JP2004209696A - 食品包装用ストレッチフィルム - Google Patents

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憲賢 品田
Hideki Suzuki
秀樹 鈴木
Michimasa Ote
道正 大手
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Abstract

【課題】本発明は、防曇性、フィルム開反性、フィルム滑り性、透明性、耐寒性、ヒートシール性が良く、包装効率の低下を生じないストレッチフィルムで、特にTダイ法により成形されるポリオレフィン系の食品包装用ストレッチフィルムを提供する。
【解決手段】オレフィン系熱可塑性エラストマーからなる樹脂組成物を芯層とし、この芯層の少なくとも一方の面に、直鎖状低密度ポリエチレン100重量部に対し、低密度ポリエチレン1〜10重量部、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル0.1〜3.0重量部を添加配合してなる表面層を形成してなる食品包装用ストレッチフィルムである。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品包装用に使用されるストレッチフィルムに係わり、特には、フィルムを引出す際の開反性、ヒートシール性、透明性、耐寒性、防曇性、表面滑性に優れた食品包装用ストレッチフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、生鮮食品および弁当容器等の包装には、ポリ塩化ビニル樹脂を主成分とするストレッチフィルムまたはポリオレフィン系ストレッチフイルムが使用されている。特に、近年ポリオレフィン系樹脂を主成分とするストレッチフィルムが提案されるようになってきた。
こうした中、本発明者らはオレフィン系熱可塑性エラストマーを主成分とする樹脂組成物を芯層とした積層フィルムについて研究し、透明性、柔軟性、引裂強度、復元性、ヒートシール性および耐冷凍性に優れた手包装、自動包装に好適なフィルムを開発した(例えば、特許文献1参照)。
この積層フィルムは芯層の両側に被覆層としてポリエチレン系樹脂からなる層を積層したものであり、特にはエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンからなるフィルムを提案している。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−280407号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの中で、特に直鎖状低密度ポリエチレンを使用したものは防曇剤がフィルム表面に出にくく、防曇性およびフィルムを引出す際の開反性が不十分であり、トレー包装などに使用した場合にフィルム内面への水滴付着による曇りが生じたり、その水分がトレー底面に回り込み水分が染み出たりする問題が生じるとともに、包装作業時の包装機からのフィルム引出し性が低下し、作業効率が低下するとともにフィルムの剥離音が発生し騒音となり、不快感を与えたり作業環境悪化という問題およびトレーなどの容器とフィルムの滑り性が不足しているため包装時にシワが生じたり容器がフィルムの延伸応力に耐え切れずに破損するという問題が生じることが明らかになった。
【0005】
直鎖状低密度ポリエチレンはフィルムの透明性、柔軟性を付与するために極めて有効な樹脂であり、特に押出成形においてTダイ成形を選択する場合には特に有効である。一般的にストレッチフィルムの成形は押出成形におけるインフレーション法あるいはTダイ法が適宜選択されるが、Tダイ法によるものはフィルムが配向しやすく延伸時に縦方向に裂けたり、50%以下の低延伸領域で降伏しやすいために包装時にシワが生じたり、包装表面の強度が得られないという問題があるため、インフレーション法による成形が主流である。一方で、Tダイ成形はインフレーション成形法と比較して、成形の高速化が可能であることから生産性の面で優位性がある。
【0006】
そこで、本発明は、防曇性、フィルム開反性、フィルム滑り性、透明性、耐寒性、ヒートシール性が良く、包装効率の低下を生じないストレッチフィルムで、特にTダイ法により成形されるポリオレフィン系の食品包装用ストレッチフィルムを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来のフィルムの性能を更に向上させるために鋭意研究を重ねた結果、オレフィン系熱可塑性エラストマーを主成分とする芯層と直鎖状低密度ポリエチレンを主成分とする表面層とに、特定の防曇剤を混合した積層フィルムを用いると、上記した問題点を解決することを見出し、さらに、このものをTダイ成形により成形すると従来のTダイ成形フィルムにはない柔軟性、延伸性および透明性の高いフィルムを得ることができることも見出し、本発明に至った。
【0008】
すなわち、本発明による食品包装用ストレッチフィルムは、オレフィン系熱可塑性エラストマーからなる樹脂組成物を芯層とし、この芯層の少なくとも一方の面に、直鎖状低密度ポリエチレン100重量部に対し、低密度ポリエチレン1〜10重量部、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル0.1〜3.0重量部を添加配合してなる表面層を形成してなることを特徴とするものである。また、本発明は、厚さが5〜20μmであって、フィルムのMD方向及びTD方向の引張弾性率が20〜110N/mm であり、かつMD/TD比が、0.9〜2.0の範囲内である食品包装用ストレッチフィルムが好ましい。さらに、本発明は、光沢度(JIS K−7105準拠、60°鏡面光沢度)が135〜155%であり、ヘイズ値(JIS K−7105準拠)が0.1〜1.0%である食品包装用ストレッチフィルムが好ましい。また、本発明は、ロール状に巻回されたフィルムにおいて、該フィルムを引き出す際に発生するフィルムの剥離音が100dB以下である食品包装用ストレッチフィルムが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の食品包装用ストレッチフィルムを構成する芯層として使用されるオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、ポリプロピレンとエチレン−プロピレンゴム(以下、EPRという)との共重合ポリマーアロイ、ポリプロピレンとエチレン−ブチレンゴム(以下、EBRという)との共重合ポリマーアロイが挙げられる。
まず、ポリプロピレンとEPRとの共重合ポリマーアロイは、MFR(メルトフローレート、ASTM-D1238に準拠)が 0.1〜25g/10 分(温度 230℃、荷重 2.16kgf)のものであり、好ましくは0.5〜15g/10分である。
この共重合ポリマーアロイは、多段階重合プロセスにおける重合段階でEPRがポリプロピレン中に直接に微分散してポリマーアロイとなったものであり、EPRが1μm未満の大きさでポリプロピレン中に均一に微分散した海島型のミクロ相分離型ポリマーアロイである。
多段階重合プロセスにおける重合段階でEPRがポリプロピレン中に直接に微分散してポリマーアロイとなったもので、EPRが1μm未満の大きさでポリプロピレン中に均一に微分散した海島型のミクロ相分離型ポリマーアロイである。
【0010】
この共重合ポリマーアロイは結晶性の樹脂成分であるポリプロピレン中に非晶性のゴム成分であるEPRが均一に微分散しているため、以下に示す種々の優れた特性を有している。
第一に、プロピレン単独重合体、プロピレンとエチレンとの共重合体およびプロピレンとプロピレンを除くα-オレフィンとの共重合体などのポリプロピレン系樹脂に比べ柔軟である。すなわち、これらポリプロピレン系樹脂の曲げ弾性率(ASTM D−790に準拠)が7,000〜25,000kgf/cmの範囲であるのに対し、この共重合ポリマーアロイの曲げ弾性率は500〜5,000 kgf/cm、好ましくは600〜4,000 kgf/cm、より好ましくは700〜3,000 kgf/cmの範囲にある。この曲げ弾性率の違いは、ポリプロピレン中に均一に微分散したEPRによってポリプロピレンの結晶性が低下することと、EPRの柔軟性によるものである。それゆえに、この共重合ポリマーアロイを使用した場合のみ、後述の水素化石油樹脂および直鎖状超低密度ポリエチレンを混合することによってフィルムのMD方向及びTD方向の引張弾性率が所望の範囲ならびに比率が得られる。
【0011】
第二に、ポリプロピレンが有する剛性とEPRが有するゴム弾性との相乗効果により復元性に優れている。特にフィルムのTD方向への延伸時に降伏点が生じ難いという効果が後述する直鎖状超低密度ポリエチレンを混合することによって得ることが可能となる。
【0012】
第三に、ポリプロピレンが有する耐熱性とEPRが有する耐冷凍性を同時に備えているため、使用可能温度範囲がポリプロピレン系樹脂よりも広い。すなわち、融点はポリプロピレンに依存するため135℃以上であり、優れたヒートシール耐熱性を示す。一方、ガラス転移温度はEPRに依存するため−30℃以下であり、優れた耐冷凍性を示す。ガラス転移温度が−20℃以上であるポリプロピレン系樹脂では付与できない耐冷凍性が付与できる。共重合ポリマーアロイ中のEPR含有量は40〜80wt%が好ましい。EPR含有量が40wt%未満では、EPRの特徴であるゴム弾性が失われるため、後述の直鎖状超低密度ポリエチレンを添加してもフィルムの引張弾性率が所望の特定範囲まで低下しない。反対にEPRの含有量が80wt%を超えると、海島型のミクロ相分離構造におけるEPRドメインが増加するため白化してしまい、フィルムの透明性が損なわれる。
【0013】
本発明で使用するオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、上記のポリプロピレンとEPRとの共重合ポリマーアロイ以外では、ポリプロピレンとEPRとの共重合ポリマーアロイを用いることもできる。
この場合、ポリプロピレンとEBRとの共重合ポリマーアロイ中のEBR含有量は、ポリプロピレンとEPRとの共重合ポリマーアロイと同様に40〜80wt%が好ましい。
【0014】
次に、本発明の食品包装用ストレッチフィルムを構成する表面層は、上記芯層の少なくとも一方の面に形成されるものであり、好ましくは芯層の両面に形成される。
この表面層に使用される直鎖状低密度ポリエチレンとしては、エチレンと炭素数が4〜12、好ましくは6〜8のα−オレフィンとをシングルサイト系触媒を使用して製造された共重合体が挙げられる。この共重合体で本発明に使用されるものとしては、MFRが0.1〜15g/10分(温度190℃、荷重2.16kgf)であり、密度が0.890〜0.930g/cmの範囲内のものが好ましく採用される。エチレン−酢酸ビニル共重合体や低密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂と比べて、この共重合体は分子量分布と組成分布が狭く、ポリエチレン成分の結晶構造が微細なため、融点は100℃付近にあるが融解ピークがシャープである。この熱的性質を有用して融点近傍の低い温度で瞬時にヒートシールすることが可能となる。またこの共重合体の微結晶構造がもたらす、優れた透明性および柔軟性により上記の中間層樹脂組成物の特性を損なわずに使用できる。
【0015】
直鎖状低密度ポリエチレンの密度は0.890〜0.930g/cmが好ましく、0.895〜0.920g/cmの範囲内がより好ましい。この密度が0.890g/cm未満では結晶性が低すぎて押出成形時にフィルム表面の平滑性が損なわれる心配があり、逆に、密度が0.930g/cmを超えると、結晶性が高くなるため透明性が低下し、また融点が高くなることで低温ヒートシール性が付与されない場合がある。
【0016】
直鎖状低密度ポリエチレンを表面層とすることにより、透明性、柔軟性、低温ヒートシール性に優れたフィルムとなるが、フィルムの粘着性が強くなりすぎるという欠点がある。そのため巻回されたフィルムの引き出しが重くなるとともにフィルムの剥離音が生じることで作業効率および作業環境が低下し、食品トレー等との滑り性が劣ることで包装状態が粗悪になる。また、防曇剤等の液状添加剤を混合しても、これらが表面層表面にブリードアウトし難くいため防曇性能が十分に発現せず、フィルムの開反性や滑り性も向上しない。これらの理由として、直鎖状低密度ポリエチレンの高次構造が影響していると考えられ、また低結晶性であるためその大部分が非晶相で占められており、この非晶相によって粘着性が増すこととなり、そしてこの非晶相は密度が低いために防曇剤などの低分子量体が取り込まれやすくなると推察される。
【0017】
本発明は上記のような従来からの問題点を次のようにして解決できる。第一に、直鎖状低密度ポリエチレンに後述の低密度ポリエチレンを少量添加することで、フィルムの粘着性を抑制し、防曇剤等の液状添加剤のブリードアウトを促進させ、第二に、後述するポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの特定の防曇剤と流動パラフィンを特定の比率で添加することで、本発明のフィルムに好適な開反性、滑り性、防曇性を得ることができる。
【0018】
本発明の食品包装用ストレッチフィルムを構成する表面層に添加する低密度ポリエチレンとしては、高圧下でチーグラー系触媒を用いて重合されたものであり、密度が0.910〜0.930g/cm、MFRが0.1〜15g/10分(温度190℃、荷重2.16kgf)のものが好ましい。この低密度ポリエチレンは上記の直鎖状低密度ポリエチレンと比べて結晶性が高く、これらを混練により相互に分散させることで非晶相部分が減り、直鎖状低密度ポリエチレンの粘着性を弱めることができる。ただし、低密度ポリエチレンを多量に添加するとフィルムの透明性が損なわれるため添加量は制限される。
【0019】
低密度ポリエチレンの添加量は、直鎖状低密度ポリエチレン100重量部に対し1〜10重量部の範囲内であり、2〜8重量部が好ましく、2〜6重量部の範囲内がより好ましい。この添加量が1重量部未満ではフィルムの粘着性は弱まらず、防曇剤などを添加しても開反性、滑り性、防曇性は向上せず、逆に添加量が10重量部を超えると、フィルムの透明性が損なわれるという不利がある。
【0020】
低密度ポリエチレンの密度は0.910〜0.930g/cmの範囲内が好ましく、0.915〜0.925g/cmがより好ましい。
この密度が0.910g/cm未満では粘着性を抑える効果が低く、逆に密度が0.930g/cmを超えると結晶性が高くなるためフィルムの透明性が低下しやすくなる。
【0021】
本発明を構成する表面層には、更にポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが添加配合される。
このポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、防曇性、滑り性、開反性を付与するとともにフィルムを引き出す際に発生する剥離音を所望の範囲まで減少させることができる。
本発明で使用するポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとして、具体的にはポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート等が挙げられ、少なくとも1種または2種以上混合して使用する。これらの防曇剤はエチレンオキサイドが3〜70モル、好ましくは10〜45モル、より好ましくは15〜30モルがソルビタンに付加されているため親水性が高く、防曇性を向上させることができる。
また、例示したポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの中で、特にポリオキシエチレンソルビタントリオレートを使用することで、滑り性および開反性が向上する。すなわち、フィルムの引き出しが容易となり、食品トレーとの静摩擦係数が低く抑えられるとともに、フィルムを引き出す際に発生する剥離音が所望の範囲まで抑えられるので、作業効率が向上し優れた包装外観が得られ作業環境が損なわれない。また後述の流動パラフィンと併用されることでブリードアウトが速効的となり、成形時のフィルムの粘着性が抑制され、静電気の発生やロールなどへの巻き付きトラブルを減少させることができる。
【0022】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの添加量は、表面層を構成する直鎖状低密度ポリエチレン100重量部に対して0.1〜3.0重量部の範囲内、好ましくは0.5〜2.5重量部、さらに好ましくは1.0〜2.0重量部の範囲内である。この添加量が0.1重量部未満では、好適とする開反性は得られず、また食品トレーとの滑り性や防曇性が向上しない。逆に添加量が3.0重量部を超えるとブリードアウトが過度になるため低温ヒートシール性が損なわれる。
【0023】
上記表面層に配合される各成分に加えて、必要に応じて、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルの群より選ばれる防曇剤および流動パラフィンを添加することで防曇性、滑り性、開反性が更に付与されるとともにフィルムを引き出す際に発生する剥離音を所望の範囲まで減少させることができる。
これらの防曇剤や流動パラフィンは表面層表面に適度にブリードアウトする必要があり、表面層だけに添加すると芯層に移行してしまう可能性があるため、芯層にも添加することが好ましい。
【0024】
上記したポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、炭素数が12〜18の飽和または不飽和脂肪酸のポリグリセリンエステルが好ましい。具体的にはポリグリセリンラウレート、ポリグリセリンミリステート、ポリグリセリンパルミテート、ポリグリセリンステアレート、ポリグリセリンオレート、ポリグリセリンリノレート等が挙げられ、少なくとも1種または2種以上混合して使用する。これらを使用することでフィルムの防曇性の持続効果を付与することができる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの添加量は、表面層の直鎖状低密度ポリエチレン100重量部に対して0.1〜3.0重量部の範囲、好ましくは0.2〜2.5重量部、より好ましくは1.0〜2.0重量部の範囲内である。
この添加量が0.1重量部未満では防曇性能の持続性に欠けやすくなり、反対に3.0重量部を超えるとポリグリセリン脂肪酸エステルの析出によりフィルム表面が白化してしまい、透明性が損なわれる。
【0025】
上記したグリセリン脂肪酸エステルとしては、炭素数が12〜18の飽和または不飽和脂肪酸のモノグリセリンエステルが好ましい。具体的にはモノグリセリンラウレート、モノグリセリンミリステート、モノグリセリンパルミテート、モノグリセリンステアレート、モノグリセリンオレート、モノグリセリンリノレート等が挙げられ、少なくとも1種または2種以上混合して使用する。これらを使用するとフィルム表面に付着する霧状水滴を均一な水膜にすることができる。
グリセリン脂肪酸エステルの添加量は、表面層の直鎖状低密度ポリエチレン100重量部に対して0.1〜1.0重量部の範囲内であり、好ましくは0.2〜0.8重量部、より好ましくは0.5〜0.6重量部の範囲内である。
この添加量が0.1重量部未満ではフィルム表面に付着する水滴が斑になるため商品の見栄えが損なわれる。反対に、1.0重量部を超えても均一な水膜を形成させる効果のより一層の向上はないため、1.0重量部を超える量を添加する必要はない。
【0026】
本発明で使用する流動パラフィンとは、鉱物油を精製処理した無味、無臭、無色、透明な高純度の飽和炭化水素である。流動点が−10℃以下であるため、特に寒冷地などにおいて作業現場の雰囲気温度が低くてもフィルムの開反性、滑り性を損なわずに使用することができる。
この流動パラフィンの添加量は、表面層の直鎖状低密度ポリエチレン100重量部に対して0.1〜1.0重量部の範囲、好ましくは0.2〜0.8重量部、より好ましくは0.2〜0.6重量部である。
この添加量が0.1重量部未満では低温雰囲気下で使用した場合の開反性、滑り性が低下してしまう。反対に1.0重量部を超えるとブリードアウトが過多になるため低温ヒートシール性が損なわれる。
【0027】
なお、本発明の食品包装用フィルムを構成する芯層には、上記したオレフィン系熱可塑性エラストマー以外に、必要に応じて、水素化石油系樹脂、直鎖状超低密度ポリエチレンなどを添加配合することが好ましい。
まず、本発明を構成する芯層に使用される水素化石油系樹脂としては、石油ナフサ等の熱分解により精製される不飽和炭化水素を含む留分を重合し樹脂化した脂肪族系石油樹脂(C留分系)、芳香族系石油樹脂(C留分系)およびジシクロペンタジエン系石油樹脂等が水素化されたものが挙げられる。具体的には、イソプレン、1−ペンテン、インデン、ビニルトルエン、メチルスチレン、スチレン、メチルインデン、ジシクロペンタジエン等の不飽和炭化水素を重合、共重合した石油樹脂を水素化したものである。さらに、ナフサ分解で得られるC留分からの合成テルペン樹脂も挙げられる。また、石油系以外のものである天然系テルペン樹脂等でもよい。これらの中では、数平均分子量が500〜900、軟化点が90〜150℃のものが好ましい。より好ましくは軟化点が125℃のものである。
【0028】
水素化石油系樹脂は脂環式の樹脂であり、その環状部分が立体構造になるため、共重合ポリマーアロイのポリプロピレンの結晶性がさらに低下する。これにより共重合ポリマーアロイの柔軟性がさらに高まり、引張弾性率が低下し透明性が向上する。ただし、水素化石油系樹脂のガラス転移温度が室温以上であるため、耐冷凍性の点で混合量が制限される。水素化石油系樹脂はオレフィン系熱可塑性エラストマー100重量部に対して3〜35重量部、好ましくは5〜30重量部、さらに好ましくは7〜25重量部である。混合量が3重量部未満ではポリプロピレン成分の結晶性を低下させる効果が発現せず透明性が低下する。一方、35重量部を超えると耐冷凍性が損なわれ、このものが低分子量であることにより、フィルムが破れやすくなる。
【0029】
本発明を構成する芯層に配合される直鎖状超低密度ポリエチレンとしては、エチレンと炭素数が3〜12、好ましくは3〜8のα−オレフィンとをシングルサイト系触媒を使用して製造された共重合体である。この共重合体で本発明に使用されるものとしては、MFRが0.1〜15g/10分(温度190℃、荷重2.16kgf)であり、密度が0.860〜0.890g/cmである。この共重合体は、分子量分布と組成分布が狭いため、形成されるポリエチレン成分のラメラ晶は薄くて均一である。その結果、結晶性が低く優れた透明性を示す。またオレフィン系熱可塑性エラストマーとの相溶性が良好であり、押出機による混練で均一に分散するので、各々が有する高い透明性を保持することができる。この共重合体はポリエチレン成分のラメラ晶をα−オレフィンに由来する軟質な非晶相が取り囲むといった高次構造を形成するため、全体として密度が低く、極めて柔軟であり均一な延伸性を示す。上記のオレフィン系熱可塑性エラストマーと水素化石油系樹脂に、この共重合体を混合することでフィルムのMD方向およびTD方向の引張弾性率ならびにその比率が所望の範囲となる。また、この共重合体の特性とオレフィン系熱可塑性エラストマーに含まれるEPR等のゴム成分の効果が掛け合わさることにより、フィルムのTD方向の降伏点が解消し均一な延伸性を示す。
【0030】
直鎖状超低密度ポリエチレンの密度は、0.860〜0.890g/cmであり、好ましくは0.865〜0.885g/cmの範囲内である。密度が0.860g/cm未満は実用上存在しない。反対に密度が0.890g/cmを超えると弾性率が増すため、下記の量を混合しても引張弾性率が所望の範囲とならず、またフィルムのTD方向の降伏点が発生してしまう。
直鎖状超低密度ポリエチレンはオレフィン系熱可塑性エラストマー100重量部に対して5〜55重量部、好ましくは10〜45重量部、さらに好ましくは15〜40重量部である。この添加量が5重量部未満では引張弾性率が所望の範囲まで低下せず、また降伏点が発生するため包装作業性と包装外観が低下する。一方、添加量が55重量部を超えると芯層を構成する樹脂組成物の融点の低下を招きヒートシール耐熱性を損なう。
【0031】
本発明を構成する芯層には、表面層に使用される成分として例示されたポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルの群より選ばれる防曇剤および流動パラフィンなどを添加配合することもできる。
このときの配合割合は、まず、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの場合、オレフィン系熱可塑性エラストマー100重量部に対して0.1〜3.0重量部であり、好ましくは0.5〜2.5重量部、さらに好ましくは1.0〜2.0重量部の範囲である。
また、ポリグリセリン脂肪酸エステルの場合、オレフィン系熱可塑性エラストマー100重量部に対して0.1〜3.0重量部、好ましくは0.5〜2.5重量部、より好ましくは1.0〜2.0重量部の範囲である。
グリセリン脂肪酸エステルの場合、オレフィン系熱可塑性エラストマー100重量部に対して0.1〜1.0重量部であり、好ましくは0.2〜0.8重量部、より好ましくは0.5〜0.6重量部の範囲である。
更に、流動パラフィンの場合、オレフイン系熱可塑性エラストマー100重量部に対して0.1〜1.0重量部であり、好ましくは0.2〜0.8重量部、より好ましくは0.5〜0.6重量部の範囲である。
【0032】
本発明の食品包装用ストレッチフィルムの厚さは、5〜20μmの範囲が好ましい。この厚さが5μm未満ではフィルムが破れ易くなったり、成形時にロールに巻き付いたり、シワになる等のトラブルが発生し易くなる。反対に厚さが20μmを超えるとヘイズ値が所望の範囲よりも高くなる。
芯層の厚さは3〜18μmの範囲が好ましく、表面層の厚さは1μm以上とすることが好ましい。芯層が3μm未満では芯層の物性が発現せず、耐熱性が損なわれる。一方、芯層の厚さが18μmを超えると表面層が薄くなるため低温ヒートシール性が付与されなくなる。
【0033】
上記の構成からなる本発明のストレッチフィルムは優れた包装作業性と包装外観を有する。ストレッチ包装にはフィルムの適度な柔軟性と、MD方向とTD方向の張りのバランスが必要である。柔軟性の尺度となるフィルムのMD方向及びTD方向の引張弾性率(JIS K 7127に準拠)は20〜110N/mm の範囲内が好ましく、より好ましくは40〜90N/mmの範囲である。
この引張弾性率が20N/mm未満ではフィルムの弾性が低すぎるため包装後の張りが弱く、包装した商品を陳列時に段積するとフィルムが商品の重さで弛んでしまったりシワが残ったりする。反対に110N/mmを超えるとフィルムは硬くて伸び難くなり包装時にトレーが割れてしまうことがある。
MD方向とTD方向の張りのバランスとしては、引張弾性率のMD/TD比が尺度となり、MD/TD比が0.9〜2.0が好ましく、より好ましくは1.0〜1.5である。MD/TD比が0.9未満ではTD方向の弾性が強いために、包装後の商品に縦シワが残り、反対にMD/TD比が2.0を超えるとMD方向の弾性が強いために包装後の商品に横シワが残り、見栄えが損なわれる。
【0034】
本発明のストレッチフィルムは、多層インフレーション法または多層Tダイ法のいずれかの方法によっても製造可能である。特にTダイ法はインフレーション法と比較して、冷却効率が高いために成形の高速化が可能であることから生産面での優位性がある。また光沢および透明性の品質面に優れたフィルムを製造することができる。ここでは多層Tダイ法について詳述する。具体的には、芯層とその両側の表面層に相当する上記各樹脂組成物をそれぞれ3台の押出機で溶融混練し、3層Tダイスからそれぞれ所定の層厚が得られるように200〜280℃で共押出し、この溶融樹脂フィルムを冷却ロールで冷却しながら引き取り、巻取機にて所定の厚さと幅に巻き取る。その際、表面が平滑な冷却ロールを使用して引き取ることで光沢の優れたフィルムを得ることができる。更に50℃以下の低い温度に保った冷却ロールに溶融樹脂フィルムを密着させ急冷することで樹脂組成物の結晶化が抑えられフィルムの透明性が向上する。
【0035】
本発明のストレッチフィルムは、その光沢度が135〜155%の範囲内であることが好ましく、フィルムのヘイズ値は0.1〜1.0%の範囲内が好ましい。この光沢度は高いほど商品の見栄えが良く、反対に光沢度が135%未満ではフィルム表面で光が乱反射し白く濁っているように見え包装外観が劣る。またヘイズ値は低いほど透明性に優れ、包装内容物が容易に視認でき、反対にヘイズ値が1.0%を超えると鮮明さに欠ける。
【0036】
本発明のストレッチフィルムは、優れた開反性を示すが、従来の直鎖状低密度ポリエチレンを表面層としたフィルムは引き出しが重く、トレーとの滑り性が悪いため作業効率が低下するとともに、フィルムを引き出す際にフィルムの剥離面で異音が発生することにより、作業環境が著しく悪化してしまい、特に雰囲気温度が低くなるとさらに悪化する傾向にある。
【0037】
本発明の食品包装用ストレッチフィルムは、上記したように、ロール状に巻回されたフィルムを引き出す際に発生するフィルムの剥離音が100dB以下が好ましく、60dB以下がより好ましい。
この剥離音は、以下のような条件にて測定されたものである。
例えば、包装テストを現場作業員15人で行ない、使用した作業現場は、雰囲気温度が8〜12℃、相対湿度が40〜50%RHであり、冬期間の東北地方のスーパーバックヤードである。
剥離音が100dBを超えるものは15人全員が異音と感じ、剥離音が60dBを超え100dB以下のものは15人中6人が異音と感じ、剥離音が60dB以下のフィルムは異音と感じる人はいなかった。
また、剥離音が100dBを超えるフィルムを使用してトレー包装すると、フィルムを引き出す際にフィルムが伸びてしまい、この状態でハンドラッパーの熱線やカット刃で切断すると、反発によりフィルムがシワになったりハンドラツパーに絡まるという事態が発生し、また食品トレーとの滑りが不足しているために包装後の商品にシワが残った。このことからフィルムの粘着性が引き出しの重さ、トレーとの滑り性および剥離音に影響を及ぼすことが解る。
【0038】
本発明の食品包装用ストレッチフィルムは、直鎖状低密度ポリエチレンを主成分とする表面層に少量の低密度ポリエチレンとポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の防曇剤および流動パラフィンを添加して得られる巻回フィルムは、剥離音が100dB以下であり、好ましくは60dB以下であることから、滑り性と開反性が付与され包装作業性ならびに作業環境性に優れたフィルムである。
【0039】
【実施例】
下記表1および表2に示した組成で、芯層とその両側の表面層からなる3層フィルムを多層Tダイ法により製造した。即ち3台の押出機を使用して溶融樹脂を3層Tダイスから芯層と表面層の厚さが表1および表2に示した値になるように共押し出しし、この溶融樹脂フィルムを冷却ロールで冷却し、フィルム幅350mm、フィルム長さ500mでロール状に巻き取った。各層で使用した樹脂の詳細は下記の通りである。
【0040】
[芯層]
・オレフィン系熱可塑性エラストマー;
種類I…Adflex C-200F(サンアロマー社製、商品名、EPR含有量50wt%、MFR6.0g/10分、曲げ弾性率2,300kg/cm、ガラス転移温度−40℃)
種類II…Adflex KS-353P (サンアロマー社製、商品名、EPR含有量70wt%、MFR0.45g/10分、曲げ弾性率860kg/cm、ガラス転移温度−42℃)
・水素化石油系樹脂;
アルコン P-125(荒川化学工業社製、商品名、軟化点125℃、ガラス転移温度78℃)
・直鎖状超低密度ポリエチレン;
カーネルKS340(日本ポリケム社製、商品名、エチレン−ヘキセン共重合体、密度0.880g/cm、MFR3.5g/10分)
・ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;
リケマール0-852(理研ビタミン社製、商品名、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート、エチレンオキサイド20モル付加)
・ポリグリセリン脂肪酸エステル;
種類III…リケマールL-71-D(理研ビタミン社製、商品名、ジグリセリンラウレート)
種類IV…リケマールXO-71(理研ビタミン社製、商品名、ジグリセリンオレート)
・グリセリン脂肪酸エステル;
ポエム C-100(理研ビタミン社製、商品名、モノグリセリンラウレート)
・流動パラフィン
・プロピレン−エチレン共重合体;
住友ノーブレンS-131(住友化学工業社製、商品名、プロピレン−エチレンランダム共重合体、エチレン含有量5wt%、MFR 1.2g/10分、曲げ弾性率7,200kg/cm、ガラス転移温度−15℃)
・低密度ポリエチレン;
サンテック LD F1920(旭化成社製、商品名、密度0.920g/cm、MFR 2.0g/10分)
【0041】
[表面層]
・直鎖状低密度ポリエチレン;
種類V…カーネルKF370(日本ポリケム社製、商品名、エチレン−ヘキセン共重合体、密度0.905g/cm、MFR3.5g/10分)
種類VI…カーネルKF380(日本ポリケム社製、商品名、エチレン−ヘキセン共重合体、密度0.918g/cm、MFR4.0g/10分)
・低密度ポリエチレン;
サンテック LD F1920(旭化成社製、商品名、密度0.920g/cm、MFR2.0g/10分)
・ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;
リケマール0-852(理研ビタミン社製、商品名、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート、エチレンオキサイド20モル付加)
・ポリグリセリン脂肪酸エステル;
種類III…リケマールL-71D(理研ビタミン社製、商品名、ジグリセリンラウレート)
種類IV…リケマールXO-71(理研ビタミン社製、商品名、ジグリセリンオレート)
・グリセリン脂肪酸エステル;
ポエムC-100(理研ビタミン社製、商品名、モノグリセリンラウレート)
・流動パラフィン
得られたフィルムについて下記の方法で各物性を測定、評価し、その結果を表3および表4に示した。
【0042】
[引張弾性率]
フィルムのMD方向とTD方向について、JISK7113に準じて、引張速度5mm/分で測定した。
【0043】
[引張降伏点]
フィルムのTD方向について、JISK7113に準じて、引張速度200mm/分で測定し、応力−歪曲線から降伏点が確認されなかった場合を“○”(良)とし、降伏点が確認された場合を“×”(不良)と評価した。
【0044】
[耐寒性]
・柔軟温度:JISK6745に準じてフィルムの樹脂組成物について測定した。
・耐寒落球試験;内径76mm、外径85mmに丸筒にフィルムを張設、固定した試験片を3個用意し、これらを−30℃の雰囲気下に24時間放置後、その雰囲気下で、重さ50gの鉄球(直径約2.4cm)を30cmの高さからフィルムの中央部に落下させフィルムの破壊の有無を調べた。3個に試験片全てで穴が空かなかった場合を“○”とし、3個の試験片のうち1個でも穴が空いた場合を“×”と評価した。
【0045】
[ヘイズ値]
JIS K 7105に準じてフィルム1枚で測定した。
【0046】
[光沢度]
JIS K 7105に準じて、60°鏡面光沢度計を用いて測定した。
【0047】
[剥離音]
温度10℃、相対湿度40%RHの雰囲気下で72時間保管したロール状の巻回フィルムをハンドラッパーに装着してフィルムを引き出し、騒音計のマイクロフォン部分をフィルムの剥離面から30cm離して音圧を測定した。
音圧が60dB以下の場合を“○”とし、音圧が60dBを超え100dB以下の場合を“△”とし、音圧が100dBを超えた場合を“×”と評価した。
【0048】
[低温ヒートシール性]
200gの重りを入れたPSPトレーSK-20(中央化学社製、商品名)を、ハンドラッパーを使用して手包装し、表面温度が100℃の熱板の上に2秒間放置してその状況を確認した。フィルムが複数枚重なった部分でフィルムが融着してヒートシールされていた場合を“○”(良)とし、そうでなかった場合を“×”(不良)と評価した。
【0049】
[ヒートシール耐熱性]
上記と同様に包装し、表面温度が130℃の熱板の上に2秒間放置してその状況を確認した。フィルムが複数枚重なった部分ではフィルムが融着してヒートシールされており、フィルム1枚の部分では穴空きの発生が無かった場合を“○”とし、穴空きの発生があった場合を“×”と評価した。
【0050】
[防曇性]
水をしみ込ませたガーゼが入ったPSPトレーSK-20(中央化学社製、商品名)を、ハンドラッパーを使用して手包装し、2〜5℃に保たれたショーケース内に投入して1時間経過した時点における防曇性を評価した。被包装物に含まれる水分がフィルム面に霧状に付着することなく、また凝結することなく水膜が均一であって、被包装物が鮮明に視認できた場合を“○”(良)とし、被包装物に含まれる水分がフィルム面に霧状に付着したり凝結したり、水膜が均一にならなかった場合を“×”(不良)と評価した。
【0051】
[滑り性]
ヘイドン表面性試験機を使用し、フィルムのサンプルサイズを縦100mm、横50mmとし、PSPトレーSK-20(中央化学社製、商品名)の底部を縦10mm、横50mmで切り抜いてサンプルとし、温度10℃、相対湿度40%RHの雰囲気下で、全体荷重100g、滑り速度200mm/分で静摩擦係数を測定した。静摩擦係数が0.50〜1.50の範囲の場合を“○”(良)とし、静摩擦係数が0.50未満の場合および1.50を超える場合を“×”(不良)と評価した。
【0052】
[包装作業性、包装適性]
ハンドラッパーを使用して、200gの重りを入れたSK−20トレーを50パック包装時における以下の項目を確認した。
・カット性;フィルムを引き出し切断した際に、ハンドラッパーに絡まったりフィルムがシワになったりした回数が2回以下の場合を“○”とし、3回以上の場合を“×”と評価した。
・破れ、裂け;フィルムを伸ばした際に破れたり裂けたりした回数、および包装後のフィルムに破れや裂けがあった回数が2回以下の場合を“○”とし、3回以上の場合を“×”と評価した。
・シワ、スジ;包装後のフィルムにシワやスジが残っていたものが2パック以下の場合を“○”とし、3パック以上を“×”と評価した。
【0053】
【表1】
Figure 2004209696
【0054】
【表2】
Figure 2004209696
【0055】
【表3】
Figure 2004209696
【0056】
【表4】
Figure 2004209696
【0057】
[評価の結果]
表3から明らかなように、本実施例のフィルムはいずれも優れた特性を示した。これに対して表4に示すように、比較例のフィルムは本発明のフィルムよりも劣っていた。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、オレフィン系熱可塑性エラストマーを主成分とする芯層と、直鎖状低密度ポリエチレンを主成分とする表面層とからなる食品包装用ストレッチフィルムとすることにより、透明性、柔軟性、ヒートシール性に優れるとともに、表面層として低密度ポリエチレンとポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの防曇剤および流動パラフィンを添加することにより、使用環境を選ばずに優れた防曇性と表面滑性および良好な引き出し性が得られるとともに、開反剥離騒音を発しない実用上極めて望ましい食品包装用ストレッチフィルムを提供することができる。

Claims (4)

  1. オレフィン系熱可塑性エラストマーからなる樹脂組成物を芯層とし、この芯層の少なくとも一方の面に、直鎖状低密度ポリエチレン100重量部に対し、低密度ポリエチレン1〜10重量部、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル0.1〜3.0重量部を添加配合してなる表面層を形成してなることを特徴とする食品包装用ストレッチフィルム。
  2. 厚さが5〜20μmであって、フィルムのMD方向及びTD方向の引張弾性率が20〜110N/mm であり、かつMD/TD比が、0.9〜2.0の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の食品包装用ストレッチフィルム。
  3. 光沢度(JIS K−7105準拠、60°鏡面光沢度)が135〜155%であり、ヘイズ値(JIS K−7105準拠)が0.1〜1.0%であることを特徴とする請求項1または2に記載の食品包装用ストレッチフィルム。
  4. ロール状に巻回されたフィルムにおいて、該フィルムを引き出す際に発生するフィルムの剥離音が100dB以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の食品包装用ストレッチフィルム。
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