JP2011162641A - フィルムコート剤、ラップフィルム及び該ラップフィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物を含むフィルムの表面に塗布するフィルムコート剤であって、アルコールを含み、前記フィルムとの接触角が10〜25°であり、かつ20℃での蒸気圧が5〜1000Paである、フィルムコート剤。
【選択図】なし
Description
〔1〕
ポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物を含むフィルムの表面に塗布するフィルムコート剤であって、
アルコールを含み、
前記フィルムとの接触角が10〜25°であり、かつ20℃での蒸気圧が5〜1000Paである、フィルムコート剤。
〔2〕
ソック液である〔1〕に記載のフィルムコート剤。
〔3〕
前記アルコールは、プロピレングリコール、イソプロパノール、1−ブタノール、1−オクタノール、ジプロピレングリコール、及びトリプロピレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である、〔1〕又は〔2〕に記載のフィルムコート剤。
〔4〕
ポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物を含むフィルムと、
前記フィルムの少なくとも一方の表面に塗布された〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載のフィルムコート剤と、
を含むラップフィルム。
〔5〕
前記フィルム及び前記フィルムコート剤の合計量に対する、前記フィルムコート剤の塗布量が、500〜5000ppmである、〔4〕に記載のラップフィルム。
〔6〕
溶融した塩化ビニリデン系樹脂組成物をダイから管状に押出して、管状の押出物を得る工程と、
前記押出物の中空部に、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載のフィルムコート剤を含む液体を貯留し、かつ前記押出物の外側表面を冷媒により冷却する、冷却固化工程と、
冷却固化された前記押出物をインフレーションする工程と、
を含むラップフィルムの製造方法。
本実施の形態のフィルムコート剤は、ポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物を含むフィルムの表面を塗布するフィルムコート剤であって、アルコールを含み、前記フィルムとの接触角が10〜25°であり、かつ20℃での蒸気圧が5〜1000Paである。
本実施の形態のラップフィルムは、ポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物を含むフィルムと、前記フィルムの少なくとも一方の表面に塗布された前記フィルムコート剤と、を含む。ポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物を含むフィルムの表面に、本実施の形態のフィルムコート剤を塗布することで、ラップフィルムを得ることができる。ここで、「塗布」とは、フィルムの少なくとも一方の表面を塗布していればよい。そして、本実施の形態ではフィルム表面を完全に覆う必要は必ずしもなく、本実施の形態の効果を奏する程度にフィルム表面に塗布されていれば足りるものであり、後述する製法の作業効率やコスト等の観点から、適宜に決定することもできる。
サンプル(塗布後のフィルム)を採取し、細かく切り、約2g秤量し、栓付き三角フラスコに入れ、ホールピペットにて精秤されたメタノール20mLを加えて栓をし、ウォーターバスで60℃×1時間熱抽出する。得られた抽出液をガスクロマトグラフィーにかけ、サンプル及び上記抽出液の質量の値から、当該液体の塗布量を百万分の1質量分率(ppm)で算出する。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物を含むラップフィルムの製造方法は、種々の方法を採用することができるが、通常、インフレーション製膜法が採用されている。ここで、インフレーション製膜法の一例について以下説明する。
溶融した塩化ビニリデン系樹脂組成物をダイから管状に押出して、管状の押出物を得る工程と、
前記押出物の中空部に、本実施の形態のフィルムコート剤を含む液体を貯留し、かつ前記押出物の外側表面を冷媒により冷却する、冷却固化工程と、
冷却固化された前記押出物をインフレーションする工程と、
を含む。
フィルムへの接触角は、23℃・50%RHの雰囲気中で測定した。ガラス板に張った製造直後のフィルム表面を水で洗い自然乾燥させた後、高さ5mmから22ゲージのマイクロシリンジに入った溶液を3μL滴下した。滴下から5秒後の接触角を、自動接触角計Easy Drop(KRUSS社製)にて測定した。
単体の蒸気圧は、Swietoslawskiのエブリオメーターを用いた沸点法によって測定した値を用いた。混合物の蒸気圧は構成成分の単体での蒸気圧とモル分率から算出した値を用いた。
粘度は、JIS K7117−2に基づき、VISCOMETER TV−22(東機産業社製)にて測定した。
サンプル(図1において、巻き取りロール(13)にて巻き取った後の延伸フィルム)を採取し、細かく切り約2g秤量し、栓付き三角フラスコに入れ、ホールピペットにて精秤されたメタノール20mLを加えて栓をした。そして、ウォーターバスで60℃×1時間熱抽出した。得られた抽出液を、溶媒にメタノール、カラムにDB−WAXを用いてガスクロマトグラフ(HP6890、ヒューレットパッカード社製)にかけて、サンプル及び上記抽出液中の当該液体の質量の値から、当該液体の塗布量を百万分の1質量分率(ppm)で算出した。
ラップフィルムを家庭で使用することを想定し、ラップフィルム同士の密着性を評価した。測定は23℃、50%RHの雰囲気中で行なった。製造直後のラップフィルムと、40℃の高温槽で1週間保管したラップフィルムについて、以下に示す方法で密着仕事量の測定を行った。
まず、底面積25cm2、高さ55mm、重さ400gのアルミ製の治具を2個用意し、双方の治具の底面に、底面積と同面積の濾紙を貼り付けた。濾紙を貼り付けた治具の底面に皺が入らないようにラップフィルムを被せて輪ゴムで抑えて固定した。このラップフィルムを被せた2個の治具を、ラップフィルムを被せた側の底面が重なり合うように合わせて、荷重500gで1分間圧着した。次いで、引張圧縮試験機にて、5mm/分の速度で、双方のラップフィルム面を面に垂直に引き剥がすときに必要な仕事量を測定した(単位:mJ/25cm2)。
ラップフィルムを家庭で使用することを想定し、紙管巻きラップフィルムの引出性を評価した。測定は23℃、50%RHの雰囲気中で行なった。製造直後のラップフィルムと40℃の高温槽で1週間保管したラップフィルムについて以下に示す方法で引出力の測定を行った。
30cm幅にスリットしたラップフィルムを、外径36.6mmの紙管に20mの長さで巻かれたものを用いた。まず、紙管巻きラップフィルムを、フィルムを巻き解く際に必要な力のみ測定できるように、引張圧縮試験機の下部治具に固定した。そして、ラップフィルムの先端を引張試験機の上部治具に固定し、1000mm/分の速度でフィルムを巻きほどく際に必要な力を測定した(単位:cN/30cm幅)。
ラップフィルムを家庭で使用することを想定し、ラップフィルムの透明性を評価した。測定は23℃、50%RHの雰囲気中で行なった。製造直後のラップフィルムと、40℃の高温槽で1週間保管したラップフィルムについて、以下に示す方法でHAZEの測定を行った。
JIS K7136に準じ、紙管巻きラップフィルムを巻き解いて10秒後のHAZE値を濁度計(日本電色工業社製)にて測定した(単位:%)。
重量平均分子量9万のポリ塩化ビニリデン樹脂(塩化ビニリデン成分が90質量%、塩化ビニル成分が10質量%)、アセチルクエン酸トリブチル(ATBC、旭化成ファインケム社製)、エポキシ化大豆油(ESO、日油社製、ニューサイザー510R)、を、それぞれ93.4質量%、5.3質量%、1.3質量%の割合で混合して、ポリ塩化ビニリデン樹脂組成物を得た。円形ダイの出口の温度が170℃になるよう押出機の加熱条件を調節しながら、ポリ塩化ビニリデン樹脂組成物を溶融押出機にて10.5kg/hrで溶融押出して、ソックとした。得られたソック内に、プロピレングリコール(PG、三井武田ケミカル社製)とイソプロパノール(IPA、関東化学社製)を体積比で80%/20%で混合した液体(フィルムとの接触角10°、蒸気圧860Pa、粘度13mPa・s;ソック液)を注入した。これにより、パリソンを過冷却した後、インフレーション延伸して筒状フィルムとした。このとき、第1ピンチロールのピンチ圧により混合液の塗布量を制御した。この筒状フィルムをピンチして扁平に折り畳み、折幅280mm、厚み10μmの2枚重ねフィルムを巻取り速度16m/分で巻き取った。
ソック内に、PGと1−ブタノール(以下、BtOHという。関東化学社製)を体積比で90%/10%で混合した液体(フィルムとの接触角22°、蒸気圧60Pa、粘度16mPa・s;ソック液)を注入した以外は、実施例1と同様にして、厚み10μmの巻回ラップフィルムを製造した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
ソック内に、PGとBtOHを体積比で80%/20%で混合した液体(フィルムとの接触角10°、蒸気圧110Pa、粘度13mPa・s;ソック液)を注入した以外は、実施例1と同様にして、厚み10μmの巻回ラップフィルムを製造した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
ソック内に、PGと1−オクタノール(以下、OcOHという。関東化学社製)を体積比で80%/20%で混合した液体(フィルムとの接触角10°、蒸気圧12Pa、粘度17mPa・s;ソック液)を注入した以外は、実施例1と同様にして、厚み10μmの巻回ラップフィルムを製造した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
ソック内に、PGとOcOHを体積比で50%/50%で混合した液体(フィルムとの接触角10°、蒸気圧17Pa、粘度13mPa・s)を注入した以外は、実施例1と同様にして、厚み10μmの巻回ラップフィルムを製造した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
ソック内にPGとジプロピレングリコール(以下、DPGという。旭硝子社製)を体積比で50%/50%で混合した液体(フィルムとの接触角22°、蒸気圧7Pa、粘度37mPa・s)を注入した以外は、実施例1と同様にして、厚み10μmの巻回ラップフィルムを製造した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
ソック内にPGとトリプロピレングリコール(以下、TPGという。旭硝子社製)を体積比で50%/50%で混合した液体(フィルムとの接触角21°、蒸気圧8Pa、粘度30mPa・s)を注入した以外は、実施例1と同様にして厚み10μmの巻回ラップフィルムを製造した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
ソック内にPG(フィルムとの接触角30°、蒸気圧11Pa、粘度20mPa・s)を注入した以外は、実施例1と同様にして、厚み10μmの巻回ラップフィルムを製造した。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
ソック内にDPG(フィルムとの接触角10°、蒸気圧1Pa、粘度78mPa・s)を注入した以外は、実施例1と同様にして、厚み10μmの巻回ラップフィルムを製造した。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
ソック内にBG(関東化学社製)(フィルムとの接触角40°、蒸気圧8Pa、粘度90mPa・s)を注入した以外は、実施例1と同様にして、厚み10μmの巻回ラップフィルムを製造した。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
ソック内にグリセリン(関東化学社製)(フィルムとの接触角72°、蒸気圧<1Pa、粘度940mPa・s)を注入した以外は、実施例1と同様にして、厚み10μmの巻回ラップフィルムを製造した。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
ソック内にPGとIPAを体積比で70%/30%で混合した液体(フィルムとの接触角10°、蒸気圧1300Pa、粘度10mPa・s)を注入した以外は、実施例1と同様にして厚み10μmの巻回ラップフィルムを製造した。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
ソック内にPGとIPAを体積比で50%/50%で混合した液体(フィルムとの接触角10°、蒸気圧2200Pa、粘度7mPa・s)を注入した以外は、実施例1と同様にして厚み10μmの巻回ラップフィルムを製造した。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
ソック内にOcOH(フィルムとの接触角<10°、蒸気圧30Pa、粘度7mPa・s)を注入した以外は、実施例1と同様にして厚み10μmの巻回ラップフィルムを製造した。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
ソック内にポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレート(P20−SMO、花王製レオドールTW−O120V)と水を体積比で0.5%/99.5%で混合した液体(フィルムとの接触角59°、蒸気圧2300Pa、粘度1mPa・s)を注入した以外は、実施例1と同様にして、厚み10μmの巻回ラップフィルムを製造した。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
ソック内に流動パラフィン(松村石油研究所製スモイルP−70S)(フィルムとの接触角10°、蒸気圧<1Pa、粘度10mPa・s)と水を注入した以外は、実施例1と同様にして、厚み10μmの巻回ラップフィルムを製造した。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
2 円形ダイ
3 ダイ口
4 管状の塩化ビニリデン系樹脂組成物(ソック)
5 ソック液
6 冷水槽
7 第1ピンチロール
8 パリソン
9 第2ピンチロール
10 バブル
11 第3ピンチロール
12 ダブルプライフィルム
13 巻取りロール
Claims (6)
- ポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物を含むフィルムの表面に塗布するフィルムコート剤であって、
アルコールを含み、
前記フィルムとの接触角が10〜25°であり、かつ20℃での蒸気圧が5〜1000Paである、フィルムコート剤。 - ソック液である請求項1に記載のフィルムコート剤。
- 前記アルコールは、プロピレングリコール、イソプロパノール、1−ブタノール、1−オクタノール、ジプロピレングリコール、及びトリプロピレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である、請求項1又は2に記載のフィルムコート剤。
- ポリ塩化ビニリデン系樹脂組成物を含むフィルムと、
前記フィルムの少なくとも一方の表面に塗布された請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルムコート剤と、
を含むラップフィルム。 - 前記フィルム及び前記フィルムコート剤の合計量に対する、前記フィルムコート剤の塗布量が、500〜5000ppmである、請求項4に記載のラップフィルム。
- 溶融した塩化ビニリデン系樹脂組成物をダイから管状に押出して、管状の押出物を得る工程と、
前記押出物の中空部に、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルムコート剤を含む液体を貯留し、かつ前記押出物の外側表面を冷媒により冷却する、冷却固化工程と、
冷却固化された前記押出物をインフレーションする工程と、
を含むラップフィルムの製造方法。
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