JP4255690B2 - ポリ塩化ビニリデン樹脂ラップフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

ポリ塩化ビニリデン樹脂ラップフィルムおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として家庭における食品包装用ラップに用いるポリ塩化ビニリデン樹脂からなるラップフィルムと、その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
飲食店、食品販売店等の食品に関する業務や一般家庭において、食品を保存するために、ポリ塩化ビニリデン樹脂からなるラップフィルムは広く使用されている。このフィルムの特徴は、ポリオレフィン樹脂等の他素材からなるラップフィルムに比べて、密着性、カット性、酸素ガスバリア性、水分バリア性等に優れていることであり、それらの特徴を生かして広く市場に浸透している。
このポリ塩化ビニリデン樹脂ラップフィルムの欠点の一つとして、長期間、又は高温下で保管していると、密着力が大きくなり過ぎて、紙管巻きにしたラップフィルムを化粧箱から引き出す時に大きな力が必要となり、利用者の使い勝手が悪いほか、無理に引き出すとラップフィルムが破れたり、ラップフィルムと一緒に紙管が飛び出してくるという問題もあった。
【0003】
この問題の原因の一つとして、製造時の加工性の確保と、紙管巻きにしたラップフィルムの密着性と引き出し性をバランスさせるためにフィルム表面に塗布している流動パラフィンのマイグレーションが、経時や保管温度によって大きく変動することを挙げることができる。ポリ塩化ビニリデン樹脂ラップフィルムの製造方法は、ダブルバブルによるインフレーション法が一般的であり、ここで言う製造時の加工性の確保とは、筒状の未延伸シート(以下、パリソンと称する)にエアーを注入して延伸する際の筒状パリソンの開口性と、延伸後の筒状フィルムを希望の幅に切り開く際と、希望の長さに紙管に巻き返す際のフィルム同士の剥離性を良くすることで、パリソン同士、又はフィルム同士の密着力を小さく抑えることを言う。このフィルム表面に塗布した流動パラフィンの一部が、経時や保管温度によりフィルム内部に含浸してフィルムの密着力が大きくなるが、長期間、又は高温下で保管していると、この含浸量が過剰となり、密着力が大きくなり過ぎてしまい、紙管巻きラップフィルムを化粧箱から引き出す時に大きな力が必要となっていた。
【0004】
この問題に対しては、これまでに特定の数平均分子量と分子量分布を持つ流動パラフィンを付与したフィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。確かに、このフィルムを紙管巻きにしたラップフィルムは、長期間、又は高温下で保管しても化粧箱から引き出す時に大きな力を必要とせずに、容易に引き出すことが可能である。しかし、提案されている組成は、特定の流動パラフィンをフィルム表面に塗布することを主としており、また、密着力が大きくなり過ぎて、紙管巻きラップフィルムを化粧箱から引き出す時に大きな力が必要とならない様に、フィルム表面に塗布する流動パラフィンを、従来から市販されているポリ塩化ビニリデン樹脂ラップフィルムで使用されているものより数平均分子量が高いものを使用している。そのため、提案されている組成では、フィルム表面に塗布した流動パラフィンがフィルム中へ含浸し難く、ポリ塩化ビニリデン樹脂ラップフィルムの特徴の一つである密着力、特に低温での密着力が、従来から市販されているポリ塩化ビニリデン樹脂ラップフィルムより低くなり、密着性と引き出し性のバランスという点において消費者の要望を十分に満足させているとは言い難い。
【0005】
また一方で、ラップフィルムの粘着性を高めることを目的に、流動パラフィンを添加したフィルムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、これはあくまでフィルムの粘着性を高めることが目的であり、紙管巻きにしたラップフィルムの化粧箱からの引き出し易さについては全く言及されていない。
このような現状から、市場では、密着力は大きく、引出力は経時的に安定して小さい、ポリ塩化ビニリデン樹脂ラップフィルムの開発が望まれていた。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−87876号公報
【特許文献2】
特開平10−324809号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、密着力は大きく、引出力は経時的に安定して小さい、ポリ塩化ビニリデン樹脂ラップフィルムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の製造方法で流動パラフィンをフィルムへ付与し、流動パラフィンの成分と存在量を制御することにより、密着力は大きく、引出力は経時的に安定して小さくできることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記の通りである。
【0009】
1.流動パラフィンを含有するポリ塩化ビニリデン樹脂ラップフィルムの製造方法において、押出ダイで成形される前の樹脂に流動パラフィンを添加し、且つ、押出ダイで成形されたフィルム表面に流動パラフィンを塗布することを特徴とする、ポリ塩化ビニリデン樹脂ラップフィルムの製造方法。
2.押出ダイで成形される前の樹脂に添加する流動パラフィン(A)の数平均分子量が、押出ダイで成形されたフィルム表面に塗布する流動パラフィン(B)の数平均分子量より大きく、(A)の数平均分子量と、(B)の数平均分子量の差が170以上であることを特徴とする、1.に記載のポリ塩化ビニリデン樹脂ラップフィルムの製造方法。
【0010】
3.(A)の数平均分子量が500〜570の範囲であり、(B)の数平均分子量が200〜330の範囲であることを特徴とする、2.に記載のポリ塩化ビニリデン樹脂ラップフィルムの製造方法。
4.(A)を300〜1000ppm、(B)を400〜2000ppm含むことを特徴とする、2.又は3.に記載のポリ塩化ビニリデン樹脂ラップフィルムの製造方法。
【0011】
5.前記1.〜4.のいずれかの方法により製造されたことを特徴とする、ポリ塩化ビニリデン樹脂ラップフィルム。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、特にその好ましい態様を中心に、具体的に説明する。
本発明の最大の特徴は、ポリ塩化ビニリデン樹脂ラップフィルムへの流動パラフィンの付与方法にある。すなわち、押出ダイで成形される前の樹脂に流動パラフィンを添加し、且つ、押出ダイで成形されたフィルム表面に流動パラフィンを塗布する。ここで、押出ダイで成形される前の樹脂への流動パラフィンの添加方法については、押出ダイで成形される前に添加していれば、いかなる方法でも良く、例えば、ポリ塩化ビニリデン樹脂の重合前、重合中、あるいは重合後の脱水や乾燥工程中等の組成物を得るまでのいずれの段階で添加しても良いし、又は、押出成形前の樹脂にヘンシェルミキサーやリボンブレンダー等を用いて直接添加したり、押出機に樹脂を投入後、押出ダイで成形されるまでの間で液注ポンプ等を用いて添加しても良い。
【0013】
また、押出ダイで成形されたフィルム表面への流動パラフィンの塗布方法については、従来から公知の方法を用いることができ、例えば、樹脂を押出機先端に取り付けた環状ダイから押し出し、冷水で急冷固化しながらピンチロールによりピンチし、そのピンチした筒状パリソンの内部に流動パラフィンを注入することにより塗布することができる。流動パラフィンの塗布量の制御は、ピンチロールの圧力により行なうことができる。
【0014】
押出ダイで成形される前の樹脂に添加する流動パラフィンの数平均分子量は、押出ダイで成形されたフィルム表面に塗布する流動パラフィンの数平均分子量より大きいことが好ましい。これは、押出ダイで成形される前の樹脂に添加する流動パラフィンの役割が、長期間、又は高温での保管時に、フィルム表面に析出して、フィルムの密着力が大きくなり過ぎることを抑えるためであり、短期間、又は常温での保管時には、析出し難い高分子量成分が好ましく、押出ダイで成形されたフィルム表面に塗布する流動パラフィンの役割が、製造時の加工性の確保と、化粧箱に箱詰めされた後のラップフィルムの密着力の早期発現にあり、フィルム中に適度に含浸する低分子量成分が好ましいためである。
【0015】
また、押出ダイで成形される前の樹脂に添加する流動パラフィンの数平均分子量と、押出ダイで成形されたフィルム表面に塗布する流動パラフィンの数平均分子量の差は170以上であることが好ましい。この差が小さ過ぎると、本発明の流動パラフィンの役割が十分に発揮できなくなるためである。ここで、押出ダイで成形される前の樹脂に添加する流動パラフィンについては、数平均分子量が500〜570のものが好ましく、さらに好ましくは、520〜550の範囲のものが適している。この数値が大き過ぎると、流動パラフィンそのもののべたつきにより、フィルムの手触り感を損ねることがある。逆に小さ過ぎると、長期間、又は高温下での保管時に、密着力が大きくなり過ぎることを抑え難くなるか、若しくは、密着力が大きくなり過ぎることを抑えるために多量に添加しなくてはならず、フィルム強度の低下等の物性への影響が考えられるためである。
【0016】
また、押出ダイで成形されたフィルム表面に塗布する流動パラフィンの分子量については、数平均分子量が200〜330のものが好ましく、さらに好ましくは、220〜310の範囲のものがより適している。フィルム表面に塗布する流動パラフィンの役割は、製造時の加工性の確保と、化粧箱に箱詰めされた後のラップフィルムの密着力を早期に発現させることにあり、この値が大き過ぎると、化粧箱に箱詰めされた後もフィルム中へ含浸し難く、密着力の発現が乏しくなる。
【0017】
逆に小さ過ぎると、フィルム中への含浸が速すぎて、加工性を確保しにくくなるか、若しくは、フィルムの密着力が大きくなり過ぎる場合がある。各々の流動パラフィンの含有量については、押出ダイで成形される前の樹脂に添加する流動パラフィンは、300〜1000ppmの範囲が好ましく、さらに好ましくは、500〜700ppmの範囲である。この量が多過ぎると、フィルム表面へ析出する量が多くなり、密着力が小さくなる。
【0018】
逆に少な過ぎると、長期間、又は高温下での保管時に、十分な量が析出せず、密着力が大きくなり過ぎることを抑えにくくなる。押出ダイで成形されたフィルム表面に塗布する流動パラフィンは、400〜2000ppmの範囲が好ましく、さらに好ましくは、700〜1500ppmの範囲である。この量が多過ぎると、フィルム表面での存在量が多くなり、密着力が小さくなる。逆に少な過ぎると、フィルム表面での存在量が少なくなり、加工性を確保できなくなるか、若しくは、フィルムの密着力が大きくなり過ぎてしまう。
尚、本発明に用いる流動パラフィンは、公知のもの、例えば、工業用途に使用されているものや、食品添加物公定書に記載されているものを挙げることができる。
【0019】
本発明に用いるポリ塩化ビニリデン樹脂は、ラップフィルム用として従来公知のもので、塩化ビニリデン成分が85〜97質量%と塩化ビニル、メチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル、メチルメタアクリレート、ブチルメタアクリレート等のメタアクリル酸エステル、アクリロニトリル、酢酸ビニル等の塩化ビニリデンと共重合可能な1種又は2種以上の単量体の15〜3質量%からなる重量平均分子量8万以上13万以下の共重合樹脂等を挙げることができる。また、本発明の効果を損なわない範囲であれば、該樹脂に、公知の食品包装材料に用いられる可塑剤、安定剤、耐候性向上剤、染料又は顔料などの着色剤、防曇剤、抗菌剤、滑剤等を添加してもよい。
【0020】
本発明のラップフィルムの厚さは特に限定されるものではないが、好ましくは5〜20μm、さらに好ましくは、8〜15μmの範囲である。これは、厚さが厚すぎるとカット性が不十分となる傾向や、フィルムがごわごわとして手触り感が劣る傾向があり、逆に薄すぎると、フィルムが破れ易くなるためである。
本発明のポリ塩化ビニリデン樹脂ラップフィルムの成形方法は、公知の方法を用いることができ、例えば、ダブルバブルによるインフレーション成形等により得ることができる。
【0021】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
なお、実施例および比較例で用いたフィルムの評価方法は、以下の通りである。
【0022】
(評価方法)
(1)フィルム中の流動パラフィンの合計含有量の定量方法
ポリ塩化ビニリデン樹脂ラップフィルムを3g精秤してビーカーに入れ、30cm3のテトラヒドロフランで溶解させる。この溶液をスターラーで攪拌させながら、150cm3のn−ヘキサンを少量ずつ滴下してポリ塩化ビニリデン樹脂を沈殿させる。この沈殿物を含む溶液をG4ガラスフィルターで濾過する。この濾液をエバポレーターを用いて50℃、40kPaの条件下で蒸発乾固させた後、n−ヘキサンにて5cm3に定容し、孔径0.5μmのポリテトラフルオロエチレン製のメンブランフィルターに通す。この溶液を下記条件の液体クロマトグラフィーにて分析し、フィルム1g中の流動パラフィンの含有量(単位:ppm)を算出する。分析条件は以下の通り。
【0023】
Figure 0004255690
【0024】
(2)フィルム中の流動パラフィンの数平均分子量の測定方法
ポリ塩化ビニリデン樹脂ラップフィルムを3g精秤してビーカーに入れ、30cm3のテトラヒドロフランで溶解させる。この溶液をスターラーで攪拌させながら、150cm3のn−ヘキサンを少量ずつ滴下してポリ塩化ビニリデン樹脂を沈殿させる。この沈殿物を含む溶液をG4ガラスフィルターで濾過する。この濾液をエバポレーターを用いて50℃、40kPaの条件下で蒸発乾固させた後、n−ヘキサンにて2cm3に定容する。スペルコ社製シリカゲル「LC−Si」(商品名)を1g充填したサイズ6cm3のシリンジを6cm3のn−ヘキサンでコンディショニングしておく。次に、コンディショニングしたシリンジに、定容した溶液0.5cm3加え自然落下させ、更にn−ヘキサン3cm3で洗浄する。捕集した試料溶液と洗浄後の溶液をエバポレーターを用いて50℃、40kPaの条件下で蒸発乾固させた後、n−ヘキサンにて0.5cm3に定容し、この溶液をガスクロマトグラフィーにて分析する。分析条件は以下の通り。
【0025】
Figure 0004255690
【0026】
分析したラップフィルムのクロマトグラムと、炭素数が判っている直鎖状炭化水素の標準サンプルのクロマトグラムとを比較し、ラップフィルムサンプルのクロマトグラムから各炭素数の割合を求め、数平均分子量を算出する。この時、ラップフィルムのクロマトグラムは低分子量側と高分子量側に分かれるので、各々に対して各炭素数の割合を求め、低分子量側と高分子量側の各々の数平均分子量を算出する。
【0027】
(3)フィルム中の低分子量側と高分子量側の流動パラフィンの定量方法
評価方法(2)で得たクロマトグラムの低分子量側と高分子量側の面積比から、各々の流動パラフィンの割合を求め、評価方法(1)で算出した流動パラフィンの合計含有量に、(2)で求めた各々流動パラフィンの割合を乗じ、各々の流動パラフィンの含有量を算出する。
(4)密着性の評価方法
この密着性の評価方法は、食品を直接ラップフィルムで包んだり、食品を入れた容器をラップフィルムで包んだ時のラップフィルム同士の密着性を評価するものである。
【0028】
評価するラップフィルムは、押出延伸した厚さ10μmのフィルムを30cm幅にスリットし、外径40mmの紙管に20mの長さで巻かれたものを用いる。延伸フィルムを得てから20m長の紙管巻きにするまでの所要時間は24時間、雰囲気温度は28℃であり、その後、紙管巻きにしたラップフィルムは15℃と40℃の恒温槽に各々30日間保管した後、以下に示す方法でフィルム同士の密着力の測定を行なう。
【0029】
まず、底面積25cm2、重さ400gのアルミニウム製の円柱状の治具を2個用意し、双方の治具の底面に底面積と同面積の濾紙を貼り付ける。双方の治具の濾紙を貼り付けた底面に皺が入らないようにラップフィルムを被せて固定する。このラップフィルムを被せた2個の治具を、ラップフィルムを被せた側の底面がピッタリ重なり合うように2個の治具を合わせ、引張圧縮試験機の上下の治具に夫々固定する。重ね合わせた2個の治具に、円柱治具1個分の自重400gの他に、更に500gの荷重を1分間加えた後、荷重を取り除き、5mm/分の速度で双方のラップフィルム面を相互に垂直に引き剥がすときに必要な仕事量(mJ/25cm2)を測定する。測定は23℃、50%RHの雰囲気中で行なう。ラップフィルムの密着性の判断は、測定した数値をもとに、以下の4段階の評価により行なう。
【0030】
Figure 0004255690
【0031】
(5)引き出し性の評価方法
この引き出し性の評価方法は、紙管巻きにしたラップフィルムを化粧箱から引き出す時の紙管巻きラップフィルムの引き出し性を評価するものである。
評価するラップフィルムは、押出延伸した厚さ10μmのフィルムを30cm幅にスリットし、外径40mmの紙管に20mの長さで巻かれたものを用いる。延伸フィルムを得てから20m長の紙管巻きにするまでの所要時間は24時間、雰囲気温度は28℃であり、その後、紙管巻きにしたラップフィルムは15℃と40℃の恒温槽に各々30日間保管した後、以下に示す方法で紙管巻きにしたラップフィルムの引出力の測定を行なう。
【0032】
まず、紙管巻きラップフィルムを、フィルムを巻き解く際に必要な力のみ測定できる様に引張圧縮試験機の下部治具に固定する。そして、ラップフィルムの先端を引張試験機の上部治具に固定し、1000mm/分の速度でフィルムを巻き解くときに必要な力(cN/30cm幅)を測定する。測定は23℃、50%RHの雰囲気中で行なう。紙管巻きラップフィルムの引き出し性の判断は、測定した数値をもとに、以下の4段階の評価により行なう。
【0033】
Figure 0004255690
(6)総合評価
密着性と引き出し性の評価結果をもとに、以下の4段階の評価により行なう。
Figure 0004255690
【0034】
[実施例1]
重量平均分子量9万のポリ塩化ビニリデン樹脂(塩化ビニリデン成分が90質量%、塩化ビニル成分が10質量%)、クエン酸アセチルトリブチル(ATBC)、エポキシ化アマニ油(ELO)、流動パラフィン((株)松村石油研究所製の商品名「モレスコホワイトP−500」)を、それぞれ93.45質量%、5.00質量%、1.50質量%、0.05質量%(500ppm)の割合で混合したもの合計20kgを、常温で高速ミキサーにて5分間攪拌させた後、40℃で24時間熟成し、40μmのメッシュを通して、目的のポリ塩化ビニリデン樹脂組成物を得た(以下、この方法をブレンド添加法と称する)。
【0035】
上記のポリ塩化ビニリデン樹脂組成物を、直径40mmの押出機に投入し、押出機の先端に取り付けた環状ダイから、スリット出口での溶融樹脂温度が180℃になるように、押出機の加熱条件を調節して、15kg/hrの押出速度で筒状に押出し、15℃の水で急冷固化した。この時、この筒状パリソンの内部に流動パラフィン((株)松村石油研究所製の商品名「スモイルP−60」)を入れ、パリソン内面に流動パラフィンを700ppm塗布した。塗布量の制御は、パリソンをピンチするピンチロールの圧力で行なった。
【0036】
流動パラフィンを塗布して急冷固化したパリソンを、40℃の温水で加熱した後、インフレーション法により延伸して筒状フィルムとし、この筒状フィルムをピンチして扁平に折り畳み、折り幅350mm、厚さ10μmの2枚重ねのフィルムを巻取速度20m/分にて巻き取った。このフィルムを300mmの幅にスリットして、1枚のフィルムになるように剥がし、外径40mm、長さ310mmの紙管に、巻き取り張力9.8N/300mm幅で20m巻き取り、厚さ10μmの紙管巻きラップフィルムを得た。このラップフィルムを上記評価方法に基づいて評価した結果を表1に示す。
【0037】
[実施例2]
重量平均分子量9万のポリ塩化ビニリデン樹脂(塩化ビニリデン成分が90質量%、塩化ビニル成分が10質量%)、クエン酸アセチルトリブチル(ATBC)、エポキシ化アマニ油(ELO)、流動パラフィン((株)松村石油研究所製の商品名「モレスコホワイトP−500」)を、それぞれ93.45質量%、5.00質量%、1.50質量%、0.05質量%(500ppm)の割合で混合したもの合計20kgと、純水20kgを、ミックスタンクに入れて60℃に加熱し、60℃の条件下で2時間攪拌し、その後、脱水して乾燥させ、目的のポリ塩化ビニリデン樹脂組成物を得た以外は実施例1と同様にして、厚さ10μmの紙管巻きラップフィルムを得た(以下、この方法をスラリー添加法と称する)。このラップフィルムを上記評価方法に基づいて評価した結果を表1に示す。
【0038】
[実施例3]
実施例1において、ポリ塩化ビニリデン樹脂への流動パラフィンの添加方法を、押出機内での溶融時に液注ポンプを用いて添加したこと以外は同様にして厚さ10μmの紙管巻きラップフィルムを得た(以下、この添加方法を押出添加法と称する)。このラップフィルムを上記評価方法に基づいて評価した結果を表1に示す。
【0039】
[実施例4〜6]
実施例1において、パリソン内面に塗布する流動パラフィンの量を400ppm、1,500ppm、2,000ppmとしたこと以外は同様にして厚さ10μmの紙管巻きラップフィルムを得た。それらを順に実施例4、5、6とした。このラップフィルムを上記評価方法に基づいて評価した結果を表1に示す。
【0040】
[実施例7〜10]
実施例1において、ポリ塩化ビニリデン樹脂(93.43質量%)に添加する流動パラフィンの量を0.07質量%(700ppm)とし、パリソン内面に塗布する流動パラフィンの量を400ppm、700ppm、1,500ppm、2,000ppmとしたこと以外は同様にして厚さ10μmの紙管巻きラップフィルムを得た。それらを順に実施例7、8、9、10とした。このラップフィルムを上記評価方法に基づいて評価した結果を表1に示す。
【0041】
[実施例11〜13]
実施例1において、ポリ塩化ビニリデン樹脂(93.47質量%)に添加する流動パラフィンの量を0.03質量%(300ppm)とし、パリソン内面に塗布する流動パラフィンの量を400ppm、1,000ppm、2,000ppmとしたこと以外は同様にして厚さ10μmの紙管巻きラップフィルムを得た。それらを順に実施例11、12、13とした。このラップフィルムを上記評価方法に基づいて評価した結果を表2に示す。
【0042】
[実施例14〜16]
実施例1において、ポリ塩化ビニリデン樹脂(93.40質量%)に添加する流動パラフィンの量を0.10質量%(1,000ppm)とし、パリソン内面に塗布する流動パラフィンの量を400ppm、1,000ppm、2,000ppmとしたこと以外は同様にして厚さ10μmの紙管巻きラップフィルムを得た。それらを順に実施例14、15、16とした。このラップフィルムを上記評価方法に基づいて評価した結果を表2に示す。
【0043】
[実施例17]
実施例1において、パリソン内面に塗布する流動パラフィンを(株)松村石油研究所製の商品名「スモイルP−60」と「モレスコホワイトP−40」を60質量%と40質量%の割合で混合したものを使用し、塗布量を1,000ppmとしたこと以外は同様にして厚さ10μmの紙管巻きラップフィルムを得た。このラップフィルムを上記評価方法に基づいて評価した結果を表2に示す。
【0044】
[実施例18]
実施例1において、パリソン内面に塗布する流動パラフィンを(株)松村石油研究所製の商品名「スモイルP−70」としたこと以外は同様にして厚さ10μmの紙管巻きラップフィルムを得た。このラップフィルムを上記評価方法に基づいて評価した結果を表2に示す。
【0045】
[実施例19]
実施例1において、ポリ塩化ビニリデン樹脂に添加する流動パラフィンを(株)松村石油研究所製の商品名「モレスコホワイトP−500」と「スモイルP−260」を80質量%と20質量%の割合で混合したものを使用した以外は同様にして厚さ10μmの紙管巻きラップフィルムを得た。このラップフィルムを上記評価方法に基づいて評価した結果を表2に示す。
【0046】
[比較例1]
実施例1において、ポリ塩化ビニリデン樹脂(93.50質量%)に流動パラフィンを添加しないこと以外は同様にして厚さ10μmの紙管巻きラップフィルムを得た。このラップフィルムを上記評価方法に基づいて評価した結果を表3に示す。
【0047】
[比較例2]
比較例1において、パリソン内面に塗布する流動パラフィンの量を2,500ppmとしたこと以外は同様にして厚さ10μmの紙管巻きラップフィルムを得た。このラップフィルムを上記評価方法に基づいて評価した結果を表3に示す。
【0048】
[比較例3、4]
比較例1において、パリソン内面に塗布する流動パラフィンを(株)松村石油研究所製の商品名「スモイルP−70」および「スモイルP−80」としたこと以外は同様にして厚さ10μmの紙管巻きラップフィルムを得た。それらを順に比較例3、4とした。このラップフィルムを上記評価方法に基づいて評価した結果を表3に示す。
【0049】
[比較例5]
実施例1において、パリソン内面に流動パラフィンを塗布しないこと以外は同様にして厚さ10μmの巻回フィルムの作成を試みた。しかし、押出した筒状パリソンを急冷固化してピンチロールにてピンチし、40℃の温水で加熱した後にエアーを注入して延伸しようと試みたが、パリソン同士がくっついて剥がれないためにエアーを注入することができず、目的の紙管巻きラップフィルムにすることができなかった。
【0050】
[比較例6]
比較例5において、ポリ塩化ビニリデン樹脂(93.35質量%)に添加する流動パラフィンの量を0.15質量%(1,500ppm)としたこと以外は同様にして厚さ10μmの巻回フィルムの作成を試みた。しかし、押出した筒状パリソンを急冷固化してピンチロールにてピンチし、40℃の温水で加熱した後にエアーを注入して延伸しようと試みたが、パリソン同士がくっついて剥がれないためにエアーを注入することができず、目的の紙管巻きラップフィルムにすることができなかった。
【0051】
【表1】
Figure 0004255690
【0052】
【表2】
Figure 0004255690
【0053】
【表3】
Figure 0004255690
【0054】
【発明の効果】
本発明のポリ塩化ビニリデン樹脂ラップフィルムは、特定の方法で流動パラフィンをフィルムへ付与し、その流動パラフィンの成分と存在量を制御することにより、密着力は大きく、引出力は経時的に安定して小さく抑える効果を有する。

Claims (5)

  1. 流動パラフィンを含有するポリ塩化ビニリデン樹脂ラップフィルムの製造方法において、押出ダイで成形される前の樹脂に流動パラフィンを添加し、且つ、押出ダイで成形されたフィルム表面に流動パラフィンを塗布することを特徴とする、ポリ塩化ビニリデン樹脂ラップフィルムの製造方法。
  2. 押出ダイで成形される前の樹脂に添加する流動パラフィン(A)の数平均分子量が、押出ダイで成形されたフィルム表面に塗布する流動パラフィン(B)の数平均分子量より大きく、(A)の数平均分子量と、(B)の数平均分子量の差が170以上であることを特徴とする、請求項1に記載のポリ塩化ビニリデン樹脂ラップフィルムの製造方法。
  3. (A)の数平均分子量が500〜570の範囲であり、(B)の数平均分子量が200〜330の範囲であることを特徴とする、請求項2に記載のポリ塩化ビニリデン樹脂ラップフィルムの製造方法。
  4. (A)を300〜1000ppm、(B)を400〜2000ppm含むことを特徴とする、請求項2又は3に記載のポリ塩化ビニリデン樹脂ラップフィルムの製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかの方法により製造されたことを特徴とする、ポリ塩化ビニリデン樹脂ラップフィルム。
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