JPH0717901A - 高純度イソフタル酸の製造法 - Google Patents

高純度イソフタル酸の製造法

Info

Publication number
JPH0717901A
JPH0717901A JP16185693A JP16185693A JPH0717901A JP H0717901 A JPH0717901 A JP H0717901A JP 16185693 A JP16185693 A JP 16185693A JP 16185693 A JP16185693 A JP 16185693A JP H0717901 A JPH0717901 A JP H0717901A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
isophthalic acid
liquid
purity
mother liquor
purity isophthalic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP16185693A
Other languages
English (en)
Inventor
Toru Tanaka
徹 田中
Fumio Ogoshi
二三夫 大越
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Gas Chemical Co Inc filed Critical Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Priority to JP16185693A priority Critical patent/JPH0717901A/ja
Publication of JPH0717901A publication Critical patent/JPH0717901A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】重金属化合物と臭素化合物からなる酸化触媒を
含む酢酸溶媒中で分子状酸素によってm−ジアルキルベ
ンゼンを液相酸化し、得られた液状酸化流出物を冷却し
て分離される粗イソフタル酸を熱水に溶解させ、水素の
存在下に周期律表第8族金属からなる触媒を用いて接触
水素化処理を行い、該反応液を冷却して高純度イソフタ
ル酸を晶析・分離する方法において、高純度イソフタル
酸の結晶を分離する際に得られる分離母液を加圧下に加
熱して水分を蒸発させることによって、イソフタル酸が
結晶化しない範囲で該分離母液を濃縮し、これを平均孔
径15μm以下の濾過器で濾過した後に液相酸化反応器
に戻す。 【効果】粗イソフタル酸の精製工程における廃液が著し
く削減され、廃液処理の費用が削減される他、製品収率
が向上し、また高純度イソフタル酸の製造プロセスにお
けるエネルギー原単位も向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、m−ジアルキルベンゼ
ン類の液相酸化によって製造された粗イソフタル酸から
高純度イソフタル酸を製造する方法に関する。高純度イ
ソフタル酸は、不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹
脂、改質ポリエステル繊維、耐熱性ポリアミド等のポリ
マーの中間原料として有用である。
【従来の技術】
【0002】芳香族カルボン酸の製造法として、脂肪族
置換基を有する芳香族炭化水素を酢酸などの脂肪族カル
ボン酸の溶媒中で重金属と臭素からなる触媒の存在下に
分子状酸素により液相酸化する方法が知られており、m
−ジアルキルベンゼン類を液相酸化することによりイソ
フタル酸が製造される。
【0003】すなわち特公昭60−48497には、酢
酸溶媒中、コバルト、マンガンならびに臭素からなる触
媒の存在下でm−ジアルキルベンゼン類を空気により酸
化する具体的方法が記載され、広く工業的に実施されて
いる。この方法で得られるイソフタル酸は結晶の白色度
が劣っており、かつ3−カルボキシベンズアルデヒド
(3CBA)をはじめ多量の不純物が含まれており、こ
れをそのまま原料としてポリマーにしても色相は優れ
ず、かつ高機能用途には適さない。特に近年産業技術の
進歩と共に高機能性材料としてのポリエステル製品に対
する品質要求が益々きびしくなり、ポリエステル原料と
しては高純度で、かつ白色度に優れたイソフタル酸が望
まれている。
【0004】液相酸化で得られた芳香族カルボン酸の精
製法としては、粗芳香族カルボン酸の水溶液を高温でパ
ラジウム触媒の存在下で接触水素化処理する方法が、特
公昭41−16860号および特公昭47−49049
号、特公昭51−32618号、51−38698号な
どに記載されている。この接触水素化処理法は主として
テレフタル酸の精製に用いられるが、イソフタル酸にも
適用することができ、特開平4−21653号には水と
酢酸の混合溶媒を用いて粗イソフタル酸を接触水素化処
理する方法が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】粗イソフタル酸の水溶
液を高温でパラジウム触媒の存在下で接触水素化処理す
る方法は、水が安定な溶媒であり、また装置面からも材
料の選択範囲が広いことから魅力ある方法である。しか
しながら高純度イソフタル酸の結晶を分離した母液には
イソフタル酸とその酸化中間体が溶解しているので、こ
れをそのまま廃棄すればイソフタル酸の回収率が低下す
ることになる。また母液中に含まれるイソフタル酸等の
有機酸は化学的酸素要求量や生物的酸素要求量が大きい
ことから、環境汚染上、高純度イソフタル酸の結晶を分
離した母液をそのまま放出することができない。
【0006】このため高純度イソフタル酸の結晶を分離
した母液は、低温まで冷却して溶解している芳香族カル
ボン酸を析出させて固液分離し、分離された結晶は再利
用して、溶解物の少なくなった母液を活性汚泥処理によ
って環境汚染を起こさない程度に化学的酸素要求量や生
物的酸素要求量を減少させて放出される。また活性汚泥
処理の費用が大きいことから、溶解物の少なくなった母
液を更に吸着法、イオン交換処理、或いは抽出法等を組
み合わせて有価物を回収する方法も行われる。しかしな
がらこれらの方法は複雑な処理が必要であり、多くの設
備費用および処理費用が必要である。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者等は上記の如き課
題を有する高純度イソフタル酸の製造法について鋭意検
討した結果、高純度イソフタル酸の結晶を分離した母
液を加熱してイソフタル酸が結晶化しない範囲に濃縮
し、濾過により接触水素化処理触媒を分離することによ
って液相酸化反応器にこの分離母液を再利用することが
できること、m−ジアルキルベンゼンの液相酸化にお
いて水分の多い酢酸溶媒を用いて反応温度を高めること
により溶媒酢酸の酸化分解を抑制しつつ、イソフタル酸
の収率を高めることができること、反応温度を高める
ことにより液相酸化反応器からのガス状酸化流出物の温
度が上昇するので、高純度イソフタル酸の結晶を分離す
る際に得られる分離母液の濃縮の熱源に有効に利用でき
ること、高純度イソフタル酸の結晶を分離した母液を
濃縮する際に得られる水蒸気の凝縮水は接触水素化処理
の溶媒に使用できること、およびこの水蒸気の凝縮の
際に清浄な低圧スチームを回収できること、従って高純
度イソフタル酸の製造プロセスにおいてこれらを有効に
組み合わせることにより、粗イソフタル酸の精製工程に
おける廃液が著しく削減され、工業的に非常に有利に高
純度イソフタル酸が得られることを見出し、本発明に到
達した。
【0008】即ち本発明は、重金属化合物と臭素化合物
からなる酸化触媒を含む酢酸溶媒中で分子状酸素によっ
てm−ジアルキルベンゼンを液相酸化し、得られた液状
酸化流出物を冷却して分離される粗イソフタル酸を熱水
に溶解させ、水素の存在下に周期律表第VIII族金属から
なる触媒を用いて接触水素化処理を行い、該反応液を冷
却して高純度イソフタル酸を晶析・分離する方法におい
て、高純度イソフタル酸の結晶を分離する際に得られる
分離母液を加圧下に加熱して水分を蒸発させることによ
って、イソフタル酸が結晶化しない範囲で該分離母液を
濃縮し、これを平均孔径15μm以下の濾過器で濾過し
た後に液相酸化反応器に戻すことを特徴とする高純度イ
ソフタル酸の製造方法である。
【0009】更に本発明は、液相酸化の温度を200℃
以上とし、酢酸溶媒中の水分濃度を10重量%以上とす
ること、高純度イソフタル酸の結晶を分離する際に得ら
れる分離母液を液相酸化反応器からのガス状酸化流出物
と熱交換することにより該分離母液を濃縮すること、高
純度イソフタル酸の結晶を分離する際に得られる分離母
液を加熱することにより発生した高温水蒸気の凝縮液を
粗イソフタル酸の溶解水として用いること、および分離
母液を加熱することにより発生した高温水蒸気の凝縮を
水との熱交換により行い、低圧水蒸気を回収することも
含まれる。
【0010】本発明に用いられる粗イソフタル酸は、m
−ジアルキルベンゼン類を公知の液相酸化法により酸化
することにより得られる。液相酸化反応は、酢酸溶媒中
コバルトおよびマンガン等の重金属及び臭素化合物を存
在させ、圧力10〜30気圧で、空気により行う方法が
用いられる。液相酸化反応は、多段の攪拌翼を持つ攪拌
槽型反応器が用いられ、酸化反応を完結させるために、
通常、複数個の反応器を用いられる。
【0011】この液相酸化反応は通常、酢酸溶媒中の水
分を5〜10%に保ち、温度180〜210℃で行われ
るが、本発明においては酸化反応を少なくとも200℃
以上、好ましくは210〜230℃で行うことによって
酸化触媒の活性を高めてイソフタル酸の収率を高める方
法を採るものである。このように反応温度を高めること
によって溶媒である酢酸の酸化分解も促進されることに
なるが、これに対しては本発明では、酢酸溶媒中の水分
濃度〔(水分)/(酢酸+水分)の重量比〕を10%以
上、好ましくは15〜30%とすることによって、溶媒
酢酸の酸化分解を抑制する。
【0012】液相酸化法に使用する触媒には、コバルト
およびマンガン等の重金属と臭素化合物を含む触媒が用
いられる。液相酸化反応器中において上記の酢酸溶媒に
対して、コバルトは金属として100〜1000ppm
含有させ、マンガンはコバルト金属濃度に対して1〜5
重量倍使用される。臭素濃度は800ppm以上、好ま
しくは1000〜3000ppmの範囲である。このよ
うな触媒成分としては、酢酸コバルト、ナフテン酸コバ
ルト、炭酸コバルト、酢酸マンガン、ナフテン酸マンガ
ン、炭酸マンガン、臭化水素、臭化ナトリウム、4臭化
エタンなどが用いられる。
【0013】粗イソフタル酸の出発原料のm−ジアルキ
ルベンゼン類としては通常メタキシレンが使用される
が、置換基はメチル基に限定されるものではなくエチ
ル、プロピル、i−プロピル基でも良く、或いはアルデ
ヒド、アセチル基の如くカルボキシル基に酸化されるも
のであればよい。また置換基の片方がカルボキシル基で
あってもよい。
【0014】液相酸化反応器に供給するm−ジアルキル
ベンゼンと酢酸溶媒の重量比は、m−ジアルキルベンゼ
ンに対して酢酸溶媒を3〜10重量倍とする。分子状酸
素としては圧縮空気が用いられ、その使用量は液相酸化
反応器から放出される非凝縮性ガス中の酸素濃度が1〜
3容量%となる量である。液相酸化反応器での液状酸化
反応流体の平均滞留時間は0.4〜1.5時間である。
【0015】液状酸化反応流体からの粗イソフタル酸の
回収は従来と同様の方法により行われる。すなわち液相
酸化反応器からの液状酸化反応流体は低圧に保持された
晶析器に導入され、この際、溶媒酢酸と水がフラッシュ
することによって液状酸化反応流体が冷却され、粗イソ
フタル酸が析出する。この晶析器は最終的に取得する粗
イソフタル酸の平均粒径や不純物の含有量を改善するた
めに、少なくとも3基以上用いることが好ましい。最後
の晶析器は大気圧または大気圧よりも少し低い圧力に保
持される。
【0016】最後の晶析器からのスラリー状酸化反応生
成物は、固液分離機で粗イソフタル酸結晶が分離され
る。この粗イソフタル酸結晶は、付着母液成分を除くた
めに酢酸で洗浄され、乾燥後、熱水に溶解してスラリー
となり接触水素化反応器に送られる。なお粗イソフタル
酸結晶を固液分離機で分離する際に得られる分離母液の
大部分は液相酸化反応器の溶媒として循環使用される。
【0017】本発明において粗イソフタル酸を溶解する
熱水には、高純度イソフタル酸の結晶を分離する際に得
られる分離母液を加熱することにより発生した高温水蒸
気の凝縮液が用いられる。しかしながら熱バランス上こ
の高温水蒸気の凝縮液のみでは熱水が不足するので、高
純度イソフタル酸の結晶を分離する際に得られる分離母
液の一部は直接に粗イソフタル酸の溶解液に用いられ
る。この直接に用いられる分離母液の比率は、高純度イ
ソフタル酸の製品品質上からは小さい方が好ましく、実
際上50%以下である。
【0018】接触水素化反応器に供給される粗イソフタ
ル酸スラリー中の粗イソフタル酸の濃度は15〜40重
量%の範囲とする。粗イソフタル酸の濃度が15重量%
より低い場合には、高純度イソフタル酸の品質が向上す
るが、高純度イソフタル酸の結晶を分離する際に得られ
る分離母液を加熱濃縮する熱交換器の負荷が大きくなる
ので熱バランスを取ることが困難となり、粗イソフタル
酸の濃度が40重量%より高い場合には、接触水素化反
応による品質改良の効果が小さくなる。
【0019】接触水素化反応器においては周期律表第VI
II族金属を粒状活性炭に担持した触媒が用いられ、椰子
殻破砕炭にパラジウムを担持した触媒の充填塔が好適に
使用される。反応形式は灌液型でも満液型でも良く、通
常、粗イソフタル酸スラリーが該反応器の頂部から供給
され、水素は供給液に溶解させるか、反応器の頂部から
化学論量以上供給される。接触水素化反応の接触時間は
液空間LSVで1.0〜15の範囲である。
【0020】接触水素化反応器よりの高純度イソフタル
酸水溶液は濾過器に入り微量の不溶解分が除去される。
この濾過材には十分な耐熱性および耐腐食性を有する物
質としてカーボンや焼結金属が好適に用いられ、濾過能
力は平均径で15μm以下のものを用いる。濾過器を通
過した高純度イソフタル酸水溶液は低圧に保持された晶
析器に導入され、溶媒水がフラッシュすることによって
冷却され、フラッシュにより得られた蒸気は凝縮して晶
析器へ還流される。スラリー濃度上昇による操作性の悪
化や精製イソフタル酸の品質に悪影響の無い程度に凝縮
水を抜き出すことができる。高純度イソフタル酸水溶液
の晶析は、品質上は晶析段数を多くことが好ましいが、
通常は2〜4段の晶析が行われる。最後の晶析器は大気
圧または大気圧よりも少し低い圧力に保持される。
【0021】最後の晶析器からの高純度イソフタル酸ス
ラリーは固液分離機に導入され、高純度イソフタル酸の
ケーキと分離母液に分けられる。固液分離機の形式は遠
心濾過機、遠心沈降機、真空濾過機の何れでも良いが、
得られたケーキを水で洗浄できるような構造とする。こ
れらの高純度イソフタル酸の分離母液とケーキの洗浄
水、即ち高純度イソフタル酸の結晶を分離する際に得ら
れる分離母液の一部は前述の如く直接に粗イソフタル酸
の溶解液に用いられるが、残部は液相酸化反応器からの
ガス状酸化流出物と熱交換することにより加熱・濃縮さ
れ、液相酸化反応器に再利用される。
【0022】液相酸化反応器からのガス状酸化流出物と
高純度イソフタル酸の結晶を分離する際に得られる分離
母液の熱交換には、ガス状酸化流出物の60〜90%を
凝縮できる能力を有する多管式熱交換器が用いられる。
本発明において液相酸化温度を200℃以上とすること
により高純度イソフタル酸の結晶を分離する際に得られ
る分離母液がこの熱交換器において加熱・濃縮されて、
200〜180℃の高圧飽和蒸気が発生し、この発生蒸
気を水と熱交換することによって低圧蒸気を回収すると
共にその凝縮液は粗イソフタル酸を溶解する熱水に用い
られる。
【0023】高純度イソフタル酸の結晶を分離する際に
得られる分離母液は液相酸化反応器からのガス状酸化流
出物との熱交換により4〜20倍に濃縮されるが、この
濃縮はイソフタル酸が結晶化しない範囲とすることが必
要である。即ちこの濃縮液に含まれる微量の接触水素化
触媒を濾過する必要があることから、イソフタル酸が結
晶化しない範囲とすることが必要であり、この濾過材に
はカーボンや焼結金属等の耐熱性、耐腐食性および機械
的強度が十分であり、平均孔径が15μm以下の濾過性
能を有するものが用いられる。
【0024】濃縮された該分離母液は濾過された後、液
相酸化反応器に再利用される。このように該分離母液を
再利用することにより、該分離母液中のイソフタル酸が
全量回収され、また該分離母液中のm−トルイル酸、3
−カルボキシベンズアルデヒド、3−メチルベンジルア
ルコール等の酸化性中間成分は酸化されて、大部分が回
収される。
【0025】一方、該分離母液を液相酸化反応器に再利
用することによって、該分離母液中の着色性不純物等の
高分子化合物(着色性物質)が液相酸化反応器に導入さ
れることになる。しかしながらこのような着色性物質の
大部分は粗イソフタル酸の結晶分離工程における分離母
液に溶解して系外に排出される。従って最終粗イソフタ
ル酸晶析器での粗イソフタル酸への着色性物質の寄与は
著しく小さくなり、高純度イソフタル酸の結晶を分離す
る際に得られる分離母液を再利用したことによる精製イ
ソフタル酸品質への影響は極めて小さい。
【0026】本発明においては液相酸化反応を高温化す
ることによって液相酸化反応器からのガス状酸化流出物
の保有する熱容量が増大するので、これを高純度イソフ
タル酸の結晶を分離する際に得られる分離母液の濃縮に
利用することができ、粗イソフタル酸の精製工程からの
廃液を無くすことができる。例えば該分離母液をイソフ
タル酸スラリー濃度30%に濃縮させる場合は、粗イソ
フタル酸を溶解する熱水の全量を濃縮の際に発生する蒸
気から供給することができ、該熱水を1/4〜1/20
程度に低減することは容易に可能である。
【0027】この際の濃縮操作を例えば200℃付近の
高温で行うことによって蒸発潜熱が小さくなると共に、
濃縮による析出物の発生を避けることができ、濾過によ
り接触水素化処理触媒を除去することによって液相酸化
反応器に再利用することができる。しかも濃縮操作を高
温で行うことによって発生する蒸気の温度も200℃付
近となり、この蒸気を凝縮する際に清浄な利用度の高い
スチームを回収することができるので、これを有効に利
用することができる。
【0028】次に図面を用いて本発明を説明する。図1
は本発明の方法を実施する場合のフロー図の一例であ
る。図1において原料のm−ジアルキルベンゼンと酸化
触媒は流路23より液相酸化反応器1 に供給され、圧縮空
気が流路24より供給される。この液相酸化反応の反応熱
により溶媒酢酸と水分が蒸発し、ガス状酸化反応流出物
として第一熱交換器2 に導入され、高純度イソフタル酸
の結晶を分離する際に得られる分離母液と熱交換し凝縮
液は液相酸化反応器1 に還流される。第一熱交換器2 か
らの未凝縮のガス状酸化反応流出物は第二熱交換器5 に
導入され、その凝縮液は液相酸化反応器1 に還流される
か、酸化反応系の水バランスを保つために流路25から蒸
留塔21に送られる。熱交換器5 からの未凝縮のガス酸化
反応流出物 (主に窒素、炭酸ガスおよび未反応酸素等)
は流路26から排出される。
【0029】液相酸化反応器1 からの液状酸化反応流出
物は、流路27を経て粗イソフタル酸の晶析器8 に送ら
れ、更に晶析器9 送られる。各晶析器においてフラッシ
ュした溶媒酢酸は熱交換器で凝縮して還流するか、一部
は流路28を経て酢酸蒸留塔21に供給される。粗イソフタ
ル酸の晶析器は3基以上使用されることが多いが、最後
の晶析器からのスラリー状酸化反応生成物は流路29を経
て固液分離機10で粗イソフタル酸を分離する。分離され
た粗イソフタル酸ケーキは乾燥器19において乾燥された
後、粗イソフタル酸スラリー槽7 に導入される。
【0030】粗イソフタル酸スラリー槽7 には粗イソフ
タル酸に加えて、流路30より高純度イソフタル酸の結晶
を分離する際に得られる分離母液が、また流路6 より該
分離母液を加熱することにより発生した高温水蒸気の凝
縮液が溶解水として導入され、粗イソフタル酸スラリー
が得られる。この粗イソフタル酸スラリーは熱交換器11
で加熱され、イソフタル酸が完全に溶解して接触水素化
反応器12の頂部に供給される。接触水素化反応器12には
周期律表第VIII族金属を粒状活性炭に担持した触媒が充
填されており、その頂部に流路31から水素ガスが導入さ
れて接触水素化反応が行われる。
【0031】接触水素化反応からの高純度イソフタル酸
水溶液は濾過器13に入り微量の不溶解分が除去された
後、晶析器14に送られ更に晶析器15送られる。各晶析器
からのフラッシュ蒸気は凝縮器32および凝縮器33で凝縮
水となり還流されるが、一部は粗イソフタル酸スラリー
槽7 に送られる。最終晶析器からの高純度イソフタル酸
スラリーは流路16を経て固液分離機17に送られ、高純度
イソフタル酸の結晶を分離する。
【0032】この高純度イソフタル酸の結晶を分離する
際に得られた分離母液は高純度イソフタル酸分離母液槽
18に入り、一部が流路30より粗イソフタル酸スラリー槽
7 に送られるが、残部は液相酸化反応器の第一熱交換器
2 に送られ、液相酸化反応器からのガス状酸化流出物と
熱交換することによりイソフタル酸が結晶化しない範囲
に濃縮される。この分離母液の濃縮液は濾過器3 におい
て接触水素化処理触媒が除去された後、液相酸化反応器
1 に導入され、再利用される。
【0033】この高純度イソフタル酸の結晶を分離する
際に得られた分離母液を濃縮する時に発生した高温水蒸
気は低圧ボイラ4 に送られ凝縮して流路6 より粗イソフ
タル酸の溶解水として用いられる。またこの際に清浄な
低圧水蒸気が回収され、例えば酢酸蒸留塔21の熱源等に
有効に用いられる。なお粗イソフタル酸の結晶を分離す
る際に得られた分離母液は粗イソフタル酸分離母液槽20
に入り、一部は液相酸化反応器1 で溶媒として再利用さ
れるが、残部は溶媒蒸発器22で不純物を分離した後、液
相酸化反応器における水バランスを保つために酢酸蒸留
塔21に送られて脱水して液相酸化反応器1 に送られる。
【0034】
【実施例】次に実施例により本発明を更に具体的に説明
する。但し本発明はこれらの実施例により制限されるも
のではない。なお実施例において、DMF溶解色(b値)
、アルカリ溶解色 (OD340 ) は次のようにして測定
した。
【0035】DMF溶解色(b値) 試料 10.0gを試薬特級ジメチルホルムアミド 40.0gに溶
解させた後、テフロンフイルターで濾過する。この濾液
を長さ20mmセルに入れ、ジメチルホルムアミド(DMF)
を対照液として色差計により測定する。
【0036】アルカリ溶解色 (OD340 ) 試料5gを3N水酸化ナトリウム水溶液 35gに溶解して濾過
し、長さ50mmのセルに入れ、分光光度計により 340ミリ
ミクロン波長における吸光度を測定する。
【0037】実施例1 中規模の主酸化反応器と後酸化反応器を有する液相酸化
反応器を用いてメタキシレンの液相酸化反応および接触
水素化反応を行い、高純度イソフタル酸を製造した。な
お主酸化反応器は図1に示すように第一熱交換器および
第二熱交換器を有したものを用いたが、実施例における
フローは、図1と必ずしも一致していない。
【0038】まず純度 99.2%のメタキシレン (4550重量
部) 、溶媒の 15%含水酢酸(25550重量部) 、触媒のコバ
ルト/マンガン/臭素は溶媒に対して各々 150/ 450/
800ppm からなる酸化反応原料液を、温度 220℃、圧力
26kg/cm2 G に調節した主酸化反応器に 30100部/時の
速度で供給した。同時に圧縮空気を供給し、酸化反応排
ガスの非凝縮成分中の酸素濃度が 1.5容量% となるよう
に調節した。第一熱交換器には予め水を入れておき、主
酸化反応器からのガス状酸化反応流出物による熱交換に
よって 195℃になるように第一熱交換器胴側の圧力を設
定し、1750部/時の水を胴側を通過して主酸化反応器に
供給した。
【0039】第一熱交換器を出た未凝縮のガス状酸化反
応流出物は第二熱交換器で更に冷却し、その凝縮液の中
6800部/時は抜き出して酢酸蒸留塔で処理し、残部は主
酸化反応器に還流した。第一熱交換器胴側から発生した
蒸気は凝縮して抜き出した。主酸化反応器の液面調節に
より排出される液状酸化反応流出物は、後酸化反応器で
190℃で圧縮空気を供給し、未反応成分の酸化を完結さ
せた。
【0040】後酸化反応器からの液状酸化反応流出物は
100℃まで冷却して粗イソフタル酸を析出させ、固液分
離機で結晶を分離して酢酸により洗浄した後、粗イソフ
タル酸結晶を乾燥した。定常状態に達した後の主酸化反
応器内液相部の酢酸溶媒の水分含量は 20.0%であり、粗
イソフタル酸結晶は3-カルボキシベンズアルデヒド含有
量が 150ppm 、DMF溶解色(b値) が 2.1、アルカリ溶
解色 (OD340 ) が 1.52 であった。
【0041】次にパラジウム0.5%を椰子穀破砕炭に担持
させた接触水素化触媒 550部を充填し、純水を張り込
み、水素ガスで 35kg/cm2 G に加圧して 230℃に保持し
た接触水素化反応器に、上記の粗イソフタル酸結晶1644
部、純水7244部からなるスラリーを、LSV 8 (1/Hr)
の流速で圧入して接触水素化反応を行った。得られた反
応液は 100℃まで冷却して高純度イソフタル酸の結晶を
析出させ、G-3 ガラスフィルターで減圧濾過し、結晶は
純水で洗浄した後、乾燥し、精製イソフタル酸の製品を
得た。
【0042】得られた精製イソフタル酸の品質は、3-カ
ルボキシベンズアルデヒド含有量が10ppm以下、DMF
溶解色(b値) が0.44、アルカリ溶解色 (OD340 ) が
0.37であった。また高純度イソフタル酸の結晶を分離す
る際に得られる分離母液には、イソフタル酸が 3300pp
m、m-トルイル酸が 50ppm、その他の酸化性中間成分が
90ppm含まれており、この分離母液のTODは 5089ppm
であった。
【0043】実施例2 実施例1で得られた高純度イソフタル酸の結晶の分離母
液を主酸化反応器の第一熱交換器胴側に供給し 9.6倍に
濃縮した後、平均孔径10μm のカーボン製フィルターで
濾過し、濃縮液ポンプを用いて1690部/時の供給速度で
主酸化反応器に供給した。他は実施例1と同様にメタキ
シレンの液相酸化を行い、粗イソフタル酸結晶を得た。
定常状態に達した後の主酸化反応器内液相部の酢酸溶媒
の水分含量は 19.7%であり、粗イソフタル酸結晶は3-カ
ルボキシベンズアルデヒド含有量が 143ppm 、DMF溶
解色(b値) が 1.9、アルカリ溶解色 (OD340 ) が 1.5
5 であった。
【0044】得られた粗イソフタル酸結晶に対して、主
酸化反応器の第一熱交換器胴側から発生した蒸気の凝縮
液 4.5部、純水 1.1部を使用して粗イソフタル酸スラリ
ーを調整し、実施例1と同様に接触水素化反応を行い、
精製イソフタル酸を得た。得られた精製イソフタル酸の
品質は、3-カルボキシベンズアルデヒド含有量が10ppm
以下、DMF溶解色(b値) が0.47、アルカリ溶解色 (O
340 ) が 0.35であった。
【0045】
【発明の効果】本発明の方法により、粗イソフタル酸の
精製工程における廃液が著しく削減され、工業的に非常
に有利に高純度イソフタル酸が得られる。すなわち本発
明の方法では、従来多くの費用を要していた粗イソフタ
ル酸の精製工程における廃液を処理するための活性汚泥
処理、或いは吸着法、イオン交換処理、抽出法等を組み
合わせた有価物の回収費用が削減され、優れた品質の高
純度イソフタル酸が有利に製造され、また製品収率も向
上する。更に本発明の方法においては、清浄な低圧スチ
ームが回収され、プロセス蒸気として有効に使用できる
ので、高純度イソフタル酸の製造プロセスにおけるエネ
ルギー原単位も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実施する場合のフロー図の一例
である。
【符号の説明】
1 液相酸化反応器 2 第一熱交換器 3 濾過器 (高純度イソフタル酸結晶分離母液の濃縮液) 4 低圧ボイラ 5 第二熱交換器 7 粗イソフタル酸スラリー槽 8,9 晶析器 (粗イソフタル酸) 10 固液分離機 (粗イソフタル酸) 12 接触水素化反応器 14,15 晶析器 (高純度イソフタル酸) 17 固液分離機 (高純度イソフタル酸) 18 高純度イソフタル酸分離母液槽 19 乾燥器 (粗イソフタル酸) 20 粗イソフタル酸分離母液槽 21 酢酸蒸留塔 22 溶媒蒸発器

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重金属化合物と臭素化合物からなる酸化触
    媒を含む酢酸溶媒中で分子状酸素によってm−ジアルキ
    ルベンゼンを液相酸化し、得られた液状酸化流出物を冷
    却して分離される粗イソフタル酸を熱水に溶解させ、水
    素の存在下に周期律表第VIII族金属からなる触媒を用い
    て接触水素化処理を行い、該反応液を冷却して高純度イ
    ソフタル酸を晶析・分離する方法において、高純度イソ
    フタル酸の結晶を分離する際に得られる分離母液を加圧
    下に加熱して水分を蒸発させることによって、イソフタ
    ル酸が結晶化しない範囲で該分離母液を濃縮し、これを
    平均孔径15μm以下の濾過器で濾過した後に液相酸化
    反応器に戻すことを特徴とする高純度イソフタル酸の製
    造方法
  2. 【請求項2】液相酸化温度を200℃以上とし、酢酸溶
    媒中の水分濃度を10重量%以上とする請求項1の高純
    度イソフタル酸の製造法
  3. 【請求項3】高純度イソフタル酸の結晶を分離する際に
    得られる分離母液を液相酸化反応器からのガス状酸化流
    出物と熱交換することにより、該分離母液を濃縮する請
    求項2の高純度イソフタル酸の製造法
  4. 【請求項4】高純度イソフタル酸の結晶を分離する際に
    得られる分離母液を加熱することにより発生した高温水
    蒸気の凝縮液を、粗イソフタル酸の溶解水として用いる
    請求項2の高純度イソフタル酸の製造法
  5. 【請求項5】分離母液を加熱することにより発生した高
    温水蒸気の凝縮を水との熱交換により行い、低圧水蒸気
    を回収する請求項4の高純度イソフタル酸の製造法
JP16185693A 1993-06-30 1993-06-30 高純度イソフタル酸の製造法 Pending JPH0717901A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16185693A JPH0717901A (ja) 1993-06-30 1993-06-30 高純度イソフタル酸の製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16185693A JPH0717901A (ja) 1993-06-30 1993-06-30 高純度イソフタル酸の製造法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0717901A true JPH0717901A (ja) 1995-01-20

Family

ID=15743259

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP16185693A Pending JPH0717901A (ja) 1993-06-30 1993-06-30 高純度イソフタル酸の製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0717901A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004217586A (ja) * 2003-01-16 2004-08-05 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 芳香族ポリカルボン酸及び該酸無水物の製造方法
JP2004358466A (ja) * 2003-06-05 2004-12-24 Eastman Chem Co カルボン酸合成母液から不純物を除去する抽出方法
JP4729173B2 (ja) * 1998-05-06 2011-07-20 ジーティーシー テクノロジー エルピー 結晶化によるイソフタル酸の精製方法
WO2024053927A1 (ko) * 2022-09-05 2024-03-14 에스케이케미칼 주식회사 테레프탈산의 제조 방법 및 이로부터 제조된 테레프탈산

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4729173B2 (ja) * 1998-05-06 2011-07-20 ジーティーシー テクノロジー エルピー 結晶化によるイソフタル酸の精製方法
JP2004217586A (ja) * 2003-01-16 2004-08-05 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 芳香族ポリカルボン酸及び該酸無水物の製造方法
JP2004358466A (ja) * 2003-06-05 2004-12-24 Eastman Chem Co カルボン酸合成母液から不純物を除去する抽出方法
WO2024053927A1 (ko) * 2022-09-05 2024-03-14 에스케이케미칼 주식회사 테레프탈산의 제조 방법 및 이로부터 제조된 테레프탈산

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5705682A (en) Process for producing highly pure terephthalic acid
US5770765A (en) Process for the production of high-purity isophthalic acid
KR0152534B1 (ko) 테레프탈산 여과액에서 불순물을 제거하기 위한 추출방법
RU2345980C2 (ru) Экстракционный способ извлечения примесей из маточного раствора в синтезе карбоновой кислоты
JPS6019286B2 (ja) フアイバ−グレ−ドのテレフタル酸の製法
US4302595A (en) Process for the preparation of terephthalic acid by the hydrolysis of intermediate stage crude dimethyl terephthalate
US6150553A (en) Method for recovering methyl acetate and residual acetic acid in the production acid of pure terephthalic acid
US3484458A (en) Trimellitic acid production and recovery of intramolecular anhydride
KR100580419B1 (ko) 순수한 카르복실산의 개선된 제조 방법
EP1104396B1 (en) Method for recovering methyl acetate and residual acetic acid in the production of pure terephthalic acid
CN101139277A (zh) 一种回收对苯二甲酸残渣的方法
JPH0717901A (ja) 高純度イソフタル酸の製造法
WO2009064037A1 (en) Recovery of catalysts, benzoic acid and aromatic acid
US6579990B2 (en) Process for producing refined pyromellitic acid and refined pyromellitic anhydride
JP2924104B2 (ja) 高純度イソフタル酸の製造方法
JP4032186B2 (ja) 高純度2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルの製造法
JPH072732A (ja) 高純度イソフタル酸を製造する方法
CA2890259A1 (en) Pure plant mother liquor solvent extraction system and method
JP2004175797A (ja) テレフタル酸の製造方法
JP3931444B2 (ja) 高純度テレフタル酸の製造方法
CN1960961B (zh) 高纯度对苯二甲酸的制造方法
KR100881166B1 (ko) 테레프탈산의 제조 방법
JPH1180074A (ja) 高純度2,6−ナフタレンジカルボン酸の製造法
JPH07173100A (ja) 高純度2,6−ナフタレンジカルボン酸の製造方法
JPH10195016A (ja) 高純度テレフタル酸の製造方法