JP4673958B2 - 固形物除去装置 - Google Patents
固形物除去装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4673958B2 JP4673958B2 JP2000183550A JP2000183550A JP4673958B2 JP 4673958 B2 JP4673958 B2 JP 4673958B2 JP 2000183550 A JP2000183550 A JP 2000183550A JP 2000183550 A JP2000183550 A JP 2000183550A JP 4673958 B2 JP4673958 B2 JP 4673958B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- tower
- removing device
- solid
- fluid
- disposed
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07C—ACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
- C07C51/00—Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides
- C07C51/42—Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07C—ACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
- C07C51/00—Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides
- C07C51/42—Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives
- C07C51/43—Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives by change of the physical state, e.g. crystallisation
- C07C51/44—Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives by change of the physical state, e.g. crystallisation by distillation
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固形物除去装置、精製装置、固形物の除去方法および、(メタ)アクリル酸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクリル酸やメタクリル酸等の易重合性物質は、工業的な製造原料であり大規模なプラントで大量に生産される化学物質である。例えば、(メタ)アクリル酸を例に取れば、該易重合性物質は、プロピレン、イソブチレン、t−ブタノール、メチル−t−ブチルエーテル、アクロレインなどの接触気相酸化反応によって製造されるが、該接触気相酸化反応によって得られた反応ガス中には、目的物たる(メタ)アクリル酸の他の副生物等が混在する。例えば、該反応によって主として非凝縮性の気体すなわち未変換プロピレン、イソブチレン、アクロレイン、沸点がアクリル酸の沸点よりも低い低沸点有機化合物すなわち水蒸気、未変換アクロレイン、副反応で生じるホルムアルデヒド、酢酸等の不純物、沸点がアクリル酸の沸点よりも高沸点化合物すなわち無水マレイン酸、フルフラール、ベンズアルデヒド、安息香酸、アクリル酸二量体等が発生する。このため、この反応ガスを精製して目的物を製造するには、上記反応ガスを水または重質溶媒で向流洗浄して抽出し、次いでこれを精製塔に供給して蒸留、放散、吸収、精製など各種の手段をへて目的物を製造することが一般的である。
【0003】
しかし、易重合性物質はその化学的性質から、不純物や副生物の影響によって精製工程の加熱条件、加圧条件等によって重合物やゲル状物を生成する場合がある。
【0004】
このような固形不純物が、目的物として取り出されずに処理流体中に滞留しまたは付着し堆積すると、更にこれら固形物に他の不純物が付着する恐れもある。精製塔内に滞留、付着しまたは堆積した固形物は、精製塔に付属する配管や機器を閉塞させ、または固形物の一部が目的物に混入して製品品質を低下させる原因ともなる。このため、精製塔における処理品質を維持し、安定的に稼働させるには、定期的に精製塔を開放して、内壁に付着した重合物を除去する必要があり、大変に手間がかかり、生産性を大きく低下させる。
【0005】
このような問題を解決する方法として、精製塔にストレーナーやフィルター等によるろ過装置を付属される方法が考えられる。しかし、これら公知の除去装置では、完全に固形不純物を除去できず、次工程の機器内に析出物や重合物等の固形不純物が付着して停止せざるを得ない。精製塔における流体の品質を維持し、安定的に稼働させるには、定期的に精製塔の内壁に付着した重合物を除去する必要があり、大変手間がかかり、目的物の生産性が低下し大量生産の目的に反するものになる。
【0006】
また、例えば、特開平8−239341号公報には、精留塔の少なくとも1つの点でその中を降下する還流液を精留塔から取り出し、その中に存在するオリゴマーおよび/またはポリマーの(メタ)アクリル酸を分離するオリゴマー等の分離方法が開示されている。具体的には、該還流液からのオリゴマーおよび/またはポリマーの(メタ)アクリル酸の分離のための方法として、限外濾過や超遠心分離法、クロマトグラフィー法、蒸発器などの流体が沸騰状態のまま存在する一時保留タンク等が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の方法で精製塔を始動させる場合、精製対象物が(メタ)アクリル酸等の易重合性物質の場合には、重合物が発生しやすい場所は、精製塔の塔壁や塔底部、精製塔に付属するコンデンサー、その他昇温が要求されるリボイラー等である。このため、例えば塔底からの抜き出しポンプにストレーナーを付属されると、重合物の付着による閉塞のみならず、該ストレーナー内に重合物が付着する結果キャビテーションが発生してポンプが停止し、このため精製塔の安全稼動が損なわれる場合があった。
【0008】
また、液溜りにより重合物が発生し、それが重合物の核となって次第に蓄積し、更なる重合や閉塞を招く場合があった。
【0009】
また、上記ストレーナーの重合物の付着や閉塞によって洗浄操作が必要とされるが、反応原料、反応生成物、副生物等による化学的刺激、重合物の付着などの物理的障害によって、作業者に精神的な不快感を与え、かつ健康面への影響も考慮すべきものとなっている。また、蒸留用に使用する有機溶媒による引火等の安全性の面でも問題が有り、更に、洗浄除去する装置や精製塔自体の大きさと相まって、これを人力で廃棄除去することは、一般に困難である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、易重合性物質を取り扱う精製塔おいて発生する固形物について詳細に検討した結果、特定の濾過部を有する固形物除去装置によって固形物が簡便に除去でき、かつこれを易重合性物質の製造工程に組み込むことで更なる重合物の発生も防止できることを見出し本発明を完成させた。すなわち、上記課題は、以下の(1)〜(8)によって達成される。
【0011】
(1) 流体入口管と流体出口管とを有する胴体部と、該胴体部内に該流体入
口と流体出口との間に配設された濾過部とを有する、易重合性物質を取り扱う精製塔に配設されてなる固形不純物除去装置であって、
該濾過部が、
(a)厚みが5〜500mmの範囲、
(b)空間率が60〜99.5容量%の範囲および、
(c)接触表面積が100〜2000m2/m3の範囲である、易重合性物質を取り扱う精製塔に配設されてなる固形不純物除去装置。
【0012】
(2) 該胴体部内で、流体入口管から導入された流体に旋廻流を発生させる、旋廻流発生手段を有することを特徴とする、上記(1)記載の易重合性物質を取り扱う精製塔に配設されてなる固形不純物除去装置。
【0013】
(3) 該旋廻流発生手段が、
(i)流体入口管内に案内羽根を配設し、
(ii)流体入口管内にバッフルを設置し、または
(iii)胴体部が管状である場合において流体入口管が該胴体部の接線から30〜60°に設置すること、の少なくともいずれかの手段であることを特徴とする、上記(2)記載の易重合性物質を取り扱う精製塔に配設されてなる固形不純物除去装置。
【0014】
(4) ガス排出防止機構を有する、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の易重合性物質を取り扱う精製塔に配設されてなる固形不純物除去装置。
【0015】
(5) 該ガス排出防止機構が、
(i)該胴体部内の該流体出口管接続部近傍に配設されたバッフル、または
(ii)該流体出口管が該胴体部内に突出しかつその端部が液面方向に向かう端部、
を有することを特徴とする、上記(4)記載の易重合性物質を取り扱う精製塔に配設されてなる固形不純物除去装置。
【0016】
(6) 易重合性物質を取り扱う精製塔に上記(1)〜(5)のいずれかに記載の固形不純物除去装置を配設した精製装置。
【0017】
(7) 易重合性物質を取り扱う精製塔の塔底液を上記(1)〜(5)のいずれかに記載の易重合性物質を取り扱う精製塔に配設されてなる固形不純物除去装置に導入し、かつ該装置の流体出口管から排出された流体の少なくとも一部を該精製塔に循環することを特徴とする、固形不純物の除去方法。
【0018】
(8) 上記(7)記載の固形不純物の除去方法を用いた、(メタ)アクリル酸またはそのエステルの製造方法。
【0019】
【発明の実施のための形態】
本発明の第一は、流体入口管と流体出口管とを有する胴体部と、該胴体部内に該流体入口と流体出口との間に配設された濾過部とを有する固形物除去装置であって、該濾過部が、
(a)厚みが5〜500mmの範囲、
(b)空間率が60〜99.5容量%の範囲および、
(c)接触表面積が100〜2000m2/m3の範囲である、固形物除去装置である。以下、本発明の固形物除去装置の好ましい態様を図1を用いて説明する。なお、図1において1は固形物除去装置、10は胴体部、11は流体入口管、12は流体出口管、13はドレーン管、14は蓋部、15は液面、20は濾過部、30はバッフルを示す。
【0020】
流体は、固形物除去装置(1)の下部に設けられた流体入口管(11)から固形物除去装置(1)内に導入される。流体は固形物除去装置(1)内を上方に設けられた濾過部(20)に向かい、ここで流体中に含まれる固形物と流体とを分離される。
【0021】
胴体部(10)の形状は、特に制限されず、管状、角形など、必要に応じて適宜選択することができる。特に、胴体部は管状であることが好ましい。
【0022】
流体入口管(11)は濾過部(20)の下方に存在すればよく、特に制限はない。従って、流体入口管(11)の開口部が濾過部(20)に流体が最初に接触する面に相対するように配管することもできる。流体入口管(11)の管径についても制限はない。例えば、胴体部(10)が管状である場合の胴径に対して0.01〜1倍、より好ましくは0.02〜0.5倍、特に好ましくは0.05〜0.2倍である。0.01倍を下回ると単位時間当たりの処理量が少なくなり、また単位時間当たりの流体流入量を増加させると流体が過剰な乱流を生じるために好ましくない。その一方、1倍を超えると配管取り付けが困難となるからである。
【0023】
濾過部(20)としては、複数の金網の積層によって構成してもよく、または二枚の金網の間に、線状、板状その他不定形に切断した金片、三角形、四角形などの多角形、球形または不定形の金属立体物などを充填などをしたもので構成することができる。本発明では濾過部(20)は、金網の積層物であることが好ましい。金網の積層方法は特に限定されないが、例えば、金網を平面方向に並べて重ね合わせる方法、金網を縦方向に重ね合わせる方法、金網を渦巻き状にして平面方向に並べて重ね合わせる方法、金網を渦巻き状にして縦方向に重ね合わせる方法等が挙げられる。金網の積層物を使用すれば、製造が容易であると共に固形物の除去能力に優れるからである。そして、このような金網の積層体を使用する場合には、いずれにしても該積層体は金網の網目を揃えて重ね合わせたものであることが好ましい。これによって除去能力が向上するからである。すなわち、濾過部内部に無数の濾過空間が規則正しく形成され、濾過面積が全面積にわたって均一な状態になり、固形物を分散する機能が確実になり、しかも濾過部の内部全体を有効に利用できるからである。
【0024】
このような濾過部(20)を構成する部材としては特に制限は無く、オーステナイト系、オーステナイト・フェライト系、フェライト系金属であることが好ましい。これらによれば目的物との反応せず、易重合性物質に変性等を与えることがない一方、腐食性などの耐久性に優れるからである。
【0025】
また、濾過部(20)の胴体部(10)への取り付け方法としては、連結状態を保持し、かつ取り扱いに容易な連結具を使用することが好ましい。例えば、胴体部(10)にサポートリングを取り付け、このサポートリング上に格子を設けてその上に濾過部(20)を設置する。濾過部(20)の上に更に格子を設けて強固に固定してもよい。サポートリングとグリットとをボルトやナットで固定することで濾過部(20)も固定されるが、更に濾過部(20)と格子とをボルトやナットなどで固定してもよい。なお、固定方法は、ボルトやナットに限られず、ワイヤによる固定でもよい。
【0026】
濾過部(20)は、流体入口管(11)から流体出口管(12)に向かう厚みが5〜500mm、より好ましくは10〜450mm、特に好ましくは50〜400mmである。5mmを下回ると濾過面積が小さく、すぐに重合物や不純物などの固形物でいっぱいになり、洗浄が必要となるからである。その一方、500mmを超えると、濾過面積は大きくとれるが、除去装置圧損が大きくなり、装置も大きくなって設備費用も増加するからである。
【0027】
本発明では濾過部(20)の空間率は60〜99.5容量%、より好ましくは70〜99.3容量%、特に好ましくは80〜99容量%である。
【0028】
ここに空間率とは、たとえば濾過部(20)全体の容積に対する充填物の容積を除いた空間部の容積百分率であり、濾過部(20)が複数枚の金網の積層物である場合を例にして説明すると、以下の式で示すことができる。
【0029】
空間率ε(%)=[1−{充填物体積/(濾過部空間部+充填物体積)}]×100で示される。
【0030】
より具体的に、濾過部(20)が図2に示す金網の積層物である場合で説明すると、金網の線径(mm)をd、金網の配列ピッチ(mm)をPt、目開き(mm)をρ、厚み1mm当たりの金網枚数をN、金網体積と空間部体積との合計(m3)をV、金網体積をV1とすれば、空間率ε(%)は、[1−{1−(Pt−d)2/Pt 2}×d×N]×100となる。
【0031】
空間率が60容量%を下回ると除去装置内が過密になり、除去能力が低下するからである。また、洗浄時、重合物等の膨張によって変形し、使用頻度を増すと共に洗浄効率を大きく低下させる場合もある。その一方、空間率が99.5容量%を越えると、除去装置内が粗密となるため除去効果が低下する。このため次工程に重合物が移行する恐れがあるからである。また、重合物の付着によってキャビテーションが発生し機器が損傷する場合も生じる場合もある。
【0032】
また、濾過部(20)は接触表面積が100〜2000m2/m3の範囲、より好ましくは200〜1800m2/m3、特には300〜1500m2/m3である。ここに、接触表面積とは、濾過部(20)を構成する充填物の濾過部(20)の全容積に対する全表面積である。これを図2を用いて説明すると、接触表面積b(m2/m3)は、4/d×(1−ε/100)×103となる。
【0033】
接触表面積が100m2/m3を下回ると流体との接触が不十分となり固形物の除去効率が低下して次工程へ悪影響を与え、キャビテーションの発生により機器に損傷が生じる場合がある。その一方、2000m2/m3を越えると、充填物が金網である場合には線径が小さくなり強度が低下しまたは製造が困難となる場合がある。それゆえ、膨大な強度保持が必要となる。
【0034】
濾過部(20)を構成する部材が金網の積層体である場合には、線径としては、0.01〜3mm、好ましくは、0.02〜2mmであることが好ましい。また、厚み1mm当たり金網枚数としては一般的に織り方によって決まるが、0.1〜10N/mm、より好ましくは0.2〜5N/mmであることが好ましい。
【0035】
流体は濾過部(20)によって固形物を分離されるが、この際流体が濾過部(20)の全体を均一に通過することが好ましい。偏流を防止して均一に固形物を除去して除去能力を向上させることができるからである。このように濾過部(20)を均一に通過させるために、胴体部(10)内で流体の旋廻流を発生させる。具体的には、流体入口管(11)内に案内羽根を配設したり、旋廻流が発生するように流体入口管(11)内にバッフルを設置したり、または図3に示すように、胴体部(10)が管状である場合には、流体入口管(11)を固形物除去装置(1)の接線から30〜60°の位置に設置する。本発明では特に流体入口管(11)の取り付け位置を接線から30〜60°、より好ましくは35〜55°の位置に配置することが好ましい。内装物によらずに旋廻流を発生させることができるため、内装物との接触による新たな重合物の発生を防止でき、かつ旋廻流の発生と装置の作成が容易だからである。ここに30°を下回ると胴体部(10)の内壁に流体が激しく衝突するため撹拌流が発生し、均一な濾過が困難となり、胴体部(10)と流体入口管(11)との溶接が困難となる。その一方60°を越えると固形物除去装置(1)の中心を通過する流体量が増加して均一な濾過が困難となるからである。
【0036】
次いで、流体は、濾過部(20)によって固形物を分離された後に流体出口管(12)を経て固形物除去装置(1)外へ排出されるが、流体にガス成分が混在する場合がある。この場合、ガス成分がそのまま流体出口管(12)から固形物除去装置(1)外に排出されると、ガス成分と混合撹拌することで新たな重合物が発生する場合がある。また、流体中にガス成分が混在すると、キャビテーションが発生し、機器が損傷する場合もある。ガス成分は、一般に固形物除去装置(1)の上部に集まるため流体のみを流体出口管(12)から排出させるガス排出防止機構を有することが好ましい。
【0037】
このような機構としては、図1に示すように固形物除去装置(1)内の流体出口管(12)の接続部近傍に配設されたバッフルや、図4に示すよう流体出口管(12)を固形物除去装置(1)の内部に突出させ、かつその端部が液面(15)に向かうように屈曲させるものがある。流体出口管(12)の付け位置を液面(15)よりも下部とすることで常に流体のみを流体出口管(12)から排出させることができ、流体とガス成分との混合を防止して新たな重合物の発生を防止することができる。
【0038】
なお、流体出口管(12)の管径についても流体入口管(11)と同様に特に制限はなく、流体入口管(11)に対応させて単位時間の排出量および液線速を考慮して管径を選択することができる。
【0039】
また、本発明の固形物除去装置(1)の内部には、流体を流通させるための流通手段としてポンプを備えておくことができる。流体の循環量は多いほど固形物の除去が効率的に行えるが、処理液中の固形不純物の量や性状を考慮して適宜設定する。固形物除去装置(1)の底部にはドレーン管(13)を設けることもできる。
【0040】
本発明の固形物除去装置(1)は、胴体部(10)の上部に蓋部(14)を有し、濾過部(20)が固形物を付着させた場合には、蓋部(14)を取り外して装置内を洗浄することができる。
【0041】
なお、胴体部(10)、流体入口管(11)、流体出口管(12)、ドレーン管(13)、蓋部(14)を構成する部材としては、オーステナイト系、オーステナイト・フェライト系、フェライト系金属であることが好ましい。これらによれば目的物との反応せず、易重合性物質に変性等を与えることがない一方、腐食に耐久性がありかつ耐圧性にも優れるからである。
【0042】
また、胴体部(10)の内壁面は、JIS B0601(−1994)に記載のRyが12.5S以下の表面粗度とすることが好ましい。内壁に易重合性物質が滞留せず、易重合性物質による重合物の発生や付着を防止できるからである。このような表面処理方法として、電解研磨、化学研磨、バフ研磨などが挙げられる。また、更に鏡面仕上げ方法をするとなお好適である。
【0043】
本発明の固形物分離装置で除去できる固形物の粒子径としては、0.1μm以上、より好ましくは0.1〜1000μmに適用できる。
【0044】
本発明の第二は、易重合性物質を取り扱う精製塔に上記記載の固形物除去装置を配設した精製装置である。また、本発明の第三は、易重合性物質を取り扱う精製塔の塔底液を上記固形物除去装置に導入し、かつ該装置の流体出口管から排出された流体の少なくとも一部を該精製塔に循環することを特徴とする、固形物の除去方法である。
【0045】
本発明の固形物除去装置は、流体中に含まれる固形物の除去能力に優れるのであるが、旋廻流の派生機構やガス排出防止機構を有すると、特に均一な固形物の除去ができかつ新たに重合物を発生させることがない点でも優れる。このため、特に易重合性物質を取り扱う精製塔に該固形物除去装置を付属させると、次工程に重合物を混入させることもなく、極めて優れた易重合性物質の精製装置となる。
【0046】
ここに易重合性物質には易重合性物質含有溶液がある。その化学的な性質から、温度、圧力、接触、撹拌等によって重合物を発生しやすいからである。このような易重合性物質としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等の不飽和二重結合を有するカルボン酸やこれらのエステル体がある。アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、などが適用対象として挙げられ、またメタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル等が対象として挙げられる。
【0047】
また、上記不飽和二重結合を有するカルボン酸とエステル体を構成する水酸基含有化合物としては、炭素数1〜12の低級脂肪族アルコールまたは低級脂環式アルコールであることが好ましい。このような水酸基含有化合物としては、メタノール、エタノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキサノール、イソノニルアルコール、ラウリルアルコールなどの各種アルコールを挙げることができ、これらは直鎖状のものであっても分岐を有するものであってもよい。また、これらは1種を単独で使用する場合に限られず、2種以上を併用する場合であってもよい。
【0048】
易重合性物質含有溶液としては、これら易重合性物質に更に高沸点物質や溶媒、易重合性物質の生成時の副生物との混合物を含んでもよい。例えば、アクリル酸およびアクリル酸エステルの場合には、アクリル酸を接触気相酸化反応で得る際に副生する酢酸、プロピオン酸、アクロレイン、マレイン酸、水、ホルマリン混合物を挙げることができる。また、例えば、メタクリル酸およびメタクリル酸エステルの場合には、メタクリル酸を接触気相酸化反応で得る際に副生するメタクロレイン、アクリル酸、酢酸混合物などを挙げることができる。
【0049】
本発明の精製装置および固形物の除去方法を図5を用いて説明する。図5において、1は固形物除去装置、40は精製塔、41は原料供給配管はコンデンサー、43はポンプ、44はリボイラーを示す。
【0050】
本発明の精製装置における精製塔(40)はその名称を問わず、一般の蒸留、精製工程で使用するあらゆる精製装置を含み、蒸留塔、放散塔、吸収塔、精留塔、分離塔、抽出塔、捕集塔等の物質の精製に使用される装置を含む。これらのなかでも、蒸留塔や精留塔であることが好ましい。更に蒸留、吸収、精留などの処理において、易重合性物質が比較的に高温にさらされる場合が多く、その際に重合や焦げ付きなどにより、塔内、特に塔底側での固形物の蓄積が起こりやすいからである。特に、蒸留塔や精留塔は、塔底側にリボイラーなどの重合や焦げ付きの起きやすい部分を有しており、固形物の蓄積が最も起こりやすい。本発明の精製装置を用いると、これらを安定に稼働させることができる。
【0051】
固形物除去装置(1)の設置場所は、精製塔(40)の処理流体が通過する循環経路上であれば特に限定はない。また、このような循環経路としては、精製塔(40)の塔底液配管の一部であってもよいし、これとは別に設けた配管であってもい。従って、精製塔(40)に付属して設けられるリボイラーなどへの処理液の循環経路に、固形物除去装置(1)を接続させることもできる。
【0052】
本発明では、精製塔(40)の塔底液に重合物などの固形物が多く含まれることから、塔底液に含まれる固形物を除去できるように塔底液配管の一部と該固形物除去装置の流体入口管(11)とを接続させることが好ましい。また流体出口管(12)は易重合性物質の精製における次工程の配管や装置に接続させてもよいが、固形物除去後の流体が該精製塔(40)の塔底部に循環できるように接続させることもできる。精製塔(40)の塔底部に循環させれば塔底液中に含まれる固形物を除去できるため、精製塔(40)内の閉塞を防止でき、安定に精製塔を稼動させることができるからである。
【0053】
この際、固形物除去装置(1)に導入する精製塔の塔底において、胴体部の液線速は、通常、0.001〜5m/s、好ましくは0.002〜2.5m/s、更に好ましくは0.005〜1m/sである。0.001m/sを下回ると固形物の処理が遅くなり、かつ装置も大きくなり設備費用も増加する。その一方5m/sを超えると、固形物の除去能力が低下するからである。流体入口管(11)への流体の導入は塔底液の流入圧によってなされるが、流体出口管(12)と精製塔(40)との間にポンプ(43)を配設することで円滑に処理流体を精製塔(40)に循環させることができる。なお、このような精製装置においては、更に精製塔(40)にリボイラー(44)やコンデンサー(42)を接続させてもよい。
【0054】
本発明の第四は、上記固形物の除去方法を用いた、(メタ)アクリル酸またはそのエステルの製造方法である。本発明の固形物の除去方法を用いれば、精製塔に付属させた固形物除去装置(1)によって精製塔(40)内の易重合性物質の重合物の蓄積を防止でき、かつ次工程への重合物の移行を防止できるため、長期安定な易重合性物質の製造が行えるからである。
【0055】
次に、本発明の装置を用いたアクリル酸の蒸留処理に適用した場合を図6を用いて説明する。図6において、70はアクリル酸捕集塔、40は精製塔、50は軽沸点物質分離塔、60は高沸点物質分離塔を示す。
【0056】
捕集塔(70)では一般にアクリル酸含有ガスを水系捕集剤と接触させてアクリル酸を捕集する。捕集塔(70)における捕集条件は従来公知の条件を採用することができる。このアクリル酸含有溶液は捕集塔(70)の塔底から精製塔(40)に供給され、精製塔(40)において共沸脱水処理を行う。
【0057】
精製塔(40)では塔頂部より共沸溶剤を添加し、アクリル酸を含む処理液を加熱し塔頂からの留出液をコンデンサー(42)で還流しつつ脱水する。この共沸脱水の条件も従来公知の方法を行うことができる。なお、還流液の一部を捕集塔(70)の捕集液として使用することもできる。還流液には水や溶媒、更にアクリル酸が含まれ、これを有効利用するためである。この共沸脱水処理によって、水分含有量が低下したアクリル酸含有溶液が精製塔(40)の塔底部に集められる。
【0058】
精製塔(40)下方にはリボイラー(44)を備えている。精製塔(40)とリボイラー(44)は、両者の間で循環する塔底部配管で連結されている。その塔底部配管は分岐されて固形物除去装置(1)の流体入口管(11)と連結されている。精製塔(40)の塔底に設けられた抜き出し口から抜き出された塔底部液は、リボイラー(44)や固形物除去装置(1)に入り、リボイラー(44)で加熱されたあと精製塔(40)に循環し、および固形物除去装置(1)で固形物を除去したのちは、後続するポンプ(43)によって強制的に精製塔(40)の塔底部に循環される。その結果、精製塔(精製塔(40))内の処理液は、固形不純物除去装置の滞留及び蓄積が防止されることになり、精製塔(40)壁などに固形不純物が付着する問題が解消される。精製塔(40)内の処理液に固形不純物が蓄積されなければ、リボイラー(44)やその周辺の配管に固形不純物が付着することもなくなる。なお、ポンプ(43)から精製塔(40)に循環する配管は分岐されて軽沸点物質分離塔(50)に連結されている。これによって、精製塔(40)の塔底液は固形物を除去した後に軽沸点物質分離塔(50)の供給原料液として使用される。
【0059】
次いで、軽沸点物質分離塔(50)で軽沸点物質を分離した塔底液には高沸点物質と共にアクリル酸が濃縮されている。従って、高沸点物質を除去すべく、軽沸点物質分離塔(50)の塔底液を高沸点物質分離塔(60)に供給する。軽沸点物質分離塔(50)での軽沸点物質の分離条件や高沸点物質分離塔(60)での高沸点物質の分離条件はいずれも公知の条件を採用することができる。なお、軽沸点物質分離塔(50)、高沸点物質分離塔(60)の塔底部にそれぞれ、精製塔(40)と同様に1を配設することもできる。
【0060】
本発明の(メタ)アクリル酸またはエステルの製造方法においては、捕集塔(70)、40、軽沸点物質分離塔(50)、高沸点物質分離塔(60)の各蒸留塔において易重合性物質に重合防止剤を用いることで、重合物の生成を抑制することができる。この際使用できる重合禁止剤としては、ハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、メトキノン、クレゾール、フェノール、t−ブチルカテコール、ジフェニルアミン、フェノチアジン、メチレンブルーから選ばれる1種以上、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅およびサリチル酸銅などの銅塩化合物、酢酸マンガンなどのマンガン塩化合物から選ばれる1種以上、p−フェニレンジアミンなどのp−フェニレンジアミン類,4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシルなどのN−オキシル化合物、尿素などの尿素類、チオ尿素などのチオ尿素類などを好適に用いることができる。上記の化合物は単独でも、あるいは2種類以上組み合わせて使用することもできる。
【0061】
重合防止剤に加えて、処理流体に分子状酸素含有ガスを送り込むことで、より長期に亘って精製塔における処理を安定的に稼働させることができる。分子状酸素含有ガスは、処理流体が流通する経路の何れかの位置に供給すればよく、例えば、精製塔に導入される前の配管系、精製塔の塔底や側面、精製塔に付属するリボイラ等の機器および配管、不純物除去部とその配管、残存液の抜き出し経路などが挙げられる。
【0062】
分子状酸素含有ガスの投入量は、目的に応じて適宜に設定できるが、例えば、アクリル酸などの蒸留塔においては、アクリル酸またはそのエステルの蒸発蒸気量に対して、0.01〜5.0容量%を投入することが好ましい。
【0063】
なお、アクリル酸ガスに代えてメタクリル酸ガスを使用することでメタクリル酸の製造ができ、またこれらにアルコールを反応させてこれらのエステルを製造することもできる。
【0064】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
【0065】
(実施例1)
図5に示す内径1500mm、段数50段のステンレス鋼製(SUS316)のシーブトレイを内装した蒸留塔を用いた。塔頂部に取出口及び還流液導入管、塔中央部に原料となる処理液が供給される導入配管、塔底部に処理液が循環する循環配管とその途中に固形不純物除去装置と送液用ポンプを配設した。塔底部には自然循環型で流体が管側を通過するリボイラー(竪型多管式)を配設した。
【0066】
その固形不純物除去装置は、厚み200mm、空間率97.2%、接触表面積933m2/m3の積層金網を用いた。(線径0.12mm、目開き0.304mm)
また、原料処理液組成は、アクリル酸70重量%、水20重量%、酢酸10重量%とし、蒸留塔の20段より2500kg/hで供給した。還流液として、メチルイソブチルケトンを用いた。塔頂圧力150hPa、塔底温度100℃で蒸留運転を実施し、塔頂より水及びメチルイソブチルケトンを分離し、塔底より粗製アクリル酸を回収した。蒸留塔で発生するアクリル酸の蒸気蒸発量約7000kg/hとし、還流比R/D=5、濃縮倍率F/B=1.5(還流液4167kg/h、溜出液833kg/h、塔底抜き出し液1667kg/h)に設定した。更に、重合防止剤として、フェノチアジン200ppm(アクリル酸蒸発蒸気量に対する量)を還流液に添加溶解して導入した。また、リボイラーの下部より0.3容量%(アクリル酸蒸発蒸気量に対する量)の分子状酸素含有ガス含有ガスを投入した。更に、塔底循環液1000kg/hとした。
【0067】
上記の条件で10日間連続運転したところ、塔内温度及び塔内圧力の異常もなく、常に安定した状態が得られた。また、停止して内部点検を行ったところ、塔内、塔底抜き出し管、送液ポンプ、リボイラーのいずれも固形物の付着は認められなかった。固形不純物除去装置内に重合物5kg検出され、固形物除去装置を洗浄操作により除去した。結果を表1に示す。なお、表1において◎は10日間以上連続運転可能でありその他の問題なし、○は10日間以上連続運転可能であり、塔内温度/圧力など振れがあるが、リボイラー閉塞物なし、△は6日間以上連続運転可能であり、リボイラーに閉塞物あり、×は5日間以上の連続が運転不可能であり、リボイラーの閉塞物あり、を示す。
【0068】
(実施例2)
実施例1に対し、固形不純物除去装置として、厚み5mm、空間率97.2%、接触表面積933m2/m3の積層金網を用いた。(線径0.12mm、目開き0.845mm)10日間連続運転したところ、塔内温度及び塔内圧力の振れが若干あったが、ほとんど安定した状態が得れらた。また、停止して内部点検を行ったところ、塔内約1kg、塔底抜き出し管、送液ポンプは若干付着物が検出された。リボイラーの固形物付着は認められなかった。固形不純物除去装置内に重合物2kg検出され、固形物除去装置を洗浄操作により除去した。結果を表1に示す。
【0069】
(実施例3)
実施例1に対し、固形不純物除去装置として、厚み500mm、空間率97.2%、接触表面積933m2/m3の積層金網を用いた。(線径0.12mm、目開き0.304mm)10日間連続運転したところ、塔内温度及び塔内圧力の振れ、ポンプ吐出圧力の振れが若干あったが、ほとんど安定した状態が得られた。また、停止して内部点検を行ったところ、塔内、塔底抜き出し管、送液ポンプ、リボイラーの固形物付着は認められなかった。固形不純物除去装置内の重合物10kg検出され、固形物除去装置を洗浄操作により除去した。結果を表1に示す。
【0070】
(実施例4)
実施例1に対し、固形不純物除去装置として、厚み5mm、空間率99.5%、接触表面積100m2/m3の積層金網を用いた。(線径0.20mm、目開き15.7mm)10日間連続運転したところ、塔内温度及び塔内圧力が若干上昇傾向であった。又、次工程の装置でも同様のことが起こった。停止して内部点検を行ったところ、塔内約1kg、塔底抜き出し管、送液ポンプ約2kg付着物が検出された。リボイラーにおいて管全数300本の3本閉塞していた。固形不純物除去装置内に重合物2kg検出され、固形物除去装置を洗浄操作により除去した。結果を表1に示す。
【0071】
(実施例5)
実施例1に対し、固形不純物除去装置として、厚み5mm、空間率60%、接触表面積600m2/m3の積層金網を用いた。(線径2.66mm、目開き31.5mm)10日間連続運転したところ、塔内温度及び塔内圧力が若干上昇傾向であった。又、次工程の装置でも同様のことが起こった。停止して内部点検を行ったところ、塔内約2kg、塔底抜き出し管、送液ポンプ約2kg付着物が検出された。リボイラーにおいて管全数300本の5本閉塞していた。固形不純物除去装置内に重合物2kg検出され、固形物除去装置を洗浄操作により除去した。結果を表1に示す。
【0072】
(実施例6)
実施例1に対し、固形不純物除去装置として、厚み5mm、空間率99.5%、接触表面積2000m2/m3の積層金網を用いた。(線径0.01mm、目開き0.024mm)6日間連続運転したところ、塔内温度及び塔内圧力が振れ、ポンプ吐出圧力の振れが見られた。又、停止して内部点検を行ったところ、塔内約2kg、塔底抜き出し管、送液ポンプ約2kg付着物が検出された。リボイラーにおいて管全数300本の5本閉塞していた。固形不純物除去装置内に重合物4kg検出され、固形物除去装置を洗浄操作により除去した。結果を表1に示す。
【0073】
(比較例1)
実施例1に対し、固形不純物除去装置として、厚み5mm、空間率35%、接触表面積2000m2/m3の積層金網を用いた。(線径1.3mm、目開き3.14mm)約3日間で積載金網ΔP上昇し、キャビテーションを発生してポンプが停止した。塔内温度及び塔内圧力の振れ、ポンプ吐出圧力の振れが見られた。内部点検を行ったところ、塔内約5kg、塔底抜き出し管、送液ポンプ約2kg付着物が検出された。リボイラーにおいて管全数300本の5本閉塞していた。固形不純物除去装置内に重合物4kg検出され、固形物除去装置を洗浄操作により除去した。又、キャビテーション発生によるインペラ損傷があった。結果を表1に示す。
【0074】
(比較例2)
実施例1に対し、固形不純物除去装置として、厚み5mm、空間率99.5%、接触表面積50m2/m3の積層金網を用いた。(線径0.4mm、目開き63.4mm)約3日間でポンプの吐出圧力の振れにより、キャビテーションを発生してポンプが停止した。塔内温度及び塔内圧力の振れも見られた。又、次工程の装置でも同様のことが起こった。内部点検を行ったところ、塔内約4kg、塔底抜き出し管、送液ポンプ約4kg付着物が検出された。リボイラーにおいて管全数300本の10本閉塞していた。固形不純物除去装置内に重合物1g検出され、固形物除去装置を洗浄操作により除去した。結果を表1に示す。
【0075】
(比較例3)
実施例1に対し、固形不純物除去装置として、厚み0.16mm、空間率35%、接触表面積15000m2/m3の60Mesh相当ストレーナーを用いた。(線径0.17mm、目開き0.3mm)約3日間でポンプの吐出圧力の振れにより、キャビテーションを発生してポンプが停止した。塔内温度及び塔内圧力の振れも見られた。内部点検を行ったところ、塔内約5kg、塔底抜き出し管、送液ポンプ約2kg付着物が検出された。リボイラーにおいて管全数300本の10本閉塞していた。ストレーナー内に多量の重合物が検出された。蒸留塔、リボイラー、ストレーナー等を洗浄操作により除去したが、多量の洗浄溶剤及び時間を要した。ストレーナー洗浄時、臭気による不快感があった。結果を表1に示す。
【0076】
(比較例4)
実施例1に対し、固形不純物除去装置として、厚み0.7mm、空間率50%、接触表面積2800m2/m3の10Mesh相当ストレーナーを用いた。(線径0.71mm、目開き1.78mm)約3日間でポンプの吐出圧力の振れにより、キャビテーションを発生してポンプが停止した。塔内温度及び塔内圧力の振れも見られた。又、次工程の装置でも同様のことが起こった。内部点検を行ったところ、塔内約5kg、塔底抜き出し管、送液ポンプ約2kg付着物が検出された。リボイラーにおいて管全数300本の10本閉塞していた。ストレーナー内に多量の重合物が検出された。蒸留塔、リボイラー、ストレーナー等を洗浄操作により除去したが、多量の洗浄溶剤及び時間を要した。又、キャビテーション発生によるインペラ損傷があった。ストレーナー洗浄時、臭気による不快感があった。結果を表1に示す。
【0077】
(比較例5)
実施例1に対し、固形不純物除去装置として、厚み1mm、空間率98%、接触表面積80m2/m3のストレーナーを用いた。(線径1mm、目開き98.5mm)約1時間でポンプの吐出圧力の振れにより、キャビテーションを発生してポンプが停止した。塔内温度及び塔内圧力の振れも見られた。又、次工程の装置でも同様のことが起こった。内部点検を行ったところ、塔内約5kg、塔底抜き出し管、送液ポンプ内に多量付着物が検出された。リボイラーにおいて管全数300本の1本閉塞していた。ストレーナー内に多量の重合物が検出された。蒸留塔、リボイラー、ストレーナー等を洗浄操作により除去したが、多量の洗浄溶剤及び時間を要した。又、キャビテーション発生によるインペラ損傷があった。ストレーナー洗浄時、臭気による不快感があった。結果を表1に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
【発明の効果】
本発明によれば、特に易重合性物質を取り扱う精製塔において固形物を除去でき、かつ新たな重合物の発生がなく、次工程への重合物の移送が少ない固形物除去装置が提供される。本発明の固形物除去装置を精製塔に配置すれば、精製塔内の重合物も除去できる。本発明の固形物除去装置や精製装置を用いることで、易重合性物質を極めて安定に長期間製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の固形物除去装置の断面図である。
【図2】 図2は、濾過部を構成する金網の模型図である。
【図3】 図3は、10の接線に対する流体入口管(11)の取り付け角度(θ)を示す概略図である。
【図4】 図4は、本発明の固形物除去装置のガス排出防止機構の一態様を示す断面図である。
【図5】 図5は、精製塔と固形物除去装置を配置した本発明の精製装置を示す図である。
【図6】 図6は、本発明の精製装置を用いてアクリル酸を製造する場合の工程図である。
【符号の説明】
1・・・固形物除去装置、
10・・・胴体部、
11・・・流体入口管、
12・・・流体出口管、
13・・・ドレーン管、
14・・・蓋部、
15・・・液面、
20・・・濾過部、
30・・・バッフル、
40・・・精製塔、
41・・・原料供給配管、
42・・・コンデンサー、
43・・・ポンプ、
44・・・リボイラー、
45・・・タンク、
50・・・軽沸点物質分離塔、
60・・・高沸点物質分離塔、
70・・・捕集塔。
Claims (8)
- 流体入口管と流体出口管とを有する胴体部と、該胴体部内に該流体入口と流体出口との間に配設された濾過部とを有する、易重合性物質を取り扱う精製塔に配設されてなる固形不純物除去装置であって、
該濾過部が、
(a)厚みが5〜500mmの範囲、
(b)空間率が60〜99.5容量%の範囲および、
(c)接触表面積が100〜2000m2/m3の範囲である、易重合性物質を取り扱う精製塔に配設されてなる固形不純物除去装置。 - 該胴体部内で、流体入口管から導入された流体に旋廻流を発生させる、旋廻流発生手段を有することを特徴とする、請求項1記載の易重合性物質を取り扱う精製塔に配設されてなる固形不純物除去装置。
- 該旋廻流発生手段が、
(i)流体入口管内に案内羽根を配設し、
(ii)流体入口管内にバッフルを設置し、または
(iii)胴体部が管状である場合において流体入口管が該胴体部の接線から30〜60°に設置すること、の少なくともいずれかの手段であることを特徴とする、請求項2記載の易重合性物質を取り扱う精製塔に配設されてなる固形不純物除去装置。 - ガス排出防止機構を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の易重合性物質を取り扱う精製塔に配設されてなる固形不純物除去装置。
- 該ガス排出防止機構が、
(i)該胴体部内の該流体出口管接続部近傍に配設されたバッフル、または
(ii)該流体出口管が該胴体部内に突出しかつその端部が液面方向に向かう端部、
を有することを特徴とする、請求項4記載の易重合性物質を取り扱う精製塔に配設されてなる固形不純物除去装置。 - 易重合性物質を取り扱う精製塔に請求項1〜5のいずれかに記載の固形不純物除去装置を配設した精製装置。
- 易重合性物質を取り扱う精製塔の塔底液を請求項1〜5のいずれかに記載の易重合性物質を取り扱う精製塔に配設されてなる固形不純物除去装置に導入し、かつ該装置の流体出口管から排出された流体の少なくとも一部を該精製塔に循環することを特徴とする、固形不純物の除去方法。
- 請求項7記載の固形不純物の除去方法を用いた、(メタ)アクリル酸またはそのエステルの製造方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000183550A JP4673958B2 (ja) | 2000-06-19 | 2000-06-19 | 固形物除去装置 |
US09/880,395 US6495045B2 (en) | 2000-06-19 | 2001-06-13 | Solid substance removing device |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000183550A JP4673958B2 (ja) | 2000-06-19 | 2000-06-19 | 固形物除去装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002001017A JP2002001017A (ja) | 2002-01-08 |
JP4673958B2 true JP4673958B2 (ja) | 2011-04-20 |
Family
ID=18684123
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000183550A Expired - Fee Related JP4673958B2 (ja) | 2000-06-19 | 2000-06-19 | 固形物除去装置 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US6495045B2 (ja) |
JP (1) | JP4673958B2 (ja) |
Families Citing this family (18)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
AU2002354063A1 (en) * | 2001-11-27 | 2003-06-10 | Mitsubishi Chemical Corporation | Process for producing (meth)acrylic ester |
JP4202666B2 (ja) * | 2002-03-28 | 2008-12-24 | 三菱レイヨン株式会社 | 易重合性物質移送方法および移送設備 |
US7632403B2 (en) * | 2005-01-26 | 2009-12-15 | Royal Environmental Systems, Inc. | Liquid filtration system |
US8322540B2 (en) * | 2005-01-26 | 2012-12-04 | Royal Environmental Systems, Inc. | Filter element for water loaded with solid particles and dissolved toxic substances and purification system equipped with said filter element |
WO2007060923A1 (ja) * | 2005-11-24 | 2007-05-31 | Bridgestone Corporation | 流体浄化装置及びフィルターハウジング |
US20100176050A1 (en) * | 2005-11-24 | 2010-07-15 | Bridgestone Corporation | Fluid purifying apparatus and filter housing |
JP5144926B2 (ja) * | 2006-01-20 | 2013-02-13 | 株式会社日本触媒 | アクリル酸の精製方法および製造方法 |
KR100791477B1 (ko) * | 2006-08-08 | 2008-01-03 | 삼성전자주식회사 | 상변화 메모리 유닛, 이의 제조 방법, 이를 포함하는상변화 메모리 장치 및 그 제조 방법 |
KR100799116B1 (ko) * | 2006-09-26 | 2008-01-29 | 건국대학교 산학협력단 | 코디세핀을 함유하는 비만 치료 및 예방제용 약학 조성물 |
DE102007014606A1 (de) * | 2007-03-23 | 2008-09-25 | Basf Se | Verfahren zur Lagerung einer unter den Bedingungen der Lagerung flüssigen Monomerenphase |
DE102007014603A1 (de) * | 2007-03-23 | 2008-09-25 | Basf Se | Verfahren des Transports einer aus einem Lagerbehälter entnommenen flüssigen Monomerenphase im Tank eines Tankwagens oder eines Tankschiffs |
KR100917307B1 (ko) * | 2009-03-18 | 2009-09-11 | 대구도시가스 주식회사 | 양수용 모터펌프를 위한 태양전지 이용 독립형 전력공급시스템 |
JP5640493B2 (ja) * | 2009-07-01 | 2014-12-17 | 三菱レイヨン株式会社 | 分離ユニット、分離装置、分離方法およびα,β−不飽和カルボン酸の製造方法 |
JP5774928B2 (ja) * | 2011-07-19 | 2015-09-09 | 株式会社日本触媒 | アクリル酸の製造方法 |
US20170354900A1 (en) * | 2014-12-03 | 2017-12-14 | Nippon Shokubai Co., Ltd. | Method for purifying easily polymerizable substance |
CN107137966A (zh) * | 2017-07-17 | 2017-09-08 | 衡阳屹顺化工有限公司 | 一种化工用过滤罐 |
EP4166534A1 (en) * | 2020-06-05 | 2023-04-19 | Nippon Shokubai Co., Ltd. | Method for producing easily polymerizable compound |
CN116057034A (zh) * | 2020-09-11 | 2023-05-02 | 株式会社日本触媒 | 化合物的制造方法 |
Family Cites Families (19)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5584108U (ja) * | 1978-11-30 | 1980-06-10 | ||
JPS58126831A (ja) * | 1982-01-22 | 1983-07-28 | Nippon Shokubai Kagaku Kogyo Co Ltd | メタクリル酸の捕集方法 |
JPS6028048U (ja) * | 1983-07-30 | 1985-02-25 | 雪下 毅 | ろ過器 |
JPS60104218U (ja) * | 1983-12-17 | 1985-07-16 | 雪下 毅 | ストレ−ナ− |
JPS60189310U (ja) * | 1984-05-24 | 1985-12-14 | 吉田 高治 | 渦流を加速できるサイクロンフイルタ− |
JPS6154216A (ja) * | 1984-08-24 | 1986-03-18 | Toshiba Corp | ろ過器 |
JPH0227848Y2 (ja) * | 1985-07-05 | 1990-07-26 | ||
FR2588765B1 (fr) * | 1985-10-17 | 1988-01-15 | Gaudfrin Guy | Filtre pour liquides charges de particules solides et installation de filtration comprenant un tel filtre |
JPH02108710U (ja) * | 1989-02-16 | 1990-08-29 | ||
JP3127470B2 (ja) * | 1990-12-17 | 2001-01-22 | 住友重機械工業株式会社 | 砂濾過装置 |
JP3268022B2 (ja) * | 1992-09-03 | 2002-03-25 | 旭化成株式会社 | カルボン酸エステルの製造方法 |
TW305830B (ja) * | 1993-03-26 | 1997-05-21 | Sulzer Chemtech Ag | |
US5523480A (en) * | 1994-03-28 | 1996-06-04 | Rohm And Haas Company | Process for purifying unsaturated carboxylic acids using distillation and melt crystallization |
JP3135791B2 (ja) | 1994-07-13 | 2001-02-19 | 花王株式会社 | 健康飲料 |
DE19501325A1 (de) * | 1995-01-18 | 1996-07-25 | Basf Ag | Verfahren der rektifikativen Abtrennung von (Meth)acrylsäure aus einem (Meth)acrylsäure enthaltenden Gemisch |
JP3518060B2 (ja) * | 1995-05-23 | 2004-04-12 | 栗田工業株式会社 | 濾過装置 |
DE19606877A1 (de) * | 1996-02-23 | 1997-08-28 | Basf Ag | Verfahren zur Reinigung von Acrylsäure und Methacrylsäure |
JP3942713B2 (ja) * | 1996-12-16 | 2007-07-11 | 株式会社日本触媒 | カルボン酸エステル類の製造方法および樹脂分離槽 |
KR100363927B1 (ko) * | 1996-12-16 | 2003-02-19 | 니폰 쇼쿠바이 컴파니 리미티드 | 카르복실산에스테르의제조방법및거기에사용된수지분리조 |
-
2000
- 2000-06-19 JP JP2000183550A patent/JP4673958B2/ja not_active Expired - Fee Related
-
2001
- 2001-06-13 US US09/880,395 patent/US6495045B2/en not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2002001017A (ja) | 2002-01-08 |
US20020008064A1 (en) | 2002-01-24 |
US6495045B2 (en) | 2002-12-17 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4673958B2 (ja) | 固形物除去装置 | |
JP4558870B2 (ja) | 塔式処理方法および装置 | |
US7265241B2 (en) | Method for purifying (meth)acrylic acid | |
EP1818324A1 (en) | Process for producing (Meth) acrylic acid | |
JP2004339116A (ja) | 易重合性物質の製造方法 | |
US20040222077A1 (en) | Distillation apparatus for readily polymerizable compound | |
US7348455B2 (en) | Process for producing (meth)acrylic acids | |
EA005869B1 (ru) | Способ получения (мет)акриловых кислот и способ их дистилляции | |
ZA200500279B (en) | Process for producing (meth)acrylic acid and (meth)acrylic esters | |
JP2001340701A (ja) | 蒸留塔のスタートアップ方法 | |
RU2712243C1 (ru) | Способ получения (мет)акриловой кислоты или ее сложного эфира | |
JP3971974B2 (ja) | (メタ)アクリル酸類の製造方法 | |
US7476299B2 (en) | Vessel for easily polymerizable compound | |
EP2135656A1 (en) | Method for production of purified (Meth)acrylic acid | |
EP3228612B1 (en) | Method for purifying easily polymerizable substance | |
JP4001454B2 (ja) | 精製塔の停止方法 | |
WO2019142862A1 (ja) | (メタ)アクリル酸又はそのエステルの製造方法 | |
JP4466190B2 (ja) | 易重合性化合物の取り扱い装置及び製造装置 | |
JP4186459B2 (ja) | 易重合性化合物用の塔設備 | |
JP4437930B2 (ja) | アクリル酸類の蒸留精製方法 | |
RU2300515C2 (ru) | Способ получения (мет)акриловых кислот каталитическим окислением пропилена или изобутилена (варианты), способ разложения побочного продукта (варианты), установка для осуществления способа | |
JP3971923B2 (ja) | (メタ)アクリル酸類の製造方法 | |
JP4018512B2 (ja) | (メタ)アクリル酸類の製造方法 | |
JP2005336122A (ja) | (メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの製造方法 | |
JP2005170931A (ja) | 易重合性化合物用の容器 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20040701 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20050419 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070109 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20090807 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20091222 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100126 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20110118 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20110124 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4673958 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140128 Year of fee payment: 3 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |