JP2022134090A - ラップフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、容器に対して優れた密着性と、剛性との両立をはかるラップフィルムを提供することを目的とする。【解決手段】ポリ塩化ビニリデン系樹脂を含有し、前記ポリ塩化ビニリデン系樹脂が、塩化ビニリデンを76~93質量%含有する共重合体であり、静摩擦係数が1.0以上であり、(MD方向の2%伸長時の荷重+TD方向の2%伸長時の荷重)/2が0.60N/10mm以上である、ラップフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、ラップフィルムに関する。
塩化ビニリデン系樹脂は、透明性、耐水性及びガスバリア性等の特性に優れているため、ラップフィルム等の食品包装用材料として使用されている。近年、食品包装用材料は、上記特性だけでなく、成形加工性及び熱安定性等の特性も向上させ、さらに高機能化させることが求められている。食品包装用材料を高機能化させる方法としては、例えば、可塑剤や熱安定剤等の添加剤を配合する方法が挙げられる。このような添加剤としては、例えば、ラップフィルムの色調変化を抑制するために、エポキシ化植物油が使用されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
国際公開第2015/029594号 特開2014-15590号公報
ところで、飲料や食料を入れる容器としては、例えば、陶磁器、ガラス、プラスチック、金属、又は木材からなる容器が挙げられるが、上記の容器に対し、上面にラップフィルムを密着させて、容器を密封し、このように密封した複数の容器を重ねて、例えば、冷蔵庫の中に保存することは広く行われていることである。このとき、容器上面のラップフィルムは、上に重ねた容器の底と接触する。
しかし、ラップフィルムと容器との密着性が低い場合、容器上面のラップフィルムは、上に重ねた容器の底と接触した際に、ラップフィルムが容器からはがれてしまい、上の容器が下の容器の内容物を潰してしまう場合がある。
また、ラップフィルムの剛性が弱いと、容器上面のラップフィルムは、上に重ねた容器と接触した際に、たわみを生じて、容器の内容物と接触してしまい、上の容器が下の容器の内容物を潰してしまう場合がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、容器に対して優れた密着性と、剛性とを両立させたラップフィルムを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、フィルムの静摩擦係数と、伸長時の荷重との関係を特定の範囲に制御することにより、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、下記の通りである。
[1]
ポリ塩化ビニリデン系樹脂を含有し、
前記ポリ塩化ビニリデン系樹脂が、塩化ビニリデンを76~93質量%含有する共重合体であり、
静摩擦係数が1.0以上であり、
(MD方向の2%伸長時の荷重+TD方向の2%伸長時の荷重)/2が0.60N/10mm以上である、
ラップフィルム。
[2]
グリセリンと炭素数7以下の脂肪酸とからなる脂肪酸エステル、及び、クエン酸と炭素数3以下のアルコールとからなる脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種を含む、
[1]に記載のラップフィルム。
[3]
MD方向の引裂強度が20mN~80mNである、
[1]又は[2]に記載のラップフィルム。
本発明によれば、容器に対して優れた密着性と、剛性とを両立させたラップフィルムを提供することができる。
本発明のラップフィルムの製造工程の一例の概略図である。 本発明のラップフィルムの利用形態の一例の概略図である。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
なお、本実施形態において、「TD方向」とは、製膜ラインの樹脂の幅方向をいい、ラップフィルムとしたときに、巻回体からラップフィルムを引き出す方向に垂直な方向をいう。また、「MD方向」とは、製膜ラインの樹脂の流れ方向をいい、ラップフィルムとしたときに、巻回体からラップフィルムを引き出す方向をいう。
〔ラップフィルム〕
本実施形態のラップフィルムは、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を含有し、前記ポリ塩化ビニリデン系樹脂が、塩化ビニリデンを76~93質量%含有する共重合体であり、静摩擦係数が1.0以上であり、(MD方向の2%伸長時の荷重+TD方向の2%伸長時の荷重)/2が0.60N/10mm以上である。
(塩化ビニリデン系樹脂)
本実施形態に用いる塩化ビニリデン系樹脂としては、塩化ビニリデンを76~93質量%含有する共重合体であれば特に限定されず、塩化ビニリデン単位と、該塩化ビニリデン単位と共重合可能な単量体単位とを含む塩化ビニリデン共重合体が挙げられる。
塩化ビニリデン単量体と共重合可能な単量体としては、特に限定されないが、例えば、塩化ビニル;メチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル;メチルメタアクリレート、ブチルメタアクリレート等のメタアクリル酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸;アクリロニトリル;酢酸ビニル等が挙げられる。これら単量体は一種単独で用いても、二種以上を併用してもよい。このなかでも、塩化ビニルがより好ましい。
塩化ビニリデンの含有量は、塩化ビニリデン系樹脂の総量に対して、76~93質量%であり、好ましくは78~92質量%であり、より好ましくは81~90質量%である。塩化ビニリデンの含有量が76質量%以上であることにより、塩化ビニリデン系樹脂のガラス転移温度が低く、ラップフィルムが軟らかくなる傾向にある。これにより、例えば、冬場等の低温環境下での使用時においてもラップフィルムの裂けを低減できる。一方、塩化ビニリデンの含有量が93質量%以下であることにより、結晶性の大幅な上昇を抑制し、フィルム延伸時の成形加工性の悪化が抑制される傾向にある。
なお、本実施形態において、塩化ビニリデンの含有量は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
また、例えば、塩化ビニリデン-塩化ビニル共重合体のコモノマー(塩化ビニル)含有量は、共重合体の総量に対して、好ましくは7~24質量%であり、より好ましくは8~22質量%であり、さらに好ましくは10~19質量%である。塩化ビニリデン共重合体のコモノマー含有量が上記範囲内であることにより、低温環境下での使用時においてもラップフィルムの裂けが低減され、フィルム延伸時の成形加工性の悪化がより抑制される傾向にある。
塩化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは50,000~250,000であり、より好ましくは60,000~230,000であり、さらに好ましくは80,000~200,000である。重量平均分子量(Mw)が上記範囲内であることにより、ラップフィルムの機械強度がより向上する傾向にある。重量平均分子量が上記範囲内である塩化ビニリデン系樹脂は、例えば、塩化ビニリデンモノマーと塩化ビニルモノマーとの仕込み比率や、重合開始剤の量、又は重合温度を制御することにより得ることができる。なお、本実施形態において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエ-ションクロマトグラフィー法(GPC法)により、標準ポリスチレン検量線を用いて求めることができる。
塩化ビニリデン系樹脂の含有量は、ラップフィルムの総量に対して、好ましくは77~98質量%であり、より好ましくは85~96質量%である。塩化ビニリデン系樹脂の含有量が上記範囲内であることにより、ラップとしての適性に優れ、ラップが容器から外れにくく、容器への追従性が良くなる傾向にある。なお、ラップフィルムから各成分の含有量を測定する方法は分析対象物によって異なる。例えば、塩化ビニリデン系樹脂の含有量は、試料0.5gをTHF(テトラヒドロフラン)10mlに溶解し、メタノール約30mlを加えて樹脂分を析出した後、遠心分離にて析出物を分離、乾燥し、重量測定して得ることができる。
(添加剤)
本実施形態のラップフィルムは、上述した塩化ビニリデン系樹脂以外に各種添加剤を含んでいてもよい。
本実施形態のラップフィルムは、グリセリンと炭素数7以下の脂肪酸とからなる脂肪酸エステル、及び、クエン酸と炭素数3以下のアルコールとからなる脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。本実施形態のラップフィルムは、このような脂肪酸エステルを含むと、容器に対する密着性及び剛性が一層優れる傾向にある。
(グリセリントリエステル)
本実施形態のラップフィルムは、グリセリントリエステルを可塑剤として含有してもよい。本実施形態のラップフィルムは、可塑剤としてグリセリントリエステルを用いることで、容器に対する密着性及び剛性が一層優れる傾向にある。
グリセリントリエステルとしては、特に限定されないが、グリセリンと炭素数7以下の脂肪酸とのトリエステルが好ましい。
このようなグリセリントリエステルの具体例としては、特に限定されないが、例えば、トリアセチン、トリエチリン、トリプロピオニン、トリブチリン、トリヘキサノイン、トリヘプタノインなどが挙げられる。
本実施形態のラップフィルムにおいて、グリセリントリエステルの含有量は特に限定されないが、0.4~7.0質量%が好ましく、1.0~6.0質量%がより好ましく、1.5~5.0質量%がさらに好ましい。本実施形態のラップフィルムは、グリセリントリエステルを前記範囲で含有することで、容器に対する密着性及び剛性が一層優れる傾向にある。
グリセリントリエステルは、極性のエステル基を分子内に多く有するため、ポリ塩化ビニリデン系樹脂と相溶しやすく、また、分岐構造をもつため、ポリ塩化ビニリデン系樹脂と均一に混合されやすいと推測される。従って、本実施形態のラップフィルムは、可塑剤としてこのようなグリセリントリエステルを用いた場合、剛性を維持しつつ高密着を発現できる傾向にある。このため、本実施形態のラップフィルムは、可塑剤としてグリセリントリエステルを用いることで、容器に対する密着性及び剛性が一層優れる傾向にあると推測される。その結果、例えば、可塑剤としてグリセリントリエステルを用いたラップフィルムを張った容器の上に別の容器を載せたときに、前記ラップフィルムがたるみにくい傾向にある。
(クエン酸トリエステル)
本実施形態のラップフィルムは、クエン酸トリエステルを可塑剤として含有してもよい。本実施形態のラップフィルムは、可塑剤としてクエン酸トリエステルを用いることで、容器に対する密着性及び剛性が一層優れる傾向にある。
クエン酸トリエステルとしては、特に限定されないが、クエン酸と炭素数3以下の脂肪族アルコールとのトリエステルが好ましい。
このようなクエン酸トリエステルの具体例としては、特に限定されないが、例えば、クエン酸トリメチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリn-プロピル、クエン酸トリi-プロピルなどが挙げられる。
本実施形態のラップフィルムにおいて、クエン酸トリエステルの含有量は特に限定されないが、0.4~7.0質量%が好ましく、1.0~6.0質量%がより好ましく、1.5~5.0質量%がさらに好ましい。本実施形態のラップフィルムは、クエン酸トリエステルを前記範囲で含有することで、容器に対する密着性及び剛性が一層優れる傾向にある。
クエン酸トリエステルは、極性のエステル基を分子内に多く有するため、ポリ塩化ビニリデン系樹脂と相溶しやすく、また、分岐構造をもつため、ポリ塩化ビニリデン系樹脂と均一に混合されやすいと推測される。したがって、本実施形態のラップフィルムは、可塑剤としてこのようなクエン酸トリエステルを用いた場合、剛性を維持しつつ高密着を発現できる傾向にある。このため、本実施形態のラップフィルムは、可塑剤としてクエン酸トリエステルを用いることで、容器に対する密着性及び剛性が一層優れる傾向にあると推測される。その結果、例えば、可塑剤としてクエン酸トリエステルを用いたラップフィルムを張った容器の上に別の容器を載せたときに、前記ラップフィルムがたるみにくい傾向にある。
本実施形態のラップフィルムにおいて、上述したグリセリントリエステルとクエン酸トリエステルとを併用することも可能な実施形態である。その場合。グリセリントリエステルとクエン酸トリエステルとの合計含有量は特に限定されないが、0.4~7.0質量%が好ましく、1.0~6.0質量%がより好ましく、1.5~5.0質量%がさらに好ましい。本実施形態のラップフィルムは、グリセリントリエステルとクエン酸トリエステルとを前記範囲で含有することで、容器に対する密着性及び剛性が一層優れる傾向にある。
(その他の可塑剤)
本実施形態のラップフィルムは、他の可塑剤として、アセチル化クエン酸エステル、二塩基酸エステル、及びアセチル化脂肪酸グリセライドからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物をさらに含んでいてもよい。
(アセチル化クエン酸エステル)
クエン酸トリエステル以外のクエン酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル(ATBC)、アセチルクエン酸トリ-n-(2-エチルヘキシル)などがある。これらのなかでも、アセチルクエン酸トリブチルが好ましい。塩化ビニリデン系樹脂が可塑化され、成形加工性がより向上する傾向にある。
(二塩基酸エステル)
二塩基酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ-n-ヘキシル、アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル、アジピン酸ジオクチル等のアジピン酸エステル;アゼライン酸ジ-2-エチルヘキシル、アゼライン酸オクチル等のアゼライン酸エステル;セバシン酸ジブチル(DBS)、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル等のセバシン酸エステル;フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル等のフタル酸エステルが挙げられる。これらのなかでも、脂肪族二塩基酸エステルが好ましく、セバシン酸ジブチルがより好ましい。このような二塩基酸エステルを用いることにより、塩化ビニリデン系樹脂が可塑化され、成形加工性がより向上する傾向にある。
(アセチル化脂肪酸グリセライド)
アセチル化脂肪酸グリセライドとしては、特に限定されないが、例えば、アセチル化カプリル酸グリセライド、アセチル化カプリン酸グリセライド、アセチル化ラウリン酸グリセライド、アセチル化ミリスチン酸グリセライド、アセチル化パーム核油グリセライド、アセチル化ヤシ油グリセライド、アセチル化ヒマシ油グリセライド、アセチル化硬化ヒマシ油グリセライドが挙げられる。
上記アセチル化脂肪酸グリセライドは、脂肪酸のアセチル化モノグリセライド、脂肪酸のアセチル化ジグリセライド、脂肪酸のアセチル化トリグリセライドのいずれであってもよい。例えば、上記アセチル化ラウリン酸グリセライドには、ラウリン酸のアセチル化モノグリセライド、ラウリン酸のアセチル化ジグリセライド(DALG:ジアセチルラウロイルグリセロール)、ラウリン酸のアセチル化トリグリセライドが含まれる。このなかでも、アセチル化ラウリン酸グリセライドが好ましく、ラウリン酸のアセチル化ジグリセライドがより好ましい。
上記その他の可塑剤の含有量は、ラップフィルムの総量に対して、好ましくは3.0~8.0質量%であり、より好ましくは3.5~7.0質量%であり、さらに好ましくは4.0~6.0質量%である。アセチル化脂肪酸グリセライドの含有量が上記範囲内であることにより、成形加工性がより向上する傾向にある。なお、ラップフィルムから各成分の含有量を測定する方法は分析対象物によって異なる。クエン酸エステル、二塩基酸エステル及びアセチル化脂肪酸グリセライドの含有量は、アセトン等の有機溶媒を用いて、抽出溶媒の沸点より5~10度低い温度にてラップフィルムから添加剤を抽出し、ガスクロマトグラフィー分析して得ることができる。
(エポキシ化植物油)
本実施形態のラップフィルムは、エポキシ化植物油を含有してもよい。エポキシ化植物油としては、特に限定されないが、一般的に、食用油脂をエポキシ化して製造されるものが挙げられる。具体的には、例えば、エポキシ化大豆油(ESO)、エポキシ化アマニ油が挙げられる。これらのなかでも、エポキシ化大豆油が好ましい。このようなエポキシ化植物油を用いることにより、ラップフィルムの木製容器及びプラスチック製容器に対する密着性がより向上する傾向にある。
エポキシ化植物油の含有量は、ラップフィルムの再沈濾液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析して得ることができる。具体的には、サンプルを50mg秤量し、重溶媒(溶媒:重水素化THF、内部標準:テレフタル酸ジメチル、容量:0.7ml)に溶かし、400MHzプロトンNMR(積算回数:512回)測定する。8.05~8.11ppmの積分値に対する2.23~2.33ppmの積分値の比を積分比とし、絶対検量線法で定量値を計算する。
積分比 = 積分値(2.23~2.33ppm)/積分値(8.05~8.11ppm)
(その他の添加剤)
本実施形態のラップフィルムは、上記以外の添加剤を含んでもよい。このような添加剤としては、特に限定されないが、例えば、上記以外の可塑剤、上記以外の安定剤、耐候性向上剤、染料又は顔料等の着色剤、防曇剤、抗菌剤、滑剤、核剤、ポリエステル等のオリゴマー、MBS(メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン共重合体)等のポリマー等が挙げられる。
クエン酸エステル及び二塩基酸エステル以外の可塑剤としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、グリセリン、グリセリンエステル、ワックス、流動パラフィン、及びリン酸エステル等が挙げられる。可塑剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上併用してもよい。
エポキシ化植物油以外の安定剤としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、2,5-t-ブチルハイドロキノン、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、4,4’-チオビス-(6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、オクタデシル-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)ブロピオネート、及び4,4’-チオビス-(6-t-ブチルフェノール)等の酸化防止剤;ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、イソステアリン酸塩、オレイン酸塩、リシノール酸塩、2-エチル-ヘキシル酸塩、イソデカン酸塩、ネオデカン酸塩、及び安息香酸カルシウム等の熱安定剤が挙げられる。安定剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上併用してもよい。
耐候性向上剤としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、エチレン-2-シアノ-3,3’-ジフェニルアクリレート、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾリトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5’-メチルフェニル)5-クロロベンゾトリアゾール、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、及び2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。耐候性向上剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上併用してもよい。
染料又は顔料等の着色剤としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン、インドリン、アゾ系顔料、及びベンガラ等が挙げられる。着色剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上併用してもよい。
防曇剤としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルコールエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。防曇剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上併用してもよい。
抗菌剤としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、銀系無機抗菌剤等が挙げられる。抗菌剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上併用してもよい。
滑剤としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、エチレンビスステロアミド、ブチルステアレート、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、カルナバワックス、ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸ステアリル等の脂肪酸炭化水素系滑剤、高級脂肪酸滑剤、脂肪酸アミド系滑剤、及び脂肪酸エステル滑剤等が挙げられる。滑剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上併用してもよい。
核剤としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、リン酸エステル金属塩等が挙げられる。核剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上併用してもよい。
その他の添加剤の含有量は、ラップフィルムの総量に対して、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下である。また、その他の添加剤の含有量の下限は、特に限定されないが、ラップフィルムの総量に対して、0質量%以上である。
本実施形態のラップフィルムは、静摩擦係数が1.0以上であり、かつ(フィルムのMD方向の2%伸長時の荷重+フィルムのTD方向の2%伸長時の荷重)/2が0.60N/10mm以上である。本実施形態のラップフィルムは、このような特性を有することで、容器に対する密着性及び剛性が優れる。
本実施形態のラップフィルムは、静摩擦係数が1.0以上であり、1.2~4.0であることが好ましく、1.5~3.0であることがより好ましく、1.8~2.5であることがさらに好ましい。本実施形態のラップフィルムは、本実施形態のラップフィルムは、静摩擦係数が前記範囲であると、密着性に優れ、例えば、ラップが容器から外れにくくなり、手触り感が良好となる。
なお、本実施形態において、静摩擦係数は後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
[2%伸長時荷重]
本実施形態のラップフィルムは、(MD方向の2%伸長時の荷重+TD方向の2%伸長時の荷重)/2が0.60N/10mm以上であり、0.60~2.0N/10mmであることが好ましく、0.80~1.8N/10mmであることがより好ましく、1.2~1.6N/10mmであることがさらに好ましい。本実施形態のラップフィルムは、(MD方向の2%伸長時の荷重+TD方向の2%伸長時の荷重)/2が前記範囲であると、例えば、ラップフィルムを張った容器の上に別の容器を載せたときに、前記ラップフィルムがたわみにくく、容器への追従性が良くなる傾向にある。
また、本実施形態のラップフィルムにおいて、MD方向の2%伸長時の荷重は、0.60~2.0N/10mmが好ましく、また、TD方向の2%伸長時の荷重は、0.60~2.0N/10mmが好ましい。
なお、本実施形態において、2%伸長時荷重は、試験片の2本標線間の距離が元の水準より2%伸長した際の荷重を測定することができる。具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態のラップフィルムは、上述したとおり、静摩擦係数が1.0以上であり、かつ(フィルムのMD方向の2%伸長時の荷重+フィルムのTD方向の2%伸長時の荷重)/2が0.60N/10mm以上である。これにより、容器に対して優れた密着性と、剛性とを両立できる。この理由はあきらかでないが、以下のように推測される。
静摩擦係数が1.0以上であればラップフィルムを張った容器の上に別の容器を載せたときに、上に載せた容器の重さで下の容器からラップフィルムがはがれることを効率よく抑制できると考えられる。また、フィルムの(MD方向の2%伸長時の荷重+TD方向の2%伸長時の荷重)/2はラップフィルムのこしを表す指標と考えられるが、この値が0.60N/10mm以上であれば、ラップフィルムを張った容器の上に別の容器を載せたときに、上に載せた容器の重さで下の容器に張ったフィルムが沈み込み下の容器の内容物をつぶすことを効率よく抑制できる。
本実施形態のラップフィルムにおいて、静摩擦係数が1.0以上、かつ(フィルムのMD方向の2%伸長時の荷重+フィルムのTD方向の2%伸長時の荷重)/2が0.60N/10mm以上を満たす方法としては、特に限定されないが、例えば、上述した、グリセリントリエステルやクエン酸トリエステルを適宜特定量含むことによって達成される。これは、これらの化合物が、極性基(エステル基)が分子全体に占める割合が高く、かつ分岐しているため、PVDCポリマー鎖と均一に混合されやすいためと考えられる。また比較的低分子量であるためフィルム表面近傍に偏在しやすいと考えられる。その結果、フィルム表面近傍の柔軟性を特に向上させることにより、フィルム全体の良好な剛性を維持した上で、密着性を十分に発現できると考えられる。
(ラップフィルムの厚み)
本実施形態のラップフィルムの厚みは、好ましくは6~18μmであり、より好ましくは9~12μmである。ラップフィルムの厚みが上記範囲内であることにより、フィルム切れのトラブルが抑制され、カット性がより向上し、密着性もより向上する。
より具体的には、厚みが6μm以上であることにより、ラップフィルムのTD方向及びMD方向における引張強度がより向上し、使用時のフィルム切れがより抑制される傾向にある。また、厚みが6μm以上であることにより、引裂強度の著しい低下が少ない傾向にある。そのため、巻回体からラップフィルムを引き出す際、及び化粧箱の中に巻き戻ったフィルム端部を摘み出す際において、化粧箱付帯の切断刃でカットされた端部からラップフィルムが裂けるトラブルがより抑制される。
一方、厚みが18μm以下であることにより、化粧箱付帯の切断刃でラップフィルムをカットするのに必要な力を低減することができ、カット性がより向上する傾向にある。また、厚みが18μm以下であることにより、ラップフィルムが容器形状にフィットしやすく、容器への密着性がより向上する傾向にある。
なお、本実施形態において、ラップフィルムの厚みは後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
(引裂強度)
本実施形態のラップフィルムは、MD方向の引裂強度が、好ましくは20~80mNであり、好ましくは30~70mNであり、より好ましくは40~60mNである。MD方向の引裂強度が20mN以上であることにより、器を重ねた際にカット端部からフィルムが裂けることを抑制でき、また、器からフィルムを剥がすときに裂け難くなる。一方、MD方向の引裂強度が80mN以下であることにより、化粧箱に付帯する切断刃でフィルムをカットする際に裂きやすく、カット性が向上する。
本実施形態のラップフィルムのMD方向の引裂強度は、塩化ビニリデン系樹脂の組成、添加剤組成、フィルムの延伸倍率、延伸速度、及びフィルムの厚み等によって調整することができる。特に限定されないが、例えば、MD方向の引裂強度はMD方向の延伸倍率を低くしたり、ラップフィルムを厚くすることによって、向上する傾向にあり、MD方向の延伸倍率を高くしたり、ラップフィルムを薄くすることによって、低下する傾向にある。なお、引裂強度は、実施例に記載の方法によって測定される。
〔ラップフィルムの製造方法〕
本実施形態のラップフィルムの製造方法は、特に限定されないが、例えば、塩化ビニリデンを76~93質量%含有する塩化ビニリデン系樹脂と、クエン酸エステル、二塩基酸エステル、及びアセチル化脂肪酸グリセライドからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物とを含む組成物を溶融押し出しして、フィルム状にする工程と、得られたフィルムをMD方向及びTD方向に延伸する工程と、を有する方法が挙げられる。以下、詳説する。
(混合工程)
図1に、ラップフィルムの製造工程の一例の概略図を示す。まず、混合器により、塩化ビニリデン系樹脂と、グリセリントリエステル、クエン酸トリエステル、アセチル化クエン酸エステル、二塩基酸エステル、及びアセチル化脂肪酸グリセライドからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物と、必要に応じて、エポキシ化植物油と、を混合して組成物を得る。この際、必要に応じて各種添加剤を混合してもよい。混合機は、特に限定されないが、例えば、リボンブレンダー又はヘンシェルミキサー等を用いることができる。得られた組成物は、1~30時間程度熟成させて次の工程に用いることが好ましい。
(溶融押出工程)
次いで、得られた組成物を押出機1により溶融し、ダイ2のダイ口3から管状のフィルムを押出し、ソック4(パイルとも呼ぶ)を形成する。
(冷却工程)
ソック4の内側にソック液5を注入し、ソック4の外側は冷水槽6の冷水に接触させる。これにより、ソック4は、内側と外側の両方から冷却され、ソック4を構成するフィルムは固化する。冷水槽6の温度は、10~40℃であることが好ましく、25~35℃であることがより好ましい。冷水槽6の温度が前記範囲内であると、フィルムの結晶化が促進される傾向にある。固化したソック4は、第1ピンチロール7により折り畳まれ、パリソン8を成形する。
ホットディスタンスは、50~90mmであることが好ましく、60~80mmであることがより好ましい。ホットディスタンスが前記範囲内であると、フィルムの結晶化が促進される傾向にある。なお、ここで、ホットディスタンスとは、ダイ口3から冷水槽6の液面までのソック4の最短距離をいう。
(延伸工程)
続いて、パリソン8の内側にエアを注入することにより、パリソン8を開口し、環状のフィルムを形成する。このとき、ソック4の内面に当たる部分に塗布されたソック液5はパリソン8の開口剤としての効果を発揮する。次いで、パリソン8は、開口した状態で、温水により延伸に適した温度まで再加熱される。パリソン8の外側に付着した温水は、第2ピンチロール9にて搾り取られる。
上記のようにして適温まで加熱されたパリソン8の内側にエアを注入してバブル10を成形する。このエアが内側からパリソンを押し広げることで、フィルムが延伸され、延伸フィルムが得られる。主にTD方向のフィルムの延伸は、エアの量により行われ、MD方向のフィルムの延伸は、第1ピンチロール9と第3ピンチロール11等を用いてフィルムの流れ方向に張力を掛けることにより行われる。
第1ピンチロール7から第3ピンチロール11までの工程を延伸工程という。延伸速度を遅くするとパリソン8の延伸性が向上するため、従来のラップフィルムの製造方法においては、MD方向の延伸速度を0.08倍/秒以下に調整し、TD方向の延伸速度を3.0倍/秒以下に調整していた。これに対して、本実施形態のラップフィルムの製造方法では、MD方向及びTD方向の延伸倍率と、MD方向及びTD方向の延伸速度を所定の範囲に調整することが好ましい。
具体的には、本実施形態の延伸工程におけるMD方向及びTD方向の延伸倍率は、各々独立して、好ましくは4~6倍であり、より好ましくは4.5~5.5倍である。ここで、MD方向の延伸倍率は、パリソン8をMD方向に伸ばした延伸比をいい、例えば、図1においては、第1ピンチロール7の回転速度に対する第3ピンチロール11の回転速度の比によって算出することができる。TD方向の延伸倍率は、パリソン8をTD方向に伸ばした延伸比をいい、例えば、図1においては、パリソン8の幅の長さに対するダブルプライフィルム12の幅の長さの比によって算出することができる。MD方向の延伸倍率は、例えば、第1ピンチロール7と第3ピンチロール11の回転速度比により調整することができ、TD方向の延伸倍率は、例えば、パリソン8の延伸温度やバブル10の大きさで調整することができる。本実施形態の延伸工程におけるMD方向及びTD方向の延伸倍率を高めにすると、剛性の高いフィルムが得られる傾向にある。また、延伸の面積倍率(MD方向の延伸倍率×TD方向の延伸倍率)は、20~40倍が好ましく、30~35倍がより好ましい。
延伸温度は、特に限定されないが、好ましくは25~34℃である。本実施形態の延伸工程における温度を低めにすると、密着性が良好なフィルムが得られる傾向にある。
上記延伸工程後、延伸フィルムは、第3ピンチロール11で折り畳まれ、ダブルプライフィルム12となる。ダブルプライフィルム12は、巻き取りロール13にて巻き取られる。
(スリット工程)
上記のようにして巻き取られたラップフィルムは、スリットされて、1枚のラップフィルムになるように剥がしながら巻き取られ、一時的に1~3日間原反の状態で保管される。最終的には原反から紙管に巻き返され、化粧箱に詰められることで、化粧箱に収納されたラップフィルム巻回体が得られる。
スリット原反は、保管後、特に限定されないが、例えば紙管等に巻き返され、巻回体16として、図2に示すようなフィルム切断刃15を備える化粧箱1収納される。図2に例示するように、ラップフィルム17は、使用時に引き出されて使用される。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
[塩化ビニリデンの含有量]
ラップフィルム中のポリ塩化ビニリデン系樹脂における塩化ビニリデンの含有量(比率)は、高分解のプロトン核磁気共鳴測定装置を用いて測定した塩化ビニリデン繰り返し単位の含有量から求めた。ラップフィルム0.5gをTHF(テトラヒドロフラン)10mLに溶解し、メタノール約30mlを加えて樹脂分を析出した後、遠心分離にて析出物を分離、真空乾燥し、塩化ビニリデン系樹脂の測定用サンプルを得た。そして、得られた測定用サンプルを5質量%になるように重水素化テトラヒドロフランに溶解させた溶液を、測定雰囲気温度約27℃にてH-NMR測定した。例えば、塩化ビニリデンと塩化ビニルとの共重合体に関しては、テトラメチルシランを基準とした共重合体の3.50~4.20ppm、2.80~3.50ppm、2.00~2.80ppmのピークを利用して塩化ビニリデン繰り返し単位の含有量を計算し、その値を塩化ビニリデンの含有量とした。なお、他の共重合体に関しても、モノマー毎のピークを利用して繰り返し単位の含有量を計算することができる。
[フィルムの厚み]
ダイアルゲージ(テクロック社製)を利用し、23℃、50%RHの雰囲気中でフィルムの厚みの測定を行った。
[引裂強度]
ラップフィルムの引裂強度測定には軽荷重引裂試験機 D型(東洋精機製)を使用した。23℃、50%RHの雰囲気中にて引裂強度の測定を行った。ラップフィルムの引裂強度測定は、ラップフィルム1枚のみで行った。引裂方向のサンプル長さは63.5mmとし、サンプル幅は50.0mmとした。測定の際には、振り子を持ち上げてから止めた後、試験片を注意深くつまみ具に取り付け、スリットを入れる位置がフィルム幅の中央となるように、クランプをしっかりと締め付けた。その後、装置に取り付けられたナイフでフィルムにスリットを入れた。この際に、フィルムの切り込み長さが12.7mm±0.5mmになるよう、ナイフの刃位置を調整した。スリットを入れた後、振り子を注意深く解放し、試験片を引き裂くのに要した力の値を読み取った。なお、引裂線がスリットの延長線より10mm以上それた試験は除外し、代わりに追加の試験片の試験を行った。サンプルを変えて計5回測定し、5回の平均値の有効数字3桁目を四捨五入し有効数字2桁とし、これを測定値とした。
[2%伸長時荷重]
ラップフィルムの2%伸長時荷重は、オートグラフAG-IS(島津製作所製)を使用し、23±1℃、50±5%RHの雰囲気中にて行った。MD方向の測定の際には、試験機の軸に試験片のMD方向が一致するように、TD方向の測定の際には、試験機の軸に試験片のTD方向が一致するように、各々つかみ具に取り付けた。試験片は、滑りを防ぐために、かつ、試験中につかみ部分がずれないように、つかみ具で均等にしっかりと締めた。5mm/minの引張速度、チャック間距離100mm、フィルム幅10mmの条件で2%伸長時の荷重(試験片の2本標線間の距離が元の水準より2%伸長した際の荷重)を測定した。サンプルを変えて計5回測定を行い、MD方向の2%伸長時の荷重の5回の平均値と、TD方向の2%伸長時の荷重の5回の平均値を各々算出し、これらを足して2で割った。この値の有効数字3桁目を四捨五入し有効数字を2桁とした値を、(MD方向の2%伸長時の荷重+TD方向の2%伸長時の荷重)/2の値とした。
[静摩擦係数]
ラップフィルムの静摩擦係数は東洋精機製摩擦測定機TR-2を使用し、23±1℃、50±5%RHにて測定した。摩擦子は接触面の幅20mm×長さ40mm、102gのものを用いた。摩擦子の接触面側に20mm×40mmに切り出したろ紙(アドバンテック製定性ろ紙、No.2)を貼り付け、その上を測定するフィルムで覆い、接触面のフィルムにシワが生じないよう摩擦子の側面とフィルムを両面テープで固定した。SUS板はJIS G 4305に規定されるSUS304鋼板で、表面仕上げBA(冷間圧延後、光輝熱処理)を行ったものであり、表面粗さはJIS B 0601に規定される Ra:50±25nmであり、寸法は、厚さ3mm、幅50mm、長さ125mmのものを作成した。SUS板を長手方向が移動方向となるよう摩擦測定機のステージ上に固定し、SUS板上にフィルム付摩擦子をフィルム面をSUS板側にして長さ方向が移動方向となるよう載せ、摩擦子をロードセルに接続し、100mm/分で移動させた。直線的に増加して最大荷重に達したピーク値を静摩擦力とし、これを摩擦子の総荷重(摩擦子+ろ紙+フィルム+両面テープ)で割って静摩擦係数を算出した。計5回測定を行い、5回の平均値を算出し、有効数字3桁目を四捨五入し有効数字を2桁とした値を、静摩擦係数の値とした。
[器のスタック性]
モニター20名による官能評価を行った。上下に重なる容器として、直径145mmの磁器製どんぶりを2つ用意し、上側用のどんぶりは、どんぶり重量含め300gとなるよう中に水を入れた。モニターに、下側用のどんぶりにラップフィルムを張り、ラップフィルム面に上側用のどんぶりを載せて2時間静置後、下側用のどんぶりのラップフィルムの様子を観察し、ラップフィルムのどんぶり(器)のスタック性を以下の基準で評価した。ラップフィルムの密着性と剛性とがともに優れるほど、器のスタック性が優れる。
〔器のスタック性の評価基準〕
3点:ラップフィルムの沈み込みがほとんどない
2点:ラップフィルムの沈み込みがわずかにある
1点:ラップフィルムの沈みがある
0点:ラップフィルムの沈み込みが大きい
20名の平均点から下記の基準で評価した。
◎:平均点が2.0点以上
〇:平均点が1.5点以上2.0未満
△:平均点が1.0点以上1.5未満
×:平均点が1.0点未満
[実施例1]
重量平均分子量90,000の塩化ビニリデン系樹脂(塩化ビニリデンが88mol%、塩化ビニル繰り返し単位が12mol%)93.2質量部、アセチルクエン酸トリブチル(田岡化学工業(株))4.9質量部、エポキシ化大豆油(ニューサイザー510R、日本油脂(株))1.3質量部、トリアセチン(DRA-150 株式会社ダイセル製)0.4質量部を、ヘンシェルミキサーにて5分間混合した。混合後、24時間以上熟成して組成物を得た。
得られた組成物を溶融押出機に供給して溶融し、押出機の先端に取り付けられた環状ダイから溶融押出してソックを形成した。この際、環状ダイのスリット出口における溶融樹脂温度は170℃になるように押出機の加熱条件を調節し、10kg/時間の押出速度で環状に押出した。
これをソック液と冷水槽とで冷却した後、パリソンを開口して延伸に適した温度まで再加熱し、インフレーション延伸を行った。この際、MD方向は4.1倍に延伸し、TD方向は6.0倍に延伸して、筒状フィルム(バブル)を形成した。その他の延伸条件等は表1に示すとおりとした。
得られた筒状フィルムをニップして扁平に折り畳み、折幅280mmの2枚重ねのフィルムを巻取速度18m/分にて巻き取った。このフィルムを、220mmの幅にスリットし、1枚のフィルムに剥がしながら外径92mmの紙管に巻き直した。その後、17℃で保管し、外径36mm、長さ230mmの紙管に20m巻き取ることで、ラップフィルムの巻回体を得た。得られたラップフィルムの巻回体を用いて上記方法により各評価を行った。評価結果を表1に示す。
[実施例2~23及び比較例1~3]
添加剤の種類及び量並びに延伸条件等を表1~3のとおり変更した以外は実施例1と同様にしてラップフィルムの巻回体を作製し、各評価を行った。評価結果を表1及び2、3に示す。
Figure 2022134090000001
Figure 2022134090000002
Figure 2022134090000003
本発明のラップフィルムは、密着性及び剛性に優れるため、例えば、ラップをかけた器を重ね置きしてもラップの外れやたわみが生じにくく、食品包装用等の用途として有効に利用可能である。
1 押出機
2 ダイ
3 ダイ口
4 管状の塩化ビニリデン系共重合体組成物
5 ソック液(インフレーション成形用剥離剤)
6 冷水槽
7 第1ピンチロール
8 パリソン
9 第2ピンチロール
10 バブル
11 第3ピンチロール
12 ダブルプライフィルム
13 巻き取りロール
14 化粧箱
15 フィルム切断刃
16 巻回体
17 ラップフィルム

Claims (3)

  1. ポリ塩化ビニリデン系樹脂を含有し、
    前記ポリ塩化ビニリデン系樹脂が、塩化ビニリデンを76~93質量%含有する共重合体であり、
    静摩擦係数が1.0以上であり、
    (MD方向の2%伸長時の荷重+TD方向の2%伸長時の荷重)/2が0.60N/10mm以上である、
    ラップフィルム。
  2. グリセリンと炭素数7以下の脂肪酸とからなる脂肪酸エステル、及び、クエン酸と炭素数3以下のアルコールとからなる脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種を含む、
    請求項1に記載のラップフィルム。
  3. MD方向の引裂強度が20mN~80mNである、
    請求項1又は2に記載のラップフィルム。
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