JP5774928B2 - アクリル酸の製造方法 - Google Patents
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Description
(a)アクリル酸原料の接触気相酸化反応工程
(b)工程(a)で得られたアクリル酸含有ガスの溶剤への捕集及び/又は凝縮工程
(c)上記(b)工程に続く、蒸留及び/又は結晶化工程
(a)アクリル酸原料の接触気相酸化反応工程
(b)工程(a)で得られたアクリル酸含有ガスの溶剤への捕集及び/又は凝縮工程
(c)上記(b)工程に続く、蒸留及び/又は結晶化工程
これらの工程(a)〜(c)はすべて周知であり、公知方法(例、特開平09−227445号公報、特開2005−15478号公報等)により実施すればよい。
これらの工程において貯蔵タンクは、工程的な位置として、例えば、捕集塔、凝縮塔及び/又は蒸留塔と、精留塔及び/又は晶析塔との間、あるいは、精留等及び/又は晶析塔の後ろに設置される。
特開2005―15478号の実施例1と同様の方法によるプロピレンの接触気相酸化反応によって得られた反応ガスを捕集用水溶液と接触させ、捕集塔の塔底より、アクリル酸90.0質量%、水3.2質量%、酢酸1.9質量%、マレイン酸0.6質量%、アクリル酸二量体1.5質量%、アルデヒド類0.4質量%、ハイドロキノン0.1質量%、その他の不純物2.3質量%の組成をもつアクリル酸溶液を得た。なお、この時の捕集塔底温度、すなわち捕集塔より取り出されるアクリル酸溶液の温度は91℃であった。
参考例1で得られたアクリル酸溶液を、熱交換器を用いて70℃に冷却した後、孔径50μmのポリプロピレン製のカートリッジフィルタ(このフィルタをフィルタAとする。)が設置されたラインを通して貯蔵タンクに供給した。
該貯蔵タンクよりアクリル酸溶液を、該貯蔵タンクでのアクリル酸溶液の滞留時間が1時間になるように連続的に抜き出した(精製工程に供給される)。なお、この時、フィルタA部でのアクリル酸溶液の線速度は、0.1m/sであった。
フィルタAを設置しなかった以外は、実施例1と同様の操作を行った。3日間の連続稼動を行った後、フィルタBでの圧力損失が上昇し、貯蔵タンクからのアクリル酸溶液の抜き出しが困難となった。取り出したフィルタB表面にはポリマーが付着し、大部分が閉塞していた。
捕集塔より取り出されるアクリル酸溶液を、熱交換器を用いて80℃に冷却した以外は、実施例1と同様の操作を行った。4日間の連続稼動を行った後、フィルタBでの圧力損失が上昇し、貯蔵タンクからのアクリル酸溶液の抜き出しが困難となった。取り出したフィルタB表面にはポリマーが付着し、大部分が閉塞していた。また、フィルタAでは圧力損失上昇は見られなかった。
参考例1の方法と同様にしてアクリル酸溶液を得、貯蔵タンクを経由することなく直接晶析装置に供給し、4回の動的結晶化工程により精製した。動的結晶化は、特公昭53−41637号公報に記載される晶析装置に準じた晶析精製装置で行った。すなわち、下部に貯蔵器を備えた、長さ6m、内径70mmの金属管で、循環ポンプにより貯蔵器中の液体を管上部へ移送し、液体を管内壁面に落下皮膜(falling film)状に流すことができるようになっている装置である。管の表面は二重のジャケットから構成され、このジャケットは、サーモスタットである一定の温度になるように制御されている。1回の動的結晶化は以下の手順で行った。
1)結晶化:貯蔵器にアクリル酸を供給し、循環ポンプにより管壁面に落下皮膜状に流し、ジャケットの温度を凝固点以下に下降させ、約60〜90質量%を壁面に結晶化させた。
2)発汗:循環ポンプを停止させ、ジャケットの温度を凝固点付近まで上昇させ、約2〜20%を発汗させた。発汗後、残留溶融液をポンプで汲み出した。
3)融解:ジャケットの温度を凝固点以上に上昇させ、結晶を融解し、ポンプで汲み出した。
以上の操作において、温度、および凝固点は実施されるそれぞれの工程に依存させた。
該精製アクリル酸に、安定剤としてメトキノンを200質量ppmとなるように添加し、熱交換器を用いて25℃に調整した後、孔径1μmのポリプロピレン製のカートリッジフィルタ(このフィルタをフィルタCとする。)が設置されたラインを通して貯蔵タンクに供給した。該貯蔵タンクより精製アクリル酸を、該貯蔵タンクでの精製アクリル酸の滞留時間が3時間になるように連続的に抜き出した(製品タンクに供給される)。なお、この時、フィルタC部での精製アクリル酸の線速度は、0.01m/sであった。
このポリマーは、水で洗浄後、10質量%の水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、さらに水で洗浄することにより除去することができた。
フィルタCを設置しなかった以外は、実施例2と同様の操作を行った。4日間の連続稼動を行った後、フィルタDでの圧力損失が上昇し、貯蔵タンクからの精製アクリル酸の抜き出しが困難となった。取り出したフィルタD表面にはポリマーが付着し、大部分が閉塞していた。
アクリル酸溶液を晶析装置に供給するラインに孔径1μmのフィルタEを設置し、かつフィルタCを設置しなかった以外は、実施例2と同様の操作を行った。7日間の連続稼動を行った後、フィルタDでの圧力損失が上昇し、貯蔵タンクからの精製アクリル酸の抜き出しが困難となった。取り出したフィルタD表面にはポリマーが付着し、大部分が閉塞していた。
特開2001−199931号の例1と同様の方法(プロピレンの接触気相酸化反応、捕集溶剤として水を用いた反応ガスの捕集、得られたアクリル酸水溶液の放散処理、および共沸溶剤としてトルエンを用いた共沸蒸留)により、共沸蒸留塔の塔底より、アクリル酸96.9質量%、酢酸0.06質量%、水0.03質量%、アルデヒド類0.4質量%を含む共沸蒸留物を得た。
次いで、この共沸蒸留物を蒸留塔に供給した。該蒸留塔は、段数50段、段間隔147mmのシーブトレーを備え、さらに塔頂上部には留出管および還流管を備え、塔側部には原料供給管、塔底部には塔底液抜き出し管を備えたものである。蒸留は、塔頂圧35hPa、還流比1.0、塔底温度92℃の条件で行った。なお、蒸留に際しては、還流液に安定剤を添加し、かつ塔底液中に酸素を吹き込みながら蒸留を行った。これにより、塔頂部から、アクリル酸99.70質量%、酢酸0.06質量%、水0.03質量%、アルデヒド類0.1質量%を含む粗アクリル酸を得た。
参考例2で得られた粗アクリル酸にアルデヒド処理剤として、粗アクリル酸に対して400質量ppmのヒドラジンヒドラート(ヒドラジン1水和物)を添加し、貯蔵タンクを経由せずに直接精留塔の塔底部に供給した。該精留塔は、段数5段、段間隔147mmのシーブトレーを備え、さらに塔頂上部には留出管および還流管を備え、塔底部には、原料供給管および塔底液抜き出し管を備えたものである。蒸留は、塔頂圧55hPa、還流比0.5の条件で連続的に行った。
なお、粗アクリル酸に対して250質量ppmのメトキノンを重合防止剤として還流液に添加し、かつ塔底液中に酸素を吹き込みながら蒸留を行った。これにより、精留塔塔頂部から99.89質量%の純度を有する精製アクリル酸を得た。この時の精製アクリル酸のその他の成分組成は、水400ppm、酢酸620質量ppm、アルデヒド類0.04質量ppm、メトキノン70質量ppmであった。
該貯蔵タンクより精製アクリル酸が抜き出されるラインに、孔径1μmのポリプロピレン製のカートリッジフィルタ(このフィルタをフィルタFとする。)を設置し、1ヶ月間連続稼動を行ったが、フィルタFでの圧力損失上昇は見られず、また取り出したフィルタF表面にもポリマーなどの付着物は見られなかった。なお、フィルタEでも圧力損失上昇は見られなかったが、取り出したフィルタE表面にはポリマーが付着していた。このポリマーは、水で洗浄後、10質量%の水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、さらに水で洗浄することにより除去することができた。
フィルタEを設置しなかった以外は、実施例3と同様の操作を行った。2週間の連続稼動を行った後、フィルタFでの圧力損失が上昇し、貯蔵タンクからの精製アクリル酸の抜き出しが困難となった。取り出したフィルタF表面にはポリマーが付着し、大部分が閉塞していた。
Claims (7)
- アクリル酸の製造方法において、
結晶化による精製を行う結晶化工程、および、貯蔵タンクにてアクリル酸を貯蔵する工程を含み、
上記結晶化工程で得られ、アクリル酸を90質量%以上含む精製アクリル酸を、結晶化による精製装置から貯蔵タンクに供給する際に、上記精製アクリル酸の温度を15〜50℃、線速度を5m/s以下として、フィルタ径が0.1〜100μmのフィルタ材を用いて少なくとも1回の濾過操作を行うことを特徴とするアクリル酸の製造方法。 - 上記アクリル酸の製造方法が、下記(a)〜(b)の工程を含む、請求項1記載のアクリル酸の製造方法。
(a)アクリル酸原料の接触気相酸化反応工程
(b)工程(a)で得られたアクリル酸含有ガスの溶剤への捕集及び/又は凝縮工程 - さらに、結晶化による精製の前にアクリル酸を貯蔵タンクに供する際、または、アクリル酸を結晶化工程に供する際に濾過操作を行う、請求項1または2に記載のアクリル酸の製造方法。
- 上記濾過操作の温度を15〜50℃とする、請求項1〜3のいずれかに記載のアクリル酸の製造方法。
- 結晶化工程に供するアクリル酸中の水含有量が0.5質量%以上である、請求項1〜4のいずれかに記載のアクリル酸の製造方法。
- 結晶化工程を経たアクリル酸の水含有量が0.3質量%以下である、請求項1〜5のいずれかに記載のアクリル酸の製造方法。
- 結晶化による精製を行う結晶化工程、および、貯蔵タンクにてアクリル酸を貯蔵する工程を含むアクリル酸の製造において、
上記結晶化工程で得られ、アクリル酸を90質量%以上含む精製アクリル酸を、結晶化による精製装置から貯蔵タンクに供給する際に、上記精製アクリル酸の温度を15〜50℃、線速度を5m/s以下として、フィルタ径が0.1〜100μmのフィルタ材を用いて少なくとも1回の濾過操作を行うことを特徴とするアクリル酸貯蔵中の重合物の生成抑制方法。
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