JP2016022983A - 塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム - Google Patents

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八塚 道浩
Michihiro Hachitsuka
道浩 八塚
真文 浅野
Masafumi Asano
真文 浅野
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Abstract

【課題】本発明は、引出性に優れると共に、低温下での密着性(例えば、食品を入れた器に対する密着性)にも優れる塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムは、10℃における静止摩擦係数が0.3以上0.65以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムに関する。
近年、ラップフィルムは、透明性、耐水性及びガスバリア性等の特性だけでなく、成形加工性及び熱安定性等の特性も向上させ、さらに高機能化させることが求められている。ラップフィルムを高機能化させる方法としては、例えば、可塑剤や熱安定剤等の添加剤を配合する方法が挙げられる。
しかしながら、このような添加剤を配合したラップフィルムは、長期間保管すると、添加剤がブリードアウトして引出性が悪化する場合がある。このようなブリードアウトを抑制することを目的として、例えば、特許文献1には、脂肪族ポリエステル樹脂組成物A及び可塑剤Bを含む樹脂組成物Cからなる層Xと、ポリ塩化ビニリデン樹脂及び/又はポリ塩化ビニリデン共重合樹脂を含む樹脂組成物Dからなる層Yとを有する、少なくとも2層以上の積層フィルムが提案されている。
また、耐摩擦性、耐ピンホール性に優れ、且つガスバリア性、スリップ性、引張弾性率を有する包装用材料を得る目的として、例えば、特許文献2には、ポリプロピレン系樹脂の中間層と、中間層の片方の面に形成されたプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体からなる第1の層と、中間層の他の面に形成された第2の層とで構成された二軸延伸多層フィルムが提案されている。
特開2008−273004号公報 特開2013−223935号公報
しかしながら、従来のラップフィルムは、添加剤のブリードアウトを抑制して引出性を向上させた場合、例えば、低温下、食品を入れた器に対する密着性が低下するという問題がある。また、ポリ塩化ビニリデン樹脂をポリプロピレン系二軸延伸フィルム等の熱可塑性フィルムに積層あるいは被覆する方法は多く提案されているが、いずれも防湿性や酸化劣化防止により内容物を保護することが目的で、当該ポリ塩化ビニリデン樹脂相そのものの密着性低下について言及されたものではない。
近年、例えば、食品を入れた器をラップフィルムで包んだ状態で冷蔵庫中に保存するような態様が増加していることから、引出性と、低温下での密着性とを両立させたラップフィルムの開発が望まれている。
そこで、本発明は、引出性に優れると共に、低温下での密着性(例えば、食品を入れた器に対する密着性)にも優れる塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討をした結果、10℃における静止摩擦係数が特定の範囲である塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムが、引出性に優れると共に、低温下での密着性(例えば、食品を入れた器に対する密着性)にも優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に関する。
[1]
10℃における静止摩擦係数が0.3以上0.65以下である塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム。
[2]
エポキシ化植物油(A)及び可塑剤(B)を含有する、[1]に記載の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム。
[3]
エポキシ化植物油(A)の含有量が0.5〜5.0質量%である、[2]に記載の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム。
[4]
可塑剤(B)の含有量が1.0〜6.0質量%であり、かつ、エポキシ化植物油(A)及び可塑剤(B)の合計含有量が3.0〜11.0質量%である、[2]又は[3]に記載の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム。
[5]
前記可塑剤(B)がクエン酸エステルを含む、[2]〜[4]のいずれかに記載の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム。
本発明によれば、引出性に優れると共に、低温下での密着性(例えば、食品を入れた器に対する密着性)にも優れる塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムを提供することができる。
本発明の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムを製造する際に用いられる装置の一例を示す概略図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの本実施形態にのみ限定する趣旨ではない。そして、本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
≪塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム≫
本実施形態の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムは、10℃における静止摩擦係数が0.3以上0.65以下である。本実施形態の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムの10℃における静止摩擦係数は、0.35以上0.45以下であることが好ましい。
本実施形態の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムは、10℃における静止摩擦係数が前記範囲であることにより、引出性に優れると共に、低温下での密着性(例えば、食品を入れた器に対する密着性)にも優れる。
10℃における静止摩擦係数を前記範囲に制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、後述のエポキシ化植物油(A)及び可塑剤(B)の含有量を適宜調整する方法が挙げられる。
なお、本実施形態において、フィルムの10℃における静止摩擦係数は、ASTM D1894に準拠して、10℃、相対湿度50%RHの雰囲気中で、試験片を巻いたおもりを試験片を敷いた水平板に載せ、一定の速度でおもりを滑らせ、接触する試験片間で生じた摩擦力をロードセルで計測し、摩擦力(ピーク試験力)とおもりの重量から算出する。
本実施形態の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムは、エポキシ化植物油(A)、可塑剤(B)及び塩化ビニリデン系樹脂(C)を含有することが好ましい。
本実施形態の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムの構成成分について以下詳細に説明する。
<エポキシ化植物油(A)>
本実施形態に用いるエポキシ化植物油(A)としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化ひまし油、エポキシ化コーン油、エポキシ化菜種油、エポキシ化サフラワー油、エポキシ化ひまわり油、エポキシ化パーム油、エポキシ化綿実油、エポキシ化オリーブ油、エポキシ化ココアバターなどが挙げられる。中でも、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油がより好ましい。このようなエポキシ化植物油(A)を用いると、熱劣化による着色を抑制でき、低温下の密着性がさらに向上する傾向にある。
エポキシ化植物油(A)は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本実施形態の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムにおいて、エポキシ化植物油(A)の含有量は、0.5〜5.0質量%であることが好ましく、1.0〜3.0質量%であることがより好ましく、1.2〜2.5質量%であることがさらに好ましい。エポキシ化植物油(A)の含有量が前記下限値以上であると、塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムは、熱劣化による着色を抑制でき、低温下の密着性がさらに向上する傾向にある。また、エポキシ化植物油(A)の含有量が前記上限値以下であると、塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムは、手触り感及び引出性がさらに向上する傾向にある。
<可塑剤(B)>
本実施形態に用いる可塑剤(B)としては、特に限定されないが、例えば、アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステル;セバシン酸ジブチル等のセバシン酸エステル;フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル等のフタル酸エステル;グリセリン、グリセリンエステル、ワックス、流動パラフィン、リン酸エステルが挙げられる。中でも、クエン酸エステル、セバシン酸エステルがより好ましく、クエン酸エステルがさらに好ましい。このような可塑剤(B)を用いると、塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムは、手触り感及び引出性がさらに向上する傾向にある。
可塑剤(B)は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本実施形態の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムにおいて、可塑剤(B)の含有量は、1.0〜6.0質量%であることが好ましく、1.5〜5.5質量%であることがより好ましく、2.0〜5.0質量%であることがさらに好ましい。可塑剤(B)の含有量が前記下限値以上であると、塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムは、低温下の密着性がさらに向上する傾向にある。また、可塑剤(B)の含有量が前記上限値以下であると、塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムは、手触り感及び引出性がさらに向上する傾向にある。
<エポキシ化植物油(A)及び可塑剤(B)の合計含有量>
本実施形態の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムにおいて、エポキシ化植物油(A)及び可塑剤(B)の合計含有量は、3.0〜11.0質量%であることが好ましく、3.5〜8.5質量%であることがより好ましく、4.0〜7.5質量%であることがさらに好ましい。
本実施形態の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムは、エポキシ化植物油(A)及び可塑剤(B)の各々の含有量を上述した範囲内とし、かつ、エポキシ化植物油(A)及び可塑剤(B)の合計含有量を前記範囲内とすることが好ましい。エポキシ化植物油(A)及び可塑剤(B)の各々の含有量、並びにエポキシ化植物油(A)及び可塑剤(B)の合計含有量を上述した範囲内で適宜調整することにより、得られる塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムは、10℃における静止摩擦係数を上述した範囲内に制御することができる。このように10℃における静止摩擦係数を上述した範囲内に制御した塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムは、引出性に優れると共に、低温下での密着性(例えば、食品を入れた器に対する密着性)にも優れる。
<塩化ビニリデン系樹脂(C)>
本実施形態に用いる塩化ビニリデン系樹脂(C)は、塩化ビニリデン単位を含む樹脂であれば特に限定されないが、塩化ビニリデン単位以外に、塩化ビニリデン単量体と共重合可能な単量体単位をさらに含む樹脂が好ましい。塩化ビニリデン単量体と共重合可能な単量体としては、特に限定されないが、例えば、塩化ビニル、メチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル;メチルメタアクリレート、ブチルメタアクリレート等のメタアクリル酸エステル;アクリロニトリル;酢酸ビニルが挙げられる。これらの単量体は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本実施形態に用いる塩化ビニリデン系樹脂(C)は、塩化ビニリデン単位の含有量が72〜93mol%であることが好ましく、81〜90mol%であることがより好ましい。塩化ビニリデン単位の含有量が前記範囲内である塩化ビニリデン系樹脂(C)は、前記エポキシ化植物油(A)との親和性が増加する。その結果、塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムは、エポキシ化植物油(A)のブリードアウトを適度に抑制することができるため、ラップフィルムとした場合の手触り感及び引出性がより一層優れる傾向にある。
なお、本実施形態において、塩化ビニリデン単位の含有量は、核磁気共鳴(NMR)装置により測定することができる。
本実施形態に用いる塩化ビニリデン系樹脂(C)の重量平均分子量は、7.5万〜9.5万であることが好ましく、8.0万〜9.0万であることがより好ましい。重量平均分子量が前記範囲内である塩化ビニリデン系樹脂(C)は、前記エポキシ化植物油(A)との親和性が増加する。その結果、塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムは、長期間高温下で保管した場合であっても、エポキシ化植物油(A)のブリードアウトを適度に抑制することができるため、手触り感及び引出性がより一層優れる傾向にある。
重量平均分子量が前記範囲内である塩化ビニリデン系樹脂(C)は、例えば、塩化ビニリデンモノマーと塩化ビニルモノマーの仕込み比率や、重合開始剤の量、又は重合温度を制御することにより得ることができる。
なお、本実施形態において、塩化ビニリデン系樹脂(C)の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
本実施形態の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムにおいて、塩化ビニリデン系樹脂(C)の含有量は、92.0〜95.5質量%であることが好ましく、92.5〜94.0質量%であることがより好ましい。塩化ビニリデン系樹脂の含有量が前記範囲内であると、塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムは、溶融押出成形時の加工性に優れる傾向にある。
<その他の添加剤>
本実施形態の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムは、本発明の効果を損なわない範囲であれば、その他の添加剤を含有させてもよい。その他の添加剤としては、特に限定されないが、例えば、上述のエポキシ化植物油(A)以外の安定剤、耐候性向上剤、染料若しくは顔料などの着色剤、防曇剤、抗菌剤、滑剤、核剤が挙げられる。これらの添加剤は1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
上述のエポキシ化植物油(A)以外の安定剤としては、特に限定されないが、例えば、2,5−t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4'−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)ブロピオネート、及び4,4'−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)等の酸化防止剤;ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、イソステアリン酸塩、オレイン酸塩、リシノール酸塩、2−エチル−ヘキシル酸塩、イソデカン酸塩、ネオデカン酸塩、及び安息香酸カルシウム等の熱安定剤が挙げられる。
耐候性向上剤としては、特に限定されないが、例えば、エチレン−2−シアノ−3,3'−ジフェニルアクリレート、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾリトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、及び2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤が挙げられる。
染料若しくは顔料などの着色剤としては、特に限定されないが、例えば、カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン、インドリン、アゾ系顔料、及びベンガラが挙げられる。
防曇剤としては、特に限定されないが、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルコールエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。
抗菌剤としては、特に限定されないが、例えば、銀系無機抗菌剤が挙げられる。
滑剤としては、特に限定されないが、例えば、エチレンビスステロアミド、ブチルステアレート、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、カルナバワックス、ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸ステアリル等の脂肪酸炭化水素系滑剤、高級脂肪酸滑剤、脂肪酸アミド系滑剤、及び脂肪酸エステル滑剤が挙げられる。
核剤としては、特に限定されないが、例えば、リン酸エステル金属塩が挙げられる。
≪塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムの製造方法≫
本実施形態の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムの製造方法としては、10℃における静止摩擦係数が上述した範囲内のラップフィルムが得られれば特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、まず、上述のエポキシ化植物油(A)、可塑剤(B)及び塩化ビニリデン系樹脂(C)を含む原料成分を上述した含有量となるような割合で混合することにより樹脂組成物を得る。原料成分の混合方法としては、特に限定されないが、重合後にスラリー状態の塩化ビニリデン系重合体組成物に添加してもよく、または溶融成形前の粉末状の塩化ビニリデン系共重合体組成物に添加してもよい。粉末状樹脂組成物にこれらの添加剤を混合する場合には、例えば、ヘンシェルミキサーによる混合方法、ターンブレンダーやリボンブレンダー等のブレンダーによる混合方法が挙げられる。
次に、例えば、上述の樹脂組成物を押出機より溶融押出した後、延伸、芯体への巻き回しを行うことにより、ラップフィルムを得る方法が挙げられる。溶融押出された樹脂組成物の製膜、延伸の方法としては、特に限定されないが、例えば、インフレーション法やテンター法を用いることができる。延伸時の特にフィルム幅方向(以下、単に「TD」ともいう。)の制御、及びそれにより得られるTDの引裂強度(以下、「TD引裂強度」ともいう。)を制御することにより、得られるラップフィルムのカット性が良好になる傾向にある。TD引裂強度は、ラップフィルムのカット性の観点から、2.0〜6.0cNの範囲が好ましく、2.3〜5.0cNの範囲がより好ましい。
なお、本実施形態において、TD引裂強度は、JIS−P−8116(2000年)に準拠して測定することができる。
延伸されたフィルムは、ラップフィルムに適した厚さになるまでさらに延伸される。フィルム切れ、カット性、引出性、及び密着性をバランスよく優れたものとする観点から、ラップフィルムの厚さは、好ましくは6〜18μmであり、より好ましくは8〜15μmであり、さらに好ましくは9〜12μmである。
以下、本実施形態の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムの製造方法の一例として、上述の樹脂組成物を用いたインフレーション法についてより具体的に説明する。図1は、本実施形態のラップフィルムの製造方法の一例を示す概略図である。
まず、溶融した上述の樹脂組成物を押出機1により、円形のダイ2のダイ口3から管状に押し出し、管状の樹脂組成物であるソック4が形成される。
次に、押出物であるソック4の外側を冷水槽6にて冷水に接触させ、ソック4の内部にはソック液5を常法により注入して貯留することにより、ソック4を内外から冷却して固化させる。この際、ソック4はその内側にソック液5が塗布された状態となる。固化されたソック4は、第1ピンチロール7にて折り畳まれ、ダブルプライシートであるパリソン8が成形される。ソック液5の塗布量は第1ピンチロール7のピンチ圧により制御される。
ソック液5には、水、ミネラルオイル、アルコール類、プロピレングリコールやグリセリン等の多価アルコール類、セルロース系やポリビニルアルコール系の水溶液を用いることができる。これらは単体で使用しても、2種類以上を併用してもよい。また、ソック液には、本実施形態の効果を阻害しない範囲で、従来の食品包装材料に用いられる耐候性向上剤、防曇剤、抗菌剤等を添加してもよい。
ソック液5の塗布量は、特に限定されないが、パリソンの開口性、フィルムの密着性の観点から、好ましくは50〜20000ppm、より好ましくは100〜15000ppm、更に好ましくは150〜10000ppmである。ここで、塗布量(ppm)とは、ソック4の合計質量に対して、ソック4に塗布されたソック液5の質量を、質量ppmで示したものである。
続いて、パリソン8の内側に空気を注入することにより、再度パリソン8は開口されて管状となる。パリソン8は、温水(図示せず)により延伸に適した温度まで再加熱される。パリソン8の外側に付着した温水は、第2ピンチロール9にて搾り取られる。次いで、インフレーション工程において、適温まで加熱された管状のパリソン8に空気を注入してインフレーション延伸によりバブル10を成形し、延伸フィルムが得られる。
フィルムの引裂強度は、延伸倍率によって一義的に決定されるわけではないが、延伸倍率によって主に制御することができる。カット性に優れ、かつ裂けトラブルを抑制するフィルムを得るためには、長さ(MD)方向及び幅(TD)方向の延伸倍率は、延伸温度30〜45℃条件下において、共に4〜6倍が好ましい。
その後、延伸フィルムは、第3ピンチロール11で折り畳まれ、ダブルプライフィルム12となる。ダブルプライフィルム12は、巻取りロール13にて巻き取られる。さらに、このダブルプライフィルム12はスリットされて、1枚のフィルムになるように剥がされる(シングル剥ぎ)。最終的にこのフィルムは例えば芯体に巻き取られ、ラップフィルム巻回体が得られる。
上記の説明は、本実施形態の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムの製造方法の一例であり、上記以外の各種装置構成や条件等によってラップフィルムを製造してもよく、例えば、公知の他の方法を採用してもよい。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例で用いた原料成分及び評価方法は、以下のとおりとした。
[エポキシ化植物油(A)]
エポキシ化植物油(A)として、エポキシ化大豆油(以下「ESO」とも記す。商品名:ニューサイザー510R、日本油脂株式会社製)を用いた。
[可塑剤(B)]
可塑剤(B)として、セバシン酸ジブチル(以下「DBS」とも記す。田岡化学工業株式会社製)及びアセチルクエン酸トリブチル(以下「ATBC」とも記す。田岡化学工業株式会社製)を用いた。
[塩化ビニリデン系樹脂(C)]
塩化ビニリデン系樹脂(C)として、以下のとおり合成した塩化ビニリデン系樹脂(以下「C1」とも記す。)を用いた。
塩化ビニリデン単量体と塩化ビニル単量体とを共重合させることにより、塩化ビニリデン系樹脂の含有量が93質量%である塩化ビニリデン系樹脂(C1)を得た。なお、重合温度は45℃とし、重合時間は30時間とした。得られた塩化ビニリデン系樹脂(C1)の重量平均分子量は、9.0万であった。
なお、本実施例において、塩化ビニリデン系樹脂における塩化ビニリデン単位等の各単量体単位の含有量(mol%)は、核磁気共鳴(NMR)装置により測定した。また、塩化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した。
[静止摩擦係数]
静止摩擦係数は、摩擦と試験片の表面に垂直に働く力との比で、静止している物体を滑らせ移動を始める際に生じる摩擦から算出する。フィルムの10℃における静止摩擦係数は、ASTM D1894に準拠して、10℃、相対湿度50%RHの雰囲気中で、試験片を巻いたおもりを試験片を敷いた水平板に載せ、一定の速度でおもりを滑らせ、接触する試験片間で生じた摩擦力をロードセルで計測し、摩擦力(ピーク試験力)とおもりの重量から算出した。
[密着性]
ラップフィルムの密着性は、評価者として、日常、食品包装用ラップフィルムを使用する100人を選出し、23℃、相対湿度50%RHの雰囲気中で、以下の基準により評価した。評価は評価者100人の平均により決定した。
〔密着性の評価基準〕
◎:十分な密着性を有し、優れたレベルにある。
○:密着性を有し、実用レベルにある。
△:僅かに密着性を有すが、実用上問題あり。
×:密着性が小さすぎ、実用不可。
[手触り感]
ラップフィルムの手触り感は、評価者として、日常、食品包装用ラップフィルムを使用する100人を選出し、23℃、相対湿度50%RHの雰囲気中で、以下の基準により評価した。評価は評価者100人の平均により決定した。
〔手触り感の評価基準〕
◎:べたつきが全くなく非常に良好なレベル。
○:べたつきが殆どなく良好なレベル。
△:わずかにべたつきが感じられやや不快なレベル。
×:べたつきが感じられ不快なレベル。
[引出性]
ラップフィルムの引出性は、評価者として、日常、食品包装用ラップフィルムを使用する100人を選出し、23℃、相対湿度50%RHの雰囲気中で、以下の基準により評価した。評価は評価者100人の平均により決定した。
〔引出性の評価基準〕
◎:引出性が非常に軽く非常に良好なレベル。
○:引出性が軽く良好なレベル。
△:引出性に抵抗を感じやや不快なレベル。
×:引出性に大きな抵抗を感じ不快なレベル。
[熱劣化着色]
ラップフィルムの熱劣化による着色は、評価者として、日常、食品包装用ラップフィルムを使用する100人を選出し、23℃、相対湿度50%RHの雰囲気中で、以下の基準により評価した。評価は評価者100人の平均により決定した。
〔熱劣化着色の評価基準〕
◎:フィルムの着色に敏感な人でも着色が全く気にならないレベル。
○:フィルムの着色に敏感な人にはわずかに着色が気になるレベル。
△:フィルムの着色に敏感な人でなくても着色がやや気になるレベル。
×:フィルムの着色に敏感な人でなくても着色がかなり気になるレベル。
[実施例1]
表1に示すとおりの種類及び配合割合で、エポキシ化植物油(A)、可塑剤(B)及び塩化ビニリデン系樹脂(C)を、ヘンシェルミキサーにて5分間混合し、15時間以上熟成して樹脂組成物を得た。
上記の樹脂組成物を溶融押出機に供給して溶融し、押出機の先端に取り付けられた環状ダイのスリット出口での溶融樹脂組成物温度が170℃になるように、押出機の加熱条件を調節しながら、環状に10kg/時間の押出速度で押し出した。押出物を過冷却した後、インフレーション延伸によって、長さ(MD)方向に4.1倍に延伸し、幅(TD)方向に5.6倍に延伸して筒状のラップフィルムを得た。得られたラップフィルムの特性について上記のとおり測定した。該測定結果を表1に示す。
[実施例2〜6及び比較例1〜5]
表1に示すとおりに原料成分の種類及び配合割合を変更した以外は、実施例1と同様にしてラップフィルムを得た。得られたラップフィルムの特性について上記のとおり測定した。該測定結果を表1に示す。
Figure 2016022983
本発明の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムは、引出性に優れると共に、低温下での密着性(例えば、食品を入れた器に対する密着性)にも優れるので、食品包装用材料として好適に利用できる。
1…押出機、2…ダイ、3…ダイ口、4…ソック、5…ソック液、6…冷水槽、7…第1ピンチロール、8…パリソン、9…第2ピンチロール、10…バブル、11…第3ピンチロール、12…ダブルプライフィルム、13…巻取りロール

Claims (5)

  1. 10℃における静止摩擦係数が0.3以上0.65以下である塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム。
  2. エポキシ化植物油(A)及び可塑剤(B)を含有する、請求項1に記載の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム。
  3. エポキシ化植物油(A)の含有量が0.5〜5.0質量%である、請求項2に記載の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム。
  4. 可塑剤(B)の含有量が1.0〜6.0質量%であり、かつ、エポキシ化植物油(A)及び可塑剤(B)の合計含有量が3.0〜11.0質量%である、請求項2又は3に記載の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム。
  5. 前記可塑剤(B)がクエン酸エステルを含む、請求項2〜4のいずれか一項に記載の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム。
JP2014149964A 2014-07-23 2014-07-23 塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム Pending JP2016022983A (ja)

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