JP2019112088A - 二重構造容器 - Google Patents
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また、特許文献2には、特許文献1と同様にして二重構造容器を製造するに際して、小径プリフォームの外面と大径プリフォームの内面との間に、流動パラフィンを含む離型剤層を設けることが提案されている。
前記内袋容器の外面と前記外容器の内面との間に発音防止剤が分布しており、前記外容器をスクイズしたときに発生する音が、60dB以下に設定されていることを特徴する二重構造容器が提供される。
尚、本発明において、外容器をスクイズしたときに発する音量レベルは、測定器としてサウンドレベルメータを使用し、二重構造容器の胴部外面と測定器との間隔を30cmに設定し、スクイズを1分間繰り返して行ったときの最大音量である。
(1)前記内袋容器の外面もしくは前記外容器の内面に、前記発音防止剤のコーティング層が形成されていること、
(2)前記発音防止剤が、融点が30〜100℃の油性固体材料であること、
(3)前記発音防止剤がワックスであること、
(4)前記内袋容器及び外容器の何れもがポリエステル製であること、
が好適である。
第1のプリフォームの内面もしくは第2のプリフォームの外面に、発音防止剤のコーティング層を形成し、
前記発音防止剤のコーティング層が形成された状態で、第2のプリフォームが第1のプリフォーム内に収容されたスタックプリフォームを形成し、
前記スタックプリフォーム内の第2のプリフォーム内にブロー流体を供給することによりブロー成形を行うこと、
を特徴とする二重構造容器の製造方法が提供される。
本発明では、発音防止剤、例えば、油性固体材料を外容器の内面と内袋容器との間に分布させておくことにより、上記の摩擦音が効果的に軽減され、スクイズに際して生じる音量レベルを60dB以下に抑制することが可能となっている。
上記の首部1aの下方部分には、外容器1の内面と内袋容器3の外面との間に空気を導入するための空気導入口7が、レーザ加工等の後加工により設けられている。さらに、この外容器1の胴部1bの中央部分は、通常、スクイズ操作をし易いように、凹んだ形状を有している。
このような内袋容器3において、首部3aは、外容器1の首部1a内に嵌めこまれており、図1の例では、この首部3aの上方部分が外容器1の首部1aから突出しており、この突出した部分に、キャップを螺子固定するための螺子3cが形成されており、さらに、螺子3cの下方部分に、内袋容器3が外容器1内に深く侵入しないように、ストッパーとなる突起3dが形成されている。
勿論、本発明の二重構造容器10の形態は図1に示されている形態に限定されるものではなく、例えば、内袋容器3の首部3aの上端に、ストッパーとなる突起3dのみを設け、外容器1の首部1aの外面(サポートリング1dの上方部)に、キャップを装着するための螺子を設けることもできる。
オレフィン系樹脂、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダムあるいはブロック共重合体、環状オレフィン共重合体など;
エチレン・ビニル系共重合体、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等;
スチレン系樹脂、例えば、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン・スチレン共重合体等;
ビニル系樹脂、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等;
ポリアミド樹脂、例えば、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等;
ポリエステル樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びこれらの共重合ポリエステル等;
ポリカーボネート樹脂;
ポリフエニレンオキサイド樹脂;
生分解性樹脂、例えば、ポリ乳酸など;
勿論、成形性が損なわれない限り、これらの熱可塑性樹脂のブレンド物を使用することもできる。
しかるに、本発明において、好適に使用される熱可塑性樹脂は、外容器1の胴部1bの凹んだ形状の部分をスクイズしてさらに凹ませたとき、速やかに原形に復帰し得るような強度を確保できるという点で、ポリエステル樹脂、特にPETである。
二重構造容器10では、内容物の排出に際して、内袋容器3の袋部3bと外容器1の胴部1bとの間に空気層を形成することが必要であるため、通常、内袋容器3形成用の熱可塑性樹脂としては、外容器1に対して速やかに剥離し得るようなものが好適に使用されるのであるが、本発明においては、外容器1と内袋容器3との間に発音防止剤5が存在しているため、内袋容器3を形成する熱可塑性樹脂が、外容器1を形成している熱可塑性樹脂と同種であっても何ら差し支えなく、特に、発音防止剤5を存在させるためのブロー延伸条件の設定が容易であることから、内袋容器3形成用の熱可塑性樹脂と外容器1を形成している熱可塑性樹脂とが同種であることが好ましい。
従って、外容器1をポリエステル樹脂で形成することが好ましいと前述したが、これに伴い、内袋容器3もポリエステル樹脂で形成されていることが好適である。
この発音防止剤5は、後述する実施例に示されているように、この二重構造容器10の外容器1の胴部1b(特に凹んだ部分)をスクイズしたときに発する音量が60dB以下に抑制し得るような剤であり、どのような材料が発音防止剤5として機能するかは、厳密には、実際にラボ試験を行って確認する必要がある。
発音防止剤として用いる油性材料は発音防止効果や取り扱いの観点から室温で固体であることが好ましい。一般に、プリフォームからボトルにブロー成形する際、容器の表面積は大幅に増大する。特にエアレスボトルの場合では内層容器を薄くつぶれやすくするために延伸倍率が大きく設計される。従ってスタックプリフォームに保持された発音防止層は薄く引き延ばされるため、十分な発音防止機能を付与するには発音防止層を厚くする必要がある。例えば、流動パラフィンのような室温で液体である材料を用いると、自重により流動し外容器形成用プリフォームに設けた空気導入孔7から漏れ出るなどの懸念がある。
しかるに、滑剤などとして知られる油性材料が、二重構造容器10の使用環境下で固体状である場合には、例えば、適当な溶剤などを用いての吹き付け或いは融解した状態でのディッピングなどにより、スクイズされる部分の外容器1の胴部1bの内面或いは内袋容器3の袋部3bの外面に、十分な量で存在させることができる。さらにこれらは、ボトル成形後も使用環境下では固体の状態で落下せずに安定にスクイズされる部分に保持されるため、スクイズに際しての外容器1の内面と内袋容器3の外面との間の摩擦が有効に低減され、結果として、スクイズに際して発生する音の音量を60dB以下に設定することが可能となる。
ところで、上記のスクイズ領域に発音防止剤5を存在させるための手段としては、外容器3の内面を形成する熱可塑性樹脂或いは内袋容器3を形成する熱可塑性樹脂中に発音防止剤を配合しておき、スクイズ領域に発音防止剤をブリーディングさせる内添法が考えられるが、かかる方法では、上記のような十分な量の発音防止剤を存在させることが困難である。従って、本発明では、発音防止剤の層を、外容器1の胴部1bの内面或いは内袋容器3の袋部3bの外面に、コーティングにより設けるという手法が好適に採用される。
即ち、かかるスタック法によれば、第1のプリフォーム或いは第2のプリフォームの所定部分に、前述した発音防止剤5の層をコーティングにより容易に形成することができる。
即ち、第1のプリフォーム11が外容器成形用のプリフォーム、第2のプリフォーム13が内袋容器成形用のプリフォームであり、第2のプリフォーム13を第1のプリフォーム内に挿入して嵌合保持することにより、ブロー延伸工程に供されるスタックプリフォーム20が組み合立てられる。
また、第1のプリフォーム11の首部1aの下方部分の下端が閉じられた筒状部11bが延伸成形される部分であり、ブロー延伸により、外容器1の胴部1b及び底部1cの形態に賦形される。
さらに、第2のプリフォーム13の首部3aの下方部分の下端が閉じられた筒状部13bが延伸成形される部分であり、ブロー延伸により、内袋容器3の袋部3bの形態に賦形される。
例えば、互いに親和性を有しておらず、非粘着性を示すように、外容器1用の樹脂と内袋3用の樹脂とを選択しての共射出成形により、二重構造容器用のプリフォームを成形し、これを延伸ブロー成形により供するという手段では、発音防止剤5を外容器1と内袋容器3との間に分布させるには、どうしても、樹脂中に発音防止剤5を分散させて成形を行い、発音防止剤5のブリーディングにより分布させるという内添法を取らざるを得ない。既に述べたように、このような内添法では、どうしても発音防止に効果的な量で発音防止剤を分布させることができない。
しかるに、上述したスタック法を採用した場合には、例えば、外容器1用のプリフォーム(第1のプリフォーム11)と内袋容器3用のプリフォーム(第2のプリフォーム13)とが別個に成形されるため、これらプリフォーム11,13の所定部分に容易に発音防止剤5のコーティング層を形成しておくことにより、外容器1と内袋容器3との間に発音防止剤5を分布させることができる。
このようにして外面或いは内面に発音防止剤5のコーティング層が形成されている第1のプリフォーム11もしくは第2のプリフォーム13を用いて図3のスタックプリフォーム20を形成し、前述したブロー延伸成形を行うことにより、図1に示されているように、外容器1と内袋容器3との間に発音防止剤5を分布させることができる。
尚、かかるブロー延伸成形に際しては、発音防止剤5は融解して流動状態にあるため、膜切れ等を生じることなく、第1のプリフォーム11及び第2のプリフォーム13と共に引き延ばされ、所定のスクイズ領域に発音防止剤5を分布させることができる。
この場合、発音防止剤5のコーティング量は、上記のコーティング層30が袋部3bの全体に広がることを考慮して、少なくともスクイズ領域に所定量の発音防止剤5が分布するように設定すればよい。
このようなスクイズによる内容物の排出作業を行ったとき、本発明では、スクイズに伴う発音が60dB以下に抑制されており、従来公知の二重構造容器には全く認められない効果が得られる。
上記の第1のプリフォームに第2のプリフォームを挿入し、スタックプリフォームを得た。さらに、スタックプリフォームに対してクオーツヒータおよび加熱用鉄芯により加熱し、ブロー成形し、内容量が約400mlの円筒形状ボトルを得た。延伸倍率は外層用プリフォームに対して縦方向で2.5倍、周方向で2.5倍、内層用プリフォームに対して縦方向で2.7倍、周方向で4.2倍であった。
得られた二重構造容器をスクイズし発音を測定したところ、最大音量は83dBであり不快を感じるレベルの音量であった。
比較例1の第2のプリフォームに、溶融状態のパラフィンワックス(和光純薬製、融点44〜46℃)ディップ処理し、第2のプリフォーム外面にパラフィンワックスを付着させた。この内層用プリフォームを外層用プリフォームに挿入し、二重構造プリフォームとし、比較例1と同様の方法でボトル形状にブロー成形した。
パラフィンワックスの付着量とボトルの表面積から計算されるパラフィンワックスの塗布量は1100mg/m2であった。得られた二重構造容器をスクイズし発音を測定したところ、最大音量は51dBであり、スクイズによる発音が効果的に抑制されていることが確認できた。
内層用プリフォームにパラフィンワックスを塗布する手法をスプレーコートに変え、プリフォームの口部および底部にマスキングを行い胴部のみにパラフィンワックスを付着させる以外は実施例1と同様にボトル成形を実施した。パラフィンワックスの塗布量は550mg/m2であった。
得られた二重構造容器をスクイズし発音を測定したところ、最大音量は53dBであり、スクイズによる発音が効果的に抑制された。
付着させるワックスを、パラフィンワックス(和光純薬製、融点68〜70℃)に変えたほかは実施例2と同様にボトル成形した。パラフィンワックスの塗布量は510mg/m2であった。
得られた二重構造容器をスクイズし発音を測定したところ、最大音量は58dBであり、スクイズによる発音が効果的に抑制された。
パラフィンワックスの塗布量が80mg/m2となるように調整したほかは実施例2と同様にボトル成形を実施した。
得られた二重構造容器をスクイズし発音を測定したところ、最大音量は67dBであり、十分な発音抑制効果は得られなかった。
3:内袋容器
5:発音防止剤
7:空気導入口
10:二重構造容器
11:第1のプリフォーム
13:第2のプリフォーム
30:発音防止剤のコーティング層
Claims (7)
- 内部に空気を導入するための空気導入口を備えた外容器と、該外容器内に挿入されて保持された内袋容器とからなり、該外容器の胴部外面をスクイズすることにより、該内袋容器内に収容された内容物が排出される二重構造容器において、
前記内袋容器の外面と前記外容器の内面との間に発音防止剤が分布しており、前記外容器をスクイズしたときに発生する音が、60dB以下に設定されていることを特徴する二重構造容器。 - 前記内袋容器の外面もしくは前記外容器の内面に、前記発音防止剤のコーティング層が形成されている請求項1に記載の二重構造容器。
- 前記発音防止剤が、融点が30〜100℃の油性固体材料である請求項1または2に記載の二重構造容器。
- 前記発音防止剤がワックスである請求項3に記載の二重構造容器。
- 前記内袋容器及び外容器の何れもがポリエステル製である請求項1〜4の何れかに記載の二重構造容器。
- 外容器成形用の試験管形状の第1のプリフォームと、内袋容器成形用の試験管形状の第2のプリフォームとを用意し、
第1のプリフォームの内面もしくは第2のプリフォームの外面に、発音防止剤のコーティング層を形成し、
前記発音防止剤のコーティング層が形成された状態で、第2のプリフォームが第1のプリフォーム内に収容されたスタックプリフォームを形成し、
前記スタックプリフォーム内の第2のプリフォーム内にブロー流体を供給することによりブロー成形を行うこと、
を特徴とする二重構造容器の製造方法。 - 前記発音防止剤として、融点が30〜100℃の固体材料を使用し、該発音防止剤のコーティング層を、第2のプリフォームの外面底部及びその近傍部分或いは第2のプリフォームの内面底部及びその近傍部分に形成し、前記スタックプリフォームを倒立状態に保持して前記ブロー成形を行う請求項6に記載の二重構造容器の製造方法。
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