JP2020183504A - 導電性高分子含有液及びその製造方法、並びに導電性フィルムの製造方法 - Google Patents

導電性高分子含有液及びその製造方法、並びに導電性フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フィルム基材に対する濡れ性に優れ、塗工後の乾燥速度が適度に速い導電性高分子含有液と、製造効率が向上した導電性高分子含有液の製造方法と、導電性フィルムの製造方法を提供する。【解決手段】π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、水と、有機溶剤と、分子量1000以下の含ケイ素有機化合物と、を含む導電性高分子含有液であり、前記導電性高分子含有液の総質量に対する前記有機溶剤の含有量が30質量%以上90質量%以下であり、前記導電性複合体100質量部に対する前記含ケイ素有機化合物の含有量が100質量部以上10000質量部以下である、導電性高分子含有液。【選択図】なし

Description

本発明は、導電性高分子含有液及びその製造方法、並びに導電性フィルムの製造方法に関する。
主鎖がπ共役系で構成されているπ共役系導電性高分子は、アニオン基を有するポリアニオンがドープすることによって導電性複合体を形成し、水に対する分散性が生じる。導電性複合体を含有する導電性高分子含有液(導電性高分子分散液ということもある。)をフィルム基材等に塗工することにより、導電層を備えた導電性フィルムを製造することができる。しかし、導電性高分子含有液を塗布するフィルム基材は、疎水性のプラスチックフィルムであることが多い。そのため、水を含む導電性高分子含有液のフィルム基材、特にポリプロピレンフィルムに対する濡れ性が悪く、フィルム基材上に形成する導電膜が機能し難い程に不均一になる問題があった。
そこで、導電性複合体の分散媒である水を有機溶剤に置換して用いることがある。例えば、水に分散された導電性複合体を凍結乾燥して乾燥体を得た後、該乾燥体に有機溶剤及びアミン化合物を添加したものが知られている(特許文献1)。
また、水に分散された導電性複合体に、オキシラン基及びオキセタン基の少なくとも一方を有する環状エーテル化合物を反応させて疎水化することにより、導電性高分子を有機溶剤に分散させる方法が知られている(特許文献2)。
特開2011−032382号公報 国際公開第2014/125827号
しかし、特許文献1〜2に記載の方法では、導電性複合体の分散媒を水から有機溶剤に置換する操作が必要であるため、導電性高分子含有液の製造効率を充分に高めることができない問題があった。また、分散媒として有機溶剤のみを含む導電性高分子含有液をフィルム基材に塗布した後の乾燥が早過ぎることがあり、塗工速度や塗工厚の調整に手間がかかることがあった。
本発明は、フィルム基材に対する濡れ性に優れ、塗工後の乾燥速度が適度に速い導電性高分子含有液と、製造効率が向上した導電性高分子含有液の製造方法と、導電性フィルムの製造方法を提供する。
[1] π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、水と、有機溶剤と、分子量1000以下の含ケイ素有機化合物と、を含む導電性高分子含有液であり、前記導電性高分子含有液の総質量に対する前記有機溶剤の含有量が30質量%以上90質量%以下であり、前記導電性複合体100質量部に対する前記含ケイ素有機化合物の含有量が100質量部以上10000質量部以下である、導電性高分子含有液。
[2] 前記有機溶剤がアルコール類を含む、[1]に記載の導電性高分子含有液。
[3] 前記有機溶剤がメタノール及びエタノールのうち少なくとも一方を含む、[1]又は[2]に記載の導電性高分子含有液。
[4] 前記含ケイ素有機化合物がアルコキシシランを含む、[1]〜[3]の何れか一項に記載の導電性高分子含有液。
[5] 前記含ケイ素有機化合物がトリメトキシビニルシランを含む、[1]〜[4]の何れか一項に記載の導電性高分子含有液。
[6] 前記含ケイ素有機化合物がテトラエトキシシランを含む、[1]〜[5]の何れか一項に記載の導電性高分子含有液。
[7] バインダ成分をさらに含有し、前記バインダ成分が水分散性樹脂である、[1]〜[6]の何れか一項に記載の導電性高分子含有液。
[8] 前記水分散性樹脂が水分散性ポリエステル樹脂を含む、[1]〜[7]の何れか一項に記載の導電性高分子含有液。
[9] 前記π共役系導電性高分子がポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である、[1]〜[8]のいずれか一項に記載の導電性高分子含有液。
[10] 前記ポリアニオンがポリスチレンスルホン酸である、[1]〜[9]のいずれか一項に記載の導電性高分子含有液。
[11] 有機溶剤に含ケイ素有機化合物を溶解させた有機シラン溶液と、水にπ共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体を分散させた分散液と、を混合することにより、導電性高分子含有液を製造する方法であって、前記混合の際に、前記導電性高分子含有液の総質量に対する前記有機溶剤の含有量を30質量%以上90質量%以下とし、且つ、前記導電性複合体100質量部に対する前記含ケイ素有機化合物の含有量を100質量部以上10000質量部以下とする、導電性高分子含有液の製造方法。
[12] 前記有機溶剤がメタノール及びエタノールのうち少なくとも一方を含み、前記含ケイ素有機化合物がアルコキシシランを含み、前記導電性複合体がポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)及びポリスチレンスルホン酸を含む、[11]に記載の導電性高分子含有液の製造方法。
[13] フィルム基材の少なくとも一方の面に、[1]〜[10]の何れか一項に記載の導電性高分子含有液を塗工し、前記フィルム基材上に形成した塗膜を乾燥することを含む、導電性フィルムの製造方法。
[14] 前記フィルム基材がポリオレフィン系樹脂からなるフィルムである、[13]に記載の導電性フィルムの製造方法。
[15] 前記ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン樹脂を含む、[14]に記載の導電性フィルムの製造方法。
本発明の導電性高分子含有液にあっては、含ケイ素有機化合物と有機溶剤を所定量含むので、フィルム基材に対する濡れ性に優れる。
本発明の導電性高分子含有液の製造方法によれば、導電性複合体の水分散液と、含ケイ素有機化合物と有機溶剤を所定量で含む有機シラン溶液とを混合するだけで、目的の導電性高分子含有液が得られる。この際、導電性複合体の分散媒を水から有機溶剤に置換する操作は必要ない。
本発明の導電性フィルムの製造方法によれば、導電性高分子含有液が有機溶剤だけでなく水を含むので、フィルム基材上に塗布した導電性高分子含有液の塗膜の乾燥が適度となり、均一でムラのない導電膜を容易に形成することができる。
≪導電性高分子含有液≫
本発明の第一態様の導電性高分子含有液は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、水と、有機溶剤と、分子量1000以下の含ケイ素有機化合物と、を含む導電性高分子含有液であり、前記導電性高分子含有液の総質量に対する前記有機溶剤の含有量が30質量%以上90質量%以下であり、前記導電性複合体100質量部に対する前記含ケイ素有機化合物の含有量が100質量部以上10000質量部以下である。
本発明の導電性高分子含有液において、導電性複合体は、分散状態であってもよいし、溶解状態であってもよい。
[導電性複合体]
本態様における導電性複合体は、π共役系導電性高分子とポリアニオンとを含む。導電性複合体中のポリアニオンはπ共役系導電性高分子にドープして、導電性を有する導電性複合体を形成している。
(π共役系導電性高分子)
π共役系導電性高分子としては、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であればよく、例えば、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン系導電性高分子、ポリアセチレン系導電性高分子、ポリフェニレン系導電性高分子、ポリフェニレンビニレン系導電性高分子、ポリアニリン系導電性高分子、ポリアセン系導電性高分子、ポリチオフェンビニレン系導電性高分子、及びこれらの共重合体等が挙げられる。空気中での安定性の点からは、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン類及びポリアニリン系導電性高分子が好ましく、透明性の面から、ポリチオフェン系導電性高分子がより好ましい。
ポリチオフェン系導電性高分子としては、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−エチルチオフェン)、ポリ(3−プロピルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3−クロロチオフェン)、ポリ(3−ヨードチオフェン)、ポリ(3−シアノチオフェン)、ポリ(3−フェニルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジブチルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−ブトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3−デシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヒドロキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジメトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジエトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジプロポキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジブトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジオクチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ブチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−メトキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−エトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン)が挙げられる。
ポリピロール系導電性高分子としては、ポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−n−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)が挙げられる。
ポリアニリン系導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)が挙げられる。
これらのπ共役系導電性高分子のなかでも、導電性、透明性、耐熱性の点から、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)が特に好ましい。
導電性複合体に含まれるπ共役系導電性高分子は、1種類でもよいし、2種類以上でもよい。
(ポリアニオン)
ポリアニオンは、アニオン基を有するモノマー単位を、分子内に2つ以上有する重合体である。このポリアニオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性を向上させる。
ポリアニオンのアニオン基としては、スルホ基、またはカルボキシ基であることが好ましい。
このようなポリアニオンの具体例としては、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、スルホ基を有するポリアクリル酸エステル、スルホ基を有するポリメタクリル酸エステル(例えば、ポリ(4−スルホブチルメタクリレート、ポリスルホエチルメタクリレート、ポリメタクリロイルオキシベンゼンスルホン酸)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸等のスルホ基を有する高分子や、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸)、ポリイソプレンカルボン酸等のカルボキシ基を有する高分子が挙げられる。ポリアニオンは、単一のモノマーが重合した単独重合体であってもよいし、2種以上のモノマーが重合した共重合体であってもよい。
これらポリアニオンのなかでも、導電性をより高くできることから、スルホ基を有する高分子が好ましく、ポリスチレンスルホン酸がより好ましい。
前記ポリアニオンは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリアニオンの質量平均分子量は2万以上100万以下であることが好ましく、10万以上50万以下であることがより好ましい。質量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィを用いて測定し、ポリスチレン換算で求めた質量基準の平均分子量である。
導電性複合体中の、ポリアニオンの含有割合は、π共役系導電性高分子100質量部に対して1質量部以上1000質量部以下の範囲であることが好ましく、10質量部以上700質量部以下であることがより好ましく、100質量部以上500質量部以下の範囲であることがさらに好ましい。ポリアニオンの含有割合が前記下限値以上であれば、π共役系導電性高分子へのドーピング効果が強くなる傾向にあり、導電性がより高くなる。一方、ポリアニオンの含有量が前記上限値以下であれば、π共役系導電性高分子を充分に含有させることができるから、充分な導電性を確保できる。
導電性複合体中のポリアニオンにおいては、アニオン基の全てがπ共役系導電性高分子にドープしてはおらず、ドープに関与しない余剰のアニオン基がある。この余剰のアニオン基は親水基であり、アニオン基が修飾されていない導電性複合体の分散性は、水系分散媒においては高く、有機溶剤においては低い。
[含ケイ素有機化合物]
本態様の含ケイ素有機化合物は、ケイ素原子を有する分子量1000以下の有機化合物であり、ケイ素−炭素結合を有する有機ケイ素化合物、ケイ素−水素結合を有するシラン化合物を含む。
本態様の含ケイ素有機化合物は、硬化することによりバインダ成分として機能するもの、すなわち硬化性化合物であることが好ましい。
本態様の含ケイ素有機化合物の分子量は、導電性高分子含有液における溶解性を考慮して、分子量1000以下であり、分子量500以下であることがより好ましく、分子量200以下であることがさらに好ましい。
硬化性化合物である含ケイ素有機化合物としては、例えば、1つ以上のアルコキシ基がケイ素に結合した有機化合物であることが好ましい。具体的には、トリアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン等のアルコキシシランが好ましい。
トリアルコキシシランの具体例として、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、(11−アジドウンデシル)トリメトキシシラン、ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、[ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−イル]トリエトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、(3−ブロモプロピル)トリメトキシシラン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、3−トリメトキシシリルプロピルクロリド、2−シアノエチルトリエトキシシラン、(クロロメチル)トリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、(クロロメチル)トリメトキシシラン、クロロトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、[3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、[3−(ジエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、3−[(ジメチルシリル)オキシ]−1,1,3,5,5−ペンタメチルトリシロキサン、トリエトキシエチルシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、[8−(グリシジルオキシ)−n−オクチル]トリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、イソシアン酸3−(トリエトキシシリル)プロピル、イソシアヌル酸トリス[3−(トリメトキシシリル)プロピル] 、トリエトキシメチルシラン、トリメトキシ(メチル)シラン、メタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル、(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン、メタクリル酸3−[トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル]プロピル、(3−メルカプトプロピル)トリエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、トリエトキシ−n−オクチルシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、トリエトキシフェニルシラン、ペンチルトリエトキシシラン、トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシ[3−(フェニルアミノ)プロピル]シラン、[3−(トリエトキシシリル)プロピル]カルバミン酸2−プロピニル、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリエトキシフルオロシラン、トリエトキシ−1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロ−n−オクチルシラン、トリメトキシ(プロピル)シラン、1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]尿素、(3−イソシアナトプロピル)トリメトキシシラン、トリメチル[3−(トリエトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロリド、トリメトキシ(p−トリル)シラン、トリエトキシ(3−グリシジルオキシプロピル)シラン、メタクリル酸3−(トリエトキシシリル)プロピル、トリメトキシ(3,3,3−トリフルオロプロピル)シラン、トリメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロリド、トリエトキシ(1H,1H,2H,2H−ノナフルオロヘキシル)シラン、トリエトキシ(プロピル)シラン、トリメトキシ[3−(メチルアミノ)プロピル]シラン、トリメトキシ−n−オクチルシラン、トリエトキシ−1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルシラン、トリメトキシ(1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル)シラン、トリメトキシ(1H,1H,2H,2H−ノナフルオロヘキシル)シラン、トリエトキシ(ペンタフルオロフェニル)シラン、トリメトキシ(11−ペンタフルオロフェノキシウンデシル)シラン、トリメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリエトキシ[5,5,6,6,7,7,7−ヘプタフルオロ−4,4−ビス(トリフルオロメチル)ヘプチル]シラン、1−(トリメトキシシリル)ナフタレン、トリメトキシ(ペンタフルオロフェニル)シラン、トリメトキシ(7−オクテン−1−イル)シラン、[3−(トリメトキシシリル)プロピル]こはく酸無水物、トリメトキシ(フェニルエチル)シラン、1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]尿素、ビニルトリメトキシシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−[2−(N−ビニルベンジルアミノ)エチル]−3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、等が挙げられる。
トリアルコキシシランのなかでも、導電性複合体の分散性を向上させ、均一な導電膜を形成し易いことから、ビニル基を有するトリアルコキシシランが好ましい。また、ビニル基を有するトリアルコキシシランと、ビニル基を有しないアルコキシシランとを併用することも好ましい。ビニル基を有しないアルコキシシランとしては、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、及び後述するテトラアルコキシシランから選択される1つ以上であることが好ましい。
テトラアルコキシシランの具体例として、例えば、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、等が挙げられる。
また、含ケイ素有機化合物は、例えば、テトラメトキシシランの部分縮合物(例えばコルコート株式会社製、メチルシリケート51など)やテトラエトキシシランの部分縮合物(例えばコルコート株式会社製、エチルシリケート48など)、等のシリケート化合物の具体例としてはが挙げられる。
本態様の導電性高分子含有液に含まれる含ケイ素有機化合物は、1種類でもよいし、2種類以上でもよい。
本態様に含まれる含ケイ素有機化合物の合計の含有量は、導電性複合体100質量部に対して、100質量部以上であり、200質量部以上であることが好ましく、300質量部以上であることがより好ましく、350質量部以上であることがさらに好ましく、400質量部以上であることが特に好ましい。
上記含有量が上記下限値以上であることにより、導電性高分子含有液における導電性複合体の分散性が向上し、均一でムラのない導電膜をフィルム基材上に形成することができる。
上記含有量の上限値は特に制限されないが、導電膜の強度や均一な膜質を保ち、充分な導電性を得る観点から、10000質量部以下であることが好ましく、5000質量部以下であることがより好ましく、1000質量部以下であることがさらに好ましい。
すなわち、上記含有量は、導電性複合体100質量部に対して、200質量部以上10000質量部以下であることが好ましく、300質量部以上5000質量部以下であることがより好ましく、400質量部以上1000質量部以下であることがさらに好ましい。
(有機溶剤)
本態様における有機溶剤は、水溶性有機溶剤でもよいし、非水溶性有機溶剤でもよいし、水溶性有機溶剤及び非水溶性有機溶剤の混合溶剤でもよいが、導電性高分子含有液における相分離を抑制する観点から、水溶性有機溶剤であることが好ましい。ここで、水溶性有機溶剤は、20℃の水100gに対する溶解量が1g以上の有機溶剤であり、非水溶性有機溶剤は、20℃の水100gに対する溶解量が1g未満の有機溶剤である。
水溶性有機溶剤としては、例えば、アルコール系溶剤(アルコール類)、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、窒素原子含有溶剤等が挙げられる。
アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール(イソプロパノール)、2−メチル−2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、アリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
ケトン系溶剤としては、例えば、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルエチルケトン、アセトン、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
窒素原子含有溶剤としては、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
水溶性有機溶剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
導電性高分子含有液のフィルム基材に対する塗工性が良好になることから、水溶性有機溶剤としてはアルコール系溶剤又はケトン系溶剤が好ましい。また、導電性高分子含有液における前記含ケイ素有機化合物の溶解性が向上することから、アルコール系溶剤がより好ましく、メタノール及びエタノールのうち少なくとも一方がさらに好ましい。
非水溶性有機溶剤としては、例えば、炭化水素系溶剤等が挙げられる。炭化水素系溶剤としては、例えば、脂肪族炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。
脂肪族炭化水素系溶剤としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ペンタン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン等が挙げられる。
非水溶性有機溶剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
非水溶性有機溶剤のなかでも、本態様における導電性高分子含有液を容易に製造できる点では、芳香族炭化水素系溶剤が好ましく、トルエンがより好ましい。
本態様の導電性高分子含有液における前記含ケイ素有機化合物の溶解性を高める観点から、導電性高分子含有液の総質量に対する前記有機溶剤の含有量は、30質量%以上である。また、親水性の導電性複合体の分散性を高める観点から、導電性高分子含有液の総質量に対する前記有機溶剤の含有量は、90質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましい。
すなわち、上記含有量は、導電性高分子含有液の総質量に対して、30質量%以上90質量%以下が好ましく、30質量%以上60質量%以下が好ましく、30質量%以上40質量%以下がさらに好ましい。
(水系分散媒)
本態様の溶媒は、水と有機溶剤とを含む水系分散である。
導電性高分子含有液の総質量に対する水の含有量は、有機溶剤の含有量が30質量%以上で上記好適な範囲に調整可能であれば特に制限されず、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、65質量%以上がさらに好ましい。
上記含有量の上限値は、70質量%未満である。
(導電性複合体の含有量)
導電性高分子含有液の総質量に対する、導電性複合体の含有量は、例えば、0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.3質量%以上5.0質量%以下がより好ましく、0.6質量%以上2.0質量%以下がさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、本態様の導電性高分子含有液を用いて形成する導電膜の導電性が充分に得られる。上記範囲の上限値以下であると、本態様の導電性高分子含有液における導電性複合体の分散性を高めることができる。
(バインダ成分)
導電性高分子含有液は、上述の含ケイ素有機化合物以外のバインダ成分を含んでいてもよい。バインダ成分は、前記π共役系導電性高分子及び前記ポリアニオン以外の樹脂又はその前駆体であり、熱可塑性樹脂、又は、導電層(導電膜)形成時に硬化する硬化性のモノマー又はオリゴマーである。熱可塑性樹脂はそのままバインダ樹脂となり、硬化性のモノマー又はオリゴマーは硬化により形成した樹脂がバインダ樹脂となる。
バインダ成分は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
バインダ成分由来のバインダ樹脂の具体例としては、例えば、アクリル樹脂(アクリル化合物)、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテル樹脂、メラミン樹脂、シリコーン等が挙げられる。
導電性高分子含有液の分散媒は水系分散媒であるので、含有するバインダ樹脂としては、水分散性樹脂が好ましく、水分散性エマルション樹脂がより好ましい。水分散性樹脂は、エマルション樹脂又は水溶性樹脂である。
水分散性エマルション樹脂の具体例としては、アクリル樹脂(アクリル化合物)、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂等であって、乳化剤によってエマルションにされたものが挙げられる。なかでも、導電性高分子含有液をフィルム基材に塗工した塗膜(導電膜)の強度が高くなることから、ポリエステルエマルションが好ましい。特に、ポリエステルフィルム基材に塗工する場合、フィルム基材に対する塗膜の密着性が高くなることから、ポリエステルエマルションが好ましい。
水溶性樹脂の具体例としては、アクリル樹脂(アクリル化合物)、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂であって、カルボキシ基やスルホ基等の酸基又はその塩を有するものが挙げられる。ここで、水溶性樹脂は、25℃の蒸留水100gに、1g以上、好ましくは5g以上、より好ましくは10g以上溶解するものが好ましい。
バインダ樹脂が有するカルボキシ基、スルホ基等の酸基は、ナトリウムイオンやカリウムイオン等のカチオンと塩を形成していてもよい。
硬化性のモノマー又はオリゴマーは、熱硬化性のモノマー又はオリゴマーであってもよいし、光硬化性のモノマー又はオリゴマーであってもよい。ここで、オリゴマーは、質量平均分子量が1万未満の重合体のことである。なお、質量平均分子量が1万を超えるポリマーは、硬化性を有さない。
硬化性のモノマーとしては、例えば、アクリルモノマー(アクリル化合物)、エポキシモノマー等が挙げられる。硬化性のオリゴマーとしては、例えば、アクリルオリゴマー(アクリル化合物)、エポキシオリゴマー等が挙げられる。
バインダ成分としてアクリルモノマー又はアクリルオリゴマーを用いた場合には、加熱又は光照射により容易に硬化させることができる。
硬化性のモノマー又はオリゴマーを含む場合には、さらに硬化触媒を含むことが好ましい。例えば、熱硬化性のモノマー又はオリゴマーを含む場合には、加熱によりラジカルを発生させる熱重合開始剤を含むことが好ましく、光硬化性のモノマー又はオリゴマーを含む場合には、光照射によりラジカルを発生させる光重合開始剤を含むことが好ましい。
導電性高分子含有液におけるバインダ成分(ただし、前記含ケイ素有機化合物は含まない)の含有割合は、導電性複合体100質量部に対して、100質量部以上20000質量部以下であることが好ましく、100質量部以上5000質量部以下であることがより好ましい。バインダ成分の含有割合が前記下限値以上であれば、導電性高分子含有液をフィルム基材に塗工する際の製膜性と膜強度を向上させることができる。バインダ成分の含有割合が前記上限値以下であれば、導電性複合体の含有割合の低下による導電性の低下を抑制することができる。
(高導電化剤)
導電性高分子含有液は、導電性をより向上させるために、高導電化剤を含んでもよい。
高導電化剤は、糖類、窒素含有芳香族性環式化合物、2個以上のヒドロキシ基を有する化合物、2個以上のカルボキシル基を有する化合物、1個以上のヒドロキシ基および1個以上のカルボキシ基を有する化合物、アミド基を有する化合物、イミド基を有する化合物、ラクタム化合物、グリシジル基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
ただし、高導電化剤は、前述したπ共役系導電性高分子及びポリアニオン、前記有機溶剤、前記含ケイ素有機化合物、及び前記バインダ成分以外の化合物である。
高導電化剤のなかでも、導電性向上の効果が高いことから、ヒドロキシ基を2つ有する直鎖状化合物であるグリコールが好ましく、プロピレングリコールがより好ましい。
導電性高分子含有液に含まれる高導電化剤は1種でもよいし、2種以上でもよい。
高導電化剤の含有割合は導電性複合体100質量部に対して、1質量部以上10000質量部以下であることが好ましく、10質量部以上5000質量部以下であることがより好ましく、100質量部以上2500質量部以下であることがさらに好ましい。高導電化剤の含有割合が前記下限値以上であれば、高導電化剤添加による導電性向上効果が充分に発揮され、前記上限値以下であれば、π共役系導電性高分子濃度の低下に起因する導電性の低下を防止できる。
(その他の添加剤)
導電性高分子含有液には、その他の添加剤が含まれてもよい。
添加剤としては、本発明の効果が得られる限り特に制限されず、例えば、界面活性剤、無機導電剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを使用できる。
ただし、添加剤は、前述したπ共役系導電性高分子、ポリアニオン、分散媒、前記含ケイ素有機化合物、バインダ成分、及び高導電化剤以外のものである。
界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系の界面活性剤が挙げられるが、保存安定性の面からノニオン系が好ましい。また、ポリビニルピロリドンなどのポリマー系界面活性剤を添加してもよい。
無機導電剤としては、金属イオン類、導電性カーボン等が挙げられる。なお、金属イオンは、金属塩を水に溶解させることにより生成させることができる。
消泡剤としては、シリコーン樹脂、ポリジメチルシロキサン、シリコーンオイル等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、糖類等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキサニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
導電性高分子含有液が前記添加剤を含有する場合、その含有割合は、添加剤の種類に応じて適宜決められるが、例えば、導電性複合体100質量部に対して、0.001質量部以上5質量部以下の範囲とすることができる。
≪導電性高分子含有液の製造方法≫
本発明の第二態様は、第一態様の導電性高分子含有液の製造方法である。
第一態様の導電性高分子含有液は、下記方法により容易に製造することができる。
すなわち、有機溶剤に含ケイ素有機化合物を溶解させた有機シラン溶液と、水にπ共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体を分散させた分散液(導電性高分子水分散液ということがある。)と、を混合する方法である。前記混合の際に、前記導電性高分子含有液の総質量に対する前記有機溶剤の含有量が30質量%以上90質量%以下とし、且つ、前記導電性複合体100質量部に対する前記含ケイ素有機化合物の含有量が100質量部以上10000質量部以下とする。
前記有機シラン溶液に溶解する前記含ケイ素有機化合物の濃度は、導電性高分子水分散液との混合により希釈されるので、この希釈を考慮して設定される。例えば、アルコール系溶剤100gに対して、含ケイ素有機化合物を好ましくは1〜10g、より好ましくは3〜6gの割合で溶解させることが好ましい。
上記下限値以上であると、導電性高分子含有液に含まれる導電性複合体100質量部に対して、含ケイ素有機化合物を所定の割合で含有させ、導電性複合体の分散性を高めることが容易となる。
上記上限値以下であると、導電性高分子含有液における含ケイ素有機化合物の溶解性が良好となり、含ケイ素有機化合物の析出を抑制することができる。
導電性複合体を水に分散させた分散液(導電性高分子水分散液ということがある。)は、例えば、ポリアニオンの水分散液に、π共役系導電性高分子を構成するモノマーを添加し、酸化重合させることによって得られる。また、導電性高分子水系分散液は、市販のものを用いてもよい。
導電性高分子水分散液の総質量に対する導電性複合体の含有量は、例えば、0.1質量%以上20質量%以下が好ましく、0.5質量%以上10質量%以下がより好ましく、1.0質量%以上5.0質量%以下がさらに好ましい。
上記の範囲であると、導電性高分子含有液の総質量に対する導電性複合体の含有量を、前述した好適な範囲に調整することが容易になる。
前記有機シラン溶液と、前記導電性高分子水分散液とを混合する割合を調整することにより、導電性高分子含有液の総質量に対する前記有機溶剤の含有量と、前記含ケイ素有機化合物の含有量とを所定の割合とする。
混合する方法は特に制限されないが、イオン交換水を先に添加して有機溶剤濃度を希釈した前記有機シラン溶液に、導電性高分子水分散液を添加して、攪拌する方法が好ましい。この方法であると、前記有機シラン溶液中の含ケイ素有機化合物が混合直後に析出することを抑制することができる。
以上の製造方法により、目的の導電性高分子含有液が得られる。
<導電性フィルムの製造方法>
本発明の第三態様の導電性フィルムの製造方法は、フィルム基材の少なくとも一方の面に、第一態様の導電性高分子含有液を塗工し、前記フィルム基材上に形成した塗膜を乾燥することを含む。
(フィルム基材)
前記フィルム基材としては、例えば、プラスチックフィルムが挙げられる。
プラスチックフィルムを構成するフィルム基材用樹脂としては、例えば、エチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン、ポリアリレート、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなどが挙げられる。これらのフィルム基材用樹脂のなかでも、安価で機械的強度に優れる点から、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
また、本発明の導電性高分子含有液を塗布した際の濡れ性が良好であることから、フィルム基材としては、ポリオレフィン系樹脂からなるフィルムであることが好ましい。
前記ポリオレフィン系樹脂の種類は特に制限されず、公知のポリオレフィン系樹脂が適用される。なかでも、上記濡れ性が良好であることから、前記フィルム基材はポリプロピレン樹脂を含むことが好ましい。
フィルム基材用の樹脂は、非晶性でもよいし、結晶性でもよい。
フィルム基材は、未延伸のものでもよいし、延伸されたものでもよい。
フィルム基材には、導電性高分子含有液から形成される導電層の密着性をさらに向上させるために、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理等の表面処理が施されてもよい。
フィルム基材の平均厚みとしては、5μm以上500μm以下であることが好ましく、20μm以上200μm以下であることがより好ましい。フィルム基材の平均厚みが前記下限値以上であれば、破断しにくくなり、前記上限値以下であれば、フィルムとして充分な可撓性を確保できる。
本明細書における部材の厚さは、任意の10箇所について厚さを測定し、その測定値を平均した値である。
前記フィルム基材として、公知の偏光フィルムを使用することもできる。
偏光フィルムとしては、例えば、一対の透明フィルムと、これらの間に配置された偏光層とを備えたものが知られている。
透明フィルムを構成する透明樹脂としては、例えば、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリシクロオレフィン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂等が挙げられる。
透明フィルムの厚さは、例えば、10μm以上500μm以下とすることができ、薄型化と強度の両立の点では、20μm以上300μm以下であることが好ましい。
偏光層としては、例えば、親水性フィルムに二色性物質を付着させ、一軸延伸して二色性物質を配向させたものが挙げられる。親水性フィルムとしては、例えば、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体の部分ケン化フィルム等が挙げられる。二色性物質としては、例えば、ヨウ素、二色性染料等が挙げられる。
偏光層の厚さは、例えば、10μm以上500μm以下とすることができ、薄型化と偏光性の両立の点では、20μm以上300μm以下であることが好ましい。
導電性フィルムを光学用途に使用する場合には、フィルム基材が透明であることが好ましい。具体的には、フィルム基材の全光線透過率が65%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。全光線透過率は、JIS K7136に従って測定した値である。
導電性高分子含有液をフィルム基材に塗工(塗布)する方法としては、例えば、グラビアコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター、スピンコーター、バーコーター、リバースコーター、キスコーター、ファウンテンコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、キャストコーター、スクリーンコーター等のコーターを用いた方法、エアスプレー、エアレススプレー、ローターダンプニング等の噴霧器を用いた方法、ディップ等の浸漬方法等を適用することができる。
市販のバーコーターには、塗工厚に応じた番号が付されており、その番号が大きい程、厚く塗工できる。
導電性高分子含有液のフィルム基材への塗布量は特に制限されないが、均一にムラなく塗工することと、導電性と膜強度を勘案して、固形分として、0.01g/m以上10.0g/m以下の範囲であることが好ましい。
フィルム基材上に塗工した導電性高分子含有液からなる塗膜を乾燥させて、分散媒を除去することにより、導電層(導電膜)が形成された導電性フィルムを得ることができる。
塗膜を乾燥する方法としては、加熱乾燥、真空乾燥等が挙げられる。加熱乾燥としては、例えば、熱風加熱や、赤外線加熱などの通常の方法を採用できる。
加熱乾燥を適用する場合、加熱温度は、使用する分散媒に応じて適宜設定されるが、通常は、50℃以上150℃以下の範囲内である。ここで、加熱温度は、乾燥装置の設定温度である。
塗工した導電性高分子含有液が、バインダ成分として熱硬化性のモノマー又はオリゴマーを含む場合には、塗膜を加熱して、バインダ成分を硬化させることにより、導電層が形成された導電性フィルムを得ることができる。
塗工した導電性高分子含有液が、バインダ成分として光硬化性のモノマー又はオリゴマーを含む場合には、塗膜に紫外線又は電子線を照射して、バインダ成分を硬化させることにより、導電層が形成された導電性フィルムを得ることができる。
≪導電性フィルム≫
本発明の第三態様によって製造された導電性フィルムは、フィルム基材の少なくとも一方の面に、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、前記含ケイ素有機化合物の硬化物とを含む導電層が備えられた、導電性フィルムである。
(導電層)
フィルム基材の少なくとも一方の面に備えられた前記導電層の平均厚みとしては、例えば、10nm以上5000nm以下であることが好ましく、20nm以上1000nm以下であることがより好ましく、30nm以上500nm以下であることがさらに好ましい。
前記導電層の平均厚さが前記下限値以上であれば、充分に高い導電性を発揮でき、前記上限値以下であれば、導電層を容易に形成できる。
本態様の導電性フィルムの導電層は、良好な導電性の目安として、例えば、1×10Ω/□以上1×1010Ω/□以下の表面抵抗値を有することが好ましく、1×10Ω/□以上1×10Ω/□以下の表面抵抗値を有することがより好ましく、1×10Ω/□以上1×10Ω/□以下の表面抵抗値を有することが好ましい。
<作用効果>
本発明の導電性高分子含有液にあっては、含ケイ素有機化合物と有機溶剤を所定量含むので、フィルム基材に対する濡れ性に優れる。一見すると、親水性である導電性複合体の分散性は、有機溶剤存在下で不安定になりそうであるが、含ケイ素有機化合物を含むことにより、有機溶剤の存在下であっても、導電性複合体の分散性が良好に保たれている。また、含ケイ素有機化合物そのものは、有機溶剤の濃度が所定以上でないと、水存在下では析出してしまう(後述の比較例参照)。このように、親水性の導電性複合体を有機溶剤及び水を含む分散媒に安定に分散させることが従来は困難であったが、本発明においては、含ケイ素有機化合物を所定量の有機溶剤とともに含むことによって、親水性の導電性複合体を有機溶剤及び水を含む分散媒に安定に分散させることができる。
(製造例1)ポリスチレンスルホン酸の製造
1000mlのイオン交換水に206gのスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃で攪拌しながら、予め10mlの水に溶解した1.14gの過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を20分間滴下し、この溶液を12時間攪拌した。
得られたポリスチレンスルホン酸ナトリウム含有溶液に、10質量%に希釈した硫酸を1000ml添加し、得られたポリスチレンスルホン酸含有溶液の約1000mlの溶媒を限外ろ過法により除去した。次いで、残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000mlの溶媒を除去して、ポリスチレンスルホン酸を水洗した。この水洗操作を3回繰り返した。
得られた溶液中の水を減圧除去して、無色の固形状のポリスチレンスルホン酸を得た。
(製造例2)水系分散媒を含む導電性高分子含有液(導電性高分子水分散媒)の製造
14.2gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、36.7gのポリスチレンスルホン酸を2000mlのイオン交換水に溶かした溶液とを20℃で混合した。
得られた混合溶液を20℃に保ち、掻き混ぜながら、200mlのイオン交換水に溶かした29.64gの過硫酸アンモニウムと8.0gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくり添加し、3時間攪拌して反応させた。
得られた反応液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000mlの溶媒を除去した。この操作を3回繰り返した。
次いで、得られた溶液に200mlの10質量%に希釈した硫酸と2000mlのイオン交換水とを加え、限外ろ過法により約2000mlの溶媒を除去した。残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000mlの溶媒を除去した。この操作を3回繰り返した。
さらに、得られた溶液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000mlの溶媒を除去した。この操作を5回繰り返し、濃度1.2質量%のポリスチレンスルホン酸ドープポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT−PSS)が水系分散媒に分散された導電性高分子水分散媒を得た。なお、PEDOT−PSS固形分におけるPSSの含有量は75質量%である。
以下の各例で導電性高分子含有液を調製し、導電性フィルムの作製を試みた。導電膜の製膜試験結果を下記の基準で評価した。
A:良好な導電膜が形成された。
B:少しムラはあるが機能する導電膜が形成された。
C:激しいムラがあり、導電膜として機能し難い不均一な膜が形成された。
D:導電性高分子含有液中に析出物が生じ、塗布することも困難であった。
(実施例1)
メタノール30gにトリメトキシビニルシラン0.75gを溶かし、イオン交換水15gを加えて室温で10分撹拌した。その後、製造例2で得たPEDOT−PSS水分散液50g(PEDOT−PSS固形分0.6g)を加えて室温で30分間撹拌することで、導電性高分子含有液を得た。
得られた導電性高分子含有液をNo.12のバーコーターを用いて、ポリプロピレンフィルム(PPフィルム)に塗布し、120℃、2分間乾燥させ、導電性フィルムを得た。
導電膜の製膜試験結果はBであった。
(実施例2)
メタノール30gにトリメトキシビニルシラン1.5gを溶かしたこと以外は、実施例1と同様に導電性高分子含有液を調製し、これを実施例1と同様にPPフィルムに塗布し、120℃、2分間乾燥させ、導電性フィルムの作製を試みた。実施例1と同様にして、PPフィルムに上記の導電性高分子含有液を塗布し、120℃、2分間乾燥させ、導電性フィルムを得た。
導電膜の製膜試験結果はAであった。
(実施例3)
メタノール30gにトリメトキシビニルシラン1.5gとテトラエトキシシラン1gを溶かし、イオン交換水15gを加えて室温で10分撹拌した。その後、製造例2で得たPEDOT−PSS水分散液50gを加えて室温で30分間撹拌することで、導電性高分子含有液を得た。
実施例1と同様にして、PPフィルムに上記の導電性高分子含有液を塗布し、120℃、2分間乾燥させ、導電性フィルムを得た。
導電膜の製膜試験結果はAであった。
(実施例4)
エタノール5gとメタノール25gの混合溶媒にトリメトキシビニルシラン1.5gとテトラエトキシシラン1gを溶かし、イオン交換水15gを加えて室温で10分撹拌した。その後、製造例2で得たPEDOT−PSS水分散液50gを加えて室温で30分間撹拌することで、導電性高分子含有液を得た。
実施例1と同様にして、PPフィルムに上記の導電性高分子含有液を塗布し、120℃、2分間乾燥させ、導電性フィルムを得た。
導電膜の製膜試験結果はAであった。
(実施例5)
メタノール30gにトリメトキシビニルシラン1.5gとテトラエトキシシラン1gを溶かし、イオン交換水15gを加えて室温で10分撹拌した。その後、製造例2で得たPEDOT−PSS水分散液50gと水分散ポリエステル樹脂(互応化学工業株式会社製、プラスコートRZ−105(固形分濃度25%))2gを加えて室温で30分間撹拌することで、導電性高分子含有液を得た。
実施例1と同様にして、PPフィルムに上記の導電性高分子含有液を塗布し、120℃、2分間乾燥させ、導電性フィルムを得た。
導電膜の製膜試験結果はAであった。
(実施例6)
PPフィルムをポリエチレンテレフタラートフィルム(東レ株式会社、ルミラーT60)に変更した以外は、実施例1と同様に導電性フィルムを得た。
導電膜の製膜試験結果はBであった。
(実施例7)
PPフィルムをポリエチレンテレフタラートフィルム(東レ株式会社、ルミラーT60)に変更した以外は、実施例2と同様に導電性フィルムを得た。
導電膜の製膜試験結果はAであった。
(実施例8)
PPフィルムをポリエチレンテレフタラートフィルム(東レ株式会社、ルミラーT60)に変更した以外は、実施例3と同様に導電性フィルムを得た。
導電膜の製膜試験結果はAであった。
(実施例9)
PPフィルムをポリエチレンテレフタラートフィルム(東レ株式会社、ルミラーT60)に変更した以外は、実施例4と同様に導電性フィルムを得た。
導電膜の製膜試験結果はAであった。
(実施例10)
PPフィルムをポリエチレンテレフタラートフィルム(東レ株式会社、ルミラーT60)に変更した以外は、実施例5と同様に導電性フィルムを得た。
導電膜の製膜試験結果はAであった。
(比較例1)
トリメトキシビニルシランを添加しない以外は、実施例1と同様に導電性高分子含有液を調製し、これを実施例1と同様にPPフィルムに塗布し、120℃、2分間乾燥させ、導電性フィルムの作製を試みた。しかし、PPフィルムに対する導電性高分子含有液の濡れ性が悪かったため、均一な導電膜を形成することができなかった。つまり、導電膜の製膜試験結果はCであった。
(比較例2)
メタノール20gにトリメトキシビニルシラン1.5gを溶かしたこと以外は、実施例1と同様に導電性高分子含有液の調製を試みた。しかし、トリメトキシビニルシランが導電性高分子含有液中に目視で確認できる程に析出しため、フィルムに対する塗布は行わなかった。つまり、導電膜の製膜試験結果はDであった。
(比較例3)
メタノール30gにトリメトキシビニルシラン0.5gを溶かしたこと以外は、実施例1と同様に導電性高分子含有液を調製し、これを実施例1と同様にPPフィルムに塗布し、120℃、2分間乾燥させ、導電性フィルムの作製を試みた。しかし、PPフィルムに対する導電性高分子含有液の濡れ性が悪かったため、均一な導電膜を形成することができなかった。つまり、導電膜の製膜試験結果はCであった。
(比較例4)
メタノール20gにトリメトキシビニルシラン1.5gとテトラエトキシシラン1gを添加したこと以外は、実施例2と同様に導電性高分子含有液の調製を試みた。しかし、トリメトキシビニルシラン及びテトラエトキシシランが導電性高分子含有液中に目視で確認できる程に析出しため、フィルムに対する塗布は行わなかった。つまり、導電膜の製膜試験結果はDであった。
(比較例5)
メタノール30gにトリメトキシビニルシラン0.4gとテトラエトキシシラン0.1gを溶かしたこと以外は、実施例2と同様に導電性高分子含有液を調製し、これを実施例1と同様にPPフィルムに塗布し、120℃、2分間乾燥させ、導電性フィルムの作製を試みた。しかし、PPフィルムに対する導電性高分子含有液の濡れ性が悪かったため、均一な導電膜を形成することができなかった。つまり、導電膜の製膜試験結果はCであった。
(比較例6)
エタノール5gとメタノール15gにトリメトキシビニルシラン1.5gとテトラエトキシシラン1gを添加したこと以外は、実施例3と同様に導電性高分子含有液の調製を試みた。しかし、トリメトキシビニルシラン及びテトラエトキシシランが分散液中に目視で確認できる程に析出しため、フィルムに対する塗布は行わなかった。つまり、導電膜の製膜試験結果はDであった。
(比較例7)
PPフィルムをポリエチレンテレフタラートフィルム(東レ株式会社、ルミラーT60)に変更した以外は、比較例1と同様に導電性フィルムを得た。
導電膜の製膜試験結果はBであった。
(比較例8)
PPフィルムをポリエチレンテレフタラートフィルム(東レ株式会社、ルミラーT60)に変更した以外は、比較例3と同様に導電性フィルムを得た。
導電膜の製膜試験結果はBであった。
(比較例9)
PPフィルムをポリエチレンテレフタラートフィルム(東レ株式会社、ルミラーT60)に変更した以外は、比較例5と同様に導電性フィルムを得た。
導電膜の製膜試験結果はBであった。
<導電性の評価>
各例の導電性フィルムについて、導電膜の表面抵抗値を測定した結果を表1に示す。測定の際、抵抗率計(株式会社三菱化学アナリテック製ハイレスタ)を用い、印加電圧を10Vとした。なお、表中の「Ω/□」はオームパースクエアの意味である。
表面抵抗値(単位:Ω/□)が小さい程、導電性が高いことを示す。
<密着性の評価>
製膜した導電膜の各フィルムに対する密着性を、JIS K 5600:1999における碁盤目テープ剥離試験に準拠し、1mm角、計100個のマス目に対して剥離しなかったマス目を計測することにより評価した。結果を表1に示す。
表1の結果において、分子の数(剥離しなかったマス目の数)が大きい程、導電膜の各フィルムに対する密着力が大きいことを示す。
Figure 2020183504
表1の結果から、本発明にかかる実施例1〜10の導電性高分子含有液を用いることにより、比較例よりも均一でムラのない導電膜をフィルム基材上に形成できることが明らかである。実施例2〜5及び実施例7〜10においては、含ケイ素有機化合物を実施例1,6よりも多く含むことにより、有機溶剤及び水の存在下で、導電性複合体の分散性が良好となり、結果、良好な導電膜を形成できた。
一方、含ケイ素有機化合物を含まない比較例1、及び含ケイ素有機化合物の含有量が足りない比較例3及び比較例5の導電性高分子含有液を用いた場合、不均一で激しいムラがある導電膜が形成された。この結果から、有機溶剤を含んでいても、含ケイ素有機化合物を含まない或いはその濃度が低いと、親水性である導電性複合体の分散性が低下してしまうことが分かる。
また、有機溶剤の濃度が低い比較例2及び比較例4の導電性高分子含有液では、含ケイ素有機化合物が析出してしまい、フィルム基材に塗工することができなかった。この結果から、有機溶剤は、フィルム基材に対する濡れ性を向上させるだけでなく、含ケイ素有機化合物の溶解性を向上させることが分かる。
なお、比較例7〜9では、表面抵抗値を測定することが可能な導電膜をPETフィルム上に製膜することはできたが、導電膜のPETフィルムに対する密着性が極めて低く、実用には適さないことが分かる。

Claims (15)

  1. π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、水と、有機溶剤と、分子量1000以下の含ケイ素有機化合物と、を含む導電性高分子含有液であり、
    前記導電性高分子含有液の総質量に対する前記有機溶剤の含有量が30質量%以上90質量%以下であり、
    前記導電性複合体100質量部に対する前記含ケイ素有機化合物の含有量が100質量部以上10000質量部以下である、導電性高分子含有液。
  2. 前記有機溶剤がアルコール類を含む、請求項1に記載の導電性高分子含有液。
  3. 前記有機溶剤がメタノール及びエタノールのうち少なくとも一方を含む、請求項1又は2に記載の導電性高分子含有液。
  4. 前記含ケイ素有機化合物がアルコキシシランを含む、請求項1〜3の何れか一項に記載の導電性高分子含有液。
  5. 前記含ケイ素有機化合物がトリメトキシビニルシランを含む、請求項1〜4の何れか一項に記載の導電性高分子含有液。
  6. 前記含ケイ素有機化合物がテトラエトキシシランを含む、請求項1〜5の何れか一項に記載の導電性高分子含有液。
  7. バインダ成分をさらに含有し、前記バインダ成分が水分散性樹脂である、請求項1〜6の何れか一項に記載の導電性高分子含有液。
  8. 前記水分散性樹脂が水分散性ポリエステル樹脂を含む、請求項1〜7の何れか一項に記載の導電性高分子含有液。
  9. 前記π共役系導電性高分子がポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の導電性高分子含有液。
  10. 前記ポリアニオンがポリスチレンスルホン酸である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の導電性高分子含有液。
  11. 有機溶剤に含ケイ素有機化合物を溶解させた有機シラン溶液と、
    水にπ共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体を分散させた分散液と、を混合することにより、導電性高分子含有液を製造する方法であって、
    前記混合の際に、前記導電性高分子含有液の総質量に対する前記有機溶剤の含有量を30質量%以上90質量%以下とし、且つ、
    前記導電性複合体100質量部に対する前記含ケイ素有機化合物の含有量を100質量部以上10000質量部以下とする、導電性高分子含有液の製造方法。
  12. 前記有機溶剤がメタノール及びエタノールのうち少なくとも一方を含み、
    前記含ケイ素有機化合物がアルコキシシランを含み、
    前記導電性複合体がポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)及びポリスチレンスルホン酸を含む、請求項11に記載の導電性高分子含有液の製造方法。
  13. フィルム基材の少なくとも一方の面に、請求項1〜10の何れか一項に記載の導電性高分子含有液を塗工し、前記フィルム基材上に形成した塗膜を乾燥することを含む、導電性フィルムの製造方法。
  14. 前記フィルム基材がポリオレフィン系樹脂からなるフィルムである、請求項13に記載の導電性フィルムの製造方法。
  15. 前記ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン樹脂を含む、請求項14に記載の導電性フィルムの製造方法。
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