JP2015223789A - 含液膜構造体の製造方法及び含液膜延伸成形構造体 - Google Patents

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【課題】厚みのバラつきなく、均一な厚みの液膜が表面に形成されている含液膜構造体の製造方法を提供する。【解決手段】樹脂製下地表面1に、表面を改質するための液体をコートすることにより該表面に液膜3を形成する工程を含む含液膜構造体10の製造法において、前記下地表面を形成する樹脂に液体を含浸せしめて液体含浸樹脂組成物を調製し、前記液体含浸樹脂組成物を用いての成形により、該液体含浸樹脂により表面が形成されている成形体を作製し、次いで、前記成形体の表面に液体をコートする含液膜構造体の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、表面特性改質のための液膜が表面に形成されている含液膜構造体の製造方法に関するものであり、より詳細には、該方法を利用して得られる含液膜延伸成形構造体にも関する。
プラスチック容器は、成形が容易であり、安価に製造できることなどから、各種の用途に広く使用されている。特に、容器壁の内面が低密度ポリエチレンなどのオレフィン系樹脂で形成され且つダイレクトブロー成形で成形されたボトル形状のオレフィン系樹脂容器は、内容物を絞り出し易いという観点から、ケチャップなどの粘稠なスラリー状或いはペースト状の流動性内容物を収容するための容器として好適に使用されている。
また、粘性の高い流動性内容物を収容するボトルでは、該内容物を速やかに排出するため、或いはボトル内に残存させることなくきれいに最後まで使いきるために、ボトルを倒立状態で保存しておかれる場合が多い。従って、ボトルを倒立させたときには、粘稠な内容物がボトル内壁面に付着残存せずに、速やかに落下するという特性が望まれている。
このような要求を満足するボトルとして、例えば、特許文献1には、最内層が、MFR(メルトフローレート)が10g/10min以上のオレフィン系樹脂からなる多層構造のボトルが提案されている。
この多層構造ボトルは、最内層が油性内容物に対する濡れ性に優れており、この結果、ボトルを倒立させたり、或いは傾斜させたりすると、マヨネーズ等の油性内容物は、最内層表面に沿って広がりながら落下していき、ボトル内壁面(最内層表面)に付着残存することなく、綺麗に排出することができるというものである。
また、ケチャップのような植物繊維が水に分散されている粘稠な非油性内容物用のボトルについては、特許文献2或いは特許文献3に、最内層に滑剤として飽和或いは不飽和の脂肪族アミドが配合されたポリオレフィン系樹脂ボトルが提案されている。
上述した特許文献1〜3は、何れもプラスチック容器について、容器内面を形成する熱可塑性樹脂組成物の化学組成によって内容物に対する滑り性を向上させたものであり、ある程度の滑り性向上は達成されているが、用いる熱可塑性樹脂の種類や添加剤が限定される為、滑り性向上には限界があり、飛躍的な向上は達成されていないのが実情である。
一方、最近では、容器の内面、即ち、内容物と接触する面が液浸透性面となっており、該液浸透性面に液体(滑性向上液)が保持されている容器が提案されている(特許文献4)。このような容器では、流動性の容器内容物が接触する部分に、滑性向上液の液膜が形成されており、ケチャップ、ソース、マヨネーズなどの流動性内容物に対する滑り性が著しく高められている。
しかしながら、この種の容器では、内容物との滑り性を高めるために形成される滑性向上液の液膜を薄く且つ均一に形成するかという課題が残されている。
例えば、容器等の成形体の表面に液膜を形成するには、スプレー噴霧等により滑性向上液を成形体表面にコーティングするという手段が一般的であるが、このような手段では、成形体表面に均一に液膜を形成しようとすると、液が成形体の内部に浸透していくため、必要以上に多量の液をスプレーする必要があり、極めて生産効率が悪いという問題がある。しかも、容器のような形態の成形体の内面に液膜を形成しようとすると、多量の液体を使用するため、容器内に滑性向上液の液溜りを生じ易く、この結果、液膜の厚みのバラつきがより大きくなってしまう。
また、本出願人は、容器内面を形成する樹脂に、滑性向上液を混合しておくことにより液膜を形成するという手段を提案している(特願2013−23468号・PCT/JP2014/052879)。かかる方法は、滑性向上液が含浸された樹脂組成物を用いて成形を行い、容器の内面に、内層を形成する樹脂からの相分離に伴う析出により液膜を形成するというものであるが、析出を利用しているため、液膜の厚みはかなり薄くなってしまい、液膜の厚みを確実に制御することが困難であるという問題がある。
特開2007−284066号公報 特開2008−222291号公報 特開2009−214914号公報 WO2014−010534
従って、本発明の目的は、厚みのバラつきなく、均一な厚みの液膜が表面に形成されている含液膜構造体の製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記方法により形成された含液膜延伸成形構造体を提供することにある。
本発明によれば、樹脂製下地表面に、表面を改質するための液体をコートすることにより該表面に液膜を形成する工程を含む含液膜構造体の製造法において、
前記下地表面を形成する樹脂に液体を含浸せしめて液体含浸樹脂組成物を調製し、
前記液体含浸樹脂組成物を用いての成形により、該液体含浸樹脂により表面が形成されている成形体を作製し、
次いで、前記成形体の表面に液体をコートすること、
を特徴とする含液膜構造体の製造法が提供される。
本発明の製造法においては、
(1)前記下地表面を形成する樹脂に対して、飽和含浸量の20〜100%の量で前記液体を含浸せしめて前記液体含浸樹脂組成物を調製すること、
(2)下地表面を形成する樹脂に含浸せしめる液体と、前記成形体の表面にコートする液体が同じものであること、
(3)前記下地面を形成する樹脂としてガラス転移点(Tg)が0℃以下であるものを使用すること、
(4)前記液体含浸樹脂組成物を用いての成形を、延伸成形用プリフォームを成形しての延伸成形により行うこと、
が好ましい。
本発明によれば、また、樹脂製下地表面に液膜が形成されている含液膜延伸成形構造体において、前記下地表面を形成する樹脂層は、厚み差が少なくとも20μm以上となる厚み分布を有していると共に、
前記下地表面を形成している樹脂層上に形成される液膜の塗布量が1〜30g/mの範囲内に保持されていることを特徴とする含液膜延伸成形構造体が提供される。
本発明の含液膜延伸成形構造体においては、
(5)前記下地面を形成している樹脂のガラス転移点(Tg)が0℃以下であること、
(6)前記下地面を形成している樹脂の層に隣接して、ガラス転移点(Tg)が0℃以下の樹脂層が形成されていること、
(7)容器の形態を有すること、
(8)ダイレクトブロー成形容器であること、
が好適である。
本発明の製造法によれば、表面を改質するための液体が含浸された液含浸樹脂組成物を用いての成形により表面が該樹脂組成物により形成されている成形体が作製され、さらに、該成形体の表面に、上記の液体をスプレー噴霧等によりコーティングするという手段により、構造体表面に液膜が構成される。このため、安定して均一な厚みの液膜が表面に保持されることとなる。
例えば、液体が含浸されていない樹脂により上記構造体の表面が形成されている場合には、コーティングにより形成された液膜を形成する液体が、樹脂製の構造体内部に浸透していくため、その厚みの減少等を生じてしまい、表面改質に必要な厚みを維持することが困難となってしまう。これを回避するために、コートする液量を多くして液膜の厚みを厚くすると、当然、液溜りなどが生じ易く、液膜の厚みのバラつきを生じてしまう。
しかるに、本発明では、構造体の表面を形成している樹脂には、液体が含浸されているため、コーティングにより形成された液膜からの構造体内部への液体の浸透が有効に抑制され、このような浸透による液膜の厚み減少が有効に回避されている。しかも、液体のコーティングに際しては、構造体(成形体)の表面に液体が点在した状態となっており、このため、液体に対する濡れ性が大きく向上している。従って、コーティング量を少量とした場合にも、構造体(成形体)表面に全体にわたって均等に液体が濡れ拡がり、均一な厚みの液膜を形成することができる。
このように、本発明の製造法によれば、均一な厚みの液膜を構造体表面に形成することができ、液膜を形成する液体を適宜のものに選択することにより、該液体に応じた表面特性を構造体表面に付与することができる。
また、かかる製造法は、特に液膜を支持する下地樹脂層に厚み分布があった場合にも、バラつきの無い均一な厚みの液膜を形成することができる。例えば、下地樹脂層の厚みが厚い場合には、液膜を形成する液体の下地樹脂への浸透量が多く、下地樹脂層の厚みが薄い場合には、液膜を形成する液体の浸透量は少ない。従って、下地樹脂層が厚み分布を有する場合、下地樹脂層の厚みが厚い部分では、液体の下地樹脂層への浸透量が多く(液膜を形成する液体の減少量が多い)、液膜の厚みは薄くなり、下地樹脂層の厚みが薄い部分では、液体の下地樹脂層への液体の浸透量が少なく(液膜を形成する液体の減少量が少ない)、液膜の厚み減少は極めて少ない。この結果、構造体表面での液膜の厚みのバラつきが大きくなる。例えば、容器のような延伸成形構造体では、その立体的形状に由来して、延伸量が多い部分(例えば胴部)と延伸量が少ない部分(例えば肩部や底部)とが存在し、延伸量が多い部分では、下地樹脂層の厚みが薄く、延伸量が少ない部分では、下地樹脂層の厚みは厚く、従って、液膜の厚みにバラつきが生じてしまう。
しかるに、本発明では、このような延伸構造体に液膜を形成する場合であっても、液膜の厚みのバラつきを有効に回避することができる。
即ち、上記の製造法によって製造される含液膜延伸構造体では、液膜を支持している下地樹脂層が厚み分布を有しており、最少厚み部分(高延伸部)との厚み差が20μm以上となるような領域(低延伸分部)が有している場合であっても、その上に形成される液膜の塗布量を1〜30g/mの範囲内に保持することができる。
本発明の製造法を用いて形成される含液膜構造体の表面の状態を示す部分断面図。 図1の断面を有する含液膜構造体の最も好適な形態であるダイレクトブローボトルの外観を示す図。
<含液膜構造体の製造>
本発明の製造方法により製造される含液膜構造体の表面状態を示す図1を参照して、全体として10で示す液膜構造体1は、樹脂製の下地表面を有する下地樹脂層1の表面に、表面改質のために液体(表面改質液)の液膜3が形成されており、この液膜3によって、液膜構造体の表面特性が改質されるものである。
本発明においては、上記のような表面を有する液膜構造体10を、下地樹脂に表面改質液を含浸させて得られる液体含浸樹脂組成物を用いて成形を行い、得られた成形体の表面に、表面改質液をコーティングして液膜3を形成することにより製造する。即ち、かかる液膜構造体10においては、下地樹脂層1中に液膜3を形成している表面改質液が分布していることとなる。
尚、かかる構造体10においては、液膜3を保持する面が下地樹脂によって形成されている限り、その層構造は限定されず、他の基材上に下地樹脂層1が形成された多層構造となっていてもよい。
1.下地樹脂;
かかる製造法において、下地樹脂層1の形成に用いる樹脂としては、その表面に形成される表面改質液の液膜3を安定に保持し得るようなものであり、特に適量の表面改質液が含浸された状態で成形可能な樹脂が使用される。
このような樹脂としては、含液膜構造体10の形態や該構造体10を成形するために採用される成形手段に応じた熱可塑性プラスチックが採用される。特に、該構造体を容器の形態とするためには、ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルやオレフィン系樹脂などが好適に使用され、特に粘稠な内容物が収容される容器、例えばダイレクトブロー容器に成形するためには、オレフィン系樹脂、特に、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、中或いは高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンなどが好適に使用される。勿論、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同志のランダムあるいはブロック共重合体等も好適であり、さらに、特開2007−284066号等に開示されている環状オレフィン共重合体も使用することができる。
また、本発明においては、上記の下地樹脂の中でも、適度な量の表面改質液を含浸保持できるという観点から、ガラス転移点(Tg)が0℃以下のものが好適である。即ち、ガラス転移点(Tg)が高い樹脂では、室温状態での表面改質液の保持量が極めて多量となってしまい、本発明方法を適用し難いためである。
2.表面改質液;
また、上述した下地樹脂への含浸及び液膜3の形成に用いる表面改質液は、揮散し難く、例えば大気圧下での蒸気圧が小さい不揮発性の液体(例えば沸点が200℃以上)であることを条件として、含液膜構造体10に要求される表面特性に応じて適宜のものが選択される。例えば、水等の水性物質に対する撥液性や滑り性を高めるためには、油性液体が使用され、油性物質に対しての撥液性や滑り性を高めるためには、水あるいは親水性の高いイオン液体が使用される。さらに、この構造体10を容器として使用し、内容物(例えばマヨネーズや各種ソースなどの粘稠な液体)に対する滑り性を高めるためには、この内容物と混和しないような非混和性(例えば一定厚み以上の液膜3を保持することができる)を有していることが必要である。
このような表面改質液として、特に、水分含有の容器内容物に対して好適な具体例としては、シリコーンオイル、グリセリン脂肪酸エステル、流動パラフィン、食用油脂などを挙げることができる。特に好ましいものは、中鎖脂肪酸トリグリセライド、グリセリントリオレート及びグリセリンジアセトモノオレートに代表されるグリセリン脂肪酸エステル、流動パラフィン、ならびに食用油脂である。これらは、揮散し難く、しかも、食品添加物として認可されており、さらには、無臭であり、内容物のフレーバ−を損なわないという利点もある。
さらに、マヨネーズ等の乳化系の内容物に対しては、上記の中でも、乳化に時間を有する性質を示す液体、例えば、比較的分子量の高いものがよい。これは、分子量が低い潤滑液は、分子が小さいため、乳化系の内容物にとりこまれやすい(短時間でとりこまれる)傾向があるためである。例えば、シリコーンオイルや流動パラフィンでは、分子量の比較的高いもの、グリセリン脂肪酸エステルにおいては、脂肪酸基が大きく(脂肪酸の炭素数としては、8以上のもの)、脂肪酸基の置換数の大きいもの(例えば、ジグリセライド、トリグリセライド、特には、中鎖脂肪酸トリグリセライド、グリセリントリオレート等)、食用油脂では、脂肪酸数が大きいもの(主たる脂肪酸の炭素数としては、16以上のもの)が最適である。
液体含浸樹脂組成物の調製;
上記のような表面改質液を下地樹脂に含浸させての液体含浸樹脂組成物の調製は、押出機等の成形機内の混練部に、下地樹脂と共に表面改質液を投入することにより、容易に行うことができる。
用いる表面改質液の量は、用いる下地樹脂の種類に応じて設定され、例えば、該表面改質液に対する下地樹脂の飽和含浸量当り、20〜100%、特に30〜90%の範囲とすることが好ましい。この量が、飽和含浸量よりも多いと、成形時に液の浸出が生じてしまい、無駄な液量が多くなってしまい、コストの増大、液による成形機の汚染などを生じてしまう。また、この量が少なすぎると、後からのコーティングにより液膜3を形成したとき、液膜3を形成している表面改質液の下地樹脂層1への浸透量が多くなってしまい、この結果、液膜3の厚みが不安定となったり、厚みのバラつきを生じ易くなってしまう。
勿論、液膜3からの表面改質液の浸透を抑制するという効果が損なわれない限りにおいて、かかる液体含浸樹脂組成物には、含液膜構造体10の用途に応じて、それ自体公知の各種添加剤が配合されていてよい。
3.成形;
上記のようにして調製される液体含浸樹脂組成物を用いての成形は、該樹脂組成物による層が液膜3を形成する表面に形成されることを条件として、構造体10の形態に応じて公知の成形法により実施される。
例えば、フィルム、シート、筒状等のシンプルな形態の構造体10を成形する場合には、押出成形を好適に採用することができる。この場合、下地樹脂層1が他の樹脂の層に積層されている構造では、液体含浸樹脂組成物による下地樹脂層1が表面となるようにしての共押出により成形を行うことができる。また、下地樹脂層1が、ガラスや金属などの基体上に形成されるような場合には、押出しラミネート等の手段を採用することもできる。
また、構造体10が複雑な立体形状を有するような場合には、射出成形が好適に採用される。この場合、下地樹脂層1が他の樹脂の層に積層されている構造では、液体含浸樹脂組成物の層が表面となるようにしての共射出により成形を行えばよい。
さらに、構造体10の形態によっては、延伸成形を行うこともできる。このような延伸成形は、上述した押出成形や射出成形によって延伸成形用のプリフォームを成形し、次いで、これを公知の延伸成形に供すればよい。
例えば、構造体10を容器として使用する場合には、容器の形態に応じて容器用のプリフォームを成形し、次いで、延伸成形を行えばよい。即ち、ボトル形状の容器を成形する場合には、試験管状或いはパイプ状の有底プリフォームを成形し、次いでブロー成形による延伸成形を行えばよい。カップ形状の容器を成形する場合には、シート状のプリフォームを成形し、次いで、プラグアシスト成形等の真空成形により延伸成形を行えばよい。
4.液膜3の形成;
本発明では、最後に、上記のようにして得られた成形体の表面(下地樹脂層1の表面)に、表面改質液をコーティングして液膜3を形成することにより、目的とする含液膜構造体10が得られる。
このコーティングは、成形体(液膜形成前の構造体10)の表面形態に応じて、公知の手段、例えば、スプレーコーティング、ディッピング、ナイフコーティング、ロールコーティング等により行うことができるが、一般的には、表面形態による制限をほとんど受けないスプレーコーティングにより行われる。
このようにして形成される液膜3においては、下地樹脂層1中にも表面改質液が存在していることから、液膜3を形成している表面改質液の下地樹脂層1中への浸透が有効に抑制され、下地樹脂層1中への液の浸透による液膜3の厚みの減少を有効に抑制することができる。
また、下地樹脂層1の表面には表面改質液が点在しており、表面改質液に対する濡れ性が極めて高い。本発明では、このような表面に表面改質液をコーティングするため、表面全体にわたって、均一な厚みの液膜3を形成することが可能となる。
因みに、含液膜構造体10における下地樹脂層1の表面での液膜3の被覆率Fは、下記式(1):
F=(cosθ−cosθ)/(cosθ−cosθ) (1)
式中、θは、下地樹脂層1(表面改質液を含む下地樹脂組成物により形成されてい
る層)の表面での水接触角であり、
θは、表面改質液上での水接触角であり、
θは、下地樹脂上での水接触角である、
で表されるが、本発明では、この被覆率Fは1.0であり、下地樹脂層1の全体にわたって液膜3を形成することができる。
<含液膜構造体>
上述した本発明方法により得られる含液膜構造体10は、特に下地樹脂層1が厚み分布を有する形態である場合に、最も本発明の利点が活かされる。
即ち、厚み分布を有する下地樹脂層1の表面に液膜3を形成する場合、通常、液膜3を形成する表面改質液が厚みの厚い部分には多く浸透し、厚みの薄い部分への浸透量は少ない。このため、液膜3は、下地樹脂層1の厚みが厚い部分で薄くなり、下地樹脂層1の厚みの薄い部分で厚くなってしまう。しかるに、本発明では、下地樹脂層1中に予め表面改質液が存在しているため、このような下地樹脂層1の厚み分布による液膜3の厚みムラを有効に抑制することができるのである。
このような下地樹脂層1に厚み分布を有する構造体10の例として、延伸成形構造体を挙げることができる。即ち、立体的な形状の構造体、例えば容器を延伸成形により成形する場合、その形状に由来して高延伸部と低延伸部とが形成されてしまい、高延伸部では、下地樹脂層1の厚みが薄くなり、低延伸部では、下地樹脂層1の厚みが厚くなり、従って、下地樹脂層1に厚み分布が形成されてしまう。例えば、ボトル形状の二軸延伸ブロー成形容器やダイレクトブロー成形容器では、底部や肩部が低延伸部となり、胴部が高延伸部となり、一般に、延伸成形部において、少なくとも20μm以上の厚み分布が形成されることとなる。
しかるに、本発明では、このような延伸成形構造体に液膜3を形成して含液膜構造体10(含液膜延伸成形構造体)とする場合にも、厚みのバラつきが小さく、均一な厚みの液膜3を形成することが可能となる。
例えば、前述した液膜3の形成のためのコーティング量を調整し、液膜3の塗布量を1〜30g/mの範囲内に収めることができ、この結果、容器内の全体にわたって均等に液膜3による表面特性(例えば内容物に対する滑り性)を発現させることができる。
このように、本発明において製造される含液膜構造体10は、下地樹脂層1を表面に有する延伸成形構造体の表面に液膜3を形成した含液膜延伸成形構造体であることが、本発明の利点を効果的に活用することができ、特に粘稠な内容物が収容されるダイレクトブロー成形容器としたときに、液膜3による表面特性(内容物に対する滑り性)を発揮して該内容物を速やかに排出でき、本発明の利点を最大限に発揮させることができる。
図2には、このようなダイレクトブロー容器を示した。
図2において、本発明の含液膜構造体(含液膜延伸成形構造体)10に相当するダイレクトブロー成形容器は、ボトル形状を有しており、螺条を備えた首部11、肩部13を介して首部11に連なる胴部15及び胴部15の下端を閉じている底部17を備えており、その内面に前述した液膜3が形成されている。
このような容器(10)に粘稠な内容物を充填した後、首部11の上端開口部にアルミ箔等の金属箔19をヒートシールにより施し、所定のキャップ20を装着することにより、包装ボトルとして使用に供される。かかる包装ボトルでは、キャップ20を開封し、シール材が塗布された金属箔19を引き剥がし、容器(10)を傾倒乃至倒立させることにより、必要により胴部壁15をスクイズすることにより容器内容物の取り出しが行われる。
即ち、このような容器では、首部11が未延伸部であり、肩部13、胴部15及び底部17が延伸部であり、胴部15が高延伸部、肩部13及び底部17が低延伸部となっており、高延伸部(胴部15)と低延伸部(肩部13及び底部17)との間には、少なくとも20μm以上、特に30〜50μmの厚み差を有している。本発明では、このような厚み差を有している容器10の内面(下地樹脂層1の表面)の全体にわたって、厚み差が極めて少なく、例えば1〜30g/mの塗布量の液膜3がムラなく形成され、前述したように、内容物の種類に応じて適宜の表面改質液を用いて液膜3を形成することにより、内容物に対して優れた滑り性(排出性)を確保することができる。
尚、本発明においては、上記のようなダイレクトブロー成形容器を含め、容器の形態で含液膜構造体10(含液膜延伸成形構造体)を使用する場合には、先にも述べたように、容器内面を形成する下地樹脂としては、ガラス転移点(Tg)が0℃以下の樹脂、特にオレフィン系樹脂で形成することが好適であるが、かかる容器は、下地樹脂として使用するオレフィン系樹脂に表面改質液が含浸されている限りにおいて、このようなオレフィン系樹脂の単層構造により容器が形成されていてもよいし、他の樹脂層が積層された多層構造を有していてもよい。
このような多層構造を採用する場合、特に、ガラス転移点(Tg)が35℃以上の緻密な樹脂を中間層として設けることが好適である。即ち、このような中間層を形成することにより、下地樹脂層1に含浸されている表面改質液の他の層への浸透が有効に抑制され、設定通りの厚みの液膜を効果的に形成することができる。
上記のような高ガラス転移点(Tg)の緻密な樹脂としては、ガスバリア性樹脂が代表的であり、容器の形態で含液膜構造体10を使用する場合には、このようなガスバリア性樹脂の中間層を設けることが、容器内容物の酸化劣化を防止できるという利点も有するため、最適である。
ガスバリア性樹脂としては、エチレンビニルアルコール共重合体(エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物)や芳香族ポリアミドなどを例示することができ、特にエチレンビニルアルコール共重合体によるガスバリア層を設けることが最も好適である。エチレンビニルアルコール共重合体は、特に優れた酸素バリア性を示すため、酸素透過による内容物の酸化劣化をも有効に抑制することができ、優れた内容物保存性を確保することができる。
さらに、前述した高ガラス転移点(Tg)の緻密な樹脂には、接着剤樹脂もあり、特に上記のようなガスバリア層を中間層として設ける場合には、内外層との接着性を高め、デラミネーションを防止するために、接着剤樹脂の層を設けることが好ましい。これにより、中間層のガスバリア層をしっかりと内外層に接着固定することができる。
このような接着剤樹脂はそれ自体公知であり、例えば、カルボニル基(>C=O)を主鎖若しくは側鎖に1乃至100meq/100g樹脂、特に10乃至100meq/100g樹脂の量で含有する樹脂、具体的には、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などのカルボン酸もしくはその無水物、アミド、エステルなどでグラフト変性されたオレフィン樹脂;エチレン−アクリル酸共重合体;イオン架橋オレフィン系共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体;などが接着性樹脂として使用される。
液膜3を除く容器の厚みは、容器の形態に応じて、所望の強度や柔軟性、可能性、スクイズ性等が発現し得るように設定される。例えば、図2に示す粘稠な内容物の充填に好適に使用されるダイレクトブロー成形容器では、150〜1200μm程度の厚みに設定される。
また、多層構造とする場合において、ガスバリア層(中間層)の好適な厚みは、一般に1乃至50μm、特に9乃至40μmの範囲であり、前述した接着剤樹脂層の厚みは、適宜の接着力が得られる程度でよく、一般的には0.5乃至20μm、好適には1乃至8μm程度である。
さらに、多層構造を有する容器においては、多層のいずれかの層として、この容器を成形する時に発生するスクラップ樹脂をバージンの最外層形成樹脂と混合してリグラインド層を形成することもできる。この場合、成形性を維持しつつ、資源の再利用化を図るという観点から、スクラップ樹脂の量は、バージンの最外層樹脂100重量部当り10乃至60重量部程度の量とするのがよい。このような最外層隣接層の厚みは、包装容器の大きさや内容物の種類等によっても異なるが、容器壁の全体厚みが必要以上の厚みとならず且つスクラップ樹脂の有効利用が図れるような厚みとすればよく、一般に、20乃至800μm程度の厚みに設定される。
本発明を次の実施例にて説明する。
尚、以下の実施例等で行った各種の特性、物性等の測定方法及び構造体(フィルム、ボトル)の成形に用いた樹脂等は次の通りである。
1.表面改質液の被覆率測定
後述の方法で作成したフィルム、あるいは容量500gのボトルの胴部から10mm×60mmの試験片を切り出した。23℃50%RHの条件下、固液界面解析システムDropMaster700(協和界面化学(株)製)を用い、試験片の内層が上になるように固定し、3μLの純水を試験片にのせ、水接触角θを測定した。得られた水接触角を用いて、下記式(1)より、構造体表面での表面改質液の被覆率Fを求めた。
F=(cosθ−cosθ)/(cosθ−cosθ) (1)
式中、θは、下地樹脂層1(表面改質液を含む下地樹脂組成物により形成されてい
る層)の表面での水接触角であり、
θは、表面改質液上での水接触角であり、
θは、下地樹脂上での水接触角である、
表面改質液の被覆率Fを求めるにあたり、θとθの値として、下記水接触角の値を用いた。
θ:80.3°
(中鎖脂肪酸トリグリセライドの液膜上での値)
θ:100.1°
(低密度ポリエチレン単体での値)
<下地樹脂層形成用樹脂>
低密度ポリエチレンA(LDPE−A)
MFR:2g/10min (190℃)
密度:0.919g/cm
Tg:−70℃以下
低密度ポリエチレンB(LDPE−B)
MFR:0.3g/10min (190℃)
密度:0.922g/cm
Tg:−70℃以下
<ガスバリア層形成用樹脂>
エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)
密度:1.20g/cm
Tg:60℃
<接着層形成用樹脂>
無水マレイン酸変性ポリエチレン
<外層形成用樹脂>
低密度ポリエチレンB(LDPE−B)
各種物性は上述のものと同一。
<第2内層形成用樹脂>
低密度ポリエチレンB(LDPE−B)
各種物性は上述のものと同一。
<表面改質液>
中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)
表面張力:28.8mN/m (23℃)
粘度:33.8mPa・s (23℃)
沸点:210℃以上
引火点:242℃(参考値)
尚、液体の表面張力は固液界面解析システムDropMaster700(協和界面科学(株)製)を用いて23℃にて測定した値を用いた。なお、液体の表面張力測定に必要な液体の密度は、密度比重計DA−130(京都電子工業(株)製)を用いて23℃で測定した値を用いた。また、潤滑液の粘度は音叉型振動式粘度計SV−10((株)エー・アンド・デイ製)を用いて23℃にて測定した値を示した。
<実験例1>
(表面改質液の下地層中への浸透性評価)
ラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)を用い、下地層形成用樹脂として低密度ポリエチレンA(LDPE−A)のペレットをホッパーに供給し、ダイヘッド温度220℃で厚み120μmのフィルムを作製した。
作製したフィルムから150mmx150mmサイズの試験片を切りとり、スピンコーター(MS−A200、ミカサ(株)製)を用いて、試験片表面上に表面改質液(中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT))の液膜を塗布した。回転数と回転時間を変更することで、様々な塗布量になるように調製した。塗布前後の重量変化より、表面改質液の塗布量(g/m)を求めた。
作製した液膜が塗布された試験片を22℃60%RHの環境下で保管し、所定の期間保管した後、上述の表面改質液の被覆率測定を行った。結果を表1に示す。
表1より、120μmのLDPEフィルム上に塗布した表面改質液の被覆率は、塗布直後においては1に近い値を示すが、経時にともない、低下していくことが分かる。このことから、下地層としてLDPEを用い、表面改質液を塗布して液膜を形成し、この液膜による機能を発現させる場合、経時にともない、その性能が低下ないし消失してしまうことが容易に理解できる。
用いた表面改質液は沸点が210℃以上の低揮発性液体であることに加え、下地層として用いたLDPEは保管温度においてゴム状態であるため、この被覆率の低下は、フィルム上に塗布された表面改質液がLDPEからなる下地層中へ浸透することによって引き起こされたと解釈できる。
<実験例2>
(下地層中に表面改質液を含浸させた多層ボトルの成形・評価 <1>)
40mm押出機に、下地層形成樹脂として低密度ポリエチレン−B(LDPE−B)、表面改質液として中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)とのブレンド物からなる樹脂組成物を、30mm押出機Aに接着層形成用樹脂として無水マレイン酸変性ポリエチレンを、30mm押出機Bにガスバリア層形成用樹脂としてエチレン・ビニルアルコール共重合体を、50mm押出機に外層形成用樹脂として低密度ポリエチレン−Bを、それぞれ供給し、温度210℃の多層ダイヘッドより溶融パリソンを押し出し、金型温度22℃にてダイレクトブロー成形を行い、内容量500g、重量20gの下地層中に表面改質液を含浸させた多層ボトルを作製した。このボトルの樹脂層構成と各層の厚み比を下記に示す。
(内面) 表面改質液含浸下地層(20%)/接着層(3%)/バリア層(5%)/接着層(3%)/基材層(69%) (外面)
なお、括弧内の数値は全体厚みに対する各層の厚み比(%)である。
ここで、層構成を変更せずに、40mm押出機に供給するLDPE−BとMCTの組成比を変更し、下地層中に含まれる表面改質液の濃度が異なる種々のボトルを作製した。用いた材料の組成比を下記に示す。
LDPE−B/MCT=100/0、99.9/0.1、99.5/0.5、99/1、98/2、97/3、95/5 (いずれも重量比)
作製したボトルを22℃60%RHの環境下で保管し、上述の表面改質液の被覆率測定を行った。結果を表2に示す。
表2より、下地層中の組成比として、0.5wt%以下のMCTを含浸させた組成物を用いて成形されたボトルでは、被覆率が0のままであるが、0.5wt%より大きい量を含浸させることにより、被覆率が向上することが分かる。組成比が3wt%と5wt%のものでは、被覆率がいずれも約0.8とほとんど変わらないことから、LDPE中へのMCTの飽和含浸量は3wt%ということが分かる。
さらに、本構成のボトルでは、ボトル成形14日後においても、ボトル1日後と同等の被覆率を示している。これは、ボトルの層構成として、ガスバリア層を外層と下地層の間に配置することにより、下地層に含浸させているMCTが外層へ拡散することを効果的に防止しているためであると言える。このことは、バリア層よりも内側に存在するMCTの合計量と樹脂の合計量を求め、バリア層よりも内側の樹脂層におけるMCTの平均濃度を算出した際、下地層中へのMCTの含浸率(濃度)とバリア層よりも内側の樹脂層におけるMCTの平均値が大きく変わっていないことからも支持されていると言える。
<実験例3>
(下地層中に表面改質液を含浸させた多層ボトルの成形・評価 その2)
40mm押出機に、下地層形成樹脂として低密度ポリエチレン−B(LDPE−B)、表面改質液として中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)とのブレンド物(LDPE−B/MCT=95/5(重量%))からなる樹脂組成物を、30mm押出機Aに接着層形成用樹脂として無水マレイン酸変性ポリエチレンを、30mm押出機Bにガスバリア層形成用樹脂としてエチレン・ビニルアルコール共重合体を、30mm押出機Cに外層形成用樹脂として低密度ポリエチレン−Bを、50mm押出機に第2内層形成用樹脂として低密度ポリエチレン−Bを、それぞれ供給し、温度210℃の多層ダイヘッドより溶融パリソンを押し出し、金型温度22℃にてダイレクトブロー成形を行い、内容量500g、重量20gの下地層中に表面改質液を含浸させた多層ボトルを作製した。このボトルの樹脂層構成と各層の厚み比を下記に示す。
(内面) 表面改質液含浸下地層(23%)/第2内層 (53%)/接着層(3%)/バリア層(5%)/接着層(4%)/外層(13%) (外面)
なお、括弧内の数値は全体厚みに対する各層の厚み比(%)である。
作製したボトルを22℃60%RHの環境下で保管し、上述の表面改質液の被覆率測定を行った。結果を表3に示す。
表3より、下地層中の組成として5wt%のMCTを含浸させた組成物を用いて成形されたボトルでは、成形後1日区において、被覆率が約0.8となっていることが分かる。一方、成形後14日区においては、被覆率が0.46と低下していることが分かる。
このボトルの層構成は、下地層に隣接してLDPEの層が形成され、さらに、ガスバリア層、外層の順で構成されている。このことから、経時により、下地層中に含浸されていたMCT成分が隣接しているLDPE層中に浸透拡散することで、下地層中のMCTの含浸量が低下し、その結果、表面に被覆されていたMCT成分も下地層中へ浸透し、被覆率が低下したものと解釈できる。
実験例2と同様に、バリア層よりも内側の樹脂層におけるMCTの平均濃度を計算すると、1.45wt%となり、下地層中の組成(5wt%)に比べ大きく低下している。従って、このような層構成とした場合、被覆率の低減はより顕著なものとなる。
この結果から、下地層表面に形成された表面改質液の厚みは、下地層中における表面改質液の含浸率だけでなく、下地に隣接する樹脂層の状態(ゴム状ないしガラス状)や表面改質液の含浸率にも強く影響を受けることが分かる。
したがって、特に、ガラス転移点が0℃以下のゴム状の樹脂層を下地に隣接する樹脂層として設ける際には、下地層中に表面改質液を含有させておくことが極めて有効であることが理解できる。
以上より、ガラス転移点が0℃以下の下地樹脂層を有する構造体表面上に表面改質液による液膜を形成させ、長期にわたり表面改質液の性能を維持しようとする場合には、下地樹脂層中への表面改質液の浸透を低減するために、あらかじめ下地樹脂層中に表面改質液を含浸させた樹脂組成物により、下地樹脂層を形成し、この下地樹脂層上にコーティング等で表面改質液の液膜を形成することが有効であることが分かる。
さらに、下地樹脂層と、下地樹脂層と隣接する第2内層が、どちらもガラス転移点が0℃以下の樹脂で形成される場合においては、コーティングする表面改質液の浸透量がより多くなるため、下地樹脂層として、表面改質液を含浸させた樹脂組成物により形成させておくことが極めて有効になると言える。この場合、下地樹脂層だけでなく、第2内層にも表面改質液を含浸させた樹脂組成物を併用することが浸透量の低減という観点から、より有効となると言える。
1:下地樹脂層
3:液膜
10:含液膜構造体
11:首部
13:肩部
15:胴部壁
17:底壁
19:金属箔
20:キャップ

Claims (10)

  1. 樹脂製下地表面に、表面を改質するための液体をコートすることにより該表面に液膜を形成する工程を含む含液膜構造体の製造法において、
    前記下地表面を形成する樹脂に液体を含浸せしめて液体含浸樹脂組成物を調製し、
    前記液体含浸樹脂組成物を用いての成形により、該液体含浸樹脂により表面が形成されている成形体を作製し、
    次いで、前記成形体の表面に液体をコートすること、
    を特徴とする含液膜構造体の製造法。
  2. 前記下地表面を形成する樹脂に対して、飽和含浸量の20〜100%の量で前記液体を含浸せしめて前記液体含浸樹脂組成物を調製する請求項1に記載の製造法。
  3. 下地表面を形成する樹脂に含浸せしめる液体と、前記成形体の表面にコートする液体が同じものである、請求項1又は2に記載の製造法。
  4. 前記下地面を形成する樹脂としてガラス転移点(Tg)が0℃以下であるものを使用する請求項1〜3の何れかに記載の製造法。
  5. 前記液体含浸樹脂組成物を用いての成形を、延伸成形用プリフォームを成形しての延伸成形により行う請求項1〜4の何れかに記載の製造法。
  6. 樹脂製下地表面に表面を改質するための液膜が形成されている含液膜延伸成形構造体において、
    前記下地表面を形成する樹脂層は、厚み差が少なくとも20μm以上となる厚み分布を有していると共に、
    前記下地表面を形成している樹脂層上に形成される液膜の塗布量が1〜30g/mの範囲内に保持されていることを特徴とする含液膜延伸成形構造体。
  7. 前記下地面を形成している樹脂のガラス転移点(Tg)が0℃以下である請求項6に記載の含液膜延伸成形構造体。
  8. 前記下地面を形成している樹脂の層に隣接して、ガラス転移点(Tg)が0℃以下の樹脂層が形成されている請求項7記載の含液膜延伸成形構造体。
  9. 容器の形態を有する請求項5〜8の何れかに記載の含液膜延伸成形構造体。
  10. ダイレクトブロー成形容器である請求項6〜9の何れかに記載の含液膜延伸成形構造体。
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