JP7200489B2 - 内袋容器の収縮性に優れた二重構造容器 - Google Patents

内袋容器の収縮性に優れた二重構造容器 Download PDF

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Description

本発明は、外容器と、該外容器内に挿入されて保持された内袋容器とからなる二重構造容器に関するものであり、より詳細には、内袋容器の変形性に優れた二重構造容器に関するものであり、さらには、かかる二重構造容器の製造に使用される内袋容器成形用プリフォームにも関する。
従来、内袋容器と外容器とからなる二重構造を有している二重構造容器は、例えばエアレスボトルとして、醤油等の調味液が収容される容器として実用されている。かかるエアレスボトルは、逆止弁付のキャップと組み合わせで使用されるものであり、外容器であるボトルの胴部壁を外部からスクイズして凹ませることにより、内袋容器に充填されている内容物がキャップに形成されている注出路から排出され、ボトルの胴部壁の押圧を停止することにより内容物の排出を終了させると、逆止弁の作用により、空気は内袋容器には導入されず、キャップの注出路とは異なる流路を通って、内袋容器と外容器との間の空間に導入されることとなる。これにより、内袋容器は、内容物が排出された分だけ収縮することとなり、内容物を排出する毎に、内袋容器が収縮していく。このような方法により内容物が排出されるエアレスボトルでは、内容物を小出しできると共に、内容物が充填されている内袋容器への空気の侵入が有効に防止されるため、内容物の酸化劣化を有効に回避でき、内容物の鮮度を長期間にわたって保持できるという利点がある。
ところで、上記のような二重構造容器の製法としては、外容器成形用の樹脂と内袋容器成形用の樹脂として、互いに接着性を有していない樹脂を選択し、これらの樹脂を用いてのダイレクトブロー成形により容器の形態に賦形するという方法が主流であった。即ち、この方法は、上記の樹脂を用いての溶融押出により、二重構造のパイプを成形し、このパイプの下端部をピンチオフした後、ブロー流体を吹き込むことによりボトルの形態に賦形するという手法である。しかしながら、かかる方法では、溶融押出成形からボトル成形までの行程が一挙に行われることから多数個取りが難しく、生産性が低いという問題があった。また、外容器に関して、強度が低いという問題もあった。
このため、最近では、延伸ブロー成形により、二重構造容器を製造する方法が検討されている。
この方法としては、大きく分けて、プリフォーム-イン-ボトル法とスタックプリフォームが知られている。
プリフォーム-イン-ボトル法は、例えば特許文献1に記載されているように、予め、公知の延伸ブロー成形により外容器を成形し、この外容器内に、試験管形状の内袋用プリフォームを挿入し、この状態で内袋用プリフォーム内にブロー流体を供給してブロー成形を行うという手法である。この方法では、外容器がブロー型として機能し、内袋用プリフォームが袋状の容器形状に賦形されることとなる。つまり、この方法では、外容器についての延伸ブロー成形と内袋容器の延伸ブロー成形とが逐次行われる。
スタックプリフォーム法は、例えば特許文献2に記載されているように、外容器成形用プリフォームと内袋用プリフォームとを射出成形により成形し、内袋用プリフォームを外容器成形用プリフォーム内に挿入して、外容器成形用プリフォームと内袋用プリフォームとが重なったスタックプリフォームを形成し、このスタックプリフォームをブロー型内に保持し、スタックプリフォーム内部の内袋用プリフォーム内にブロー流体を供給して延伸ブロー成形を行うという手法である。つまり、この方法は、外容器成形用プリフォームは、内袋用プリフォームの膨張によって容器の形態に賦形されるものであり、外容器についての延伸ブロー成形と内袋容器の延伸ブロー成形とが同時に行われる。
また、このようなスタックプリフォーム法により得られた二重構造容器として、特許文献3には、外プリフォーム(16)と内プリフォーム(17)からなる積層プリフォーム(11)を2軸延伸ブロー成形した、上端部に口筒部(2)を有する壜体状の二重容器であって、外容体(6)の胴部(3a)内周面と内容体(7)の胴部(3b)外周面の少なくともいずれか一方に多数の突条が形成され、該突条により、口筒部(2)を除く少なくとも胴部(3)において、外容体(6)と内容体(7)の間に空隙(10)が形成されていることを特徴とするブロー成形二重容器が提案されている。
かかる二重構造容器では、外容器である外容体(6)の胴部と内袋容器である内容体(7)の胴部との間に空隙が形成されており、この結果、内容体(7)の胴部が容易に外容体(6)の胴部から離れ、内容体(7)の収縮性が高いという利点を有している。
さらに、特許文献4には、円筒状外口部と、該外口部に連接する多角錐状の肩部と、該肩部に連接し該多角錐状の稜線に連なる稜線を備える多角筒状の上胴部と、該上胴部に連接する中胴部と、該中胴部に連接し該多角筒状の上胴部の稜線の延長上に連なる稜線を備える多角筒状の下胴部と、該下胴部に連接する底部とを備え、外圧に対して原形復帰可能な外郭ボトルと、該外郭ボトルの該円筒状外口部の内周側に配設される円筒状内口部と、該内口部に連接し該外郭ボトルの内面形状に沿う形状の内容器体本体とを備え、外圧により変形する内容器体と、該外口部と該内口部との間に形成されて該外郭ボトルと該内容器体との間に外気を導入する通気路とを備えることを特徴とする合成樹脂製多重ボトルが提案されている。
かかる多重ボトルもスタックプリフォーム法により形成されるものであり、外郭ボトルが多角形状の胴部を有しているため、内容器体(内袋)の胴部が容易に折り畳まれるので、収縮性に優れている。
特許第3201417号 特開2016-210181号公報 特許第4281454号 特開2017-65712号公報
しかるに、上記のような延伸ブロー成形により得られた二重構造容器では、内袋容器の口部の下側部分での変形性が低く、このため、内容液の残液量が多くなってしまうという共通の課題がある。即ち、外容器の胴部をスクイズし、内袋容器の袋状部と外容器の胴部との間の空気層を介しての押圧により内容液が収容されている袋状部が収縮変形し、これにより内容液が排出されるのであるが、内容液が排出されるにしたがい、袋状部の収縮変形が小さくなり、内容液が少量となると、その排出を効果的に行うことができず、この結果、内袋容器の袋状部内に、内容液が残ってしまうという問題があった。
かかる問題は、外容器の肩部に対応する部分での内袋容器の袋状部(袋状部の上部)の薄肉化が十分でなく、この部分での厚みが厚いために生じていると本発明者等は考えている。
即ち、袋状部の上部の厚みを十分に薄肉とするためには、内袋容器成形用プリフォーム(特にプリフォームの上部)を十分に加熱し、延伸ブローにより薄肉化を十分に行うことが考えられるが、このような手法では、この二重構造容器に装着される逆止弁付キャップを螺子固定するための螺条や該キャップが密接するサポートリングなどが形成されている外容器の口部が熱変形してしまうという不都合が生じてしまう。
また、外容器の口部に嵌合固定される袋状容器の口部の厚みを薄肉とすることにより、袋状部の上方部分の厚みを薄肉にするという手法も考えられる。しかしながら、射出成形により得られるプリフォームの薄肉化には限界がある。即ち、薄肉形状のプリフォームを射出成形により成形する場合、狭い金型空間内に樹脂を充填することとなる。このため、金型空間内での溶融樹脂の流動性が悪くなり、金型空間の末端部への溶融樹脂の充填が不十分となり、成形不良を生じ易く、仮に金型で設定された通りの形状に成形できたとしても、成形品の残留歪が大きくなり、その後のブロー成形時に、不均一に変形してしまうなどの不都合を生じてしまう。
上記のような課題は、前述した特許文献1~4で提案されている二重構造容器では、何れも解決されていない。これらは、内袋容器の袋状部に内容液が満杯状態に充填されている初期の状態では袋状部がスクイズ時に速やかに収縮するため、内容液をスムーズに排出することができるが、内容液の残量が少なくなってくると、スクイズをしたときの袋状部の上方部分の変形が不十分となり、十分に収縮しなくなり、結果として、内容液の排出が困難となり、内容液の残量を低減させることができない。
例えば、特許文献4では、外容器の胴部を多角形形状とすることにより、外容器内に収容されている内袋容器の袋状部の収縮変形性を高め、内容液の残液量を低減させるというものであるが、やはり、内容液が少なってきた状態での袋状部の収縮が不満足となり、内容液の残液量を満足すべきレベルに低減させるには至っていない。即ち、特許文献4の二重構造容器では、外容器の口部内面と内袋の口部外面との間に空隙が形成されているものの、かかる空隙は、容器の軸方向に延びている溝(或いはリブ)を周方向に間隔を置いて複数形成することによって形成されているものであり、外容器の口部内面と内袋の口部外面とはがっちりと接合されており、この結果、内袋の口部下方部分から袋状部にかけての薄肉化を十分に行うことができず、どうしても、この部分が厚肉となってしまうからである。
また、互いに密着性を有していない外容器成形用樹脂と内袋容器成形用樹脂とを使用し、これら樹脂の共射出成形により、外容器成形用樹脂層と内袋容器成形用樹脂層との2層構造の二重構造容器用プリフォームを成形し、このプリフォームを延伸ブロー成形に供することにより、二重構造容器を製造するという手法(一般に、共射出法と呼ぶ)も知られているが、かかる手法によっても、上記の課題は解決されていない。
従って、本発明の目的は、延伸ブロー成形により得られる二重構造容器において、延伸ブロー成形により内袋容器を成形する際の外容器の口部での熱変形が有効に防止された二重構造容器を提供することにある。
本発明の他の目的は、外容器の口部の熱変形が防止されており、該外容器の口部がキャッピングに耐え得るに十分な強度を有していると共に、内袋容器の上方部分が十分に薄肉化されており、該内袋容器が優れた変形性を有しており、特に内容液の量が少なくなってきた場合においても、スクイズに際して内袋容器の袋状部の変形性が良好であり、これにより、内容液の残液量を大きく低減させ得る二重構造容器を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、上記の二重構造容器の製造に使用される内袋容器成形用プリフォームを提供することにある。
本発明によれば、外容器と該外容器内に挿入されて保持された内袋容器とからなり、該外容器と内袋容器との間に空気を導入するための空気導入口を備えた延伸ブロー成形により得られる二重構造容器において、
前記外容器は、結晶化口部と、該結晶化口部の下端もしくはその近傍から拡径して下方に延びている肩部と、該肩部を介して下方に延びている胴部と、該胴部を閉じている底部とを備えており、
前記外容器内に挿入されている内袋容器は、前記外容器の結晶化口部の下端から上方に位置し且つ該結晶化口部の上端部分に嵌合固定されている内袋口部と、該内袋口部の下方に連なった袋状部とを備えていると共に、
前記内袋口部は、前記外容器の結晶化口部の下端よりも上方に位置し且つ該結晶化口部との篏合部を含む全域にわたって結晶化領域となっており、該結晶化口部の下端に対応する部分を含み且つ該結晶化領域よりも下側の部分が非晶質領域となっていることを特徴とする二重構造容器が提供される。
本発明の二重構造容器では、以下の態様が好適に採用される。
(1)前記外容器内に挿入されている内袋容器は、延伸ブローに際しての拡径開始点Xが、前記外容器の拡径開始点Yよりも上方に位置していること。
(2)前記内袋口部には、前記結晶化口部との嵌合部よりも縮径した内径を有しており且つ前記結晶化口部の内面とは間隔をおいて延びている延伸規制部が形成されており、該延伸規制部が前記拡径開始点Xまで延びており、該延伸規制部により、前記拡径開始点Xとなっている部分において、該内袋口部の外面と前記外容器の内面との間に空隙が形成されていること。
(3)前記内袋口部の結晶化領域は、前記延伸規制部の一部にまで延びており、且つ該延伸規制部の一部が非晶質領域となっていること。
(4)前記延伸規制部に対応する部分に、前記外容器と内袋容器との間に空気を導入するための空気導入口が形成されていること。
(5)前記内袋口部には、前記結晶化口部の上端面に当接する周状突起が形成されていること。
本発明によれば、また、上記の二重構造容器を製造するに際して、前記外容器を形成するためのプリフォーム内または予め成形された前記外容器内に挿入された状態で延伸ブロー成形に供される内袋容器成形用プリフォームにおいて、
該プリフォームは、全体として試験管形状を有しており、延伸ブロー成形に際して、前記外容器もしくは外容器形成用プリフォームの結晶化口部内に位置し且つ該結晶化口部の上端部分に嵌合固定されるネック部と、該ネック部に連なる袋成形部とからなっており、
前記ネック部と袋成形部との境界部付近には、前記結晶化口部内に嵌合固定された状態において、前記外容器形成用プリフォームに形成されている内径変曲点Y’となる位置よりも上方に位置する内径変曲点X’が形成されており、該内径変曲点X’を境に、前記ネック部もしくは袋成形部の内面は、下方にいくに従い絞られた形態を有していることを特徴とする内袋容器成形用プリフォームが提供される。
上記の内袋容器成形用プリフォームにおいては、
(1)前記ネック部は、前記結晶化口部との嵌合部を含む上方部分に形成された結晶化領域と、該結晶化領域の下方に形成された非晶質領域とを有していること、
(2)前記ネック部には、前記結晶化口部との嵌合部の下方に、該嵌合部に比して縮径された内径を有しており且つ前記結晶化口部とは間隔をおいて前記内径変曲点X’まで延びている延伸規制領域が形成されていること、
(3)前記ネック部に形成されている結晶化領域は、前記延伸規制領域の一部にまで延びていること、
(4)前記延伸規制領域は、傾斜角の大きな内面を有する絞り導入部と、該絞り導入部から前記内径変曲点X’まで延びている傾斜角の小さな内面を有する絞り緩和部とを有していること、
が望ましい。
本発明の二重構造容器は、延伸ブロー成形法により得られるものであるが、外容器の口部が結晶化された結晶化口部となっており、さらに、内袋容器の口部(内袋口部)の外容器の結晶化口部の上端部分に嵌合固定されている部分も結晶化されている。このように結晶化されている部分は耐熱性に優れているため、延伸ブロー成形時での外容器の口部の熱変形が有効に防止されており、さらには、嵌合固定部での内袋口部の熱変形も有効に防止されているので、延伸ブロー成形により、内袋口部の嵌合固定が損なわれることもない。
さらに、本発明の二重構造容器では、外容器の結晶化口部の上端部分に嵌合固定されている内袋口部の結晶化領域は、外容器の結晶化口部の下端よりも上方部分に位置しており、外容器の結晶化口部の下端に対応する部分は非晶質領域となっている。即ち、外容器の結晶化口部内に位置している内袋口部は、結晶化口部内で延伸ブロー成形が可能となっていることを意味している。
このことから理解されるように、本発明の二重構造容器における内袋容器では、外容器内に挿入されて保持されている内袋容器の口部から袋状部にかかる部分の内面に形成されている拡径開始点Xとなる部分が、外容器の結晶化口部の下端近傍に位置している拡径開始点Yよりも上方に位置するように設定することができる。即ち、このような位置に内袋容器の拡径開始点Xが存在しているということは、この二重構造容器では、内袋容器が最大限に薄肉化されていること、換言すると、外容器の肩部に対応する部分での内袋容器の袋状部(袋状部の上部)の厚みが十分に薄肉化されていることを意味する。
このように、本発明の二重構造容器では、延伸ブロー成形による内袋容器の可及的な薄肉化が可能であり、内袋容器の口部から袋状部にかかる部分(外容器の肩部に対面する部分)を十分に薄肉とすることができる。このため、内容液の量が少なくなってきた場合においても、外容器の胴部をスクイズすることにより、袋状部の上部が速やかに変形し、該袋状部が速やかに収縮し、内容液をように排出することが可能となる。例えば、内容積が450ccの内袋容器を有する本発明の二重構造容器において、この内袋容器に内容液(醤油)を満杯に充填し、外容器の胴部をスクイズしての内容液の排出操作を繰り返し行ったとき、内容液の残液量を45cc以下にまで低減できたことを確認している。
本発明の二重構造容器の概略側断面図。 図1の二重構造容器における要部拡大側断面図。 図1の二重構造容器における要部拡大側面図。 図1の二重構造容器の成形に使用される外容器成形用プリフォーム(4a)、内袋容器成形用プリフォーム(4b)及びスタックプリフォーム(4c)を示す概略側断面図。 図4(c)に示されているスタックプリフォームの要部拡大側断面図。
図1~図3を参照して、本発明の二重構造容器は全体として30で示されており、外容器10と、外容器10の内部に収容されている内袋容器20とから構成されている。
図1において、外容器10は、フラットな直胴内面を有している結晶化された結晶化口部11と、肩部12、胴部13及び底部14とから形成されている。肩部12は、容器口部11の下端に連なっており、下方にいくにしたがい拡径している部分であり、胴部13は、上記の肩部12に連なる筒状部分であり、その下端は、底部14によって閉じられている。
上記の結晶化口部11は、ハッチングされている部分であり、延伸成形されていない固定部であり、この結晶化口部11に連なっている肩部12、胴部13及び底部14が延伸ブロー成形により薄肉化されている部分である。
尚、図1において、胴部13は、直胴形状を有しているが、実際は、スクイズ操作をし易いように、その中央部分が凹んだ形態を有している。
特に図2の部分拡大側断面図に明瞭に示されているように、かかる外容器10の結晶化口部11の外面には、空気導入口15が形成されており、空気導入口15の下方には、キャップの下端が当接して空気の漏洩を阻止するリング状突起16が形成されており、さらに、その下方には、サポートリング17が形成されている。このサポートリング17は、プリフォーム或いはボトルの搬送に際して或いはキャップの打栓などに際しての荷重受けなどに利用される。また、この上端には、外方に広がったフランジ19が形成されている。
さらに、この結晶化口部11の下端に対して若干下方に位置する部分(肩部12の上部であって、結晶化口部11と肩部12との境界部分)には、延伸ブロー成形により生じる拡径開始点Yが形成されている。即ち、この拡径開始点Yは、外容器10の内面での変曲点に相当する位置であり、延伸ブロー成形による膨張化の開始により形成される部分である。
この拡径開始点Yが、結晶化口部11の下端よりも若干下方に位置しているのは、結晶化口部11が有している剛性或いはブロー金型による拘束によってブロー圧による膨張が制限されているためである。
一方、内袋容器20は、口部(内袋口部)21(図1において外容器10の結晶化口部11の下端よりも上方の部分)と、薄肉化された袋状部23とからなっている。この袋状部23は、成形直後の段階においては、前述した外容器10の肩部12の下方部分から胴部13及び底部の内面に密着した状態にあり、延伸ブローにより、胴部13に密着している部分の厚みは、通常、200μm以下である。
かかる内袋容器20は、図1から理解されるように、外容器10内に挿入され、内袋口部21が、外容器10の結晶化口部11内の空気導入口15よりも上方部分で嵌合固定されている。この嵌合部は、図2中、24で示されている。さらに、内袋口部21の上端には、ストッパーとなる周状突起25が設けられており、この周状突起25が、結晶化口部11の上端のフランジ19と当接することにより、内袋容器20が、外容器10内に深く入り込まないように設計されている。
このような内袋口部21は、嵌合部24を含む領域Aが結晶化領域となっており、ハッチングで示されている。即ち、この結晶化領域Aよりも下方の部分が非晶質領域Bとなっている。
このように、外容器10の口部11が結晶化され、さらに内袋口部21にも嵌合部24を含むように結晶化されているため、この二重構造容器を延伸ブロー成形により成形する際、外容器の口部(結晶化口部)11の熱変形が有効に防止され、さらに、高度に薄肉化された袋状部23を得るために、延伸ブロー成形温度を高温に設定した場合においても、内袋口部21の嵌合固定が損なわれてガタツキ等を生じることはない。また、いわゆるホットパックのように、内容物を高温充填するような場合においても、口部11の熱変形が防止され、キャップとの密封性を保つことができる。
また、上記の内袋容器20では、内袋口部21と袋状部23と境界部分において、延伸ブロー成形により生じる拡径開始点Xが形成されている。即ち、この拡径開始点Xは、内袋容器20の内面での変曲点に相当する位置であり、延伸ブロー成形による膨張化の開始により形成される部分である。
図2では、この拡径開始点Xは、丁度、外容器10の結晶化口部11の下端に対応する位置に形成されている。
本発明の二重構造容器30においては、図2に示されているように、内袋容器20の拡径開始点Xが、外容器10の拡径開始点Yよりも上方位置にある。即ち、本発明における内袋容器20は、外容器10が延伸ブロー成形される際の膨張開始位置よりも上方部分で延伸ブローによる膨張及び延伸が開始して賦形されており、このため、内袋容器20の内袋口部21の下側部分(外容器10の肩部12に対応する袋状部23の上方部分)での効果的に薄肉化され、変形し易いように薄い厚みとなっている。例えば、外容器10の拡径開始点Yに対応する部分での内袋容器20の袋状部の厚みが、概略100~400μm程度となっている。
本発明においては、上記のように内袋容器20の拡径開始点Xを、外容器10の拡径開始点Yよりも上方に位置すると同時に、薄肉化のために全周にわたって空隙27が形成されている。例えば、拡径開始点Xの部分にリブ等の突起が形成され、この突起により外容器10の内面に部分的に接合されている形態では、延伸ブロー成形に際しての膨張及び延伸による変形が突起により制限されてしまうため、上記のような薄肉化を実現することができない。また、空隙27が形成されていないと、外容器10の形態に完全に連動して内袋容器20の膨張及び延伸による変形が生じてしまうため、拡径開始点X、Yが同一高さとなってしまい、拡径開始点Xを拡径開始点Yよりも上方に位置させることができない。さらに、空隙27の形成により、内袋容器20を成形するための延伸ブロー成形に際して、外容器10の結晶化口部11の加熱を有効に回避し、延伸ブロー成形すべき内袋口部21と袋状部23との境界部よりも下方部分を選択的に且つ薄肉化が効果的に行い得るように、より高い温度に加熱することができ、延伸ブロー成形時の結晶化口部11の外面(特にリング状突起16やサポートリング17)の熱変形をより確実に防止することができる。
また、本発明においては、上記のように拡径開始点Xを拡径開始点Yよりも上方に位置させ且つ空隙27を形成させておくことにより、これに関連して、内袋口部21の嵌合部24の下側には、外容器10の結晶化口部11の内面と間隔を置いて下方に延びており、嵌合部24よりも縮径された内径を有する延伸規制部28が形成されており、この延伸規制部28が拡径開始点Xまで延びている。即ち、拡径開始点Xでの空隙27は、この延伸規制部28の外面と、外容器10の結晶化口部11の内面との間に通じている。
かかる形態から理解されるように、この延伸規制部28の部分では、延伸ブローに際しての膨張が制限されているため、上記のような空隙27が形成されているわけである。
上記のような形態において、内袋口部21に形成されている結晶化領域Aは、嵌合部24から延伸規制部28の途中まで延びており、それよりも下方部分が非晶領域Bとなっている。即ち、上記のように内袋口部21の一部が結晶化領域Aとなっているため、延伸規制部28での延伸ブローに際しての膨張が有効に制限され、空隙27が確保される。さらに、拡径開始点Xでは、柔軟な非晶領域Bとなっているため、この部分からの膨張及び延伸による薄肉化がより効果的に行われているのである。
さらに、本発明では、上記の延伸規制部28が形成されている領域内に、外容器10の結晶化口部21に形成されている空気導入口15が位置していることが望ましい(図2参照)。即ち、このような位置に空気導入口15が存在している場合、空隙27が空気導入口15に連通し、この結果、空気導入口15から内袋容器20の袋状部23と外容器10の胴部13との間に空気を速やかに導入することができ、外容器10の胴部13をスクイズすることにより、内容液が充填されている袋状部23を速やかに収縮させ、内容液を排出することができる。
尚、図2の例では、外容器10の結晶化口部に穴を形成することにより空気導入口15を形成しているが、このような穴を形成せずに、例えば、外容器10の結晶化口部10の内面及び内袋容器20の内袋口部21の外面に適当な溝を形成しておき、このような溝を対面させることにより、空気導入口を形成することも可能である。
また、先に述べたように、図2では、内袋容器20の拡径開始点Xは、外容器10の結晶化口部11の下端に対応する位置に形成されているが、外容器10の拡径開始点Yよりも上方に位置している限り、外容器10の結晶化口部10の下端よりも下方に位置していてもよいし、或いは結晶化口部10の下端よりも上方に位置していてもよい。しかるに、拡径開始点Xが拡径開始点Yから離れているほど、内袋容器20の内袋口部21の下端近傍(袋状部23の上方部分)の薄肉化を実現でき、この観点からは、内袋口部21の嵌合性が損なわれない限りにおいて、外容器10の結晶化口部11の下端よりも上方に位置していることが好ましい。
本発明において、上述した外容器10は、ブロー成形可能な熱可塑性樹脂により形成されており、このような熱可塑性樹脂としては、例えば、以下のものを例示することができる。
オレフィン系樹脂、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1-ブテン、ポリ4-メチル-1-ペンテンあるいはエチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン等のα-オレフィン同士のランダムあるいはブロック共重合体、環状オレフィン共重合体など;
エチレン・ビニル系共重合体、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等;
スチレン系樹脂、例えば、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α-メチルスチレン・スチレン共重合体等;
ビニル系樹脂、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等;
ポリアミド樹脂、例えば、ナイロン6、ナイロン6-6、ナイロン6-10、ナイロン11、ナイロン12等;
ポリエステル樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びこれらの共重合ポリエステル等;
ポリカーボネート樹脂;
ポリフエニレンオキサイド樹脂;
生分解性樹脂、例えば、ポリ乳酸など;
勿論、成形性が損なわれない限り、これらの熱可塑性樹脂のブレンド物を使用することもできる。
また、二重構造容器30においては、外容器1と内袋容器3との間に空気が流入する構造となっているため、上記の外容器10には水分及びガスバリア性は必ずしも必要ではなく、水分及びガスバリア性の低いポリ乳酸も外容器10の形成に好適に使用することができる。さらに、高いバリア性が要求されていないため、エチレン・ビニルアルコール樹脂等のガスバリア樹脂による中間層を敢えて形成する必要もない。
しかるに、本発明において、好適に使用される熱可塑性樹脂は、外容器10の胴部13をスクイズして凹ませたとき、速やかに原形に復帰し得るような強度を確保できるという点で、ポリエステル樹脂、特にPETである。
さらに、内袋容器20は、外容器1と同様、ブロー成形可能な熱可塑性樹脂により形成される。
二重構造容器30では、内容物の排出に際して、内袋容器20の袋状部23と外容器10の胴部13との間に空気層を形成することが必要であるため、通常、内袋容器20形成用の熱可塑性樹脂としては、外容器10に対して速やかに剥離し得るようなものが好適に使用されるが、例えば、流動パラフィンのようなスリップ剤を配合することにより、内袋容器20を形成する熱可塑性樹脂が、外容器10を形成している熱可塑性樹脂と同種であっても何ら差し支えなく、特に、ブロー延伸条件の設定が容易であることから、内袋容器20形成用の熱可塑性樹脂と外容器10を形成している熱可塑性樹脂とが同種であることが好ましく、例えば、内袋容器20もPETのようなポリエステル樹脂で形成されていることが最適である。
本発明の二重構造容器30は、内袋容器20の内袋口部21が外容器10の結晶化口部11に嵌合固定されていると同時に、内袋口部21の外面と結晶化口部11の内面との間に空隙27が形成されることから理解されるように、内袋容器20を形成するためのプリフォームと外容器10を形成するためのプリフォームとが別個に成形される手法、具体的には、スタックプリフォーム法或いはプリフォーム-イン-ボトル法により製造される。
上記のスタックプリフォーム法は、外容器成形用の樹脂を用いての射出成形により得られた第1のプリフォーム(外容器成形用プリフォーム)と、内袋容器成形用の樹脂を用いての射出成形により得られた第2のプリフォーム(内袋容器成形用プリフォーム)を使用し、第2のプリフォームを第1のプリフォーム内に挿入して多重構造のスタックプリフォームを形成し、このスタックプリフォームについて二軸延伸ブロー成形を行うという方法である。
上記のスタック法を説明するための図4において、図1~3の二重構造容器30を成形するためのスタックプリフォームは、全体として50で示されており(図4(c)参照)、何れも試験管形状を有している第1のプリフォーム51(図4(a)参照)と第2のプリフォーム53(図4(b)参照)とから形成される。
即ち、第1のプリフォーム51が外容器成形用のプリフォーム、第2のプリフォーム53が内袋容器成形用のプリフォームであり、第2のプリフォーム53を第1のプリフォーム内に挿入して嵌合保持することにより、延伸ブロー工程に供されるスタックプリフォーム50が組み合立てられる。
図4から理解されるように、第1のプリフォーム51は、外容器10の結晶化口部11に相当する部分を有している。この部分は、延伸ブロー成形されない部分であり、従って、図1~3に示されている結晶化口部11と同一形態を有しており、リング状突起16、サポートリング17及びフランジ19を備えており、さらに、射出成形時或いは射出成形後の後加工により形成された空気導入口15を有している。
また、第1のプリフォーム51の結晶化口部11に連なっており、下端が閉じられた筒状部51aが延伸成形される部分であり、延伸ブローにより、この部分が拡径し、外容器10の肩部12、胴部13及び底部14の形態に賦形される。
従って、図4(a)に示されているように、この筒状部51aの上方部分であって、結晶化口部11の下端近傍には、延伸ブロー成形に際しての拡径開始点Yとなる内径変曲点Y’が形成されている。即ち、この内径変曲点Y’の部分で、筒状部51aの厚みは厚くなり、その内面は、下方に行くにつれて内径が小さくなっている。
また、上記の内径変曲点Y’の下方では、内袋容器成形用の第2のプリフォーム53が挿入される空間を確保するため、その内面がストレートに延びている直胴部51a’となっており、その下端が底部51a”により閉じられている。
一方、図4(b)に示されている内袋容器成形用の第2のプリフォーム53は、上記の第1のプリフォーム51内に挿入されて図4(c)に示す形態のスタックプリフォーム50とし、このスタックプリフォーム50を延伸ブロー成形に供することにより、図1~3に示す形態の二重構造容器30が成形される。
図4と共に、スタックプリフォーム50の要部を拡大して示す図5を参照して、第2のプリフォーム53は、延伸ブロー成形に際して、外容器成形用の第1のプリフォームの結晶化口部11内に位置し且つ結晶化口部11の上端部分に嵌合固定されるネック部61と、ネック部61に連なる袋成形部63とからなっている。
このネック部61の上方部分は、延伸ブロー成形により変形を生じない部分であり、従って、図2にも示されている嵌合部24を含んでいる。
かかる第2のプリフォーム53において、ネック部61と袋成形部63との境界部付近には、結晶化口部11に嵌合固定された状態において、第1のプリフォームに形成されている内径変曲点Y’よりも上方に位置する内径変曲点X’が形成されている。
図5において、この内径変曲点X’は、結晶化口部11の下端に対応する部分に形成されている。
この内径変曲点X’を境に、ネック部61もしくは袋成形部63の内面は、下方にいくに従い絞られた形態を有しており、その内径が、下方にいくにしたがい小さくなっているテーパー部63aとなっている。即ち、この内径変曲点X’では、その内面が変曲点となっている。この内径変曲点X’からある程度下方に延びたときに、その内面がストレートに延びた直胴部63bとなり、その下端を閉じている底部63cに連なっている。
上記の内径変曲点X’は、延伸ブロー成形によるブロー圧による変形の起点となる部分であり、この部分からの膨張及び延伸の開始により、図2における拡径開始点Xが形成される。
例えば、延伸ブロー成形では、高圧エアーによるブローに先立って、ストレッチロッドによりプリフォームの軸方向延伸が行われるが、このときに上記内径変曲点X’に応力集中が生じるため、この内径変曲点X’が延伸による薄肉化の起点となり、この下方部が効果的に薄肉化される。
また、かかる内径変曲点X’から膨張による拡径が開始するために、この内径変曲点X’での外面は、第1のプリフォーム51の内面には接触しておらず、延伸ブロー成形後に前述した空隙27となる空隙27aが形成されている。
上記の第2のプリフォーム53においては、上記の内径変曲点X’を、内径変曲点Y’よりも上方に位置させるために、ネック部61には、結晶化口部11との嵌合部24の下方に、嵌合部24に比して縮径された内径を有しており且つ結晶化口部11とは間隔をおいて内径変曲点X’まで延びている延伸規制領域28aが形成されている。この延伸規制領域28aは、前述した延伸規制部28に対応するものであり、結晶化口部11の内面から離れて内側に膨出した領域であり、この延伸規制領域28aと結晶化口部11の内面との間の空間は、上記の空隙27aに連なっている。即ち、このような延伸規制領域28aは、ブロー成形に際してあまり加熱されない部分であり、この領域28aの下端にある内径変曲点X’に延伸に際しての応力集中が生じ、内径変曲点X’を起点として、その下方部分が延伸される。従って、このような延伸規制領域28aの形成により、延伸ブロー成形に際しての変形が抑制され、この結果として、図2に示されているように、内径変曲点X’に由来する拡径開始点Xが第1のプリフォーム51の内面と接触せず、内径変曲点Y’に由来する拡径開始点Yよりも上方に位置することとなる。このことは、より上方部分から延伸による薄肉化が生じていることを意味する。
また、上記の延伸規制領域28aは、上記のような位置に拡径開始点Xを形成するために、傾斜角の大きな内面を有する絞り導入部28bと、絞り導入部28bから内径変曲点X’まで延びている傾斜角の小さな(或いは傾斜角がゼロ)内面を有する絞り緩和部28cとを有していることが望ましい。即ち、このような絞り導入部28bと絞り緩和部とを形成することにより、延伸規制領域28a(内径変曲点X’となる部分までの領域)において、第1のプリフォーム51の内面との接触を有効に防止することができる。
さらに、本発明においては、上記のネック部61の一部の領域が結晶化領域Aとなっている。即ち、この結晶化領域Aは、図2の結晶化領域Aと同じであり、この結晶化領域Aの下方が非晶質領域Bとなっている。
即ち、図5において、この結晶化領域Aは、延伸規制領域28aの一部、特に絞り導入部28bまで延びており、絞り緩和部28c及び絞り緩和部28cの下端に位置する内径変曲点X’は、結晶化されていない非晶質領域Bとなっている。このように、ネック部61の上部が剛性を有する結晶化領域Aとなっており、その下方の絞り緩和部28c(及び内径変曲点X’)が柔軟性を有する非晶質領域Bとなっているため、延伸ブロー成形による膨張変形が規制され、より確実に、内袋容器20の拡径開始点Xが、外容器10の拡径開始点Yよりも上方に位置することとなる。
尚、上記の第1のプリフォーム51及び第2のプリフォーム53は、それぞれ、外容器形成用の樹脂或いは内袋容器形成用の樹脂を用いての射出成形により成形されるが、第1のプリフォーム51に形成されている結晶化口部11及び第2のプリフォーム53のネック部61に形成されている結晶化領域Aは、各プリフォームを成形後に、赤外線ヒータ、加熱金型或いは高周波加熱等により、結晶化温度以上(融点未満)の温度に選択的に加熱することにより形成することができ、例えば密度法による結晶化度が20%以上、好ましくは30%以上となるように結晶化される。
上記のように内径変曲点X’が位置するように調整された第2のプリフォーム53が第1のプリフォーム51内に挿入され且つ嵌合固定することにより、図4(c)及び図5に示す形態のスタックプリフォーム50を組み立て、これをブロー金型内に配置し、所定の治具で結晶化口部11を含む部分を固定し、赤外線ヒータ等により、この第1のプリフォーム51及び第2のプリフォーム53を、それぞれ、延伸成形可能な温度(プリフォームを形成している樹脂のガラス転移点温度以上、融点未満)に加熱し、このスタックプリフォーム50(第2のプリフォーム53)内に、ストレッチロッド(図示せず)を挿入して一軸方向に延伸し、さらに、エア等のブロー流体を供給し、周方向に膨張させることにより、図1~3に示す形態の二重構造容器30が得られる。即ち、第2のプリフォーム53の内径変曲点X’よりも下方の部分が膨張し、これに伴い、第1のプリフォーム51の筒状部51aが押し広げられて膨張し、それぞれ、内袋容器20及び外容器10の形態に賦形されることとなる。この場合、外容器10の拡径開始点Yは、内袋容器20の拡径開始点Xよりも下方側で、結晶化口部11の下端よりも若干下方に位置する。
尚、上記のようにして延伸ブロー成形を行う場合、第2のプリフォーム53においては、厳密に言えば、嵌合部24の下方部分から延伸ブローによる変形が生じているが、延伸規制領域28aが設けられているため、その内面が外方に押し広げられる程度の変形に止まり、空隙27aが圧縮される程度であり、外方に向かって変曲している拡径開始点Xが生じるほどの変形は生じていない。
また、本発明においては、内径変曲点X’を内径変曲点Y’よりも上方に位置させるために、空隙27aが形成されており、さらには第1のプリフォーム51の口部が結晶化されて耐熱性が向上しているため、第2のプリフォーム53のネック部61を積極的に加熱することができ、これにより、薄肉化を図ることができる。例えば、ネック部61の厚み(嵌合部24での厚み)を所定の強度が保持される程度の厚み(通常、1.5mm以上)に保持しながら、外容器10の拡径開始点Yに対応する部分での厚みを400μm以下となるように延伸ブロー成形を行うことができる。
従って、本発明の二重構造容器30では、内袋容器20の袋状部23の上方部分(成形直後において、外容器10の肩部12に隣接している部分)の厚みを薄肉とし、その変形性を向上させることができる。即ち、内容液が充填される袋状部の上部で優れた変形性が発現しているため、スクイズ操作を繰り返し行い、内容液の液量が少なった場合にも、スクイズ操作により上記の部分が速やかに変形し、この結果、内容液を排出するための収縮を生じ、内容液の残量を大きく低減させることができる。
尚、図4及び図5では、スタックプリフォーム法により、本発明の二重構造容器30を製造する方法を説明したが、プリフォーム-イン-ボトル法についても、基本的には全く同様であり、上述した本発明の利点を享受することができる。
即ち、プリフォーム-イン-ボトル法では、結晶化口部11を有する外容器10を、内袋容器20とは全く別個の延伸ブロー成形により、予め成形しておく。このようにして成形された結晶化口部11及び拡径開始点Yを有する外容器10内に、前述したネック部61及び袋状成形部63を第2のプリフォーム53を挿入し、この第2のプリフォーム53内にストレッチロッドの挿入及びブロー流体の供給による2軸延伸ブロー成形を行うことにより、図1~図3に示す形態の二重構造容器30を得ることができる。この場合、外容器10が、内袋容器20をブロー成形する際の成形型として機能することとなる。
上述した本発明においては、上述した本発明の利点が損なわない限りにおいて、種々の設計変更が可能である。
例えば、図1~3の例では、内袋容器20の内袋口部21の上端にストッパーとなる周状突起25が設けられているが、この周状突起25よりも上方に内袋口部21を延長させ、延長された部分に、キャップ装着用の螺条を設けることもできる。
上記のようにして製造された本発明の二重構造容器10は、内袋容器20の袋状部23に内容物を収容した後、この外容器10の結晶化口部11に、それ自体公知の逆止弁付キャップを装着して使用に供される。
このような本発明の二重構造容器10では、内袋容器20(袋状部23)に充填された内容物は、例えば、外容器10の胴部13をスクイズ(押圧)することにより、押圧されて凹んだ分ずつ排出されていき、内容物が排出されて内袋容器20の袋状部23が減容するが、その分空気導入口7から空隙27を通って袋状部23と外容器10の胴部13の内面との間に空気が導入されて空気層が形成されるため、その後の内容物の排出も有効に行われる。
10:外容器
11:外容器の結晶化口部
12:外容器の肩部
13:外容器の胴部
15:空気導入口
16:リング状突起
17:サポートリング
20:内袋容器
21:内袋容器の口部(内袋口部)
23:袋状部
24:嵌合部
25:周状突起
27:空隙
28:延伸規制部
29:結晶化領域
30:二重構造容器
50:スタックプリフォーム
51:第1のプリフォーム(外容器成形用プリフォーム)
53:第2のプリフォーム(内袋容器成形用プリフォーム)
61:ネック部
63:袋成形部
X:内袋容器の拡径開始点
Y:外容器の拡径開始点

Claims (11)

  1. 外容器と該外容器内に挿入されて保持された内袋容器とからなり、該外容器と内袋容器との間に空気を導入するための空気導入口を備えた延伸ブロー成形により得られる二重構造容器において、
    前記外容器は、結晶化口部と、該結晶化口部の下端もしくはその近傍から拡径して下方に延びている肩部と、該肩部を介して下方に延びている胴部と、該胴部を閉じている底部とを備えており、
    前記外容器内に挿入されている内袋容器は、前記外容器の結晶化口部の下端から上方に位置し且つ該結晶化口部の上端部分に嵌合固定されている内袋口部と、該内袋口部の下方に連なった袋状部とを備えていると共に、
    前記内袋口部は、前記外容器の結晶化口部の下端よりも上方に位置し且つ該結晶化口部との篏合部を含む全域にわたって結晶化領域となっており、該結晶化口部の下端に対応する部分を含み且つ該結晶化領域よりも下側の部分が非晶質領域となっていることを特徴とする二重構造容器。
  2. 前記外容器内に挿入されている内袋容器は、延伸ブローに際しての拡径開始点Xが、前記外容器の拡径開始点Yよりも上方に位置している請求項1に記載の二重構造容器。
  3. 前記内袋口部には、前記結晶化口部との嵌合部よりも縮径した内径を有しており且つ前記結晶化口部の内面とは間隔をおいて延びている延伸規制部が形成されており、該延伸規制部が前記拡径開始点Xまで延びており、該延伸規制部により、前記拡径開始点Xとなっている部分において、該内袋口部の外面と前記外容器の内面との間に空隙が形成されている請求項2に記載の二重構造容器。
  4. 前記内袋口部の結晶化領域は、前記延伸規制部の一部にまで延びており、且つ該延伸規制部の一部が非晶質領域となっている請求項3に記載の二重構造容器。
  5. 前記延伸規制部に対応する部分に、前記外容器と内袋容器との間に空気を導入するための空気導入口が形成されている請求項3または4に記載の二重構造容器。
  6. 前記内袋口部には、前記結晶化口部の上端面に当接する周状突起が形成されている請求項1~5の何れかに記載の二重構造容器。
  7. 請求項1に記載の二重構造容器を製造するに際して、前記外容器を形成するためのプリフォーム内または予め成形された前記外容器内に挿入された状態で延伸ブロー成形に供される内袋容器成形用プリフォームにおいて、
    該プリフォームは、全体として試験管形状を有しており、延伸ブロー成形に際して、前記外容器もしくは外容器形成用プリフォームの結晶化口部内に位置し且つ該結晶化口部の上端部分に嵌合固定されるネック部と、該ネック部に連なる袋成形部とからなっており、
    前記ネック部と袋成形部との境界部付近には、前記結晶化口部内に嵌合固定された状態において、前記外容器形成用プリフォームに形成されている内径変曲点Y’となる位置よりも上方に位置する内径変曲点X’が形成されており、該内径変曲点X’を境に、前記ネック部もしくは袋成形部の内面は、下方にいくに従い絞られた形態を有していることを特徴とする内袋容器成形用プリフォーム。
  8. 前記ネック部は、前記結晶化口部との嵌合部を含む上方部分に形成された結晶化領域と、該結晶化領域の下方に形成された非晶質領域とを有している請求項7に記載の内袋容器成形用プリフォーム。
  9. 前記ネック部には、前記結晶化口部との嵌合部の下方に、該嵌合部に比して縮径された内径を有しており且つ前記結晶化口部とは間隔をおいて前記内径変曲点X’まで延びている延伸規制領域が形成されている請求項8に記載の内袋容器成形用プリフォーム。
  10. 前記ネック部に形成されている結晶化領域は、前記延伸規制領域の一部にまで延びている請求項9に記載の内袋容器成形用プリフォーム。
  11. 前記延伸規制領域は、傾斜角の大きな内面を有する絞り導入部と、該絞り導入部から前記内径変曲点X’まで延びている傾斜角の小さな内面を有する絞り緩和部と有している請求項9または10に記載の内袋容器成形用プリフォーム。
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