JP2005170931A - 易重合性化合物用の容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 リボイラで加熱された液及びガスの塔内への流入による重合物の形成を簡易な機構にて抑制し、これにより塔設備を長期にわたって安定に連続操業可能とする。
【解決手段】 塔本体1の側壁に設けられた供給口1aからリボイラ5で加熱された塔底液を供給するアクリル酸の分解反応装置や蒸留装置において、供給口1aの上方に天板12aを設け、塔底液の供給方向への飛散を防止する衝突板12bを天板12aから垂設する。天板12aは、天板12aの上面が基端から先端にかけて下方に傾斜するように設けられる。
【選択図】図1
【解決手段】 塔本体1の側壁に設けられた供給口1aからリボイラ5で加熱された塔底液を供給するアクリル酸の分解反応装置や蒸留装置において、供給口1aの上方に天板12aを設け、塔底液の供給方向への飛散を防止する衝突板12bを天板12aから垂設する。天板12aは、天板12aの上面が基端から先端にかけて下方に傾斜するように設けられる。
【選択図】図1
Description
本発明は、易重合性化合物の蒸留塔、蒸発塔或いは高沸物分解反応塔等の塔設備及びその周辺機器に関するものであり、詳しくはリボイラを有する塔設備及びその周辺機器に関する。
(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等の易重合性化合物の製造設備では、粗(メタ)アクリル酸や粗(メタ)アクリル酸エステルの蒸留塔、或いは高沸物を分解して(メタ)アクリル酸等を回収するための分解反応塔等の塔設備が用いられている。このような塔設備にあっては、塔底液の一部をリボイラに導入して加熱した後、塔に戻すことがある。リボイラから塔へ易重合性化合物の含有液を戻すために、塔の側壁の開口部から加熱された含有液を塔へ供給するノズル、前記含有液の供給方向への飛散を防止する衝突板、及び前記含有液の上方への飛散を防止する天板が設けられることがある。
このような構成の塔設備では、易重合性化合物の含有液が、塔の側壁からの供給、天板上方からの液滴の付着や滴下等により、天板の上面に滞留する。この滞留した液が、リボイラで加熱された液、及びガスにより加熱され、重合物を発生させることがある。
上記の重合物の発生に対する対策として、液の滞留を防ぐために天板に一以上の孔を設置し、天板上部の液を落下させる方法が行われることがある。ところが、リボイラで加熱された液及びガスが、この孔を通過することになり、この抵抗によって十分に天板上部の液を落下させることができない。このため十分な落下を目的として孔を多く設置すると、リボイラで加熱された液及びガスがこの孔を通過し、天板を設置する目的(リボイラで加熱された液及びガスの上部流出を天板により抑制する)の達成が不十分となる。
本発明は、上記の問題点を解決し、リボイラで加熱された液及びガスの塔内への流入による重合物の形成を簡易な機構にて抑制することができ、これにより塔設備を長期にわたって安定に連続操業可能とすることを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、易重合性化合物を処理するための塔設備において、リボイラから供給される易重合性化合物の含有液の上方への飛散を防止する天板を、先端が下方に傾斜するように設けることにより、前述した目的を達成することができることを見いだした。
即ち本発明は、側壁と、前記側壁に開口し、易重合性化合物を含有する含有液を供給するための供給口とを有し、前記供給口から供給される前記含有液を収容する収容部と、前記供給口の上方の前記側壁から突出して設けられ、前記供給口からの前記含有液の上方への飛散を防止する天板と、前記供給口から離間して設けられ、前記供給口からの前記含有液の供給方向への飛散を防止する衝突板とを有し、前記天板の前記側壁側を基端とし、前記天板の突出した側を先端としたときに、前記天板の上面が基端から先端にかけて下方に傾斜していることを特徴とする易重合性化合物用の容器である。
かかる本発明にあっては、天板の傾斜により、天板上部に滞留する液が無くなるため、重合物の発生が防止されるものである。
本発明によると、天板の上面が傾くように天板を設けるという簡易な機構で、易重合性化合物の含有液に起因する天板上面での重合物の発生が抑制される。したがって、重合物による閉塞等の支障が生じないので、易重合性化合物の製造や精製等の易重合性化合物の取り扱いにおいて、長期にわたり安定して連続操業させることが可能な易重合性化合物用の容器を提供することができる。
本発明では、易重合性化合物の含有液である塔底液をリボイラで加熱し循環させる蒸留塔、蒸発塔、又は分解反応塔等の塔設備に適用すると、前記重合物によるリボイラの閉塞が防止され、塔設備を長期にわたり連続して安定に運転することが可能となる。
特に本発明は、(メタ)アクリル酸(アクリル酸又はメタクリル酸)やそのエステル類の製造や精製に適用すると、より一層効果的である。
本発明の易重合性化合物用の容器は、側壁と、側壁に開口し、易重合性化合物を含有する含有液を供給するための供給口とを有し、供給口から供給される前記含有液を収容する収容部と、供給口の上方の側壁から突出して設けられ、供給口からの前記含有液の上方への飛散を防止する天板と、供給口から離間して設けられ、供給口からの前記含有液の供給方向への飛散を防止する衝突板とを有する。本発明の易重合性化合物用の容器は、前記含有液を少なくとも収容するものに適用することができる。
本発明の対象となる易重合性化合物としては、熱等によって容易に重合する化合物であれば特に限定されない。このような易重合性化合物の中でも、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらのエステルの少なくとも一種が挙げられる。アクリル酸エステル類としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ターシャリーブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸メトキシエチル等が挙げられる。メタアクリル酸エステル類としても、これらと同様な化合物を挙げることができる。
前記収容部は、側壁と、前記含有液を供給するための供給口とを有し、供給口から供給された前記含有液を収容するものであれば特に限定されない。このような収容部としては、例えば蒸留塔、蒸発塔、高沸物等の分解反応塔、及び液状の易重合性化合物を収容するための槽等が挙げられる。本発明では、前記収容部は、蒸留塔、蒸発塔、及び高沸物等の分解反応塔のいずれかであることが好ましい。
前記易重合性化合物を含有する含有液は、易重合性化合物を含有する液体であれば特に限定されない。このような前記含有液としては、例えば液状の易重合性化合物、適当な溶剤と易重合性化合物とを含む易重合性化合物の溶液等が挙げられる。前記含有物には、重合禁止剤等の、必要に応じて添加される添加物が含まれていても良い。
前記天板は、前記収容部における供給口の上方の側壁から突出して設けられる。前記天板には、供給口からの前記含有液の上方への飛散を防止し、かつ天板の側壁側を基端とし、天板の突出した側を先端としたときに、天板の上面が基端から先端にかけて下方に傾斜しているものが用いられる。このような天板には、例えば上面及び下面が平行な形状の板を用いても良いし、上面又は上面及び下面が、その断面形状における距離が一端から他端にかけて漸次縮小する楔形のような形状の部材を用いても良い。
また前記天板は、天板の上面が中央部から天板の少なくとも一方の側端にかけて下方に傾斜しているものであっても良い。このような天板としては、例えば天板の突出方向に対する横断面形状が上に凸の弧となるように設けられた半円筒状の天板や、天板の一側端から他側端にかけて下方に傾斜するように設けられた平板等が挙げられる。このような天板は、基端から先端にかけて下方に傾斜していても良いし、基端から先端にかけて下方に傾斜していなくても良い。
本発明に用いられる前記天板は、前述したような条件を満たすものであれば、その形状や数量は特に限定されない。また前記天板には、天板上面の易重合性化合物を早急に落とすための孔や溝等を、数量や形状に限定なく設けることができる。
前記天板は、供給口からの前記含有液の上方への飛散の防止、及び天板上面での前記含有液の滞留の防止等の観点から、天板の上面と前記側壁とがなす角度が91〜135°であることが好ましい。前記天板の傾斜角が91°よりも小さいと、天板の上面での前記含有液の滞留の防止が不十分となることがあり、易重合性化合物の重合物が発生することがある。また、前記天板の傾斜角が135°よりも大きいと、前記含有液の上方への飛散の防止が不十分であったり、前記含有液の収容部への供給に悪影響を及ぼすことがある。
前記衝突板は、前記収容部における供給口から離間して設けられ、供給口からの前記含有液の供給方向への飛散を防止するものであれば、その形状や数量は特に限定されない。前記衝突板は、前記天板から垂設しても良いし、前記側壁から突出する支持部材によって支持されていても良い。
本発明の易重合性化合物用の容器は、前記収容部に収容された前記含有液を収容部から抜き出し前記供給口から収容部に戻す含有液循環流路と、この含有液循環流路の前記含有液を加熱するリボイラとを有することが、前述した蒸留塔、蒸発塔や高沸物の分解反応塔に本発明を適用するのに好ましい。
なお、本発明における高沸物とは、易重合性化合物を含有する組成物であって、易重合性化合物の沸点よりも高い沸点を有する物を言う。このような高沸物としては、例えば後述するミカエル付加物や塔底液、残渣等が挙げられる。
前記含有液循環流路は、収容部の底部に開口し、この底部開口部と前記供給口とを接続する前記含有液用の流路であっても良いし、収容部から前記含有液を排出するための抜き出しラインと前記供給口とを接続し、前記抜き出しライン中の前記含有液の一部を前記供給口から収容部に戻すための流路であっても良い。
前記リボイラは、前記含有液循環流路に導入された前記含有液を所望の温度に加熱することができる手段である。このような手段であれば、前記リボイラとしては特に限定されない。リボイラとしては、管側に前記含有液が流れ、胴側に熱媒が流れる竪型固定管板式熱交換器等の熱交換器や、含有液循環流路中の前記含有液を加熱するヒータ等の公知の手段を用いることができる。前記熱交換器としては、具体的には、竪型固定管板型、横型固定管板型、U字管型、二重管型、スパイラル型、角ブロック型、プレート型、薄膜蒸発器型等が挙げられる。リボイラは、通常、各塔に付属して設けられる。リボイラは、一般には塔(収容部)内に設置される場合と塔外に設置される場合に大別されるが、本発明では、通常は塔外に設置される。
本発明では、さらに他の部材や手段を用いても良い。このような他の部材や手段としては、例えば前記供給口よりも下方に設けられ、前記供給口からの前記含有液の下方への飛散を防止する、或いは前記供給口からの前記含有液の下方への流速を小さくする底板や、
前記供給口の側方に設けられ、前記供給口からの前記含有液の水平方向への飛散を防止する側板、前記含有液循環流路に設けられるポンプ等の送液手段、流速計や流量計等の流量検出手段等が挙げられる。このような他の部材や手段は、収容部の形態や本発明の易重合性化合物用の容器の構成、易重合性化合物の種類、前記含有液の組成等の諸条件に応じて適宜設けることができる。
前記供給口の側方に設けられ、前記供給口からの前記含有液の水平方向への飛散を防止する側板、前記含有液循環流路に設けられるポンプ等の送液手段、流速計や流量計等の流量検出手段等が挙げられる。このような他の部材や手段は、収容部の形態や本発明の易重合性化合物用の容器の構成、易重合性化合物の種類、前記含有液の組成等の諸条件に応じて適宜設けることができる。
例えば前記収容部が蒸留塔であれば、この蒸留塔には、化学品プラントで一般に使用されるものを利用することができる。蒸留塔の塔内には、トレイ、或いは充填物が設置される。具体的には、トレイとしては、ダウンカマーのある泡鐘トレイ、多孔板トレイ、バルブトレイ、スーパーフラックトレイ、マックスフラクストレイ等、ダウンカマーの無いデュアルフロートレイ等がある。
充填物としては、規則充填物として、スルザー・ブラザース(株)製のスルザーパック、住友重機械工業(株)製の住友スルザーパッキング、住友重機械工業(株)製のメラパック、グリッチ(株)製のジェムパック、モンツ(株)製のモンツパック、東京特殊金網(株)製のグッドロールパッキング、日本ガイシ(株)製のハニカムパック、ナガオカ(株)製のインパルスパッキング、三菱化学エンジニアリング(株)製のMCパック等がある。不規則充填物としては、ノートン(株)製のインタロックスサドル、日鉄化工機(株)製のテラレット、BASF(株)製のポールリング、マストランスファー(株)製のカスケード・ミニ・リング、日揮(株)製のフレキシリング等がある。
本発明では、前記トレイ及び前記充填物の種類に限定されることはなく、また一般に使用されるように、トレイ及び充填物のそれぞれにおいて、一種類のみを用いても良いし、二種類以上を組み合わせて用いても良い。
また例えば前記収容部が蒸発塔であれば、この蒸発塔には、化学品プラントで一般に使用されるものを利用することができる。すなわち前記蒸発塔は、蒸発缶とリボイラを備え、必要によっては蒸発したガスを凝縮する冷却熱交換器、凝縮液を貯蔵する槽、凝縮液を送出するポンプ等で構成されるものである。前記蒸発塔の構成は、本発明では特に制限されない。また前記分解反応塔も、一般には前記蒸発塔と同様に構成されるが、塔内にトレイ或いは充填物が設けられる場合と設けられない場合とがあり、本発明ではそのいずれであっても良い。
本発明に用いられる各塔の各種ノズル、塔本体、リボイラ、配管、天板及び衝突板等の材料は、取り扱う易重合性化合物とその温度条件により選定される。このような材料としては、例えば、易重合性物質として代表的な(メタ)アクリル酸、及び(メタ)アクリル酸エステル類の製造や精製等の取り扱い(以下、単に「製造」ともいう)においては、これに限定されないが、ステンレススチール類が良く使用される。このような材料としては、例えばSUS304、SUS304L、SUS316、SUS316L、SUS317、SUS317L、SUS327、或いはハステロイ類が使用される。前記材料は、耐食性の観点から、それぞれの液物性に対応して選定される。
本発明の易重合性化合物用の容器は、易重合性化合物の製造における一部の工程又は全部の工程に利用することができる。易重合性化合物であるアクリル酸の精製品を製造する工程としては、例えば、次の(1)〜(3)等が挙げられる。
(1)プロパン、プロピレン及び/又はアクロレインを接触気相酸化してアクリル酸を製造する酸化工程、酸化工程で生成したアクリル酸含有ガスを水と接触させてアクリル酸をアクリル酸水溶液として捕集する捕集工程、この工程で得られたアクリル酸水溶液から適当な抽出溶剤を用いてアクリル酸を抽出する抽出工程、得られた抽出液からアクリル酸
と溶剤とを分離する分離工程、分離されたアクリル酸を蒸留等によって精製する精製工程、これらの工程から回収されるアクリル酸ミカエル付加物、及び各工程で用いられた重合禁止剤を含む高沸液(液状の高沸物)を原料として分解反応塔に供給して有価物を回収する回収工程、及び回収した有価物を捕集工程以降のいずれかの工程に供給する再利用工程を含む方法。
と溶剤とを分離する分離工程、分離されたアクリル酸を蒸留等によって精製する精製工程、これらの工程から回収されるアクリル酸ミカエル付加物、及び各工程で用いられた重合禁止剤を含む高沸液(液状の高沸物)を原料として分解反応塔に供給して有価物を回収する回収工程、及び回収した有価物を捕集工程以降のいずれかの工程に供給する再利用工程を含む方法。
(2)プロパン、プロピレン及び/又はアクロレインを接触気相酸化してアクリル酸を製造する酸化工程、酸化工程で生成したアクリル酸含有ガスを水と接触させてアクリル酸をアクリル酸水溶液として捕集する捕集工程、この工程で得られたアクリル酸水溶液を共沸分離塔内で、共沸溶剤の存在下に蒸留して塔底から粗アクリル酸を取り出す共沸分離工程、取り出されたアクリル酸から酢酸を除去するための酢酸分離工程、高沸点不純物を除去するための精製工程、これらの工程から回収されるアクリル酸ミカエル付加物、及び各工程で用いられた重合禁止剤を含む高沸液を原料として分解反応塔に供給して有価物を回収する回収工程、及び回収した有価物を捕集工程以降のいずれかの工程に供給する再利用工程を含む方法。
(3)プロパン、プロピレン及び/又はアクロレインを接触気相酸化してアクリル酸を製造する酸化工程、酸化工程で生成したアクリル酸含有ガスを有機溶媒と接触させてアクリル酸をアクリル酸有機溶媒溶液として捕集し、水、酢酸等を同時に除去する捕集/分離工程、このアクリル酸有機溶媒溶液からアクリル酸を取り出す分離工程、これらの工程で用いられた重合禁止剤、有機溶媒、及びこれらの工程から回収されたアクリル酸ミカエル付加物を含む高沸液を原料として分解反応塔に供給して有価物を回収する回収工程、回収した有価物を捕集/分離工程以降のいずれかの工程に供給する再利用工程、及び回収された前記有機溶媒の一部又は全部を精製する溶媒精製工程を含む方法。
アクリル酸エステルを製造する方法は、例えば、アクリル酸とアルコールとを、有機酸或いはカチオン性イオン交換樹脂等を触媒として反応させるエステル化反応工程、及びこのエステル化反応で得られた粗アクリル酸エステル液を濃縮するための単位操作として抽出、蒸発、蒸留を行う濃縮工程、濃縮工程で得られた濃縮液中のアクリル酸エステルを精留塔で精製する精製工程、及び精製塔の塔底液に含まれるアクリル酸エステル類、β−アクリロキシプロピオン酸エステル類、β−アルコキシプロピオン酸エステル類、β−ヒドロキシプロピオン酸エステル類を主成分としたミカエル付加物、及び前述した工程で用いられた重合禁止剤を含む高沸液を分解反応塔に供給するか、或いはプロセス内に戻すことで有価物を回収する回収工程を含む。前記濃縮工程における各単位操作は、エステル化反応のアクリル酸とアルコールの原料比、エステル化反応に用いる触媒種、或いは原料、反応副生成物、アクリル酸エステル類それぞれの物性等により適宜選定される。
アルコール種によっては、各種工程のいずれかにおいてアクリル酸エステル製品の精製塔の塔底以外から得られるアクリル酸、アクリル酸二量体(以下、ダイマー)、アクリル酸三量体(以下、トリマー)、β−アルコキシプロピオン酸類、β−アルコキシプロピオン酸エステル類を主成分とし、製造工程で用いられた重合禁止剤を含んだ高沸液もある。このような高沸液からも、ミカエル付加物を含む高沸液として分解反応塔に供給することにより有価物を回収することができる。回収された有価物は、エステル化反応工程もしくは濃縮工程等の適当な工程に供給することができる。
上述のアクリル酸又はアクリル酸エステルのミカエル付加物とは、アクリル酸又はアクリル酸エステルの原料のミカエル縮合による生成物である。このようなミカエル付加物としては、例えばアクリル酸を製造する場合のミカエル付加物として、アクリル酸二量体(以下、ダイマー)、アクリル酸三量体(以下、トリマー)、アクリル酸四量体(以下、テトラマー)等が挙げられる。またアクリル酸エステルを製造する場合のミカエル付加物と
して、炭素数が2〜8のアルキルエステル又はシクロアルキルエステル等の上述のアクリル酸エステルへのアクリル酸のミカエル付加物、具体的にはβ−アクリロキシプロピオン酸エステル、アルコールのミカエル付加物、具体的にはβ−アルコキシプロピオン酸エステル、ダイマー、トリマー、テトラマー、トリマーのエステル体、テトラマーのエステル体、β−ヒドロキシプロピオン酸、β−ヒドロキシプロピオン酸エステル類等が挙げられる。
して、炭素数が2〜8のアルキルエステル又はシクロアルキルエステル等の上述のアクリル酸エステルへのアクリル酸のミカエル付加物、具体的にはβ−アクリロキシプロピオン酸エステル、アルコールのミカエル付加物、具体的にはβ−アルコキシプロピオン酸エステル、ダイマー、トリマー、テトラマー、トリマーのエステル体、テトラマーのエステル体、β−ヒドロキシプロピオン酸、β−ヒドロキシプロピオン酸エステル類等が挙げられる。
また、アクリル酸及びアクリル酸エステル類等の易重合性化合物の製造においては、前述の通り、製造中の重合物の発生を抑制するために重合禁止剤が使用される。
本発明で用いられる重合禁止剤として、具体的にはアクリル酸銅、ジチオカルバミン酸銅、フェノール化合物、フェノチアジン化合物等が挙げられる。ジチオカルバミン酸銅としては、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジプロピルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅等のジアルキルジチオカルバミン酸銅、エチレンジチオカルバミン酸銅、テトラメチレンジチオカルバミン酸銅、ペンタメチレンジチオカルバミン酸銅、ヘキサメチレンジチオカルバミン酸銅等の環状アルキレンジチオカルバミン酸銅、オキシジエチレンジチオカルバミン酸銅等の環状オキシジアルキレンジチオカルバミン酸銅等が挙げられる。フェノール化合物としては、ハイドロキノン、メトキノン、ピロガロール、カテコール、レゾルシン、フェノール、又はクレゾール等が挙げられる。フェノチアジン化合物としては、フェノチアジン、ビス−(α−メチルベンジル)フェノチアジン、3,7−ジオクチルフェノチアジン、ビス−(α−ジメチルベンジル)フェノチアジン等が挙げられる。
本発明では、上記以外の物質もプロセスによっては含まれる場合があるが、その種類は、本発明における効果を損なわない範囲で任意に選択することができる。
以下に、本発明をさらに詳しく説明する。以下、図面を参照して実施の形態について説明する。図1、図3、及び図4はそれぞれ実施の形態に係る易重合性化合物用の塔設備を示す塔下部付近の縦断面図、図5及び図6はこの塔設備を採用した蒸留装置及び分解反応装置の系統図である。まず、前記蒸留装置や前記分解反応装置の構成について説明する。
前記蒸留装置はアクリル酸の蒸留装置であり、図5に示すように、蒸留塔としての塔本体1と、塔本体1から留出したアクリル酸の蒸気を冷却するコンデンサ20と、コンデンサ20で凝縮されたアクリル酸を収容する還流槽21と、還流槽21のガス成分をさらに冷却するベントガスコンデンサ25と、蒸留雰囲気を減圧下とするための真空設備26と、塔本体1の塔底液を抜き出す抜き出しラインと、抜き出しラインに抜き出された塔底液の一部を塔本体1に戻す循環流路と、この循環流路の塔底液を加熱するためのリボイラ5とを有する。
還流槽21には、ポンプ22が接続され、ポンプ22には、塔本体1の塔頂部に接続される配管23が接続され、配管23からは、配管24が分岐している。
前記抜き出しラインは、塔本体1の底部に接続されている抜き出しノズル2と、抜き出しノズル2に接続されている配管11と、配管11に接続されているポンプ12と、ポンプ12に接続されている配管13とによって構成されている。
前記循環流路は、抜き出しノズル2に接続され、抜き出しノズル2に抜き出された塔底液の少なくとも一部が導入される導入ノズル3と、導入ノズル3に接続されている配管4と、配管4に接続されているリボイラ5と、リボイラ5に接続されている配管6と、配管6と塔本体1の側壁に開口する開口部とを接続し、配管6からの塔底液を塔本体1に供給
するノズル7とによって構成されている。
するノズル7とによって構成されている。
図5に示す蒸留装置では、粗アクリル酸は、この塔本体1に導入されて蒸留され、塔底液の一部は抜き出しノズル2、導入ノズル3、配管4、リボイラ5、配管6、ノズル7の順に循環する。また、塔底液は、抜き出しノズル2、配管11、ポンプ12、配管13を介して残渣として取り出される。
塔頂からの留出分は、配管19、凝縮用コンデンサ20を介して還流槽21に導入される。還流槽21内のアクリル酸の一部はポンプ22、配管23を介して塔頂に戻される。アクリル酸の残部は、この配管23から分岐した配管24を介して精製アクリル酸として取り出される。還流槽21内のガスは、ベントガスコンデンサ25で再度冷却され、凝縮したアクリル酸は還流槽21に戻り、ガス成分は真空設備26を経てベントガスとして取り出される。
図5に示すアクリル酸の蒸留装置では、塔底温度は60〜120℃、特に70〜100℃が好ましく、圧力は1〜50kPa、特に2〜20kPaが好ましい。
また、前記分解反応装置は、アクリル酸又はアクリル酸エステル製造工程で生じる高沸物の分解反応装置であり、図6に示すように、高沸物の分解反応塔としての塔本体1と、塔本体1から留出したアクリル酸又はアクリル酸エステルの蒸気を冷却する塔頂ガス冷却熱交換器30と、塔頂ガス冷却熱交換器30で凝縮されたアクリル酸又はアクリル酸エステルを収容する液槽31と、液槽31のガス成分をさらに冷却するベントガス冷却熱交換器35と、塔本体1の塔底液を抜き出す抜き出しラインと、抜き出しラインに抜き出された塔底液の一部を塔本体1に戻す循環流路と、この循環流路の塔底液を加熱するためのリボイラ5とを有する。
前記液槽31には、ポンプ32が接続され、ポンプ32には、配管33が接続され、配管33からは、塔頂ガス冷却熱交換器30に接続される配管34が分岐している。
前記抜き出しラインは、塔本体1の底部に接続されている抜き出しノズル2と、抜き出しノズル2に接続されている配管11と、配管11に接続されているポンプ12と、ポンプ12に接続されている配管13とによって構成されている。
前記循環流路は、抜き出しノズル2に接続され、抜き出しノズル2に抜き出された塔底液の少なくとも一部が導入される導入ノズル3と、導入ノズル3に接続されている配管4と、配管4に接続されているポンプ40と、ポンプ40に接続されている配管41と、配管41に接続されているリボイラ5と、リボイラ5に接続されている配管6と、配管6と塔本体1の側壁に開口する開口部とを接続し、配管6からの塔底液を塔本体1に供給するノズル7とによって構成されている。
前記高沸物は塔本体1に導入され、分解反応に供される。塔底液の一部は、抜き出しノズル2、導入ノズル3、配管4、ポンプ40、リボイラ5、配管6、ノズル7を介して塔本体1に戻される。塔底液は、また、抜き出しノズル2、配管11、ポンプ12、配管13を介して取り出される。
ガス状分解生成物は、塔頂から配管29、塔頂ガス冷却熱交換器30を介して液槽31に導入される。液槽31内の液は、ポンプ32、配管33を介して回収液として取り出される。なお、配管33から分岐した配管34を介して、液槽31に収容された液の一部が塔頂ガス冷却熱交換器30に戻される。液槽31内のガスは、ベントガス冷却熱交換器35で冷却され、凝縮液は液槽31に戻され、未凝縮ガスは配管36を介して取り出される
。
。
図6に示されるアクリル酸又はアクリル酸エステルの分解反応装置では、分解反応温度は110〜250℃、特に120〜230℃が好ましく、分解反応時間は0.5〜50時間(分解温度が低目のときは10〜50時間、高目のときは0.5〜10時間)が好ましく、圧力は減圧、常圧のいずれでもよい。
なお、本図に示す通り、本発明においては、前記循環流路におけるリボイラ5の上流側にポンプを設けてもよい。また、分解反応装置には、真空設備を一般には設けないが、高沸物の種類や組成等の条件によっては、例えば前記蒸留装置と同様に、ベントガス冷却熱交換器35の下流側に真空設備をさらに設けても良い。
図5や図6における前記抜き出しラインを構成する配管2及び配管11は、図1に示すように、フランジ2aとフランジ11aとを連結することによって接続されている。また、図5や図6における前記循環流路を構成する配管3、4、6、及びノズル7も、図1に示すように、フランジ3aと4aとを連結し、またフランジ6aとフランジ7aとを連結することによって接続されている。
塔本体1には、図1に示すように、側壁と、この側壁に開口し、ノズル7からの塔底液を塔本体1に供給するための供給口1aと、供給口1aの上方の前記側壁から突出して設けられ、供給口1aからの塔底液の上方への飛散を防止する天板12aと、供給口1aから離間して設けられ、供給口1aからの塔底液の供給方向(側壁から塔本体1の中心に向かう方向)への飛散を防止する衝突板12bとが設けられている。
天板12aは、厚さが均一な板状の部材で構成されている。天板12aは、図1に示すように、天板12aの突出方向と前記壁面とがなす角の角度(伏角)θが91゜以上となるように、基端から先端にかけて下方に傾斜して設けられている。前記伏角は、好ましくは91〜135°であり、更に好ましくは95〜135°である。なお、天板12aは厚さが均一な板状部材であるので、天板12aの上面と前記壁面とがなす角度は前記伏角の角度と同じである。また天板12aには、天板12aの上面に滞留する液の落下を加速させるために、孔を設置することが可能である。この孔は設置しなくても良い。
衝突板12bも、厚さが均一な板状の部材で構成されている。衝突板12bは、図1に示すように、天板12aの先端縁から下方に向けて垂設されている。衝突板12bの下方への延出長さは、特に限定されないが、供給口1aの下端縁と同じかそれ以上まで下方に延出していることが好ましく、供給口1aの径と同じ長さ以上であることがより好ましい。なお、衝突板12bは、前記壁面に対して平行に設けても良いし、例えば前記側壁と衝突板12bとの距離が下方に向けて漸次増加するように、壁面に対して適当な角度を有して設けても良い。
天板12a及び衝突板12bの幅Aは、図2に示すように、供給口1aの直径と同じかそれ以上であることが好ましい。天板12aの突出長さBは特に制約は無いが、衝突板12bの開放面積が供給口1aの断面積以上になるよう適宜設定されることが好ましい。
なお、前記開放面積とは、衝突板12bの幅(図2中であればA)と、前記壁面から衝突板12bまでの距離との積で表される。なお、衝突板12bの厚さが開放面積に対して十分に小さい場合は、開放面積は図2中のAとBとの積によって表しても良い。
リボイラ5で加熱された塔底液は、ノズル7から供給口1aを介して塔本体1に供給される。供給口1aから供給される塔底液は、天板12aによって上方への流れや飛散が規
制され、衝突板12bによって塔本体1の中心方向の流れや飛散が規制される。したがって供給口1aから供給される塔底液は、流量の多少に関わらず下方に向けて流れる。したがって、塔本体1の側壁や、必要に応じて設けられるトレイや充填物等の塔本体1内部への塔底液の飛散を防止することができる。
制され、衝突板12bによって塔本体1の中心方向の流れや飛散が規制される。したがって供給口1aから供給される塔底液は、流量の多少に関わらず下方に向けて流れる。したがって、塔本体1の側壁や、必要に応じて設けられるトレイや充填物等の塔本体1内部への塔底液の飛散を防止することができる。
また、天板12aが基端から先端にかけて下方に傾斜して設けられていることから、前記塔底液や塔本体1中のアクリル酸又はアクリル酸エステル及びこれらの原料や副生物等の易重合性化合物の凝縮液が天板12aの上面に付着しても、天板12aから流れ落ちる。したがって、天板12aの上面における前記凝縮液の滞留が防止され、前記凝縮液からの重合物の発生を防止することができる。
なお、塔本体1において、場合によっては衝突板12bに加え、例えば天板12aの側端縁から下方に垂設される、供給口1aからの水平方向への前記塔底液の飛散を防止する垂直板を左右にさらに設置したり、または下部に底板を設置する場合がある。底板に関しては、天板12aと同様に傾斜をつけたり、孔を設置したりすることが可能である。前記底板は、リボイラからは大量の塔底液が循環される場合では、塔底液の供給量が多く、底板の上面での塔底液の滞留が生じないことから、水平であっても良いし、或いは孔を設置しなくても良い。また、天板12aは、塔本体1の側壁に沿って周設しても良く、その設置長さは特に限定されない。
また、図5や図6では、図1に示す塔本体1、前記抜き出しライン及び前記循環流路を採用しているが、図3又は図4に示す塔本体1、前記抜き出しライン及び前記循環流路を採用しても良い。
図3に示す塔本体1及びその周辺の構造は、導入ノズル3が塔本体1の底部周辺に接続されており、循環させる塔底液を塔本体1から直接導入する点、及び抜き出しノズル2は分岐しておらず配管11とのみ接続されている点で、図1に示す塔本体1及びその周辺の構造とは異なるが、他は図1に示す構造と同じである。
また、図4に示す塔本体1及びその周辺の構造は、塔本体1の下端部に下方に膨出するポット部10を備えており、導入ノズル3はポット部10の側面においてポット部10と接続されており、循環させる塔底液をポット部10から導入する点、及び抜き出しノズル2はポット部10の底部に接続されており、かつ分岐しておらず配管11と接続されている点で、図1に示す塔本体1及びその周辺の構造とは異なるが、他は図1に示す構造と同じである。
図3及び図4に示す構成においても、図1に示す構成と同様に、塔本体1の内部への塔底液の飛散や、天板12aの上面での重合物の発生が防止される。
以下に、本発明を具体的に説明するために、実施例及び比較例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
図6の分解反応装置を用いて、高沸液の分解反応を実施した。なお、天板12aの設置角(伏角)θの角度を95°とした。分解反応器である塔本体1は、塔径1,000mm、塔長2,800mm、材質はハステロイCである。高沸液の組成は、アクリル酸ブチル21.0重量%、β−ブトキシプロピオン酸ブチル65.0重量%、アクリロキシプロピオン酸ブチル4.0重量%、β−ヒドロキシプロピオン酸ブチル2.0重量%、ハイドロキノン3.0重量%、メトキシキノン2.0重量%、その他3.0重量%である。この高
沸液を580kg/hで塔本体1に供給した。
図6の分解反応装置を用いて、高沸液の分解反応を実施した。なお、天板12aの設置角(伏角)θの角度を95°とした。分解反応器である塔本体1は、塔径1,000mm、塔長2,800mm、材質はハステロイCである。高沸液の組成は、アクリル酸ブチル21.0重量%、β−ブトキシプロピオン酸ブチル65.0重量%、アクリロキシプロピオン酸ブチル4.0重量%、β−ヒドロキシプロピオン酸ブチル2.0重量%、ハイドロキノン3.0重量%、メトキシキノン2.0重量%、その他3.0重量%である。この高
沸液を580kg/hで塔本体1に供給した。
分解反応触媒として、硫酸1重量%水溶液を、塔本体1に供給される前記高沸液に対し10重量%で供給し、反応圧力100kPa、分解温度197℃、滞留時間50分で分解反応を実施した。その結果、塔底よりアクリル酸ブチル8.7重量%、β−ブトキシプロピオン酸ブチル62.5重量%、アクリロキシプロピオン酸ブチル2.0重量%、β−ヒドロキシプロピオン酸ブチル0.3重量%、ハイドロキノン8.7重量%、メトキシキノン5.8重量%、ブタノール0.8重量%、硫酸2.9重量%、その他8.3重量%の組成の反応残渣物が200.1kg/hで得られ、塔底より抜き出された。
リボイラ5は、竪型固定管板式熱交換器である。リボイラ5への塔底液の供給液量は、ポンプ40の出口に設置された流量計で測定され、初期値は32,000kg/hであった。塔底液は、リボイラ5の管側に流通させた。
3ヶ月連続運転を行った後、運転を停止してリボイラ5、塔本体1の内部、天板12a及び衝突板12bを点検した。点検の結果、蓄積物は無く、また運転中のリボイラ5への供給液量は安定し、運転中の閉塞も無くかった。
<実施例2>
天板12aの設置角(伏角)θの角度を100°としたこと以外は、実施例1と同様な操作を行った。3ヶ月連続運転を行った後、運転を停止してリボイラ5等を点検した。点検の結果、蓄積物は無く、また運転中の閉塞も無かった。
天板12aの設置角(伏角)θの角度を100°としたこと以外は、実施例1と同様な操作を行った。3ヶ月連続運転を行った後、運転を停止してリボイラ5等を点検した。点検の結果、蓄積物は無く、また運転中の閉塞も無かった。
<比較例1>
天板12aの設置角(伏角)θの角度を90°とした以外は、実施例2と同様な操作を行った。3ヶ月運転後、反応温度が徐々に保てなくなり始めた。分解反応装置の運転を停止し、内部を点検した結果、天板12aの上部に粘着性のある重合物が確認され、またリボイラ5の管の内部に重合物が確認された。
天板12aの設置角(伏角)θの角度を90°とした以外は、実施例2と同様な操作を行った。3ヶ月運転後、反応温度が徐々に保てなくなり始めた。分解反応装置の運転を停止し、内部を点検した結果、天板12aの上部に粘着性のある重合物が確認され、またリボイラ5の管の内部に重合物が確認された。
<実施例3>
実施例1と同じ装置を用いて高沸液の分解を実施した。高沸液の組成は、アクリル酸45.3重量%、マレイン酸10.0重量%、アクリル酸ダイマー(アクリロキシプロピオン酸)42.4重量%、ハイドロキノン1.3重量%、フェノチアジン1.0重量%である。この高沸液を580kg/hで塔本体1に供給した。
実施例1と同じ装置を用いて高沸液の分解を実施した。高沸液の組成は、アクリル酸45.3重量%、マレイン酸10.0重量%、アクリル酸ダイマー(アクリロキシプロピオン酸)42.4重量%、ハイドロキノン1.3重量%、フェノチアジン1.0重量%である。この高沸液を580kg/hで塔本体1に供給した。
反応圧力72kPa、分解温度188℃、滞留時間70分で分解反応を実施した結果、塔底よりアクリル酸8.0重量%、マレイン酸14.0重量%、アクリル酸ダイマー(アクリロキシプロピオン酸)67.2重量%、ハイドロキノン5.8重量%、フェノチアジン4.4重量%、オリゴマー、及びポリマー0.6重量%の組成の反応残渣物が130.5kg/hで得られた。
3ヶ月連続運転を行った後、運転を停止してリボイラ5等を点検した。点検の結果、蓄積物は無く、また運転中のリボイラ5への塔底液の供給液量は安定し、運転中の閉塞も無くかった。
<比較例2>
天板12aの設置角(伏角)θの角度を90°とした以外は、実施例3と同様な操作を行った。1ヶ月運転後、塔底液の温度が保てなくなり始めた。急遽、分解反応装置の運転を停止し、内部を点検した結果、天板12aの上面にポップコーン状の重合物が確認された。またリボイラ5の管の一部に閉塞が確認された。
天板12aの設置角(伏角)θの角度を90°とした以外は、実施例3と同様な操作を行った。1ヶ月運転後、塔底液の温度が保てなくなり始めた。急遽、分解反応装置の運転を停止し、内部を点検した結果、天板12aの上面にポップコーン状の重合物が確認された。またリボイラ5の管の一部に閉塞が確認された。
<実施例4>
図5に示す蒸留装置において、内径1,100mm、長さ20,000mm、内部に多孔板(デュアルフロートレイ)21枚を設置したステンレス鋼製SUS316の蒸留塔を塔本体1として用いて粗アクリル酸の蒸留を行った。天板12aの設置角(伏角)の角度θは100°である。配管4の途中にはポンプを設けた。配管4は導入ノズル3と同径である。粗アクリルモノマーとして、アクリル酸99.2重量%、マレイン酸0.3重量%、アクリル酸ダイマー0.3重量%、ハイドロキノン0.1重量%、フェノチアジン0.1重量%を含む混合物を90℃にて1,300kg/hで塔本体1に供給した。
図5に示す蒸留装置において、内径1,100mm、長さ20,000mm、内部に多孔板(デュアルフロートレイ)21枚を設置したステンレス鋼製SUS316の蒸留塔を塔本体1として用いて粗アクリル酸の蒸留を行った。天板12aの設置角(伏角)の角度θは100°である。配管4の途中にはポンプを設けた。配管4は導入ノズル3と同径である。粗アクリルモノマーとして、アクリル酸99.2重量%、マレイン酸0.3重量%、アクリル酸ダイマー0.3重量%、ハイドロキノン0.1重量%、フェノチアジン0.1重量%を含む混合物を90℃にて1,300kg/hで塔本体1に供給した。
また、不図示の重合禁止剤含有液体タンクより、メトキノン8重量%をアクリル酸に溶解した液を、6.2kg/hで還流槽21に供給し、またフェノチアジン1重量%をアクリル酸に溶解した液を、31kg/hで塔本体1に供給し、塔頂圧力2.8kPa、塔底圧力7.9kPa、塔頂温度53℃、塔底温度75℃で運転を実施することで、塔頂からは純度99.8重量%以上の高純度アクリル酸が得られた。
リボイラ5は竪型固定管板式熱交換器で、リボイラ5への塔底液の供給液量は、配管4のポンプ出口に設置された流量計で測定され、初期値は68,000kg/hであった。塔底液は、リボイラ5の管側に流通させた。
6ヶ月連続運転を行った後、運転を停止してリボイラ5を点検した。点検の結果、蓄積物は無く、また運転中のリボイラ5への塔底液の供給液量は安定し、運転中の閉塞も無くかった。
<比較例3>
天板の設置角(伏角)の角度θを90°とした以外は、実施例4と同様な操作を行った。4ヶ月運転後、塔底液の温度が保てなくなり、リボイラ5へのスチームの供給が出来なくなってきた。運転を停止し、内部を点検した結果、天板12aの上面にポップコーン状の重合物を確認した、またリボイラ5の管の一部に閉塞が確認された。
天板の設置角(伏角)の角度θを90°とした以外は、実施例4と同様な操作を行った。4ヶ月運転後、塔底液の温度が保てなくなり、リボイラ5へのスチームの供給が出来なくなってきた。運転を停止し、内部を点検した結果、天板12aの上面にポップコーン状の重合物を確認した、またリボイラ5の管の一部に閉塞が確認された。
1 塔本体
1a 供給口
2 抜き出しノズル
2a、3a、4a、6a、7a、11a フランジ
3 導入ノズル
4、6、11、13、19、23、24、29、33、34、36、41 配管
5 リボイラ
7 ノズル
10 ポット部
12、22、32、40 ポンプ
12a 天板
12b 衝突板
20 コンデンサ
21 還流槽
25 ベントガスコンデンサ
26 真空設備
30 塔頂ガス冷却熱交換器
31 液槽
35 ベントガス冷却熱交換器
A 天板12a及び衝突板12bの幅
B 天板12aの突出長さ
θ 天板12aの設置角(伏角)
1a 供給口
2 抜き出しノズル
2a、3a、4a、6a、7a、11a フランジ
3 導入ノズル
4、6、11、13、19、23、24、29、33、34、36、41 配管
5 リボイラ
7 ノズル
10 ポット部
12、22、32、40 ポンプ
12a 天板
12b 衝突板
20 コンデンサ
21 還流槽
25 ベントガスコンデンサ
26 真空設備
30 塔頂ガス冷却熱交換器
31 液槽
35 ベントガス冷却熱交換器
A 天板12a及び衝突板12bの幅
B 天板12aの突出長さ
θ 天板12aの設置角(伏角)
Claims (5)
- 易重合性化合物を含有する含有液が収容される容器であって、
側壁と、前記側壁に開口し、前記含有液を供給するための供給口とを有し、前記供給口から供給される前記含有液を収容する収容部と、
前記供給口の上方の前記側壁から突出して設けられ、前記供給口からの前記含有液の上方への飛散を防止する天板と、
前記供給口から離間して設けられ、前記供給口からの前記含有液の供給方向への飛散を防止する衝突板と、を有し、
前記天板の前記側壁側を基端とし、前記天板の突出した側を先端としたときに、前記天板の上面が基端から先端にかけて下方に傾斜していることを特徴とする、易重合性化合物用の容器。 - 前記収容部に収容された前記含有液を収容部から抜き出し前記供給口から前記収容部に戻す含有液循環流路と、前記含有液循環流路の前記含有液を加熱するリボイラとをさらに有することを特徴とする請求項1記載の易重合性化合物用の容器。
- 前記収容部は、蒸留塔、蒸発塔、及び高沸物分解反応塔のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の易重合性化合物用の容器。
- 前記天板の上面と前記側壁とがなす角度が91〜135°であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の易重合性化合物用の容器。
- 前記易重合性化合物は、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルの少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の易重合性化合物用の容器。
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JP2001081050A (ja) * | 1999-09-10 | 2001-03-27 | Nippon Shokubai Co Ltd | 易重合性化合物の取り扱い装置および取り扱い方法 |
JP2003164701A (ja) * | 2001-11-30 | 2003-06-10 | Mitsubishi Chemicals Corp | 重合性化合物の精製用蒸留塔の底部構造及びこれを使用した重合性化合物の製造方法 |
-
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- 2004-11-10 JP JP2004326364A patent/JP2005170931A/ja active Pending
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