JP2001340701A - 蒸留塔のスタートアップ方法 - Google Patents

蒸留塔のスタートアップ方法

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JP2001340701A JP2000166389A JP2000166389A JP2001340701A JP 2001340701 A JP2001340701 A JP 2001340701A JP 2000166389 A JP2000166389 A JP 2000166389A JP 2000166389 A JP2000166389 A JP 2000166389A JP 2001340701 A JP2001340701 A JP 2001340701A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 易重合性化合物含有溶液を取り扱う蒸留塔に
おける、安全かつ重合を防止できるスタートアップ方法
を提供する。 【解決手段】 易重合性化合物含有溶液を取り扱う蒸留
塔の稼動開始に際して、重合防止剤を該蒸留塔の塔底液
に供給し、次いで該蒸留塔の昇温を開始することを特徴
とする。更に、蒸留塔の昇温開始前に該蒸留塔の塔頂ま
たは塔中段から還流液を供給することで、より易重合性
物質の重合を防止することができる。加えて、蒸留塔の
昇温開始前に不活性ガスおよび/または分子状酸素含有
ガスを塔内に供給して、塔内分子状酸素含有ガス濃度を
0.1〜9容量%とし、次いで昇温過程で塔内易重合性
化合物ガス組成が爆発上限界濃度を越える範囲で分子状
酸素含有ガスを供給することで、蒸留塔内で発生する易
重合性化合物の重合の発生や重合物付着による閉塞を防
止すると共に、スタートアップ時の爆発等の危険性を回
避でき安全性に優れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、易重合性化合物含
有溶液を取り扱う蒸留塔におけるスタートアップ方法に
関し、より詳細には、定常状態前の塔底液に重合防止剤
を供給して稼動を開始し、該蒸留塔やこれに付属する装
置に生ずる重合や閉塞を防止し、かつ安全性を確保でき
る蒸留塔のスタートアップ方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アクリル酸やメタクリル酸等の易重合性
化合物は、工業的な製造原料であり大規模なプラントで
大量に生産される化学物質である。例えば、(メタ)ア
クリル酸を例に取れば、該易重合性化合物は、プロピレ
ン、イソブチレン、t−ブタノール、メチル−t−ブチ
ルエーテル、アクロレインなどの接触気相酸化反応によ
って製造されるが、該接触気相酸化反応によって得られ
た反応ガス中には、目的物たる(メタ)アクリル酸の他
の副生物等が混在する。例えば、該反応によって主とし
て非凝縮性の気体すなわち未変換プロピレン、アクロレ
イン、沸点がアクリル酸の沸点よりも低い低沸点有機化
合物すなわち水蒸気、未変換アクロレイン、副反応で生
じるホルムアルデヒド、酢酸等の不純物、沸点がアクリ
ル酸の沸点よりも高沸点化合物すなわち無水マレイン
酸、フルフラール、ベンズアルデヒド、安息香酸、アク
リル酸二量体等が発生する。このため、この反応ガスを
精製して目的物を製造するには、上記反応ガスを水また
は重質溶媒で向流洗浄して抽出し、次いでこれを蒸留塔
に供給して精製することが一般的である。
【0003】しかしながら、蒸留塔内には生成目的物、
溶媒、発生ガス等が混在し、燃焼、爆発、機器の破損等
の危険性が高い。特に、易重合性化合物を取り扱う蒸留
塔では、多成分であるため、特にスタート時から定常状
態に到達するまでに塔内組成が刻々と変化し、その危険
性が更に高まる。更に、目的物が易重合性化合物の場合
には、それ自体の物性から重合物が発生し易いのである
が、これを防止するために分子状酸素含有ガスを供給す
ると、該供給ガスによって爆発を生ずる危険性が高ま
る。
【0004】このような弊害を防止するために、通常行
われているスタート方法を図5を用いて説明する。ま
ず、爆発を防止するために蒸留塔(1)内に不活性ガス
を塔頂または塔底から供給して空気を排出して不活性ガ
ス置換し、このような不活性ガスによる置換に伴って水
分も除去する。次いで、初期液を蒸留塔の供給口(2)
から投入し、該蒸留塔(1)の塔底に接続するリボイラ
ー(3)を加熱して昇温を開始する。このような昇温に
伴って塔底液の温度が上昇し、液表面から低沸点物質、
易重合性化合物、高沸点物質の順にガス化が開始され
る。次いで、該昇温によって該蒸留塔(1)に付属させ
たコンデンサー(4)への留出を開始し、留出設定還流
量まで負荷を上げてポンプ(6)を介して全還流運転を
行う。全還流運転が安定して塔内温度、圧力に異常が無
いことを確認した後に、リボイラー(3)に分子状酸素
含有ガスを供給し、同時に原料液を蒸留塔(3)塔内へ
の供給を開始する。次いで、留出液量が増量した時点で
塔頂に設けたコンデンサー(4)からの留出を開始し、
塔底温度が設定温度以上であることを確認した後に、塔
底の抜き出しを開始する。該抜き出し液の一部は、ポン
プ(5)を介して蒸留塔に循環させてもよく、全て設定
量まで供給することで定常運転に移行する。そして、こ
のような経過の途中で始運転用流体導入と循環などを介
して膨張による熱応力の発生とその影響、加圧による漏
洩点検、加熱設備の作動点検、測定器などの作動点検や
原料液の液量、原料張り込み温度、塔頂圧力の調整等を
同時に行いつつ定常運転に移行させているのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
方法で蒸留塔を始動させる場合、精製対象物が(メタ)
アクリル酸等の易重合性化合物の場合には、昇温に際し
てリボイラー、コンデンサーその他蒸留塔の塔壁、塔底
部において重合物が発生し易やすかった。しかしなが
ら、例えば塔底からの抜き出しポンプのストレーナー内
に重合物が付着すると、キャビテーションが発生してポ
ンプが停止し、このため蒸留塔の安全稼動が損なわれる
場合があった。
【0006】また、上記ストレーナーの重合物の付着や
閉塞によって洗浄操作を必要とするが、反応原料、反応
生成物、副生物等による化学的刺激、重合物の付着など
の物理的障害によって、作業者に精神的な不快感を与
え、かつ健康面への影響も考慮すべきものとなってい
る。また、蒸留用に使用する有機溶媒による引火等の安
全性の面でも問題が有り、更に、洗浄除去する装置や蒸
留塔自体の大きさと相まって、これを人力で廃棄除去す
ることは、一般に困難である。
【0007】加えて、このような蒸留塔においてはスタ
ート時と同様に停止時にも細心の注意と作業時間が必要
であるが、スタートアップ時に重合物が付着すると該重
合物が定常運転時にも存在するために、それが重合の核
となって次第に蓄積し、更なる重合や閉塞を招きやす
く、連続運転を停止させる原因となる。しかしながら、
重合物が発生したために蒸留塔の運転や付属する装置の
運転を停止したのでは、大規模なプラントにおいて稼動
の停止および指導に甚大な労力および時間を要し、装置
の一部停止においてもこれに伴う一連の反応条件を調整
する必要が生じ、目的物の生産性が低下し大量生産の目
的に反するものとなる。
【0008】更に、このような重合物を除去するには大
量の洗浄溶媒が必要となるが、使用済み洗浄液を廃棄し
または燃焼などによって処分すると二酸化炭素の発生や
有機溶媒の河川、沿岸への廃棄を招き、環境保護に反す
る結果となる。
【0009】一方、易重合性化合物の重合を防止するた
めに熱源供給前やまたはこれと同時に分子状酸素含有ガ
スを供給すると、塔内ガス組成が爆発限界範囲に入るた
め爆発燃焼を起こす恐れがあり、供給原料の組成が蒸留
塔内で変動するために生ずる不安定性が更に増長されて
安全なスタートアップが困難となっている。
【0010】更に、易重合性化合物による重合や閉塞を
防止するために重合防止剤を原料供給液中に使用して
も、昇温によって発生した易重合性化合物の蒸気には沸
点の高い重合防止剤が含まれないために、易重合性化合
物の凝縮による重合が起こりやすく、十分な重合防止効
果が得られない。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、蒸留塔の始
動時の状況を詳細に検討した結果、定常条件に到達する
前に初期液に重合防止剤を供給し、所定位置に分子状酸
素含有ガスや初期液を供給することで、易重合性化合物
の重合や閉塞を防止できることを見出し、本発明を完成
させた。すなわち、上記課題は、以下の(1)〜(7)
によって達成される。
【0012】(1) 易重合性化合物含有溶液を取り扱
う蒸留塔の稼動開始に際して、重合防止剤を該蒸留塔の
塔底液に供給し、次いで該蒸留塔の昇温を開始すること
を特徴とする蒸留塔のスタートアップ方法。
【0013】(2) 該重合防止剤が、定常状態におけ
る該蒸留塔の塔底液の重合防止剤濃度と同等またはそれ
以上の濃度の重合防止剤であることを特徴とする、上記
(1)記載の蒸留塔のスタートアップ方法。
【0014】(3) 塔底温度が外気温度より20℃以
内に温度が上昇した際に、重合防止剤を該蒸留塔の塔底
液に供給することを特徴とする、上記(1)または
(2)記載の蒸留塔のスタートアップ方法。
【0015】(4) 更に、該蒸留塔の昇温開始前に該
蒸留塔の塔頂または塔中段から還流液を供給することを
特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の蒸留
塔のスタートアップ方法。
【0016】(5) 更に、該蒸留塔の昇温開始前に不
活性ガスおよび/または分子状酸素含有ガスを塔内に供
給して、塔内分子状酸素含有ガス濃度を0.1〜9容量
%とし、次いで昇温過程で塔内易重合性化合物ガス組成
が爆発上限界濃度を越える範囲で分子状酸素含有ガスを
供給することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれ
かに記載の蒸留塔のスタートアップ方法。
【0017】(6) 該蒸留塔において、塔底液を該蒸
留塔の塔中段に循環することを特徴とする上記(1)〜
(5)のいずれかに記載の蒸留塔のスタートアップ方
法。
【0018】(7) 易重合性化合物含有溶液が、(メ
タ)アクリル酸および/またはそのエステルから選ばれ
る少なくとも1種を含有するものである、上記(1)〜
(6)のいずれか記載の蒸留塔のスタートアップ方法。
【0019】
【発明の実施のための形態】本発明の第一は、易重合性
化合物含有溶液を取り扱う蒸留塔の稼動開始に際して、
重合防止剤を該蒸留塔の塔底液に供給し、次いで該蒸留
塔の昇温を開始することを特徴とする蒸留塔のスタート
アップ方法である。
【0020】一般に蒸留塔の稼動開始時には、予め蒸留
塔に初期液として一定の供給原料を投入した後に昇温を
開始させる。一方、重合防止剤は、易重合性化合物含有
溶液を取り扱う蒸留塔において定常運転時に添加される
化合物であるが、一般に高沸点であって昇温後の蒸留塔
雰囲気中に存在し得ず、気体で存在する易重合性化合物
の重合を防止することができないためにそれ単独では十
分な重合防止が達成できない。また、重合防止剤自体の
価格が高く、かつこれを塔底液に含有させるためには該
重合防止剤を含有する溶液を調製し、次いで原料液中に
供給するなどの操作が必要となる。このため従来は、初
期液中には重合防止剤が添加されず、昇温開始から定常
状態に至る間の塔底液中の重合防止剤濃度は定常運転時
よりも常に低濃度となっていた。しかしながら、本願に
よれば昇温前に塔底液に重合防止剤を使用するために、
蒸留塔内、コンデンサー、リボイラーに付属するポンプ
などにおける重合物の発生やこれら重合物による閉塞を
防止することができる。しかもこれによって、重合物の
発生によって生ずる塔底液の沸点の上昇が防止され、特
に液組成やガス組成が変動して安定な蒸留操作が困難な
スタート時において、爆発や突沸などを防止してスター
トアップ時の安全性が確保できるのである。以下、本発
明を詳細に説明する。
【0021】本発明の対象となる蒸留塔は、易重合性化
合物含有溶液を取り扱う全てを含み、名称が蒸留塔で有
るか否かを問わない。従って、従来から脱水塔、低沸点
物分離塔、高沸点物分離塔、共沸分離塔等と称されるも
のであっても、該蒸留塔に供給される対象溶液が易重合
性化合物含有溶液であれば、何れにも適用することがで
きる。また、易重合性化合物含有溶液とは、易重合性化
合物を含有していればよく、その濃度や該溶液の溶媒が
有機溶媒であるか水性溶媒であるかを問わない。
【0022】このような易重合性化合物としては、アク
リル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等の不飽
和二重結合を有するカルボン酸やこれらのエステル体が
ある。また、上記不飽和二重結合を有するカルボン酸と
エステル体を構成する水酸基含有化合物としては、炭素
数1〜12の低級脂肪族アルコールまたは低級脂環式ア
ルコールであることが好ましい。このような水酸基含有
化合物としては、メタノール、エタノール、n−ブタノ
ール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタ
ノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペ
ンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、
2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、シクロヘキサノ
ール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプ
タノール、1−オクタノール、イソオクタノール、2−
エチルヘキサノール、イソノニルアルコール、ラウリル
アルコールなどの各種アルコールを挙げることができ、
これらは直鎖状のものであっても分岐を有するものであ
ってもよい。また、これらは1種を単独で使用する場合
に限られず、2種以上を併用する場合であってもよい。
【0023】また、このような易重合性化合物を含有す
る溶媒としては、水、有機酸含有水の他に、パラフィン
の蒸留からの中油留分、ジフェニルエーテル、ジフェニ
ル、前記液体の混合物、例えばジフェニルエーテル70
〜75重量%とジフェニル25〜30重量%の混合物、
ジフェニルエーテル70〜75重量%及びジフェニル2
5〜30重量%、及びまたこの混合物に対してo−ジフ
ェニルフタレ−ト0.1〜25重量%のブレンドからな
る混合物が例示できる。
【0024】また、更に易重合性化合物を含有する溶
剤、例えば、水および低沸点不純物を分離する方法とし
て一般的に共沸溶剤を用いて蒸留する。その方法は、共
沸分離塔の塔頂から水と溶剤との共沸混合物を留出さ
せ、塔底からアクリル酸を回収する。共沸溶剤として
は、へプタン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロ
ヘキサン、トルエン、エチルベンゼン、クロロベンゼ
ン、キシレンおよびそれらの混合物から選ばれた少なく
とも1種を含む溶剤:ジエチルケトン、ジイソプロピル
ケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケト
ン、メチル−t−ブチルケトン、酢酸n−プロピル、酢
酸n−ブチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ビニル、アクリル
酸n−プロピル、酢酸アリル、酢酸イソプロペニル、プ
ロピオン酸ビニル、プロピオン酸プロピル、クロトン酸
メチル、吉草酸メチル、酢酸エチル、アクリル酸メチ
ル、ジブチルエーテルおよびそれらの混合物よりなる群
から選ばれる少なくとも1種を含む溶剤:およびへプタ
ン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、
トルエン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、キシレン
およびそれらの混合物より選ばれた少なくとも1種を含
む溶剤と、ジエチルケトン、ジイソプロピルケトン、メ
チルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル
−t−ブチルケトン、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチ
ル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリ
ル酸エチル、アクリル酸ビニル、アクリル酸n−プロピ
ル、酢酸アリル、酢酸イソプロペニル、プロピオン酸ビ
ニル、プロピオン酸プロピル、クロトン酸メチル、吉草
酸メチル、酢酸エチル、アクリル酸メチル、ジブチルエ
ーテル及びそれらの混合物からなる群から選ばれる少な
くとも1種を含む溶剤との混合溶剤を例示できる。
【0025】本発明は、蒸留塔の昇温開始前の塔底液
に、重合防止剤を投入することを特徴とするが、該重合
防止剤の投入方法としては蒸留塔の塔底に仕込んだ初期
液中に投入するなど蒸留塔に直接導入してもよいし、予
め重合防止剤を含有させた初期液を蒸留塔に仕込み、そ
の他還流液やまたは他の溶媒に溶解して送液ラインより
導入してもよい。また、初期液の仕込み方法も、通常運
転時における蒸留塔の原料供給口から供給する場合に限
られず、蒸留塔に付属させたコンデンサーを介して塔頂
から供給してもよい。
【0026】本発明では投入する重合防止剤の量として
は、特に制限はないが、好ましくは、蒸留塔の昇温前に
塔底液中の重合防止剤濃度が定常状態における該濃度と
同等またはそれ以上、より好ましくは定常状態の濃度の
1〜2倍、特に好ましくは1〜1.5倍である。なお、
定常状態の重合防止剤濃度は、易重合性化合物含有液の
具体的な組成やこれに連続する他の工程の操作条件、例
えば易重合性化合物の化学的性質、濃度、蒸留温度によ
って変わるために一律に規定できるものではない。しか
しながら、従来は塔底液に重合防止剤が全く含まれない
状態で昇温が開始されていたため、たとえ昇温開始後に
所定濃度の重合防止剤を含有する易重合性化合物含有溶
液を供給しても、重合を防止するに十分な重合防止剤濃
度に至らなかった。そこで、昇温開始前の塔底液に重合
防止剤を添加することで従来と比較して確実に重合を防
止することができ、重合物の発生に基づく塔底液の温度
上昇を防止して安全を確保でき、更に蒸留エネルギーの
低減を達成できるのである。
【0027】この際使用できる重合禁止剤としては、ハ
イドロキノン、メトキシハイドロキノン、メトキノン、
クレゾール、フェノール、t−ブチルカテコール、ジフ
ェニルアミン、フェノチアジン、メチレンブルーから選
ばれる1種以上、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエ
チルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン
酸銅およびサリチル酸銅などの銅塩化合物、酢酸マンガ
ンなどのマンガン塩化合物から選ばれる1種以上、p−
フェニレンジアミンなどのp−フェニレンジアミン類,
4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリ
ジノオキシルなどのN−オキシル化合物、尿素などの尿
素類、チオ尿素などのチオ尿素類などを好適に用いるこ
とができる。上記の化合物は単独でも、あるいは2種類
以上組み合わせて使用することもできる。
【0028】また、本発明では、更に、上記重合防止剤
の使用と共に、該蒸留塔の昇温開始前に該蒸留塔の塔頂
または塔中段から還流液を供給することが好ましい。従
来は、塔底液を仕込んだ後に昇温を開始したが、この方
法では蒸留塔内に十分に溶媒蒸気が発生して塔内内壁を
溶媒が濡らす前に易重合性化合物がガス化する。このた
め、易重合性化合物ガスが蒸留塔の内壁に付着し、次い
で付着液が凝集して重合物を発生し易かった。そこで、
昇温前に塔頂から還流液を供給して蒸留塔内を濡らすこ
とで易重合性化合物の凝縮を防止して重合物の発生を抑
制させる。このような還流液としては、易重合性化合物
含有溶液に使用する溶媒を還流液としてそのまま使用す
る他、塔底液を還流液として使用することができる。な
お、還流液は、送液ラインを設けて塔頂または塔中段か
ら循環液を供給してもよく、または蒸留塔に接続したコ
ンデンサーを介して供給してもよい。コンデンサーを介
する場合には、コンデンサーからの還流液を循環させる
場所から塔内に供給させることになる。
【0029】本発明では、上記重合防止剤の添加と共
に、または更に上記還流液の供給と共に該蒸留塔の昇温
開始前に不活性ガスまたは/および分子状酸素含有ガス
を塔内に供給して、塔内分子状酸素含有ガス濃度を0.
1〜9容量%とし、次いで昇温過程で塔内易重合性化合
物含有ガス組成が、爆発上限界濃度を越える範囲に入ら
ないように、分子状酸素含有ガスを供給することが好ま
しい。塔内分子状酸素含有ガス濃度が9容量%を越える
範囲(爆発限界範囲内)では、爆発性混合ガスを形成し
て静電気帯電等による火花を発生すれば爆発を起こす危
険性があるため、塔内組成が不安定な昇温過程において
は供給せずに、定常状態に至った後に供給していた。こ
れは、爆発を回避するために不活性ガスで塔内の空気や
酸素ガスを除去する操作を必須と考える従来技術と一致
するものである。しかしながら、分子状酸素含有ガス濃
度と易重合性化合物濃度との関係を詳細に検討した結
果、図2に示す関係が見出されたのである。なお、昇温
開始前とは、昇温のために加熱器を稼動させた場合であ
っても、塔底温度が外気温度に対して20℃以内の昇温
であれば、昇温開始前とする。
【0030】図2は、蒸留塔塔頂のアクリル酸と酸素の
組成比を示すものであり、図2において、横軸は酸素濃
度、縦軸はアクリル酸濃度を示し、斜線部は爆発範囲を
示す。また、易重合性化合物の通常の蒸留工程で塔内圧
力および温度を変化させた場合のアクリル酸と酸素との
組成変化の軌道を、酸素濃度を違えて実線と点線で示
す。この組成の軌道について説明すると次のようにな
る。まず、蒸留開始前に塔内に供給されたアクリル酸は
室温で液体である。従って、塔内温度を昇温する前に例
えば酸素濃度21容量%の分子状酸素含有ガスを塔内に
供給すると、塔頂部のガス組成は、酸素濃度21容量
%、アクリル酸濃度0容量%、すなわち図2の’の位
置にある。この状態で、例えば塔頂圧を1013hPa
から47hPaの減圧し、そのまま蒸留のために塔内を
昇温すると、塔底のアクリル酸が気化するため塔頂部の
アクリル酸濃度が上昇し、両者の組成比は点線に沿って
動く。なお、爆発範囲の最低酸素濃度を限界酸素濃度と
する。図2では限界酸素濃度は9.5容量%である。
【0031】図2から分かるように、アクリル酸濃度が
3容量%の場合には、およそ酸素濃度が9.5容量%を
越えると爆発範囲に入る。このため、従来は昇温前に
9.5容量%はおろか全く分子状酸素含有ガスを供給さ
せなかったのである。しかしながら、爆発範囲を詳細に
検討すると易重合性化合物の濃度上昇に伴って爆発範囲
に属する酸素濃度はこれ以降漸次減少する。そこで、ス
タート時に酸素濃度を限界酸濃度以下とし、昇温過程に
おいて爆発範囲を回避するように分子状酸素含有ガスを
供給することで、重合を防止することができると共に安
全性も確保できるのである。図2において、点線に示す
軌道を経ると、重合が防止できても爆発範囲を横切るた
めにスタートアップ時の安全性に欠けることは明らかで
ある。
【0032】本発明で酸素濃度の上限を9容量%とした
のは、易重合性化合物の蒸留操作において、このような
蒸留塔の昇温開始から定常状態に至る液組成の変化があ
っても、実際に爆発燃焼の危険性が無いことが判明した
からである。そこで、昇温を開始後、易重合性化合物ガ
ス組成が爆発上限界濃度を越える範囲で分子状酸素含有
ガスを供給する。なお、易重合性化合物ガスの爆発上限
界濃度とは、易重合性化合物の濃度、分子状酸素含有ガ
スの塔内容積%によって定まる数値である。他の例とし
て図3にメタクリル酸の爆発範囲を示す。爆発上限界濃
度は、アメリカ鉱山局型爆発限界測定装置や北川研究室
型爆発限界測定装置等を用いて知ることができる。
【0033】分子状酸素含有ガスの供給方法としては、
公知の方法を採用できる。例えば、バブリング等により
塔底液に直接混入させても、あるいは溶媒に溶解させて
間接的に混入させてもよい。分子状酸素含有ガスを蒸留
塔の塔底および/またはリボイラーからガス状で供給す
れば、簡単にバブリングさせることができる。
【0034】このような分子状酸素含有ガスの供給箇所
は、特に制限されるものではなく、蒸留塔の塔底に直接
に、またはコンデンサーやリボイラーから分子状酸素含
有ガスを供給しても、溶媒に溶解させて間接的に混入さ
せてもよい。もっとも、リボイラーから分子状酸素含有
ガスを供給すると、リボイラー内の重合も特に有効に防
止できるために特に好ましい。なお、分子状酸素含有ガ
スとしては、酸素ガスのほか空気などを用いることがで
きる。
【0035】蒸留塔の昇温方法も特に制限はなく、公知
の方法を適用できる。例えば、塔底に連結させたリボイ
ラーに蒸気、熱水、温水などを供給して昇温することが
できる。なお、昇温開始前には塔底液に重合防止剤を添
加し、昇温を開始した後には徐々に原料液たる易重合性
化合物含有溶液を供給させるが、該溶液には従来と同様
に所定濃度の重合防止剤を添加したものを供給させる。
定常状態に至る迄に熱源供給前に重合防止剤を含有した
液を連続的に供給することによって、一層優れた重合防
止効果が得られる。
【0036】本発明では、更に昇温開始前に塔底液を該
蒸留塔に循環することが好ましい。このような循環方法
は、たとえば図1に示すように、塔底液をポンプ(5)
を介して塔内の塔中段、原料供給口(2)、更には、リ
ボイラ(4)の循環液Rに合流させて、塔内に循環させ
ることができる。このように循環場所としては、塔頂、
塔中段、塔底等の何れでもよいが、なかでも塔頂に循環
することがより効果的である。このような塔底液の循環
によって重合防止剤の有効利用ができるため、昇温の際
に発生するガス化した易重合性化合物の凝縮による重合
を防止することができ、同時に昇温時間短縮による重合
防止および熱源供給量の削減を図ることができる。
【0037】次に、本発明のスタートアップ方法を、プ
ロピレン、プロパンまたはアクロレインの接触気相酸化
反応でアクリル酸含有ガスを得て、これを重質溶媒等の
アクリル酸捕集液で向流洗浄して抽出してアクリル酸含
有溶液得て、これを蒸留処理して該溶液に含まれるアク
リル酸より水および低沸点の化合物を除去する場合、ア
クリル酸中の高沸点の化合物を除去する場合を例にして
図1、図2、図4を用いて説明する。
【0038】アクリル酸含有溶液中の水および低沸点不
純物を除去する方法は、通常、共沸溶剤を用いて行われ
る。また、操作条件は、通常、常圧または減圧下、好ま
しくは絶対圧100〜1013hPaの操作圧で、塔底
温度60〜120℃の範囲で蒸留する。
【0039】該アクリル酸含有溶液の組成は、各工程の
操作条件によって異なるため一概に特定できないが、一
例を上げると、アクリル酸50〜80質量%、酢酸1〜
10質量%、水10〜30質量%、その他、アクロレイ
ン、ホルムアルデヒド、無水マレイン酸、フルフラー
ル、ベンズアルデヒド、アクリル酸二量体等1〜10質
量%である。また、精製して得られる缶液の組成は、ア
クリル酸90〜99質量%、酢酸0.01〜5.0質量
%、水1〜1000質量ppm、その他、無水マレイン
酸、フルフラール、ベンズアルデヒド、アクリル酸二量
体等0.5〜10質量%である。
【0040】図1に示すように、まず、缶液相当液を蒸
留塔(1)の原料供給口(2)から仕込み、初期液とす
る。該仕込量は、通常の塔底液の1〜5倍、より好まし
くは1〜2倍、特に好ましくは1〜1.5倍である。該
蒸留塔(1)の定常状態の塔底液の重合防止剤濃度は、
一般に0.01〜1.0質量%である。このため、該塔
底液に重合性防止剤濃度0.01〜10質量%、より好
ましくは0.01〜2質量%、特には0.01〜1.5
質量%となるように仕込む。尚、塔底液量は、生産量や
分離目的によって変動する。
【0041】次いで、蒸留塔(1)に付属させたコンデ
ンサー(4)に、重合防止剤を含ませた共沸溶剤含有溶
液を供給して液循環を行う。循環液量はコンデンサー
(4)内の全域が濡れた状態となる迄行い、これによっ
てコンデンサー(4)内に易重合性化合物含有ガスが供
給された場合でもガスの凝縮の際に生ずる重合を防止で
きる。また、塔頂部から還流液を供給するために塔内が
還流液で塗れた状態となり、ガスの凝縮の際に生ずる重
合を防止できる。なお、循環液に共沸溶剤が含まれる場
合には、コンデンサー(4)からの循環液が共沸溶剤相
と水相との分離できる。このため、図1に示すように循
環液の水相を除去し、共沸溶剤のみを循環させてもよ
い。
【0042】次いで、不活性ガス、または/および分子
状酸素含有ガスを塔頂または塔底から蒸留塔(1)に供
給し、蒸留塔(1)内の分子状酸素含有ガス濃度を0.
1〜9容量%に調整する。なお、この分子状酸素含有ガ
スの濃度は、図2のの位置に相当する。
【0043】次に、操作圧を調整して、蒸留塔の塔頂圧
を絶対圧100〜1013hPaに設定する。
【0044】塔内のガスの遺漏が無いことを確認した後
に、蒸留塔(1)の原料供給口(2)から易重合性化合
物含有溶液を供給して初期液に加えてもよい。尚、塔底
液量は、生産量や分離目的によって変動するため、重合
防止剤を供給し、塔底液中の重合防止剤濃度を0.1〜
10質量%とする。
【0045】なお、昇温前に、蒸留塔(1)の塔頂部に
付属させたコンデンサー(4)に循環液を供給して液循
環を開始し、循環液を蒸留塔(1)の塔頂から還流さ
せ、または、塔底液をポンプ(5)を介して蒸留塔
(1)の塔内に供給してもよい。このような還流操作に
よって、蒸留塔(1)内が還流液で濡れ、重合を防止す
ることができる。
【0046】次いで、リボイラー(3)に蒸気を供給し
て蒸留塔(1)内を昇温させる。蒸留塔(1)内の温度
が上昇仕始めたことを確認した後、原料供給口(2)か
ら易重合性化合物含有溶液および塔頂から共沸溶剤を主
成分とする溶液を連続的に供給する。該易重合性化合物
含有溶液は定常状態で供給されるものと同じものであ
る。なお、供給原料中の重合防止剤濃度は、分離目的お
よび濃縮倍率によって変化するため、一概に特定できな
い。
【0047】また、昇温過程で、塔内易重合性化合物含
有ガス組成が爆発上限界濃度を越える範囲を越える範囲
で分子状酸素含有ガスを供給、すなわち塔頂温度が上昇
し始めたら、分子状酸素含有ガスを供給する。供給量
は、蒸留塔(1)で発生する易重合性化合物の蒸気蒸発
量に対して0.01〜5容量%の範囲とすることが好ま
しい。例えば、温度50℃で酸素濃度を5容量%から4
0容量%に増加させる。この蒸留塔におけるアクリル酸
濃度と酸素濃度との関係は図2に模式的に示され、例え
ば昇温過程の組成は図2のであり、例えば、温度50
℃において爆発上限界濃を越えるときの組成は図2の
である。
【0048】次いで、原料供給液量および還流液量を徐
々に設定量迄上げて、コンデンサー(4)への留出液量
が増量し始めた後に、留出液の抜き出しを開始する。ま
た、分離蒸留する物質の種類や沸点等によって異なる
が、アクリル酸に含まれる水および低沸点物質を分離す
る場合には、塔底温度が一般に60〜120℃以上にな
った時点で、塔底液の抜き出しを開始する。
【0049】本発明では、塔底液をポンプ(5)を介し
て蒸留塔(1)の塔中段に還流液として供給し、または
コンデンサ(4)の還流液の一部に合流させ、または原
料供給口などから塔内に循環させることが好ましい。こ
のような還流操作によって、蒸留塔(1)内が還流液で
濡れ塔内が還流液で塗れた状態となり、ガスの凝縮の際
に生ずる重合を防止できるからである。なお、塔中段と
は、例えば棚段塔や充填塔等において、充填物を配置し
た部分などの実質的に分離精製がなされる部分をいい、
このような充填物がない場合には、塔底部と塔頂部とを
のぞいた蒸留塔の中間部を意味する。従って、塔中段に
還流する方法として、塔中段に別個に循環口を設ける
他、フィード段から循環させてもよい。
【0050】次に、アクリル酸中の高沸点不純物を除去
する方法を図4を用いて説明する。まず、アクリル酸中
の高沸点不純物を除去する方法は通常、高沸分離塔を用
いて行なう。操作条件は、通常、減圧下、好ましくは絶
対圧10〜150hPaの操作圧で、塔底温度60〜1
20℃の範囲で蒸留するのが好ましい。
【0051】該アクリル酸含有溶液の組成は、各工程の
操作条件によって異なるため一概に特定できないが、一
例をあげると、アクリル酸90〜99質量%、酢酸1〜
1000質量ppm、水1〜1000質量ppm、その
他、アクロレイン、ホルムアルデヒド、無水マレイン
酸、フルフラール、ベンズアルデヒド、アクリル酸二量
体等1〜10質量%である。該アクリル酸含有溶液を蒸
留塔(1)の原料供給口(2)から仕込み、初期液とす
る。該仕込量は、通常の塔底液の1〜5倍、より好まし
くは1〜2倍、特に好ましくは1〜1.5倍である。該
蒸留塔(1)の定常状態の塔底液の重合防止剤濃度は、
一般に1〜15質量%である。このため、該塔底液に重
合性防止剤濃度1〜50質量%、より好ましくは1〜3
0質量%、特には1〜23質量%となるように供給す
る。
【0052】次いで、上記したアクリル酸含有溶液中の
水および低沸点不純物を除去する方法の場合と同様に、
蒸留塔(1)に付属させたコンデンサーに、重合防止剤
を含ませた前記アクリル酸含有溶液を供給して液循環を
行う。循環液量はコンデンサー内の全域が濡れた状態と
なる迄行い、これによってコンデンサー内に易重合性化
合物ガスが供給された場合でもガスの凝縮の際に生ずる
重合を防止できる。
【0053】また、不活性ガス、または/および分子状
酸素含有ガスを塔頂または塔底から蒸留塔(1)に供給
し、蒸留塔(1)内の分子状酸素含有ガス濃度を0.1
〜9容量%に調整する。この分子状酸素含有ガスガス
は、図2のの位置に相当する。
【0054】次に、操作圧を調整して、蒸留塔の塔頂圧
を絶対圧10〜150hPaに設定する。
【0055】塔内のガスの遺漏が無いことを確認した後
に、蒸留塔(1)の原料供給口(2)から易重合性化合
物含有溶液を供給して初期液に加えてもよい。尚、塔底
液量は、生産量や分離目的によって変動するため、重合
防止剤を供給し、塔底液中の重合防止剤濃度を0.1〜
50質量%とする。
【0056】また、昇温前に、蒸留塔(1)の塔頂部に
付属させたコンデンサー(4)に循環液として供給して
液循環を開始し、循環液を蒸留塔(1)の塔頂から還流
させ、または塔底液をポンプ(5)を介して蒸留塔
(1)の塔内に供給してもよい。このような還流操作に
よって、蒸留塔(1)内が還流液で濡れ、重合を防止す
ることができるからである。
【0057】次いで、リボイラー(3)に蒸気を供給し
て蒸留塔(1)内を昇温させ、蒸留塔(1)内の温度が
上昇仕始めたことを確認した後、コンデンサー(3)の
還流液を循環させて全還流運転とする。
【0058】また、昇温過程で、塔内易重合性化合物ガ
ス組成が、爆発上限界濃度を越える範囲で分子状酸素含
有ガスを供給、すなわち塔頂温度が上昇し始めたら分子
状酸素含有ガスを供給する。供給量は、蒸留塔(1)で
発生する易重合性化合物の蒸気蒸発量に対して0.01
〜5容量%の範囲であることが好ましい。例えば、温度
50℃で酸素濃度を5容量%から40容量%に増加す
る。
【0059】なお、この蒸留塔におけるアクリル酸濃度
と酸素濃度との関係も図2に模式的に示され、例えば昇
温過程の組成は図2のであり、例えば、温度50℃に
おいて爆発上限界濃度を越えるときの組成は図2ので
ある。
【0060】次いで、全還流運転が安定した後に、原料
供給口(2)から易重合性化合物含有溶液を連続的に供
給する。該易重合性化合物含有溶液には、定常状態で供
給されるものと同じものである。なお、供給原料中の重
合防止剤濃度は、分離目的および濃縮倍率によって変化
するため、一概に特定できない。
【0061】次いで、コンデンサーへの留出液量が増量
し始めた後に、留出液の抜き出しを開始する。また、分
離蒸留する物質の種類や沸点等によって異なるが、アク
リル酸に含まれる高沸点物質を分離する場合には、塔底
温度が一般に60〜120℃以上になった時点で、塔底
液の抜き出しを開始する。
【0062】本発明のスタートアップ方法は、上記した
蒸留塔スタートアップ方法によって定常運転に至った蒸
留塔の塔底液を更に蒸留する場合にも、同様に適用する
ことができる。即ち、該蒸留塔の塔底液を次工程の蒸留
塔の初期液として仕込み、これに重合防止剤を添加す
る。この点、第一の蒸留塔の塔底液には既に重合防止剤
が含まれているが、一般には更に重合防止剤を添加する
必要があるからである。
【0063】即ち、易重合性化合物の製造工程では、目
的化合物が重合し易いために、精製工程は水および低沸
物の蒸留除去、高沸物の蒸留除去の順で行われることが
一般的である。また、蒸留工程の進行に従って蒸留塔に
供給される目的化合物の濃度が高まる。このため、蒸留
工程では順次、重合防止剤の濃度が高まる。従って、第
一の蒸留塔の塔底液を第二の蒸留塔の初期液として供給
しても、第二の蒸留塔の定常状態の塔底液中の重合防止
剤濃度よりも低くなっている。このため新たに重合防止
剤を添加するのである。
【0064】上記では、アクリル酸含有溶液の蒸留塔に
ついて説明したが、反応器に供給する原料ガスを変えて
メタクリル酸含有ガスを得て、次いでこれを捕集液に捕
集したメタクリル酸含有溶液を蒸留する場合の蒸留塔の
も適用できる。
【0065】更に、(メタ)アクリル酸エステル体を製
造する場合の(メタ)アクリル酸エステル体の蒸留塔に
も同様に適用できる。
【0066】本発明によれば、蒸留塔スタート時の重合
防止し、爆発燃焼を確実に回避し、安定的にスタートす
る方法として、きわめて工業的価値が高いものである。
【0067】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明する。
【0068】(実施例1)図4に示す内径1500m
m、段数50段のステンレス鋼製(SUS316)のシ
ーブトレーを内装した蒸留塔を用いた。塔頂部に取り出
し口および還流液導入管、塔中央部に原料となる処理液
が供給される導入配管、塔底部に処理液が循環する循環
配管と次工程への移送配管と送液用ポンプとストレーナ
ーを配設した。塔底部には自然循環型で流体が管側を通
過するリボイラー(竪型多管式)を配設した。
【0069】以下の方法で蒸留塔をスタートした。但
し、通常運転時、蒸留塔で発生するアクリル酸の蒸発蒸
気量を約5000kg/hとし、還流比R/D=0.
5、濃縮倍率F/B=5に設定した。
【0070】(a)塔内分子状酸素含有ガス濃度を7容
量%とした。
【0071】(b)塔頂圧力を47hPaに設定した。
【0072】(c)塔底に5m3の液量を供給し、かつ
フェノチアジンを50kgを供給した。なお、塔内重合
防止総濃度は1質量%であり、液組成はアクリル酸98
質量%、アクリル酸二量体2質量%とした。
【0073】(d)リボイラーに蒸気を供給して昇温を
開始した。
【0074】(e)還流液を設定1667kg/hまで
負荷を上げて、全還流運転を行った。
【0075】(f)全還流運転が安定確認後、原料液を
供給した。該原料液には濃度0.2質量%でフェノチア
ジンを含ませた。
【0076】(g)留出液量が増量し始め、留出液の抜
き出しを開始した。
【0077】(h)塔底温度が設定温度90℃以上にな
り、塔底液の抜き出しを開始した。
【0078】(i)全て設定量(原料液4167kg/
h、還流液1667kg/h、留出液3334kg/
h、塔底抜きだし833kg/h)まで供給した。
【0079】(j)分子状酸化含有ガス10Nm3/h
を供給し、通常運転を行った。
【0080】上記蒸留塔のスタートアップ中、塔内温度
および塔内圧力の異常はなく、安定した状態が得られ
た。また、停止して内部点検を行ったところ、塔底のス
トレーナー内に僅かに重合物が付着していた。また、塔
内にはトレー上に約0.5kgの重合物が検出された。
塔底部、ポンプ、リボイラー等には重合物は検出されな
かった。重合物は洗浄操作により除去した。結果を表1
に示す。なお、表1の判定基準は,以下に従った。
【0081】 ○:蒸留塔スタート時、問題無し。総重量物量1kg以
下で、リボイラー閉塞物無し、 △:蒸留塔スタート時、塔底温度/圧力等上昇傾向ある
が運転可能で、総重合物量15kg未満、リボイラー閉
塞物有り、 ×:蒸留塔スタート時、塔底温度/圧力等上昇傾向有
り、運転不可能で、総重合物量15kg以上、リボイラ
ー閉塞物有り、とした。
【0082】(実施例2)実施例1に対し、フェノチア
ジン50kgを塔底温度45℃(外気温度20℃)で供
給した以外は、他の条件と同一にしてスタートした。
【0083】蒸留塔のスタートアップ中、塔底温度およ
び塔底圧力がわずかに上昇したが、ほぼ安定した状態が
得られた。また、停止して内部点検を行ったところ、ス
トレーナー内に約2kg、塔底部およびトレー上に約3
kg、ポンプに僅かの重合物が検出された。リボイラー
においては、管全数300本の1本が閉塞していた。重
合物は洗浄により除去した。結果を表1に示す。
【0084】(実施例3)実施例2に対して、フェノチ
アジンを25kg(塔内重合防止剤総濃度0.5質量
%)を塔底温度45℃(外気温度20℃)で供給した以
外は、他の条件を同一にしてスタートした。なお、定常
状態の重合防止剤濃度は1質量%である。
【0085】蒸留塔のスタートアップ中、塔底温度およ
び塔底圧力が上昇し、ポンプ吐出圧力の振れが若干あっ
たが、ほぼ安定した状態が得られた。また、停止して内
部点検を行ったところ、ストレーナー内に約5kg、塔
底部に約3kg、トレー上に約5kg、ポンプに僅かの
重合物が検出された。リボイラーにおいては、管全数3
00本の3本が閉塞していた。重合物は洗浄操作により
除去した。結果を表1に示す。
【0086】(実施例4)実施例1において、塔頂温度
50℃以上で分子状酸素含有ガス10Nm3/h供給し
た以外は、他の要件を同一にしてスタートした。
【0087】蒸留塔のスタートアップ中、塔内温度およ
び塔内圧力の異常はなく、ストレーナー内に重合物はな
く、トレー上に重合物が僅かに検出された。塔底部、ポ
ンプ、リボイラーなどには重合物は検出されなかった。
重合物は洗浄操作により除去した。結果を表1に示す。
【0088】(実施例5)実施例1において、蒸気供給
前に還流液を設定1667kg/h供給した以外は、他
の要件を同一にしてスタートした。
【0089】蒸留塔のスタートアップ中、塔内温度およ
び塔内圧力の異常はなく安定した状態が得られた。ま
た、停止して内部点検を行ったところ、ストレーナー内
に重合物はなく、トレー上に重合物が僅かに検出され
た。塔底部、ポンプ、リボイラーなどには重合物は検出
されなかった。重合物は洗浄操作により除去した。結果
を表1に示す。
【0090】(比較例1)上記実施例1に対し、フェノ
チアジンの供給なしで初期液のみ供給して実施した。
【0091】塔内昇温開始後、塔底温度および塔底圧力
が上昇し、キャビテーションを発生してポンプが停止し
た。内部点検を行ったところ、ストレーナー内に多量の
重合物が検出された。塔底部およびトレー上に約10k
g、ポンプ内に多量の重合物が検出された。リボイラー
においては管全数300本の10本が閉塞していた。重
合物は洗浄操作により除去したが、長時間を要した。一
部洗浄溶剤で除去困難であったため、はつりで除去し
た。また、キャビテーション発生によるインペラ損傷が
あった。結果を表1に示す。
【0092】(比較例2)上記実施例4に対し、フェノ
チアジンの供給なしに初期液のみ供給して実施した。
【0093】塔内昇温開始後、塔底温度および塔底圧力
が上昇し、キャビテーションを発生してポンプが停止し
た。内部点検を行ったところ、ストレーナー内に多量の
重合物が検出された。塔底部およびトレー上に約8k
g、ポンプ内に多量の重合物が検出された。リボイラー
においては管全数300本の8本が閉塞していた。重合
物は洗浄操作により除去したが、長時間を要した。一部
洗浄溶剤で除去困難であったため、はつりで除去した。
また、キャビテーション発生によるインペラ損傷があっ
た。結果を表1に示す。
【0094】(比較例3)上記実施例5に対し、フェノ
チアジンの供給なしに初期液のみ供給して実施した。
【0095】塔内昇温開始後、塔底温度および塔底圧力
が上昇し、キャビテーションを発生してポンプが停止し
た。内部点検を行ったところ、ストレーナー内に多量の
重合物が検出された。塔底部およびトレー上に約5k
g、ポンプ内に多量の重合物が検出された。リボイラー
においては管全数300本の5本が閉塞していた。重合
物は洗浄操作により除去したが、長時間を要した。結果
を表1に示す。
【0096】(実施例6)図1に示す内径1500m
m、段数50段のステンレス鋼製(SUS316)のシ
ーブトレーを内装した蒸留塔を用いた。塔頂部に取り出
し口および還流液導入管、塔中央部に原料となる処理液
が供給される導入配管、塔底部に処理液が循環する循環
配管と次工程への移送配管と送液用ポンプとストレーナ
ーを配設した。塔底部には自然循環型で流体が管側を通
過するリボイラー(竪型多管式)を配設した。
【0097】以下の方法で蒸留塔をスタートした。但
し、通常運転時、蒸留塔で発生するアクリル酸の蒸発蒸
気量を約7000kg/hとし、還流比R/D=5、濃
縮倍率F/B=1.5に設定した。尚、共沸溶剤は、メ
チルイソブチルケトンを使用した。原料液組成は、アク
リル酸70質量%、水20質量%、酢酸10質量%とし
た。
【0098】(a)塔内分子状酸素含有ガス濃度を7容
量%とした。
【0099】(b)塔頂圧力を150hPaに設定し
た。
【0100】(c)塔底に5m3の液量を供給し、かつ
フェノチアジンを5kgを供給した。なお、塔内重合防
止総濃度は0.1質量%であり、液組成はアクリル酸9
8重量%、酢酸2質量%とした。
【0101】(d)塔底液をフィード口から供給して、
液循環1000kg/hを行った。
【0102】(e)リボイラーに蒸気を供給して昇温を
開始した。
【0103】(f)塔内温度が上昇し始め、原料液と共
沸溶剤を主成分とする還流液を供給した。該原料液に
は、フェノジアジン濃度0.03質量%、該還流液には
フェノチアジン濃度0.022質量%を含ませた。
【0104】(g)設定量(原料液2500kg/h、
還流液4167kg/h)まで供給した。
【0105】(h)留出液量が増量し始め、留出液の抜
き出しを開始した。なお、留出液を共沸溶剤相と水相と
に分離し、共沸溶剤相のみを循環使用した。
【0106】(i)塔底温度が設定温度100℃以上に
なり、塔底液の抜き出しを開始した。
【0107】(j)全て設定量(原料液2500kg/
h、還流液4167kg/h、留出液833kg/h、
塔底抜きだし1667kg/h)まで供給した。
【0108】(k)分子状酸素含有ガス10Nm3/h
を供給し、通常運転を行った。
【0109】上記蒸留塔のスタートアップ中、塔内温度
および塔内圧力の異常はなく、安定した状態が得られ
た。また、停止して内部点検を行ったところ、塔底部の
ストレーナー内に僅かに重合物が検出された。塔内には
トレー上に僅かの重合物が検出された。塔底部、ポン
プ、リボイラー等には重合物は検出されなかった。重合
物は洗浄操作により除去した。結果を表1に示す。
【0110】(比較例4)上記実施例6に対し、フェノ
チアジンの供給なしに初期液のみ供給して実施した。
【0111】塔内昇温開始後、塔底温度および塔底圧力
が上昇し、キャビテーションを発生してポンプが停止し
た。内部点検を行ったところ、ストレーナー内に多量の
重合物が検出された。塔底部およびトレー上に約8k
g、ポンプ内に多量の重合物が検出された。リボイラー
においては管全数300本の5本が閉塞していた。重合
物は洗浄操作により除去したが、長時間を要した。結果
を表1に示す。
【0112】
【表1】
【0113】
【発明の効果】本発明によれば、易重合性化合物含有溶
液を取り扱う蒸留塔の稼動開始に際して重合防止剤を該
蒸留塔の塔底液に供給した後に該蒸留塔の昇温を開始す
ることで、易重合性物質の重合を防止することができ
る。特に、蒸留塔の昇温開始前に該蒸留塔の塔頂または
塔中段から還流液を供給すると、内壁が還流液で覆われ
る結果、より効果的に易重合性物質の重合が防止でき
る。また、蒸留塔の昇温開始前に不活性ガスおよび/ま
たは分子状酸素含有ガスを塔内に供給して、塔内分子状
酸素含有ガス濃度を0.1〜9容量%とし、次いで昇温
過程で塔内易重合性化合物ガス組成が爆発上限界濃度を
越える範囲で分子状酸素含有ガスを供給することで、蒸
留塔内で発生する易重合性化合物の重合の発生や重合物
付着による閉塞を防止すると共に、蒸留塔内の爆発範囲
を回避して安全性に優れるスタートアップ方法となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 共沸溶剤を使用して蒸留操作を行う際の本発
明のスタートアップ時の液の流れを示す図である。
【図2】 アクリル酸を蒸留する際に、蒸留塔における
アクリル酸と分子状酸素含有ガスと関係における爆発範
囲を示す図であり、斜線内は爆発範囲を示す。
【図3】 メタクリル酸を蒸留する際に、蒸留塔におけ
るメタクリル酸と分子状酸素含有ガスと関係における爆
発範囲を示す図であり、斜線内は爆発範囲を示す。
【図4】 コンデンサーからの還流液を全還流する場合
の本発明のスタートアップ時の液の流れを示す図であ
る。
【図5】 従来のスタートアップ時の液の流れを示す図
である。
【符号の説明】
1・・・蒸留塔 2・・・原料供給口 3・・・リボイラー 4・・・コンデンサー 5、6・・・ポンプ F・・・原料液 R・・・還流液 D・・・留出液 S・・・蒸気 B・・・塔底液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中原 整 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の 1 株式会社日本触媒内 (72)発明者 鰰田 操 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の 1 株式会社日本触媒内 Fターム(参考) 4D076 AA07 AA16 AA22 AA24 BB03 BB08 EA04Z EA10Z EA12Z EA20Z EA49 FA13 GA01 GA03 JA01 JA02 4H006 AA02 AD11 AD12 AD41 BA52 BA94 BB16 BB61 BC10 BC11 BC18 BC34 BS10

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 易重合性化合物含有溶液を取り扱う蒸留
    塔の稼動開始に際して、重合防止剤を該蒸留塔の塔底液
    に供給し、次いで該蒸留塔の昇温を開始することを特徴
    とする蒸留塔のスタートアップ方法。
  2. 【請求項2】 該重合防止剤が、定常状態における該蒸
    留塔の塔底液の重合防止剤濃度と同等またはそれ以上の
    濃度の重合防止剤であることを特徴とする、請求項1記
    載の蒸留塔のスタートアップ方法。
  3. 【請求項3】 塔底温度が外気温度より20℃以内に温
    度が上昇した際に、重合防止剤を該蒸留塔の塔底液に供
    給することを特徴とする、請求項1または2記載の蒸留
    塔のスタートアップ方法。
  4. 【請求項4】 更に、該蒸留塔の昇温開始前に該蒸留塔
    の塔頂または塔中段から還流液を供給することを特徴と
    する請求項1〜3のいずれかに記載の蒸留塔のスタート
    アップ方法。
  5. 【請求項5】 更に、該蒸留塔の昇温開始前に不活性ガ
    スおよび/または分子状酸素含有ガスを塔内に供給し
    て、塔内分子状酸素含有ガス濃度を0.1〜9容量%と
    し、次いで昇温過程で塔内易重合性化合物ガス組成が爆
    発上限界濃度を越える範囲で分子状酸素含有ガスを供給
    することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の
    蒸留塔のスタートアップ方法。
  6. 【請求項6】 該蒸留塔において、塔底液を該蒸留塔の
    塔中段に循環することを特徴とする請求項1〜5のいず
    れかに記載の蒸留塔のスタートアップ方法。
  7. 【請求項7】 易重合性化合物含有溶液が、(メタ)ア
    クリル酸および/またはそのエステルから選ばれる少な
    くとも1種を含有するものである、請求項1〜6のいず
    れか記載の蒸留塔のスタートアップ方法。
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