JP6537178B2 - 導電性延伸フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、π共役系導電性高分子を含有する導電性高分子分散液、常温延伸用導電性フィルムの製造方法、及び導電性延伸フィルムの製造方法に関する。
フィルム基材に導電層が形成された導電性フィルムは、半導体チップの製造、半導体ウエハの包装、電子部品の包装、食品の包装等に広く使用されている。
導電性フィルムにおいては、常温で延伸させる用途もある。例えば半導体ウエハのダイシング加工をする際に半導体ウエハを固定するダイシングテープとして、導電性フィルムを使用することがある。半導体ウエハをダイシング加工して半導体チップを作製した後には、半導体チップの取り外しを容易にするために、ダイシングテープを常温で延伸させることがある。
導電性フィルムは、通常、フィルム基材の少なくとも一方の面に導電層が形成されたフィルムである。導電層に含まれる導電性成分として、ポリアニオンをドーピングしたπ共役系導電性高分子を用いることがある(例えば、特許文献1)。π共役系導電性高分子を用いた導電層は、導電性が湿度に依存することなく安定し、また、半導体ウエハに移行しにくく、半導体ウエハの汚染を防止することができる。
特開2006−117906号公報
しかし、導電層がπ共役系導電性高分子を含む導電性フィルムは延伸性が低く、常温で延伸させにくい上に、延伸後、導電層の導電性が低下することがあった。
そこで、本発明は、π共役系導電性高分子を含むにもかかわらず常温での延伸性が高い導電層を容易に形成できる導電性高分子分散液を提供することを目的とする。また、導電層がπ共役系導電性高分子を含むにもかかわらず常温での延伸性が高い常温延伸用導電性フィルムを容易に製造できる常温延伸用導電性フィルムの製造方法を提供することを目的とする。また、導電層がπ共役系導電性高分子を含むにもかかわらず、高い導電性を有する導電性延伸フィルムを容易に製造できる導電性延伸フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、ポリビニルアルコールと、ガラス転移温度が−20℃以上64℃以下のバインダ樹脂と、前記導電性複合体を分散させる分散媒とを含有する、導電性高分子分散液。
[2]分散媒として水を含み、該導電性高分子分散液における水の含有割合が80.0質量%以上99.9質量%以下である、[1]に記載の導電性高分子分散液。
[3]前記π共役系導電性高分子が、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である、[1]又は[2]に記載の導電性高分子分散液。
[4]前記ポリアニオンが、ポリスチレンスルホン酸である、[1]から[3]のいずれかに記載の導電性高分子分散液。
[5][1]から[4]のいずれかに記載の導電性高分子分散液をフィルム基材の少なくとも一方の面に塗工し、延伸することなく乾燥させて、導電層を形成する導電層形成工程を有する、常温延伸用導電性フィルムの製造方法。
[6]前記フィルム基材として、エチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂フィルム又はエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂フィルムを用いる、[5]に記載の常温延伸用導電性フィルムの製造方法。
[7]前記フィルム基材として、延伸後に延伸状態を解除した際に元の形状に戻る弾性回復性を有する、[5]又は[6]に記載の常温延伸用導電性フィルムの製造方法。
[8]前記導電層形成工程では、フィルム基材用樹脂を押出成形により連続成形して連続フィルム基材を作製しながら、該連続フィルム基材に前記導電性高分子分散液を連続塗工し、連続乾燥して、導電層を形成する、[5]から[7]のいずれかに記載の常温延伸用導電性フィルムの製造方法。
[9][5]から[8]のいずれかに記載の常温延伸用導電性フィルムの製造方法により製造した常温延伸用導電性フィルムを常温で延伸する、導電性延伸フィルムの製造方法。
[10]延伸温度を5℃以上35℃以下とする、[9]に記載の導電性延伸フィルムの製造方法。
本発明の導電性高分子分散液によれば、π共役系導電性高分子を含むにもかかわらず常温での延伸性が高い導電層を容易に形成できる。
本発明の常温延伸用導電性フィルムの製造方法によれば、導電層がπ共役系導電性高分子を含むにもかかわらず常温での延伸性が高い常温延伸用導電性フィルムを容易に製造できる。
本発明の導電性延伸フィルムの製造方法によれば、導電層がπ共役系導電性高分子を含むにもかかわらず、高い導電性を有する導電性延伸フィルムを容易に製造できる。
<導電性高分子分散液>
本発明の一態様の導電性高分子分散液は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、バインダ樹脂と、前記導電性複合体を分散させる分散媒とを含有する分散液である。
該分散液は、導電層を形成するための塗料として使用される。
(導電性複合体)
[π共役系導電性高分子]
π共役系導電性高分子としては、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば本発明の効果を有する限り特に制限されず、例えば、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン系導電性高分子、ポリアセチレン系導電性高分子、ポリフェニレン系導電性高分子、ポリフェニレンビニレン系導電性高分子、ポリアニリン系導電性高分子、ポリアセン系導電性高分子、ポリチオフェンビニレン系導電性高分子、及びこれらの共重合体等が挙げられる。空気中での安定性の点からは、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン類及びポリアニリン系導電性高分子が好ましく、透明性の面から、ポリチオフェン系導電性高分子がより好ましい。
ポリチオフェン系導電性高分子としては、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−エチルチオフェン)、ポリ(3−プロピルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3−クロロチオフェン)、ポリ(3−ヨードチオフェン)、ポリ(3−シアノチオフェン)、ポリ(3−フェニルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジブチルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−ブトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3−デシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヒドロキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジメトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジエトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジプロポキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジブトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジオクチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ブテンジオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−メトキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−エトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン)が挙げられる。
ポリピロール系導電性高分子としては、ポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−n−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)が挙げられる。
ポリアニリン系導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)が挙げられる。
上記π共役系導電性高分子の中でも、導電性、透明性、耐熱性の点から、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)が特に好ましい。
前記π共役系導電性高分子は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
[ポリアニオン]
ポリアニオンとは、アニオン基を有するモノマー単位を、分子内に2つ以上有する重合体である。このポリアニオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性を向上させる。
ポリアニオンのアニオン基としては、スルホ基、またはカルボキシ基であることが好ましい。
このようなポリアニオンの具体例としては、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸、ポリスルホエチルメタクリレート、ポリ(4−スルホブチルメタクリレート)、ポリメタクリルオキシベンゼンスルホン酸等のスルホン酸基を有する高分子や、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸)、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等のカルボン酸基を有する高分子が挙げられる。これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。
これらポリアニオンのなかでも、帯電防止性をより高くできることから、スルホン酸基を有する高分子が好ましく、ポリスチレンスルホン酸がより好ましい。
前記ポリアニオンは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリアニオンの質量平均分子量は2万以上100万以下であることが好ましく、10万以上50万以下であることがより好ましい。
本明細書における質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定し、標準物質をポリスチレンとして求めた値である。
導電性複合体中の、ポリアニオンの含有割合は、π共役系導電性高分子100質量部に対して1質量部以上1000質量部以下の範囲であることが好ましく、10質量部以上700質量部以下であることがより好ましく、100質量部以上500質量部以下の範囲であることがさらに好ましい。ポリアニオンの含有割合が前記下限値未満であると、π共役系導電性高分子へのドーピング効果が弱くなる傾向にあり、導電性が不足することがあり、また、導電性高分子分散液における導電性複合体の分散性が低くなる。一方、ポリアニオンの含有量が前記上限値を超えると、π共役系導電性高分子の含有量が少なくなり、やはり充分な導電性が得られにくい。
ポリアニオンが、π共役系導電性高分子に配位してドープすることによって導電性複合体を形成する。
ただし、本態様におけるポリアニオンにおいては、全てのアニオン基がπ共役系導電性高分子にドープすることはなく、ドープに寄与しない余剰のアニオン基を有するようになっている。
(ポリビニルアルコール)
ポリビニルアルコールは、導電性複合体及びバインダ樹脂の分散剤として機能すると共に、該導電性高分子分散液から形成される導電層の常温延伸性を向上させる機能も有する。
ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルのアセチル基をけん化することによって製造されるが、一部のアセチル基がけん化されないことがある。そのため、ポリビニルアルコールは、酢酸ビニル単位を含むことがある。本態様で用いるポリビニルアルコールのけん化度は、70%以上100%以下であることが好ましい。ポリビニルアルコールのけん化度が前記下限値以上であれば、水に簡単に溶解することができる。
ポリビニルアルコールの質量平均分子量は、1000以上100000以下であることが好ましく、1300以上60000以下であることがより好ましい。ポリビニルアルコールの質量平均分子量が前記下限値以上であれば、導電層の常温延伸性を充分に向上させることができ、前記上限値以下であれば、水への溶解性を向上させることができる。
導電性高分子分散液におけるポリビニルアルコールの含有割合は、導電性高分子分散液の総質量100質量%に対して、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。ポリビニルアルコールの含有割合が前記下限値以上であれば、導電層の常温延伸性をより高くでき、前記上限値以下であれば、導電性の低下を抑制できる。
(バインダ樹脂)
本態様におけるバインダ樹脂は、ガラス転移温度が−20℃以上64℃以下、好ましくは20℃以上60℃以下の樹脂である。ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)によって求めることができる。バインダ樹脂のガラス転移温度が前記範囲内であることにより、導電層の常温延伸性を向上させることができる。
バインダ樹脂の具体例としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、酢酸ビニル樹脂等であって、ガラス転移温度が−20℃以上64℃以下のものが用いられる。
また、導電性高分子分散液中での分散性を向上させるために、バインダ樹脂は、カルボキシ基やスルホ基等の酸基又はその塩を有するもの、又は、エマルションが好ましい。
バインダ樹脂は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
バインダ樹脂の含有割合は、導電性複合体の固形分100質量部に対して、100質量部以上10000質量部以下であることが好ましく、100質量部以上5000質量部以下であることがより好ましく、100質量部以上1000質量部以下であることがさらに好ましい。バインダ樹脂の含有割合が前記下限値以上であれば、製膜性と膜強度を向上させることができる。しかし、バインダ樹脂の含有割合が前記上限値を超えると、導電性複合体の含有割合が低下するため、導電性が低下することがある。
(分散媒)
本態様における分散媒は、前記導電性複合体を分散させる液であり、水、有機溶剤、又は、水と有機溶剤との混合液である。
分散媒が水を含む場合、導電性高分子分散液における水の含有割合は、80.0質量%以上99.9質量%以下であることが好ましく、90質量%以上99.5質量%以下であることがより好ましい。導電性高分子分散液における水の含有割合が前記下限値以上であれば、導電性高分子分散液における導電性複合体の分散性がより高くなる。また、後述する常温延伸用導電性フィルムを製造する際にインライン法を適用する場合には、水の含有割合が多い方が好ましい。しかし、導電性高分子分散液における水の含有割合が前記上限値を超えると、該導電性高分子分散液から形成される導電層の導電性が低下することがある。
有機溶剤としては、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルエチルケトン、アセトン、ジアセトンアルコールなどのケトン系溶媒;ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテルなどのエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼンなどの芳香族系溶媒;エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、アリルアルコールなどのアルコール系溶媒;N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒、が挙げられるが、上記に限定されるものではない。これら有機溶剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(アルカリ性化合物)
導電性高分子分散液にはアルカリ性化合物を含有させてもよい。
アルカリ性化合物としては、無機アルカリ、アミン化合物、窒素含有芳香族性環式化合物が挙げられる。また、アルカリ性化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
無機アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウムなどが挙げられる。
無機アルカリは、水溶液の状態で導電性高分子分散液に添加することが好ましい。水溶液中の無機アルカリの濃度としては、無機アルカリ水溶液の総質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上3質量%以下であることがより好ましい。ただし、無機アルカリとしてアンモニアを用いる場合、アンモニア水溶液中のアンモニア濃度としては、2質量%以上30質量%以下であることが好ましく、4質量%以上28質量%以下であることがより好ましい。
アミン化合物としては、1級アミン、2級アミン、3級アミン、4級アンモニウム塩のいずれであってもよい。
アミン化合物は、炭素数2以上12以下の直鎖、もしくは分岐鎖のアルキル基、炭素数6以上12以下のアリール基、炭素数7以上12以下のアラルキル基、炭素数2以上12以下のアルキレン基、炭素数6以上12以下のアリーレン基、炭素数7以上12以下のアラルキレン基、及び炭素数2以上12以下のオキシアルキレン基から選択される置換基を有していてもよい。
具体的な1級アミンとしては、例えば、アニリン、トルイジン、ベンジルアミン、エタノールアミン等が挙げられる。
具体的な2級アミンとしては、例えば、ジエタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジフェニルアミン、ジベンジルアミン、ジナフチルアミン等が挙げられる。
具体的な3級アミンとしては、例えば、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、トリナフチルアミン等が挙げられる。
具体的な4級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラフェニルアンモニウム塩、テトラベンジルアンモニウム塩、テトラナフチルアンモニウム塩等が挙げられる。アンモニウムの対となる陰イオンとしてはヒドロキシドイオンが挙げられる。
窒素含有芳香族性環式化合物とは、少なくとも1個以上の窒素原子を含む芳香族性環を有するものであり、前記窒素原子は2級アミン、3級アミン、4級アンモニウム塩のいずれの形で芳香族性環に含まれていてもよい。
窒素含有芳香族性環式化合物の具体例としては、ピロール、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、1−アセチルイミダゾール、4,5−イミダゾールジカルボン酸、4,5−イミダゾールジカルボン酸ジメチル、ベンズイミダゾール、2−アミノべンズイミダゾール、2−アミノべンズイミダゾール−2−スルホン酸、2−アミノ−1−メチルべンズイミダゾール、2−ヒドロキシべンズイミダゾール、2−(2−ピリジル)べンズイミダゾール、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヒドロキシド、ピリジン等が挙げられる。このうち、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、又はピリジンがより好ましい。
窒素含有芳香族性環式化合物は、水溶液の状態で添加することが好ましい。窒素含有芳香族性環式化合物水溶液中の窒素含有芳香族性環式化合物の濃度は、水溶液の総質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上3質量%以下であることがより好ましい。
導電性高分子分散液のpH(25℃)は、10以下であることが好ましく、9以下であることがより好ましい。導電性高分子分散液のpHが10を超えると、導電性高分子分散液の保存安定性が極端に低下する。一方、導電性高分子分散液のpH(25℃)は、3以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましい。すなわち、導電性高分子分散液のpH(25℃)は、3以上10以下であることが好ましく、5以上9以下であることがより好ましい。
(添加剤)
導電性高分子分散液には、公知の添加剤が含まれてもよい。
添加剤としては、本発明の効果を有する限り特に制限されず、例えば、界面活性剤、無機導電剤、消泡剤、カップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを使用できる。ただし、添加剤は、前記ポリアニオン、前記ポリビニルアルコール、前記バインダ樹脂、前記分散媒及び前記アルカリ性化合物以外の化合物からなる。
界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系の界面活性剤が挙げられるが、保存安定性の面からノニオン系が好ましい。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどのポリマー系界面活性剤を添加してもよい。
無機導電剤としては、金属イオン類、導電性カーボン等が挙げられる。なお、金属イオンは、金属塩を水に溶解させることにより生成させることができる。
消泡剤としては、シリコーン樹脂、ポリジメチルシロキサン、シリコーンオイル等が挙げられる。
カップリング剤としては、ビニル基、アミノ基、エポキシ基等を有するシランカップリング剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、糖類、ビタミン類等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキサニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
導電性高分子分散液が上記添加剤を含有する場合、導電性高分子分散液における添加剤の含有割合は、添加剤の種類に応じて適宜決められるが、通常、導電性複合体の固形分100質量部に対して、0.001質量部以上5質量部以下の範囲内である。
<常温延伸用導電性フィルムの製造方法>
本発明の一態様の常温延伸用導電性フィルムの製造方法は、上記導電性高分子分散液をフィルム基材の少なくとも一方の面に塗工し、延伸することなく乾燥させて、導電層を形成する導電層形成工程を有する。ここで、延伸することなく、とは、延伸装置を用いて延伸することなく、という意味であり、熱膨張等により自然と延伸することは許容される。乾燥時に延伸しないことにより、得られる導電性フィルムの延伸性を向上させることができる。
フィルム基材としては、プラスチックフィルムを用いることができる。
プラスチックフィルムを構成するフィルム基材用樹脂としては、例えば、エチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン、ポリアリレート、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなどが挙げられる。これらのフィルム基材用樹脂の中でも、常温延伸性の点から、エチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂又はエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂が好ましい。
また、フィルム基材としては、延伸後に延伸状態を解除した際に元の形状に戻る弾性回復性を有するものが好ましい。ここで、元の形状に戻るとは、延伸前のフィルム基材の寸法の±20%の範囲内、好ましくは±10%の範囲内になることである。上記のようにフィルム基材が弾性回復性を有すると、常温延伸用導電性フィルムを常温で延伸させた後に元の形状に戻るため、廃棄することなく、再利用することが可能になる。エチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂のフィルム及びエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂のフィルムは弾性回復性を有する。
導電性高分子分散液を塗工するフィルム基材の平均厚みとしては、5μm以上400μm以下であることが好ましく、10μm以上200μm以下であることがより好ましい。フィルム基材の平均厚みが前記下限値以上であれば、破断しにくくなり、前記上限値以下であれば、フィルムとして充分な可撓性を確保できる。
本明細書における平均厚さは、任意の10箇所について厚さを測定し、その測定値を平均した値である。
導電性高分子分散液を塗工する方法としては、例えば、グラビアコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター、スピンコーター、バーコーター、リバースコーター、キスコーター、ファウンテンコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、キャストコーター、スクリーンコーター等のコーターを用いた塗工方法、エアスプレー、エアレススプレー、ローターダンプニング等の噴霧器を用いた噴霧方法、ディップ等の浸漬方法等を適用することができる。
上記のうち、簡便に塗工できることから、バーコーターを用いることがある。バーコーターにおいては、種類によって塗工厚が異なり、市販のバーコーターでは、種類ごとに番号が付されており、その番号が大きい程、厚く塗工できるものとなっている。
前記混合液のフィルム基材への塗工量は特に制限されないが、固形分として、0.1g/m以上2.0g/m以下の範囲であることが好ましい。
塗工した導電性高分子分散液を乾燥する方法としては、加熱乾燥、真空乾燥等が挙げられる。加熱乾燥としては、例えば、熱風加熱や、赤外線加熱などの通常の方法を採用できる。
加熱乾燥を適用する場合、加熱温度は、使用する分散媒に応じて適宜設定されるが、通常は、50℃以上150℃以下の範囲内である。ここで、加熱温度は、乾燥装置の設定温度である。
導電層形成工程では、いわゆるインライン法によって導電性フィルムを製造してもよい。具体的には、フィルム基材用樹脂を押出成形により連続成形して連続フィルム基材を作製しながら、該連続フィルム基材を巻き取ることなく塗工装置に供給し、連続フィルム基材に前記導電性高分子分散液を連続塗工した後、乾燥装置に供給し、連続乾燥して導電層を形成してもよい。
乾燥後に得られる導電層は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、ポリビニルアルコールと、ガラス転移温度が−20℃以上64℃以下のバインダ樹脂とを含む。
導電層の平均厚みとしては、10nm以上5000nm以下であることが好ましく、20nm以上1000nm以下であることがより好ましく、30nm以上500nm以下であることがさらに好ましい。導電層の平均厚みが前記下限値以上であれば、充分に高い導電性を発揮でき、前記上限値以下であれば、導電層を容易に形成できる。
(作用効果)
本態様の導電性高分子分散液は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンに加えてポリビニルアルコールを含むため、該導電性高分子分散液から形成される導電層は延伸性が高くなっている。また、導電層に含まれるバインダ樹脂は、常温でも延伸可能なガラス転移温度とされている。
したがって、本態様の常温延伸用導電性フィルムの製造方法によれば、導電層がπ共役系導電性高分子を含むにもかかわらず常温での延伸性が高い常温延伸用導電性フィルムを容易に製造できる。延伸性が高いことで、延伸後における導電層の導電性低下を抑制できるため、高い導電性を維持できる。
<導電性延伸フィルムの製造方法>
本発明の一態様の導電性延伸フィルムの製造方法は、上記常温延伸用導電性フィルムの製造方法により製造した常温延伸用導電性フィルムを、常温で延伸する。ここで、常温とは、5℃以上35℃以下のことである(JIS Z8703)。すなわち、延伸温度は5℃以上35℃以下である。前記延伸温度の範囲外では、冷却装置又は加熱装置が必要となり、常温延伸用導電性フィルムを延伸させる装置が煩雑となるが、前記延伸温度の範囲内であれば、冷却装置又は加熱装置が不要である。
本態様では、常温延伸用導電性フィルムの延伸倍率を1倍以上10倍以下とすることができる。常温延伸用導電性フィルムの延伸倍率を前記下限値以上にできれば、充分に高い延伸性となり、前記上限値以下であれば、フィルムの破断を防止できる。
フィルム基材として、弾性回復性を有するものを用いた場合には、常温延伸用導電性フィルムを延伸して導電性延伸フィルムにした後、延伸を解除すると、元の形状の常温延伸用導電性フィルムに戻る。
(製造例1)
1000mlのイオン交換水に206gのスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃で攪拌しながら、予め10mlの水に溶解した1.14gの過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を20分間滴下し、この溶液を12時間攪拌した。
得られたスチレンスルホン酸ナトリウム含有溶液に10質量%に希釈した硫酸を1000ml添加し、限外ろ過法によりポリスチレンスルホン酸含有溶液の約1000ml溶液を除去し、残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000ml溶液を除去した。上記の限外ろ過操作を3回繰り返した。さらに、得られたろ液に約2000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法により約2000mlの溶液を除去した。この限外ろ過操作を3回繰り返した。
得られた溶液中の水を減圧除去して、無色の固形状のポリスチレンスルホン酸を得た。
(製造例2)
14.2gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、36.7gのポリスチレンスルホン酸を2000mlのイオン交換水に溶かした溶液とを20℃で混合させた。
これにより得られた混合溶液を20℃に保ち、掻き混ぜながら、200mlのイオン交換水に溶かした29.64gの過硫酸アンモニウムと8.0gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくり添加し、3時間攪拌して反応させた。
得られた反応液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000ml溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
そして、得られた溶液に200mlの10質量%に希釈した硫酸と2000mlのイオン交換水とを加え、限外ろ過法により約2000mlの溶液を除去し、これに2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000ml溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
さらに、得られた溶液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000mlの溶液を除去した。この操作を5回繰り返し、1.2質量%のポリスチレンスルホン酸ドープポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)水分散液(PEDOT−PSS水分散液)を得た。
(製造例3)
押出成形機を用いて、アクリフトWD−301−F(住友化学社製、エチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂)を280℃で溶融させ、その溶融させた樹脂を、押出成形機先端に取り付けたTダイから吐出させて、厚さ50μmのフィルム基材を得た。
(実施例1)
製造例2で得たPEDOT−PSS水分散液30gに、水50gとプロピレングリコール10gとイミダゾール0.2gとポリビニルアルコール(PVA210、株式会社クラレ製、重合度1000)0.5gとバインダ樹脂(プラスコートRZ−105、互応化学株式会社製、水分散ポリエステル、ガラス転移温度52℃、固形分濃度25質量%)10gとを混合して、導電性高分子分散液を得た。なお、表1に、PEDOT−PSSの固形分濃度、ポリビニルアルコールの固形分濃度、バインダ樹脂の固形分濃度を示す。
次いで、該導電性高分子分散液を、製造例3で得たフィルム基材の一方の面に、No.4のバーコーターを用いて塗布し、70℃で30秒乾燥させ、導電層を形成することにより、導電性フィルムを得た。
(実施例2)
実施例1にて使用したプラスコートRZ−105をプラスコートZ−880(互応化学株式会社製、水分散ポリエステル、ガラス転移温度20℃、固形分濃度25質量%)に変更した以外は実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
(実施例3)
実施例1にて使用したプラスコートRZ−105をプラスコートZ−3310(互応化学株式会社製、水分散ポリエステル、ガラス転移温度−20℃、固形分濃度25質量%)に変更した以外は実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
(実施例4)
実施例1にて使用したプラスコートRZ−105をプラスコートZ−570(互応化学株式会社製、水分散ポリエステル、ガラス転移温度60℃、固形分濃度25質量%)に変更した以外は実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
(実施例5)
実施例1にて使用したプラスコートRZ−105をプラスコートZ−565(互応化学株式会社製、水分散ポリエステル、ガラス転移温度64℃、固形分濃度25質量%)に変更した以外は実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
(実施例6)
実施例1にて使用したプラスコートRZ−105の量を20gに変更した以外は実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
(実施例7)
実施例1にて使用したPEDOT−PSS水分散液の量を80gに変更し、水50gを加えなかった以外は実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
(実施例8)
実施例1にて使用したPVA210をPVA217(株式会社クラレ製、重合度1700)に変更した以外は実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
(実施例9)
実施例1にて使用したPVA210をPVA224(株式会社クラレ製、重合度2400)に変更した以外は実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
(実施例10)
実施例1にて使用したPVA210の量を1.0gに変更した以外は実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
(比較例1)
実施例1においてPEDOT−PSS水分散液にPVA210を添加しなかった以外は実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
(比較例2)
実施例1にて使用したプラスコートRZ−105をプラスコートZ−690(互応化学株式会社製、水分散ポリエステル、ガラス転移温度110℃、固形分濃度25質量%)に変更した以外は実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
<評価>
各例の導電性フィルムの表面抵抗値を、抵抗率計(三菱化学社製ハイレスタ)を用いて測定した。
次いで、導電性フィルムを、二軸延伸装置(井本製作所社製IMC−11A9)用いて25℃の温度条件下で、X軸方向及びY軸方向に同時に1.5倍の延伸倍率で延伸させた。その延伸状態で導電性フィルムの表面抵抗値を、上記抵抗率計を用いて測定した。
導電性フィルムの延伸前と延伸後の表面抵抗値を表1に示す。延伸前の表面抵抗値に対して延伸後の表面抵抗値が増大する程、常温での延伸性が低いことを意味する。
なお、表中の「OVER」は、抵抗率計の測定上限値を超えたことを意味する。
Figure 0006537178
PEDOT−PSSとポリビニルアルコールとガラス転移温度が−20℃以上64℃以下のバインダ樹脂とを含有する導電性高分子分散液から形成した導電層を備える各実施例の導電性フィルムは、延伸前後での表面抵抗値の変化が小さかった。これは、各実施例の導電性フィルムの延伸性が高いためと推測される。
なお、各実施例においては、延伸状態の導電性延伸フィルムを二軸延伸装置から取り外したところ、速やかに収縮して、元の常温延伸用導電性フィルムとほぼ同じ大きさとなった。
PEDOT−PSSとガラス転移温度が−20℃以上64℃以下のバインダ樹脂とを含有するがポリビニルアルコールを含有しない導電性高分子分散液から形成した導電層を備える比較例1の導電性フィルムは、延伸後の表面抵抗値が大きすぎて測定不能であった。これは、比較例1の導電性フィルムの延伸性が低く、延伸後に導電性が低下したためと推測される。
PEDOT−PSSとポリビニルアルコールとガラス転移温度が64℃を超えるバインダ樹脂とを含有する導電性高分子分散液から形成した導電層を備える比較例2の導電性フィルムは、延伸後の表面抵抗値が大きすぎて測定不能であった。これは、比較例2の導電性フィルムの延伸性が低く、延伸後に導電性が低下したためと推測される。

Claims (8)

  1. π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、ポリビニルアルコールと、ガラス転移温度が−20℃以上64℃以下のバインダ樹脂と、前記導電性複合体を分散させる分散媒とを含有する、導電性高分子分散液をフィルム基材の少なくとも一方の面に塗工し、延伸することなく乾燥させて、導電層を形成し、得られた常温延伸用導電性フィルムを常温で延伸する工程を有する、導電性延伸フィルムの製造方法。
  2. 分散媒として水を含み、該導電性高分子分散液における水の含有割合が80.0質量%以上99.9質量%以下である、請求項1に記載の導電性延伸フィルムの製造方法。
  3. 前記π共役系導電性高分子が、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である、請求項1又は2に記載の導電性延伸フィルムの製造方法。
  4. 前記ポリアニオンが、ポリスチレンスルホン酸である、請求項1から3のいずれか一項に記載の導電性延伸フィルムの製造方法。
  5. 前記フィルム基材として、エチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂フィルム又はエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂フィルムを用いる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の導電性延伸フィルムの製造方法
  6. 前記フィルム基材として、延伸後に延伸状態を解除した際に元の形状に戻る弾性回復性を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の導電性延伸フィルムの製造方法
  7. 前記導電層を形成する際、フィルム基材用樹脂を押出成形により連続成形して連続フィルム基材を作製しながら、該連続フィルム基材に前記導電性高分子分散液を連続塗工し、連続乾燥して、前記導電層を形成する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の導電性延伸フィルムの製造方法
  8. 延伸温度を5℃以上35℃以下とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の導電性延伸フィルムの製造方法。
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