JP6587829B2 - 延伸ブロー二重容器及びその製造方法 - Google Patents
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Description
しかるに、ダイレクトブロー成形により二重構造容器を製造する場合には、溶融押出からボトルの成形までの工程が一挙に行われることから、多数個取りが難しく、生産性が低いため、コストが高いという問題がある。また、ダイレクトブロー成形ではオレフィン系樹脂が使用されることが多く、透明性が低いため内容物の視認性に難がある。
例えば、特許文献1〜3には、このような延伸ブロー成形により二重容器を製造する方法が開示されている。
前記外筒体は、首部と、該首部に連なっている肩部、肩部から下方に延びている胴部、及び胴部の下端を閉じている底部とからなり、該肩部、胴部及び底部は、内袋の延伸ブローによって賦形されたものであり、
前記内袋は、首部と、該首部に連なっており且つ延伸ブローにより賦形された袋状部とからなり、
前記外筒体の肩部の内面と前記内袋の袋状部の外面との間には、該内袋の首部の押し込みにより空気層が形成されており、前記外筒体の胴部及び底部の内面には、前記内袋の袋状部の外面が密着していることを特徴とする延伸ブロー二重容器が提供される。
(1)前記外筒体の首部には、前記空気層に通じる空気孔が形成されていること、
(2)前記内袋の首部が、前記外筒体の首部の内部に嵌合保持されていること、
が好ましい。
何れもが試験管形状を有しており、非成形部である首部と延伸ブロー成形される管状部とを有する外筒用プリフォームと内袋用プリフォームとを用意し、
前記内袋用プリフォームを外筒用プリフォームの内部に挿入して二重構造を有している二重プリフォームを作製し、
前記二重プリフォームの上部を固定した状態で、該二重プリフォーム内の内袋用プリフォーム内にブロー流体を供給しての延伸ブロー成形を行って、外筒体と内袋とからなる二重構造を有しており且つ内袋の袋状部の外面が、外筒体の肩部、胴部及び底部に密着している二重構造容器前駆体を製造し、
前記二重構造容器前駆体の内袋の首部を、前記外筒体の内部にさらに押し込むことにより、該外筒体の肩部の内面と該内袋の袋状部の外面との間に空気層を形成すること、
を特徴とする延伸ブロー成形二重容器の製造方法が提供される。
上記の製造方法においては、前記外筒用プリフォームの首部には、空気孔が形成されていることが好適である。
即ち、外筒体用のプリフォームの内部に内袋用のプリフォームを挿入した状態で延伸ブロー成形を行って二重容器を製造する場合、内袋用のプリフォームが延伸され、延伸された内袋用プリフォームの外面が外筒用プリフォームの内面に密着し、外筒プリフォームを延伸せしめ、外筒プリフォームの外面がブロー金型面に密接して冷却され、これにより、内袋用プリフォーム及び外筒用プリフォームが何れも容器形状に賦形され、延伸ブロー二重容器が得られる。このため、このままの状態では、外筒体の肩部の内面には、内袋の袋状部の外面が密着した状態にある。しかるに、本発明では、通常であれば密着しているこの部分に積極的に空気層(空隙)を形成するわけである。
また、上記の嵌合部Aの下側において、外筒体1の首部1aの内面と内袋3の首部3aの外面との間には空隙11が形成されており、さらに、この空隙11に連通するように、外筒体1の首部1aには、空気孔13が設けられている。
即ち、外筒体1の成形に用いる試験管状のプリフォーム(外筒用プリフォーム)内に、内袋3の成形に用いる試験管状のプリフォーム(内袋用プリフォーム)を挿入し、この状態で内袋用プリフォーム内にブロー流体を吹き込んでブロー成形を行った場合、内袋用プリフォームの膨張によって外筒用プリフォームが押し広げられて成形されるため、通常、外筒体1の首部1aの下端1a’と内袋3aの下端3a’とは、同一高さにあり、内袋3の袋状部3b(内袋用プリフォームの延伸ブローされる部分)は、外筒体1の肩部、胴部及び底部(内袋用プリフォームの延伸ブローされる部分)の内面に密着した状態で得られる。
しかるに、本発明では、図2(a)から理解されるように、内袋3aの下端3a’は、外筒体1の首部1aの下端1a’よりも下方に位置しており、両者の間には段差dが形成されており、この段差dにより、外筒体1の肩部1bの内面と内袋3の袋状部3bとの間には、空隙によって空気層15が発生しており、この空気層15を除く部分で、外筒体1の胴部1c及び底部1d(或いはさらに肩部1bの一部)の内面は、内袋3の袋状部3bに密着したものとなっている。
上記の段差dは、空気導入のために適度な大きさの空気層15を確実に形成するため及び成形上の観点から、通常、1〜5mm程度であればよい。
しかしながら、成形直後においては、図2(b)に示されているように、外筒体1の首部1aの上端と内袋3のリング状突起7の下側との間には、間隔dの隙間が形成されており、この上端と空隙11の上端との間の領域が嵌合部Aとなっている。即ち、間隔dの隙間が形成されるように、内袋3は、外筒体1に仮止めされた状態となっている。また、内袋3aの下端3a’と外筒体1の首部1aの下端1a’との間に段差は存在せず、外筒体1の肩部1b、胴部1c及び底部1dの内面は、内袋3の袋状部3bに密着したものとなっている。
このようにして、内袋3の首部3aが押し込まれると、首部3aは、延伸ブローされておらず、厚肉で剛性を有しているが、袋状部3bは、延伸ブローによって薄肉となっており、形態保持性を有していないため、外筒体1の肩部1bの内面に密着している袋状部3bは下方に撓み、この結果、外筒体1の肩部1bの内面の少なくとも一部と袋状部3bとの間に空気層15が形成されることとなるわけである。
また、外筒用プリフォーム内に内袋用プリフォームをスムーズに挿入し得るように、外筒用プリフォームの首部下方の管状部(成形部)の内径は、内袋用プリフォームの首部下方の管状部(成形部)の外径よりも若干大きく設定される。挿入時にベント(空気抜け)が行われるようにするためである。
さらに、外筒体1は、形態保持性を有しているものであり、外部から胴部1cを押圧することによって凹むが、押圧力を解除すると、原形に弾性復帰する。一方、内袋3の袋状部3bは、フィルム状であり、形態保持性を有していない。従って、外筒用プリフォームの管状部(成形部)の厚みに比して、内袋用プリフォームの管状部(成形部)の厚みはかなり薄いものとなっている。
即ち、本発明の二重容器20では、本来密着しているはずの外筒体1の肩部1bの内面と袋状部3bとの間に空気層15が形成されており、この空気層15が、空隙11を介して空気孔13と連通しており、空気導入部として有効に機能する。このため、逆止弁付キャップを装着し、外筒体1の胴部1cの外面を押圧しての内容物の排出操作を行った場合、外筒体1の胴部1cと内袋3の袋状部3bとの間に有効に空気が導入され、安定して、内容物の排出操作を行うことができる。
即ち、全体として50で示されている逆止弁付キャップは、従来公知の構造を有しているものでよく、例えば、二重容器20のノズル部に被せられているキャップ本体51と、ノズル部の上端の開口部(内袋3の首部3aの開口)に嵌め込まれている中栓53とを備えている。
尚、図3では省略されているが、キャップ本体51には、通常、上蓋はヒンジ連結されており、この上蓋を開放した状態で内容物の排出が行われる。
頂板部55には、中央部に内容物注出用の開口59が形成されており、この開口59の周縁から、注ぎ出される内容物の案内となる注出筒61が上方に延びている。また、この頂部には、注出筒61の外側となる位置に、空気導入用の開口63が形成されている。
さらに、筒状側壁57の内面には、二重結合容器20のノズル部(内袋3の首部3a)の外面に設けられている螺条9と係合する螺子突起65が形成されており、螺条9と螺子突起65との螺子係合により、このキャップ本体51は、ノズル部に被せられた状態で安定に保持される。
尚、螺条9および螺子突起65はそのどちらか、あるいは両側が断続的に切りかかれており、互いが係合している状態であっても、切り欠かれた部分を空気が流れるようになっている。また、筒状側壁55の下端部分は、その内面が外筒体1の首部1aに形成されているサポートリング5と密着し、この部分から空気が漏洩しないようにされている。
また、第1の栓体71の上方部分には、外方に延びているフランジ71bが設けられており、このフランジ71bの下端がノズル部の上端面にしっかりと密着することにより、第1の栓体71がノズル部にしっかりと保持される。
このような熱可塑性樹脂としては、例えば、以下のものを例示することができる。
オレフィン系樹脂、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダムあるいはブロック共重合体、環状オレフィン共重合体など;
エチレン・ビニル系共重合体、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等;
スチレン系樹脂、例えば、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン・スチレン共重合体等;
ビニル系樹脂、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等;
ポリアミド樹脂、例えば、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等;
ポリエステル樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びこれらの共重合ポリエステル等;
ポリカーボネート樹脂;
ポリフエニレンオキサイド樹脂;
生分解性樹脂、例えば、ポリ乳酸など;
勿論、成形性が損なわれない限り、これらの熱可塑性樹脂のブレンド物を、下地樹脂として使用することもできる。
本発明において、特に好適に使用される熱可塑性樹脂は、ポリエステル系樹脂及びオレフィン系樹脂であり、さらに、用途上外筒体1と内袋3の間には空気が流入するため、外筒体41を形成する外筒プリフォーム1には水分及びガスバリア性は必ずしも必要ではなく、水分及びガスバリア性の低いポリ乳酸も好適に使用することができる。
例えば、前述したポリエステル系樹脂やオレフィン系樹脂(或いはポリ乳酸)等から形成された内外層の間に中間層として、エチレンビニルアルコール共重合体(エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物)や芳香族ポリアミドなどのガスバリア性樹脂を用いて形成されるガスバリア層を設けることが好ましく、特にエチレンビニルアルコール共重合体によるガスバリア層を設けることが最も好適である。即ち、中間層としてガスバリア層を設けることにより酸素バリア性を付与することができ、特にエチレンビニルアルコール共重合体は、特に優れた酸素バリア性を示すため、酸素透過による内容物の酸化劣化をも有効に抑制することができ、優れた内容物保存性を確保することができる。
1a:首部
1b:肩部
1c:胴部
3:内袋
3a:首部
3b:袋状部
5:サポートリング
7:リング状突起
9:螺条
11:空隙
13:空気孔
15:空気層
20:二重容器
Claims (5)
- 外筒体と、該外筒体の内部に挿入されて保持されている内袋とからなる延伸ブロー二重容器において、
前記外筒体は、首部と、該首部に連なっている肩部、肩部から下方に延びている胴部、及び胴部の下端を閉じている底部とからなり、該肩部、胴部及び底部は、内袋の延伸ブローによって賦形されたものであり、
前記内袋は、首部と、該首部に連なっており且つ延伸ブローにより賦形された袋状部とからなり、
前記外筒体の肩部の内面と前記内袋の袋状部の外面との間には、該内袋の首部の押し込みにより空気層が形成されており、前記外筒体の胴部及び底部の内面には、前記内袋の袋状部の外面が密着していることを特徴とする延伸ブロー二重容器。 - 前記外筒体の首部には、前記空気層に通じる空気孔が形成されている請求項1に記載の延伸ブロー二重容器。
- 前記内袋の首部が、前記外筒体の首部の内部に嵌合保持されている請求項1または2に記載の延伸ブロー二重容器。
- 何れもが試験管形状を有しており、非成形部である首部と延伸ブロー成形される管状部とを有する外筒用プリフォームと内袋用プリフォームとを用意し、
前記内袋用プリフォームを外筒用プリフォームの内部に挿入して二重構造を有している二重プリフォームを作製し、
前記二重プリフォームの上部を固定した状態で、該二重プリフォーム内の内袋用プリフォーム内にブロー流体を供給しての延伸ブロー成形を行って、外筒体と内袋とからなる二重構造を有しており且つ内袋の袋状部の外面が、外筒体の肩部、胴部及び底部に密着している二重構造容器前駆体を製造し、
前記二重構造容器前駆体の内袋の首部を、前記外筒体の内部にさらに押し込むことにより、該外筒体の肩部の内面と該内袋の袋状部の外面との間に空気層を形成すること、
を特徴とする延伸ブロー成形二重容器の製造方法。 - 前記外筒用プリフォームの首部には、空気孔が形成されている請求項4に記載の製造方法。
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