JP2014172312A - 塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム及びその製造方法 - Google Patents

塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フィルム切断刃によるフィルムのカット性を維持しつつ、しかも、フィルムのカット端面からの裂けを抑制し、巻回体からフィルムを引き出す際、及び巻回体を収納する化粧箱の中に巻き戻ったフィルム端部を摘み出す際の裂けトラブルを低減し、使い勝手を向上させた、塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムを提供することである。
【解決手段】TD方向の引裂強度が2〜6cNであり、かつ、MD方向の引張弾性率が250〜600MPaである塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムであって、温度変調型示差走査熱量計にて測定される低温結晶化開始温度が40〜60℃である、塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム。
【選択図】図1

Description

本発明は、塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム及びその製造方法に関する。
従来、塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムは、密着性、ガスバリア性等の特性に優れているため、食品等の簡易包装材料として多くの一般家庭で使用されてきた。
塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムを製造する方法として、インフレーション製膜方法が広く知られている(図1参照)。インフレーション製膜方法においては、塩化ビニリデン系樹脂に添加剤全般を含有させた塩化ビニリデン系樹脂組成物をダイから管状に押し出し、押し出された樹脂組成物の外側を冷水で、ダイ口とピンチロールとに挟まれた内側をミネラルオイル等公知の冷媒で冷却し、固化させることにより、塩化ビニリデン系樹脂成形体を作製する。このピンチロールで折り畳まれた環状ダブルプライシートをパリソンと称す。そして、パリソンは、再加熱してインフレーションすることにより延伸する。延伸したダブルプライフィルムをスリットし、1枚のフィルムになるように剥がす。最終的には、フィルムを紙管に巻き取り、化粧箱に詰めることで、化粧箱に収納された塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム巻回体(図2参照)が得られる。
塩化ビニリデン系樹脂組成物中の添加剤としては、安定剤や可塑剤などが用いられている。良好な加工性と良好な物性を得るために、安定剤として、例えばエポキシ化大豆油(以下、ESO、と称す)等に代表されるエポキシ化植物油を添加し、可塑剤として、例えばアセチルクエン酸トリブチル(以下、ATBC、と称す)やセバシン酸ジブチル(以下、DBS、と称す)等に代表される脂肪族エステルを添加することが広く知られている。
特許文献1には、縦裂けトラブルが抑制され、かつ、密着性及び透明性に優れるポリ塩化ビニリデン樹脂ラップフィルムに関する技術が開示されている。
特許文献2には、臭気を克服しつつ、押出成形時の熱分解を抑制し、かつ、フィルムの過剰密着現象や引出性の低下等、物性の経時変化も少ない塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムに関する技術が開示されている。
特開2011−168750号公報 特開2008−74955号公報
通常、塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムは、その巻回体からフィルムを引き出した後、巻回体を収納する化粧箱に付帯されたフィルム切断刃でカットして使用される。従来の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムは、カット性を良くするためにフィルムの引裂強度を低くしていた。しかし、このような引裂強度の低いフィルムにおいては、巻回体からフィルムを引き出す際、及び化粧箱の中に巻き戻ったフィルム端部を摘み出す際、化粧箱付帯の切断刃でカットした端部からフィルムが裂けるトラブルが多かった。
一方、裂けトラブルを抑制するためにフィルムを厚くする等の手法によって、フィルムの引裂強度を高くすることは可能であるが、フィルムがカットしにくくなり、使い勝手が悪くなっていた。
特許文献1のように、結晶配向度を制御することにより、フィルムの裂けトラブルを抑制することができる。しかし、ラップフィルムに求められるフィルムの裂けトラブル低減とカット性の両立ができない。また、特許文献2では、押出時の熱劣化や、密着性や引出性等の物性に関する経時変化については改善されているが、経時の物理劣化については検討されていない。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムのフィルム切断刃によるカット性を維持しつつ、巻回体からのフィルム引き出し時、及び化粧箱の中に巻き戻ったフィルム端部の摘み出し時の裂けトラブルを低減し、使い勝手を向上させた、塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、巻回体からのフィルム引き出し時、及び化粧箱の中に巻き戻ったフィルム端部の摘み出し時の裂けトラブルを低減と、フィルム切断時の優れたカット性という背反する課題を両立させるという観点から鋭意検討を加えた結果、製膜ラインの樹脂の幅方向(以下、TD方向と称す)の引裂強度が2〜6cNであり、かつ、製膜ラインの樹脂の流れ方向(以下、MD方向と称す)の引張弾性率が250〜600MPaである塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムにおいて、温度変調型DSCにて評価した低温結晶化開始温度を40〜60℃とすることで、消費者の要求を満たすレベルにまで裂けトラブルを抑制でき、かつ、フィルムのカット性に優れるラップフィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、下記の通りである。
〔1〕
TD方向の引裂強度が2〜6cNであり、かつ、MD方向の引張弾性率が250〜600MPaである塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムであって、温度変調型示差走査熱量計にて測定される低温結晶化開始温度が40〜60℃である、塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム。
〔2〕
塩化ビニリデン繰り返し単位を72〜93%含有するポリ塩化ビニリデン系樹脂に対して、エポキシ化植物油を0.5〜3重量%、クエン酸エステル又は二塩基酸エステルから選ばれる少なくとも一種の化合物を3〜8重量%含有し、かつ、厚みが6〜18μmである、前記〔1〕に記載の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム。
〔3〕
塩化ビニリデン系樹脂組成物を溶融押し出しした後、MD方向及びTD方向に延伸する塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムの製造方法であって、MD方向及びTD方向の延伸倍率を共に4〜6倍とし、未延伸状態の単位長さ当たりの延伸速度(以下、単に「延伸速度」と称す。)をMD方向及びTD方向それぞれ0.09〜0.12倍/s、及び3.1〜4.0倍/sとし、延伸直後のフィルム緩和比率を7〜15%とし、かつ、延伸後24時間以上5〜19℃で保管する、前記〔1〕又は〔2〕に記載の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムの製造方法。
本発明によれば、巻回体からフィルムを引き出す際、及び化粧箱の中に巻き戻ったフィルム端部を摘み出す際に、フィルムの裂けトラブルが発生しにくく、しかも、化粧箱付帯のフィルム切断刃でフィルムをカットする際のカット性に優れた塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムが得られる。
本発明の製膜プロセスで使用された装置の概略図である。 本発明のフィルムの利用形態例である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
〔塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム〕
本実施形態の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム(以下、単に「ラップフィルム」という場合がある。)は、TD方向の引裂強度が2〜6cNであり、かつ、MD方向の引張弾性率が250〜600MPaであって、温度変調型DSCにて評価した低温結晶化開始温度が40〜60℃である。以下、本実施形態について、詳細に説明する。
本実施形態の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムは、塩化ビニリデン系樹脂を含有する。
<塩化ビニリデン系樹脂>
本実施形態に用いる塩化ビニリデン系樹脂は、塩化ビニリデン繰り返し単位を含むものであれば特に制限されず、塩化ビニリデン繰り返し単位以外に、例えば塩化ビニル、メチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル;メチルメタアクリレート、ブチルメタアクリレート等のメタアクリル酸エステル;アクリロニトリル;酢酸ビニル等、塩化ビニリデンと共重合可能な単量体が一種又は二種以上共重合されていてもよい。
塩化ビニリデン系樹脂が共重合樹脂である場合、塩化ビニリデン繰り返し単位の比率は、特に制限されないが、塩化ビニリデン繰り返し単位を72〜93%含むものが好ましい。塩化ビニリデン繰り返し単位が72%以上の場合、塩化ビニリデン系樹脂のガラス転移温度が低くフィルムが軟らかく、冬場等の低温環境下での使用時にもフィルムの裂けを低減できるので好ましい。一方、塩化ビニリデン繰り返し単位が93%以下の場合、結晶性の大幅な上昇を抑制し、フィルム延伸時の成形加工性の悪化を抑制できるので好ましい。前記観点から、塩化ビニリデン繰り返し単位を81〜90%含むものがより好ましい。
特に、塩化ビニリデン繰り返し単位を72%以上含むラップフィルムは、夏場等の高温下で保管・流通する際、熱を受けて微結晶が形成・成長し、物理的な劣化が起こりやすく、結果としてフィルム使用時の裂けトラブルが発生しやすい傾向があるため、本発明の構成による効果が顕著である。
塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムの塩化ビニリデン繰り返し単位の比率は、高分解のプロトン核磁気共鳴測定装置(H−NMR:日本電子製α−400)を用いて測定する。ラップフィルムの再沈濾過物を真空乾燥し、5重量%を重水素化テトラヒドロフランに溶解させた溶液を、測定雰囲気温度約27℃にてH−NMR測定する。得られたスペクトル中のテトラメチルシランを基準とした特有の化学シフトを用いて塩化ビニリデン繰り返し単位を計算する。例えば、塩化ビニリデンと塩化ビニルの共重合体では、3.50〜4.20ppm、2.80〜3.50ppm、2.00〜2.80ppmのピークを利用して計算する。
本実施形態の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムにおいて、塩化ビニリデン系樹脂の含有量は、特に制限されないが、89重量%以上が好ましく、より好ましくは93重量%以上である。このような範囲であれば、添加剤等による可塑化効果によってフィルムが伸びやすくなるのを抑制でき、フィルムのカット性が一層高くなるので、好ましい。
本実施形態の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムは、特に制限されないが、前記塩化ビニリデン系樹脂に加えて、必要に応じて、各種添加剤を含有してもよい。
前記添加剤は、特に制限されず、例えば、エポキシ化植物油等の公知の安定剤、及びクエン酸エステルや二塩基酸エステル等の公知の可塑剤等がある。
ラップフィルムから各成分の含有量を測定する方法は分析対象物によって異なる。例えば、塩化ビニリデン系樹脂の含有量は、ラップフィルムの再沈濾過物を真空乾燥し、重量測定して得ることができる。一方、エポキシ化植物油の含有量は、ラップフィルムの再沈濾液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析して得ることができる。また、クエン酸エステル及び二塩基酸エステルの含有量は、アセトン等の有機溶媒を用いてラップフィルムから添加剤を抽出し、ガスクロマトグラフィー分析して得ることができる。
<エポキシ化植物油>
本実施形態のラップフィルムは、エポキシ化植物油を含有することが好ましい。
エポキシ化植物油は、特に制限されないが、一般的に、食用油脂をエポキシ化して製造される。エポキシ化植物油は、塩化ビニリデン系樹脂押出加工用安定剤として作用する。ラップフィルムの色調変化の抑制の点から、本実施形態のラップフィルムは、エポキシ化植物油を含有することが好ましい。
エポキシ化植物油は、特に制限されず、例えば、ESO、エポキシ化アマニ油が挙げられるが、これらのなかでも、ESOは、高温下にラップフィルムを保管した際、化粧箱からのフィルムの引出性悪化を抑制する点で好ましい。
本実施形態のラップフィルムがエポキシ化植物油を含有する場合、その含有量は、特に制限されないが、ラップフィルムの色調変化の抑制、ブリードによるべたつき防止等の点から、0.5〜3重量%が好ましく、1〜2重量%がより好ましい。
本実施形態のラップフィルムがESOを含有する場合も、その含有量は、特に制限されないが、ラップフィルムの色調変化の抑制、ブリードによるべたつき防止等の点から、0.5〜3重量%が好ましく、1〜2重量%がより好ましい。
本実施形態のラップフィルムは、成形加工性等の観点から、クエン酸エステル又は二塩基酸エステルを含有することが好ましい。
<クエン酸エステル>
本実施形態のラップフィルムに用いられるクエン酸エステルは、特に制限されないが、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、ATBC、アセチルクエン酸トリ−n−(2−エチルヘキシル)などがある。これらのなかでも、ATBCは、塩化ビニリデン系樹脂に対する可塑化効果が高く、少量でも十分に樹脂を可塑化し、成形加工性を向上させる点で好ましい。
<二塩基酸エステル>
本実施形態のラップフィルムに用いられる二塩基酸エステルは、特に制限されないが、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジn−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジオクチル等のアジピン酸エステル系;アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、アゼライン酸オクチル等のアゼライン酸エステル系;DBS、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル等のセバシン酸エステル系がある。これらのなかでも、DBSは、塩化ビニリデン系樹脂に対する可塑化効果が高く、少量でも十分に樹脂を可塑化し、成形加工性を向上させる点で好ましい。
前記クエン酸エステルや二塩基酸エステルの合計含有量は、制限されないが、より優れた成形加工性の付与、及び添加剤高含有時のラップフィルムの過剰な密着性防止等の点から、3〜8重量%が好ましく、3.5〜7重量%がより好ましい。
特に、塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムが、クエン酸エステルや二塩基酸エステルを3重量%以上含有する場合、塩化ビニリデン系樹脂の分子鎖の運動性が高くなるため、微結晶の形成や成長等の再配列が発生しやすく、高温下に晒されると物理的に劣化しやすくなり、また、フィルムが伸びやすくなるため切断刃がフィルムに食い込みにくくなり、カット性が低下する傾向にあるため、本発明の構成による効果が顕著である。
<その他の配合物>
本実施形態の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムは、前記エポキシ化植物油、クエン酸エステル、及び二塩基酸エステル以外の配合物(以下、「その他の配合物」という。)、例えば可塑剤、安定剤、耐候性向上剤、染料又は顔料等の着色剤、防曇剤、抗菌剤、滑剤、核剤、ポリエステル等のオリゴマー、MBS(メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体)等のポリマー等を含有してもよい。
前記可塑剤としては、特に制限されないが、具体的には、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、グリセリン、グリセリンエステル、ワックス、流動パラフィン、及びリン酸エステル等が挙げられる。
前記安定剤としては、特に制限されないが、具体的には、2,5−t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4'−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)ブロピオネート、及び4,4'−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)等の酸化防止剤;ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、イソステアリン酸塩、オレイン酸塩、リシノール酸塩、2−エチル−ヘキシル酸塩、イソデカン酸塩、ネオデカン酸塩、及び安息香酸カルシウム等の熱安定剤が挙げられる。
前記耐候性向上剤としては、特に制限されないが、具体的には、エチレン−2−シアノ−3,3'−ジフェニルアクリレート、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾリトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、及び2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤が挙げられる。
前記染料又は顔料等の着色剤としては、特に制限されないが、具体的には、カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン、インドリン、アゾ系顔料、及びベンガラ等が挙げられる。
前記防曇剤としては、特に制限されないが、具体的には、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルコールエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
前記抗菌剤としては、特に制限されないが、具体的には、銀系無機抗菌剤等が挙げられる。
前記滑剤としては、特に制限されないが、具体的には、エチレンビスステロアミド、ブチルステアレート、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、カルナバワックス、ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸ステアリル等の脂肪酸炭化水素系滑剤、高級脂肪酸滑剤、脂肪酸アミド系滑剤、及び脂肪酸エステル滑剤等が挙げられる。
前記核剤としては、特に制限されないが、具体的には、リン酸エステル金属塩等が挙げられる。
前記のその他の配合物の含有量は5重量%以下であることが好ましく、より好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.1重量%以下である。
<ラップフィルムの厚み>
本実施形態のラップフィルムの厚みは、特に制限されないが、6〜18μmが好ましく、9〜12μmがより好ましい。ラップフィルムの厚みが6μm以上の場合、フィルムの引張強度が高く、使用時のフィルム切れを一層抑制できるため、好ましい。また、引裂強度の著しい低下がなく、巻回体からフィルムを引き出す際、及び化粧箱の中に巻き戻ったフィルム端部を摘み出す際、化粧箱付帯の切断刃でカットした端部からフィルムが裂けるトラブルを低減できるため、好ましい。一方、ラップフィルムの厚みが18μm以下の場合、フィルム切断刃でフィルムをカットするのに必要な力を低減でき、カット性が良好であり、また、フィルムが容器形状にフィットしやすく、容器への密着性が向上するため、好ましい。すなわち、フィルム切れのトラブル抑制、カット性、及び密着性を総合して、ラップフィルムの厚みは、6〜18μmが好ましく、9〜12μmがより好ましい。
特に、厚みが6〜18μmのラップフィルムは、引裂強度の著しい低下はないものの、決して十分ではなく、フィルムの裂けトラブルが起こりやすい傾向にあるため、本発明の構成による効果が顕著である。
<引裂強度>
本実施形態のラップフィルムは、TD方向の引裂強度が2〜6cNである。ここで、TD方向とは、巻回体からラップフィルムを引き出す方向に垂直な方向をいう。引裂強度は、後述の方法によって測定される。
本実施形態のラップフィルムは、TD方向の引裂強度が2cN以上であることにより、特に巻回体からラップフィルムを引き出す際の裂けを低減でき、また、ラップフィルム使用時の意図しない裂けトラブルを抑制できる。一方、TD方向の引裂強度が6cN以下であることにより、化粧箱に付帯する鋸刃でフィルムをTD方向にカットする際に裂きやすく、カット性が向上する。TD方向の引裂強度は2.5cN以上4cN以下が好ましい。
本実施形態のラップフィルムのTD方向の引裂強度は、塩化ビニリデン系樹脂の組成、添加剤組成、フィルムの延伸倍率、延伸速度、及びフィルムの厚み等によって調整できる。特に制限されないが、例えば、TD方向の引裂強度はTD方向の延伸倍率を低くしたり、ラップフィルムを厚くすることによって、向上する傾向にあり、TD方向の延伸倍率を高くしたり、ラップフィルムを薄くすることによって、低下する傾向にある。
<引張弾性率>
本実施形態のラップフィルムは、MD方向の引張弾性率が250〜600MPaである。ここで、MD方向とは、巻回体からラップフィルムを引き出す方向をいう。引張弾性率は、後述の方法によって測定される。
本実施形態のラップフィルムは、MD方向の引張弾性率が250MPa以上であることにより、鋸刃でフィルムをカットするために力を加える際、フィルムのMD方向への延びを抑制でき、鋸刃がフィルムに食い込みやすくでき、カット性が向上する。一方、MD方向の引張弾性率が600MPa以下であることにより、フィルムが軟らかく、鋸刃の形状に沿ってフィルムをきれいにカットでき、切断端面に多数の裂け目が発生するのを抑制できる。その結果、巻回体からフィルムを引き出す際、及び化粧箱の中に巻き戻ったフィルム端部を摘み出す際、切断端面からフィルムが裂けるトラブルが発生するのを抑制できる。MD方向の引張弾性率は、350MPa以上550MPa以下が好ましい。
本実施形態のラップフィルムのMD方向の引張弾性率は、塩化ビニリデン系樹脂の組成、添加剤組成、フィルムの延伸倍率、及び延伸速度等によって調整できる。特に制限されないが、例えば、MD方向の引張弾性率は、延伸倍率を高くしたり、添加剤量を低減することによって、向上する傾向にあり、延伸倍率を低くしたり、添加剤量を増加することによって、低下する傾向にある。
<低温結晶化開始温度>
本実施形態のラップフィルムは、温度変調型示差走査熱量計(温度変調型DSC)にて測定される低温結晶化開始温度が40〜60℃である。ここで、低温結晶化開始温度は、温度変調型DSCによる昇温測定で得られる非可逆成分の温度−熱流曲線において、低温結晶化に起因する発熱ピークの補外結晶化開始温度(JIS K7121に記載の補外結晶化開始温度と同様に、昇温測定において低温側のベースラインを高温側に延長した線と、結晶化ピークの低温側の曲線にこう配が最大になる点で引いた接点の交点の温度)をいい、以下の方法により、測定される。
パーキンエルマー社製のDSC(DiamondDSC)を使用し、ステップスキャン測定モードにより、非可逆成分の温度−熱流曲線を得る。前記ステップスキャン測定の条件は、測定温度を0〜180℃、昇温速度を10℃/minとし、昇温ステップ幅を4℃とし、等温時間を1minとする。得られた温度−熱流曲線において、低温結晶化に起因する発熱ピークの補外開始温度を低温結晶化開始温度とする。
従来の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムの低温結晶化開始温度は、60℃を超える。
これに対して、本実施形態のラップフィルムは、低温結晶化開始温度が40〜60℃であり、それによって、ラップフィルムの裂けトラブルを低減できる。
本実施形態のラップフィルムと従来の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムとは、熱を受けた場合の挙動が相違する。
従来のラップフィルムでは、流通時及び倉庫保管時に20℃以上の雰囲気下に長時間晒されると、塩化ビニリデン系樹脂の分子鎖が再配列を起こし、微結晶の形成・成長が起こると考えられる。このような分子鎖の再配列は、製造した塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムの分子鎖の配向やフィルムの応力が十分に緩和していないために発生したと推定される。フィルムが高温に晒されるほど、分子鎖の再配列は起こりやすくなるため、フィルムが物理的に劣化し、裂けトラブルを誘発しやすくなると考えられる。
一方、本実施形態のラップフィルムでは、製造時に十分に塩化ビニリデン系樹脂の分子鎖の配向やフィルムの応力を緩和させることで、低温結晶化開始温度を40〜60℃とし、流通時及び倉庫保管時に20℃以上に長時間晒されても、分子鎖の再配列が起こりにくく、フィルムの劣化、さらには裂けトラブルを抑制する。その結果、カット性を維持しつつも、裂けトラブルを抑制するという背反する課題を同時に達成する。
低温結晶化開始温度は、ラップフィルム製造後の流通・倉庫保管時に高温下に晒されて形成・成長した微結晶の熱安定性を示す指標であり、分子鎖の再配列の程度、すなわち、フィルムの物理的劣化による裂けトラブルの発生しやすさを評価することができる。低温結晶化開始温度が60℃を上回るラップフィルムでは、既に分子鎖の再配列が進行し、フィルム中の物理劣化が起きているため、裂けトラブルの著しい増加が発生する。
一方、本発明者らが検討したところ、ラップフィルム製造後にガラス転移温度以下である−30℃で保管した場合の低温結晶化開始温度は、40℃であった。すなわち、ラップフィルムが製造後に全く熱を受けていないとみなせる場合の低温結晶化開始温度は40℃であり、この温度に近いほど、分子鎖の再配列、さらには、裂けトラブルを抑制できる。そのため、ラップフィルムの低温結晶化開始温度は40〜60℃が好ましく、より好ましくは40〜55℃、さらに好ましくは40〜50℃である。
DSC昇温測定中に結晶化と結晶融解は競争して起こるため、従来のDSC測定方法では微結晶の形成・成長と融解に由来する熱流が相殺されてしまい、微結晶の熱挙動を検討することは難しく、従来のラップフィルムと本実施形態を区別することが困難であった。一方、温度変調型DSCを利用した場合、結晶化等の非可逆成分と結晶融解やガラス転移等の可逆成分の熱流に分離することができ、微結晶の熱挙動を評価することが可能である。
本発明者らは、塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムの裂けトラブルの原因が、流通過程や保管時に受ける熱履歴によるフィルム中に物理劣化にあることを見出し、前記物理劣化によるトラブルの発生のしやすさを、温度変調型DSCを用いて測定される低温結晶化開始温度という新たな指標によって判断できることを見出した。そして、従来のラップフィルムの低温結晶化開始温度が60℃を上回るために裂けトラブルが発生していたことに着目し、鋭意検討した結果、低温結晶化開始温度を40〜60℃に制御することにより、フィルムのカット性を維持しつつ、裂けトラブルを抑制したフィルムを提供することに成功した。
〔塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムの製造方法〕
本実施形態の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムの製造方法は、特に制限されないが、塩化ビニリデン系樹脂組成物を溶融押し出しした後、MD方向及びTD方向に延伸する塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムの製造方法であって、MD方向及びTD方向の延伸倍率を共に4〜6倍とし、MD方向の延伸速度を0.09〜0.12倍/s、TD方向の延伸速度を3.1〜4.0倍/sとし、延伸直後のフィルム緩和比率を7〜15%とし、かつ、延伸後24時間以上5〜19℃で保管する塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムの製造方法を好適に包含する。
以下、本実施形態のラップフィルムの好ましい製造方法について説明する。
まず、塩化ビニリデン系樹脂と、必要に応じて、エポキシ化植物油、クエン酸エステル又は二塩基酸エステルから選ばれる少なくとも一種の化合物と、必要に応じて種々の添加剤とを、リボンブレンダー又はヘンシェルミキサー等で均一に混合させ、24時間熟成させて塩化ビニリデン系樹脂組成物を製造する。その後、図1にラップフィルムの製造工程の一例の概略図を示すように、該樹脂組成物を押出機(1)により溶融させ、ダイ(2)から管状に押出され、ソック(4)が形成される。ソック(4)の外側を冷水槽(6)にて冷水に接触させ、ソック(4)の内部にはソック液(5)を注入することにより、内外から冷却して固化させる。固化されたソック(4)は、第1ピンチロール(7)にて折り畳まれ、パリソン(8)が成形される。
続いて、パリソン(8)の内側にエアを注入することにより、再度パリソン(8)は開口されて管状となる。このとき、ソック(4)内面に表面塗布したソック液(5)はパリソン(8)の開口剤としての効果を発現する。パリソン(8)は、温水により延伸に適した温度まで再加熱される。パリソン(8)の外側に付着した温水は、第2ピンチロール(9)にて搾り取られる。適温まで加熱された管状のパリソン(8)にエアを注入してバブル(10)を成形し、延伸フィルムが得られる。その後延伸フィルムは、第3ピンチロール(11)で折り畳まれ、ダブルプライフィルム(12)となる。ダブルプライフィルム(12)は、巻き取りロール(13)にて巻き取られる。さらに、このフィルムはスリットされて、1枚のフィルムになるように剥がしながら巻き取られ、一時的に1〜3日間原反の状態で保管される。最終的には原反から紙管に巻き返され、化粧箱に詰められることで、化粧箱に収納された塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム巻回体が得られる。
上記記載の第1ピンチロール(7)から第3ピンチロール(11)までの工程が延伸工程であり、第1ピンチロール(7)と第3ピンチロール(11)の回転速度比でMD方向の延伸倍率が決まり、パリソン(8)の延伸温度やバブル(10)の大きさでTD方向の延伸倍率を調整できる。また、第1ピンチロール(7)や第3ピンチロール(11)の回転速度を変更すること、又は、第1ピンチロール(7)と第3ピンチロール(11)の間の距離を変更することにより、パリソン(8)の延伸速度を変更することができる。
延伸速度を遅くすることで、パリソンの延伸性が向上するため、従来塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムでは、MD及びTDの延伸速度をそれぞれ0.08以下、及び3.0以下としていた。
これに対して、結晶化開始温度を40〜60℃に制御した、カット性と裂けトラブルに優れるフィルムは、特に制限されないが、MD方向及びTD方向の延伸倍率を、延伸温度30〜45℃条件下において、共に4〜6倍とし、MD方向の延伸速度を、0.09〜0.12倍/s、TD方向の延伸速度を3.1〜4.0倍/sとすることにより、好適に製造できる。
ここで、MD方向とは、フィルムの流れ方向であり、ラップフィルムとしたときに、巻回体からラップフィルムを引き出す方向をいい、TD方向とは、前記MD方向と垂直な方向であり、ラップフィルムとしたときに、巻回体からラップフィルムを引き出す方向に垂直な方向をいう。
また、MD方向の延伸倍率は、パリソン(8)をMD方向に伸ばした延伸比をいい、例えば、図1においては、第1ピンチロール(7)の回転速度に対する第3ピンチロール(11)の回転速度の比によって算出できる。TD方向の延伸倍率は、パリソン(8)をTD方向に伸ばした延伸比をいい、例えば、図1においては、パリソン(8)の幅の長さに対するダブルプライフィルム(12)の幅の長さの比によって算出できる。MD方向の平均延伸速度は、パリソンが第1ピンチロール(7)と第3ピンチロール(11)の間を通過する時間に対するMD方向への延伸倍率をいい、例えば、図1においては、第1ピンチロール(7)の回転速度、第3ピンチロール(11)の回転速度、及びパリソン(8)が第1ピンチロール(7)と第3ピンチロール(11)間を通過するのに要する時間によって算出できる。TD方向の平均延伸速度は、パリソン(8)がバブル(10)まで膨らむのに要する時間に対するTD方向への延伸倍率をいい、例えば、図1においては、パリソン(8)及びバブル(10)の静止画像を利用して測定した延伸長と第3ピンチロール(11)の回転速度から算出したTD方向の延伸に要する時間と、TD方向の延伸倍率から算出できる。
一方、第3ピンチロール(11)より巻き取りロール(13)の回転速度を遅くすることで、延伸フィルムを緩和させることができる。一般的に、延伸後に赤外ヒーター等の熱を利用してフィルムを緩和させる場合があるが、本実施形態のラップフィルムを製造する場合、熱によりフィルムの裂けの原因である微結晶の形成・成長が起こり、結晶化開始温度は60℃を超えてしまう。そのため、緩和時の雰囲気温度を25〜32℃に設定することが好ましい。
フィルムの緩和比率は、制限されないが、7〜15%が好ましい。
ここで、緩和比率とは、第3ピンチロール(11)と巻き取りロール(13)間でダブルプライフィルム(12)を収縮させた比率をいい、例えば図1の場合、第3ピンチロール(11)の回転速度に対する巻き取りロール(13)の比率を利用して算出できる。
フィルムの緩和比率が15%以下であることは、第3ピンチロール(11)と巻き取りロール(13)間でフィルムの弛み発生し、フィルムにシワが発生するのを抑制できる観点から、好ましい。一方、緩和比率が7%以上の場合、フィルムを十分に緩和し、高温に晒される場合であっても、分子鎖の再配列が発生するのを抑制し、低温結晶化開始温度を60℃以下とでき、裂けトラブルを低減できる観点から、好ましい。
フィルムをスリットした後、原反の状態で保管する条件は、特に制限されないが、延伸後24時間以上5〜19℃で保管することが好ましい。特に、保管の際の雰囲気温度は、フィルム裂けトラブル増加を誘発する微結晶の形成・成長を抑制する点で重要となる。原反の保管場所は、フィルムの製造工程に隣接していたり、温調管理されていない等のため、比較的高温下であることが多い。スリット原反保管時の雰囲気温度が19℃以下であることは、分子鎖の再配列によるフィルムの物理劣化を抑制でき、巻回体からフィルムを引き出す際、及び化粧箱の中に巻き戻ったフィルム端部を摘み出す際、化粧箱付帯の切断刃でカットした端部からフィルムが裂けやすくなるのを抑制できるので、好ましい。
一方、スリット原反保管時の雰囲気温度が5℃以上であることは、フィルムを十分に緩和し、その後の流通・保管時に20℃以上に晒された場合、分子鎖の再配列が起こりにくくする観点から好ましい。
そのため、スリット原反を24時間以上、5〜19℃で保管することが好ましく、これにより、微結晶の形成・成長を抑制しつつ、非晶部の分子鎖を配向緩和させたフィルムが得られる。原反保管時に分子鎖の配向を緩和させることにより、フィルムの流通及び保管時に高温下に晒されても微結晶が形成・成長しにくくなり、裂けトラブルを抑制することができる。
スリット原反は、保管後、特に制限されないが、例えば紙管等に巻き返され、巻回体(16)として、図2に示すようなフィルム切断刃(15)を備える化粧箱(14)に収納される。図2に例示するように、ラップフィルム(17)は、使用時に引き出されて使用される。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。実施例及び比較例で用いた評価方法は、以下の通りである。
(測定方法)
1.塩化ビニリデン繰り返し単位の含有量
塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムの塩化ビニリデン繰り返し単位の比率は、高分解のプロトン核磁気共鳴測定装置(H−NMR:日本電子製α−400)を用いて測定した。ラップフィルムの再沈濾過物を真空乾燥し、5重量%を重水素化テトラヒドロフランに溶解させた溶液を、測定雰囲気温度約27℃にてH−NMR測定した。塩化ビニリデンと塩化ビニルの共重合体に関しては、テトラメチルシランを基準とした前記共重合体の3.50〜4.20ppm、2.80〜3.50ppm、2.00〜2.80ppmのピークを利用して塩化ビニリデン繰り返し単位の含有量を計算した。
2.フィルムの厚み
ラップフィルムの出荷後の流通、及び家庭での保管を想定し、作製後のラップフィルムを28℃に設定した恒温槽にて1ヶ月間保管した後、ラップフィルムの厚みを測定した。測定にはダイアルゲージ(テクロック社製)を利用し、23℃、50%RHの雰囲気中で行った。
3.引裂強度
ラップフィルムの出荷後の流通、及び家庭での保管を想定し、作製後のラップフィルムを28℃に設定した恒温槽にて1ヶ月間保管した後、測定を実施した。測定は軽荷重引裂試験機(東洋精機製)を使用し、23℃、50%RHの雰囲気中にて評価した。JIS−P−8116記載の方法に準拠して、ラップフィルムの引裂強度を測定した。
4.引張弾性率
ラップフィルムの出荷後の流通、及び家庭での保管を想定し、作製後のラップフィルムを28℃に設定した恒温槽にて1ヶ月間保管した後、測定を実施した。測定はオートグラフAG−IS(島津製作所製)を使用し、23℃、50%RHの雰囲気中にて評価した。ASTM−D−882に記載の方法に準拠し、5mm/minの引張速度、チャック間距離100mmの条件で2%伸長時の荷重から引張弾性率を測定した。
5.低温結晶化開始温度
測定サンプルは、ラップフィルムの出荷後の流通、及び家庭での保管を想定し、作製後のラップフィルムを28℃に設定した恒温槽にて1ヶ月間保管したものを使用した。測定は、パーキンエルマー社製のDSC(DiamondDSC)を使用し、ステップスキャン測定モード(サンプル重量:6mg、サンプルパン材質:アルミ製、測定温度:0〜180℃、昇温速度:10℃/min、昇温ステップ幅:4℃、等温時間:1min)を利用した。空のアルミ製サンプルパンについても前記条件にて測定し、ラップフィルムの温度−熱流曲線の補正を行った。補正後の温度−熱流曲線の非可逆成分において、低温結晶化に起因する発熱が開始する温度を低温結晶化開始温度とした。
(評価方法)
6.裂けトラブル抑制効果
ラップフィルムの出荷後の流通、及び家庭での保管を想定し、製膜直後のラップフィルムを28℃に設定した恒温槽にて1ヶ月間保管した後、裂けトラブル抑制効果を評価した。
評価は23℃、相対湿度50%RHの雰囲気中で行なった。評価者として、日常食品包装用ラップフィルムを使用する100人を選出し、評価者それぞれに、化粧箱に収納された幅22cmの巻回体からフィルムを1m引き出した後、化粧箱に付帯するブリキ製のフィルム切断刃でカットする一連の作業を20回ずつ実施してもらい、巻回体からフィルムを引き出す際、及び化粧箱の中にフィルム端部が巻き戻った場合はフィルムを摘み出す際に裂けが発生し、スムーズにフィルムが引き出せなかった頻度を評価した。
フィルムの裂けトラブル抑制効果は、以下の5段階で評価した。
評価記号 トラブル発生率(%) 判定
◎ 3未満 トラブルがほとんどなく、使い勝手に非常に優れる
○ 3以上6未満 トラブルが少なく、使い勝手に優れる
● 6以上9未満 トラブルがあまりなく、使い勝手が良い
△ 9以上15未満 トラブルがやや多く、使い勝手が悪い
× 15以上 トラブルが非常に多く、使い勝手が非常に悪い
7. カット性
裂けトラブル抑制効果と同様に、出荷後の流通、及び家庭での保管を想定し、製膜直後の巻回体を28℃に設定した恒温槽にて1ヶ月間保管した後、フィルムのカット性を評価した。
評価は23℃、相対湿度50%RHの雰囲気中で行なった。評価者として、日常食品包装用ラップフィルムを使用する100人を選出し、評価者それぞれに、化粧箱に収納された幅22cmの巻回体からフィルムを50cm引き出した後、化粧箱に付帯するブリキ製のフィルム切断刃でフィルムをカットし、カットのしやすさについて1人3点で評価してもらい、100人の合計点を評価した。各評価者の評点に関して、3点をカット性が大変良い、2点をカット性が良い、1点をカット性が悪い、0点をカット性が非常に悪いとした。
カット性は、100人の合計点をもとに、以下の4段階で評価した。
評価記号 合計点(点) 判定
◎ 250以上 非常に容易に、かつ、スムーズにカットできる
○ 200以上250未満 容易に、かつ、スムーズにカットできる
● 150以上200未満 比較的容易にフィルムをカットできる
× 150未満 カットに力が必要であり、カット性が悪い
[実施例1]
重量平均分子量90,000の塩化ビニリデン系樹脂(塩化ビニリデン繰り返し単位が85%、塩化ビニル繰り返し単位が15%)、ATBC(アセチルクエン酸トリブチル、田岡化学工業(株))、ESO(ニューサイザー510R、日本油脂(株))をそれぞれ93.4重量%、5.5重量%、及び1.1重量%の割合で混ぜたもの合計5kgを、ヘンシェルミキサーにて5分間混合させ、24時間以上熟成して塩化ビニリデン系樹脂組成物を得た。
上記の塩化ビニリデン系樹脂組成物を溶融押出機に供給して溶融し、押出機の先端に取り付けられた環状ダイでのスリット出口での溶融樹脂温度が170℃になるように押出機の加熱条件を調節しながら、環状に10kg/hrの押出速度で押出した。これを過冷却した後、インフレーション延伸によって、MD方向は平均延伸速度0.11倍/sで4.1倍に延伸し、TD方向は平均延伸速度3.5倍/sで5.6倍に延伸して筒状フィルムとした。この筒状フィルムをニップして扁平に折り畳んだ後、ニップロールと巻き取りロールの速度比の制御によって、MD方向にフィルムを10%緩和させ、折幅280mmの2枚重ねのフィルムを巻取速度18m/minにて巻き取った。このフィルムを、220mmの幅にスリットし、1枚のフィルムに剥がしながら外径92mmの紙管に巻き直した。その後、30時間の間15℃で保管し、外径36mm、長さ230mmの紙管に20m巻き取ることで、ラップフィルムの巻回体を得た。
得られたラップフィルムの物性を前記測定方法によって測定したところ、低温結晶化開始温度が49℃、厚みが11μm、TD方向の引裂強度が2.9cN、MD方向の引張弾性率が530MPaであった。前記方法により、裂けトラブル抑制効果とカット性を評価した。結果を表1に示す。
[実施例2]
MD方向、TD方向それぞれの平均延伸速度を0.10倍/s、3.2倍/sにすること以外は、実施例1と同様の方法で作製することで、ラップフィルムの巻回体を得た。得られたラップフィルムの物性を前記測定方法によって測定したところ、低温結晶化開始温度が47℃、厚みが11μm、TD方向の引裂強度が3.0cN、MD方向の引張弾性率が520MPaであった。前記方法により、裂けトラブル抑制効果とカット性を評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例3]
MD方向、TD方向それぞれの平均延伸速度を0.12倍/s、3.8倍/sにすること以外は、実施例1と同様の方法で作製することで、ラップフィルムの巻回体を得た。得られたラップフィルムの物性を前記測定方法によって測定したところ、低温結晶化開始温度が52℃、厚みが11μm、TD方向の引裂強度が2.4cN、MD方向の引張弾性率が530MPaであった。前記方法により、裂けトラブル抑制効果とカット性を評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例4]
インフレーション延伸後のMD方向のフィルム緩和比率を8%にすること以外は、実施例1と同様の方法で作製することで、ラップフィルムの巻回体を得た。得られたラップフィルムの物性を前記測定方法によって測定したところ、低温結晶化開始温度が53℃、厚みが11μm、TD方向の引裂強度が2.8cN、MD方向の引張弾性率が540MPaであった。前記方法により、裂けトラブル抑制効果とカット性を評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例5]
インフレーション延伸後のMD方向のフィルム緩和比率を14%にすること以外は、実施例1と同様の方法で作製することで、ラップフィルムの巻回体を得た。得られたラップフィルムの物性を前記測定方法によって測定したところ、低温結晶化開始温度が43℃、厚みが11μm、TD方向の引裂強度が2.9cN、MD方向の引張弾性率が510MPaであった。前記方法により、裂けトラブル抑制効果とカット性を評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例6]
スリット後の30時間の間8℃で保管すること以外は、実施例1と同様の方法で作製することで、ラップフィルムの巻回体を得た。得られたラップフィルムの物性を前記測定方法によって測定したところ、低温結晶化開始温度が45℃、厚みが11μm、TD方向の引裂強度が3.0cN、MD方向の引張弾性率が510MPaであった。前記方法により、裂けトラブル抑制効果とカット性を評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例7]
押出速度を6kg/hrに変更することによって最終フィルム厚みを5μmにすること以外は、実施例1と同様の方法で作製することで、ラップフィルムの巻回体を得た。得られたラップフィルムの物性を前記測定方法によって測定したところ、低温結晶化開始温度が49℃、厚みが5μm、TD方向の引裂強度が2.1cN、MD方向の引張弾性率が530MPaであった。前記方法により、裂けトラブル抑制効果とカット性を評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例8]
押出速度を18kg/hrに変更することによって最終フィルム厚みを20μmにすること以外は、実施例1と同様の方法で作製することで、ラップフィルムの巻回体を得た。得られたラップフィルムの物性を前記測定方法によって測定したところ、低温結晶化開始温度が49℃、厚みが20μm、TD方向の引裂強度が5.2cN、MD方向の引張弾性率が530MPaであった。前記方法により、裂けトラブル抑制効果とカット性を評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例9]
ATBCの代わりにDBS(セバシン酸ジブチル、田岡化学工業(株))を9.0重量%使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で作製することで、ラップフィルムの巻回体を得た。得られたラップフィルムの物性を前記測定方法によって測定したところ、低温結晶化開始温度が53℃、厚みが11μm、TD方向の引裂強度が4.3cN、MD方向の引張弾性率が320MPaであった。前記方法により、裂けトラブル抑制効果とカット性を評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例10]
ATBCの添加量を2.8重量%、及びESOの添加量を1.5重量%に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で作製することで、ラップフィルムの巻回体を得た。得られたラップフィルムの物性を前記測定方法によって測定したところ、低温結晶化開始温度が48℃、厚みが11μm、TD方向の引裂強度が2.4cN、MD方向の引張弾性率が580MPaであった。前記方法により、裂けトラブル抑制効果とカット性を評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
MD方向、TD方向それぞれの平均延伸速度を0.14倍/s、4.3倍/sにすること以外は、実施例1と同様の方法で作製することで、ラップフィルムの巻回体を得た。得られたラップフィルムの物性を前記測定方法によって測定したところ、低温結晶化開始温度が64℃、厚みが11μm、TD方向の引裂強度が1.8cN、MD方向の引張弾性率が540MPaであった。前記方法により、裂けトラブル抑制効果とカット性を評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例2]
インフレーション延伸後のMD方向のフィルム緩和比率を5%にすること以外は、実施例1と同様の方法で作製することで、ラップフィルムの巻回体を得た。得られたラップフィルムの物性を前記測定方法によって測定したところ、低温結晶化開始温度が64℃、厚みが11μm、TD方向の引裂強度が2.7cN、MD方向の引張弾性率が560MPaであった。前記方法により、裂けトラブル抑制効果とカット性を評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例3]
スリット後の30時間の間0℃で保管し、その後28℃で24時間保管すること以外は、実施例1と同様の方法で作製することで、ラップフィルムの巻回体を得た。得られたラップフィルムの物性を前記測定方法によって測定したところ、低温結晶化開始温度が66℃、厚みが11μm、TD方向の引裂強度が3.0cN、MD方向の引張弾性率が530MPaであった。前記方法により、裂けトラブル抑制効果とカット性を評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例4]
スリット後の30時間の間25℃で保管すること以外は、実施例1と同様の方法で作製することで、ラップフィルムの巻回体を得た。得られたラップフィルムの物性を前記測定方法によって測定したところ、低温結晶化開始温度が63℃、厚みが11μm、TD方向の引裂強度が3.1cN、MD方向の引張弾性率が530MPaであった。前記方法により、裂けトラブル抑制効果とカット性を評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例5]
MD方向、TD方向それぞれの平均延伸速度を0.07倍/s、2.5倍/sとし、インフレーション延伸後のMD方向のフィルム緩和比率を6%とすること以外は、実施例1と同様の方法で作製することで、ラップフィルムの巻回体を得た。得られたラップフィルムの物性を前記測定方法によって測定したところ、低温結晶化開始温度が63℃、厚みが11μm、TD方向の引裂強度が3.3cN、MD方向の引張弾性率が510MPaであった。前記方法により、裂けトラブル抑制効果とカット性を評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例6]
特開2011−168750号公報の実施例2のように、MD方向に平均0.08倍/sで3.1倍延伸し、TD方向に3.2倍/sで4.9倍延伸し、インフレーション延伸後のMD方向のフィルム緩和比率を3%とし、かつ、スリット後の保管温度を22℃とすることで、ラップフィルムの巻回体を得た。得られたラップフィルムの物性を前記測定方法によって測定したところ、低温結晶化開始温度が66℃、TD方向の引裂強度が3.8cN、MD方向の引張弾性率が480MPa、厚みが10μmであった。前記方法により、裂けトラブル抑制効果とカット性を評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例7]
特開2008−074955号公報の実施例1のように、MD方向に平均0.07倍/sで5.5倍延伸し、TD方向に2.8倍/sで5.3倍延伸し、インフレーション延伸後のMD方向のフィルム緩和比率を3%とし、かつ、スリット後の保管温度を22℃とすることで、ラップフィルムの巻回体を得た。得られたラップフィルムの物性を前記測定方法によって測定したところ、低温結晶化開始温度が70℃、TD方向の引裂強度が3.1cN、MD方向の引張弾性率が520MPa、厚みが10μmであった。前記方法により、裂けトラブル抑制効果とカット性を評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例8]
ATBCの代わりにDBSを11.0重量%使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で作製することで、ラップフィルムの巻回体を得た。得られたラップフィルムの物性を前記測定方法によって測定したところ、低温結晶化開始温度が56℃、厚みが11μm、TD方向の引裂強度が5.5cN、MD方向の引張弾性率が210MPaであった。前記方法により、裂けトラブル抑制効果とカット性を評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例9]
ATBCの添加量を1.5重量%、及びESOの添加量を1.5重量%としたこと以外は、実施例1と同様の方法で作製することで、ラップフィルムの巻回体を得た。得られたラップフィルムの物性を前記測定方法によって測定したところ、低温結晶化開始温度が47℃、厚みが11μm、TD方向の引裂強度が2.1cN、MD方向の引張弾性率が720MPaであった。前記方法により、裂けトラブル抑制効果とカット性を評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例10]
ATBCの代わりにDBSを9.0重量%使用し、かつ、押出速度を18kg/hrに変更することによって最終フィルム厚みを20μmにすること以外は、実施例1と同様の方法で作製することで、ラップフィルムの巻回体を得た。得られたラップフィルムの物性を前記測定方法によって測定したところ、低温結晶化開始温度が53℃、TD方向の引裂強度が7.2cN、MD方向の引張弾性率が320MPaであった。前記方法により、裂けトラブル抑制効果とカット性を評価した。評価結果を表1に示す。
本発明のラップフィルムは、巻回体からのフィルム引き出し時、及び化粧箱の中に巻き戻ったフィルム端部の摘み出し時の裂けトラブルが低減され、使い勝手が改善されており、しかも、フィルム切断時のカット性に優れるものなので、食品包装用、及び調理用等の用途として広く且つ有効に利用可能である。
1 押出機
2 ダイ
3 ダイ口
4 管状の塩化ビニリデン系共重合体組成物
5 ソック液(インフレーション成形用剥離剤)
6 冷水槽
7 第1ピンチロール
8 パリソン
9 第2ピンチロール
10 バブル
11 第3ピンチロール
12 ダブルプライフィルム
13 巻き取りロール
14 化粧箱
15 フィルム切断刃
16 巻回体
17 ラップフィルム

Claims (3)

  1. TD方向の引裂強度が2〜6cNであり、かつ、MD方向の引張弾性率が250〜600MPaである塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムであって、温度変調型示差走査熱量計にて測定される低温結晶化開始温度が40〜60℃である、塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム。
  2. 塩化ビニリデン繰り返し単位を72〜93%含有するポリ塩化ビニリデン系樹脂に対して、エポキシ化植物油を0.5〜3重量%、クエン酸エステル及び二塩基酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を3〜8重量%含有し、かつ、厚みが6〜18μmである、請求項1に記載の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム。
  3. 塩化ビニリデン系樹脂組成物を溶融押し出しした後、MD方向及びTD方向に延伸する塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムの製造方法であって、MD方向及びTD方向の延伸倍率を共に4〜6倍とし、MD方向の未延伸状態単位長さ当たりの延伸速度を0.09〜0.12倍/s、TD方向の未延伸状態単位長さ当たりの延伸速度を3.1〜4.0倍/sとし、延伸直後のフィルム緩和比率を7〜15%とし、かつ、延伸後24時間以上5〜19℃で保管する、請求項1又は2に記載の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムの製造方法。
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