JPH0717900A - 高純度イソフタル酸の製造方法 - Google Patents

高純度イソフタル酸の製造方法

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JPH0717900A
JPH0717900A JP16185593A JP16185593A JPH0717900A JP H0717900 A JPH0717900 A JP H0717900A JP 16185593 A JP16185593 A JP 16185593A JP 16185593 A JP16185593 A JP 16185593A JP H0717900 A JPH0717900 A JP H0717900A
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mother liquor
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crystal
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Fumio Ogoshi
二三夫 大越
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】液相酸化で得られた粗イソフタル酸を接触水素
化処理して高純度イソフタル酸を製造する方法におい
て、接触水素化処理により得られた反応液から触媒を分
離した後、落圧・降温してイソフタル酸結晶と母液から
なるイソフタル酸スラリー溶液とし、これよりイソフタ
ル酸結晶を分離する際に得られる母液を結晶分離温度よ
り5℃以上高い温度まで加熱し、該母液中の不純物を活
性炭で吸着除去した後、接触水素化反応器に循環使用す
る。 【効果】製品の高純度イソフタル酸の品質を悪化させず
接触水素化反応器に循環使用することができ、イソフタ
ル酸の精製工程における排水量を著しく削減することが
できる。これにより排水処理費用が削減されると共に、
イソフタル酸の収率が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、m−ジアルキルベンゼ
ン類の液相酸化によって製造された粗イソフタル酸から
高純度イソフタル酸を製造する方法に関する。高純度イ
ソフタル酸は、不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹
脂、改質ポリエステル繊維、耐熱性ポリアミド等のポリ
マーの中間原料として有用である。
【従来の技術】
【0002】芳香族カルボン酸の製造法として、脂肪族
置換基を有する芳香族炭化水素を酢酸などの脂肪族カル
ボン酸の溶媒中で重金属と臭素からなる触媒の存在下に
分子状酸素により液相酸化する方法が知られており、m
−ジアルキルベンゼン類を液相酸化することによりイソ
フタル酸が製造される。
【0003】すなわち特公昭60ー48497にはメタ
キシレンを酢酸溶媒中、コバルト、マンガンならびに臭
素からなる触媒の存在下でm−ジアルキルベンゼン類を
空気により酸化する具体的方法が記載され、広く工業的
に実施されている。この方法で得られるイソフタル酸は
結晶の白色度が劣っており、かつ3ーカルボキシベンツ
アルデヒド(3CBA)をはじめ多量の不純物が含まれ
ており、これをそのまま原料としてポリマーにしても色
相は優れず、かつ高機能用途には適さない。特に近年産
業技術の進歩と共に高機能性材料としてのポリエステル
製品に対する品質要求が益々きびしくなり、ポリエステ
ル原料としては高純度で、かつ白色度に優れたイソフタ
ル酸が望まれている。
【0004】液相酸化で得られた芳香族カルボン酸の精
製法としては、粗芳香族カルボン酸の水溶液を高温でパ
ラジウム触媒の存在下で接触水素化処理する方法が、特
公昭41ー16860号、特公昭47ー49049号、
特公昭51ー32618号および51ー38698号な
どに記載されている。この接触水素化処理法は主として
テレフタル酸の精製に用いられるが、イソフタル酸にも
適用することができ、特開平4−21653号には水と
酢酸の混合溶媒を用いて粗イソフタル酸を接触水素化処
理する方法が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】粗イソフタル酸は接触
水素化処理された後、冷却することにより晶析した高純
度イソフタル酸と母液に分離され、分離母液は一部再循
環で使用されることがあるが、大部分は系外に排出され
る。しかしながらイソフタル酸の水に対する溶解度はテ
レフタル酸のそれよりも約10倍高いのでこの分離母液
中に多量のイソフタル酸が溶解しており、この分離母液
を系外に排出することによりイソフタル酸の収率が低下
すると共に、活性汚泥装置等による排水処理の費用が増
大する。
【0006】参考にイソフタル酸とテレフタル酸の溶解
度を表1に示す。分離母液からイソフタル酸を回収する
方法として晶析工程での冷却温度を低下させることが考
えられるが、例えばテレフタル酸の80℃の溶解度に匹
敵するまで冷却するには40℃以下とする必要がある。
商業的規模でのイソフタル酸製造装置においては冷却装
置が大きくなり、且つ冷却水の使用量が増大することか
ら、このような低温に冷却することが困難である。
【0007】
【表1】 イソフタル酸とテレフタル酸の水への溶解度(g/100g) 温度 イソフタル酸 テレフタル酸 40℃ 0.023 ─ 80 0.13 0.016 120 0.76 0.078 160 4.4 0.37
【0008】また芳香族カルボン酸を含有する排水の処
理方法としては、特開昭55−94683号に塩化第2
鉄を添加して芳香属カルボン酸の沈殿を回収する方法が
記載されている。しかしながら回収されたイソフタル酸
は鉄で汚染されるので、商業的規模の装置においてこの
イソフタル酸を反応系に戻すことは難しい。本発明の目
的は、イソフタル酸精製プロセスにおいて排出される分
離母液を有効に回収して、その排水処理費用を削減する
ことである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の如き
課題を有する高純度イソフタル酸の製造法について鋭意
検討した結果、高純度テレフタル酸の製造装置では母液
中のパラトルイル酸濃度が高いので母液を循環使用する
ことが困難であるが、高純度イソフタル酸の製造装置で
は母液中のメタトルイル酸の濃度が比較的低いので、母
液を加温下で濾過して母液に含有する不純物を除去する
ことにより接触水素化反応器で循環利用することがで
き、これによりイソフタル酸精製プロセスにおいて排出
される分離母液が著しく削減されることを見出し、本発
明に到達した。
【0010】即ち本発明は、液相酸化で得られた粗イソ
フタル酸を接触水素化処理して高純度イソフタル酸を製
造する方法において、接触水素化処理により得られた反
応液から触媒を分離した後、落圧・降温してイソフタル
酸結晶と母液からなるイソフタル酸スラリー溶液とし、
これよりイソフタル酸結晶を分離する際に得られる母液
を結晶分離温度より5℃以上高い温度まで加熱し、該母
液中の不純物を活性炭で吸着除去した後、接触水素化反
応器に循環使用することを特徴とする高純度イソフタル
酸の製造方法である。
【0011】本発明の高純度イソフタル酸の製造法は、
次の工程に分けられる。 (1)接触水素化処理工程 液相酸化で得られた粗イソフタル酸を、母液精製工程か
らの精製母液および水と混合し、加熱・溶解後、水素存
在下で180から260℃において活性炭に担持された
第8族貴金属触媒を用いて接触水素化処理する。 (2)結晶分離工程 接触水素化処理された溶液を触媒から分離し、溶液の圧
力を下げ、水分の蒸発によって120〜70℃に降温
し、イソフタル酸結晶を析出させてイソフタル酸スラリ
ー溶液とし、該温度で高純度イソフタル酸含水結晶と母
液に分離する。 (3)乾燥工程 分離した高純度イソフタル酸含水結晶を乾燥して高純度
イソフタル酸とする。 (3)母液精製工程 結晶分離工程で分離した母液の一部は系外へ排出し、残
りの一部は、結晶分離温度より5℃以上高い温度まで加
熱し、活性炭を充填した母液処理塔に導入し、含有不純
物を活性炭で吸着除去して精製する。精製母液は接触水
素化処理工程へ送られる。
【0012】本発明に用いられる粗イソフタル酸は、m
−ジアルキルベンゼン類を公知の液相酸化法により酸化
することにより得られる。液相酸化反応は通常、酢酸溶
媒中コバルトおよびマンガン等の重金属及び臭素化合物
を存在させ、温度150〜240℃、圧力10〜30気
圧で空気により行う方法が用いられる。また酢酸溶媒
中、コバルト触媒存在下、温度100〜150℃、圧力
5〜20気圧で酸素により酸化反応を行う方法や、アセ
トアルデヒド、メチルエチルケトン等の促進剤を用いる
方法により液相酸化反応を用いることもできる。
【0013】粗イソフタル酸の出発原料のm−ジアルキ
ルベンゼン類としては通常メタキシレンが使用される
が、置換基はメチル基に限定されるものではなくエチ
ル、プロピル、i−プロピル基でも良く、或いはアルデ
ヒド、アセチル基の如くカルボキシル基に酸化されるも
のであればよい。また置換基の片方がカルボキシル基で
あってもよい。
【0014】液相酸化法で得られる粗イソフタル酸には
通常3CBAをはじめ多くの不純物が含まれている。3
CBA含量はポーラログラフ法により測定される。本発
明に用いられる粗イソフタル酸中の3CBA含量に特に
制約はない。しかし粗イソフタル酸の製造においては3
CBA含量が高くなる酸化反応条件を選ぶことにより酸
化反応による酢酸の燃焼損失を抑制できるので、液相酸
化工程で粗イソフタル酸中の3CBA含量が500pp
mあるいはそれ以上となる条件に設定することが工業的
に有利である。白色度の指標であるOD340 は分光光度
計を用いて測定される。本発明に用いられる粗イソフタ
ル酸中のOD340 についても特に制限はない。
【0015】本発明の方法において、前記酸化で得られ
た粗イソフタル酸を一定濃度の水に溶解し、この溶液を
加圧下高温において、水素の存在下、活性炭に担持させ
た周期律表第8族貴金属触媒を用いて接触水素化処理が
行われる。接触水素化処理の触媒として周期律表第8族
に属する貴金属が用いられ、パラジウム、白金、ルテニ
ウム、ロジウムが好ましく、特にパラジウム、白金が好
ましい。これらの金属は必ずしも単独である必要はな
く、複合して使うことができる。触媒金属の単体として
は活性炭のような多孔性物質が適し、活性炭は特に椰子
殻炭が好適である。触媒金属の担体への担持量は微量で
効果を発揮するが、長期使用に活性を維持するには適切
な量が必要であり、通常0.1〜0.5重量%担持され
る。
【0016】粗イソフタル酸の接触水素化処理は溶液状
態で行うために高圧下高温で行われる。接触水素化処理
温度は180〜260℃が好ましい。粗イソフタル酸の
濃度は10〜40重量%の範囲が好ましく、採択した温
度に対してイソフタル酸を完全に溶解する濃度とする。
圧力は溶媒の液相を維持するに充分でかつ、接触水素化
反応に適切な水素化分圧を保持できる圧力が好ましく、
通常10〜50気圧の範囲である。粗イソフタル酸の接
触水素化処理において、水素量は少なくとも3CBAに
対して2倍モル以上の供給が必要である。処理時間は実
質的に水素化反応が進行するに充分な時間であり、1〜
60分、好ましくは2〜20分の範囲である。通常、接
触水素化処理は連続式で行われる。
【0017】接触水素化処理された反応液は、触媒担体
に使用している活性炭の摩耗による微粉末の流出を防止
するために、焼結チタンやその他の焼結金属あるいは炭
素粒子で作られた濾過器を通される。その後、直列に連
結された1〜6段に至る晶析器へ導入され、あるいはバ
ッチ式結晶化器へ導入され、順次減圧することにより水
分が蒸発してイソフタル酸結晶が晶析し、スラリー溶液
となる。
【0018】このスラリー溶液は結晶分離器に導入され
て含水高純度イソフタル酸結晶と母液に分離される。こ
の分離法は特に限定されず、公知の遠心分離機、遠心濾
過機や真空濾過機が用いられる。結晶分離器からの含水
高純度イソフタル酸結晶は、乾燥器で乾燥されて製品の
高純度イソフタル酸結晶が得られる。
【0019】一方、本発明において結晶分離器で分離さ
れた母液の一部は排水処理装置に送られるが、残りは母
液処理塔に送られて循環使用される。この循環使用され
る母液の比率は母液リサイクル率として次のように定義
される。
【化1】
【0020】本発明においては以下に述べる母液処理に
より、この母液を循環使用することができるので、イソ
フタル酸精製装置からの排水量が著しく削減される。な
お循環使用せずに排水処理装置へ送られる母液中には、
当該温度における溶解度に相当するイソフタル酸と若干
のイソフタル酸微結晶および、その他有機成分を含んで
いるので、必要であればさらに回収のための工程を経た
後で、排水処理工程へ送られる。
【0021】循環使用される母液は先ず熱交換器を用い
て結晶分離温度より5℃以上高い温度まで加熱して母液
処理塔に導入される。これは結晶分離器での手段として
遠心分離や遠心濾過、あるいは真空濾過など、いずれの
方法を採っても、イソフタル酸の細かい結晶が母液中に
小量混入してくるのは避け難いので、結晶分離器からの
母液は完全な溶液状態ではなく、わずかなイソフタル酸
結晶を含んだスラリー溶液になってためである。
【0022】すなわち母液をスラリー溶液のままで母液
処理塔へ導入すると、イソフタル酸結晶が塔内に付着あ
るいは蓄積して、活性炭の吸着効率をそこねるばかりで
はなく、長時間の運転によって、流路の閉塞などの重大
な障害を引き起こす恐れがある。従ってその危険を避け
るために母液を加熱してイソフタル酸の細かい結晶を溶
解させる操作が必要である。
【0023】本発明者の経験的知見によれば、通常の場
合、イソフタル酸結晶の量は極くわずかであるので、熱
交換器に要求される能力は、母液の温度を結晶分離器の
温度よりも5℃以上高めることができれば充分である。
しかしながら、結晶分離器の特性あるいは何等かの突発
的理由によって,母液中のイソフタル酸結晶量が増加し
たときには、この程度の昇温では、イソフタル酸結晶を
完全に溶かすことができない危険がある。
【0024】このような事態に備えるために、あらかじ
め熱交換器での昇温を充分に高く設定しておくことも有
効であるが、不必要に昇温することは加熱に要する費用
の増加を招くので、結晶分離器から熱交換器に至る経路
の途中に結晶回収器を挿入する方式が好ましい。結晶回
収器は母液中にわずかに含まれているイソフタル酸結晶
を除去するものであり、公知の濾過器、バグフィルター
等が用いられる。
【0025】母液処理塔には活性炭が充填されており、
活性炭の吸着効果によって母液中の着色成分、厳密には
OD340 に影響を与える成分が吸着・除去される。高純
度イソフタル酸の不純物中、OD340 に影響を与える個
々の化合物は完全には同定されていないが、主としてフ
ルオレンやフルオレノン構造を有する数十種類以上にも
なる芳香族化合物であると見られる。これら化合物の水
に対する溶解度は小さいと推定されるが、半面でそれぞ
れの含有量は高々数十ppmにも達しない低濃度である
ので、母液中には溶液となって存在していると見られ
る。
【0026】母液処理塔を用いずに母液を直接リサイク
ルして接触水素化処理用溶媒として再使用すると、接触
水素化反応器ではOD340 成分の一部が水素化反応によ
ってOD340 に影響しない化合物に変化する。またOD
340 成分の一部はOD340 には影響するが、水に対する
親和性が増して高純度イソフタル酸結晶中に混入する度
合が小さい化合物に変化する。しかしながら残りの部分
のOD340 成分は接触水素化反応器においても変化を受
けないので、母液リサイクルによって系内に蓄積し、結
果として高純度イソフタル酸のOD340 が悪化すること
になる。
【0027】母液処理塔に充填する活性炭の種類は問わ
ないが、取扱の利便性から粒状活性炭を使用することが
好ましい。活性炭の充填量は母液との接触時間が1〜6
0分、好ましくは2〜30分になるように調整される。
温度が低いほど活性炭に対するOD340 成分の飽和吸着
量が増すので、母液処理塔の温度をできるだけ低くする
ことが好ましい。しかしながら母液中にイソフタル酸結
晶が析出する危険を避けなければならないので、母液処
理塔の温度は熱交換器の出口温度と実質的に同水準でな
ければならない。母液処理塔の圧力は母液が液相を維持
するに充分な圧力とする。
【0028】次に図面を用いて本発明を説明する。図1
は本発明の高純度イソフタル酸の製造法におけるフロー
の説明図である。図1において液相酸化で得られた粗イ
ソフタル酸は輸送管aから混合槽1へ投入される。また
混合槽1には管bから新鮮な水が導入され、管qから母
液処理塔9からの精製母液が導入される。混合槽1で形
成された粗イソフタル酸のスラリー溶液は管cから熱交
換器2を経由して所定の温度に加熱されイソフタル酸の
溶液になる。熱交換器2からのイソフタル酸溶液は管d
を通って接触水素化処理塔3に導入され、管eから所定
量の水素が導入されることによって接触水素化反応が行
われる。
【0029】接触水素化反応器3から管fを通って流出
した溶液は、触媒担体に使用している活性炭の摩耗によ
る微粉末の流出を防止するために濾過器4を通り、管g
から晶析器5へ導入される。なお晶析器5は実際上1〜
6段に直列連結されているか、あるいはバッチ式結晶化
器が用いられ、順次減圧して水分が蒸発することによっ
て120〜70℃に降温され、高純度イソフタル酸結晶
が晶析し、スラリー溶液となる。
【0030】このスラリー溶液は管hを通って結晶分離
器6に導入され、高純度イソフタル酸含水結晶と母液に
分離される。結晶分離器6からの高純度イソフタル酸含
水結晶は管iを通って乾燥器7を経由して乾燥され、管
jから製品の高純度イソフタル酸が得られる。また結晶
分離器6からの母液は管kを通って流出し、一部は管m
を通って排水処理装置へ送られるが、残りの母液は管n
を通って熱交換器8を経由して管pから母液処理塔9へ
導入される。母液処理塔9で精製された母液は、管qを
通って混合槽1に導入され、接触水素化処理用溶媒とし
て再使用される。
【0031】次に実施例により本発明を更に具体的に説
明する。なおOD340 の測定法は次の通りである。試料
5gを3N水酸化ナトリウム溶液35gに溶解し濾過し
た後、分光光度計を用いて340ミリミクロン波長にお
ける濾液の吸光度を測定する。長さ50ミリメートルの
セルを用い、溶媒を対照にした吸光度で表示する。
【0032】実施例1 (粗イソフタル酸の製造)原料の粗イソフタル酸は商業
的規模の装置を用い、含水酢酸溶媒中でメタキシレンの
空気酸化により製造した。触媒には酢酸マンガン、酢酸
コバルトと臭化水素酸を用い、温度205℃、圧力16
気圧で液相酸化を行った。 (接触水素化処理工程)外部加熱装置を有する内径26
mm、長さ350mmの耐圧ステンレス製反応器にパラ
ジウム0.5%を活性炭に担持した触媒200mlを充
填した。この反応器を220℃に加熱し、最初に塔頂か
ら220℃に加熱された粗イソフタル酸の30%水溶液
(接触水素化処理液)を毎時800g供給し、水素ガス
を毎時0.2ノルマルリッター供給した。反応器の底か
ら流出した反応液は、供給速度と抜き出し速度の差を調
整するために設けた緩衝槽を経て、常温まで冷却し、3
方バルブとアクチュエーターから成る間欠抜き出し装置
で外部受器中へスラリー溶液として抜き出した。
【0033】(結晶分離工程)抜き出されたスラリー溶
液を1kg単位に小分けして還流冷却器の付いた三角フ
ラスコ中に仕込み、85℃に加熱し、30分間攪拌しな
がら保持した。スラリー溶液を充分に加熱したG3ガラ
スフィルターで素早く濾過し、結晶と母液に分離した。
結晶を小量の熱水で洗浄し、洗浄液は母液に加えた。 (乾燥工程)ガラスフィルター上の結晶を窒素気流中で
115℃で6時間加熱して高純度イソフタル酸結晶を得
た。 (母液精製工程)外部加熱装置を有する内径26mm、
長さ350mmのステンレス製母液処理塔を用いた。こ
の塔に粒状活性炭300mlを充填し、95℃に加熱し
た。塔頂から95℃に加熱した結晶分離工程からの母液
を1時間当り1000g供給し、塔底から流出した精製
母液を受器に採取した。
【0034】以上の実験において接触水素化処理供給液
は5リッターずつ調製し、最初の接触水素化処理供給液
は粗イソフタル酸100重量部、水233重量部とした
が、2回目以降の接触水素化処理供給液は粗イソフタル
酸100重量部、水93重量部、精製母液140重量部
とした。この場合の母液リサイクル率は、(140)(100)/
(140+93)=60%である。以上の実験を接触水素化処理
工程の実験を開始してから連続して約40時間経過した
時点での高純度イソフタル酸結晶のOD340 は0.42
であった。
【0035】実施例2 実施例1において2回目以降の接触水素化処理供給液を
粗イソフタル酸100重量部、水140重量部、精製母
液93重量部とした。この場合の母液リサイクル率は4
0%である。以上の実験を接触水素化処理工程の実験を
開始してから連続して約40時間経過した時点での高純
度イソフタル酸結晶のOD340 は0.40であった。
【0036】実施例3 実施例1において2回目以降の接触水素化処理供給液を
粗イソフタル酸100重量部、水47重量部、精製母液
186重量部とした。この場合の母液リサイクル率は8
0%である。以上の実験を接触水素化処理工程の実験を
開始してから連続して約40時間経過した時点での高純
度イソフタル酸結晶のOD340 は0.48であった。
【0037】比較例1 実施例1と同様の実験を母液処理工程を省いて行った。
即ち2回目以降の接触水素化処理供給液を粗イソフタル
酸100重量部、水93重量部、結晶分離工程からの母
液140重量部とし、この場合の母液リサイクル率は6
0%である。以上の実験を接触水素化処理工程の実験を
開始してから連続して約40時間経過した時点での高純
度イソフタル酸結晶のOD340 は0.66であった。
【0038】比較例2 実施例2と同様の実験を母液処理工程を省いて行った。
即ち2回目以降の接触水素化処理供給液を粗イソフタル
酸100重量部、水140重量部、結晶分離工程からの
母液93重量部とし、この場合の母液リサイクル率は4
0%である。以上の実験を接触水素化処理工程の実験を
開始してから連続して約40時間経過した時点での高純
度イソフタル酸結晶のOD340 は0.52であった。
【0039】比較例3 実施例3と同様の実験を母液処理工程を省いて行った。
即ち2回目以降の接触水素化処理供給液を粗イソフタル
酸100重量部、水47重量部、結晶分離工程からの母
液186重量部とし、この場合の母液リサイクル率は8
0%である。以上の実験を接触水素化処理工程の実験を
開始してから連続して約40時間経過した時点での高純
度イソフタル酸結晶のOD340 は1.04であった。
【0040】比較例4 この実験では上記した実施例と比較例の評価をするため
に、母液リサイクルなしで行った。即ち実施例1におい
て2回目以降の接触水素化処理供給液も、最初の供給液
と同様に粗イソフタル酸100重量部、水233重量部
とした。以上の実験を接触水素化処理工程の実験を開始
してから連続して約40時間経過した時点での高純度イ
ソフタル酸結晶のOD340 は0.38であった。
【0041】以上の実施例と比較例の結果をまとめると
次のようになる。
【表2】 実験条件 高純度イソフタル酸結晶のOD340 リサイクル率 母液精製 有(実施例) 無(比較例) 0% 0.38 40% 0.40 0.52 60% 0.42 0.66 80% 0.48 1.04 (粗イソフタル酸のOD340 1.50)
【0042】
【発明の効果】高純度イソフタル酸結晶のOD340 は表
3から次のような傾向が見られる。 母液精製を行わずに母液リサイクル率を上げてゆく
と、OD340 が加速度的に悪化する。 しかしながら母液精製処理を行って母液リサイクルを
行うと、OD340 の悪化が極めて小さい。
【0043】従って本発明の方法によって高純度イソフ
タル酸結晶を分離する際に得られる母液を精製処理すれ
ば、製品の高純度イソフタル酸の品質を悪化させず接触
水素化反応器に循環使用することができ、イソフタル酸
の精製工程における排水量を著しく削減することができ
る。これにより排水処理費用が削減されると共に、イソ
フタル酸の収率が向上するので、本発明の工業的意義が
大きい。
【0044】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高純度イソフタル酸の製造法における
フローの説明図である。
【符号の説明】
1 混合槽 2 熱交換器 3 接触水素化反応器 4 濾過器 5 晶析器 6 結晶分離器 7 乾燥器 8 熱交換器 9 母液処理塔

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液相酸化で得られた粗イソフタル酸を接触
    水素化処理して高純度イソフタル酸を製造する方法にお
    いて、接触水素化処理により得られた反応液から触媒を
    分離した後、落圧・降温してイソフタル酸結晶と母液か
    らなるイソフタル酸スラリー溶液とし、これよりイソフ
    タル酸結晶を分離する際に得られる母液を結晶分離温度
    より5℃以上高い温度まで加熱し、該母液中の不純物を
    活性炭で吸着除去した後、接触水素化反応器に循環使用
    することを特徴とする高純度イソフタル酸の製造方法
  2. 【請求項2】イソフタル酸結晶を分離する際に得られる
    母液を加熱器に供給する前に結晶回収器を設置する請求
    項1の高純度イソフタル酸の製造方法
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004217586A (ja) * 2003-01-16 2004-08-05 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 芳香族ポリカルボン酸及び該酸無水物の製造方法
JP2005029565A (ja) * 2003-06-20 2005-02-03 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 高純度芳香族ポリカルボン酸の製造法

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JP4720112B2 (ja) * 2003-06-20 2011-07-13 三菱瓦斯化学株式会社 高純度芳香族ポリカルボン酸の製造法

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