação especìfico de cd3 citotoxicamente ativo, seu processo de produção, composição compreendendo o mesmo, seqüência de ácido nucléico, vetor, hospedeiro, seus usos na preparação de uma composição farmacêutica e kit compreendendo os mesmo
US20070249530A1 (en) * 2004-01-29 2007-10-25 Genentech, Inc. Bcma Polypeptides and Uses Thereof
PT1737490E (pt) * 2004-04-06 2010-08-31 Novimmune Sa Processos de tratamento da aterosclerose
US20050284249A1 (en) 2004-06-29 2005-12-29 Arnone David F Worm type gear mover assembly
KR20130105885A (ko) 2005-01-05 2013-09-26 에프-스타 비오테크놀로기쉐 포르슝스 운드 엔트비클룽스게스.엠.베.하. 상보성 결정부위와 다른 분자의 부위에서 처리된 결합성을 갖는 합성 면역글로불린 영역
AU2006327175A1 (en) 2005-12-21 2007-06-28 Medimmune, Llc Epha2 bite molecules and uses thereof
US7910703B2 (en) * 2006-03-10 2011-03-22 Zymogenetics, Inc. Antagonists to IL-17A, IL-17F, and IL-23P19 and methods of use
CA2654317A1 (en) * 2006-06-12 2007-12-21 Trubion Pharmaceuticals, Inc. Single-chain multivalent binding proteins with effector function
AT503889B1 (de) 2006-07-05 2011-12-15 Star Biotechnologische Forschungs Und Entwicklungsges M B H F Multivalente immunglobuline
US20100322945A1 (en) 2006-07-26 2010-12-23 Peter Timmerman Immunogenic compounds and protein mimics
JP2010524435A (ja) * 2007-04-03 2010-07-22 マイクロメット アーゲー 種間特異的二重特異性バインダー
PL2520590T3 (pl) 2007-04-03 2019-02-28 Amgen Research (Munich) Gmbh Domena wiążąca wykazująca krzyżową swoistość gatunkową
WO2009109572A2 (en) 2008-03-03 2009-09-11 Ablynx Nv Monovalent phage display of single variable domains
CA2717015A1 (en) 2008-03-05 2009-09-11 Ablynx Nv Novel antigen binding dimer-complexes, methods of making and uses thereof
AU2009234253C1 (en) 2008-04-11 2015-05-07 Merrimack Pharmaceuticals, Inc. Human serum albumin linkers and conjugates thereof
EP2358754A1 (en) * 2008-11-26 2011-08-24 Glaxo Group Limited Ligands that bind il-13
PL2406284T3 (pl) * 2009-03-10 2017-09-29 Biogen Ma Inc. Przeciwciała anty-bcma

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009132058A2 (en) * 2008-04-25 2009-10-29 Zymogenetics, Inc. Levels of bcma protein expression on b cells and use in diagnostic methods

Non-Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6015046704; Mol. Cancer Ther. Vol.6, No.11, 200711, p.3009-3018 *
JPN6015046705; Exp. Hematol. Vol.33, No.4, 200504, p.452-459 *
JPN6015046706; Int. J. Cancer. Vol.112, No.3, 20041110, p.509-518 *
JPN6015046707; Proc. Natl. Acad. Sci. U S A. Vol.101, No.20, 20040518, p.7675-7680 *

Cited By (28)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11604196B2 (en) 2014-04-04 2023-03-14 Mayo Foundation For Medical Education And Research Isotyping immunoglobulins using accurate molecular mass
JP2021021734A (ja) * 2014-04-04 2021-02-18 メイヨ・ファウンデーション・フォー・メディカル・エデュケーション・アンド・リサーチ 精密分子質量を用いた免疫グロブリンのアイソタイピング
JP2021010367A (ja) * 2014-04-30 2021-02-04 マックス−デルブリュック−ツェントルム フューア モレキュラーレ メディツィン イン デア ヘルムホルツ−ゲマインシャフト Cd269(bcma)に対するヒト化抗体
JP7189913B2 (ja) 2014-04-30 2022-12-14 マックス-デルブリュック-ツェントルム フューア モレキュラーレ メディツィン イン デア ヘルムホルツ-ゲマインシャフト Cd269(bcma)に対するヒト化抗体
JP2017515470A (ja) * 2014-04-30 2017-06-15 マックス−デルブリュック−ツェントルム フューア モレキュラーレ メディツィン イン デア ヘルムホルツ−ゲマインシャフト Cd269(bcma)に対するヒト化抗体
JP2018516068A (ja) * 2015-04-13 2018-06-21 ファイザー・インク 治療抗体およびその使用
JP2021169486A (ja) * 2015-04-13 2021-10-28 ファイザー・インク 治療抗体およびその使用
JP2021090450A (ja) * 2015-05-13 2021-06-17 アブリンクス エン.ヴェー. Cd3反応性に基づくt細胞リクルートポリペプチド
US11046767B2 (en) 2015-05-13 2021-06-29 Ablynx N.V. T cell recruiting polypeptides based on CD3 reactivity
JP7465833B2 (ja) 2015-05-13 2024-04-11 アブリンクス エン.ヴェー. Cd3反応性に基づくt細胞リクルートポリペプチド
JP2018515107A (ja) * 2015-05-13 2018-06-14 アブリンクス エン.ヴェー. Cd3反応性に基づくt細胞リクルートポリペプチド
JP7163028B2 (ja) 2015-05-13 2022-10-31 アブリンクス エン.ヴェー. Cd3反応性に基づくt細胞リクルートポリペプチド
JP2020109117A (ja) * 2015-08-03 2020-07-16 エンクマフ エスアーエールエル Bcmaに対するモノクローナル抗体
JP2018532766A (ja) * 2015-08-03 2018-11-08 エンクマフ エスアーエールエル Bcmaに対するモノクローナル抗体
JP7168451B2 (ja) 2016-01-25 2022-11-09 アムゲン リサーチ (ミュンヘン) ゲーエムベーハー 二重特異性抗体コンストラクトを含む医薬組成物
JP2019506406A (ja) * 2016-01-25 2019-03-07 アムゲン リサーチ (ミュンヘン) ゲーエムベーハーAMGEN Research(Munich)GmbH 二重特異性抗体コンストラクトを含む医薬組成物
US11419933B2 (en) 2016-01-25 2022-08-23 Amgen Inc. Pharmaceutical composition comprising bispecific antibody constructs
JP2020500181A (ja) * 2016-11-02 2020-01-09 エンクマフ エスアーエールエル Bcma及びcd3に対する二重特異性抗体、及び多発性骨髄腫を治療するために併用して使用される免疫療法薬
JP7267914B2 (ja) 2016-11-02 2023-05-02 エンクマフ エスアーエールエル Bcma及びcd3に対する二重特異性抗体、及び多発性骨髄腫を治療するために併用して使用される免疫療法薬
JP7465382B2 (ja) 2017-06-20 2024-04-10 テネオワン, インコーポレイテッド 抗bcma重鎖のみ抗体
JP2020524506A (ja) * 2017-06-20 2020-08-20 テネオバイオ, インコーポレイテッド 抗bcma重鎖のみ抗体
JP2020524000A (ja) * 2017-06-20 2020-08-13 テネオワン, インコーポレイテッド 抗bcma重鎖のみ抗体
JP7240335B2 (ja) 2017-06-20 2023-03-15 テネオワン, インコーポレイテッド 抗bcma重鎖のみ抗体
JP7303126B2 (ja) 2017-06-20 2023-07-04 テネオバイオ, インコーポレイテッド 抗bcma重鎖のみ抗体
JP2020525032A (ja) * 2017-06-27 2020-08-27 ナンキン レジェンド バイオテック カンパニー リミテッド キメラ抗体免疫エフェクター細胞エンゲージャー及びその使用方法
US11827713B2 (en) 2017-06-27 2023-11-28 Nanjing Legend Biotech Co., Ltd. Chimeric antibody immune effector cell engagers and methods of use thereof
JP2020534255A (ja) * 2017-09-15 2020-11-26 アムジエン・インコーポレーテツド 治療用タンパク質の凍結乾燥医薬配合物のためのプロセス
JP2020535181A (ja) * 2017-09-29 2020-12-03 ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド 低用量抗体組成物を安定化する新規製剤

Also Published As

Publication number Publication date
WO2012066058A1 (en) 2012-05-24
EP2640750A1 (en) 2013-09-25
JP2019030338A (ja) 2019-02-28
JP2021042257A (ja) 2021-03-18
US20130273055A1 (en) 2013-10-17
EP3974453A3 (en) 2022-08-03
JP2017093437A (ja) 2017-06-01
EP3974453A2 (en) 2022-03-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2019030338A (ja) Bcma発現に相関性を有する疾患を治療する因子及び方法
US20230203146A1 (en) Ang2-binding molecules
US11795219B2 (en) Antibody molecules for cancer treatment
CN111363041B (zh) 新型抗-pd-l1抗体
KR101844875B1 (ko) Vegf-결합 분자
CN112040979A (zh) 针对信号调控蛋白α的抗体和使用方法
CN110709422A (zh) 多特异性分子及其用途
KR20120115217A (ko) Dll4-결합 분자
CN113164777A (zh) Csf1r/ccr2多特异性抗体
WO2022100613A1 (zh) 针对密蛋白18a2和cd3的双特异性抗体及其应用
US20210363273A1 (en) Binding molecules for the treatment of cancer
EA042707B1 (ru) Антитело к pd1, способы его получения и применения для лечения злокачественного новообразования

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141113

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151118

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20160212

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160318

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20160801