JP2019032967A - 導電性高分子分散液、導電性フィルム及びその製造方法、並びに帯電防止性容器及びその製造方法 - Google Patents

導電性高分子分散液、導電性フィルム及びその製造方法、並びに帯電防止性容器及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】プラスチック基材に対する接着性と耐水性とが優れた導電層を容易に形成できる導電性高分子分散液を提供する。また、プラスチックフィルム基材に対する接着性と耐水性とが優れた導電層を有する導電性フィルムを提供する。
【解決手段】本発明の導電性高分子分散液は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂と、グリシジル基含有アクリル樹脂と、分散媒とを含有する。本発明の導電性フィルムは、フィルム基材と、該フィルム基材の表面に、前記導電性高分子分散液から形成された導電層とを備える。
【選択図】なし

Description

本発明は、π共役系導電性高分子を含有する導電性高分子分散液、導電性フィルム及びその製造方法、帯電防止性容器及びその製造方法に関する。
プラスチック基材の表面に導電層を形成した導電体は、帯電防止が求められる用途、例えば、電子部品の包装又は容器、食品の包装又は容器等に使用されている。
前記導電層に含まれる導電材料としては、導電性及び透明性に優れ、しかも導電性が湿度に依存することなく安定していることから、π共役系導電性高分子が使用されることがある。
π共役系導電性高分子を含有する導電層の形成方法としては、例えば、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含有する導電性複合体が水中に分散している導電性高分子分散液を基材に塗工し、乾燥させる方法が挙げられる(特許文献1)。
国際公開第2015/108001号
通常、プラスチック基材は疎水性であり、親水性が低い。そのため、特許文献1に記載の水系の導電性高分子分散液をプラスチック基材に塗工して形成した導電層は、基材に対する接着性が低い傾向にある。プラスチックのなかでも疎水性が高いポリオレフィンを基材として用いた場合、水系の導電性高分子分散液から形成した導電層は、基材に対する接着性が特に低い。
また、水系の導電性高分子分散液から形成した導電層は親水性が高いゆえに耐水性が低い傾向にあり、耐水性の改善が求められていた。
本発明は、プラスチック基材に対する接着性と耐水性とが優れた導電層を容易に形成できる導電性高分子分散液を提供することを目的とする。また、本発明は、プラスチックフィルム基材に対する接着性と耐水性とが優れた導電層を有する導電性フィルム及びその製造方法並びに帯電防止性容器及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を包含する。
[1]π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂と、グリシジル基含有アクリル樹脂と、分散媒とを含有する、導電性高分子分散液。
[2]前記カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂が中和されている、[1]に記載の導電性高分子分散液。
[3]前記分散媒が水を含有する、[1]又は[2]に記載の導電性高分子分散液。
[4]前記π共役系導電性高分子がポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である、[1]〜[3]のいずれか一に記載の導電性高分子分散液。
[5]前記ポリアニオンがポリスチレンスルホン酸である、[1]〜[4]のいずれか一に記載の導電性高分子分散液。
[6]バインダ成分をさらに含有する、[1]〜[5]のいずれか一に記載の導電性高分子分散液。
[7]前記バインダ成分がポリエステル樹脂である、[6]に記載の導電性高分子分散液。
[8]フィルム基材と、該フィルム基材の表面に、[1]〜[7]のいずれか一に記載の導電性高分子分散液から形成された導電層とを備える、導電性フィルム。
[9]前記フィルム基材がポリオレフィン系樹脂のフィルムである、[8]に記載の導電性フィルム。
[10]前記ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン樹脂である、[9]に記載の導電性フィルム。
[11]フィルム基材の少なくとも一方の面に、[1]〜[7]のいずれか一に記載の導電性高分子分散液を塗工し、乾燥させて導電層を形成する、導電性フィルムの製造方法。
[12]前記フィルム基材としてポリオレフィン系樹脂のフィルムを用いる、[11]に記載の導電性フィルムの製造方法。
[13]前記ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン樹脂である、[12]に記載の導電性フィルムの製造方法。
[14]前記フィルム基材として、その表面に親水化処理を施したものを用いる、[11]〜[13]のいずれか一に記載の導電性フィルムの製造方法。
[15]前記親水化処理がコロナ放電処理である、[14]に記載の導電性フィルムの製造方法。
[16][8]〜[10]のいずれか一に記載の導電性フィルムの成形体からなる、帯電防止性容器。
[17][11]〜[15]のいずれか一に記載の導電性フィルムの製造方法により導電性フィルムを製造する工程と、前記導電性フィルムを成形する工程と、を有する帯電防止性容器の製造方法。
[18]前記導電性フィルムを成形する工程では、導電性フィルムを真空成形する、[17]に記載の帯電防止性容器の製造方法。
本発明の導電性高分子分散液によれば、プラスチック基材に対する接着性と耐水性とが優れた導電層を容易に形成できる。
本発明の導電性フィルムは、プラスチックフィルム基材に対する接着性と耐水性とが優れた導電層を有する。
本発明の導電性フィルムの製造方法によれば、前記導電性フィルムを容易に製造できる。
本発明の帯電防止性容器は、プラスチックフィルム基材に対する接着性と耐水性とが優れた導電層を有する。
本発明の帯電防止性容器の製造方法によれば、前記帯電防止性容器を容易に製造できる。
<導電性高分子分散液>
本発明の一態様の導電性高分子分散液は、導電性複合体とカルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂とグリシジル基含有アクリル系樹脂と分散媒とを含有する。
(導電性複合体)
本態様における導電性複合体は、π共役系導電性高分子と、アニオン基を有するポリアニオンとを含む。前記ポリアニオンは前記π共役系導電性高分子に配位し、ポリアニオンのアニオン基がπ共役系導電性高分子にドープするため、導電性を有する導電性複合体を形成する。
ポリアニオンにおいては、全てのアニオン基がπ共役系導電性高分子にドープせず、余剰のアニオン基を有している。余剰のアニオン基は親水基であるため、導電性複合体は水分散性を有する。
[π共役系導電性高分子]
π共役系導電性高分子としては、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば本発明の効果を有する限り特に制限されず、例えば、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン系導電性高分子、ポリアセチレン系導電性高分子、ポリフェニレン系導電性高分子、ポリフェニレンビニレン系導電性高分子、ポリアニリン系導電性高分子、ポリアセン系導電性高分子、ポリチオフェンビニレン系導電性高分子、及びこれらの共重合体等が挙げられる。空気中での安定性の点からは、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン類及びポリアニリン系導電性高分子が好ましく、透明性の面から、ポリチオフェン系導電性高分子がより好ましい。
ポリチオフェン系導電性高分子としては、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−エチルチオフェン)、ポリ(3−プロピルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3−クロロチオフェン)、ポリ(3−ヨードチオフェン)、ポリ(3−シアノチオフェン)、ポリ(3−フェニルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジブチルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−ブトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3−デシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヒドロキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジメトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジエトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジプロポキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジブトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジオクチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ブチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−メトキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−エトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン)が挙げられる。
ポリピロール系導電性高分子としては、ポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−n−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)が挙げられる。
ポリアニリン系導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)が挙げられる。
前記π共役系導電性高分子のなかでも、導電性、透明性、耐熱性の点から、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)が特に好ましい。
導電性複合体に含まれるπ共役系導電性高分子は、1種類でもよいし、2種類以上でもよい。
[ポリアニオン]
ポリアニオンとは、アニオン基を有するモノマー単位を、分子内に2つ以上有する重合体である。このポリアニオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性を向上させる。
ポリアニオンのアニオン基としては、スルホ基、又はカルボキシ基であることが好ましい。
このようなポリアニオンの具体例としては、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸、ポリスルホエチルメタクリレート、ポリ(4−スルホブチルメタクリレート)、ポリメタクリルオキシベンゼンスルホン酸等のスルホン酸基を有する高分子や、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸)、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等のカルボン酸基を有する高分子が挙げられる。これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。
これらポリアニオンのなかでも、導電性をより高くできることから、スルホン酸基を有する高分子が好ましく、ポリスチレンスルホン酸がより好ましい。
前記ポリアニオンは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリアニオンの質量平均分子量は2万以上100万以下であることが好ましく、10万以上50万以下であることがより好ましい。ポリアニオンの質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて溶出時間を測定し、分子量既知のポリスチレン標準物質から予め得た、溶出時間対分子量の校正曲線に基づいて求めた質量基準の分子量のことである。
導電性複合体中の、ポリアニオンの含有割合は、π共役系導電性高分子100質量部に対して1質量部以上1000質量部以下の範囲であることが好ましく、10質量部以上700質量部以下であることがより好ましく、100質量部以上500質量部以下の範囲であることがさらに好ましい。ポリアニオンの含有割合が前記下限値以上であれば、π共役系導電性高分子へのドーピング効果が強くなる傾向にあり、導電性がより高くなる。一方、ポリアニオンの含有量が前記上限値以下であれば、π共役系導電性高分子を充分に含有させることができるから、充分な導電性を確保できる。
(カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂)
カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂は、カルボキシ基を1つ以上有するポリオレフィン樹脂であり、主鎖を構成するポリオレフィン樹脂に、カルボキシ基を有する不飽和カルボン酸モノマーが共重合したものである。カルボキシ基含有ポリオレフィンが有するカルボキシ基の数は、プラスチック基材に対する導電層の接着性がより高くなることから、2つ以上が好ましい。
具体的に、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂は、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸モノマーをグラフト重合させたグラフト共重合体でもよいし、オレフィンモノマーと不飽和カルボン酸モノマーとのランダム共重合体又はブロック共重合体でもよい。
カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリオレフィン樹脂を構成するオレフィンモノマーとしては、炭素数2以上6以下の不飽和炭化水素が挙げられる。炭素数2以上6以下の不飽和炭化水素としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。前記不飽和炭化水素は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリオレフィン樹脂を構成する前記オレフィンモノマーは、本態様の導電性高分子分散液が塗工されるプラスチック基材に応じて選択することが好ましい。例えば、プラスチック基材としてポリプロピレン基材を用いる場合には、ポリオレフィン樹脂を構成するオレフィンモノマーとしてプロピレンを用いることが好ましく、プラスチック基材としてポリエチレン基材を用いる場合には、ポリオレフィン樹脂を構成するオレフィンモノマーとしてエチレンを用いることが好ましい。
カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂におけるオレフィンモノマー単位の含有量は、60質量%以上99.5質量%以下であることが好ましく、80質量%以上99.5質量%以下であることがより好ましく、90質量%以上99.5質量%以下であることがさらに好ましい。カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂におけるオレフィンモノマー単位の含有量が前記範囲であれば、プラスチック基材に対する導電層の接着性及び耐水性がより高くなる。
本態様において使用される不飽和カルボン酸モノマーとは、ビニル基とカルボキシ基とを各々1つ以上有する化合物及びその酸無水物である。不飽和カルボン酸モノマーの具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、アコニット酸、無水アコニット酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、メサコン酸、アリルコハク酸等が挙げられる。前記不飽和カルボン酸モノマーは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
不飽和カルボン酸モノマーのなかでも、ポリオレフィン樹脂に導入しやすいことから、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく、無水マレイン酸がより好ましい。
カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂における不飽和カルボン酸モノマー単位の含有量は、0.5質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上10質量%以下であることがさらに好ましい。カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂における不飽和カルボン酸モノマー単位の含有量が前記下限値以上であれば、プラスチック基材に対する導電層の接着性及び耐水性がより高くなり、前記上限値以下であれば、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂を容易に製造できる。
カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂におけるカルボン酸価は、5mgKOH/g以上500mgKOH/gの範囲が好ましく、10mgKOH/g以上100mgKOH/gの範囲がより好ましい。カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂におけるカルボン酸価が前記下限値以上であれば、プラスチック基材に対する導電層の接着性及び耐水性がより高くなり、前記上限値以下であれば、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂を容易に製造できる。
カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂は、前記不飽和炭化水素単位及び前記不飽和カルボン酸モノマー単位以外の他のモノマー単位を有してもよい。
他のモノマーとしては、アクリル酸アルキルエステル(例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等)、メタクリル酸アルキルエステル(例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等)、アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル(例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート等)、メタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル(例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート等)、炭素数7以上の不飽和炭化水素(例えば、1−オクテン等)、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル等)、シアン化ビニル(例えば、アクリロニトリル等)、芳香族ビニル(例えば、スチレン等)等が挙げられる。前記他のモノマーは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
但し、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂における前記他のモノマー単位の含有量は20質量%以下であることが好ましい。
カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂の製造方法は特に限定されず公知の重合方法を適用できる。
例えば、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂が、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸モノマーをグラフト重合させたグラフト共重合体である場合には、ラジカル重合開始剤の存在下でポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸モノマーを反応させる方法が挙げられる。前記反応の際には、ポリオレフィン樹脂を有機溶剤に溶解又は分散させてもよいし、有機溶剤を使用せずにポリオレフィン樹脂を加熱して溶融させてもよい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジ−tert−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、tert−ブチルヒドロパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジラウリルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、エチルエチルケトンパーオキシド、ジ−tert−ブチルジパーフタレート等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。
カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂の質量平均分子量は、20,000以上150,000以下であることが好ましく、30,000以上120,000以下であることがより好ましく、30,000以上100,000以下であることがさらに好ましく、30,000以上90,000以下であることが特に好ましい。カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて溶出時間を測定し、分子量既知のポリスチレン標準物質から予め得た、溶出時間対分子量の校正曲線に基づいて求めた質量基準の分子量のことである。
カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂の質量平均分子量が前記下限値以上であれば、プラスチック基材に対する導電層の接着性を充分に向上させることができ、前記上限値以下であれば、導電性高分子分散液中でのカルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂の分散性を向上させることができる。
カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂は中和されていることが好ましい。カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂が中和されていれば、導電性高分子分散液中でのカルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂の分散性を向上させることができる。
カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂は、アルカリ化合物の添加によって中和することができる。
アルカリ化合物は、無機アルカリ、有機アルカリのいずれであってもよい。
無機アルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられる。
有機アルカリとしては、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、第四アンモニウム塩、窒素含有芳香族性環式化合物が挙げられる。
第一級アミンとしては、例えば、アニリン、トルイジン、ベンジルアミン、エタノールアミン等が挙げられる。
第二級アミンとしては、例えば、ジエタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジフェニルアミン、ジベンジルアミン、ジナフチルアミン等が挙げられる。
第三級アミンとしては、例えば、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、トリナフチルアミン等が挙げられる。
第四級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラフェニルアンモニウム塩、テトラベンジルアンモニウム塩、テトラナフチルアンモニウム塩等が挙げられる。アンモニウムの対となる陰イオンとしてはヒドロキシドイオンが挙げられる。
窒素含有芳香族性環式化合物としては、例えば、アニリン、ベンジルアミン、ピロール、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシエチル) イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、1−アセチルイミダゾール、2−アミノべンズイミダゾール、2−アミノ−1−メチルべンズイミダゾール、2−ヒドロキシべンズイミダゾール、2−(2−ピリジル)べンズイミダゾール、ピリジン等が挙げられる。
前記アルカリ化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アルカリ化合物の添加量は、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂のカルボキシ基に対して0.3倍当量以上3倍当量以下であることが好ましく、0.5倍当量以上2倍当量以下であることがより好ましく、0.6倍当量以上1.5倍当量以下であることがさらに好ましい。アルカリ化合物の添加量が前記下限値以上であれば、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂の分散性をより向上させることができ、前記上限値以下であれば、導電性高分子分散液が過度にアルカリ性になって導電性が低下することを防止できる。
導電性高分子分散液におけるカルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂の含有量は、導電性複合体に対して100質量部以上10000質量部以下であることが好ましく、100質量部以上5000質量部以下であることがより好ましく、100質量部以上1000質量部以下であることがさらに好ましい。カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂の含有量が前記下限値以上であれば、プラスチック基材に対する導電層の接着性をより向上させることができ、前記上限値以下であれば、導電性複合体の含有量が少なくなることによる導電性の低下を防ぐことができる。
(グリシジル基含有アクリル系樹脂)
グリシジル基含有アクリル系樹脂は、グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマー単位のみからなる単独重合体、又は、グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマー単位と該モノマーと共重合可能な他のラジカル重合性不飽和モノマー単位とを有する共重合体である。
グリシジル基含有アクリル系樹脂は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーとしては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類が挙げられ、これらのなかでも、メタクリル酸グリシジルが好ましい。グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
グリシジル基含有アクリル系樹脂におけるグリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマー単位の含有割合は、全モノマー単位100質量%に対して10質量%以上100質量%以下であることが好ましく、20質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。グリシジル基含有アクリル系樹脂におけるグリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマー単位の含有割合が10質量%以上であれば、本態様の導電性高分子分散液から形成される導電層の耐水性をより向上させることができる。
グリシジル基含有アクリル系樹脂におけるエポキシ価は、10g/当量以上5000g/当量以下であることが好ましく、100g/当量以上1000g/当量以下であることがより好ましい。エポキシ価は、JIS K7236:2001に記載のエポキシ樹脂のエポキシ当量の求め方によって求められるエポキシ当量である。エポキシ価が前記範囲であれば、本態様の導電性高分子分散液から形成される導電層の耐水性をより向上させることができる。
グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和モノマーと共重合可能な他のラジカル重合性不飽和モノマーとしては、ビニルエステル、不飽和カルボン酸エステル(アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル等)、不飽和カルボン酸アミド(アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド等)、不飽和ニトリル(アクリロニトリル等)、不飽和カルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸等)、オレフィンモノマーが挙げられる。他のラジカル重合性不飽和モノマーは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
他のラジカル重合性不飽和モノマーとしては、耐水性がより高くなることから、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸モノマーを用いることが好ましい。
グリシジル基含有アクリル系樹脂における不飽和カルボン酸モノマー単位の含有割合は全モノマー単位100質量%に対して5質量%以上20質量%以下であることが好ましい。グリシジル基含有アクリル系樹脂における不飽和カルボン酸モノマー単位の含有割合が前記下限値以上であれば、導電層の耐水性をより向上させることができ、前記上限値以下であれば、経時的に液がゲル化して貯蔵安定性が低下することを抑制できる。
グリシジル基含有アクリル系樹脂の製造方法としては特に限定なく、例えば、乳化重合によってグリシジル基含有アクリル系樹脂を製造できる。
乳化重合によるグリシジル基含有アクリル系樹脂の製造では、例えば、反応槽にイオン交換水、重合開始剤、界面活性剤を仕込み、次に滴下槽にイオン交換水と界面活性剤を仕込み、モノマーを投入してモノマー乳化物を調製した後、該モノマー乳化物を反応槽に滴下することによって乳化ラジカル重合させる。反応温度は60℃以上100℃以下とすることが好ましく、反応時間は4時間以上10時間以下とすることが好ましい。
乳化重合に使用する界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系反応性界面活性剤及び非反応性界面活性剤の1種もしくは2種以上を使用することができる。
乳化重合に使用する重合開始剤としては一般的なラジカル重合性開始剤、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等の水溶性過酸化物、又は過酸化ベンゾイルやt−ブチルハイドロパーオキサイド等の油溶性過酸化物、あるいはアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物などが挙げられる。
乳化重合によってグリシジル基含有アクリル系樹脂を製造した場合には、グリシジル基含有アクリル系樹脂のエマルションとして得られる。
導電性高分子分散液におけるグリシジル基含有アクリル系樹脂の含有量は、導電性複合体に対して100質量部以上10000質量部以下であることが好ましく、100質量部以上5000質量部以下であることがより好ましく、100質量部以上1000質量部以下であることがさらに好ましい。グリシジル基含有アクリル系樹脂の含有量が前記下限値以上であれば、プラスチック基材に対する導電層の接着性をより向上させることができ、前記上限値以下であれば、導電性複合体の含有量が少なくなることによる導電性の低下を防ぐことができる。
(バインダ成分)
バインダ成分の具体例としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、酢酸ビニル樹脂等のバインダ樹脂が挙げられる。
また、バインダ成分は、前記バインダ樹脂を形成するモノマー又はオリゴマーであってもよい。導電層形成時に、前記モノマー又は前記オリゴマーを重合させることによりバインダ樹脂を形成することができる。
前記バインダ成分は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記バインダ成分のうち、導電層の耐水性がより高くなり、機械的物性が良好になることから、ポリエステル樹脂が好ましい。
ポリエステル樹脂は酸基を有してもよい。酸基を有するポリエステル樹脂(以下、「ポリエステル樹脂(1)」という。)は、ジカルボン酸成分とジグリコール成分との重縮合物であって、酸基(スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基等)のアルカリ金属塩を有するポリエステル樹脂である。このポリエステル樹脂(1)は極性が大きいため、水分散性に優れ、乳化剤や安定剤を使用しなくても水中に安定に分散できる。
前記ジカルボン酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸、イソフタル酸ジメチル、2,5−ジメチルテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、オールソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸及び、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、並びにシクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等が挙げられる。前記ジカルボン酸は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ジカルボン酸成分は、スルホン酸基がアルカリ金属によって中和されたスルホン酸アルカリ金属塩型の置換基(−SO 、ただし、Xはアルカリ金属イオンである。
)を有するジカルボン酸を含むことが好ましい。
スルホン酸アルカリ金属塩型の置換基を有するジカルボン酸は、スルホン酸基を有するジカルボン酸におけるスルホン酸基がアルカリ金属塩にされた化合物である。
スルホン酸基を有するジカルボン酸としては、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン酸−2,7−ジカルボン酸、又はそれらの誘導体等が挙げられる。アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
スルホン酸アルカリ金属塩型の置換基を有するジカルボン酸としては、5−スルホイソフタル酸のナトリウム塩及びその誘導体が好ましい。
ジカルボン酸成分における、スルホン酸アルカリ金属塩型の置換基を有するジカルボン酸以外のジカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸が好ましく、テレフタル酸、イソフタル酸がより好ましい。芳香族ジカルボン酸の芳香核は、疎水性のプラスチックとの親和性が大きく、また、耐加水分解性に優れる。
スルホン酸アルカリ金属塩型の置換基を有するジカルボン酸の含有割合は、全ジカルボン酸成分中に6モル%以上20モル%以下であることが好ましく、10モル%以上18モル%以下であることがより好ましい。スルホン酸アルカリ金属塩型の置換基を有するジカルボン酸の含有割合が前記下限値以上であれば、導電層の耐溶剤性が低下することを抑制でき、前記上限値以下であれば、導電層の耐水性がより高くなる。
ポリエステル樹脂(1)を形成するジグリコール成分としては、ジエチレングリコール、炭素数2以上8以下の脂肪族又は炭素数6以上12以下の脂環族グリコール等が挙げられる。炭素数2以上8以下の脂肪族又は炭素数6以上12以下の脂環族グリコールの具体例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、p−キシリレングリコール、トリエチレングリコールなどが挙げられる。前記ジグリコール成分は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ジグリコール成分は、耐水性及び耐溶剤性をより向上させることから、ジエチレングリコールを含むことが好ましい。
ポリエステル樹脂(1)の数平均分子量は2,000以上30,000以下であることが好ましく、2,500以上25,000以下であることがより好ましい。ポリエステル樹脂(1)の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて溶出時間を測定し、分子量既知のポリスチレン標準物質から予め得た、溶出時間対分子量の校正曲線に基づいて求めた数基準の分子量のことである。
ポリエステル樹脂(1)の数平均分子量が前記下限値以上であれば、ポリエステル樹脂(1)の耐水性がより高くなり、前記上限値以下であれば、ポリエステル樹脂(1)の水分散性がより高くなる。
ポリエステル樹脂(1)の製造方法としては特に制限されず、例えば、ジカルボン酸成分とジグリコール成分とを130℃以上200℃以下でエステル化あるいはエステル交換反応させ、次に減圧条件下において200℃以上250℃以下で重縮合反応させる方法が挙げられる。前記ポリエステル樹脂(1)の製造方法において用いられる反応触媒としては、酢酸亜鉛、酢酸マンガン等の酢酸金属塩、酸化アンチモン、酸化ゲルマニウム等の金属酸化物、チタン化合物などが挙げられる。
得られたポリエステル樹脂(1)は、水に添加して水分散体としてもよい。ポリエステル樹脂(1)の水分散体は、固形分濃度が高くなると、均一分散体が得られにくくなるため、ポリエステル固形分濃度は30質量%以下が好ましい。
導電性高分子分散液におけるバインダ成分の含有量は、導電性複合体に対して100質量部以上10000質量部以下であることが好ましく、100質量部以上5000質量部以下であることがより好ましく、100質量部以上1000質量部以下であることがさらに好ましい。バインダ成分の含有量が前記下限値以上であれば、導電層の強度を向上させることができ、前記上限値以下であれば、導電性複合体の含有量が少なくなることによる導電性の低下を防ぐことができる。
(分散媒)
本態様で使用される分散媒としては、水、有機溶剤、水と有機溶剤との混合液が挙げられる。
有機溶剤としては、例えば、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤等が挙げられる。
アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、アリルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアルキルエーテル等が挙げられる。
ケトン系溶剤としては、例えば、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルエチルケトン、アセトン、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン等が挙げられる。
前記有機溶剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機溶剤のなかでも、導電性複合体、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂及びグリシジル基含有アクリル系樹脂の分散性をより高くできることから、メタノールが好ましい。
後述するように、導電性複合体は水分散体として得られるから、導電性高分子分散液においても分散媒は水を含有することが好ましい。導電性高分子分散液を構成する全分散媒における水の含有割合は、50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、80質量%以上100質量%であることがより好ましく、90質量%以上100質量%であることがさらに好ましい。分散媒の全てが水であってもよい。
(高導電化剤)
導電性高分子分散液は、導電性をより向上させるために、高導電化剤を含んでもよい。
ここで、前述したπ共役系導電性高分子、ポリアニオン、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂、グリシジル基含有アクリル系樹脂及びバインダ成分は、高導電化剤に分類されない。
高導電化剤は、糖類、窒素含有芳香族性環式化合物、2個以上のヒドロキシ基を有する化合物、1個以上のヒドロキシ基及び1個以上のカルボキシ基を有する化合物、アミド基を有する化合物、イミド基を有する化合物、ラクタム化合物、グリシジル基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
導電性高分子分散液に含有される高導電化剤は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
導電性高分子分散液における高導電化剤の含有割合は導電性複合体100質量部に対して、1質量部以上10000質量部以下であることが好ましく、10質量部以上5000質量部以下であることがより好ましく、100質量部以上2500質量部以下であることがさらに好ましい。高導電化剤の含有割合が前記下限値以上であれば、高導電化剤添加による導電性向上効果が充分に発揮され、前記上限値以下であれば、π共役系導電性高分子濃度の低下に起因する導電性の低下を防止できる。
(その他の添加剤)
導電性高分子分散液には、公知のその他の添加剤が含まれてもよい。
添加剤としては、本発明の効果が得られる限り特に制限されず、例えば、界面活性剤、無機導電剤、消泡剤、カップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを使用できる。ただし、添加剤は、前述したπ共役系導電性高分子、ポリアニオン、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂、グリシジル基含有アクリル系樹脂、バインダ成分及び高導電化剤以外の化合物からなる。
界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系の界面活性剤が挙げられるが、保存安定性の面からノニオン系が好ましい。また、ポリビニルピロリドンなどのポリマー系界面活性剤を添加してもよい。
無機導電剤としては、金属イオン類、導電性カーボン等が挙げられる。なお、金属イオンは、金属塩を水に溶解させることにより生成させることができる。
消泡剤としては、シリコーン樹脂、ポリジメチルシロキサン、シリコーンオイル等が挙げられる。
カップリング剤としては、エポキシ基、ビニル基又はアミノ基を有するシランカップリング剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、糖類等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキサニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
導電性高分子分散液が上記添加剤を含有する場合、その含有割合は、添加剤の種類に応じて適宜決められるが、例えば、導電性複合体100質量部に対して、0.001質量部以上5質量部以下の範囲とすることができる。
(導電性高分子分散液の製造方法)
本態様の導電性高分子分散液を製造する方法としては、例えば、ポリアニオンの水溶液中で、π共役系導電性高分子を形成するモノマーを化学酸化重合して、導電性複合体の水分散液を調製し、その水分散液に、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂、グリシジル基含有アクリル系樹脂を添加する方法が挙げられる。導電性高分子分散液に、バインダ成分、高導電化剤、その他の添加剤等を含有させる場合には、前記水分散液に添加すればよい。バインダ成分は、バインダ成分単独で前記水分散液に添加してもよいし、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂又はグリシジル基含有アクリル系樹脂との混合物として添加してもよい。
また、導電性複合体の水分散液は市販のものを使用しても構わない。
前記化学酸化重合には、公知の触媒を適用してもよい。例えば、触媒及び酸化剤を用いることができる。触媒としては、例えば、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄、塩化第二銅等の遷移金属化合物等が挙げられる。酸化剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩が挙げられる。酸化剤は、還元された触媒を元の酸化状態に戻すことができる。
導電性高分子水分散液に含まれる導電性複合体の含有量としては、導電性高分子分散液の総質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.3質量%以上5質量%以下が好ましく、0.5質量%以上4質量%以下がより好ましい。
(作用効果)
本態様の導電性高分子分散液は、π共役系導電性複合体及びポリアニオンを含む導電性複合体を含有するため、該導電性高分子分散液から形成される層は、導電性を有する導電層となる。
従来、界面活性剤を用いてプラスチック基材の表面に導電性を付与することがあった。特に、疎水性が高いポリオレフィン系樹脂基材に導電性を付与する際には、界面活性剤によって導電性を付与することが多かった。しかし、界面活性剤によって得られる導電性は湿度依存性が高く、低湿度環境下では導電性が低下する傾向にある。これに対し、π共役系導電性高分子によって導電性を発現させる本態様では、導電性に湿度依存性がなく、安定した導電性を発揮することができる。
π共役系導電性高分子を含む導電性高分子分散液は、その製造方法に由来して水系分散液であることが多いため、プラスチック基材に対する濡れ性が低い。そのため、従来の導電性高分子分散液から形成される導電層は、プラスチック基材に対する接着性が低く、なかでも、ポリオレフィン系樹脂から構成される基材に対する接着性は特に低い。また、従来の導電性高分子分散液から形成される導電層は耐水性が低い。
しかし、本態様の導電性高分子分散液は、ポリオレフィン系樹脂を含み、ポリオレフィン系樹脂に対する親和性が高いカルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂を含むため、該導電性高分子分散液から構成される導電層の疎水性を向上させることができる。そのため、プラスチック基材に対する導電層の親和性を向上させることができる。
また、プラスチック基材と、導電性複合体を構成するポリアニオンとの間に、グリシジル基含有アクリル系樹脂が介在することによって、疎水性であるプラスチック基材に対し、親水性であるポリアニオンが固定化されると推測される。
これらのことから、水系の導電性高分子分散液から形成される導電層の、プラスチック基材に対する接着性が向上すると推測される。
特に、表面に親水化処理が施されているプラスチック基材に本態様の導電性高分子分散液が塗工される場合には、プラスチック基材表面に生じた親水基(ヒドロキシ基、カルボキシ基等)に、グリシジル基含有アクリル系樹脂が容易に反応する。そのため、プラスチック基材に対する接着性がより高くなると考えられる。
また、本態様の導電性高分子分散液は、カルボン酸基含有ポリオレフィン樹脂と共にグリシジル基含有アクリル系樹脂を含有することにより、導電性高分子分散液から形成される導電層の耐水性を向上させることができる。その詳細な理由は明らかではないが、導電層内において、導電性複合体とグリシジル基含有アクリル系樹脂とカルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂とが反応して架橋構造を形成していることで、導電層が水に溶けにくくなっているためと推測される。また、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂が中和されていても、ポリアニオンがカルボキシ基についた陽イオンを引き抜き、グリシジル基含有アクリル系樹脂とカルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂とが反応する。
したがって、本態様の導電性高分子分散液によれば、プラスチック基材に対する接着性と耐水性とが優れた導電層を容易に形成できる。
なお、本態様の導電性高分子分散液は、主として、後述するようにフィルム基材に塗工されるものであるが、フィルム基材以外の立体形状のプラスチック基材に塗工されてもよい。
<導電性フィルム>
本発明の一態様の導電性フィルムは、フィルム基材と、前記フィルム基材の少なくとも一方の面に、前記導電性高分子分散液から形成された導電層とを備える。
本態様の導電性フィルムは、そのまま包装材料として使用されてもよいし、後述するように帯電防止性容器の成形用材料として使用されてもよい。本態様の導電性フィルムからなる包装材料は、導電層が帯電防止層として機能し、例えば、埃の付着を防ぐことができる。そのため、包装材料への埃の付着によって、包装した商品(例えば、食品等)の見栄えを損ねることを防止できる。
前記フィルム基材は、プラスチックフィルムである。
プラスチックフィルムを構成するフィルム基材用樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン、ポリアリレート、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなどが挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−αオレフィン共重合樹脂、プロピレン−αオレフィン共重合樹脂等が挙げられる。
本態様は、プラスチックフィルムのなかでも疎水性がより高いポリオレフィン系樹脂フィルム、特にポリプロピレンフィルムを用いた場合に好適である。本態様では、疎水性が特に高いフィルム基材であっても、導電層の接着性を高くできる。
また、フィルム基材は、未延伸のものでもよいし、延伸されたものでもよい。
また、フィルム基材の表面には、後述する親水化処理によって、カルボキシ基、ヒドロキシ基等の親水基が形成されていてもよい。
前記フィルム基材の平均厚みとしては、10μm以上500μm以下であることが好ましく、20μm以上200μm以下であることがより好ましい。フィルム基材の平均厚みが前記下限値以上であれば、破断しにくくなり、前記上限値以下であれば、フィルムとして充分な可撓性を確保できる。
本明細書における部材の厚さは、任意の10箇所について厚さを測定し、その測定値を平均した値である。
本態様における導電層は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂、グリシジル基含有アクリル系樹脂、これら1種又は2種以上が反応して生じた反応物を含有する。なお、前記反応物の詳細な構造を分析することは必ずしも容易ではない。
導電性フィルム製造の際に使用する導電性高分子分散液にバインダ成分が含まれる場合には、導電層にバインダ樹脂が含まれる。
前記導電層の平均厚さとしては、10nm以上20000nm以下であることが好ましく、20nm以上10000nm以下であることがより好ましく、30nm以上5000nm以下であることがさらに好ましい。導電層の平均厚さが前記下限値以上であれば、充分に高い導電性を発揮でき、前記上限値以下であれば、導電層を容易に形成できる。
本態様の導電性フィルムは、フィルム基材の少なくとも一方の面に、前記導電性高分子分散液を塗工し、乾燥させて導電層を形成することにより製造できる。
導電性高分子分散液を塗工する前には、フィルム基材に、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理等の親水化処理を施して、フィルム基材の表面に親水基(ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルボニル基等)を形成することが好ましい。フィルム基材が親水化処理されていると、導電層の接着性をさらに向上させることができる。親水化処理のなかでも、フィルム基材の表面を簡便に親水化できることから、コロナ放電処理が好ましい。
フィルム基材に導電性高分子分散液を塗工する方法としては、例えば、スリットコーター、スプレーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター、スピンコーター、バーコーター、リバースコーター、キスコーター、ファウンテンコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、キャストコーター、スクリーンコーター等のコーターを用いた塗工方法、ディップ等の浸漬方法等を適用することができる。
導電性高分子分散液を塗工した後の乾燥方法としては、加熱乾燥、真空乾燥等が挙げられる。導電性複合体、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂及びグリシジル基含有アクリル系樹脂の反応を促す点では、加熱乾燥することが好ましい。加熱乾燥としては、例えば、熱風加熱や、赤外線加熱などの通常の方法を採用できる。
加熱乾燥を適用する場合、加熱温度は、使用する分散媒に応じて適宜設定されるが、通常は50℃以上150℃以下の範囲であり、好ましくは60℃以上130℃以下、より好ましくは70℃以上120℃以下の範囲内である。ここで、加熱温度は、乾燥装置の設定温度である。
また、充分に分散媒を除去する点で、乾燥時間は30秒以上であることが好ましい。
<帯電防止性容器>
本発明の一態様の帯電防止性容器は、前記導電性フィルムの成形体からなる。本態様の帯電防止性容器は、導電性複合体を含む導電層によって帯電防止性を発揮する。
本態様の帯電防止性容器の形状は特に制限されず、搬送又は保管する物品を収容できる空間が形成されていればよい。本態様の帯電防止性容器に収容される物品は、電子部品等の、静電気の放電によって破壊されるおそれのある部品が好適である。電子部品を収容する帯電防止性容器としては、電子部品を収容する凹部が複数形成されたテープ状又はシート状の容器が挙げられる。電子部品としては、例えば、IC、LSI、キャパシタ等が挙げられる。
帯電防止性容器は、前記導電性フィルムを成形することにより製造される。成形方法としては、例えば、真空成形法、圧空成形法、プレス成形法等を適用することができる。これら成形方法のなかでも、物品を収容する凹部を容易に且つ低コストで形成できる点では、真空成形法が好ましい。
(製造例1)
1000mlのイオン交換水に206gのスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃で攪拌しながら、予め10mlの水に溶解した1.14gの過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を20分間滴下し、この溶液を12時間攪拌した。
得られたスチレンスルホン酸ナトリウム含有溶液に10質量%に希釈した硫酸を1000ml添加し、限外ろ過法によりポリスチレンスルホン酸含有溶液の約1000ml溶液を除去し、残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000ml溶液を除去した。上記の限外ろ過操作を3回繰り返した。さらに、得られたポリスチレンスルホン酸溶液に約2000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法により約2000mlの溶液を除去した。この限外ろ過操作を3回繰り返した。
得られた溶液中の水を減圧除去して、無色の固形状のポリスチレンスルホン酸を得た。
(製造例2)
14.2gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、36.7gのポリスチレンスルホン酸を2000mlのイオン交換水に溶かした溶液とを20℃で混合させた。
これにより得られた混合溶液を20℃に保ち、掻き混ぜながら、200mlのイオン交換水に溶かした29.64gの過硫酸アンモニウムと8.0gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくり添加し、3時間攪拌して反応させた。
得られた反応液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000ml溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
そして、得られた溶液に200mlの10質量%に希釈した硫酸と2000mlのイオン交換水とを加え、限外ろ過法により約2000mlの溶液を除去し、これに2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000ml溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
さらに、得られた溶液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000mlの溶液を除去した。この操作を5回繰り返し、1.2%のポリスチレンスルホン酸ドープポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT−PSS水分散液)溶液を得た。なお、PEDOT−PSS固形分に対するPSSの含有量は75質量%である。
(製造例3)
ビーカーに、イオン交換水18質量部、アニオン系界面活性剤(三洋化成工業株式会社製、エレミノールRS−3000、有効成分50質量%)3質量部を仕込んだ。その後、ビーカー内を攪拌しつつ、メタクリル酸グリシジル40質量部を投入して、モノマー乳化液を調製した。
次いで、コンデンサ、モノマー滴下用ロート、温度計及び攪拌機を備えた四つ口フラスコに、イオン交換水37.5質量部、アニオン系界面活性剤(三洋化成工業株式会社製、エレミノールRS−3000)1質量部、過硫酸カリウム0.5質量部を仕込んだ。その後、フラスコ内を攪拌しつつ窒素置換し、加熱を開始し、75℃に到達後、前記モノマー乳化液を4時間かけて滴下した。滴下終了後も液温を75℃以上85℃以下の範囲に維持することで反応を進め、滴下終了から4時間後に冷却した。冷却後、イオン交換水をさらに加えて、不揮発分25質量%のグリシジル基含有アクリル系樹脂水分散体を得た。
(実施例1)
製造例2で得たPEDOT−PSS水分散液40gに、水30gと、カルボキシ基含有ポリプロピレン樹脂(ユニチカ株式会社製、アローベースDB−4005N、カルボン酸価20mgKOH/g以上30mgKOH/g以下、固形分濃度20質量%、表中では「DB−4005N」と表記する。)10gと、グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX、水分散体、固形分濃度20質量%、グリシジル基含有アクリル系樹脂:ポリエステル樹脂=70:30(質量比)、エポキシ価679g/当量、表中では「A−647GEX」と表記する。)20gと、メタノール200gとを添加し、混合して、導電性高分子分散液を得た。
得られた導電性高分子分散液を、No.4のバーコーターを用いて、表面にコロナ処理を施したポリプロピレンフィルム上に塗工し、85℃で1分間乾燥させ、導電層を形成して、導電性フィルムを得た。
(実施例2)
グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)を、グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−645GH、水分散体、固形分濃度30質量%、グリシジル基含有アクリル系樹脂:ポリエステル樹脂=50:50(質量比)、表中では「A−645GH」と表記する。)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例3)
グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)を、製造例3で得たグリシジル基含有アクリル系樹脂水分散体に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例4)
カルボキシ基含有ポリプロピレン樹脂(ユニチカ株式会社製、アローベースDB−4005N)の量を15gに、グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)の量を15gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例5)
グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)を、グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−645GH)に変更したこと以外は実施例4と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例6)
グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)を、製造例3で得たグリシジル基含有アクリル系樹脂水分散体に変更したこと以外は実施例4と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例7)
カルボキシ基含有ポリプロピレン樹脂(ユニチカ株式会社製、アローベースDB−4005N)の量を20gに、グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)の量を10gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例8)
グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)を、グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−645GH)に変更したこと以外は実施例7と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例9)
グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)を、製造例3で得たグリシジル基含有アクリル系樹脂水分散体に変更したこと以外は実施例7と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例10)
カルボキシ基含有ポリプロピレン樹脂(ユニチカ株式会社製、アローベースDB−4005N)を、カルボキシ基含有ポリプロピレン樹脂(ユニチカ株式会社製、アローベースTC−4010、カルボン酸価45mgKOH/g以上55mgKOH/g以下、固形分濃度25質量%、表中では「TC−4010」と表記する。)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例11)
グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)を、グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−645GH)に変更したこと以外は実施例10と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例12)
グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)を、製造例3で得たグリシジル基含有アクリル系樹脂水分散体に変更したこと以外は実施例10と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例13)
カルボキシ基含有ポリプロピレン樹脂(ユニチカ株式会社製、アローベースTC−4010)の量を15gに、グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)の量を15gに変更したこと以外は実施例10と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例14)
グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)を、グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−645GH)に変更したこと以外は実施例13と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例15)
グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)を、製造例3で得たグリシジル基含有アクリル系樹脂水分散体に変更したこと以外は実施例13と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例16)
カルボキシ基含有ポリプロピレン樹脂(ユニチカ株式会社製、アローベースTC−4010)の量を20gに、グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)の量を10gに変更したこと以外は実施例10と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例17)
グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)を、グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−645GH)に変更したこと以外は実施例16と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例18)
グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)を、製造例3で得たグリシジル基含有アクリル系樹脂水分散体に変更したこと以外は実施例16と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例19)
カルボキシ基含有ポリプロピレン樹脂(ユニチカ株式会社製、アローベースDB−4005N)を、カルボキシ基含有ポリプロピレン樹脂(ユニチカ株式会社製、アローベースSD−1015J2、カルボン酸価20mgKOH/g以上30mgKOH/g以下、固形分濃度20質量%、表中では「SD−1015J2」と表記する。)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例20)
グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)を、グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−645GH)に変更したこと以外は実施例19と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例21)
グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)を、製造例3で得たグリシジル基含有アクリル系樹脂水分散体に変更したこと以外は実施例19と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例22)
カルボキシ基含有ポリプロピレン樹脂(ユニチカ株式会社製、アローベースSD−1015J2)の量を15gに、グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)の量を15gに変更したこと以外は実施例19と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例23)
グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)を、グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−645GH)に変更したこと以外は実施例22と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例24)
グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)を、製造例3で得たグリシジル基含有アクリル系樹脂水分散体に変更したこと以外は実施例22と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例25)
カルボキシ基含有ポリプロピレン樹脂(ユニチカ株式会社製、アローベースSD−1015J2)の量を20gに、グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)の量を10gに変更したこと以外は実施例19と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例26)
グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)を、グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−645GH)に変更したこと以外は実施例25と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例27)
グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)を、製造例3で得たグリシジル基含有アクリル系樹脂水分散体に変更したこと以外は実施例25と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例28)
カルボキシ基含有ポリプロピレン樹脂(ユニチカ株式会社製、アローベースDB−4005N)を、カルボキシ基含有ポリプロピレン樹脂とウレタン樹脂の混合液(第一工業製薬株式会社製、F2400D−1、水分散体、カルボン酸価35mgKOH/g、固形分濃度30質量%、カルボキシ基含有ポリプロピレン:ウレタン樹脂=40:60(質量比)、表中では「F2400D−1」と表記する。)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例29)
グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)を、グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−645GH)に変更したこと以外は実施例28と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例30)
グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)を、製造例3で得たグリシジル基含有アクリル系樹脂水分散体に変更したこと以外は実施例28と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例31)
カルボキシ基含有ポリプロピレン樹脂とウレタン樹脂の混合液(第一工業製薬株式会社製、F2400D−1)の量を15gに、グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)の量を15gに変更したこと以外は実施例28と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例32)
グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)を、グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−645GH)に変更したこと以外は実施例31と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例33)
グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)を、製造例3で得たグリシジル基含有アクリル系樹脂水分散体に変更したこと以外は実施例31と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例34)
カルボキシ基含有ポリプロピレン樹脂とウレタン樹脂の混合液(第一工業製薬株式会社製、F2400D−1)の量を20gに、グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)の量を10gに変更したこと以外は実施例28と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例35)
グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)を、グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−645GH)に変更したこと以外は実施例34と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例36)
グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)を、製造例3で得たグリシジル基含有アクリル系樹脂水分散体に変更したこと以外は実施例34と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例37)
カルボキシ基含有ポリプロピレン樹脂(ユニチカ株式会社製、アローベースDB−4005N)を、カルボキシ基含有ポリプロピレン樹脂とウレタン樹脂の混合液(第一工業製薬株式会社製、F2400D−2、水分散体、カルボン酸価35mgKOH/g、固形分濃度30質量%、カルボキシ基含有ポリプロピレン:ウレタン樹脂=50:50(質量比)、表中では「F2400D−2」と表記する。)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例38)
グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)を、グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−645GH)に変更したこと以外は実施例37と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例39)
グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)を、製造例3で得たグリシジル基含有アクリル系樹脂水分散体に変更したこと以外は実施例37と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例40)
カルボキシ基含有ポリプロピレン樹脂とウレタン樹脂の混合液(第一工業製薬株式会社製、F2400D−2)の量を15gに、グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)の量を15gに変更したこと以外は実施例37と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例41)
グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)を、グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−645GH)に変更したこと以外は実施例40と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例42)
グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)を、製造例3で得たグリシジル基含有アクリル系樹脂水分散体に変更したこと以外は実施例40と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例43)
カルボキシ基含有ポリプロピレン樹脂とウレタン樹脂の混合液(第一工業製薬株式会社製、F2400D−2)の量を20gに、グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)の量を10gに変更したこと以外は実施例37と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例44)
グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)を、グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−645GH)に変更したこと以外は実施例43と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(実施例45)
グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)を、製造例3で得たグリシジル基含有アクリル系樹脂水分散体に変更したこと以外は実施例43と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(比較例1)
PEDOT−PSS水分散液40gに、カルボキシ基含有ポリプロピレン樹脂(ユニチカ株式会社製、アローベースDB−4005N)10g、グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)20gを添加せず、それらの代わりに水の添加量を60gに増やしたこと以外は実施例1と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(比較例2)
PEDOT−PSS水分散液40gに、グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)20gを添加せず、その代わりにカルボキシ基含有ポリプロピレン樹脂(ユニチカ株式会社製、アローベースDB−4005N)の添加量を30gに増やしたこと以外は実施例1と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(比較例3)
PEDOT−PSS水分散液40gに、グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)20gを添加せず、その代わりにカルボキシ基含有ポリプロピレン樹脂(ユニチカ株式会社製、アローベースTC−4010)の添加量を30gに増やしたこと以外は実施例10と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(比較例4)
PEDOT−PSS水分散液40gに、グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)20gを添加せず、その代わりにカルボキシ基含有ポリプロピレン樹脂(ユニチカ株式会社製、アローベースSD−1015J2)の添加量を30gに増やしたこと以外は実施例19と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(比較例5)
PEDOT−PSS水分散液40gに、グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)20gを添加せず、その代わりにカルボキシ基含有ポリプロピレン樹脂とウレタン樹脂の混合液(第一工業製薬株式会社製、F2400D−1)の添加量を30gに増やしたこと以外は実施例28と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(比較例6)
PEDOT−PSS水分散液40gに、グリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)20gを添加せず、その代わりにカルボキシ基含有ポリプロピレン樹脂とウレタン樹脂の混合液(第一工業製薬株式会社製、F2400D−2)の添加量を30gに増やしたこと以外は実施例37と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(比較例7)
PEDOT−PSS水分散液40gに、カルボキシ基含有ポリプロピレン樹脂(ユニチカ株式会社製、アローベースDB−4005N)10gを添加せず、その代わりにグリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−647GEX)の添加量を30gに増やしたこと以外は実施例1と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(比較例8)
PEDOT−PSS水分散液40gに、カルボキシ基含有ポリプロピレン樹脂(ユニチカ株式会社製、アローベースDB−4005N)10gを添加せず、その代わりにグリシジル基含有アクリル系樹脂とポリエステル樹脂の混合液(高松油脂株式会社製、ペスレジンA−645GH)の添加量を30gに増やしたこと以外は実施例2と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
(比較例9)
PEDOT−PSS水分散液40gに、カルボキシ基含有ポリプロピレン樹脂(ユニチカ株式会社製、アローベースDB−4005N)10gを添加せず、その代わりに製造例3で得たグリシジル基含有アクリル系樹脂の添加量を30gに増やしたこと以外は実施例3と同様にして、導電性高分子分散液を得た。その導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
<評価>
[表面抵抗値]
各例の導電性フィルムの導電層について、表面抵抗値を、抵抗率計(株式会社三菱化学アナリティック製ハイレスタ)を用い、印加電圧10Vの条件で測定した。表面抵抗値の測定結果を表1〜3に示す。
[接着性]
各例の導電性フィルムにおいて、導電層の表面にセロハンテープを貼り付けた後、そのセロハンテープを剥離した。その際の導電層の剥離の有無を目視により観察し、接着性を下記基準で評価した。評価結果を表1〜3に示す。
A:導電層の剥離がなく、接着性が高い。
B:導電層の剥離があり、接着性が低い。
[耐水性]
各例の導電性フィルムにおいて、導電層の表面に、水を含ませた不織布を100g/cmの圧力で10往復擦った。その際の導電層の剥離の有無を目視により観察し、耐水性を下記基準で評価した。評価結果を表1〜3に示す。
A:導電層の剥離がなく、耐水性が高い。
B:導電層に複数本の傷が生じ、耐水性がやや低い。
C:導電層の剥離があり、耐水性が低い。
Figure 2019032967
Figure 2019032967
Figure 2019032967
導電性複合体と共にカルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂及びグリシジル基含有アクリル樹脂を含む導電性高分子分散液から導電層を形成した実施例1〜45では、導電層の表面抵抗値が小さく、導電性が高かった。また、実施例1〜45の導電性フィルムは、フィルム基材に対する導電層の接着性が高く、導電層の耐水性も高かった。
これに対し、導電性複合体を含むが、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂及びグリシジル基含有アクリル樹脂を含まない導電性高分子分散液から導電層を形成した比較例1では、フィルム基材に対する導電層の接着性、導電層の耐水性が共に低かった。
導電性複合体及びカルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂を含むが、グリシジル基含有アクリル樹脂を含まない導電性高分子分散液から導電層を形成した比較例2〜6では、導電層の耐水性が低かった。
導電性複合体及びグリシジル基含有アクリル樹脂を含むが、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂を含まない導電性高分子分散液から導電層を形成した比較例7〜9では、フィルム基材に対する導電層の接着性、導電層の耐水性が共に低かった。
(実施例46)
実施例1の導電性フィルムを、上型と凹部を備える下型を備える真空成形機を用いて真空成形した。具体的には、上型と下型とを開いた状態にて、導電性フィルムを上型と下型との間に配置し、上型のヒーターによって、フィルム表面温度を測定しながら加熱した。
フィルム表面温度が150℃に到達した後、下型を上型に向けて上昇させて導電性フィルムに押し当て、その状態のまま下型側から真空引きし、20秒間保持した。その後、40℃に冷却し、下型を下降させ、成形体を取り出した。
なお、成形体は、開口部の直径が100mmの円形で、深さが30mmの円筒状凹部を備えたものである。また、真空成形の際の延伸倍率は3倍とした。
真空成形によって得られた成形体についても、表面抵抗値を測定し、導電層の接着性及び耐水性を評価した。結果を表2に示す。
得られた成形体は、導電性、フィルム基材に対する導電層の接着性、導電層の耐水性のいずれもが高かった。このような成形体は、電子部品等を収容する帯電防止性容器として好適に使用できる。

Claims (18)

  1. π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂と、グリシジル基含有アクリル樹脂と、分散媒とを含有する、導電性高分子分散液。
  2. 前記カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂が中和されている、請求項1に記載の導電性高分子分散液。
  3. 前記分散媒が水を含有する、請求項1又は2に記載の導電性高分子分散液。
  4. 前記π共役系導電性高分子がポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液。
  5. 前記ポリアニオンがポリスチレンスルホン酸である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液。
  6. バインダ成分をさらに含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液。
  7. 前記バインダ成分がポリエステル樹脂である、請求項6に記載の導電性高分子分散液。
  8. フィルム基材と、該フィルム基材の表面に、請求項1〜7のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液から形成された導電層とを備える、導電性フィルム。
  9. 前記フィルム基材がポリオレフィン系樹脂のフィルムである、請求項8に記載の導電性フィルム。
  10. 前記ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン樹脂である、請求項9に記載の導電性フィルム。
  11. フィルム基材の少なくとも一方の面に、請求項1〜7のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液を塗工し、乾燥させて導電層を形成する、導電性フィルムの製造方法。
  12. 前記フィルム基材としてポリオレフィン系樹脂のフィルムを用いる、請求項11に記載の導電性フィルムの製造方法。
  13. 前記ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン樹脂である、請求項12に記載の導電性フィルムの製造方法。
  14. 前記フィルム基材として、その表面に親水化処理を施したものを用いる、請求項11〜13のいずれか一項に記載の導電性フィルムの製造方法。
  15. 前記親水化処理がコロナ放電処理である、請求項14に記載の導電性フィルムの製造方法。
  16. 請求項8〜10のいずれか一項に記載の導電性フィルムの成形体からなる、帯電防止性容器。
  17. 請求項11〜15のいずれか一項に記載の導電性フィルムの製造方法により導電性フィルムを製造する工程と、前記導電性フィルムを成形する工程と、を有する帯電防止性容器の製造方法。
  18. 前記導電性フィルムを成形する工程では、導電性フィルムを真空成形する、請求項17に記載の帯電防止性容器の製造方法。
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