JP3746166B2 - ポリオレフィン系ストレッチ包装用フィルム - Google Patents

ポリオレフィン系ストレッチ包装用フィルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品包装用に好適に用いられるストレッチフィルム、特に塩素を含まない材料からなるストレッチ包装用フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から青果物、精肉、惣菜などを軽量トレーに載せてフィルムでオーバーラップする、いわゆるプリパッケージ用のストレッチ包装用フィルムとしては、主にポリ塩化ビニル系のものが使用されてきた。これらは包装効率がよく、包装仕上がりも綺麗であるなどの包装適性の他、パック後のフィルムを指で押すなどの変形を加えても元に戻る弾性回復性に優れ、また底シール性も良好であり、輸送陳列中にフィルム剥がれが発生しにくいなど、商品価値が低下しないという販売者、消費者の双方に認められた品質の優位性を持っているためである。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】
しかし近年、ポリ塩化ビニル系フィルムに対し焼却時に発生する塩化水素ガスや、多量に含有する可塑剤の溶出などが問題視されてきた。このためポリ塩化ビニル系フィルムに代わる材料が種々検討されており、特にポリオレフィン系樹脂を用いた構成のストレッチ包装用フィルムが各種提案されている。例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、EVA/ポリブテン−1/EVA、EVA/直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体/EVAなどの構成のストレッチ包装用フィルムが提案されている。
近年はストレッチ包装用フィルムとして良好な表面特性や透明性、適度な耐熱性や材料設計の自由度、経済性などの理由から表裏層にエチレン−酢酸ビニル共重合体、中間層に各種ポリプロピレン系樹脂を主成分とした2種3層構成のストレッチフィルムの検討が活発に行われている。
【0004】
しかしながら、現在提案されている各種ポリプロピレン系樹脂を主成分としたストレッチフィルムでは、包装作業性、包装仕上がり、弾性回復力、底シール性などの主要な包装適性(自動機、手包装)および経済性も含めた市場での総合的な評価は未だ不満足である。
先に、本発明者らは特開平9−154479号公報で比較的低結晶性のプロピレン系重合体と石油樹脂類とを含有し、特定の粘弾性特性を有する食品包装用ストレッチフィルムを提案している。
【0005】
上記公報に記載されているプロピレン系重合体と石油樹脂類からなるフィルムにおいては、包装作業性、包装仕上がり、弾性回復力、底シール性といった特性は比較的良好なものの、所望の粘弾性特性とするために、石油樹脂類を比較的多量(30重量%)に含有せざるを得ないため、経時的にフィルムの強度が変化したり、石油樹脂類が表面にブリードし、巻物とした場合にはフィルム同士がブロッキングしてしまうなどの不具合点があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、特定の軟質ポリプロピレン系樹脂組成物を主成分として用い、また粘弾性特性を制御することにより包装作業性、包装仕上がり、弾性回復力、底シール性といった特性に加え、さらにフィルムの経時的な安定性および経済性にも優れた非塩ビ系ストレッチフィルムを得ることに成功したものであり、その要旨は、下記(A)、(B)および(C)3成分を主成分とする混合樹脂層を少なくとも一層有し、動的粘弾性測定により周波数10Hz、温度20℃で測定した貯蔵弾性率(E′)が5.0×108 dyn/cm2 〜5.0×109 dyn/cm2 、損失正接(tanδ)が0.2〜0.8の範囲にあることを特徴とするポリオレフィン系ストレッチ包装用フィルム(以下、ストレッチフィルム、あるいは単にフィルムと略することがある)にある。
【0007】
(A)下記(1)〜(3)の条件を満足し、メソペンタッド分率とラセモペンタッド分率の和(mmmm+rrrr)が30〜70%の範囲にあり、分子鎖中に結晶性のブロックと非晶性のブロック部分が混在している立体規則性を制御された軟質ポリプロピレン系樹脂
(1)示差走査熱量計を用いて加熱速度10℃/分で昇温した時に測定され るガラス転移温度が−15℃以上
(2)示差走査熱量計を用いて加熱速度10℃/分で結晶融解後、200℃ま で昇温し、200℃で5分間保持した後、冷却速度10℃/分で室温まで降温した時に測定される結晶化熱量が10〜60J/g
(3)メルトフローレート(MFR)(JISK7210、230℃、2.16kg荷重)が0.4〜40g/10分
(B)石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂、またはそれらの水素添加誘導体
(C)(A)成分以外のポリプロピレン系樹脂
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明ストレッチフィルムは、下記(A)、(B)および(C)3成分を主成分とする混合樹脂層を少なくとも一層有し、フィルム全体として特定の粘弾性特性を有している。
(A)下記(1)〜(3)の条件を満足し、メソペンタッド分率とラセモペンタッド分率の和(mmmm+rrrr)が30〜70%の範囲にあり、分子鎖中に結晶性のブロックと非晶性のブロック部分が混在している立体規則性を制御された軟質ポリプロピレン系樹脂
(1)示差走査熱量計を用いて加熱速度10℃/分で昇温した時に測定されるガラス転移温度が−15℃以上
(2)示差走査熱量計を用いて加熱速度10℃/分で結晶融解後、200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、冷却速度10℃/分で室温まで降温した時に測定される結晶化熱量が10〜60J/g
(3)メルトフローレート(MFR)(JISK7210、230℃、2.16kg荷重)が0.4〜40g/10分
(B)石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂、またはそれらの水素添加誘導体
(C)(A)成分以外のポリプロピレン系樹脂
【0009】
ここで、(A)成分である分子鎖中に結晶性のブロックと非晶性のブロック部分が混在している軟質ポリプロピレン系樹脂は、一般にゴム弾性を有し柔軟で破れにくく、透明性も良好であるという特性を有しており、また分子鎖中に存在する剛直性を示すイソタクチック構造とシンジオタクチック構造の結晶性のブロック部分と、エラストマー性を示すアタクチック構造の非晶性のブロック部分との割合をバランスさせることにより、本発明の目的を達成するのに適している。
ここで、分子鎖中に結晶性のブロックと非晶性のブロック部分が混在しているとは、結晶性のブロックと非晶性のブロック部分がランダム的及び/またはブロック的に存在していることを意味しており、また各ブロック部分の連鎖長は任意でかまわないが、本発明においてはその分布がランダム的である方が、透明性、外観等の点から好ましい。
また、本発明における主成分とは(A)、(B)および(C)の3成分を含有する層において、その層を構成する樹脂組成物中に占める3成分の合計重量比が少なくとも60重量%以上、好適には70重量%以上であることを表している。
【0010】
ポリプロピレン系樹脂は、一般に高結晶性で強度も高く、ポリオレフィン系樹脂の中では比較的高融点で耐熱性も良好であるが、高結晶性のため伸展時には大きな力を要し、また不均一な伸びしか示さず、これらの特性は混合物になっても残存する。そのため本発明においては、伸びの良いフィルムを得るために、比較的低結晶性のポリプロピレン系樹脂を使用するのが好ましい。
従来、上記のポリプロピレン系樹脂としては、低温特性や常温での柔軟性を付与させるためにプロピレンにエチレンまたは炭素数4〜12程度のα−オレフィンを10モル%程度以上共重合等の形態で含有させたものがよく使用されており、一部フィルム用途にも用いられているが、これら単独では粘弾性的に本発明には適さない。即ち、この種の樹脂は、プロピレンにα−オレフィンが多量に含有しているため、そのガラス転移温度はポリプロピレン本来のガラス転移温度(−10℃前後)よりもかなり低くなり、このことから常温では後述する損失正接(tanδ)が0.1未満と極めて小さいからである。
【0011】
本発明に適用する(A)成分は、後述する粘弾性特性を満たし得るものであって、主に立体規則性を制御することにより、結晶性を低下させつつ、ガラス転移温度をポリプロピレン本来のガラス転移温度(−10℃前後)よりも大幅に低下させないことにより、常温におけるtanδを高めたものである。
具体的には条件(1)として示差走査熱量計を用いて加熱速度10℃/分で昇温した時に測定されるガラス転移温度が−15℃以上、好適には−10℃以上であるものを用いる。ガラス転移温度が−15℃未満では損失正接(tanδ)のピーク温度が低温側にシフトし、本発明の目的とする常温での値が極めて小さくなり好ましくない。
【0012】
また条件(2)として示差走査熱量計を用いて加熱速度10℃/分で結晶融解後、200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、冷却速度10℃/分で室温まで降温した時に測定される結晶化熱量が10〜60J/g、好適には20〜50J/gの範囲にあるものを用いる。結晶化熱量が10J/g未満では結晶性が低すぎて製膜性が極めて悪い他、常温ではフィルムが柔らか過ぎたり強度が不足して実用上問題がある。また結晶化熱量が60J/gを越えるものでは、フィルム伸展時に大きな力を要し、また不均一な伸びしか示さず、ストレッチフィルムに適しない。
さらに条件(3)として230℃、2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が0.4〜40g/10分、好適には0.5〜30g/10分、さらに好適には1.0〜20g/10分の範囲にあるものを用いる。メルトフローレートが0.4g/10分未満では、ポリマー自身の粘度が高すぎて押出成形が困難なり適さず、40g/10分を越えるとポリマー自身の粘度が低すぎて製膜安定性がなくなったり、フィルム自体の強度が不足して実用上問題がある。
【0013】
このような軟質ポリプロピレン系樹脂としては、沸騰n−ヘプタンによるソックスレー抽出においては、その不溶解分が60重量%以下、好ましくは2〜50重量%、冷キシレンによるソックスレー抽出においては、その不溶解分が95重量%以下、好ましくは50〜90重量%であり、共重合組成中プロピレンに基づく単量体単位が少なくとも90モル%以上、好適には95モル%以上であり、かつメソペンタッド分率とラセモペンタッド分率の和(mmmm+rrrr)が30〜70%の範囲に制御されたものが好適に用いられる。ここでプロピレン以外の成分としては、エチレンまたは炭素数4〜12程度のα−オレフィンや4−メチルペンテン−1、環状オレフィン、スチレンなどが挙げられるが、エチレンが最も好適に使用される。
ここで沸騰n−ヘプタンによる不溶解分が60重量%を越えたり、冷キシレンによる不溶解分が95重量%を越えると、結晶性が高いため、柔軟性が低下し、本発明の目的である常温における損失正接(tanδ)が所望の範囲内に入り難くなり好ましくない。
【0014】
また、プロピレンに基づく単量体単位が90モル%未満では、耐熱性が低下したり、立体規則性による結晶性の制御範囲が狭くなったり、α−オレフィンを共重合した場合にはガラス転移温度がポリプロピレン本来のガラス転移温度(−10℃前後)よりもかなり低下することにより常温での損失正接(tanδ)が極めて小さくなり好ましくなく、また経済性の観点からも好ましくない。
立体規則性については結晶性のブロック部分の割合を示す1つの指標としてメソペンタッド分率とラセモペンタッド分率の和(mmmm+rrrr)が30〜70%の範囲、好ましくはメソペンタッド分率(mmmm)が25〜60%、特には25〜50%かつ、メソペンタッド分率とラセモペンタッド分率の和(mmmm+rrrr)が40〜65%の範囲に制御されたものが好ましい。
ここで(mmmm+rrrr)が30%未満では、結晶性が低すぎて製膜性が極めて悪い他、常温ではフィルムが柔らかすぎたり強度が不足して実用上問題がある。また原料自体がブロッキングしやすくなり、ハンドリング性の面でも好ましくない。一方、(mmmm+rrrr)が70%を越えると、本発明の目的である常温における損失正接(tanδ)が所望の範囲内に入り難くなり好ましくない。またフィルム伸展時に大きな力を要し、また不均一な伸びしか示さず、ストレッチフィルムに適しない。
【0015】
本発明に用いられるメソペンタッド分率(mmmm)やラセモペンタッド分率(rrrr)の値は、13C−NMR(核磁気共鳴)スペクトルの測定結果に基づき算出する。すなわち、13C−NMRスペクトルを測定し、メチル基の立体規則性によるケミカルシフトの違いにより、22.5ppm〜19.5ppm領域に現れる各分裂ピーク(mmmm〜mrrm)のシグナル強度比から求めた。
上記mmmm(メソペンタッド分率)とは、任意の連続する5つのプロピレン単位で構成される炭素−炭素結合による主鎖に対して、側鎖である5つのメチル基がいずれも同方向に位置する立体構造あるいはその割合を意味し、rrrr(ラセモペンタッド分率)とは、任意の連続する5つのプロピレン単位で構成される炭素−炭素結合による主鎖に対して、側鎖である5つのメチル基が交互に反対方向に位置する立体構造あるいはその割合を意味する。なお、メチル基領域のシグナルの帰属は、A.Zambelli et al(Macromolecules , 687, (1975))によった。
【0016】
なお、(A)成分は、本発明の目的に適合するものであれば2種類以上を混合して用いることもできる。また、このような軟質ポリプロピレン系樹脂の製造方法としては、安価なプロピレンモノマーを主成分とし、各種のメタロセン系触媒(シングルサイト触媒)や固体状チタン系触媒などを用い、成形加工性の良好な立体規則性を制御した軟質ポリプロピレン系樹脂を効率的、かつ低コストで重合する方法が提案されており、使用する樹脂としては本発明の主旨を満足するものであれば特に限定されないが、具体的な商品としては、Huntsman Polymer Corporationの商品名「REXflex」が例示できる。
【0017】
本発明のフィルムの粘弾性特性を所望の範囲内とするには、前記(A)成分として適切なものを選ぶ必要があるが、(A)成分単独では常温における貯蔵弾性率(E′)が低く柔らかすぎたり、またガラス転移温度が高いため低温における伸びなどの低温特性が悪くなり、材料の選択範囲が極めて限られるため実用上不利になることが多い。そこで本発明においては、実用上所望の粘弾性特性を容易に得られるように、前記の(B)成分と(C)成分を混合する。(B)成分の石油樹脂などはガラス転移温度が高いため、混合物のガラス転移温度を高めることができる。このことにより常温においてストレッチフィルムとして好適な伸展性を示す貯蔵弾性率(E′)と適度の応力緩和性を示す損失正接(tanδ)との両立を達成可能とするものであり、(C)成分の(A)成分以外のポリプロピレン系樹脂は(A)、(B)成分と混合した場合に透明性を大きく損なうことなく混合物の強度を高めたり、低温特性を改良するとともに粘弾性特性を調整するものである。
【0018】
ここで(B)成分のうち石油樹脂としては、シクロペンタジエンまたはその二量体からの脂環式石油樹脂やC9 成分からの芳香族石油樹脂があり、テルペン樹脂としてはβ−ピネンからのテルペン樹脂やテルペン−フェノール樹脂、ロジン系樹脂としては、ガムロジン、ウッドロジンなどのロジン樹脂、グリセリンやペンタエリスリトールなどで変性したエステル化ロジン樹脂などが例示できる。上記(B)成分は前記(A)成分などに混合した場合に比較的良好な相溶性を示すことが知られているが、色調、熱安定性、及び相溶性等から水素添加誘導体を用いることが好ましい。
なお、(B)成分は主に分子量により種々ガラス転移温度を有するものが得られるが、本発明に適合し得るのはガラス転移温度が50〜100℃、好ましくは70〜90℃のものである。ガラス転移温度が50℃未満であると、前述の(A)成分と混合した場合に所望の粘弾性特性を得るためには多量に含有させる必要があり、表面へのブリードによる材料やフィルムのブロッキングを招きやすい。また、フィルム全体として機械的強度が不足して破れやすく実用上問題になることがある。一方、ガラス転移温度が100℃を超えるものでは、(A)成分との相溶性が悪化し、経時的にフィルム表面にブリードし、ブロッキングや透明度の低下を招くことがある。
【0019】
上記の理由から、(B)成分は後述の粘弾性特性を達成し得る範囲内で含有量は少ないほうが好ましい。この点では本発明に適用する立体規則性を制御された軟質ポリプロピレン系樹脂は−10℃程度以上のガラス転移温度を有しているため、従来普通に用いられてきたプロピレンにα−オレフィン等が多量に含有された低結晶性ポリプロピレン系樹脂と比較して(B)成分の含有量が20重量%程度以下の少ない添加量でも所望の粘弾性特性に調整するのに有効に作用する。上記(A)成分の主に立体規則性を制御された軟質ポリプロピレン系樹脂と(B)成分の石油樹脂などの2成分のみでは所望の粘弾性特性を確保できる範囲が狭く、また、ストレッチフィルムとして十分な強度が得られなかったり、低温特性と常温での粘弾性特性とのバランス調整が困難であったり、さらにコスト的にも不利である。
【0020】
そこで、本発明においては、(C)成分として(A)成分以外のポリプロピレン系樹脂を上記(A)+(B)成分に混合する。
(C)成分としてのポリプロピレン系樹脂とは、(A)成分以外の軟質ポリプロピレン系樹脂であり、プロピレンを65モル%以上含有するプロピレンとエチレンまたは炭素数4〜12程度のα−オレフィンとの共重合体、またはプロピレン単独重合体とこれらの混合物を例示することができる。プロピレン含量が65モル%未満であると結晶性が低すぎて、フィルム全体としての粘弾性特性や強度向上を達し得ない。また(A)成分との相溶性が低下し透明性が低下したり、製膜時の安定性にも欠ける。
前述したように軟質ポリプロピレン系樹脂は、一般に高結晶性で強度も高く、ポリオレフィン系樹脂の中では比較的高融点で耐熱性も良好であるが、高結晶性のため伸展時には大きな力を要し、また不均一な伸びしか示さず、これらの特性は混合物になっても残存する。そのため本発明においては、伸びの良いフィルムを得るために、(C)成分としてのポリプロピレン系樹脂の少なくとも一部に比較的低結晶性のポリプロピレン系樹脂を使用するのが好ましい。また、比較的高結晶性のポリプロピレン系樹脂を用いる場合には、フィルム全体として所望の粘弾性特性の範囲になるようにその添加量をできるだけ少量にすることが好ましい。特にエチレンを10〜30モル%程度含有する低結晶性のポリプロピレン系樹脂を適量混合させることは、フィルム全体としての低温特性と常温での粘弾性特性とのバランス調整が容易なことから好ましい。
【0021】
また、本発明においては、上記(A)、(B)、(C)成分以外に、透明性を損なわない範囲でさらに他の樹脂を混合することもでき、そのような樹脂としては例えばビニル芳香族化合物と共役ジエンとの共重合体またはその水素添加誘導体を挙げることができる。ビニル芳香族化合物と共役ジエンとの共重合体またはその水素添加誘導体は、通常、−50℃程度にガラス転移温度を有しているため、例えば、スチレン−ビニルイソプレンブロック共重合体、スチレン−ビニルイソプレン−スチレンブロック共重合体またはそれらの水素添加誘導体であって、イソプレンブロック部分のビニル結合(1,2−結合および3,4−結合)の割合が40%以上含有し、共役ジエン部分のガラス転移温度が−20℃以上に高められた特殊なタイプのエラストマーを除き、常温における損失正接(tanδ)は小さいものの、低温特性の改良には有効である。また特にその水素添加誘導体は軟質ポリプロピレン系樹脂との相溶性が良好であり、微分散することによりポリプロピレンの球晶サイズを小さくする効果もあり透明性の向上を達成することができる。しかしながら、このような原料は、耐熱性の低下を招くことから多量の添加は好ましくない。従って、その添加量は、多くとも30重量%未満、好ましくは20重量%未満である。
【0022】
本発明フィルムは、動的粘弾性測定により周波数10Hz、温度20℃で測定した貯蔵弾性率(E′)が5.0×108 dyn/cm2 〜5.0×109 dyn/cm2 、損失正接(tanδ)が0.2〜0.8の範囲にあるものを使用する必要がある。
ここで、tanδ(損失正接)とは貯蔵弾性率(E′)に対する損失弾性率(E″)の比、すなわち損失正接(tanδ=E″/E′)であり、この値が高い温度領域では、材料の損失弾性率(E″)、すなわち粘弾性特性のうち粘性の寄与率が大きいことを意味している。このtanδの値および高い値を示す温度領域を評価することにより、ストレッチフィルムを用いた手包装や自動機による各種包装工程におけるフィルムの応力緩和挙動などを判断する大きな目安となる。
【0023】
ここで、貯蔵弾性率(E′)が、5.0×108 dyn/cm2 未満であると、柔らかくて変形に対し応力が小さすぎるため、作業性が悪く、パック品のフィルムの張りもなく、ストレッチフィルムとして適さない。一方、E′が5.0×109 dyn/cm2 を越えると、硬くて伸びにくいフィルムになり、トレーの変形やつぶれが生じやすい。E′の好適な範囲は8.0×108 〜3.0×109 dyn/cm2 である。
また、tanδが0.2未満であると、フィルムの伸びに対する復元挙動が瞬間的であるため、フィルムをトレーの底に折り込むまでのわずかな間にフィルムが復元してしまい、フィルムがうまく張れずにしわが発生しやすい。また底部のヒートシール状態も、ストレッチ包装の場合は熱による十分な融着がなされにくいので、包装後、輸送中ないし陳列中に次第に底シールの剥がれを生じやすくなる。また、tanδが0.8を越えると、包装仕上がりは良好であるものの、塑性的な変形を示し、パック品の外力に対する張りが弱すぎて、輸送中ないし陳列中の積み重ねなどにより、トレー上面のフィルムがたるみ易く、商品価値が低下しやすい。また自動包装の場合には縦に伸びやすいためチヤック不良などの問題が生じやすい。tanδの特に好適な範囲は、0.30〜0.60である。
【0024】
さらにストレッチフィルムは低温時に使用されることもあり、低温特性(特に伸び)が優れていることが望ましいが、そのためには動的粘弾性測定により周波数10Hz、温度0℃で測定した貯蔵弾性率(E′)が1.5×1010dyn/cm2 以下の範囲にあることが好ましい。本発明に適合する主に立体規則性を制御した軟質ポリプロピレン系樹脂は、他の低結晶性ポリプロピレン系樹脂よりもガラス転移温度が高いので、低温伸びなどの柔軟性を確保するために上記特性を満たすよう配慮するのが好ましい。そのためには、メソペンタッド分率(mmmm)やラセモペンタッド分率(rrrr)などの結晶性ブロック部分の割合やプロピレンと共重合する成分の種類とその割合、あるいは(A)、(B)、(C)各成分の混合比率などを調整すればよい。
本発明フィルムのE′とtanδを上記範囲内とするには、(A)、(B)、(C)3成分の混合比率を調整するのが最も効果的である。(A)成分に(B)成分を適量混合したものは、一般に常温付近で0.4〜1.0の範囲のtanδを有している。また(C)成分の軟質ポリプロピレン系樹脂は一般に0.01〜0.10の範囲のtanδを有しているから混合物として0.2〜0.8の範囲のtanδを有するようにするには、(A)、(B)、(C)各成分の混合比率を、(A)成分 20〜80重量%
(B)成分 5〜25重量%
(C)成分 10〜60重量%
とすればよい。ただし、(A)、(B)および(C)の3成分を含有する層において、その層を構成する樹脂組成物中に占める3成分の合計重量比は少なくとも60重量%以上、好適には70重量%以上である。
【0025】
本発明によれば、以上説明した混合物層からなるストレッチフィルムが得られるが、本発明においては混合樹脂層の少なくとも片面、好適には両面に他の非塩素系材料層を表面層として積層することが好ましい。他の樹脂層としてはポリオレフィン系樹脂や柔軟なスチレン−ブタジエン系エラストマーなどの非塩素系材料層が挙げられ、これらを積層することにより、フィルムの粘弾性特性を調整するとともに、フィルムの成形加工性、外観、柔軟性や引張特性が改良されて適度の強度と伸びを示すようになり、また低温における伸びが改良される。
【0026】
ここで積層材料としては、特にポリオレフィン系樹脂が、表面特性や経済性の付与の面から好適であり、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン(エチレンとα−オレフィンとの共重合体)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アルキルアクリレート共重合体、エチレン−アルキルメタクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、アイオノマー樹脂、プロピレン系エラストマー材料などの使用が推奨される。実用上は例えばEVAを好適に使用することができ、このEVAとしては、酢酸ビニル含量が5〜25重量%、好ましくは10〜20重量%、メルトフローレート(MFR)が0.2〜5g/10分(JISK7210、190℃、2.16kg荷重)のものが好適である。ここで酢酸ビニル含量が5重量%未満では、得られるフィルムが硬く、柔軟性や弾性回復性が低下し、また表面粘着性も発現しにくいので好ましくない。一方、25重量%を越えると表面粘着性が強過ぎて巻き出し性や外観が低下し易い。また、MFRが0.2g/10分未満では、押出加工性が低下し、一方5g/10分を越えると製膜安定性が低下し、厚み斑や力学強度の低下やバラツキ等が生じやすくなるため好ましくない。
【0027】
なお、一般に本発明フィルムの厚さは、通常のストレッチ包装用として用いられる範囲、すなわち8〜30μm程度、代表的には10〜20μm程度の範囲にある。また積層フィルムとする場合には、前述した混合樹脂層の厚みは全体の厚みに対する比が0.3〜0.9、好ましくは0.4〜0.8であり、具体的には5〜20μmであるのがストレッチフィルムとしての諸特性および経済性の面から好ましい。
【0028】
本発明フィルムは、押出機から材料を溶融押出し、インフレーション成形またはTダイ成形によりフィルム状に成形することにより得られる。積層フィルムとする場合には多層ダイにより共押出するのが有利である。
実用的には、環状ダイから材料樹脂を溶融押出してインフレーション成形するのが好ましく、その際のブローアップ比(バブル径/ダイ径)は4以上が好ましく、特に5〜7の範囲が好適である。その際の冷却方法としては、チューブの外面から冷却する方法、チューブの外、内面の両面から冷却する方法のどちらでも良い。更に、ここで得られたフィルムを樹脂の結晶化温度以下に加熱し、ニップロール間の速度差を利用してフィルムの縦方向に1.2〜5倍延伸する、又はフィルムの縦横両方向に1.2〜5倍に二軸延伸してもかまわない。
【0029】
本発明フィルムには、防曇性、帯電防止性、滑り性、自己粘着性などの性能を付与するために次のような各種添加剤を表面層及び/または混合樹脂層に適宜配合することができる。
例えば、炭素数が1〜12、好ましくは1〜6の脂肪族アルコールと、炭素数が10〜22、好ましくは12〜18の脂肪酸との化合物である脂肪族アルコール系脂肪酸エステル、具体的には、モノグリセリンオレート、ポリグリセリンオレート、グリセリントリリシノレート、グリセリンアセチルリシノレート、ポリグリセリンステアレート、ポリグリセリンラウレート、メチルアセチルリシノレート、エチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、プロピレングリコールオレート、プロピレングリコールラウレート、ペンタエリスリトールオレート、ポリエチレングリコールオレート、ポリプロピレングリコールオレート、ソルビタンオレート、ソルビタンラウレート、ポリエチレングリコールソルビタンオレート、ポリエチレングリコールソルビタンラウレート等、ならびに、ポリアルキレンエーテルポリオール、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等、更に、パラフィン系オイルなどから選ばれた化合物の少なくとも1種を、各層を構成する樹脂成分100重量部に対して、0.1〜12重量部、好適には1〜8重量部配合させるのが好ましい。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を実施例でさらに詳しく説明するが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。なお、本明細書中に表示されるフィルムについての種々の測定値および評価は次のようにして行った。ここで、フイルムの押出機からの引取り方向(流れ方向)を縦方向、その直交方向を横方向とよぶ。
【0031】
(1)E′、tanδ
岩本製作所(株)製粘弾性スペクトロメーターVES−F3を用い、フィルムの横方向について、振動周波数10Hz、昇温速度1℃/分で−50℃から150℃まで測定し、得られたデータから温度20℃および0℃での値を表示した。
【0032】
(2)ストレッチ包装適性
幅350mmのストレッチフィルムを用い、自動包装機(石田衡器(株)製ISHIDA・WminMK−II)により発泡ポリスチレントレー(長さ200mm、幅130mm、高さ30mm)を包装し、表3に示す項目について評価した。また同じフィルムおよびトレーを用いて、手包装機(三菱樹脂(株)製ダイアラッパーA−105)により包装試験を行った。
【0033】
(3)製膜の安定性
インフレーション製造設備によりフィルムを成形する際のバブルの安定性を評価した。
◎…極めて安定している
○…安定している
△…やや不安定である
×…製膜不可
【0034】
(4)ガラス転移温度(Tg)、融解温度(Tm)
パーキンエルマー社製DSC−7を用いて、試料10mgをJIS−K7121に準じて、加熱速度10℃/分で昇温したときのサーモグラムから求めた。
【0035】
(5)結晶化温度(Tc)、結晶化熱量
パーキンエルマー社製DSC−7を用いて、試料10mgをJIS−K7121、JIS−K7122に準じて、加熱速度10℃/分で結晶融解後、200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、冷却速度10℃/分で室温まで降温したときのサーモグラムから求めた。
【0036】
(6)メルトフローレート(MFR)
JIS−K7210に準じて、試験温度230℃、試験荷重2.16kgfの条件で測定した。
【0037】
(7)メソペンタッド分率(mmmm)、ラセモペンタッド分率(rrrr)
日本電子社製のJNM−GSX−270(13C−核磁気共鳴周波数67.8MHz)を用い、次の条件で測定した。
測定モード: 1H−完全デカップリング
パルス幅:8.6マイクロ秒
パルス繰り返し時間:30秒
積算回数:7200回
溶媒:オルトジクロロベンゼン/重ベンゼンの混合溶媒(80/20容量%)
試料濃度:100mg/1ミリリットル溶媒
測定温度:130℃
ここで各々のペンタッド分率は、13C−核磁気共鳴スペクトルのメチル基領域における分裂ピークの測定により求めた。また、メチル基領域のシグナルの帰属は、A.Zambelli et al(Macromolecules , 687, (1975))によった。
【0038】
(8)経時変化
得られたフィルムの巻き物を温度50℃、相対湿度60%の条件の恒温室に10日間保管し、その後の表面状態と巻き返し性を評価した。
◎…表面への添加物のブリードやフィルム同士のブロッキングが全くない。
○…表面への添加物のブリードはほとんどないがフィルム同士のブロッキングが少しある。
△…表面への添加物のブリードが少しあり、フィルム同士のブロッキングにより剥離もやや重い。
×…表面への添加物のブリードが多く、フィルム同士のブロッキングもひどく実用上使用不可
【0039】
(実施例1)
Figure 0003746166
【0040】
以上3成分からなる混合樹脂組成物を中間層として厚さ11μm、その両面にEVA(酢酸ビニル含量15重量%、190℃、2.16kg荷重におけるMFR=2.0g/10分)100重量部に防曇剤としてジグリセリンモノオレート3.0重量部を溶融混練した組成物の層を各々2μmとなるように、環状三層ダイ温度190℃、ブローアップ比5.5で共押出インフレーション成形して、総厚み15μm(2μm/11μm/2μm)のフィルムを得た。
【0041】
なお、この軟質ポリプロピレン系樹脂(I)単体からなるフィルムを測定した特性は、以下の通りであった。
0℃における貯蔵弾性率(E′) 5.4×109 dyn/cm2
20℃における貯蔵弾性率(E′) 4.8×108 dyn/cm2
20℃における損失正接(tanδ) 0.34
ガラス転移温度(Tg) −6℃
結晶化熱量 25J/g
結晶化温度(Tc) 99℃
【0042】
(A)成分と(B)成分の混合物のみで測定した特性は、
0℃における貯蔵弾性率(E′) 1.9×1010dyn/cm2
20℃における貯蔵弾性率(E′) 1.7×109 dyn/cm2
20℃における損失正接(tanδ) 0.65
ガラス転移温度(Tg) 5℃
であった。
(C)成分単体で測定した特性は、
0℃における貯蔵弾性率(E′) 3.6×109 dyn/cm2
20℃における貯蔵弾性率(E′) 2.1×109 dyn/cm2
20℃における損失正接(tanδ) 0.07
ガラス転移温度(Tg) −25℃
結晶化熱量 31J/g
結晶化温度(Tc) 101℃
であった。
【0043】
(実施例2)
実施例1において中間層と表裏層の積層厚み比を次のように変更した以外は実施例1と同様にして総厚み15μm(4μm/7μm/4μm)のフィルムを得た。
【0044】
(実施例3)
実施例1で使用した3種の樹脂の混合比率を
(A)成分 50重量%
(B)成分 20重量%
(C)成分 30重量%
に変更した以外は実施例1と同様にして総厚み15μm(2μm/11μm/2μm)のフィルムを得た。
【0045】
(実施例4)
実施例1で使用した3種の樹脂の混合比率を
(A)成分 20重量%
(B)成分 20重量%
(C)成分 60重量%
に変更した以外は実施例1と同様にして総厚み15μm(2μm/11μm/2μm)のフィルムを得た。
【0046】
(実施例5)
実施例1の(C)成分として使用した低結晶性プロピレン−エチレン−プロピレン共重合体エラストマーのかわりにプロピレン−エチレンランダム共重合体(エチレン含量4モル%、MFR=1.1g/10分、Tm=147℃)を用い、3種の樹脂の混合比率を
(A)成分 70重量%
(B)成分 10重量%
(C)成分 20重量%
に変更した以外は実施例1と同様にして総厚み15μm(2μm/11μm/2μm)のフィルムを得た。
【0047】
なお、(C)成分単体で測定した特性は、
0℃における貯蔵弾性率(E′) 1.7×1010dyn/cm2
20℃における貯蔵弾性率(E′) 9.1×109 dyn/cm2
20℃における損失正接(tanδ) 0.06
ガラス転移温度(Tg) −5℃
結晶化熱量 79J/g
結晶化温度(Tc) 104℃
であった。
【0048】
(比較例1)
実施例1で使用した3種の樹脂の混合比率を
(A)成分 0重量%
(B)成分 20重量%
(C)成分 80重量%
に変更した以外は実施例1と同様にして総厚み15μm(2μm/11μm/2μm)のフィルムを得た。
【0049】
(比較例2)
実施例1で使用した3種の樹脂の混合比率を
(A)成分 0重量%
(B)成分 30重量%
(C)成分 70重量%
に変更した以外は実施例1と同様にして総厚み15μm(2μm/11μm/2μm)のフィルムを得た。
【0050】
(比較例3)
実施例1の(A)成分として使用した軟質ポリプロピレン系樹脂(I)の代えて軟質ポリプロピレン系樹脂(II)(プロピレン含量:100モル%、mmmm=63.0%、rrrr=8.0%、MFR=2g/10分、Tm=158℃、Huntsman Polymer Corporation製、「REXflex W105」)を用いた以外は実施例1と同様にして総厚み15μm(2μm/11μm/2μm)のフィルムを得た。
【0051】
なお、この軟質ポリプロピレン系樹脂(II)単体からなるフィルムを測定した特性は、以下の通りであった。
0℃における貯蔵弾性率(E′) 1.6×1010dyn/cm2
20℃における貯蔵弾性率(E′) 3.7×109 dyn/cm2
20℃における損失正接(tanδ) 0.14
ガラス転移温度(Tg) −6℃
結晶化熱量 54J/g
結晶化温度(Tc) 108℃
であった。
【0052】
(比較例4)
実施例5で使用した3種の樹脂の混合比率を
(A)成分 30重量%
(B)成分 0重量%
(C)成分 70重量%
に変更した以外は実施例1と同様にして総厚み15μm(2μm/11μm/2μm)のフィルムを得た。
【0053】
(比較例5)
実施例5で使用した3種の樹脂の混合比率を
(A)成分 70重量%
(B)成分 0重量%
(C)成分 30重量%
に変更した以外は実施例1と同様にして総厚み15μm(2μm/11μm/2μm)のフィルムを得た。
【0054】
(比較例6)
市販のポリ塩化ビニルストレッチフィルム(厚さ15μm)について評価を行った。
上記実施例1乃至5及び比較例1乃至6について、各積層フィルム(比較例6は単層)の粘弾性特性の測定値等を表1に、ストレッチ包装適正等の評価を表2に示した。
【0055】
【表1】
Figure 0003746166
【表2】
Figure 0003746166
【表3】
Figure 0003746166
【0056】
表1乃至3より、本発明で規定する3成分を有し、粘弾性特性が本発明で規定する範囲にある実施例1乃至5のフィルムは、いずれもストレッチフィルムとしての諸特性に総合的に優れていることが分かる。これに対して、成分が異なるか、粘弾性特性が本発明で規定する範囲外の比較例1乃至5のフィルムは、ストレッチフィルムとしての総合的な特性に劣ることが分かる。
【0057】
【発明の効果】
本発明ストレッチフィルムによれば、自動包装機などに使用した場合にフィルムのカット・搬送やラッピングを問題なく行うことができ、底シール性が良好で、またフィルムの張りが良い包装体を得ることができ、非塩素系ストレッチフィルムとして従来にない特徴を有している。さらに経時的な安定性や経済性にも優れている。

Claims (4)

  1. 下記(A)、(B)および(C)3成分を主成分とする混合樹脂層を少なくとも一層有し、動的粘弾性測定により周波数10Hz、温度20℃で測定した貯蔵弾性率(E′)が5.0×108 dyn/cm2 〜5.0×109 dyn/cm2 、損失正接(tanδ)が0.2〜0.8の範囲にあることを特徴とする食品包装用ストレッチフィルム。
    (A)下記(1)〜(3)の条件を満足し、13C−NMRスペクトルから求められるメソペンタッド分率とラセモペンタッド分率の和(mmmm+rrrr)が30〜70%の範囲にあり、分子鎖中に結晶性のブロックと非晶性のブロック部分が混在している立体規則性を制御された軟質ポリプロピレン系樹脂
    (1)示差走査熱量計を用いて加熱速度10℃/分で昇温した時に測定されるガラス転移温度が−15℃以上
    (2)示差走査熱量計を用いて加熱速度10℃/分で結晶融解後、200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、冷却速度10℃/分で室温まで降温した時に測定される結晶化熱量が10〜60J/g
    (3)メルトフローレート(MFR)(JISK7210、230℃、2.16kg荷重)が0.4〜40g/10分
    (B)石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂、またはそれらの水素添加誘導体
    (C)(A)成分以外のポリプロピレン系樹脂
  2. 動的粘弾性測定により周波数10Hz、温度0℃で測定した貯蔵弾性率(E′)が1.5×1010dyn/cm2 以下の範囲にあることを特徴とする請求項1記載のポリオレフィン系ストレッチ包装用フィルム。
  3. ガラス転移温度が50〜100℃である石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂、またはそれらの水素添加誘導体を20重量%以下の量で混合することを特徴とする請求項1乃至2記載のポリオレフィン系ストレッチ包装用フィルム。
  4. (A)、(B)および(C)3成分を主成分とする混合樹脂層の両面に、酢酸ビニル含有量が5〜25重量%で、メルトフローレート(JISK7210、190℃、2.16kg荷重)が0.2〜5g/10分のエチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とする層を積層したフィルムからなることを特徴とする請求項1乃至3記載のポリオレフィン系ストレッチ包装用フィルム。
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