JP7323312B2 - 内袋容器用プリフォーム及び二重構造容器 - Google Patents
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Description
この方法としては、大きく分けて、プリフォーム-イン-ボトル法とスタックプリフォーム法が知られている。
また、この特許文献1には、外筒容器用プリフォームの内面に空隙形成用リブを設けることも提案されているが、この場合にも、上記の問題は解決されていない。
かかる手段では、内袋容器の底部が外筒容器の底部に連結されているため、内容液の排出に伴う内袋容器の収縮が規制されており、内容液を排出していくうちに、内容液の排出が困難になるという問題は有効に解決されている。しかしながら、かかる手段では、内袋用プリフォームの底部に爪を形成し、さらに、外筒容器用プリフォームには、該爪と係合する孔を設けることが必要であるため、これらのプリフォームを製造するための金型が複雑なものとなってしまい、さらには、内袋用プリフォームに形成されている爪を、外筒容器用プリフォームに形成されている孔に挿入し、係合させるという面倒な操作が必要となってしまい、生産性が低いという大きな問題がある。
また、本発明の他の目的は、複雑な形態の金型を使用せず、また爪と孔との係合等の面倒な手段を用いることなく、スタックプリフォーム法によるエアレスボトルの成形に適用される内袋容器用プリフォームを提供することにある。
上記の技術では、確かに、収縮規制用溝を設けていない場合に比して、内容液の排出に伴う内袋容器の収縮が規制され、内容液の排出性が向上するのであるが、本発明者等は、さらに実験を行い、かかる技術を推し進めた結果、収縮規制用溝の数をある程度増やすことにより、内容液の排出性がより向上するという知見を見出し、本発明を完成させるに至った。
該内袋容器用プリフォームは、全体として試験管形状を有しており、非延伸成形部である内袋首部と、該内袋首部に連なり且つ延伸成形に供される管状胴部とを有しており、
前記管状胴部の内面には、軸方向に線状に延びている収縮規制用溝が、周方向に間隔をおいて複数箇所に形成されており、且つ該管状胴部の平断面でみて、隣接する収縮規制用溝の間隔dは、該胴部平断面での周長の13~20%となるように、該収縮規制用溝の数が設定されていることを特徴とする内袋容器用プリフォームが提供される。
(1)前記複数の収縮規制用溝は、胴部平断面でみて、点対称的に配置されていること。
(2)胴部平断面でみて、前記収縮規制用溝の幅wは、0.2~8mmの範囲にあること。
(3)胴部平断面でみて、前記収縮規制用溝の深さtは、該溝以外の部分の管状胴部の厚みTの15~80%の範囲にあること。
(4)前記複数の収縮規制用溝の幅w及び深さtは、全て同一に設計されていること。
(5)前記複数の収縮規制用溝の数が偶数に設定されていること。
(6)前記収縮規制用溝は、前記胴部のハイトHに対して30%以上の軸方向長さLを有していること。
(7)前記収縮規制用溝は、前記胴部の内面に形成されていること。
即ち、内袋容器に形成された収縮規制用薄肉化部は、周方向に間隔をおいて複数形成されているが、何れも容器の軸方向に延びており、このような薄肉部でない部分に比してかなりの薄肉となっている。このため、内袋容器内に収容された内容液が排出するに伴って生じる内袋容器の収縮は、軸方向に延びている収縮規制用薄肉部を起点としての変形となり、この結果、内容液の排出に伴う収縮によって、内袋容器の底部が大きく浮き上がってシワクチャになるような不規則な収縮変形が抑制され、内容液の流路が遮断されてしまうことがなく、安定して内容液の排出を行うことができる。
即ち、収縮を規制するための薄肉部は、収縮の際の変形の起点となるものであるため、他の部分との厚み差がかなり大きいものであることが必要である。この厚み差が小さいと、内容液の排出に伴って内袋容器が収縮変形する際、他の部分もほぼ同時に変形することとなり、収縮を規制する機能が発揮されないからである。従って、このような厚み差を有する薄肉部を形成するためには、この内袋容器を成形するために使用される内袋容器用プリフォームの延伸成形部(胴部)に、薄肉の部分、具体的には溝を形成しておかなければならず、この溝も、他の部分との厚み差を大きく設定しておく必要がある。このような大きな厚み差のある溝を有する内袋容器用プリフォームを、プリフォーム-イン-ボトル法のように、独立して延伸ブロー成形すると、著しく厚みの薄い溝が大きく引き伸ばされるため、破断等の成形不良を生じてしまう。即ち、溝の厚みが制限されるため、収縮規制するための薄肉部を形成することができない。
一方、スタックプリフォーム法では、同時延伸ブロー成形により二重構造容器を製造する場合には、内袋容器用プリフォームの延伸成形部(胴部)は、外筒容器用プリフォームの内面に密着し且つ外筒容器用プリフォームと一体化した膨張により引き延ばされる。従って、内袋容器用プリフォームに、他の部分との厚み差が大きな溝が形成されていたとしても、外筒容器用プリフォームの胴部内面が、溝部分単独での延伸を緩和し、溝部分が、溝以外の部分と同等に膨張薄肉化していき、この結果、破断等の成形不良が有効に抑制される。換言すると、収縮規制薄肉部を形成し得るような大きな厚み差のある溝を形成することが、内袋容器用プリフォームの胴部(延伸成形部)に形成することができるわけである。
尚、図1において、内袋首部5及び外筒首部11は、何れもハッチングで示されている。
尚、図1のスタックプリフォーム20では、上記のように内袋首部5の上方部分は、外筒首部11内にしっかりと嵌合固定されて密着しているが、このような態様に限定されるものではなく、外筒首部11の上端以外の部分で内袋首部5を嵌合固定することもできる。例えば、内袋首部5の上方部分と外筒首部11との間に空隙を形成しておき、所定のホルダを用いて、内プリフォーム1を外プリフォーム3内に保持しておき、この状態でブロー成形を行った後、内袋首部5を押し込んで、外筒首部11の内面の下方部分で内袋首部5を嵌合固定することもできる。このような手法は、内袋首部5の外面と外筒首部11の内面に空気路を形成し、これらの首部5,11の上端の間隙を通して、後述する二重構造容器の胴部間(作用空間)に空気を導入する構造を形成する際に好適である。
さらに、上記の螺条11aの下側には、サポートリング11cが設けられており、外プリフォーム3やスタックプリフォーム20の搬送などの際の把持部材として使用される。また、逆止弁付のキャップが装着されたとき、該キャップがサポートリング11cの上面に当接することにより、空気が漏れることなく、空気導入口11bを通して、最終的に成形される二重構造容器の内袋容器と外筒容器との間に空気を導入することができる。
さらに、先に述べたように、内袋首部5の外面と外筒首部11の内面に空気路を形成し、これらの首部5,11の上端の間隙を通して、空気を導入する構造とするときには、上記の空気導入口11bを省略することもできる。
即ち、内プリフォーム1の延伸成形部(胴部7及び底部9)は、外プリフォーム3の延伸成形部(胴部13及び底部15)の内面に密着しながら延伸成形され、外プリフォーム3は、内プリフォーム1により押し広げられて延伸され、ブロー金型によって容器の形態に賦形され、このとき、内プリフォーム1は、外プリフォーム3の内面を型として、変形自在な袋状部の形態に賦形されることとなる。
この収縮規制用溝10は、溝以外の部分との厚み差が大きく、これにより、この内プリフォーム1を延伸ブロー成形して得られる内袋容器の胴部には、該内袋容器に充填されている内容液の排出に伴う収縮変形を規則的に規制する薄肉部を形成することができる。このような薄肉部及び収縮変形の形態については、追って詳述する。
ここで重要なことは、先にも述べたように、他の部分との厚み差が大きい収縮規制溝10は、スタックプリフォーム法によって内プリフォーム1と外プリフォーム3とを同時延伸ブロー成形する場合にのみ、収縮規制用薄肉部を内袋容器に形成することができるということであり、他の方法では、このような収縮規制用薄肉部を内袋容器に形成することはできない。内プリフォーム1の延伸ブロー成形時に溝10の部分で破断を生じてしまうからである。スタックプリフォーム法では、内プリフォーム1が延伸ブロー成形によって膨張変形する際、常に、内プリフォーム1の胴部7の外面には外プリフォーム3の胴部13の内面が密着した状態にあるため、溝10の部分での破断が有効に防止され、この結果、収縮規制用薄肉部を内袋容器に形成することができるわけである。
また、このような収縮規制用溝10は、特に底部9に近い側に位置していることが好ましく、例えば、図1に示されているように、直胴部7bの部分に形成されていることが望ましい。これにより、内容液の排出に伴う収縮変形に際して、内袋容器の底部が上方に浮いてしまうなどの不規則変形をより確実に防止することができる。
例えば、内袋容器31は、内袋首部5と、変形自在の胴部33及び底部35を有しており、胴部33及び底部35が延伸ブロー成形により賦形された部分であり、変形自在の袋状部Qとなっている。
また、外筒容器41は、外筒首部11と、胴部43及び底部45を有しており、胴部43及び底部45が延伸ブロー成形により賦形された部分である。また、この容器の自立性等の観点から、一般に、底部45の中央部には、上げ底部45aが形成されており、底部45の周縁部分が接地部となるような形態を有している。ブロー成形直後の初期状態では、内袋容器31の袋状部Q(胴部33及び底部35)は、外筒容器41の内面に密着した状態に保持されている。
即ち、この収縮規制用薄肉部50は、図1の内プリフォーム1に設けられている収縮規制用溝10が延伸されることにより形成されたものであり、従って、これらの薄肉部50は、軸方向に帯状に延びている。
尚、この薄肉部50の最少厚みt’の他の部分の厚みT’に対する割合は、通常、20~85%程度である。この薄肉部50は、収縮規制用溝10の部分が、延伸ブローにより他の部分に比してより薄肉化されている。また、薄肉部50の幅w’は、周方向の延伸倍率に応じて薄肉化されている分、収縮規制用溝10の幅wよりも広がっている。従って、この幅w’が必要以上に大きくならないように、延伸ブローの条件(周方向延伸倍率)が設定され、例えば、この幅w’は、3~30mm程度の範囲となるように、収縮規制用溝10の幅wに応じて、周方向延伸倍率が設定される。
例えば、胴部33の収縮変形の形態を示す図5を参照して、本発明では、複数の収縮規制用薄肉部50を稜線として収縮変形するため(図5では、図4に対応して、6本の収縮規制用薄肉部50が形成されている)、丁度、ボトル中から見て、山谷が連続した形態に変形し、この結果、変形した胴部33の中心部分には、内容液の排出流路となる空間Zが確保されることとなる(図5(b)参照)。
一方、図6に示されているように、収縮規制用薄肉部50が形成されていない場合には、この胴部33の全体が一気に変形するため、例えば、胴部33が外筒容器41の底部45から大きく浮き上がってしまい、著しく不規則な形態に収縮してしまい、この結果、内容液の流路が潰されてしまい、内容液の排出が困難となってしまう。
即ち、管状胴部7に、複数の溝10を形成する場合、このような溝10は、ブロー成形時の偏肉を防止するために、通常、点対称的に設けられるが(即ち、等間隔で形成される)、隣り合う溝10の間隔dが、上記範囲内であるとき、内袋容器31の袋状部Qの収縮形態が、内容液の排出に最も適したものとなる。
即ち、この例では、基準溝αが径方向に対向するように配置され、その間に小さな補助溝βが配置されており、基準溝αに由来して、内袋容器31の胴部33には、収縮規制用薄肉部50αが形成され、補助溝βに由来して、内袋容器31の胴部33には、収縮規制用薄肉部50βが形成される。
また、補助溝βが設けられており且つ径方向に対向している限り、基準溝αが4本存在していてもよい。
このような熱可塑性樹脂としては、例えば、以下のものを例示することができる。
オレフィン系樹脂、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1-ブテン、ポリ4-メチル-1-ペンテンあるいはエチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン等のα-オレフィン同士のランダムあるいはブロック共重合体、環状オレフィン共重合体など;
エチレン・ビニル系共重合体、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等;
スチレン系樹脂、例えば、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α-メチルスチレン・スチレン共重合体等;
ビニル系樹脂、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等;
ポリアミド樹脂、例えば、ナイロン6、ナイロン6-6、ナイロン6-10、ナイロン11、ナイロン12等;
ポリエステル樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びこれらの共重合ポリエステル等;
ポリカーボネート樹脂;
ポリフエニレンオキサイド樹脂;
生分解性樹脂、例えば、ポリ乳酸など;
勿論、成形性が損なわれない限り、これらの熱可塑性樹脂のブレンド物を、下地樹脂として使用することもできる。
本発明において、特に好適に使用される熱可塑性樹脂は、ポリエステル系樹脂及びオレフィン系樹脂であり、さらに、用途上、内袋容器31と外筒容器41との間には空気が流入するため、外筒容器3を形成するための外プリフォーム3には水分及びガスバリア性は必ずしも必要ではなく、水分及びガスバリア性の低いポリ乳酸も好適に使用することができる。
例えば、前述したポリエステル系樹脂やオレフィン系樹脂(或いはポリ乳酸)等から形成された内外層の間に中間層として、エチレンビニルアルコール共重合体(エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物)や芳香族ポリアミドなどのガスバリア性樹脂を用いて形成されるガスバリア層を設けることが好ましく、特にエチレンビニルアルコール共重合体によるガスバリア層を設けることが最も好適である。即ち、中間層としてガスバリア層を設けることにより酸素バリア性を付与することができ、特にエチレンビニルアルコール共重合体は、特に優れた酸素バリア性を示すため、酸素透過による内容物の酸化劣化をも有効に抑制することができ、優れた内容物保存性を確保することができる。
3:外筒容器用プリフォーム(外プリフォーム)
5:内プリフォーム及び内袋容器の首部
7:内プリフォームの胴部
9:内プリフォームの底部
10:収縮規制用溝
α:基準溝
β:補助溝
11:外プリフォーム及び外筒容器の口部
11b:空気導入口
20:スタックプリフォーム
30:二重構造容器
31:内袋容器
33:内袋容器の胴部
35:内袋容器の底部
41:外筒容器
43:外筒容器の胴部
45:外筒容器の底部
50:収縮規制用薄肉部
50α:基準溝αに由来する薄肉部
50β:補助溝βに由来する薄肉部
Claims (8)
- スタックプリフォーム法による同時延伸ブロー成形により、外筒容器と外筒容器内に収容された内袋容器とからなるエアレスボトルを製造する際に使用される内袋容器用プリフォームにおいて、
該内袋容器用プリフォームは、全体として試験管形状を有しており、非延伸成形部である内袋首部と、該内袋首部に連なり且つ延伸成形に供される管状胴部とを有しており、
前記管状胴部の内面には、軸方向に線状に延びている収縮規制用溝が、周方向に間隔をおいて複数箇所に形成されており、且つ該管状胴部の平断面でみて、隣接する収縮規制用溝の間隔dは、該胴部平断面での周長の13~20%となるように、該収縮規制用溝の数が設定されていることを特徴とする内袋容器用プリフォーム。 - 前記複数の収縮規制用溝は、胴部平断面でみて、点対称的に配置されている請求項1に記載の内袋容器用プリフォーム。
- 胴部平断面でみて、前記収縮規制用溝の幅wは、0.2~8.0mmの範囲にある請求項2に記載の内袋容器用プリフォーム。
- 胴部平断面でみて、前記収縮規制用溝の深さtは、該溝以外の部分の管状胴部の厚みTの15~80%の範囲にある請求項2に記載の内袋容器用プリフォーム。
- 前記複数の収縮規制用溝の幅w及び深さtは、全て同一に設計されている請求項1~4の何れかに記載の内袋容器用プリフォーム。
- 前記複数の収縮規制用溝の数が偶数に設定されている請求項2~4の何れかに記載の内袋容器用プリフォーム。
- 前記収縮規制用溝は、前記胴部のハイトHに対して30%以上の軸方向長さLを有している請求項1~6の何れかに記載の内袋容器用プリフォーム。
- 前記収縮規制用溝は、前記胴部の内面に形成されている請求項1~7の何れかに記載の内袋容器用プリフォーム。
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