JP2014210777A - 貯蔵条件下で液体のモノマー相を貯蔵する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】モノマー含量が≧95質量%である、貯蔵条件下で液体のモノマー相を貯蔵容器中で貯蔵する方法を提供。【解決手段】メタクリルモノマー≧95質量%で含有し、かつガス相からの凝縮によって、または結晶相の溶融によって作製された、貯蔵条件下で液体のモノマー相を貯蔵容器中で貯蔵するための方法であって、その際、液体のモノマー相から、その作製から貯蔵容器中に入れる過程で、液体のモノマー相中に溶解して含まれるモノマーの重合体を分離する方法、ならびに同様にモノマー相中に溶解して含まれるモノマーの重合体を分離する、貯蔵容器からの液体モノマー相の取り出し法。前記液体モノマー相中に溶解したp−メトキシフェノール及び/又はフェノチアジンを含有し、分子状酸素を含有する方法。【選択図】なし
Description
発明の詳細な説明
本発明は、そのモノマー含量が≧95質量%である、貯蔵条件下で液体のモノマー相を貯蔵容器中で貯蔵する方法に関し、その際、該モノマーは、アクロレイン、メタクロレイン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸およびC原子1〜12個を有するアルコールとからのエステルならびにメタクリル酸およびC原子1〜12個を有するアルコールとからのエステルから成る群からのモノマーであり、かつ該液体モノマー相は、ガス相からの凝縮によって、または結晶相の溶融によって作製した。加えて本発明は、該貯蔵容器から液体モノマー相を取り出す方法に関する。
本発明は、そのモノマー含量が≧95質量%である、貯蔵条件下で液体のモノマー相を貯蔵容器中で貯蔵する方法に関し、その際、該モノマーは、アクロレイン、メタクロレイン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸およびC原子1〜12個を有するアルコールとからのエステルならびにメタクリル酸およびC原子1〜12個を有するアルコールとからのエステルから成る群からのモノマーであり、かつ該液体モノマー相は、ガス相からの凝縮によって、または結晶相の溶融によって作製した。加えて本発明は、該貯蔵容器から液体モノマー相を取り出す方法に関する。
上記の説明に従って、この文献中でモノマーとの用語は、アクロレイン、メタクロレイン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸およびC原子1〜12個を有するアルコールとからのエステルならびにメタクリル酸およびC原子1〜12個を有するアルコールとからのエステルを含む。その際、アルコールとして、一価アルコール(1個の−OH基を有する)と同様に多価アルコール(2個以上の−OH基を有する)も考慮に入れられる。これらのアルコールには、C原子を殊に1〜12個、好ましくは1〜8個有する一価アルコールおよび多価アルコールが属する。
この定義は、これらのエステルの製造が、相応するアルコールとそのつどの酸との反応によって行われなければならないということを必ずしも含まない。むしろ製造法として、その他の反応、例えばエステル交換反応または付加反応も考慮に入れられる。
例示的なモノマーとして、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−プロピルヘプチルアクリレートおよびt−ブチルメタクリレートが挙げられる。
通常、モノマーは化学合成によって作製される。
しかしながら、その際、該モノマーは直接的には純粋な形で存在せず、ガス状または液体の生成物混合物の成分として得られ、そこから分離されなければならない。一般に、この分離は、熱分離法、例えば吸収、脱着、分別凝縮、抽出、結晶化、吸着の適用下、もしくはそのような熱分離法の種々の組み合わせの適用下で行われる(例えばDE−A19924533、WO2004/035514、EP−A1388533、EP−A778225、EP−A1041062、EP−A982287、EP−A982288、WO01/96271、DE−A10336386、DE−A19631645、DE−A19501325、EP−A982289、DE−A19838845、WO02/076917、EP−A1695954、EP−A695736、EP−A778225、EP−A1041062、US2004/0242826、EP−A792867、EP−A784046、EP−A695736、EP−A1125912、EP−A1097741、WO00/45928、DE−A2246480、DE−A2362373、US−A5,637,222およびこれらの文献中で引用される従来技術を参照のこと)。
純粋生成物として、一般に、そのつどのモノマー含量が≧95質量%である液体モノマー相が得られる。
通常、生成物混合物から純粋生成物への過程の最終工程は、ガス相からの凝縮または結晶相の溶融から成る。例えば、凝縮は精留塔内で(該精留塔内で)分離されるべき混合物の該精留塔内への供給箇所より上側で、該精留塔内で上昇する蒸気から行うことができ、かつ純粋生成物は前述のフィード部より上側で精留塔から取り出すことができる。その際、分離されるべき混合物は精留塔内に液体(精留)でもガス状(分別凝縮)でも供給することができる。
いずれの場合も、すなわち液体モノマー相がガス相からの凝縮によって作製される場合と同様に、液体モノマー相が結晶相(結晶)の溶融によって作製される場合にも、該液体モノマー相は、通常では、それを視覚的に観察した場合(すなわち人間の裸眼で観察した場合)に固体を含まない形で発生する。その際、通常、該液体モノマー相は、ラジカル重合禁止剤(不所望のラジカル重合を抑制する禁止剤)を溶解して含有し、それは規則的に液体モノマー相の作製のプロセスにおいて、かつ/またはそのような作製の完了として計量供給することができる。しかし結晶相の溶融による作製の場合、重合抑制剤系は結晶相中に既に含有されていてもよい。
上記のように作製された液体モノマー相は、所望の純粋生成物として、引き続き通常は貯蔵容器に供給され、該貯蔵容器中でそれは液体で貯蔵され続け、その後に該純粋生成物は該貯蔵容器から化学反応における使用のために、もしくは輸送のために取り出される。通常、そのような容器はタンクとも、もしくは貯蔵タンクとも呼ばれる。流体相により占められ得る貯蔵タンク(概して静止状態にある)の内容積は、典型的に100m3〜10000m3、頻繁に200m3〜1000m3および特徴的には500m3である(例えばResearch Disclosure Database Number 513001,published in January 2007を参照のこと)。所望の貯蔵温度を維持するために、貯蔵タンクは一般に、(例えば連続的に)貯蔵された液体モノマー相の部分量を取り出すか、もしくは取り出すことができ、熱交換器に導くか、もしくは導くことができ、引き続き該貯蔵タンクに返送するか、もしくは返送することができる装置を有する。
通常、前述の重合禁止剤系は、その完全な作用を分子酸素(それ自体はまた禁止剤である)の存在においてしか発揮しないので、液体モノマー相は、通常、分子酸素を含有するガス雰囲気下で貯蔵される(例えばWO2005/049543ならびにUS−A6,910,511を参照のこと)。すなわち流体相により占められ得る貯蔵タンクの内容積は、貯蔵タンク中で貯蔵された液体モノマー相により部分的にしか満たされず、かつ、その際に残留する余りの占められ得る貯蔵容器の内容積は、分子酸素を含有するガス相により占められる。一般に混合装置によって、液体モノマー相中に溶解した分子酸素が減損しないように配慮がなされる。
貯蔵タンク中に貯蔵された液体モノマー相の不所望のラジカル重合を禁止する理由から、該貯蔵タンクのガス相中で可能な限り高い分子酸素の含量が所望される。しかしながら上記ガス相の高い酸素含量は、該ガス相が必然的に蒸発モノマーを含有し、かつモノマーおよび分子酸素からの混合物が爆発性であり得るという欠点を持つ(WO2004/007405、DE−A102004034515、WO2005/049543、Research Disclosure Database Number 513001,published in January 2007ならびにResearch Disclosure Database Number 513002,published in January 2007を参照のこと)。それゆえ全体として、貯蔵タンク中のガス相の酸素含量の最小化が目的とされる。特に好ましくは、該酸素含量は、いわゆる酸素限界濃度(WO2004/007405を参照のこと)を下回り、それを下回る場合、ガス混合物の爆発挙動は可能ではない。
しかし同じように、貯蔵された液体モノマー相中のラジカル重合禁止剤の可能な限り低い含量も所望されている。これは一方では、重合禁止剤が比較的高価な添加剤であることに基づいている。他方では、一般に不所望とされる、モノマー自体および/または後になってからのその反応生成物が色の濃い反応生成物の形成下で禁止剤と頻繁に反応し得る。さらに通常、重合禁止剤は、貯蔵された液体モノマー相が使用される場合、ラジカル重合反応においてマイナスに作用する(例えば製品品質について)。
上記の背景に対して、本発明の課題は、そのつどのモノマーの含量が≧95質量%である、貯蔵条件下で液体のモノマー相を貯蔵容器中で貯蔵するための方法を提供することであり、本方法は、モノマーのラジカル重合を禁止する物質の添加を減少させつつ液体モノマー相の安全な貯蔵を可能にする。
それに従って、モノマーの含量が≧95質量%である、貯蔵条件下で液体のモノマー相を貯蔵するための方法であって、その際、該モノマーは、アクロレイン、メタクロレイン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸およびC原子1〜12個(好ましくはC原子1〜8個および特に有利にはC原子1〜4個)を有するアルコールとからのエステルならびにメタクリル酸およびC原子1〜12個(好ましくはC原子1〜8個および特に有利にはC原子1〜4個)を有するアルコールとからのエステルから成る群からのモノマーであり、かつ液体モノマー相は、ガス相からの凝縮によって、または結晶相の溶融によって作製されていた、貯蔵条件下で液体のモノマー相を貯蔵する方法において、該液体モノマー相を、その作製から貯蔵容器中に入る過程で、液体モノマー相中に溶解して含まれるモノマーの重合体の少なくとも部分量(好ましくは少なくとも25質量%、より好ましくは少なくとも50質量%、なお一層好ましくは少なくとも75質量%および最も好ましくは全量(殊に下記の相対分子量の))を取り去るための少なくとも1つの分離操作に供することを特徴とする方法が見つかった。ここでも"重合体"との用語は、低重合体も包含すべきである。第一に、これは(不所望の)ラジカル重合によって作製された重合体/低重合体を意味している。
"液体モノマー相中に溶解して含まれる重合体"との文言は、この文献中では"分子状に溶解した"とも"コロイド状に溶解した"との何れも含むべきである。何れもしかし、溶解した形が、貯蔵されるべき液体モノマー相中で視覚的に(すなわち裸眼で)観察可能でない場合にのみ限る。
幾つかの試験から、殊にこの種の溶解したポリマーが(肉眼で見えるポリマーと違って)顕著な重合促進活性を有することが判明した。なかでも、これは原子の水素に対する溶解ポリマーの≧1000、もしくは≧2000もしくは≧3000の相対分子量の場合に当てはまる。
貯蔵されるべき液体モノマー相中に溶解して含まれるポリマーを取り去るための分離操作として、殊に液体から微細な固体を取り去るのに適している全ての機械的な分離操作が考慮に入れられる。これに関して本発明により特に適しているのは、ろ過および/または遠心分離による分離操作である。特にこれに含まれるのは、精密ろ過、限外ろ過(ナノろ過)および超遠心分離(オリゴマー化および/またはポリマー化されたモノマーのかさ密度は、相応するモノマーのかさ密度と、そのつどの体膨張と同様、十分に異なっている;25℃および1atmで、モノマーのアクリル酸のかさ密度は、例えば1.05g/cm3であり、かつポリマー化されたアクリル酸のかさ密度は1.54g/cm3であり;該かさ密度の差違は、不飽和二重結合の電子雲の空間要求が高まっていることに基づき;オリゴマー化および/またはポリマー化されたモノマーは、超遠心分離機のケーシングに蓄積し、かつ同超遠心分離器から連続的に剥離され得る。当然の事ながら、クロマトグラフ法ならびに浸透法も、本発明による分離操作として適用することができる。
本発明により有利には、貯蔵されるべき液体モノマー相(視覚的に観察可能ではない)中に溶解して含まれる重合体は、該液体モノマー相のろ過によって取り去られる。その際、フィルター材料として、例えばろ過ウェブ、ろ布、繊維層、焼結材料または堆積層(例えば微細な石英材料、珪藻土、活性炭、ゼオライトからの)を使用してよい。
基本的に、本発明による使用目的のために、例えばバッグフィルターまたはキャンドルフィルターを用いてよい。その際、本発明によるろ過の課題は、種々の材料からの縫製フィルターバッグのみならず、完全に溶着された、好ましくは多層フィルターバッグを用いても解決することができる。そのような材料として、例えばステンレス鋼、ポリプロピレン、セルロース、ポリエステル、金属織物(ステンレス鋼、例えばクロム−ニッケル−ステンレス鋼)ならびにフェノール樹脂結合アクリル繊維が考慮に入れられる。本発明により使用されるべきフィルター(フィルターバッグのみならずフィルターキャンドル)のための本発明により特に有利な材料はポリプロピレンである。しかしながら本発明により使用可能なフィルターキャンドルは、例えば活性炭からも作製されていてよい。基本的に、本発明により適したフィルターキャンドルとして、巻きキャンドル、メルトブロー方式キャンドルおよび樹脂結合フィルターキャンドルも考慮に入れられる。フィルターバッグのみならずフィルターキャンドルも、本発明により単層フィルターケーシングのみならず多層フィルターケーシング中でも使用することができる。ケーシング材料として、例えばポリプロピレン、ステンレス鋼およびC鋼が考慮に入れられる。本発明により有利なのは、約40までの個々のフィルターバッグを用いることができ、かつ1000m3/hまでの液体モノマー層の流量を可能にする多層ケーシングの使用である。取り付け補助器具または固定具は、フィルターバックの正確なはめ具合を改善する。例えば、それらは制御不能の背圧による"浮遊"を確実に防止する。同様にフィルターバッグの破裂が防止される。特定の"カラー"は、フィルターバッグにおける完全なかつ安定した固定具のはめ具合を保証する(フィルターバッグの摩滅または壊食は生じない)。
本発明により有利には、≧30μmの粒径を有する粒子のためのその分離効率(保持特性)が少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、特に有利には少なくとも90%もしくは少なくとも95%およびそれを上回るフィルター材料(ろ材もしくはフィルタータイプ)が用いられる。
特に有利には、本発明による方法の場合、≧20μmの粒径を有する粒子のためのその分離効率が少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、特に有利には少なくとも90%もしくは少なくとも95%およびそれを上回るフィルター材料(ろ材もしくはフィルタータイプ)が用いられる。
極めて有利には、本発明による方法の場合、≧10μmの粒径を有する粒子のためのその分離効率が少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、特に有利には少なくとも90%もしくは少なくとも95%およびそれを上回るフィルター材料(ろ材もしくはフィルタータイプ)が用いられる。
なお一層有利には、本発明による方法の場合、≧5μmの粒径を有する粒子のためのその分離効率が少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、特に有利には少なくとも90%もしくは少なくとも95%およびそれを上回るフィルター材料(ろ材もしくはフィルタータイプ)が用いられる。
最も有利には、本発明による方法の場合、≧1μmの粒径を有する粒子のためのその分離効率が少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、特に有利には少なくとも90%もしくは少なくとも95%およびそれを上回るフィルター材料(ろ材もしくはフィルタータイプ)が用いられる。
しかしながら一般に、本発明による方法のために(ならびに後でこの文献中でさらに説明される取り出し法のために)、0.5μmの粒径を有する粒子のためのその分離効率が≦90%、好ましくは≦80%であるフィルター材料(ろ材もしくはフィルタータイプ)が用いられる。それによって本発明による方法において、一般に満足のいく空時収率が保証される。
それぞれ上で挙げられた百分率は、そのつどの粒度の全体の粒子数に対するものである。加えて上で挙げられた百分率は、20l(m2・分)の表面負荷、粒子のための分散媒としての水、20℃の温度および<50mbarの差圧、ならびに粒子タイプとしてのISO 12103−1 A3に従う試験ダストに対するものである。
この試験の実施は、French Standard NF 45−303(Filtration & Separation(Filtr.sep)ISSN 0015−1882 CODEN FSEPAA Filtration and Separation,1997,vol.34,No.3,pp.217−223を参照のこと)に依拠して行われる。
上記の全ての特性は、例えばフィルター型AGF−51、AGF−53、AGF−55、AGF−57およびAGF−59のEaton Filtration,LLC(900 Fairmount Avenue,Elizabeth,New Jersey 07207(USA))社製のACCUGAFTMフィルターバッグが満たす。それらは溶融吹出ポリプロピレンから溶着された形で作製されている。それらはバインダー、界面活性物質および添加剤(例えば接着性樹脂)を有さない。この種の、ポリプロピレンのみから作製されたフィルター材料(ろ材、フィルタータイプ)は、本発明による方法のために特に適していることがわかった。なぜなら該フィルター材料は、本発明により貯蔵されるべき液体モノマーを不所望のラジカル重合へと特にほんの僅かな形でしか誘因しないからである。
その際、AGF−51タイプの使用において、最も高い分離効率に達する(粒径≧1μmに対して少なくとも90%)。特性値の数が増大するにつれて分離効率は減少する。しかしながらAGF−59タイプの場合、粒径≧30μmに対する分離効率は依然として90%より高い。
代替的に、本発明による方法のためにEaton社のフィルターバッグPROGAFTMまたはLOFCLEARTMも使用してよい。LOFCLEARフィルターバッグは多層フィルター材料からのフィルターバッグであり、かつPROGAFTMはサブミクロン領域までの効率的な粒子低減を達成することができる特に性能の高いろ材からのフィルターバッグである。LOFCLEARフィルターバッグも同様にポリプロピレン100%から作製されている。
代替的に、本発明による方法のために、Pall GmbH,Philipp−Reis−Strasse 6,D−63303 Dreieichの"HP"シリーズ(殊にバッグフィルターHPC、HPBおよびHPA)の高性能バッグフィルターを使用してもよい。それらは3つが重なり合って配置されたポリプロピレンウェブ;バッグフィルターの良好な機械的強度を保証する外側の支持ウェブ、真ん中の活性フィルターウェブおよびプレフィルターとして作用する内側の保護ウェブとから成る。
好ましいのは、新鮮な状態におけるその差圧が、10(好ましくは20)m3/h・m2(20℃の水)の負荷に際して≦100mbarであるバッグフィルターである。しかしながら、一般に、上述の値は≧5mbarである。
本発明により適しているものとして、さらにFUHR GmbH社(D−55270 Klein−Winternheim Mainz在,Am Weinkastell 14)のポリプロピレンから作製されたキャンドルフィルターが言及される。殊にそれらに含まれるのは、同様に完全にポリプロピレンから作製されているacuraProgard メンブレンフィルターキャンドルである。それらは熱溶着構造を有し、かつ該構造によって接着剤およびバインダーを含まない。そのフィルターマトリックスは二層構造を有しているので、その使用に際して非常に長い可使時間を得ることができる。
acuraPrograd キャンドルフィルターは、粒径≧0.2μm、もしくは≧0.45μm、もしくは≧1μm、もしくは≧5μm、もしくは≧10μmまたは≧20μmに対して少なくとも99.9%の分離率で得られる。
本発明によりろ過されるべきモノマー相の温度は、殊にポリプロピレンからのろ材の使用に際して≦95℃であるのが望ましい。
好ましくは、上述の温度は≦80℃、特に有利には≦60℃、極めて有利には≦40℃および最も有利には≦30℃もしくは25℃である。最も好ましい場合には、該温度は0℃までであってよい。
その他の点では、本発明による方法の少なくとも1つの分離操作は、一般的に好ましくは≦95℃、有利には≦80℃、好ましくは≦60℃、特に好ましくは≦40℃および最も有利には≦30℃もしくは≦25℃の温度で実施される。最も好ましい場合には、該温度は0℃までであってよい。
記載したように本発明により実施されるべきろ過の場合、≧10mbar〜5barの差圧を使用することができる。
好ましくは、上述の差圧は≧20mbarおよび≦3barであり、特に有利には≧20mbarおよび≦2bar、もしくは≦1.5barである。より高い差圧が必要とされる場合、フィルターは交換されるべきである。しかし当然の事ながら、本発明によるろ過のために、ポリテトラフルオロエチレンからの(例えばFUHR GmbHのacuraVent AVF フィルターキャンドル)、ホウケイ酸繊維からの(例えばFUHR GmbHのacuraVent AFG−GG フィルターキャンドル)、ポリエーテルスルホンからの(例えばFUHR GmbHのacuraFine AFS フィルターキャンドル)からの、ならびにナイロンからの(例えばFUHR GmbHのacuraPrograd フィルターキャンドル)からのフィルターキャンドルも考慮に入れられる。
当然の事ながら、本発明によるろ過のために、FUHR GmbHのacuraBag フィルターバッグも、殊にポリプロピレンから作製されているフィルターバッグも使用することができる。しかし本発明により、FUHR GmbHのACCUFIT(R)およびULTRAFIT(R)−フィルターバッグも適している。それらは本発明により好ましくは同様にポリプロピレンから溶着された形で作製されている。
一般に、本発明により適したフィルターバッグは、複数のフィルター層から作製されている。
本発明により好ましいのは、本発明による使用される方法のために使用されるろ材が、ろ過されるべき液体モノマー相による負荷下で本質的には膨張しないことである。上記の負荷量は、一般に2〜20m3/(h・m2)となる。
一般に、ろ過されるべき液体モノマー相は、フィルターバッグまたはフィルターキャンドルが使用される場合、内側から外側に向かってフィルタータイプに導かれる。基本的に、フィルターキャンドルが使用される場合、液体モノマー相は外側から内側に向かって導いてよい。
本発明により使用されるべきフィルター材料のフィルター活性層の典型的な孔径は0.1〜300μmであり、好ましくは1〜200μmもしくは1〜100μmおよび特に有利には1〜50μmもしくは1〜5μmである。既に言及したように、本発明により好ましくは互いに複数の層(例えば3層、または5層、または7層)が重ねて使用される。
基本的に、ろ過は圧力ろ過として、または真空ろ過として行ってよい。好ましくは、ろ過は圧力ろ過として実施される。当然の事ながら、ろ過は遠心分離によって実施してもよい。
殊に本発明による方法は、液体モノマー相中のモノマーの含量が≧96質量%、または≧97質量%、または≧98質量%、または≧99質量%、または≧99.5質量%、または99.7質量%、または99.9質量%である場合に適している。殊にこの文献中の上述の事柄および全ての内容は、モノマーがアクリル酸である場合(殊に液体モノマー相が精製アクリル酸である場合)に該当する。
本発明により使用されるフィルタータイプが使い果たされる場合、それは新鮮なフィルターと置き換えることができる。当然の事ながら、フィルターは目的に合わせて互換フィルターとして形成することができる。水性アルカリ金属水酸化物(例えば水酸化カリウムおよび/または水酸化ナトリウム)による洗浄および引き続く純水を用いた中和洗浄によって、本発明により使い果たされたフィルターを再生することができる。殊にポリプロピレンから作製されたフィルターは、使い果たした後に問題なく焼却することができる。
液体モノマー相中に存在するモノマーの不所望のラジカル重合を(例えば、温度、光またはそれ以外の自発的に誘発されたフリーラジカル形成によって誘発された)禁止する活性物質として、本発明により貯蔵されるべき液体モノマー相は、従来技術においてこのために公知の任意の重合禁止剤を溶解して含んでいてよい。有利には使用される重合禁止剤は、p−メトキシフェノール(MEHQ)、フェノチアジン、ヒドロキノン、フェノール(例えば2,4−ジメチル−6,6−ブチルフェノール)、キノン、ブチルピロカテコール、ジフェニルアミン、p−フェニレンジアミン、ニトロキシルラジカル(例えば4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−OH−THEMPO))および/またはニトロソ化合物、例えばニトロソフェノール(ならびにWO00/64947の中で挙げられるその他の全ての重合禁止剤)である。
本発明による方法様式は、貯蔵をより確実なものとしつつ、液体モノマー相の禁止剤含量を、貯蔵容器中の液相より上方に存在するガス相中の酸素含量と同様に低減することを可能にする。自明の事ながら、使用される禁止剤の必要とされる量は、禁止剤の種類、貯蔵温度、モノマーの種類および貯蔵されるべき液体モノマー相の特定の純度に依存する。本発明により貯蔵されるべき液体モノマー相中に含まれるモノマーの質量に対して、禁止剤含量は一般に≦220質量ppmである。
貯蔵容器から、本発明による方法に従って貯蔵された液体モノマー相が取り出される場合、この取り出されるべき液体モノマー相もしくは取り出された液体モノマー相は、化学反応のためのそのさらなる使用前に、または(安全性が高められた輸送の)その輸送のために、本発明により好ましくは同様に、取り出されるべき液体モノマー相もしくは取り出された液体モノマー相中に溶解して(分子状および/またはコロイド状;視覚的には見えない)含まれるモノマーの重合体を分離するための少なくとも1つの分離操作に供される。すなわち本出願は、付加的に、本発明による貯蔵の方法に続けて貯蔵容器から液体モノマー相を取り出す方法を行い、かつ取り出されるべき液体モノマー相を、その取り出しに際して、かつ/またはその取り出し後に化学反応のためのそのさらなる使用前に、または船による海上輸送、または貨物自動車あるいは路面電車(すなわち陸路または軌道上で)(例えばタンカーまたはタンクローリーの給油車の例えばタンク中で)(タンク材料として、頻繁にステンレス鋼が用いられる);後者のタンクの容量(液体媒体により占められ得る内容積)は、一般に少なくとも5m3、頻繁に少なくとも10m3および多くの場合15〜40m3もしくは20〜30m3であり;部分的にその内容積は、少なくとも2つの、一般に少なくとも3つのまたは少なくとも4つの互いに完全に分け隔てられたチャンバーに区分されており、該チャンバーは互いに無関係に液体モノマー相で充填され;液体モノマー相による充填体積は、典型的には液相によりそのつど占められ得る内容積の約80〜90体積%であり;タンカーのタンクの容量は、タンクローリーのタンクの容量を通常はるかに超える)によるその輸送のために、その中に溶解して含まれるモノマーの重合体(低重合体)(殊にこの文献中で挙げられる相対分子量の)の少なくとも部分量(好ましくは少なくとも25質量%、より好ましくは少なくとも50質量%、なお一層好ましくは少なくとも75質量%および最も有利には全量)を分離するための少なくとも1つの分離操作に供する方法を包含する。この種の殊にラジカル重合体の不所望の形成は、本発明による貯蔵を適用した場合にも完全には抑制することができない(一般に貯蔵は、≦50℃、好ましくは≦40℃もしくは≦30℃の温度で行われるが、しかしながら液体モノマー相の定点より高く行われ;典型的な貯蔵温度は17〜25℃である)。詳細な試験により、そのような本発明により貯蔵された液体モノマー相中に溶解して含まれる重合体は、殊にラジカル重合のために本発明により貯蔵された液体モノマー相を使用した場合に、たとえ含量がごく僅かにしか過ぎない場合ですら、ラジカル重合のプロセスのみならず、その際に結果生じる重合体の品質にもマイナスに作用するという結果が導き出された。それゆえ本発明は、上記のように貯蔵容器中で貯蔵された液体モノマー相、もしくは該貯蔵容器から取り出された液体モノマー相もしくは輸送される液体モノマー相または該貯蔵容器から取り出されたモノマー相とは異なる少なくともモノ不飽和(好ましくはエチレン性)化合物とその混合物を重合導入(例えばラジカル開始剤を用いて)することを特徴とする、例えばラジカル重合の方法も包含する。その際、分離操作として、既に本発明による液体モノマー相の貯蔵の方法のために記載および推奨していた全ての分離操作が考慮に入れられる。そこで言及した全ての事柄は、ここでも相応して当てはまる。
当然の事ながら、ろ過装置は、取り出し管路内もしくは取り出し箇所の容器壁に直接設置されていてもよい。
すなわち、本発明により有利には、貯蔵容器から取り出されるべき液体モノマー相もしくは取り出された液体モノマー相も、液体から微細な固体を分離するのに適している機械的な分離操作に供される。これに関して特に適しているのは、この場合も、ろ過および/または遠心分離による分離操作である。殊に、本発明による貯蔵法のために推奨される全てのろ過法が考慮に入れられ、そのために本発明による貯蔵法に関してこの文献中で個別になされたろ過についての言及は、取り出しろ過にも同じく的確に当てはまる。当然の事ながら、ろ過装置は、取り出し管路内もしくは取り出し箇所の容器壁に直接設置されていてもよい。
その際、特に有利には、≧10μmの粒径を有する粒子のためのその分離効率が少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%であるフィルター材料(ろ材、フィルタータイプ)が使用される。
その際、極めて有利には、≧5μmの粒径を有する粒子のためのその分離効率が少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%であるフィルター材料(ろ材、フィルタータイプ)が使用される。
しかし当然の事ながら、≧30μm(もしくは≧20μm、もしくは≧10μm、もしくは≧5μm、もしくは1μm)の粒径を有する粒子のためのその分離効率が少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、特に有利には少なくとも90%もしくは少なくとも95%およびそれを上回るフィルター材料(ろ材もしくはフィルタータイプ)も既に効果的である。
殊に、この点で型式AGF51、AGF53およびAGF55のEaton社のACCUGAFフィルターバッグを使用することができる。しかし当然の事ながら、この点でFUHR GmbH社のキャンドルフィルターも考慮に入れられる。例示的に、≧5μmの粒径に対して少なくとも99.9%の分離効率を有するFUHR社のacuraProgradキャンドルフィルターが言及される。
目的に応じて、本発明により貯蔵された液体モノマー相を貯蔵タンクから取り出す場合、取り出されるべき液体モノマー相を貯蔵タンクからまずそれ自体を試験タンクに入れて取り出すように行う(自明の事ながら、推奨されるろ過は、既に取り出す際に行ってもよい(例えば、取り出し管路内もしくは貯蔵容器中の取り出し箇所に存在するフィルターによって))。
試験タンクから、貯蔵タンクより取り出された液体モノマー相は、一回または何回も連続してポンプにより吸い上げられ、かつ例えば上記のようなろ過システムにより試験タンク中にそのつど再び返送される。ろ過システムにおける分離量(多層ケーシング中の粒径≧5μmに対して99.9%の分離効率を有する、例えばacuraPrograd キャンドルフィルター)がもはや増大しないか、またはもはや顕著には増大しない場合、分離プロセスは中断され、かつ試験タンク中に存在する、貯蔵タンクから前もって取り出されたモノマー相は、その利用(例えば、消費者への安全性が高められたその輸送、またはラジカル重合またはその他の化学反応)に供給される。好ましくは、前述の分離操作も可能な限り低い温度で行われる(一般に≦95℃、より良好には≦80℃、有利には≦60℃、好ましくは≦40℃、さらに有利には≦30℃もしくは≦25℃および有利な場合においては0℃までである)。
それゆえ本出願は、本発明による方法に従って貯蔵容器中に貯蔵され、かつ本発明による取り出しに従って該貯蔵容器から取り出される、液体モノマー相の輸送法にも関する。
その他の点においては、液体モノマー相の貯蔵は、WO2005/049543、US6,910,511、Research Disclosure Database Number 513002,Published in January 2007および殊にResearch Disclosure Database Number 513001,Published in January 2007に記載されているように行ってよい。
本発明により貯蔵されるべき液体モノマー相を作製するための凝縮が、精留塔内で分離されるべき混合物の(精留塔内での)供給箇所(フィード箇所)の上側で精留塔内において上昇する蒸気から行われる場合、そのようにして凝縮により作製された、かつ本発明により貯蔵されるべき液体モノマー相は、次いで上記フィード部の上側で精留塔から取り出され、凝縮は精留塔の内部で、例えば直接冷却および/または間接冷却によってもたらすことができる。間接冷却は、例えば塔頂部で、塔頂部に至る上昇する蒸気を間接熱交換器に導き、かつ間接熱交換器の条件下で凝縮可能な成分を液相に変えることによってもたらすことができる。次いで、そのようにして作製された液相の一部は、本発明による貯蔵に供給され、かつ、その他の部分は還流液として精留塔の頂部に返送される。次いで、この還流液は精留塔内で既に、該精留塔内で上昇する蒸気の直接冷却を引き起こす。間接熱交換器中で凝縮可能ではない成分は精留塔から導出され、かつ一般にその廃棄処理に供給される。重合禁止剤は凝縮物に直接添加される。純粋生成物の取り出しが塔頂部の下側で行われる場合、頂部で凝縮された相は、通常は大部分が還流液として精留塔内に返送される。通常、還流液は添加された重合禁止剤を含有する。精留塔から取り出された純粋生成物も同様に直接的に重合抑制されている。自明の事ながら、凝縮は塔頂部でもっぱら直接冷却によっても行うことができる。このために一度作製された塔頂凝縮物は禁止剤と混合され、冷却され、かつ少なくとも部分的に精留塔の頂部スペースにおいて直接冷却のために噴霧される。純粋生成物が塔頂部の下側(しかし、精留塔内で分離されるべき混合物の供給箇所の上側)で取り出される場合、通常は冷却された凝縮物の全量は頂部スペースにおいて再噴霧される。分離作用を有する内部構造物を含有する精留塔および塔頂部の凝縮スペースの部分は、通常、チムニートレーによって互いに切り離されている。還流液は、分離作用を有する部分に供給される。精留塔内に入る供給箇所(フィード箇所)の下側に存在する精留塔の部分は、通常、回収部と呼ばれ、かつ供給箇所の上側に存在する精留塔の部分は、通常、精留塔の濃縮部と呼ばれる。
精留塔内で分離されるべき物質混合物が液体の形で精留塔内に供給される場合、分離を形成するのは精留であり、蒸気状(もしくはガス状に)供給される場合、分離を形成するのは分別凝縮である。分離作用を有する内部構造物として精留塔は、例えば棚段、規則充填材および/または不規則充填材を含んでよい。プロピレンおよび/またはプロパンの不均一系触媒を用いた気相部分酸化の生成物混合物からのアクリル酸の分別凝縮の例示的な実施態様を、例えば文献DE−A19924533、DE−A19924532、WO01/77056、DE−A10156016、DE−A10243625、DE−A10223058、DE−A10235847、WO2004/035514、WO00/53560およびDE−A10332758が記載する。
本発明により貯蔵されるべきモノマー相が結晶相の溶融によって作製される場合、これは関連したモノマーを含有する液体混合物の一段階または多段階の結晶精製の結果であってよい(例えばEP−A616998を参照のこと)。液体混合物を低温にもたらすことによって、モノマーが液体混合物から結晶相として晶出する。
頻繁に、溶融されるべき結晶相は一段階の結晶化の結果である。
当然の事ながら、溶融されるべき相は分別凝縮の結果であってよもよい。
例えば、モノマーを含有する液体混合物に対する低温作用は層状結晶化として実施してよい(DE−OS2606364、EP−A616998、EP−A648520およびEP−A776875を参照のこと)。その際、結晶は互いに密着し、しっかりと付着する層の形において冷却表面上で凍結される。余った残留溶融物(母液)からの析出した結晶の分離は、残留溶融物の単純な流出によって行われる。原則的に、"静的"および"動的な層状結晶化法とは区別される。液体混合物からの動的層状結晶化の特徴を示しているのは、該液体混合物の強制対流である。これは例えば、冷却された完全に貫流されるパイプを通すことによる液体混合物のポンプ循環、液体混合物の細流膜としての冷却壁への供給(例えばEP−A616998に記載、例えば冷却されたダウンパイプ中で)または液体混合物中への不活性ガスの導入または脈動によって行ってよい。
静的な方法の場合、液体混合物は(例えば、管束式またはプレート式熱交換器中で)静止状態にあり、かつ緩慢な温度低下によって該熱交換器の二次側で層を形成して析出する。その後、残留溶融物(母液)は排出され、緩慢な温度上昇によって、より強く汚染された分画が結晶層から除去され、続けて純粋な生成物が溶融される(WO01/77056を参照のこと)。
一般に、モノマーが結晶化により分離される、モノマーを含有する液体混合物(通常は溶液)は、添加された重合禁止剤を含有する。モノマーの結晶析出の場合、通常これは本質的に重合禁止剤を含まずに晶出する。それゆえ頻繁に、析出したモノマー結晶層の溶融は、二次側を加熱することによってではなく、モノマー結晶層と、添加された重合禁止剤を含有する前もって溶融され析出したモノマー結晶層の加熱された溶融物とを接触させることによって行われる。
代替的に、モノマー結晶の形成は、モノマーを含有する液体混合物から懸濁結晶法としても(例えばWO01/77056、WO02/055469ならびにWO03/078378の教示に従う)行うことができる。
その際、一般に、例えばアクリル酸をモノマーとして含有する液体混合物(溶液)の冷却によってアクリル酸結晶を懸濁して含有する結晶懸濁液が作製され、その際、アクリル酸結晶は、液体出発混合物より僅かな不純物含量を有し、かつ余った残留溶融物(母液)は、液体出発混合物より高い不純物含量を有する。その際、アクリル酸結晶は懸濁液中にあって直接成長し得、かつ/または冷却壁上に層として析出し得、そこから結晶は連続的に掻き落とされ、かつ残留溶融物中に再懸濁される。
その際、WO01/77056、WO02/055469ならびにWO03/078378の中で挙げられる全ての懸濁晶析装置および懸濁結晶法が適用され得る。そのようにして作製されたアクリル酸結晶懸濁液は、例えば10〜50質量%、頻繁に20〜40質量%または30質量%の固体含量を有してよい。
懸濁結晶および残留母液を分離するために、例えば前記WO開示内容の中で挙げられる全ての分離法が考慮に入れられる(例えば、遠心分離のような機械的分離法)。有利には洗浄塔内で分離が行われる。好ましくは、該洗浄塔は、析出した例えばアクリル酸結晶の強制輸送手段を備えた洗浄塔である。洗浄液として、好ましくは洗浄塔内で予め精製された(分離された)例えばアクリル酸結晶の溶融物が使用される。通常、洗浄は向流で行われる。
なかでも上記の全ての事柄は、洗浄塔が例えばアクリル酸結晶の強制輸送手段を備えた洗浄塔である場合に有効であり、かつ、なかでもこれは、それがWO01/77056に記載の流体力学的または機械的な洗浄塔であり、かつ、該洗浄塔がそこで説明されているように運転される場合に有効である。
そのため本発明により貯蔵されるべき液体アクリル酸相は、例えば以下のように作製することができる。アクリル酸のC3前駆体(例えばプロピレン、プロパンまたはアクロレイン)の不均一触媒を用いた一段階または二段階の部分酸化によって、アクリル酸を含有する生成物ガス混合物が作製される。これは分離作用を有する内部構造物を備えた分離塔に導かれ、かつ同塔内で上昇して分別凝縮される。供給箇所の上側であるが、しかし塔頂部の下側で、分離塔から、アクリル酸≧95質量%を有し、かつ分離塔内での還流により添加された重合禁止剤を含有する液体の粗アクリル酸が取り出される。懸濁結晶法によって、粗アクリル酸から精製アクリル酸懸濁結晶が作製される。これは洗浄塔内で(好ましくは流体力学的な洗浄塔内で)添加された重合禁止剤を洗浄液として含有する純粋な結晶溶融物の使用下で残留母液から分離される。分離された純粋な結晶と、添加された重合禁止剤を含有する前もって分離された純粋な結晶の溶融物とを接触させることによって、分離された純粋な結晶が溶融され、そのようにして本発明により貯蔵されるべき液体アクリル酸相が作製される(一般に純度≧99.5質量%)。
当然の事ながら、この文献中で挙げられる貯蔵および取り出しの方法は、別の方法で作製された、かつモノマーの含量が<95質量%である液体モノマー相にも適用することができる。本発明による方法は、貯蔵されるべき液体モノマー相(場合により、まずそれ自体)を貯蔵容器中に導き、次いで貯蔵タンクから貯蔵の過程で繰り返し(最適には連続的に)液体モノマー相を取り出し、引き続きこれを再び貯蔵タンク中に返送し、かつ取り出しおよび返送の行程で液体モノマー相中に溶解して含まれるモノマーの重合体の少なくとも部分量を分離するための少なくとも1つの分離操作に供するように実施してもよい。この場合、その作製から貯蔵容器中へと至る液体モノマー相の本発明による行程は、まず簡単に、その間に再び貯蔵容器からの搬出を行うループに通じる。当然の事ながら、この文献中で説明された本発明による変法(これらの変法の部分)を組み合わせて適用してもよい。
実施例および比較例
a)比較例
不均一系触媒を用いたプロピレンの部分酸化の生成物混合物の分別凝縮によって、WO2004/035514の実施例1の中で記載されたように、アクリル酸96.9質量%を含有し、かつMEHQ0.018質量%ならびにフェノチアジン0.012質量%および分子酸素0.0004質量%により重合抑制されているアクリル酸を作製した。それを凝縮塔の第二の捕集トレーから100.6℃の温度を有する凝縮塔内への生成物混合物の供給部より上側で取り出し、かつ視覚的に固体を含んでいなかった。0.5mlのこのアクリル酸を25℃に冷却し、かつ大気雰囲気下で1.8mlのガラスアンプル中に移した。引き続き、アンプルを120℃にて空気循環式乾燥庫中で回転させながら貯蔵し、完全な混合を保証した。次いで、サンプルが完全に重合するまでの時間tを記録した。tは15時間17分であった。
a)比較例
不均一系触媒を用いたプロピレンの部分酸化の生成物混合物の分別凝縮によって、WO2004/035514の実施例1の中で記載されたように、アクリル酸96.9質量%を含有し、かつMEHQ0.018質量%ならびにフェノチアジン0.012質量%および分子酸素0.0004質量%により重合抑制されているアクリル酸を作製した。それを凝縮塔の第二の捕集トレーから100.6℃の温度を有する凝縮塔内への生成物混合物の供給部より上側で取り出し、かつ視覚的に固体を含んでいなかった。0.5mlのこのアクリル酸を25℃に冷却し、かつ大気雰囲気下で1.8mlのガラスアンプル中に移した。引き続き、アンプルを120℃にて空気循環式乾燥庫中で回転させながら貯蔵し、完全な混合を保証した。次いで、サンプルが完全に重合するまでの時間tを記録した。tは15時間17分であった。
b)実施例
比較例と同じように処理した。分離塔からのその取り出し後、アクリル酸を30℃に冷却し、かつ多層ケーシング中に存在するACCUGAF AGF−51 フィルターバッグに導いた。ろ過の終了後、フィルターバッグの内壁は、ポリアクリル酸からの粘着性の堆積物を有していた。0.5mlのろ過されたアクリル酸を、25℃および大気雰囲気下で1.8mlのガラスアンプル中に移した。引き続き、アンプルを120℃にて空気循環式乾燥庫中で回転させながら貯蔵し、完全な混合を保証した。次いで、サンプルが完全に重合するまでの時間tを記録した。tは20時間26分であった。
比較例と同じように処理した。分離塔からのその取り出し後、アクリル酸を30℃に冷却し、かつ多層ケーシング中に存在するACCUGAF AGF−51 フィルターバッグに導いた。ろ過の終了後、フィルターバッグの内壁は、ポリアクリル酸からの粘着性の堆積物を有していた。0.5mlのろ過されたアクリル酸を、25℃および大気雰囲気下で1.8mlのガラスアンプル中に移した。引き続き、アンプルを120℃にて空気循環式乾燥庫中で回転させながら貯蔵し、完全な混合を保証した。次いで、サンプルが完全に重合するまでの時間tを記録した。tは20時間26分であった。
既に両方の試験が示しているように、溶解して含まれる重合体(溶解して含まれるポリアクリル酸)を取り除くことで、アクリル酸は不所望な形でラジカル重合しにくくなる。
2007年3月23日に提出された米国暫定特許出願番号60/896559が、文献参照によって本出願中に組み込まれている。上記の教示に鑑みて、本発明の多様な変更および変化が可能である。従って本発明は、添付された特許請求の範囲内で、この中で特に記載される以外の形で実施できることを前提にしてよい。
Claims (18)
- モノマー含量が≧95質量%である、貯蔵条件下で液体のモノマー相を貯蔵容器中で貯蔵する方法であって、その際、前記モノマーは、アクロレイン、メタクロレイン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸およびC原子1〜12個を有するアルコールとからのエステルならびにメタクリル酸およびC原子1〜12個を有するアルコールとからのエステルから成る群からのモノマーであり、かつ前記液体モノマー相は、ガス相からの凝縮によってか、または結晶相の溶融によって作製していた、モノマー含量が≧95質量%である、貯蔵条件下で液体のモノマー相を貯蔵容器中で貯蔵する方法において、前記液体モノマー相を、その作製から貯蔵容器中に入れる過程で、前記液体モノマー相中に溶解して含まれるモノマーの重合体の少なくとも部分量を分離するための少なくとも1つの分離操作に供することを特徴とする方法。
- 流体相により占められ得る前記貯蔵容器の内容積が100m3〜10000m3であることを特徴とする、請求項1記載の方法。
- 前記貯蔵容器が、貯蔵された液体モノマー相の部分量を取り出し、熱交換器に導き、引き続き貯蔵タンク中に返送することができる装置を有することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
- 前記液体モノマー相を貯蔵容器中で分子酸素を含有する雰囲気下で貯蔵することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
- 前記液体モノマー相が、溶解したp−メトキシフェノールおよび/またはフェノチアジンを含有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
- 少なくとも1つの分離操作が、ろ過および/または遠心分離であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
- 少なくとも1つの分離操作が、使用するろ材をポリプロピレンから作製している、ろ過であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
- 少なくとも1つの分離操作が、ろ材をステンレス鋼から作製している、ろ過であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
- 少なくとも1つの分離操作が、粒径≧30μmを有する粒子のために使用されるろ材の分離効率が少なくとも90%である、ろ過であることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
- 少なくとも1つの分離操作が、粒径≧10μmを有する粒子のために使用されるろ材の分離効率が少なくとも90%である、ろ過であることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
- 少なくとも1つの分離操作を≦95℃の温度で実施することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
- 前記貯蔵容器から液体モノマー相を取り出す方法を引き続き行い、かつ取り出されるべき液体モノマー相を、前記液体モノマー相を取り出す場合および/または取り出した後に、化学反応のために前記液体モノマー相をさらに使用する前に、または前記液体モノマー相を輸送するために、前記液体モノマー相中に溶解して含まれるモノマーの重合体を分離するための少なくとも1つの分離操作に供することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
- 少なくとも1つの分離操作が、ろ過であることを特徴とする、請求項12記載の方法。
- 粒径≧10μmを有する粒子のために使用されるろ材の分離効率が少なくとも90%であることを特徴とする、請求項13記載の方法。
- 前記液体モノマー相が、アクリル酸含量が≧99質量%である精製アクリル酸であることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
- 請求項12または13記載の方法に従って貯蔵容器から取り出された液体モノマー相または貯蔵容器から取り出された液体モノマー相とは異なる少なくともモノ不飽和化合物と前記液体モノマー相との混合物を重合導入することを特徴とする、ラジカル重合法。
- 液体モノマー相が、請求項12から14までのいずれか1項記載の方法に従って貯蔵容器から取り出された液体モノマー相であることを特徴とする、液体モノマー相の輸送法。
- 請求項17記載の方法に従って輸送される液体モノマー相または輸送されるモノマー相とは異なる少なくともモノ不飽和化合物と前記モノマー相との混合物を重合導入することを特徴とする、ラジカル重合法。
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