JP2002046238A - ポリプロピレン系多層フィルム - Google Patents

ポリプロピレン系多層フィルム

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 密着性、透明性、耐熱性、柔軟性、ガスバリ
ア性、手触り性、カット性に優れた非塩素系のポリプロ
ピレン系多層フィルムを提供する。 【解決手段】 表層とガスバリア樹脂からなる内層とを
少なくとも含み、縦方向及び又は横方向に2倍以上延伸
した、引張弾性率が200〜1000MPaである多層
フィルムであって、その多層構成中に例えば、表層にポ
リプロピレン系樹脂と柔軟剤、密着剤、液状密着助剤を
適切な混合比で混合して表層用組成物を構成し、内層に
例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂を配
したポリプロピレン系多層フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は物品などの包装用、
例えば家庭などにおける食品包装用フィルムや食品包装
用ラップに用いるフィルムに関する。特に、ガスバリア
性を有し、さらに、密着性、透明性、耐熱性、ハリ及び
コシの感触などに優れたポリプロピレン系多層フィルム
に関する。
【0002】
【従来の技術】飲食店、食品販売店等の食品に関する業
務や一般家庭において、食品を保存する必要のある場
合、また電子レンジなどで加熱する場合などにおいて、
従来より熱可塑性樹脂製の薄いフィルムが使用されてき
た。その中でも、塩化ビニリデン系共重合体樹脂系の食
品包装用ラップフィルムは、防湿性、酸素ガスバリア
性、耐熱性、容器等への密着性、透明性など、優れた複
数の性質を兼ね備えているので、食品包装用ラップフィ
ルムとして多用されている。
【0003】また近年、非塩素系樹脂からなる食品包装
用ラップフィルムが種々提案されてきた。例えば、ポリ
エチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、4−メチルペンテ
ン樹脂などのポリオレフィン系樹脂を主体とするものな
どがある。ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン系
樹脂はガスバリア性に乏しく、またフィルム表面におけ
る密着性もほとんど見られないので、例えば食品包装用
ラップフィルムとして必須の密着性能としては不十分で
ある。これらの所望の性能を満たすべく、種々の添加剤
等の併用や、或いは他の樹脂などとの積層や混合がなさ
れたフィルムが多数、提案されている。
【0004】これらのフィルムは、使用する樹脂基材や
併用する添加剤の種類や量、積層する樹脂によって容器
への密着性、耐熱性などを向上させる工夫がなされてい
るが、それでもガスバリア性や容器への密着性では、前
述の塩化ビニリデン系共重合体樹脂系のラップフィルム
には及ばないものであった。そこで、非塩素系樹脂を主
体とするラップフィルムのガスバリア性に配慮したもの
に特許第2652507号公報や特許第2700750
号公報、特開平9−193308号公報、特開平6−1
22182号公報、特開平6−122182号公報、特
開平6−155677号公報、特開平6−155684
号公報、特開平3−27937号公報などの提案があ
る。
【0005】これらは例えばエチレン−ビニルアルコー
ル共重合体樹脂やナイロン系樹脂をブレンドもしくは多
層構成の内層に用いた構成により、ラップフィルムとし
てのガスバリア性に配慮しているが、例えば特許第27
00750号公報では柔軟効果の高いスチレン−エチレ
ン−ブチレン−スチレンブロック共重合体に、液状物で
あるポリブテンを組み合わせているので、フィルムが柔
軟化しすぎる場合があり、フィルムのハリコシがないた
めまとわりつきなどが起こり、包装フィルムとしての使
い勝手などについて、必ずしも十分なものではない。
【0006】また、例えば特開平6−155677号公
報ではガスバリア性とともにカット性にも配慮したもの
であるが、カット性の良さを追求したものであるため、
硬いフィルムであり、手触りの良さや被包装物の形状へ
の追従性など、使い勝手を満足させるフィルム柔軟性な
どの面で更なる改善の余地が残されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような問
題を解決するために、ガスバリア性と密着性に劣るポリ
プロピレン系樹脂を用いて、ガスバリア性と密着性が改
善され、使い勝手にも配慮された、包装フィルムとして
有用な非塩素系樹脂フィルムを提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究に取り組んだ結果、本発明をな
すに至った。即ち、本発明は下記の通りである。 1)ポリプロピレン系樹脂組成物からなる表層と、ガス
バリア樹脂からなる内層とを少なくとも含み、縦方向及
び又は横方向に2倍以上延伸した、引張弾性率が200
〜1000MPaである多層フィルムであって、表層の
ポリプロピレン系樹脂組成物がポリプロピレン系樹脂9
9〜20wt%、柔軟剤1〜80wt%と密着剤とから
なり、ポリプロピレン系樹脂と柔軟剤の合計を100質
量部としたとき、密着剤の添加量は2〜30質量部であ
り、該柔軟剤が非晶性又は低結晶性プロピレン−αオレ
フィン共重合体、結晶性ポリブテン−1から選ばれる少
なくとも1種であり、該密着剤が水添石油樹脂、水添テ
ルペン系樹脂、液状ポリブテン、液状ポリイソブチレ
ン、液状ブチルゴムから選ばれる少なくとも1種である
ことを特徴とするポリプロピレン系多層フィルム。
【0009】2)ポリプロピレン系樹脂組成物からなる
表層と、ガスバリア樹脂からなる内層とを少なくとも含
み、縦方向及び又は横方向に2倍以上延伸した、引張弾
性率が200〜1000MPaである多層フィルムであ
って、表層のポリプロピレン系樹脂組成物がポリプロピ
レン系樹脂99〜20wt%、柔軟剤1〜80wt%と
密着剤とからなり、ポリプロピレン系樹脂と柔軟剤の合
計を100質量部としたとき、密着剤の添加量は2〜3
0質量部であり、該柔軟剤がスチレン−エチレン−ブチ
レン−スチレンまたは、スチレン−ブタジエン−ブチレ
ン−スチレンまたは、スチレン−エチレン−プロピレン
−スチレンまたは、スチレン−ブタジエン−スチレンま
たは、スチレン−イソプレン−スチレンの何れかのブロ
ック構造を分子鎖中に含む共重合体から選ばれる少なく
とも1種であり、該密着剤が水添石油樹脂、水添テルペ
ン系樹脂、液状ポリイソブチレン、液状ブチルゴムから
選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするポリプ
ロピレン系多層フィルム。
【0010】3) 表層のポリプロプレン系樹脂組成物
が、さらに液状密着助剤を、ポリプロピレン系樹脂と柔
軟剤を100質量部としたとき、0.01〜30質量部
含み、該液状密着助剤がミネラルオイル、白色鉱物油、
ポリアルキレングリコール、アルキレングリコール、シ
ョ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル類、ソ
ルビタン脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エス
テル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、高級
アルコール脂肪酸エステル類から選ばれる少なくとも1
種であることを特徴とする、請求項1または2に記載の
ポリプロピレン系多層フィルム。
【0011】4)内層のガスバリア樹脂がエチレン−ビ
ニルアルコール共重合体樹脂であることを特徴とする上
記1〜3の何れかに記載のポリプロピレン系多層フィル
ム。 5)フィルム全体の厚みが3〜25μmである上記1〜
4の何れかに記載のポリプロピレン系多層フィルムから
なる包装用フィルム。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細について説明
する。本発明が従来技術と最も相違するところは、従来
技術が例えば、ポリプロピレン系樹脂に、柔軟性や密着
性を与える成分を混合し、これをガスバリア樹脂と積層
したフィルムであるのに対し、本発明は、ポリプロピレ
ン系樹脂に、特定の柔軟剤や特定の密着剤などの成分の
組み合わせを工夫したものを混合し、さらにこれをガス
バリア樹脂と積層したフィルムである。
【0013】上記従来技術と相違するところの構成要件
にもとづく効果は、特定の柔軟剤や特定の密着剤などの
成分の組み合わせが工夫されることでフィルムの柔軟性
が一定範囲となり、密着性や透明性、ガスバリア性、耐
熱性に優れるだけでなく、フィルムの適度な柔軟性及び
良好な手触り性、使い勝手の良さ、カット性など複数の
性能を兼ね備えたものとなり、包装用フィルム、例えば
食品包装用フィルムや食品包装用ラップフィルムに必要
な複数の基本性能を満たしていることである。
【0014】本発明における表層を構成するポリプロピ
レン系樹脂組成物に用いられるポリプロピレン系樹脂
は、得られるフィルムの柔軟性、手触りの感触、被包装
物への形状追従性の観点から99wt%以下、ハリ、コ
シ感、使い勝手、フィルムの製膜時のメルトテンショ
ン、安定した製膜性の観点から20wt%以上の範囲で
配合される。より好ましくは30〜95wt%、さらに
好ましくは40〜93wt%である。また、これは後述
する柔軟剤との組み合わせによっても配合割合が決まる
ものである。
【0015】本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂
は、ポリマー分子鎖中にプロピレンユニットを持つもの
で、プロピレンユニットの分子鎖中での配置はブロック
状もしくはランダム状のどちらでもよく、プロピレンユ
ニットからのみ成るホモポリマーであってもよい。立体
規則性としてもアタクチック、アイソタクチック、シン
ジオタクチックなど多様な構造のものがあるが特に制限
はない。共重合体としては、一般的にはエチレンやブテ
ンなどとのランダムコポリマーや3元ターポリマーなど
が知られている。その他の制限は特にないが、例えば食
品包装用フィルムに用いることを考慮して、安全性の観
点から、ポリオレフィン等衛生協議会の自主規制基準に
合格したものが好ましい。
【0016】また、メルトフローレートにおいては、J
IS−K6758に準拠の方法において、230℃、
2.16kgの荷重を掛けた状態で、1〜20g/10
分の範囲にあることがより好ましい。表層に含まれる成
分のうち柔軟剤として用いられる成分としては非晶性又
は低結晶性プロピレン−αオレフィン共重合体、結晶性
ポリブテン−1の他に、スチレン−エチレン−ブチレン
−スチレン、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレ
ン、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン、スチ
レン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン−
スチレンの何れかのブロック構造を分子鎖中に含む共重
合体が挙げられるが、これらの選択は組み合わせる密着
剤やポリプロピレン樹脂の種類によって最適なものが選
ばれる。その際ポリオレフィンの範疇に属するものにつ
いては、例えば食品包装フィルムに用いることを考慮し
て安全性の観点から、ポリオレフィン等衛生協議会の自
主規制基準に合格したものが好ましい。
【0017】ここで、非晶性又は低結晶性プロピレン−
αオレフィン共重合体とはエチレン、プロピレン、ブテ
ン、ペンテンなどのαオレフィンとプロピレンとの共重
合体であり、低結晶性ないし非結晶性のもので、それ自
体が柔軟性に富み、さらにポリプロピレン系樹脂に混合
された場合に、透明性を損なうことなく混合され柔軟化
効果をもたらす性能を備えるものをいう。結晶性ポリブ
テン−1は、液状の低分子量のポリブテンとは異なり、
高分子量に重合した結晶化度およそ50%前後のブテン
−1のホモポリマーもしくはプロピレンやエチレンとの
コポリマーであり、柔軟性、耐熱性に優れるものであ
る。
【0018】スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン
または、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレンま
たは、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンまた
は、スチレン−ブタジエン−スチレンまたは、スチレン
−イソプレン−スチレンの何れかのブロック構造を分子
鎖中に含む共重合体は、例えば食品包装フィルムとして
用いることを考慮して、フィルムの臭いを抑えるといっ
た観点から水素添加物を使用することがより好ましい。
これらはハードセグメントのポリスチレン部分が物理的
架橋を構成してドメイン相を形成し、中間のエチレン−
ブチレン部分やエチレン−プロピレン部分などがソフト
セグメントとしてゴム弾性を発現するものである。ハー
ドセグメントとソフトセグメントの配列の形態から、直
鎖状タイプと放射状タイプに分れるが、特にこれに関し
ての制限はない。
【0019】これらは、ポリプロピレン系樹脂に対して
相溶性が良く、適量を配合することで、ポリプロピレン
系樹脂本来の透明性、防湿性、耐熱性を大きく損なうこ
となく、引張弾性率や曲げ弾性率を低減する効果、即
ち、柔軟性を付与する効果がある。これによって包装フ
ィルムとしての、密着強度の安定性、被包装物への形状
追従性、手触りの感触のよさ、食品などを包んだ際の密
着感の良さを感じさせる効果、容器などから剥がす際の
パリパリ、シャリシャリという音の低減効果を与えるこ
とが出来る。
【0020】これらの配合量は選ばれる柔軟剤と組合わ
せる密着剤、及び、基材となるポリプロピレン系樹脂の
種類、さらには、目的とするフィルムの性能に応じて、
適宜これらを勘案して決められるが、ポリプロピレン系
樹脂と柔軟剤を合わせて100wt%としたとき柔軟剤
は、得られるフィルムの柔軟性の観点から1wt%以上
であり、フィルム成形時のメルトテンション、加工性、
製品の外観や品位、ハリ、コシ感、包装フィルムとして
の使い勝手の観点から80wt%以下である。より好ま
しくは5〜70wt%、さらに好ましくは7〜60wt
%である。
【0021】表層に含まれる成分のうち密着剤として用
いる成分としては、水添石油樹脂、水添テルペン系樹
脂、液状ポリブテン、液状ポリイソブチレンから少なく
とも1種類選択されるものである。ポリプロピレン系樹
脂と柔軟剤からなる組成物を100質量部としたとき、
密着剤は密着性能の観点から2質量部以上、フィルムの
べた付き、フィルム同士のブロッキング、溶融張力、そ
れに伴うフィルム製膜時の安定性とそれによるフィルム
厚みのバラツキ、製膜性、水添石油樹脂や水添テルペン
系樹脂を用いた場合はフィルムの柔軟性および密着性能
の観点から、30質量部以下の範囲で配合することによ
って、必要とする密着性能を発揮させることができる。
さらに好ましくは3質量部〜25質量部である。
【0022】ここで石油樹脂とは、石油精製の際に得ら
れるナフサの分解で得られるC5系、C9系留分等を重
合、精製して得られる合成樹脂であり、脂肪族系炭化水
素樹脂、脂環族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂
の他、使用する留分原料を高純度に精製したもの、例え
ばジシクロペンタジエン系樹脂等が挙げられるが、例え
ば食品包装フィルムに使用することを考慮して、安全性
と臭気、色調などの製品品位、さらには密着性能の安定
性といった性能を求めるため、これらの水素添加物であ
る水添石油樹脂を使用する。環球法による軟化点として
は特に制限はないが、成形したフィルムを巻物とした時
に、これを引き出す際に石油樹脂に含まれる低分子量成
分のブリードアウトによるべた付き、フィルム自体の手
触り感、フィルムの使い勝手の観点から90℃以上が好
ましく、柔軟性、密着力の観点から140℃以下が好ま
しい。
【0023】また、テルペン系樹脂は、松の樹皮や柑橘
類の果実皮などから得られるαピネン、βピネン、リモ
ネン、ジペンテンなどを原料とした単独重合体またはこ
れらの共重合体である。様々なタイプの樹脂が存在する
が、やはり、前述と同様の理由から、食品包装フィルム
を想定した場合は水素添加物の使用が好ましい。テルペ
ン樹脂の場合の軟化点も特に制限はないが、フィルムの
べたつきなどの観点から100℃以上が好ましく、これ
を配合する表層部分の柔軟性、密着力の観点から145
℃以下が好ましい。
【0024】液状ポリブテンはブテン−1のみを重合し
て成る結晶性高分子量のポリブテン−1樹脂ではなく、
常温で粘稠な液状ないし無定型の固体状で、透明または
半透明のもので、イソブチレンとブテンの共重合体を液
状ポリブテンと称する。また、液状ポリイソブチレンは
イソブチレンのホモポリマーであって、これは常温では
極めて高粘性を示す無定型な半固体状の透明ないし半透
明のものである。また液状ブチルゴムはポリイソブチレ
ンに2%以内のイソプレンを共重合させたものであっ
て、無色、無味、無臭の液状ないし半固体状のゴムであ
る。
【0025】これらは分子量などは特に制限なく使用可
能であるが、液状ポリブテンについては好ましくは数平
均分子量として300から4000程度、液状ポリイソ
ブチレンや、液状ブチルゴムについては好ましくは、粘
度平均分子量が20000から60000程度のもので
ある。これらは目的とする密着力に応じて適宜選択さ
れ、例えば異なる分子量をもつ液状ポリブテンや液状ポ
リイソブチレン、液状ブチルゴムを2種類以上混合し
て、所望の分子量を調整することも可能であり、また、
要すれば液状ポリブテンと液状ポリイソブチレンや液状
ブチルゴムの混合も行われる。
【0026】さらに、本発明の目的を逸脱しない範囲で
密着力の調整のために液状密着助剤としてミネラルオイ
ル、白色鉱物油、ポリアルキレングリコール、アルキレ
ングリコール、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪
酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリグリ
セリン脂肪酸エステル類、プロピレングリコール脂肪酸
エステル類、高級アルコール脂肪酸エステル類のうちか
ら選ばれる少なくとも1種を添加してもよい。添加量
は、ポリプロピレン系樹脂と柔軟剤からなる組成物を1
00質量部としたとき、これに対して好ましくは0.0
1質量部以上、手触りの感触、安定した密着性能の観点
から30質量部以下が好ましい。また、下限値として
は、より好ましくは0.1質量部以上である。これらの
ものは液状のものであり、これらに液状ポリブテンや液
状ポリイソブチレンを溶解または分散させたりして添加
することも場合によっては可能である。
【0027】液状密着助剤は後述する方法で樹脂中への
添加が行われる他、塗布などによって表面に付着させる
方法などでも使用できる。これらは表層のポリプロピレ
ン系樹脂と柔軟剤と密着剤などの混合樹脂の密着力が低
い場合には、表面に液状物が存在することによって被着
物への液状物の濡れ広がりによるフィルムの自着性を助
長し、被着物へのフィルムの吸い付きの良さを発現させ
る。また、混合樹脂の密着力が強い場合は、表面にある
これらの液状物の存在によって、強い密着物質が被着物
に接触する面積を減じて、適度な密着力に調節すること
が可能なほか、フィルムの引出に要するエネルギーを軽
減し、食品包装用フィルム、特に家庭用ラップフィルム
として適度なフィルム引出性を与える。
【0028】なお、ポリプロピレン系樹脂組成物からな
る表層には本発明の目的を逸脱しない範囲で公知の添加
剤を混合することも可能である。内層に用いる樹脂には
ガスバリア性に優れたものが用いられるが、例えばエチ
レン−ビニルアルコール共重合体樹脂やナイロンMXD
6のような芳香族系の結晶性ナイロン、ナイロン6、ナ
イロン66、ナイロン12などの脂肪族系の結晶性ナイ
ロンの他、非晶性ナイロンなどが例として挙げられる。
【0029】エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂
とは、例えばエチレンと酢酸ビニルを高圧下においてエ
チレン酢酸ビニル共重合体とし、モノマーを除去した
後、苛性ソーダなどのアルカリを用いてケン化処理、乾
燥させた結晶性樹脂である。本発明で用いるエチレン−
ビニルアルコール共重合体樹脂のエチレン含有量は、溶
融粘度、フィルムへの成形加工性の観点から20モル%
以上が好ましく、ガスバリア性の観点から50モル%以
下が好ましい。なお、成形加工性を確保する目的で、公
知の可塑剤などを適量配合することは、本来のガスバリ
ア性やこれに関連する保香性を損なわない範囲で可能で
あり、好ましい配合量はエチレン−ビニルアルコール共
重合体樹脂100質量部に対して、10質量部以下であ
る。
【0030】ナイロンMXD6は、メタキシリレンジア
ミンとアジピン酸から得られる熱可塑性の結晶性樹脂
で、分子鎖構造中に芳香環を有する。またナイロン6は
ε−カプロラクタムの開環重合するかもしくは、ω−ア
ミノカプロン酸の重縮合によって製造される熱可塑性樹
脂であってガスバリア性に優れる。ナイロン66はヘキ
サメチレンジアミンとアジピン酸の重縮合によって製造
される熱可塑性樹脂であり、ナイロン12はブタジエン
を出発物質として、シクロドデカトリエン、シクロドデ
カエンを得、さらにこれらよりω−ラウロラクタムを得
たあと、開環重合によって製造するか、もしくはシクロ
ヘキサノンを原料としパーオキシアミン、シアノウンデ
カン酸を経由してアミノドデカン酸を生成させたのち、
これを重合して製造する熱可塑性樹脂である。非晶性ナ
イロンは分子構造中に芳香環を有する非晶性ナイロン
で、吸水性が小さくガスバリア性に優れた樹脂である。
これらの樹脂に関しては、成形加工性を確保する目的や
例えば食品包装フィルムとして用いる場合の性能を確保
する目的で、公知の添加剤などを適量配合することも可
能であり、ナイロン系樹脂自身のMIや融点などについ
ての制限も特にない。
【0031】なお、多層構成中においては表層と内層の
他に本発明の目的を阻害しない範囲で、例えば、公知の
樹脂組成による接着性樹脂層や製造時のトリム端などか
ら構成されるリワーク層などが配されていてもよく、ま
た、厚みや柔軟性、耐熱性などの諸物性の調整のためポ
リプロピレン系樹脂層などが配されていてもよい。ここ
で、例えば、表層と接着層の間に配されるポリプロピレ
ン系樹脂を主成分とする組成物層には、表層のポリプロ
ピレン系樹脂と同じくポリマー分子鎖中にプロピレンユ
ニットを持つものを用いるのが好ましく、プロピレンユ
ニットの分子鎖中での配置はブロック状もしくはランダ
ム状のどちらでもよく、プロピレンユニットからのみ成
るホモポリマーであってもよい。
【0032】立体規則性としてもアタクチック、アイソ
タクチック、シンジオタクチックなど多様な構造のもの
があるが特に制限はない。共重合体としては、一般的に
はエチレンやブテンなどとのランダムコポリマーや3元
ターポリマーなどが知られている。その他の制限は特に
ないが、好ましくは添加剤として、スリップ剤やアンチ
ブロッキング剤を含まないもので、かつ食品包装用フィ
ルムとして使用する場合を考慮して、安全性の観点か
ら、ポリオレフィン等衛生協議会の自主規制基準に合格
したものが好ましい。また、メルトフローレートにおい
ては、JIS−K6758に準拠の方法において、23
0℃、2.16kgの荷重を掛けた状態で、1〜15g
/10分の範囲にあることが好ましい。このようなポリ
プロピレン系樹脂は市販品のなかから容易に選択するこ
とができる。
【0033】フィルム全体の柔軟性に関連する引張弾性
率は200〜1000MPaであるが、これはASTM
−D−882記載の方法に準拠して引張試験機を用いフ
ィルムの縦方向(MD−引取方向)及び横方向(TD−
引取方向に垂直な方向)の2%歪み時の引張弾性率の平
均値を値とする。この値は、フィルムの柔軟性、ハリ、
コシ感、使い勝手の観点から200MPa以上であり、
柔軟性、密着性、使い勝手の観点から1000MPa以
下である。好ましくは400MPa以上700MPa未
満である。これは選ばれる柔軟剤と密着剤、場合によっ
ては液状助剤やポリプロピレン樹脂の最適な組合わせに
よって達成されるのであるが、例えば非晶性または低結
晶性プロピレン−αオレフィンと液状ポリブテンの所定
量の組合わせや、スチレン−エチレン−ブチレン−スチ
レンと水添石油樹脂とミネラルオイルの所定量の組合わ
せが挙げられる。
【0034】全体の層構成比としては全層厚みを100
としたとき、例えば表層、接着層、内層、接着層、表層
の5層構成においては両表層が50から90、両接着層
は5から30、内層は5から25の割合の範囲内で調整
されるのがより好ましい。また、例えば表層、ポリプロ
ピレン系を主体とする組成物層、接着層、内層、接着
層、ポリプロピレン系を主体とする組成物層、表層の7
層構成においては両表層が5から20、両ポリプロピレ
ン系を主体とする組成物層は40から85、両接着層は
5から20、内層は5から20の割合で調整されるのが
好ましい。両側の表層と、両側の接着層の厚みは異なっ
ていても良いが、フィルムの表裏を区別しないので、同
じ厚みであることがより好ましい。
【0035】フィルム全体の厚みは、包装用フィルムと
しての強度、ハリやコシ、包装する際の使い勝手、ガス
バリア性の観点から3μm以上が好ましく、包装する際
の物品に対する密着性、フィルムの使い勝手、家庭用食
品ラップとした場合の製品の質量、巻径、使用時の取り
扱いの容易さ等の観点から25μm以下が好ましい。特
にガスバリア性とフィルムの使い勝手などが要求される
家庭用食品包装ラップとしては、6μmから15μmが
より好ましい。
【0036】当該フィルムを製造する方法としては、公
知のフィルム成形方法を用いることが可能である。表層
のポリプロピレン系樹脂組成物の調製は、押出機などに
よる溶融混練によって行われる。柔軟剤、密着剤がペレ
ット状、粒状、フレーク状、粉状などの固形の場合は、
市販のポリプロピレン樹脂ペレットとともに、所定量を
ブレンダーなどに投入し、充分均一に混合する。これを
表層用押出機に投入、適当な温度で混練することで均一
な組成物とし、多層ダイなどから接着層や内層と合わせ
て多層フィルムとして押出すこともできるし、公知の方
法でこれらを充分、溶融混練しペレタイザーなどでペレ
ットとしてから、表層用押出機に投入して用いることも
できる。
【0037】液状のものの、樹脂への添加については、
塗布などの方法もあるが、例えば単軸押出機もしくは二
軸押出機などの例えば溶融ゾーンに、加圧送液ポンプな
どで溶融樹脂中に注入し混練することもできる。内層用
の原料の調製は、エチレン−ビニルアルコール樹脂やナ
イロン系樹脂などのペレットをそのまま用いる場合、特
段の工程は不要であるが、前述のように可塑剤などを添
加する場合はブレンダーなどで均一に混合したものを、
内層用押出機に投入する。また、接着層についても同様
の考え方で原料を調製する。
【0038】多層構成フィルムとするためには、例えば
接着層を含む5層構成としては、前述した表層用押出機
と並列に、接着層用、内層用の押出機を配置し、これら
にそれぞれ、所定の樹脂を投入して充分混練、溶融し、
その下流側でこれらの押出機からの樹脂を5層の層状に
合流させ、例えば円環状ダイまたはスリット状の吐出口
部をもつTダイなどを用いてシート状に成形して押出
す。押出した樹脂は冷水槽中の通過や冷却ロールへの接
触などの方法で冷却固化する。このときの押出シート表
面の冷却温度は、表面の平滑性、外観の観点から10℃
以上が好ましく、表層に配合している密着剤の表面への
ブリード性、密着力の観点から50℃以下が好ましい。
【0039】その後、通常の公知の方法にて、テンター
法やインフレーションバブル法などで縦方向及び/また
は横方向に、フィルムとしての強度、食品包装用ラップ
として用いた場合のフィルムのカット性の観点から2倍
以上延伸する。テンター法による場合、縦、横方向の延
伸順序は特に指定はない。また、縦、横方向の倍率は同
一でなくともよい。延伸が終了したフィルムは、端部の
トリミングや所望のサイズへのカット、あるいは紙管な
どへの巻き付けなど、目的とする製品の形態に応じた工
程を経て製品とする。
【0040】得られたフィルムの性能としては、密着
性、透明性、耐熱性、柔軟性、良好な手触り感、ガスバ
リア性、防湿性、カット性、安全性に優れ、当該フィル
ムを焼却した場合には環境及び人体に有害な塩素系ガス
を主体とする有害ガスの発生が少ないことなどが挙げら
れる。当該フィルムは例えば、家庭用の食品包装用ラッ
プフィルムとして好適に使用されるものである。次に、
本発明の実施形態について例示する。何れも本発明の一
形態であり、これらの実施例に何ら限定されるものでは
ない。
【0041】なお、本発明によって得られるフィルムの
性能評価方法としては以下の通りである。密着性の評価
はJIS−Z−0237に記載の方法に準拠し、幅20
mmのフィルムを質量2kg、幅45mmの荷重ロール
を用いてガラス板に貼付たものについて、90度剥離試
験を行った場合の剥離強度値が1.5cN以上を◎、
0.7cN以上1.5cN未満を○、0.3cN以上
0.7cN未満を△、0.3cN未満を×とした。透明
性はASTM−D−103記載の方法に準拠してNDH
−300A(日本電色製)を用いて得られたフィルムの
曇り度を測定し、その測定値が1.0未満を◎、1.0
以上2.0未満を○、2.0以上3.0未満を△、3.
0以上を×とした。
【0042】耐熱性は東京都消費生活条例第11条に基
づき、耐熱温度が140℃以上のフィルムを◎、130
℃から135℃のものを○、125℃以下のものについ
ては×とした。柔軟性はASTM−D−882記載の方
法に準拠してテンシロンを用いフィルムの縦方向(M
D)及び横方向(TD)の2%歪み時の引張弾性率を測
定し、縦横双方の平均値が400MPa以上700MP
a未満のものを◎、200MPa以上400MPa未満
及び700MPa以上1000MPa未満のものを○、
100MPa以上200MPa未満のものを△、100
MPaに満たないかもしくは1000MPa以上のもの
を×とした。
【0043】手触り性は、無作為に選出した所定人数の
主婦50人に手触りの良さを良い、悪いで官能評価して
貰い、良いとした人数が45人以上を◎、40人以上を
○、30人以上を△、これ以外を×とした。ガスバリア
性は酸素ガスに対するバリア性をASTM−D−398
5に準拠した方法でMOCON社製OX−TRAN20
0Hを用いて測定し、大気圧下、温度23℃、湿度65
%の条件での値が、200cm3/m2・24hrs・a
tm・11μm未満の値を◎、200cm3/m2・24
hrs・atm・11μm以上500cm3/m2・24
hrs・atm・11μm未満を○、500cm3/m2
・24hrs・atm・11μm以上を×とした。
【0044】フィルムのカット性は得られたフィルムを
紙管に300mm幅、巻長10mで巻き付け、食品包装
用ラップ様の巻き姿に仕上げ、次いでこれをサランラッ
プ用化粧箱に収納しその付属の鋸刃にて切断した。その
時の切断の状態から、軽い力できれいに切断可能であっ
たものを◎、多少の力が必要なもののきれいに切断可能
であるものを○、切断可能であるが切断しにくいものを
△、うまく切断できずフィルムが伸びたり、斜めに破れ
たり、力が掛かりすぎて化粧箱がつぶれたりするものを
×とした。
【0045】以上を表1にまとめて示した。何れの評価
項目においても◎が最も優れており、○以上の場合を実
用上可能な程度とし、△及び×については実用上問題が
あると判定した。
【0046】
【実施例1】 ポリプロピレン樹脂(住友化学製、ノー
ブレンW531D、プロピレン−エチレン−ブテンのラ
ンダムターポリマー)と柔軟剤として、スチレン−エチ
レン−ブチレン−スチレンブロック共重合体樹脂(旭化
成工業製、タフテックL515)を質量比で80:20
の割合とし、これを100質量部としたときに密着剤と
して水添ジシクロペンタジエン系石油樹脂(丸善石油化
学製、マルカレッツH925C)を5質量部の割合とし
たものをブレンダーに投入し、5分間常温でよく混合し
た。
【0047】この混合ペレットを3種5層多層押出機装
置のうちの表層用押出機に投入した。また、接着層用押
出機には酸変性ポリプロピレン系接着性樹脂(三井化学
製、アドマーQF570)を、内層用押出機にはエチレ
ン−ビニルアルコール共重合体樹脂(クラレ製、エバー
ルEP−S124B)を投入し、これをそれぞれの押出
機で充分溶融混練し、多層円環状ダイで温度220℃に
て積層し3種5層のフィルムとして押出した。
【0048】得られたフィルムをインフレーションバブ
ル式延伸装置にて延伸温度120℃で縦に5倍、横に4
倍延伸した。その後、フィルムの端部をトリミングしほ
ぼ均質な、厚み11μmで各層の厚みは表層、接着層、
内層、接着層、表層の順に全層厚みを100として3
5、10、10、10、35のフィルムを得た。このフ
ィルムの物性を測定したところ、表2に示すように良好
な性能を示すものであった。
【0049】
【実施例2】 実施例1の表層の樹脂組成について、実
施例1と同じポリプロピレン樹脂及び、実施例1と同じ
スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重
合体樹脂を質量比で95:5の割合とし、これを100
質量部としたときに実施例1の密着剤の他に、さらに液
状密着助剤としてミネラルオイル(松村石油製、スモイ
ルP70)を10質量部追加した。その他は実施例1と
同様の方法で厚み11μmのフィルムを得た。このフィ
ルムの物性を測定したところ表2に示すように良好な性
能を示すものであった。
【0050】
【実施例3】 実施例1の表層の樹脂組成に、さらに液
状密着助剤としてミネラルオイル(松村石油製、スモイ
ルP70)を、ポリプロピレン系樹脂と柔軟剤を合わせ
て100質量部としたときに、これに対して5質量部追
加した。その他は実施例1と同様な方法で厚み11μm
のフィルムを得た。このフィルムの物性を測定したとこ
ろ表2に示すように良好な性能を示すものであった。
【0051】
【実施例4】 実施例2の表層の樹脂組成で液状密着助
剤を脂肪酸トリグリセライド(理研ビタミン製、アクタ
ーLO1)10質量部に変更する他は実施例2と同様な
方法で厚み11μmのフィルムを得た。このフィルムの
物性を測定したところ表2に示すように良好な性能を示
すものであった。
【0052】
【実施例5】 実施例3のポリプロピレン樹脂をホモポ
リプロピレン(住友化学製、ノーブレンFS2011
D)とし柔軟剤との質量混合比を70:30に変更した
他は実施例3と同様な方法で厚み11μmのフィルムを
得た。このフィルムの物性を測定したところ表2に示す
ように良好な性能を示すものであった。
【0053】
【実施例6】 実施例3の密着剤を水添テルペン樹脂
(ヤスハラケミカル製、クリアロンP125)15質量
部に変更する他は実施例3と同様な方法で厚み11μm
のフィルムを得た。このフィルムの物性を測定したとこ
ろ表2に示すように良好な性能を示すものであった。
【0054】
【実施例7】 実施例3の柔軟剤を低結晶性プロピレン
−αオレフィン共重合体樹脂(三井化学製、タフマーX
R110T)に、密着剤を水添ポリブテン(日本油脂
製、ニッサンポリブテン10SH)10質量部に変更す
る他は実施例3と同様な方法で厚み11μmのフィルム
を得た。このフィルムの物性を測定したところ表2に示
すように良好な性能を示すものであった。
【0055】
【実施例8】 実施例2で得られるフィルムの厚みを2
0μmとする他は、実施例2と同様な方法でフィルムを
得たところ、表2に示すように良好な性能を示すもので
あった。
【0056】
【比較例1】 実施例1で表層の密着剤として用いたマ
ルカレッツH925Cを使用しない組成で表層を構成し
たところ、表2に示すような性能しか得られなかった。
【0057】
【比較例2】 実施例1で表層の柔軟剤として用いたタ
フテックL515を使用しない組成で表層を構成したと
ころ、表2に示すような性能しか得られなかった。
【0058】
【比較例3】 実施例1で内層樹脂として用いたエチレ
ン−ビニルアルコール共重合体樹脂エバールEP−S1
24Bを使用せず、表層と接着層のみでフィルムを構成
したところ、表2に示す性能しか得られなかった。
【0059】
【比較例4】 実施例3で表層の密着剤として用いたマ
ルカレッツH925Cを使用しない組成で表層を構成し
たところ、表2に示す性能しか得られなかった。
【0060】
【比較例5】 実施例3で表層の密着剤として用いたマ
ルカレッツH925Cの量を50質量部として表層を構
成したところ、巻き取ったフィルムが保存中にブロッキ
ングを起こした。フィルム製膜時に巻き取らずに保存し
ておいたフィルムを使用して、性能を評価したが表2に
示すような性能しか得られなかった。前記のような理由
で紙管巻きの状態にしてもフィルムを引き出すことがで
きないので、カット性の評価は出来なかった。
【0061】
【比較例6】 実施例3で表層の柔軟剤として用いたタ
フテックL515の量を90wt%としたところ、表層
樹脂の押出が安定せず外観の良好なフィルムの製膜がで
きなかった。
【0062】
【比較例7】 実施例3で表層の液状助剤として用いた
スモイルP70の添加量を45質量部とする他は実施例
3と同様な方法でフィルムを得ようとしたところ、表層
樹脂の溶融張力が低すぎて安定な押出ができず評価しう
るフィルムが採取できなかった。
【0063】
【比較例8】 実施例7で表層の柔軟剤として用いたプ
ロピレン−αオレフィン共重合体樹脂に代えて、エチレ
ン−αオレフィン共重合体樹脂(三井化学製、タフマー
P0680)を用いる他は、実施例7と同様な方法でフ
ィルムを得たところ、表2に示すような性能しか得られ
なかった。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】(注)実=実施例、比=比較例 W531D=ノーブレンW531D、FS2011D=
ノーブレンFS2011D、L515=タフテックL5
15、XR110T=タフマーXR110T、P068
0=タフマーP0680、H925C=マルカレッツH
925C、P125=クリアロンP125、10SH=
ニッサンポリブテン10SH、QF570=アドマーQ
F570、EP−S124B=エバールEP−S124
B、P70=スモイルP70、LO1=アクターLO1
【0067】
【発明の効果】本発明によるフィルムにより、以上の説
明のように密着性、透明性、耐熱性、柔軟性、ガスバリ
ア性、手触り性、カット性に優れたポリプロピレン系多
層フィルムを提供することができる。該フィルムは、包
装用フィルムに好適に使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 53/02 C08L 53/02 Fターム(参考) 3E086 AB01 AD13 BA04 BA15 BB01 BB41 BB57 BB90 CA01 4F100 AH02 AK01B AK02A AK02H AK04H AK07A AK07H AK08A AK08G AK08H AK12H AK54H AK66A AK66G AK69B AK73H AL01H AN02A AN02H AR00B BA02 BA05 CA04A CA16 CA16A CA30 CA30A CB00 CB00A GB16 GB23 JA12A JD02B JK06 JK07 JN01 YY00 4J002 AB054 AE054 BA013 BB11X BB12W BB17X BB173 BB183 BK003 BP01X CE003 CH024 CH054 EH036 EH046 EL066 GG02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリプロピレン系樹脂組成物からなる表
    層と、ガスバリア樹脂からなる内層とを少なくとも含
    み、縦方向及び又は横方向に2倍以上延伸した、引張弾
    性率が200〜1000MPaである多層フィルムであ
    って、表層のポリプロピレン系樹脂組成物がポリプロピ
    レン系樹脂99〜20wt%、柔軟剤1〜80wt%と
    密着剤とからなり、ポリプロピレン系樹脂と柔軟剤の合
    計を100質量部としたとき、密着剤の添加量は2〜3
    0質量部であり、該柔軟剤が非晶性又は低結晶性プロピ
    レン−αオレフィン共重合体、結晶性ポリブテン−1か
    ら選ばれる少なくとも1種であり、該密着剤が水添石油
    樹脂、水添テルペン系樹脂、液状ポリブテン、液状ポリ
    イソブチレン、液状ブチルゴムから選ばれる少なくとも
    1種であることを特徴とするポリプロピレン系多層フィ
    ルム。
  2. 【請求項2】 ポリプロピレン系樹脂組成物からなる表
    層と、ガスバリア樹脂からなる内層とを少なくとも含
    み、縦方向及び又は横方向に2倍以上延伸した、引張弾
    性率が200〜1000MPaである多層フィルムであ
    って、表層のポリプロピレン系樹脂組成物がポリプロピ
    レン系樹脂99〜20wt%、柔軟剤1〜80wt%と
    密着剤とからなり、ポリプロピレン系樹脂と柔軟剤の合
    計を100質量部としたとき、密着剤の添加量は2〜3
    0質量部であり、該柔軟剤がスチレン−エチレン−ブチ
    レン−スチレンまたは、スチレン−ブタジエン−ブチレ
    ン−スチレンまたは、スチレン−エチレン−プロピレン
    −スチレンまたは、スチレン−ブタジエン−スチレンま
    たは、スチレン−イソプレン−スチレンの何れかのブロ
    ック構造を分子鎖中に含む共重合体から選ばれる少なく
    とも1種であり、該密着剤が水添石油樹脂、水添テルペ
    ン系樹脂、液状ポリイソブチレン、液状ブチルゴムから
    選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするポリプ
    ロピレン系多層フィルム。
  3. 【請求項3】 表層のポリプロプレン系樹脂組成物が、
    さらに液状密着助剤を、ポリプロピレン系樹脂と柔軟剤
    を100質量部としたとき、0.01〜30質量部含
    み、該液状密着助剤がミネラルオイル、白色鉱物油、ポ
    リアルキレングリコール、アルキレングリコール、ショ
    糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル類、ソル
    ビタン脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステ
    ル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、高級ア
    ルコール脂肪酸エステル類から選ばれる少なくとも1種
    であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポ
    リプロピレン系多層フィルム。
  4. 【請求項4】 内層のガスバリア樹脂がエチレン−ビニ
    ルアルコール共重合体樹脂であることを特徴とする請求
    項1〜3の何れかに記載のポリプロピレン系多層フィル
    ム。
  5. 【請求項5】 フィルム全体の厚みが3〜25μmであ
    る請求項1〜4の何れかに記載のポリプロピレン系多層
    フィルムからなる包装用フィルム。
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