JP3764013B2 - ポリオレフィン系ストレッチ包装用積層フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は食品等のストレッチ包装用フィルムに係り、特に、外観、伸び特性に優れ、かつ変形回復性や底シール性などの包装適性のバランスに優れたストレッチ包装用積層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、青果物、鮮魚、鮮肉、惣菜等の食品を直接、又はプラスチックトレー上に載置して、これらをフィルムでストレッチ包装する、いわゆるプリパッケージ用のフィルムとして、環境問題等から従来のポリ塩化ビニルフィルムに代えて、線状低密度ポリエチレンフィルム(特開昭64−14018号公報)、または線状低密度ポリエチレンを中間層とし、この表裏面にエチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムが積層された三層構造の積層フィルム(特公平2−18953号公報、特開平3−258542号公報)等のエチレン系樹脂を基材とするストレッチ包装用フィルムが実用化されている。
【0003】
これらのエチレン系樹脂ストレッチ包装用フィルムは、包装物の輸送、店頭陳列時のフィルム面にかかる変形に対してシワを残すことなく回復する特性である変形復元性や底シール性において問題があり、市場の要求を充分に満足できるものはなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、食品等のストレッチ包装用フィルムにおける上述の問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、適度な滑り性、自己粘着性、防曇性を有することは勿論のこと、外観、伸び特性に優れ、かつ変形復元性や底シール性などの包装適性のバランスに優れたストレッチ包装用積層フィルムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討の結果、汎用の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体に特定の軟質ポリプロピレン系樹脂および石油樹脂類を混合した基材層を有する積層フィルムにより上記課題を解決できることを見出し本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明の要旨は、下記(A)成分が60〜40重量%、(B)成分が25〜45重量%および(C)成分5〜25重量%からなる樹脂組成物を主成分とする基材層の少なくとも片面に、メルトフローレート(MFR)(JIS K7210、190℃、2.16kg荷重)が0.2〜5g/10分であり、酢酸ビニル含量が5〜25重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体または炭素数4〜8のα−オレフィン含量が5〜25重量%の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体を主成分とする表面層が積層されてなることを特徴とするポリオレフィン系ストレッチ包装用積層フィルムに存する。
【0007】
(A)示差走査熱量計により測定される結晶融解ピーク温度が100℃以上の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体
(B)下記(1)〜(3)の条件を満足し、分子鎖中に結晶性のブロックと非晶性のブロック部分が混在している立体規則性を制御された軟質ポリプロピレン系樹脂
(1)13C−NMRスペクトルから求められるメソペンタッド分率(mmmm)が0.20〜0.50
(2)示差走査熱量計を用いて加熱速度10℃/分で結晶融解後、200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、冷却速度10℃/分で室温まで降温した時に測定される結晶化熱量が5〜30J/g
(3)メルトフローレート(MFR)(JIS K7210、230℃、2.16kg荷重)が0.4〜40g/10分
(C)石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂、またはそれらの水素添加誘導体
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明のストレッチ包装用フィルムは、基材層と表面層の少なくとも2種類の層を含む積層フィルムである。基材層は以下に説明する(A)成分、(B)成分および(C)成分よりなる樹脂組成物を主成分とする層である。
(A)成分は、示差走査熱量計により測定される結晶融解ピーク温度が100℃以上、好ましくは110℃以上の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体である。ここで結晶融解ピーク温度が100℃未満では、得られるフィルムのヒートシール時の耐熱性が低くなりすぎ、フィルムに穴開きが生じる場合があり好ましくない。またα−オレフィンとしては、特に制限されるものではないが炭素数4〜8のブテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、オクテン−1が好ましく、これらは一種のみを単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。このような結晶融解ピーク温度が100℃以上の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体の具体例としてはオクテン−1含有量12重量%以下の直鎖状エチレン−オクテン共重合体等があり、メルトフローレート(MFR)(JIS K7210、190℃、2.16kg荷重)が0.2〜5g/10分のものが好適に用いられる。
【0009】
本発明に適用する直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法は、エチレンとαーオレフィンをイオン重合して得られ、触媒としては遷移金属化合物を用いる、いわゆるチーグラーナッタ型触媒、または、有機金属錯体を用いる、いわゆるメタロセン触媒等が挙げられる。また、製造プロセスとしては、一般のポリオレフィン製造に用いられる高圧法、気相法、溶液法、スラリー法等が挙げられる。
【0010】
(B)成分は、後述する条件(1)〜(3)を満足し、分子鎖中に結晶性のブロックと非晶性のブロック部分が混在している立体規則性を制御された軟質ポリプロピレン系樹脂である。
上記の分子鎖中に結晶性のブロックと非晶性のブロック部分が混在している軟質ポリプロピレン系樹脂は、一般にゴム弾性を有し柔軟で破れにくく、透明性も良好であるという特性を有しており、また剛直性を示すイソタクチック構造とシンジオタクチック構造の結晶性のブロック部分と、エラストマー性を示すアタクチック構造の非晶性のブロック部分との割合をバランスさせることにより、本発明の目的を達成するのに適している。
【0011】
ここで、分子鎖中に結晶性のブロックと非晶性のブロック部分が混在しているとは、結晶性のブロックと非晶性のブロック部分がランダム的及び/またはブロック的に存在していることを意味しており、また各ブロック部分の連鎖長は任意でかまわないが、本発明においてはその分布がランダム的である方が、透明性、外観等の点から好ましい。
具体的には条件(1)として13C−NMRスペクトルから求められるメソペンタッド分率(mmmm)が0.20〜0.50であるものを用いる。ここでmmmmが0.20未満では、結晶性が低すぎて原料ペレットがブロッキングしやすくハンドリング性の面で実用上問題がある。一方、0.50を越えるものでは、結晶性を低下させる効果が充分でなく好ましくない。
【0012】
なおmmmmの値は、13C−NMR(核磁気共鳴)スペクトルの測定結果に基づき算出する。すなわち、13C−NMRスペクトルを測定し、メチル基の立体規則性によるケミカルシフトの違いにより、22.5ppm〜19.5ppm領域に現れる各分裂ピーク(mmmm〜mrrm)のシグナル強度比から求めた。ここで上記mmmm(メソペンタッド分率)とは、任意の連続する5つのプロピレン単位で構成される炭素−炭素結合による主鎖に対して、側鎖である5つのメチル基がいずれも同方向に位置する立体構造あるいはその割合を意味し、またrrrr(ラセモペンタッド分率)とは、任意の連続する5つのプロピレン単位で構成される炭素−炭素結合による主鎖に対して、側鎖である5つのメチル基が交互に反対方向に位置する立体構造あるいはその割合を意味する。なお、メチル基領域のシグナルの帰属は、A.Zambelli et al( Macromolecules 8, 687, (1975))によった。
【0013】
上記の条件(2)として示差走査熱量計を用いて加熱速度10℃/分で結晶融解後、200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、冷却速度10℃/分で室温まで降温した時に測定される結晶化熱量が5〜30J/gの範囲にあるものを用いる。結晶化熱量が5J/g未満では結晶性が低すぎて原料ペレットがブロッキングしやすくハンドリング性の面で実用上問題がある。一方、30J/gを越えるものでは、(A)成分である直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体と混合した際に少ない添加量で結晶性を低下させる効果が不充分であり好ましくない。このことから好適な結晶化熱量の範囲は5〜25J/gである。
【0014】
さらに条件(3)としてメルトフローレート(MFR)(JIS K7210、230℃、2.16kg荷重)が0.4〜40g/10分、好適には0.5〜10g/10分の範囲にあるものを用いる。メルトフローレートが0.4g/10分未満では、ポリマー自身の粘度が高すぎて押出成形が困難になり、40g/10分を越えるとポリマー自身の粘度が低すぎて製膜安定性がなくなったり、フィルム自体の強度が不足して実用上問題がある。
【0015】
また、本発明に適用する分子鎖中に結晶性のブロックと非晶性のブロック部分が混在している立体規則性を制御された軟質ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンとエチレン及び/または炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体が好適に使用される。
ここで、エチレン及び/または炭素数4以上のα−オレフィンの含有量は25重量%以下が好ましく、また低温特性と重合生産性の点から2〜15重量%が好ましく、さらには2〜10重量%の範囲のものが特に好ましい。さらにヒートシール時の耐熱性を考慮すれば結晶融解ピーク温度が100℃以上、好適には110℃以上のものが好ましい。また炭素数4以上のα−オレフィンとしては、特に制限されるものではないが炭素数4〜8のブテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、オクテン−1を好適に用いることができ、これらは一種のみを単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
なお(B)成分は、本発明の目的に適合するものであれば2種類以上を混合して用いることもできる。またこのような軟質ポリプロピレン系樹脂の製造方法としては、安価なプロピレンモノマーを主成分とし、各種のメタロセン系触媒(シングルサイト触媒)や固体状チタン系触媒等を用い、成形加工性の良好な立体規則性を制御した軟質ポリプロピレン系樹脂を効率的、かつ低コストで重合する方法が提案されており、使用する樹脂としては本発明の主旨を満足するものであれば特に限定されないが、具体的商品としては、Huntsman Polymer Corporationの商品名「REXflex」が例示できる。
【0017】
(C)成分は、石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂、またはそれらの水素添加誘導体である。
具体的には、石油樹脂としては、シクロペンタジエンまたはその二量体からの脂環式石油樹脂やC9 成分からの芳香族石油樹脂があり、テルペン樹脂としてはβ−ピネンからのテルペン樹脂やテルペン−フェノール樹脂が、また、ロジン系樹脂としては、ガムロジン、ウッドロジン等のロジン樹脂、グリセリンやペンタエリスリトール等で変性したエステル化ロジン樹脂等が例示できる。また(C)成分は主に分子量により種々のガラス転移温度を有するものが得られるが、前記(A)、(B)成分と混合した場合の相溶性、経時的なブリード性、色調や熱安定性などの点からガラス転移温度が50〜100℃、好ましくは70〜90℃の水素添加誘導体が特に好ましい。
【0018】
次に基材層は、上記(A)成分である直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体が60〜40重量%、(B)成分である立体規則性を制御された軟質ポリプロピレン系樹脂が25〜45重量%および(C)成分である石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂、またはそれらの水素添加誘導体が5〜25重量%からなる樹脂組成物を主成分とする層である。
ここで(A)成分の含有量が40重量%未満、かつ(B)成分の含有量が45重量%を越えると、基材層の結晶性が低下しすぎることによりフィルムの剛性(腰)が低下しハンドリング性やフィルムのカット性に問題が生じやすい。一方、(A)成分の含有量が60重量%を越え、かつ(B)成分の含有量が25重量%未満では、変形復元性や底シール性の改善効果が不充分となり好ましくない。さらに(C)成分の含有量が5重量%未満では、フィルムの自己粘着性が劣ったり、底シール性が不充分となるため好ましくない。一方25重量%を越えると経時的にフィルムの強度が変化したり、石油樹脂類が表面にブリードし、巻き物とした場合にはフィルム同士がブロッキングしてしまう等の問題が生じやすい。
【0019】
本発明フィルムにおいては基材層の少なくとも片面、好適には両面にエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)または直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体を表面層として積層する。
このEVAとしては、酢酸ビニル含量が5〜25重量%、好ましくは10〜20重量%、メルトフローレート(MFR)(JIS K7210、190℃、2.16kg荷重)が0.2〜5g/10分のものが好適である。ここで酢酸ビニル含量が5重量%未満では、得られるフィルムが硬く、柔軟性や弾性回復性が低下し、また表面粘着性も発現しにくいので好ましくない。一方、25重量%を越えると表面粘着性が強過ぎて巻き出し性や外観が低下し易い。
【0020】
また、直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体としては、α−オレフィン含量が5〜25重量%、好ましくは10〜15重量%、MFR(JISK7210、190℃、2.16kg荷重)が0.2〜5g/10分のものが好適である。ここでα−オレフィン含有量が5重量%未満では、得られるフィルムが硬く、ストレッチ包装時に均一伸展性が得られにくいので、包装物にシワが発生したり、包装物を潰したりしやすいので好ましくない。一方、25重量%を越えると、フィルム成形が困難になったり、巻き出し性が低下する為好ましくない。またα−オレフィンとしては、炭素数4〜8のブテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、オクテン−1が好ましく、これらは一種のみを単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】
また、EVA、直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体ともにMFRが0.2g/10分未満では、押出加工性が低下し、一方5g/10分を越えると製膜安定性が低下し、厚み斑や力学強度の低下やバラツキ等が生じやすくなるため好ましくない。
なお、一般に本発明フィルムの全体の厚さは、通常のストレッチ包装用として用いられる範囲、すなわち8〜30μm程度、代表的には10〜20μm程度の範囲にある。また基材層の厚みは全体の厚みに対する比が0.3〜0.9、好ましくは0.4〜0.8であり、具体的には5〜20μmであるのがストレッチフィルムとしての諸特性および経済性の面から好ましい。
【0022】
本発明フィルムは、押出機から材料を溶融押出し、インフレーション成形またはTダイ成形によりフィルム状に成形することにより得られる。積層フィルムとする場合には多層ダイにより共押出するのが有利である。実用的には、環状ダイから材料樹脂を溶融押出してインフレーション成形するのが好ましく、その際のブローアップ比(バブル径/ダイ径)は4以上が好ましく、特に5〜7の範囲が好適である。その際の冷却方法としては、チューブの外面から冷却する方法、チューブの外、内面の両面から冷却する方法のどちらでも良い。さらに、ここで得られたフィルムを樹脂の結晶化温度以下に加熱し、ニップロール間の速度差を利用してフィルムの縦方向に1.2〜5倍延伸する、又はフィルムの縦横両方向に1.2〜5倍に二軸延伸してもよい。
【0023】
本発明フィルムには、防曇性、帯電防止性、滑り性、自己粘着性等の性能を付与するために次のような各種添加剤を表面層及び/または基材層に適宜配合することができる。
例えば、炭素数が1〜12、好ましくは1〜6の脂肪族アルコールと、炭素数が10〜22、好ましくは12〜18の脂肪酸との化合物である脂肪族アルコール系脂肪酸エステル、具体的には、モノグリセリンオレート、ポリグリセリンオレート、グリセリントリリシノレート、グリセリンアセチルリシノレート、ポリグリセリンステアレート、ポリグリセリンラウレート、メチルアセチルリシノレート、エチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、プロピレングリコールオレート、プロピレングリコールラウレート、ペンタエリスリトールオレート、ポリエチレングリコールオレート、ポリプロピレングリコールオレート、ソルビタンオレート、ソルビタンラウレート、ポリエチレングリコールソルビタンオレート、ポリエチレングリコールソルビタンラウレート等、ならびに、ポリアルキレンエーテルポリオール、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等、更に、パラフィン系オイル等から選ばれた化合物の少なくとも1種を、各層を構成する樹脂成分100重量部に対して、0.1〜12重量部、好適には1〜8重量部配合させるのが好ましい。
【0024】
【実施例】
以下に実施例でさらに詳しく説明するが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。なお、本明細書中に表示されるフィルムについての種々の測定値および評価は次のようにして行った。
【0025】
1)メソペンタッド分率(mmmm)
日本電子(株)製のJNM−GSX−270(13C−核磁気共鳴周波数67.8MHz)を用い、次の条件で13C−NMRスペクトルを測定し算出した。
測定モード: 1H−完全デカップリング
パルス幅:8.6マイクロ秒
パルス繰り返し時間:30秒
積算回数:7200回
溶媒:オルトジクロロベンゼン/重ベンゼンの混合溶媒(80/20容量%)
試料濃度:100mg/1ミリリットル溶媒
測定温度:130℃
ここでメチル基領域のシグナルの帰属は、A.Zambelli et al(Macromolecules 8, 687, (1975))によった。
【0026】
2)ガラス転移温度(Tg)、結晶融解ピーク温度(Tm)
パーキンエルマー社製DSC−7を用いて、試料10mgをJISK7121に準じて、加熱速度10℃/分で昇温したときのサーモグラムから求めた。
【0027】
3)結晶化温度(Tc)、結晶化熱量(ΔHc)
パーキンエルマー社製DSC−7を用いて、試料10mgをJISK7121、JISK7122に準じて、加熱速度10℃/分で結晶融解後、200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、冷却速度10℃/分で室温まで降温したときのサーモグラムから求めた。
【0028】
4)ストレッチ包装適性
幅350mmのストレッチフィルムを用い、自動包装機(石田衡器(株)製ISHIDA・WminMK−II)により発泡ポリスチレントレー(長さ200mm、幅130mm、高さ30mm)を包装し、表2に示す項目について評価した。また同じフィルムおよびトレーを用いて、手包装機(三菱樹脂(株)製ダイアラッパーA−105)により包装試験を行った。
【0029】
5)経時変化
得られたフィルムの巻き物を温度50℃、湿度60%の条件の恒温室に10日間保管し、その後の表面状態と巻き返し性を評価した。
◎…表面への添加物のブリードやフィルム同士のブロッキングが全くない。
○…表面への添加物のブリードはほとんどないがフィルム同士のブロッキングが少しある。
△…表面への添加物のブリードが少しあり、フィルム同士のブロッキングにより剥離もやや重い。
×…表面への添加物のブリードが多く、フィルム同士のブロッキングもひどく実用上使用不可。
【0030】
(実施例1)
【0031】
以上3成分からなる混合樹脂組成物を基材層として厚さ10μm、その両面にEVA(酢酸ビニル含量15重量%、190℃、2.16kg荷重におけるMFR=2.0g/10分)100重量部に防曇剤としてジグリセリンモノオレート3.0重量部を溶融混練した組成物の表面層を各々2μmとなるように、環状三層ダイ温度190℃、ブローアップ比6.0で共押出インフレーション成形して、総厚み14μm(2μm/10μm/2μm)のフィルムを得た。
【0032】
(実施例2)
実施例1において表裏層用の樹脂として使用したEVAに代えて直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(III)(α−オレフィン:オクテン−1含量12重量%、190℃、2.16kg荷重におけるMFR=1.0g/10分、Tm=102℃、ダウ・ケミカル社製、「AFFINITY PL1880」)を用いた以外は、実施例1と同様にして総厚み14μm(2μm/10μm/2μm)のフィルムを得た。
【0033】
(実施例3)
実施例1の(B)成分として使用した立体規則性を制御された軟質ポリプロピレン系樹脂(II)に代えて立体規則性を制御された軟質ポリプロピレン系樹脂(IV)(プロピレン含量:97.8重量%、エチレン含量:2.2重量%、mmmm:0.422、MFR:6.0g/10分、Tm:148.2℃、Tg:−7.2℃、Tc:89.4℃、ΔHc:19.8J/g、Huntsman Polymer Corporation製、「REXflexWL210」)を用いた以外は実施例1と同様にして総厚み14μm(2μm/10μm/2μm)のフィルムを得た。
【0034】
(実施例4)
実施例1で使用した3種の樹脂の混合比率を
(A)成分 40重量%
(B)成分 40重量%
(C)成分 20重量%
に変更した以外は実施例1と同様にして総厚み14μm(2μm/10μm/2μm)のフィルムを得た。
【0035】
(比較例1)
実施例1の(A)成分として使用した直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(I)に代えて直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(V)(α−オレフィン:オクテン−1含量15重量%、Tm:94.3℃、MFR:1.6g/10分)を用いた以外は実施例1と同様にして総厚み14μm(2μm/10μm/2μm)のフィルムを得た。
【0036】
(比較例2)
実施例1で使用した3種の樹脂の混合比率を
(A)成分 30重量%
(B)成分 50重量%
(C)成分 20重量%
に変更した以外は実施例1と同様にして総厚み14μm(2μm/10μm/2μm)のフィルムを得た。
【0037】
(比較例3)
実施例1で使用した3種の樹脂の混合比率を下記の2種
(A)成分 50重量%
(B)成分 50重量%
に変更した以外は実施例1と同様にして総厚み14μm(2μm/10μm/2μm)のフィルムを得た。
(比較例4)
実施例1で使用した3種の樹脂の混合比率を(A)成分100重量%に変更した以外は実施例1と同様にして総厚み14μm(2μm/10μm/2μm)のフィルムを得た。
上記実施例1乃至3及び比較例1乃至4について、ストレッチ包装適性等の評価を表1に示した。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
表1乃至2より、本発明で規定する3成分を有し、その配合部数が本発明で規定する範囲内にある基材層を有する実施例1乃至4の積層フィルムは、いずれもストレッチフィルムとしての諸特性のバランスに優れていることが分かる。これに対して、成分が異なるか、配合部数が本発明で規定する範囲外の基材層を有する比較例1乃至4の積層フィルムは、ストレッチフィルムとしての総合的な特性に劣ることが分かる。
【0041】
【発明の効果】
本発明ストレッチフィルムによれば、従来のエチレン系樹脂ストレッチ包装用フィルムよりも変形回復性や底シール性などの包装適性のバランスが良好であり、また自動包装機でのフィルムのカット・搬送やラッピングを問題なく行うことができる。
Claims (4)
- 下記(A)成分が60〜40重量%、(B)成分が25〜45重量%および(C)成分5〜25重量%からなる樹脂組成物を主成分とする基材層の少なくとも片面に、メルトフローレート(MFR)(JIS K7210、190℃、2.16kg荷重)が0.2〜5g/10分であり、酢酸ビニル含量が5〜25重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体または炭素数4〜8のα−オレフィン含量が5〜25重量%の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体を主成分とする表面層が積層されてなることを特徴とするポリオレフィン系ストレッチ包装用積層フィルム。
(A)示差走査熱量計により測定される結晶融解ピーク温度が100℃以上の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体
(B)下記(1)〜(3)の条件を満足し、分子鎖中に結晶性のブロックと非晶性のブロック部分が混在している立体規則性を制御された軟質ポリプロピレン系樹脂
(1)13C−NMRスペクトルから求められるメソペンタッド分率(mmmm)が0.20〜0.50
(2)示差走査熱量計を用いて加熱速度10℃/分で結晶融解後、200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、冷却速度10℃/分で室温まで降温した時に測定される結晶化熱量が5〜30J/g
(3)メルトフローレート(MFR)(JIS K7210、230℃、2.16kg荷重)が0.4〜40g/10分
(C)石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂、またはそれらの水素添加誘導体 - (A)成分である直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体が炭素数4〜8のブテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、オクテン−1から選択される少なくとも1種のα−オレフィンとの共重合体であることを特徴とする請求項1記載のポリオレフィン系ストレッチ包装用積層フィルム。
- (B)成分である立体規則性を制御された軟質ポリプロピレン系樹脂がプロピレン98〜85重量%とエチレン及び/または炭素数4以上のα−オレフィン2〜15重量%との共重合体であって、示差走査熱量計により測定される結晶融解ピーク温度が100℃以上であることを特徴とする請求項1又は2記載のポリオレフィン系ストレッチ包装用積層フィルム。
- (C)成分である石油樹脂類が水素添加誘導体であり、かつそのガラス転移温度が50〜100℃であることを特徴とする請求項1及至3のいずれか1項記載のポリオレフィン系ストレッチ包装用積層フィルム。
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