JP5144926B2 - アクリル酸の精製方法および製造方法 - Google Patents

アクリル酸の精製方法および製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アクリル酸を精製するための方法、およびアクリル酸を製造するための方法に関するものである。
アクリル酸は、その重合体および共重合体が、高吸水性材料、塗料、接着剤、繊維等に用いられることから、有用な化合物である。このアクリル酸の製造にあたっては、重合性が高いことから重合禁止剤を用いて行われるが、それでも重合体が生成する。アクリル酸中に重合体が存在すると、アクリル酸はより重合しやすい傾向が見られ、アクリル酸の重合体が蓄積していくと、製造ラインが重合体で詰まることにより工程の中断を招くおそれがある。また、アクリル酸の精製後の純度にも悪影響を及ぼし、何度も繰り返し精製操作を行う必要が出てくる。従って、効率よくアクリル酸の精製、延いては製造を行うためには、粗アクリル酸中の重合体はできるだけ除かれる必要がある。
アクリル酸の製造工程において生成するアクリル酸重合体を除く方法としては、例えば、特許文献1に記載の方法が挙げられる。当該特許文献1では、アクリル酸重合体等の固形不純物を除くために、蒸留塔や精留塔等の処理塔内の処理流体を一旦抜き出し、ストレーナ等で処理流体を濾過し、再び処理流体を処理塔に戻すという方法が提案されている。しかし、処理流体の温度は高く、低重合度のアクリル酸重合体は処理流体中に溶解していることから、このような通常の濾過処理では、重合体を完全に除去することはできない。そのため、当該方法では、操作温度の低い以降の工程において、濾過処理で除去できなかった重合物が析出し、装置に付着したり汚れの原因になるなどの問題が引き起こされる。
精製工程に供される粗アクリル酸中の重合体を除去するための方法としては、特許文献2と3に記載の方法が挙げられる。これら特許文献の技術では、粗アクリル酸の溶融物をフィルタで濾過することにより、分子量の高くない粘着性のポリマーを除いている。しかし、通常、凝縮工程や吸収工程の操作温度は高いため、当該方法では粗アクリル酸中に溶存して存在する重合体を完全に除去することができない。
特開2001−129388号公報 特表2004−528370号公報 特表2004−528371号公報
上記事情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、精製操作に供される粗アクリル酸中に溶解して存在するアクリル酸重合体を除去することにより、効率よくアクリル酸の精製および製造を行うことができる方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、アクリル酸重合体を含有した粗アクリル酸の温度を、精製操作に供する際にコントロールしてアクリル酸重合体を析出させ、さらに濾過条件を制御することによって、析出したアクリル酸重合体を有効に除去することにより、アクリル酸の精製および製造を効率よく行うことができることを見出した。この知見に基づいて、本発明者らは本発明を完成した。
本発明に係る第一のアクリル酸の精製方法は、
接触気相酸化反応により生じたアクリル酸含有ガスを、吸収することまたは凝縮することのうち少なくとも一方により得られた粗アクリル酸から、アクリル酸を精製する方法であって、
粗アクリル酸が50質量%以上のアクリル酸を含有し、
精製操作を行う前に、15〜70℃で且つ液線速5m/s以下で粗アクリル酸の濾過操作を行うことを特徴とする。
本発明に係る第二のアクリル酸の精製方法は、
接触気相酸化反応により生じたアクリル酸含有ガスを、吸収することまたは凝縮することのうち少なくとも一方により得られた粗アクリル酸から、アクリル酸を精製する方法であって、
粗アクリル酸が50質量%以上のアクリル酸を含有し、
精製操作を行う前に、70℃を超える温度で且つ液線速5m/s以下で粗アクリル酸の濾過操作を行い、
さらに15〜70℃で且つ液線速5m/s以下で粗アクリル酸の濾過操作を行うことを特徴とする。
上記精製方法においては、精製操作として蒸留または結晶化の何れか一方が好適であり、結晶化が特に好適である。
本発明に係る第一のアクリル酸の製造方法は、
接触気相酸化反応によりアクリル酸含有ガスを生成させる工程;
アクリル酸含有ガスを、吸収することまたは凝縮することのうち少なくとも一方により、50質量%以上のアクリル酸を含む粗アクリル酸を得る工程;
粗アクリル酸を、15〜70℃で且つ液線速5m/s以下で濾過する工程;および
得られた濾液からアクリル酸を精製する工程;
を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る第二のアクリル酸の製造方法は、
接触気相酸化反応によりアクリル酸含有ガスを生成させる工程;
アクリル酸含有ガスを、吸収することまたは凝縮することのうち少なくとも一方により、50質量%以上のアクリル酸を含む粗アクリル酸を得る工程;
粗アクリル酸を、70℃超で且つ液線速5m/s以下で濾過する工程;
さらに、得られた第1濾液を、15〜70℃で且つ液線速5m/s以下で濾過する工程;および
得られた第2濾液からアクリル酸を精製する工程;
を含むことを特徴とする。
本発明によれば、アクリル酸の精製工程の円滑な実施を阻害するアクリル酸重合体を精製操作前に除去することができ、アクリル酸の精製、延いてはアクリル酸の製造を効率よく行うことができる。
本発明に係る第一のアクリル酸の精製方法は、
接触気相酸化反応により生じたアクリル酸含有ガスを、吸収することまたは凝縮することのうち少なくとも一方により得られた粗アクリル酸から、アクリル酸を精製する方法であって、
粗アクリル酸が50質量%以上のアクリル酸を含有し、
精製操作を行う前に、15〜70℃で且つ液線速5m/s以下で粗アクリル酸の濾過操作を行うことを特徴とする。
本発明方法では、先ず、接触気相酸化反応によりアクリル酸含有ガスを生成させる。当該反応は当業者にとり周知であり、当業者であれば、常法に従って、当該反応によりアクリル酸含有ガスを生成させることができる。
本発明の精製方法では、接触気相酸化反応により生じたアクリル酸含有ガスを、溶剤へ吸収および/または凝縮させることで得られる、アクリル酸含有量が少なくとも50質量%以上の粗アクリル酸を使用する。当該粗アクリル酸を得る方法は周知であり、例えば特開平09−227445号公報、特開2005−15478号公報等に記載されている。
粗アクリル酸とは、接触気相酸化反応により生じたアクリル酸含有ガスを凝縮して得られる粗生成物、または接触気相酸化反応により生じたアクリル酸含有ガスが溶剤に吸収されて得られるアクリル酸溶液等のことをいう。
アクリル酸含有ガスを吸収させる溶剤としては、水;有機酸含有水;ジフェニルエーテルやビフェニル等の高沸点の不活性疎水性有機液体;およびこれらの混合溶媒等が挙げられ、これらのうち、水;ジフェニルエーテルとビフェニルの混合溶媒が好ましい。
本発明において、粗アクリル酸のアクリル酸含有量は50質量%以上であるが、好ましくは、60質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上である。
粗アクリル酸中のアクリル酸以外の成分としては、接触気相酸化反応により副生する成分や、上記のアクリル酸含有ガスを吸収させる溶剤等が挙げられる。副生成分としては、例えば、水、酢酸、マレイン酸、アルデヒド類、アクリル酸重合物等がある。
粗アクリル酸は、重合禁止剤、安定剤等を含んでいてもよい。アクリル酸重合体は、重合禁止剤、安定剤等を含んでいてもなお生成するものである。
また、接触気相酸化反応から得られる粗アクリル酸には、アルデヒド類としてアクロレインが含まれている場合がある。このアクロレインは、プロピレンなどの原料ガスの接触気相酸化反応で生成する中間物質であり、また、アクリル酸の原料でもある。このアクロレインを除去するためには、粗アクリル酸をアクロレイン分離塔へ供給してもよい。
粗アクリル酸からアクロレイン量を低減しておけば、以降における濾過工程のフィルタの交換頻度をさらに低減することができる。
アクロレイン分離塔の種類は、アクロレインの分離が可能であれば特に制限されないが、例えば充填塔、棚段塔、即ちトレイ塔などを用いることができる。アクロレイン分離塔では、粗アクリル酸におけるアクリル酸濃度やアクロレイン濃度などによって、蒸留や放散などの精製方法を適宜選択することができる。
アクロレイン分離塔で蒸留を行う場合には、塔頂圧力は、絶対圧で20〜800hPaとすることが好ましく、40〜600hPaがより好ましく、60〜400hPaがさらに好ましい。当該絶対圧が20hPaよりも低いと、塔、コンデンサ、真空装置などが大型し、設備費が過剰に高くなる場合がある。一方、当該絶対圧が800hPaよりも高いと、分離塔内の温度が高くなり、重合物が生成するおそれがあり得る。
アクロレイン分離塔で放散を行う条件も、当業者にとり周知であり、一般的な条件を採用してアクロレインを分離することができる。
本発明では、精製操作を行う前に、以下に説明する濾過操作を行う。本発明において、「精製操作を行う前」とは、精製操作が繰り返して行われる場合には、いずれかの回の精製操作を行う前、即ち再精製操作前や再々精製操作前であることを意味する。
つまり、精製操作が繰り返して行われる場合には、いずれかの回の精製操作の前に濾過操作を行ってもよいし、また、各精製操作工程毎の前に濾過操作を行う態様も本発明に含まれる。例えば、接触気相酸化反応により生じたアクリル酸含有ガスを、溶剤へ吸収および/または凝縮させることで得られる、アクリル酸含有量が50質量%以上の粗アクリル酸を、最初の精製操作の前に濾過することが、本発明の好ましい態様であり、また、当該粗アクリル酸を濾過することなく一度精製操作に供した後、精製後の粗アクリル酸をもう一度精製操作に供する際に濾過操作を行うことも本発明の実施態様の1つである。
濾過操作に供する前に、粗アクリル酸を15〜70℃、好ましくは15〜50℃まで冷却する。粗アクリル酸は、通常1000質量ppm以下の溶存アクリル酸重合体を含むものであるが、アクリル酸重合体の粗アクリル酸水溶液への溶解度は、70℃付近で急激に変化することから、十分にアクリル酸重合体を析出させるために70℃以下に冷却する。なお、実用上は、65℃以下、若しくは60℃以下、場合によっては55℃以下に冷却して濾過操作を行うことにより、アクリル酸重合体を十分に析出させこれを濾別する。一方、アクリル酸の融点は約13℃であるため、アクリル酸の結晶析出を防ぐ観点から15℃以上とする。
本発明の粗アクリル酸の冷却自体は、公知技術を適宜採用すればよいが、熱交換器で冷却することが好ましい。熱交換器は冷却効率がよく、装置も安価で小型化でき、その取り扱いも簡便である。熱交換器の形式は特に制限されず、その例としては、プレート式、スパイラル式、二重管式、シェルアンドチューブ式等が挙げられる。本発明では更に熱交換器部分にゴミ等の固形分が詰まらないようにするために、熱交換器の前にプレフィルタを設置してもよい。プレフィルタの材質やフィルタ径等については特に制限はなく、自動ストレーナを使用してもよい。
熱交換器を使用せずに配管等での放熱で冷却することは、時間がかかるため生産性が悪く推奨されない。
冷却された粗アクリル酸は、濾過操作に供される。本発明において濾過操作は、15〜70℃、好ましくは15〜50℃で行われる。最も濾過効率のよい態様では、まず、70℃を超える温度で濾過を行い、さらに15℃〜70℃で濾過を行う。最初の濾過温度は、アクリル酸の重合性の観点から、好ましくは100℃以下とする。最初に70℃を超える温度で濾過を行うことにより、触媒片、ゴミ等を前もって除去し、さらに15〜70℃、好ましくは15〜50℃でも濾過を行って、析出したアクリル酸重合体を除去する。このように濾過操作を異なる温度での2段階以上の濾過とすることにより、濾過対象物質を分別でき、フィルタの交換頻度を大幅に低減することができる。さらに、熱交換器により粗アクリル酸を冷却する場合には、熱交換器の前で70℃を超える温度で濾過を行えば、熱交換器でのゴミ等の固形分による詰まりを防止することができる。
濾過操作を行う際の溶液の線速度は、5m/s以下とする。線速度は0.0005〜2m/sが好ましく、0.001〜1.0m/sがより好ましい。線速度が5m/sを超えると、析出した重合体がフィルタを通過してしまうおそれがあるためである。
なお、本発明において線速度は、フィルタを通過する溶液量を、フィルタの濾過面積で除することにより求めることができる。
フィルタの種類としては、特に制限はなく通常使用されるフィルタを用いることができる。例としては、ステンレス鋼線等で編んだ金属製のバスケットフィルタ、不織布、織布、濾紙、ガラスフィルタ、セラミックスフィルタ、ポリプロピレン等の樹脂製フィルタ等が挙げられる。これらのうち、耐酸性、耐アルカリ性、強度、コスト、汎用性、操作性の観点からは、金属製のバスケットフィルタ、およびポリプロピレン製フィルタが好ましい。
フィルタの孔径としては、析出するアクリル酸重合体を濾別できるサイズであればよく、特に制限されないが、0.01〜1000μm、好ましくは0.1〜500μm、更に好ましくは0.1〜100μmとする。2段以上のフィルタを設置する場合は、フィルタ寿命の観点から、目の粗いものから順次細かいものを設置するのがよい。例えば1段目は100〜1000μm、より好ましくは120〜1000μm、2段目以降は0.1〜100μm、より好ましくは0.5〜100μm、一層好ましくは1〜80μmとする。この際、各段のフィルタの素材は同種でも異種でも良い。更にフィルタ交換に備えてバイパスを設ける場合は、バイパスにおけるフィルタ配置、構成、素材等をメインパスのそれと同一にすることが好ましい。
フィルタの設置位置については特に制限はなく、送液ポンプの前であっても後であってもよい。また、フィルタの設置個数についても特に制限はなく、1つであっても複数であってもよい。フィルタの設置は、例えば、自動ストレーナ等の設置により行ってもよく、自動ストレーナは自動で付着物を掻き落とすことができるため好適である。
精製操作に供されるアクリル酸は、タンクに一度貯蔵されていてもよい。タンクに貯蔵する場合、濾過操作は、タンクへの貯蔵前に行っても、タンクへの貯蔵後に行ってもよい。好ましいのは貯蔵前である。
なお、アクリル酸の冷却装置の前に別途フィルタを設けることも、粗アクリル酸中の不純物を除く上で有効である。
フィルタは、使用するにつれ、アクリル酸重合体を捕捉することにより目詰まりを起こしてくるが、当該アクリル酸重合体は、逆洗浄および/または水洗浄、アルカリ洗浄を順次行うことにより、容易に除去することができ、さらに水で洗浄することでフィルタを再生することができる。尚最初の水洗浄で得られた洗浄液はアクリル酸を含んでいるため、例えば捕集工程などのアクリル酸製造工程に循環し、アクリル酸の回収を行うこともできる。
この濾過した粗アクリル酸を精製操作に供する。精製操作は、蒸留、結晶化、溶媒抽出、クロマトグラフィー等公知の精製法を採用すればよく、中でも、生産効率等の観点から、蒸留、結晶化が好ましく、結晶化が特に好ましい。
以上説明した精製方法は、接触気相酸化反応工程、アクリル酸含有ガスの溶剤吸収又は凝縮工程、および精製工程を含むアクリル酸の製造方法の製造工程にそのまま適用することができ、当該方法は、アクリル酸の製造を効率よく行えるため、有用である。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
実施例1
接触気相酸化反応で得られたアクリル酸ガスを水で捕集し、アクリル酸濃度90%の粗アクリル酸、即ちアクリル酸水溶液を得た。熱交換器で冷却し、粗アクリル酸の液温が65℃の状態で、目の粗さが50μmの金属製ストレーナへ通液し、濾過処理を行った。濾過処理時の粗アクリル酸の液線速は0.01m/sであった。濾過処理済粗アクリル酸は次工程の流下液膜式晶析装置へ送液した。当該装置の管長は18m、内径は70mmであった。濾過処理を行った液は、晶析工程での冷却時においても溶存アクリル酸重合体の析出は少なく、製品の濁りは発生しなかった。1年間安定に稼動後、晶析装置を点検すると極々少量のポリマーの付着が確認された。運転への影響は全くなかった。
実施例2
粗アクリル酸の液温度が30℃の状態で濾過処理を行った以外は、実施例1と同様の操作を行った。ストレーナのアクリル酸重合体の蓄積は、濾過温度65℃時と比べやや多く、交換頻度は上がった。しかし、濾過処理を行った液は、晶析工程での冷却時においても溶存アクリル酸重合体の析出は実施例1よりも少なく、製品の濁りは発生しなかった。ストレーナのアクリル酸重合体の蓄積は、実施例1と比べてやや多く、交換頻度は2割ほど上がった。1年間安定に稼動後、晶析装置を点検したが、ポリマーの付着は全くなかった。
実施例3
接触気相酸化反応で得られたアクリル酸ガスを水で捕集し、アクリル酸濃度90%の粗アクリル酸を得た。熱交換器で冷却し、粗アクリル酸の液温が90℃の状態で、目の粗さが250μmの金属製ストレーナへ通液し、濾過処理を行った(1段目の濾過)。さらに熱交換器で液温30℃まで冷却し、目の粗さが50μmの金属製ストレーナへ通液し、濾過処理を行った(2段目の濾過)。濾過処理時の粗アクリル酸の液線速は、共に0.01m/sであった。濾過処理済粗アクリル酸は次工程の流下液膜式晶析装置へ送液した。当該装置の管長は18m、内径は70mmであった。濾過処理を行った液では、晶析工程での冷却時においても溶存アクリル酸重合体の析出は少なく、製品の濁りは発生しなかった。1段目のストレーナには触媒片やゴミ、重合度の高いアクリル酸ポリマーが捕らえられ、2段目には重合度の低いアクリル酸ポリマーが捕らえられた。1段目、2段目それぞれのストレーナ交換頻度は実施例1よりも低かった。また2つ合わせての交換回数は、同期間の実施例1と比較すると少なかった。1年間安定に稼動後、晶析装置を点検したが、ポリマーの付着は全くなかった。
実施例4
捕集工程と1段目の濾過処理の間にアクロレインの分離処理を行った以外は、実施例3と同様の操作を行った。アクロレインの分離処理では、内径が100mm、充填高さが5mの充填塔の上部へ粗アクリル酸を供給し、塔頂圧力を絶対圧で265hPa、塔底温度を90℃として、アクロレインを蒸留分離した。また、当該充填塔の塔頂部より得られるガスは、アクリル酸捕集塔の下部へ供給した。当該分離処理により、アクリル酸濃度が90%、アクロレイン濃度が0.003%の粗アクリル酸が、塔底部より得られた。なお、実施例3の場合、捕集塔から得られた粗アクリル酸中のアクロレイン濃度は0.03%であったことから、アクロレインの分離処理により、アクロレイン濃度を十分に低減できたことが分かる。その結果、1段目および2段目の濾過処理におけるストレーナの交換頻度は、実施例3の場合よりも低減することができた。また、1年間安定に稼動した後、晶析装置を点検したが、ポリマーの付着は全くなかった。
比較例1
粗アクリル酸の液温度が75℃の状態で濾過処理を行った以外は、実施例1と同様の操作を行った。ストレーナのアクリル酸重合体の蓄積はほとんど無く、75℃ではアクリル酸重合体は粗アクリル酸に溶存したまま次工程に送液された。アクリル酸重合体の除去が不完全であったため、晶析工程で冷却時にそれまで溶けていたアクリル酸重合体が析出した。製品にアクリル酸重合体が混入し、濁りが発生した。また、晶析塔の頭頂部液分散機でアクリル酸重合体析出による詰まりが発生した為、約1ヶ月間の稼動で洗浄作業が必要になった。
比較例2
粗アクリル酸の液温度が10℃の状態で濾過処理を行った以外は、実施例1と同様の操作を行った。ストレーナにアクリル酸重合体とアクリル酸の結晶が詰まり、また送液ラインの液滞留部でもアクリル酸の結晶が析出し、次工程への送液が安定しなかった為、やむなく運転を停止した。
比較例3
濾過処理時の粗アクリル酸の液線速が6m/sであること以外は実施例1と同様の操作を行った。ストレーナのアクリル酸重合体の蓄積は、粗アクリル酸の液線速が0.01m/sであった時(実施例1)と比べ非常に少なく、溶存しているアクリル酸重合体を析出させたにも関わらず、ストレーナで捕捉出来ていなかった。濾過処理済粗アクリル酸は次工程の流下液膜式晶析装置へ送液したが、製品にアクリル酸重合体による濁りが発生した。また、晶析塔の頭頂部液分散機にアクリル酸重合体析出による詰まりが発生した為、約2ヶ月間の稼動で洗浄作業が必要になった。
本発明方法、高吸水性材料、塗料、接着剤、繊維等の原料であるアクリル酸を効率よく精製できる方法および製造できる方法として有用である。

Claims (4)

  1. 接触気相酸化反応により生じたアクリル酸含有ガスを、吸収することまたは凝縮することのうち少なくとも一方により得られた粗アクリル酸から、アクリル酸を精製する方法であって、
    粗アクリル酸が50質量%以上のアクリル酸を含有し、
    精製操作を行う前に、70℃を超える温度で且つ液線速5m/s以下で粗アクリル酸の濾過操作を行い、
    さらに15〜70℃で且つ液線速5m/s以下で粗アクリル酸の濾過操作を行うことを特徴とする方法。
  2. 上記精製操作が、蒸留または結晶化の何れか一方である請求項1に記載の方法。
  3. 上記精製操作が結晶化である請求項に記載の方法。
  4. アクリル酸を製造するための方法であって、
    接触気相酸化反応によりアクリル酸含有ガスを生成させる工程;
    アクリル酸含有ガスを、吸収することまたは凝縮することのうち少なくとも一方により、50質量%以上のアクリル酸を含む粗アクリル酸を得る工程;
    粗アクリル酸を、70℃超で且つ液線速5m/s以下で濾過する工程;
    さらに、得られた第1濾液を、15〜70℃で且つ液線速5m/s以下で濾過する工程;および
    得られた第2濾液からアクリル酸を精製する工程;
    を含むことを特徴とする方法。
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