JP3490926B2 - ポリオレフィン系ストレッチ包装用フィルム - Google Patents
ポリオレフィン系ストレッチ包装用フィルムInfo
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Description
に用いられるストレッチフィルム、特に塩素を含まない
材料からなるストレッチ包装用フィルムに関する。
レーに載せてフィルムでオーバーラップする、いわゆる
プリパッケージ用のストレッチ包装用フィルムとして
は、主にポリ塩化ビニル系のものが使用されてきた。こ
らは包装効率がよく、包装仕上がりも綺麗である等の包
装適性の他、パック後のフィルムを指で押す等の変形を
加えても元に戻る弾性回復性に優れ、また底シール性も
良好であり、輸送陳列中にフィルム剥がれが発生しにく
い等、商品価値が低下しないという販売者、消費者の双
方に認められた品質の優位性を持っているためである。
塩化ビニル系フィルムに対し焼却時に発生する塩化水素
ガスや、多量に含有する可塑剤の溶出等が問題視されて
きた。このためポリ塩化ビニル系フィルムに代わる材料
が種々検討されており、特にポリオレフィン系樹脂を用
いた構成のストレッチ包装用フィルムが各種提案されて
いる。近年はストレッチフィルムとして良好な表面特性
や透明性、適度な耐熱性や材料設計の自由度、経済性等
の理由から表裏層にエチレン−酢酸ビニル共重合体、中
間層に各種ポリプロピレン系樹脂を主成分とした2種3
層構成のストレッチ包装用フィルムの検討が活発に行わ
れている。
リプロピレン系樹脂を主成分としたストレッチフィルム
では、包装作業性、包装仕上がり、弾性回復力、底シー
ル性等の主要な包装適性(自動機、手包装)および経済
性も含めた市場での総合的な評価は未だ不満足である。
先に、本発明者らは特開平9−154479号公報で比
較的低結晶性のプロピレン系重合体と石油樹脂類とを含
有し、特定の粘弾性特性を有する食品包装用ストレッチ
フィルムを提案している。
合体と石油樹脂類からなるフィルムにおいては、包装作
業性、包装仕上がり、弾性回復力、底シール性といった
特性は比較的良好なものの、所望の粘弾性特性とするた
めに、石油樹脂類を比較的多量(30重量%)に含有せ
ざるを得ないため、経時的にフィルムの強度が変化した
り、石油樹脂類が表面にブリードし、巻物とした場合に
はフィルム同士がブロッキングしてしまう等の不具合点
があった。
結果、特定の軟質ポリプロピレン系樹脂組成物を主成分
として用い、その結晶性および粘弾性特性を制御するこ
とにより包装作業性、包装仕上がり、弾性回復力、底シ
ール性といった特性に加え、さらにフィルムの経時的な
安定性および経済性にも優れた非塩ビ系ストレッチフィ
ルムを得ることに成功したものであり、その要旨は、下
記(A)成分が40〜80重量%、(B)成分が5〜4
0重量%および(C)成分が5〜25重量%からなる樹
脂組成物を主成分とし、示差走査熱量計により測定され
る結晶化熱量が15〜35J/gである混合樹脂層の両
面に、ポリオレフィン系樹脂からなる表面層を積層して
なる3層構造フィルムであって、該積層フィルムは、8
〜30μmの厚さを有し、該混合樹脂層の積層フィルム
全体の厚みに対する比が0.3〜0.9であり、動的粘
弾性測定により周波数10Hz、温度20℃で測定した
貯蔵弾性率(E′)が5.0×10 8 〜5.0×109
dyn/cm2 、損失正接(tanδ)が0.2〜0.
8の範囲にあることを特徴とするポリオレフィン系スト
レッチ包装用フィルムにある。
る分子鎖中に結晶性のブロックと非晶性のブロック部分
が混在している立体規則性を制御された軟質ポリプロピ
レン系樹脂 (1)13C−NMRスペクトルから求められるメソペン
タッド分率とラセモペンタッド分率の和(mmmm+r
rrr)が30〜75% (2)示差走査熱量計を用いて加熱速度10℃/分で2
00℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、冷却
速度10℃/分で室温まで降温した時に測定される結晶
化熱量が10〜60J/g (3)メルトフローレート(MFR)(JISK721
0、230℃、2.16kg荷重)が0.4〜40g/
10分 (B)ガラス転移温度が0℃以下のビニル芳香族系化合
物と共役ジエンの共重合体またはその水素添加誘導体 (C)ガラス転移温度が50〜100℃である石油樹
脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系
樹脂、またはそれらの水素添加誘導体
非晶性のブロック部分が混在している立体規則性を制御
された軟質ポリプロピレン系樹脂として、プロピレンに
基づく単量体単位を95モル%以上含有し、メソペンタ
ッド分率(mmmm)が25〜65%、かつ、メソペン
タッド分率とラセモペンタッド分率の和(mmmm+r
rrr)が40〜75%の範囲にある樹脂を好適に用い
ることができる。
本発明ストレッチフィルムは、下記(A)成分が40〜
80重量%、(B)成分が5〜40重量%および(C)
成分が5〜25重量%からなる樹脂組成物を主成分と
し、示差走査熱量計により測定される結晶化熱量が15
〜35J/gである混合樹脂層の両面に、ポリオレフィ
ン系樹脂からなる表面層を積層してなる3層構造フィル
ムであって、該積層フィルムは、8〜30μmの厚さを
有し、該混合樹脂層の積層フィルム全体の厚みに対する
比が0.3〜0.9であり、フィルム全体として特定の
粘弾性特性を有している。 (A)下記(1)〜(3)の条件を満足する分子鎖中に
結晶性のブロックと非晶性のブロック部分が混在してい
る立体規則性を制御された軟質ポリプロピレン系樹脂 (1)13C−NMRスペクトルから求められるメソペン
タッド分率とラセモペンタッド分率の和(mmmm+r
rrr)が30〜75% (2)示差走査熱量計を用いて加熱速度10℃/分で2
00℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、冷却
速度10℃/分で室温まで降温した時に測定される結晶
化熱量が10〜60J/g (3)メルトフローレート(MFR)(JISK721
0、230℃、2.16kg荷重)が0.4〜40g/
10分 (B)ガラス転移温度が0℃以下のビニル芳香族系化合
物と共役ジエンの共重合体またはその水素添加誘導体 (C)ガラス転移温度が50〜100℃である石油樹
脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系
樹脂、またはそれらの水素添加誘導体。
レン系樹脂は、分子鎖中に結晶性のブロックと非晶性の
ブロック部分が混在しているため、一般にゴム弾性を有
し柔軟で破れにくく、透明性も良好であるという特性を
有しており、また分子鎖中に存在する剛直性を示すイソ
タクチック構造とシンジオタクチック構造の結晶性のブ
ロック部分と、エラストマー性を示すアタクチック構造
の非晶性のブロック部分との割合をバランスさせること
により、本発明の目的を達成するのに適している。分子
鎖中に結晶性のブロックと非晶性のブロック部分が混在
しているとは、結晶性のブロックと非晶性のブロック部
分がランダム的及び/またはブロック的に存在している
ことを意味しており、また各ブロック部分の連鎖長は任
意でかまわないが、本発明においてはその分布がランダ
ム的である方が、透明性、外観等の点から好ましい。
で強度も高く、ポリオレフィン系樹脂の中では比較的高
融点で耐熱性も良好であるが、高結晶性のため伸展時に
は大きな力を要し、また不均一な伸びしか示さず、これ
らの特性は混合物になっても残存する。そのため本発明
においては、伸びの良いフィルムを得るために、比較的
低結晶性のポリプロピレン系樹脂を使用するのが好まし
い。従来、この種のポリプロピレン系樹脂としては、低
温特性や常温での柔軟性を付与させるためにプロピレン
にエチレンまたは炭素数4〜12程度のα−オレフィン
を多量に共重合等の形態で含有させたものがよく使用さ
れており、一部フィルム用途にも用いられているが、こ
れら単独では粘弾性的に本発明には適さない。 即ち、
従来普通に用いられているこの種の樹脂は、プロピレン
にα−オレフィンが多量に含有しているため、そのガラ
ス転移温度はポリプロピレン本来のガラス転移温度(−
10℃前後)よりもかなり低くなり、このことから常温
では後述する損失正接(tanδ)が0.1未満と極め
て小さいからである。
粘弾性特性を満たし得るものであって、主に立体規則性
を制御することにより、結晶性を低下させつつ、ガラス
転移温度をポリプロピレン本来のガラス転移温度(−1
0℃前後)よりも大幅に低下させないことにより、常温
におけるtanδを高めたものである。具体的には条件
(1)として13C−NMRスペクトルから求められるメ
ソペンタッド分率とラセモペンタッド分率の和(mmm
m+rrrr)が30〜75%、好ましくはメソペンタ
ッド分率(mmmm)が25〜65%、かつ、メソペン
タッド分率とラセモペンタッド分率の和(mmmm+r
rrr)が40〜75%のものが用いられる。ここで上
記(mmmm+rrrr)が30%未満では、結晶性が
低すぎて製膜性が極めて悪い他、常温ではフィルムが柔
らかすぎたり強度が不足して実用上問題がある。また原
料自体がブロッキングしやすくなり、ハンドリング性の
面でも好ましくない。一方、75%を越えると、本発明
の目的である常温における損失正接(tanδ)が所望
の範囲内に入り難くなり好ましくない。またフィルム伸
展時に大きな力を要し、また不均一な伸びしか示さず、
ストレッチフィルムに適しない。
(mmmm)やラセモペンタッド分率(rrrr)の値
は、13C−NMR(核磁気共鳴)スペクトルの測定結果
に基づき算出する。すなわち、13C−NMRスペクトル
を測定し、メチル基の立体規則性によるケミカルシフト
の違いにより、22.5ppm〜19.5ppm領域に
現れる各分裂ピーク(mmmm〜mrrm)のシグナル
強度比から求めた。上記mmmm(メソペンタッド分
率)とは、任意の連続する5つのプロピレン単位で構成
される炭素−炭素結合による主鎖に対して、側鎖である
5つのメチル基がいずれも同方向に位置する立体構造あ
るいはその割合を意味し、rrrr(ラセモペンタッド
分率)とは、任意の連続する5つのプロピレン単位で構
成される炭素−炭素結合による主鎖に対して、側鎖であ
る5つのメチル基が交互に反対方向に位置する立体構造
あるいはその割合を意味する。なお、メチル基領域のシ
グナルの帰属は、A.Zambelli et al
(Macromolecules8, 687, (197
5))によった。
いて加熱速度10℃/分で200℃まで昇温し、200
℃で5分間保持した後、冷却速度10℃/分で室温まで
降温した時に測定される結晶化熱量が10〜60J/
g、好適には20〜60J/gの範囲にあるものを用い
る。結晶化熱量が10J/g未満では結晶性が低すぎて
製膜性が極めて悪い他、常温ではフィルムが柔らかすぎ
カット性が低下したり、強度が不足して実用上問題があ
る。また結晶化熱量が60J/gを越えるものでは、フ
ィルム伸展時に大きな力を要し、また不均一な伸びしか
示さず、ストレッチフィルムに適しない。さらに条件
(3)としてメルトフローレート(MFR)(JISK
7210、230℃、2.16kg荷重)が0.4〜4
0g/10分、好適には1.0〜20g/10分の範囲
にあるものを用いる。メルトフローレートが0.4g/
10分未満では、ポリマー自身の粘度が高すぎて押出成
形が困難なり適さず、40g/10分を越えるとポリマ
ー自身の粘度が低すぎて製膜安定性がなくなったり、フ
ィルム自体の強度が不足して実用上問題がある。
ては、共重合組成中のプロピレンに基づく単量体単位が
少なくとも90モル%以上、好適には95モル%以上で
あり、沸騰n−ヘプタンによるソックスレー抽出におい
ては、その不溶解分が60重量%以下、好ましくは2〜
55重量%、冷キシレンによるソックスレー抽出におい
ては、その不溶解分が95重量%以下、好ましくは50
〜90重量%の範囲のものが好適に用いられる。ここで
共重合組成中のプロピレンに基づく単量体単位が90モ
ル%未満では、耐熱性が低下したり、α−オレフィンを
共重合した場合にはガラス転移温度がポリプロピレン本
来のガラス転移温度(−10℃前後)よりもかなり低下
することにより常温での損失正接(tanδ)が極めて
小さくなり好ましくない。なお、プロピレン以外の成分
としては、エチレンまたは炭素数4〜12程度のα−オ
レフィンや4−メチルペンテン−1、環状オレフィン、
スチレン等が挙げられるが、エチレンが最も好適に使用
される。ここで沸騰n−ヘプタンによる不溶解分が60
重量%を越えたり、冷キシレンによる不溶解分が95重
量%を越えると、結晶性が高いため、柔軟性が低下した
り、本発明の目的である常温における損失正接(tan
δ)が所望の範囲内に入り難い。なお(A)成分は、本
発明の目的に適合するものであれば2種類以上を混合し
て用いることもできる。
の製造方法としては、安価なプロピレンモノマーを主成
分とし、各種のメタロセン系触媒(シングルサイト触
媒)や固体状チタン系触媒等を用い、成形加工性の良好
な立体規則性を制御した軟質ポリプロピレン系樹脂を効
率的、かつ低コストで重合する方法が提案されており、
使用する樹脂としては、本発明の主旨を満足するもので
あれば特に限定されないが、具体的商品としては、Hu
ntsman Polymer Corporatio
nの商品名「REXflex」が例示できる。
以下のビニル芳香族系化合物と共役ジエンの共重合体ま
たはその水素添加誘導体である。このような共重合体
は、一般的にゴム弾性を有し柔軟で破れにくく、透明性
も良好であるという特性を有しており、また特にその水
素添加誘導体は(A)成分と良好な相溶性を示すので、
混合樹脂層の低温での柔軟性付与、tanδが高い値を
示す温度領域の拡大や透明性向上等に有効に作用する。
但し、ガラス転移温度が0℃以下、好ましくは−20℃
以下である必要がある。ガラス転移温度が0℃を越える
と、(B)成分添加の目的である混合樹脂層の低温での
柔軟性付与等の効果が不十分となる。また、このような
共重合体のビニル芳香族系化合物と共役ジエンの割合は
重量比で3/97〜40/60であることが好ましい。
ここで共重合組成中のビニル芳香族系化合物が3重量%
未満では、共重合体自体の剛性が低下しすぎ、ペレット
化が困難になる等の重合生産性が低下し易く、一方40
重量%を越えると共重合体自体の剛性が高くなり、
(B)成分添加の目的である混合樹脂層の低温での柔軟
性付与等の効果が不十分となり易い。
スチレンが代表的なものであるが、α−メチルスチレン
等のスチレン同族体も用い得る。また、共役ジエンとし
ては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペン
タジエン等が挙げられ、これらは単独で、または2種以
上を混合して使用することができる。また、第3成分と
して、ビニル芳香族系化合物および共役ジエン以外の成
分を少量含んでいてもよい。但し、この共役ジエン部分
のビニル結合を主とした二重結合が残った場合の熱安定
性や耐候性は極めて悪いので、これを改良するため、二
重結合の80%以上、好ましくは95%以上に水素を添
加したものを用いることが好ましい。このような共重合
体としてはスチレン−ブタジエンブロック共重合体エラ
ストマー(旭化成工業(株)商品名「タフプレン」)、
スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加誘導
体(旭化成工業(株)商品名「タフテック」、シェルジ
ャパン(株)商品名「クレイトンG」)、スチレン−ブ
タジエンランダム共重合体の水素添加誘導体(JSR
(株)商品名「ダイナロン」)、スチレン−イソプレン
ブロック共重合体の水素添加誘導体((株)クラレ商品
名「セプトン」)、スチレン−ビニルイソプレンブロッ
ク共重合体エラストマー((株)クラレ商品名「ハイブ
ラー」)等として市販されており、これらの共重合体
は、各々単独に、または2種以上を混合して使用するこ
とができる。
量%で共役ジエン部分のビニル結合量が60%を越え
る、好ましくは65〜90%のスチレン・共役ジエン系
ランダム共重合体の水素添加誘導体が(A)、(C)成
分との相溶性や透明性向上、低温での柔軟性付与等の点
から特に好ましい。なお、本発明に好適に用いることが
できるスチレン・共役ジエン系ランダム共重合体の水素
添加誘導体の詳細な内容およびその製造方法について
は、特開平2−158643号、特開平2−30581
4号および特開平3−72512号の各公報に開示され
ている。また、このような共重合体の具体例としては水
素添加スチレンブタジエンラバーの構造をとり、HSB
Rの略称で呼ばれる材料でJSR(株)商品名「ダイナ
ロン1320P」として市販されている。
00℃である石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−イン
デン樹脂、ロジン系樹脂、またはそれらの水素添加誘導
体である。(C)成分はガラス転移温度が高いため、混
合物のガラス転移温度を高めることができる。このこと
により常温においてストレッチフィルムとして好適な伸
展性を示す貯蔵弾性率(E′)と適度の応力緩和性を示
す損失正接(tanδ)とを両立させるのに有効に作用
する。上記の石油樹脂としては、シクロペンタジエンま
たはその二量体からの脂環式石油樹脂やC9 成分からの
芳香族石油樹脂があり、テルペン樹脂としてはβ−ピネ
ンからのテルペン樹脂やテルペン−フェノール樹脂が、
また、ロジン系樹脂としては、ガムロジン、ウッドロジ
ン等のロジン樹脂、グリセリンやペンタエリスリトール
等で変性したエステル化ロジン樹脂等が例示できる。上
記(C)成分は前記(A)、(B)成分等に混合した場
合に比較的良好な相溶性を示すことが知られているが、
色調や熱安定性、相溶性といった面から水素添加誘導体
を用いることが好ましい。
のガラス転移温度を有するものが得られるが、本発明に
適合し得るのはガラス転移温度が50〜100℃、好ま
しくは70〜90℃のものである。ガラス転移温度が5
0℃未満であると、前述の(A)、(B)成分と混合し
た場合に所望の粘弾性特性を得るためには多量に含有さ
せる必要があり、表面へのブリードによる材料やフィル
ムのブロッキングを生じ易い。また、フィルム全体とし
て機械的強度が不足して破れやすく実用上問題になるこ
とがある。一方、ガラス転移温度が100℃を越えるも
のでは、(A)、(B)成分との相溶性が悪化し、経時
的にフィルム表面にブリードし、ブロッキングや透明性
が低下することがある。上記の理由から、(C)成分は
後述の粘弾性特性を達成し得る範囲内で含有量は少ない
ほうが好ましい。この点では本発明に適用する立体規則
性を制御されたポリプロピレン系樹脂は−10℃程度以
上のガラス転移温度を有しているため、従来、普通に用
いられてきたプロピレンにα−オレフィン等が多量に含
有された低結晶性プロピレン系樹脂と比較して(C)成
分の含有量が少量でも所望の粘弾性特性に調整するのに
有効に作用する。
立体規則性を制御された軟質ポリプロピレン系樹脂が4
0〜80重量%、(B)成分であるビニル芳香族化合物
と共役ジエンとの共重合体またはその水素添加誘導体が
5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%、および
(C)成分である石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−
インデン樹脂、ロジン系樹脂、またはそれらの水素添加
誘導体が5〜25重量%、好ましくは10〜25重量%
からなる樹脂組成物を主成分とする層である。ここで
(A)成分の含有量が40重量%未満、かつ(B)成分
の含有量が40重量%を越えると、常温でのフィルムの
腰がなくなり扱いにくいものになったり、強度やカット
性が低下しやすく、またコスト的にも高くなり好ましく
ない。また(B)成分の含有量が5重量%未満では、低
温(0℃付近)における柔軟性向上効果が不十分となり
好ましくない。さらに(C)成分の含有量が5重量%未
満では、フィルムの自己粘着性が劣ったり、混合樹脂層
のガラス転移温度を高める効果が少なく、所望の粘弾性
特性が得られにくい。一方25重量%を越えると経時的
にフィルムの強度が変化したり、石油樹脂類が表面にブ
リードし、巻き物とした場合にはフィルム同士がブロッ
キングしてしまう等の問題が生じ易い。
旨を損なわない範囲、好適には、混合樹脂層の30重量
%以下の範囲で(A)成分の定義には属さない後述する
ポリプロピレン系樹脂の1種または2種以上を、フィル
ムの腰やカット性等の包装適性並びに経済性の更なる向
上を目的として(A)成分と併用しても良い。ただし、
その場合も示差走査熱量計により測定される結晶化熱量
が15〜35J/g、好ましくは20〜35J/gであ
る必要がある。ここで混合樹脂層の結晶化熱量が15J
/g未満では、フィルムの腰やカット性、強度が低下し
たり、耐熱性が低下するので好ましくない。一方35J
/gを越えるとフィルムの腰やカット性、強度は向上す
るものの、指の押跡の復元性等が低下し易い。これは混
合樹脂層の結晶性が高いと大変形を受けた際の歪がフィ
ルム内で不均一に分布し、歪が残留しやすいためである
と推察できる。なお、ここで使用する結晶化熱量は、混
合樹脂層を構成する樹脂組成物を、示差走査熱量計を用
いて加熱速度10℃/分で200℃まで昇温し、200
℃で5分間保持した後、冷却速度10℃/分で室温まで
降温した時に測定される結晶化熱量である。
リプロピレン系樹脂とは、プロピレンの単独重合体ある
いはプロピレンと共重合可能な他の単量体との共重合体
である。共重合可能な他の単量体としては、エチレンや
ブテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−
1、オクテン−1等の炭素数4〜12のα−オレフィン
およびジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサジエ
ン、ジシクロペンタジエン、シクロオクタジエン、エチ
リデンノルボルネン等のジエン類等が挙げられる。これ
らのうちエチレンの使用が好ましい。また(A)、
(B)、(C)成分と混合した際の透明性や包装機械特
性等からはプロピレン−エチレンランダム共重合体やプ
ロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体が好ましく、
また、低温特性(特に低温での伸び)を改良する目的で
は結晶化熱量が50J/g、好ましくは40J/g以下
の低結晶性ポリプロピレン系エラストマーが好適に使用
できる。この低結晶性ポリプロピレン系エラストマーと
しては、(A)、(B)、(C)成分と混合した際の透
明性や経済性等からリアクタータイプのポリプロピレン
系エラストマーが好ましく、具体例としては、(株)ト
クヤマの商品名「P.E.R.」、チッソ(株)の商品
名「NEWCON」、Montell−JPOの商品名
「Catalloy」等として市販されている。
プロピレン系樹脂が、プロピレンと共重合可能な他の単
量体との共重合体である場合の、他の単量体の含有量
は、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下で
ある。なおこれらのポリプロピレン系樹脂は一種のみを
単独で、または2種以上を組み合わせて用いることがで
きる。また、そのメルトフローレート(MFR)(JI
SK7210、230℃、2.16kg荷重)は通常
0.4〜20g/10分、好ましくは0.5〜5g/1
0分のものが用いられる。
定により周波数10Hz、温度20℃における貯蔵弾性
率(E′)が5.0×10 8 〜5.0×109dyn/
cm2 、損失正接(tanδ)が0.2〜0.8の範囲
にあるものである。ここで、tanδ(損失正接)とは
貯蔵弾性率(E′)に対する損失弾性率(E″)の比、
すなわち損失正接(tanδ=E″/E′)であり、こ
の値が高い温度領域では、材料の損失弾性率(E″)、
すなわち粘弾性特性のうち粘性の寄与率が大きいことを
意味している。このtanδの値および高い値を示す温
度領域を評価することにより、ストレッチフィルムを用
いた手包装や自動機による各種包装工程におけるフィル
ムの応力緩和挙動等を判断する大きな目安となる。
yn/cm2 未満では、柔らかくて変形に対し応力が小
さすぎるため、作業性が悪く、パック品のフィルムの張
りもなく、ストレッチフィルムとして適さない。一方、
E′が5.0×10 9 dyn/cm2 を越えると、硬く
て伸びにくいフィルムになり、トレーの変形やつぶれが
生じ易い。E′の好適な範囲は8.0×10 8 〜3.0
×109 dyn/cm2 である。また、tanδが0.
2未満であると、フィルムの伸びに対する復元挙動が瞬
間的であるため、フィルムをトレーの底に折り込むまで
のわずかな間にフィルムが復元してしまい、フィルムが
うまく張れずにしわが発生しやすい。また底部のヒート
シール状態も、ストレッチ包装の場合は熱による十分な
融着がなされにくいので、包装後、輸送中ないし陳列中
に次第に底シールの剥がれを生じやすくなる。また、t
anδが0.8を越えると、包装仕上がりは良好である
ものの、塑性的な変形を示し、パック品の外力に対する
張りが弱すぎて、輸送中ないし陳列中の積み重ね等によ
り、トレー上面のフィルムがたるみ易く、商品価値が低
下しやすい。また自動包装の場合には縦に伸びやすいた
めチヤツク不良等の問題が生じやすい。tanδの特に
好適な範囲は、0.30〜0.60である。
されることもあり、低温特性(特に伸び)が優れている
ことが望ましいが、そのためには動的粘弾性測定により
周波数10Hz、温度0℃で測定した貯蔵弾性率
(E′)が1.5×1010dyn/cm2 以下の範囲、
好適には1.0×1010dyn/cm2 以下であること
が好ましい。また動的粘弾性測定により周波数10H
z、温度0℃で測定した損失正接(tanδ)が0.1
0以上、好適には0.15以上であることが好ましい。
これは室温領域において高いtanδ値を有する温度範
囲が拡大することにより、様々な使用温度環境下での包
装適性が向上するためである。
た軟質ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンにエチレン
または炭素数4〜12程度のα−オレフィンを多量に共
重合等の形態で含有させた従来の軟質ポリプロピレン系
樹脂よりもガラス転移温度が高いので、低温伸び等の柔
軟性を確保するために上記粘弾性の特性を満たすよう配
慮するのが好ましい。そのためには、上述したようにメ
ソペンタッド分率(mmmm)やラセモペンタッド分率
(rrrr)等の結晶性ブロック部分の割合やプロピレ
ンと共重合する成分の種類とその割合、あるいは
(A)、(B)、(C)各成分の混合比率等を調整すれ
ばよい。
層の両面に他の非塩素系材料層を表面層として積層する
ことが好ましい。他の樹脂層としてはポリオレフィン系
樹脂層が挙げられ、これらを積層することにより、フィ
ルムの粘弾性特性を調整するとともに、フィルムの成形
加工性、外観、柔軟性や引張特性が改良されて適度の強
度と伸びを示すようになり、また低温における伸びが改
良される。ここで表面層としては、特にポリオレフィン
系樹脂が、表面特性や経済性の付与の面から好適であ
り、低密度ポリエチレン、直鎖状エチレン−α−オレフ
ィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EV
A)、エチレン−アルキルアクリレート共重合体、エチ
レン−アルキルメタクリレート共重合体、エチレン−ア
クリル酸共重合体等の使用が推奨される。
ン−α−オレフィン共重合体を好適に使用することがで
き、混合する場合の割合は適宜決めることができる。こ
のEVAとしては、酢酸ビニル含量が5〜25重量%、
好ましくは10〜20重量%、メルトフローレート(M
FR)(JISK7210、190℃、2.16kg荷
重)が0.2〜5g/10分のものが好適である。ここ
で酢酸ビニル含量が5重量%未満では、得られるフィル
ムが硬く、柔軟性や弾性回復性が低下し、また表面粘着
性も発現しにくい。一方、25重量%を越えると表面粘
着性が強過ぎて巻き出し性や外観が低下し易い。また、
直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体としては、α
−オレフィン含量が5〜25重量%、好ましくは10〜
15重量%、MFR(JISK7210、190℃、
2.16kg荷重)が0.2〜5g/10分のものが好
適である。ここでα−オレフィン含有量が5重量%未満
では、得られるフィルムが硬く、ストレッチ包装時に均
一伸展性が得られにくいので、包装物にシワが発生した
り、包装物を潰し易く、25重量%を越えると、フィル
ム成形が困難になったり、巻き出し性が低下し易い。ま
たα−オレフィンとしては、炭素数4〜8のブテン−
1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、オクテ
ン−1が好ましく、これらは一種のみを単独で、または
2種以上を組み合わせて用いることができる。
レフィン共重合体ともにMFRが0.2g/10分未満
では、押出加工性が低下し、一方5g/10分を越える
と製膜安定性が低下し、厚み斑や力学強度の低下やバラ
ツキ等が生じやすくなるため好ましくない。本発明のフ
ィルムの厚さは、通常のストレッチ包装用として用いら
れる範囲、すなわち8〜30μm、代表的には10〜2
0μm程度の範囲にある。また積層フィルムは、前述し
た混合樹脂層の厚みは全体の厚みに対する比が0.3〜
0.9、好ましくは0.4〜0.8であり、具体的には
5〜20μmであるのがストレッチフィルムとしての諸
特性および経済性の面から好ましい。
溶融押出し、インフレーション成形またはTダイ成形に
よりフィルム状に成形することにより得られる。積層フ
ィルムは複数の押出機を用いて多層ダイにより共押出す
るのが有利である。 実用的には、環状ダイから材料樹
脂を溶融押出してインフレーション成形するのが好まし
く、その際のブローアップ比(バブル径/ダイ径)は4
以上が好ましく、特に5〜7の範囲が好適である。その
際の冷却方法としては、チューブの外面から冷却する方
法、チューブの外、内面の両面から冷却する方法のどち
らでも良い。さらに、ここで得られたフィルムを樹脂の
結晶化温度以下に加熱し、ニップロール間の速度差を利
用してフィルムの縦方向に1.2〜5倍延伸する、又は
フィルムの縦横両方向に1.2〜5倍に二軸延伸しても
かまわない。
性、滑り性、自己粘着性などの性能を付与するために次
のような各種添加剤を表面層及び/または混合樹脂層に
適宜配合することができる。例えば、炭素数が1〜1
2、好ましくは1〜6の脂肪族アルコールと、炭素数が
10〜22、好ましくは12〜18の脂肪酸との化合物
である脂肪族アルコール系脂肪酸エステル、具体的に
は、モノグリセリンオレート、ポリグリセリンオレー
ト、グリセリントリリシノレート、グリセリンアセチル
リシノレート、ポリグリセリンステアレート、ポリグリ
セリンラウレート、メチルアセチルリシノレート、エチ
ルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレー
ト、プロピレングリコールオレート、プロピレングリコ
ールラウレート、ペンタエリスリトールオレート、ポリ
エチレングリコールオレート、ポリプロピレングリコー
ルオレート、ソルビタンオレート、ソルビタンラウレー
ト、ポリエチレングリコールソルビタンオレート、ポリ
エチレングリコールソルビタンラウレート等、ならび
に、ポリアルキレンエーテルポリオール、具体的には、
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール
等、更に、パラフィン系オイル等から選ばれた化合物の
少なくとも1種を、各層を構成する樹脂成分100重量
部に対して、0.1〜12重量部、好適には1〜8重量
部配合させるのが好ましい。
るが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものでは
ない。なお、本明細書中に表示されるフィルムについて
の種々の測定値および評価は次のようにして行った。こ
こで、フイルムの押出機からの引取り方向(流れ方向)
を縦方向、その直交方向を横方向とよぶ。 (1)E′、tanδ 岩本製作所(株)製粘弾性スペクトロメーターVES−
F3を用い、フィルムの横方向について、振動周波数1
0Hz、昇温速度1℃/分で−50℃から150℃まで
測定し、得られたデータから温度20℃および0℃での
値を表示した。
(石田衡器(株)製ISHIDA・WminMK−I
I)により発泡ポリスチレントレー(長さ200mm、
幅130mm、高さ30mm)を包装し、表3に示す項
目について評価した。また同じフィルムおよびトレーを
用いて、手包装機(三菱樹脂(株)製ダイアラッパーA
−105)により包装試験を行った。
(Tm) パーキンエルマー社製DSC−7を用いて、試料10m
gをJISK7121に準じて、加熱速度10℃/分で
昇温したときのサーモグラムから求めた。
(ΔHc) パーキンエルマー社製DSC−7を用いて、試料10m
gをJISK7121、JISK7122に準じて、加
熱速度10℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5
分間保持した後、冷却速度10℃/分で室温まで降温し
たときのサーモグラムから求めた。
温度230℃、試験荷重2.16kgfの条件で測定し
た。
ラセモペンタッド分率(rrrr) 日本電子(株)社製のJNM−GSX−270(13C−
核磁気共鳴周波数67.8MHz)を用い、次の条件で
13C−NMRスペクトルを測定し、メチル基の立体規則
性によるケミカルシフトの違いにより、22.5ppm
〜19.5ppm領域に現れる各分裂ピーク(mmmm
〜mrrm)のシグナル強度比から求めた。また、メチ
ル基領域のシグナルの帰属は、A.Zambelli
et al(Macromoleculees 8, 6
87, (1975))によった。 測定モード: 1H−完全デカップリング パルス幅:8.6マイクロ秒 パルス繰り返し時間:30秒 積算回数:7200回 溶媒:オルトジクロロベンゼン/重ベンゼンの混合溶媒
(80/20容量%) 試料濃度:100mg/1ミリリットル溶媒 測定温度:130℃
%の条件の恒温室に10日間保管し、その後の表面状態
と巻き返し性を評価した。 ◎…表面への添加物のブリードやフィルム同士のブロッ
キングが全くない。 ○…表面への添加物のブリードはほとんどないがフィル
ム同士のブロッキングが少しある。 △…表面への添加物のブリードが少しあり、フィルム同
士のブロッキングにより剥離もやや重い。 ×…表面への添加物のブリードが多く、フィルム同士の
ブロッキングもひどく実用上使用不可。
11μm、その両面にEVA(酢酸ビニル含量:15重
量%、190℃、2.16kg荷重におけるMFR:
2.0g/10分)100重量部に防曇剤としてジグリ
セリンモノオレート3.0重量部を溶融混練した組成物
の層を各々2μmとなるように、環状三層ダイ温度19
0℃、ブローアップ比5.5で共押出インフレーション
成形して、総厚み15μm(2μm/11μm/2μ
m)のフィルムを得た。
ン系樹脂単体からなるフィルムを測定した特性は、以下
の通りであった。 0℃における貯蔵弾性率(E′) 1.6×1010dyn/cm2 0℃における損失正接(tanδ) 0.17 20℃における貯蔵弾性率(E′) 3.7×109 dyn/cm2 20℃における損失正接(tanδ) 0.14 損失正接(tanδ)のピーク温度とその値 8℃、0.26 ガラス転移温度(Tg) −6℃ 結晶化熱量(ΔHc) 54J/g 結晶化温度(Tc) 108℃
からなるフィルムを測定した特性は、以下の通りであっ
た。 0℃における貯蔵弾性率(E′) 1.1×1010dyn/cm2 0℃における損失正接(tanδ) 0.21 20℃における貯蔵弾性率(E′) 1.8×109 dyn/cm2 20℃における損失正接(tanδ) 0.38 損失正接(tanδ)のピーク温度とその値 15℃、0.40 ガラス転移温度(Tg) −7℃ 結晶化熱量 32J/g 結晶化温度(Tc) 103℃
総厚み15μm(4μm/7μm/4μm)にした以外
は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。
樹脂として使用したEVAに代えて直鎖状エチレン−α
−オレフィン共重合体(α−オレフィン:オクテン−1
含量12重量%、190℃、2.16kg荷重における
MFR:1.0g/10分、Tm:102℃、ダウ・ケ
ミカル日本(株)製、AFFINITY PL188
0)を用いた以外は、実施例1と同様にして総厚み15
μm(2μm/11μm/2μm)のフィルムを得た。
使用した立体規則性を制御された軟質ポリプロピレン系
樹脂(I)に代えて軟質ポリプロピレン系樹脂(II)
(プロピレン含量:97モル%、エチレン含量:3モル
%、mmmm:32.1%、rrrr:14.5%、M
FR:6.0g/10分、Tm:150℃、Hunts
man Polymer Corporation製、
REXflexW210)を用い、3種の樹脂の混合比
率を (A)成分 40重量% (B)成分 10重量% (C)成分 20重量% に変更し、さらにプロピレン−エチレンランダム共重合
体(エチレン含量4モル%、MFR=1.3g/10
分、Tm=147℃)を30重量%混合した樹脂組成物
を混合樹脂層として用いた以外は実施例1と同様にして
総厚み15μm(2μm/11μm/2μm)のフィル
ムを得た。
ン系樹脂(II)単体からなるフィルムを測定した特性
は、以下の通りであった。 0℃における貯蔵弾性率(E' ) 5.4×109 dyn/cm2 0℃における損失正接(tanδ) 0.50 20℃における貯蔵弾性率(E' ) 3.5×108 dyn/cm2 20℃における損失正接(tanδ) 0.33 損失正接(tanδ)のピーク温度とその値 7℃、0.65 ガラス転移温度(Tg) −7℃ 結晶化熱量(ΔHc) 22J/g 結晶化温度(Tc) 92℃
からなるフィルムを測定した特性は、以下の通りであっ
た。 0℃における貯蔵弾性率(E' ) 1.2×1010dyn/cm2 0℃における損失正接(tanδ) 0.14 20℃における貯蔵弾性率(E' ) 2.1×109 dyn/cm2 20℃における損失正接(tanδ) 0.43 損失正接(tanδ)のピーク温度とその値 20℃、0.43 ガラス転移温度(Tg) −7℃ 結晶化熱量(ΔHc) 31J/g 結晶化温度(Tc) 96℃
脂の混合比率を (A)成分 80重量% (B)成分 0重量% (C)成分 20重量% に変更した以外は実施例1と同様にして総厚み15μm
(2μm/11μm/2μm)のフィルムを得た。
組成物からなるフィルムを測定した特性は、以下の通り
であった。 0℃における貯蔵弾性率(E′) 2.2×1010dyn/cm2 0℃における損失正接(tanδ) 0.03 20℃における貯蔵弾性率(E′) 6.5×109 dyn/cm2 20℃における損失正接(tanδ) 0.26 損失正接(tanδ)のピーク温度とその値 23℃、0.28 ガラス転移温度(Tg) 6℃ 結晶化熱量(ΔHc) 44J/g 結晶化温度(Tc) 105℃
総厚み15μm(4μm/7μm/4μm)にした以外
は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。
脂の混合比率を (A)成分 70重量% (B)成分 30重量% (C)成分 0重量% に変更した以外は実施例1と同様にして総厚み15μm
(2μm/11μm/2μm)のフィルムを得た。
組成物からなるフィルムを測定した特性は、以下の通り
であった。 0℃における貯蔵弾性率(E′) 3.9×109 dyn/cm2 0℃における損失正接(tanδ) 0.29 20℃における貯蔵弾性率(E′) 1.3×109 dyn/cm2 20℃における損失正接(tanδ) 0.16 損失正接(tanδ)のピーク温度とその値 1℃、0.29 ガラス転移温度(Tg) −20℃ 結晶化熱量(ΔHc) 38J/g 結晶化温度(Tc) 109℃
使用した立体規則性を制御された軟質ポリプロピレン系
樹脂(I)のかわりに低結晶性プロピレン−エチレン−
プロピレン共重合体エラストマー(プロピレン含量:8
8モル%、エチレン含量:12モル%、MFR=1.5
g/10分、Tm=156℃、(株)トクヤマ製、
「P.E.R.T310J」(以下PERと略する))
を用い、3種の樹脂の混合比率を (A)成分 70重量% (B)成分 0重量% (C)成分 30重量% に変更した以外は実施例1と同様にして総厚み15μm
(2μm/11μm/2μm)のフィルムを得た。
るフィルムを測定した特性は、以下の通りであった。 0℃における貯蔵弾性率(E′) 3.6×109 dyn/cm2 0℃における損失正接(tanδ) 0.14 20℃における貯蔵弾性率(E′) 2.1×109 dyn/cm2 20℃における損失正接(tanδ) 0.07 損失正接(tanδ)のピーク温度とその値 −10℃、0.18 ガラス転移温度(Tg) −25℃ 結晶化熱量(ΔHc) 31J/g 結晶化温度(Tc) 101℃
組成物からなるフィルムを測定した特性は、以下の通り
であった。 0℃における貯蔵弾性率(E′) 9.0×109 dyn/cm2 0℃における損失正接(tanδ) 0.19 20℃における貯蔵弾性率(E′) 2.0×109 dyn/cm2 20℃における損失正接(tanδ) 0.35 損失正接(tanδ)のピーク温度とその値 20℃、0.35 ガラス転移温度(Tg) −7℃ 結晶化熱量(ΔHc) 21J/g 結晶化温度(Tc) 100℃
ッチフィルム(厚さ15μm)について評価を行った。
上記実施例1乃至4及び比較例1乃至5について、各積
層フィルム(比較例4は単層)の粘弾性特性の測定値等
を表1に、ストレッチ包装適正等の評価を表2に示し
た。
を有し、粘弾性特性が本発明で規定する範囲にある実施
例1乃至4のフィルムは、いずれもストレッチフィルム
としての諸特性に総合的に優れていることが分かる。こ
れに対して、成分が異なるか、粘弾性特性が本発明で規
定する範囲外の比較例1乃至4のフィルムは、ストレッ
チフィルムとしての総合的な特性に劣ることが分かる。
動包装機などに使用した場合にフィルムのカット・搬送
やラッピングを問題なく行うことができ、底シール性が
良好で、またフィルムの張りが良い包装体を得ることが
でき、非塩素系ストレッチフィルムとして従来にない特
徴を有している。さらに経時的な安定性や経済性にも優
れている。
Claims (6)
- 【請求項1】下記(A)成分が40〜80重量%、
(B)成分が5〜40重量%および(C)成分が5〜2
5重量%からなる樹脂組成物を主成分とし、示差走査熱
量計により測定される結晶化熱量が15〜35J/gで
ある混合樹脂層の両面に、ポリオレフィン系樹脂からな
る表面層を積層してなる3層構造フィルムであって、該
積層フィルムは、8〜30μmの厚さを有し、該混合樹
脂層の積層フィルム全体の厚みに対する比が0.3〜
0.9であり、動的粘弾性測定により周波数10Hz、
温度20℃で測定した貯蔵弾性率(E′)が5.0×1
0 8 〜5.0×109 dyn/cm2 、損失正接(ta
nδ)が0.2〜0.8の範囲にあることを特徴とする
ポリオレフィン系ストレッチ包装用フィルム。(A)下
記(1)〜(3)の条件を満足する分子鎖中に結晶性の
ブロックと非晶性のブロック部分が混在している立体規
則性を制御された軟質ポリプロピレン系樹脂 (1)13C−NMRスペクトルから求められるメソペン
タッド分率とラセモペンタッド分率の和(mmmm+r
rrr)が30〜75% (2)示差走査熱量計を用いて加熱速度10℃/分で2
00℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、冷却
速度10℃/分で室温まで降温した時に測定される結晶
化熱量が10〜60J/g (3)メルトフローレート(MFR)(JISK721
0、230℃、2.16kg荷重)が0.4〜40g/
10分 (B)ガラス転移温度が0℃以下のビニル芳香族系化合
物と共役ジエンの共重合体またはその水素添加誘導体 (C)ガラス転移温度が50〜100℃である石油樹
脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系
樹脂、またはそれらの水素添加誘導体。 - 【請求項2】混合樹脂層を構成する(A)分子鎖中に結
晶性のブロックと非晶性のブロック部分が混在している
立体規則性を制御された軟質ポリプロピレン系樹脂がプ
ロピレンに基づく単量体単位を95モル%以上含有し、
メソペンタッド分率(mmmm)が25〜65%、か
つ、メソペンタッド分率とラセモペンタッド分率の和
(mmmm+rrrr)が40〜75%であることを特
徴とする請求項1記載のポリオレフィン系ストレッチ包
装用フィルム。 - 【請求項3】混合樹脂層を構成する(B)ビニル芳香族
系化合物と共役ジエンとの共重合体またはその水素添加
誘導体が、スチレン含有量が5〜25重量%で共役ジエ
ン部分のビニル結合量が60%を越えるスチレン・共役
ジエン系ランダム共重合体の水素添加誘導体であること
を特徴とする請求項1及至2記載のポリオレフィン系ス
トレッチ包装用フィルム。 - 【請求項4】混合樹脂層に(A)分子鎖中に結晶性のブ
ロックと非晶性のブロック部分が混在している立体規則
性を制御された軟質ポリプロピレン系樹脂の定義には属
さないポリプロピレン系樹脂であるプロピレン−エチレ
ン共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合
体、低結晶性ポリプロピレン系エラストマーの中から選
ばれる少なくとも一種のポリプロピレン系樹脂を30重
量%以下の範囲で混合することを特徴とする請求項1及
至3記載のポリオレフィン系ストレッチ包装用フィル
ム。 - 【請求項5】動的粘弾性測定により周波数10Hz、温
度0℃で測定した貯蔵弾性率(E′)が1.0×1010
dyn/cm2 以下、損失正接(tanδ)が0.10
以上の範囲にあることを特徴とする請求項1及至4記載
のポリオレフィン系ストレッチ包装用フィルム。 - 【請求項6】混合樹脂層の両面に、メルトフローレート
(MFR)(JISK7210、190℃、2.16k
g荷重)が0.2〜5g/10分であり、酢酸ビニル含
量が5〜25重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体及
び/または炭素数4〜8のα−オレフィン含量が5〜2
5重量%の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体を
主成分とする表面層が積層されてなることを特徴とする
請求項1及至5記載のポリオレフィン系ストレッチ包装
用フィルム。
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