JPH0227848Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は懸濁液の濾過処理に適する濾過器に関
する。

従来の技術 従来、濾過器缶体を上下に分割し、その中間に
筒状濾材を垂設した仕切板を取りつけ、下方を濾
過原液室として筒状濾材の外側から内側へ向つて
原液を通過させ仕切板の上方の濾液取集室から濾
液を抜き出すようにした濾過器の構成は公知であ
る。このような公知の濾過器においては、濾過原
液室の最下部に原液の供給および排出のための管
を設け、また濾過液取集室には適宜の位置に濾液
取出および洗浄液注入のための管を設けるのが通
例である。

そして、このような濾過器を使用した後に、筒
状濾材の面上に残留した濾滓を除去するには、濾
液または洗浄用液を急速に逆方向に流して濾過原
液室からドレンとして排出する方法が用いられて
いる。また更に効率的な逆洗浄を行う方法として
濾過器缶体を耐圧構造としたものを用い、器内に
液を充分多量に残したまま濾液取集室に圧力空気
を送入し、器内圧が高い値に達したのち濾過原液
室底部のドレン排出管を開放して濾液を高い差圧
の下で急速に濾過原液室へ逆流させることによつ
て濾滓を除去する方法も用いられている。

しかし、この方法では濾滓がすべて原液と混合
されるので、価値のある原液を多量に濾滓と共に
廃棄することとなり経済的でない。そこで、価値
ある原液の濾滓によつて汚されない部分をなるべ
く多量回収し、その後に濾滓を分離することを試
みたが、従来の形式の濾過器では原液の回収を開
始すると間もなく濾滓が剥離沈下し、原液のみの
回収は満足にできないことが多かつた。

解決しようとする問題点 本考案は、濾過操作終了後に濾滓の洗浄除去を
行なうに当り、濾材から剥離脱落し易い濾滓等を
混合させずに大量の原液を回収できるような構造
の濾過器および方法を提供しようとするものであ
る。

問題点を解決するための手段 前述のような本考案の目的は、濾材を垂設した
中間仕切板の下方に濾過原液室を設けると共に中
間仕切板の上方に濾液取集室を設けた上方集液式
加圧濾過器において、濾液取集室の頂部近傍に溢
流口を備えた流出管と、中間仕切板の上面に開口
し濾過原液室内を通過して設けられた流体出入管
と、濾過原液室の下部に設けられた原液供給・抜
出管と、中間仕切板の下部近傍に開口する空気送
入管と、濾過原液室の底部に開口した縦管を通じ
濾過原液室内の開口端高さが調節可能に挿入され
た回収管を備えたものとすることによつて達成さ
れる。

実施例 本考案の一実施例を第１図に示す。

１は缶体、２は中間仕切板、３は蓋体であり、
４は中間仕切板２に取りつけられた筒状濾材であ
つて、その外側は濾過原液室５に接しまた内側は
濾液取集室６に通じている。

このような上部集液式濾過器において、濾過原
液室５の下部にはドレン排出管１１が設けられ、
その短管の途中に原水回収や洗浄水供給用の短管
が分岐して設けられており、またドレン排出管１
１の基部に原液供給管１２が設けられているが、
この部分の構造は公知のものと大差がない。

濾液取集室６には洗浄水の排出管９が流入口９
ａを頂部近傍で上に向けて設けられ、また中間仕
切板２の上面に開口した流出管１０が設けられて
いる。流出管１０は濾液の取出し用として濾液取
集室６内に余分の濾液が残らないようになつてお
り、また逆洗のための加圧空気の導入や洗浄液の
供給排出にも用いられる。図では、流出管１０は
濾過原液室５内を通過しかつ底部を貫通して外部
に出ているが、中間仕切板２から下方に出たのち
直ちに側方へ出ても特に支障はない。

１３は濾過原液室５への加圧空気送入管であ
り、中間仕切板２の下面近傍に開口していて、装
置内の原液を回収するときに空気が液中に泡出す
ることがないから、液が攪拌されずに静かに流出
する。１４は原液回収管であり、缶体１の底部か
ら下方に縦に設けた短管１５を通じて濾過原液室
５内に挿入してある。原液回収管１４はその開口
１４ａの高さを変え得るように短管１５に固定さ
れているが、その取付位置は、なるべく筒状濾材
４から離れて缶壁に近いところが望ましい。また
開口１４ａの高さは、原液が流出して液面が低下
するとき、筒状濾材４の表面から剥落する濾滓が
原液中で再分散をしない限り、低い方が望まし
い。原液面が低下するにつれ、濾滓の落下距離が
大きくなり、落下時の衝撃によつて回収原液が濾
滓で汚れる度合が大きくなるので、開口１４ａの
高さをあまり低くすることは回収原液中の濾滓の
量を増加させることになり、以降の濾過運転の効
率を下げる結果となる。従つて開口１４ａの高さ
は、濾滓と共に廃棄される原液の価値や濾滓の剥
落し易さ、また濾滓の再分散し易さ、さらに濾過
効率の低下等を総合的に考慮して決定するのがよ
い。

このような構造を有する上部集液式加圧濾過器
を使用して濾過器内を脱落するに当つては、先づ
流出管１０を開放して濾液取集室６内の濾液を可
能な原り回収したのち、他の開口はすべて閉じ、
空気圧入管１３から加圧空気を送入して内圧を高
目に保ちながら回収管１４より原液を回収する。
濾過原液室５内の液面が低下するにつれて、筒状
濾材４の内側に残留している濾液が外側に漏出し
て濾滓を剥離させようとするので、濾過原液室５
内の空気圧を濾液取集室６内より高目に保つよう
にして、濾液の滲出があつても濾滓の剥落がなる
べく遅れるようにするのが望ましい。

こうして汚れの少ない原液をなるべく多量に回
収するが、通常、濾材４の外面から剥落した濾滓
は濾過原液室５の底部に多く集るので、回収管１
４の開口１４ａは低すぎない方が結果的に有利で
ある。原液の回収が終つたのち回収管１４の出口
を閉じるが、さらに空気送入管１３からの空気送
入を続けると共に管１０を通じて加圧空気を濾液
取集室６内に導入し管缶内全体を加圧する。そし
て管１３および１０を閉じて空気の圧入を止めた
のちドレン排出管１１を開放して、濾材４の外面
の濾滓を剥落させると共に筒状濾材４の内側に残
留する濾液で濾材４の逆洗を行ない、ドレンをす
べて排出管１１から排出する。

この後、必要に応じて洗浄液を濾過器内に導入
して洗浄を行うか、又は洗浄を省略して再び原液
の濾過運転に入るのである。

考案の効果 以上詳細に説明したように、本考案の上部集液
式加圧濾過器は内部に残留する濾液および原液を
有効に回収できるので、高価なメツキ液などの濾
過処理を経済的かつ効果的に実施することが可能
となつた。また、原液および濾滓の性質によつて
原液の回収度を最適となるように調整することが
でき、異種の原液に対しても容易に対応できる利
点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の上部集液式加圧濾過器の縦断
面図である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 単数または複数の濾材を垂設した中間仕切板の
   下方に濾過原液室を設けると共に該中間仕切板の
   上方に濾液取集室を設けた濾過器において、該濾
   液取集室内の頂部近傍に溢流口を備えた流出管
   と、該中間仕切板の上面に開口し該濾過原液室内
   を通過して設けられた流体出入管と、該濾過原液
   室の下部に設けられた原液供給・抜出管と、該中
   間仕切板の下面近傍に開口する空気送入管と、該
   濾過原液室の底部に開口した縦管を通じ該濾過原
   液室内の開口端高さが調節可能に挿入された回収
   管とを備えたことを特徴とする上部集液式加圧濾
   過器。